兄「不良の妹をぶったらデレた」 (71)
ガチャン
不良妹「ケッ……あのセンコーまじだりーわ」スタスタ
兄「むっ、なんだ妹!学校に言ったんじゃないのか?」
不良妹「あ?テメーには関係ねーだろが」
兄「か、関係ないってお前なぁ……!」
不良妹「……」ゴソゴソ
兄「おい、今日という今日は徹底的に……」
不良妹「あーうぜー……学費払ってるからって親ヅラしてんじゃねーよ」トントン
兄「おっ、お前には感謝の気持ちというものが……」
不良妹「はぁ……」カチッ
兄「」ブチッ
兄「タバコなんて吸うなぁ~~~っ!」バシンッ
妹「えっ……」
兄「あっ」
不良妹「……」
兄「あ……」
不良妹「……」プルプル
兄(や、ヤバいぞ!怒りで震えてる!不良のこいつにキレられたら何されるか……!)
不良妹「……っく、ひっく……」ウルウル
兄「ごっ、ごめっ……え?」
不良妹「ひっ……なっ、何もっ……殴らっ……ひっく……なくてもっ……」ウルウル
不良妹「ひ、ひぃぃん……ひぃん……」グスグス
兄(や、ヤバいぞ!普段あんなに偉そうな妹が手で顔を覆って泣き出した!)
兄(これはキレるより厄介……ん?)
兄(待てよ……そもそも本当にこれ泣いてんのか?)
兄(こいつのことだ。俺が下手に出て謝った瞬間、『嘘泣きに決まってんだろバーカ!』とか……)
兄(あ……あぶねぇー!もう少しで乗せられる所だったぜ!その手に誰が乗るか!)
兄「いーや、今日という今日は許さねぇ!この家から出て行ってもらう!」
妹「!」
兄(おっ!動きが固まった!クク、騙せると思ったらアテが外れたなぁ!よーし、ノってきた!)
兄「さぁ、今すぐ荷物を固めるんだ!出て行く準備をするんだよ……!」
不良妹「……ひっ、ひっ……あ、あにきぃ……」
兄(え?目と鼻が真っ赤)
不良妹「……」ヨロヨロ ギュッ
兄(あれ?腕にしがみついてきた)
不良妹「す……捨てないでぇ……ごめん、ごめんなさい……あ、謝るっ……からぁ……」
不良妹「だっ……だからっ……私を捨てないでぇ!」
不良妹「わーん!!うわーん!!」ギュウウ
兄「ああああ大丈夫大丈夫だよ妹を捨てれる訳無いだろ嘘だよウソウソ」
不良妹「ひっく……ひっく……ほ、ほんとぉ……?」
兄(な、涙目で上目遣いだとぉ!?)
兄「ああっ、当然だよ!お前みたいな可愛い妹、放っておけねーよ!」
不良妹「っ……あ、あっ……よ、良かったぁ……ひっく……♪」
不良妹「……」グスッ
兄「そろそろ落ち着いたか?」ポンポン
不良妹「……まだだよ、ばーか」
兄「なっ……」ピタッ
不良妹「ひっく……もうちょっと強くぎゅっとして、頭ぽんぽんしねーと泣き止まないんだからな……」
兄「わ、わかったよ……」
不良妹「ひっく……な、なぁ、兄貴……さっき言ったこと、嘘じゃないよな……?」
兄「そりゃ当然だよ……妹を捨てるわけない」
不良妹「違うよっ!」
兄「え?」
不良妹「そ、そうじゃなくてぇ……わ、私の事、か、可愛い妹って言ったよな?」
兄「お、おう……言ったよ」
不良妹「……」
不良妹「えへへぇ♪」ギューッ
兄「……?」
兄「ま、よく分かんねーけどさ」ポンポン
兄「俺も学校サボって遊びに行ったことくらいあるし」ポンポン
兄「でも、今お前のそばにいる肉親って俺しか居ないわけだし」ナデナデ
不良妹「!」
兄「だから、辛いこと、しんどいことがあったら、なんでも俺に言えよ……な?」ナデナデ
不良妹「んぅ……わ、わかったよ、兄貴ぃ……」ギュッ
兄「ま、今日はズル休みって事で、家でゆっくりしようぜ」
不良妹「うんっ♪」
兄「さーて、今日の天気は―っと」
不良妹「朝見た時は晴れだって言ってたぞー」キュッ
兄「あの、妹さん?」
不良妹「ん?」
兄「あの、いつまで俺の腕抱いてるつもりなんすかね……?」
不良妹「……」
不良妹「ずーっと♪」ギュッ
兄(結局妹に腕を抱かれながら一日中テレビを見てしまった)
不良妹「スー……スー……」
兄「おい、おい、妹」ユサユサ
不良妹「んぅ……あにき?」
兄「もうこんな時間だしさ、そろそろ寝よ―ぜ」
不良妹「ん……うん……」
―兄部屋
兄「ふぁ……」ゴロン
兄(まさか妹があんなにくっついてくるとはな……)
兄(ま、たまには人に甘えたい時もあるってことか……)
コンコン
兄「ん、妹か?入ってこいよー」
不良妹「っ……っく……ぐすっ……っ……」
兄「え、ええ!?なんでまた泣いてんだよっ!!」
不良妹「ひっく……だ……ってぇ……」
不良妹「もっ、もし本当にっ……兄貴が私を捨てっ……ようとしてたらっ……」
不良妹「わ、わたしっ……どうしてたっ……だろうってっ……考えてっ……ひっく……」
不良妹「朝起きたらっ……兄貴が居なかったらどうしようってっ……考えたら、涙がっ……」
兄「あああもう本当にあんなこと言ってごめんごめんって妹こっちおいで」
不良妹「ひっく……う、んっ……」ヨロヨロ
不良妹「んぅ……兄貴っ……」ギュウッ
兄(ま、落ち着くまではしゃーねーよな……)ナデナデ
不良妹「よいしょっ……よいしょっ……兄貴、布団踏んでるから腰上げてっ……」グイグイ
兄「えっ?」グッ
不良妹「はう……んじゃ、おやすみ……」
兄「ちょっと待ってくれ妹、布団に入るってまさかお前ここで寝る気か」
不良妹「え……だ、ダメ……?」
兄「い、いや、別にいいけど……」
不良妹「えへへ……ね、兄貴、私が寝るまで頭撫でて?」
兄「はぁ……んじゃ、ここで寝るならさ、部屋から枕取ってきな」
不良妹「え?ここにあんじゃん!おっきい抱きまくらがさっ♪」ギュウッ
兄「!」
不良妹「ふぁ……兄貴って暖かいね……どうして今まで気付かなかったんだろ……」
兄(ううむ……まあいいか)ナデナデ
不良妹「えへへへ……♪」
兄「んん……ん……」
兄「んーっ……よく寝た……今何時だぁ……?」
不良妹「えーっと、今6時半かな?」
兄「おお、そうか……って、妹!?」
不良妹「ん?どうかした?」
兄「い、いや、なんでもないよ」
不良妹「兄貴、コーヒー飲むだろ?私、入れてくるよ」
兄「お、おう。濃い目でな」
不良妹「ふふっ……♪」トテトテ
兄(……もしかして、ずっと寝顔見られてた?)
不良妹「ねえねえ、兄貴!今日は仕事だろ?」
兄「おう、まあ昼出勤だけどな」
不良妹「えーっ……一緒に出たかったなぁ……」
兄「バカ言うな。駅と学校、逆方向だろ」
不良妹「むーっ……あ、じゃあさ、学校まで着いてきて……」
兄「却下だ、真面目に学校いけ」
不良妹「……」
兄「……ん?」
不良妹「……あ、あにき……お、こった……?」
兄「あっおお怒ってないぞだから安心しておけ」
不良妹「お、怒ってない?ほんとに?」
兄「もちろんだよ!」
不良妹「……もーっ……怒ってないならそんな怖い口調で言わないでっ……」ギュッ
兄「なっ……お、おい、正面からぎゅってするな。スーツが皺になるだろ」
不良妹「やーだー♪」
不良妹「へへ……よし、いい感じだ……」
兄「さっきからキッチンで何をしてるんだ妹よ」
不良妹「あっ!み、見るなよ!」パッ
兄「へー、食パンを半分に……って事は、サンドイッチ作ってるのか……」
不良妹「ううー、つ、作ってる最中なのに見られたぁー……」
兄(……包丁を入れるのに失敗したのか、パンはボロボロ、トマトはグチャグチャ……後、なんでゆで卵じゃなくて炒り卵なんだ?)
不良妹「あ、後はこれを重ねて……で、出来たぁ!なーなー、兄貴!ウマそうか!?」
兄(しかし、せっかく料理に興味を持ちだした妹に厳しいダメ出しをしたら、やる気を削ぐことになるだろうな……)
兄「ああ、形は多少不格好だが、間違いなく美味いサンドイッチだろうな」
不良妹「あ……あぁ……よ、良かったぁ……」パアッ
不良妹「あ、後はこれをラップで包んで……はい、兄貴!」
兄「え?」
不良妹「え?じゃなくて、おべんとーだよ、お弁当!」
兄「なっ……!」
兄(自分で食べるものだと思いきや、俺の弁当だとは……ま、不味そうとか言わなくて良かった……)
兄「ふぅ……ただいまー」バタン
不良妹「あ、お帰りー!あに……ごほん」
兄「ん?どうかしたか?」
不良妹「い、いや、なんでもない……お、おに……に……」
兄「……? はは、変なやつ」グシャグシャ
不良妹「んぅ……ら、らんぼー!もっとちゃんと撫でろー!」
兄「はは、ごめんよ」ナデナデ
不良妹「はふぅ……っじゃなくて!」
兄「ん?」
不良妹「あ、あのさ、一度だけ変わった呼び方……していい?」
兄「変わった呼び方……なんか良く分かんないけど、良いよ」
不良妹「よ、よし……それじゃ……すー……はー……」
不良妹「お、おにいちゃんっ!!」
兄「!」
不良妹「あ……ああっ、や、やっぱりナシ!今のナシ!」ババババッ
兄「いやー、まさかなー」ナデナデ
不良妹「うう……」
兄「変な呼び方なんて言うから、何を言うかと思ったら……」ナデナデ
不良妹「や、やめてってばっ!」
兄「おいおい、もう1回くらい言ってくれよ」ニヤニヤ
不良妹「ふ、ふんっ……もう絶対言わないもんっ」
兄「いやいや、俺としてはあの呼び方をしてくれると嬉しいんだけどなー」ニヤニヤ
不良妹「……」スック
兄「ん?」
不良妹「……」ズイッ
兄「えっ、い、妹?」
不良妹「……お兄ちゃんの、いじわるっ」ボソッ
兄「!!」
不良妹「私、お風呂入ってくるね!」
兄(……み、耳元でささやくのは反則だろぉ……)
不良妹「はー、すっきりしたー」ホカホカ
兄「お、上がったか!んじゃ、俺も……」
不良妹「あ、ダメダメ、座ってて」
兄「ん?なんで?」
不良妹「今から見たいテレビあんだよねー」スッ
兄「なっ!?お、おい、妹!」
不良妹「なにー?あ、重いとか言ったら殺すよ?」
兄「い、いや、重いとかじゃなくてだな……」
不良妹「うりうりー!妹を持つ重みを感じろー!」ギュッギュッ
兄「お、おいおい!足に座るのは良いけどのしかかるな!」
不良妹「ふふん、言ったね?兄貴、しばらくお風呂には入れないよー」ピッ
兄(はぁ……まあいっか……)
不良妹「んー、兄貴クッション、良いー♪」
兄(んん……妹の体熱い……髪の毛からいい匂いするなぁ……)
不良妹「んー、今週のあんまり面白くないなぁ……」
兄「そうなのか?」
不良妹「うん……ね、ね、兄貴」
兄「ん?」
不良妹「あの呼び方で呼んで欲しい?」
兄「……そうだな、妹は嫌かも知れないけど、呼んで欲しいかなー」
不良妹「……おにいちゃん!」
兄「ん、どうした?妹」
不良妹「……んふふ、なんでもない……」
兄「そうかそうか」
不良妹「……おーにいちゃんっ!」
兄「ん?」
不良妹「えへへっ、なんでもないよっ♪」
兄(あ、なんか数日前までと比べるとありえないほど楽しい)
兄「ふぅ……いい湯だったな」ホカホカ
兄「さて、もういい時間だし……さっさと寝ますか」ガチャ
不良妹「すー……すー……」
兄「……」
兄「妹ー……部屋間違えてるぞー……」グイグイ
不良妹「んー……あ、兄貴ぃ……おいでぇ……」
兄「お、おいおい、そんな手を広げて誘われても俺は乗らない……」
不良妹「兄貴……早くぅ……」
兄「!」ドキッ
兄「し、しゃーねーなぁ」ギシッ
不良妹「んふぅ……」ギューッ
兄(な、なんだこいつ……寝ぼけてるのか?)
不良妹「えへへ……あったかぁい……」ガシッ
兄(あ、足まで回してきやがった!ううむ、そんな気は無くてもなんだかいけない気分だ……)
不良妹「うーん……」モジモジ
兄「お、どうした妹、鏡なんかじっと見て」
不良妹「あっ……あぅ……兄貴……」シュン
兄「ん?どうした?」
不良妹「あ、あの、私さ、ちょっと欲しい物、あるんだけどさー……」
兄「欲しい物……なんだ、とりあえず聞かせてくれよ」
不良妹「い……いや、口では言いにくいって言うかさー……」
兄「?」
不良妹「あ、兄貴……今日仕事ないよな……?」
不良妹「よ、良かったら、買い物、付いてきて欲しいんだけど……」
兄「えっ、俺が買い物に?」
不良妹「……だ、ダメ……?」
兄「あああダメなわけないからそんな悲しそうな顔するなって」
不良妹「よし、じゃ、行こっかー」
兄「おう!」
不良妹「えっと……確か、昨日友達から聞いた話によると、となり町に良いのが……」スタスタ
兄「……あれ?」
不良妹「ん?」
兄「いっ、いや、なんでもないよ」
不良妹「……?」
兄(最近ずっとベタベタされてたから、てっきり今日もくっついてくると思ってたんだが……)
兄(まあ、さすがに外では恥ずかしいんだろうな)
兄「え……?」
不良妹「な、なんだよ兄貴っ、私がここに行きたいなんておかしいかっ?」
兄「い、いや……その、てっきりジャージ着てるから、公園にでも行くのかなーと」
不良妹「……ふんっ、普段着がジャージしか無い色気のない妹で悪かったなっ!」
兄「ああ、そういう意味じゃないって……へそ曲げるなよ……」
不良妹「じ、じゃあ兄貴、悪いと思ってるなら先入ってくれよ」
兄「ええ!?お、俺が先導して女性物の服屋に入るのはおかしくないか!?」
不良妹「だ、だって私、こんな所入ったことないんだよっ!」
兄「……はぁ、仕方ないか」
ウィーン ラッシャセー
シャーッ
兄(え?)
店員「あら、よくお似合いですよー」
不良妹「あ、兄貴……こ、これ、どうだ?変じゃ……ないかな……?」
兄(こいつって、こんなに……美人だったっけ……)
不良妹「う、うー……兄貴、黙ってないで何とか言ってくれよぉー……」ソワソワ
兄「あ、ああ、可愛いぞ、馬子にも衣装って感じだな」
不良妹「か、可愛い……え、マゴニモって、なに?」キョトン
兄「い、いや、なんでもないよ、うん」
不良妹「そっか……へへ、か、可愛い……可愛い……♪」
店員「それでは三点のお買い上げという事で……」
兄「大丈夫だったのか?もっと沢山買っても……」
不良妹「い、いいんだよ今日はこれでっ……それに、荷物がかさばったら邪魔になるだろ!」
兄「まあ、それはそうか……んじゃ、行くか」
店員「ありがとうございましたー」
兄「買い物したいのってこれだけか?
不良妹「うん、買い物したいのはこれだけだよ」
兄「んじゃ、帰ろうか……」
不良妹「……兄貴、か、帰りたい……の?」
兄「え?いや、やる事ないなら普通帰るだろ?」
不良妹「……わ、私、兄貴、と、一緒にこの辺、歩いて回りたいんだけどっ……」
兄「……なんだ、そういう事なら早めに言えよ!」
不良妹「え……じ、じゃあ……」
兄「良いぜ、散歩にウィンドウショッピングに、したい事は何でもすればいいさ」
不良妹「あ……う、うん!」
兄「んじゃ、行くか!」
不良妹「あ……ち、ちょっと待って!」テテテッ
兄「ん?どうかし……わっ!」
不良妹「いひひっ♪」ギュッ
兄「な、なんだよ、急に腕に飛びついてきて……さっきまではあんなに離れてたのに」
不良妹「いっ、いいだろっ!今はこーゆー気分なのっ!」ギュウウ
兄(……あ、そうか)
不良妹「いひひ……♪」
兄(こいつ、ジャージ姿じゃなくて、女の子っぽい格好で俺と歩きたかったんだ)
兄「ふぅ……なんか、色々見て回るだけでも結構疲れるな」
不良妹「そうだな……あ、ち、ちょっとここで休憩するか?」チラチラ
兄「え?ここで?別に外じゃなくても、どっか涼しいカフェとか……」
不良妹「……ち、違うの!ここで休みたいの!」
兄「ここでって、なんで……」
兄(あ、あれか)
兄「なあなあ、妹!ならさ、あそこにソフトクリーム屋さんがあるから、食べながらベンチで休もうぜ」
不良妹「ソ、ソフトクリームだって?あ、甘いのはあまり好きじゃないけど……兄貴が食べたいならいいよ♪」
兄(素直じゃないやつだ)
兄「んじゃ、俺は、バニラでいいや。妹は?」
不良妹「どれにしようかな~♪キャラメル、チョコ……ああ、迷うなぁ」キラキラ
兄「どれでもいいぞー!なんでも好きなの選べー」
不良妹「あ、じ、じゃあこの、デラックストッピングって奴がいい!」
兄「じゃあそれでお願いします」
アイス屋「あいよー」ガコンガコン
アイス屋「はい、これ、彼氏さんのバニラね!」
不良妹「」
兄「あ、どもー……って、彼氏じゃないですよ!」
アイス屋「あり、そうなの?いや、くっついて歩いてたからついつい」
兄「もう、そんな訳ないよな!妹!」
不良妹「」プシュー
兄「お、おい妹!大丈夫か!?顔真っ赤だぞ!?熱中症か!?」
不良妹「」プシュー
不良妹「」ペロペロ
兄「お、これなかなか美味いな」ペロペロ
不良妹「う、うん……わ、私のもけっこう美味しいよ」
兄「マジで?ちょっとくれよ」
不良妹「え?う、うん」
兄「んっ」パクッ
不良妹「!!」
兄「おお……これは確かにデラックスだな!」
不良妹「なっ、ななっ、なっ……」
兄「ん?どうした」
不良妹「ススススプーンがあるだろっ!何かぶりついてんだよっ!!」
兄「えっ……ご、ごめん、気にしたのか……?」
不良妹「い、いや、気にするとかじゃなくてその、えっとさあ、なんていうか」アワアワ
兄「ごめんな、新しいの買ってくるよ」
不良妹「い、いい良いよっ!それよこせよっ!」バッ
不良妹「はぅ……」ペロ
兄(頬に手を当てながら食べてる……やっぱりちょっと調子悪いのかな)
不良妹「……な、なぁ、兄貴……今さ、私のソフトクリーム、食べたじゃん……?」
不良妹「や、やっぱ、あーいう事してるから、つ、付き合ってるように見えるのかな……?」
兄「そんなに付き合ってるように見たら嫌なのか?」
不良妹「いっ!嫌な訳……ないし……ああもう、私何言っちゃってんだろ……」
兄(まあ、妹として懐いたとしても、恋人に見られたら恥ずかしいもんなー)
不良妹「あ、ああっ、兄貴、そ、そのさ、ところでちょっと遊ばないっ?」
兄「ん、なんだ?お、そうだ、さっき向こうにボール転がってたからキャッチボールでも」
不良妹「そ、そういう遊びじゃなくてっ!」
兄「なんだなんだ、どんな遊びだ?」
不良妹「そ、その……こい……ごっこ……」
兄「ん、こい……何?」
不良妹「だ、だから……恋人ごっこだって!」
兄「!」
不良妹「ううー……はぅかしぃ……」
兄「い、妹、恋人ごっこってなんだ?」
不良妹「だ、だから……嘘だけど、恋人みたいに過ごして、周りをだますの。嘘だけどね!」
兄「へぇ……で、具体的にはどうすればいいんだ?」
不良妹「え?えっとぉ……その……」
兄「だって、恋人っぽくって言っても、今までも腕組みながら歩いてるし……」
不良妹「あ、そ、そうだ、名前で呼ぶとかどうっ!?」
兄「え、名前で?」
不良妹「そ、そう……だ、だから、兄貴じゃなくて……兄って……」
兄「おお、なんか恋人っぽいな!良いぞ、名前で呼んでも」
不良妹「そ、そう!?じ、じゃあ……兄!」ギュッ
兄「おお、もう始まってるのか?」
不良妹「兄ー大好きー♪」ギュッ
兄「恋人っぽいなあ」ナデナデ
不良妹「え、えへへ……♪」ギューッ
兄「なんだかんだで外で晩飯も食べて結構遅くになっちまったな」
不良妹「はー、楽しかった……」
兄「うん、俺も楽しかったよ」ナデナデ
不良妹「えへへ……ね、兄、また遊びに行こうね!」
兄「おう!」
不良妹「はぁ……それにしてもつっかれたー」
兄「っていうか、もう家なのにまだ恋人ごっこ続けてるのか?」
不良妹「えっ!?」
兄「いや、まだ兄って呼んでたし……」
不良妹「……終わってないよ」クルッ
兄「えっ?」
不良妹「……だって、まだ、一番恋人っぽい事してないじゃん」
兄「い、妹……お、お前、顔近いぞ」
不良妹「兄……」
兄「え、ち、ちょっ」ギュッ
チュッ
兄「うっ……え、おでこ……?」
妹「……ぷっ、あははっ!」
兄「い、妹?」
妹「あっははは!口にするって思った?あはははっ、もー!」
兄「お、おいおい、兄をバカにするもんじゃないぞ!」
妹「あはは、たのしー!あ、私お風呂入ってくるねー!」スタスタ
兄「お、おう……」
兄(いや、嘘にしては、俺に聞こえるくらい心臓がドキドキ言ってたんだが……まあいいか)
兄「あ、あぁ……や、ヤバいよぅ……」
女「兄、どうしたの?」
兄「あ、女……じ、実は……明日会議で使う書類が……実は根本のデータから間違ってて……」
女「え、ええ!?」
兄「うぅ……じ、上司にどう説明しよう……ていうか、クビかな……」
女「だ、大丈夫よ!今から必死に書き直せば……!」
兄「だ、ダメだよ……凄い量なんだ……今から家でやっても間に合わない……!」
女「……しょうがないわね」
女「私も手伝う」
兄「え?」
不良妹「ふふん、ふーん♪」
不良妹「ん、おいしー!へへ、カレーが簡単って本当だったんだな」
不良妹「兄貴、帰ってきたらびっくりするぞぉ……しし……♪」
タダイマー
不良妹「あ、さっそく帰ってきた!」トテトテ
不良妹「兄貴、おかえ……り……」
兄「どぞどぞ、汚い所ですが」
女「ううん、綺麗に整頓されてるわよ。あら、貴方が妹さん?」
妹「う、うん」ペコッ
兄「こ、こらっ、ちゃんと挨拶……」
女「あはは、別にいいじゃない!」
妹「……」
兄「さーて、さっそく」
不良妹「あ、兄貴!あのさ、私さ、兄貴がお腹空いてんじゃないかって」
兄「あ、悪い妹。ちょっと急いでるんだ」
不良妹「えっ」
女「こっちが兄の部屋?私先入っとくね」
兄「おう、とりあえずくつろいでてくれ」
不良妹「えっ」
兄「よーし、今日は寝ないで頑張るぞー!」
不良妹「えっ」
兄「……」カタカタ
女「すー……すー……」
兄「……よーし、出来たぁ!」
女「ひゃっ!」
兄「あ、ごめん、起こしちまったか?」
女「え、あ、ううん、こっちこそ手伝うって言ったのに寝ちゃって……」
兄「いいんだよ!女が手伝ってくれたおかげで間に合った……!」
兄「うわ、もう外明るい……早く会社行ってプリントしないと!」
女「そうね、急いで行きましょ!」
兄「おう!」ガチャ
兄「うわタバコくっさ!」
不良妹「ふー……」ギュッギュッ
兄「い、妹……な、なんでタバコを?」
不良妹「あ?なんか文句あんの……?」トントン
兄「い、いや、文句というか……まあいいや、行くぞ女!」
不良妹「!」
女「……ええ、そうね。行きましょう」
不良妹「……」カチッ
兄「行ってきまーす!」
女「失礼しました」ペコリ
不良妹「……」スパスパ
プリンター「ウィーン」
兄「よし、よし……女、助かったよ!」
女「そう……良かったね」
兄「いや、本当、今度何かで埋め合わせするよ」
女「……ねえ、兄の妹さんさ、睡眠不足か何か?」
兄「え?いや、そんな事は……」
兄(最近毎日一緒に寝てるしな……)
女(……目が、赤かったんだけど)
兄「……おい、妹」
不良妹「あ?なんだよ兄貴」
兄「先生から連絡があってさ……お前、また学校サボり始めたそうじゃねーか」
不良妹「うるせえな……兄貴には関係ねーだろ……」
兄「なっ……なんだよ、関係なくねーよ妹!」
不良妹「うぜぇ……」ガチャ
兄「お、おい妹!今日は学校行けよー!」
不良妹「……」スタスタ
兄「なんなんだ、甘えてみせたり、元に戻ったり……」
兄「はぁ……仕事行くか」
不良妹「あー……これ面白くねーなぁ……」ピコピコ
不良妹「チッ……後百円しか残ってねー……家に帰るか……」
「あら、貴方!こんな所で何してるの?学校は?」
不良妹「えっ!?」
女「あなた、兄の妹さん、よね?」
不良妹「あっ……ッス」
女「うふふ、学校、サボっちゃった?」
不良妹「そっすね……じゃ」
女「あ、ちょっと待ってよ!」
不良妹「なんすか?」
女「い、いや、その、せっかく知り合ったんだから、ちょっとお話したいなーって……」
不良妹「はぁ……彼氏の妹のご機嫌取りですか?」
女「え?」
不良妹「別にそーいうの私いらないんで。じゃ」
女「え?」
不良妹「……は?」
女「だからー、兄と私は付き合ってなんか居ないって!」
不良妹「う、嘘……だ、だってこの前……」
女「あれはお仕事♪あの時何してたか兄に聞いてみた?」
不良妹「……き、聞いてない……そうなんだ、私、てっきり……」
女「うふふ、嫉妬させちゃったかな?」
不良妹「……な、何をですか?」
女「私もお兄ちゃんっ子だったから分かるんだ!彼女が出来たら、何故かイライラするんだよねー」
不良妹「……どうしよう……私」
女「お兄ちゃんに、心の中とは逆の事しちゃった?」
不良妹「……凄い、全部お見通しなんですね」
女「まーね、妹歴は長いから!」
不良妹「……」
不良妹「……ひとつ教えてくれませんか」
女「ん?何かな?」
不良妹「……その、お兄ちゃんと、何か、喧嘩というか……そんな感じになっちゃった時って」
不良妹「どうやって、仲直りというか……元に戻れるのかなって……」
女「そんなの、難しく考えなくてもいいのよ」
女「元通りになりたいって思って、目の前に出れば、素直に仲直りの言葉が出てくるの」
女「それで、お兄ちゃんも素直に許しておしまい!」
女「なんせ、兄妹だもの♪」
不良妹「……」
不良妹「……女さんはああ言ったけど、また学校サボっちゃったし、絶対兄貴、怒ってるよね……」
不良妹「どうしよう……」
不良妹「た、ただいまー……」
兄「お、お帰り、妹!ご飯出来てるぞ!」
不良妹「……え?」
兄「今日も遊んできたのか?一応、学校には病欠ですって連絡しといたぞ」
不良妹「……」
兄「まあ学校で何があるのか知らないけどさ、そう無理すんなよ、な?」
不良妹「……」
不良妹「……っ……ひっく……っく……」
兄「え!?い、妹!?」
不良妹「ひぃぃん……うわぁぁん!わぁぁん!!」
兄「な、お、おい妹、座り込んでどうした!?お腹痛いのか!?」
不良妹「ごめんなさっ……うっ……ひぃぃん……あに、きぃ……」ガシッ
兄「わっ!?」
不良妹「ひっく……ひっく……」
兄「そろそろ泣き止んだか?」サスサス
不良妹「ひっ……ひっ……」コクコク
兄「……なぁ、妹、俺に何があったのか教えてくれないか?」サスサス
不良妹「っ……っ……」
兄「泣くほど辛いこと……あったんだろ?」サスサス
不良妹「ちっ……がぅ、のぉ……」
不良妹「わ、たし、嬉しくてっ……あに、き、怒ってないって……」
兄「はは、怒るわけないじゃんか」サスサス
不良妹「ぐすっ……」ゴシゴシ
兄「それにしてもびっくりしたよ、最近タバコやめてたのに急にまた……」
不良妹「あっ……あれはっ……」
兄「ん?」
不良妹「……兄貴、正直に言うよ」
不良妹「わ、たし……本当は……あ、兄貴を困らせたかったっ……のぉ」
兄「えっ?」
不良妹「だ、だってぇ……ひっく……小さい頃からっ……私がいたずらしても怒らないしっ……」
不良妹「高校に入って、髪染めてもっ……怒らなかったしぃ……本当は興味が無いんじゃないかって」
不良妹「だ、だからぁ……タバコの事で怒られた時っ……最初はついに捨てられるかもって思って悲しかったけどっ」
不良妹「その後……本当に私の事考えてくれてるって思って……」
不良妹「う、嬉し、かったのぉっ……!」ギュッ
兄「妹……」
不良妹「ぐすっ……あは、私まためそめそして……」
不良妹「馬鹿みたいだよね、えへへっ」グスッ
兄「……妹、本当に済まなかった」ガシッ
不良妹「えっ……?」
兄「俺、妹の事は本当に大事に思ってた……でも、傷付けるのが怖くて、ぶつかるのを避けてた」
兄「でも、妹はそっちの方が傷付いてたんだな……!」ギュッ
不良妹「あっ……あぅ……」
兄「……約束するよ」
兄「もう二度と妹を泣かせやしないし、もっと妹の気持ちに正面からぶつかる」
兄「だから妹も、自分に正直に、どんな感情でも俺にぶつけてくれ!」
兄「俺が全部受け入れてやるから……!」
不良妹「えっ……えっ?」
不良妹「あぅ……」カァァ
兄(むっ?抱きしめている妹の体温が2,3度上がったような)
不良妹「あ、兄貴……なんでもって、本当になんでも……?」
兄「おう、なんでもだ!」
不良妹「……じ、じゃあ……ちゅーとか、出来る……?」
兄「えっ?ちゅー!?」
不良妹「うぅ……うん……」
兄「そんなのお安いご用だぜ!」ガシッ
不良妹「えっ、ち、ちょっ!」ギュッ
チュッ
不良妹「……あ、あぅ……お、おでこ?」
兄「へへ、この前の仕返しだ!」
不良妹「……もー!全然違うし!」グイッ
兄「え?」ガクッ
チュッ
不良妹「……ぷはぁっ♪」
兄「え?」
不良妹「ふ、ふひひ……♪」
兄「あ、あのー、妹さん?」
不良妹「あっ、だ、ダメだよ?まだ心の準備とか出来てないし、こっからはまだ……」
兄「え、何の話?」
不良妹「な、何の話って……も、もー!なんでもないっ!」ダダダッ
ガチャ バタン
兄「……なんだあれ」ポカーン
兄「しかしまさか妹がアメリカ式の挨拶をするとは……」ポリポリ
兄(その日から妹は完全に不良であることをやめた)
兄(学校にもちゃんと行くようになり、タバコも辞め、髪も黒く染め戻した)
兄(ただ、一つだけ困った癖が出来てしまい……)
不良妹「ただいまー」
兄「お、おかえりー」
不良妹「おにーちゃん、ちゅー♪」
兄「はいはい」チュッ
不良妹「んへへっ♪おにーちゃん、大好きー♪」
兄「おう、そうかそうか」
不良妹「ね、ね、今日返ってきたテスト見てみる?」
兄「おう……へぇ、六割取れてるじゃん!進歩したなぁ!」
不良妹「えへへ♪おにーちゃん、頑張ったのちゅー♪」
兄「はいはい」チュッ
不良妹「よーし、次のテストも頑張るぞー!」
兄(妹は甘えん坊だなぁ)
おわり
このSSまとめへのコメント
ちょっとキャラ固定が雑い。ヤンキーデレかと思ったら普通の妹になってるし。
1コメ何言ってんだ?
ヤンキーデレが普通のデレデレの妹になったっていうストーリーだろ?
あーいいわー