みたいな、忍野が怪異譚の蒐集のため放浪して、行く先々で出会す洒落怖の化物(怪異)の事件を忍野が解決していくみたいな話を誰かお願いします!
忍野「それは『匂いイカ』って怪異だね」
聖徳太子「え?」
小野妹子「だから太子はいつもイカ臭いんですね」
ごめんなさい
忍野「これはこれは。たいそう類まれぬ怪異を口にしてしまった、いやはやまいったね」
忍野「少し昔話をしてみようかな。ちょっと長いから聞き流す程度でも大丈夫だよ、いやいやそんな顔をしなくたって本当に聞き流してもいいのさ」
忍野「今から一千年前。時は平安、巫女さんやら神サマやら怪異やらが、人目を憚らず悠々闊歩していた時代だ」
忍野「この時代はね少年君。実に不合理的なことが罷り通るのが常だったんだ。信じられるかい? 長期間雨が降らないだけで、人は簡単に生贄を差し出したんだ」
忍野「例えば一村の中で選ばれたか弱き少女が居たとしよう。その少女は両親にとって最愛なる愛娘だった、けれど何時の日か、村の掟やらなんやらで、少女が人柱として選ばれた」
忍野「両親はたいそう悲しんだだろう。けれど両親は、一人の娘で救われる村を選ぶんだ。いや、選んだという概念すら無かったに違いない。それが絶対だから、それが答えだからなんだよ」
忍野「生贄を差し出せば、村は救われる。それが村人全員の答えなんだ、何よりも信じられる救いの儀式なんだね。だから誰も疑わないし、誰も否定したりはしない」
忍野「彼らは生贄という儀式を美徳と捉えていたんだ。恵みの雨が降らないだけで死にゆく運命を辿る、そんな現実を知っているからこそ、彼らは尊い命を差し出すのさ」
忍野「──命とはそれほどまでの価値がある。道徳性などもはや彼らにとっては無意味だ、口にするだけ無駄ってことだね」
忍野「うん? その命を一体全体誰に捧げるんだって? ははっ──そりゃあ決まってるじゃあないか、勿論、神サマだよ少年君」
忍野「概念の外側。人の範疇を超えた存在に捧げるんだ、元より気候を操るものは神サマだと信じ切られていたからね。ほら、聞いたことがあるだろう?」
忍野「淤加美神。祈雨の際に代表的な神サマなのだけれども───そうやって彼らは自分たちではどうしようもない事を、神様に頼み込んだんだ。人の命を捧げてでもね」
忍野「さてここで本題だ。君が今回関わってしまっている『怪異』なのだけれど、勿論神様でもなくて立派な怪異のだけれども」
忍野「──今上げた全ての事実、そして当時の彼らが美徳として捉えていたことを、真っ向から否定したモノから生まれた『怪異』だ」
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