【ラブライブ】 雨のちビー玉時々しゃぼん玉 (120)
当たり障りのない内容のつもり。
設定はアニメ、SIDごちゃまぜ。
都合のいい自己解釈、多少の改変あり。
性格がちょっと違ったりしているかも。
文章力がないので見るに耐えない出来かもしれません。
それでも構わないと言うお暇な方だけどうぞ。
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昨日の朝から降り続いていた天気雨
綿あめみたいな雲から溶けだす
霧雨はきっと砂糖の結晶
雲の隙間から射す日差しに
漂っている結晶たちが
キラキラ綺麗に煌めきだして
ただの日差しがあっという間に
七色の光を纏ったスポットライト
見ているだけで心が踊り
頭の中の音楽隊が陽気なメロディ奏でます
そんな自然の悪戯で
造り出された甘い夢のステージは
たった一日で嘘みたいに
姿を変えて
見上げる限り隙間なく
一面灰色の空から落ちてくる
雨粒はまるで透明なビー玉
その硝子の表面に
近くにあるもの見えるもの
形振り構わず巻き込んで
自分の重さに耐えきれず
何かにぶつかり自分勝手に
当たって砕けて弾け飛ぶ
街に 街灯に 木々に 落葉に
家に 傘に 人に 地面に
いろんな音を掻き消して
たくさん散らして音になる
聞くに耐えない歪んだ音は
全てを介して届きます
見聞きし触れた全てのものに
――
宛ら騒音まがいの雨粒と屋根の不快なセッションによって私は目を覚まさせられた
「…、雨…ね、いくら梅雨入りしたからって盛大に降りすぎなのよ、ちょっとは遠慮しなさいっての」
まだ布団に引きずり込まれる様な感覚を振り払いながら体を起こす
目覚まし時計の短針は8を指す手前
「そういや、土曜日か。
目覚ましは忘れてたけど、習慣の賜物ってやつかしらね」
まだ眠りの足りないという身体を無理矢理動かす
いつもより1時間ほど遅いが朝食の仕度をしなくてはならない
自分だけなら正直食べなくてもいい
布団の中でもう数時間
自堕落に微睡みと戯れていた方が幾分か幸せだ
成長期の時期に朝ごはん抜くなんてだめよ、と中学の時に母に言われた事もあり、朝は抜かないようにしていたが
正直、今後の私の身体的成長はもう見込めないと思っている
小学1年から6年できっちり年間1センチで単位で身長が6センチも伸びた
だが悲しいことに中学1年から高校1年の今まで3年と少しで身長は僅かに2センチ
女性の象徴と言われるバストに至っては1センチしか成長していない
これを成長と呼んでもいいものかと思わせる程の微々たるものである
おまけに女性の成長は男性に比べて軒並み早く成熟するらしい
「うん、もういいや、考えるだけで虚しくなってきたわ。
さっさと食事の準備しましょ」
洗面台に向かう
梅雨の所為かいつもより部屋の中が蒸し暑い気がする
『―――なんて言うかさ、熱すぎるのよね、矢澤さん』
『―嫌って訳じゃあないよ?
あの、私たちと理想が違うって言うか、その
』
「…、…暑い…。
早いとこ顔洗ってすっきりしよ」
洗い終えて顔を拭いたタオルを首にたらんとぶら下げたまま冷蔵庫を開ける
心地好い冷気が寝起きでまだ軽く火照っている上半身を軽く冷ます
『――なんであんたらそんなに冷めてんのよ!?
アイドルやりたいんじゃあなかったの!?』
『―…だって、…その…』
『―――冷めてるんじゃないの、冷静なだけ
ほんの少し冷静になって考えてみてよ?矢澤さん
私達は楽しくアイドルを少しやってみたいと思ってたの、女の子ならだれでも一度は憧れれるアイドルを部活で楽しくやれる
そう、ただ楽しくね』
『―――矢澤さんはどう?
確かに楽しくってのも言ってくれてたわよね
実際一緒に色々な練習やって私達も楽しかったし
でも、それより何より
本気だったでしょう?アイドルに』
『――本気で…何が悪いってのよ?
私はね、アイドルが大好きなの
みんなの前で歌って、ダンスして、みんなと一緒に盛り上がって
また明日から頑張ろうって
そういう気持ちにできるアイドルが、私は大好きなの!
そんな好きなことを、好きでいることを絶対に諦めたくないの!
それができるチャンスがこんなに近くにあるのに、本気にならないでどうしろってのよ!?』
両頬をパシっと軽く叩くと
少し湿った音が響いた
「…まだ引きずってんのか、私。
…卵もハムもあるしハムエッグにしようかな。
昨日作ったポテトサラダも残ってるし、
レタスも少しあるからそれをサラダに1枚じゃあ多いからトーストを半分に切って、これだけあればあの子らも満足でしょ」
冷蔵庫から食材を取りだし手際よく準備をする
これだけなら20分も掛からないだろう
レタスを一口大に千切り、40℃前後のぬるま湯に10秒ほどさらす
そのあとに冷水に数分浸しておく
これだけでレタスが口の中で軽快な音をたてて、さながら取れたてのようになる
この間にハムエッグを作ってしまおう
ほんのり焼き色がつくまでハムの両面を軽くやく
半分にくるっと畳んでお皿に盛り付ける
次は目玉焼き
あの子たちは固めの黄身が好きじゃない
半熟の方がいいらしい
しっかり火を通た方が美味しいのに
ま、もうちょっとしたら好みも変わるかもね
油をひいて熱し終え、軽く白い煙がたちはじめたフライパンの上に卵を落とす
ひとつ、ふたつ、みっつ
小さなクラッカーが何度も弾けるような音の後にジューっと響く音
軽く蒸して火を通しやすくする為に蓋をする
「こうしないと上手く半熟にもならないしねっ。
よしっ、チビたちの分は固くなりすぎないようにちゃんと見とかないと。
このコンロ火力だけは強いからあっという間に焦げちゃうのよね、弱いよりはいいんだけど調整つまみ弄ってもラグがあるのが偶にキズね」
『―――そういうところよ
ごめんなさい、矢澤さん
そういうことだから、私達
あなたと一緒にスクールアイドルはできないわ』
『――…っざげんじゃないわよ!
もっと納得する理由説明しなさいよ!?
1か月後には講堂の使用許可も貰ってライブだってしようと思ってたのに!
二人とも練習だって頑張ってきたじゃない、そうでしょ?』
『―それに関しては、本当に…ごめんなさい…
でもね、二人で話し合った結果なの…
それで今日は、…矢澤さんにもちゃんとお話しなきゃって…思って』
『―――もういいわ、行きましょ
言うことは言い切ったし、私たちは退部届けも先生に提出した
元々は部活動なんだからそんなに気にすることでもないわ』
『―――珍しくない話でしょう?
思ってた風と違って合ってないと思ったから
そこから離れていく
それって当たり前で
至って懸命な判断だと思わない矢澤さん?』
『――…
わかったわ、そこまで言うのなら止めない…
ただ、私ね…現在進行で虫の居所が物凄く悪くなっていってんの
そりゃもう目に入るもの全てに手当たり次第八つ当たりしちゃうんじゃないかって位にね…』
『―矢澤さん、あの、その、』
『―――行くわよ』
『―っで、でも!』
『―――
香ばしい食欲をそそる筈の香りが
鼻孔を刺激し出す臭いに変わりようやく
自分が調理中にも関わらず呆けていたことを思い知らされる
「あちゃー、少し焦げちゃったじゃない…、
黄身もカチカチ…」
フライ返しで恐る恐る焦げ具合を確かめる
「食べれない…ことはないわね。
はぁ…、しょうがないチビたちには我慢して貰いましょ」
ハムを乗せていた皿に目玉焼きを盛り付ける
端が焦げてしまった目玉焼きはお世辞にも美味しそうには見えなかった
綺麗な焼き色がついたハムが不恰好な目玉焼きをより一層惨めに映らせる
『―――でもじゃないの、帰るわよ
…後、矢澤さん
忠告に聞こえちゃうかもしれないけど最後に1つだけ』
『熱すぎるものは制御出来ないと自分も周りも焦がすものよ』
『―――それだけ、じゃあ…さようなら』
気付くと私は歯を食い縛り
握った拳でテーブルを軋ませていた
大きな音に目を覚ましたのか妹がひょこっと現れた
「お姉さま、大きな音がしたけど、何かあった んですか…?」
起こしてしまったのは双子の姉こころだけだったらしい
「あー、こころごめんね、起こしちゃったね。
ちょ~っと考え事してたら自分の足に引っ掛かっちゃって。
そのまま転んじゃいそうだったからテーブルに思わず手をついちゃったのよ」
決して間違いではない
嘘を含んではいるが
「そう、ですか…よかった」
まだ寝足りないのか目を擦りながら安堵の声が漏れる
「よしっ、もうちょっとで朝ごはんできるからら、ここあも起こして歯磨きして、手洗ってきなさい」
「はいっ、わかりました!」
小さな歩幅で妹の名を呼びながら寝室へ向かう
少し騒がしい洗面台を背中に感じ
盛り付けを終える
「…この子たちのお陰で気は少しだけ紛れるわね、ありがとね、にこの妹でいてくれて」
柄にもなく少しセンチになる
「ママもありがと、にこを二人のお姉ちゃんにしてくれて…」
小さく呟いた後に大きな声
「ねー、にこにー!きてー!」
「お姉さまー」
二人の呼び出しにパタパタと早歩きで洗面台に向かう
私が洗面台に着いた途端、口火を切ったのは妹のここあだ
「にこにー、キレイキレイのアワのやつなくなっちゃってるよー」
「あちゃー、すっかり忘れてた…無くなりそうだから買ってこなきゃと思ってたのに…」
ここあがポンプの頭を小さな手のひらで何度も押している
押す度に軽そうな手応えと乾いた音がシュッとするだけだった
「にこにーおっちょこちょーい!にこっ!」
「こらーっ!ここあ!お姉さまをバカにしないのっ!だれだっていそがしくてわすれちゃうことだってあるんだから!」
こころが直ぐに私を庇ってくれた
この子は真面目で本当に優しい
普段はあまり口数は多い方じゃあないけれど、自分の意思をしっかり持っていて、それを頭ごなしに否定されたり馬鹿にされたりするとちゃんと言葉にして対話ができる
ただその事になるとほんの少し熱くなり過ぎちゃって、回りが見えなくなることもあるけど
ね
それでいてちょっと泣き虫さん
「いいのよ、こころ。
今回はお姉ちゃんが気付いてたのに忘れちゃってたんだから」
「う~、お姉さまがそう言うなら…。
…っでも、こころ!お姉さまにはちゃんとあやまって!」
困り顔から思い出したように真剣な表情に変わり妹に言う
>>56の書き込み、ミスがあるので訂正してもう一度書き込みます
(妹の呼びかけが
「こころ!」ではなく「ここあ!」です)
「いいのよ、こころ。
今回はお姉ちゃんが気付いてたのに忘れちゃってたんだから」
「う~、お姉さまがそう言うなら…。
…っでも、ここあ!お姉さまにはちゃんとあやまって!」
困り顔から思い出したように真剣な表情に変わり妹に言う
「え~、にこにーだっていいって言ってるからいいじゃ~ん?ね、にこにー?」
ここあが首をかしげて私の方を向いてもう一度確めるように聞いてくる
この子は本当に素直だ
どんなことも真っ直ぐ受け止められる
そして何事にも臆さず真っ直ぐに自分の気持ちも伝えられる
真っ直ぐ前ばっかり見てるから
たまにぶつかったり、転んだりもするけど
自分の信じたものに素直に進んでいける
そういう勇気も持っている
ちょっといたずらっ子な気もあるけど
そういうところを差し引いたら、お姉ちゃんのこころより大物なのかもしれない
「うーん、そうねぇ」
「ねえ、ここあ。
さっきはにこを馬鹿にしたわけじゃあないのよね?」
きっとこの子は私のことを
「うん!そうだよ!
にこにーしっぱいしたけど気にしないで元気だしてね!
って思って言ったんだ~」
ふふっ
ほらやっぱり、励ましてくれてたのね
膝を曲げてここあと目線を合わして話しかける
「ありがとね~、ここあ。
でもね、にこはここあとと一緒にずっといるからちゃーんと分かるんだけど、ああいう言い方だと他の人からはここあがにこを馬鹿にしてる様に見えちゃうこともあるの」
「えー!!そんなことないのにぃ!!」
さっきまでのにこにこ笑顔はどこへやら
こころの頬は小さな風船のように膨れあがっている
怒ってるのに我が妹ながらその姿も中々どうして愛らしい
でもさっきはそれでこころも勘違いして怒らせちゃったでしょ?こころだってここあとずっと一緒なのにあれなんだもん、きっと他の人もこころみたいになっちゃうんじゃあないかしら」
「うん」
真面目な顔で小さく頷く
「だからね、ここあ。
少し言い方を変えてあげればいいの。
今はちょーっとだけイタズラして遊びたいって気持ちが強いかもしれないど、そこはグッと我慢。
素直なのがここあのいいとこなんだから、
思ったことをそのまま伝えてあければいいの。
でもね、みんな同じ気持ちって訳じゃないから、たまに言い合いや喧嘩になっちゃうこともあるかもしれないけど、その後はそのままにしにないで向き合って話し合ってちゃんと仲直りしなきゃダメよ?」
「うん!わかったよ!
にこにーもごめんね、こんどから気をつけるから!」
うん、やっぱり笑顔の方が最高だ
「よし!
それじゃあ、こころに謝んなきゃね」
あっという間に笑顔を取り戻したここあとは対照的にこころは俯いてしまって表情が見えない
「こころー、ごめんね。
つぎからは気をつけておはなしするようにがんばるから!」
こころは俯いたままだ
「…うん」
「こころー?」
心配そうな顔で下からここあが覗き込む
「だいじょうぶ…何でもない…
わたしもごめんね、きゅうにおこったりして…」
小さな体がもっと小さく見えるくらい
こころは縮こまってしまっている
「んーん!いいよ!
ここあはイタズラしておこられることおおいから、このくらいへっちゃらだし!」
「こーらっ、自慢する事じゃあないでしょ?」
軽く頭をコツンとたたく
「へへー、ごめんなさーいっ」
舌をピッとだしてイタズラな笑み
こんなやり取りをしている最中もこころは俯いたまま
まあ、大体考えてることは分かっている
でもこんな時こそアフターケアが一番大切だ
「こーころ、どしたの?」
さっきよりは顔は上がっている
膝を抱えて軽く下から覗き込んでみるような体勢になって話しかけてみた
やはり瞳が少し潤んでいる
「…お姉さま…」
「わたしは…わたしはまちがってたんでしょうか…?」
「んー、何でそう思うの?」
「ここあはお姉さまを元気づけるために、はげましてくれていたのに、わたしはここあをどなってしまいました…。
わたしは…、じぶんかってに、ここあのことを分かってたつもりで…、ここあのきもちを知ろうともせずにきめつけて…、いっぽうてきにおこってしまって…、そのせいで、ここあも…お姉さまも…、いやな気分にさせてっ、しまいました…」
肩を震わせ小さな瞳から零れ落ちそうなの涙
「うん。
こころ、でも、もう大丈夫よ。
私ももここあも怒ってないし、そんなに気にしてないわ。
それに、あの言い方だったらきっと誰だって勘違いしちゃうもん、ここあにも言ってたでしょ?」
ゆっくり、優しく語りかける
「それに、間違いを間違いだって言えることって凄く大事な事なのよ?こころ。
まあ、今回はちょっとだけ早とちりしちゃったけど、あれは殆どここあの所為みたいなもんだし、そんなに気に病まないのっ」
頭をそっと撫でる
「さっき私が失敗したときに、こころも言ってくれたでしょ?
誰だって忘れちゃうこともあるーって。
それと同じ。誰だって失敗しちゃう時ってあると思うの。
全部のことを完璧にー、なんてできっこないんだから、頑張り過ぎちゃって自分一人で気負い過ぎたら駄目なの。
それでこころが悲しい思いや辛い思いをしちやったら、私はずっとずっと悲しくなるわ、勿論ママもここあも」
小さな頬を涙が伝う
「だからね、こころ。
今回みたいにちゃんと誰かにお話して頼ってみて?
きっとこれから、こころもここあも数え切れないくらい沢山の事を体験をするわ。
知らないこと、分からないことにどんどん触れていく。
だからその度に失敗だってしちゃうと思う。
私も初めて料理した時は大失敗だったしね!
味は滅茶苦茶、見た目は最悪で散々だったわ!」
小さな瞳は潤みながらも
私を真っ直ぐとらえている
「まー、その失敗を一人で解決できることもあると思うわ。
でもね、一人じゃあどうしようもならない事もいっぱいあるの。そんな時はそこで一人でがむしゃらになったり、意地を張ったりしないで、素直に間違いを受け止めて周りの人に頼ったらいいの。
それでその時助けてくれた人達が困ってる時がきたら、今度はこころの番。
その人達をちゃんーと手助けしてあげなさい、勿論、藪から棒に手伝ってあげる!
なーんて、でしゃばったりしたらダメよ?
頼られたときにちゃんと手を差し伸べられることが大事なの。相手の気持ちを理解しようとする想いが大切なの。
…それも中々難しいんだけどね、大きくなると。
まあ、こころも私くらいの歳になったら色々と分かってくると思うわ。
…ちょーっと長くなっちゃったけど、
分かってくれた、こころ?」
大粒の涙をエプロンでぬぐい
小さな体をキュッと抱き寄せる
「はい…ちょっと、むずかしいとこもありましたが、
お姉さまのあたたかさは、いっぱいいっぱい伝わってきました…」
またポロポロと涙が溢れ出す
「あははっ…、ダメですねわたし、
うれしいのに、お姉さまにギュッてされてとっても、とってもうれしいのに…、なみだが…止まってくれません…」
この子の涙は決して安くない
「いいのよー、こころ。
それは嬉し涙っていって、嬉しすぎて出ちゃう涙なの。」
泣き虫なのは誰よりも
人を、何かを
想う気持ちが強いからだ
何にも恥ずかしくなんかない
そう父から教わった
「泣きたいときに我慢しちゃだめ。自分の気持ちに蓋をしてもだめ。今は特にね。
そういう気持ちの我慢や整理の仕方はもうちょっと大ききなったら自然と分かってくるわ、ね?」
女は泣いたら負けよ!なんて母が言っていたこともあったけど
父のこの言葉の方が私にはなんだかしっくり来ている
ただ、とんでもなく負けず嫌いの私は
常日頃は母の言葉を借りて人と接している
そして父の言葉はもっと大事な奥の方に
2つの想いを持ってたって良いよね
だって大好きなママとパパの想いで
その大好きなパパとママの子供なんだし
「はいっ…、ふふっ…。
やっぱり、お姉さまはすごいです。
わたしのかなしいなみだを、うれしいなみだにかえてくれましたっ。
なんだかまほう使いみたいです!」
そして泣いたあとはいっぱいいっぱい
「ふふっ、そしたらその嬉しさを笑顔に変える魔法の呪文、唱えなきゃね!」
その涙に負けないくらいの最高の笑顔に
「にっこにっこにー?」
私がまだ小さい頃に
父が何度も笑顔で歌ってくれた歌
すごく単調で簡単な歌だったけど
なぜだかとっても
とっても嬉しくなる歌とこのフレーズ
「ほら、こころも一緒にやるのよ~?」
「はいっ!」
父からもらったこの歌と笑顔があったから
「せーのっ」
「「にっこにっこにー!」」
私は今日も笑顔でいられる
「あーっ!ふたりだけでずるいー!!ここあもいっしょにするー!!!」
今日も二人を笑顔にできる
「ごめんごめん!それじゃあここあもこころも最後に三人一緒にやるわよ~!」
「せーのっ」
私はそんな笑顔の魔法を世界中の人達に
「「「にっこにっこにー!」」」
届けられるアイドルに
絶対なってみせるよ、パパ、ママ。
――――――――――
「さぁ、こころもここあもパパっと手を洗って!
朝ごはんにしましょ、早くしないと冷めちゃうわ!」
「だからにこにー!」
「お姉さま…」
「とっと、そうだった…なくなっちゃったんだったわね、キレイキレイ」
取り敢えず洗面台の下の収納扉を漁ってみる
「何かの間違いで買い置きしてるのを忘れてる!…なんてことはないわね、はぁ…」
軽く落胆しているとここあが扉のなかを漁りだした
「ねー、にこにー、これはー?
せっけんってかいてあるよ?」
取り出したのは懐かしい見覚えのある
「うわー、懐かしいわね。ママが
『この方がチビふたりも手洗い楽しくできるんじゃない!?』って言って
キレイキレイ見つけてくるまでは私も二人ともコレ使ってたのよ?」
「んー、おぼえてるような、おぼえてないよーなー?」
「わたしは何となくですが、みおぼえありますっ」
赤基調のパッケージの固形石鹸
「まあ二人とも幼稚園入る前くらいの歳だったし覚えてないかもね。ところで、これまだ使えんのかしら?」
おもむろに橙色の石鹸を取り出し
水にさらして泡立ててみる
「わー!すごーい!!
キレイキレイよりいっぱいあわ出てるー!!」
意外といけるもんなのね
固形石鹸恐るべし
「ふふっ、これだとこんなことも出来るのよ?」
石鹸まみれの右手の人差し指と親指で
OKサインを作る
その輪にそっと何度か息を吹きかける
「シャボンだま!」
「きれいですー!」
「ふふっ、これだとこんなことも出来るのよ?」
>>102
…またミスです。
最後の「これだと~」は要りません…
「シャボンだま!」
「きれいですー!」
ふわふわと落ちてくるシャボン玉
「いち、に、さーん、よん、」
透明な筈なのに
それぞれ別々の色に光って見える
「ごー、ろく、なな、はち、」
それをここあとこころがちょんと指で弾いて割っていく
「「きゅう!」」
最後のひとつを一緒に割ったとき
「へへーっ、ぜんぶわれたよ!にこにー!」
「お姉さま!こんどはわたしがシャボンだま作っていいですか!?」
二人の笑顔も弾けだした
「今は手を洗ってご飯食べるのが先ね。
遊ぶのはその後にしましょ?」
「「はーい!」」
なんだか懐かしい石鹸の香りに
私も思わず笑顔になる
「これから家の手洗い当番は当分キミになるみたい。よろしく頼むわね」
独り言を言った後
人差し指でピンと石鹸を弾いて
爪に少しだけ着いた石鹸の香りは
なんだか不思議と
とっても優しい香りがした
終。
因みに>>89もハートのつもりだったんですが
文字化けしてしまったので
ハートから感嘆符に変更しています。
エピローグ的なものを垂れ流そうと考えていましたが、眠くて仕方がないので今日はもう寝ます…
近いうちにまたスレ立てると思うので
その時はまた、暇潰しにお使いください。
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