穂乃果「みんなでいっしょに遊ぼうよ!」 (67)
・μ'sメンバー+@は小学生設定
・ことり、海未はスーパー幼馴染
そのいち・絵里ちゃん!
私こと絢瀬絵里と妹の亜里沙は名前こそ明らか日本人の名前であり、
血もロシア人とのクォーターであるが、
ロシアで生まれ育った。
もちろん日本に興味がなかったわけではない。
幼いころから祖母には日本の話をしょっちゅう聞かされていたし、
私や亜里沙から日本の話を求めたのもしょっちゅうだ。
だから両親から日本への転勤の話を聞いた時には
祖母や友達との別れの寂しさはもちろんあったが、
同時に新天地への期待も止まらなかった。
私たちがそれぞれ小学5年生と小学1年生として
音ノ木坂小学校に転入するまでは…
ほら、今日もだ。
男子A「うわ、金髪だぁ!きもちわりぃー!」
男子B「目も何か変な色してるぞ!わーるいんだ!」
女子A「不良よー!ふりょー!」
女子B「せんせーに言ってやろー!」
期待一杯で転入した学校、
待っていたのは私と亜里沙への差別だった。
祖母や両親から褒められた金色の髪も、
ロシアでは友達にも羨ましがられた目の色も、
日本ではとても珍しい物らしく
他の子達は「自分たちとは違う物」を受け入れようとはしてくれなかった。
絵里「Остановка. (止めなさい!)」
男子A「うわぁ!変な言葉喋った!」
女子A「気持ち悪ーい、あっちいこ!」
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私も亜里沙も少しでも早く日本人の子たちと友達に
なりたくて、必死になって日本語を覚え、
片言ではあるが簡単な日常会話程度ならできるようなった。
日本の礼儀作用だって両親に習って、
出来る限り間違わないようにした。
それで待っていた結果がこれだ。
絵里「亜里沙、大丈夫?(ロシア語)」
先程まで私の背中にいて、
今度は私の正面に移動して腰に抱きついて顔を
埋める亜里沙の頭を撫でながら、答えの分かってしまっている質問を
私は何日も繰り返す。
亜里沙「お姉ちゃん…
亜里沙、ロシアに帰りたいよ…(ロシア語)」
絵里「そうね…(ロシア語)」
私だってロシアに帰りたい。
ロシアに帰って祖母に甘えて、
友達と一緒にバレエをしたり、一緒に遊びたい。
だけど現実ではそんなの無理だと分かっているから。
私まで弱音を吐いてしまったら、亜里沙を心配にさせてしまうから。
私まで泣いてしまったら、亜里沙ももっと泣いてしまうから。
でも、もう限界かもしれない。
???「うわぁー!きれー!」
しかし、私の目からも涙が溢れそうになったそんな時、
曇り空さえも一瞬で快晴に変えてしまうような元気な声を出しながら、、
まるで太陽のような笑顔を浮かべる少女が私のもとにやってきた。
もう少し続きます
??「ね?だから言ったでしょ、お姉ちゃん!」
???「うん!ホントだねー!すごーい!」
突然、目の前に走ってきた私よりも1つか2つくらい下の女の子と、
亜里沙と同じくらいの年の子は私達を見て、
凄い歓声を上げている。
こんな子達まで、と信じたくはないが
亜里沙を再度背中に庇い一歩前に出る。
絵里「アナタたち、ナニかヨウ?」
年下の子相手に少しばかり
強めの口調になってしまったかもしれないが仕方がない。
亜里沙を守るためだ。
しかし、そんなことをまるで気にした様子もなく
太陽のような笑顔を浮かべる少女は
相も変わらず活発な声で私達にこう言った。
穂乃果「私、高坂穂乃果!小学4年生です!
こっちは穂乃果の妹で小学1年生の雪穂!
雪穂から隣のクラスにね、
すごぉーーーく!きれいな女の子が転校してきた聞いたんだ!」
雪穂「私、雪穂!よろしくね!」
穂乃果「それで、あのね!あのね!
雪穂からは小さい子の方しか聞いてなかったけど、
お姉さんの方もホントにすごぉーーーく!すごぉおおおおおく!
きれいな金色の髪の毛と、かっこいい空色の目だね!!」
今、私はどんな顔をしているだろうか。
怒った顔?呆けたような顔?笑った顔?…泣きそうな顔?
日本に来て、初めてだった。
こんな率直に褒められたのは。認めてくれたのは。
彼女は嘘や差別という言葉なんて知らないように、
私の目をまっすぐに見ながら、
自分自身の目をキラキラさせながら
私に、私達にそう微笑んでくれた。
とりあえず今日はここまで。
一応、全員分やっていく予定です。
亀更新ですが、よろしければこれからもお付き合いください。
年齢差的に、亜里沙と雪穂って少2じゃないの?
>>12
雪穂の学年修正しました。
??「ね?だから言ったでしょ、お姉ちゃん!」
???「うん!ホントだねー!すごーい!」
突然、目の前に走ってきた私よりも1つか2つくらい下の女の子と、
亜里沙と同じくらいの年の子は私達を見て、
凄い歓声を上げている。
こんな子達まで、と信じたくはないが
亜里沙を再度背中に庇い一歩前に出る。
絵里「アナタたち、ナニかヨウ?」
年下の子相手に少しばかり
強めの口調になってしまったかもしれないが仕方がない。
亜里沙を守るためだ。
しかし、そんなことをまるで気にした様子もなく
太陽のような笑顔を浮かべる少女は
相も変わらず活発な声で私達にこう言った。
穂乃果「私、高坂穂乃果!小学4年生です!
こっちは穂乃果の妹で小学2年生の雪穂!
雪穂から隣のクラスにね、
すごぉーーーく!きれいな女の子が転校してきた聞いたんだ!」
雪穂「私、雪穂!よろしくね!」
穂乃果「それで、あのね!あのね!
雪穂からは小さい子の方しか聞いてなかったけど、
お姉さんの方もホントにすごぉーーーく!すごぉおおおおおく!
きれいな金色の髪の毛と、かっこいい空色の目だね!!」
今、私はどんな顔をしているだろうか。
怒った顔?呆けたような顔?笑った顔?…泣きそうな顔?
日本に来て、初めてだった。
こんな率直に褒められたのは。認めてくれたのは。
彼女は嘘や差別という言葉なんて知らないように、
私の目をまっすぐに見ながら、
自分自身の目をキラキラさせながら
私に、私達にそう微笑んでくれた。
穂乃果「それにね!背もすっごく高くてかっこいいし!
声もすごいきれい!
それに!顔もものすごーいきれいだよ!
ホント空色の目もすごいきれいでかっこいいなー!」
こちらが驚いて、声も出せず、
ただ口をぽかーんと開けている間も穂乃果と名乗った少女は
手放しで延々と私と亜里沙を褒めたたえるような
言葉を次々と吐いていく。
…というか、まだ日本語は大して聞き慣れていない為、
一気に喋られて多少意味が分からない部分もあるが、
さすがに褒めすぎだ…。
祖母にも、両親にも、友達にもこんなに褒められたことはない。
若干であるが、顔が赤くなるのを感じた。
そんなことを考えていると、
先程穂乃果という少女が紹介した妹の雪穂という少女が
小走りで私の背中に隠れている亜里沙のもとに
やってくる為、少し警戒して亜里沙を更に背中に隠す。
だけど、雪穂という少女もそんなことを気にした様子もなく
顔いっぱいの笑顔で亜里沙に話し掛ける。
雪穂「私、雪穂!たぶんだけど、あなたと同い年だよ、よろしくね!
あなたもこっちのお姉さんと一緒ですっごくきれいだね!
目の色も空色でかっこいだし、髪の毛すごいきれい!」
特に、亜里沙に危害を与える気は一切ないようで安心する。
しかし亜里沙も、雪穂という少女に手放しで延々と褒めたたえるような
言葉を次々と吐かれ、顔を赤くしていく。
…今頃だが、この状況はなんなのだろうか。
小学4年生と2年生の姉妹に、私と亜里沙の姉妹が囲まれて、
言葉攻めにあいながら顔を紅潮させている状況って…。
とりあえず、まずはこの状況を打破しよう。
絵里「こほん…。だから、アナタたちワタシとアリサにナンのヨウなの?
ヨウがナいならカエるけど。」
穂乃果「あ、ごめんなさい!
私、高坂穂乃果!小学4年生です!
こっちは穂乃果の妹で小学2年生の雪穂!
雪穂から隣のクラスにね、
すごぉーーーく!きれいな女の子が転校してきた聞いたんだ!」
絵里「…それはさっきキいたわ。」
穂乃果「あれ?そうだっけ?
雪穂が亜里沙ちゃん?とお友だちになりたいっていうから
穂乃果も付いてきちゃったんだ!
そしたらお姉さんまでいて…って!
穂乃果、さっきから5年生にタメ口で!ごめんなさい!」
中々、本題に辿りつかず
話が無駄に長くなっている気がしているが、
不思議と嫌な気分はしなかった。
だからだろう、
何となく穂乃果という少女と対等になりたくて、
こんなことを言ってしまったのは。
絵里「ベツにタメグチ?でいいわ。
トシだって1ツしかカわらないわけだし。」
穂乃果「いいの!?
じゃあ、穂乃果のことは、穂乃果って呼んでね!
それでね!穂乃果、あなたのことすっごぉくきれいだと思って!
あなたとお友だちになりたいなって、そう思うんだ!」
そう言って
太陽のような笑顔を浮かべる少女は、穂乃果と名乗る少女は、
…穂乃果は私に手を差し伸べてくれた。
そして、私はその手に
絵里「……アヤセ エリよ。エリでいいわ。
その、まだニホンゴもうまくシャベれないし、
ニホンのコトもヨクワからなくて、
トモダチもまだいないけど…
…よろしく、ホノカ!」
そっと触れた。
とりあえず今日はここまで。
少しだけ更新再開します。
その日の帰り道は、日本に来てから一番楽しい帰り道だった。
穂乃果は道すがら身体全身を使って、
本当に楽しそうに私に色々なことを話してくれた。
実家が和菓子屋さんであること、
最近は和菓子を食べ過ぎて飽きてしまったこと、
とても可愛らしい幼なじみが二人もいるということ、
穂乃果の好きな食べ物や嫌いな食べ物のこと、
穂乃果の大好きなこと、などなど
こちらが穂乃果の話に微笑むと、
穂乃果も全力の太陽な笑顔を返してきて、その姿が微笑ましくて、
私もまた微笑みが止まらなかった。
亜里沙もまた無事に穂乃果の妹、雪穂ちゃんと友だちになれたらしく、
ただたどしくはあったが、まだ慣れていない日本語で楽しそうに
話す姿は妹ながらすごく可愛らしかったのを覚えている。
また穂乃果たちと出会ったのは金曜日であった為、
穂乃果たちと出会うまでは「絡まれずにすむ」と喜んでいた週末が
とても恨めしかった。
亜里沙に至っては、別れ際に軽く涙目になっていたくらいだ。
だから、穂乃果が提案してくれた土日もこの4人で遊ぶという案には
私も亜里沙も即答してしまい、穂乃果と雪穂ちゃんを驚かせてしまったしまいだ。
土日もまた、日本に来てから一番楽しい休日になった。
土曜日は、近所の公園に遊びに行って、お昼に一度家にご飯を食べに帰った時以外、
一日中公園を走り回って、くたくたの汗だくになった状態で家に帰って、
両親を驚かせてしまった。
しかし、その後でその日にあったことを話すと笑顔になってくれたので良しとしよう。
日曜日は、穂乃果の家に遊びに行って、おまんじゅう?というものをご馳走になったり、
お昼には私の両親も穂乃果の家に呼ばれて和食をご馳走になったり、
実際におまんじゅう作りを体験させて貰った。
これには私の両親もとても喜んでいて、お土産におまんじゅうや和菓子の箱を山ほど買っていた。
しかし、そんな楽しい時間も時の流れには逆らえず、
私が世界で一番大嫌いな時間が今日もまたやってきた。
できれば今日中に絵里編は終わらせたいな…
男子A「あー!金髪お化けだ!相変わらずきもちわりぃー!」
女子A「不良は学校から出ていきなさいよー!」
今日もまた飽きずに馬鹿な奴等がやってきた。
こいつらは本当に私と同学年や私よりも年上の6年生なのだろうか。
小学4年生や穂乃果や、小学1年生の雪穂ちゃんの方がよっぽど賢い。
…まあ、今日は亜里沙は私のもとには来ずに
雪穂ちゃんの教室に遊びに行っている為、それが唯一の救いだろう。
あれだけ優しい雪穂ちゃんと一緒なら、
きっと亜里沙はすぐに小学1年生たちの輪に混ざることが出来るはずだ。
問題は私だ。
無駄に徒党を組んだ馬鹿達は簡単には私を受け入れないだろうし、
私だってこんな奴等と友だちになろうなんて思わない。
むしろ考えるだけで悪寒がする。
穂乃果とこんな奴等を同列に考えるのは、
私が穂乃果を嫌いになると同じくらいありえないことだ。
…とりあえず金曜日に試した手で、
今日のところはこいつ等を蹴散らして早く穂乃果のもとに向かおう。
絵里「Остановка!(止めなさい!)」
出来るだけ大きな声で、動物が威嚇を行うように叫ぶ。
男子B「へ、へへん!同じ手を喰らっても痛くもかゆくもねーよ!」
女子B「そ、そうよ!変な言葉喋っても怖くないだからねーだ!」
しかし…どうやら、馬鹿は馬鹿なりに学習するらしい。
無駄に耳せんなんかを付けて、私を囲んでいる。
まさに猿知恵としか言いようがないが、こうなるとどうしようもない。
………仕方がない。この馬鹿達が飽きるを待とう…。
男子A「やーい!金髪ー!悔しかったら髪を黒にしやがれー!」
男子B「目の色きもちわりぃんだよー!」
女子A「不良は学校から出けー!」
女子B「出ていけー!」
馬鹿C、D、E「出ーていけ!出ーていけ!出ーていけ!」
悔しい、苦しい、寂しい、痛い、悲しい、辛い。
色んな負の感情が次から次へと頭に思い浮かぶ。
でも、一番最後に頭に思い浮かんだのは
あの太陽のような笑顔を浮かべて私に手を差し伸べてくれる
優しい、とても優して温かい少女の姿だった。
…会いたい…。
今すぐに“あの子”に会いに行って、
あの太陽のような笑顔を見たい。
“あの子”とたくさんお喋りをしたい。
この間は“あの子”のことをたくさん教えてくれたから、
今度は私のこともたくさん知って貰いたい。
“あの子”とまた公園で遊びたい。
日本の遊びを色々と教えて貰ったから、
今度はロシアの遊びでも一緒に遊びたい。
“あの子”と一緒にお菓子を食べたい。
和菓子はどれもとってもおいしかったから、
今度はロシアのお菓子を“あの子”に食べて貰いたい。
その時には、きっとまた素晴らしい笑顔を見せてくれるのだろう。
…あいたいよ…、ほのか………。
???「やめろぉーーー!!!!!」ドンッ!
絵里「……え…?」
”誰か”が私を囲む奴らの一人にタックルを当てて、
馬鹿達の円を崩したようだ。
そして、
相変わらず曇り空さえも一瞬で快晴に変えてしまうような元気な声を上げながら、
まるで太陽のような笑顔を浮かべる少女が私のもとにやってきた。
穂乃果「絵里ちゃん、遅くなってごめんね!!助けに来たよ!!!」
そう言って“あの子”は、穂乃果は再び私に手を差し伸べてきてくれた。
ごめんなさい
今日中に絵里編は終わらせるつもりでしたが、
思いのほか展開が長引いてしまい、今日中の完結は難しくなりました。
明日には完成させる予定なので、よろしければまた見てくださいm(__)m
…というか、一人につき1~2レスくらいで完結させていく予定だったのに、
無駄に長くなりすぎました…。
他のメンバーはもうちょっと短いかも…。
ってああー!!
また雪穂たちが1年生になってるー!
2年生に脳内変換でお願いします!
更新します。
絵里「ほ、ほのか…」
穂乃果「亜里沙ちゃんが穂乃果の教室に来て、絵里ちゃんが大変だって教えてくれたんだ。
それ聞いてすぐに走ってきたんだけど…
ごめんね、もっと早く穂乃果が気付いてたら…。」
あぁ、この子はどれだけ優しい子なんだろう。
自分のことではないのに、
たった数日前に知り合っただけの友人だというのに、
自分のことかのように思い、悲しそうにしながら目に涙を溜めている。
そんなことを考えていると、先ほど穂乃果にタックルされて、
みっともなく転んで地面に這いつくばっていた馬鹿が立ちあがり
怒りながら穂乃果に詰め寄ってきた。
男子A「おい!!何いきなり攻撃してんだよ!後ろから攻撃するなんて卑怯だぞ!!」
男子B「下級生のくせに生意気なんだよ!」
女子A「そうよ!これはあたしたちの話なんだからガキはどっか行きなさいよ!」
女子B「そうよ!そうよ!」
穂乃果が助けにきてくれたのは、それこそ涙が出るほどに嬉しいが、
相手は穂乃果にとって上級生だ。
せめてもの意地を見せる為に穂乃果を背中に庇おうとするが、
一瞬早く穂乃果は私の前に出て馬鹿達と対峙する。
穂乃果「後ろから突然タックルしちゃったのはすみませんでした。
でも…だったら!!!!!」
馬鹿達「ビクッ!」
穂乃果「だったら!大勢で囲んで絵里ちゃんを虐めるのだって
ものすっごーく!卑怯じゃないですか!!
それに!下級生とか上級生とか関係ない!!
穂乃果と絵里ちゃんは学年は違うし!生まれた国や育った場所だって違う!
それでも!それでも、絵里ちゃんは穂乃果の大切な友だちです!!
絵里ちゃんがすごくきれいで!かっこいいからって!
勝手に嫉妬して!寄ってたかって意地悪なことばっかり言って!
かっこ悪いです!!」
穂乃果の啖呵を切り、私を囲んでいた馬鹿達の輪が崩れ始める。
その瞬間、穂乃果は私の手をギュっと掴み、
崩れた亀裂を走り抜けた。
私の手を握ったまま、穂乃果は走り続ける。
どこまで行くのだろう。
どこまで連れて行ってくれるのだろう。
ただ、今は穂乃果が繋いでくれている、この手の温かさがとても心地よかった。
穂乃果「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
絵里「ふぅ…」
5分くらいだろうか、
走り続けてやっと辿り着いた場所は学校の屋上だった。
お互い…特に、私を引っ張ってくれていた穂乃果は息が切れていて、
肩を揺らしながら粗い呼吸を繰り返していた。
手はまだしっかりと繋いだままであり、
穂乃果の温もりは変わらず私の手の中にあった。
しかし、それに気がついたのは
少しでも穂乃果の温もりを感じていたくて手に意識を集中させて時だった。
穂乃果は、かすかにであるが震えていた。
目には今にも零れそうな涙が溜まっていて、今にも決壊してしまいそうだった。
…私は馬鹿だ。
穂乃果は何人もの上級生を相手に、たった一人で立ち向かい、
私のことを助け出してくれた。
怖くないはずなんてない。
自分よりも大きく、力も強い相手に立ち向かうなんて私にはとても出来ないことだ。
それを穂乃果は成し遂げてくれた…ただ、私を守る為に…。
穂乃果「絵里ちゃん。」
それでも穂乃果は、誰よりも優しくて温かい少女は、
肩の震えを無理やりに止めて、空いている片手で涙を拭って
弱虫で何にも出来なかった私に
穂乃果「もう大丈夫だよ!
だから、ほら!絵里ちゃんも笑って!絵里ちゃんは笑ってる顔が一番きれいなんだから!」
また…太陽のような笑顔で微笑んでくれた。
もう我慢の限界だった。
私は、穂乃果のことを強く抱きしめる。
絵里「ホノカ…ごめんね…!ありがとう…!」
穂乃果「絵里ちゃん…。…怖かった…、ほんとうは5年生や6年生の人達の前に立つのも
すごくこわかった、よぉ!」
私も、穂乃果もお互いを強く抱きしめ合いながら大声で泣きはじめる。
彼女は決して弱くはないけど、強くもない。
だけど
穂乃果は誰よりも優しくて、温かくて、太陽のような少女で、
その温もりが今何よりも愛おしかった。
-数日後-
結局、私と亜里沙をいじめていたあの馬鹿達は
雪穂ちゃんが呼んでくれた先生達に、私と穂乃果が逃げた後に捕まって、
厳重な罰を受けたらしい。
どんな罰を受けたかは知らないし、興味もないが
それ以来、私たちに関わることは一切なくなった為、
私にとってようやく穏やかな日本での生活がはじまった。
亜里沙の方も
雪穂ちゃんと友だちになって以来、毎日べったりしているらしく
ロシアにいた頃の元気を徐々に取り戻し始めている。
ただ家に帰る途中、雪穂ちゃんの手をぎゅっと掴んで
別れ際に駄々をこねるのは勘弁してほしい。
穂乃果と協力して、引き剥がすのが毎日大変で仕方がない。
…まあ、私も出来る限り穂乃果とはずっと手を繋いでいたいので、
気持ちは分からなくはないが…。
穂乃果はあれからも元気は一切衰えず、
毎日のように私の教室や家に遊びにきては太陽のような笑顔を振りまいている。
私もすっかりと穂乃果に骨抜きにされてしまった気がするが、
…穂乃果の前では仕方がないだろう、うん。
そして今日、私は穂乃果のことを屋上に呼び出していた。
穂乃果「絵里ちゃん、どうしたの?
あっ!まさか、また苛められてるとか!?
今度はどこの誰!穂乃果がまたやっつけてあげるよ!」
絵里「ダイジョウブよ、シンパイしなくても、もういじめられてないわ。」
穂乃果「ほんと?何かあったらすぐに穂乃果を呼んでね!
直ぐに飛んでいくから!」
絵里「ええ、ありがとう。」
穂乃果「あれ?それじゃあ、お話ってなに?」
さあ、本題だ。
心臓が高鳴る。
落ち着きなさい、絢瀬 絵里。
言え、言うのよ!穂乃果に私の気持ちを!
絵里「穂乃果!!」
穂乃果「は、はい!」
絵里「穂乃果…ワタシとこれから先もずっと!ずっとイッショにいてください!!」
言ってしまった…私の大好きという気持ちを穂乃果に伝えてしまった…。
それにしてもいくらなんでも早すぎただろうか…。でも仕方がない。
この先、例え何百年、何千年生きたとしても穂乃果以上に愛おしいと思える子と出会える自信なんて微塵もない。
むしろ、穂乃果以上に可愛い子なんてこの世に存在するはずがない。
ああ、でも振られたらどうしよう!?
もし穂乃果に振られて一緒にいたくないなんて言われたら、この先生きていく自信がないわ!
やっぱりもっと時間をかけてからゆっくりと…ああ!でももう遅いわ!
いますぐ「この発言は冗談だった」って取り消せないかしら!?
でもでも穂乃果が大好きだって気持ちは本物だし!!どうしたらいいのよ!
穂乃果「絵里ちゃん…!うん!穂乃果と絵里ちゃんはずっと一緒だよ!!」
絵里「ほ、ほの…!」
穂乃果「穂乃果たちはずーっと!お友だち!!
あ、そうだ!穂乃果の幼なじみのことも紹介してあげるね!
絵里ちゃんだったら絶対に海未ちゃんやことりちゃんとも仲良くなれると思うんだ!」
…穂乃果はこういう子だっていうことをすっかり忘れていたわね…。
まあ、そこも穂乃果の可愛いところだから仕方がないだろう。
だけど、いつの日か再びこの思いは穂乃果に伝えるわ。
その日までは穂乃果と一緒に遊び続けることで我慢しておこう。
だから、覚悟しておきなさい。いつかその太陽のような笑顔を私だけのものにしてみせるから。
穂乃果「さあ、絵里ちゃん!穂乃果といっしょに遊ぼうよ!」
絵里編 完
これで一応、絵里編は完結です…。
最後の方がぐだぐだになってしまいましたが、ご了承ください。
次は希編の予定です!
更新はまた当分先になると思いますが、よろしければまた見に来てください!では!
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