【ごちうさ×ゆるゆり】ごちゆり (134)

ごちうさとゆるゆりのクロスです
ごちうさの町にゆるゆりキャラが暮らしている設定となります

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1405253530

あかり「うぅ、道に迷っちゃったよぉ。みんな心配してるかなぁ?」

あかり「ここ喫茶店? 疲れたしちょっと休んで店員さんに道聞こう」

あかり「えっと、ら、ら、ラビットハウス? うさぎさんのお家? うさぎさんがいるのかな?」ガチャ

ココア「いらっしゃいませ、ラビットハウスへようこそ!」

あかり「どうも、こんにちは」

ココア「こんにちは! ちゃんとごあいさつできてえらいね」

あかり「ごあいさつって、あかりそんな子供じゃありませんよぉ!」

ココア「あっ、そうだったのごめんね。じゃああかりちゃん? 席に案内するね」

あかり「お願いします」

ココア「子供じゃないお客様お一人ご案内だよ~!」

あかり「な、なんかはずかしいからやめてください!」

チノ「なんでわざわざ子供じゃないとかつけるんです?」

あかり「あれ? チノちゃん?」

ココア「えっ、チノちゃんの知り合い?」

チノ「……どちら様ですか?」

あかり「同じクラスの赤座あかりだよぉ!」

チノ「……ああ、思い出しました」

あかり「えへへ、よかった」

チノ「みんなのハートにどっきゅ――」

あかり「わあぁ~! それは忘れてていいよぉ!」

チノ(それしか覚えてないんですが)

ココア「チノちゃんのクラスメイトだったんだね」

あかり「はい」

ココア「じゃあ私こそちゃんとごあいさつしなきゃね。はじめまして、チノちゃんの姉のココアです」

チノ「姉じゃないです。居候件バイトです」

ココア「せめて同居人って言って!」

チノ「ほとんど意味一緒です」

あかり「ねえチノちゃん、頭に乗せてるのなぁに?」

チノ「ティッピーです。一応うさぎです」

あかり「うさぎさんなんだ。ラビットハウスなのにうさぎさんいないなぁって思ってたんだぁ」

チノ(なにかデジャビュを感じました)

ココア「もふもふぐあいがね格別なんだよ」

あかり「たしかにやわらかそうです」

チノ「そんなことより、ご注文は?」

あかり「えっと、そのうさぎさん、なんて」

ココア「残念、非売品だよ」

チノ(またデジャビュ)

あかり「なでさせてもらえるだけでいいんだけど」

チノ「コーヒー一杯で一回です」

あかり「有料!?」

ココア「大丈夫。ここのコーヒーおいしいから、おまけにもふもふできるって考えれば安いもんだよ!」

あかり「それじゃあ、えっとおすすめは?」

ココア「当店自慢のオリジナルブレンド! インスタントみたいで安心する味だよ!」

チノ「ほめてるんですかそれ?」

あかり「じゃあ、それで」

ココア「かしこまりました! リゼちゃ~ん、オリジナル一つ~!」

リゼ「オリジナルだな、わかった」

ココア「すぐできるからちょっと待っててね」

あかり「はい」

リゼ「オリジナルブレンド、おまちどうさま」

あかり「ほんとうにすぐだった!?」

リゼ「チノのクラスメイトだって? 私はリゼ、ここのバイトだ。よろしくな」

あかり「あ、赤座あかりです。よろしくお願いします」

あかり(すごい綺麗な人だよぉ。なんだか緊張しちゃうな)

リゼ(なんか怖がられてる!? やっぱり私は硝煙の危険な香りを纏ってるのか!?)

あかり(缶コーヒーじゃなくて喫茶店のちゃんとしたコーヒーだし、ブラックでもいけるかな? いや、でも――)

ココア「あかりちゃんミルクなしでいけるの? さすが子供じゃないね!」

あかり(がんばろう)ゴクッ

あかり「ふぇっ、やっぱりむりだよぉ」

チノ「無理せずミルクを入れてください」

リゼ「せっかく作ったんだ、おいしく飲んでほしいからな」

あかり「は~い」

ココア「あはは、やっぱりまだまだ子供だね」

リゼ「お前が言えたことじゃないだろう」

チノ「まったくです」

ココア「え~?」

あかり「ふぅ、おいしかったよ」

チノ「うちの自慢のブレンドですから」

リゼ「楽しんでくれてなによりだ」

ココア「でもまだメインディッシュが残ってるよ」

チノ「さっきはおまけだって言ってたのに」

ココア「気にしな~い気にしな~い。はいあかりちゃん。ご注文のティッピーだよ」

あかり「わぁい。ふわふわ~」

ティッピー「ええい、一回だけだと言われただろう!」

あかり「わぁ!? 喋った!?」

チノ「私の腹話術です」

リゼ「いつもながらどっからそんな声出してるんだ?」

チノ「ティッピーからです」

リゼ「いや確かにティッピーが喋ってるように聞こえるけど」

あかり「気持ちよかったなぁ」

ココア「……じゃあ私はあかりちゃんをもふもふする~!」

あかり「わっ、いきなり抱きついたらびっくりしますよぉ、ココアさん」

ココア「ココアお姉ちゃんって呼んで」

あかり「ココアお姉ちゃん?」

ココア「もう一回!」

あかり「え~っとココ――」

チノ「いい加減にしてください」

リゼ「ほら、客を困らせるな」

ココア「ああぁ~」

あかり「びっくりしたよぉ」

チノ「すいません。ココアさんは私達くらいの年の女の子を見ると妹にしたくなる病気なんです」

ココア「病気じゃないよ! シスターコンプレックスだよ!」

リゼ「ある意味病気だ、お前のは」

あかり「あっ、ちょっとすいません。京子ちゃんからメールだ。みんなもうついちゃったんだ」

リゼ「どうした?」

あかり「実は道に迷っちゃって。友達と甘味処に行こうって約束してたんですけど」

チノ「甘味処?」

あかり「うん、甘兎庵ってところなんだけど」

ココア「そこならよく知ってるよ!」

あかり「ほんとうですか!」

ココア「うん! 休憩時間になったら案内してあげるよ」

あかり「ありがとうございます!」

ココア「ふっふ~ん、お姉ちゃんに任せなさい!」

チノ「……休憩が欲しかったら働いてください」

ココア「おおっとそうだね。じゃああかりちゃん、ちょっと待っててね」

あかり「はい!」

チノ「……やっぱり誰でもいいんですね」

ココア「えっ?」

チノ「なんでもないです」

ココア「……? まあいっか。お仕事お仕事」

ティッピー「素直にさびしいと言えばいいじゃろうに」

チノ「さびしくなんかありません」

あかり(チノちゃんが腹話術使って、一人二役でティッピーとお話してる。どうしたんだろう、疲れてるのかな?)

リゼ「変に思わないでやってくれ。あいつは小さい頃に母親を亡くして、お爺さんや親父さんも仕事で忙しくてずっと一人だったんだ。きっとああやってさびしさをまぎらわしてたんだよ」

あかり「そんな、チノちゃん……」

チノ「どうしたんですかあかりさん?」

あかり「うぅ~、チノちゃ~ん。さびしくなったらいつでもあかりがお話し相手になってあげるよぉ」

チノ「えっ、えっと、ありがとうございます?」

ココア「こうやって友情が育まれていくんだね」

リゼ「やれやれ、小さいのがまた増えて騒がしくなりそうだ」

京子「あかりもう少ししたら来るって」

結衣「よかった変な事件に巻き込まれたりしてなくて」

ちなつ「物語の主人公じゃないんですから」

京子「そうそう、主人公はこの私で決まってるからね」

ちなつ「違います、主人公は結衣先輩でヒロインはわた……きゃあ~、言えません~」

結衣「いや、主人公ってなんの? けど道に迷っちゃうならやっぱりあかりを迎えに行った方がよかったな」

京子「でも結衣とちなつちゃんはこうして来れてるじゃん」

ちなつ「そうですよ、あんまり甘やかしてばかりじゃだめですよ。あっ、私のことはいつでも迎えにきてくださっていいですからね」

結衣「……まあ来られるみたいだからいいけど」

京子「最悪あかりがいなくても今日はお前がいるもんな、あんこ」

あんこ「……」

ちなつ「いや、うさぎじゃないですか」

結衣「さすがにうさぎじゃ代わりにならないだろ」

千夜「はい、煌めく三宝珠に雪原の赤宝石、姫君の宝石箱おまちどう」

京子「おっ、サンキュー千夜さん」

結衣「名前はすごいけど見た目は普通だ」

ちなつ「おいしそうですね!」

京子「うん、おいしいよ。なんたって雑誌で紹介されるくらいだし」

千夜「大きな記事ではなかったけれどね」

ちなつ「いただきま~す。おいしいっ!」

結衣「ほんと、とってもおいしいです」

千夜「お口に合ってよかったわ」

京子「う~ん! ラムレーズンもいいけど、ここの甘味も最高だね」

千夜「ふふっ、そう言ってもらえると嬉しいわ京子ちゃん」

あんこ「……」ジー

京子「ん? どうしたあんこ、これが食べたいのか?」

千夜「あらあら、さっき栗ようかん食べたばかりでしょう?」

ちなつ(うさぎって栗ようかん食べるんだ)

京子「食い意地のはったやつだなぁ。しょうがない、一口だけだぞ」

あんこ「……」ドシュッ

結衣「うわっ、本体まっしぐら!?」

京子「あぁ~! こらっ、一口だけって言っただろ!」

ちなつ「いつも杉浦先輩のプリン勝手に食べてるんですし、たまには自分の物を食べられる気分も味わうといいんです」

あんこ「……」ドシュッ

ちなつ「わぁあ~!? なんで私の頭に!? やめて、髪の毛食べないで!」

京子「こいつめぇ~! 私の物ばっかり食べやがってぇ!」

ちなつ「誰が京子先輩の物ですか! 結衣先輩取ってください~!」

結衣「落ち着いてちなつちゃん! そんなに頭振り回してたら取れないよ」

ちなつ「いや~!」

京子「ああっ! あんこがちなつちゃんのもふもふに食べられていく!?」

結衣「食べられてるから食べかえしてるのか!?」

千夜「もう、駄目でしょあんこ。噛んでいいのはシャロちゃんだけだって言ってるのに」

ちなつ「ふええ~、怖かったですぅ」

結衣「大変だったね、色々と」

京子「くそぉ、半分くらい食べられちゃったよ」

青山「ふふふ、今日はずいぶんとにぎやかですね」

京子「おっブルマ先生来てたんだ」

結衣ちなつ「ブルマ先生!?」

青山「ラム子さんもおかわりなく」

ちなつ「ラム子ってたしか京子先輩のペンネームでしたよね?」

結衣「うん、西京極ラム子だったはず。てことはあの人はそっち関係の知り合い?」

千夜「あの人は作家の青山ブルーマウンテンさんよ」

結衣「ふ、不思議な名前ですね」

ちなつ「ブルーマウンテンを略してブルマなんですね。ていうか、青山ブルーマウンテンって、あのうさぎになったバリスタの!?」

青山「恥ずかしながら私が書かせていただきました」

ちなつ「はずかしいなんて! 私、すっごく感動しました! 映画も観に行きましたし!」

青山「それは、ありがとうございます」

結衣「映画化もしてるのか。そんな有名人とどうやって知りあったんだ?」

京子「漫画のネタ探してぶらついてるときに会って意気投合したんだよ。同じ物書き同士ひかれあうところがあったっていうか?」

結衣「お前のは漫画で同人誌だろ」

青山「いいえ、同人誌だろうと商業誌だろうと、小説だろうと漫画だろうと、物語を作るということに変わりはありませんよ」

青山「ラム子さんはお若いのにとても素晴らしい漫画をお描きになります。いずれは有名漫画家として名を残すだろうと思っていますよ」

京子「いやぁ、ブルマ先生にそこまで言われると照れちゃうな」

千夜「もしそうなったら甘兎の歴史を描いてね。ノベライズは青山さんにお任せして、ゆくゆくはアニメ化、映画化、舞台化と続いて……」

結衣(なんていうか千夜さんっておっとりした見た目の割に、志の大きな人なんだな)

ココア「迷子一人ご案内だよ~!」

あかり「た、たしかにそうですけどやめてください!」

青山「ココアさん?」

千夜「どうしたの、その子は?」

京子「ようやく来たかあかり」

結衣「心配したよ」

ちなつ「その人に道案内してもらったの?」

あかり「京子ちゃん、結衣ちゃん、ちなつちゃん!」

ココア「なに? 今月は妹月間なの!? 好きな子持って帰っていいの!?」

千夜「残念だけどこの子達はお客様よ」

ココア「そっか~、じゃああかりちゃんを連れて帰るよ。それじゃあまたね」

あかり「んん!? 来たばかりなのに連れて帰られそうになってる!?」

京子「はじめまして歳納京子です」

結衣「船見結衣です」

ちなつ「吉川ちなつです」

ココア「これはご丁寧に。私はココア、あかりちゃんのお姉ちゃんだよ」

京子「へぇ~、あかりってあかねさん以外に姉ちゃんいたんだな」

あかり「いや違うから! んもぉ~、変なこと言わないでくださいよココアさん!」

ココア「変なこと!? 私がお姉ちゃんだったら変なの!?」

結衣「お姉さんじゃないのか?」

あかり「うん、さっき会ったばっかりだよぉ」

ココア「だけど心はお姉ちゃんだよ」

ちなつ「心はお姉ちゃんってなんですか」

ココア「みんなも気軽にココアお姉ちゃんって呼んでね」

京子「わかったよココねえ」

ココア「ココねえ!? なんか新感覚だよ!」

結衣「千夜さんはココアさんと知り合いなんですか?」

千夜「クラスメイトなの。とっても仲良くさせてもらっているわ」

ちなつ「青山先生もですか?」

青山「ええ。ココアさんは私の行きつけの喫茶店で住み込みで働いていまして」

京子「学校通いながら喫茶店で働いてるんだ。大変だね」

ココア「下宿先でご奉仕しろって言われてるからね。それに結構楽しいよ」

あかり「チノちゃんの家の喫茶店なんだよぉ」

ちなつ「チノちゃん家って喫茶店なんだ」

青山「とてもおいしいコーヒーを出してくださいますからぜひ一度足を運んでみてください」

ココア「夜は青山さんも働いてるんだけど、みんなにはまだ早いかな」

京子「なるほど夜の仕事か」

結衣「おいこら」

ちなつ(わ、私達にはまだ早い夜の仕事って!?)

青山「夜はバーになってお酒を出してますからね」

あかり「お酒はあかり達にはまだ早いですね」

千夜「ココアちゃん、そろそろ休憩時間終わるんじゃない?」

ココア「あ~! もうこんな時間! 私そろそろお店に戻らないと!」

あかり「ありがとうございましたココアさん」

ココア「ううん、これからもどんどんお姉ちゃんに甘えてくれていいんだからね」

あかり「え~……うん、ココアお姉ちゃん!」

ココア「はぁ、いいなぁお姉ちゃん。やっぱりあかりちゃん連れて帰るぅ!」ダキッ

あかり「わぁ、だめですよぉココアさん」

ココア「い~や~、もっとお姉ちゃんって言ってもらうもん~!」

千夜「あらあら、チノちゃんが嫉妬しちゃうわよ」

ココア「う~、わかった。それじゃあまたねあかりちゃん、みんな」

あかり「あうぅ、なんか疲れたよぉ」

京子「面白い人だったな~」

結衣「確かににぎやかな人だった」

ちなつ「ちょ~っとにぎやかすぎるような気もしますけど」

千夜「悪い子じゃないのよ。だからこれからも仲良くしてあげてね」

あかり「はい!」

千夜「うん、いい返事。それであかりちゃん、でいいのよね? ご注文は?」

京子「おっとそうだった。ほいあかりメニュー」

あかり「ありがとう京子ちゃん。って、なにこれ!? どんなものなのかまったくわからないよぉ!」

京子「なにが出てくるかは頼んでのお楽しみだ」

あかり「ちなみに京子ちゃんのはどれなの?」

京子「どれだと思う?」

あかり「う~んと、フローズン・エバーグリーン?」

京子「ぶっぶ~。正解は姫君の宝石箱でした」

あかり「あう、外れちゃった」

結衣「直感で好きなの選べばいいよ」

ちなつ「私たちだって実際見るまで何が出てくるかわからなかったし」

千夜「そんなに難解でしょうか?」

青山「お若い方には少々難しいかもしれませんね」

あかり「じゃ、じゃあ、あかりも姫君の宝石箱で」

京子「え~、それじゃつまんないじゃん」

ちなつ「それにそれだとまたあんこに食べられちゃうかも」

あかり「あんこってあの黒うさぎさんのこと?」

あんこ「……」ジー

結衣「うん。なんかすごいちなつちゃんのこと見てるけど」

ちなつ「こ、今度来たらほんとうにもふもふの中に取り込んじゃうんだから!」

京子「これにしようぜ~」

あかり「豆板醤団子……ってこれはあかりにだってどんなのかわかるよぉ!」

青山「ああやって年頃の女の子が仲睦まじくしている様子を見ていると、心が晴れやかな気分になります」

千夜「そうですね」

青山「しかし、あそこまであんこに好かれている女の子を見ると、シャロさんを思い出しますね」

千夜「確かに、私もそう思っていました」

千夜(シャロちゃん元気にやってるかしら?)

シャロ「いらっしゃいませ」

綾乃「こんにちはシャロさん」

シャロ「あら綾乃じゃない」

千歳「ほんとにウサミミつけとるなぁ」

櫻子「ここってメイド喫茶だったの?」

向日葵「違うとおっしゃってたでしょうに」

りせ「……」

シャロ「その子達は?」

綾乃「私と同じ生徒会役員です。こちらは会長の松本りせ先輩」

りせ「……」ペコリ

千歳「はじめまして池田千歳言います」

櫻子「大室櫻子です!」

向日葵「古谷向日葵と申します。以後よろしくお願いいたしますわ」

綾乃「私がここのハーブティーがよく効くって話をしたら、みんな行きたがったので連れてきました」

シャロ「そう、新しいお客様が増えて嬉しいわ。私はシャロよ。よろしくね」

櫻子「おしゃれな雰囲気でいいですね」

向日葵「あなたには似合いませんけど」

シャロ(この向日葵って子胸デカっ! リゼ先輩や千夜より大きいんじゃない?)

櫻子「なにおう!」

向日葵「事実を言ったまでですわ」

綾乃「騒いじゃだめよ二人とも。ここはリラックスしに来る場所なんだから」

向日葵「あっ、すいません杉浦先輩」

シャロ(先輩!? 綾乃は確か副会長だって言ってたから二年、それを先輩って呼ぶんなら一年!? あれでこの間までランドセル背負ってたの!?)

シャロ「は、犯罪よ!」

綾乃「そこまで言います!?」

櫻子「ええっ!? どうしよう捕まっちゃうの!?」

千歳「そんなわけあらへんよ。冗談やろ」

綾乃「今日はどれにしようかな」

櫻子「このギムネマ・シルベスターってのカッコいい! 私これにする」

シャロ「それ飲むと一時的に甘味を感じなくなるわよ」

櫻子「それはいやだ! じゃあ……ダンディ・ライオン! なんか強そう!」

向日葵「強そうってあなた」

シャロ「それはたんぽぽよ」

櫻子「えぇ~、じゃあ、じゃあ」

千歳「鼻の粘膜に効くのってあります?」

シャロ「粘膜って、一応あるけどどうしたの、鼻炎?」

千歳「いえ、よく鼻血出してまうんで」

シャロ「それは耳鼻科に行った方がいいと思うわよ」

りせ「……」

シャロ「りせは決まった?」

りせ「……」

シャロ「……あの、りせ?」

綾乃「すいません会長は声が小さくて」

シャロ「喋ってるの!? 小さいってレベルじゃないでしょ!」

櫻子「ああもう、英語ばっかでわかんないよ!」

向日葵「英語というかハーブの名前ですわよ」

櫻子「どっちにしろわからないもんはわからないよ! もうシャロねーちゃんが決めて!」

シャロ「しゃ、シャロねーちゃん」

シャロ(う、嬉しくないわよ、ココアじゃないんだし)

綾乃「そうね私もあまり詳しくないし、シャロさんに決めてもらいましょうか」

シャロ「そう、じゃあ私が決めてあげるわ」

向日葵「お願いします」

シャロ「う~ん、櫻子にはリンデンフラワーがいいかしら。リラックス効果があるのよ」

櫻子「いいですねリラックス」

シャロ「向日葵にはローズマリー。肩こりに効くわ」

向日葵「あの、どこを見て私が肩こりだと思ったんです?」

シャロ「か、勘よ。それで千歳にはネトルね。鼻にも効くし貧血も予防するわ」

千歳「ひじきとどっちが効くんやろ」

シャロ「それは知らない」

シャロ「りせにはマロウブルーよ。喉にいい効能があるの。まああなたの声は喉の問題じゃなさそうだけど」

りせ「……」コクリ

シャロ「それでいいってことよね? そしたら最後に綾乃にはペパーミント。胃の調子を整えてくれるわ」

綾乃「なぜ胃の調子を?」

シャロ「いや、なんか苦労してそうだから」

綾乃「確かに苦労してますけど」

シャロ「決まりね。できるまで少し待っててね」

綾乃「行っちゃったわ。まあ悪い効能じゃないしいいか」

櫻子「シャロねーちゃんすごいなぁ。ハーブのこと詳しいんだ」

向日葵「ハーブティーのお店で働いてるんですのよ?」

千歳「けどバイトさんやろ? せやったらあの知識量はすごいと思うで」

向日葵「それもそうですわね。どことなく気品も感じられましたし、もしかすると結構なお嬢様なのかもしれませんわね」

綾乃「そういえばシャロさんってお金持ちのお嬢様が通うような学校に行ってるって聞いたわ」

櫻子「じゃあほんとうにお嬢様なんだ! いいなぁ」

りせ(お嬢様ならバイトなんてしないと思うけど)

シャロ「おまたせしました」

櫻子「わ~い、お嬢様が入れたハーブティーだぁ!」

シャロ「お、お嬢様!?」

櫻子「うん。シャロねーちゃんって、世界をまたにかける大会社のしゃちょーれーじょーなんでしょ?」

シャロ「どこからそんな話が出てきたのよ!?」

向日葵「すいません櫻子が言ってることは大げさですけど、どこかのお嬢様なのではないかと」

千歳「そんな雰囲気が出とるんです」

シャロ(どうしよう、また勘違いされてる!)

櫻子「カッコいいなぁお嬢様」

シャロ(うぅ、そんな尊敬した目で見られたら言いだせなくなるじゃない)

シャロ「わ、私なんて大したことないわよ。それより向日葵の方がすごいんじゃない?」

向日葵「私ですか?」

シャロ「そう、言葉遣いとか丁寧だし!」

シャロ(あと胸大きいし。本物のお嬢様のリゼ先輩だって大きいんだから、きっと金持ちは大きいのよ)

向日葵「申し訳ありませんが私の家は一般家庭ですわ」

櫻子「そうですよ。こいつん家私の隣ですし」

シャロ「えっ、でも喋り方とか……」

櫻子「作ってるんですよ。偽お嬢様なんです」

向日葵「作ってなんかいませんわよ! ただ自然とこうなっていただけですわ!」

シャロ「自然とって……」

シャロ(もしかして向日葵って私と同じ?)

シャロ「向日葵、クッキーをサービスしてあげるわ」

向日葵「ありがとうございます。ですが何故いきなり?」

シャロ「いいのよ気にしないで。色々辛いだろうけどがんばって」

向日葵「はぁ、まあがんばります」

櫻子「向日葵だけずるい! 私も食べる!」

向日葵「こら櫻子! 行儀が悪いですわよ!」

綾乃「二人とも騒ぐのは罰金バッキンガムって言ったでしょ!」

千歳「それは言っとらんよ綾乃ちゃん」

りせ(レモンを入れたら色が変わった。おもしろい)

こんな感じに小話を幾つか書いていこうと思います
といってもまったくネタがないので何かリクエストがあれば書いていってください
ちなみに>>1はごちうさはコミックス派なので3巻以降の話(モカのこととか)わかりませんのでご容赦ください

チノ(少し早くついてしまいましたね)

あかり「あっ、チノちゃん。おはよう」

チノ「……ああ、おはようございますあかりさん」

あかり「んん!? 妙な間とああってなにかな?」

チノ「なんでもありません。それより早いですね」

あかり「休み明けだからお花さんのお水を変えてあげなきゃいけないから」

チノ「花の水ですか?」

あかり「そうだよ。お花さんお休みの間ずっと同じ水の中だから、早く変えてあげないとね」

チノ「そのためにわざわざこんなに早く?」

あかり「うん」

チノ「あかりさんは真面目ですね」

あかり「そ、そんなことないよぉ」

チノ「ココアさんもこれくらい真面目になってくれればいいのに」

あかり「チノちゃん、お昼一緒に食べよう?」

チノ「マヤさんとメグさんも一緒でいいですか?」

あかり「いいよ。あかりもちなつちゃん達と一緒にしようと思ってたから」

マヤ「チノ~! 飯食おうぜ~!」

チノ「マヤさん、今日はあかりさん達とも一緒に食べましょう」

マヤ「あかり達と?」

あかり「どうかなマヤちゃん」

マヤ「ちょっと待って。メグ~!」

メグ「なに~?」

あかり「そっかメグちゃんにも聞かないとね」

マヤ「あかりって誰だっけ~?」

あかり「ええっ!? 今普通に話したのに!?」

マヤ「冗談だって」

メグ「おじゃましま~す」

櫻子「いらっしゃ~い!」

向日葵「いらっしゃいませ」

チノ「向日葵さんのあいさつは素晴らしいですね。櫻子さんはもう少し丁寧にした方がいいです」

向日葵「ふっ、当然ですわ」

櫻子「くっそ~!」

マヤ「なに、新しいバイト募集中?」

チノ「いえそういうわけじゃないんですが、つい指導するような気持ちに」

ちなつ「職業病だね」

チノ「そうかもしれません」

櫻子「チノちゃん病気なの!?」

向日葵「この場合の職業病は職業柄ついてしまった、クセなどのことをいう言葉ですわよおばか」

メグ「ココアちゃんに会ったの? 素敵な人だったでしょ~?」

あかり「うん。とっても優しい人だったよぉ」

メグ「お料理も上手なんだよ」

あかり「そうなんだぁ」

チノ「パンしかまともに作れないって言ったじゃないですか」

ちなつ「パン作れるならすごいじゃない」

チノ「それはそうかもしれませんが」

マヤ「リゼはどうだった?」

あかり「キリッとしてて綺麗でカッコよかったよ」

マヤ「あははべた褒めだねぇ。でもあんまり深入りすると危ないよ」

あかり「危ないってなにが?」

マヤ「リゼは裏の仕事もやってるからね。いつもコンバットナイフと銃を持ち歩いてる」

あかり「ええっ!?」

ちなつ「夜とか裏の仕事とか、チノちゃん家って一体何なの!?」

チノ「喫茶店です。リゼさんのはどっちも偽物ですよ……たぶん」

メグ「でもやっぱりチノちゃんうらやましいなぁ。ココアちゃんやリゼさんみたいな人に囲まれてて」

チノ「そうですか? リゼさんには学ぶことも多いですがココアさんにはいつも迷惑ばかりかけられてますよ」

マヤ「シャロの方がいいんだっけ?」

チノ「いいとかじゃなくて、憧れるのはシャロさんだと言ったんです」

櫻子「シャロってフルーツのルパンで働いてる?」

チノ「なんですかその怪盗っぽい果物」

向日葵「フルール・ド・ラパンですわ」

メグ「向日葵ちゃん達も会ったことあるの?」

向日葵「先日生徒会の先輩に連れていってもらったときにお会いしたんですの」

櫻子「すごいよね、どこかの国の貴族なんでしょ?」

チノ「はい?」

向日葵「ですからあなたは大げさなんですわよ。お嬢様だとは思いますけど」

チノ(シャロさんまた勘違いされてる……)

チノ「あの、シャロさんはとても上品な雰囲気を持っていますが別にお金持ちというわけでは」

向日葵「ですがお嬢様学校に通っていらっしゃるんでしょう?」

チノ「特待生で学費が免除されているんですよ」

櫻子「頭いいんだね! お金持ちで頭いいとか最強じゃん!」

チノ「いや、ですからお金持ちでは――」

ちなつ「上品って言ったら青山先生もだよ。私たちにさえ敬語で話してたもんね」

マヤ「それって青ブルマ?」

ちなつ「青ブルマって、もうマヤちゃんも京子先輩も先生に失礼だよ!」

マヤ「だって青ブルマって覗きとかストーカーとか変なことばっかやってるもん」

あかり「す、ストーカー?」

マヤ「うん、シャロのことずっと追いかけてたんだ。私とリゼはそれをストーカーしてて、チノとメグが私たちをストーカーしてて、ココアと千夜が二人をストーカーしてた」

ちなつ「なにそれこわい」

櫻子「つまり大本のシャロねーちゃんをみんなでストーカーしてたってことか。人を引き付ける才能まであるなんて!」

向日葵「どうやったらその結論にたどり着きますの?」

チノ(もう誤解はシャロさん本人に解いてもらいましょう。私には無理そうです)

チノ「シャロさんといえば、千夜さんはどうでした? 甘兎庵に行ったんですよね?」

あかり「行ったけどどうしてそのシャロさんで思い出すの?」

チノ「お二人は幼馴染なんです。お家も隣同士ですし」

ちなつ「へぇ~そうだったんだ」

ちなつ(あのお店の隣って物置みたいな小屋があったけど、まさかね)

あかり「うんとね千夜さんは、なんて言ったっけ。そう、大和撫子!」

櫻子「なんでそこでねーちゃんが出てくんの?」

向日葵「出てきてませんから黙ってなさい」

ちなつ「大和撫子って、そりゃ服装とか和、って感じはしたけど」

マヤ「和じゃなくて魔じゃない? 魔女だしスキル売ってるし」

チノ「魔女じゃありませんし売ってませんよ」

あかり「あとはね~、ふわふわしてたかな?」

メグ「ふわふわ?」

あかり「うん、ふわふわ。おっとりしてたしマイペースだったし、なんかこうふわふわ~って感じで」

メグ「それわかる~」

チノ(お二人もそうだということは黙っておきましょうか)

マヤ「ふわふわって性格のことか。てっきり胸のことかと思ったよ。千夜大きいし」

あかり「む、胸のことなんて言わないよぉ!」

マヤ「でも向日葵の方がデカいよな」

向日葵「じょ、条河さん!」

チノ「私はいくら牛乳寒天食べても大きくならないのに、ずるいです」

向日葵「ず、ずるいと言われましても」

マヤ「半分くらい分けてくれてもいいじゃん!」

櫻子「そうだそうだ!」

向日葵「分けられるものならいくらでも分けますわよ!」

マヤ「マジ!? 私右半分もらった!」

櫻子「じゃあ私は左半分!」

向日葵「ちょ、ちょっと!?」

メグ「かたっぽだけ大きくなったらバランス取るの大変そう」

チノ「そういう問題じゃないと思いますけど」

ちなつ「……しょっぱいね人生って」

あかり「……うん」

ちなつ「それじゃあ私先行ってるね」

あかり「うん。掃除終わったらすぐ行くから」

チノ「私もお店に出ないといけませんし早く終わらせましょう」

メグ「ねえあかりちゃん。私ずっと気になってたんだけど」

あかり「なあに?」

メグ「えっとね、自己紹介のときに言ってた」

マヤ「みんなのハートにどっきゅ~んってやつ? あれめちゃくちゃおもしろかったな」

あかり「も、もう忘れて~!」

メグ「そっちじゃなくてぇ。え~っと、ごらく部? だったっけ」

マヤ「あ~、それ私も気になってた。ごらく部ってなにする部なの?」

あかり「特にこれって決まってるわけじゃなくて、ただ集まっておしゃべりしたり遊んだりしてるだけだよ。好きにだらだらするだけ」

チノ「ココアさんが喜びそうな部活ですね」

マヤ「まずそれ部活なの?」

あかり「正式な部じゃないから。京子ちゃん……あかりの幼馴染が茶道部室のカギを拾ったから、そこを勝手に使ってるんだ」

メグ「大丈夫なの?」

あかり「前に生徒会からだめって言われたけど、許してもらったみたい」

マヤ「生徒会すら太刀打ちできない謎の部活ってことか! カッコいい! 今度見学に行ってもいい?」

メグ「私も~」

あかり「大歓迎だよぉ」

マヤ「やったぁ!」

メグ「楽しみ~」

チノ「……」

あかり「チノちゃんも来る?」

チノ「わ、私はラビットハウスがありますから」

マヤ「休みのときに一緒に行こうよ」

メグ「チノちゃんも一緒の方が楽しいよ」

チノ「で、ですが、私がいないとココアさんがなにをしでかすかわかりませんし」

あかり「ふふっ」

チノ「な、なにがおかしいんですあかりさん?」

あかり「ううん、またココアさんって言ってるって思って」

チノ「なっ!?」

あかり「朝もそうだしさっきもだけど、チノちゃんってココアさんのこと大好きなんだね」

チノ「~~~っ! そ、そんなことありません! 馬鹿なこと言ってないで早く掃除しましょう!」

あかり「ふふっ、は~い」

マヤ「チノがやる気出してるぞ」

メグ「ティッピーの代わりはあかりちゃんに決定だね」

マヤ「チノが眠そうなときは頭に乗ってやってね」

あかり「がんばるよぉ」

チノ「私がつぶれるんでやめてください」

今回はここまでです
近くの書店にはきらら系の雑誌置いてないから困る

結衣(今日はなに作ろうかな)

ココア「あっ、結衣ちゃんだ。お~い!」

結衣「ココアさん、こんにちは」

ココア「こんにちは! どっかにおでかけ?」

結衣「夕飯の買い出しです」

ココア「おつかい? えらいね」

結衣「いえ、私一人暮らしなんで」

ココア「うそ! まだ中学生だよね!?」

結衣「親戚が管理人やってるアパートに住まわせてもらってるんです。ですからおつかいじゃなくて買い出しです」

ココア「私はチノちゃんのおつかいなのに!?」

結衣「いや知りませんよ」

ココア「でも私は親戚じゃない人の家に下宿してるから、そっちでは私の方が上だね!」

結衣「なんでそんなに張り合おうとするんです?」

ココア「年上らしいとこ見せないとお姉ちゃんって呼んでくれないでしょ?」

結衣「見せても呼びません」

ココア「今日はなんにするの?」

結衣「まだ決めてません。適当に安いもの買って作れるもの作ります」

ココア「おおう、いかにも料理上手って感じの台詞だね」

結衣「そうでもないですよ。ココアさんはなに作るんですか?」

ココア「私はシチュー」

結衣「シチューですかいいですね」

ココア「を作ってるチノちゃんを見てる」

結衣「作るんじゃないんですか!?」

ココア「ちゃんと野菜の皮剥いたり、切ったりはするよ!」

結衣「それは料理のうちに入りませんから!」

ココア「だって菌が! 酵母菌使ってないんだもん!」

結衣「シチューには使いませんよ普通!」

ココア「だめなの、私酵母菌使ってない料理はできないの」

結衣「かなり限定的なものしか作れないんですね」

ココア「でも酵母菌使ってればなんでもできるよ! フランスパンでもメロンパンでも焼きうどんパンでも!」

結衣「全部パンじゃないですか。なんか変なの混ざってますし」

ココア「でもほんとうにおいしいんだよ! 食べさせてあげるからラビットハウスに来てよ!」

結衣「行くのはいいですよ。近いうちに行こうと思ってましたし」

ココア「よし、じゃあこっち!」

結衣「えっ、今からですか!?」

ココア「善は急げだよ~」

結衣「買い出しが……」

ココア「大丈夫だよお腹いっぱいになるくらい焼いてあげるから」

結衣「いや私のじゃなくてココアさんの」

ココア「はっ、忘れてた!」

結衣「また今度行きますからそのときにお願いします」

ココア「うぅ~、これじゃ私の方が妹みたいだよ~」

結衣「やっと着いた」

ココア「あはぁ、もふもふ天国がそこにぃ」

結衣「ココアさん!」

ココア「あっ! ご、ごめんね結衣ちゃん」

結衣「はぁ、変な方向に行こうとしたり、野良うさぎに釣られたりでいつもの倍かかりましたよ」

ココア「私はいつもの倍早くつけたよ!」

結衣「……よかったですね」

ココア「さってと、お買いものお買いもの」

結衣「……たしかに悪い人じゃないんだけどなぁ」

ココア「結衣お姉ちゃんはやく~」

結衣「はいはい……ってお姉ちゃん!?」

ココア「あはは、なんかもう結衣ちゃんの方がお姉ちゃんだなって。ほんとはお姉ちゃんって呼んでもらいたいけど」

結衣「年上に呼ばれるのもなんか嫌ですし、呼ぶのもはずかしいですから」

ココア「う~、あかりちゃんみたいにはいかないか~」

ココア「イースト菌はどっこかな」

結衣「シチューのこと忘れてません?」

ココア「わ、忘れてないよ!」

結衣「声上ずってますけど」

ココア「そ、そんなことより、ほら見て。サバが安いよ」

結衣「たしかにお買い得ですね」

ココア「結衣ちゃんってサバパンはいける派?」

結衣「食べたことないですけどいけない派です」

ココア「そっか~、結衣ちゃん魚ダメな子か」

結衣「……」

ココア「ツッこんでよぉ!」

結衣(ボケてるのか素なのか解りづらいからツッコミづらい)

結衣「ともかくこれ買って――」

シャロ「あっ」

結衣(知らない人と手が触れ合ってしまった)

結衣「すいません、どうぞ」

シャロ「えっ、いいの?」

結衣「ええ、安かったから買おうと思っただけですし」

シャロ「ありがとう」

ココア「これが後に恋人同士となる二人の出会いだった」

シャロ「ココア!? なんでいるっていうかなに言ってんの!?」

ココア「シャロちゃんがまた漫画みたいなシチュエーションに遭遇してるからつい」

シャロ「ついってなによ!」

ココア「でもはじめてしたのは私だからね!」

シャロ「誤解を招くような言い方はやめてよ!」

ココア「シャロちゃんもお夕飯の買い出し?」

シャロ「ええ、今日は給料日だから奮発してるのよ」

結衣「特売品のサバでですか?」

シャロ「こ、これはいつものくせで、でも丸ごと一尾なんて給料日でもなきゃ買わないのよ!」

結衣「なんというか、苦労してるんですね」

シャロ「そんな哀れむような目で見ないで~!」

ココア「見た目お嬢様っぽいけどほんとうは貧乏なんだよシャロちゃんって。ご両親が出稼ぎに出なきゃいけないくらいに」

シャロ「ちょっとはオブラートに包みなさいよ!」

結衣「出稼ぎ……ということはシャロさんも一人暮らしですか?」

シャロ「そうだけど、もってことは結衣も?」

結衣「はい」

シャロ「えっと、まだ中学生よね?」

結衣「親は近所にいますから」

ココア「けど一人暮らしって寂しくない?」

結衣「特に寂しくないですよ」

結衣(みんなが泊まりに来ることも多いし。特に京子のやつは半分住んでるレベルで)

ココア「シャロちゃんはワイルドギースがいるから大丈夫だよね」

シャロ「大丈夫じゃないわよ!」

結衣「ワイルドギース?」

ココア「シャロちゃんのペットのうさぎだよ」

シャロ「ペットじゃなくて勝手に住みつかれてるだけよ!」

ココア「家まで立ててあげたくせに」

シャロ「だからあれは私の避難所だってば!」

結衣「うさぎ嫌いなんですか?」

シャロ「嫌いというか苦手というか」

ココア「怖いんだよね」

シャロ「だって噛むんだものしょうがないじゃない!」

結衣(可愛い人だなシャロさん)

ココア「結衣ちゃんはペットとか飼ってないの?」

結衣「あ~、私の家にも勝手に住みついてるようなのが」

シャロ「苦労してるでしょ? うちのはね勝手に庭のハーブ掘り返したりするのよ」

結衣「うちのは勝手に冷蔵庫の中身漁ります」

シャロ「すごいけどひどい!」

ココア「冷蔵庫開けられるなんておりこうさんだね」

シャロ「それにごはんは各自調達って言ってるのに取りに来るし」

結衣「うちのもです。あれが食べたい、これが食べたいって言うだけで私に作らせるんです」

シャロ「喋るの!?」

ココア「まさかうさぎが喋るわけないよ~、結衣ちゃんってば冗談言っちゃって」

結衣(私はうさぎだとは一言も言ってませんけどね)

シャロ「とにかくあいつが来てから苦労が絶えないわ」

結衣「ほんとうにお疲れみたいですね」

ココア「元気出してシャロちゃんサバパン焼いてあげるから」

シャロ「いらないわよ!」

結衣「でもすごいですね。そんなに疲れながらもちゃんと働いて、買い物も料理もして、大人だなぁって思います」

シャロ「そういう結衣の方が大人じゃない。その年で一人暮らししてるし、落ち着いてるし」

結衣「そんなことないですよ。きっとシャロさんみたいなしっかりした人がお姉さんだったら、甘えちゃうと思います」

シャロ「私も同じよ。結衣みたいな子が妹だったら、それに甘えちゃうわ。ほんとうにどうしようもなく疲れちゃったら、甘えさせてね」

結衣「……ほんとうにどうしようもなくなったときだけですよ」

シャロ「ありがとう、結衣」ナデナデ

結衣「あ、頭なでないでくださいっ!」

ココア「シャロちゃんずるい! 私も結衣ちゃんもふもふする!」ダキッ

結衣「こ、ココアさん!? 離してください!」

ココア「んふふ~、お姉ちゃんって呼んでくれなきゃ離さない~」

結衣「なっ!」

ココア「んまあ、結衣ちゃん結構あるんだね」

結衣「どこさわってるんですか!?」

ココア「あのねぇココア。そんなことばっかりやってるから、誰もお姉ちゃんって呼んでくれないのよ?」

ココア「!?」

結衣「か、解放された」

シャロ「お姉ちゃんって呼ばれたかったら、お姉ちゃんらしい行動をとりなさい」

ココア「お、お姉ちゃんらしい行動って?」

シャロ「そうねまずは」

ココア「先ずは?」

シャロ「おつかいをこなすことからはじめなさい」

結衣(また忘れてたって顔してる)

シャロ「あ~疲れた。ココアと一緒にいるといつもこうよ」

結衣「そうですか? なんだか元気になったように見えますよ」

シャロ「そ、そんなことないわよ」

結衣(これはシャロさんが私のお姉ちゃんになる日はとうぶん来なさそうだな)

シャロ「結衣はどうなの疲れないの?」

結衣「ふり回されるのにはなれてますんで」

シャロ「あなたも苦労してるのね」

結衣「まあそれなりに。それと」

シャロ「それと」

結衣「チノって子も苦労してるんだろうなって」

シャロ「そうね。ほんと手間のかかるペット達だわ」

今回はここまでです。

リゼ(モデルやるわけでもないのにこんな可愛い服……)

あかり「リゼさん」

リゼ「うわっ! あかり!?」

リゼ(み、見られた!?)

ちなつ「この人が噂のリゼさんか。美人さんだね」

京子「私も高校生になったらこんなふうになるのか」

結衣「なにを持ってそう考えた」

リゼ「あかりの友達か?」

あかり「はい、一緒にごらく部やってます」

リゼ「ごらく部ってなんだ?」

京子「世に数多あるごらくを研究し、果たしてごらくは人間にとって必要であるのかという疑問を解き明かしていく部活です」

結衣「嘘をつくな嘘を」

ちなつ「部活というのは名ばかりで、ただ放課後に集まって一緒に遊んでるだけですよ」

あかり「でもちゃんと部室もあるんですよぉ」

結衣「不法占拠だけどね」

リゼ(なんかいいなそういうの)

リゼ「ああ、だけどあんまりいい服が見つからなくて」

あかり「リゼさんならなんでも似合いますよぉ」

リゼ「いや、例えばこんな服似合わないだろ」

ちなつ「さっき持ってた服ですね」

結衣「そんなことないと思いますけど」

リゼ「そ、そうか?

京子「あかりの言うとおりなんでも似合うよ。メイド服とかナース服とかミラクるんとか!」

結衣「コスプレじゃねぇか!」

リゼ「こ、コスプレ」

京子「実は自作した衣装を着てくれる人を探してて、リゼさんスタイルいいしさコスプレってくれたら嬉しいな」

ちなつ「なんですかコスプレるって」

結衣「いきなり失礼だろ。すいませんリゼさん」

リゼ「いや、まあ、少しだけなら付き合ってやってもいい」

京子「いいの!? やったぁ!」

ちなつ「ほんとうにいいんですか?」

リゼ「少しだけならな」

リゼ(ほんとうは興味津津だなんて言えない)

京子「千夜っちゃん!」

千夜「あら京子ちゃん、それにみんなも。こんにちは」

リゼ「なぜ甘兎庵に?」

千夜「まあリゼちゃんもいたのね。今日はなにかご用かしら?」

京子「奥貸してくれる? リゼさんがコスプレしたいんだって」

リゼ「し、したいなんて言ってない!」

千夜「そうなの。いいわよ、好きに使ってちょうだい」

京子「ありがと~」

リゼ「ま、待て! 衣装はどうするんだ?」

京子「ここにあるから大丈夫」

結衣「なんでだよ」

京子「いや~、服ってかさばるんだよね。特にコスプレ衣装は」

ちなつ「もしかして部屋に入りきらないからここに置かせてもらってるんですか?」

京子「んまあ、そうだね」

千夜「京子ちゃん色々な服作ってくれるから、私も色々なイベントが開催できて助かってるわ」

あかり「千夜さんも使ってるんですね」

リゼ(おしとやかさを学びに行ったとき、やけに色んな服があると思ってたらそういうことか)

京子「さあ、メイド服にナース服に巫女服にセーラー服に、なんでもござれだよ!」

ちなつ「うわっ、すごい量」

結衣「よくこんなに作れたな」

京子「私の創作意欲はとどまることを知らんからな」

あかり「けどどうして自分で着れるサイズで作らなかったの?」

京子「はじめから千夜っちゃんのために作ったのもあるし、主人公って高校生くらいの年のことが多いじゃん?」

リゼ「そうなのか」

京子「そうなのだ。ほらほら、どうするリゼさん?」

リゼ「そうだな……」

リゼ(どれも可愛いから着てみたい! けど、これが着たいって明言するのははずかしいな)

あかり「リゼさん目キラキラしてますね」

リゼ「だ、誰が目を輝かせてなんか!」

リゼ(いかん、このままじゃ私の威厳が)

リゼ「お前達が似合いそうなのを見繕ってくれないか?」

あかり「あかり達がですか?」

リゼ「ああ。私はこういうのには疎いからな」

京子「リゼさんを着せかえて遊んでいいってことだね」

リゼ「違う!」

結衣「私もあんまりこういうのは得意じゃないんだけど」

ちなつ(結衣先輩にセンスをアピールするチャンスだわ!)

あかり「リゼさんに似合いそうなのは~」

京子「ミラクるんとライバるんどっちがいいかなぁ。いや、ここはあえて覚醒ミラクるんという手も」

リゼ(こうやってあかり達に選ばせれば、私が自分で着たがったことにならない。我ながらいい作戦だ)

京子「最初は無難にこれでいくか」

リゼ「どれどれ、バニーガール!? なにが無難だ露出度高すぎだろ!」

京子「え~、いや?」

リゼ「……いやに決まってるだろ!」

ちなつ(ちょっと迷ってた)

ちなつ「これとかどうでしょう」

リゼ「ドイツの軍服か。結構改造されてるみたいだが」

結衣「どこのかわかるんですね」

リゼ「親父が軍人だからな」

京子「おっ、いいね。マントと帽子と眼帯も付けよう」

リゼ「なぜ眼帯?」

京子「いやぁ、なんかそんなイメージがあるから」

リゼ「親父とペアルックになるからいやなんだが」

結衣「眼帯はペアルックとは呼ばないんじゃ」

京子「んじゃあ眼帯以外はオッケー?」

リゼ「うん、いいんじゃないかな」

京子「それならお待ちかねのお着替えタイムだよ!」

リゼ「誰も待ちかねてなんかない!」

リゼ「Stillgestanden!」

あかり「わっ、びっくりしたぁ」

ちなつ「しゅてぃ?」

リゼ「シュティールゲシュタンデン。日本語で言えば気をつけだ」

京子「千夜っちゃんはこういうのあんまり似合わなかったけど、リゼさんは様になるね」

結衣「本物の軍人さんみたいです」

リゼ「あまり嬉しくない褒め言葉だ」

千夜「そう? とってもお似合いだと思うけれど」

あかり「あっ、千夜さん」

リゼ「軍服が似合うと言われてもな」

京子「常勝無敗の天才指揮官って感じが出ててカッコいいんだけどなぁ」

リゼ「て、天才指揮官……」

結衣(あっ、喜んでる)

千夜「差し入れのつぶあんとねりあんの非対称性よ」

ちなつ「なんか哲学的な名前をした普通の和菓子が出てきた」

リゼ「これに関しては私が余計なことを言った責任もあるが」

結衣「でもおいしいです」

京子「千夜っちゃんはさすがだなぁ。こういう名前よくぽんぽん思いつくよ。ネーミングセンス分けてくれ!」

千夜「ふふふ、京子ちゃんだって漫画とかこういう服とかすぐ作れるじゃない。うらやましいわ」

京子「ならば千夜っちゃん!」

千夜「ええ京子ちゃん!」

千夜京子「二人で世界を目指しましょう(そう)!」

あかり「わぁ~、二人ともがんばってください!」

結衣「暑苦しい」

リゼ「京子の服と漫画はともかく、千夜のネーミングセンスは世界に輸出しない方がいいな」

京子「さって、休憩もすんだし続きいくよ」

あかり「はいリゼさん」

リゼ「今度はあかりチョイスか。犬の着ぐるみパジャマ!?」

あかり「リゼさんさっき可愛い服見てたから、もしかして可愛いのが好きなのかなって思って」

リゼ「いや、けどこれは」

あかり「可愛いの似合わないって考えてるんですよね? 大丈夫ですよぉ、似合うとか似合わないとか関係ないです。好きな服を好きなように着たらいいんです」

結衣(まあ今着る服押しつけてるんだけどね)

あかり「あっ、でもリゼさんに似合うと思って渡したんですけどね!」

リゼ「あかり……そうだな。よし、これくらい着こなしてみせる!」

ちなつ(やっぱり好きなんだそういう服)

リゼ「ど、どうだ?」

あかり「可愛い~!」

ちなつ「うん、とっても似合ってます。ですからもじもじしてないでいいんですよ?」

リゼ「そ、そうは言ってもだな」

京子「お手」

リゼ「おお、お手!?」

結衣「おいこら京子」

京子「いいじゃんせっかく犬なんだし」

リゼ「え、演劇部の助っ人で犬の役をやることもあるだろう、ここは練習だと思って」

あかり(演劇? う~ん、学芸会と違ってわんわんの役やることってなさそうだけど)

リゼ「わ、わん……」

京子「おお、芸ができるなんてえらいなリゼは!」

リゼ「……やっぱり無理だ~!」

結衣「ですよね~」

リゼ「くっ、ワイルドなキャンプよりよっぽど消耗してるな。なんてキツい任務なんだ」

結衣「わ、ワイルドなキャンプ?」

京子「お次はこれ!」

リゼ「ん? なんだこれなにかのキャラの服か?」

京子「魔女っ子ミラクるん!」

リゼ「ミラク……なんだそれ?」

京子「ええっ!? ミラクるん知らないの!? それは人生の8割は損してるよ!」

結衣「ずいぶんとミラクるんが占めるウェイトが大きい人生だな」

リゼ「アニメか?」

京子「原作は漫画なんだよ、はいこれ」

結衣「持ち歩いてんのかよ!」

リゼ「ちなつ?」

ちなつ「他人の空似です。もふもふの形が違うじゃないですか」

リゼ「わかるかそんなとこ!」

リゼ「着替えたぞ」

京子「ふ~む、リゼさん胸あるからライバるんの方がよかったかな? けどこれはこれで」

リゼ「まじまじと胸を見るな!」

あかり「わぁっ、じゅ、銃!?」

京子「ミラクるんは銃なんか使わないよ! こっちのステッキ!」

リゼ「このステッキでどうやって戦うんだ?」

ちなつ「ハンマーに持ち替えて叩くんですよ。ミラクるん・ドンキって言って」

リゼ「鈍器って、魔法少女なんだろ?」

結衣「最近の魔法少女は過激なんですよ。ストーリーもあれですし」

京子「あれとか言うな! 可愛いだろ、このステッキを振って、愛と正義の魔女っ子ミラクるん、華麗に登場! きゃるる~ん!」

リゼ「それが決め台詞なのか」

京子「はいリゼさんもやって」

リゼ「はぁ!?」

リゼ「なんでそんなことっ!」

京子「コスプレしてるんだからさ。犬よりも魔女っ子の方が演じる機会も多いだろうし」

結衣「どっちもねぇよ」

リゼ「しょ、しょうがない、一度だけだからな」

京子「わ~い」

リゼ「こほん。あ、愛と正義の魔女っ子ミラクるん、華麗に登場! きゃるる――」

シャロチノココア「……」

結衣「あっ、シャロさん」

あかり「チノちゃんとココアさんも」

リゼ「なぜここにいる!?」

シャロ「千夜から、リゼ先輩がおもしろいことしてるってメールが」

リゼ「千夜ぁ~!」

千夜「ごめんなさい、内緒にしてほしいって言われなかったから」

京子「さすが千夜っちゃん、盛り上げ上手!」

千夜「それほどでも~」

リゼ「こいつら……!」

結衣「すいません、すいません」

ココア「リゼちゃんってそういう趣味があったんだね」

チノ「大丈夫です。魔女っ子ミラクるんなら私も見てますから」

シャロ「どんな格好でも素敵です!」

リゼ「違う、勘違いするな! これはこいつらにつきあってやってただけだ!」

千夜「時々確認してたけど結構楽しそうだったわよ。ねぇ?」

京子「うん、めっちゃ楽しんでた」

ちなつ「はずかしがってましたけど楽しそうにも見えましたよ」

結衣「ええ、笑顔でしたし」

リゼ「ば、馬鹿な!」

京子「でも嫌々付き合ってくれてたって言うなら、お詫びとお礼に今日着た服の中で好きなのプレゼントするよ」

リゼ「着たくなかったと言ってるのになんでそれがお礼になるんだ!」

ココア「でも目線が泳いでるよ?」

チノ「あの犬のパジャマを見てます」

リゼ「うっ」

リゼ「ちょうどパジャマを汚してしまったからだからな! ほしかったわけじゃないぞ!」

京子「はいはい、わかってますって」

あかり「えへへ、お揃いですね」

リゼ「なにがだ?」

あかり「あかりもそのパジャマ持ってるんです。京子ちゃんがクレーンゲームで取ってくれたんですよ」

リゼ「そ、そうか、あかりとお揃いか」

チノ「なんだか姉妹みたいですね」

ココアシャロ「っ!?」

リゼ「あかりが妹か。まあお前ならちょこまかしないだろうし、妹にしても――」

ココア「だめだよ! あかりちゃんは私の妹なんだから!」

シャロ「そそ、そうですよ! ココアの妹ですから!」

あかり「いや、あかりお姉ちゃんいるんですけど」

千夜「京子ちゃん達のおかげでまたにぎやかになってうれしいわ」

京子「いつでもにぎやかしにくるよ!」

結衣「騒がせにくるの間違いだろ」

チノ「それにしても」

ちなつ「どうしたのチノちゃん?」

チノ「リゼさん、必死にごまかそうとしてますけど、うちの制服もたいがいコスプレみたいなんですよね」

ちなつ「ああ、そっか最初から隠せてなかったんだね」

チノ「はい。他のお店の制服が似合ってたって言われてたときも、まんざらでもない顔をしてました」

ちなつ「ふふっ、キリっとしててカッコいい人だと思ってたけど、案外可愛い人なんだねリゼさん」

チノ「ええ、仲良くしてあげてください」

京子「うん、仲良くするよ。まだまだ着てもらいたい服いっぱいあるからね」

チノ「リゼさんは着せ替え人形じゃありません」

今回はここまでです

花子「ふっ、ううう、いい加減この自販機移動させてほしいし!」

チノ(あの子自販機のボタンに手が届かないんでしょうか?)

花子「お団子のお姉さんがまた都合よく通りがかってくれたりは、しないし」

チノ(知らない子ですし話しかけづらいんですが困ってる人を見過ごすわけにはいきません)

チノ「あの」

花子「わっ!」

花子(また人に見られてたし)

チノ「ボタンに手が届かないんですか?」

花子「そ、そうです」

花子(お団子のお姉さんじゃなかったけど、このお姉さんは頭の上におっきなお団子乗せてるし!)

チノ「たしかにこれは高いですね。なぜわざわざ段の上に置いたんでしょう?」

花子(こっちのお団子はもふもふしてそう。触ってみたいし)

チノ「どれがほしいんですか?」

花子「……あっ! 一番上のコーヒーです」

チノ「わかりました。私が代わりに押しますからお金を入れてください」

花子「すいません」

チノ「いいんですよ。一番上のコーヒー……」

花子(お姉さんも届いてないし!?)

チノ「ううう……」

花子「む、無理しなくていいですよ」

チノ「無理なんてしてないです」

花子(いや、足プルプルしてるし!)

ティッピー(しょうがないのう)ピッ

チノ「あっ」

花子(と、とんだし!?)

チノ「ティッピーが重くて背が伸ばせませんでした。本当なら届いてました」

ティッピー「わしはそこまで重くないわ!」

花子(今度は喋ったし!?)

チノ「はっ! 今のは私の腹話術です」

花子「すごいですけどなぜいきなり?」

チノ「気にしないでください。はい、コーヒーですよ……」

チノ(よく見たらブラック!? 私はまだ砂糖とミルクがいるのに!?)

花子「どうしたんですか?」

チノ「な、なんでもないです」

チノ(喫茶店の娘として飲めるようになったほうがいいんでしょうか)

チノ(あそこのベンチに座って少し考えてみよう)

チノ「それでは私はあそこで休みますので」

花子「花子も休もうと思ってたところですし」

チノ「そうですか、では一緒に座りますか?」

花子「はい」

チノ(小さな女の子とはいえこんなふうに気軽に話して、一緒に休憩をとるなんて少し前の私なら絶対出来なかったことです)

チノ(やっぱりこれはココアさんの影響?)

花子(あの白いお団子一体なんなんだし? 見たことない生き物だし)

チノ(いけない。ココアさんのことではなくコーヒーのことを考えるんだった)

チノ(ブラック、憧れますけど苦いのは苦手です)

花子(触ってみたらわかるかな? 気持ち良さそうだし)

チノ「あの、花子さん、でいいんですか?」

花子「ああ、はい。大室花子です」

花子(年下の花子にさんづけ? 礼儀正しい人だし)

チノ「大室? もしかして櫻子という名前のお姉さんがいませんか?」

花子「櫻子はお姉ちゃんだし。櫻子の知り合いなんですか?」

チノ「ええ、クラスメートです」

チノ(お姉さんを呼び捨て? 櫻子さん家で普段どんな扱いを受けてるんでしょう?)

花子「櫻子がいつも迷惑ばかりかけてすいませんし」

チノ「いえ私はそれほどでも。でもどうして迷惑かけてばかりだなんてわかるんです?」

花子「ひま姉を見てればいやでもわかるし」

チノ「向日葵さんのことですね。それは確かに納得せざるをえません」

花子「それに花子も撫子お姉ちゃんもいつも迷惑かけられてるし」

チノ「もう一人お姉さんがいらっしゃるんですね」

花子「そうです。そっちは櫻子と違って落ち着いてて優秀で憧れのお姉ちゃんです」

チノ(なるほど櫻子さんはそのお姉さんと比べられてるわけですね)

チノ「素敵なお姉さんなんですね。ですが櫻子さんもお姉さんなのには変わりないんですから、呼び捨てにするのは感心しませんよ」

花子「お姉ちゃんらしくしたらお姉ちゃんって呼ぶし」

チノ(これ以上ないくらい正論だ! ココアさんにも聞かせてあげたい!)

チノ「それでもです。櫻子さんだってお姉さんらしいところはあるんでしょう?」

花子「……たまに、本当にたま~にだけだし」

チノ(よかった、櫻子さんのこと嫌いなわけじゃないんですね)

チノ「もしかしてそのコーヒーはお姉さんのですか?」

花子「はい、撫子お姉ちゃんに頼まれました」

チノ(花子さんが自分で飲むわけじゃないんだ。安心しました)

花子「届かないから自分で買ってきてほしいって言ったのに。彼女が来てるからって花子に行かせて」

チノ「そうでしたか」

チノ(ん、彼女? 聞き間違いですかね?)

チノ「それなら今度からうちに来ることをおすすめしたらいいですよ」

花子「どういう意味です?」

チノ「私のうちはコーヒーが自慢の喫茶店なんです。缶コーヒーよりはお金がかかりますけど、おいしいコーヒーをお出ししますよ」

花子「喫茶店! すごい!」

チノ「ラビットハウスっていう名前です。花子さんも来てくださいね」

花子「あ~、花子はその、コーヒーは苦手で」

チノ「ミルクと砂糖をたくさん入れれば大丈夫ですよ。それにコーヒーが飲めなくてもパンケーキとかありますし」

花子「じゃあその、いつか行かせてもらいますし」

チノ「お待ちしてます」

花子(やっぱりあのお団子気になるし)ジー

チノ「ティッピーが気になりますか?」

花子「ティッピーって言うんですか? それは名前ですか、それとも種族名?」

チノ「種族名って。ティッピーはこの子の名前です。種族名はうさぎですよ」

花子「うさぎ!? それが!?」

チノ「ええ、うさぎです。アンゴラうさぎっていう品種です」

花子「へぇ~、そんなうさぎもいるんだ」

チノ「触ってみますか?」

ティッピー「……!?」

花子「いいんですか?」

チノ「構いませんよ」

花子「それじゃあ少しだけ触らせてもらうし」

花子「ありがとうございますし! もふもふで気持ちよかったし!」

チノ「どういたしまして。ティッピーが暴れてすいませんでした」

花子「ううん、腹話術面白かったし」

チノ「……楽しんでいただけたなら嬉しいです。っと、私はそろそろお店に戻らなければいけません」

花子「残念だし。もっとお話ししてたかったし」

チノ「でしたらぜひ、ラビットハウスに来てください。私以外にもお話する相手がいますから」

花子「わかりましたし! 絶対行くし!」

チノ「それではさようなら花子さん」

花子「待ってほしいし。まだお名前聞いてないし」

チノ「そういえば。私の名前はチノです」

花子「チノ、また花子とお話してくださいし、チノお姉ちゃん!」

チノ「……!」

花子(チノお姉ちゃんはお団子のお姉さんよりも落ち着いてて、しっかりしてたし)

花子(櫻子と同い年とは思えないし。花子もあんなふうになれるようがんばるし)

花子「ラビットハウス、いつ行こうかなぁ」



チノ「チノお姉ちゃん、ですか」

チノ(チェスの賭けでココアさんにお姉ちゃんと呼んでもらったことはありますが、それとはなにか違う感じです)

チノ(なんだかとてもうれしい。ココアさんの気持ちが少しわかりました)

チノ「ふふっ」

チノ(花子さんがお店に来る日が待ち遠しくなりました)



ココア「チノちゃ~ん、お姉ちゃんって呼んでよ~」

チノ「いやです。お姉ちゃんらしいことをしたら考えてもいいです」

チノ(とはいえ、お姉ちゃんの安売りはしませんけどね)

今回はここまでです。
誕生日なのに代名詞のみの出番でごめんねあかり

あかり「うぇ……」

リゼ「今日もあかりのブラックチャレンジは失敗みたいだな」

あかり「やっぱり苦いですよぉ」

リゼ「チノはあかりに出すときはできるだけ飲みやすいブレンドにしてるんだぞ?」

あかり「ほんとなのチノちゃん?」

チノ「ブレンドの研究にもなりますから……自分がブラックを飲めるようになるための」

リゼ「お前達にはまだブラックは早いってことだ。ほら、砂糖とミルクは何杯だ?」

あかり「たくさん入れてください」

リゼ「了解」

あかり「ぶっひぇ~、やっぱりラビットハウスのコーヒーはおいしいよぉ」

チノ「そう言っていただけるとうれしいです」

リゼ「だったら最初から素直に甘くして飲めばいいだろう。大人にだってブラックを飲めない奴はいるぞ」

あかり「だって結衣ちゃんは飲めるから羨ましいんです。京子ちゃんの同人誌のお手伝いで徹夜するときとか、飲んで眠気覚ましてますし」

リゼ「眠気覚ましになぁ」

チノ「眠気覚ましに効果があるのはコーヒーだけじゃありませんよ」

リゼ「ツボ押しなんてどうだ。百会といって頭頂部にあってそこをこう!」

あかり「いたたたた!」

リゼ「どうだ目が覚めただろ」

あかり「いや、元々眠くなかったですし」

チノ「それならあかりさんじゃなくてココアさんにしてください」

ココア「妹が十二人もできるなんて夢みたい……」ムニャムニャ

リゼ「夢だから起きろ」

ココア「ふぎゃっ!?」

あかり「そういえばリゼさんって天々座さんっていうんですね」

リゼ「ああ、でも呼びにくいだろ苗字」

あかり「そんなことないですよぉ、天々座さん、天々座さん、てでぃったぁ!」

リゼ「だから言っただろ。リゼでいいよ」

あかり「ひゃいそうします」

ココア「う~ん、テディかぁ、なかなかいいね」

リゼ「なんの話だ?」

ココア「リゼちゃんのあだ名」

リゼ「あ、あだ名!?」

ココア「うん。あだ名付け合うなんて仲良しさんっぽくない?」

あかり「わかります! あかりそういうの憧れてるんですよぉ!」

ココア「でしょ!」

あかり「みんなはあだ名つけられたことあります?」

チノ「私は特には」

ココア「はいはい、この前京子ちゃんにココねえって呼ばれたよ!」

リゼ「わ、私はコールサインなら」

あかり「コールサインって?」

チノ「軍人さんにつけられるコードネームみたいなものです」

ココア「知ってるよ、なんとか1とかなんとか2とかいうやつだよね」

あかり「それはあだ名とはちょっと違うと思います」

リゼ「わかってるから!」

ココア「でもテディはちゃんとしたあだ名だよね」

あかり「くまさんみたいで可愛いです!」

リゼ「いや、私に可愛いあだ名なんて」

ココア「くまって可愛いかな?」

チノ「テディベアは可愛いと思います。あと子熊なら」

あかり「テディだめですか?」

ココア「一生懸命考えたんだよテディ!」

チノ「私は素敵だと思いますよテディ」

リゼ「すでに使ってるじゃないか! や、やめろ! はずかしいから!」

ココア「もう、テディったらはずかしがりなんだから」

リゼ「やめろってば!」

ココア「じゃあチノちゃんにあだ名つけてあげよう」

チノ「えっ、いらないです」

ココア「そう言わずに。そうだな~、香風だからぷ~ちゃん!」

リゼ「なんか気の抜けるあだ名だな」

チノ「仕事してないみたいでなんかいやです」

ココア「ふわふわした感じがチノちゃんに合ってると思うのに。ねぇあかりちゃん?」

あかり「はい、くまさんみたいで可愛いです」

チノ「あそこに喧嘩を売ると大変なことになりますのでやめてください」

リゼ(あかりはくま好きなんだろうか?)

あかり「ココアさんにはどんなあだ名が合うかなぁ」

ココア「お姉ちゃん!」

チノ「却下です」

ココア「……」ガクッ

あかり「ええっと、今までの流れからいくと苗字からですね」

チノ「保登ですから……」

リゼ「ホトちゃん?」

ココア「やだ~! 芸人の名前みたいじゃない~!」

リゼ「普段のココアは芸人みたいだけどな」

チノ「はい。けどミヤサコさんがいないのでやめておきましょうか」

ココア「私の印象って……」

あかり「げ、元気出してくださいココアさん」

リゼ「千夜はどうだ?」

チノ「千夜さんは宇治松なので」

あかり「まっちゃん?」

ココア「なんていうかまた芸人みたいだね」

チノ「シュールな映画を撮りそうです」

リゼ「確かにあいつが甘兎庵の歴史を撮ったらすごいシュールなものができそうだが」

あかり「京子ちゃんは千夜っちゃんって呼んでましたよ」

チノ「無難ですね」

リゼ「あまり奇をてらいすぎるのもどうかと思うしな」

ココア「え~、せっかくならすごい奇抜な名前がいいよ! そうだな~、宇治松千夜でまつちや……マッチ!」

リゼ「マッチか。どっちかというシャロの印象だ」

ココア「う~ん、むずかしい」

リゼ「じゃあシャロはどうする?」

ココア「桐間紗路で、ましゃろ……マロ!」

チノ「お金持ちみたいな名前になりましたね」

リゼ「また誤解を招きかねないからやめようか」

ココア「そんなぁ、全部否定されちゃった」

あかり「あ、あかりは全部よかったと思いますよ」

ココア「ありがとうあかりちゃん! あかりちゃんのあだ名はマイシスターでいいよね!」

あかり「いや、あの、それはどうかと」

チノ「私もマイシスターって呼ぶんですか?」

リゼ「そもそも妹を呼ぶのに我が妹っておかしいだろ」

ココア「じゃあココアの妹ちゃんで!」

あかり「むにゅ、ココアさん頬ずりやめてくださいしゃべりにくいです」

チノ「どうでもいいですけど、ココアさんは自分が姉と呼ばれたいのであって、誰かを妹と呼びたいわけじゃないんでは」

ココア「はっ!」

リゼ「なにを重大なことに気づいたみたいな顔してるんだ」

チノ「まったく……」

ココア「ありのままが一番ってことなのかもしれないね」

チノ「無理につける必要はないです」

リゼ「そうだな」

あかり「結局こっちでもそういう結論になっちゃうかぁ」

ココア「結論出たからお昼寝するね~」

リゼ「働け!」

ココア「ふぎゃ! ツボ押しはやめて~!」

チノ「ココアさんこそぷ~さんのあだ名がふさわしいです」

あかり「そうかもね」

今日はここまでです

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