遅筆かつ駄文です
まったり更新していきます
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小町「お兄ちゃん、いつまでその愚痴言ってんの?」
八幡「いやすまん」
小町「……小町、いつまでも女々しいお兄ちゃんは嫌いかも」
八幡「すまん。明日、入学式だしいつまでも言うのは違うよな」
八幡(俺は何も学校自体に不満があるわけじゃない。確かに総武高校は名門校だし、俺も行きたいと思っていた。)
八幡(もちろん、俺が明日から通う学校である海浜総合高校も評判がいいし総武高校に負けず劣らず名門校である。)
八幡(問題なのは俺が総武高校を目指した動機が満たされなかったということ。俺が総武高校を目指したのは他の同級生が誰一人として行かないだろうと考えてだが、海浜総合高校は違う。)
八幡(海浜総合高校は毎年俺の中学から何人か行っている常連高校なのだ。今年だっておそらくそうだろう。)
小町「まぁ、中学校の時みたいにお兄ちゃんにトラウマ与えるような人はいないだろうし大丈夫だよ。もう高校生なんだしね」
八幡「……だな」
小町「うん。そうだよ」
八幡(小町マジ天使)
入学式は朝早いので早めに眠ることにした。zzz
高校に行く緊張からか、予定より2時間ほど早く起きてしまった。早めの準備をするかとリビングへと向かう。
「八幡、あらためて高校進学おめでとう」
八幡「あ、ああ。母さん」
八幡母「平日じゃなければ入学式見に行けたんだけどねー」
八幡(両親は共働きなので、俺の入学式に来ることはできない。…まあ、その方が俺も気楽だわな。)
無駄に時間があるので小町の分も朝食を作り、朝食を食べる。
その後、読みかけの小説を少し読んで時計を見るとまだ予定より一時間は早い。
八幡「まぁ、ちょっと早いが初日だし行くか」
昨日までウジウジしてた俺だったわけだが、実は高校に行くことが楽しみだったりする。
未知の世界に、この場合は高校な訳だが、飛び込むのは誰でもワクワクするだろうし俺も例外ではない。
中学の同級生がいる?あーあー聞こえない
彼女だの友達だの、そういう上っ面の関係の空虚さは中学の時に嫌というほど思い知らされた訳であるが、ほんの少し、そういう関係を高校生活に求める心があることを俺は否定できない。
そういうわけで、俺は新調した鞄を持って家を出ることにした。
小町「お兄ちゃん!」
八幡「小町、もう起きてたのか」
小町「お兄ちゃん緊張してるだろうから、小町が応援しないとって思ってね」
八幡「まあサンキュ、朝食作ってあるから食っとけよ」
小町「ありがとー。お兄ちゃん頑張ってね!」
八幡「ありがとな。小町」
やっぱやべーわ。
今この瞬間に小町の笑顔を独占していることにニヤリとしちゃったよ。
まさにプライスレス。
血がつながっていなければ、即告白して砕け散るレベル。←
八幡「お礼に帰りにミスド行ってドーナツ買ってきてやるよ」
小町「やったー。お兄ちゃん大好き!」
小町の笑顔で最高にハイになった俺は自転車をこいで海浜総合高校へと向かうのであった。
俺は俺だから結局のところ何も変わらないのだろう。
少しばかり高校生活を楽しみにしていた俺に神様から天罰が下ったのかもしれない。
比企谷八幡、お前は今のままでいいんだ、変える必要はないと。
それも一理あるなと思いながら、俺は静かに瞼を閉じる。
3日前
結論から言うと車に轢かれた。
犬が車に轢かれそうになってるのを見て無意識に体が動いた。
犬を庇ったわけだ。
なんでこんなアホなことをしたのか自分でも分からない。
もう一度やれと言われても無理だ。
昨日、担任の先生が持ってきてくれた学校についてのパンフレットを手に取る。
医者によれば全治3週間、これで俺の入学ぼっちも確定だな。
まぁ、高校生活に期待していた部分は多少あったがしょうがない。
……春休みが3週間伸びるというのも悪くないしな。
ガラッ
小町「お兄ちゃん」
八幡「おお、小町」
小町「果物買ってきたんだけど食べる?」
八幡「ああ」
小町は、ソファに学校の鞄を置き、クローゼットに入れてあるエプロンを着け、病室に備え付けてある簡易キッチンでリンゴを剥き出した。
脚を骨折した程度で大したケガじゃないというのにこんなに広々とした個室を使えているのは、一重に俺を轢いた車が金持ちのものだったということのおかげだ、と親から聞いた。
俺が気を失っている間にその人たちが来ていたらしい。
……そういえば、あの犬は無事だったのだろうか?
八幡「なぁ、小町」
小町「なに?」
八幡「事故の時の犬ってどうだったか知ってるか?」
小町「あー。無事だったらしいよー。飼い主さんに聞いたもん」
八幡「無事だったのなら良かった。…って、飼い主もここに来てたのか?」
小町「うん。連絡先も交換しちゃったし」
八幡「へぇ」
小町「あっ飼い主さんと連絡してみる?」
八幡「いやいい。別に話すことないしな」
小町「ならいいや。リンゴ切ったよー」
八幡「ありがとな」
わざわざうさぎの飾り切りしていてあざとい。だがそれがいい。
俺が食べるところを笑顔で見つめてくる小町。
ゆっくりと口にいれて何回か噛みゴクリ。おいしい?とか聞いてくれる小町マジ天使。
そうはいっても、小町との幸せな時間は長くは続かなかった。
トントン
小町「誰かな?」
八幡「分からん。どうぞ」
ガラガラ
「失礼しまーす」
小町「こんにちはー」
折本「うん、こんにちは初めまして。比企谷は久しぶりかな?」
中学の頃に俺のトラウマの1つを刻めつけた彼女がそこに立っていた。
八幡「よお、折本、久しぶりだな。どうしたんだ?」
小町がよくわからなそうにしているが、早めに終わらせたい。
折本「いやー、比企谷って入院してるじゃん? だから、誰かが比企谷に書類届けなければいけないんだけど、そこにクラスで唯一おなちゅうの私が選ばれたわけ。感謝しろよ~。」
八幡「そ、そうか。ありがとな」
折本「いやー、すごい怪我だねー」
八幡「お前には関係ないだろ」
折本「まぁ、そうだけどね。ウケる」
折本かおり。中学からの同級生。中学の頃から変わらない人懐っこさは健在である。
折本から何枚か紙が入ったファイルを渡される。
折本「じゃあ、今日は用事があるからもう帰るね」
八幡「ああ、じゃあな」
小町「今の人って中学の時の同級生なの?」
小町も同じ中学なので一度は折本を見たことがあるはずだが覚えていないようだ。
まあ、その方がいいか。
八幡「ああ、そうだ」
小町「……もしかして、お兄ちゃんを傷つけた人?」
八幡「……いや、違う。あいつが言ってたようにただ同じ中学だっただけだ」
小町に無用の心配をかける必要はない。
小町「なら、いいけど」
その後、あんまり遅くなってもアレなので小町に帰ってもらった。
その日はいつもより寝付けなかった。
このSSまとめへのコメント
折本が出てくることを期待
続きが気になるんだなぁ
面白そう