【艦これ】提督「暇っすね」part3 (555)
艦これのSSです。
日常ほのぼの系(だと思う。時々シリアス)
登場する艦娘の性格が必ずしも原作を忠実に再現してるとは限りませんので
その点はご容赦下さい。
尚、施設などの設定に関しても原作ゲームを忠実に再現してる訳ではありませんので
その点についてもご容赦下さい。
各艦娘同士の相関についても、一部違うだろってものが出てくると思いますが
こちらも、あくまで二次創作という点において、生暖かく見て頂ければ幸いです。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1404646553
ある日のとある鎮守府。
とある鎮守府は今日も和気藹々と日々を過ごしていた。
今日は一体、どんな騒動が起こるのか……。
-食堂-
提督「今日も暇っすねっと…」
榛名「珍しく事務作業片付けてて反論できません…」
提督「ふふん」ドヤァ
間宮「あらー、今日は食堂大盛況なのね」
榛名「あ、間宮さん!」
間宮「あら、榛名ちゃん。今日も元気ね?」
榛名「はい!榛名は今日も元気です!間宮さんのご飯美味しいから、毎日楽しみです!」
間宮「あらあら、それにしても今日は本当に食堂が艦娘ちゃん達であふれかえってるわねぇ?」
榛名「あはは、丁度長期遠征から帰ってきた子達と近海護衛から戻った子達で重なったみたいです」
間宮「それじゃ、私も腕によりをかけて皆の喜ぶ料理、作らなきゃね!提督さんも、その様子だとご飯かしら?」
提督「腹が減っては戦は出来ぬってね。間宮さんには毎度お世話になってますよ」
間宮「うふふ、お上手ね♪」
榛名「榛名も楽しみにしてます!」
間宮「それじゃ、また後でね、提督さん、榛名ちゃん」
榛名「はい!」
提督「さて、その間宮さんの料理を食べたいところだが…」
榛名「ほぼ満席というか、なんというか…」
北上「おっ、てーとくじゃーん。そんなとこ突っ立って何してーんのー?」
提督「ん、北上か。飯食おうかと思ったんだけど、ご覧の通りでな」
北上「あー、うちらと木曽っちの所、同時に帰ってきちゃったからねぇ」
提督「そういや、北上。お前また阿武隈にちょっかい出してイタズラしたらしいな」
北上「な、なーんの事かなぁ~?わっかんないなぁ~」ソソクサ
提督「あ、こらっ…あいつ、逃げるのはぇーな」
赤城「あ、提督に榛名さん、これからお昼ですか?」
榛名「うわ…」
提督「おう、赤城……ぃ!?おま…それ、全部食べるのか…」
赤城「はい?」リョウテニドッサリ
赤城「あ、えっと、これは、その…お、お腹空いてしまいまして。し、失礼しますー」ソソクサ
提督「一航戦、恐るべし…」
夕立「あ、それ食べたいからもーらい♪」
時雨「あ、こら!それは僕のだぞ!」
白露「もー、二人とも行儀悪い!」
ワイワイガヤガヤ
提督「うーん、こりゃ少し時間ずらしたほうがいいか」
榛名「ある意味戦場になってますね」
-その後-
ザワザワ…
提督「ん、どうしたんだ?」
木曽「お、よう、提督。いやー、それがさ…」
間宮「あ、提督さん。ちょっと困った事になってしまいまして…」
提督「困ったこと?」
木曽「なんでも備蓄してあったと思ってた資材やら食材がもうなくなる寸前だってんで、間宮さんが困ってんだよ」
提督「はぁ!?いや、ちょっと待てよ。資材はともかく食材までって、それどういう…」
間宮「うーん、どうやら妖精さんが帳簿を付けるときに間違えてたみたいで、実際には帳簿に書かれてある半分
の資材と食材しか搬送がされてなかったみたいなの」
妖精「ゴメンナサイ」ドゲザー
提督「今鎮守府に残ってるのは第一艦隊以外全てだったな。ここを留守にするわけにもいかんし…」
木曽「俺の第三艦隊使っていーぜ?」
提督「ありがたい申し出だが事は一刻を争う。速度のある第四艦隊にお願いする」
木曽「へーへー。まぁ、確かに日向の姉さんにイムヤともぐらじゃ、戻るの明日になっちまうしな」
日向「木曽、君とは一度じっくりと話をしたいと思っていたんだ」ヒョコッ
木曽「げっ…!」
提督「ど、どっから出てきた日向…」
日向「お約束を聞くのは野暮というものですよ」
提督「は、はい…」
日向「さ、木曽。時間はたっぷりとある。私の部屋へ行こうか」ガシッ
木曽「え、ちょ、待った、待った!悪かったって!日向姉さんの主砲にはいつも感謝してって、力つえぇ…!」ズルズル
タ、タスケテクレーッ!
提督「片手で引き摺っていきやがった…こえぇ」
間宮「あらあら、日向ちゃんったらポーカーフェイスなのにやる事大胆なのね」ウフフッ
提督「間宮さん、それなんか違う!と、とにかくこれから遠征艦隊編成して他の鎮守府さんにお裾分け貰えるか
聞いてみますんで、遅くともフタマルマルマルくらいまでには戻れるように手配します!」
間宮「ごめんなさいね、提督さん。今晩の夕食分くらいはなんとか見繕えると思うから」
提督「いつも間宮さんの料理楽しみにしてますんでね。それが食えないとあっちゃ反乱起こりかねないし…」
間宮「うふふ、それは大変ね?」
提督「妖精さんも、次は気をつけてくれよ」
妖精「キヲツケルー」ペコリッ
-執務室-
提督「……と、言う事で集まってもらった」
北上「そういうことなら仕方ないか~」
阿武隈「うぅ、楽しみにしてた春巻きを奪われた恨み、忘れません!」ナミダメ
北上「うっ、だ、だから悪かったって言ってんじゃん…」アセアセ
提督「お前、またやらかしたのか…」
夕立「いつもの事っぽい」
時雨「夕立、僕も奪われた料理の恨みは忘れてないよ?」
夕立「うっ…」
白露「これで評価を上げれば、ついにあたし達も栄光の第一艦隊へ…!」
島風「ふっふーん、私に任せればアッと言う間だもんねー♪さっすが提督、島風が一番速いって解ってんだね!」
提督「なんという連帯感のなさ…旗艦、代えるべきなのか、これ…」
北上「ちょー!?提督、そういう事言わないでよぅ~!北上さまちょ~頑張ってるじゃ~ん!」
提督「はぁ、いいか?とにかく事は急を要する。幸い、俺の前居た鎮守府が備蓄に余裕があるそうだ」
北上「ス、スルーされた!?」
提督「とは言っても、ここよりも規模としては随分小さい。そこまで大量には貰えないだろう。だから資材と食
材を受け取った際はくれぐれも礼を欠かすな。後で俺からも連絡は入れておくが、お前等からも礼を言っといてくれ」
全員「「「了解です!」」」
提督「よし、それじゃ早速で悪いが時間も押してる、頼んだぞ!」
-鎮守府近海-
北上「そーいやさー、提督から前の鎮守府の話ってあんま聞かないよね~?」
時雨「話したくない、とか…まぁ何かしら理由があるんじゃないかな」
白露「いやな過去だったらそうかもしれないけど、提督のあの感じだとそういうのなさそうなのにねぇ」
阿武隈「聞けば教えてくれるのかな?」
夕立「戻ったらご褒美に皆で聞こー!」
島風「んもー!話してばっかじゃ先に進まないじゃん!皆おっそーい!」
阿武隈「し、島風さんが速すぎるんだよー」
島風「え!?あ、やっぱり私速い?そっかー、そうだよねー、私一番速いもんねー♪」
白露「むっ、あたしだって負けないわよ!一番最初に目的地に着くんだから!」ザババババッ
島風「むむ、駆けっこしたいんですか?負けませんよ?」ザババババッ
北上「ああ、駆逐艦ウザい…」
阿武隈「そ、そういう事言っちゃダメだよ、北上さん!」
ザバババババッ!
北上「んあ?」
夕立「なんかすっごい勢いで戻ってきてるっぽい」
時雨「あのさ、その後ろに見えるのって…」アセ
阿武隈「…深海棲艦、ですね」アセ
北上「なにやってんのさ、あの二人!」ゲンナリ
白露「い、一番に…も、もど、戻った!」ゼェハァ ゼェハァ
島風「敵押し付けていくなんてひどいよ!」プンプン
北上「も~、余計な仕事増やさないでよ~。とにかく、第四艦隊戦闘準備!重雷装巡洋艦、北上!出撃します!」
阿武隈「阿武隈、ご期待に応えます!」
時雨「時雨、行くよ!」
夕立「さあ、ステキなパーティしましょ!」
島風「仕切りなおし!連装砲ちゃん、一緒に行くよ!」
白露「気を取り直して!はりきっていきましょー!」
北上「白っち、島っち、敵艦隊の構成は?」
島風「駆逐ロ級三隻確認した!」
白露「あとは軽巡ト級が二隻!」
北上「数的有利だね~。私と阿武隈っちで軽巡の相手しよう。白っち達で駆逐の相手っ!先手必勝でいくよ~!
砲雷撃戦開始!てーっ!!」バシュン、バシュン!
阿武隈「やるときはやるんだから!」ドンドンッ!
軽巡1「……!」サッ
軽巡2「……!?」ボカーン 中破
夕立「選り取り見取り、っぽい!」ドドン!
駆逐1「……!」ボンッ 小破
時雨「残念だったね。ここは譲れない」ドドンッ!
駆逐1「ァ……」ボガーン 轟沈
島風「にひひっ、あなたって遅いのね!」ドンドン!
駆逐2「!?」ボボンッ! 中破
白露「いーっけぇー!」ドンドン!
駆逐2「ァァ……」ボカーン! 轟沈
白露「まいどありー♪」
島風「むー、ずっるーい!」
駆逐3「…!」ドンドン!
島風「っと…!」サッ
駆逐3「!?」
島風「ふふーん、私には誰も追いつけないよ!」
本日はここまでになります。
阿武隈「あたって!」ドンドン!
軽巡1「…!!」
軽巡2「…!」カバイ ボカーン 轟沈
軽巡1「…!!」ドンドン!!
北上「か、庇った!?こいつ等、ただのト級じゃない!阿武隈っち、注意して!」
阿武隈「きゃっ!」ボボン! 小破
北上「こんにゃろー!」ドンドン!
軽巡1「…!」ササッ ドンドン!!
北上「また阿武隈っちを…!このっ!」サッ! カバイ
阿武隈「えっ、北上さん!?」カバワレ
ボボーン!
北上「ふふーん、スーパー北上さまを舐めないでよね~」無傷
軽巡1「!?」
駆逐3「…!!」ドンドン
白露「あっ…!」
時雨「言ったじゃないか、ここは譲らないって!」ドンドン
ボボボボンッ!! 相殺
白露「時雨、ありがと!」
時雨「当然さ」ウィンク
夕立「ナイス、時雨!ソロモンの悪夢、見せてあげる!」ドドドン!!
駆逐3「……!?」ボカーン 小破
島風「おっそーい!いくよ、連装砲ちゃん!」チャキッ
連装砲「ファイヤー!」
駆逐3「……ッ!」ボボン! 中破 ササッ
白露「あっ、転進した!」
島風「だからー、しまかぜからは、逃げられないって!」マワリコミ
駆逐3「!?」
島風「どうして回り込まれちゃったかって?だって、しまかぜは速いもん!」ドンドン!!
駆逐3「ァァ……!」ドガーン! 轟沈
今日はこの書き込みだけです。
北上「やっぱ単装砲って、わびさびよね~。魚雷でも食らいなさい!」バシュン!
軽巡1「ニヤッ」ササッ
北上「笑ってられるのも今のうちだよ~?今だよ、阿武隈っち!」
阿武隈「お馬鹿さん、ガラ空きなんですけど!」ドンドン!
軽巡1「!?」ボゴォン!! 轟沈
北上「よっしゃー!いやぁ、阿武隈っち、良いねえ、しびれるねえ…!」
白露「こっち一番におーわりっ!」
島風「そっちおわりましたー?」
北上「ふっふーん、私と阿武隈っちがタッグを組めば朝飯前よぉ~」
阿武隈「もう、都合のいいことばっかり!」
時雨「阿武隈、腕、怪我してるじゃないか。大丈夫かい?」
阿武隈「あ、うん。大丈……え?」
北上「ん…こうして、こうやって…と、応急処置できる妖精さん連れてきてないっしょ。まぁ、資材分けてもら
う鎮守府に到着するまでの繋ぎかな」
阿武隈「あ、ありがとう…」
北上「よし、これでおっけ~。阿武隈っち、ナイス連携だったよ。ありがとね♪」
-後輩鎮守府-
後輩「やあ、よくきたね。先輩から連絡は貰ってるよ」
北上「この度は資材を分けてもらえるという事で、本当にありがとうございます」
白露「北上さんの丁寧語とかすっごいレアじゃない?」ヒソヒソ
夕立「激レアの域っぽい」ヒソヒソ
後輩「おや、君、腕を怪我してるね」
阿武隈「あ、はい。来る途中で多分ですけど敵の斥候艦隊に出くわして交戦してきたので」
後輩「なんだって?ちょっと待っててくれ。金剛、いるかい?」
金剛「ハーイ!どしたよ、提督ぅー。また私と一緒にティータイムしたいネー?」
後輩「お客さんの前で馬鹿やってる場合じゃないよ。彼女を入渠ドックへ案内してあげて。来る途中で深海棲艦
と交戦してきて負傷したようだ」
金剛「Oh!それは大変ネ!私は超弩級戦艦の金剛デース!入渠ドックへ案内するヨー!」
時雨「元気な人だね」
後輩「君達も交戦して疲れてるだろう。少しの間、ここでゆっくりしていくといい。比叡」
比叡「はい!」
後輩「彼女達は僕の先輩が治める鎮守府の艦娘達だ。くれぐれも粗相のないように持て成してあげてくれ」
比叡「はい、お任せ下さい!私は金剛お姉さまの姉妹艦、比叡と申します!」
島風「私の連装砲ちゃんの倍くらい?とにかく、主砲がでっかい…」
比叡「あはは、戦艦だからね。41cm連装砲を二門、私は持ってるんだ。っと、ゆっくり出来るところって言うと
やっぱり食堂かなぁ。応接室ちっちゃいからね。それじゃ食堂まで案内するよ」
-食堂-
比叡「皆!前の提督が異動した鎮守府からのお客さんだよ!」
龍驤「なぬ!?」
筑摩「あら?」
比叡「あれ、叢雲、球磨、天龍、龍田は居ないのか」
筑摩「ええ、四人で今は演習場に居ると思います。挨拶が遅れました。私は筑摩です。姉の利根がそちらでお世
話になっていると思います」
龍驤「ウチは龍驤!軽空母やからって侮ったらあかんで!」
~全員で自己紹介~
白露「所で龍驤さんは何で関西弁?」
夕立「気になるっぽい!」
龍驤「気にしたら負けやで?それにこれは関西弁ちゃうんやで、艦載弁や」
北上「は?」
島風「え、何、今のどこで笑うの?」
筑摩「うふふ、龍驤は前の提督大好きっ子だから、少し舞い上がってるのかもね」
龍驤「そ、そんなんちゃうわ!///」
後輩「皆寛いでるみたいで何よりだ」
金剛「ハーイ!もーどりマーシター!」
後輩「阿武隈くんの怪我が大したことなくてよかったよ。入渠ドックで数分安静にしてれば問題なさそうだ」
時雨「ああ、良かった」
比叡「応急処置してあったみたいですし、それも功を奏してたんじゃないでしょうか」
北上「阿武隈っちが戻ったら私達も戻りますか~」
時雨「うん、皆が待ってるからね」
夕立「早く帰って褒めてもらおー!」
白露「一番はあたし!」
島風「しまかぜが一番だもん!」
北上「はぁー、駆逐艦、ウザい」ボソッ
後輩「……」
金剛「提督ぅー、どうしたデスカー?」
後輩「ん?いや、はは…ホント先輩は艦娘に慕われているなってね」
龍驤「戻ったら前の提督に龍驤は元気やったって伝えてくれな!」
時雨「ふふ、ああ、伝えておくよ」
阿武隈「あ、皆さん。お騒がせしました。もう大丈夫です」
北上「お、阿武隈っち。よし、それじゃ戻ろっか~」
白露「今回は補給援助、まことにありがとうございましたっ!」
後輩「…困った時はお互い様さ。先輩にもよろしくね」
比叡「…何か考える仕草、ですね」ヒソヒソ
金剛「気にするコトないヨー。私達は、ただ提督に従えばいいダケヨー」ヒソヒソ
今回はここまでになります
-帰路-
阿武隈「……」
時雨「阿武隈、どうかしたのかい?」
阿武隈「ふぇ!?ううん…な、なんでもないよ」
北上「阿武隈っちって、嘘つくときは必ずドモるんだよね~」
阿武隈「た、大したことじゃないんだけど、その…さっきの鎮守府の提督さん、なんか…」
北上「…感じ悪いってんでしょ?」
阿武隈「え!?」
夕立「へ?なんで、どーして?」
島風「やさしそーな人だったじゃーん」
白露「ねー、あたし等にもすっごい親切だったし」
北上「私はアイツ、きらーい」
阿武隈「き、北上さん?」
北上「ん、別に理由とかないけどね~。直感?」
阿武隈「私も、なんだか余り好きになれないって言うか。あの表情が、作ってるようにしか見えなくて…」
-鎮守府-
北上「第四艦隊、帰ってきましたよ~!あっ、提督ぅ~、たっだいま~!」
提督「おう、後輩からも連絡貰ってる。感謝してるぞ。思った以上に早く帰ってこれたみたいだしな」
阿武隈「ヒトキューサンマル…予定より三十分早かったんですね」
提督「間宮さんに話してお前達の食事用意してもらってるから、食って来い。特別に口添えしてお前達だけデザ
ートは間宮さんのスペシャルメニューだ」
夕立「ほんとー!?」キラキラ
白露「やったーっ!」キラキラ
時雨「楽しみだ」
島風「食堂へちょっこー!」ドタタタタッ
提督「あっ、こら!走るんじゃない!」
ダッテハヤイモンッ!!
提督「意味わからんって…」
北上「ふっふ~ん、提督ぅ~、良いねえ、しびれるねえ…!」
提督「ん、褒めてもこれ以上は何もでんぞ」
北上「うふふ、ありがとね♪間宮っちにもお礼言っとく~」テクテク
阿武隈「北上さんも、ちょっとだけ、いい所、あるかも?」
提督「なんだそりゃ」
阿武隈「ふふ、内緒です。私も食堂いってきます!」タタタッ
提督「なんだありゃ?」
ツンツン
提督「ん?なんだ、時雨」
時雨「軽空母の龍驤って子が提督に会いたがってたよ。前の鎮守府でも提督は慕われていたんだね」
提督「はは、龍驤か」
時雨「ウチは元気やったって、伝えて欲しいと伝言を頼まれたさ」
提督「ははは、そうか。元気でやってるか!っていうか、時雨の関西弁も中々だな?」
時雨「そういうのは恥ずかしいからやめてほしいな。彼女の言葉をそのまま伝えたいと思ったまでだよ」テレ
提督「そういう所が時雨らしくていいよ」アタマポンポン
時雨「ふふ、それじゃ僕も食堂へ行くね」ニコッ
提督「ああ、間宮さんのスペシャルメニュー味わって来い」
時雨「うん、勿論さ!」
今回、とある鎮守府の危機(?)は去った。
果たして次回はどんな騒動が巻き起こるのか?
-次回-
新しい艦娘の加入と共に各艦隊の部隊にバリエーションを増やす事に。
そして提督の先輩より提案される大規模演習戦。
その結果はどうなるのか。
次回:大規模演習戦実施
-あらすじ-
前回、妖精さんのウッカリで資材&食料危機に陥ったとある鎮守府。
北上率いる第四艦隊の活躍によってその危機は収束した。
さて、今回はどんな物語なのか……。
-母港・午前5時00分-
提督「ふあぁ~、早起きは三文の得っとはいうものの、やっぱ朝は暇っすねえ…」テクテク
提督「はぁ、夏も近付いてきて朝の空気もまた一段と気持ちよくなってきたなぁ」
??「…提督?」
提督「うぉ!?だ、誰だ!」
赤城「あ、すみません。赤城です」
提督「おぉ、赤城か。てかお前起きるの早いな」
赤城「そうでしょうか?いつもこれくらいの時間ですよ」
提督「いつも!?」
赤城「朝方のピンッと張った空気を胸いっぱいに吸い込んで、心を落ち着けるんです。今日も一日頑張るぞって」
提督「なるほどねぇ。はは、俺には真似できないわ」
赤城「雑念を捨てて心を無に、静かに座すると自ずと凛とした気持ちに成れるもので…うふふ、不思議ですね」
提督「あっはっは…雑念ばっかりだわ」
赤城「うふふ」
提督「そういや今日は新しい艦娘達が着任するんだったな」
赤城「そうなんですか?」
提督「あぁ、この間資材を投資して妖精さんに建造を依頼したんだよ。赤城は他の鎮守府からの異動だったけどな」
赤城「榛名さんに忘れられてあの時は少ししょんぼりでした」ニガワライ
提督「ははは!ホントにな?時々あいつは抜けてるからなぁ」
榛名「くしゅん!ムニャムニャ…」
赤城「そんな事言ったら可哀想ですよ?」
提督「へぇへぇ、大体皆榛名の味方だからな」
赤城「ふふっ、榛名さんは見てて愛くるしいですからね。一緒に居るとこちらまで楽しくなってきます」
提督「秘書艦冥利に尽きるだろうなぁ。さて、それじゃ俺は建造ドックを少し覗いてくるよ」
赤城「はい、また後で」
-建造ドック-
妖精「オハヨー」
提督「おはよう」
妖精「アタラシイカンムスー、サンニン!」
提督「おう、さんきゅーな。それぞれ自己紹介を頼む」
??「私が、戦艦長門だ。よろしく頼むぞ。敵戦艦との殴り合いなら任せておけ」
提督「陸奥の姉さんか。頼もしい限りだ」
??「瑞鳳です。軽空母ですが、錬度があがれば、正規空母並の活躍をおみせできます」
提督「そいつは楽しみだ。期待してるぞ」
??「羽黒です。妙高型重巡洋艦姉妹の末っ子です。あ、あの…ごめんなさいっ!」
提督「何故謝った…?ゴホン、まぁとにかくだ。投入した資材に見合う艦娘の着任に満足している。よくぞこの
鎮守府へ着任してくれた。三人とも、今日から宜しくな!」
長門「ビッグセブンの名に恥じない働きをしてみせよう」
瑞鳳「私だって負けないんだから!」
羽黒「こんな私ですが、せいいっぱい頑張ります!」
提督「」(長門は流石の貫禄だな。瑞鳳は…ちっちゃい、と…羽黒はなんか神通に似てるなぁ)
瑞鳳「提督、今なんかすっごく失礼なこと想像しませんでした?」
提督「へ?」
瑞鳳「むー…」ジトー
提督「し、してないしてない。ほんとダヨ?」
長門「提督、随分と朝早いように感じるが、まだ皆起床はしてないのか?」
提督「ん、ああ。今日はちょっと俺自身が早起きしてな。鎮守府内の案内は秘書艦に任せる。取り敢えず毎度朝
のミーティングは食堂で一同会して行ってるから、そこへ移動しようか。案内する」
-食堂-
提督「……と言う事で、今日から新しく着任した三人だ」
榛名「提督」
提督「うん?」
榛名「長門さん達が着任して編成にもバリエーションが出来るのはいい事ですが、第五艦隊まで編成するには人
数が逆に不足してるように感じます」
飛鷹「榛名は秘書艦だから、例え抜けて提督の護衛兼任として勤めたっていいけど、私達はそうは行かないじゃ
ない?その辺りどうやって編成していくのよ」
提督「ここ数ヶ月の任務スケジュールを各艦隊毎に見てたんだが、第一艦隊は深海棲艦撃滅任務や敵の本拠地征
圧任務など特に激務だ。第三艦隊と第四艦隊に至っても長期遠征が多い。無論、そのどちらも行うことがある第
二艦隊の危険が多いのも事実だ」
川内「けど、ここ最近は私達だって提督の方針以上の事をしようって思って動いてる訳じゃない。危険だと感じ
れば素直に撤退もしてるし、特に危険を犯してる感じじゃないと思うんだけどな」
提督「まぁそう急くな。長門たちが入ってきてくれた事で鎮守府内での演習任務に着ける機会も多くなる。全体
の錬度を向上させる切っ掛けにもなる訳だ。今までは決められた艦隊に決められた人員で対応してきたが、今日
のミーティングを有効活用してそれぞれの割り振りなんかを決めていきたいと思う」
木曽「それじゃ今日は全ての艦隊が任務無しってことか?」
北上「ず~っと話し合い?」
提督「ま、そういうことだな。さっきも飛鷹が言ってたが、実はそれに近い案として出そうと思っていたのがあるんだよ」
飛鷹「え、そうなの?マジで提督専用の護衛艦ってこと?」
提督「ははは、違うよ。秘書艦の榛名には特定の旗艦としての職務は今後固定されないとだけ言っておく」
榛名「つまり縛られずにあらゆる状況に対応しろ、ということですね?」
提督「そういう事だ。各艦隊毎にはその艦隊で任務を遂行するに当たって適した人員をそれぞれ割いていく」
陸奥「えっと、つまり…殲滅任務だとか、制圧任務だとか、そういうので部隊を編成していくという事ですか?」
提督「ま、そんな所だな。勿論、お前達の能力を鑑みた上で、部隊間の異動も常に検討していく。一度決まった
からといって、ずっとその艦隊というわけではないという事だ」
夕張「スタメン、サブメンで割り振られてもずっとそのままじゃないって事ね」
暁「頭の中がこんがらがってきた…」
電「」(@ω@)
響「既にグロッキーが一名」
提督「ははは…と、取り敢えずあとで噛み砕いた説明でもしといてくれると助かる」
響「了解。あとで私のほうから説明しておく」
提督「では基盤となる部隊の旗艦の振り分けを発表する。第一艦隊の旗艦は長門、陸奥お前達二人にそれぞれ任
せる。第二艦隊の旗艦は川内、利根の二人。第三艦隊は木曽、衣笠の二人。第四艦隊を北上、飛鷹の二人だ」
長門「提督、私はまだ着任して日が浅いというレベルではない。本当にいいのか?」
提督「だから二人選抜してるんだ。陸奥、長門のサポートは任せるぞ?」
陸奥「はい、お任せ下さい!大丈夫よ、姉さん。私達が組めば負けはないわ!」
長門「う、うむ。そうだな」
提督「川内、利根についても同様だ」
川内「はい!」
利根「んむ、我輩に任せよ!」
提督「第三艦隊、木曽と衣笠、この部隊には斥候、偵察を主とした任務を割り振ることが多い。肝に銘じておいてくれ」
木曽「おう、どんとこいってんだ!」
衣笠「衣笠さんにお任せ!」
提督「で、第四艦隊…」
北上「ふふふ~♪」
提督「北上じゃなく阿武隈のほうが良かったか…」
北上「え、ちょ、提督~!」
飛鷹「第四艦隊はどんな任務が主になるの?」
提督「ああ…最近、近海にも頻繁に深海棲艦が出現してるのは知ってるな?」
飛鷹「うん、昨日も鎮守府近海にいたのを沈めたわよね」
提督「それらの警戒態勢をとるのを目的に活動することが多いのが第四艦隊だ。雷撃火力の高い北上と索敵能力
のある飛鷹、それに日向も随伴させての哨戒任務に従事してもらう機会が多い」
日向「お任せください!」
提督「他の者の配属先はプリントアウトしてある資料で各自確認すること。あとは各艦隊で集まって情報交換で
もしてくれ。一通り終わったら今日は全員自由時間だ」
ここで一度休憩します
再開します
-第一艦隊-
榛名「こちらに随伴する機会が最も多いと思うので、私もこちらで話し合いに参加したいと思います」
提督「俺も話し合いの輪に参加させてもらうかな。なんせ新増艦の子達全員第一艦隊だからな」
陸奥「全員揃ったかな?」
長門「うむ、問題ない」
瑞鳳「き、緊張するぅ…」
羽黒「ど、どうして私なんかが第一艦隊…」
赤城「そ、そう緊張せずに、ね?」
長門「しかし、栄えある第一艦隊に元居た者達、よく不平不満を漏らさないものだな」
陸奥「ふふっ、それは多分、提督の人徳じゃないかと」
赤城「そうですねぇ」
提督「褒めても何もやらんぞ」
榛名「では、基本的な陣形等を話し合いましょう」
長門「私と陸奥は火力にこそ自信はあるが足回りに若干疎いのも事実だ。榛名の様な高速戦艦と速度を競われれ
ば十中八九、私達に軍配は上がるまい」
榛名「ですが46cm三連装砲などを利用すれば、超長距離からの一方的なアウトレンジ作戦も可能です」
赤城「私と瑞鳳ちゃんの艦載機による爆撃艦攻もありますから、先制の火力は絶大ではないでしょうか」
陸奥「身動きが取れなくなったところを、一点砲火の火力ある神通や羽黒に勤めてもらう」
瑞鳳「頑張る!」
神通「はい!」
羽黒「は、はい!」
提督「よし、それじゃその調子で演習とかで動きの確認とか諸々してくれ」スタスタ
榛名「はい、解りました!」
瑞鳳「あ、あの…提督って今さっき左手の薬指に指輪光ってましたけど…」ヒソヒソ
赤城「うふふ、榛名さんと契りを交わしてるわね」ヒソヒソ
神通「とてもお似合いだと、私は思います」ヒソヒソ
瑞鳳「ほぇー…」
榛名「どうかしたんですか?」
瑞鳳「へっ!?あっ、いえっ、なんでもないです!」カオマッカ
榛名「???」
-第二艦隊-
川内「皆揃ったかな」
利根「新着した娘達は皆第一艦隊へいったようじゃな」
島風「私も第一艦隊がよかったー!」
夕張「島風ちゃんは元気よねー」
白露「纏めて移された感が否めない」
時雨「ふふ、確かにね」
夕立「第二艦隊は何を主任務にするんだろう?」
川内「私達は基本的に遠征任務が主だね。私や利根さんには結構馴染みかなぁ」
利根「そうじゃな。まぁ油断はせず、それでもんびりとゆくかのう」
提督「なんだ、ここは怠け相談か?」
利根「んな!?」
川内「ち、違うってば!」
提督「冗談だよ。利根が居るのに怠けれるわけないだろ」
川内「私が居るからじゃないの!?」
提督「お前直夜戦って叫んで飛び出すだろ」
夕張「くくく……」プルプル
島風「あはははは!」ケラケラ
川内「もー!笑うなーっ!」
-第三艦隊-
木曽「よぉし、全員あt鈴谷「チーッス、鈴谷でーっす!」☆(ゝω・)v
まるゆ「はわわわ……」ガクブル
電「どうしたのです?」
まるゆ「き、木曽さんの台詞に言葉を被せるなんて、自分から死刑台に立つようなものです…」
暁「鈴谷のアレは今に始まったことじゃないと思うけど」
木曽「て、てめぇ…」プルプル
鈴谷「へ?」
衣笠「鈴谷、木曽は私達の旗艦なんだから、立てなきゃダメだって」
鈴谷「あっ、そっか。めんごめんごー♪」
木曽「」プルプルプルプル
提督「ん、木曽は何小刻みに震えてんだ?風邪か?」
木曽「ちっげぇよ!」
提督「さて、最初に説明してあったが、第三艦隊は斥候と偵察が主な任務になる。速力のある木曽達に合わせて
まるゆの潜水性能を生かしてもらう」
まるゆ「あ、あの、隊長…まるゆはここにいても本当にいいんでしょうか?」
提督「ん?」
木曽「はぁ、またかよ…」
まるゆ「だ、だって…」
提督「海軍工廠出身かどうかがそんなに重要か?」
まるゆ「え?」
提督「俺なんてここでの在歴はまるゆよりも少ないし、艦娘みたいに強くもないし、むしろ守って貰わないと困
る立場だ。居ても良いかどうかなんて、周りを見れば一目瞭然だろう」
肩組み ガシッ
まるゆ「はわっ!?」
木曽「細かいコトを一々グチグチ言ってんじゃねぇよ。てめぇは栄えある木曽様の第三艦隊のもぐらだろーが」
まるゆ「も、もぐらじゃないもん!まるゆだもん!」
衣笠「ふふふ」ニコニコ
電「電もできるサポートは頑張るのです!」
暁「まぁ、仲間を助けるのはレディとして当然の務めよね」
鈴谷「細かいことまるゆちゃん気にしすぎー」
提督「お前は少し細かいことに気を配れ」
鈴谷「」(;・ω・)
提督「話脱線したけど、とにかくこの間の深海棲艦の件もある。半年前にはこの鎮守府も急襲されている。今後
の敵の動きに注視しながら、任務には当たってもらいたい」
全員「「「了解!(です!)(なのです!)」」」
-第四艦隊-
阿武隈「また北上さんと一緒、また北上さんと一緒、また北上さんと一緒……」ブツブツ
日向「だ、大丈夫か?阿武隈…」
響「駆逐艦は私だけ、か」
ゴーヤ「新顔沢山でちね!」
イムヤ「潜れるのは私とゴーヤだけみたいね」
飛鷹「個性豊かって感じね」
北上「飛鷹っちも十分個性豊かだっての」
提督「さて、こっちはどうだ?」
飛鷹「あ、提督」
北上「んお、どうって、何が?」
提督「北上ぃ、言ったよなぁ、話し合いをしようねって、言ったよなぁ」ニコニコ グリグリ
北上「あっひょ、ちょ、いった、痛い、痛いってば、提督、ごめんって!」ジタバタ
提督「飛鷹も旗艦を務めるんだから頼むぞ?」
飛鷹「わ、解ってるわよ!ただ、その…」
提督「ん?」
飛鷹「ど、どうすればいいのか、わかんないのよ…」
提督「自分じゃ他の艦娘を纏められないってのか?」
飛鷹「榛名や川内、木曽みたいな戦略眼なんて私には…」
提督「いいか、飛鷹。確かに今お前が名前を挙げた艦娘達は戦線に立って戦況の流れを読みつつ戦術を組み立て
られるかもしれない。だがそれは先んじてお前や赤城、利根なんかが敵の種類、数、編隊を艦載機を使って報告
してくれるからなんだ」
飛鷹「え?」
提督「なんで彼女達は自信満々に見えるか、わかるか?」
飛鷹「そ、それは艦隊の皆を信用してるから…」
提督「はは、なんだ、解ってるじゃないか。そうだ、飛鷹が言うように、榛名も川内も木曽も、皆仲間を信じて
るから的確な判断、決断が出来る。普段から艦載機の整備を怠ってないお前を信じない奴がこの中にいると思う
か?赤城がいなかった頃、どれだけお前の放つ艦載機に皆助けられてきたか、お前以上にそれを解ってるのは、
周りに居る皆だ」
北上「そーそー、飛鷹っちは自信をもって皆を牽引すればいいのさ~」
提督「全く…癪だが、北上の言うとおりだ。自信を持て。誰よりも仲間のことを思える第一艦隊に居たお前に、
自信が無いわけがないだろう。それを見せてくれ」
北上「癪ってどーいうことさ~!」
飛鷹「ふふふ、解ったわよ。ありがとう、提督」
北上「……!」アゼン
飛鷹「な、何よ…」
北上「飛鷹っちが、提督にお礼を言うなんて…」
飛鷹「お、お礼くらい何よ!」
提督「はっは、元気があっていいな。その調子で飛鷹、話し合いの方も進めてくれよ」
飛鷹「ええ、北上には任せておけないものね」
北上「んなっ!?」
ワーワー ギャーギャー
本日はここまでにします
本日も宜しくお願いします
-執務室-
提督「はぁ、なんでこんな疲れてんだろ、俺…」
コンコン ガチャ
榛名「失礼します。提督、珈琲です」
提督「お、悪いな」
榛名「いいえ、疲れてるなって顔、してましたから」
提督「む、そうか?それはそうと、陣形やなんかの演習訓練はいいのか?」
榛名「第一艦隊のチームワークという意味での錬度は確実に高いと思いますし、それに何故か──」
陸奥「榛名は提督にお茶でも持ってってあげなさい」
神通「なんだかお疲れの様子だったので…」
長門「うむ、こちらは問題ない。むしろここから先の練習は私や瑞鳳、羽黒が必要な練習だからな」
赤城「いってらっしゃい、榛名さん」ニコニコ
榛名「──みたいな感じで、半ば追い出されちゃいました」
提督「なんだそりゃ…」
榛名「あ、そう言えば先ほど他の鎮守府から電文が届いてました」
提督「他の鎮守府から?どれだ?」
榛名「えっと、昨日の演習報告書の上に重ねて置いたはずなので…あ、これですね。どうぞ」
提督「おう、さんきゅー。えーっと…」
-電文-
やあ、ヒヨっ子くん。久しぶりだね。
君が鎮守府に着任して、異例の早さで少佐、中佐、大佐と駆け上がったのを見たときは上も焼きが回ったなと欠伸が出たものだ。
が、戦績を見てみれば私でも驚くほどの戦果を挙げていたのには正直驚かされたよ。
それから鎮守府を異動して直、丁度半年前だったな。深海棲艦による鎮守府急襲には肝を冷やしたものだ。
君がその事件の渦中に居て、艦娘を庇って重篤になったと聞いたときは流石の私も目眩が起こったほどだよ。
短い期間だが私が手取り足取りで教えた生徒だ。気が気じゃなかったが、任務を放り出すわけにも行かなくてね。
おっと、少し話が脱線したかな?
とにもかくにも、今では大佐になった君に、一つ実戦を想定した大規模な演習戦を提案したい。
互いに第三艦隊までを随伴させ、そこでの昼戦、夜戦を行いたいと考えている。
攻め側、守り側でそれぞれ攻守を交代しての大規模戦。
今後想定されるであろう深海棲艦との総力戦を想定してのものだ。
いい返事を期待しているよ。
追伸
艦隊の指揮は艦娘に任せても構わないし、提督が行っても構わない。
それと、もしも万が一私の艦隊に勝てるようなら特別ボーナスで一定量の資材一式をプレゼントする。
いい演習戦が出来ることを期待しているよ( ´ー`)
-執務室-
提督「大規模な実戦形式の演習戦か…っていうかヒヨっ子くんって…つか最後の顔文字、ムカつく…」
榛名「……」クスクス
提督「榛名…?」
榛名「……」マガオ
提督「今笑ったよね?ね?」
榛名「はい、榛名は大丈夫です!」マガオ
提督「こいつ…」
榛名「提督=ヒヨっ子くんっと…」メモメモ
提督「お前今何をメモしたぁ!」
榛名「い、今は榛名、お相手できません!」ダッ
提督「ま、まちやがれ!」ガタッ
ドタドタドタ! バタン!
提督「はぁ、もう…この先輩苦手なんだよなぁ。っていうか、いい加減この呼び方やめてくれよ…」
ちょっと続き思い浮かばないので、本日はここまでになります
-食堂-
提督「……って事で、今や中将様にまでなってる俺の先輩からのご提案だ」
榛名「……」プルプル
赤城「榛名さん、どうかしたんですか?」
榛名「ふぇ!?あ、いえ、なんでもないです!」チラッ
提督「」(くそ、あいつめ…)チラッ
提督「ゴホンッ、まぁこの間暁と電が錬度の向上から改装し、改へと上がった。今までは各艦隊で演習場を利用
しての錬度向上や、深海棲艦を相手取っての実戦経験からの錬度向上を目指していたが、前者は意外と難しい部
分も多いし、後者は危険を伴う。今回の模擬弾を採用した演習実施に関しては俺としても非常に興味深いものも
多いんだ」
長門「確かに、実戦経験が現状ゼロの私達にとっては願っても無い好機だ」
瑞鳳「腕が鳴るわね!」
羽黒「だ、大丈夫でしょうか…」
提督「今回はオールスターのようなものだ。相手は中将様の率いる艦隊だ。艦隊の錬度も当然高い。だからって
胸を借りるなんて甘い考えでは挑まない」
陸奥「どういう事ですか?」
提督「つまり…」ニヤッ
利根「つまり、なんじゃ?」
提督「勝ちに行く。中将殿の鼻っ柱をへし折れるまたとないチャンスだしな」
木曽「へっ、珍しく提督が熱く語るじゃねぇか。嫌いじゃないぜ、そういう姿勢」
北上「な~んか面倒だなぁ」ネソベリー
提督「北上、言っておくが先輩の艦隊には恐らく大井がいるぞ」
北上「」ガバッ
北上「大井っちいんの!?」
提督「以前に先輩の鎮守府に招待された時に居るのは見たな。ま、とにかく…そんな中将様の率いる艦隊を相手
に勝利を収められるとするなら、お前達の戦意高翌揚にも繋がり、自信の裏付けにもなる訳だ」
陸奥「艦隊の構成はどうするの?」
提督「それなんだがな────」
────────
────
──
──
────
────────
利根「ほぅ、それは面白そうじゃの」ニヤ
提督「だろ?」ニヤ
飛鷹「やれるかな?」
提督「言っただろ。上から目線の中将艦隊の鼻っ柱をへし折ってやるチャンスだってな。その為の提案と駆け引きだよ」
-演習日当日-
先輩「よう、ヒヨっ子」
提督「だからぁ!その呼び方もう止めて下さいつってんでしょうが!」
先輩「あっはっは。私にしたらあんたはいつまで経ってもヒヨっ子なんだよ」
榛名「じ、女性の提督さんだったんですか!?」
提督「ん、ああ。紹介したことはなかったな。俺に戦術指南をしてくれた先輩提督だ」
先輩「ほぅ、君が榛名か。今日はお手柔らかにね。それと、金剛型四姉妹、実はうちにも一人居るのよ」
霧島「久しぶりね、榛名!」
榛名「ああ!霧島ぁ!あれ、メガネ変えたの?」
霧島「あぁ、これね。ええ、提督からの錬度上達のお祝いにね。榛名、今日は負けないわよ!」
榛名「私だって!」
先輩「ま、中将の擁する艦隊の錬度と戦術、たっぷりを見せてあげるわよ?」
提督「さようで…けど、俺も胸借りる気はないんでね」
先輩「あら、言うようになったわね?」
提督「勝たせてもらいますよ?中将殿?」
先輩「言ってなさい。さて、それじゃ貴方からの提案も加味した最終的なルールを提示するわ」
-ルール-
1.艦隊編成は艦種、人数、陣形、そのどれもが縛られないものとする。
2.海域は現在居る海域を鎮守府近海と想定し、各艦隊の配置場所もこれを固定はしない。
3.実戦を想定する演習である以上、奇襲・強襲の類の偶発的な戦闘が開始されることもある。
4.旗艦を司令官と見做し、これを大破させた時点で勝利が発生する。
5.ただし上記4.に関し、旗艦を含めて合計六隻、大破に追い込まない限り勝利は発生しないものとする。
6.互いの艦隊の大破数を加味し、互いの差が六隻以上に開いた時点で、被害の少ない方を勝利とする。
先輩「こんな所かしら?」
提督「感謝します」
先輩「別に良いわよ。可愛い後輩からのお願いじゃあね?それに今日一日で終わる演習じゃないもの。細かい設
定があればあるほど、尚のこと実戦向きになる。それで、今日はどちらが防衛側に回るのかしら?」
提督「俺たちの部隊が、まずは防衛側として回ります」
先輩「オッケー。それじゃ準備しましょうか。実戦向きなわけだし、余り互いに挨拶をするのも良くないわよね」
提督「北上が大井っちがいないって喚いてたが、まぁ気にしないでおこう」
北上「」ヽ(゛`Д´)ノ
先輩「ふふっ、北上、だったわね。球磨型軽巡の3番艦。安心なさい。大井も貴女には会いたがってた。最も、
それが叶うのは今日の演習戦場とその後の打ち上げのときだと思うけどね?」
北上「」ヾ(・∀・)ノ゛
提督「単純な奴…」
今日はここまでー
-防衛戦-
提督「さて、まず俺たちは防衛を行う。無論、どんな作戦でくるかまでは明確な予想はできんが、旗艦の榛名が
落とされる事態になった時点でこちらの詰み、投了だ。つまり榛名を司令官と見立て、同じくあちらの旗艦を司
令官と見立てての演習になる。狙うは司令官、旗艦の首だ。防衛側としての動きは全員解ってるな?」
────────
────
──
提督「真正面からぶつかって勝てる相手じゃないのは明白だ。だから、要所で策を弄する」
長門「だが、どう策を弄するのだ?」
提督「キーワードは、囮、篭城、挟撃だ。説明を始める」
──
────
────────
提督「恐らく相手は艦隊を三等分し、それぞれの任務に適した戦力分散を計って蹂躙してくるはずだ。横綱相撲
って奴だな。先遣隊でこちらの力量と戦法を計り、そこで削れるだけ削って次の中核隊で致命的な打撃を負わせ、
最後に主力艦隊でトドメを刺す。ここに一つ目の策を弄する。この先遣隊を圧倒的な戦力を持って完膚なきまで
に制圧する」
陸奥「一番最初にこちらの主力をぶつけるという事?」
提督「いや、先遣隊に相手の旗艦が含まれてるわけがない。だから、騙すんだ。先遣隊の目に、今相手している
のはこちらの主力艦隊だとな」
-攻撃側-
高翌雄「どの辺りに潜んでいるのかしら?」
阿賀野「愛宕さん、水上偵察機は?」
愛宕「今のところ反応は…あっ!艦隊発見!」
Z 1「艦隊戦か…良し、行こう」
Z 3「出撃か…了解」
能代「高翌雄さん、艦隊陣形の指示を宜しくね。阿賀野ねえもちゃんと大丈夫?」
阿賀野「もっちろん!最新鋭軽巡、阿賀野、出撃よ!」
-防衛側-
飛鷹「こっちに気付いたわね」
利根「皆、準備はよいな?」
夕張「勿論!」
日向「暴れてやりましょう!」
阿武隈「やってやるんだから!」
長門「よし……すぅ、はぁ…第一戦隊、出撃するぞッ!!」
『第一戦隊、出撃するぞッ!!』
高翌雄「え!?」
Z 3「そんな…!」
能代「うっそ……」
────────
────
──
提督「旗艦は長門、君に任せる。サポートを利根と飛鷹で頼む」
長門「私のネームシップで威嚇、高らかに宣言しての開戦。虚を突くには十分だな」
──
────
────────
阿賀野「長門型戦艦、ネームシップの長門って…斥候隊で出てくる名前じゃないじゃないのよー!」
愛宕「それじゃ、まさかあれ、主力艦隊!?」
能代「想定外だけど…一人でいい、急ぎ戻ってこの状況を中核隊に報告しましょう」
Z 3「私が行こう」
Z 1「僕がマックスの援護に出る」
飛鷹「案の定、駆逐艦を報告に戻したわね。ここまでは想定内。夕張、行くわよ!」
夕張「ラジャー!」
────────
────
──
提督「相手は恐らく提督との通信や周りの艦隊との通信をはじめは行わない。より、実戦的な状況を作り出す、
提案の内容も一つの策だ」
飛鷹「こっちは最初から全ての艦隊と提督とのネットワークを開示した状態にして、連携を図るのね」
──
────
────────
飛鷹「いくわよ!攻撃隊、発艦開始!」ビュッ ビュッ
Z 1「くっ、艦載機か!」
Z 3「レーベレヒト!」
Z 1「僕には構わずに中核隊の下へ、早く!」
夕張「そうは問屋がおろさないってね?」
Z 1「なっ!」
夕張「悪いけど、ここで全員に沈んでもらうわ!」ドォン
Z 3「きゃっ」ボボン 小破
Z 1「くっ」ボォーン 被害軽微
阿賀野「ドイツ姉妹が!」
能代「ダメ、援護に回れない!」
長門「ビッグセブンの力、侮るなよ!私に続けぇ!全主砲、斉射!撃て!!」ドォン
利根「ゆくぞ!」ドォン
日向「航空戦艦の真の力、思い知れ!」ドォン
阿武隈「やるときはやるんだから!」ドォン
高翌雄「きゃあっ!」ボンッ 小破
愛宕「高翌雄さん!くっ!」ダァンタ ゙ァン 至近弾
阿賀野「能代っ!」サッ
能代「えっ!?」
ドォン
能代「阿賀野ねえ!」
ドドドンッ
阿賀野「うっ……」大破
提督『一瞬でも隙は見せるな。全力でいけ!』
長門「了解だ。一気に決めるぞ!」
飛鷹「悪いけど、手は抜かないわよ!全機爆装!さあ、飛び立って!」ビュンビュン!
Z 1「まさか、いきなり主力艦隊でくるなんて…参ったね、Gute Nacht.」ボォン! 大破
夕張「開幕は、私達の作戦勝ちね」チャキ
Z 3「先を制されては…どうしようもないわね」
-先輩陣営-
先輩「先遣隊が戻らない…?」
??「やはり、貴様が自ら指揮を執る方が良策かもな。安穏と構えてられるほど、貴様の後輩提督は緩くはなさそうだぜ」
先輩「機先を制す、か…やってくれるじゃない。これじゃもうヒヨっ子とは言い難いわね。全ての通信を開示、
武蔵、貴女も準備を急ぎなさい」
武蔵「フッ、随分と待たせてくれたな。この戦、武蔵に任せてもらおうか!」
-提督陣営-
提督「出鼻は挫いた。先遣隊を態勢を立て直させないで制圧できたのは大きい。長門、上出来だ」
長門『私だけの力ではないさ』
提督「いや、初陣として物怖じせず、見事に陽動役の旗艦を務めたその器は伊達じゃない。賞賛に値する。さて、
皆も聞こえてるな?この奇策はこれ以上は通用しない。恐らくこれで向こうも本腰を入れて攻めてくるだろう。
ただし、こちらの旗艦を長門と誤認してな」
榛名『提督、次の指示を!』
提督「次はこちらも中核隊を布陣して相手の艦隊を迎え撃つ。旗艦は川内、頼んだぞ」
川内『任せてよ!』
提督「メンバーの確認を取る。旗艦は川内、随伴艦は赤城、瑞鳳、羽黒、イムヤ、ゴーヤだ。空、海上、海底か
らの波状攻撃を仕掛ける。特に川内と羽黒だが、二人には踏ん張ってもらうことになる。川内には敵の注意を海
上にひきつけ、空と海上に注視するように仕向けろ。羽黒は赤城と瑞鳳の援護に回れ」
羽黒『が、頑張ります!』
川内『肩の力を抜こうな、羽黒。私達ならやれるって!』
羽黒『は、はい!』
提督「ここで赤城と瑞鳳には徹底的に艦爆の雨あられを降らしてもらう。夜戦へと移行するヒトナナマルマルま
で暴れまわってもらう」
赤城『夜間になってしまうと艦載機の子達も飛びたてませんからね』
提督「海上戦での一発に乏しいと思わせ、赤城と瑞鳳、間隙を縫ってのイムヤとゴーヤの魚雷による形勢逆転を
意識させる。ある程度時間が経過すれば四人しか居ないことに相手も不審を募らせ、索敵は更に慎重を期す」
イムヤ『その間に私達は相手に空母系がいるなら、それを狙って制空権を奪うわけね』
提督「ああ。制圧できれば良し。出来なくとも決戦を夜戦へ持ち込むくらいの時間は十分にある。それじゃ、頼んだぞ!」
-先輩中核隊-
先輩『……緒戦は惨敗。完全にしてやられる結果になったわ』
加賀「油断大敵、肝に命じます」
熊野「当然ですわね。ついでに先遣隊の分も含めて、今度は私達が一捻りで黙らせてやりますわ!」
高翌雄『皆さん、ごめんなさい』
五月雨「あ、高翌雄さん!」
高翌雄『何も申し開きが出来ません。完全に油断していました』
浦風「気にしたらまけじゃ。その分、うちらが踏ん張るけえね!」
加賀「では、皆さんいきましょう」
涼風「がってんだ!」
五十鈴「やってやるわよ!」
-演習海域-
瑞鳳「…!艦隊、発見しました!艦列は…輪形陣!」
川内「よし、陣形を複縦陣へ、赤城、瑞鳳、頼んだよ!イムヤとゴーヤは指示されたとおりに!」
空母's「「了解!」」
潜水's「「了解!(でち!)」」
川内「よし羽黒、いこう!」
羽黒「はい!」
熊野「艦隊発見ですわ!……四隻?潜水部隊が恐らく居ますわね」
五十鈴「隠れて近距離から加賀を狙おうって腹ね。させないわ!」
先輩『空を制する。加賀、頼んだわよ!』
加賀「ここは、譲れません」ビュン ビュン
川内「艦攻隊か!」
赤城「迎撃します!第一次攻撃隊、発艦してください!」ビュン ビュン
瑞鳳「瑞鳳。推して参ります!攻撃隊、発艦!」ビュン ビュン
ドンドンドンドンッ!!
瑞鳳「えっ!?」
赤城「そんな、相殺された!?」
加賀「やはり、赤城さんでしたか」
赤城「加賀さん!?」
加賀「そちらの提督と艦隊、素晴らしい活躍を見せていましたね。緒戦はしてやられましたが、これ以降は容易
くはありませんよ」
川内「赤城の知り合いなの?けど、今だけは敵同士だよ」
熊野「煩いのも一緒のようですわね」
川内「はあ!?」
加賀「赤城さん、すみませんがここまでです。そちらの旗艦である長門さん、否が応でも引き摺り出します」
提督『……聞いたな?戦略は変わらずだ』
川内「了解!」
赤城「負けませんよ!第二次攻撃隊、発艦してください!」ビュン ビュン
瑞鳳「続きます!攻撃隊、発艦!」ビュン ビュン
加賀「迎撃します。熊野さん、駆逐艦の子達と雷撃戦の準備をお願いします」ビュン ビュン
今日はここまでにします
おつおつ
目欄に半角で「saga」って入れとけば高雄もちゃんと変換してくれるよ
>>50
なるほど、助言ありがとうございます
ボボボボボン! 相殺
赤城「艦載数の差なの!?」
瑞鳳「また撃ち落された!」
熊野「承りましてよ!」
五月雨「よーし!」
涼風「雷撃戦、がってんだ!涼風の本気、見せたげるぅ!」
浦風「うちに任しとき!」
五月雨「お任せください!」
五十鈴「いつでも準備万全よ!」
熊野「さぁ、一捻りで黙らせてあげますわよ!砲雷撃戦、開始!てーっ!!」
ドドドドドドドドドン!!
川内「回避できるものは回避、それ以外は撃ち落とせ!」ドンドン
羽黒「はい!」ドンドン
ボボン
羽黒「うっ…」 小破
熊野「まだまだ、続きましてよ!」ドンドン
川内「させない!」ドンドン ボンッ
川内「くっそぉ…!」 中破
赤城「なんとしても、制空権を奪取します!」ビュン ビュン
瑞鳳「私だって!」ビュン ビュン
加賀「無駄です。赤城さんなら、お分かりかと思っていたのですが…」ビュン ビュン
────────
────
──
-提督陣営-
提督「微塵も隙なし、か…」
川内『ごめん、提督…第二艦隊、全滅だ。イムヤとゴーヤの潜水にも動じる様子なし。完全にバレてたみたいだ』
提督「そうか。だが、決戦は次だ。よくやってくれた、川内。榛名、聞こえるな?」
榛名『はい!』
提督「先輩の主力本隊を務めるのは大和型の2番艦、武蔵だ。長門や陸奥を大きく凌ぐ超長距離の高火力に加え
て並の攻撃程度は跳ね除けるほどの剛力の持ち主と聞く。注意してかかってくれ」
榛名『榛名は大丈夫です!』
-提督主力艦隊-
榛名「…皆さん、聞いての通りです。川内さん達は完敗。次が本決戦です」
陸奥「相手の旗艦を務めてるのが戦艦武蔵だったなんてね」
神通「それでも、負けたくはありませんね」
島風「とーぜん!私達でやっつけてやればいいのよ!」
北上「やっちゃうよー!今日はちょ~、やる気あるかんね!」
木曽「へっ、普段組む機会のない連中との艦隊戦なんて楽しくてしょうがねぇぜ!」
榛名「恐らく、会戦は日没間際…そこから夜戦へ突入の流れになると思います。夜戦を見越しての艦隊編成が逆
に裏目に出たかもしれません。相手に空母が居る場合、それを迎撃しないといけませんから…」
木曽「やってやろうじゃねぇか。一泡吹かせてんだ。もう一泡吹かせてこっちが勝つッ!」
提督『ははっ、いいぞ、木曽。その意気だ。頼んだぞ、皆!』
-先輩主力艦隊-
武蔵「緒戦から主力を投入しての電撃作戦。これにはこの私も驚嘆した。が、それもこれまで」
大井「そうですね。目に物、お見せするときでしょう」
霧島「相手艦隊のデータ分析はお任せ下さい!」
飛龍「いつでもいけますよ!」
武蔵「余り力むなよ?油断はできん相手だからな」
飛龍「解ってますって。たとえ最後の一艦になっても叩いて見せます!」
天津風「いい風ね。この風に乗って、勝利も掴み取りましょう?」
大鳳「ええ、本当に。心地良い風」
先輩『飛龍と大鳳はこの夕日が沈むまでに、相手を空に釘付けにしてやれ。君達の勝利を私は信じる』
────────
────
──
提督「打って出る事はしない。主力艦隊の配置場所には長門チーム。相手を迎え入れた上で、背後から主力艦隊
とで挟撃する」
長門『了解した』
榛名『了解です!』
提督「それと────」
──
────
────────
-対峙-
熊野「相手艦隊、確認しましたわ」
加賀「…妙です。先輩提督の情報では私達の鎮守府ほどではないにしろ、規模はある程度ある、と聞いています。
それが二艦隊分の艦娘しか擁してない。まさかこれは…」
長門「悪いが、長話に付き合うほど余裕がないのでな」(やはり、川内達との交戦で殆ど被害の出てない中核隊
を当ててきたか。ならば、一気に全て誘い込むには、この中核隊を制圧しなければならんか…)
飛鷹「正規空母相手は流石にきついかな」
夕張「大丈夫。フォローするわ」
────────
────
──
提督「────できるか、飛鷹」
飛鷹『…やってみる。ううん、やらせて!』
提督「よし、その意気だ。通信は常に開示されてある。俺も全力でお前を支える。だから思い切っていけ!」
飛鷹『了解!』
──
────
────────
飛鷹「長門さん、夕張、阿武隈、砲雷撃戦用意!」
五十鈴「軽空母が旗艦なの!?」
加賀「落ち着いて、これは…恐らく陽動です。本丸は……」チラッ
熊野「索敵してる余裕はありませんわ!」
加賀「大丈夫。優秀な子たちですから」ビュン ビュン
提督『冷静沈着な空母だな、加賀…完全に感付かれる前に相手の主力本隊を引きずり出すぞ!』
飛鷹「利根さん、日向さん、相手の機先を遅らせて下さい!」
利根「引き受けた!」
日向「任せてください」
長門「ゆくぞ!てーッ!!」ドォン ドォン
夕張「試し撃ちには、持って来いよね!」ドン ドン
阿武隈「負けないんだから!」ドン ドン
飛鷹「例え撃ち落とされようとも、何度でも!攻撃隊、発艦開始!」ビュン ビュン
ボボボボボンッ!! 制空権劣勢
-長門vs熊野・浦風・涼風-
熊野「足回りがお留守ですわ!てーっ!」ドン ドン
浦風「おどりゃあ!」ドン ドン
涼風「いっけぇー!」ドン ドン
長門「この長門型の…」ボボン!
長門「ビッグセブンの名は…」ボン!
長門「伊達ではないよ!」ボンッ!
熊野「す、全てを迎撃ですって!?」
浦風「いいや、当たっとるよ。けど…」
涼風「うへぇ…」
長門「フッ、効かぬわ。今度はこちらからゆくぞ!」
-飛鷹・夕張・阿武隈vs加賀-
加賀「軽空母に、軽巡が二隻…」
夕張「貴女が中核隊の旗艦ね」
阿武隈「落とします!」
加賀「ここは譲れません。押し通ります」
飛鷹「軽空母だからって、余り舐めないでよね!」
-利根・日向vs五十鈴・五月雨-
利根「さぁ、暴れてやろうかのぉ!」
日向「あぁ、そうだね!」
五十鈴「舐めないでよね!」
五月雨「がんばりますよ!」
五十鈴「先手必勝!いけーっ!」ドンドン
日向「甘いですね」ボボン 相殺
利根「その艦もらったぁ!」ドンドン
五月雨「おっと、それっ!まだまだぁ!」サッ ドンドン
五十鈴「ふんだ、五十鈴には丸見えよ!」ドンドン
ボボン
日向「ちっ!やるじゃないか…」 小破
五十鈴「まだまだ、こんなもんじゃないわよ!」
日向「それはこちらも同じ事だ。航空戦艦の真の力、思い知れ!」ドォンドォン
ボン
五十鈴「やだっ、痛いじゃない!この…!」ドンドン 小破
利根「くっ、至近弾だと?」 小破
五月雨「駆逐艦だからって、舐めないで下さい!」
利根「道理じゃ。我輩達は誰一人として舐めてなどおらぬわ!まだまだじゃ、まだ、この利根は沈まぬ!参る!!」ドンドン
五月雨「くっ…!」(す、凄い気迫…演習戦でここまで本気でくる人達なんて初めて…)ボン 小破
-長門vs熊野・浦風・涼風-
熊野「…正面は私が受け持ちますわ。お二人は側面、左右の至近距離から特大をお見舞いして差し上げて!」
浦風「ええね、それ!」
涼風「がってん!キツイの一発、決めたげるぅ!」
長門「」(錬度はあちらが格段に上だ。小細工はしない、正面から徹底的に叩く!主力艦隊への道、必ず切り開く!)
熊野「いきますわよ!」ドンドン
長門「やらせはせんよ!」ボンボン 被害軽微
熊野「もう一つ、おまけですわ!」バシュン
長門「倍にして返そうか!」ドォンドォン
ボォン
熊野「きゃぁ!くっ、今ですわ!」 中破
長門「ッ!?」
浦風「おどりゃあ!」ドンドン
涼風「喰ーらえー!」ドンドン
ボボボボンッ!!
長門「ぐっ…なかなかやるな…」 中破
涼風「も一つおまけに、持ってけドロボー!」チャキ
長門「侮るなと、言っただろう…」ギラリ
浦風「涼風──ッ!」
涼風「うっ…」
長門「退けェ!」ドンドン
ボォン
涼風「いーったいってばぁ!」大破
長門「たかが演習と、侮るなよ!」ギラッ
浦風「」(なんて気迫…!これが、戦艦の底力か)
-飛鷹・夕張・阿武隈vs加賀-
阿武隈「うぅ、攻撃当たらない」
夕張「むぅ~、澄ました顔してぇ…!」
加賀「斑のある動きが多いですね。それで先陣を切る軽巡洋艦を名乗るのは如何なものかと思いますが?」
飛鷹「あなたも無駄口が多いんじゃないの!」ビュン ビュン
加賀「心配には及びません。あなた達を仕切る提督の裁量の良さは熟知しているつもりです。集中を切らすほど
の無駄口は叩きません」ビュン ビュン
ボボボン
飛鷹「くっ、また…!」
加賀「鎧袖一触よ。心配いらないわ。次で終わらせてあげます」グッ
夕張「阿武隈!」
阿武隈「はい!」
二人「「いっけーっ!」」ドドドドン
加賀「くっ…」サッ
ボボボボン
加賀「…甲板に火の手、そんな」 小破
飛鷹「無駄口が多かったみたいね!」
加賀「…頭にきました」ビュン ビュン ビュン
飛鷹「な、なんなの、あの艦載機の数は…」
夕張「あれだけの数を一気に…!?」
加賀「みんな優秀な子たちですから、狙いは外しません」
ボボボボボン
夕張「あぁ!卸したばかりの武装がぁ!」 小破
阿武隈「いったぁ…うぅ、やっぱりあたしじゃムリなの?」 中破
飛鷹「飛行甲板が…!」 小破
提督『落ち着け、飛鷹。加賀は川内たちとの戦闘で連戦続き、補給をしてる暇はなかったはずだ。そろそろ…』
加賀「……」チラッ
飛鷹「皆、次発装填!」
加賀「…!」
夕張「オッケー、決めるわ!」チャキッ
阿武隈「…このまま負けるなんて、ヤダもんね!」チャキッ
加賀「…まだです。一航戦の誇り、穢しはさせません!」ビュン ビュン ビュン
本日はここまでにします
-利根・日向vs五十鈴・五月雨-
五月雨「まだまだ、これからです!」
利根「言うのう、五月雨!」
五月雨「やる時はやるんです!いきますよ、利根さん!」ドンドン
利根「甘いわ!」サッ ドンドン
五月雨「……!」(集中、集中!)サッ ドンドン
日向「くっ」(高い錬度だ。ヒット&アウェイでこちらの反撃を許さない身軽なフットワーク)サッ
五十鈴「ほら、そこ!」ドンドン
ボン
日向「ちっ、副砲を…当ててくるな。だが…!」ジャキッ
五十鈴「な、なに!?」
日向「目標補足。位置関係良好…狙い好し。喰らえ!」弾着観測射撃 ドン ドン
五十鈴「なっ、ピンポイント射撃ですって!?」
ボン ボン
五十鈴「きゃあっ」 中破
日向「ちっ、狙いが甘かったのか…こちらの想定を超える動きか。君の名は忘れないぞ、五十鈴」
五十鈴「何、勝手に勝った気になってくれてるのよ。まだよ!あんたは私が、この五十鈴が倒してあげる!」
-主力艦隊決戦-
榛名「長門さん達はまだ粘ってくれてるみたいですが…」
提督『大丈夫だ。相手が本腰を入れてきたことでまさかここまで顕著な開きがあったのは悔しいがな。お陰で
篭城作戦が袋のねずみ状態だ。だからこそ、挟撃に転じるしかない。一気に挟み込んで相手の中核隊を制圧し、
先輩の主力艦隊を出迎えてやろう』
陸奥「待って、あれはまさか…」
北上「げっ」
島風「さ、作戦バレてんじゃ~ん!」
木曽「中核隊の海域には目もくれず…」
神通「戦略眼は提督と同等か、それ以上ですね」
提督『伊達に中将名乗ってないってか…日没まであとマルマルヒトマル。相手の構成はどうだ?』
榛名「戦艦二隻、空母二隻、駆逐艦一隻、重雷装艦一隻です!」
提督『制空権は完全に向こうだな。くそっ!』
陸奥「いきましょう」
提督『すまん。完全に俺の戦術ミスだな』
北上「気にすることないっしょ~。それに、出鼻は挫いたじゃん?」
提督『ははは、確かにそうだな』
北上「さ~て、スーパー北上さま、いくよ!」
島風「連装砲ちゃん、一緒に行くよ!」
神通「神通、いきます!」
木曽「へへっ、本当の戦闘ってヤツを、教えてやるよ」
陸奥「いいわ、やってあげる!」
榛名「提督に、勝利を!」
武蔵「見えたな。総員、第一次戦闘態勢へ移行!この戦、何が何でも獲るぞ!」
霧島「当然です!」
大井「北上さん、いきますよ!」
飛龍「大鳳、いくよ!」
大鳳「ええ、そうね。この際、徹底的に撃滅しましょう!」
天津風「いい風…この風に乗っていきましょう」
飛龍「ヨシッ、第一次攻撃隊、発艦!」ビュン ビュン
大鳳「優秀な子たち、本当の力を見せてあげて!」ビュン ビュン
陸奥「迎撃するわ!」
榛名「解りました!」
ボボボボボン 迎撃成功
武蔵「ちっ、次いで大井、雷撃戦用意!」
大井「うふふ、相手が北上さんじゃ、燃えちゃいます」バシュン
榛名「北上さん!」
北上「お~まかせ~!四十門の魚雷は伊達じゃないから!」バシュン
ドゴォォン 相殺
大井「うっふふふ、北上さん、まだよ。まだ足りないわ!」
北上「大井っち、負けないかんね~!」
天津風「私についてこれるかしら?」
島風「ふーんだ。しまかぜのほうが速いもん!」
木曽「さぁ、俺に勝負を挑む馬鹿は何奴だぁ?」
飛龍「容赦はしません!徹底的に叩きます!」
木曽「へっ、上等だぜ!」
大鳳「最新鋭の装甲空母の本当の戦い、見せてあげる!」
神通「こんな私でも、提督のお役に立てる…決して負けはしません。神通、いきます!」
武蔵「長門型の二番艦、陸奥だな」
陸奥「あなたが旗艦ね」
武蔵「フッ、同じ二番艦同士、酒でも酌み交わしたいものだが、この場は徹底的にいかせてもらうぜ!」
陸奥「あら、奇遇ね?でも力比べなら負けないわよ。ビッグセブンの名を背負うものとして、ね!」
榛名「提督の作戦を看破してたのね」
霧島「そりゃあね?うちの提督も優秀ですもの」
榛名「同じ姉妹艦だとしても…」
霧島「ええ、私も負けてあげる気はないわよ、榛名!」
榛名「いくわよ、霧島!榛名、全力で参ります!」
────────
────
──
本日はここまでになります
提督「はぁ~…惨敗か」
先輩「これでも自慢の前衛艦隊をズタボロにされて内心穏やかじゃないんだけどね」
提督「さいですか」
先輩「それに見てみろ」
武蔵「はっはっは!貴様、いい飲みっぷりだな!」
陸奥「うふふ、やっぱり日本酒よね」
利根「よし、飲め!」
五月雨「む、無理ですってば!」
赤城「はい、加賀さん、どうぞ」ドッサリ
加賀「これは…流石に気分が高揚します」バクバク
熊野「あら、鈴谷さん、今日は演習に出てらっしゃらないみたいでしたけど?」
鈴谷「うっさいしー。私はこれからなの!」
北上「大井っち~」ヽ(。´3`)ノ
大井「うふふ、さっきまでの威勢が全くないですね」
木曽「ひでぇデレっぷりだな」
大井「あら、木曽さんもたまにはデレていいんじゃない?」
木曽「ばっ、ふざけんな!」
霧島「さぁ、榛名!飲みなさい!」
榛名「も、もう無理だから!」
霧島「なによぉ、私の酒は飲めないっていうの~?」
長門「うむ、貰おう」ヒョイッ
霧島「へ?」
長門「」グイッ
榛名「一気に飲み干した…」
長門「ヒック…」
霧島「ま、負けられないわ」グビッ
榛名「え?」
長門「ふふっ、ヒック…ビッグセブンの名は、伊達じゃ────スピー」
榛名「えぇ!?ちょ、ちょっと長門さん!?」
提督「はは、全く仲がいいんだか何なんだか。これじゃ明日は戦うの難しいだろうが…」
先輩「いいんじゃないか。いや、正直な、感謝してるよ」
提督「何がっすか」
先輩「私自身も、彼女達も、どこか慢心している部分があったんだろう。私は積み上げた実績と裏打ちされた実
戦経験の揺るがない自信。彼女達も、自分達が負けるはずがないという根拠ない自信に、どこか油断をしていた」
提督「けど実際に強かったですよ。比べ物にならないほどの錬度。洗練された連携と個々の粘り強さ。特に加賀、
彼女は本当に強いと感じた。飛鷹、夕張、阿武隈の三人を宛がっても大破に追い込むことが出来なかった」
先輩「それはお互い様なんだろうな。何人かは、そっちの娘達の気迫に呑まれかけた奴もいた。特に、大鳳が珍
しく他人を褒めていてな。神通とは二度と戦いたくないとさ。やさしそうな顔して素顔は鬼だと、辛らつながら
に褒めてたよ」
提督「それ、褒めてるって言うんすか…」
先輩「はっはっは。しかしこの有様では明日は流石に無理か」
提督「ですけどいい経験にはなりましたよ。最近着任したばかりの艦娘からも強い眼差しを感じましたしね」
先輩「しかしあの長門が実は実戦に近い経験がゼロだったとはな。そうとは思えない鬼神の様な活躍ぶりだったぞ」
提督「今は酔い潰れてるみたいですけどね」
長門「」スピー
先輩「まぁ、確か少し前にはオリョール海域の主力艦隊を撃滅したって話も聞いてたし、上も君の鎮守府を大き
く評価はしてるだろうね。私も先輩として鼻が高い」
提督「そう言えば、先輩は今……」
榛名「ヘーイ、てーとくぅー!いっひょにのむれーす!」
提督「ぶっ」
先輩「おいおい…」
武蔵「おー!いけいけーっ!」グビグビ
陸奥「がんばってねー、榛名ちゃーん!」グビグビ
先輩「あの馬鹿共…」
提督「はぁ、全く…」
榛名「てーとくぅー、ろーしまひたかー、のまらいんれすかー。ハルナのー、おさけはー、のめらいんれふかー」
提督「連れて帰ります…」
先輩「うちも説教だな」
テートクー、ワハヒヲドーシュルツモリレフカー ノミスギダバカタレ
先輩「やれやれ、仲がいいのも考え物だな」
-翌日-
提督「……って事で、二日間にかけて行う予定だった演習戦だがあっちの任務の都合で無しになった。最も、
この状況じゃ演習以前の問題だがな?」
電「い、電達以外、皆潰れているのです…」
暁「どーなってんのよこれ!」
響「ハラショー、ではないね」
夕立「戦艦、軽巡、重巡部隊が殆ど誰も起きてきてないっぽい」
時雨「昨日はすごい盛り上がっていたからね」
神通「川内さんに襲われそうになった時は流石に身の危険を感じました」
羽黒「た、大変でしたね」
阿武隈「でも楽しかったなー」
ゴーヤ「殆ど居ないでちね」
イムヤ「しんじらんない…酒盛りしてた人達、どれだけ飲んだのかしら」
まるゆ「湯水の様に飲んでたのはおぼえてます…」
提督「羽目を外すなとは言わないが、これは反省文一筆ものだな。時間通りに集合した暁、電、響、夕立、時雨、
神通、羽黒、阿武隈、ゴーヤ、イムヤ、まるゆ、お前達は不問にしてやろう。酒飲んでないのに集合してないの
は単純に寝坊だな」
こうして演習戦は提督鎮守府の敗北で幕を下ろした。
その後、榛名を筆頭に大多数の艦娘達が悲鳴を上げながら反省文を書かされることになる。
次の章は以下の内容が含まれるので、予めご了承下さい。
・日常ほのぼの系 and シリアス系
・轟沈(ロスト)ネタ有
・一部オリジナルのネタを含有
-執務室-
提督「榛名、この間の遠征報告書…」
榛名「はい、こちらになります」
提督「ん…それと護衛任務の…」
榛名「あれは北上さんの報告印がまだです」
提督「そうか。あとで〆とけ。長門、瑞鳳、羽黒の研修報告書は…」
榛名「机の左隅に」
提督「ん、これか。第一艦隊の…」
榛名「戦績報告書なら既に提出済みです」
提督「わかった。よし、報告書関連はこれで一通り終わったな」
榛名「お疲れ様です。あ、それと職務と関係ないんですけど…提督の珈琲カップ、この間新しいのにしたんです」
提督「なんだ、割れてたか?」
榛名「ヒビが、入ってました。好みが合うかちょっと迷ったんですけど…」
提督「お前が選んだものならどれでもいいよ」
榛名「う~ん…あ、そうだ」
提督「ん?」
榛名「あの、今日はもうこの後、執務ありませんよね?」
提督「あぁ、今日は休暇日だしな」
榛名「あ、あの!それじゃ、ちょっと出かけてみませんか?」
提督「おー、それもいいな。天気もいいし、他の艦娘も確か今日は遊びに行くとかいってたし、篭りっきりも余り
体にゃ良くないだろうしな」
榛名「それじゃ、着替えてきますね!」キラキラ
-鎮守府前-
榛名「あ、あの、お待たせしました」モジモジ
提督「お、おぉ!?」マジマジ
榛名「な、なんですか!?」ドキドキ
提督「なんというか…」マジマジ
榛名「あ、余りジロジロ見ないで下さいよー」
提督「うん、かわいい」
榛名「えっ、ホントですか…?」
提督「いやほら、普段から正装しか目にしてないからな。そういう榛名も新鮮でいい」
榛名「えへへ」(きゃー、やったー!わーい!やったー!)テレテレ
提督「よし、それじゃいくか」
榛名「はい!」
本日はここまで
-ショッピングモール-
榛名「わー、提督、見て下さい!猫のぬいぐるみです!にゃんにゃん♪」
提督「なんだ、それ欲しいのか?」
榛名「えっ、あ、いえ、そういう訳では!」
提督「…の割に、結構気に入ってるみたいだけどな」
榛名「う~、だって可愛いじゃないですかー。モフモフしてて抱き心地とってもいいですよー」
提督「いいよ、それ気に入ったんだろ?買ってやる。店員さん、その猫のぬいぐるみ一つ貰おうか」
店員「はい、ありがとうございます」
榛名「え、でもでも…」
提督「いつも頑張ってる褒美だ」
榛名「あ、ありがとうございます」
店員「ふふ、仲が宜しいんですね」
榛名「えっ」
提督「まぁ、契りは交わしてるしな」ポンポン
榛名「はぅ…///」
店員「うふふ、可愛らしい方ですね」
提督「だってよ?」
榛名「も、もう…茶化さないで下さい///」
-フードコート-
提督「そろそろ何か食べるかー」
榛名「はい、そうですね。あれ?」
提督「ん、どうした」
榛名「あ、いえ…電ちゃん達もここにきてたんだなって、ほら」
暁「こ、これがレディのたしなみ…」
木曽「おう、そうだぜ。こいつマスターしちまえば暁もレディの中でも頭一つ抜けるってワケだ」
電「なんか違う気がするのです…」
響「気がする以前に、確実に違うだろうね」
電「毒々しい赤い色をしているのです」
響「辛さ100倍・アンチョビまんって書いてあったよ」
電「もしかしてこれは、木曽お姉ちゃんのこーみょーなワナ、なのかもしれないのです」
響「うん、そんな気が私もするよ」
木曽「さぁ、いけ…いくんだ暁!今こそ、お前のレディとしての根性を見せるときだぜ!」
提督「何やってんだ、あいつらは」
榛名「さぁ?」
提督「しかし、なんだかんだいって木曽は面倒見が良いって言うか、よく駆逐艦の連中と遊んでるよな」
榛名「暁ちゃん達は良く懐いてますね」
提督「はは、そういえば…」
榛名「どうしたんですか?」
提督「いやな、この間なんだけど、長門と暁一派が会話してるのを見かけてな。珍しい組み合わせだと思ってたんだが────」
電「はわー…」
長門「ん、私の顔に何かついているのか?」
電「はわわ、違うのです!ただおっきいなぁ、と思っていたのです」
響「……」ジー ペタペタ
暁「……」ジロジロ ペタペタ
長門「あ、あまり艤装には触らないでもらいたいのだが…」
響「ハラショー…これが戦艦の主砲か」
暁「で、でかいわね…」
長門「…持ってみたいのか?」
電「はわわ、本当なのです!?」キラキラ
提督「電が長門の艤装を持ちたいみたいなんだが、くくく…艤装の中にスッポリ納まった上に、案の定持ち上が
らなくてな…顔が見えなくなってた」
榛名「うふふ、可愛らしいですね」
提督「まぁ、駆逐艦と戦艦じゃそもそも艤装のサイズ自体も違うしな。さて、取り敢えずここでは食べずにもう
一つ上の階のフードフロアへいくか」
榛名「え?私は別にここでもいいですよ?」
提督「お前とゆっくり食事したいだけだよ。ほら、いくぞ」グイッ
榛名「あっ…はい」
-帰路-
榛名「てーとく!」
提督「ん、どうした」
榛名「今日はとても楽しかったです。ずっと、こんな風に過ごせたらって、思うくらいに…」
提督「過ごせるさ。俺たちがこの戦い終わらせれば、ずっと一緒に居られる。その時は一緒にどっかに家買って、
そこで暮らそう」
榛名「提督…」
提督「こうみえて提督の給料っていいんだぜ?毎度使う機会無いから貯まる一方でな。ま、お前と一緒に過ごす
ために使うんなら躊躇う理由もないし、平穏に過ごせる分だけ残せばいい」
榛名「榛名は、本当に幸せです。こんなに優しくしてもらっても、榛名は提督に十分なお返しができないのに…」
提督「お返しならいつも貰ってる。お前が傍に居て、いつも笑顔で居てくれること、それが俺にとっては十分なお返しだ」
榛名「…はい。本当に、榛名は幸せ者です」
~鎮守府近海決戦・Extra Operation~
-執務室:午後14時40分-
提督「あ゛ー、夏到来、あっちぃ…」
榛名「だれてないで仕事して下さい!」
提督「無理、暑すぎ…」グデー
榛名「諦めるの早過ぎます!」
提督「はぁ、間宮さんのアイス食いて……」
ピー、ピー、ピー!!
榛名「え?」
提督「んあ、緊急電文……?」
-電文-
現時刻、ヒトサンマルマル、これが君の所に届いたと言う事は、私の艦隊の大部分が制圧されている事を示す。
出来ればこの通達はしたくなかった。
が、改めて通達する。
我が艦隊は、その大部分が大破、もしくはロストしているものとする。
敵は深海棲艦と────
-執務室:午後14時45分-
提督「なんだ、これは…」
榛名「途中送信されてます。送信元は、先輩鎮守府です!」
提督「先輩の艦隊、その大部分が大破とロスト?なんの、冗談だ…」
-先輩鎮守府:午前11時10分-
武蔵「なんだ、今日はもう遠征任務は無しか?」
先輩「ええ、資材に余裕はあるし、たまにはあなた達も休暇が必要でしょう?」
武蔵「しっかり体は休めているが?」
先輩「ふふ、そういうと思ったわ。ま、与えられた休みは有効活用しなさい。褒美でもなんでもない、これは得
られて当然のあなた達の権利なんだから」
武蔵「まぁ、貴様が言うのだから私達はそれに従うまでだ」
ドタドタドタ
先輩「ん?」
バタバタバタ
武蔵「なんだ、騒がしい」
ガチャ…
武蔵「おい!騒々しいぞ!」
熊野「あ、武蔵さん!それが、阿賀野さんが大破して戻りましたのよ!」
武蔵「何…?」
先輩「ちょっと、それはどういう事?」
熊野「あ、提督。いえ、それが、私にもまだよく状況が解りませんの」
-救護室-
阿賀野「はぁ、はぁ、はぁ……」
熊野「ひどい…これ程までなんて…」
武蔵「艤装はボロボロ、体の被害も甚大だな。それよりも阿賀野と共に随伴していた艦はどうした?」
阿賀野「うぅ……てい、とく……」
先輩「大丈夫。ここにいるわ。阿賀野、一体何があったの?」
阿賀野「はぁ、はぁ……皆、うっ、ぐすっ……皆、能代も、次々に……私、うっ、ぐす……逃がして……!」
先輩「まさか、ロスト、したのか…」
加賀「提督、鎮守府近海に多数の深海棲艦を確認しました。艦載機の子たちの報告では、未確認もいると」
先輩「一体、何が起こってるの…」
-先輩鎮守府近海:午後12時20分-
??「あは、あはは、あはははははッ!見たかい?あの中将先輩の前衛艦隊が泣きべそかきながら逃げ惑う様…
イイ、すっごくイイよぉ…孕んだ恐怖は二度と拭えない。生まれた闇は二度と払えない。負を内包したその体は
深海でまた新たな命として生まれ変わる」
??「ツギノ、アイテハ、ドレダ」
??「目の前にあるだろう?あの鎮守府を、壊すんだ。わざわざ一匹だけ前衛隊の艦娘を生かしたのはこの恐怖
を鎮守府に居る提督を始め、他の艦娘にも知らしめるためだ。思惑通り、命からがら戻った艦娘はありのまま、
起こった恐怖と広がった闇を皆に伝えるだろう。最も、待っているのは地獄だけだろうけどねぇ」
武蔵「数の桁が違う」
先輩「電文を打ってる暇はないわ。それに、この周辺の鎮守府で一番近いのはヒヨっ子の所だけ…一部の子達で
艦隊を編成、救援隊を派遣するわ。気付かれないように、アレを引き付ける役が必要だけど…」
武蔵「この鎮守府の、第一艦隊旗艦の首ともなれば相手にとっても不服はないだろう。私が出る!」
先輩「武蔵…!」
武蔵「四の五の言ってる場合じゃないだろう!命令を下せ、それが貴様の務めだ!」
先輩「……ッ!第一艦隊…この鎮守府を防衛せよ!!」
武蔵「……それでいい。安心しろ。私は大和型、その改良二番艦の戦艦武蔵。例え相手が何であろうと、勝利を
貴様の手に、皆の分まで、敵の攻撃はこの武蔵が全て受け止めてみせる」
加賀「随伴させて頂きます」
武蔵「加賀、恩に着る」
霧島「データの分析が必要でしょう」
武蔵「頼りにさせてもらう」
飛龍「例え最後の一艦になっても、叩いて見せます!」
武蔵「友永隊の活躍、期待させてもらう」
天津風「阿賀野達の無念の想い、この風に乗せて全てを蹴散らすわ」
武蔵「ああ、無論だ。必ず勝利をもたらす!」
大井「その構成じゃ、潜水型の対策が疎かですよ」
武蔵「フッ、確かにそれもそうだ。すまないな」
先輩「残りの艦娘達は第一艦隊の砲撃斉射に合わせて一斉に散開、近隣鎮守府へ救援要請を出しに行け!」
-壊滅-
先輩「くそっ、せめてあいつにだけは少しでも早く知らせないと…」
??「セーンパァイ、こんな所にいらしたんですか」
先輩「…!お前は…」
??「おや、電文ですか?いけませんねぇ、そんな真似をされては…」
先輩「何が、目的なの…」
??「何が?ナニガ、目的か?あははははは!これから死ぬ奴にィ、言う必要があるのかよ!」
武蔵「ああ、確かにな…死人に口無し、とはよく言ったものだ」フラフラ
??「お前…!」
先輩「武蔵…!」
武蔵「外に居た化け物なら、撃滅させてもらった」
??「な、にぃ…!?このっ、くたばり損ないの癖に…ッ!」
武蔵「ははっ、詰めが甘かったなぁ…その、くたばり損ない、に…潰される程度、それが深海棲艦なんだよ…!」
??「ふふ、ははは…」
先輩「……?」
??「アハハハハハハハッ!!詰めが甘いのはお前等さ…絶望はまだ、これからなんだから……」
-現在-
提督「ダメだ。電話は繋がらない」
榛名「何だか嫌な予感がします」
テートクー!
提督「…!」
バンッ!
提督「どうした!」バッ
瑞鳳「あ、提督!それが、全身ボロボロの熊野さんと阿賀野さんが…」
提督「くそっ!」ダッ
瑞鳳「あっ、提督!?あの、一体何が…」
榛名「先輩提督の鎮守府からさっき奇妙な電文が届いたの。とにかく、今居る子達を全員会議室に集めて待機す
るように伝えて!」
瑞鳳「わ、解りました!」
-救護室-
提督「一体何があった」
熊野「深海棲艦が、鎮守府に……私達は、加賀さん達の援護もあって、なんとか包囲網を抜ける事が、出来ましたの」
阿賀野「…………」
提督「阿賀野の方は、入渠ドックだけでの対処はこれは無理だな」
バン!
鈴谷「熊野!」
熊野「鈴谷さん…」
鈴谷「ああ、良かったぁ。あんたが、ボロボロになって着たって、聞いて、私……」ポロポロ
熊野「ふふ、お馬鹿さんですわね。泣きたいのは……私の、方ですのに…」
提督「先輩は、どうしたんだ」
熊野「……っ!恐らく、生存は絶望的ですわ。第一艦隊の皆さんも……」
提督「そう、か…とにかく、お前はここで傷を癒せ。阿賀野のことは任せろ。絶対死なせん。鈴谷、お前は熊野
の看病を頼む」
鈴谷「う、うん」
-会議室-
提督「全員集まったな。今、遠征で居ないのは駆逐艦と潜水艦が殆どで間違いないな?」
榛名「はい。通信で確認も取ってあります。あと、念のために、ですが…」
提督「なんだ?」
榛名「はい。適当な理由をつけて駆逐艦の子達には泊りでの遠征に変わったと、任務の変更を伝えておきました。
何か変更があれば随時こちらから、連絡をするという形で」
提督「……」
榛名「ごめんなさい。余計な、事ですよね」
提督「いや、それでいい」
ザワザワ
提督「皆、色めき立つのは解るが一度落ち着いてくれ」
北上「提督、大井っち、大井っちはどーなったの!」
提督「…安否不明だ」
赤城「…………」
提督「赤城…」
赤城「…私は、大丈夫です。加賀さんも、私も、いつだって……話を、進めて下さい」
提督「解った。現在、先輩鎮守府がどんな状況になってるのかは不明だ。阿賀野も熊野も、詳細を語れる状態じゃ
ない。同時に、件の鎮守府にいる艦娘達の安否も不明だ。よって、これより急遽艦隊を編成して先輩鎮守府の現状
を確認しに向かう。だが熊野はともかく、阿賀野の容態は一刻を争う状態だ。これより、部隊を二手に分け、鎮守
府へ向かう部隊と、阿賀野の搬送とその護衛に着く部隊で分ける」
榛名「鎮守府への様子を確認しに行く部隊を選定します」
北上「私、絶対行くかんね!」
榛名「わ、解りました。では、改めて選定します。旗艦は私、榛名が務めます。随伴艦は北上さん、神通さん、
衣笠さん、赤城さん、瑞鳳さんの六名です」
提督「鎮守府には俺も同行する。阿賀野の搬送護衛だが、そちらは陸奥、川内、利根、飛鷹、羽黒、夕張で頼む」
陸奥「解りました」
-先輩鎮守府近海-
提督「これは、深海棲艦の艤装の残骸か」
神通「待って下さい。あれは……」サッ
衣笠「それって…」
神通「飛龍さんが巻いていた、鉢巻です」
提督「……くそ!鎮守府へ急ぐぞ!」
榛名「は、はい!」
神通「……飛龍さん」グッ
-先輩鎮守府-
提督「先輩!先輩、いますか!」
榛名「ひどい…」
衣笠「何なのよ、これ…」
北上「大井っち、どこ!」
提督「二人でペアを組んで鎮守府内を捜索しろ!生存者を探せっ!」
赤城「…解りました!」
瑞鳳「は、はい!」
提督「榛名、神通、執務室へ行くぞ!」
榛名「はい!」
神通「解りました!」
衣笠「北上、二階見に行くよ!」
北上「くっ!」
赤城「瑞鳳さん、庭先を!」
瑞鳳「解りました!」
本日はここまでになります
乙
メ欄に入れるのは「saga」だけでええんやで
sageも入れちゃうと上がらなくなるから更新来ても分かりづらくなっちゃう
こんにちは
今日はネタが湧き出る限り続けていきます。
>>83
なるほど、無知を晒しました。
なんせこういった場所に投稿することがなかったもので、教えてもらえるだけでも嬉しいです。
-執務室-
先輩「…………」
提督「…っ!先輩!!」
榛名「武蔵さんまで…!」
神通「ひどい…」
先輩「ぅ、ぁ……」
提督「先輩、俺です。提督です!」
先輩「す、まん……」
提督「喋らないで、喋らないで下さい!神通、ここから近い病院を調べてくれ!」
神通「解りました!」
武蔵「フッ、私が……この、ザマ、か…」
榛名「武蔵さんも、喋らないで…すぐ、直に手当てをしますから!」
武蔵「いい……」
榛名「ぇ…?」
武蔵「もう、死期は近い……」
榛名「そんな…!」
武蔵「…悔しいよな」
榛名「……」
武蔵「悔しいよ…皆の分まで、この武蔵が…攻撃を受け止める……そう、誓ったのに、な。皆所か……ただ、
一人…最も、近しい者すら、手の届くところに、居ながら……守れない」ポロ…
榛名「武蔵さん…」
武蔵「私が、成せなかった分まで、成してくれ……頼むっ……もう、共には、立ち上がれない…だが、私の、
意志が詰まった、この艤装を、託す……だから、頼む……共、に……」パタ…
榛名「武蔵さん…っ!」
提督「武蔵…お前は、誰も守れてなんてない。守ったさ、守ったよ…」
榛名「……武蔵さん、貴女の遺志は、榛名が、受け取りました」
神通「提督、海路を使えば、ものの十分で着ける距離に病院があります!」
提督「解った。出血はひどいが、恐らく武蔵が庇ってくれたんだろう。どれも致命傷にはなっていないのかもし
れない。これだけの出血で意識があるのもそのせいかもしれん」
-2F-
北上「大井っちぃ!」
大井「ぁ……きた、かみ…さん……」
衣笠「直に応急手当する!お願い、間に合って…!」
北上「大井っちぃ…」
大井「ゴメン、ね…燃え尽きちゃった……」
北上「やだよぉ、死んじゃ、ダメだよぉ!折角、折角会えたのにぃ!」ポロポロ
大井「そう、よねぇ……せっかく、会えたのに、うふふ…本当に、悔しいなぁ…」スッ
北上「ぁ……」
大井「もっと、もっともっと……いっぱい、お話、したかったね。けど、ちょっと、厳しい、かなぁ…」
北上「衣笠っち!」
衣笠「やってる!やってるわよ!けど、止まらないのよ!!」ポロ
大井「いい、の……最後に、北上、さんに……会えた。ね、北上さん……こ、れ…私の分身だと、思って…艤装、
使って……」
北上「そんなの要らない!要らないからぁ!」
大井「同じ、重雷…装艦…だもの、使えるわ。あぁ……重雷装艦として、沈むのも、悪くない、か……北上さん
……仇、とってね……」パタ…
北上「やだよ、やだ……やだぁぁぁぁ!大井っちぃぃぃ!!」
-庭先-
瑞鳳「こっちには誰も…」
赤城「加賀さん……!」
瑞鳳「あっ、赤城さん、あれ!」
赤城「あれは、加賀さんの弓…!」
赤城「加賀さん!」
加賀「……そ、の、声は……」
赤城「加賀さん!」
加賀「赤城、さん……?」
赤城「こんな、ひどい…」
加賀「申し訳、ありません……もう、目が、見えなくて…どこに……」スッ
瑞鳳「ぇ……」
加賀「光を、認識、することしか、できません」
赤城「私は…私は、ここです!」ガシッ ポロポロ
ポタ ポタ
加賀「泣いて、いるのですか」
赤城「だって、だって…」
加賀「すみません。赤城さんと、共に……肩を並べる、機会……失ってしまって……栄光の第一航空戦隊、その、
誇りを…私は、守れません、でした」
赤城「そんな、そんな事を言わないで下さい!」
加賀「けど、赤城さん……あなたが無事ならいいの……」
赤城「だから、そんな事、言わないで下さい!まだ……!」
加賀「いいえ、言わせて、下さい。あなたと、共に在れた時間は、今でも忘れません。これからも、幾星霜の星
が流れても、この、記憶だけは……一航戦の誇り、私の、誇り…赤城さんに、託します……」パタ…
赤城「加賀、さん……!」ポロポロ
-病院-
提督「……はい、そうです。先輩鎮守府は壊滅、生き残っていた艦娘は熊野、阿賀野の両名のみ、先輩提督は意
識不明の重体です。幸い、武蔵が身を呈して先輩を守り抜いてくれたお陰で、命を取り留めたと言っても……」
提督「……っ!そんな事は、言われなくても解ってます!あっ……すみません。はい、はい…いえ、こちらこそ、
申し訳ありません。はい、追ってこれは俺が調査を進めます。はい、では…」
榛名「提督…」
提督「ああ、すまん。声を荒げていい場所じゃなかったな。大将殿にも失礼な態度を取ってしまった。それより、
北上と赤城は大丈夫なのか?」
榛名「それが…」
提督「今は、そっとしておいてやれ。二人にとって、大井と加賀は、切っても切れない関係だったんだ。それに
お前もな、榛名」
榛名「ぇ……?」
提督「結局、霧島の生存も、大鳳や天津風だって最後まで見つからなかった。海上で果てたのか、何処かで生き
延びてるのかも解ってない。特にお前と霧島は姉妹なんだろ?心配しないわけがない」
榛名「は、い…」
提督「不安で仕方ないのは解る」
瑞鳳「榛名さん…」
提督「だから、泣け。今は、ただ泣くだけでいい」グイッ
榛名「ぁ……」
提督「周りが気になるなら、こうしててやる。こんな時まで、我慢する必要はない」
榛名「うぅ、てい、とく……!」グッ
神通「……私達は、向こうのほうに居ますね。行きましょう、瑞鳳さん」
瑞鳳「は、はい…」
榛名「すみません。さっきは…」
瑞鳳「大丈夫ですか?」
神通「無理はなさらないほうが…」
榛名「いえ、大丈夫です。それに、霧島が本当にロストしたかどうかは、まだわかっていませんから」
提督「ああ、そうだな」
神通「これから、どうされるんですか、提督」
提督「ああ、まずは…この惨状を生み出した深海棲艦の捜索だ。だが、やつらにこれほどの統率力があるとはと
ても思えない」
瑞鳳「指揮してるのがいるって事ですか?」
提督「確実ではないがな。でなければ辻褄の合わない点が多すぎる」
神通「どういう事でしょうか?」
提督「俺の鎮守府も含め、あの一帯を統括してたのが先輩鎮守府なんだ。各地に鎮守府はいくつもあるのは知ってるな?」
榛名「はい。中でも横須賀や舞鶴と言った場所は大将司令官が着任されているとか」
提督「あの一帯はまさにエリート集団だよ。周囲の鎮守府に着任してる司令官も中将や少将の人が多い。が、基本
としては、統括する少将や中将の鎮守府を中心に、その周辺に佐官尉官将校の着任する鎮守府が点在する。まぁ、
少し話が逸れたが、それら鎮守府を統括するべき鎮守府が今回襲撃を受けて壊滅した。これの意味する所が解るか?」
神通「近隣の鎮守府に与える精神的な動揺は計り知れません、よね…」
提督「その通りだ。そして今までの深海棲艦の行動範囲や動きを考えれば…」
瑞鳳「統率、されすぎてる」
提督「そういうことだ。これら情報を一度精査した上で、一度鎮守府に戻って作戦会議を開く。お前達は先に戻って
準備を進めておいてくれ。あとから俺も赤城と北上を連れて戻る」
三人「「「了解しました!」」」
-北上-
北上「…………」
ザッ
北上「あぁ、提督…」
提督「よっと…あ、隣座るぞ」
北上「順番逆じゃん。別にいいけど…」
提督「…すまなかったな」
北上「…え?」
提督「大井を救ってやれなかった。お前に、辛い思いをさせた。俺がこの鎮守府に着任して、最初に誓ったことだ。
この鎮守府にいる艦娘には、絶対に悲しい思い、辛い思いをさせない。そう誓ってたんだけどな」
北上「別に、提督のせいじゃ…」
提督「俺はな、常々思うことがあるんだよ。あぁ、やっぱこいつらは笑ってる顔が一番いいなって。イタズラっ
ぽく笑う島風、照れくさそうに笑う時雨、元気いっぱいに笑う鈴谷、微笑が良く似合う赤城。楽しそうに笑う、
北上…お前もな」
北上「提督…」
提督「その笑顔を守るのが、俺の仕事なんだよ。だから、今回その笑顔を守れなかった。俺の責任なんだ。なぁ、
どうすれば北上はまた笑顔になってくれる?俺にできることはあるか?」
北上「ん……じゃあ、暫く、こうさせて」ポフッ
提督「こんなので、いいのか」
北上「うん、たまにはねー」ギュッ
提督「……」
北上「提督、私、強くなるよ。提督に心配されないくらい、もっともっと、強くなるよ。こんな、思い…他の人
に、して欲しくないよ」ポロポロ
提督「あぁ、そうだな。その通りだ…」ポンポン
北上「」ゴシゴシ
提督「ん?」
北上「ありがと、提督!ちょっと好感度アップかな~」
提督「なんだそれ」
北上「ま、いいからいいから!先ロビーで待ってるよ!…ありがとね」ニコッ
提督「……いつもの北上、かな」
-赤城-
提督「ふぅ、探したぞ、赤城」
赤城「…提督」
提督「どうした」
赤城「いえ……ただ、こうして澄んだ海を眺めても心が晴れません。いつかは、別れる時が来ると解っていても、
それを受け入れるだけの器量が私には備わってないのかもしれません」
提督「弱いって、言いたいのか」
赤城「そうですね。私は、加賀さんほど強くはなれません。提督、強いって、何なんでしょう」
提督「力の意味でか?それとも、気持ちの意味でか?」
赤城「どちらも、でしょうか」
提督「力が強ければ、加賀を救えたか?」
赤城「…解りません」
提督「なら…強く思っていれば、加賀は死なずに済んだか?」
赤城「…解りません!私は、弱いから!聞かれても答えられない!」ポロポロ
提督「…誰かの為にそこまで涙を流せる奴を、俺は弱いとは思わない。加賀は、お前に何て言った」
赤城「覚えて、いません…」
提督「全てを我慢しろなんて言わない。我慢できないことなんて沢山ある。だから、その帯びた悲しみは我慢し
なくていい。でも、だからこそ…加賀が残してくれたモノは忘れないでくれ。受け止めてやってくれ。そこは、
我慢して、受け入れてくれ。支えきれない分は、俺が支えるから、俺にはそれくらいしか出来ない。足りない部
分をどうにかして補ってやることしか出来ない。それでももっと、俺を頼ってくれ」
赤城「でも、私は…」
提督「今度こそ、今度は絶対に、俺が全力で支えてやる」
赤城「提督……」
提督「お前が挫けそうになったら、倒れそうになったら、お前の手足になってでも、お前を支えてやる。だから、
加賀の遺志を汲んでくれ」
赤城「ふぅ、もう…そんな言い方じゃ、告白みたいですよ?」
提督「へ?」
赤城「提督、ありがとうございます。あなたが私の提督で、本当に良かった。ですけど、余り私達ばかりにかま
ってると、榛名さんが拗ねちゃいますよ。それでは」ペコリ
提督「なん、だよそれ…えー、何それ、俺の不逞になるの、これ…」
-数日後・会議室-
提督「さて、全員に行き渡ったか」
夕立「提督さん、これなーに?」
提督「今、全員に配ったのは現状、俺たちが相手をしてる深海棲艦の種類とその特性を紹介したものだ。深海棲艦
は大別して現状九種確認が取れている。表に記述してあるとおりだ」
-深海棲艦・種別-
・駆逐艦型
・軽巡艦型
・雷巡艦型
・重巡艦型
・軽母艦型
・戦艦型
・空母型
提督「お前たちも何度か相対してるから解ってると思うが、この中には極めて賢い連中が混ざってる。有象無象に
動き回る連中とは違い、陣形を立てて組織立った動きをしてくる。エリート艦と呼ばれる深海棲艦とフラグシップ艦
と呼ばれている深海棲艦がそれに該当する」
榛名「フラグシップは深紅色の瞳をしてて、エリートは黄色の瞳…確かに、何度か目の当たりにはしてますね。
そして、動きも他の深海棲艦とは確かに違っていたと思います」
川内「…以前にうちへ攻め込んできた深海棲艦も、確か黄色い目をしてたな」
提督「種別を認識し、それに対応することは最もだが、今回注視しているのはこの深海棲艦が明らかに何者かの指示
によって行動を起こしていた、という点だ。通常、戦として見るなら今回陥落した中将鎮守府はまさに本丸。理屈で
言えば、確かにここを制圧することはこれに随伴する他の鎮守府への警鐘として十分な威力を発揮する。場合によっ
ては即時降伏の場合さえある。だがこれは、対人であった場合に見られる現象だ」
島風「そーいえば…今まで瀕死になっても向かってきてた深海棲艦とは違って、逃げようとするの、いたよね?」
白露「数的に不利でも、その殆どが向かってきてたのに、そういえば一匹だけ…」
北上「物資調達の任務に就いたときだねー」
提督「そう、現状を把握し、不利と判断すれば撤退し、陣形や態勢を立て直す…」
長門「知恵を、つけているというのか?」
陸奥「私達と同じで、深海棲艦もまた成長していると?」
提督「推測の域は出ない。が、何かしらあるのは確かだ。でなければ説明できない事例が調べて見たところ多すぎる」
神通「今回に関してはその行動パターンが顕著ということですね」
提督「ああ、神通の言うとおりだ。その辺りを議題に挙げて、少し皆と意見交換をしたいと思う。まず始めに───」
-???-
??「……はぁ、中将殿、しぶといなぁ。まだ死なないのかぁ」
??「しかし流石は中将の率いる艦隊でした」
??「ま、どいつもこいつも満身創痍、簡単にボロなんてでない。出る前に、捻り潰せばいい」
??「……内側から、と言う事ですね?」
??「そういう事だね。で、従わなかったのは全て…」
??「はい。言われたとおりにしてます」
??「うん、流石、僕が見込んだ戦艦だよ、君達はね…」
??「恐縮です」
-鎮守府・会議室-
提督「……つまり、敵空母もある一定量の被害を与えてやる事で、無力化させる事が出来る、という事だ」
ピピピッ ピピピッ ピピピッ
提督「ん、時間か。よし、午後は演習を兼ねて空母の動きを再確認する。赤城、飛鷹、瑞鳳は準備を手伝ってくれ」
三人「「「はい!」」」
提督「それじゃ、一度昼食にしよう」
赤城「提督」
提督「ん?」
飛鷹「ちょっと話があるの」
提督「おぉ、飛鷹もか?」
瑞鳳「私も居ます!」
提督「ちっちゃ……」
瑞鳳「ふんっ!」ブオッ
提督「うおっ、あぶねぇ!」サッ
瑞鳳「ちっ…」
提督「腰の入った右ストレート叩き込んでくるな!」
飛鷹「漫才とかいいから」
提督「命がけなんですけどね!?」
赤城「あ、あのー…」
提督「あぁ、はいはい。で、空母三人娘が何だ」
飛鷹「正直演習のときも思ったんだけど、私達だけじゃ制空権を奪取するのが難しくなるかもって思ったの」
赤城「空母機動部隊や空母を基準とした空母群と相対した場合、私達だけでは心許ない…そう判断しました」
瑞鳳「実際、私や飛鷹さんは軽空母でしょ?正規空母並の艦載数には遠く及ばないし…」
提督「ふむ…しかし、現状で資材をこれ以上建造に投資するわけにもなぁ…だがお前達の言い分も最もだ。俺も
それが頭にあったから午後の対空母演習を立案したといえる。お前達の言い分は解った。なんらかの手が打てな
いか、俺の方でも手を尽くしてみよう」
羽黒「あの、司令官さん…!」タッタッタ
提督「お、どうした、羽黒」
羽黒「それが、鎮守府の玄関先に見慣れない子が居たので…」
提督「見慣れない子?」
羽黒「とにかく、一緒に来てもらえますか?」
提督「おう、解った」
本日はここまでにします。
流石に疲れた・・・
乙乙
シリアス展開も良いね
どうもこんばんは
この辺りからちょーっとだけ戦闘回が続きます
>>97
甘~~い展開よりもシリアスなもの書くのが結構好きなのでそう言って頂けると励みになります
-玄関先-
龍驤「せやから提督に会わせぇゆーとるん、キミ言葉わからんのか!?」
長門「提督からは何の連絡も受けていない。それにいきなり現れて提督を出せだと?ふざけるのも大概にして貰おう」
龍驤「あ~!もう、ホンマ話にならんで!ウチは元々この鎮守府の提督の下におったんや!せやから、提督にウチの
名前出したら一発やゆーとるやろ!」
長門「ふん、どうだかな。それに私がこの場から離れればお前は自由になる。その間に鎮守府内に潜入されては困る」
龍驤「アホか!そないな事するかい!」
羽黒「あ、長門さん。司令官さん、連れてきました」
長門「羽黒に、提督。すまん、提督、こいつが…」
提督「え、龍驤か?」
龍驤「おおおお、提督ぅ~!むっちゃ会いたかったでぇ!ほれ見ぃ、ウチと提督の仲やねん!」
長門「はぁ、全く…」
提督「すまんな、長門」
長門「いや、こういう時期だったのでな。警戒しておくに越したことはない、そう思っての行動だ。龍驤、だったな。
すまなかった。では、私は失礼する。行こうか、羽黒」
羽黒「はい!あ、それじゃ失礼しますね」
提督「ああ、羽黒もわざわざ休みの時間に悪いな」
羽黒「いえ、大丈夫です。では」ニコ ペコリ
龍驤「ホンマけったいなやっちゃなぁ」
提督「はぁ、それで、艦隊で来るならまだしも、連絡も無しに来るのは流石に常識はずれだぞ?」
龍驤「おあぁ、それやねんけど、ウチんとこの鎮守府、なんや変やねん」
提督「変って…まさか、先輩鎮守府の所みたいに…!」
龍驤「ちゃう!そうやない…提督が異動してから後任としてきた提督…あと、一緒に連れてきた連中、なんや変やねん」
提督「それ、どういう…」
龍驤「今朝、それがめっちゃ濃くなってた。筑摩も、天龍も、龍田も、球磨も、叢雲も、皆おらへんし…」
提督「いないって、任務に出てるだけじゃないのか」
龍驤「そうやない!ゼッタイちゃう!それでウチ、コワなって、隙見て逃げてきたんや」
提督「どういう事だ…」(龍驤のこの表情、本気だ。本気で怖がってる顔だ…後輩、あいつ何を…)
榛名「提督」
提督「あ、榛名」
榛名「とにかく、ここじゃなんですから、中へ入りませんか?」
提督「あ、ああ」
-執務室-
プルルル…プルルル…プルルル…
提督「この時間帯で電話に誰も出ない?」
ガチャ…
提督「あ…」
後輩『もしもし』
提督「やっと……おい、もしもしじゃないだろ!後輩、一体お前何を……」
後輩『あぁっ!センパイ…丁度良かった。うちの龍驤、そちらにお邪魔してませんか?』
提督「おい、俺の質問に……」
後輩『センパイ…!僕が、質問してるんですよ。龍驤、そちらに居ますよねぇ?はぁ、困るんですよぉ…普段は
これといった戦果を何も上げて来ないクセに、不穏な空気だけは逸早く察知して…目障りな小娘だなぁ…!』
提督「おい、後輩…いや、お前、誰だ」
後輩『はぁ、いやですねぇ。後輩の声も忘れるとか、薄情通り越してそれもうビョーキですよ、ビョーキ』
提督「悪いな。俺の知ってる後輩っていうと、確か温和な性格で好戦的ではない。一人称は【私】の紳士的な男
だったと思うんだがな?」
後輩『アハハハハハ!食えない男だな、オマエ…まぁいいや、どうせ龍驤もそっちにいるんだろ?ついでだから
纏めてあの世に送ってやるよ』
提督「……お前か、先輩の鎮守府を……」
後輩『ピンポーン、大正解!鋼の艦隊なんて呼ばれてた割にこの脆さ。大爆笑だったよ!ま、首洗って待ってて
下さいよ。鋼の女傑中将殿と同じ末路、追わせてあげますので…!』
ブツッ……ツー、ツー、ツー……ガチャ
提督「……龍驤、すまんがちょっと付き合ってくれ。榛名、皆はもう会議室には集まってるな?」
榛名「は、はい」
-会議室-
提督「皆、午後の講義と実技はない。恐らく、今から一時間半後、ヒトヨンサンマルに深海棲艦の軍勢がここに
来るかもしれないことが解った」
陸奥「何ですって!?」
提督「注意してほしいのは、敵の中に恐らく知った顔があるかもしれない、という事だ」
夕張「知った顔って…」
提督「とにかく、この鎮守府を戦場にする訳にはいかない。いいか、これは演習ではない。繰り返す!これは
演習ではない!各自、艦隊を編成し次第、順次出撃。通信の開示を忘れるな!お前たちを絶対に死なせることは
しない!最善の策を弄して相手艦隊を撃滅に追い込む!」
榛名「皆さん、聞きましたね。私からもお願いします。全員、必ず生き残ること…それを最優先目標とします!」
提督「榛名、陸奥、飛鷹、阿武隈、イムヤ、各前線の指揮はお前たちに任せる。全体の行動と連携に関しては状況
の変化に応じて俺が指示を出そう。少しでも疑問に思うことは全て俺に指示を仰げ。それと、龍驤を戦列に加える」
龍驤「ちょ、なんでウチまで!ウチはこの鎮守府の艦娘やあれへんやん!」
提督「悪いな、龍驤。こっちは猫の手も借りたいんだよ。お前の艦載機、有効活用させてくれ」
龍驤「そ、そこまで、言うなら…別にええけど…」モジモジ
榛名「宜しくね、龍驤ちゃん。私は榛名です」
龍驤「お、おう!ウチは軽空母の龍驤や!」
提督「よし、艦隊をそれぞれに分けるぞ」
・鎮守府主力艦隊
榛名
長門
赤城
龍驤
北上
神通
・鎮守府水上打撃艦隊
陸奥
日向
川内
衣笠
夕張
島風
・鎮守府防衛艦隊
飛鷹
瑞鳳
木曾
利根
鈴谷
羽黒
・鎮守府水雷戦隊
阿武隈
白露
夕立
時雨
暁
電
響
・鎮守府潜水艦隊
イムヤ
ゴーヤ
まるゆ
提督「いいか。中将の艦隊とやった演習戦を思い出せ。あの時は完敗だった。だが、今度は違う。負けは俺たち
の『死』を意味する。だが、あの先輩の艦隊に一泡吹かせたのも事実だ。だから、お前たちにやってやれない事
はない!確実にお前たちは成長し、進化している。俺の目に狂いはない。お前たちは強い!さぁ、行って来い…
この水平線に勝利を刻めっ!!」
全員「「「了解!!」」」
-鎮守府近海-
神通「……」キュッ ギュッ
長門「決戦装束か」
神通「彼女達の無念を、必ず晴らして見せます」
北上「うん、私も大井っちに頼まれたしね~。この魚雷、奴らの顔面に盛大にぶちかましてやる!」
赤城「そうですね。私も、一航戦の誇り、こんな場所で失うわけにはいきません」
榛名「私も、武蔵さんに託されましたから…彼女の分まで、その想いを成し遂げて見せます!」
飛鷹「…皆、聞こえるわね?」
陸奥『ええ、問題なしよ』
利根「鎮守府から南西方面、恐らく偵察隊じゃ。数は三隻。全て駆逐型…ふん、莫迦め。我が偵察機から逃れら
れるとでも思うたか!阿武隈、イムヤ、後は主らに任せるぞ!」
イムヤ『オッケー!偵察の仕方下手すぎよね』
阿武隈『既に暁ちゃんと白露ちゃんが先導して動いてます!』
提督『イムヤ隊と阿武隈隊で偵察隊を取り囲むように左右から進軍。確実に仕留めろ。こちらの情報は塵一つ渡
すな。同時に他方面を警戒。主力艦隊は鎮守府正面、水上打撃艦隊は南西の対、北東方面を警戒。防衛艦隊は、
そのまま引き続き南西方面を警戒。水雷戦隊と潜水艦隊は偵察隊を撃滅後転進、赤城たちの偵察機から情報を受
けて周辺近海の哨戒に当たれ。敵を発見後、速やかに他の艦隊と合流、連合を組んでそれを撃滅しろ』
阿武隈「敵偵察隊を捕捉!暁ちゃん、白露ちゃん、陣形整えるよ!」
暁「オッケーよ!電、響、準備いい?」
電「はいなのです!電の本気を見るのです!」
響「問題なしだ。いこう」
白露「よーし、時雨、夕立、いくよーっ!」
時雨「暴れてやろうか、夕立」
夕立「うん!活躍して提督さんに褒めて貰おー!」
イムヤ「ゴーヤ、まるゆちゃん、こっちは海底から転進、水雷戦隊の援護よ!」
ゴーヤ「了解でち!」
まるゆ「はい!」
飛鷹『提督、深海棲艦、もしかしたらこれ…』
提督「飛鷹も気付いたか。あぁ、統率されている。恐らくこちらを扇状に包囲してるのかもしれない」
木曾『どうするんだ、提督。打って出るのか?』
利根『いや、待て……くるぞっ!』
瑞鳳『飛鷹さん、号令を!』
飛鷹『防衛艦隊、第一次戦闘準備!』
提督「飛鷹と瑞鳳で空を制圧しろ。利根と鈴谷で索敵警戒。木曽と羽黒で機先を制する。いけっ!」
防衛艦隊『『了解!』』
陸奥『提督、こっちも動きがあったわ。恐らく全軍一斉に動き始めてるみたい』
提督「なら話は早い。水上打撃艦隊は相手の出鼻を挫け。統率が取れてるってのは、裏を返せば足並みも乱れる
って事だ。周りとの連携を断絶、孤立させ敵艦隊を撃滅しろ!」
日向『任せて』
川内『よーし、やってやりますか!』
衣笠『衣笠さんにお任せ!』
夕張『張り切っていきますよ!』
島風『しまかぜには誰も追いつけないよ!』
提督「榛名、正面海域警戒しろ。そろそろ来るぞ」
榛名『はい。既に赤城さんの偵察機が報告済みです』
赤城『提督……』
提督「言いたいことは解る。明確に報告をくれ」
赤城『はい…。敵は、巡洋戦艦三隻、装甲空母一隻、正規空母一隻、重巡洋艦一隻、です』
榛名『巡洋、戦艦…?』
赤城『種別、金剛型の金剛、比叡、霧島…航空母艦の大鳳、五航戦の翔鶴、利根型重巡洋艦二番艦の筑摩、以上です』
提督「後輩の奴……!」
龍驤『なんで、なんで筑摩……』
榛名『金剛お姉さまに比叡お姉さま、それに…霧島……?どうして…』
長門『霧島と大鳳は元々先輩鎮守府に籍を置いてたはず…』
北上『どこまでも、腐ってる…!』
神通『……』
提督「防げたかもしれない悲劇……すまない。後の責め苦は幾らでも受ける。だから、全員死ぬな!主力艦隊に
命じる!金剛たち全員は自分の意思で敵対しているとは考えにくい。よって、これより彼女たちの救出を行う!
全艦隊を大破に追い込め、行動を制限し捕縛する!」
本日はここまでになります
こんばんは
どれだけ進展できるかわかりませんが、本日も宜しくお願いします
PART1と2も読みたいので、誘導お願いします。
-水上打撃艦隊-
天龍「いいか、全て完膚なきまでに潰せ。オレの視界から敵を全て排除しろ。いけぇッ!!」
深海棲艦「「「ォォォォォォォォォォ……!」」」
川内「彼女は、天龍型一番艦の天龍だね。深海棲艦を引き連れてるのは一体…」
陸奥「提督が言ってたのはこういう事ね。彼女は私が相手するわ。他の深海棲艦は皆に任せる!」
日向「解ったわ。それにしても、やり口が実に姑息で気に入らない。許せないな…!」
夕張「しかもよりによて深海棲艦と組むなんて…」
衣笠「間違いだって、見せ付けてやりましょ!」
島風「よーし、今日も一緒に頑張るよ、連装砲ちゃん!」
陸奥「砲雷撃戦、開始!」
天龍「全砲門開けッ!」
二人「「てーっ!!」」
ボボボボボボボン!ッ! 相殺
天龍「ほぅ、オレ様の艦隊を相手に、やるじゃねぇか」
陸奥「何が貴女はそうさせたの」
天龍「はぁ?寝惚けたまま戦線に出るとか相当バカだな、テメェ。フフ、それともあれか、ビビッてて怖いのか?」
陸奥「ふふっ、口の悪さならうちの木曽といい勝負ね。ただし、腕前の勝負じゃ、貴女じゃ役不足よ」ジャキッ
天龍「おもしれぇ…その澄ました顔、涙と鼻水でグシャグシャにしてやるよ!」
日向「軽巡型エリート艦が二隻にフラグシップ艦一隻、残りはエリートの駆逐艦が二隻か」
川内「先陣、切るよ!」
衣笠「援護するわ!」
夕張「いくよ、島風ちゃん!」
島風「任せてよ!こっちは駆逐艦!」
>>109
ありがとうございます
【艦これ】提督「暇っすね」
【艦これ】提督「暇っすね」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1404/14040/1404046254.html)
【艦これ】提督「暇っすね」Part2
【艦これ】提督「暇っすね」part2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1404/14042/1404294340.html)
上記が過去作品になります。
-防衛艦隊-
龍田「うふふふふ…み~んな、綺麗に殺してきてね?」
深海棲艦「「「ォォォォォォォォォォ……!」」」
木曾「あいつは、天龍型二番艦の龍田じゃねぇか」
飛鷹「提督の言ってた事が本当なら、彼女も何らかの形で洗脳を受けている、ということよね」
瑞鳳「こんな事が、本当に起こるなんて…」
鈴谷「今日の私は超機嫌悪いよ!熊野痛めつけた奴、見つけ出してぶっ飛ばしてやるんだから!」
羽黒「敵の中に軽空母型がいます。恐らくエリート艦、二隻です。あとは重巡型の…」
利根「深紅の瞳…フラグシップ艦か!」
木曾「残りは駆逐型のエリート艦かよ。チッ…!」
瑞鳳「空は任せて!」
飛鷹「…やれる。信じてくれてる。だから、私達なら、やれる!ミッドウェーの時のようにはいかないんだから!」
瑞鳳「飛鷹さん!」
飛鷹「うん!攻撃隊…!」
瑞鳳「発艦…!」
二人「「開始!!」」ビュン ビュン ビュン ビュン
龍田「あらあら~、軽空母ちゃん、お願いね~?」
軽空母's「……ハッシン」ビュン ビュン ビュン
鈴谷「よそ見してていいの!?」チャキッ
龍田「?」
利根「ゆくぞ!」チャキッ
龍田「うふふ、邪魔ね~?」
重巡FS「アイテヲ、シテヤロウ…」サッ
利根「むっ…!フラグシップ艦か!こやつの相手は我輩が引き受ける!」
木曾「はっ、途中でヘバんじゃねぇぞ、利根さんよ!」
利根「戯け!そっちこそ足元を見よ!」サッ ドンドン
ボボン 相殺
木曾「なっ」
駆逐EL1「……」ニヤァ
木曾「てめぇ…上等だ!」
ボボボボボボボボボンッ!!
飛鷹「よし…!」
瑞鳳「貰ったわ、制空権!」
羽黒「攻勢に、出ます!」ドンドン
駆逐EL2「……」サッ ドンドン
羽黒「無駄です!」サッ ダッ
駆逐EL2「……!?」
羽黒「ここから先へは、行かせません。皆さんの背中は、私が守ります!」ドンドン
駆逐EL2「……!」ボン 被害軽微
鈴谷「あんたは私が相手してあげる!」
龍田「あら~、私を倒せるとでも?」
鈴谷「はぁ~?あんたこそ、私に勝てると思ってるならマジキモすぎなんですけど!言っとくけど、今日の鈴谷
はマジヤバだかんね。熊野の分まで、徹底的にぶっ叩く!」
龍田「熊野…?あ~、尻尾巻いて一目散に逃げた航空巡洋艦。うふふ、生きてたのね~?」
鈴谷「何、熊野が弱いみたいに語ってんのよ」
龍田「あら~、事実を言っただけよ~?うふふふっ♪そ・れ・に…どうせ殺すなら纏めて殺すほうが、楽かな~って♪」
鈴谷「うわっ、きっもー☆マジ寝言は寝て言えって感じ?あんたに出来るわけないっしょ。私にも勝てないんだから、さっ!」ドンドン
龍田「乱暴ね~?」サッ
鈴谷「む…」
龍田「いいわ~。念入りに、切り刻んで殺して上げる」バッ ヒュン
鈴谷「えっ、ちょ…!」サッ
龍田「あら、ちょっと浅かった?見かけより身軽ね」チャキ…
-水上打撃艦隊-
夕張「川内さん、これ!」ヒュッ
川内「っと…!これは…」カシャ
夕張「提督や木曽さんとちょっと新兵器の話題になったときにね。五口だけ作ってもらったのよ。新ジャンルだ
ったみたいで、妖精さんも結構失敗しちゃったんだけどねぇ」
川内「刀剣か」スラ…
夕張「そっ!対深海棲艦用近接式武刀剣、が正式名称よ」
川内「すご、これ…私の手にジャストフィット…」
夕張「上手い事活用してみて!」
川内「あぁ、助かる!」
日向「くるぞ!」
島風「駆逐型の相手するよ!」
夕張「じゃ、私はあいつ!」
川内「日向さん、フラグシップ、私が相手するよ!」
日向「せ、川内!?」
川内「半年前の私とは違うよ。慢心も、驕りもない!全てを振り払う、この一振りでね」ヒュン
軽巡FS「ワタシニ、イドムノカ」
川内「あぁ…」
軽巡FS「ソウイエバ、ワタシハ、オマエヲシッテイル」
川内「何…?」
軽巡FS「アノシュウゲキニハ、サンカシナカッタガ、トオクカラミサセテモラッテタヨ」
川内「あの、襲撃…?」
軽巡FS「ハハハ、モウワスレタノカ…ハントシマエノ、オマエタチノアクム…チンジュフヒトツ、マルマルヲオ
トスノハ、サスガニムリガアッタガナ」
川内「……そうか。やっと、提督に罪滅ぼしができるチャンスが巡って来たわけだ」
軽巡FS「ナニ…?」
川内「感謝するよ。今日、この場でお前に引導を渡す機会をくれたことをさ」チャキ…
日向「ちっ、夕張と島風で駆逐型を頼んだ。私と衣笠で残りの軽巡型を相手取る!」
衣笠「オッケー!」
夕張「ラジャー!」
島風「いっくよー!連装砲ちゃん、やっちゃってー!」
連装砲「ファイヤー」ドンドン
駆逐EL1「……!」サッ
島風「まだまだー!これで、どう!?」バシュン
駆逐EL1「……!」ボン 小破
夕張「さぁ、私もこの刀剣の切れ味、試しちゃいますよ」チャキ…
駆逐EL2「……!?」
────────
────
──
提督「いいか、刀剣ってのはただ闇雲に振るっても意味はない。特にお前たちの場合は砲撃がメインだしな」
木曾「んな事は言われなくても解ってるよ。ただよぉ、何だかんだでやっぱ俺らと戦艦じゃその差は歴然だ」
夕張「駆逐艦や軽巡、重巡でも一撃必殺の武装はやはり欲しい所ですね」
提督「まぁ、妖精さんに無理言って作ってもらったものの、出来たのは五口のみだ。だが、完成に見合う精度な
のは保障出来るだろう。実際に深海棲艦重巡型の艤装を容易く両断できた」
木曾「つーか、提督…剣捌きやべぇな」
提督「俺は元々剣道を習ってたからな。剣術にもそれなりに精通がある。最も、深海棲艦相手じゃ俺たち提督の
剣術やら将校剣なんてクソの役にも立ちゃしない。この対深海棲艦用近接式武刀剣はお前たちが振るって初めて
その真価を見せる」
夕張「しかし、五口ともなると所有して頂く人は選定しないとですね」
提督「木曾と夕張には帯刀してもらう。残り三口だが、候補としては川内、神通、利根辺りか。川内は今遠征中
で居ないが、神通と利根には先に話して物も渡しておこう」
木曾「で、俺は結構知ってるほうだけどよ、基本の構えとかは教えた方がいいんじゃねーか」
提督「あぁ、そうだな。よし、一つ稽古つけてやるか」
──
────
────────
夕張「頭カチ割られること五十六回、胴を薙ぎ払われること七十四回…締めて死んだ回数百三十回!あの地獄に
比べれば、あなた程度はその辺に居るバクテリアを相手にしてるも同然です!」ビュッ
駆逐EL2「!?」キョロキョロ
夕張「おそいっ!」シャッ
ザクッ!
駆逐EL2「ヵハ……!」 中破
夕張「相手が悪かったですねぇ」ジャキ
駆逐EL2「ォォオォォッォォ……!」
夕張「ないと思うけど、生きてたら後で感想聞かせてね!」ドンドン
駆逐EL2「」ボボボン 轟沈
-防衛艦隊-
木曾「っしゃあ!てめぇは瞬殺で終わらせる!」ドンドン
駆逐EL1「……!」サッ
木曾「バーカ、こっちが本命だ!」バッ スラ…
駆逐EL1「!?」
木曾「やれ、滑走台だ、カタパルトだ、そんなもんはいらねえな。戦いは敵の懐に飛び込んでやるもんよ。なあ?」シャッ
ザンッ!!
駆逐EL1「ァ……ガ……」 轟沈
木曾「当然の結果だ。お前の末路も含めてな」キンッ
利根「いざ、参る!」バッ
重巡FS「ナニ……!?」
利根「はっ!」ヒュッ
重巡FS「ハモノダト…!」サッ
利根「よけてしもうたか。やはり間合いが命じゃな」スッ
────────
────
──
提督「いいか、俺たちにも言えることだが、一度刻み込まれた恐怖ってのはそう簡単には払拭できない。それを
振り払う精神力、乗り越える勇気が必要だ。だが力の優劣がはっきりしている深海棲艦に、そんなものはない。
そこが付け入る一つの手だ」
利根「死ぬかもしれぬという恐怖を植え込むというのか?」
提督「そうだ。砲撃と艦載攻撃がメインの中、まさか刃物を持って近付いてくるなんて酔狂はそうは居ないだろ?」
神通「特に、私達は砲雷撃戦が主です。着かず離れず、均等な距離を保っての砲撃戦が想定されて然るべき…」
利根「じゃが、懐に入ってしまえばこの刀剣の破壊力は凄まじい」
提督「そう…懐に入ってからの最速の一手、その一手手前までが布石。鞘から放たれた雷撃は一陣の風が吹き抜
けると共に相手を絶命に追い込む。まさに一撃必殺の抜刀術」
神通「虚を突くには最も有効性の高い艤装です」
利根「疾風迅雷の様相じゃな」
提督「油断と隙を作ること、それがこの一撃を成功へ導く一つの鍵だ」
──
────
────────
利根「怖いか、深海棲艦。恐れを知らぬはずのお主等が、まさか恐怖を覚えるとは滑稽じゃな」
重巡FS「ナンダト…ナメルナ!」ドンドン
利根「莫迦め、そのような狙いの定まらぬ攻撃で、この利根を捉えることなど不可能じゃ!」ササッ
重巡FS「オノレ…!」ドンドン
利根「ふっ、恐れが行動に現れおるわ」サッ
重巡FS「ナンダト…!」
利根「怖いのじゃろう?いつ死ぬのか解らぬ…それがあるから落ち着いた行動が取れぬのじゃ」
重巡FS「ホザケ…ワレラニ、キョウフナド…!」
利根「ふっ、海の底でもそう思っておれ。ゆくぞ」ヒュッ
重巡FS「ヌゥゥ……!」ジャキッ
利根「風の如く…!」ビュッ
重巡FS「ナッ…ハヤ……」
利根「散れぃ!」ヒュバッ
重巡FS「ナ、ドコニ……」キョロキョロ
利根「阿呆が、後ろじゃ」スッ キンッ
重巡FS「キサマ……!」
利根「ふっ、止めておけ。既に勝負は着いたわ。主の敗因は怖じる事を知った故、じゃろうな」
重巡FS「シ、シカイガ……」グラッ
利根「名の通り、深海へ還るがよい」
重巡FS「ワタシガ、マケルノカ…」ザバァン 轟沈
-水上打撃艦隊-
軽巡FS「ソラソラ、ニゲマワッテバカリデハ、シヌゾ?」ドンドン
川内「……」サッ
軽巡FS「ドウシタ、ニゲマワルノガ、キサマラカンムスノシゴトカ?」ドンドン
川内「随分と弁舌だねぇ。けどまぁ、そう思うんだとしたら、あんた相当バカだね!」ドンドン
軽巡FS「フン…」サッ
川内「もう一つ!」バシュン バッ
軽巡FS「アマイ…!」サッ
川内「そっちがね!」
軽巡FS「ナッ……!?」
ザンッ!
軽巡FS「ナン、ダ…ソレハ……」グラッ… 大破
川内「あんた達を薙ぎ払えるエモノだよ」チャキッ
軽巡FS「コンナ……バカナ……」
川内「残念だったね、バイバイ」ドンドン
ボボボボン
軽巡FS「」 轟沈
天龍「いくぞ、オラァ!」ドンドン
陸奥「ふっ!」ドンドン
ボボボボン 相殺
陸奥「次発装填…」
天龍「バーカ!足回りがおせーんだよ!」ドンドン
ボボボン
陸奥「くっ…!ちょっとはやるじゃない」 小破
天龍「しねぇ!」ドンドン
陸奥「余りビッグセブンの名を背負ってるこの陸奥を舐めないで貰いたいわね!」ドンドン
ボボボボン 相殺
陸奥「足回りが遅くてもね、こういう戦法も取れるのよ!」ジャキ ジャキ
天龍「なっ、全砲門を…てめぇ、まさか!」
陸奥「火遊びは程ほどにしなさい。じゃないと、火傷じゃ済まないわよ!」ドドドドドォォン
ボボボボボン
天龍「ぐあぁぁぁ!」 大破
陸奥「勝負、ありよ!」
天龍「ぐっ、てめぇ…オレの、艤装だけを…破壊しやがったのか…!」
陸奥「無手ではもうどうしようもないでしょう?」
天龍「っざけん…な!まだだ、まだ…この天龍様は、やれる……!」
陸奥「周りを見なさい。あなたの引き連れた深海棲艦は私の仲間が既に撃墜してる。この場でそれ以上の根性論
は無意味よ。諦めて、眠りなさい」ヒュッ
ドッ
天龍「がはっ……!」パタ…
陸奥「提督、陸奥よ。こちらは任務完了。深海棲艦を引き連れていたのは天龍。今からそっちへ搬送します」
提督『天龍だと!?わ、解った。宜しく頼む』
-防衛艦隊-
龍田「制空権が…」
飛鷹「余り舐めないでよね!」
瑞鳳「いつまでも足踏みしてる私達じゃないんだから!」
軽空母EL1「グ…オノレ……」 大破
軽空母EL2「バカナ……」 大破
鈴谷「さんきゅー、二人とも!」
龍田「うふふふ、いいわ…直々に殺して上げる♪」
鈴谷「熊野にしてくれた分、お礼させてもらうから!」ドンドン
龍田「遅いわねぇ。いくわよ~、絶対逃がさないから」サッ ドンドン
鈴谷「くっ」ボボン 小破
龍田「あら~、もうヘバっちゃった?」
鈴谷「」(こんな奴に…!熊野は…!)バッ ドンドン
龍田「そ~れっ!」ドンドン
ボボボボン 相殺
龍田「ざんね~ん、ハズレね~。貴女じゃ楽しめそうにないわねぇ」ドンドン
鈴谷「あっ……!」
ボン ボン 相殺
木曾「祭囃子に誘われてきてみりゃあ……そんなに楽しめてねぇんなら、俺も混ざらせてもらうわ」
鈴谷「木曾…」
木曾「よっ、お前まで大怪我しちまったら熊野がまた泣いちまうだろ。お前の無事な姿を熊野に見せてやらにゃ
あなんねぇからな。お前と熊野の無念を晴らすの、俺も手伝ってやるよ」
龍田「……貴女、今、何で私の砲撃を打ち落としたの?」
木曾「さぁ、なんだろうな?てめぇも随分と似合わないモノ持ってんじゃねぇか。刀か、それ」
龍田「お好きに解釈してくれていいわよ~。ただ、あなたの目、気に入らない目ね~」
木曾「ははっ、そいつは悪かったな。ま、数的不利とか有利とか、そんなくだらねー我が侭は言うなよ?けど、
うちの提督には感謝するんだな。てめぇが深海棲艦だったら、構わず殺してた」
龍田「なんですって…?まさか私を殺せるとでも思っていたの~?」
木曾「ああ、信頼できる提督が率いる艦隊ってのはな、普段以上の力が出せるもんだ。統率だけしか取り得のな
いお前らとは雲泥の差ってヤツだ」
鈴谷「熊野に、うちらの提督に悲しい思いさせるとか、マジありえないんですけど」
木曾「これは最後通告だぜ。大人しく引き下がるなら、制圧はしねぇ。けど、まだ何かくだらねー真似しようっ
てんなら、腕の一本や二本は覚悟の上でかかってこい」
龍田「うふふふふふ……肉を斬らせて骨を絶つ、かしら~?」
木曾「絶てるもんならやってみな!」
龍田「なら~、望みどおりにしてあげる!」ドンドン
木曾「はっ、当たらないねぇ」サッ
鈴谷「このっ!」ドンドン
龍田「無駄よ~」サッ
木曾「鈴谷、弾幕切らすなよ」
鈴谷「え、いいけど…弾数にだって制限あるってば」
木曾「安心しろ。それまでに終わらせるっ!」バッ
龍田「」(主砲や魚雷を構えるわけでもない。一体何を…)ドンドン
木曾「へっ」サッ
鈴谷「これなら…!」ドンドンドンドン
龍田「無差別すぎるわね~。そんなの、幾ら撃ったって…」ササッ
木曾「ああ、お前が相手じゃ当てるのは難しいかもな」
龍田「なっ……!」
木曾「けどよ、この距離だったら分は俺にあるぜ?」スッ
龍田「」(攻撃…ダメ、間に合わない。回避も無理……なら、この刀で……え、彼女の腰周りにある、あの艤装は…)
木曾「勝負、ありだ」ヒュヒュヒュン
ボボボボン
龍田「うぐっ……!」 大破
鈴谷「やった…!」
龍田「ぐっ、私の、艤装だけを…」
木曾「換装はいじまえばもう何もできねぇだろ。最も、破壊した時の小爆発でてめぇの四肢も見事に大怪我。
立ち上がることすら出来ないだろうがな。ある程度連射は出来る艤装だったみてぇだが、間合いは駆り損ねたの
は失策だったな」
龍田「まさ…か、刀剣、だったなんて、ねぇ……」
木曾「てめぇの持ってる殺人の剣と一緒にしてくれるなよ。俺達の持ってる刀剣は活人の剣だ。皆を生かす、皆
を守る為に振るうモンだ」
龍田「こん、な……」パタ…
木曾「ふぅ…」キン
鈴谷「木曾、ありがと…」
木曾「ん?ああ、気にすんな。それより、他の奴らの援護だ。俺は龍田を提督んところに運ぶ」
鈴谷「うん、解った!」
木曾「よう、提督。こちら木曾だ。飛鷹達も深海棲艦の制圧まであと一歩、俺もそいつらを引き連れてた艦娘を
制圧した。無力化はしたがちっとやり過ぎた、わりぃ。今からそっちに運ぶわ。名は天龍型二番艦の龍田だ」
提督『……陸奥からも報告を貰ってる。とにかく急いで頼んだぞ』
木曾「おう、りょーかいだ!」
今日はここまでにします
こんばんは
本日も宜しくお願いします
-水雷戦隊・潜水艦隊-
ゴーヤ「隠れてコソコソしてる奴がいると思ってたでち」
イムヤ「ホント姑息よね。私達を近海に引き付けておいて、別働隊で鎮守府狙おうなんて…」
まるゆ「憤りを覚えます!」
阿武隈「そう何度も同じ手が通用するなんて思って欲しくないんだけど!」
暁「バカにされてる感じでほんっと腹立つわ!」
響「さぁ、見せてやろうか。今度こそ、私達が奮戦する番だ」
電「はいなのです!」
白露「さー、どっちが追い詰められてるのか教えてあげちゃおっかー!」
夕立「お仕置きが必要っぽい!」
時雨「うん、相当きついヤツがいいね」
提督『いいか、恐らく相手方の水雷戦隊もエリートやフラグシップが混ざってるかもしれない。注意は怠るな』
阿武隈「了解です!暁ちゃんの小隊と白露ちゃんの小隊は左右に展開。私が正面から注意を引き付けます!」
イムヤ「阿武隈の言葉聞こえたね?」
ゴーヤ「勿論でち!」
まるゆ「阿武隈さんのサポートですね」
イムヤ「そーいう事!潜水艦隊、行くわよ!潜航開始!」
ゴーヤ「了解でち!」
まるゆ「はい!」
阿武隈「敵の遊撃艦隊、四隻…!」
暁「電、響、突撃よ!」ドンドン
電「いくのです!」ドンドン
響「よし!」ドンドン
白露「二人とも、遅れないでよ!砲雷撃戦、開始!」ドンドン
夕立「問題なし!」ドンドン
時雨「勿論!」ドンドン
ボボン ボンボン ボボボボボン
駆逐EL「ォォォォォォ……!」ドンドンドン
阿武隈「と、特攻!?くっ…!この!」サッ ドンドン
駆逐EL「……!」サッ
暁「狙いがそれたの!?」
白露「うっそぉ!撃ち漏らし!?」
イムヤ「大丈夫!いいわね、二人とも!魚雷一斉発射ぁ!」バシュン
ゴーヤ「魚雷さんお願いします!」バシュン
まるゆ「と、届いてぇぇぇ!」バシュン
駆逐EL「オァァァァァァ……!」ボボボン 轟沈
イムヤ「やったぁー!」バシャバシャ
まるゆ「はぶぶ……」ブクブク
ゴーヤ「ええ!?まるゆちゃんが潜水じゃなくて、ただただ沈んでいってるでち!」
-主力艦隊-
榛名「金剛お姉さま…」
金剛「ハーイ、榛名。これは最後通告デース。今すぐ、その艦隊を裏切って私達と一緒にくるデース」
榛名「な、何を…!」
金剛「そーすればー…」ニコッ
比叡「命まではとらないわ。最も…」チラッ
龍驤「」ビクッ
比叡「龍驤、あなたは提督の意向に背いた子だから、殺すけどね?」
筑摩「龍驤ちゃん、どうして提督を裏切ったのかしら?」
龍驤「な、何ゆうとるん。筑摩やって、変やゆうてたやろ!?せやのに、なんで…!」
筑摩「あれは私の勘違いかしらね。提督が悪い人な訳がないもの」
長門「大鳳、それに霧島…お前達まで、どうした!」
大鳳「……会話は不要よ。私はただ、あなた達を殲滅するのみ」
霧島「榛名、悪いことは言わないわ。こっちへいらっしゃい。また、四姉妹でたのしくやれるわよ?」
榛名「霧島……」
龍驤「そや…叢雲や、球磨はどないしたんや!」
霧島「…姉妹の会話に割り込むなんて、ホント理解に苦しむほど頭の悪い子ね」
翔鶴「うふふふ、聞き分けのない子達でしたので、殺しました。あぁ、でも勘違いしないでくださいね?私達が
直に手を下したわけじゃありませんから。あぁ、でもこの地域管轄だと、まだ知らないかもしれませんね。近代
化改修…本来は艦娘の艤装などを流用と言う形で他の艦娘の性能向上を図る仕様ですけど、私達の提督はそれを
艦娘も含めた形で、文字通りその血肉全てを強化すべき艦娘へ与える技術をお持ちなんです」
神通「なんて、事を…」
北上「あんたら、そうやって従わないのは力尽くで、それでも従わないのをロストさせてったって言うの!?」
金剛「その通りデース。提督の手足として動かない連中は不要じゃないですカー。その点、霧島と大鳳はとても
聞き分けのいい子達で助かったデース」
提督『』(近代化改修…噂には聞いていたが、あれはまだ試験段階で元帥殿が提唱はしたものの、まだ完成には
至ってない…それ所か改修を行った艦娘にどんな副作用が起こるかもわからない、パンドラの箱とも呼ばれてた
提唱内容…その方法を後輩が知ってるのははやり不自然だ。やはり、あの時電話で会話したのは後輩ではない。
後輩に化けた別の存在…)
赤城「それと霧島さん、大鳳さんがあなた達に付き従う理由は辻褄として合いませんよね?一体、何をしたんですか」
提督『』(そうだ。霧島と大鳳は元々先輩の鎮守府に籍を置いていた。それに二人ともその忠節は武蔵に引けを
取らないほどだった。つまり、艦娘を自らの指揮下に落とす為の、一種の洗脳が施されているってのが俺の推論
だが…)
赤城「話す気がないのであれば、その身に聞くまでです!」グッ
金剛「む…!」
提督『』(…悩むのは後だ。まずは彼女たちをなんとしても正気へ戻さないとならない。その為にも……)
赤城「一航戦赤城、出ます!第一次攻撃隊…!」ビュン ビュン ビュン
榛名「あれは、加賀さんが使ってた飛行甲板…赤城さん……皆、砲雷撃戦用意!」
長門「あれほどの艦載機を一度に…見事だな、赤城。よし、私も出るぞ!」
北上「いくよ、大井っち…!私と大井っちが組めば、最強だしね!重雷装巡洋艦、北上!出撃します!」
神通「神通、いきます!」
龍驤「こんなん、間違うとる…せやけど、今は筑摩、キミよりこっちの皆をウチは信じる!攻撃隊…!」ビュン ビュン
赤城「加賀さん、見ていて下さい。これが、私の答えです。鎧袖一触…一気に目標を殲滅します!発艦してください!」バッ
龍驤「…発進!」バッ
比叡「これは全員、抹殺対象だねぇ」
翔鶴「往生際が悪いですね。全航空隊、発艦始め!」ビュン ビュン
大鳳「そうね。この際、徹底的に撃滅しましょう!」ビュン ビュン
提督『いいか、皆…日没まであと少しだ。赤城と龍驤を全力でサポートするんだ。夜戦に突入したら二人は後方
へ待機……』
神通「提督、夜戦は私に考えがあります。もしもの場合は、私の案を採用して下さい」
提督『神通…それはどういう意味だ?』
神通「この神通…例え沈む事になろうとも、ただでは沈まない。そういう事です!」
提督『お前…』
神通「でも、提督?誤解をしないで下さい。私がその思い切った作戦を行えるのも、提督が支えて下さるからで
す。榛名さんをはじめ、皆を信頼しているからです。着任した当初は戦闘がとても怖かった…けど、信頼できる
仲間が居るから怖くない。信頼できる人が居るから頑張れる。提督、私はあなたの下だからこそ、この力を遺憾
なく発揮できる!仲間を信じているから恐れることなく突き進めるんです!」
北上「提督、皆一緒だよん。私達は誰が欠けてもダメなんだよ。だって、提督が私達の笑顔を守ってくれるよう
に、私達も提督の笑顔、守りたいじゃん!明確な理由があるから、私達は戦えるんだよ!だからさ、神通っちを
提督も信じて上げてよね!」
長門「提督、あなたが指揮するこの艦隊はとても心地がいいよ。背を任せられる者が居るというのが、これほど
頼もしいものかと、今更ながらに痛感する。今の私は、何者にも負ける気はしない!全てを預けられる仲間がそ
こに居る限り、この戦艦長門は何度でも立ち上がれる!だから、信じろ!私を、仲間を…!」
提督『……解った。ありがとう……お前たちを従えられる栄光に預かれる俺は本当に幸せ者だな。安心しろ。俺
がお前たちを信じない理由などどこにもない。信じているから任せているんだもんな。神通、タイミングはお前
に一任する。ただの寄せ集めと、そうじゃない艦隊の違いを思い知らせてやれ!』
神通「はい!」
ボボボボボン 鎮守府主力艦隊 制空権優勢
翔鶴「なっ、そんな…!」
大鳳「馬鹿な…!」
赤城「加賀さんの言葉を借りるなら、そうですね…ふふっ、五航戦の子なんかと一緒にしないで、と言った所で
しょうか?龍驤ちゃん、一気に決めましょう。狙いは翔鶴と大鳳…」ビュン ビュン ビュン
龍驤「りょーかいや!電光石火で攻め立てるで!」ビュン ビュン
赤城「第二次攻撃隊…」
龍驤「艦載機のみんなぁー、次も一発!キッツイのかましてや!」
赤城「…全機発艦!」バッ
龍驤「いったれー!」バッ
比叡「戦艦に勝負を挑むなんて、流石に気が狂ってるとしか思えないんだけど?」
神通「そうですね。本来であれば、ですが…私は貴女より速い」
比叡「言ってくれるじゃない。だったら望み通り、深海へ沈めて上げるっ!ここが貴女の墓標よ!」ドォン ドォン
神通「落ち着いて…相手の、呼吸を、読んで…」ボソ… サッ
比叡「へぇ…なら!」バッ
神通「次は、さっきよりも、速く…!」ボソ…
比叡「ほらほらほらーっ!」ドン ドン ドン
────────
────
──
提督「神通や木曾はその素早さを活かすといい。速さは破壊力にそのまま直結する。運動量ってのは運動によっ
て得られる力の大きさのことだ。お前たちの速度を以って与えた力を停止させるには同じ大きさの力が必要にな
るだろうが、速さだけじゃない、お前たち自身の力が加重としてそこに合わさる。その力を逃がす方向、速さを
殺さないようにする方法、それが【構え】だ。大体大別して三種類、上段、八相、下段の三つがあるが、恐らく
抜刀した状態で構えた所で相手に警戒心しか与えないだろう。だから今回は一瞬の隙を物にする為の構えである
抜刀術を会得してもらう」
──
────
────────
神通「……!」サッ
比叡「うろちょろと、こいつ!」ドン ドン
神通「」(ここ…!)ヒュッ
比叡「なっ、砲弾の隙間を縫って、前進!?だけど、そんな態勢で何を…」
神通「油断しましたね。ここは、私の間合いです!」ビュッ
比叡「なっ…!?」
ズバッ ボボボン
比叡「ぐっ…」 小破
神通「かわした…!?」
比叡「舐めた真似、するじゃない…!」ギリッ…
筑摩「あなたは…以前うちに来てくれた子ね」
北上「あ~、あの提督、視線気持ち悪くってさぁ。一秒でもあそこには居たくなかったね~」
筑摩「あら、そう言えば、以前と正装が違うように見えるけれど、イメージチェンジ?」
北上「いや~、決意の表れ、かな~?」
筑摩「どうせ先輩鎮守府と同じ目に遭うと解っているのに、決意も何もないんじゃないかしら?あんな弱い艦隊
に従事するこの近隣の提督が治める鎮守府が強いとは思えないわ」
北上「……ちょっと、もう、喋んないでくれるかな」
筑摩「あら、傷口に塩、だったからしら?」
北上「少なくともあんたらより先輩鎮守府は強いし、私らもあんたらになんて負けないよ。上辺だけ信じて従っ
てる連中と一緒にされたくないし…何より、大好きな人達バカにされるのすんごい腹立つんだよね」
筑摩「感情だけじゃどうにもならない事があるでしょう。今の貴女が、そうなように…」
北上「ふんっ、背負った事も受け止めた事も無いヤツに言われたくないね~。全四十門の酸素魚雷、余さず全部
叩き込んで上げましょうかね!」
筑摩「ご自由に…全て鉄屑にした上で、あなたも近代化改修の糧にして上げます!」ドン ドン
北上「当たるか、そんなもん!」サッ ドン ドン
筑摩「さて、どうして上げましょうか」サッ
長門「お前達ほどの手練が何を血迷った」
金剛「血迷う?ノー、それは違いマース。賛同、と言って欲しいデス」
長門「賛同だと?この悲劇を起こすことが賛同だというのか!?」
金剛「より良い未来を選んだ結果、と言うことデス。何故、私達が自分達よりも弱い存在に使役されるデス?」
長門「提督や鎮守府の上層部を差しているのか」
金剛「私達の提督は私達を物としては扱いまセン。他の鎮守府よりよっぽど…」
長門「ふん、そういう刷り込みか」
金剛「刷り込み…?」
長門「残念だが、今のお前達は他の艦娘達よりよっぽど道具に見えるがな。今のお前達と言葉を交わしても何も
代わり映えはないだろう。だから、救ってやる。お前達の本当の思いを引き出してやる」
金剛「言ってる意味が解らないデース」
長門「あぁ、【お前】に話しかけてるわけじゃないからな。お前は理解しなくていい。無駄話はここまでだ」ジャキッ
金剛「火力にしか能が無い長門型には負けまセーン」ジャキッ
長門「ほぅ、そうか。私も見縊られたものだ。最も、お前達では榛名にも劣るだろうが、その腐った性根を今一度
、この私自ら叩き直してやろう。同じ戦艦型の好でな!」ドォン ドォン
金剛「その、程度!ファイヤー!」ドォン ドォン
ボボボボボォォォン 相殺
金剛「甘いデース!」ドォン ドォン
長門「面白い。ならば…!」サッ ジャキッ
金剛「何を…」
長門「空の利はこちらにあるのを忘れたか?悪いが、狙い撃つ!」 弾着観測射撃 ドォン ドォン
金剛「しまっ…!」
ボボボボン
金剛「くっ、これは…」 中破
榛名「霧島、何があったの?」
霧島「別に何も。信じる先を変えただけよ」
榛名「それが間違いだって、あなたなら解ってたはずなのに…!」
霧島「考えを改めたのよ。視野が狭かった、と言うべきね。あなたもよ、榛名。狭い界隈だけを見ていては大き
な波を見落とすことになる。それを解らせて上げるわね」ジャキッ
榛名「霧島には、聞こえないの?武蔵さんや、先輩鎮守府に居た皆の悔しい思いが…」
霧島「榛名、それを人は幻聴と言うのよ。主砲、敵を追尾して!…撃て!」ドォン ドォン
榛名「くっ…!」サッ
霧島「あら、やるわね」
榛名「思いやりを忘れたって言うなら、榛名が思い出させて上げます!霧島、あなた達の勝手な振る舞い…例え
実際に手を下してないとしても、今この場においては、この榛名が!許しません!」ドォン ドォン
霧島「この火力は…!」サッ
榛名「くっ…!」(凄い反動…狙いを定めるのも大変。こんなものを武蔵さんは普段から使ってたの?)
霧島「火力は大したものだけど、振り回されてる感じが否めないわね。それじゃ、宝の持ち腐れになるんじゃない!?」ドォン ドォン
榛名「きゃあ!」ボボン 小破
本日はここまでになります
今さらで申し訳ないのだが…加賀さぁぁぁぁぁん。゚゚(´□`。)°゚。
提督の皆様、こんばんは
今日も宜しくお願いします!
>>137
赤城さんにスポットを当てると決めていたので、加賀さんにはこのような結果に…
しかし加賀さんの遺志を汲んだ赤城さんはスーパー化してるので、今後もご期待下さい
翔鶴「何故、勝てないの!」
大鳳「こんな馬鹿な事が…!」
赤城「何故なのか、解りませんか?単純な戦力差ではありませんよ」
龍驤「ウチらは誰かのモノやない!一人一人、ちゃんと感情表現できる【人】や!キミらみたいに感情があるよ
うでないような人形と一緒にされてたまるかい!絶対に負けへん…筑摩も、他の皆も助ける!」
提督『赤城、龍驤、次が最後だ!もう直、日が沈むぞ!』
赤城「解りました!」
龍驤「了解や!」
翔鶴「艦載機も、艦爆隊も、最新のものをそろえているのに…!」
大鳳「……!」
赤城「最新鋭であれば秀でるというのは、愚かな考えですね。例えなんであろうと、私達の攻撃隊はみんな優秀
な子たちですから…負けなどありえません!このまま、押し通ります!」ビュン ビュン ビュン
龍驤「敗因がある言うなら、秘めた覚悟の違い、やろなぁ!」ビュン ビュン
翔鶴「こんな…!」
大鳳「どうして…!」
ボォォン ドォォン ボボボボン
翔鶴「また…沈むの…?」 大破
大鳳「いやだ…沈むのだけは…」 大破
赤城「……加賀さん、ありがとう……あなたの遺志は、私が引き継いでいきますね。龍驤ちゃん、彼女達を拘束、
提督の下へ連行します」
龍驤「了解や!」
-夜戦-
提督『皆…日が、沈むぞ!』
神通「くっ…!」 小破
比叡「ははっ、舐めた真似してくれたわね!けど、もう容赦はしない!」 小破
筑摩「流石にその魚雷、目障りだわ」 小破
北上「ふっふ~ん、褒め言葉だね~。次は外さないし!」 小破
金剛「くぅ…ホンット、しつこいデース!」 中破
長門「お前もな!」 被害軽微
霧島「無様ね、榛名。同じ姉妹とは思えないくらいよ?」 被害軽微
榛名「はぁ、はぁ…」 中破
サァァァァァ……
比叡「ん、太陽が…」
筑摩「沈む…」
神通「皆さん、聞いて下さい」
長門「神通?」
神通「短期決戦で四人を無力化させます」
榛名「けど、夜戦じゃそう簡単には…」
北上「私は神通っち、信じるよ」
神通「これを、使います。こうする事で、あの四人は一斉に私に集中するでしょう。逆に言えば、射線から砲撃
先、その全てを相手は晒す事になる。それが、狙いです」
長門「……危険過ぎる。それではお前が…!」
神通「ふふっ、狙われるのには慣れています。でも、簡単には沈みません。先輩鎮守府の、皆の無念を晴らします」
榛名「……提督、聞いての通りです。最終決戦に入ります!」
提督『ああ、俺からも最後の命令を下す。全員、俺の下へまた戻って来い!』
四人「「「了解!!」」」
金剛「間合いを取られまシタ…小賢しいデース!」
霧島「けど、遠くへはいけないはず。必ず近海に潜んでいるはずです」
パッ
比叡「あれは…!」
筑摩「明かり?」
神通「探照灯照射…突撃します…」スラッ
霧島「あの子、馬鹿なの?」ニヤ
比叡「自分から場所を教えるなんて、夜戦の【や】の字も知らない感じね」
神通「皆、私に続いて!」
筑摩「飛んで火に入る夏の虫、かしら?」
神通「魚雷も、次発装填済みです…これからです!」バシュン
比叡「くっ!」サッ
金剛「上等ネ!撃ちます!ファイヤー!」ドォン ドォン
霧島「距離、速度、よし!全門斉射!!」ドォン ドォン
比叡「お姉さまの邪魔するひとは、許さない!」ドォン ドォン
筑摩「自ら姿を晒す、その愚行を悔いる事ね!」ドン ドン
ビュッ シャッ ボボボボン
神通「まだです…」
ボン ボボボン
神通「くっ……!」 中破
ボン ボン ボン
神通「まだ…まだ…この神通は沈みません!もう一撃くらい……!」チャキッ
筑摩「よく防ぎきったわね。でも、無駄よ!」ドン ドン
ボボボン
神通「きゃあ…!」 大破
比叡「往生際悪いね!終わりよ!」ドォン ドォン
神通「ぁっ……」
長門「させるかぁぁぁぁっ!!」サッ
ボボボォォン 庇い
比叡「なっ…どこから!?」
長門「ビッグセブンの力、侮るなよ…!」 小破
神通「長門、さん…今、です!」
長門「よし!全主砲、斉射!撃て!!」ドォン ドォン
ボボボボボン
筑摩「しまっ……きゃあ!」 大破
北上「ほらほら、後ろだよ~!」バシュン
霧島「えっ…!?」
ボボボボボン
霧島「そ、そんな……私の、データに、狂いがあるなんて……」 大破
長門「浮き足立ったな…終わりだ!」ドォン ドォン
比叡「こんな……」
ボボボボボン
比叡「くっそぉ……」 大破
榛名「金剛お姉さま、ごめんなさい…でも、榛名!全力で参ります!」ドォン ドォン
金剛「シット……!」
ボボボボボン
金剛「私が…負ける、なんて……」 大破
榛名「はぁ、はぁ、はぁ……やった、の?」
長門「ああ、全員無力化に成功だ」
本日はここまでになります
提督の皆様、こんばんは
今日は少しのんびりめで書きます
とに拷回期待。てか、○ゆ・・・
-執務室-
提督「やったか…」
後輩「いやぁ、素晴らしい」
提督「ッ!」バッ
後輩「どうも、先輩…」ニヤ…
提督「貴様…どうやって、ここへ」
後輩「そんなの、どうだっていいでしょう。まぁ、あわよくばこの鎮守府の艦娘も何匹か手に入れたいなって思っ
てはいましたけどねぇ…まさか逆に全て制圧されるとは……ハハハハハ!」
提督「何が可笑しい!」
後輩「そりゃ笑うでしょう?折角、戦闘特化に生まれ変わらせてやってこのザマじゃあ…やっぱ、欠陥が多すぎ
ますよ、艦娘って兵器は…」
提督「貴様……!」
後輩「ま、今回は欠陥揃いの先輩の艦娘達の力戦奮闘に免じて、これ以上の手出しは止めておきますよ。実弾を
用いた艦娘達の戦闘風景ってのも新鮮で面白みがあったし、収穫としては十分です。ではでは、またいずれ会い
ましょう、センパイ……あ、そうそう。どうせこの事、上に伝えるんでしょう?ついでだから警告もしておいて
上げて下さい。機密情報くらいはきっちり管理しましょうねってね。では今度こそ……See you again.」スタスタ…
>>148
本心からの敵対ではないので、今回、少なくとも現段階ではご希望に添えないかもしれません。
最も、そういう描写が今後を通して「ない」とも断言はしませんので、アップされてからのお楽しみ、と言う事で一つ宜しくお願いします。
-提督鎮守府-
提督「皆、無事に戻ってきてくれてありがとう…」
神通「五体、満足…と言う訳には、いきませんでしたけど、ね……」
木曾「無茶しすぎだぜ」
提督「神通には罰として榛名と二人で入渠ドックで暫く反省してもらう」
榛名「わ、私は別に無茶して出来た怪我じゃ!」
神通「あはは…」ニガワライ
榛名「も、もう、神通さんまで!」
提督「あーあー、はいはい、とにかく、この場で伸びてる金剛たちの処置もしないとならん」
金剛「キュー……」(@x@)
提督「流石に使ったのは実弾だ。応急処置と事前に艤装のみを狙って被害は最小限に抑えたとは言ってもだ、放置
すれば命に関わる。目を覚ましたらまた襲ってくる可能性もある以上、ここに留めておく事は出来ん」
長門「提督、私は被害軽微だ。護送は私が行おうか?」
提督「いや、既に手配はしてある。あろう事か元帥直属の第三艦隊がお出になってくれるそうだ。護送には俺も
付き合う。元帥殿御自らのお呼び出しもされちまったからな。それに、被害軽微?今度嘘をついたらお前も減俸
に処すぞ、長門」
長門「う……わ、わかった。まぁ、その、なんだ…提督もお疲れ様だな。戻ったらたまには酌に付き合おう」
提督「はは、ああ頼むよ」
羽黒「あっ、司令官さん!」タッタッタ
提督「お?」
羽黒「元帥殿の艦隊、到着されました」
提督「おぉ、そうか」
那智「失礼します。元帥直属第三部隊那智戦隊、提督鎮守府の司令官殿のお迎えに上がりました。この度の後輩
鎮守府の反乱についても元帥自ら話を伺いたいとの事で、馳せ参じた次第です。共に救護班兼護送役として特務
隊を随伴させております」
提督「そうか、感謝するよ。それじゃ、早速で悪いが八名居るから順次頼んだ」
那智「はっ!お任せ下さい!」
提督「榛名は入渠するだろうから、戻るまでの間、提督兼秘書艦代行を長門と陸奥に一任する」
長門「了解した」
陸奥「ええ、了解よ」
提督「まぁただお前達も怪我をしてる。榛名が戻ったら代行は榛名と代わってくれていい。他の皆も怪我してる
奴は必ず入渠を済ませておくように。戻って入渠済ませてない奴は間宮さんのアイス抜きだ」
北上「そんな殺生な!」
提督「ははっ、じゃあ頼んだぞ」
-大本営-
提督「」(相変わらずすげぇな、ここは…)
那智「司令官、こちらです」
提督「ああ」
コンコン
那智「元帥、那智です。提督鎮守府司令官をお連れしました」
元帥『ご苦労、入りたまえ。那智は下がってよい』
那智「はっ!では、失礼致します」
提督「提督鎮守府、提督大佐であります。失礼致します!」
ガチャ パタン
元帥「よく来てくれた。まぁ掛けなさい」
提督「はっ!ありがとうございます!」
元帥「大和、ビスマルク、君達は外しなさい」
ビスマルク「Geht klar 元帥」
大和「了解致しました」
ガチャ パタン
元帥「ふぅ……」
提督「ご心労、お察し致します…」
元帥「すまんな。いや、君には感謝してもしきれん…娘を、助け出してくれたのだからな」
提督「先輩は、俺に提督の…如いては海軍の在り方全てを教えてくれた恩師です。あの、まだ…」
元帥「ああ…意識は戻らん。だが、傷が癒えるのと一緒に自然と意識も戻るはずだと、医師は仰ってたよ」
提督「そうでしたか」
元帥「まぁ、娘の事は時間が解決してくれるという事だ。本題はここからだ」
提督「はい」
元帥「君の報告によれば、後輩提督は既に死んでいるか、何かしらの理由によって、既に我々の知っている人物
とは程遠い存在となっている…そういう解釈だったな?」
提督「仰るとおりです。自分が提督に着任して二年目、大尉の頃に奴は着任、新人イロハの指導として自分が世
話を先輩から言い付かって指導しました。その後、自分は中佐へ昇格したのを機に現在後輩が着任していた鎮守
府に着任し、その数年後、自分が大佐の昇進と同時に現在の鎮守府に栄転するのと同時で、入れ替わる形で着任
しています。しかし、その時既に後輩は何者かによって葬られたか、あるいは洗脳の処置を施されていたと解釈
しております」
元帥「奴の生い立ちはまた別としてだ…気になることを言っていたな。今回の事件とも繋がりは深い」
提督「一つは、深海棲艦の知能発達の嫌疑です。現在、我々が認識している深海棲艦で最も恐れているのは、ど
の種別にも存在しているフラグシップ、エリートと呼ばれる存在です。ですが、今までこいつらは表立って行動
を起こしてはきませんでした」
元帥「言うとおりだ。それがここ最近、奇襲とも取れる行動もそうだが、こちらの行動を予測した動きも見せて
いると報告を貰っている」
提督「信じ難い事実です…何より今回最も恐れたのは、艦娘による反逆です。厳密には反逆と言うよりも、一種
のこれも洗脳に近いものと自分は推論を立てております。論理までの説明は無理ですが、感じた印象として後輩
を信頼の置ける提督と、捉えていました。そして、その手法の一つに近代化改修が行われた節もあります」
元帥「……!お主、何故その名を知って…」
提督「申し訳ありません。以前に中将殿より拝聴する機会がありました。ですが、中将殿も自分以外には話をし
てないと思われます。故に、この情報を知ってるものは元帥と自分をはじめ、本当に極小数の限られた者にしか
内容は行き渡っていないはずなのです。しかし、奴はこの内容を知っていた…」
元帥「なんと…」
提督「無論、自分は漏洩をした覚えも無ければこのような明瞭でない内容を吹聴する気にもなれません。中将殿
に至っても同意見です。考えたくは無い事実ですが…これはあくまで自分の推論の延長でしかありません」
元帥「乗りかかった船だ。最後まで聞こう」
提督「恐れ入ります────」
自分が立てた推論は次のものです。
まず初めに、後輩は何らかの理由により ①死んだ ②洗脳された 可能性がある、と言う事です。
①の場合、これは後輩に成りすました何者か…この場合は深海棲艦が有力でしょうが、そういう可能性が生まれます。
②の場合、人格が変更されるほどの洗脳を施されている可能性があります。
次に、艦娘達による反乱です。
後輩が①だった場合、艦娘を使った深海棲艦による何かしらの実験の第一段階だったのではないかと推測されます。
後輩が②だった場合、同じく短期間で反乱を企てられ、更には自らの指揮下に治められるほどに洗脳の速度が早いと言う事。
どちらも放っては置けない内容です。どちらにも言える事ですが、奴は近代化改修を流用した手法を用いていると推測されます。
近代化改修……。
元帥殿が提唱された艦娘の進化論、その最先端を駆使した理論と伺っております。
現状でも、艦娘自身が精進し、錬度を高める事によって艤装の改修を行い、その性能を向上させることは可能です。
しかし、元帥殿の仰られた内容はそのどれとも似つかない。まさに新天地の試みとお見受けします。
その内容が漏洩した…。厳密には、後輩提督がその事実を掴んでいた、ということです。
考えたくない事実ですが、恐らく後輩に内通する者が元帥殿の身近に存在する可能性を疑うほかありません。
そして最後、これらの内容から生み出される最悪のケース。
まず、深海棲艦は艦娘達と同じように成長、または進化をしている、と言う事。
統率の取れていなかった深海棲艦がここ最近でフラグシップやエリートを旗艦として陣形を駆使した行動を取り、
不利と判断すれば退却をして形勢を立て直すことまでしています。
これが事実だとすれば、知恵をつけた深海棲艦にも新種が生まれている可能性が大いにあるという事です。
そして、その新種には確実に近代化改修の施しがされているはずです。
どういう作用を及ぼすかまでは解りませんが、極めて危険であるのは確かです。
実際、今回戦闘を行った艦娘達の戦力が中将殿の率いる艦隊に勝るとは到底思えませんでした。
つまり、考えられるのは今回、中将艦隊は新種の深海棲艦の試験運用による判断材料に狙われた…そう解釈を取るべきです。
今回はここまでになります
提督の皆様、こんばんは
今日も宜しくお願いします
元帥「戦艦ル級や空母ヲ級よりも更に上が居ると、お前は言うのか…!?」
提督「判断材料が乏しいので断言は出来ません。それでも、警戒を怠るべきではないと考えます」
元帥「しかも身内に裏切り者が居るかも知れぬと……この内容を知っているのは私と君、そして私の娘、各地に居
る大将十名と一部の中将のみのはずだ」
提督「憲兵ではなく、元帥殿の抱える暗部を動かす必要があるかと…」
元帥「身内の精査か…」
提督「憲兵による表向きの捜査と平行して、確実に内容を調べる必要があるかと思います」
元帥「解った。いや、今回の君の働きは本当に感謝している。娘が君に入れ込むのもよく解ったよ」
提督「は…?」
元帥「普段は飄々としているが、締める部分はきっちり締める奴、というのが娘の君に対する評価だそうだ。まぁ、
だからといって私は君を色眼鏡ではみないがね?」
提督「め、滅相もありません!」
元帥「だが今回の事件を沈静化させた功績は大きい。他の大将連中にも報告は届けてあるが、まぁ近い内に君を
少将へと位を上げるかどうかの話し合いもしようかと思っている」
提督「えぇ!?じ、自分はまだ大佐になって間もないヒヨっ子です!少将など…」
元帥「栄転の機会を自ら捨てるのか?」
提督「自分は、あの鎮守府が好きです。そりゃ、最初は横須賀や舞鶴と言った名立たる鎮守府の提督を目指そう
と志した日もありましたが、地位や名誉だけが全てではない、と言うのを艦娘達を通じて教えてもらったのが、
正直なところです。なので、今の鎮守府を離れる気はないんです」
元帥「ふっ、はっはっは……頑固さはうちの娘と遜色が無い奴だな。よかろう、ならばせめてボーナス代わりの
資材一式でも受け取れ。私自ら推薦して首を横に振られたとあっては、面子が持たぬ」
提督「も、申し訳ありません…!」
元帥「ふっふ、気にするな。じじぃがすこーし拗ねてみただけだ。提督大佐、今回の任務報告、しかと聞き入れた」
提督「はっ!」
元帥「現時点で最も信頼できるのは後輩を退けた君だけだ。故に、今後も話し合いの機会を設けさせてもらう事
もあるが、構わないかね?」
提督「若輩の知恵であればいつでも!」
元帥「うむ、感謝するぞ」
-提督鎮守府-
提督「まさか君が直々に帰りの先導をしてくれるとはね」
大和「うふふ、元帥からしっかりと送り届けろ、と厳命を受けてしまいましたから」ニコッ
提督「ありがとう、助かったよ」
大和「いいえ、私は任務を全うしたのみ、それに…」
提督「うん?」
大和「…お礼を、言いたかったのです」
提督「お礼?」
大和「一つだけ、伺っても宜しいでしょうか、提督大佐」
提督「俺に?」
大和「武蔵は…彼女は、最後まで然としてらしたのでしょうか…」
提督「己の責務を全うして果てていった。命尽きるその瞬間まで、彼女は中将を守ろうと全力を尽くしていた」
大和「そう、ですか」
提督「戦艦大和、その改良型二番艦武蔵。彼女こそ、この国の誇りだ。その遺志は、確実に受け継がれている」
大和「…ありがとうございます。姉として、これほど誉れな言葉はありません。胸に痞えていたものがスッと、
なくなったような感じがします」
提督「けど、まだ完全に終わったわけじゃない。潜伏先もわからない現状では、どうしようもないからな」
大和「はい、仰られるとおりです。今後は元帥からも幾度か連絡が送られると思いますが、私からも何卒、宜し
くお願い致します」
提督「あぁ、こちらこそ宜しく頼むよ」
大和「では、私はこれで失礼します」ペコ
提督「ああ、気を付けてな」
-食堂-
提督「ただい……ま?」
ガツガツガツガツガツガツ……
北上「ほっ、へーほく、ほかへりー」モグモグ
陸奥「っ!?……っ!」トントン
長門「がっつきすぎだ。もっと落ち着いて食べろ」モグモグ
赤城「…………」カッカッカッカッカ 一心不乱
日向「……うん、美味い」モグモグ
龍驤「ウチの作ったたこ焼きもあるでー!」
飛鷹「なにこれ、すっごい美味しいんだけど…」モキュモキュ
龍驤「まだまだあんでー!」
榛名「ちょっと…モグモグ……」ゴックン
瑞鳳「はい、榛名さん、お水」
榛名「ゴクゴク…はぁ、ありがとう。あ、提督、お帰りなさい」
提督「なんだ、この料理の山は…」
榛名「間宮さんがお疲れ様の意味で振舞ってくれた、間宮さんスペシャルフルコースです!」
間宮「あら、提督さん!」
提督「ま、間宮さん…これ、この、食費っていうか、これ…どっから経費として落とすのかなぁ…?」
間宮「あら~?北上ちゃんから、提督が皆にご苦労様の意味も込めて盛大に振舞ってやって欲しいって…食材に
関しては提督さんが一任するから問題ない、がっつり作ってもらえって言伝頼まれたって…」
提督「なるほどなるほど、そっかー、そういやそんな事言ったかなー。全く身に覚えないけど、言ったのかなー?」
北上「これと、これと…あと、これを持ってっと…」ソソクサ
ガシッ
北上「ひょっ」ビクッ
提督「いやー、北上ぃ、わざわざありがとなー、こんな盛大なお食事会の案を提案してくれてー」ニコニコ
北上「あ、あはは…いや~、提督もご満悦みたいで私も嬉しいよ~。じゃ、そういう……」ソローリ
提督「事にはならねぇよなぁ!?」ググッ
榛名「え、これ、提督の粋な計らいじゃなかったんですか?」
提督「ここまでゴージャスじゃねぇが企画はしてたよ。最も、これから始まるのは地獄の企画内容だがな…」グイグイ
北上「て、提督、目…目がヤバいって、血走ってるからぁ!」ジタバタ
提督「はっはっは、ダイジョーブ。こわくなーい、こわくなーい。榛名、後片付けはしっかりとな。あぁ、あと…
一時間は執務室に誰も近付けるな」グググッ
榛名「は、はい…」
提督「よーし、北上ぃ、俺も腹減ってたんだよぉ。手に持ってる料理、執務室までに摘むなよー」グイッ
ズルズル…
北上「ま、待って!ちょ~、私の話も!」ズルズル
提督「はっはっは、聞こえんなぁ!」グイグイ
ボーリョクハダメダッテー! オマエノハボウリョクヨリタチワルイワ!
瑞鳳「あれは…死ぬんでしょうか、北上さん…」モグモグ
飛鷹「死ぬわね。確実に…」モグモグ
赤城「……ごっくん。はぁ、あれ、何かあったんですか?」キョトン
長門「あったというか、なんというか…」アセ
陸奥「他の子達は腹八分で引き上げていっちゃっうし、どうせなら、ねぇ」モグモグ
日向「陸奥、君の発言は何処かズレてるように思えるんだけど…」モグモグ
陸奥「え?」
龍驤「お好み焼きもできたでー!あれ、北上おらへんやん。どないしたん?」
榛名「執務室に旅立ったというか、死刑台の階段を上りにいったというか…」トオイメ
龍驤「なんやそれ?」キョトン
-執務室-
北上「」チーン (○ω○)
榛名「あ、あの…提督?」
提督「ん、どうした?」
榛名「あの、隅っこで真っ白になってる北上さんは…」
提督「ああ、放っておけ。時期に回復するだろ」
榛名「」(一体、何をされればあんな抜け殻になるんだろう…)
提督「なんだ、北上が気になるのか」
榛名「な、ならないほうがどうかと思いますよ!?」
提督「おぉ、そうか。おい、北上」パンパン
北上「」ビクッ
榛名「あ、動いた」
提督「紙と、ペン…」ボソッ
北上「ごごごご、ごめんってば!もうしないからぁ~!もうやめて~!」
提督「ははは、流石に懲りたか」
榛名「な、何をやらせたんですか…」
提督「レポート用紙に永遠と自分を罵倒する内容を書かせた」
榛名「うわぁ……」
北上「うぅぅ、もうお嫁にいけない…」
提督「ほぅ、まだ反省が足りなさそうだな?」
北上「う、うそっ!お嫁超いける!大丈夫!元気百倍!スーパー北上さまだよ!!」
提督「それは良かった。じゃ、さっさと食堂へ行って間宮さんの片付けの手伝い行って来い」
北上「イエッサー!」サッ
ドタドタ ガチャ バタン ダダダダダッ
榛名「」(これが、調教…)
提督「ったく、いつもの北上だと疲れてしゃーない」カキカキ
榛名「いつもの、北上さん?」
提督「ま、あのふてぶてしさが抜けたら北上じゃなさそうだけどな」カキカキ
榛名「ふてぶてしさのない、北上さん……」妄想
北上「あ、榛名ちゃん!」
榛名「えぇ!?き、北上さん?」
北上「今日も秘書艦お疲れ様~。いやぁ、ホント頑張るね。あ、そうだ!榛名ちゃん、頑張ってるから、はいこれ!」
榛名「な、なんですかこれ…」
北上「やだなぁ、労いよ、労い。ほらほら、開けてみて!」
榛名「うーん…」ガサガサ
ティーカップセットー
榛名「わぁ、可愛い」
北上「でしょでしょー。これでゆっくりとティータイム取っちゃってよー」
榛名「っていうか、北上さんなんか変じゃないですか?」
北上「え?」
榛名「いや、いきなりこんな事したり…」
北上「わ、私はただ榛名ちゃんに喜んでもらいたくて…ご、ごめんね。迷惑だったよね…」
榛名「うん、なんとなく北上さんの皮を被った別のものなのが解りました…」
提督「どんな想像したんだよ。それより、怪我した所はもうなんともないか?」トントン
榛名「え?あ、はい。入渠もしましたから、艤装も勿論、体の方も完治してます」
提督「ん、なら良かった。あれから熊野も回復したし…そういや、熊野はどうしてる?」バサッ
榛名「えっと、龍驤ちゃんと熊野さんはそれぞれ瑞鳳ちゃんと鈴谷さん、お二人の部屋で今は同居してもらって
る感じですね。熊野さんは今は体の感覚を取り戻したいと、演習場へ出向いてるはずです」
提督「そうか。よし、これからまたちょっと出てくる」スクッ
榛名「どちらへ?」
提督「阿賀野の見舞いだ。医師から意識が戻ったって連絡貰ったからな」
榛名「あ、そうだったんですね。あんな事件の後ですけど、護衛とかは大丈夫ですか?」
提督「安全を期して陸路を行くよ。悪いがあとの事務処理お願いしていいか?」
榛名「はい、榛名は大丈夫です!」
提督「じゃ、頼んだ」アタマポンポン
榛名「は、はい///」
本日はここまでになります。
今回のストーリー終了後、閑話休題の話を織り込みます。
そこで提督と一日を過ごす艦娘達を選出したいと思います。
安価以下1~5の五名、一対一で提督と艦娘の一日を書きます。
選べる艦娘は現在提督鎮守府にいるメンバーのみです。
・戦艦
榛名 陸奥 長門 金剛 比叡 霧島 日向
・空母
赤城 飛鷹 瑞鳳 龍驤 翔鶴 大鳳
・重巡
衣笠 羽黒 利根 筑摩
・航巡
鈴谷 熊野
・軽巡
木曾 川内 神通 夕張 阿武隈 阿賀野 天龍 龍田
・雷巡
北上
・駆逐
暁 響 電 島風 白露 時雨 夕立
・潜水
伊168 伊58 まるゆ
以上が現在提督鎮守府に在籍してます。
安価が揃わない場合はこちらでキャラを選別したいと思います。
以上です!
乙
前回大健闘の神通さんが見たいかな
ちょっと遅い時間にこんばんは
>>171-175
安価指定ありがとうございます
神通 大鳳 龍驤 龍田 金剛
上記五名の提督とのお話書かせて頂きます
-演習場-
鈴谷「それっ!」
ボボボン
鈴谷「やっりぃー♪」
熊野「まだまだですわね。それっ!」
ボンボンボン ボボボボン
鈴谷「うげっ…すご!」
熊野「いい?狙いを定めるときは、こう…脇を締めて、砲撃の反動を体で吸収出来るようにするんですわ」
鈴谷「ほぇー」
提督「実技指導感謝する」
鈴谷「あっ、提督!チーッス♪」☆(ゝω・)v
提督「だからそのチーッスやめろつってんだろ」ペシッ
鈴谷「あうち…!」
熊野「あ、提督。改めて、今回は助けて頂いてありがとうございます」ペコリ
提督「他人行儀過ぎだ。そんな畏まるな。最も鈴谷はこれくらい畏まってくれるほうがいいんだがな」
鈴谷「えー、それ鈴谷のキャラじゃないしー」
提督「ったく…熊野、さっき病院から連絡貰ってな。阿賀野、意識が戻ったそうだ。体調も良好で快方に向かっ
てる。そんな訳だから今から見舞いに行くがお前も来るか?」
熊野「ほ、本当ですの!?」
提督「ああ」
熊野「あ、あの…その、中将提督は…」
提督「そちらはまだ、依然として意識は戻ってない。だが、医師の話では時間の経過に伴って意識は戻るだろう、
とのことだ。致命傷を避けてたのが功を奏してたそうだ」
熊野「そうでしたの…」
提督「取り敢えず陸路を使っていくから、行くなら準備してくれ。玄関で待ってるぞ」
熊野「は、はい!解りましたわ!」
-艦娘病院-
受付「…はい。提督鎮守府、提督大佐様ですね。面会先は……先輩鎮守府に籍を置かれている阿賀野型軽巡洋艦
一番艦の阿賀野さん、ですね」
提督「ええ、そうです」
受付「はい。受付の受理、完了しました。A棟5Fの504号室になります。面会時間は夕方の18時までになりますの
で、お時間のほうお気をつけ下さい」
提督「解りました。熊野、いくぞ」
熊野「はい」
コンコン ガラ…
阿賀野「あ…」
熊野「阿賀野さん、良かった…」
提督「寝てなくていいのか?」
阿賀野「はい、今は…」
提督「そうか、ならいいんだがな」
阿賀野「提督大佐、それに熊野さん…私……」
提督「今は何も言うな。俺が言えるのはお前が無事で良かった。ただ、それだけだ。暫く俺は席を外してる。少
し寄る所もあるからな」
阿賀野「あ、あの…!」
提督「ん?」
阿賀野「話は、大本営の方から伺ってます。先輩提督のこと、本当にありがとうございます」
提督「お前は他人の心配より、まずは自分の心配だ。その気持ちは受け取っておくがな」
阿賀野「は、はい…///」
提督「それじゃ、阿賀野の退屈凌ぎに熊野置いてくから有効活用してくれ」
熊野「わ、私は物ではありませんわよ!?」
阿賀野「うふふ」
提督「はは、そいつは悪かった」
-特別病棟-
医師「元帥殿からお話は伺っております。提督大佐の面会は拒否しないようにと」
提督「仰々しいな…まぁ、あんま悪い気はしないけど。今意識が戻ってるのは誰ですか?」
医師「はい。金剛、霧島、筑摩の意識は戻ってます。三人とも始めこそ混乱していましたが、今は落ち着いてます」
提督「一同に面会は可能かな?」
医師「艤装は全て取り外してありますし、監視カメラも取り付けてありますから問題はありません」
提督「そうか。ならその三人を呼び出してくれ」
医師「では少々お待ち下さい」
コンコン
提督「どうぞ」
金剛「失礼しマス」
霧島「失礼、します」
筑摩「失礼致します」
提督「怪我も余り酷くないようで何よりだ」
金剛「あの……」
提督「まぁ待て。別に俺はお前達を咎める為に呼びつけた訳じゃない」
筑摩「ですが、私達は…」
霧島「ちゃんと、記憶にあるんです…言葉も、行動も、全て……」
提督「……なるほど。なぁ、霧島」
霧島「は、はい!」
提督「正直な話、お前や大鳳ほどの手練が丸め込まれたのが信じられん。同じように、金剛たちに戦力で劣って
いたとも考えられないんだよ。何故、先輩の鎮守府が崩壊したのか、その顛末を聞かせてくれるか。あの武蔵や
加賀をもってしても抑えることの出来なかった敵の戦力。断言するが、金剛たちだけでどうにかできるとは到底
思えない」
霧島「……深海、棲艦です。見た事もない種別でした。戦艦の艤装を備えているのに、航空戦や雷撃戦もこなす、
異様な深海棲艦でした」
提督「なんだと…?」
霧島「その深海棲艦とは別に、その深海棲艦達を指揮していた男が【姫】と呼んでいる深海棲艦が居ました」
提督「ひめ…?」
霧島「私や大鳳達は圧倒的な戦力の前に成す術もなく、大破にまで追い込まれました────」
────────
────
──
霧島「ま、だ……負ける訳には……!」
後輩「粘るねぇ…ああ、うん。お前ともう一匹、あの装甲空母でいいかな…」
ガシッ
霧島「うぐっ…」
後輩「試験段階だけど、これで成功すればよし、しなくても…まぁ一時的な駒としては使えるかな?」
──
────
────────
提督「何かの試験薬を強引に服用させられた?」
霧島「はい…暫くして、体の自由が全く利かなくなりました。なのに、頭の中はクリアになり、体の痛みも全て
消えて、頭で考えていることとは全く別の思考が働き、言葉にしている状態でした。それでも、男は失敗かと…
吐き捨てる感じでした」
提督「金剛や筑摩も同じか?」
金剛「はい、そうだったと、思いマス」
筑摩「はい…」
提督「それが事実なら、比叡や翔鶴、大鳳、天龍に龍田も同様で間違いはなさそうだな」
金剛「あの、私達は、やはり……その……」
提督「解体処分なのか?って事か?」
金剛「」ビクッ
提督「元帥殿の言葉をそのまま伝える。今回起こした事件に関しては後輩が原因であることは疑いようもない。
それに従っていた艦娘達も、脅され、あるいは洗脳されていたとは言え、共に志を持つ仲間である艦娘達に牙を
向いた事に変わりはない。よって、いかなる理由がそこにあろうとも、今回の八名を無罪放免で許す訳には行か
ない。しかし、致し方なかったのも事実、故に……」
霧島「……」
筑摩「……」
金剛「グス……」ポロポロ
提督「……今回の八人の処分は特例として、提督鎮守府・提督大佐に判断の全てを委ねる」
金剛「ぇ……?」
提督「元帥殿の真意は、正直こういう決断って心労に負担がハンパないから自分で決めたくない。今回事件の渦
中にいた俺に決定権上げるから、泥被ってチョンマゲってことだ」
霧島「チ、チョンマゲ?」
提督「無罪放免にすれば周りの鎮守府の反感買うだろ?」
筑摩「そ、それは、まぁ…」
提督「だからと言って、解体処分にすると今度は人権団体がギャーギャーと煩い。艦娘にだって人権が云々って
そりゃあもう烈火の如く、鬼の首でもとったみてぇに煩い。でな、近々うちの鎮守府は今回の事件の沈静化に一
役買ったって事で、元帥殿からの報奨として可能な範囲でこっちの要望を呑むって内容のものを契約書として頂
く事になった。その要望ってのが、鎮守府の増設とリニューアルだ。中将鎮守府の再建は正直時間が掛かる。同
じ理由で後輩鎮守府のほうも再建と再構築には同等かそれ以上に時間が掛かるだろう。それまでの間、龍驤、熊
野、阿賀野とお前達を含めた十一名をうちで預かることになった」
霧島「それは、一体…」
提督「今回のお前達の様子を観察して問題ないと判断したから決めたことだ。意識が回復して他の五人も起きた
らお前達から伝えておけ。あと聞いておきたいことはあるか?」
金剛「あの、だけど、私達は皆さんにヒドイことしてマス。それなのに…」
提督「はぁ…うちの艦娘たちはそこまで心狭かない。何より、うちの秘書艦に懇願されちゃどうしようもない」
筑摩「秘書艦さん、ですか?」
霧島「長門さん、ですか?」
提督「金剛、比叡、霧島、お前達の姉妹だよ。榛名だ」
金剛「榛名が…?」
提督「洗脳されてたのなら彼女達自身に罪はないはずです。私は金剛お姉さまや霧島、勿論他の皆が自分の意思
でこんな事をしたなんてとても信じられません。だから、解体処分にだけはしないように、提督から何とか口添
えお願いできませんかってな。因みに発言まんま復唱してみた。目に涙いっぱい溜めてそんな事言われたら、聞
いてやらないわけにはいかんだろ。甘やかし提督No.1の称号は俺のものだな」
ガタッ
提督「取り敢えず今回はお前達の様子見と今回の処分についての通達だ。最も、これだけじゃただの異動となん
ら変わりはない。よって、これに付属させて処分を言い渡す」
金剛「は、はい」
霧島「謹んで受け入れます」
筑摩「異論は何もありません」
提督「よし。お前たち八人には、提督鎮守府着任後、鎮守府にいる皆に謝罪をすること。そして、言い渡される
任務は基本拒否権がないものとして受け入れること。規律にも無論従って行動してもらう。言ってる意味が解る
な?」
金剛「はい、理解してるデス」
提督「そうか。では次回は八人全員いる時に改めて挨拶に来る」
本日はここまでになります
提督の皆様、こんばんは
今日ものんびりと更新していきたいと思います
-数週間後・鎮守府-
提督「……って事で、心機一転、鎮守府もパワーアップして施設や部屋なんかも増設、ついでにお前たちの宿舎
もバージョンアップしてもうなんか色々とヤバイ。ここまで変わるとは俺も想定外だった」
羽黒「先ほど神通さんと一緒にチラッと見ましたけど、宿舎がなんか、ホント凄かったです」
神通「あれは、凄かったですね。なんだか、新品!っていう感じで」
提督「まぁ、それらは前座だ。本命はそれに伴って、今回後輩鎮守府と先輩鎮守府に居た艦娘の行き場がないっ
てことで、うちで引き受ける事になったのは以前に話したな」
榛名「提督、ありがとうございます」ペコリ
提督「元帥殿から丸投げされた時点で決めてたことだったしな。あの日の戦いのことを忘れろとは言わない。だ
が、彼女たちも被害者だと言う事をお前たちにも解ってもらいたい。だから……」
北上「も~、話長いよ。そんなん、皆言われなくたって解ってるよ!」
木曾「へへっ、だな」
電「電達はいつでもうぇるかむ、なのです!」
夕立「賑やかになるのはいいことっぽい!」
提督「ったく、話の腰をそうやって折るなよ。ほら、皆入って来い」パンパン
ゾロゾロ
日向「こうして見るとまた一段と壮観なものだな」
提督「自己紹介は適当に済ませてくれ。ある意味顔馴染みばかりだろうしな。その後、龍驤、熊野、阿賀野以外
の八人は会議室に来るように。今後のことについて話をしておく。あぁ、あと…お前たち八人は言う事あるだろ
うから、そこはきっちり伝えておけよ。じゃ、後でな」
-会議室-
金剛「失礼しマス」
提督「おう、きたか。入れ入れ」
金剛「……」ドキドキ
比叡「……」ソワソワ
霧島「……」ウツムキ
翔鶴「……」ウツムキ
大鳳「……」ソワソワ
筑摩「……」ドキドキ
天龍「……」ウツムキ
龍田「……」ウツムキ
提督「これまた、雁首揃えて見事に意気消沈だな。これから無茶振りな任務でも言われるかと気が気じゃないっ
て感じで、顔に出すぎてるぞ」
天龍「べ、別に怖いとかそんなんじゃ龍田「天龍ちゃん、言葉は流石に選ばないとダメよ~?」
天龍「ぐっ…す、すまん…」
霧島「大丈夫です。覚悟は、出来ています。南方方面の海域でも何でも、与えられた任務には従事します」
提督「あのな、なんかお前ら勘違いしてるみたいだけど、別にお前らだけでどこぞの深海棲艦がウジャウジャい
る海域にいって一団撃滅させるまで帰ってくるな、とかそんな無茶を言う気はない。むしろそんな事したら俺が
憲兵にしょっぴかれるわ」
比叡「で、でもですね…!」
提督「だー、もう煩い黙れ。でもでもだっては聞き飽きた。いいか、よく聞け────」
俺がお前たちに望むのはこういう渦中にあっても腐らないで欲しいってことだ。
お前たちは常に完璧に全てをそつなくこなしてきたのか?そうじゃないだろ。
失敗も成功も全てを経験して、それらを糧にして今までを生きてきたんだろ。
だったら同じでいいだろ。望んでいなかったことに関してはお前たちではどうすることも出来なかった。
だから俺たちがどうにかした。後悔だけ残して勝手に腐るのは簡単だ。
だがな、腐ってるだけじゃ何にもならないんだよ。
挫けたなら前を向いてもう一度立ち上がって、一歩を踏み出さない限り、そのままなんだよ。
今のお前たちは挫けてもうダメだ、無理だ、諦めようって顔しかしてない。
どんな思いでお前たちの同志は果てていった。
どんな思いで今居る同志はお前たちを救った。
もうそろそろ目を覚ませ。甘ったれるのは今日までにしろ。
失ったものはどうしたって戻らない。だが残されたものがある以上、お前たちはそれを汲んで先へ進める。
その流してる涙があれば十分だ。誰もお前たちを責めたりはしない。だから前を向け。一歩を踏み出し先へ進め。
提督「と、まぁ言いたい事を言った所で改めて任務を伝える。今日より正式にお前たちにはこの鎮守府に着任し
てもらう。与える任務はただ一つだ。決して死ぬな。この意味を一番理解しているのはお前たちも含めたこの鎮
守府の艦娘全員だ。さぁ、答えろ…この任務、完遂できるか?」
金剛「して、みせマス!当然ネ!」
比叡「必ず…完遂してみせます!」
霧島「お任せ下さい!」
翔鶴「期待に、お応え致します!」
大鳳「大丈夫…必ず成し遂げるわ!」
筑摩「勿論です!」
天龍「やってやる!ぜってぇに成し遂げる!」
龍田「ええ、勿論、私も成し遂げて見せるわ」
提督「よし、八名の艦娘諸君。よくぞこの鎮守府に着任してくれた。今後の活躍に期待する!」
-ある日の執務室-
提督「あ゛ー、暇じゃねぇ」カキカキ
榛名「提督、前回の任務報告書は…」ポン サッ ポン サッ カタッ
提督「書斎棚の右上から三段目にファイルで纏めてある」カキカキ
榛名「あ、これですね」ガラッ スッ
提督「榛名、昨日の遠征の奴……」カキカキ
榛名「それなら提督の机一番下の引き出しに」ポン サッ ポン サッ
提督「お、あったあった」ガラッ バサッ
コンコン
提督「へーい」カキカキ
ガチャ
金剛「Hey!提督ぅ~、そろそろTea Timeの時間ネー!一緒にTea Timeするヨー!」
提督「無理」カキカキ
金剛「えっ」
提督「てか、榛名。これチャンスじゃね?」ピタッ
榛名「そうですね!」パタン カチャカチャ
金剛「No!榛名、何で鍵かけてますカー!?」
榛名「この時間、執務室に足を踏み入れてしまったのがお姉さまの不運と自身を呪って下さい」
金剛「What?」
提督「金剛、俺達のティータイムはヒトゴーマルマルではない。ヒトロクマルマルだ」
金剛「Why…?」
榛名「執 務 処 理 が 膨 大 だ か ら で す !はい、お姉さまもどうぞ!」バサッ
提督「す ま ん な 、 金 剛 !」ドサッ
金剛「えっと、あの…Oh!そうデス!ワタシ、急に用事が……!」
榛名「逃げ場、ありませんよ、お姉さま」ニコッ ササッ
提督「いやー、悪いな、金剛。手伝ってくれて」ニコッ ガシッ
金剛「」
-休憩所-
ノオオォォォォォォォ……!!
羽黒「」ビクッ
飛鷹「出たわね、犠牲者」
阿賀野「ぎ、犠牲者って…」
瑞鳳「は、ははは…」
響「魔の一時間と言われる時間帯があるのさ…」トオイメ
大鳳「今の悲鳴、金剛さんですね。あ、羽黒さん、お茶のおかわり良いですか?」
羽黒「あ、はい。淹れてきますね」
夕立「ヒトゴーマルマルに執務室に足を踏み入れると、提督さんと榛名さんの餌食になるっぽい」
比叡「お姉さま、許してください…」←事前に情報仕入れてた奴
時雨「……」ペラ…ペラ…
霧島「時雨?」
時雨「ん…あぁ、ごめん。夢中で…何か用かな?」
霧島「いえ、読書が好きなのかなと」
時雨「うん、大好きだよ。本の世界は一つじゃない。数多の世界が広がっていて、その世界に自分を置き換えて
第三者の視点から客観的に見るのが好きなんだ」
霧島「今度お部屋にお邪魔してもいいかしら?どんな本を読んでるのか興味があるの」
時雨「勿論、大歓迎さ」
霧島「ふふ、ありがとう。因みに今は何を?」
時雨「ああ、これかい?これはね……」
暁「むー…!」
天龍「へっへっへ」
電「……!」ドキドキ
龍田「……」ニコニコ
翔鶴「これ、美味しいですね」モグモグ
赤城「こっちにクッキーもあります」モグモグ
島風「もーっ!暁ちゃん、おっそーい!」
暁「う、うるさいわね!こ、これは戦略なのよ!」
天龍「オラオラ、どーした?」ニヤニヤ
暁「こ、これよっ!」ビッ
天龍「あ゛……」
暁「やったー!そろったわ!あっがりー!」キラキラ
天龍「うおおおお、またオレかよ!」ダンダン
龍田「あらあら~、これは天龍ちゃん、また罰ゲームね~?」ガシッ
天龍「あ、て、てめぇ!龍田、放しやがれ!」ジタバタ
暁「いくわよ、電、島風…」リョウテワキワキ
電「むふふふふ…電の本気をみるのです」ワキワキ
島風「それじゃ、いっくよー!せーの……!」ワキワキ
天龍「は、放せ…!放せーっ!!」ジタバタ
龍田「あらあら、暴れると危ないわよ~?」ギュッ
ドタン バタン
翔鶴「赤城さん、このお煎餅もいいですよっと、危ない」ヒョイッ
赤城「はぁー、ありがとうございます!お礼に私のお饅頭を…っと、駆逐艦の子達は元気ですね」サッ
アッ…ヤメ……ッウヒャヒャヒャヒャヒャ!! ヤ、ヤメロ……イキ、クルシ……ウヒヒヒヒヒ……
天龍「」ゲッソリ
龍田「あら~、ちょっとくすぐり過ぎたかしら?」
暁「はぁ~、楽しかった」マンゾク
電「このすりるがたまらないのです」テカテカ
島風「さてと、連装砲ちゃんのお手入れしてこよっと!」
赤城「はぁ、お茶が美味しいです」
翔鶴「平和で何よりです」
今日はここまでにします
提督と前鎮守府の艦娘達の思い出トークは無いですかね?(期待の眼差し)
提督の皆様、こんばんは
本日ものんびりと宜しくお願いします
>>195
次回の閑話休題か何かで考えたいと思います
-花壇-
阿武隈「~~♪」
北上「な~にしてんの、阿武隈っち」
阿武隈「見れば解るじゃないですか。お花に水遣りです」
北上「そっかー、じゃあ私も手伝…阿武隈「結構です!」
北上「な、なんでさ…」
阿武隈「そもそも花に水をあげるのになんでホースの口を潰してるのか…既にそこから意味不明です!」
北上「ちっ、カンが鋭くなってるな…」ボソッ…
阿武隈「舌打ちも愚痴も全部聞こえてますけど!?ホント信じられない…」
日向「君は相変わらずだな、北上」
北上「うおっ、花壇にいるとかそっちこそちょーレアじゃん」
日向「失敬な。私だって花くらいは愛でるさ。阿武隈、こっちの水遣りは終わったぞ」
阿武隈「あっ、ありがとうございます!」
日向「このガーデニングと言うのは楽しいものか?」
阿武隈「あたし的には、ですけど」
日向「ふむ、こういう経験も必要だ。是非とも教えてもらおう」
阿武隈「はい、オッケーですよ!」
北上「私の居場所なっしんぐ」
日向「なら北上も一緒にどうだ?」
北上「えっ!?いや、私そういうの苦手だし…」
日向「苦手なままは良くないな。安心しろ、私も今日が初体験だ」
北上「む~、まぁいっか」
-砂浜-
龍驤「いくでー!」
筑摩「ええ、いつでもどうぞ」
長門「うむ!」
陸奥「うーん、ちょっと動きにくい。サイズ間違えたかしら…」
神通「ちょっと、恥ずかしいですね…」
利根「な~にを言うか!もっとドーンと、ドーンと構えておれば良いのじゃ!」
川内「うぅ、眩しい…もう、今すぐにでも部屋に篭りたい…」
木曾「今日の晩飯デザートがかかってんだぞ!気合いれろ、川内!」
川内「夜なら元気あるんだけどさー…」
長門「おい、龍驤」
龍驤「んお、なんや?」
長門「勝てばアイス…とは本当だろうな」
陸奥「そこ重要よ?」
龍驤「ウチはしょーもない嘘は言わへんで!ほな、いくでぇ…それっ!」パシッ
木曾「っしゃー!そんなヘロヘロのサーブ、この木曾様が、はぶっ!」ドサッ
利根「ぬおおお、木曾!何をしておるのじゃ!ああああ…!」
ポスッ
筑摩「苦せずにまずは一点ね」
龍驤「ふっふっふ…」
長門「アイス、アイス、アイス、アイス…」ブツブツ
陸奥「」(これ、勝てなかったら姉さん主砲乱射事件起こしそうね…)
-夕方・執務室-
榛名「おわっ……」バンザイ
提督「ったぁーーーっ!!」ガッツポーズ
金剛「無理デース…もう、虫の、息…デース」グデーン
提督「はぁー、肩凝るし腰いてぇし、長時間こんなことやるもんじゃねぇな」ノビノビー
榛名「いやー、今回は金剛お姉さまのお陰でヒトロクマルマル、ジャストですよ!ジャスト!」
提督「だな!いやー、金剛お前何気に要領良くて助かったぞ」
金剛「今なら海の底に沈めそうな気がしマース…」グッタリ
提督「ははっ、お前は大袈裟だな。それより金剛、今度こそ楽しいティータイムといこうじゃないか」
金剛「Oh!Tea Timeですカー!?」ガバッ
榛名「ふふっ、それじゃ私は何かお菓子を用意しますね」イソイソ
金剛「Hey、榛名!紅茶に合うのをお願いするデース!」
提督「お、金剛のティータイムは紅茶なのか」
榛名「お姉さまは紅茶にうるさいんです」
金剛「今回はダージリンティーにしてみたデース。セカンドフラッシュ、なので少し渋みあるかもデース」
提督「セカンドフラッシュ?」
榛名「夏摘み、の意味です。ファーストフラッシュは春摘み、秋摘みはオータムナルって言うんですよ」
金剛「ダージリンティーは世界最高と称されるその香りが特徴的ネー。紅茶のシャンパンって言われてるヨ!」
提督「紅茶のシャンパンか、凄いな」
金剛「さぁ、どうぞ!」カチャ
提督「へぇ、綺麗なオレンジ色だ。それに香りもいい。いつも珈琲だったんだが、紅茶もこれはこれでいいかも
しれないな」
榛名「さぁ、それじゃ少し遅いですが休憩としましょう!」
新しい鎮守府で新しい仲間を加え、今日もとある鎮守府は前と変わらず日々を過ごす。
閑話休題
~神通~
-仁義礼智信-
神通「あ、提督、おはようございます」
提督「おお、おはよう。早起きだな」
神通「そうですか?普通、だと思いますが…」
提督「お前を見習えと、是非川内に言ってくれ」
神通「せ、川内姉様は…あはは…」ニガワライ
提督「それより、前の怪我はもう癒えたか?」
神通「はい、正直本調子ではありませんが、演習などを行う分には…」
提督「そうか…」ニコッ
神通「あ、あの…なんですか?」
提督「はは、いやな、お前と初めて会った時をちょっと思い出してた」
神通「あ……///」セキメン
提督「あれは流石にショックだった」
神通「も、申し訳ありません」ペコペコ
提督「同時に、今のお前が本当のお前なんだなってのも解って嬉しいけどな」
神通「本当の、私…ですか」
提督「ん?」
神通「あ、いえ…えっと、今日は炊事の当番なので間宮さんのお手伝い、行ってきます」
提督「おお、そうか。いってこい」
神通「はい、失礼します」ペコ
-道場-
神通「…………」
提督(今のお前が本当のお前なんだなってのも解って嬉しいけどな)
神通「……本当の、私……私は、本当の私は、勇敢でもなんでもない、ただの臆病者です……」
提督「お、いたいた」
神通「……!」
提督「あ、すまん。禅の最中だったか」
神通「ぁ……いえ、大丈夫です」(き、聞かれてないですよね…)
提督「最近はいつもここにいるのか?」
神通「はい、こうしていると心が落ち着きます」(今は、乱れているのでしょうか…)
提督「赤城も似たようなこと言ってたな。あいつは海が見える庭先でやってたが」
神通「あの、提督は、何をしに?」
提督「ん、お前と話をしに、かな」
神通「え?」
提督「ん?なんだ、変か?」
神通「あの、なんで私なのかなと…」
提督「ダメか?」
神通「い、いえ!ダメだなんてそんな!」アタフタ
提督「神通とはゆっくり話、したことなかったからな。あとは、そうだな…悩み事の相談、とかか」
神通「へ…?」
提督「ふふ、そんな顔してたぞ」
神通「はぁ、提督に隠し事とかきっと無理なんでしょうね」ニガワライ
提督「まぁ、誰しも悩みの一つや二つはあるだろ。俺だってあるんだぞ」
神通「そう、なんですか?」
提督「おう。毎日毎日書類書き、常に榛名に監視されて少しでも手を止めようものなら『提督!榛名はサボった
りすることは許しませんよ!』ってブツブツ言われるし、一日ずーっとグータラしたいのにさせてもらえないし
で、ストレスは溜まる一方だ」
神通「それは、悩み…なんでしょうか…」
提督「ん、まぁ…愚痴、とも言うな」
神通「ぷっ、ふふふ…」
提督「ははは」
神通「それじゃ、少し、話を聞いてもらえますか?」
提督「ん?」
神通「どうせですから、少し歩きながらにしましょうか」
提督「散歩しながらか、いいな」
本日はここまでです
提督の皆様、こんばんは
今日ものんびりと更新していきます
-湾岸-
神通「あ、提督、見て下さい。トビウオです」
提督「おぉ、って…あんな遠いところでビチビチやってんのが見えるのか…」
神通「提督見えませんか?」
提督「俺にはなんか波立ってるようにしかみえんぞ…」
神通「そうですか…」シュン
提督「でも海はいいよな。広いし、風は気持ち良いし…」
神通「私は、余り好きじゃありませんでしたね…」
提督「え?」
神通「怖かったんです。この海と、深海から現れた深海棲艦が、怖かった」
提督「だけど、コロンバンガラじゃ先頭に立って奮戦したんだろ?」
神通「我武者羅でした。皆を守ることに必死でした。矢尽き刀折れようと、最後まで立ち続ける覚悟で…」
提督「それが、どうして怖いに繋がるんだ」
神通「誰かの犠牲の上に立つのが、私は怖いのかもしれないです」
提督「そうか…なら───」
神通「……?」
提督「───戦いのない、こんな生活とは無関係の、普通の女の子に戻してやろうか…」
神通「……え?」
提督「…って言ったら、お前は頷くか?お願いしますって」
神通「そんな……」
提督「ぷっ、はっは、そんな不安そうな顔するなよ」
神通「だ、だって…!」
提督「誰だって怖いよ。それが当然だ。怖くない奴なんているものか」
神通「提督は、強いですね…」
提督「強いとか弱いとか、お前たちはよく口にするな」
神通「えっと…」
提督「じゃあ聞くが、強いってのは何が強いのかな。そして、弱いってのが何が弱いのかな」
神通「それ、は…意思の、強さとか、あるとおもいます」
提督「意思の強さか。神通は自分の意思を持ってないのか?」
神通「自分の意見を持ってるかどうか、と言う意味でなら自分の意思はあると思います」
提督「なるほど。じゃあ弱いってなんだろうな」
神通「やはり、気持ちが弱いとか…色々あるとおもいます」
提督「神通は気持ちが弱いのか?」
神通「……わかりません」
提督「なんだ、解らないのか」
神通「……」
提督「でもまぁ、少なくとも神通が弱いってことはないんじゃないかな」
神通「そんなこと…」
提督「ないか?……強い弱いの解釈ってのは今、神通が答えられないように、俺にも答えられない。明確な答え
ってのが存在しないんだよな。仁義礼智信って言葉を知ってるか?」
神通「じんぎ、れいちしん…?」
提督「仁とは人が守るべき理想の姿也。義とは人の歩むべく正しき道の事也。礼とは礼儀正しき事也。智とは人
事、物事の善悪の成否を判断できる力の事也。信とは誠を尽くし、偽らず欺かぬ、立てた誓いを破らぬ信頼の証
その事也。まぁ、俺が教わった五訓と呼ばれる誓いだな。迷いがあるならこれを実践して見ろ。意外と難しい」
神通「難しい…?」
提督「人は人を容易く見限る。また人の道を容易く踏み外し、礼を欠いて、物事の善悪の境界で常に彷徨う。し
まいには約束を簡単に破り、嘘をついて、欺いて、人をあっさりと奈落へ陥れる。これを人は心の弱さから……
なんて揶揄して一言で片付ける。そうじゃない…心が強い者でも簡単に堕落する。むしろその方面に心血を注ぐ
ような、誤った芯を立てる者すら居る」
神通「そんな、簡単に…?」
提督「そうだ。だが難しく考えるな。常にお前は然として在れ。普段通りのお前で良い…金剛たちと戦ったとき
のお前はまさに仁義礼智信、その全てを体現していた。身を呈し仲間を守り、歩むべき正しき道を行き、仁を明
確な行動として体現し、その場においての善悪をきっちりと見分け、自らを盾とし、仲間を矛に変え、その仲間
を信じ抜いた。俺との約束を、ちゃんと守った。だからそれでいいじゃないか」
神通「仁義礼智信…」
提督「ほら、最近の映画でもなんかやってたろ…えーと、なんだっけ…ありの~、ままの~って…」
神通「……ぷっ」クスッ
提督「な、なんだよ」
神通「提督、歌…下手です…」クスクス
提督「ばっ、おま…あのね、俺は歌手じゃないから下手でもいいんだよ!」
神通「不思議ですね、提督とこうしてお話してるとなんだか自分が悩んでるのが空しく思えて…」
提督「それは何か、俺が何も考えてないみたいじゃねぇか」
神通「そうですね、じゃあ…提督は何も考えてない、と言う事にしておきましょうか?」
提督「こいつ…」ワシャワシャ
神通「きゃっ、うふふ。もう、止めて下さい、髪の毛クシャクシャになっちゃいますよ」
提督「いいや許さん。両手でやってやる!」ワシャワシャワシャー
神通「ああん…もう、怒りますよ!」
提督「おうっ、怒れ怒れ!ははは…!」
神通「うぅ、もう…!なら、こうしてやります!」バッ ガシッ
提督「え……?」ブワッ
神通「えいっ」ブンッ
提督「おおおぉぉぉっ!?」
ヒューン ザッッッバアァァァァン
提督「ぶはっ…!お、お前なぁ!上官を海に投げ飛ばす奴があるかぁぁ!?」ザバザバ
神通「海ぃー!好きなんですよねぇー!?」
提督「くっそ…神通の奴、いつの間に柔道なんて…お、おい!神通!!」ザバザバ
神通「はぁーい?」
提督「お前ぇ!覚えてろよ!!」ザバザバ
神通「ごめんなさぁーい!波の音でぇー!聞こえませぇーん!うふふっ…」
提督「ははは…はぁ、しっかしこれ…戻ったら遊んでないで仕事して下さいって怒られるんだろうなぁ…」ザバザバ
~神通~ -仁義礼智信- 完
~大鳳~
-存在の証明-
大鳳「……」
タッタッタッタッタ
大鳳「ふぅ、はぁ…タイム、落ちてる…もう一度…」グッ ダッ
タッタッタッタッタ
大鳳「はぁ、はぁ、はぁ……どうして…」
提督「よう、大鳳」
大鳳「あっ、はぁ、はぁ…て、提督…」
提督「お前、いっつもこうやって走ってるのか」
大鳳「ふぅ……はい、走り込みもそうですが、体力作りは基本中の基本です。朝ごはん前に軽く流す程度、筋ト
レでもいいのでやると食事の消化にもいいですね」
提督「はぁ、なるほどねぇ…てか、呼吸整えるのはや…」
大鳳「それで、私に何か用でもありましたか?」
提督「ん、いやまぁこれといってある訳じゃないんだが、執務室の窓からお前が走ってるの見えたんでな」
大鳳「そ、そうでしたか。見苦しいところを見られてしまいました。しかし、提督もたまには体を動かすことを
お勧めします。やはり基本となる体力はいざと言うとき、自らを裏切りませんから!」
提督「に、苦手なんだよなぁ…その、運動とかそういうのは…」
大鳳「…?神通さんや夕張さんから聞きましたが、剣道には精通してると伺いましたが…」
提督「精通しちゃいるが、今はやなの」
大鳳「む…意外と意固地ですね。いいでしょう。不肖、この大鳳が微力ながらでも運動の素晴らしさを提督へお
伝えさせて頂きます!」
提督「はい…?」
大鳳「さぁ、提督!そうと決まればまずはストレッチ体操です!」
提督「いやまて、大鳳。俺、今言ったよね?やらn大鳳「聞こえません!」
提督「まじかよ…」
-運動場-
提督「やって参りました…運動場…」ドンヨリ
大鳳「何をブツブツ言ってるんですか?」
提督「いや、気にしないで」
大鳳「さあ、ストレッチ体操が終わったら早速走り込みです!」
提督「やれやれ…こうなったらトコトン付き合うか」
────────
────
──
提督「ゼェ、ハァ、ゼェ、ハァ…」
大鳳「提督、体力が落ちてるのではありませんか?」
提督「はぁ、はぁ、お前の、だな…速度に、合わせて、走ったら……誰でも、ゲホッ、こうなるわ…」
大鳳「さぁ、休憩終わりですよ!」
提督「へ…?」
大鳳「次は腹筋二十回を三セットです!」
提督「ま、まじか…」
大鳳「さぁ、いきますよ!」
提督「えぇい、こなくそ…!」
大鳳「はい、お疲れ様です!」
提督「ハヒィ、ハヒィ……し、死ぬ……」
大鳳「少しは体力付きましたか?」
提督「そんな瞬発的についてたまるか……」
大鳳「あ、もう直お昼ですね」
提督「む、もうそんな時間か。時間経つの早いなぁ。まぁ、それじゃ食堂にでも戻るか」
大鳳「あっ……」
提督「ん?どうしたんだ」
大鳳「あぅ、えっと…その、ですね。実はちょっと……」
提督「なんだ、ダイエットか?」
大鳳「ッ!!?」
提督「え、図星か!?」
大鳳「ち が い ま す !」ブンッ
提督「うおっ、あぶねぇ!」サッ
大鳳「じ、自分で料理を仕込んでたので……その、一緒にどうかと、思っただけです///」
提督「まじか!?」
大鳳「ま、前の鎮守府では当番制で、皆で作っていましたから…」
提督「おう、食べる食べる。大鳳の手作りか?」
大鳳「ま、まぁ…そう、ですけど…」
提督「よし、それじゃどこ行けばいいんだ」
大鳳「わ、私の部屋です」
提督「」(榛名に見られたら殺されるな……)
-大鳳私室-
提督「秘密の花園~…」
大鳳「あ、余りジロジロ見ないでくださいね」
提督「」ジロジロ
大鳳「……」
提督「」ジロジロ
大鳳「……」
提督「」ジロジロ
大鳳「第一機動部隊……」ヒュン ヒュン
提督「だーっ、解った、解ったから!」
大鳳「もう……それじゃ、少し待っててください」
大鳳「お待たせしました!」
提督「お、海軍定番のカレーだな」
大鳳「金剛さんなら知ってるかもしれませんが、英国式で今回は作って見ました」
提督「英国式?」
大鳳「長時間かけてルーと一緒に具を煮込んで、具が崩れてルーに溶け込むまで煮込み続けるんです。野菜の旨
味が凝縮されてコクと深みが一層増します」
提督「ほぅ…」
大鳳「さぁ、どうぞ」ヨソイ
提督「いい香りだな。やっぱ海軍といったらカレーだ、うん。あむ…」モグモグ
大鳳「……」ドキドキ
提督「おぉ、美味い!」
大鳳「ほ、本当?私のカレー、美味しかった、の?」
提督「あぁ、っていうか大鳳、お前こんな美味いもん作れるのに独り占めかよ。ズルいやつだなぁ、ははは」
大鳳「べ、別にそういう訳じゃ……でも、よかった!」
提督「大鳳、おかわりだ!」
大鳳「え…?も、もう食べたんですか!?」
提督「あんだけ動いたからな。腹減りまくってるし、まだまだ入るぞ!」
大鳳「……」
────────
────
──
先輩「うん、やっぱり大鳳の作るカレーは美味しいわね!」
大鳳「ありがとうございます」
先輩「特にあれよね、こう…体を動かした後に食べるっていうのが、やっぱり良いわよね」
大鳳「同感です」
先輩「はぁ、日々日々こうのんびりとできればいいんだけどねぇ」
大鳳「それにも同感ですが、この時間帯から夕方にかけては事故が起こりやすいです。気を引き締めていきましょう!」
先輩「もう、貴女といい武蔵といい、真面目一辺倒も考え物ね」
大鳳「ですが提督、私はあなたがいるから、何の心配もしていません。安心しています」
提督「ふふっ、大袈裟ね。でも、私だってあなたが居てくれるなら何も心配はしてないわ。あなたと加賀や飛龍
が空を睨み、水平線を武蔵たちが見据え続ける。最強の艦隊だもの」
──
────
────────
提督「どうしたんだ、大鳳」
大鳳「提督…私は、あなたの期待に十分応えていますか?」
提督「藪から棒だな」
大鳳「武蔵さんや加賀さん、私よりも優秀な人たちが亡くなって、どうして私が残ったのか、今でも考えます」
提督「大鳳は誰かの期待に応えることを存在の証明にしてきたのか?武蔵や加賀が居れば、自分は要らないって
考えてたのか?」
大鳳「実際、戦力の比較をすればその差は歴然です。私なんて…」
提督「そうか…だがもう、武蔵も加賀も居ない。残ったのはお前と霧島、熊野に阿賀野の四人だけだ。それに、
要る要らないって話はするな。初めに聞いただろう。それとも大鳳は俺との約束は守れないか?」
大鳳「あっ…いえ、そういう訳じゃ…」
提督「俺が先輩と同等になれないのは俺の落ち度だから謝る。お前が俺と先輩を幾ら比べても構わん。だが自分
を他者と比較するようなことはするな。お前はお前だ、大鳳。お前以外の存在は居ないしそれを証明することも
不可能だ。だからもっと自分に自信を持て。その烈風と流星が描く軌跡はお前にしか出せないものだ。ついでに
このカレーもな」トントン
大鳳「あっ……」
提督「おかわりだ、大鳳。さっきからずっと待ってるんだぞ」
大鳳「は、はい…!提督、ありがとう」
提督「…おう、気にすんな」
-運動場-
大鳳「……」
タッタッタッタッタ
大鳳「はぁ、はぁ、はぁ……上がった……!」チラッ
提督「…やったな」
大鳳「提督、どう?これが大鳳の、本当の力なんです!」フンス
提督「あぁ、見事だ。だがな…あれだけたらふく食ったあとで、このメニューを課すのは流石に拷問だと思うぞ?」
大鳳「大丈夫です!やれます!提督ならいけますよ!」ガッツポーズ
提督「……どこぞの熱血男か、お前は……」
大鳳「あ、もうこんな時間?提督といると時間が経つのが早い」
提督「おっと、じゃあおわr大鳳「ラスト一本、ダッシュで終わりましょう!」
提督「やんのかよ!」
~大鳳~ -存在の証明- 完
~龍驤~
-横恋慕-
提督「ふぁ~…」テクテク
龍驤「……」コソコソ
提督「はぁ、えーっと…珈琲珈琲っと…」
龍驤「……」コソコソ
提督「小銭、小銭……そこぉっ!」ビュッ
龍驤「ひぃっ!?」サッ
提督「…よけたか」
龍驤「あ、危ないやないかい!」
提督「隠れてコソコソと、お前こそ何やってんだ」
龍驤「う、うちは別になんもしてへん。た、たまたまキミが行く先がうちと同じだけだったんとちゃう?」
提督「ほぅ…」ジー
龍驤「ぅ…な、なんやねん!」
提督「たまたま、行く先が、一緒?」
龍驤「せ、せや…」
提督「ここが、目的の場所?」
龍驤「せ、せやで?」
提督「ここ、喫煙場所」
龍驤「うぅ…」
提督「龍驤、お前はいつから愛煙家になった。もし本当に吸ってるなら憲兵に連絡ものなんだが?」
龍驤「うぅぅぅぅ……てーとくのぉ、ばかぁぁぁぁっ!」
提督「はぁ!?」アゼン
タッタッタッタッタ
提督「……何なんだ、あれは」
-休憩所-
龍驤「……」ジー
提督「…はぁ、何なんだ、龍驤」
龍驤「べ、別になんでもあれへん」プイッ
提督「膨れっ面でなんでもないって言われても説得力ないぞ…」
龍驤「ホ、ホントになんでもあれへんもん」モジモジ
提督「はぁ、ったく…じゃあ俺はもう行くからな」スクッ
龍驤「ぁ……」
テクテクテク…
トコトコトコ…
提督「……」
龍驤「……」
提督「……!」バッ
龍驤「……!」サッ
提督「……気のせいか」
テクテクテク…
トコトコトコ…
提督「って…気付かないとでも思ったかぁ!」バッ
龍驤「ぎゃあぁぁぁぁっ!」
提督「なんだ、何なんだ?新手の嫌がらせか何かか、これは」
龍驤「ち、ちゃうわ!う、うちはただ…」
提督「はぁ…いや、もういい。お前のようにウジウジして言いたい事も言えないような奴、俺はもう知らん」
龍驤「ぇ……?」
提督「なんだ、解りにくかったか?なら言い直そう。今すぐ俺の前から消えろ、そう言ったんだ」
龍驤「ぇ、なんで…そないヒドイこと、言うん…?」
提督「ひどい?言ってる意味が理解できんな。とにかく、二度と俺の前には出てくるな。今日限りで貴様はこの
鎮守府の敷居を跨ぐ事を許さん。さっさと出て行け」
龍驤「ま、待ってや!なんでいきなりそないなこと言われなあかんねん!」
提督「くどい…二度は言わん。さっさと失せろ」
本日はここまでです!
提督の皆様こんばんは
本日もまったりと更新していきます
────────
────
──
龍驤「……!」ガバッ
瑞鳳「龍驤ちゃん、どうかしたの?」
龍驤「えっ、あ、いや……な、なんでもあれへん。なんや変な夢見てな」
瑞鳳「ふーん、そっか。今日は私達給仕当番だから、龍驤ちゃんも早くしてね」
龍驤「あぁ、せやったな。ちょっち顔洗ってくるわ」
瑞鳳「っていうか、なんか顔色悪いよ?」
龍驤「寝起きやからやって、そない気にせんといてぇな」
瑞鳳「うーん、そう?」
龍驤「せやせや、うちに合わせとったら瑞鳳も遅れんで、はよ先行っとき」
瑞鳳「う、うん。無理はしちゃダメだよ?」
龍驤「最初から無理するのうちは嫌いやねんって、こんなん無理でもなんでもあれへんよ」
-食堂-
提督「ふぅ、ご馳走様っと…」
龍驤「ぁ……」
提督「おう、龍驤、どうした?」
龍驤「えっ、ぁ……いや、なんでも、あれへん…」
提督「ん……?」
龍驤「な、なぁキミィ……」
提督「こら、キミキミ言うなって、前の鎮守府でも言っただろ。ったく、お前はホント変わらないなぁ」
龍驤「ご、ごめん…」フラフラ
提督「んん、ホントどうしたんだ、龍驤」
龍驤「ほんま、なんでも…あれ、へん……って、あれ……」グラッ
提督「お、おい、龍驤!」
ドサッ…
龍驤「」(なんや、むっちゃ頭グルグル回っとる…)
提督「────ッ!」
龍驤「」(あぁ、提督の顔、めっちゃ近いやん…あかん、なんやめっちゃ眠い…)
-救護室-
龍驤「ぅ……うぅ、ん……」
提督「…起きたか?」
龍驤「ぁ……てーとくぅ……うち、どないしたん」
提督「さっき旗艦の木曾から聞いた。お前ら、俺の命令を無視して必要以上の任務に勝手についたらしいな。変だ
と思ったんだよ。この間の遠征任務、戻ってくるのが予定よりも一時間遅い上に、必要以上にお前らはボロボロ…
木曾を問い詰めたら吐露した。他の鎮守府の援護に向かってそこで戦闘になったってな」
龍驤「え……?」
提督「戻って直に別の任務、立て続けにお前は動いてたそうだな。過剰出動だ。体調を崩してもなんら不思議は
ないって診断だったよ。ったく、お前って奴は…」
龍驤「ホンマ、ごめん…うち、キミの役に立ちたかってん…うちは、うちはな…キミが好きやねん……」
提督「龍驤…」
龍驤「前の鎮守府に居った頃から、ずっと好きやねん…せやけど、提督は榛名ちゃんと一緒やろ…うちの、入れ
る場所なんて、あれへんやん…なんや、提督に見捨てられる怖い夢まで見て、うちどーしていいのか解らなって
しもたん…」ポロポロ
提督「馬鹿だな。でも、ごめんな。お前の気持ち、気付いてやれなくて、本当に済まなかった。だけどな、俺は
お前を、いや…お前だけじゃない。ここにいる誰一人として見捨てたりはしない。だから、これからも俺を信じ
てくれるか?」
龍驤「うん…うん…!誰が、なんて言おうと、うちはキミが一番好きやねん。誰にも負けへんもん!」
提督「そうか。なら、まずはゆっくりと体調を治す事から始めろ。話は、それからだ」アタマポンポン
龍驤「う、うん…」
-あくる日-
提督「……って事で、榛名一人に執務処理を負わせるのもちょっと可哀想に思ってな。何より、これら資料の整
理や執務処理ってのはお前たちにとっても一つの勉強になると思っている。周一の割合で榛名の補助役、と言う
形で今後はお前たちにも執務に携わってもらう機会があることを説明しておく」
木曾「頭使うのやなんだよなぁ」
提督「愚痴は受け付けん。では早速で悪いが、今日俺たちの手伝いをしてもらう補助艦だが、龍驤。お前だ」
龍驤「へ、うち?」
提督「あぁ、そうだ。頼りにしてるぞ」ニコッ
龍驤「……!あったり前やん!うちに任しとき!」ニッコリ
榛名「龍驤ちゃん、宜しくね」
龍驤「おう!ゼッタイ負けへんで!」
榛名「へ…?」
提督「」(ふぅ、やれやれ…)
~龍驤~ -横恋慕- 完
~龍田~
-past and present-
提督「おっ、よう龍たああぁぁぁぁぁぁぶねぇ!!」サッ
龍田「あら~、いい反応ですねぇ♪」
提督「ま、曲がりなりにもお前、上官に向かって抜き身の刃物を全力で振り抜くとはどういう了見だ…」ドキドキ
龍田「前にも言いましたよ~?私の後ろから急に話しかけると危ないって」
提督「ったく、変わってないなお前は…」
龍田「提督も、変わってなくて安心したわ~」
提督「素直に喜べねぇよ…」
龍田「うふふ♪」
提督「で、今日はお前の大好きなおねーちゃんはどうした」
龍田「天龍ちゃん?天龍ちゃんはさっき暁ちゃん達と一緒に鬼ごっこしてたわ~」
提督「ったく、また遊び回ってんのか。龍田は一緒しなくていいのか?」
龍田「だって、私の下に天龍ちゃんは必ず帰ってきてくれるもの~。お部屋で待ってればね♪」
提督「へぇへぇ、そうですか。んじゃま、龍田は今、暇なわけだ」
龍田「暇、と言えば暇かしら?でもどうして~?」
提督「たまにはのんびり話でもしようかと思ったんだよ。久々だしな」
龍田「あら~、それはいいわね♪」
-休憩場-
提督「はぁ…」
龍田「あらあら~、私を目の前にしてそのため息、覚悟は出来ているのかしら~?」ニコニコ
提督「だぁー、もう物騒なもんチラつかせるな!そういうため息じゃねぇ!」
龍田「言葉には気をつけて次をどうぞ~?」
提督「ったく……お前や天龍、筑摩に龍驤、本当に悪いことをしたなと思ってな。俺の知ってる後輩ってのは、
本当にいい奴なんだよ。下手すりゃ俺よりも艦娘を大事にするくらいに、いい奴なんだ。どのタイミングで奴と
入れ代わってたのかも、本人なのかもまだ解ってない。何より……叢雲と球磨だ……」
龍田「……」
提督「お前たちを助けることは出来たのに、あの二人を救ってやれなかった。偉そうなことは言えても、自分が
何も成長できてない。ホント滑稽だよな」
龍田「うふふっ、前と本当にお変わりのない提督ですね~。私、これでも提督に心から感謝してるんですよ~?」
提督「な、なんだよいきなり…」
龍田「天龍ちゃんはああいった性格でしょう?正直、私くらいしか扱える人なんていないかな~って」
提督「扱えるって…モノじゃねぇんだぞ」
龍田「うふふ♪だ・け・ど、あの天龍ちゃんが提督の言う事は聞くのよ?ちょっと、ううん…結構妬けちゃうわ」
提督「目、目がこえーから…」
龍田「私と天龍ちゃんはいつも一緒だったから、正直ね、北上ちゃんのお話を聞いたとき、とっても胸が痛かっ
た。私達は、本当に取り返しのつかないことをしちゃったなって…」
提督「それに関してはお前たちは悪くない。過ぎた事なんて言うつもりはないし、忘れちゃならない事なのも事
実だが、それをお前たちが気に病む必要は決してない」
龍田「あら~、これでも私はもう立ち直ってるわ~。正直、天龍ちゃんね。ああみえて、天龍ちゃんはとっても
ピュアなのよ~?」
提督「姉妹だから解るってことか」
龍田「うふふっ、かしらね~?でね、昔馴染みの好で提督にお願いがあるの~」
提督「お願い?」
龍田「私の前では弱気でいいわ。幾らでも♪」
提督「んなっ///」
龍田「た~だ~……天竜ちゃんの前では強気で居てくれるかしら~?」
提督「え?」
龍田「私も天龍ちゃんも、女々しい提督より凛々しい提督がいいってことかしら?」
提督「え、私も?え…?」
龍田「ほ~んと、提督って罪ね~♪」
提督「いや、あのな…」
龍田「あ~!言い訳とかいいのよ~?」
提督「言い訳って…」
龍田「うふふっ、でも…こうして提督とお話するの、私は好きよ~?昔を思い出してるみたいだもの」
提督「俺は久々にタジタジだよ…」
龍田「前の鎮守府の重荷くらい、私達が背負わなくて誰が背負うの~?提督は考えすぎ。要らない事でいっつも
悩んで、私達には『大丈夫、お前たちは気にするな』って、そんなに私達は頼りないかしら~?」
提督「いやあのな、別にそういう訳じゃ…っていうか、いきなり話戻すなよ!」
龍田「あら~、戻してなんてないわよ~?昔と変わらない、そう言ってるだけじゃな~い♪でも、だから落ち着
けるっていうのもあるのかしら……私も天龍ちゃんも、今は本当に充実してるわよ~」
提督「はぁ、まぁそれならいいんだけどな」
龍田「榛名ちゃんもいいけれど、たまには旧友を頼ってね~?」
提督「ぶっ」
龍田「きゃん♪汚い提督ね~。うふふっ、さ~、そろそろ天龍ちゃんを迎えに行こうかしら」
提督「へぇへぇ、行って来い」(ったく、色々と気負うもんでもあるだろうと励ますつもりが励まされてどーす
んだよ、ちくしょう)
今日はここまでになります!
皆様、こんばんは
本日も宜しくお願いします
-演習場-
提督「……」
────────
────
──
提督「よし、いいぞ叢雲!」
叢雲「ふん、まぁ当然の結果よね」
球磨「クマー、えいっ」
ベシッ
叢雲「ぃった…!ちょっとあんたねぇ!」
提督「ははは、そりゃ油断してる叢雲が悪いだろ」
球磨「さっすが提督、見る目があるクマー」
叢雲「くっ、こんな司令官のどこに見る目があるのよ!?」
提督「無茶苦茶だな、おい…」
龍田「あらあら~、今日もまたトリオ漫才かしら~?」ニコニコ
天龍「オメーら、ホンットあきねぇよなぁ」ケラケラ
提督「見世物じゃねぇっての」
筑摩「ふふ、提督も大変ですね」
龍驤「なんやおもろいことしてんやったらうちもまーざるぅ~!」
叢雲「あ、遊んでたわけじゃないわよ!」
龍驤「なんや、ちゃうんか?」
天龍「あっはっは!遊んでるようにしかみえねぇって!」
叢雲「ぬぁんですってぇ!天龍ぅ……!!」
天龍「はっはっは……え?」
叢雲「沈みなさいっ!!」バシュン
天龍「どあぁ!」ボン
龍田「あらあら~、演習弾とは言え、天龍ちゃんに手を上げるのはダメよ~?」チャキッ
球磨「クマ!紅白戦クマー!」
提督「おい、ちょっと待て、俺を巻き込むな!」
叢雲「あんたは黙ってなさい!」
提督「おまっ、上官に向かってあんたって…この野郎、上等だ!筑摩、お前の演習砲借りるぞ!」ガシッ
筑摩「え、えぇ!?」
提督「提督の威厳を思い知らせてやる…!うぉ、おもてぇ…」ズシッ
龍驤「あ、これあかんパターンとちゃうか…」
筑摩「あはは、ちょっとだけ、離れてましょうか」
龍田「はいは~い、邪魔よ~♪」ゲシッ
提督「ぐはっ」
天龍「おっ、踏み台か!ありがてぇ、龍田ぁ!」グニュッ
提督「ぐほっ」
龍驤「て、提督がちょっち不憫とちゃうか、あれは…」
筑摩「うーん、でもまぁ、きっと男にはやらなければならない時があるのよ、多分…」
龍驤「た、多分て…」
提督「と、とぅよかった……艦娘は、とぅよかった……」ボロッ…
龍驤「あちゃー…」
叢雲「ふん、舐めるんじゃないわよ」
龍田「これに懲りたら、私達に手を上げようなんて考えちゃダメよ~♪」
天龍「わ、わりぃ、提督…あはは、ちょっと熱くなりすぎたか」
提督「お前に腹を踏み抜かれた記憶は鮮明だ」
天龍「うっ……ま、まぁ、あれだな…あはははは、ドンマイ!」
──
────
────────
提督「ったく、何がドンマイだっつーの。あれは暫く痛み引かなくて大変だったなぁ」
龍田「あら~、また提督?」
提督「ん、なんだ天龍のところ行ったんじゃないのか」
龍田「探してるんだけど見つからないのよ。もう、天龍ちゃんったらどこ行ったのかしら?」
提督「どうせ駆逐艦の連中と駆けずり回ってるんだろ」
龍田「はぁ、妬けちゃうわ~。そういえば、提督はここで何してるの~?」
提督「昔を思い出してた。お前に足蹴にされて天龍に腹を踏み抜かれ、叢雲に演習弾ぶっ放された悲しい過去」
龍田「あらあら~♪」
提督「あらあら~、じゃねぇっつーの…ったく」
龍田「でも~、さっきよりも顔、凛々しいかもね♪」
提督「うっせ。褒めてもなんもださねーよ」
龍田「昔と何も変わらなければ、それだけでいいわ~♪これからも頼りにしてるわね~、提督♪」
提督「ったく、ゲンキンなやつだな、お前」
龍田「うふふっ♪」
~龍田~ -past and present- 完
~金剛~
-A while of the afternoon-
コチ、コチ、コチ、コチ、コチ……ボーーン ボーーン ボーーン……
バタンッ
金剛「Hey!提督ぅ~!Tea……あれ?い、いないデース…どこいったデースカー?」キョロキョロ
金剛「う~ん、執務室には居なさそうデース」
猫「ニャーン」スリスリ
金剛「Oh! Lovely cat デース!迷子デースカー?」
猫「ンニャ?」ピョン ポフッ
金剛「Oh、とても人懐っこい子デース」ナデナデ
ガチャ
提督「ん、金剛か。すまんな、何か用事でもあったか」
金剛「Oh!提督。一緒にTae Timeしようかと思ってましたが、この子が…」ダキカカエ
提督「猫…?」
猫「ニャーン」
-庭先-
提督「何なんだ、この猫は…」
猫「ニャン」チョコン
金剛「あははは、提督の頭の上に器用に乗ってるデース♪とってもCuteネ!」
提督「俺はアスレチック遊具じゃねぇんだぞ…」ムスッ
猫「ニャンニャン」ペシペシ
提督「ええい、頭を叩くな!」ブンッ
猫「ウニャン」ヒョイッ スタッ
ゴロゴロゴロ
金剛「カワイイデース♪」ニコニコ
提督「金剛は猫が好きなのか?」
金剛「動物全般大好きですヨー」ナデナデ
提督「……」
金剛「」チラッ
提督「……」
金剛「Hey!ていt提督「絶対に鎮守府では飼わんぞ!」
金剛「…なぜ私の言いたい事解ったデスカー…?」
提督「目が訴えてた。この猫を鎮守府で飼うデースって目をしてた」
金剛「」サッ
猫「ニャニャ!?」
提督「あぁ!こら、待て金剛!」
提督「……」
金剛「いくデス!猫ちゃん!」
提督「は!?」
金剛「バァァァァァニングラァァァァァブニャァァァン!」
提督「はい!?にゃん!?」
猫「シャァァァ」バッ
提督「うぉぉぉ、お前がくんのかよ!?あ、ちょ…いてぇ!いてぇから!」
────────
────
──
提督「あ゛ー、このクソ猫…」ボロッ…
猫「ペロペロ」プイッ
金剛「ゴ、ゴメンナサイ提督ぅ~…」シュン
提督「はぁ、おい金剛」
金剛「な、なんデスカ、提督…」
提督「本当に最後まで面倒見るのか」
金剛「えっ、あ、勿論デス!」
提督「餌代とかは全部金剛名義にするけど、それでもいいんだな」
金剛「OKデース!」
提督「ただし、嫌がる奴のところには絶対連れて行かないこと。解ったな?」
金剛「了解デース!提督、やっぱり大好きデース♪」ダキツキ
提督「おぁ、こ、こら…!」
榛名「……」
提督「あ゛……」
金剛「Oh、榛名じゃないですカー」ダキツキ
榛名「二人とも、何してるんですか?」
提督「あ、いやこれはだな…猫とのドタバタがあってだな」
榛名「お姉さま?」
金剛「は、榛名…?何だか雰囲気が…」ダキツキ
提督「こ、金剛。いいか…まずは離れろ」
金剛「あっ……」ササッ
榛名「最初に制裁を受けたいのはどちらですか?」
金剛「は、榛名、待つデース…」ドゲザ
提督「そ、そうだぞ、落ち着くんだ榛名」ドゲザ
榛名「言い訳無用です!」ジャキッ
猫「ニャン?」トコトコ
榛名「ふぇ?ね、猫…?」
猫「ニャー、ニャ~ン」ゴロゴロ
榛名「か、可愛い……」ポイッ
猫「ニャ?」
榛名「よーしよしよし♪」ナデナデ
猫「ニャーン♪」ゴロゴロ
榛名「この猫、どうしたんですか?」
提督「し、執務室に紛れ込んでてな…その、金剛に懐いてて、飼いたいと…」ドゲザ
榛名「そんな余分な経費、うちにあるんですか?確かに可愛いですけど…」
提督「そ、それはだなぁ…」ドゲザ チラッ
金剛「わ、私が責任を持って飼うと提督に約束したデース…」ドゲザ
榛名「自分のお小遣いで?」
金剛「そ、そうデース…」ドゲザ
榛名「途中で投げ出したりは?」
金剛「ぜ、絶対しないデース!」ドゲザ
榛名「……」ジー
金剛「うぅ…」ドゲザ チラッ
提督「」ドゲザ ビクビク
-執務室-
提督「はぁ、どうしてこうなった…」
猫「ニャーン♪」チョコン
金剛「艦娘寮はペット禁制って言われたネー」
提督「俺の頭はお前の定位置じゃねぇ!」ブンッ
猫「ニャン」ササッ ストン
ゴロゴロゴロ
金剛「Oh!Fantastic!カッコイイ!」パチパチパチ
提督「こんにゃろー」
金剛「Hey!キリ、Come on!」
キリ「ニャーン」スリスリ
金剛「ふふふ、Good job♪」
提督「キリってまた変な名前だな」
金剛「No!ヘンじゃないデース!私達四姉妹のNameのAlphabet一番から四番を取って付けたのデース!」
提督「へぇへぇ、そうですか。ったく、午後のひと時が台無しだ…」
金剛「Tea Timeもイイけど、こういうひと時も必要デース♪」
こうしてとある鎮守府に新たな艦娘ならぬ猫が着任したのだった。
~金剛~ -A while of the afternoon- 完
本日はこれで終わります
龍田のストーリーは台詞もそうだけど書くの難しかった…
お疲れ様です(`_´)ゞ
お疲れ様です(`_´)ゞ
提督の皆様、こんばんは
本日も宜しくお願いします
新章 ~急襲・モーレイ海~
-講義室-
提督「……って事で、本日の講義はここまで。朝に出来なかったブリーフィングを行うので休憩十分後、今度は
会議室に集合すること。講義に参加してない連中にはそれぞれに通達しといてくれ。では解散」
榛名「提督、お疲れ様です」
提督「おう、榛名。待ってたのか、悪いな」
榛名「先ほど、元帥殿から電文を賜りました」
提督「元帥殿から?内容は」
榛名「北方海域に深海棲艦一団の動きを確認したと。急ぎ艦隊を進出させ、モーレイ海の哨戒に当たって欲しい
との事でした」
提督「そうか。恐らく哨戒艦隊と空母機動艦隊辺りは備えているだろうな。一番の危惧は…」
榛名「フラグシップとエリート艦ですね」
提督「言うとおりだ。前回の近海決戦でほぼ全員がその性質や特色を抑えることは出来た。しかも霧島、大鳳、
熊野、阿賀野、この四人は空母ヲ級や戦艦ル級を相手取った作戦も以前に何度も経験している。経験値の差とし
ては彼女達が頭一つ抜けてはいるが……」
榛名「何か不安要素があるんですか?」
提督「……霧島の話だ。戦艦型でありながら航空戦、雷撃戦までこなす異質な深海棲艦がいたと言う」
榛名「えっ……」
提督「とにかく、十分後のブリーフィングで合わせて全員に通達させる」
榛名「わ、わかりました」
-会議室-
提督「さて、全員いるな?」
艦娘「「「はい!」」」
提督「よし、先ほど出撃任務が入った。作戦名は北方海域・モーレイ海哨戒任務だ」
イムヤ「モーレイ海?聞いたことない場所ね」
提督「だがその前に、以前全員に通達していた事案、深海棲艦の成長に関する内容に補足を加える。それに伴い
作戦にも一部変更を加えて説明する」
前回の内容は深海棲艦の中にはフラグシップやエリート艦と呼ばれ、我々と同じ言語を片言ながら操り、知能も
ある、というものだった。知能の発達によってこちらの作戦を看破してくることも考えられ、また逆にあちらに
も作戦と呼べるに値する奇襲が加わり、危険値が段違いに上がるというものだったな。
これから哨戒に当たる海域、モーレイ海にも恐らくフラグシップやエリート艦が蔓延っていると予想される。
前情報から、深海棲艦の一団は真っ直ぐに北方海域を進軍し何処かに向かっていることが予測された。
恐らく陣営は哨戒艦隊と護衛を兼ねた空母群、もしくは空母機動艦隊と北方へ侵攻を続ける主力艦隊がメインに
なるだろう。だが正直なところ一つ憂いが存在する。
以前に霧島、大鳳、熊野、阿賀野からも事情を聞いて俺なりに予測を立てていたんだが、戦艦型の深海棲艦であ
りながら航空戦、駆逐艦や軽巡洋艦などと同じ雷撃戦までこなす異質な深海棲艦が存在しているとの報告がある。
これが本当だとするなら、完全に新種の深海棲艦となる。
以前に俺が推論として立てた深海棲艦の進化論。その完成型と言っても過言ではない。正式ではないが、この新種
を現時点の仮称として『戦艦レ級』と名付ける。
そしてこれとは別に同じ深海棲艦と思われる中で呼び名すらも違う存在が確認されている。確認できているのは、
その存在が『姫』と呼ばれていると言う事だ。
こちらの情報は未開示が殆どであり、憶測も間々ならない状況となっている。
これらを踏まえた上で、こちらも相応の戦力を編成し、確実にモーレイ海に蔓延る深海棲艦を撃滅する。
提督鎮守府からは水上打撃艦隊と空母機動艦隊、これらを援護する水雷戦隊を編成する。
水上打撃艦隊旗艦は長門、空母機動艦隊旗艦は翔鶴、水雷戦隊旗艦は天龍、それぞれを任命する。
何度も言うが、状況の半分しか把握が出来ていない。くれぐれも奇襲と強襲には細心の注意を払え。
では、詳細に艦隊を振り分ける。
■水上打撃艦隊
長門
陸奥
大鳳
飛鷹
羽黒
神通
■航空機動艦隊
翔鶴
瑞鳳
筑摩
木曾
阿賀野
阿武隈
■水雷戦隊
天龍
川内
暁
電
響
島風
-???-
後輩「北方海域に艦娘の一団が接近するって?ハハハハハ!面白い……なら、アレを試験運用だ。鬼、君もこの
僕を邪魔立てした艦隊がどんなものか、見てみたいんだろ?」
鬼「エエ…でも、西方海域ノ防衛、いいのカシラ?」
後輩「遠くから見てる分にはいいさ。間違っても食うなよ。先の戦闘であのクソ武蔵に大事な新型を二隻も沈め
られてるんだ。流石は元・元帥直属護衛艦だった戦艦だよ。できれば生け捕りにしたかったんだけどね…」
鬼「イイワ。新型ガどれほどのモノなのか、それをワタシノ視点で見極めてアゲル」
後輩「クククク…悪夢、いや……はははっ、そうか、そうだよな…うん、悪夢と言うにはまだ早いか。これは言
わばプロローグだ。プレリュードにも至っていない…教えてやるよ、提督…地獄をも凌駕する煉獄の世界を…!」
-執務室-
提督「……近代化改修、それに成り代わる、手法……差し詰め棲艦化改修……そうだとして効果は……」
榛名「提督、余り根を詰めても仕方ありませんよ」
提督「あ、ああ、すまん。霧島たちが服用させられたと言う試験薬……それがどうにも気がかりでな。もしも、
艦娘との何らかの起因をベクトルにして、それを超える数値をはじき出した時、その薬品の真価が発揮される…
そう考えると今回の霧島たちは、そのベクトルに半分だが打ち勝つことが出来たという解釈も出来る」
榛名「もう、すぐまた…」
提督「あ…す、すまん。長門たちは順調に航行してるか?」
榛名「はい、このまま順調に進めばヒトサンマルマルには目標地点で深海棲艦と遭遇できるはずです」
ザッ…ザザッ……ザザザ……
提督「ん?」
翔鶴『提督、予定時刻よりも早い段階で接触がありそうです』
天龍『しかも、こいつは…』
長門『戦艦レ級と思われる。数は……二隻のみだ』
提督「なに……?」
榛名「たった、二隻…?」
提督「油断をするな。戦闘力も未知数の上に、お前たちよりも錬度の高い霧島たちでさえ苦戦した連中だ。油断
は即、死を意味するものとして戦況を常に客観的に分析するんだ」
三人『『『了解!』』』
本日はここまでになります
提督の皆様、こんばんは
本日も宜しくお願いします
-モーレイ海手前-
レ級2「キタワネ、ムシケラドモ…」
レ級1「ウヒヒヒ…アレ、ゼーンブクイチラカシテ、イインデショ?」
レ級2「イクヨ…」
レ級1「アア、イツデモ…」
ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン
レ級's「コロス……!」ビュワッ
阿賀野「ッ!敵艦載機を確認です!」
翔鶴「全航空隊、発艦始め!」ヒュン ヒュン
瑞鳳「よーし!攻撃隊、発艦!」ヒュン ヒュン
ドドドドドドドドドンッ
長門「なっ、翔鶴達の艦載機を全て撃ち落したのか!?たったの、二隻で…」
天龍「おいおい、洒落になってねぇぞ…」
翔鶴「……くっ!」
瑞鳳「何なのよ、あいつら…」
川内「私達、水雷戦隊で撹乱させれば…!」
天龍「よし、だったら……!」
大鳳「ダメ……ダメですっ!!」
天龍「なっ……おいおい、今更怖気付いたってのか、テメェ!」
大鳳「…対峙したから、解るんです」
陸奥「それなら、何か策はあるの?」
大鳳「有効かどうかは解りません。ですが、ここで逃げたら武蔵さんや加賀さんに顔向けできませんしね」
────────
────
──
天龍「へへっ、ぶっ飛んだ作戦だが…」
木曾「あぁ、嫌いじゃない」
川内「まぁ、やるっきゃないよね。負ければ提督んところに戻れなさそうだしさ」
羽黒「それは嫌です」
神通「殿…この神通が務めさせて頂きます」
川内「はいはい、病み上がりは自重よ、自重。ここは私に任せなさいって」
神通「川内姉さま…」
川内「あんな頑張り見せてくれる妹居るのに、長女の私が頑張らなくてどーすんのさ。殿は私が務める」
羽黒「全力でフォローします!」
長門「空母組は相手の注意を散漫にさせてくれ」
翔鶴「お任せ下さい」
大鳳「ええ、徹底的に今度はこっちが追い込んでやるわ!」
陸奥「私は相手の艤装を…」
長門「私がレ級の装甲を…」
二人「…それぞれ砕く!」
川内「さぁ、いくよ!天龍、暁達のサポートは任せたよ!」
天龍「御託はいい。前だけ見とけよ!こっちは任せな!」
木曾「筑摩、阿賀野、阿武隈、空母組のサポート頼んだぜ!」
筑摩「ええ、任せて頂戴」
阿賀野「うん、大丈夫!」
阿武隈「オッケーです!」
木曾「んじゃ、ちょっくら暴れてやるか!」
神通「羽黒さん、落ち着いていきましょう。私は空母組の援護をします。羽黒さんは長門さん達の射線確保を」
羽黒「はい!私だって…やれます。ううん、やります!五倍の相手だって…支えて見せます!」
長門「さぁ、行くぞ!」
レ級1「ハハッ…イクッテ、ドコヘ?」
レ級2「キマッテル…ワタシタチニ、クワレニクルノサ!」
陸奥「言ってなさい。私達を余り舐めない事ね!」ドォン ドォン
長門「無駄口の多い連中だな!」ドォン ドォン
レ級1&2「」ニヤァ ビュッ
大鳳「やはり……!」
────────
────
──
大鳳「あの時もそうでした。あのレ級は二隻現れたんです。そして、その艤装を全く使わずに、ただその凶悪な
造形をした顎と素手だけで、全てを弄り屠っていった。だからこそ、最初から油断しているのなら、それを逆手
にとって、一気に形成をこちらへ持ってこれる!川内さん、神通さん、木曾さん、中核を担うのはこの三名にな
ります」
長門「三人が帯刀している対深海棲艦用の刀剣だな」
大鳳「リスクはありますが接近する事で尚のこと、艤装を使うという考えには至らないはずです」
──
────
────────
大鳳「さぁ、皆さん!いきましょう!第一次攻撃隊、全機発艦!」
飛鷹「少し知恵がついたくらいで、調子に乗ってもらっちゃ困るのよ!攻撃隊、発艦開始!」
レ級1「バカガ…キサマラノカンサイキナド、トルニタラヌワ!」ヒュン ヒュン
レ級2「ホラホラ、アテテゴランヨ!」ササッ
長門「全砲門、斉射!撃てッ!!」ドォン ドォン
陸奥「まだまだ、これからよ!」ドォン ドォン
レ級1「ハハッ、ムダムダ!」ササッ
レ級2「ウゴカナイマトニシカ、ホウゲキシタコトナインジャナイノ?」ササッ
レ級1「ハイ、トウチャク」ズズズ…
長門「ちっ……」
レ級1「ナガトガタ、イチバンカン、センカンナガト…フフフ、アナタヲタベレバ、サゾイイエイヨウホキュウ
ニナルデショウネ?」
長門「食べる?ふん、馬鹿も休み休み言え。誰がこの距離で何も出来ないと言った」スッ
レ級1「ナンデスッテ?」
ドンッッ
レ級1「ガハッ…!キ、キサマ…!」
長門「殴り合いを希望なら幾らでも受けてやる。最も、その暇があればな」
バッ
レ級1「ナ、ナンダ…!?」
レ級2「ケイジュンヨウカン…!レ級1、ヒケ!」
川内「油断したね!このまま一気に詰める!」ヒュッ
レ級1「シキンキョリカラノ、ホウライゲキセンカ!?サセルカァ!」ガパッ
神通「…甘いですね。狙いはそこではありません!」ザンッ
川内「油断大敵ってね!」ザクッ
レ級1「ハモノ、ダト……!?」ググッ
木曾「じゃあな、深海へ還れ…!」ヒュッ
ザンッ
レ級1「ガッ……!オ、ノレェェェェ!!」グァッ…
羽黒「これ以上、やらせません!」ドン ドン
ボボボン
レ級1「グガ……ッ!」 大破
筑摩「とどめを!」
天龍「いそげ!」
本日はここまでになります
皆様こんばんは
本日も宜しくお願いします
レ級2「フフフ、ハハハハハ……」
レ級1「…!?ナ、ナニヲ、ワラッテイル!」
レ級2「コンナザコヲアイテニ、ナサケナイ。ソレデハサイセイモママナラナイダロウ?ダカラ……オマエハ、ワ
タシノ、チニクトナレ」
レ級1「ヤ、ヤメ……」
レ級2「」ガパァ
グシャァ
川内「なっ……」
羽黒「ひっ……」
天龍「暁達は見るな…!」
暁「ぁ……あぁ……」
電「た、たべ……」
響「くっ……」プイッ
島風「な、なに、あれ……」
大鳳「逃げて……」ボソッ
翔鶴「た、大鳳、さん…?」
大鳳「皆、逃げて!早く!!」
レ級?「逃がすとデモ、思っタノ?」スッ
大鳳「ぁ……」
ザシュッ
長門「大鳳ッ!」
大鳳「ぐっ……!」ヨロ… 中破
長門「貴様ぁ!!」ドォン ドォン
レ級?「ふふっ、ははっ……アハハハハ!」ボン ボボン
長門「な、に……?」
レ級?「コレガ、戦艦の主砲?ホントーに?だとシタラ、お前ノ主砲ハ相当、カルイな」ジャキッ
陸奥「姉さん、避けてッ!!」
長門「……ッ!」
レ級?「むーり♪」ドォン ドォン
ボボボボボン
長門「」 大破
レ級?「ハイ、二匹目。次ハだぁれ?」
天龍「テメェ…!」バッ
川内「待って、天龍!」ガシッ
天龍「は、放せ、川内!敵が目の前に居て、あいつらがやられてんだぞ!?指咥えて見てろってのか!!?」
川内「落ち着いてよ!相手は一隻なんだよ!?なのに、ここにいる誰もが動けないほどの威圧を放ってる…」
天龍「くっ……」
レ級?「アラアラ……だぁれも相手、シテくれないノ?だったら……」
ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン
ボボボボボン
レ級?「アラ…?ちょっと、痛いジャナイ」
飛鷹「舐めんじゃ、ないわよ!」バッ
レ級?「軽空母風情ガ…!」ビュッ
飛鷹「っ!?」
ガギィ
レ級?「何…?」
神通「まだです…!」
レ級?「ハァ、今度ハ軽巡洋艦?ニシテモ、また随分ト面白いオモチャ持ってるジャナイ。さっきのはコレが理由
コレだったのネェ…アレは、ちょっと痛かっタワ!」グググッ
神通「うっ……!」
レ級?「ウフフ、大丈夫?コノママダト、アナタ……死ぬわよ?」ググググッ
阿武隈「神通さんを離しなさいよ!」ドン ドン
レ級?「いいわよ?」ビュッ ササッ
神通「あっ……」グラッ…
阿武隈「ぇ……」
ザクッ
阿武隈「あ…ごほっ……」ポタポタ… 大破
木曾「阿武隈ぁ!このやろう!!」シャッ
ビュッ
レ級?「ダメダメ、それじゃ遅いわ」スッ
木曾「なっ…」
レ級?「速さが売りノ軽巡洋艦ニシテは、ノロマね?」
ドシュッ
木曾「ぐあ……!」 中破
レ級?「あら、チョット浅かった?」
羽黒「わああああああっ!!」ドン ドン ドン ドン
筑摩「ダメ、羽黒さん!!」
レ級?「うふふっ、いいわね、その恐怖ニ歪ンダ表情…ステキ」
パパパパパン
羽黒「あ…そ、そんな……」
レ級?「鉛玉にシテは、痛くも痒くもナイなんて、不憫ネ?」グッ
羽黒「……ッ!?」
ガシッ
レ級?「なっ……」
陸奥「全方位は、流石に、視野でカバーはしきれないでしょ!」グググッ
レ級?「キ、サマ……!」
陸奥「皆……ごめんなさいね」
神通「陸奥、さん?」
川内「や、やめろ…陸奥さん!」
レ級?「正気カ、キサマ……!?」
陸奥「ええ、私達は常に、死と隣合わせ…けど今回は、私達の勝ちよ。必ず、あなた達深海棲艦をこの世界から
排除する。何年、何十年かかってでも……今のうちに、精々笑っておきなさい!私の仲間と、私達を束ねる提督
は、必ずこの世界に平和をもたらすんだから!」ジャキッ
レ級?「オノレェェェ……!」
ボゴォォォォォォォォン
-執務室-
提督「どう言う事だ。なんで誰も応答しない!」
榛名「わ、解りません。交戦に入っているのかもしれないですし…」
ザー……ザザザ……
提督「……!」ガシッ
榛名「通信!?」
提督「皆、無事か!?」
??『…………』
提督「おい、どうした。応答しろ!」
??『アナタガ、この艦隊の提督ネ?』
提督「…ッ!」
??『朗報ヨ。艦隊ハ全滅。流石に骨がオレタ。褒めて上ゲル…強い艦隊ダッタワ。放っておけば、確実に脅威
トナルのは明白…鋼鉄の艦隊と呼ばレタ中将鎮守府ノ戦艦達もソウだったけれど…アナタ達、目障りネ』
提督「何者だ、貴様……っ!」
-モーレイ海手前-
装空鬼「鬼、と呼ばレル深海棲艦……装甲空母鬼」
提督『鬼、だと…?』
装空鬼「今回は新型の深海棲艦のデキを見に来たダケ……ハァ、最も…二隻とも沈めラレテこっちとシテハまさ
に痛手、と言う他ニ言葉がナイワ。今度ハ、こうはいかない。確実ニ沈メテアゲル。じゃ、サヨウナラ…」
ブツッ……
装空鬼「……自分ノ力ヲ過信シ、足元を掬わレル……」
レ級?「オ、ネガイ……タス、ケ……」
装空鬼「安心ナサイ。マタ、あの薄暗い闇へ、戻シテあげる」
レ級?「ヤ、ダ……イヤダ……モウ、深海ハ……!」
装空鬼「私達ノ世界ハ弱肉強食……忘レタとは言わせナイ。必要ナノは、強者で在り続けるコト……弱者、敗者
ノ言葉ナドあってナイも同然。敗者は、キエナサイ……」
レ級?「マ、マッテ……」
グシャ
装空鬼「愚か者……ふふっ、シカシ…あの戦艦、とんだ博打ヲ仕掛ケテ生き延びたモノネ。ある意味、収穫カナ」
今日はここまでになります
皆様こんばんは
今日はちょっと色々と資料考えつつなので更新は遅めになりますが宜しくお願いします
-帰路-
川内「くそっ、無茶しすぎだよ、陸奥さん…!」
陸奥「ふふっ……でも、まぁ……お陰で、この、通り…だけどねぇ。ゲホッ、ゴホ…!」
川内「あぁ、もう!喋んなくていいから!通信機器全部破壊されちゃうしさぁ、提督絶対心配しまくりだって…」
神通「長門さんの容態も一刻を争います。早く戻らないと…!」
瑞鳳「大鳳さん、大丈夫ですか?」
大鳳「ええ、なんとか…その、ありがとう」
瑞鳳「ううん、お礼とかそういうのは違いますよ。だって、私たちは仲間じゃないですか!」
島風「阿武隈も危ないし、もっと急ごう!」
飛鷹「大丈夫、周辺に敵の影はないわ」
翔鶴「このまま真っ直ぐ、鎮守府へ最短のコースです」
-??-
後輩「……新型二隻を失った?どういう冗談だ、装甲空母鬼」
装空鬼「冗談モ何モ、事実ヲ言ったダケ。中将艦隊ヲ相手にシテも同じ結果ダッタ……ツマリ、提督鎮守府も放っ
てオケば、後の脅威トナルって解釈ね」
後輩「そういう事を言ってるんじゃないんだよ……新型だぞ。数に限りがある!お前はそれを……」
装空鬼「ハーイ、そ・こ・ま・で……今回はアナタに従ってアゲタだけ。それに、アナタよ?手を出すなッテ命令
をワタシに下したのは……西方海域ニハ少将クラスの鎮守府がゴロゴロしてる。そこの防衛線ヲ離れてマデ見に行
ってアレだもの……多少の収穫ハあっても、釣り合いトシテはマイナスよね」
後輩「深海棲艦の近代化改修、そのプラン提唱をしてやったのはこの僕なんだぞ!?」
装空鬼「だから?」
後輩「だから、だと?ふざけるな!僕が……」
装空鬼「アナタそれ、ワタシの『上司』にも同じ態度デ言える?」チラッ
後輩「なっ……」バッ
??「…………」
後輩「お、お前…いつから……」
??「いつからも何も、はじめから。それより……」バキッ
後輩「がはっ…!」
??「口の利き方に気をつけなさい。貴方如き若輩の提督が私の一団を扱える栄光を授かれる事に敬意を払いなさい」
後輩「な……」
??「そして次はないと思いなさい。一度目の鋼鉄の艦隊の殲滅未遂。おまけに今度はたかが大佐の率いていた
ちっぽけな艦隊の殲滅未遂……それに留まるならまだしも、預けた五隻の新型のうち既に四隻がロスト……」
装空鬼「お言葉デスがマスター」スッ
??「なぁに?」
装空鬼「マスターの言わレタ艦隊、言うほどの弱者ではアリマセンでした」
??「…………」
装空鬼「少なくトモ、戦力で言エバ、鋼鉄の艦隊と遜色のないほどに……」
??「ふぅ、まぁ確かに。他の佐官鎮守府の中で比べても成長著しいのはあの鎮守府とその提督だし、私だって
全くのノーガードと言う訳ではない。だからこそ、大本営にも潜り込んでる訳だしね。いいわ、注意すべきは、
横須賀や舞鶴だけじゃない。それを今回認識できただけでもよしとしましょう」
装空鬼「ハイ、マスター」
??「さて、後輩?貴方に最後のチャンスをあげるわ。この失態を帳消しに出来るかどうか…貴方が今研究に熱
をあげてる例の者達を使って、貴方がこの一団にとって必要な存在なのかどうかを私に教えなさい」
後輩「くっ……解りました。ご覧に入れますよ。僕が組織した艦隊がどれだけ優れているのかをね…!」
-提督鎮守府-
提督「くそっ……!あれから通信も完全に途絶えた。長門たちは無事なのか…」
比叡「て、提督。ここは私達が見てるから、提督は執務室で…その、通信くるかもしれないし!」
提督「あ、ああ、そうだな。すまない、比叡」
比叡「お姉さま、提督を執務室まで……」
提督「いや、大丈夫だ。取り乱して済まない」
金剛「提督…」
赤城「提督!こちらへ真っ直ぐ向かってくる艦隊があります!」
提督「っ!本当か、赤城!」
赤城「あの艦載機は、飛鷹さんのものです!」
提督「長門に陸奥、阿武隈が大破、木曾と大鳳が中破……くそっ」
北上「と、とにかくさ。五人を入渠ドックへ運ぼうよ」
陸奥「ゴホッ、わ、私は後でいいから、先に、姉さんと、阿武隈を…」
木曾「バカ言ってんなよ!陸奥さんだって重症だろ!後回しは、むしろ俺だ!」
提督「安心しろ、入渠ドックも新造されてる。北上の言うとおり、とにかく五人をドックへ運ぶ」
榛名「提督、言われたとおり、病院の方にも連絡を入れて、この後来てくれるそうです」
提督「そうか、長門たちをドックへ運んだら残りのメンバーには話を聞かせてもらう」
-会議室-
提督「深海棲艦が深海棲艦を食っただと…?」
羽黒「……地獄です」
神通「恐ろしいのは、捕食する前と後で、明らかに戦闘能力が向上していた点です」
翔鶴「私や大鳳さん、飛鷹さん達の艦載機を全く寄付けないほどの制空力を持つ敵の艦載機…」
川内「私や羽黒達の砲撃なんて意に介してない。パチンコ玉程度にしか思っちゃいなかった」
提督「……で、陸奥が自爆に等しい特攻を仕掛けたと?」
天龍「ああ…」
提督「解った。取り敢えず暁たちのケアだけしておいてくれ。そんなもの見せられて平静でいられるわけもない」
阿賀野「あの、提督」
提督「ん、どうした?」
阿賀野「気の、せいかもしれないんだけど…レ級の一匹がもう一匹を捕食した後で、明らかに捕食した方のレ級
の口の回り方って言うか、喋り方って言うか、向上してるように思えたの」
提督「なに…?」
阿賀野「う~ん、なんて言うのかな…すっごいカタコトで喋ってた人が、いきなり流暢に喋る、みたいな…」
提督「捕食してから、流暢に言葉を操った、か…」
阿賀野「動揺してたし、恐怖もあったから、その…気のせいかもしれないんだけどね」
提督「ああ、わかった。よし、とにかくお前たちも休め。こちらの動きがバレていた事についても気にかかるし、
一度この事を報告しに大本営まで行ってくる」
艦娘「「「了解しました!」」」
-執務室-
提督「モーレイ海域には不思議なことに深海棲艦の一団はいなかったそうだ。存在したのは哨戒に当たっていた
一部分の深海棲艦のみ。しかし構成される種別はどれもフラグシップやエリートのみで組まれていたそうだ」
榛名「モーレイ海、何かありそうですね」
提督「だが、現状の戦力ではあの海域を突破することは出来ない。もっと、力をつけないとダメだ」
榛名「……」
提督「取り敢えず今回の件は電文に纏めるには内容が濃すぎる。再び大本営まで赴いて直接、元帥殿に話をしに
行ってくる」
榛名「解りました。留守は榛名が責任を持って受け持ちます。その、提督…あなたも気をつけて下さい」
提督「解ってる。護衛としてお前の姉妹を借りたいんだが構わないか?」
榛名「ふふ、私が許可を下ろす権利なんてありませんよ」
提督「ん、それもそうか?」
榛名「えっと、それじゃ…」
提督「霧島を頼む。それと赤城も呼んできてくれ」
榛名「解りました!」
提督「……って事で、急で悪いが二人には俺の護衛として大本営までのお供をしてもらう」
霧島「ええ、解りました。お任せを、司令」
赤城「解りました。お任せ下さい!」
提督「それじゃ榛名、行ってくる。後のこと済まないが頼んだぞ」
榛名「はい、榛名にお任せ下さい!」
本日はここまでにしておきます
皆様こんばんは
本日も宜しくお願いします
-大本営-
那智「あっ、これは提督鎮守府の司令官殿」ビシッ
提督「やあ、那智。そう畏まらなくてもいいって」
那智「いえ、そういう訳には…」
提督「まぁまぁ…それより電話で大和には話を通してもらってるんだが確認してもらってもいいかな」
那智「はっ、急ぎ確認させて頂きます」
霧島「初めて訪れましたが、凄いところですね…」キョロキョロ
赤城「何だか、少し圧倒されてしまいます」ドキドキ
提督「この国の要、心臓部だからな」
??「おや、誰かと思えば…」
提督「ん?」
??「最近、名を上げてる提督鎮守府の大佐殿じゃないか」
提督「あなたは…?」
??「ん?ああ、失礼。私は精鋭鎮守府の提督をしている。階級は中将だ」
提督「こ、これは…失礼致しました」サッ
精鋭「噂はかねがね伺っていたけど、ふ~ん、結構いい男ね」
提督「ご、ご冗談を…」
那智「提督大佐」
提督「あ、あぁ那智」
那智「これはこれは…精鋭鎮守府の司令官殿…」チラッ
精鋭「やあ、那智。相変わらずお堅いわね」
那智「性分です。提督大佐、元帥殿から執務室まで案内するようにと賜りました」
提督「そうか。それじゃ頼む。では、精鋭中将殿、失礼致します」サッ
精鋭「ええ、また…お会いしましょう?」
-元帥執務室-
元帥「大和から大まかな話は聞いた。君の艦隊は無事だったのか?」
提督「五名が大破中破で戻ってきました。幸運だったのは二隻のみが相手だったこと。不運なのは、たった二隻
を相手にして長門、陸奥、大鳳、木曾、阿武隈の五名が大破中破に見舞われた事実です」
元帥「たった二隻にと…」
提督「概要は次のとおりになります」
敵の艦種は戦艦型だったこと。
しかし、攻撃手段は多彩を極め、反応速度は駆逐艦のそれを大幅に上回るほどに俊敏であることです。
攻撃手段は大まかに分けて四種類。
航空戦、砲撃戦、雷撃戦、そして格闘戦を満遍なく駆使してきます。
こちらと意思疎通が図れるほどに言語に精通し、まだ更なる進化を残しているものと思われます。
恐ろしいのは、その新型を従える上位の深海棲艦が存在していたと言う事です。
元帥「上位の深海棲艦だと?」
提督「その深海棲艦は自らを装甲空母鬼、と名乗っていました」
元帥「鬼…前回の報告では姫と呼ばれる存在もいるようだったが…」
提督「恐らく、その鬼や姫と呼ばれる存在が上位に名を連ねる深海棲艦と推測されます」
元帥「なんと言う事だ……」
提督「今回は何とか退けることが出来ました。しかし、それも初回の奇襲と陸奥の自爆に等しい特攻によるもの
であり、この方法を作戦として上げることを自分は容認しかねます」
元帥「同意する。艦娘は戦線で戦う兵士である前に、我々と同じ『子』なのだ。過去の先人達と同じ過ちをして
まで、この未曾有の脅威を退けれるとは到底思えん。今の我々には、発達した技術とこの頭脳がある」
提督「しかし、艦娘たちの錬度の向上を待っていては、確実にこの海は深海棲艦によって制圧されてしまいます」
元帥「……提督大佐、君のところの艦娘を六名、私に暫くの間預けてはくれぬか」
提督「は…?そ、それはどういう…」
元帥「前回、言っていたな。近代化改修は未だにその特性が解明されておらず、実装には程遠いものである、と…」
提督「艦娘へどのような副作用があるかもわからないため、元帥殿自らがその研究進行にも歯止めをかけていると、
自分は認識していますが…」
元帥「水面下でな、実験は行われていた」
提督「それは……!」
元帥「ビスマルク、入れ」
ガチャ…
ビスマルク「お呼びでしょうか、元帥」
元帥「この前、少しだけ見えているな。私の第二秘書艦、ビスマルクだ」
提督「彼女は一体…」
ビスマルク「私は近代化改修被験者の一人です」
提督「な……」
元帥「今までに行った近代化改修は合計六回。先の大戦で散っていった者達の艤装を改修し、それをビスマルク
に転用する形で実施した。ただな、近代化改修によって得られる力に改修を施された艦娘の力が伴わない場合、
反動が引き起こされる」
提督「反動…?」
元帥「うむ…しかし、私はここに一つの望みを見出しているのだ」
相性も無論ある……例えば、だがな。駆逐艦型に戦艦型の素材を改修すると、元のサイズやその型の違いからか、
突如として流れ込んできた力と反発が起こってしまう。馴染むまでに時間が掛かってしまうわけだ。
しかし、十分な錬度を秘めた者であれば、それを柔軟に吸収し、己の力へと転換させる。
無論、これはまだ非公式の内容だ。副作用がないことは立証できたが、失敗した際の反動によってどのような結果が
ついてくるのか、その点に関してはまだ未知数に等しい。
だがこの改修こそ、君の言う新種・仮称『戦艦レ級』や装甲空母鬼と呼ばれる新たな存在に対しての切り札となる…
私はそのように解釈を持っている。
どうだろうか、君の艦隊で錬度が上位の六名を選出してもらい。この近代化改修で戦力を強化する。
成果が見込めれば、再度注意事項を精査した上で本格的なものとしたいと考えている。
提督「失礼を承知の上で申し上げれば、つまり自分の艦隊を実験として使い、最終判断を下したいと…?」
元帥「……言うとおりだ。だが誰でも言いという訳ではない。君だからこそ、ビスマルクの事を含めて話をした。
正直、ここ最近の深海棲艦の成長振りは無視できん。娘の鎮守府には過保護と言われても言い訳できぬだけの戦力
を割いていたのも事実。逆に言えば、大将クラスの錬度を持った艦隊を配備したつもりだ」
提督「その艦隊が鎮守府諸共、大破ロストした……」
元帥「痛恨の極みと言う奴だ。後の報告からレ級クラスが二隻、武蔵と加賀で撃滅する事は出来たようだったが
それも満身創痍…完勝には程遠い辛勝とも呼べるものだ。結果としては敗北……前に、進まねばならんのだ」
提督「……解りました。ただし、この事は機密に触れない程度で艦娘全員に通達し、内容を理解した上で、自分
が選出するのではなく、彼女たちの意思の元、選ばせて貰います」
元帥「構わん。無理を言って済まん。反撃の狼煙を上げるには、相応の力を示さねばならん」
本日はここまでになります
提督の皆様、イベント頑張りましょう!
皆様こんばんは
本日も宜しくお願いします
-帰路-
提督「…………」
赤城「提督?」
霧島「思い詰めているようですが、何かよくない報告でも…」
提督「ん…あぁ、いや。そうじゃない……と、言えばまぁ嘘だが。お前たちにも関係のあることだから、戻って
から全員の居る所で話をする」
赤城「余り思い詰めてばかりいると、榛名さんが心配しますよ」
提督「あ、あのね赤城……」
霧島「司令、榛名はとても素直な子ですがとても傷つきやすい子でもあります」
提督「え、どうしたの、霧島?」
霧島「姉妹としては、榛名を泣かせる不逞な輩を許す訳にはいきません」
提督「ち、因みにだよ?因みに、万が一にも榛名が泣いちゃった場合はどうなるの?」
霧島「司令の耳元で鼓膜を破る勢いでマイクチェックしてみようかと思います」
提督「会議や講義の時のマイクチェックいつも助かってるけど、あれを耳元でやるのは如何なものかな…?」
霧島「そうですねぇ。非常に煩いでしょうねぇ」
提督「うん、論点が違うね?」
霧島「そうでしたか?」
赤城「口では霧島さんには提督でも敵いそうにありませんね」クスッ
提督「俺の威厳を口の上手さで決めるのはどうなのよ…」
霧島「でも正直驚きました。風の噂でしか聞いてなかったので半信半疑で、元々榛名は前司令からヒドイ扱いを
受けていると聞いてまして、司令が今の鎮守府に着任される前、中将司令の方で憲兵の査察団を抜き打ちで送り
込んだことがあったんです」
提督「そ、そうだったのか!?」
霧島「司令が着任されてから半年後にも査察団、来ていたはずですよ?まぁ、最も前司令の際は決定的な証拠を
掴めず、門前払いに等しかったようですが、その後の調査で埃が立って敢え無く御用になったみたいですが…」
提督「着任してから半年後って、そんな査察団きてたのか?」チラッ
赤城「わ、私は着任したばかりでしたし、解りませんよ?」
提督「ま、まさか赤城、お前……」
赤城「違います!違いますよ!?」
霧島「ふふっ、赤城さんはきっと違いますよ。最も、私も誰がその査察団なのか、までは解りかねますけどね。
私が驚いたのはそんな『提督』という対象に対して嫌悪を抱いていたはずのあの子が司令を受け入れた…それ
が私にとっては驚きであり、それ以上に素直にうれしい、と言うところでしょうか」
提督「はぁ、すっげぇプレッシャーなんだけど…」
霧島「私としては、その怠け癖がなければ尚よし、と言ったところですね」クスッ
提督「ったく……」プイッ
赤城「ふふっ、拗ねてしまいましたね?」クスッ
霧島「ふふふ」クスッ
-鎮守府・会議室-
榛名「提督、全員揃いました」
提督「よし、長門たちはドックだから居ないが、まぁよしとする。今回、モーレイ海へ進軍した艦娘たちは本当
にご苦労だった。暁たちは大丈夫か?」
暁「う、うん…さ、流石にまだちょっとドキドキするけど、大丈夫よ!」
電「い、電もだいじょうぶなのです!」
響「……」
提督「響?」
響「あ、うん…ごめん。流石にあれはショックが大きかったみたい」
提督「気に病むな。同じように、口で大丈夫と言っていても本能はそうはいかない。だから決して無茶無理はす
るな。今回挑んだ相手はまさに未知の敵だ。それに背を向けず挑んだ勇気は本物だ」
響「ありがとう、提督」
提督「どういたしまして」ポンポン
響「ふふっ///」
提督「さて、今回集まってもらったのは皆に一つ提案をするためだ」
夕立「何の提案なの?」
提督「今回の戦闘を受けて、このままでは危険と判断した。そこで六名…現在、大本営の方で研究が進んでいる
強化試験にお前たちの中で六名、実験に参加して欲しいという要請が元帥殿自らあった」
白露「じ、実験って…何か痛いこととかしちゃうの…?」
提督「すまない。詳しい内容は選抜された六名を引率していった段階で明言される。一応、この内容はトップシ
ークレットに値する内容だからな。実際、その強化実験に参加した艦娘を見てきたが段違いの実力を見せていた
のは確かだ。ただそこにいるだけで、威圧というものを肌で感じるほどにな。しかし、必ずしも全員が錬度の向
上に繋がるとも明言できない。やはり、そこには個人の努力が必要不可欠と言う事だ。それらを踏まえた上で、
この提案に乗ってくれる者はこの後、執務室まできてくれ。以上だ」
-執務室-
提督「…………」
コンコン…
提督「入れ」
榛名「失礼します」
提督「決まったか?」
榛名「はい、全員で話し合った結果です。誰が行くのかも、決めました。一人は、私が行きます」
提督「いいんだな、榛名」
榛名「はい!榛名は大丈夫です!」
北上「提督、私もいくよ」
提督「強くなりたいか」
北上「うん、皆を守りたいからね~」
提督「わかった」
飛鷹「空母組からは私と……」
龍驤「うちがいくで!」
提督「覚悟は出来てるな?」
飛鷹「ええ、勿論よ!」
龍驤「何ぼでも困難は乗り越えたるわ!」
提督「そうか、わかった」
川内「私も行く」
提督「なんだ、茶化すわけじゃないが珍しいな、川内」
川内「まぁ、なんて言うのかな。妹の神通があんだけ頑張ってるのに、私だけのほほんとは、ね?」
提督「はは、そうか。よし、わかった。最後は……」
衣笠「衣笠さんよ!」
提督「これまた意外…」
衣笠「ちょっと、提督…?」
提督「はは、悪い悪い。よし、それじゃ……」
??「ま、待って下さい!」バタン
提督「ん?」
羽黒「司令官さん…わ、私も、連れて行って下さい!」
川内「羽黒、お前…」
羽黒「お、お願いします!」
提督「しかしな……」
榛名「定員は、固定なんですか?」
提督「え、いや…そりゃ聞いてみないとわからないが…」
飛鷹「だったら、聞いてみてよ!一人も二人も一緒でしょ!?」
提督「相変わらずのとんでも理論でたな…」
飛鷹「な、何よ…」
北上「羽黒っちの勇気パーにすんの~?」
提督「はぁ、もう解ったよ。解った。聞くよ。ただし、ダメだった場合は潔く諦めろ。いいな、羽黒」
羽黒「は、はい!ありがとうございます!」
本日はここまでになります
飛鷹はキラキラしただけやろ!
皆様こんばんは
本日も宜しくお願いします
>>309
飛鷹ちゃんも頑張ってるんや!
キラキラしてるだけだってええんや!
-大本営-
提督「元帥殿、この度は無理を承諾して頂きありがとうございます」ペコ
元帥「他ならぬ君のところの艦娘の頼みではなぁ。それに、こちらとしてもありがたい申し出だ」
羽黒「あ、あの…ありがとうございます!」
元帥「はは、そう硬くなるな。では演習場にまずは案内する」
元帥「さて、君達七人にはこれからここで定期的に演習戦を行いつつ、ある実験に協力してもらう」
提督「期日は今日から数えて二週間。カリキュラムの内容は近代化改修実践試験だ」
榛名「近代化、改修?」
提督「元帥殿は以前から艦娘の潜在的な力に目をつけていたそうだ。基本となる艤装の改修や改造による強化だ
けでは限界があると察し、艦娘自身の身体能力の向上を目的とした強化を考えた」
元帥「しかし、君達自身も解るとおり、単純な体力作りや技術の向上では限界が存在する」
川内「あの、提督が今回作ってくれた、こういった新しい艤装とかじゃダメなんですか?」スラッ
元帥「これは…」
提督「対深海棲艦用武刀剣、が正式名称になります。刀身を超合金仕様にし、深海棲艦の装甲や艤装をも寸断、
貫通させるほどの破壊力を秘めています。航空戦、砲撃戦、雷撃戦、中遠距離のレンジから戦うことが基本にな
る彼女たちには無縁だった武装構想です」
元帥「うむ、そうだったか。いや、川内だったな。確かに君が言うとおり、新たな艤装を換装させ元の戦力を向
上させるやり方もあるにはある。しかしそれは言い換えれば金に物を言わせる、と言うやり方だ。資材や資金は
無尽蔵ではない。何より、艦娘の子達が扱える艤装を設計・製作しなければならない。妖精諸君も万能ではない
からな。設計図などあれば別だが、我々が空想した産物を言葉だけで伝えたところで資材の割合がさっぱり解ら
ない故、造りようがなくなってしまうのだよ」
提督「確かに、この刀剣は設計図を基にして資材の割合から何から何まで数字をはじき出して製作してもらった
結果だ」
川内「そっかぁ…」
元帥「さて、次へ案内しようか」
龍驤「あれ、なんや…今からドンパチするんとちゃうんか?」
元帥「はっはっは、元気で何よりだな」
提督「こ、こら、龍驤!言葉を慎め!」
元帥「構わん構わん。私の艦隊の子等はどうも堅苦しくてな。唯一、大和くらいだよ。のんびりとできる相手はな」
提督「き、恐縮です」
元帥「さて、ここが二週間、君達に使ってもらう部屋になる。生憎と数は限られているので三部屋しか用意でき
なかったが、七名なら二名ずつ一部屋、残り三名で一部屋でなんとかなるだろう」
提督「はい、ありがとうございます。皆、今日は一先ず気分を落ち着かせる意味で、ここでゆっくりするといい。
明日から本格的な実験へ移る」
艦娘「「「了解です!」」」
~急襲・モーレイ海~ 完
次章 ~動くとき~
-執務室-
提督「はぁ…」ソワソワ
時雨「提督、これで六回目だよ」
提督「へ?」
時雨「ため息」
提督「あ…すまん。いや、時雨が悪いわけじゃないんだ」
時雨「榛名さん達が心配なのはわかるけどね。本当は、僕も同行したかったんだ」
提督「そうなのか?」
時雨「僕達駆逐艦の売りはやっぱりこの移動速度にあると思うんだ。その分って訳じゃないけど、やっぱり火力
や艤装の強さには限界がある。以前のモーレイ海の時、響に相談されてね。一歩も動くことができなかった。そ
れどころか、足が竦んで恐怖が先に立ったって…」
提督「……そうだよな。レ級の怖さは実際に見ていない俺でも、恐怖を覚えたほどだ。更にその上がいるってな
れば、実際に対峙した彼女たちの恐怖は俺の比じゃないだろう」
時雨「提督は以前に言ってたね。恐怖することは悪いことじゃないって。でもだからこそ、その恐怖に屈してし
まった自分が響は許せなかったんだろうね。同じように、僕もきっとその場にいたら恐怖で足が竦んで動けなか
ったと思う。だから、強くなりたいって思ったんだ」
提督「無理しすぎるのも良くはない。考えすぎて本来見るべき姿を見失うのも同じ事だ。そうならないように、
俺が支えてやらないとならないんだがな」
時雨「自分で言ってて両方該当してしまう提督が言うと、ちょっと可笑しいね」クスッ
提督「あ゛……くそ、やぶ蛇だったか」
時雨「ヒトフタマルマル。さて、僕の秘書艦代理はここまで。午後からは多分、日向さんか夕張さんがきてくれ
ると思うよ」
提督「ああ、わかった。ありがとな」
-食堂-
夕張「うーん…これ、だと……あぁ、ダメダメ!絶対これ無理じゃないのよ!」クシャクシャ
日向「夕張」
夕張「はい?」
日向「午後一の秘書艦代理は確か君だったろ。私はヒトヨンマルマルに遠征任務が入ってしまったので、君に託
したはずだったんだが…」
夕張「うわああ、そうだったぁ!」ガタッ バサバサ
日向「っと…ん?なんだこれは…」カサッ
夕張「えっ、あ……!」
日向「皆の身体データ…?」
夕張「あ、あはは…」
日向「こんなもの、どうするつもりだ」
夕張「うぅ、こ、これだよ」ピラ…
日向「各艦娘、艤装最適化表?」
夕張「た、例えばですね…」バサァ
日向「む…?」
夕張「この表で言うと、これは主砲や副砲についてなんですが、日向さんもお解かりの通り、主砲や副砲と言う
のは私達艦娘には馴染みの基本艤装です。物によっては対空にも秀でてるものがありますよね」
日向「あぁ、最も対空に秀でているのは専ら副砲だと思うけどね」
夕張「仰るとおりです。で、私達にはそれぞれ艦種が分別されています。私であれば軽巡洋艦。日向さんでした
ら、航空戦艦…勿論、備える艤装はこの時点で変わってきます。私達軽巡では持てて中口径が精一杯…ですが、
日向さん達戦艦であれば大口径を扱うことも出来る。けど、備えるものにバランスが悪いもので揃えてしまうと
本来の力を十とした場合、その半分程度しか火力と言う形で力を発揮できてないんじゃないか、と私は考えた訳
です」
日向「ふむ…」
夕張「以前、榛名さんが武蔵さんの形見として46cm三連装砲を扱ってましたが、今の榛名さんではあれを扱いき
れてないように見られたんですよね」
日向「確かに、あれは私から見ても扱いに難しさを感じさせる艤装だった」
夕張「身体能力と相談すると、やはり榛名さんに適しているのは41cm連装砲だと思うんです。これを二門備え、
装甲の厚い敵に対して有効な徹甲弾などを装備した上で水上偵察機や水上観測機を装備すれば、バランスとして
は非常にいいのかなと…空母の皆さんとの連携で弾着観測射撃も行えますし、一対一の場合でも連撃を撃つ事も
これならできると思うんですよ。換装にも46cmよりも軽いのでパパッと移し替えできるかなーって」
日向「個々の身体データと比較して各自最適な装備考察を行っていたというわけか」
夕張「ですです。あはは、まぁ…お節介、と言われたらそれまでなんですけどね」
日向「いや、そういう考え方は良くない。素晴らしいことだ。しかし、約束を忘れてまで熱中するというのは流
石にダメだな」
夕張「はい~、以後気を付けます」ペコリ
日向「まぁ、ヒトサンマルマルまでまだ少し時間はあるし、丁度秘書艦代理と言う仕事でもあるんだ。その考察
を提督に教えるのもいいんじゃないか」
夕張「ですね!じゃあ、早速執務室へ行ってきます!日向さんも遠征、気を付けて行って来て下さい!」
日向「ああ、ありがとう。いってくるよ」
-執務室-
夕張「……と、言う訳で、実はこういったものを私なりに作成してたんですよ」バサ
提督「個々の最適化を計った装備考察…これが遅れた理由か?」
夕張「ま、まぁ…えっとですね、過多な装備と最適な装備ではやっぱり動きも変わると思うんですよ。言ってし
まえば、分不相応な物を備えていても、それが如何に強力であっても、扱えなければ意味がない…と言うのが、
私の持論です。強力な艤装もそれを扱える、理解してる人が居るからこそ、その威力を発揮できる」
提督「確かに…いや、以前に飛鷹からも似た内容の相談は受けていたんだ」
夕張「飛鷹さんからですか?」
提督「艦載機に関することでな。しかし艦載機に関してはその性能云々しか解らない俺としては、明確なアドバ
イスをする事が出来なくてな。赤城にヘルプに来てもらったのを思い出した」
夕張「なるほどぉ…確かに艦載機とかは私も解らないなぁ」
提督「夕張でも解らない事あるんだな…」
夕張「わ、私を何だと思ってたんですか!?」
提督「略して○型ロボット」
夕張「んなぁ!?猫は好きですがこのコンパクトボディを目の前にしてなんて発言…失礼しちゃうわ!」
提督「いやぁ、ある程度無茶振りで頼めば何でもって訳じゃないが完成させてくれるしなぁ」
夕張「それと解らない事は別問題です!全くもう…」ブツブツ
提督「悪かったって。話を戻すと…えーっと、この資料、各艦娘の身体データと艤装の組み合わせ一覧はほぼほ
ぼ完成していると見ていいのか?」
夕張「あ、えっとですね。榛名さんが武蔵さんから形見として受け継いだ46cm三連装砲ですが、設計図が完成し
たので実はもう何個か作ってもらおうと思ってまして」
提督「相変わらずだな…」
夕張「出来れば長門さんや陸奥さんにこの辺りは所持してもらって、火力の底上げに役立てて貰えたらと…」
提督「なるほどな。確かに41cmより一回りもでかい46cmを榛名が扱うよりは、長門や陸奥、日向あたりが扱う方
がバランスもとりやすいかもしれない。しかし、長門と陸奥は未だ療養中。今すぐに調整するのは無理だし、そ
んなことは俺が許さん」
夕張「もう、解ってますよ!」
提督「よし、まぁお前の研究成果はわかった。ここから先は執務業務にその頭脳をフル活用してくれ」
夕張「えっ」
提督「えっ……じゃねぇよ。榛名がいない間は、お前らが数時間刻みで秘書艦代理するって自分たちで言い出し
たんだろうが。きっちり働いてもらうぞ」
-数時間後・執務室-
提督「…………」カキカキ
夕張「…………」カキカキ スヤー…
提督「……」カキカキ チラッ
夕張「……」カクン カクン…
提督「……」ポニーテールワシヅカミ
グイッ
夕張「んにゃあ!」ガクン
提督「小休憩まであと少しだ。寝るな」
夕張「うぅ、だからって髪の毛引っ張らなくてもぉ…」グスッ
提督「居眠りした罰と思えば納得できるだろ。ほら、その遠征報告書纏めたら休憩にするぞ」
夕張「むぅ、提督がこんな乱暴な人だとは心外です」
提督「喧しい。口より先に手を動かせ」ガタッ
夕張「あ、あれ…提督どこへ?」
提督「陸奥たちの様子見だ。書き終わった遠征報告書は俺のデスクの脇に置いておくんだぞ」
夕張「了解でーす」
本日はここまでになります
皆様こんばんは
本日も宜しくお願いします
-救護室-
コンコン
陸奥「あ、はい?」
ガチャッ
陸奥「あ、提督」
提督「具合はどうだ」
陸奥「はい、お陰さまで、と言いたいけど、流石にちょっと無茶が過ぎたみたいね。完治にはまだかかりそう」
提督「はぁ、だろうな。ちょっと見せてみろ」グイッ
陸奥「あっ……」
提督「入渠で粗方の外的な傷は癒えたか…だが至近距離からの戦艦の主砲による爆発なんて洒落になってないぞ。
まだ……動かないか?」
陸奥「す、すみません…感覚自体が……」
提督「そうか。こんな言い方したら悪いのは解ってるが、お前はまだいい方だ。問題は長門と阿武隈だ…」
陸奥「……」
提督「長門に至っては未だに目を覚ましてない。傷口は塞がったし、脳波測定なんかもクリアした。お前のとパ
ターンが違うのは、長門は最も受けちゃいけない至近距離で一方的に相手の主砲を真正面から受けたって事だ。
殺す気で放たれた一撃だ。しかも聞けば殆ど虚を衝かれての一撃……通常よりもダメージは深刻だったろう。同
じように、阿武隈も腹部を貫かれるほどの重傷を負っていた。幸い、阿武隈は手術後に意識を取り戻しはした」
陸奥「私もついてたのに…」
提督「そう思い詰めるな。長門の意識が戻らないと決まったわけじゃない。そうだろ?」
陸奥「まぁ、うん。そうよね。落ち込むにはまだちょっと、早いかな」
提督「そう言う事だ。それにお前は他の連中を助けたんだ。もっと胸を張れ。お前の助けた命は大きいぞ」アタマポンポン
陸奥「ちょ、ちょっと、提督っ!///」
提督「ん、あぁ…」ニヤニヤ
陸奥「な、何笑ってるのよ!?///」
提督「頭ポンポンされるのは恥ずかしいか」
陸奥「もう…知らないわ!///」プイッ
提督「んな拗ねんでもよかろうに…」ニガワライ
陸奥「ふんっ///」プイッ
提督「ご機嫌損ねたか。やれやれ…まぁゆっくり休め。もう少し体調が回復してきたら、両手のリハビリも兼ね
ていこう。俺は木曾と大鳳の様子を見てくるよ」ニガワライ ガチャ パタン…
陸奥「……こんな、手じゃ……もう、皆を守れないじゃない……ッ!」
ドア越し グス……ヒック……
提督「……それでも、俺は戻ってきてくれて嬉しいよ…陸奥」スタスタ…
-病室-
コンコン…
大鳳「あっ……」
木曾「げっ……」
提督『木曾、大鳳、入るぞ』
ガチャ…
提督「調子はどう……」
大鳳「……」
木曾「……」
提督「……何をしている?何故、正装に着替えている?」
木曾「あ、いや…これは、だな…」
大鳳「そ、その、体調も戻りましたし、もう大丈夫かと…」
提督「それは医師から通達されての事か?」
木曾「うっ……」
大鳳「そ、それは…」
提督「俺を困らせたいようだな?」
木曾「そ、そーいうんじゃねぇんだって!」
提督「ほぅ?」
木曾「ぅ……」(やべぇ、目がこえぇ…)
大鳳「」オロオロ
提督「今回は一回目って事で咎めずに置いてやろう。医師から言われてるのはあと一週間は安静って事だ」
大鳳「ち、因みに…破った場合は…」
提督「そうだなぁ…うん、この鎮守府追放にしてやろう」
木曾「ま、まじかよ…」
大鳳「……大人しくしてます」ショボン
木曾「え、えぐ過ぎる…」
提督「喧しい病人め。完治するまで正装にも着替えることは許さん。いいから大人しく寝てろ。動く許可をもら
えた段階でリハビリだ。それまで任務は愚か演習などの激しい動きをすることは許さん。これは提督からの正式
な命令と思って聞け、解ったな?」
木曾「り、了解…」アセ
大鳳「わ、解りました…」アセ
本日はここまでになります
皆様こんばんは
本日も宜しくお願いします
-客室-
提督「はぁ、全く……」
医師「提督殿も大変ですね。自身が盾になって瀕死になったと思えば、今度は艦娘達のやんちゃに付き合ったり
と…私が貴方の身だったらとうの昔に根を上げて全てを放り投げてますよ」
提督「ははは…ごほん、それで…」
医師「ええ、重傷を負った三名の艦娘に関してですね」
提督「長門はまだ意識が戻らない。阿武隈は意識こそ戻ったが……」
医師「はい。ひどく怯えており、今すぐの復帰は望めません」
提督「長門も阿武隈も心配だが、現時点で最も心配なのは陸奥だ。あいつの両手、戻るんですか?」
医師「今の医療は昔よりも目に見えて進化しております。不治といわれた病や原因不明といわれた病の数々も、
その殆どが解明、治療法の確立がなされ、目覚しい成長を遂げているのも事実です。それでも…」
提督「構わない。言ってくれ」
医師「正直なところ、不明です。五分五分なのです。似た境遇で言えば長門がそうでしょうが、彼女は真正面か
ら胴部分にかけての被害が殆どでした。ですが、陸奥の方は両手を中心として被害が広かった。よくあれで両手
が吹っ飛ばなかったと、むしろこっちが驚いたほどです。両手が動かない事実は本人が一番解って……」
提督「あぁ…ただまぁ、俺に出来るのは先生に頼むことくらいだ」
医師「提督殿…」
提督「先生が俺の身だったらとうに投げ出してるって言ったろ?正直ね、そんなんばっかりだよ。他の鎮守府で
聞く話なんてもっとひどい。艦娘を道具としてしか扱わない所や自分の玩具にしてる屑もいる。先生は普通に街
中で艦娘を見かけたことあるかい?」
医師「え?まぁ、多分ですが、何度か…」
提督「普通の女の子だったろ。艤装がなきゃあただの子なんだよ。彼女たちは…俺たちとなんら変わりはない。
ただその内に秘めている潜在的な力が、艤装を扱えるだけに足るものであるってだけで選ばれた子たちなんだ。
事実先生も多分って言ったろ。他の子と見分けなんてつかないくらい、普通なんだよな。まぁ、だから常に海軍
の誰よりも前線に赴いて深海棲艦と戦い続ける彼女たちを提督である俺たちは大事にしてやらなきゃならない」
医師「……はぁ、参りましたねぇ。人の命を扱う私達より、よっぽど提督殿の方が命を尊んでる…私達も、彼女
達を救える方法を、最善を尽くして探しましょう。最先端の医療技術でも古代の医療技術でも、手当たり次第に
探して担当チームとカンファレンスを開き検討し続けますよ」
提督「はい、宜しくお願いします」ペコ
ガチャ パタン
提督「……ん?」
イムヤ「あ……」
提督「お前、聞いてたな…」
イムヤ「あ、あははは…」
提督「ったく、壁に耳あり、障子にイムヤ…」
イムヤ「な、何よその変な例え!」
提督「とにかく、他の誰にも言うな。折を見て必ず俺から言うから、絶対にお前は何も言うな」
イムヤ「ね、ねぇ、司令官…三人とも大丈夫よね?」
提督「あぁ、大丈夫だ……そう、言い切りたいんだがな」
イムヤ「え…?」
提督「生憎、俺は提督で医者じゃない。助かるように祈ってやることしか出来ない。だから、イムヤも祈ってく
れないかな。三人がまた無事に、また笑顔になれるように、一緒に祈ってくれ。頼む…」プイッ スタスタ…
イムヤ「司令官……」
-湾岸-
提督「…………」
赤城「提督、こちらにいらしたんですか」
提督「赤城…」
赤城「心配、と顔に書いてありますよ。貴方がそんな顔をしていたら、他の子達まで心配顔になってしまいます」
提督「ああ、そうだよな。ごめん」
赤城「提督は心配事が多くて大変ですね。ですが、私達も同じくらい、心配してるんですよ。榛名さん達もそう
ですが、長門さん、陸奥さん、阿武隈ちゃん、皆無事で居て欲しいと願ってます」
提督「俺、そんなに顔に出てたかな?」
赤城「ええ、それはもう…鈍い子でも解るくらいには、ですね」
提督「それ相当じゃねぇかよ…」
赤城「今回の出動任務、一番悔しい思いをしているのは負傷した子達だと思うんです。同じくらい、随伴した子
達も悔しい思いをしてると思うんです。だから、随伴できなかった私達は本当の意味で彼女達の思いを汲んで上
げる事は出来ないかもしれません。だから、次の出動時は私が彼女達の分まで奮戦します」
提督「赤城…」
赤城「ですから提督。提督は心置きなく、榛名さん達や長門さん達の心配をして上げて下さい」ニコッ
提督「…恩に着る」
赤城「それが私達の努めですからね。では」ペコリ
提督「はぁ……敵わないな」
本日はここまでになります
皆様こんばんは
本日も宜しくお願いします
-大本営-
榛名「はぁ、はぁ、はぁ……」
大和「もう止めた方がいいのでは?」
榛名「……っ!ま、まだです!」
大和「強情ですね」バッ
榛名「……!」サッ
大和「第一、第二主砲。斉射、始め!」ドォン ドォン
榛名「くっ…!」
ボボボン
榛名「至近弾…このっ!」ドォン ドォン
大和「はっ!」
パパパン
榛名「届かない…!」
大和「夾叉か…うん、次は直撃させます!」ジャキッ
榛名「間合いを…詰めれば…!」バッ
大和「遅いっ!」ドォン ドォン
ボボボボン
榛名「きゃあ!」
大和「ここまでですね」
榛名「はぁ、はぁ……」
大和「無理をし過ぎです。近代化改修直後にこのような演習を敢行するなど…」
榛名「守るって、決めたんです。はぁ、はぁ…約束、しましたから…榛名は、約束を破りたくありません」
大和「もう…」(武蔵も頑固な子に想いを託してくれたものね)
榛名「あ、あれ…」ガクッ
大和「ほら、御覧なさい。無理を続ければいざと言う時、本領発揮できませんよ。今日はここまでです」
榛名「は、はい…」ヨロヨロ
北上「あ、榛名っち……って、ちょーボロボロなんですけど…」
榛名「あ、あはは…大和さんと演習しててね」
北上「うはぁ、よくやるねぇ…」
榛名「北上さんは何処か行ってたの?」
北上「あー…まぁ、羽黒っちが倒れちゃってねぇ」
榛名「えっ」
北上「まぁ理由は榛名っちと殆ど一緒、かなぁ…にしても、この近代化改修ってヤツ、なぁんか気分っていうか
感覚って言うか、やなのよね~」
榛名「うん、まぁ…確かに体のだるさとか感じる事もあったけど、この間受けたのはなんだかとてもしっくりと
くる感じですんなりと終わったんですよね」
北上「やっぱ人によって変わるのかな~」
榛名「他の皆は?」
北上「ん、多分ご飯中じゃないかな~?結構部屋は広いし、多分川内っち達の部屋でご飯してると思うけど、一
緒に行く?」
榛名「あ、それじゃシャワーだけ先に浴びてこようかな」
北上「あ~、うん。それがいいね~。じゃ、先に部屋で待ってるね~」
-川内・衣笠・羽黒部屋-
川内「衣笠に飛鷹や龍驤はなんか感覚的に変化あった?」
衣笠「うーん、感覚で言うなら、今までと艤装は同じなんだけど、なんだか軽くなった気はするんだよねぇ」
飛鷹「私は精度って言うか、艦載機が前よりも強くなった気がする」
龍驤「うちはなんかめっちゃ体、軽ぅなった感じやなぁ」
北上「お~また~」
衣笠「あ、羽黒ちゃん大丈夫そう?」
北上「うーん、まぁ単純に疲労だと思うけど、一週間も経ってないのにちょっと飛ばし過ぎかなって感じ」
川内「無理もないさ。彼女だってあの場に居たんだ。私もそうだけど、ほんと何も出来ないってのは悔しいよ」
衣笠「…あれよね。明らかに深海棲艦の錬度は向上してる感じ。フラグシップにしろエリートにしろ、尋常じゃ
ない早さで成長してる。私達の錬度向上とは比べ物にならないくらい」
北上「提督もけっこー悩んでるみたいだよね~」
衣笠「なぁんか、思い悩んだらどこまでも悩み続けるんだよなぁ、提督」
榛名「あ、お待たせしました」
川内「よっ、お疲れ」
衣笠「あ、そうだ!」
榛名「?」
衣笠「ねね、榛名ちゃん。普段の提督ってさ、どーんな感じなの?」
榛名「へ?」
衣笠「いやぁ、超真面目な時と若干チャラけてる時くらいしか知らないんだよね、私」
榛名「殆ど、それしかないんじゃ…」
衣笠「またまたぁ、榛名ちゃんと二人だけの時とか、違うんじゃないのぉ?ほらほらぁ、今は提督いないんだし
さ、喋っちゃいなさいよ!」
北上「おっ、それいいね~、しびれるね~」
榛名「よ、よくないし!しびれない!」
北上「え、そう?」
龍驤「ど、どうやねん!」フー フー
飛鷹「り、龍驤…鼻息荒くない?」
龍驤「どうやねん!?」フー フー
川内「勢いヤバ…」
榛名「ど、どうって…」
川内「内容次第じゃ、多分龍驤が暴れるな…」
榛名「な、なんで!?」
龍驤「ウ~…」
飛鷹「犬みたいになってるわよ…」
衣笠「さぁさぁ、ほらほらぁ…」ニコニコ
榛名「うぅ…た、確かに普段見せない優しい表情は、あると思いますけど…」
北上「おぉ!あの提督の優しい顔とか……うん、あるか」
榛名「え!?」
飛鷹「あぁ、うん…あるわね」
龍驤「せやな」
衣笠「他には!?」
榛名「えぇ!?」
衣笠「さぁさぁ!喋らないと脱がせちゃうわよぉ?」ガバァ
榛名「きゃあ!ちょ、な、何でそうなるんですか!?」ジタバタ
ガチャ…
羽黒「あ、皆さん…ご迷惑おかけ、して…あの、何を?」
榛名「あ、羽黒ちゃんこれはちがっ…」
羽黒「は、榛名さんと衣笠さん、何してるんですか!?」
衣笠「え、ちょめちょめな事、かな?」グググッ
羽黒「……ッ!///」カー…
榛名「ち、違いますよ!違いますからね!?」ジタバタ
北上「写真写真っと…」パシャ
榛名「な、何撮影してるんですかっ!///」
北上「え、現像して提督に見せびらかそうかと…」
榛名「……っ!///」ジャキッ
北上「ちょ、ウソウソ!ウソだから!主砲はヤバイって!」
衣笠「わわわわ…!さ、流石戦艦…底力はんぱないぃ!」グググッ
榛名「こう、いう、ことは…!榛名は、許、しま、せんっ!!」バィーン
衣笠「きゃあ!」ゴロゴロ
飛鷹「つ、つよ…」
龍驤「衣笠が飛んでったで…」
川内「あっ、このまま枕投げ夜戦突入!?」
榛名「しませんっ!!」
川内「ひぃっ」
榛名「全くもう…!」
本日はここまでになります
皆様こんばんは
本日も宜しくお願いします
-鎮守府-
提督「へっくし!」
夕立「風邪っぽい?」
提督「んなことないんだがなぁ。さて、と…残りは…んー、まだちょっと残ってるか…」
夕立「提督さん、もうヒトキューマルマル過ぎてるし、たまにはいいんじゃない?」
提督「ん、そうか?でもなぁ…」
夕立「そーそー、たまにはのんびりゆる~く過ごすのもいいっぽい!」
提督「はは、それもそうだな。そんじゃ食堂にでも行って飯でも食うか」
夕立「はーい!」
提督「しかし夕立のその前髪、毎度ピコピコ揺れてて面白いな」
夕立「ふぇ?」
提督「夕立、ジャンプ」
夕立「」ピョン ピコピコ
提督「おー、跳ねる跳ねる」
夕立「?」
提督「よし、満足したから行くか」
夕立「えー!?夕立、意味が解らないっぽい!」
寝落ちしてました(´・ω・`)
あと2-3レス投稿だけして終わりにします
-食堂-
提督「今日のご飯は何だろなーっと…」
夕立「今日は豪華っぽい!」
提督「え?豪華?」
日向「やあ、提督」カッポウギスガタ
提督「っと…日向、なんか珍しい格好だな」
日向「ふふ、今日は少し趣向を凝らしてあるからな」
提督「なんだそりゃ」
翔鶴「あら、提督」
提督「うお、翔鶴…」
翔鶴「はい?」
提督「なんていうか、お前…割烹着姿だと……女将さん?ママさん?いや、お母さんだな…」
翔鶴「お、お母さんって…もう、やだ提督ったら!///」ベシッ
ボゴォ
提督「がはっ!」
翔鶴「あらやだ…て、提督?大丈夫ですか?」
提督「げほ、ごほ…だ、大丈夫……じゃない」グッタリ
天龍「おう、提督!何遊んでんだ?」
提督「これのどこが遊んで……ぶっ」
天龍「な、なんだよ!」
提督「天龍の割烹着姿…ぷ、ぶはははは!眼帯に、割烹着…って、おま、あはははは!」
天龍「う、うるせー!オレだってこんな格好したかなかったんだよ!!」
提督「お玉片手に凄まれても…ひひ、めっちゃ可愛いわ。あー、腹いてぇ……」
天龍「ぐぬぬぬ…」
翔鶴「ほらほら、天龍さん、料理の途中でしょ」
提督「フフッ、美味いか?」キリッ
天龍「て、てめぇ……!」
提督「とか聞いちゃうんですか?聞いちゃうんですか、天龍マm……」
天龍「死ねぇぇぇぇぇッ!!」ブンッ
パカァァン
提督「ぐはっ」
日向「クリーンヒットだな」
翔鶴「そ、そんな冷静に…」アタフタ
夕立「いい音だったぽい…」
天龍「このお玉が刀じゃなくてよかったなぁ、提督…」
提督「な、なんかのゲームでお玉武器にして戦う子が、居たな…あー、いってぇ…」
天龍「ケッ」
本日はここまでにします
皆様こんばんは
本日も宜しくお願いします
鈴谷「ねね、熊野…これ、どうかな?」
熊野「どれどれ…少し塩気が足りませんわ。小さじ少々ですわね」パッパッ
鈴谷「む…」ズズズ
熊野「どうですの?」
鈴谷「むぅ、美味しい…」
暁「レ、レディーは料理も一人前…!」グスッ
熊野「暁、たまねぎは切れましたの?」
暁「い゛ま゛ぎ っ で る゛よ゛ぉ゛!」グスッ
熊野「仕方ありませんわねぇ」
比叡「私がサポートしましょう!」
熊野「あら、比叡さん。助かりますわ」
比叡「お任せ下さい!気合い、入れて、いきます!」
熊野「き、気合い入れるのは構いませんけど、比叡さん…料理の経験ありまして…?」アセ
比叡「いえ、全く!で、どれからぶっ飛ばせばいいですか!?」
熊野「……は?」
阿賀野「こんな感じ?こうかな?うーん、こっちかな?」
神通「これを、こう…して。えっと、こっちを、こう……」
ゴーヤ「おー……」
まるゆ「き、きれいです!」
龍田「あとは~、これをこうすればどうかしら~?」
神通「あっ、はい…そうですね。とても綺麗です」
イムヤ「はーい、こっちもセッティングオッケー!」
ゴーヤ「ゴーヤ達の美的センスは却下されてしまったでち」
まるゆ「が、頑張ったんですけどね」
龍田「生きた金魚をテーブルにぶちまけるのはどうかしら~?」
まるゆ「あ、あはは…」
ゴーヤ「海をイメージしてみたけど、ダメみたいだったでち…」
龍田「金魚は海にいないわよ~」ニコニコ
筑摩「利根姉さん、そっちはどう?」
利根「うむ、こっちは完璧じゃ。赤城、どうじゃ?」
赤城「はい、とても風流に仕上がってると思いますよ?」
時雨「わあ、こっちは畳部屋か。凄いね」
白露「おおお、雰囲気でてるぅ~!」
響「ハラショー。素晴らしいね」
瑞鳳「電ちゃんと一緒に掛け軸作ってきたわよ!」
電「なのです!」
響「こ、これは…ハラ、ショー?」
赤城「電ちゃんの雰囲気出ていて素敵ですよ」ニコニコ
瑞鳳「文字は色とりどりにしてみようって案は私です!」フンス
電「頑張ったのです!」フンス
利根「そ、そうか…」アセ
筑摩「ふふっ」
霧島「大体終わってきましたか?」
金剛「OKデース!」
夕張「はい、大体は終わりそうですね!」
島風「んもー、早くはじめよーよ!」
霧島「ふふ、そう焦らないの。司令!」
提督「んお、なんだなんだ?」
霧島「暗くなってても仕方ありませんから、木曾や大鳳も復帰が近いと言う事で、イムヤが企画しました」
提督「イムヤが?」
ポンポン
提督「イムヤ…」
イムヤ「本当は皆居る方が良いけどさ、司令官のなんか悲しい顔とか見たくないし。今だけでも笑って欲しいなって、ね」
提督「お前…」
イムヤ「ふふふ、凄いでしょ?普段はこういう事、率先してなんてやらないけどね。私だって本気出したら凄い
んだから!司令官が笑ってくれるなら、それでいいんだ」
霧島「えーっと…マイク音量大丈夫…?チェック、1、2……。よし。それじゃ、皆さん!司令も執務が終わった
と言う事で、今日は日ごろの感謝を込めて、司令におもてなしをしたいと思います!」
金剛「HEY!霧島、早くするネー!」
比叡「お、お姉さま…」アセ
霧島「金剛お姉さまが煩いので、早いとこ始めますね!」
金剛「What!?」
霧島「はい、それじゃ皆!司令へのおもてなし、始めっ!」
提督「乾杯とかじゃないのか!?」
赤城「ふふっ、まだ皆揃ってないんですから、乾杯はその時にすればいいじゃないですか。今日の主役は提督ですよ?」
日向「そういう事だ。君もたまには肩の荷を降ろしていいと思うぞ、提督。ほら」スッ
提督「おっと…日向からの酌とは」
日向「ふっ、たまにはね。私だって飲みたい時はある」
暁「あぁ!日向ズルいわ!私だって、司令官におしゃくするんだから!」
日向「む…なんだ、そのペットボトルに入ってる液体は…」
暁「えっ、何って…ポ○ジュース、だけど?」
日向「ふっ…」
暁「あーっ!今バカにしたわね!?」
提督「ほらほら、喧嘩するな。ちゃんと貰うから」
暁「し、司令官がそういうなら、いいけど!」
提督「いいか、暁。レディになるなら相手の冗談も軽く受け流すくらい寛容じゃないとダメだぞ?」
暁「え?あ、いや…えっと、んっと…い、今の冗談、なの?」
日向「私が暁相手に喧嘩腰になるなど、逆にひんしゅくを買うだけだ。笑ったことは謝ろう。ただ素直に可愛い
と思ったまでだ。暁はそれでいい。もう少し大きくなったなら、その手に持ってるのを酒に代えて提督に酌をし
てやるといい。きっと喜ぶぞ」
暁「な、なるほど…」メモメモ…
提督「おい、日向…」
日向「さて、私は別に他意はないよ」
提督「ったく、こいつ…」
瑞鳳「はい!ヒック、はい!祥鳳型軽空母、瑞鳳!脱ぎましゅ!!」
提督「はぁ!?ちょ、おま、まて、まてまて!っていうか、こいつ酒弱いのか!?誰だ飲ませたのは!」
龍田「仕方ない子ね~」ヒュッ
トンッ
瑞鳳「はうあ…!」パタ…
提督「あ、当身一撃…」
翔鶴「さぁ、食べましょう」ドッサリ
赤城「あら、私に勝負を挑む気ですか?」ドッサリ
翔鶴「」チラッ
赤城「」チラッ
バチバチバチ…
提督「こいつらの胃袋どーなってんだ…つーか、俺へのもてなしどこいった!?」
夕張「ファイッ!」
赤城「」カッカッカッカッカ
翔鶴「」カッカッカッカッカ
提督「おめーもセコンドやってんじゃねぇよ!」
夕張「いや、面白そうなので、データ収集も兼ねてですね…」サッ ジー
提督「データ収集絶対後付だろ、お前…ってか、ビデオまで回してんじゃねぇ!」
本日はここまでになります
皆様こんばんは
本日も宜しくお願いします
-病室-
木曾「はぁ、食堂で一緒に飯食いてぇ…」
大鳳「もしこれで抜け出したら、追放ですよ」
木曾「わーかってるよぉ。あー、くそ!」ボフッ
大鳳「……もっと、強くなりたいですね」
木曾「ああ…言い方は悪ぃが、足手纏いが何人いても別にいい。俺が全部守ってみせる!ただ、てめぇが足手纏
いになるのは絶対にやなんだよ」
大鳳「私も似たようなものです。提督からは焦るな、自分のペースを維持しろとは言われましたけど、どうして
も焦ってしまう自分がいます」
木曾「…あのさ、いやなこと聞くけどよ…」
大鳳「なんですか?」
木曾「前の、お前が居た艦隊……旗艦や参謀勤めてた武蔵や加賀ってのは、強かったのか?」
大鳳「…私が知る中で最強でした。鋼鉄の艦隊と揶揄される鉄壁の防御と圧倒的な火力は近海周辺の深海棲艦な
ど取るに足らない『ただの的』に思えるほどに、強かった。旗艦の武蔵さん、参謀の加賀さん、それをサポート
する霧島さん、鷹の目と揶揄された飛龍さん、駆逐艦の中で今ここにいる島風さんにも劣らない速度を誇った、
天津風さん、海底の目を務めた大井さん、皆秀でる才の集まりでした」
木曾「けど、お前だってその第一艦隊の一員だったんだろ?」
大鳳「私に比べれば、と言う意味ですよ。武蔵さんの一撃は海を割り敵を粉砕する。加賀さんの一撫ではまさに
鎧袖一触……彼女の放つ艦載機からは逃れる術は愚か、受ける術すらないほどに…強かった」
木曾「が、がいしゅう、いっしょく?」
大鳳「日本外史のことわざの一つです。鎧袖とは鎧の袖。一触は文字通りほんの僅かに触れること。鎧の袖がほ
んの少し相手に触れただけで相手は倒れてしまう様を表したことわざです」
木曾「とにかくスゲーって事はよく解ったよ。けどよ、提督の言うとおりだぜ。お前はお前だろ?俺だって確か
に焦った時期はあるよ。けど、結局焦ってもなんにもかわんねぇんだよな。一晩で周りを圧倒できるような魔法
の薬なんてねぇんだ」
大鳳「……一晩は流石に無理かもしれませんけど、数週間…時間をかければ身体能力の強化を図れることが可能
な方法があると、以前に中将提督から聞いたことがあります」
木曾「はぁ?それこそ魔法じゃねぇか」
大鳳「詳しい内容までは聞けませんでしたし、大本営でもまだ検討を拱いている秘密裏の強化方法だとか…ただ、
その手法の名称が確か、近代化改修って言うのは記憶にあります」
木曾「なんでぇ…つまる所、俺等じゃどうしようもねぇって事か。名前だけわかっても仕方ねぇしなぁ」
大鳳「ただし、一縷の望みとしては…」
木曾「……ん、あぁ…!提督か!?」ガバッ
大鳳「はい」
木曾「なるほどね…頼み込んで見る価値は……アリだな」ニヤッ
-とある海域-
後輩「準備はいいな、お前等……」
??「問題ありません」
??「いつでもいけます」
??「ご命令を、マスター」
後輩「あんなクソの言い分なんてどうでもいい。ようは現時点で目障りな連中を葬れればいいんだろ?だったら
葬ってやろうじゃないか!僕は別ルートから直接内部へ侵入して提督を血祭りに上げる。お前達はここに残存す
る艦娘、全てを血祭りに上げろ!使えそうな奴は後で僕が直々に選別してやる」
??「畏まりました、マスター」
後輩「……さぁ、宴を始めようじゃないか、提督ッ!!」
~斗酒隻鶏【としゅせきけい】~
-鎮守府-
ブーン…
赤城「あら?」
翔鶴「…どうか、したのですか?」ムグムグ
赤城「……どうやら、今日の宴は中止かもしれません」スクッ
翔鶴「?」
赤城「提督」
提督「おう、赤城!」
赤城「夜間に入る前の偵察に出していた妖精さんから通達です」
提督「む…」
赤城「識別なしの連合艦隊が近海に布陣していると。数は凡そで十隻近く」
提督「深海棲艦か!?」
赤城「解りませんが、他の鎮守府の艦娘の艦隊であれば定められた識別信号を近海に来れば発するはずです」
提督「ったく、たまの宴会くらいのんびりさせろってんだよ……総員ッ!!」
暁「えっ!?」
響「……!」
夕立「え、何何?」
提督「呆けるのはここまでだ。ある意味深い時間じゃなかったのが幸いしたな。敵の接近を確認した!敵の数は
十隻近くを確認!いいか、決して気を抜くな!!」
-執務室-
赤城「僭越ながら、秘書艦代行、一航戦赤城が勤めさせて頂きます」
提督「ああ、頼んだ。赤城を旗艦とした航空機動艦隊は夜間に入る前に出来る限り制空権の確保と敵の足止めを
頼みたい。瑞鳳は引っ叩いて構わんから意識覚醒させろ」
赤城「はい。お任せ下さい!瑞鳳さんは、さっき天龍さんと龍田さんがヤキ入れてましたので、大丈夫かと…」
提督「ははは……さて、金剛、比叡、霧島」
三人「「「はい!」」」
提督「お前たち水上打撃艦隊は夜戦も視野に入れた艤装で挑め。同じく利根と神通を旗艦にする水雷戦隊」
二人「「はい!」」
提督「お前たちは赤城たちが制空権を確保した段階で電光石火で動け。敵の艦列を霍乱、断絶する。水雷戦隊の
脅威を見せ付けてやれ。同時に航空機動艦隊と連携し水上打撃艦隊の射線確保だ。前衛部隊として危険だが、俺
はお前たちを信じる。次、イムヤを旗艦にした潜水艦隊」
イムヤ「はい!」
提督「先導、警戒役に暁を随伴させる。奇襲に備えて海底で目を光らせておけ。暁は海上でのイムヤたちの目だ」
イムヤ「任せて!」
暁「了解よ!」
提督「ではそれぞれの艦隊の構成を発表する」
■航空機動艦隊
赤城
翔鶴
瑞鳳
日向
天龍
龍田
■水上打撃艦隊
金剛
比叡
霧島
筑摩
鈴谷
熊野
■第一水雷戦隊
利根
夕張
島風
電
響
■第二水雷戦隊
神通
阿賀野
白露
時雨
夕立
■潜水艦隊哨戒部隊
イムヤ
ゴーヤ
まるゆ
暁
提督「よし、艤装の換装が済み次第、随時出ろ!他の艦隊は赤城隊を中心に布陣しろ。主導は赤城、決して油断
をするな。提督鎮守府連合艦隊、抜錨せよ!」
神通「提督」
提督「神通、どうした」
神通「これを…」チャキッ
提督「これ、お前の刀剣じゃないのか」
神通「少し、違います。夕張さんに協力してもらい、妖精さんと思考を重ねて製造してもらった新作です」
提督「それ、どういう…」
神通「私は、提督。この場で実際に貴方を守ることは出来ません。ですが、守護者としてこの刀剣をお預けする
ことで、少しでも提督をお守りする機会があればと……以前に泣き言を言った自分なりのけじめです。いざと言
うとき、この刀剣が提督の命を救う切っ掛けになれば幸いです」
提督「…お守りって訳か。ありがたい…使わせてもらう」ガシッ
神通「では、第二水雷戦隊神通、いきます!」
本日はここまで
間違えただけかも知らんが揶揄ってのはマイナスイメージの言葉だぞ
偵察機を持たない艦を潜水艦隊の目にしちゃダメだと思うんです
-近海-
??「目標の抜錨を確認。では、これより殲滅行動開始します。徹底的に叩きます。索敵も念入りに」
-連合艦隊-
赤城「…!敵の艦載機……?でも、待って、あれは……!」
霧島「そんな、あの艦載機は……友永隊!?」
熊野「なんで、どうして飛龍さんの艦載機が敵のシグナル群から…!」
飛龍「二航戦、出撃します!」
翔鶴「赤城さん、今は迷ってる場合じゃありません!」
赤城「……」グッ
日向「赤城…!」
赤城「私達機動部隊は、この日の為に練成してきた訳ではありません。それでも、本来の彼女達が望んだ姿でな
い以上、これを全力を賭して撃滅します。みなさん、用意はいい?」
瑞鳳「勿論です!」
天龍「舐め腐ったマネしやがって…!マジで許せねぇな!」
龍田「前の分も踏まえてお仕置きね~」
赤城「一航戦の誇りに賭けて、行きます!翔鶴さん、瑞鳳さん、第一次攻撃隊、発艦してください!」バッ
-鎮守府-
提督「後輩だな……どこまで、彼女たちを苦しめる気だ。これ以上の侮辱はない……ッ!」バンッ
-近海-
飛龍「チッ」
瑞鳳「…制空権、確保!」
翔鶴「飛龍さんは私達で抑えます!」
赤城「神通さん、今です!」
神通「第二水雷戦隊、砲雷撃戦…開始します!突撃します、私に続いて下さい!」バッ
阿賀野「飛龍さん…なんで」
利根「神通達の突撃に合わせて吾輩達は側面を叩く!もし、先の金剛等と同じじゃとするなら、今一度目覚めて
もらわねばな!」
夕張「もし……もしも、完全に手遅れの状態だったら…?」
利根「…その時は、安らかに眠ってもらうのみじゃ。では、参ろうか!」
響「どこまで卑劣な連中なんだ。どこまで、私達を侮辱するんだ」
電「許せないのです……絶対に、許せないのです!」
能代「許せない?そうね、私達も許せない。軽巡能代、出撃します」
阿賀野「の、能代……?なんで、能代ッ!」
能代「大丈夫。阿賀野姉ぇもきっちり沈めてあげるから」
神通「皆さん、今はただ前を向いて下さい!」
夕立「負けないんだから!」
時雨「卑劣な手を使ってくるね…」グッ
-鎮守府-
後輩「以前に来たときよりも随分と様変わりしてるなぁ」
提督「あぁ、そうだろうな。屑野郎…」
後輩「センパァイ、久しぶりですね。って言っても、ついこの間会ったばかりですが…それはそうと、屑野郎と
はまた随分と言葉が過ぎませんか?」
提督「俺の知ってる後輩に取って代わったか、本人自身の人格をも変貌させたか…どっちだっていいさ。お前が
屑ってことに変わりがないのは一緒だろ?」
後輩「まさか僕にサシで勝負して勝てるとでも?」
提督「どうせお前のことだ…前回の腹癒せついでに今度こそ俺を巻き込んで殺そうってハラだったんだろ?」チャキッ
後輩「あっはっは、解ってるじゃないですかぁ。その澄ました顔が本当に気に入らないなぁ」ググッ
提督「狡猾、卑劣、下衆な真似…今のお前にとっての三種の神器って訳だ。仁義礼智信……忘れたってならもう
一度その身に刻み込んでやるよ。いろはを教えた者として、きっちりけじめは付けてやる」
後輩「やれるもんならやってみろよ!」ビュッ
提督「なっ……!?」サッ
ボゴォォン
提督「お前、その腕…」
後輩「イヒヒヒヒヒ…コロス、お前は、絶対殺すッ!!」グッ
提督「深海棲艦に魂まで売り払ったか…」スラッ
後輩「そんなナマクラの刀一本で僕に挑むんですか?」
提督「ナマクラ?ははは、目利きは素人以下だな。俺にとっては虎徹や之定、菊一文字に勝るとも劣らない名刀だ」
後輩「そぉですかぁ…じゃあ、その愛刀諸共、首も一緒にへし折って上げますよ!」ビュッ
提督「ふっ!」ビュッ
ギィィン ガランガラン
後輩「ぐっ…し、将校剣!?」グラッ
提督「達人じゃないんで間合いの計り方が結構雑でな。だが、一歩半…恐らくこれがベストだ」チャキッ
後輩「平突きの、構え…くそっ」ヨロッ…
提督「ガキの頃は新撰組に良く憧れたもんで、それが影響して剣道も習った。中でも新撰組副長土方歳三が考案
した、この平突きには思い入れが一入だ。だから決して、この間合いから外しはしないッ!」ビュッ
ドシュッ
後輩「がはっ」グラッ
提督「出来ればこのままトドメも刺してやりたいが…お前には聞きたい事が山ほどある。だから…」ビュッ
ドッ
後輩「あがっ……!」ドサッ
提督「…お前を大本営へ連れて行く」キンッ
-近海・夜戦-
金剛「前に出すぎてはダメデース!各員、間合い大切にするネー!」
叢雲「待て…!」
天龍「叢雲…わりぃな」ドン ドン
ボボボン
叢雲「ぐぅ…!」 大破
球磨「全部、コロス…」
龍田「貴女にそんな言葉、似合わないわ。だから、お休みなさい」ドン ドン
ボボボン
球磨「うぅ…!」 大破
赤城「出来る限り、出来る限りでいいです…だから、皆さんお願いします!」
翔鶴「私達がそうだったんです。きっと、彼女達だって…!」ビュン ビュン
飛龍「その程度…!」ビュン ビュン
能代「死ね…ッ!」ドン ドン
サッ ボボボン
阿賀野「能代…!私がわからないの!?」
本日はここまで
本日も宜しくお願いします
能代「知ってるわ。殺す相手よ!」ドン ドン
ササッ
阿賀野「くっ…」
霧島「……袂を分かった好です。私だって殺したくはない。それでも来ると言うのなら……」パンッ
能代「殺す…ッ!」
霧島「お仕置きですね!」
阿賀野「き、霧島さん?」
霧島「彼女達はきっと私達より上位の方法で洗脳を受けているはずです。瞳の色の淀み、言動、感情の起伏の無
さ…司令は仰ってました。洗脳に近いものだと。それに加え、私達の深層心理の何かに働きを促してこういった
状態に陥れるのだと…止める手立ては二つ。一つは息の根を止めること。もう一つが、活動を著しく制限させ、
痛みによって正気を取り戻させること。可能ならば、後者でしょう。阿賀野は他の子の援護へ向かって。能代は、
私が救って見せます!」
阿賀野「霧島さん…ありがとう」バッ
能代「きり、しま……!」
霧島「久しぶりね、能代。けど、少し中将司令の掲げていた美徳に反してるんじゃないかしら?破った者は厳罰
が基本。元鋼鉄の艦隊第一艦隊の一翼を担っていた者として、貴女に再度教育を施します。覚悟はいいわね?」
能代「殺してやる…!」バッ
霧島「貴女が姉思いのいい子だったのは知ってるわ。まだ、戻れるはず…きっと!接近戦は余り得意じゃないけ
れど…やってやるわ!」バッ
-鎮守府-
後輩「う……ぐぁ……」
提督「目を覚ましたか。タフな奴だな。それも、何かしら原因があるのか」
後輩「提督ゥッ……貴様ァァァッ!!」
提督「前回は金剛たち、そして今回は飛龍たち…どこまでも外道に落ちたな。言っておくが、艦娘は道具じゃな
いし、お前にとって都合のいい人形でもない。一つの個であり、自我を持つ、俺たちと何も変わらない一人の子
であるという認識を持つべきだ」
後輩「ダマレッ!詭弁やおべんちゃらはもう聞き飽きてるんだ…僕達と何も変わらない一人の子?ハハッ、笑わ
せるな!現に今もこうして同じ穴の狢同士、争い、殺し合ってるじゃないか!」
提督「悪いがうちの艦娘たちは誰一人としてお前が強引に従えて来た艦娘たちを殺そう等と言う気構えで戦場に
立ってはいない」
後輩「ククク…どうせ、すぐに、化けの皮が剥がれるさ……何をどう取り繕おうが、艦娘は人類を脅かすほどの
戦闘兵器…深海棲艦が勝とうが艦娘が勝とうが、人類の行き着く先は同じさ!」
提督「それと貴様が深海棲艦側に寝返った理由は違うだろ。お前の言うその理屈じゃ、別に海軍側に従事してい
たって問題はなかったはずだ」
後輩「問題がない?アハハハハ!問題大有りですよ、センパイ…元帥率いる一部の上層部は幻想紛いの絵空事を
口々にほざくだけで行動には絶対移さない。その癖、自分の周りには強固な艦娘を配備して自分の生命線維持に
は必死になる。実際動くのは佐官将校の僕達…北方海域にはセンパイ、進軍したことありますか」
提督「ああ、つい最近だが、モーレイ海近海まではな」
後輩「ふふっ、あぁ…あの事件ですか…センパイが新型を二隻も沈めてくれたお陰で僕の面子は丸つぶれになっ
たんですよ」
提督「貴様の面子など知ったことか。こっちだって大打撃だ。それがなんだっていうんだ…」
後輩「モーレイ海を突き進んで更に奥地へ行くとあの新型を研究してる泊地があるんですよ…」
提督「何……」
イムヤ「不審な影、鎮守府の方に来てたわよね」
暁「うん、確かに見たわ」
イムヤ「ゴーヤとまるゆ、置いてきたのは失敗だったかしら…」
暁「艦隊って規模じゃなかったわ。見えた影は一つ…」
イムヤ「でも、これ以上いくともう鎮守府の中……ぁっ!」
??「あら、バレちゃった?」
暁「だ、誰よあんた!」
??「ふふっ、威勢のいい駆逐艦ね。その容姿は……特III型駆逐艦一番艦の暁かしら」
暁「……!?な、なんで私の事知ってるのよ!」
??「そっちのポニーテールの子は……海大VI型一番艦潜水艦の伊168……通称はイムヤ、かしら?」
イムヤ「」(この人、少なくとも海軍を知ってる…)
??「見たところ、錬度はまぁまぁ、だけど…まだまだって感じね。それにしても、困った事になったわねぇ」
イムヤ「え…?」
??「開戦を確認した上で更に大きく迂回までしてきたのに…あなた達見つけちゃうんだもの」
暁「あ、あんた何なのよ!」
??「しー…レディが大声上げて捲くし立てるなんて、品が欠けてるわよ?とはいえ、見つかったんじゃ仕方な
いか……」パチンッ
駆逐EL「…………」ニヤッ
暁「…ッ!深海棲艦…!な、なんで、ここに…!」
??「あなた達程度の錬度ならこのエリート一隻で十分かしらね」
イムヤ「あなたは……!」
??「詮索なんて野暮なことしちゃダメよ?元帥お抱えの暗部でもないんだから、専門外の真似事に熱を入れす
ぎると、こういう目に遭うって教わらなかった?教わらないか…ふふっ、それじゃいい夢みてね?」
イムヤ「ま、待……!」
駆逐EL「」スッ
イムヤ「くっ……!」
暁「イムヤ、やるしかないわね」
イムヤ「何なのよ、あの女…!」
提督「やっぱりお前はここで殺すわけにはいかないな」
後輩「僕を殺す?今までに人じゃなくても動物でも殺したことあるんですか?手を汚したこともない奴がよく…」
??「戯言はそこまでにしようか」
後輩「お、お前は…!」
提督「なっ……だ、誰だ!?か、仮面…?」
仮面「別に誰だっていいよ。こっちが用あるのはそっちの馬鹿だ」
後輩「ひ……」
仮面「要らない事をペラペラと…」スラッ…
提督「……!」(あれは……)
仮面「棲艦細胞の投与一番の駄作は貴様だな。やはり男では無理なのかもしれない。最も、細胞に頼らずとも功
を上げている者はいる。まさに貴様は他の者にとっての反面教師にしかならなかったという事だ」
提督「こいつをどうするつもりだ!」
仮面「ふむ、そうだな。この場合は安直だが、口封じの為に殺す…と言った所か。安心しろ…今回の私の任務は
この馬鹿を葬る事のみ。お前はまだ、今しばらくは生かしておいてやる」
提督「なんだと……?」
仮面「どの世界でも同じ事……仁義礼智信を欠く者に先はない。そしてこの世界では弱肉強食がその全て。弱者
や敗者に語る口はない。語らせもしない。待つのは、死のみだ」
提督「その考え方は間違ってる!」
仮面「ほざくな、矮小な若造が…弱くても生きていればそれでいい。そんな幻想を今も眺め、憧れ、溺れている
のはこの海原を垣間見たことのない、陸に生きる惰弱な人類のみだ。私はそんな人類にほとほと嫌気が差した」
提督「お前の世界観の持論なんてどうでもいい。そいつは深海棲艦と通じていた。その最たる証拠そのものだか
ら殺させるわけにはいかないんだよ」
仮面「あくまで私の邪魔立てをするか」チャキッ
提督「人様の鎮守府に土足で上がり込んできてふざけたこと言ってる奴に邪魔立てもクソもねぇ!」スッ
駆逐EL「サキニハ、イカセナイ」
暁「偉そうに…!」
イムヤ「退かないなら、退かせるまでよ!」
駆逐EL「ハハハ…オマエタチガ、ワタシヲヒカセル?ムリダネ」ドン ドン
サッ ボボボン
暁「やってみないと…!」バッ
イムヤ「解らないってね!」バッ
駆逐EL「ハンテン…!?キサマラ、クチサキダケタッシャデ、ニゲルノカッ!」
イムヤ「入り口がそこだけなワケないでしょ?バーカ!」
暁「無駄な消耗してる暇なんてないのよ、マヌケー!」
駆逐EL「コムスメドモガァ…!!」ザッ
イムヤ「ふふっ、きたきた…暁、行くわよ!」
暁「うん…!」
ザバァァ……
駆逐EL「キエタ…ワンヲウカイシタノカ?……コザカシイッ!」
-近海-
飛龍「目障りな…!」
神通「飛龍さん…演習でお相手したときは、あなたはもっと強かった。私なんかが敵うはずもなかった」
飛龍「何故沈まない!」バッ ヒュン ヒュン
神通「それは、あなたが本来志すべきものを掲げて戦っていないからです!」サッ
筑摩「夜間の飛行など愚の骨頂です。思うとおりに艦載機が飛ばないのは百も承知でしょう」サッ
島風「もーっ!諦めてよね!」ドン ドン
飛龍「くっ…!」ボボボン 大破
鈴谷「作戦勝ちだね」
熊野「このような真似を平然と行うなんて…許せませんわね。他の方々は大丈夫かしら」
-鎮守府-
駆逐EL「オノレ、ドコニ…」
バシュン
駆逐EL「…ッ!?」
ボゴォォン
駆逐EL「グッ、ナンダ…!」 小破
ゴーヤ「ひゃー、直撃じゃなかった!?」
まるゆ「あ、あれ…私の撃った魚雷、どこ?」キョロキョロ
駆逐EL「キ、サ、マ、ラァ…ッ!!」グッ
暁「ふふん、些細な事でカッカしてると、立派なレディにはなれないのよ」チャキッ
イムヤ「おバカな上に挑発に乗りやすいタイプって、損でしかないわね!」チャキッ
駆逐EL「ナッ……!」
暁「いくよっ!」バシュン
イムヤ「魚雷一番から四番まで装填。さぁ、戦果を上げてらっしゃい!」バシュン
ボゴゴゴォォン
駆逐EL「…………」 轟沈
暁「やったー!」
イムヤ「えっへっへー、海のスナイパーにかかればざっとこんなもんよね」
暁「イムヤ、司令官が心配!」
イムヤ「あっ、そうだった!あの女ね!」
-近海-
霧島「はっ!」ブンッ
ドゴォッ
能代「うぐっ…!」 中破
霧島「どう?まだやるの!?」
能代「……はぁ、はぁ……死ねぇぇぇぇぇぇッ!!」ドン ドン
霧島「!?」
ボボボボン
能代「ふふ、ははは……あはははっ!」
ブワァ……
能代「……っ!?」
霧島「魂の篭らない攻撃なんて、効かないわ!」
能代「なん、で…ッ!」
霧島「目覚めの悪い子ね。最も、私も随分目覚めは悪かったけど…自分を棚に上げる気はないけど、それでも今
の貴女は随分と酷いわよ。いい加減に、しなさいっ!」ドォン ドォン
ボボボボン
能代「きゃあっ!」 大破
-作戦室-
提督「ぐっ…」
仮面「口ばかり威勢のいい男はこれだから…」チャキッ
提督「その、剣、捌きは……」
仮面「あぁ、別に何処かの流派とかそういうのはないわ。あえて言うなら、我流よ」
提督「くそ…!」
仮面「さて、そろそろ……」
バンッ
仮面「…っ!」
イムヤ「司令官っ」
暁「司令官から離れなさいよ!」
仮面「」(馬鹿な。駆逐型とは言ってもエリートを送り込んだのよ?それをこの短時間で…まさか、私が真贋を
見誤ったって事?駆逐型エリートタイプよりも、この子達の方が戦術面から何から全てが上回っていた…)
提督「お前ら…」バッ ブンッ
仮面「ちっ…!」サッ
提督「これだけの力を有して、何故人類に敵対する!」
仮面「流石に艦娘も相手にするのは面倒か。やっぱり時間は掛けるものじゃない…賭すものね。今回はやっぱり
貴方の勝ちみたい。残念だけど…」スッ チンッ
後輩「ぼ、僕を見捨てるのか…!」
仮面「ええ、貴方から漏れる情報は痛いけど、それを知った所で大本営に講じる手段なんてほぼほぼないもの。
それに、どうせ近い未来……ふふ、この海原はその全てが深海棲艦の手中に収まる。指を咥えて貴方達はそれを
見ているしかなくなる。その時に選択肢があるのなら、慎重に選ぶことね。行く末の未来なんだから…」
ズズズズ……
提督「な、なんだ、この音は…」
仮面「貴方のパートナーは誰だったかしら?因みに、これが私のパートナー」
イムヤ「な、なに…?」
暁「なに、これ…怖い…」
仮面「リコリス、挨拶なさい」
リコリス「はじめマシて…飛行場姫のリコリスです」
提督「まさか……こいつが、姫と呼ばれる深海棲艦……」
リコリス「安心シナさい。今回は、アイサツに顔を出したダケ。けど、次に会う時ハ…容赦はシナい。クルとい
うのなら、ソノ全てを沈めてアゲル。何度デモ…水底ニ…沈ンデ…逝キナサイ…私ノ手でネ」
仮面「いくわよ、リコリス。あの男はもう用済みになった。直にこちらの動きも一部はバレるわ」
リコリス「ええ……解ッタワ」
ズズズズ……
仮面「じゃあね、提督大佐?」
提督「……ッ!お前は……!」
フッ……
イムヤ「司令官…怪我…!」
提督「くそっ」
暁「この、男が…今回の元凶なの!?」
後輩「ちくしょう…!あの、アバズレがぁ!!」
提督「後輩…お前らの悪行、洗い浚い喋ってもらうからな…!」ヨロッ…
イムヤ「む、無理しちゃダメだってば!」
提督「ああ…それよりも、外は…」
暁「大丈夫。皆、負けるはずないもの!」
提督「そう、か…すまんが、立ってるのがやっとだ。こいつの見張り番、一緒に頼むわ」
暁「うん、任せて!」
イムヤ「リョーカイ!」
-あくる日-
提督「洗脳を受けていた子らはやっぱり金剛たちが洗脳を施されたときよりも強烈な施しを受けていたみたいだ」
霧島「そう、ですか…」
阿賀野「能代…」
提督「前向きに捉えろ。能代は生きていた。いつか、また一緒に肩を並べられるときが来る。その時まで、お前
は今よりももっと立派になって能代を見返してやれ。姉さんなんだろ?威厳保て、威厳」
阿賀野「も、もう!それじゃ私が威厳ないみたいじゃないですかぁ!」
霧島「ふふっ、でも…そうですね。司令の言われるとおりかもしれません。幸い、他の鎮守府への攻撃はしてな
かったようですし、厳罰が下ると言う事もなさそうで、そういう意味でも一安心かもしれません」
提督「もう直二週間経って、榛名たちも戻る。お前たちも直に切り替えろとは言わないが、なるべく早い段階で
気持ちは切り替えて今後に備えてくれ」
霧島「お任せを、司令」
阿賀野「はい!」
提督「」(問題が山積みだな…姫と呼ばれたあの深海棲艦。飛行場姫リコリスとか呼ばれてたか。レ級や無線で
会話をした装甲空母鬼と呼ばれる存在。あんな存在が今後も出てくるとなったら、一鎮守府だけで対抗など到底
不可能だ)
阿賀野「提督?」
提督「ん?あぁ、すまない。報告は以上だ。戻っていいぞ」
阿賀野「はい!」
霧島「それじゃ、失礼しますね、司令」
ガチャ パタン
提督「……もっと気になるのは、あの仮面の女か。どこか、見覚えがあったんだが…」
コンコン…
提督「ん…入ってきていいぞ」
ガチャ…
ゴーヤ「失礼するでち」ポタポタ
提督「おう、どうした」
ゴーヤ「今日はゴーヤが秘書艦代理です!」ポタポタ
提督「そうか。まぁそれはいいんだがな、ゴーヤ」
ゴーヤ「なんでちか?」ポタポタ
提督「水気を切ってから入って来い!」
ゴーヤ「ほああああ、失策でち!」
提督「お前、まさか廊下も……」
キャアッ!イッタ…チョット、ナンデコンナミズビタシナノ!? HEY!ヒエイノパンツマルミエネー
提督「はぁ~……」
ゴーヤ「あ、あははは…」アセ
提督「でち公、俺が言いたい事は解ってるな…」
ゴーヤ「えっとぉ…う、海の中から、こんにちはー…?」アセ
提督「」ピキッ
ゴーヤ「じ、冗談でち!す、直に雑巾で拭いて体も拭いてくるでちぃ!!」ドタドタ ガチャ バタン!
キャッ!ゴ、ゴーヤチャン、ズブヌレジャナイノ! ス、スグニフクデチー!! ドタドタドタドタッ
提督「ったく、喧しい奴だ」スクッ
提督「えーっと、し、し…深海……お、あった。えー、何々……」テクテク
深海棲艦とは?
存在が認知されたのはここ数年のことで、誕生の瞬間やどこから来たのか等、その存在の殆どが未知である。
一説には悪霊や怨霊の類ではないかと言われているが、それならば実在する砲弾などが当たる原理と食い違ってしまう。
名の通り、深海棲艦は深海より遣われた使者ではないかとも言われているが、少しも友好的な振る舞いを見たことはない。
もう一つの解釈として、船乗りの間では伝説として言い伝えられている船に宿る妖精が実体化したのでは、ともある。
クラバウターマンと呼ばれるその妖精が宿る船は決して沈むことがなかったと言われ、船でそのクラバウターマンを
見かけると、その船に災い(この場合、大抵が船の沈没を意味していた)があるとされていた。
もしも、深海棲艦がこのクラバウターマンに似る存在だとするなら、何故実体化してまで人類を襲うのか。
また、船を守るはずの存在である妖精が何故、その行いとは真逆の行動に出ているのか、謎は深まるばかりだ。
提督「はぁ…まぁ、実際に深海棲艦を見た事もない連中じゃ憶測でしかものは語れないのも道理か……ん?これは……」
今から遥か昔、1900年代の話。
深海棲艦と今尚戦っている艦娘達と同じ名を冠した海軍の艦が存在していた事は皆さんはご存知だろうか。
今も学校の歴史で習う事も多いであろう戦争に関する記述、その中に登場する戦艦や重巡洋艦、軽巡洋艦、駆逐艦と
様々な艦が戦時中も活躍していたとされている。
それらの艦には立派な名前が付けられており、どれも凛々しい名を博していたとされている。
無事に航行を終えて各々の鎮守府へ帰還した艦もあったようだが、その大半は海洋作戦の任務遂行中に轟沈し、今も
まだ深い暗闇が支配する深海にその身を下ろして静かに眠っているという。
提督「待てよ…ここ、最近で…記事になるような大きな深海棲艦との戦いは…」パタン…
提督「……ない。じゃあ俺はなんで以前、神通にあんな話をしたんだ?神通も当たり前のように答えてた…」ペラ…
提督「深海棲艦、艦娘、そしてこの手記……」ガタッ
提督「……せん、きゅうひゃく……艦名図鑑、あった……!川内型二番艦軽巡洋艦神通…艦名は岐阜県・富山県
を流れる神通川に因んで命名された。全く、同じ…艦歴、コロンバンガラ島沖海戦…!1943年って…なんで、俺
はこの史実を知ってたんだ。いや、実際にコロンバンガラ島での戦闘内容を知ってたわけじゃない。どういうこ
とだこりゃ、訳がわからん…深海棲艦と艦娘は何かしらで繋がりがあるって事なのか…」
書き溜め分消化したので本日はここまで
幾つかオリジナルの設定が出てきてますが、後付で済みませんが再度ご了承下さい
皆様こんばんは
本日も宜しくお願いします
-大本営-
北上「ちょ、何今の動き、榛名っちヤバくない…?」
榛名「はぁ、はぁ…」
川内「軽巡の私でも驚く身のこなしだね」
大和「残り後、二日でしたね。正直、私とビスマルクの二人を相手にここまでできるとは思いませんでした」
ビスマルク「Gut. 初期に比べればたいしたものよ。成長著しいとはこの事ね?」
大和「うふふ、そうですね」
ビスマルク「他の四名も、随分と成長したわ」
大和「那智達を相手に善戦してたものね」
大淀「以上が今回の榛名さん達の詳細なデータになります」
元帥「……率直に見て、大淀、君はどう思うかね」
大淀「どう、とは?」
元帥「この数値だ。大和やビスマルクを強化した時には見れなかった数値だ」
大淀「……私見になりますが、それでも構いませんか?」
元帥「うむ」
大淀「元帥は感情の起伏による状態の変化、と言うものをご存知でしょうか」
元帥「どういう意味かね?」
大淀「人は感情を昂ぶらせたり、落ち込ませたりする事で潜在する能力が大幅に上下する、というものです。
今回であれば、彼女達七名は常に戦意高揚の状態で演習を行っていたという事ですね」
元帥「それだけでこうも変わるものか?」
大淀「ある一つの思いを常に秘めて、それを成さんと邁進する姿勢、つまりそれは成長しようと努力する姿勢に
も繋がります。結果として、近代化改修の仕様も自ら受け入れ理解し、即座に自らの糧として克服…流れ込んで
暴れようとする力を、大和さんやビスマルクさんは精神力や力でねじ伏せてきましたが、彼女達は全員、一度は
受け入れてそれを中和させ、確実に自らのものにしているように感じました」
元帥「なんと…」
大淀「検証を重ねる毎に、私は確信に近いものを得られたと考えてます。ここまで彼女達の意思を固定化させ、
一つの権化にも等しい存在へと昇華させた思いとはなんなのか、非常に興味を引きますね」
元帥「はっはっは…なるほどなぁ。いや、大淀、君の考えは実に的を射ている。たった一つの信じるもの、か」
大淀「ですが不確定要素であるのも事実です。それを信じきるだけの信念とは如何程なのか…」
元帥「ふふっ、彼女達にはあるんだよ、信じきれるだけの信念がね。揺ぎ無いとはまさにこの事か。錬度を超え
た更なる高みがあるとは…」
大淀「彼女達こそ、まさに新星になりえる存在かもしれませんね」
コンコン…
元帥「む?」
祥鳳「失礼します、元帥」
元帥「どうした、祥鳳」
祥鳳「再び、提督鎮守府が襲撃を受けた件で、後輩提督の捕縛に成功したと…その報を受けてこちらで引き取り、
今聴取室への連衡が完了して大将提督二名で聴取を遂行中という事です」
元帥「捕らえたのか!」
祥鳳「はい、ですが提督からは余り宜しくない報告も共に頂いてます」
元帥「それは……」
バンッ
大淀「なっ、摩耶さん!?場を弁えて下さい!」
摩耶「っせー!そんな場合じゃねぇんだよ!元帥、ヤベーって、後輩提督の野郎を大将連中が聴取してたんだがよ、
中将提督がいきなり聴取室に乗り込んできて野郎の発言にブチ切れたのか、後輩提督をブッ刺しやがった!」
元帥「なっ…!」
祥鳳「そ、そんな!」
大淀「なんて事を…!」
元帥「大淀、聴取に加わっていた者達を今すぐ会議室へ召集しろ。なんて失態を…!」
-少し前-
後輩「いいから早く僕を殺せェ!」
大将1「何を戯けた事を…貴様の行いにどれだけ周りの者が振り回されたと思っている!言っておくが、貴様の体
が変容したという話は既に聞いている。現時点じゃ殺しもしないが、拘束も絶対に解かんぞ」
大将2「二度に渡る提督大佐の鎮守府に対する奇襲行為。中将鎮守府の襲撃に貴様の鎮守府の壊滅行為。反逆と言
うには些か業が積り過ぎだな」
後輩「平和ボケしてる奴を見ると虫唾が走るんですよぉ…たかが僕一人の尋問に大将が雁首揃えて、はははっ…
ホント暇なんですね、横須賀、舞鶴、佐世保といった鎮守府は!」
大将1「口を慎め。本来であれば貴様の聴取は提督鎮守府の提督大佐自らが執り行う予定だったんだ。だが、貴様
の奇襲と艦娘達の事後処理でそれ所ではない故、改めて私達が遣わされたのだ」
後輩「だったら提督大佐殿を連れてきなよ…来た瞬間、今度こそ殺してやるからさぁ!!」
ガチャ…
大将2「ん……?お、おい。今は我々以外の…」
??「耳障りな声だな」
後輩「ひ……!」
??「もう喋るな、下衆の畜生以下の生物がッ!!」バッ
大将1「お、おい!やめ……」
ドシュッ
後輩「ぁ、が……っ!」
ガシッ
??「本望でしょ?殺せ殺せって喚いてたんだから…願ったり叶ったりでしょう?」ボソッ…
後輩「お…まえ……ッ!」ググッ
??「触れるな、汚らわしい!海軍に対する仁義を捨てた貴様に相応しい末路を与えてやったまでだ!」バッ
大将1「中将、貴様ッ!」
大将2「自分が何をしたか解ってるのか!?」
中将「解っています。ですが間違った事をしたとは微塵も思っておりません!」
大将1「き、貴様…新鋭中将か、何故こんな真似を……!」
新鋭「こういう男が許せないんですよ!仁義礼智信を重んじない、海軍に仇名すような、こういうヤツが!」
後輩「げほ……ッ!」(クソ、女ぁ……ッ!)
新鋭「」ニヤッ…
-休憩室-
バタバタ…
榛名「何だか騒々しい感じですね」
羽黒「何か、あったんでしょうか」
飛鷹「んまぁ、私達が気にしても仕方ないんじゃない?」
龍驤「せやせや、うちらは今は強ぅなる事考えて、提督驚かしたらなあかんねん。あと二日間やろ?」
川内「そうだね。まだ完璧って訳じゃないけど、新しい艤装の扱いも慣れてきたし…」
衣笠「あともう一押しってところかなぁ?」
北上「いや~、ただでさえスーパーな私が更にスーパーになっちゃうな~」
飛鷹「スーパーの上って何よ」
川内「え、そりゃウルトラとか?」
衣笠「ウルトラ北上さん?」
羽黒「某特撮のタイトルみたい、ですね…」
衣笠「帰ってきた北上マン」
龍驤「ぶっ」
榛名「」プルプル
羽黒「」プルプル
北上「でっかくなっちゃうよ~」バンザイ
衣笠「帰ってくれ北上マン」
北上「どぉいう事さ、それぇ!」
榛名「あははは!」
羽黒「くす……うふふ」プルプル
飛鷹「アホくさ…」
川内「あっはっは」
北上「アホ言うな!」
榛名「ふふっ、それじゃ今日は着替えて戻りましょうか」
衣笠「休むのも訓練のうちって奴よね」
フェーズ一区切りで本日はここまでです
皆様こんばんは
本日も宜しくお願いします
~優悠閑適【ゆうゆうかんてき】~
-病室-
サァァァ……バサバサ…
長門「…………」
阿武隈「……長門さん」
看護士「阿武隈さん!?」
阿武隈「ぁ……」
看護士「もう、また勝手に病室抜けて…」
阿武隈「ご、ごめんなさい」
看護士「依然として気分は優れない?」
阿武隈「…気持ちの、整理が…つかないだけ、かも……そういえば、この間も、新しく複数の艦娘が隔離病棟へ
運ばれたって…!」
看護士「もう、何処で仕入れるのかしらね、そういう情報…」
阿武隈「提督は……提督鎮守府の皆は大丈夫だったの!?」
看護士「私は病院の一看護士です。軍の情報なんて解りませんよ」
阿武隈「あ…そ、そうですよね。ごめんなさい」
看護士「さ、少し離れてくださいね。長門さんの容態を……あっ」
長門「……手間を、かけたようだ」
阿武隈「……っ!長門さん!!」
長門「阿武隈か。どうした、覇気のない顔だ。そんな顔でどうする」
阿武隈「し、心配したんですよ!」
長門「ふっ、すまなかったな」ムクッ
看護士「ああっ、まだそんな直に起きたら危ないですよ!今、先生呼んで来ますから!」
-鎮守府-
提督「長門の目が覚めたそうだ」
陸奥「えっ、ホント!?」
提督「ああ。でな、俺なりに少し考え見たんだが、これは一つの提案だ」
陸奥「?」
提督「医師からの話じゃ、この先一般的な治療を施し続けたとしても、お前の両腕が動くようになる確率っての
は著しく低いらしい」
陸奥「…………」
提督「一部の神経やなんかがやられてるんじゃないかって話でな。でだ…望みの綱として、お前の両手を動かせ
るようにできるかもしれない策が一つだけある」
陸奥「え…?」
提督「前例もないし、成功すればお前が第一号の前例者となる。未知の領域の話だ」
陸奥「…構わないわ。このまま足手纏いで居るなんてやだもの」
提督「はぁ、お前だったらそういうだろうなって思ったよ」ポリポリ
陸奥「な、何よ…その諦めたような顔…」
提督「聞くだけ野暮だったなって思ったの」ポンポン
陸奥「ちょ、ちょっと!頭ぁ!///」
提督「いや、ほら…お前、腕動くようになったら防ぐだろ」
陸奥「あ、当たり前じゃないのよ!」
提督「なので、今の内にだな…」ペシペシ
陸奥「……頭突きするわよ」ボソッ
提督「え?」
陸奥「頭突きするわよ!」ブンッ
提督「うおっ、あぶねぇ!」サッ
陸奥「相変わらず身のこなしだけはいいわね…」
提督「げ、元気そうで何より…」ニガワライ
陸奥「腕動くようになったら覚えてなさいよ…」ジトメ
提督「し、死なない程度でリベンジは頼むわ…」
陸奥「ふんっ///」プイッ
提督「ま、それじゃ、明日にでも長門、陸奥、阿武隈、木曾、大鳳にも大本営の方へ移動してもらう」
陸奥「え?」
提督「ん?なんだ?」
陸奥「いや、話の流れから、私だけなのかなって…」
提督「あぁ…長門は開口一番、私はもっと強くなるぞ、提督。ついでに阿武隈の性根も叩き直すって意気込んで
てな…病み上がりの奴が言う台詞じゃねぇなと…」
陸奥「ふふ、姉さんったら…でも、なんで阿武隈なの?」
提督「レ級の恐怖が体に染み付いたままなんだろう。正直、解らないわけじゃないが…長門なりの荒療法が功を
奏せばって所だな。こっちも一種の賭けだ」
陸奥「それで、木曾と大鳳は?」
提督「強くなりたい病。俺より強い奴に会いに行く病。我こそ、最強の艦娘也病。まぁ色々あるだろうけどそん
な感じの突発性疾患だな」
陸奥「疾患って…」アセ
提督「先に伝えておくが、お前たちに施すのは近代化改修と呼ばれる一種の強化法だ」
陸奥「近代化改修?」
提督「元々は元帥殿が提唱していた艦娘の底力を上げる為に練られた強化実験の名称でな。不確定要素が多過ぎ
て公にするには今一つの根拠と確信に欠けるとして非公式水面下で独自に研究が進められていた内容だ」
陸奥「それを、する事で…私の両腕が動くようになるか以ってことなの?」
提督「元帥殿からの報告によれば、ただ近代化改修を受ければいいと言うものでもないらしい。確固たる意思を
以って、近代化改修の有り方を理解し、柔軟に対処する事が必要、とまぁ何言ってんだ?って話なんだがな…」
陸奥「いいわ、あのレ級とタイマン張れるくらいじゃないと、戦艦としての名折れよ。絶対、復活してみせる!」
提督「やれやれ、根は長門と同じ、やっぱあいつの妹分、長門型二番艦だな」
陸奥「ふふっ」ニコッ
-鎮守府・救護室-
木曾「っしゃあ!」
大鳳「言ってみるものね」
────────
────
──
提督「よし、後遺症もなし、問題はないな」
木曾「提督!」
提督「な、なんだよ」
木曾「俺さぁ、知ってんだよねぇ」
提督「何を」
木曾「提督の秘密?」
提督「んなものある訳ねぇだろ」
木曾「あれ、そうなの?」
提督「当たり前だ」
木曾「そっかぁ。いやぁ、じゃあこのDVDガセだったのかなー」チラッ
提督「DVD?」
木曾「おう!なんかこのDVDさ、提督の丸秘映像が映ってるってんで艦娘の間で今話題沸騰中なワケよ」
提督「はぁ?」
大鳳「なんの秘密なの?」
木曾「あー、なんでも榛名といちゃこらしてるヤツらしいぜ」
提督「ぶっ」
大鳳「い、いちゃこらって…///」
木曾「でもまぁ、提督がガセだってんだからきっとこれ夕張か北上が録画でもしておいたアニメかなんかだろ。
あ、そうだ!おい、大鳳、どうせ俺等病み上がりだしよ、このあとこのDVD見ようぜ!任務終わった奴等も後から
くるだろうしよ、皆で見れたほうがいいし、食堂で見るか!」
大鳳「え、えっ!?いや、だって、その…いちゃこらって……///」
木曾「え~?ガセだろ、ガセ。どうせアニメかなんかだって!」
提督「待ちたまえ、木曾」
木曾「あ?」
提督「そのDVDは没収だ」
木曾「え、なんでよ」
提督「なんでもだ」
木曾「いや、なんかすげぇ提督目がこえーんだけど…?」アセ
提督「寄越したまえ、木曾」ニコッ
木曾「やっぱこれ榛名といちゃこらした内容入ってんのか!?」
提督「じゃあかしいわ!さっさと寄越せ!!」
木曾「ぜってー渡さねぇ…!」
提督「提督命令に背くのか!?」
木曾「職権乱用だろうが!」
提督「ぐぬぬ…!」
木曾「強引に取ろうとしたらセクハラで憲兵に訴えるからな!」
提督「こ、この…!」ピキッ
大鳳「」(なんだろう、この駆け引き…提督に分が全くない…)
提督「いいからさっさと寄越せぇ!」
木曾「やだねー!あ、そうだ。じゃあ一つ条件出してやるよ」
提督「あぁ!?条件だと?」
木曾「俺と大鳳に近代化改修ってヤツ、やらしてくれんなら話聞かないこともねぇなー」
提督「ぶっ」
木曾「どうよ、提督」
提督「お、おま…なんで近代化改修のこと知ってんだよ!トップシークレット事項だぞ!!」
大鳳「い、以前に酔っ払った先輩提督から…私が聞きました」
提督「あの昏睡馬鹿提督、何喋ってんだよ…!」
木曾「で、どーすんだよ、提督。この条件呑んでDVD回収するか、振って艦娘連中にこのDVD見られんの、どっち選ぶ?」
提督「鬼畜生か何かかてめぇは!」
木曾「へっへっへぇ、悪い提案じゃあねぇだろ?むしろアリだな」
提督「極悪非道の盗賊の台詞だぞ、お前…」
木曾「なんだよ、まだ不安なのか?大丈夫だ。俺を信じろ」ニヤリ
提督「お前のにやけ面見て何を信じんだ、アホタレ!くそ、わかったよ…わかったからだからDVD寄越せ」
木曾「お、交渉成立だな?じゃ、この場で大本営に連絡してくれよ」
提督「はぁ!?」
木曾「だって渡した瞬間、やっぱなしって提督なら言いかねねぇだろ」
提督「」(エスパーかよ、くそが!)
大鳳「」(図星だったんだ…)
木曾「目が泳いでんじゃねぇか!やっぱりかよ!!」
──
────
────────
大鳳「まさか脅迫が成功するなんて…」
木曾「ま、あのDVD夕張から借りてたアニメなんだけどな」
大鳳「えっ」
木曾「へっへっへぇ、やっぱうちの提督は解る男だぜ。それじゃ、久々にてめぇの部屋にでも凱旋しますかぁ!」ニコニコ
大鳳「」(木曾、恐ろしい子…)
-執務室-
提督「ったく…木曾の野郎、こじつけ方が陰湿なんだよ…」
金剛「提督?」
提督「大体何がいちゃこらしてるDVDだ、ふざけやがって。ただのアニメじゃねぇか」
金剛「目を離さないでって言ったのにィー!提督ぅー、何してるデース!?」
提督「ふぁ!?な、なんだ金剛」
金剛「もー!私の話そんなにつまらないデスカー!?」
提督「す、すまんすまん」
金剛「それより、その真っ二つに割れてるDVDは何ー?」
提督「木曾に掴まされたガセネタだ」
金剛「What?」
提督「気にすんな。それよりさっき話した五名の件も踏まえて折り返す形で榛名たちが戻ると思うが、八月に入
ってまだお前たちに正式な休暇を与えてないと思ってな」
金剛「ここ最近は事件多かったから仕方ないネー」
提督「ま、そんな訳だからあいつらも戻ったばかりで疲れは溜まってるだろうし、少しタイミングとしちゃあれ
だが盆休みを企画した。夕方の全体会議のときに全員に正式に通達するからこの資料を人数分揃えておいてくれ」
金剛「OK!任せるネー!」
-会議室-
提督「よし…長門、陸奥、阿武隈に関する経過報告はさっき話をした通りだ。リハビリも兼ねてこの三名と木曾、
大鳳には大本営で調整を行ってもらうために合宿じゃないが暫くの間ここを空ける。そして各自に配った資料だが……」
赤城「全員にそれぞれ自分の名前が振り分けてありますが…」
夕張「あ、これ…」
提督「以前に夕張から提案を受けてな。それぞれの身体データと合わせて皆に最適な艤装の調整を行ってもらい
たい。それぞれ使い慣れた艤装ってのはあると思うが、それが最良なのかどうか、今一度自身で吟味した上で考
えを改めるかどうかしてもらいたい。が、明日からの数日間を使ってという訳じゃない。盆休みは盆休みでそれ
ぞれ有意義に使ってくれて構わん。だが配った資料にだけは目を通しておいてくれよ。休み明けに改めて全員の
意見を聞いた上で、資材と相談しつつ妖精さんに艤装の注文を促す。以上だ」
ワイワイ ガヤガヤ
提督「赤城、大鳳、翔鶴、瑞鳳、飛鷹、龍驤の六名に関しては俺の知識不足も相まってこれといった助言が出来
ない状態なんだが、その辺りのフォローってのを大鳳は明日から居ないから、赤城や翔鶴に任せていいか?」
赤城「はい、私は大丈夫ですよ。ただ、新しい子たちについては、ちょっと知識不足かもしれませんが…」
翔鶴「大鳳さんも居ませんから一概には言えませんが、私達の構成や艦載機の仕様等は説明できるかと…」
提督「それで構わん。瑞鳳も二人から話を聞いた上で、自分に最も適した形を見出して見てくれ」
瑞鳳「解りました!」
本日はここまで
遅い時間にこんばんは
本日も宜しくお願いします
-執務室-
提督「ふぅ…」
ジリリリリリ……
提督「っと…」
ガチャ…
提督「はい、こちら提督鎮守府。提督大佐……」
榛名『あっ、提督!』
提督「おぉ、榛名か。その声、元気そうだな」
榛名『はい!榛名は元気です!』
北上『いぇーい、提督ぅ~、み~てるぅ~?あ、見えないか』
提督「はは、今の声は北上だな?」
衣笠『残念、衣笠さんよ!提督、衣笠さん居なくて寂しくなかった?なかった?』
榛名『ちょ、ちょっと衣笠さん!』
衣笠『あら、妬いてる?妬いてる?ほらほらぁ♪』
榛名『も、もう!』
提督「やれやれ…騒がしい連中だな」
ヤーセーンーッ!!
提督「……今の声、川内だろ。何喚いてんだ?」アセ
榛名『あ、あはは…訓練はしましたけど、昼戦ばかりでしたから』
提督「そういや、羽黒は大丈夫だったか?」
榛名『はい、羽黒ちゃん。提督です』
羽黒『あっ、も、もしもし?』
提督「おう、無事乗り切ったな、羽黒。よく頑張った」
羽黒『は、はい!ありがとうございます!』
榛名『もう、羽黒ちゃん、そこでお辞儀しても意味ないよ』
羽黒『あっ、そ、そうでした///』
提督「ははは、ま、何はともあれ元気そうで何よりだ」
アッ、ナンヤネン!ハルナチャン、テートクニデンワシトルヤナイカイ!!ウチニモハナシサセェ!!
榛名『わっ、ちょ、っと……』
龍驤『うちやー!龍驤やでー!』
提督「はいはい、ったくお前はホント自然体だな」
龍驤『しぜんたい?なんやそれ、うちにはよーわからんて。あっ、せやせや!うちと飛鷹むっちゃつよなってんで!』
提督「ほぅ、そうか。じゃあ戦果は期待していいわけだな」
龍驤『とーぜんやん!なー、飛鷹?』
モウ、ソンナオオゴエデハシャガナイデヨ。ミットモナイワネ!
龍驤『なんやねん、さっきまで提督きっとビックリよね!とか言うて自分がめっちゃはしゃいどったやないか……』
ワーッ!!ウワーッ!!
龍驤『なっ、なな、なんやて、やめーや、あぶな……あっ』
提督「はぁ……何やってんだか」ポリポリ
北上『っとぉ、セーフセーフ…いやぁ、若いっていいね~、しびれるね~』
提督「往年の年寄りかお前は…」
北上『まっ、でっかいお土産七つがもう直届くからさ、提督も首洗って待ってなさいって』
提督「言葉の使い方おかしいだろ!?」
北上『あれ、そう?首絞めて待ってろ?あれ?』
提督「はぁ、もういい…榛名に代わってくれ…」
北上『はいは~い、愛しいあの子にチェ~ンジ』
提督「ばっ、おま……!」
榛名『も、もう北上さんったら…ご、ごめんなさい、提督』
提督「いや、まぁ…正直ホッとしてる。元帥殿から最初話を貰ったとき、お前らがやるって言ったとき、どっち
も気が気じゃなかったのは事実だよ」
榛名『しかも、私達と入れ違いで今度は長門さん達が…』
提督「あぁ……まぁ、正直賭けだ。長門や木曾、大鳳はきっとスキルアップが目的なんだろうが、心配なのはや
っぱり陸奥と阿武隈の二人だ。元帥殿からの伝で内容は聞いてるだろうが、陸奥の両手は未だに腕の部分から自
力で動かすことができない状態だ。阿武隈もレ級の恐怖が拭いきれず、未だにフラッシュバックを起こしている
って聞いてる。何とかしてやりたいとは思う反面、どっちも俺の領分を当に越えててな」
榛名『最後の望みと言う事なんですね?』
提督「そういうこと。実際、近代化改修を受けてみてどうだった?」
榛名『二週間で計五回実践しました。始めこそ順応するのに苦労はしましたが、新しい感覚とでも言うのか、湧
き上がってくるものは感じ取れました』
提督「そうか…その作用が陸奥の両手を再度復活させる切っ掛けになればと思う。取り敢えず、お前たちは今日
はそのまま寮の方へ戻ってもらって構わない。明日にでも一度執務室の方へ顔を出しに来てくれればいい」
榛名『はい!了解です!』
-数時間後・鎮守府-
提督「ふぁぁ……はぁ、げっ…もうこんな時間かよ。まぁ、ある意味秘書艦代行してくれた奴等先に帰して正解
だったか。ここまで晩くなるとは想定外だったなぁ。つってもまだフタフタマルマルちょい過ぎか。あぁ~……」ノビノビー
コツ、コツ、コツ、コツ…
提督「ぇ……?」
コツ、コツ、コツ、コツ…
提督「え、何…これ、何の音…」アセ
コツ、コツ、コツ、コツ…
提督「おいおいおいおい、マジかよ。え、出ちゃうの?ここってそういう系?」
ニャー
提督「にゃー?」ソローリ
ガチャ…
キリ「ニャーン」
提督「……なんでお前ここにいんだよ」
キリ「ニャ?」テテテテ…スルリ…
提督「あ、こら…はぁ、ったく…」
バタン
提督「金剛んところから抜け出してきたのか、お前」
キリ「ニャン」ゴロゴロ…
提督「あのな、ここはお前の憩いの場じゃねぇっての…ほら、もう出るんだから、行くぞ」
キリ「ニャー」ピョン トン トン スタッ
提督「だからなんで俺の頭の上なんだよ!」
キリ「ニャン」フンス
提督「ったく…」スッ
ガチャ…
提督「え?」
榛名「あっ」
提督「おまっ、こんな時間に何してんだ」
榛名「て、提督こそ…っていうか、どうしてキリちゃんを頭に乗っけてるんですか…」
提督「金剛んところから抜け出してきたんだとよ」
キリ「ニャン」ドヤァ
榛名「心なしかドヤ顔でアピールしてますね」
提督「で、真っ直ぐ寮の方へ戻れって言ったはずなんだが、お前は何してんだ?」
榛名「そ、その…一目、顔、みたいなって…でも、ちょっと遅いからいるかどうか、不安だったんですけど…」
提督「疲れてたんじゃないのか」
榛名「つ、疲れてますけど…」
提督「けど?」
榛名「……あなたに会いたかったんですっ!どうしても今日、会いたかったんです!」ガバッ
キリ「ニャッ」ビクッ ピョンッ
提督「っと…!なんだよ、ホームシックか?」ポンポン
榛名「そうかも、しれないですね。あなたの声を聞いて、顔を見たら、とても安心しました」
キリ「ニャー…」ムスッ
榛名「あっ、ごめんね、キリちゃん」
提督「んだよ、邪魔すんなよ」
キリ「シャー」ネコパンチ
ビシッ ビシッビシッ
提督「いてっ、いてぇって!」
榛名「ふふっ」
提督「んだよ、わかったよ。悪かったよ!」
キリ「ニャアー」ベシベシ グィー…
提督「なんだよ、もう。悪かったって…今度はなんだよ、こら…制服は噛むなって!」
キリ「ニャア!」タッタッタ…クルッ
提督「なんて野郎だ…」
榛名「なんかまだこっち見てますよ」
提督「あぁ?」
キリ「ニャア!」
提督「何なんだよ」
榛名「そっちに何かあるの?」
書き溜め分以上、本日はここまで
皆様こんばんは
本日も宜しくお願いします
提督「はぁ、もうなんだよ…結局外出てんじゃねぇか」
キリ「ニャア…」クイッ
榛名「あっ…」
提督「ん?」
榛名「提督、ほら!あれ!」
ヒュー……ドン ドン ドン……パパパパパッ
提督「おぉ、花火か」
榛名「わぁ、綺麗…」
キリ「ウニャーン…」ネソベリ
提督「夏の風物詩か…そういや、ここに来る前の夏は天龍や龍田、龍驤に筑摩、皆で花火したっけ」
榛名「今年はどうするんですか?皆でやるには、ちょっと大掛かりですよ?」
提督「そうだなぁ…つっても、もうお盆休み突入で各自でしたい事するだろうし…だから」グイッ
榛名「わっ」
提督「花火はお前とやる事にする」
榛名「わ、私の意見は無しなんですか!?」
提督「おっ、先約でも居たか」
榛名「うっ…い、いないですけど…」モジモジ
提督「はは、まぁ今は目の前に上がってる花火でも眺めてっか。あの辺りにでも座るか」
榛名「は、はい」
ヒュー……ドン ドン ドン……パパパパパッ
提督「やっぱ職人の上げる花火はすげぇなー。よっと…」
榛名「そうですねぇ…どうやってあんな綺麗なのが作れるんでしょうか?」
提督「わかんね」
榛名「もう、少しは考えましょうよ」
提督「んー、あぁ、そういやなんか以前テレビで見たなぁ」
榛名「花火の作り方ですか?」
提督「まぁ、花火作ってる職人さんに密着みたいなヤツ。なんか色んな種類の火薬と炎色剤っての混ぜ合わせて
作るとかいってたな。事故も起こりえるから、最も注意払ってやるんだと。それ以外にもまだまだ色々と工程が
あって、最終的にはサッカーボールくらいのでかさになんだってな」
榛名「はぁ、そうなんですか。なんだか大変そうです。どれくらい期間としてかかるんでしょう?」
提督「テレビでやってたのじゃ、一年の大半は花火玉ってのを作成する時間に費やすみたいだぞ」
榛名「い、一年の大半ですか!?」
提督「そ、でもってこういう夏の季節になると花火大会とかあるから、その準備や打ち上げ作業行ったりで大変らしい」
榛名「はぁ…でも、そのお陰でこんな綺麗なものが私達は見れるんですよねぇ」
提督「最後、打ち上げた花火が夜空でフッと消えた瞬間、職人はやり切った、この花火玉は成功だって思うらしい」
榛名「流石、職人ですねぇ……ねえ、提督」
提督「ん?」
榛名「提督は、どうして海軍に入って、提督になったんですか?」
提督「理由か」
榛名「榛名、いつも夢に見るんです。青く澄み渡る空、その空をジーッと見据えて、なんでそんな事してるのか
解らないんですけど、でもずっと空を見上げてて、そうしてなきゃいけないような気がして、ふっと気付くと目
が覚めてるんです。今の私の現状と何か関係あるのかなって考えては、結局答えは出ずって感じで…」
提督「……俺はね、元々は海軍に入るつもりはなかったんだよ」
榛名「え?」
提督「でもだからって、済し崩しって訳じゃない。親父が船乗りでね、その日もいつものように、朝も早くに船
を出して、大漁で帰ってくるからなーって、俺に手を振って出てったんだ」
榛名「あ、あの……」
提督「はは、まぁベタな話だよ。察しの通り、親父が戻ることはなかった。船は、船底を貫かれてて沈没…親父
を含めた乗員全員の姿は結局発見されずだ。やったのは深海棲艦だった。報告しに着てくれた海軍の人が、提督
だったんだよ。艦娘を一人従えててね。多分秘書艦だったのかな────」
────────
────
──
海軍提督「…すまない。君のお父さんや、そのお父さんの仲間のご遺体、結局発見するには至らなかった」
幼少提督「そう、ですか…」
秘書艦「…申し訳ありません!」
幼少提督「えっ…」
秘書艦「私達と言う存在が居ながら、見す見す一般市民を危険に晒してしまったこと、深く反省しています」
海軍提督「本当に、申し訳ない…こんな結果になって、本当に……自分も悔しい」
秘書艦「二度と、君のような悲しい子を増やさない為に、私達も一層精進します。必ず…!」
海軍提督「君に誓う。同じ悲劇は決して起こさない」
──
────
────────
提督「その提督さんが今どうしてるかは解らんが、その時かな。あぁ、海軍ってすげぇなって思ったのは…」
榛名「じゃあ、お父様が亡くなって、それが切っ掛けで…?」
提督「まぁ、多分そうかな。船に乗る機会はあんまないけど、道も違うけど、親父と同じ海の仕事に就きたいと
思ってた。開いた扉が海軍だったってだけだ」
榛名「少し、羨ましいです…」
提督「自分が何で艦娘なのか、解らないからか」
榛名「…はい」
提督「今は、それでも良いんじゃないか。いつか解る日がきっとくる。近い未来か、遠い未来か…そこは解らな
いが、きっと解る日がくる。そん時にどうしても不安で心配で仕方ないって時は、俺や皆が待ってるこの鎮守府
の事を思い出せ」
榛名「提督…」
提督「解らんことを今考えてても、どれも憶測だけで答えには辿り着かないしな。だったら今のことを考えて、
何処に戻るのかを考えろ。誰が何言おうが、お前が戻る場所はこの鎮守府で、ここがお前の家なんだから…」
榛名「はい、ありがとうございます」
提督「ん…花火も終わりか。今日は仮眠室にでも泊まるかー」
榛名「私も疲れたのでお供します」
提督「ったく、めんどくさがりめ」
榛名「ふふ、それはあなたも、でしょ?」
提督「ん、違いない」
榛名「あはは」
提督「はは…っと、ほらキリ、いつまで寝そべってんだ。行くぞ」
キリ「ンニャ」キョロキョロ
榛名「キリちゃん、一緒にいこっか。よいしょー」ダッコ
キリ「ニャニャ…」
羽黒「き、北上さん…!やっぱり、こういうのって良くないですよ!」コソコソ
北上「羽黒っちは真面目だねぇ。一度は寮の方まで一緒に着たのに、一人隠れてこそこそと抜け出すのを見たら
そりゃあ、着けるでしょ」
羽黒「は、発想が飛躍してないですか!?」
北上「まぁまぁ、お陰で二人のイチャラブ見れるんだし、そこらの三流ドラマのラブシーンより貴重っしょ」
羽黒「わ、私は先に戻りますよ?榛名さんにもなんだか悪いですから」
北上「はいよー。気をつけてね~。さてさて…用意した双眼鏡で……あれ、どこいった?んお、あれ金剛っちの
ネコじゃん…さっきまで榛名っちが抱えてたはずだし、近くに~…」
提督「どうだ、よく見えるか?」
北上「いや~、今探してる最中~」キョロキョロ
榛名「見つかりそうです?」
北上「中々……ん?」クルッ
提督「よう、北上さん」ニコッ
榛名「こんばんは、北上さん」ニコッ
北上「うひ……」
ギャァァァァァァァァァァァァァ
羽黒「」ビクッ
羽黒「み、見つかったんだ……さ、触らぬ神にたたりなし、ですよね。うん、きっとそうです」タッタッタ
-鎮守府-
提督「ったく、あのバカ上め…」
榛名「つ、着けられていたとは…」
提督「隠しカメラとかねぇだろうな…」
榛名「えぇ……ま、まさかそんな事は……」
-艦娘寮-
北上「おにょれ……しかーし、ひっそりと隠して設置したこのカメラで……ポチッとな……」
提督&榛名ドアップ
北上「ひぃ……!」ズザザ
提督(我、明日、北上ヘ誅罰ス)手書き
榛名(北上サン、月夜バカリト思ウ事ナカレ)手書き
ブツン……ザー……
北上「ヤバい……バレた……」
翌日、説教部屋から絶え間なく北上の叫び声が聞こえたそうだ。
書き溜め分以上で、本日ここまで
皆様こんばんは
本日も宜しくお願いします
~遊び尽くせ~
-艦娘寮・休憩室-
北上「あ゛~…ヒドイ目にあった。まさかあそこまでブチ切れるとは…」
島風「あれ、北上さんじゃん。何してーんの?」ピョコン
北上「んあ?なんだ、駆逐艦か…」
島風「もー、なによー」ブーブー
北上「べーつにー、する事もないしなんか扱かれたし、見ての通り机に突っ伏してるだけー」
島風「えー、折角のお休みなんだから遊ぼうよー!」
北上「はぁ?それあんたの理屈でしょ~。私には関係ないし」
島風「む、ホントに予定何もないの?」
北上「うっさいなー、ないってば」
島風「じゃあ一緒にあそぼー!」
北上「あのさ、私の話聞いてた?」
島風「聞いてない」
北上「聞けよ、駆逐艦!」
島風「細かすぎー!いいからあそぼー!」
北上「あ゛~、駆逐艦ウザい…」
島風「まーまー、細かいこと気にしてると老けちゃうよ!って事で、白露達にも知らせてくるねー!」サッ
北上「あ、こらっ、勝手に数に……って、もう居ない。速すぎでしょ…んあ~、めんどくさいなぁ、もう…」
-結局-
白露「やっほーぃ!」
夕立「お待たせー!」
時雨「急にゴメンよ、北上」
島風「よーし、プール、プールー!」
北上「はぁ、なんでそんなテンション高いわけ…?」
時雨「ふふっ、羽を伸ばす機会はそんなにないからね。少し枷が外れてるんだよ」
北上「っていうか、あんたアレだね~。ふむふむ…」
時雨「え?な、なんだい…?」ドキドキ
北上「あ、いや…まっ、時雨っちらしい感じ?服装、ラフなその感じは嫌いじゃないよ~」
時雨「ふふ、北上のラフさには負けるよ。けど、ありがとう」
北上「うっさいなー、スカートとかあんま好きじゃないんだよ~。足元スースーするじゃん」
白露「ほらほら~、二人とも急がないと!おいてっちゃうよ!」
北上「あ~、ウザい…」
夕立「北上さん、夕立達と遊ぶのヤダ?」
北上「うっ…」(ド直球に聞いてくるかね、普通!これだから駆逐艦は…!)
時雨「夕立、そういう聞き方は失礼だよ」
夕立「え、そうなの?」
島風「えー!楽しいのにー!」
北上「」(このうさぎヘアバント小娘…ひん剥いてやろうかって、そういえば今日はうさぎヘアバンドじゃないな)
島風「ん?なぁに?」
北上「いや、あんた今日はリボンのヘアバンドしてんだね」
島風「ん?あー、うさぎさんは正装のヤツだしね!」
白露「ねーねー、今月からオープンしたっていうプールってさ、どんくらい大きいのかな?」
時雨「さぁ、僕も当然だけど行くの初めてだからね」
夕立「行ってみれば解るっぽい!」
島風「だーよねー!泳ぎまくるぞー!」
北上「はぁ」(なんで私、駆逐艦のお守りしてんだろ。まぁ、暇よりは良いけど…)
-プール施設-
島風「てってれー!やってきまーしたぁー!」バンザイ
白露「いぇーい!いぇーい!」ガッツポーズ
夕立「準備運動は必要!」
時雨「はしゃぎすぎも良くないね」
北上「っていうか、なんで私の水着あんた等がもってんのよ」
夕立「ふぇ?なんか寮に置き去りにされてたから私がもってきといた!」
北上「ははは…」(余計な事をぉ!)
島風「むー、北上さん私よりおっきい…」モミモミ
北上「うへあ!ちょ、あんた何すんの!?」チョップ
ビシッ
島風「オゥッ!」
北上「ったくもー…油断も隙もない。あー、もうウザいからさっさと泳いできなよ」
島風「はーい!島風、いっきまーす!」ザバァ
ダババババババ…
北上「はやっ!」
白露「さ、流石にあそこまで速いとは…」
夕立「それっ」バシャ
時雨「やったな!このっ!」バシャ
夕立&時雨「」キャッキャ
白露「ドルフィンキーック」ドババババ
夕立「はぶあ!」
時雨「うわっ、ちょ…!」
北上「はぁ、やれやれ…」
白露「む、何を澄ました顔をしてるのかな、北上さん」
北上「へ?」
島風「えいっ」
ドン
北上「んあ~!?あ、ちょ、おち……たぁ!!」ヨロッ
ザバァァン
北上「ぶはっ!おいこら、くちk……」
夕立「ソロモンの悪夢、見せて上げる!」バシャァ
北上「ぶほっ」
島風&夕立「「いぇーい」」ハイタッチ
北上「こ、ころす……あんたらねぇ、スーパー北上さま怒らせて、ただでs……」
時雨「残念だったね」バシャァ
北上「はぶあっ」
白露「いーっけぇー!」バシャバシャバシャ
北上「やべろ…はばぶ、げほっ、うるああああああ!!」ザバンザバンザバン
島風「わっ、わわ、北上さんの反撃っ!?」
白露「げほっ、鼻に入った。けほっ…むぅぅ、こんにゃろ!」バシャバシャ
夕立「み、水の弾幕がはんぱないっぽい!」
時雨「こ、これは…あはは、近付けないね」
北上「おらおらおらーっ!」バシャバシャバシャ
島風in水中「」ニヤリッ
北上「むっ、両足に違和感……」
グイッ
島風「バンザーイ!」ザバァ
北上「うわぁ!」ドボン
島風「ふっふっふ。私に勝とうなんt……」
グイッ
北上「しゃおらあああ!」ザバァ
島風「はうあああ!」ドボン
北上「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ…次はどいつだ、こんちくしょう」
夕立「あはは、北上さんが本気っぽい?」
時雨「重雷装艦の本気は怖いね」
白露「島風の仇、とるわよ~!」
島風「ぷはぁ!死んでないし!」
本日はここまでー
皆様こんばんは
本日も宜しくお願いします
-帰り道-
北上「け、結局一緒になってはしゃいでしまった…つ、疲れた…」
白露「楽しかったね~」キラキラ
時雨「うん、海も良いけど、プールっていうのもまた良いね」
夕立「今度はシャーク一号を持ってくるっぽい!」
島風「北上さん、またいこーね!」キラキラ
北上「……は?」ゲッソリ
島風「あれ?」
北上「マジ、もう二度と行かない」
白露「えーっ!なんでー!?」
北上「疲れるからだよ!あ~、もう…帰ってゴロゴロしながらマンガでも読もう…てか、なんであんたら終始そ
のテンション維持できるのか、そっちの方が私は不思議だっての」
白露「えーっ、だって大好きな人とか、一緒に居て楽しい人とか、そういう人達と一緒にこうして遊ぶだけで、
もうテンションうなぎ上りだよ!」
島風「ねー!北上さんと遊ぶのチョー楽しいー!」
白露「よーし、艦娘寮まで競争!絶対、私が一番なんだから!」
島風「むむ、またも私と駆けっこ勝負ですか?負けませんよ!」
ダダダダダダダダ
夕立「さ、流石にあそこまでの元気は、私にはないっぽい…」
時雨「僕も、あそこまでは無理かなぁ」
北上「…はぁ、これだから駆逐艦ってウザいわ。ま、息抜きは出来たよ。ありがとね」クスッ
夕立「ふふふ♪」
時雨「ふふっ」
北上「あ~、このまま真っ直ぐ艦娘寮行くとまた白露っち達に捕まりそうだし、私は鎮守府寄ってから戻るわ~」
夕立「鎮守府に何かあるっぽい?」
北上「ははは…野暮用」
時雨「?」
北上「若人は気にしなさんな~。じゃね~」ヒラヒラ
夕立「北上さんも十分若人っぽい」
時雨「時折、言い回しが面白いね。さ、それじゃ僕達も戻ろうか」
夕立「うん!」
~食い尽くせ~
-弓道場-
赤城「はっ」
ビュッ タンッ
翔鶴「ふっ」
ビュッ タンッ
瑞鳳「ん~…それっ」
ビュッ タンッ
飛鷹「はい、ちょっと休憩よ」
龍驤「ほれ、龍驤さんの特性たこ焼きやで!」
赤城「ふぅ、飛鷹さん、龍驤さん、ありがとうございます」
翔鶴「悔しいけど、赤城さんの錬度にまではまだ達せそうにありません」
瑞鳳「うう、回を重ねる毎に的からズレてく…」
赤城「翔鶴さんも瑞鳳さんも、精度は格段に向上してると思いますよ」
飛鷹「っていうか、折角休暇貰ってるのに練習って…よくやるわね、あなた達」
赤城「ふふっ、それを言うなら飛鷹さんこそ、大本営から戻って間もないというのに付き合ってくれてるじゃな
いですか。お相子ですね?」
飛鷹「はいはい、解ったわよ」
瑞鳳「うーん…」
翔鶴「どうかしましたか?」
瑞鳳「引分けが弱いの、かなぁ…」
赤城「会は引分けの完成ですが、それまでの工程は全て会に至るまで準備、そう考えると精神的には無限の引分けですね」
瑞鳳「え、えっと…はい?」
赤城「構えや引分け、会云々と言うよりも瑞鳳さんにあった型で押し通すべきかと思います」
翔鶴「会者定離、という奴ですね。合うものは離れる。会から離れは一瞬ですから、瑞鳳さんの放つ裂帛の気合
発動と共に、自然と離れへ至ることが求められるかと思います」
瑞鳳「む、難しい…」
赤城「瑞鳳さんのペースでゆっくりと、で良いんですよ」
龍驤「な、なんやエライ、難しいこと言うとるな…」
飛鷹「そ、そうね…」
赤城「ふぅ、でもまぁ…今日はもうお開きにしましょうか。艦載機の子たちを休ませて上げたいですし、弓の手
入れも必要です」
翔鶴「皆様はこの後のご予定は?」
飛鷹「んー、私はどうしよっかなぁ」
龍驤「うちは買い物かなー」
瑞鳳「私は、どうしようかな」
龍驤「せや!どうせやし、空母組皆でお出かけせぇへんか?親睦深めるゆぅやつや!」
赤城「ふふっ、それはいいかもしれませんね」
翔鶴「賛成します」
瑞鳳「それじゃ、汗流して着替えてこないとね!」
龍驤「よっしゃ!そんならうちと飛鷹は先に着替えて待ってんで!」
飛鷹「まぁ、たまには良いかもしれないわね。それじゃ、正門で待ち合わせって事でいいかしら?」
翔鶴「はい、解りました」
-鎮守府・正門前-
赤城「お待たせしました」
翔鶴「少し髪の毛乾かすの梃子摺ってしまいまして」
龍驤「おぉ…二人とも、あれやな…お、大人の女性スタイルやな…」
飛鷹「む、翔鶴のブラウス、デザインいいわね、それ…」
瑞鳳「うわあああ、遅れました!」
赤城「あら?」
瑞鳳「えっ、な、何ですか?あれ、なんか変ですか!?」キョロキョロ
赤城「あ、いえいえ。普段は袴姿の瑞鳳さんですから、スタイリッシュな格好の瑞鳳さんもこれはこれで、と言う意味です」
瑞鳳「あ…えへへ。ショートパンツとかの方が動きやすいので」
飛鷹「……カジュアルなダウンにデニムのショートパンツ。うん、中々これも……」
瑞鳳「あ、あの…飛鷹さん?」
飛鷹「へ?」
龍驤「君、さっきからファッション評論家になっとんで…」
飛鷹「い、いいじゃないのよ、別に!」
翔鶴「うふふ」
赤城「さぁさぁ、夏の日差しがこれ以上増す前に出掛けましょうか」
龍驤「おー!」
瑞鳳「やっぱり向かう先、まずは…」
赤城「食べ処、でしょうか?」
翔鶴「賛成です!」
龍驤「君ら食い意地張りすぎやっ!」
飛鷹「ふふっ、けどお昼時だしいいんじゃないの?」
瑞鳳「うぅ、正直お腹も空いてます」
龍驤「もー、しゃぁないなぁ…」
アハハハハ!
-モール街-
龍驤「おぉ…めっちゃ人おんで」
飛鷹「しっかりと食べるならレストラン系かしら?」
赤城「牛丼屋さんでも私は……」
瑞鳳「女五人、雁首揃えて牛丼屋は、どうかな…?」
翔鶴「うふふ、女の子ですものね?」
赤城「うっ…///」
龍驤「うちはお好み焼き屋とかでもええねんけどなー」
飛鷹「いやよ。洋服に臭い染み付いちゃうじゃない」
翔鶴「あっ、あのお店なんてどうです?」
赤城「ず、随分とハイカラな…」
瑞鳳「あ、かわいい~」
飛鷹「うん、いいわね」
龍驤「なんやこじんまりしてて好かんなぁ」
飛鷹「あんたとサイズ的に同じでしょうが…」ボソッ
龍驤「ん?なんやねん」
飛鷹「べ、別に?」
-某テラスレストラン-
店員「五名様、ご案内致します」
龍驤「おーおー、外丸見えやんけ。なんや落ち着かんなぁ」
飛鷹「少しはこうした場所で落ち着く事も覚えたらいいんじゃない?」
店員「ご注文はお決まりですか?」
翔鶴「えっと…この、ナポリタンを三つと、食後にこのチョコバナナパフェを三つ」
赤城「私は…このハンバーグ定食を四つと、抹茶アイス二つ」
店員「」(;`・ω・´)?
瑞鳳「私は、っと…あ、このミートスパゲッティ一つと、このバラエティプレートを一つ!」
飛鷹「私は、そうねぇ…瑞鳳と同じバラエティプレートにたらこ風スパゲッティ一つ、食後にレモンティー」
瑞鳳「あっ、私はオレンジジュース!食後に!」
龍驤「うちは、この…ペ、ペロ、ロン?ペペ、ン?ペロンテーノ?」
瑞鳳「り、龍驤…」プルプル
飛鷹「」ウツムキ プルプル
龍驤「横文字苦手やねん!!」ムキー バンバン
本日はここまで
皆様こんばんは
本日も宜しくお願いします
店員「ペペロンチーノ、ですね?こちら一つで……」
龍驤「ちゃうちゃう、何ゆーとるん。二つや、二つ。あとな、この抹茶あんみつ、食後に二つな!」
店員「か、かしこまりました。く、繰り返します。ナポリタンスパゲッティ三つ、ハンバーグ定食四つ、ミート
スパゲッティ一つ、たらこ風スパゲッティ一つ、バラエティプレート二つ、ペペロンチーノ二つ、食後にチョコ
バナナパフェ三つ、抹茶アイス二つ、レモンティー一つ、オレンジジュース一つ、抹茶あんみつ二つ…以上でよ
ろしかったでしょうか?」
龍驤「かまへんでー」
店員「では、メニューお下げします。失礼致します」(五人でどうやってこのメニュー平らげるのかしら…?)
龍驤「いやー、お腹いっぱいや」
翔鶴「とても美味しかったですね」
赤城「このお店、気に入りました」
瑞鳳「私もチェックしとこっと…」
飛鷹「さて、それじゃショッピングの時間ね!」
赤城「えっと、お会計は……うっ」ピキッ
翔鶴「こ、これは……」
瑞鳳「えっ……」
飛鷹「た、高い…」
龍驤「さ、三万五千て……」
お会計:35190円
赤城「て、提督に怒られそうですね、これは…」
飛鷹「せ…戦犯は赤城と翔鶴よ!」
龍驤「せ、せやな!」
瑞鳳「右に、倣います!」
赤城「えぇ!?」
翔鶴「そ、そんな…!」
飛鷹「半分に割って、片方を私たち三人で割りましょう。で、残り半分は二人で割って頂戴!」
赤城「なっ……!」ガーン
翔鶴「くっ……!」ガーン
瑞鳳「それでも、五千円近くの出費…」
赤城「諭吉さんが…」
翔鶴「不覚です…」
赤城「」シクシク
翔鶴「」ウルウル
瑞鳳「け、結局二人は目当てのもの、金額高くて買えなかったみたい…」
飛鷹「お給料前だしねぇ…」
龍驤「せやからお好み焼き屋とかにしといたら良かったやん。めっちゃ安いのにたらふく食えんで」
飛鷹「それは私が絶対にイヤ!」
瑞鳳「ま、まぁ…ほら、赤城さんも翔鶴さんも、立ってるだけで綺麗ですし!そこらの洋服とかじゃ、釣り合わ
ないというか!洋服が負けるというか!」
龍驤「せ、せやな!今日の二人はえらいキマってるし、世の男共がぎょーさん押し寄せてきてもおかしないで!」
赤城「飛鷹さんはさっきから凄い声掛けられてましたね」
翔鶴「瑞鳳さんも…」
飛鷹「うっ…ちょ、ちょっと、瑞鳳!火に油注いだんじゃないの!?」コソコソ
瑞鳳「そ、そんなぁ!」コソコソ
龍驤「ど、どないすんねん!」コソコソ
赤城「特訓です…」ボソッ
瑞鳳「え?」
翔鶴「食費を抑えて貯金ですね…」
赤城「やりましょう、翔鶴さん」
翔鶴「五航戦、翔鶴。赤城さんに随伴します」
赤城「そうと決まれば早速寮へ戻って計画を練ります!」
翔鶴「了解です!」
モブ男「ねぇねぇ、そこの彼女ぉ!今ひm……」
赤城「……暇ではありません!」
モブ男「え?何、どうかしたの?」
翔鶴「そこを退きなさい!私達には行かなければならない場所があるんです!」
モブ男「え、ちょ……」
タッタッタッタッタッタ
瑞鳳「はや……」
飛鷹「ふ、二人とも速力はあるからね…」
龍驤「なんや、後姿が午後からの仕事に遅れん為に走っとるOLにしかみえへんわ」
~空蝉~
-艦娘寮・縁側-
日向「……ふむ、七、八、竜」ピシッ
利根「む……むぅ?」
日向「どうした、利根?」
利根「ま、まて…もう暫く…」
筑摩「利根姉さん、これで三度目……」
利根「むぁぁぁ!」
日向「勝負あり、だな」
利根「くぅぅ、日向、強いのぅ」
日向「誰でも得意なものの一つや二つはあるものさ」
筑摩「あっちは、どうかしら…?」
龍田「Rxh6」
熊野「うぅ…Kg7」
龍田「あら~?それなら、Qf6+……チェックね~」
熊野「ま、まだよ!Kg8!」
龍田「うふふ、それはダメよ~。Rh8#。チェックメイトね~」
鈴谷「うん、さっぱりわっかんないわ」
衣笠「龍田強いわねー」
天龍「おまっ、ざけんな!おい、熊野ガンバれって!おい、罰ゲーム受けんのオレなんだぞ!?」
龍田「あら~、天龍ちゃんが龍田なんかにわかんのか~?なんて言うからいけないのよ~?」
衣笠「自業自得ね。ご愁傷様」
天龍「いつもこんな役回りだよ!オレは逃げるからな!」ダダッ
龍田「あら~、鬼ごっこ?天龍ちゃんとやるのはいつ以来かしら~」ビュッ
鈴谷「き、消えたんですけど…」
熊野「ま、負けるなんて、私が負けるなんてありえませんわ…」
筑摩「あらあら、あっちは騒がしいわね?」
日向「はぁ、全く騒々しいのは伊勢だけで十分だ」
羽黒「あ、あの、皆さん!そうめんが茹で上がりましたけど食べますか?」ヒョコッ
利根「む、そう言えば昼時じゃったな」
日向「羽黒が茹でたのか?」
羽黒「あ、はい。どうせですから皆さんで食べたら楽しいかなって」
筑摩「いいですね」
衣笠「なになにー?そうめん?」
羽黒「はい、一緒にどうですか?」
衣笠「食べる食べるぅ~♪やっぱり夏はそうめんよねぇ」
鈴谷「あっ、羽黒ちゃんちょりーっす♪」☆(ゝω・)v
羽黒「あ、あはは…ち、ちょりーっす」(*´ω`)v
鈴谷「うっわー、そうめんじゃん!え、なにこれ、羽黒ちゃんお手製ってヤツ!?」
熊野「鋭気を養って特訓ですわ!」フンス
-鎮守府・屋根上-
天龍「はぁ、はぁ…こ、ここまでくれば…」
ウフフフフ…
天龍「」ゾワァ キョロキョロ
龍田「う・し・ろ・♪」
天龍「ひぃ!」バッ
龍田「も~、天龍ちゃんったら逃げるの下手ねぇ♪」
天龍「逃げ場ねぇ…」ガックシ
龍田「うふふ、今回も私の勝ちね~♪」ニコニコ
天龍「はぁ、もういい…疲れた」ジトメ
龍田「んもぅ、そうやって拗ねてる天龍ちゃんもまたカワイイわぁ♪」
天龍「うっせ!」
龍田「うふふ♪」
天龍「ちっ……そういや、龍田はこの新聞、チェックしてある部分の記事読んだか?」バサァ
龍田「あら~、天龍ちゃんが新聞だなんて…っていうか、何処から出したの?」
天龍「細かいこと気にしてんじゃネェ!で、それ見てお前、どう思う?」
龍田「…これ、あの鎮守府に居た頃に…」
天龍「ああ…始めは勘違いかとも思ったんだがよ、翌々考えりゃ見間違うわけもねぇんだよ。実際にこの近辺で
見たわけじゃねぇから断言はできねぇけど、こいつ……なんか変だったよな。あっちに居た頃だって別に襲って
くる気配もなかった。何より寸借、その新聞じゃ解り難いけどあの当時見たときとあんま変わってねぇように感
じんだよ。ちっせぇ」
龍田「そうねぇ…天龍ちゃんの恫喝に怯えて逃げちゃったくらいだし」
天龍「う、うるせぇ!」
龍田「で、この記事ってまさかぁ?」
天龍「そーいう事。この付近の海にいるみてぇなんだよな。何かの手がかりになるかもしんねぇし、丁度休暇中
で任務もねぇ。暇つぶしに探して見るのもいいんじゃねぇかと思ってな」
龍田「私達二人だけ、っていうのはちょっと万が一を考えたら危険じゃないかしら。何より、提督がきっと怒る
と思うのよね~」
天龍「衣笠や鈴谷はうるせぇ上に口軽そうだしなぁ…って、よぉくみりゃぁ……」ニヤリ
龍田「あらぁ…」ニコォ
本日はここまでー
皆様こんばんは
ちょこっと更新
-浜辺-
ペタペタ ザッザッ
暁「そっちどーお?」
電「繋がったのです!」
響「暁、シャベルとってくれないかい」
暁「はい、どーぞ。響」
響「スパスィーパ」
暁「よし!」
電「完成なのです!」
暁「お城と…!」
電「トンネル…!」
二人「「でーきたー!」」バンザーイ
ザッパァァァン
暁「うわぁ!」(;>ω<)
電「はわわ!」(>ω<)
響「……み、見事に全て流されたね」アセ
暁「り、力作だったのにぃ!」
天龍「よう!」
龍田「砂浜遊び~?」
電「あっ、天龍お姉ちゃんと龍田お姉ちゃんなのです!」
暁「やっほー!」
響「やあ、二人とも」
天龍「ははっ、寄せて返す波に全部ぶっ壊されたのか」
暁「こ、今度はもう少し遠いところで作るから大丈夫よ!」
龍田「それより、宝探しをしない~?」
響「む…?」
暁「何を探すのよ」
電「おっきいものですか?」
天龍「うーん、どうだろうなぁ…」
龍田「て、天龍ちゃん…あれ」
天龍「あ?あっ……」
響「ん?」クルッ
暁「どうしたの、響?」
空母ヲ級?「……」 岩場|ω・`)ジー
電「えっ…え、な、なんで深海棲艦が…こんな近海に!?」
響「だ、だけど…あの深海棲艦、なんだか変だ」
龍田「やっぱり居たのね」
天龍「俺等を追いかけてきてたのか」
響「天龍、それどういう意味?」
天龍「あの深海棲艦っぽいのは前の鎮守府でも姿を見せてた」
龍田「その時は、天龍ちゃんが恫喝して逃がしちゃったんだけどね~」
天龍「うるっせぇ!」
暁「あれ、空母型の深海棲艦、よね。けど、なんでだろう…怖さを感じない」
空母ヲ級?「」 岩場|ω・`)))ビクビク
電「む、むしろあっちが怯えてる感じなのです…」
天龍「なんも危害加えないからちょっとお前出て来い」
龍田「天龍ちゃん…それ説得になってないわよ~?」
空母ヲ級?「」 岩場|ω・`)))))プルプルプル
響「むしろ震えてるけど…」
天龍「まじかよ…」
電「敵、に感じないのです」
暁「ねぇ…あんた、ちょっと出てきてよ」
空母ヲ級?「イタイコト、シナイ…?」 岩場|ω・`)
天龍「んだよ、喋れんじゃねぇか」
空母ヲ級?「」 岩場|ω・`)))))プルプルプル
龍田「天龍ちゃんはちょ~っと黙っててね~?」
天龍「ぬぐぐ……」
響「私達と同じくらい?」
暁「うん、空母型にしてはって感じよね」
電「あなたは電達を見ても敵意出さないのです?」
ヲ級?「ベツニ、ニククナイ…シンカイ、セイカン…デモ、ワタシノコト、ミトメナイ」
天龍「イレギュラーってワケか」
龍田「どうして私たちに接触を図ったのかしら?」
ヲ級?「イバショ、ウシナッタ。モトノ、ムレニハモドレナイ……アナタタチハ、オナジニオイ、スル」
天龍「同じにおいって、それどういう意味だよ!」
ヲ級?「アイツ、コワイ」ササッ 響|ω・`)9m
天龍「」ピキッ
響「だ、大丈夫だよ」アセ
電「天龍お姉ちゃん、ことばが荒いのです」
天龍「危害加えてきてねぇったって、こいつは深海棲艦だぞ!?」
龍田「もしかしたら提督も戻ってるかもだし、提督に伺うしかないわね~」
暁「あなた、名前は?」
ヲ級?「ナマエ?ナニ、ソレ……タベレルノ?」
龍田「深海棲艦には名前が存在しないのかしら?」
響「司令官がなんて言うか、かなぁ。敵意はなくても深海棲艦だ。天龍の言葉通りって事なんだけど…」
龍田「取り敢えず連れて帰って、提督や皆の意見待ちね~。無下に排除したり、捨てておく訳には行かないから~」
暁「ついてきて!」
電「鎮守府を案内するのです!」
ヲ級?「チン、ジュフ…?」
響「電、鎮守府は少しまずいかな」
電「そう、なのです?」
天龍「休暇中で殆どの艦娘が居ないつっても、間宮や資材補充してる妖精、搬入に明石がきてるかもしれないだろ」
龍田「要らない動揺を与えるかもしれないわね~」
提督「ふぁ~、書類整理も終わったし、俺も今日はのんびり過ごすかぁ……ん?なんだ、あいつら…」
コソコソ…
提督「辺りをキョロキョロ見渡して~…後ろよーし、横よーし、前よーし、で……そこから出てきたのは~……ぶっ」
ガタンッ
提督「あれ、深海棲艦だろ!あ、あいつら何やってんだ!?あの方角、艦娘寮にでも連れ込む気か?」ダッ
-艦娘寮・裏庭-
天龍「っしゃあ、ここまでくりゃあ何とかなるだろ」
龍田「無駄に見つからないように動いたせいで、ちょ~っと到着遅れちゃったわね~」
電「暫くここで大人しくして、司令官を待つのです!」
ガサッ
響「」ビクッ
暁「だ、だれ!?」
提督「俺だ、バカタレ」
天龍「うおっ…て、提督…」
ヲ級?「」 響|ω・`)ジー
提督「……おい、なんだその威厳もクソもない深海棲艦は……」
天龍「ま、待ってくれ提督。確かにこいつは深海棲艦かもしれねぇが、オレ等に敵意を向けてこないし、オレ等
も、なんでかこいつには敵意が沸かないんだよ」
提督「何を言ってるかわからねぇと思うが、俺も何を言ってるのかわからねぇってか?」
天龍「ぬぐぐ…」
ヲ級?「ワタシニ、テキイ、ナイ」
提督「その言葉を信じろと?」
ヲ級?「コノ、カンムスタチ…シンジテクレタ」
提督「…そうか。だが俺が信じると思うか?」
暁「し、司令官!」
提督「敵意があろうとなかろうと、深海棲艦なんだよ。ここに、置いておく訳にはいかない」
ヲ級?「アイイレナイ、ト…イウノ?」
提督「無理だろうな。世界の縮図がお前を許容しない」
ヲ級?「…………」
提督「差別やなんだと軽蔑してくれて構わない。お前に敵意がないのも認めよう。だから、大人しくこの鎮守府
から去ってくれ。せめてもの情けだ」
電「司令官さん、敵でも……深海棲艦だとしても、助けたいって、おかしいですか?この深海棲艦を、助けたい
と思っちゃ、おかしいですか?」
提督「おかしくはないさ。それでも、今はダメだ」
ヲ級?「……オマエ、ヤサシイナ。アリガトウ、ココカラ、サル」
提督「こちらも追跡、監視、何もしない。出来る限り遠くへ行け。この近海には、他の鎮守府の艦隊も居る」
ヲ級?「カンサイキハ、アル…モンダイナイ」
書き溜め投下以上!
本日はここまで!
皆様こんばんは
本日も宜しくお願いします
-艦娘寮-
暁「何よ何よ、司令官ちょっと冷たすぎない!?実際、私達別に攻撃受けてないのに!」
電「……」
響「暁…」
天龍「はぁ…いやまぁ、提督の言いてぇ部分も解るし、何より提督の立場じゃ二言返事で頷ける訳ねぇよな」
龍田「だから、あんな言い方だったんじゃな~い?」
響「あんな言い方?」
(提督「────それでも、今はダメだ」)
天龍「あぁ……へへっ、やっぱ提督だな」
響「…なるほど。うん、そうだね」
電「え?え?どういうこと?」
暁「ち、ちょっと!勝手に納得しないでよぉ!」
天龍「ははっ、その内解るって」
電「……あの子、大丈夫かな」
響「電は優しいね」
龍田「ふふっ、その気持ちはず~っと持ってるのよ~?」
電「大丈夫なのです!電は忘れたりしないのです!」
天龍「よし、そんじゃ口直しじゃねぇが別のことして遊ぶか!」
龍田「そうね~、それじゃ私も付き合おうかしら?」
暁「スイカ割り!」
響「うん、いいね」
電「やるのです!」
~夏の夜~
-艦娘寮・夕張の部屋-
夕張「…よし、修理完了!」
川内「おぉ!さすが夕張!」
神通「川内姉さん、もっと物は大事に扱わないと…夕張さん、ありがとうございます」ペコリ
夕張「あー、いいっていいって。私も直したり作るの好きだし
阿賀野「むっ…よいしょ…ほっ……!」
川内「……さっきから阿賀野は、一緒に体動かして何やってんの、あれ」
夕張「新作のゲームが出たんですが、私の部屋にしか対応するハードがなかったので、阿賀野さんが持ち込んで
きて、やってるって感じ?」
神通「ゲームですか?」
夕張「うん、私も興味ある奴だったから、今度貸してもらう約束して交渉成立!」
阿賀野「きゃー、死んじゃう死んじゃう!あっ……」
川内「きっと死んだわね」
神通「あはは…」
阿賀野「うわ~ん、難しい」
川内「そういや、夕張は何作ってたの?」
夕張「良くぞ聞いてくれました!いやー、まぁイムヤちゃん達が花火したいけど、市販のものは飽きたって言う
もんですから、ちょこっと改良してでっかい打ち上げ花火でも、と思いまして!」
神通「機械に限り、じゃないんですね…」
夕張「作ってと言われれば!直してと言われれば!断れないのは世の情け!私の情け!艤装だろうと花火だろう
とお弁当だろうと、作って見せます!」
阿賀野「あれ?川内ちゃん達いつ来たの?」
川内「30分以上前だけど…」
神通「並々ならない集中力を見せていたので、声かけるのに躊躇ってました」
阿賀野「あ、あはははは…ついつい熱中しちゃって」
夕張「よし、できましたよ!」
川内「そもそも自室で花火作成って、相当ぶっ飛んでるね。事故ったら艦娘寮吹っ飛んでたんじゃない?」
夕張「提督と寮長の妖精さんには秘密で!」
神通「悪の片棒を担がされた気分です…」
-浜辺-
イムヤ「夕張どこかなー」
まるゆ「あっ、イムヤさんあそこじゃないですか?」
ゴーヤ「おー、発見でち!」
夕張「おっ、やっほー!できたわよー!」
イムヤ「無茶振りだと思ってたんだけど…まさか本当に作ってくれるなんて…」
ゴーヤ「ゴーヤもビックリ」
川内「夜はいいよねー、夜はさ」ドン ドン
神通「ね、姉さん!空砲でもいきなりは止めて下さい…ビックリしてしまいます」
川内「え?あはは、ごめんね?」
阿賀野「どんな花火なのか楽しみだねぇ」
夕張「それじゃ、私は打ち上げ作業があるので少し沖のほうまで行って来ます!」ザバババ
阿賀野「わくわく♪」
川内「阿賀野って、なんかあれだよね」
阿賀野「ん?」
川内「妹衆に毎度尻叩かれてるイメージがあるよね」
阿賀野「えぇ?き、急になにぃ!?」
川内「いやぁ、なんか見てて飽きないし、ドジだし?」
神通「姉さん…私達にしてみれば姉さんも相当ですからね?」
川内「え゛……」
阿賀野「じ、神通ちゃんも私の事そう思う…?」
神通「えっ…」
阿賀野「どう、どうなの?」
神通「あ、阿賀野型の皆さんは、とてもしっかり者だと思いますよ?」
阿賀野「えー!?やっぱりー?そうだよねぇ、阿賀野頑張ってるもん!」
川内「」(神通の奴、濁して流したな…)
神通「」(ホッ…)
アゲルヨー
川内「お、夕張が探照灯照射してる」
神通「はーい!いつでもどうぞー!」
ヒュー……ドン ドン ドン ドン……パラ パラ パラ
イムヤ「おぉ…おーっ!」
ゴーヤ「綺麗…」
まるゆ「わぁ…」
阿賀野「わー、すごーい!」
神通「綺麗ですねぇ」
川内「風流だよねぇ。やっぱ夜サイコー!」
夕張「ふっふっふ…我ながら至高の出来……っ!それっ!」
ヒュー……ドン ドン ドン ドン……パラ パラ パラ
神通「夕張さんって、普段からこうした色々なもの作ってるんでしょうか?」
川内「んー、私がここに着任した当初から居たみたいだけど、どうだったかなぁ。あん時はここ統括してた提督
がとにかくクソだったし…ここまで皆で仲良くなんたらってな気分でもなかったしなぁ」
イムヤ「夕張は、前の提督の横暴の裏でいつも小細工色々してたかな」
ゴーヤ「ゴーヤも沢山助けてもらったでち」
まるゆ「そ、そうなんですか?」
イムヤ「榛名がミスしたって、なんか提督が喚いてたときとかも、不要だから提督のお手を煩わせないように、
私が先んじて処分しておきましたって助け舟出して…前の提督は勝手に何かされるのすっごい嫌う奴で、案の定
標的を榛名から夕張に変えてネチネチと意味もない嫌味言いまくってたってのは見たかな」
ゴーヤ「結局、ストレスのはけ口が欲しかっただけなのでち。ゴーヤやイムヤも毎回すっごい遠方にまで遠征い
かされてヘトヘトで戻ってきても、直に補給させて近海の警備任務に着かせたり、色々と酷かったのでち」
神通「……」
川内「そう気を落とすなって、神通。今の私達は前とは違うんだからさ。とにかく!今はこの夜を満喫しよう!」
ヒュー……ドン ドン ドン ドン……パラ パラ パラ
阿賀野「川内ちゃんはお姉さんだねー」
川内「な、何さ急に…」
阿賀野「うふふ、神通ちゃん見る時の川内ちゃんはとっても優しい目をしてるよー」
神通「え?」
川内「ち、ちょっと…そういうのガラじゃないからやめてってば!」アタフタ
阿賀野「んふふー」ニコニコ
ヒュー……ドン ドン ドン ドン……パラ パラ パラ
神通「今年は、いい年になりそうですね」
イムヤ「うん!」
ゴーヤ「ゴーヤ達でもっといい年にするでち!」
まるゆ「はい!」
川内「よーし、それじゃ景気付けに夜戦しよ!」
神通「しません!」
川内「えぇ~!?やーせーんー!」
神通「だからしませんってば!」
阿賀野「あははは!」
~大特訓~
-大本営-
元帥「後輩提督の容態は?」
大淀「意識不明、こん睡状態です」
元帥「その後、新鋭中将は大本営から逃走、行方をくらましたままか」
大淀「はい…鎮守府はもぬけの殻、艦娘達もその全てが消えていて消息不明です」
元帥「新鋭中将の捜索には大将1に随時捜索を続行するよう伝えろ」
大淀「了解しました。それと、例の提督鎮守府から新たに五名、艦娘が先ほど大本営へ到着したとの報告です」
元帥「そっちは大和を向かわせてある」
大和「お越し、お待ちしておりました。提督大佐」
提督「度々すまんな」
長門「よろしく頼む」
木曾「長門も陸奥も阿武隈も、思ったよりも元気そうでホント良かったぜ」
阿武隈「ごめんね、傷は癒えてるんだけど…」
大鳳「今は謝る時じゃないわ」
陸奥「ええ、必ず…また戻るんだから…!」
提督「それじゃ大和、済まないが案内とかこいつらにしてやってもらってもいいかな」
大和「はい、元帥からも仰せつかってますから、提督大佐は先に元帥の居る執務室へどうぞ」
提督「感謝する」
大和「訓練メニューですが、こちらで設定させて頂いてます。長門さんと阿武隈さん、木曾さんと大鳳さんでそ
れぞれペアを組んで取り組んで頂きます。陸奥さんは、提督大佐が補佐に入ります」
陸奥「えっ!?て、提督って戦えるの?」
大和「うふふ、戦うだけが訓練ではありませんよ?それに今のあなたは両手が使えない状態です。実践的な訓練
は以ての外です」
陸奥「あ、あはは…」
大和「こちらが演習場になります。模擬弾を使用した演習を基本とし、対人、対深海棲艦を模した演習も行えます」
木曾「はぁ~…流石に規模はちげぇもんだな。よっしゃあ!早速……」ザッ
大和「今日は演習も訓練も行わないので、悪しからず」クスッ
木曾「えぇ!?」
大和「最終段階の試験演習として、私の率いる演習部隊と模擬演習を行ってもらいますので、気を引き締めて下さいね」
長門「元帥の第一秘書艦であるお前が自ら先陣に立つのか」
大和「飾りではない、と言うのを誇示したいだけかもしれませんね?因みに、前回は榛名さんと一対一で勝負し
ましたが、彼女は強かったですね。まぁ、まだ先の話ですからまずは基礎を身に付ける部分から取り組めば宜し
いかと思います」
阿武隈「…………」
大鳳「阿武隈、どうかしたの?」
阿武隈「あっ、ううん、なんでもないよ?」
大鳳「そう?それならいいのだけど…」
長門「……今日は訓練はないのだろう?ならば、少し休みたいのだが」
大和「ええ、そうですね。では皆さんのお部屋に案内します」
-大本営・執務室-
元帥「……まぁ、そんな訳だ。君が命を賭けて捕らえてくれたのに、目に余る失態を犯した」
提督「……新鋭中将提督。そうか…!」
元帥「ん?」
提督「後輩があの夜、うちへ急襲してきた時、もう一人仮面をつけた女が居たんです」
元帥「仮面の女?」
提督「仮面のせいで声はくぐもり、聞き取りにくかったんですが、腰に差していた将校剣…あれは今思えば中将
以上の提督が帯刀できる刀剣」
元帥「つまり……新鋭中将がもぐらだと言うのか」
提督「…まず、間違いなく。あの後輩は、あの性格からして必ず周囲を卑下し、罵倒をするような奴です。それ
に激昂した振りを装って強引に乱入し口を封じた。時間は掛けるものじゃなく賭すもの…俺の鎮守府では時間を
掛け過ぎて後手に回った。最後のチャンスとして、後輩が余計な事を喋らない内に始末しに行った」
元帥「そこまでのリスクを背負うと言う事は…」
提督「恐らく、海軍の機密から何まで、その殆どを掌握し終えている。もしくは、互いの情報を天秤にかけて、
もっともリスクがない方を選択した、と考えるのが妥当ではないかと思いますね」
元帥「大局的に見れば、こちらが後手に回らざるを得なくなったと言う事か」
提督「一つ、後輩からは情報を仕入れています。北方海域、その奥地には深海棲艦の泊地の一つがあると…」
元帥「何…?」
提督「以前に大淀から確認も含めて聞いた事があります。現在、我々の進捗状況としては、北方海域のモーレイ
海付近までしか進軍できていないと…その先にあるキス島へはうずしおの関係もあるのか、進行が思うようにい
かないとか…」
元帥「その通りだ。キス島周辺に発生しているうずしおは特殊でな、ある一定の速度を維持できる艦でないと島
まで辿り着けんのだ。そして今現在、キス島には支援、救援を待っている者達が多く存在する」
提督「……!何故、何故それを各泊地の鎮守府へ通達しないんですか!」
元帥「お前が今自ら言っただろう。うずしおの問題もあって、近付くに近付けないのだ。戦艦や正規空母を編成
していこうにも、途中のうずしおで進路を逸らされてしまう。おまけにあの周辺にはフラグシップ型やエリート
型の深海棲艦の巣窟にもなっている」
提督「それと救援を欲している一般市民や身内を捨て置くのは訳が違うでしょう!?北方海域には鎮守府だって
あったはずです!」
元帥「はぁ、君のそういう真っ直ぐな部分がね、時折眩しすぎて困る」
提督「なっ…」
元帥「上に立つとな、大きな声ほど聞こえなくなり、小さな囁きほど良く耳に入る。現状を維持すべきである。
十居る大将全員の意見はそうだった。無論、反論する中将連中は居た。私の娘もその一人だ」
提督「それでも、力でねじ伏せた…」
元帥「解決策がないのだ。あらゆるルートを模索し、全て試したがどれも外れる。あのうずしおは、天然の要塞
なんだよ」
提督「くっ……!」(速力のある艦娘なら、きっとあのうずしおにも翻弄されずに目的地まで到達できるはずな
のに…何故、その結論に至らないんだ……ま、まさか!)
元帥「……」
提督「…既に、一度試みてるんですね?そして、失敗した…速力のある艦娘を集めての迅速の一手、それすらも
功を奏さなかった」
元帥「…その通りだ。駆逐艦を旗艦とした水雷戦隊で三度に渡ってキス島の攻略に向かったが、一隻として戻る
艦娘は居なかった。それ以降、北方海域は現時点では足踏み状態にしかならないと判断し、西方海域への進行へ
と作戦を切り替えたのだ」
提督「そう、ですか…解りました。無礼な発言、申し訳ありませんでした。自分は一旦、これで失礼します」ペコッ
本日はここまで
皆様こんばんは
本日も宜しくお願いします
-休憩室-
提督「はぁ……やっちまった」
陸奥「何をやっちまったのよ」
提督「うおっ…む、陸奥か」
陸奥「人を幽霊でも見るような目で見ないでよ」
提督「あぁ、いや…すまん」
陸奥「珍しいわね。提督がそんな顔するなんて…よく言われない?顔に出てるって」
提督「うぐ…」
陸奥「ふふっ、解りやすいもの提督は」
提督「…そんなにか?」
陸奥「そうねぇ…少なくとも、鈍感な子でも解る程度には、かしら?」
提督「はぁ……」(前にもなんか言われた気がするな…そんなような事)
陸奥「私のサポートしてくれるんでしょ!だったら、そんな辛気臭い顔されたままじゃ困るのよ。ほら、気合い
入れなさい、気合い!」
提督「お前元気だね」ニガワライ
陸奥「ええ、そりゃあもう。沢山後悔したし、泣いたし、吹っ切れたもの。それに、約束したでしょ」
提督「あぁ、そうだったな」
陸奥「そうそう!両手治して、死なない程度に提督をフルボッコにする!」
提督「えっ、そっち!?」
陸奥「…何よ。なんか文句でもある?」
提督「いや、ほら…言葉の端々に矛盾点が存在するというかね?」
陸奥「どの辺り?」
提督「死なない程度、なのにフルボッコとはこれいかに?」
陸奥「言葉の文よ」
提督「さいですか…」
木曾「おっ、なんだよ、こんな所に居たのか、提督!」
陸奥「あら?」
木曾「よう、陸奥。体調はどうだよ?」
陸奥「ええ、万全よ。両手以外はね」
木曾「へっ、俺ぁ別に心配してやんねーからな。這い上がって来いよ。戦艦の底力、見せてくれ」
陸奥「言われるまでもないわね。それより、あなたは何しに来たのよ」
木曾「いやー、おいそれと来れる所じゃねぇからな。探検だ、探検♪」
提督「あのな、お前…ここは遊園地じゃねぇんだぞ」
木曾「わぁってるって!どうせ明日からはそんな余裕もなくなんだろ?」
提督「解ってるならあまりはしゃぎ過ぎるなよ」
木曾「ジッとなんてしてらんねぇだけだよ。提督、俺はこの手の届く範囲の全てのモン守れるようになってみせ
るぜ。期待しててくれよ…!」
提督「はは、気合入りまくってるな。その勢い全部空回りさせんじゃないぞ」
木曾「へっっへっへぇ、見事新生木曾様として生まれ変われたら、そん時は褒美の一つや二つは期待していいんだよな?」
提督「そうだな。何かしら考えてやろう」
木曾「ふふん、アリだな」
提督「言っとくが、無茶振りはナシだからな。ほら、さっさと自分の部屋へ戻れ」
木曾「へーへー、解りましたよ。じゃあな、陸奥!」
陸奥「ええ、また明日」
提督「ったく、困った奴だ」
陸奥「ソワソワして落ち着かないのよ、きっと」
提督「人並みって奴か」
陸奥「そっ、強がっても人並みって事よ」
提督「陸奥も明日からリハビリ開始だ。体休めておけよ」
陸奥「はいはい、解ったわよ」
~魔の海域、モーレイ海~
-執務室-
提督「ふぅ…」
榛名「暇っすね?」
提督「パクるな。残念だが案外暇じゃない」
榛名「ですよね。それでその後、陸奥さんの経過はどうですか?」
提督「昨日だったか、指が動くようになってな。だが腕や手首といった部分の動きがまだてんでダメだ」
榛名「そうですか…」
提督「まぁその代わりと言っちゃなんだが、長門、木曾、大鳳が戦線に復帰だ」
榛名「阿武隈ちゃんは?」
提督「長門が付きっ切りで世話焼いてたんだがな。どうにも、艦娘同士の演習ならまだいいが、相手が深海棲艦
となると手も足も止まってダメみたいだ」
榛名「そう、なんですか」
提督「暫く阿武隈はメンタルケアの為に再度艦娘病院へ戻し、陸奥は引き続き大本営で復帰に専念させる」
榛名「長門さん達の戻りはいつになるんですか?」
提督「それはまだ解らん。ただ最終調整には入ったと聞いたから、近い内に戻ってくるのは確かだ。日付を指定
しての強化カリキュラムだったんだがな…思いの他、手間取ったみたいだ。さて、あいつらの情報は以上だ」
榛名「はい!えっと…今日は遠征任務が二つ、第一艦隊の出動任務……これ」
提督「どうした?」
榛名「モーレイ海哨戒任務が発令されています」
提督「巡り巡ってって訳ね。リベンジか…榛名、この資料をコピーしてファイリング、会議で全員に配布する」
榛名「これは?」
提督「モーレイ海で確認が取れてる深海棲艦の種別と航路の最短を記してある」
榛名「いつの間にそんなものを」
提督「何も常にボーっとしてる訳じゃないんだぞ?」
榛名「常にボーっとしてると思ってました…榛名、反省します」
提督「」(#^ω^)
榛名「どうかしましたか?」
提督「はぁ、怒ると疲れるからやめる」
榛名「???」
-会議室-
提督「全員集まったな」
榛名「それでは本日の任務を割り振らせてもらいますね。一つは潜水艦哨戒任務です。これはイムヤちゃん、
ゴーヤちゃん、まるゆちゃん、夕張さん、四名で行ってもらいます」
夕張「おっけーぃ!任されて!」
イムヤ「夕張、遅刻ゲンキンだよ!」
ゴーヤ「この前は30分待たされたでち…」
まるゆ「が、頑張りましょう、夕張さん!」
夕張「ぐぬぬ…」
榛名「もう一つは…敵地偵察作戦です。水雷戦隊を編成、北方海域の敵情勢を偵察する任務です」
提督「前回、モーレイ海で敗退した経緯もある。偵察任務とは言えども油断は禁物だ。速力を活かした迅速かつ
的確な情報収集が要求される。今回、向かってもらうのは北方海域の偵察任務だ」
榛名「こちらの任務は天龍さん、龍田さん、白露ちゃん、夕立ちゃん、時雨きちゃんの五名で行って下さい」
龍田「任せて~」
天龍「おう、やってやらぁ!」
白露「よーし、ガンバろー!」
夕立「頑張る!」
時雨「うん、任せて」
榛名「午後、昼食後に第一艦隊に任務が通達されています。作戦名:モーレイ海哨戒任務、です」
提督「こっちも同じ北方海域だ。十分に注意を払って欲しい。既に資料は配ってあるから、方針と対策を固めた
上で抜錨すること」
榛名「この任務は私、榛名が旗艦を務めます。随伴艦は霧島、赤城さん、瑞鳳さん、衣笠さん、羽黒さんの計六名」
提督「残りのメンバーは待機し、演習など行うこと。緊急時にいつでも出撃できるように構えておけ。俺は第一
艦隊との通信に従事するために作戦室に篭る」
艦娘達「「「了解!」」」
本日はここまで
皆様こんばんは
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-準備室-
霧島「榛名、貴女その艤装を装備するの?」
榛名「うん」
衣笠「あぁ、そっか。霧島さんはまだ榛名ちゃんの本気見てないもんね」
霧島「へ?」
羽黒「ふふ、凄いですよ。榛名さん」
赤城「榛名さんには、期待してしまいますね」
瑞鳳「私達も頑張るんだから!」
榛名「はい、私一人じゃ何も出来ませんから、赤城さんや瑞鳳ちゃんにも大いに期待しちゃいます」
霧島「ふふっ、そう言う事なら特訓の成果、見せてもらうわよ。お三方?」
赤城「そうですね」
瑞鳳「こっちも同じくらい期待しちゃうからね!」
霧島「さてっ!戦力の分析をしないとね。提督から貰った資料だと、モーレイ海に出没している深海棲艦はその
殆どがフラグシップ型とエリート型…前回、長門さん達が遭遇したレ級やその上位に位置する深海棲艦がモーレ
イ海に出現したのはイレギュラーって事だったけど…」
羽黒「油断はせずに、ですね」
衣笠「哨戒艦隊でも既に目撃されてるだけで軽巡ホ級のフラグシップ型、重巡リ級や雷巡チ級のエリート型……
はぁ、結構面倒なのが多く居るんだよねぇ」
羽黒「本隊には空母ヲ級、戦艦ル級のフラグシップ型も確認されてます」
霧島「装甲厚いのは私や榛名で対処かしら」
赤城「昼戦なら上空から援護爆撃します」
衣笠「夜戦になったら私と羽黒ちゃんが大暴れしちゃうわよ」
榛名「取る陣形にもよりますけど、敵の数は未知数ですから、燃料や残弾に気をつけて進みましょう」
霧島「これから出発する天竜達の偵察報告が途中ではいると思うから、それも念頭に置かないとね」
-港湾-
天龍「よし、お前ら準備はいいか?」
白露「問題なーし!」
時雨「万が一の修理要員も配備したよ」
夕立「出発進行!いつでもいけるっぽい!」
龍田「それじゃ提督、いってくるわよ~」
提督「あぁ、だが不測の事態は常に念頭においとけよ。危ないと判断したら───」
提督&天龍「「何を置いても撤退に専念すること」」
提督「む…」
天龍「わぁかってるって。お前の下に居た期間はなげぇんだ。任せなって」
龍田「いざという時は私が引き摺って帰るから大丈夫よ~」
提督「天龍は名言が多かったからな。内心、不安が勝るんだよ」
天龍「なっ…!どういう意味だ、それ!」
提督「オレを第一線から下げるな、だの…死ぬまで戦わせろ、だの…何度両手両足切り落として口にガムテープ
貼って物言わぬ生きたオブジェにしてやろうと思ったからしれん」
天龍「」ピキッ
白露「え、えぐい…」
夕立「ははは…」
提督「けどまぁ、いざって時は龍田がブレーキ役に徹してくれてるしな。偵察任務、頼んだぞ」
龍田「ええ、報告は確認した段階で提督へ通信で伝えるわね~」
天龍「おう、任せな!よっしゃぁ!抜錨だッ!!」
-大本営-
長門「くっ…!」
大和「もう終わりですか?ビッグセブンの名がそれでは廃れてしまいますよ?」
木曾「長門、こんなもんじゃねぇだろ!」
大鳳「あなたの底力、見せて上げなさいよ」
那智「戦意はまだある。なら、徹底的に行くわ」
木曾「へっ、上等だぜ…この木曾様を甘く見てるとどうなるか、教えてやる!」
雲龍「貴女の艦爆、艦攻隊はその程度かしら?」
大鳳「いいえ、まだまだこれからです。私達だって、ここで足踏みしてるわけには行かないんです!」
長門「その通りだ…私はもう二度と、膝はつかない!」
大和「では……続きと参りましょう!」ジャキッ
長門「今度こそ守り切る。視界に入る全てを、私のこの手で守り抜く!その為に、こんな前座で足踏みしている
暇はない!木曾、大鳳!一斉に仕掛けるぞ!」
那智「何…?」
雲龍「あなた、正気!?」
大鳳「まだまだ…私の優秀な子たちは、こんなものじゃない!本当の力を見せて上げて!」ビュン ビュン
雲龍「くっ…稼働全機、発艦始め!」ビュン ビュン
木曾「いいねぇ…本当の戦闘ってヤツを、教えてやるよ!」ヒュッ
ボボボボボボン
雲龍「そんなっ!私の艦載機が押された!?二人とも、爆撃に注意を…」
大和「雲龍の艦載機が押し負けたの!?」
那智「ちっ」
バゴォォォン
那智「くっ…なんとか避けきれたか…」
木曾「へへっ、妙高型二番艦、重巡洋艦の那智、だったな。テメーの妹分の羽黒はどうだったよ?強くなってたろ」
那智「……!」
木曾「俺には自慢の姉達が居てよ……けど、長女と四女は墓の中だ。だから今度はもう手放さねぇ。姉妹だから
とかカンケーなく、俺も俺の視界に映る全てを今度こそ守る!誰にも邪魔はさせねぇ!強くなるって決めたから
とかそんな小せぇ決意じゃねぇ!強くなきゃ守れねぇなら、何処までだって強くなる!あえて言うぜ…そんな俺
に勝負を挑む馬鹿は何奴だぁ!?」ビュッ
那智「」(こいつ、何処まで速く…!)サッ
木曾「それで逃げたつもりなのかい?」フッ
那智「なっ…!?」
雲龍「」(那智が背後を取られた!?)
木曾「弱すぎる!!」ドン ドン
ボボボン
那智「ぐっ…ああっ!これくらいの傷…!なんてことは……」 中破
木曾「そうかい。けど、この勝負は俺の勝ちだ」ジャキッ
那智「……っ!」
木曾「当然の結果だ。別に騒ぐほどのこともない」
那智「……参った」
大鳳「よそ見していられる余裕があなたにあるの!?」ビュン ビュン
雲龍「…ッ!」バッ
ボボボン
雲龍「近代化改修だけの性能じゃない…なんなの、これは!」
大鳳「一度は捨てた命。もう一度拾われた命。恥の上塗りは二度目までで十分よ。三度目なんてない…二度ある
事も三度目はない!あるのは、その先に見える希望だけ!鎮守府の皆と、提督と、勝利を刻む!もう二度と、負
けないわ!」ビュン ビュン ビュン ビュン
雲龍「なっ……その、艦載機の数は!」
大鳳「演習だろうと関係ない。徹底的に叩きのめす!」バッ
ボボボボボボボボン
雲龍「きゃあっ」 大破
大鳳「勝負ありね!」
大和「第一、第二主砲。斉射、始め!」ドォン ドォン
長門「全主砲、斉射!撃て!!」ドォン ドォン
ボゴゴゴゴゴゴゴォォォン 相殺
木曾「うぉ…火花散ってんなぁ」ニヤ
大鳳「長門さんならきっと大丈夫よ」
那智「勝者の余裕か」
木曾「あぁ?仲間の一騎打ち見ちゃいけねぇなんてルールは別にねぇだろ。俺とお前、大鳳と雲龍の勝負だって
決着(カタ)ついてんだからよ」
那智「ふん…蛇足だったな。しかし、あの大和と真正面から撃ち合うとは…演習とは言え、正直驚きだ」
雲龍「はぁ、もう…容赦ないんだから。服がボロボロよ」
大鳳「容赦できる相手じゃありませんでしたから」
雲龍「ふふ、褒め言葉として受け取っておくわ」
大和「戦艦大和。推して参ります!」ヒュッ
長門「ふん…ビッグセブンの力、侮るなよ!」ビュッ
ガシィッ
長門「力比べか…!」
大和「だと、したら!?」ググッ
長門「臨むところだ!」ググッ
大和「じゃあ、これなら?」ジャキッ
長門「…っ!?」
ドォン
ボゴォォン
大和「え……?」
長門「……零距離の一撃、確かに食らえば一溜まりもないが、今のは経験が生きたよ。ふふ、経験者はかく語り
きってやつだな。ふんっ!」ブンッ
ズドンッ
大和「くっ……!」ザザザッ
長門「さぁ、決戦の仕上げと行こうか」ジャキン
大和「」(強い…目に宿る光、意志の強さ、鋼の闘争心。彼女の覚悟は、本物。榛名さんと全く同じ……彼女達
の放つ意志の強さは並大抵のことで培われたものじゃない。一体、どこからこれほどまでの力が……)
長門「狙いは外さん!確実に狙い撃つ…!」サッ
大和「…………」
弾着観測射撃
ドォン ドォン ドォン ドォン
大和「……見事です」
ボゴォォォン
-モーレイ海・近海-
羽黒「……帰ってきた」
衣笠「大丈夫よ、羽黒ちゃん。私達は強くなったんだから!」
榛名「今度こそ、この海を制覇します!」
赤城「皆さん、艦載機の子たちからの報告です」
瑞鳳「北北東、この先を少し進んだ所で哨戒艦隊を捕捉」
赤城「敵の数は六隻、フラグシップ型の軽巡ホ級を旗艦とし、随伴として重巡リ級、軽巡ト級、雷巡チ級、駆逐
ロ級二隻、随伴してるのは全てエリート型」
霧島「決まりね。この方角を突き進みましょう」
榛名「うん!赤城さんと瑞鳳ちゃんは艦載機の準備を!」
瑞鳳「オッケー!」
赤城「お任せ下さい!」
-モーレイ海・奥地-
??「マタ、ショウコリモナク?」
??「ツクヅク、不運ナ子たちネ」
??「そうか、キタノカ…ならバ、ここで息の根、止めテやる…」
??「貴女ガ行カナクテモ、私ガ……」
??「果たすコトが本来ハない、この海域デ出会うノモ、何かの縁ネ。だかラこそ、私が相手ヲする。貴様ハ、
今暫クハ蓄えに備エテおけ。西方へ戦力を集中シテいる大将クラスの艦隊、アレも目障りダ」
??「装甲空母鬼が陣を張ってはイルが、万が一を考慮セヨ、と通達モ出ている。私とお前は、そっちが先ダ」
??「ワカッタワ。仕方ナイワネ」
??「泊地棲鬼、クレグレも…」
泊地棲鬼「無論だ。出し惜シミなど一切シナイ。全力デ捻じ伏せル。哨戒艦隊トノ交戦に入っタのを確認後に、
奇襲ヲかけて一気に仕留メル」
本日はここまでー
皆様こんばんは
本日も宜しくお願いします
-モーレイ海-
霧島「距離、速度、よし!全門斉射!!」ドォン ドォン
ボボボボボン
リ級EL「コンナ、コトガ……」 轟沈
衣笠「同じ重巡と一緒にしないでよね!ほら、そこ!もう一発!!」ドン ドン
ボボボボン
ホ級FS「グガ…ッ!……オノレェェェッ!!」 中破
羽黒「これ以上、やらせません!」ドン ドン
ボゴォォォォン
ホ級FS「ナゼ、ダ……」 轟沈
瑞鳳「やった!」
赤城「……っ!」バッ
榛名「赤城さん?」
赤城「くっ……!」キリキリキリッ
瑞鳳「え、赤城さん何を…」
赤城「第二次攻撃隊、全機発艦!」ビュン ビュン
ボボボボボボボン
羽黒「えっ!?」
衣笠「全機撃ち落された!?ど、どこから!」
赤城「皆さん、装備換装を急いで!まだ…まだ居ます!!」
泊地棲鬼「見事ナ集中力……賞賛ニ値する。哨戒艦隊トノ交戦が終わっテ、気が緩ンダ一瞬を狙おうト思ってた
ノニ……私の存在ニ気が付くナンてね」
提督『おい、どうした皆!』
榛名「提督、新手の深海棲艦です」
提督『新手?まさか、レ級か!?』
羽黒「ち、違います…この、威圧感……」
衣笠「あんた、まさか装甲空母鬼とか呼ばれてた奴?」
泊地棲鬼「あいつヲ知ってルのか。だが的外れダ。私は泊地棲鬼……覚えてオケ、それが今から貴様達ヲこの海
の水底へと誘うモノの名だ」
霧島「たった一隻で…!?」
泊地棲鬼「たった?ふふっ、ハハハハハッ!分ヲ弁えろ。私一人デ、十分と言う意思表示ダ。新型にも足踏みを
スルような連中ニ、私達ガ遅れヲ取るとデモ思ったか?」
榛名「やってみなくちゃ、解りません!」
泊地棲鬼「なるホド…それも一理ある。ならば、快進撃を進める貴様等提督鎮守府ノ戦力のホド、見させてもら
いまショウか」
提督「泊地棲鬼……やはり、北方海域の奥地には深海棲艦の泊地の一つが存在する。他の海域で防衛や護衛に当
たっている上位の深海棲艦が居ても不思議はない、ってことか」
提督「……榛名、霧島、赤城、瑞鳳、衣笠、羽黒。この状況はまだ想定の範囲内だ。そして、深海棲艦たちに対
して、痛撃を加える絶好のチャンスでもある。お前たちの力、その泊地棲鬼に見せ付けてやれ!」
衣笠「…よしっ!お達しも出たね」
羽黒「皆さんの背中は私が守って見せます!」
榛名「あなたは、ここで倒します!」
泊地棲鬼「面白イ……」ニヤッ
ブゥゥゥゥゥゥン
泊地棲鬼「……艦載機。目障リネ」
赤城「……第一次攻撃隊、皆お願い!」
瑞鳳「機先を制します!」
泊地棲鬼「いつマデも、我が物顔デ飛ばレルのは不愉快」ビュン ビュン
赤城「……っ!」
瑞鳳「か、艦載機!?」
ボボボボボン
瑞鳳「ま、また…!」
泊地棲鬼「……」ジャキッ
霧島「皆、散って!散開ッ!」
衣笠「速い!」
羽黒「……!」
泊地棲鬼「このモーレイ海ヲ、アナタ達の沈む海ニして上ゲル」ドォン ドォン
ボゴォォォン 相殺
泊地棲鬼「ナニ……?」
榛名「……」
泊地棲鬼「貴様…なのか、今ノハ」
霧島「……」(今の速度に反応して撃ち落したと言うの!?)
榛名「金剛型三番艦戦艦榛名!全力で参ります!」ヒュッ
泊地棲鬼「バカな…!この、動き!」サッ
榛名「そこ!」ドン ドン
泊地棲鬼「チッ」グッ
ドォォォン
衣笠「いくよ、羽黒ちゃん!」
羽黒「はい!」
泊地棲鬼「重巡洋艦…?」
衣笠「青葉型の二番艦!衣笠さんよ。覚えておきなさい!」サッ
羽黒「重巡洋艦の火力、お見せします!」サッ
泊地棲鬼「左右に分カレて展開ダト…小賢しい真似ヲ!」バッ
霧島「」(二人とも速い!これが、大本営で受けたという訓練の成果!?)
衣笠「振り回して…」
羽黒「照準を…」
泊地棲鬼「こいつら、タダ散開シタわけではない…!この、私の狙いヲ…ッ!」
衣笠「ほら、そこ!」ドン ドン
泊地棲鬼「舐めるナ!」ブンッ
ボボボン
羽黒「それなら…!」ドン ドン
泊地棲鬼「この程度…!」バッ
ドォォォン
榛名「直撃!」
泊地棲鬼「……」 被害軽微
羽黒「効いて、ない…?」
泊地棲鬼「フン…アナタ達と一緒にされたら困るノヨ」
衣笠「それなら、もう一発!!」ドン ドン
泊地棲鬼「無駄ダ、重巡洋艦!」ブンッ
ボボボボボン
衣笠「なっ…」
羽黒「砲撃を、片手で吹き飛ばした…」
霧島「これが、鬼と呼ばれる深海棲艦の力…」
泊地棲鬼「細切れにシテやる…ッ!」ドン ドン ドォン ドォン
霧島「い、いけない!」
衣笠「なっ…!」
羽黒「……っ!」
ボボボン ボボボボボン
榛名「衣笠さん、羽黒ちゃん!」
衣笠「…っ!まだまだ、この程度は!」 小破
羽黒「被弾…二番砲塔、けど…まだ行けます!」 小破
泊地棲鬼「本体へ直撃ト言うワケにはいかなカッタか。だが、戦力ハ半減だな?」
衣笠「冗談…この程度、まだまだよ!」バッ
羽黒「まだ、負けた訳じゃありません!」サッ
霧島「援護するわ!」ドォン ドォン
ボゴォォン
泊地棲鬼「……あの戦艦の主砲ヲ雲隠れニ使って、コッチの視界ヲ……なるホドね」
衣笠「この、距離ならぁ!」ジャキッ
泊地棲鬼「当たレバね?」クルッ
衣笠「っ!」
ボゴォォン
衣笠「ごほっ…!」 中破
羽黒「まだです!」ドン ドン
泊地棲鬼「無駄ダト……」グンッ
ドォォン
泊地棲鬼「…二度も言ワセるな」 無傷
榛名「横に飛んで!羽黒ちゃん!!」
泊地棲鬼「遅いわネ」ブンッ
羽黒「ぁ……」
ズドォッ
羽黒「あぐっ……!」 中破
泊地棲鬼「はぁ…イイ加減、諦めタラどう?無意味よ、アナタ達の掲げる、理想モ、力も、この現実スラも!」
榛名「そんな道理は、実際に私達を沈めてから口にして下さい!」
衣笠「榛名ちゃん…」
羽黒「す、凄い、気迫…」
榛名「私達は、多くの犠牲の上に立っているんです。想いを、希望を、未来を、完遂できずに散って逝った仲間
達、彼女達の成し遂げられなかった無念を私達は背負っているんです!だから、諦めるなんて言葉自体、無意味
です!」
泊地棲鬼「ふっ、ふふふ……アハハハハ!けど、散っていったんデショう?結局、力がナイから、散ったノよ。
目の前の現実ヲ御覧なサイ。勇んできた割にハ、大したコトもない」
衣笠「このっ……」
羽黒「くっ……」
榛名「仲間への冒涜は、榛名が許しません!」ジャキッ
泊地棲鬼「許しヲ請うとデモ?コノ世は弱肉強食、敗者、弱者に意見ヲ口にスル道理はナイ。最も、弱いカラ負
け、負けたカラ死んだ…死人に口ナシ、と言うコトね。その死人ノ代弁をシタいのなら、勝つコトね」
榛名「…………」(大和さんと演習をしたときに、確かに感じ取れた。散って逝った皆の想い、願い、託された
んだって…驕りかもしれないけど、それでも汲めるのなら、私はその想いを全て背負ってみせる)
ヒュンッ
泊地棲鬼「ッ!?」(なんだ、コノ艦娘……今マデの、ヤツと、違う!?)
榛名「この主砲の本当の力、知らないって言うなら教えて上げます!」
霧島「」(あれは、46cm三連装砲……操りきれるの、榛名!?)
泊地棲鬼「分不相応ナ獲物ヲ…!」ジャキッ
榛名「主砲!砲撃…開始っ!!」ドォン ドォン
泊地棲鬼「忌々シイ…艦娘風情ガッ!」ドォン ドォン
ボゴオオォォォォォン
霧島「くっ…!」
羽黒「きゃっ」
赤城「榛名さんは…!」
瑞鳳「あっ、あれ!」
衣笠「と、飛び上がってる!?」
泊地棲鬼「なんだ、ソノ動きは…」
榛名「空から降ってくるのが艦爆隊の攻撃だけだと思ったんですか?」ジャキッ
泊地棲鬼「小賢しい、マネを…!」グッ
榛名「遅い!」ドォン ドォン
泊地棲鬼「おの、れ…!」ググッ
バヒュッ
ドドドドドドッ
榛名「外した…?違う、避けられたの!?」ザザッ
泊地棲鬼「水底へ沈めッ!!」ドォン ドォン
榛名「させない!」ドン ドン
ボボボボボボン 相殺
泊地棲鬼「出の早い副砲で誘爆ヲ引き起こシタのか!?コノ艦娘、ナンなんだ…装甲空母鬼の出しテタ情報トは
全く違う…戦艦榛名、この艦娘ハ…確実にコノ場で沈めなけレバ…」
榛名「絶対、負けない!」ジャキッ
泊地棲鬼「……いいワ。実力は認めてアゲル。だから、私も本気デお前達ヲ排除スル……」
ズズズズズズズ……
霧島「なっ、今度は一体…」
ザバァァァァ……ッ
赤城「な、何…あの黒い球体は…」
瑞鳳「四つもある…」
衣笠「見て、泊地棲鬼の姿が…!」
羽黒「髪の毛の色が白く…」
泊地棲姫「……忌々しい艦娘共、この姿ヲ見て、無事で居らレルと思わないコトね。浮遊要塞、隊列を整えなさ
い。陣ハ輪形陣…!」
サササッ
榛名「要塞…!?」
霧島「冗談きついわね。あそこからまた、更に性能を向上させたって言うの…?」
榛名「そんな、あそこから更に進化なんて…」
泊地棲姫「能アル鷹は爪ヲ隠す、と諺にアルだろう。始めカラ見せるバカ等居ない。けど認メルわ。アナタ達…
特に、戦艦榛名……貴様ハ強い。だからこそ、ここで沈めル!」
本日はここまでー
皆様こんばんは
少しだけ投稿します
提督「……状況が伝わってこない。泊地棲鬼に何かがあったのか。それとも、何か変化があったのか……」
ピピピピッ ピピピピッ ピピピピッ
提督「…!これは、別働隊の識別通信?はい、こちら提督鎮守府……」
赤城「残りの艦載機が、もう直尽きる……」
瑞鳳「くぅ、先の戦闘と初回で私も殆ど…」
榛名「赤城さん、瑞鳳ちゃん、二人は戦線を一度離脱…安全地点まで後退後、提督に通信で事の顛末の説明をお
願いします!ここは、私が食い止めて見せます!」
衣笠「ちょっとぉ、榛名っちゃーん、それは水臭いなぁ」
羽黒「私達だって、居ます」
霧島「悔しいけど、あの泊地棲姫自体には私達じゃ歯が立たない。けど、貴女があれとタイマン張れるくらいの
射線確保はして見せるわ」
榛名「霧島、皆…」
赤城「榛名さん、残りの全艦載機……榛名さんに託しますよ」
榛名「赤城さん」
赤城「大丈夫。皆、優秀な子たちですから」スッ
キリキリキリ……
瑞鳳「よしっ!」リョウホホ パンパン
榛名「瑞鳳ちゃん」
瑞鳳「任せて下さい、榛名さん!空母組は、皆さんの道を切り開く殿も一緒です!」スッ
キリキリキリ……
赤城「そう、この道は…」
瑞鳳「私達が…!」
二人「「切り開きます!」」
ビュオッ
赤城「全艦載機、空を割いて道を切り開いて!」
瑞鳳「お願い、あともう一度だけ…!」
ビュン ビュン ビュン ビュン
衣笠「羽黒ちゃん、まだ動けるよね。うちらは両脇のを!」
羽黒「はい!釘付けにします!」
霧島「正面で邪魔しているのを弾き飛ばすわ。だから榛名、貴女は真っ直ぐ、泊地棲姫に向けて進みなさい!」
榛名「皆、ありがとう。榛名、全力で参ります!」
泊地棲姫「フッ、性懲りもナク、また艦載機にヨル特攻か」
衣笠「最も、艦載機にだけ意識集中させれるならしてなさいよ。代わりに地上から鉛玉ありったけブチ込んで上
げるから!」グンッ
羽黒「二人の意志が篭った艦載機、そう易々と落とさせはしません!」サッ
浮遊要塞A「ギギ……」
浮遊要塞B「グギ……」
泊地棲姫「空と水上カラの波状攻撃!?オノレ、くたばり損ナイ共…!」
霧島「二人とも、合わせて!」バッ
衣笠「お任せ!」
羽黒「はい!」
霧島「主砲!敵を追尾して!撃てっ!!」ドォン ドォン
衣笠「私は左舷!」ドン ドン
羽黒「右舷、狙います!」ドン ドン
ボゴォォォォン
ドォォン ドドォォン ボゴォォォン
霧島「榛名!」
赤城「後を、お願いします!榛名さん!」
瑞鳳「いけーっ!」
浮遊要塞A「ギィ……!」 中破
浮遊要塞B「グゥ……!」 小破
浮遊要塞C「ギガガ……!」 大破
浮遊要塞D「ギギギ……」ジャキッ 被害軽微
ドォン ドォン
榛名「当たるもんですか!皆、ありがとう!」バッ
赤城「さぁ、瑞鳳さん…私達は一度退いて離脱です!」
瑞鳳「的にされて迷惑掛けるわけにはいかないものね」
赤城「皆さん、お願いします…!」
泊地棲姫「何度でも、何度でも……何度デモッ!水底へ沈め続ケル!貴様等艦娘がコノ世から全テ消え失せルま
で、何度だっテ、沈め続ケルぞ!先ずハ、貴様等カラな!」
泊地棲姫『何度でも、何度でも……何度デモッ!水底へ沈め続ケル!貴様等艦娘がコノ世から全テ消え失せルま
で、何度だっテ、沈め続ケルぞ!先ずハ、貴様等カラな!』
提督「……この声、泊地棲鬼の声か?何度でもって…どういう意味だ。あいつらは、一体何なんだ…」
榛名「それなら、私達は何度でも貴方達を退けてみせる!この世界から、深海棲艦の脅威を一遍も残さず、撃滅
します!」
泊地棲姫「やれルものナラやってミロ!力の差ヲ思い知らセ、絶望へ誘っテやる!!」ザッ
ドォン ドォン
ボボボン ボボボボボン
榛名「くっ…!主砲!一斉射ッ!!」サッ
ドォン ドォン ドォン
泊地棲姫「当たるモノか!」サッ
ボボボン ボボボボボボン
泊地棲姫「浮遊要塞、ヤツの足ヲ一時止メロ!」
浮遊要塞D「キィィィ……!」ドォン ドォン
ボボボボン
榛名「くっ、もう一隻、あれを落とさないと…」ジャキッ
泊地棲姫「何処を狙ッテいる、馬鹿め!」ジャキッ
榛名「しまっ……」
ボゴオオォォォォン
霧島「…ッ!榛名!!」
バシャァァン
霧島「くっ…!至近弾…これじゃ、榛名の援護に向かえない!」
浮遊要塞C「……」ニヤァ
霧島「衣笠も羽黒も、あの浮遊要塞相手で手一杯……なんとか、なんとかしないと!」
モクモクモク……
浮遊要塞C「……」ドン ドン
霧島「ちっ……!」サッ
ボン ボボボン
霧島「近付けない…あっ……!」
ギチギチギチ……
榛名「うっ、あぁ……」
霧島「は、榛名ッ!!」
泊地棲姫「フフッ、所詮艦娘……私達に逆ラッタらどうナルか、身に沁みたデショウ?」
霧島「榛名を離しなさい!」
泊地棲姫「ソレは命令か?ソレを、私が聞くと思うノか?今やコイツは、私の匙加減一つデ生死を左右出来る状
態にアルんだぞ?そんな口を利イテもいいのか?」
霧島「うっ……」
泊地棲姫「あはははははッ!ソノ顔だ、そう!そうだ!ソノ顔だ!!恐怖に慄き、絶望し、ソシて挫けて二度ト
逆らえナイように、徹底的に蹂躙スル!大した錬度ノ艦娘であろう、この戦艦榛名ヲ血祭りにスルコトで、その
狼煙が上げラレるのだ!!貴様等艦娘風情デハ、深海棲艦には敵わナイと言うコトを知らしメル!」
霧島「何処までも、卑怯な…っ!」
泊地棲姫「フッ、それヲ私達の間デは『負け惜しみ・弱者の戯言』ト言うンダよ。コノ世は弱肉強食…弱者、敗
者に語る資格ナドはないッ!!」
榛名「負け……る、もの、です……か……っ!」
泊地棲姫「ほぅ、マダそれホドの力を……が、それもココまでだ。楽しかっタヨ、戦艦榛名……」グッ…
───艦隊────に続け!───
霧島「えっ…今の、声は……」
泊地棲姫「なっ……!」バッ
ドドドドドン
ザバァン
榛名「けほっ、こほっ…」
泊地棲姫「おのれ、一体ドコから…」
??「さぁ、どこだろうなぁ!?」ドン ドン
泊地棲姫「ちっ…!」ブンッ
ボボボン
ブゥゥゥン……
泊地棲姫「今度は艦載機ダト!?おのれぇぇ……!浮遊要塞ッ!!」
バッ バッ バッ バッ
ボゴォォォォン
霧島「黒い球体を壁にして自分への被害を抑えた!?けど、これで……!」
衣笠「な、何が起こったのよ!」
羽黒「あ、あれ、見て下さい!」
霧島「赤城と、瑞鳳?その後ろに……」
衣笠「あっはっは…頼もしい援軍じゃないのよ。でも、もうちょっと、早くても良いんじゃないかなぁ…」
木曾「そうでもねぇだろ。むしろグッドタイミングってヤツだったんじゃねぇの」バサァ
大鳳「これ以上の被害拡大は、もうありえないわ」
長門「榛名、世話を掛けた。貸していた迷惑の分、今ここで返済しよう」
榛名「な、長門さん…それに、皆……けほっ、こほ…」
木曾「選手交代、お前等は休んでな。こいつは俺達が相手するからよ」
泊地棲姫「軽巡洋艦風情ガ、私の相手ダト?」
木曾「軽巡洋艦?あぁ、ちょっと前まではな。今は、重雷装巡洋艦の木曾様だ!二文字で名前も覚えやすいだろ?
深海に戻っても呪詛の如く、この水面に届くくらいに俺の名前を呟き続けな!」
長門「赤城、瑞鳳、後は任せてくれ。お前達は休んでいてくれて構わない」
赤城「加勢しようにも、艦載機の残りがもうなくて…すみません」
瑞鳳「大鳳、あと…お願いね!」
大鳳「ええ、任せて。徹底的に叩きます」
泊地棲姫「戦艦、装甲空母、重雷装巡洋艦…イイだろう、何がコヨウガ無意味だと解らせテやるッ!!」
本日はここまでー
皆様こんばんは
本日も宜しくお願いします
『ザー……ザザー……て…く……提督!』
提督「っ!」ガシッ
提督「その声は、赤城だな!?戦況はどうなった!」
赤城『榛名さん、衣笠さん、羽黒さんが中破、霧島さんが小破、私赤城と瑞鳳さんは全艦載機を出し尽くし、戦
線離脱です。ですが、入れ代わる形で長門さん、木曾さん、大鳳さんが援軍として到着しました』
提督「……そうか、間に合ったか。しかし、榛名、衣笠、羽黒に霧島、お前達まで揃っていても泊地棲鬼を出し
抜けなかったってのか…」
赤城『厳密には、緒戦は完全に榛名さん一人で押していました。ですが、姿を変え兵装を換装して、再度相手は
挑んできたんです』
提督「姿を変貌させた…?それだけならまだしも、それで兵装まで変わって戦力まで変化・上昇させたっていう
のか…どうなってるんだ、あいつらは…」
赤城『仮に、泊地棲姫を退ける事が出来たとしても、この先への進出は困難です』
提督「…あぁ、解ってる。今から別働隊を編成、泊地棲姫との戦闘を物量で押し切って、そのままモーレイ海に
鎮座してる深海棲艦を一掃する」
赤城『私と瑞鳳さん自体はほぼ無傷です。物資さえあれば継続して航行は可能ですが…』
提督「そうか。天竜たちにも急遽、現任務を放棄し、手持ちの資材をそっちへ届けるように指示を出した。彼女
たちから資材を受け取って、その後の戦況に応じて任務継続へ移るかどうか判断してくれ」
赤城『了解しました!』
木曾「さぁて…仲間甚振ってくれた分の礼をまずはしねぇとな?」スラ…
泊地棲姫「刀、ダト…?」
木曾「おう。てめぇをぶった斬るには十分な獲物だぜ?」
泊地棲姫「私を、斬る?ソンな矮小な武器デ私を仕留める気デいるのか?」
大鳳「私達三人を相手にすれば、隙の一つや二つは出来るんじゃないですか」バッ
ビュン ビュン
泊地棲姫「……艦載機」
長門「さて、見る所戦艦型か…殴り合いなら付き合ってやるぞ?」グッ
泊地棲姫「たかが……艦娘、三匹に……コノ私が遅れヲ取るものかッ!!」サッ
ビュン ビュン
木曾「しょっぱな!任せるぜ…大鳳!!」ザッ
大鳳「上等よ!第一次攻撃隊、全機発艦!!」バッ
長門「いくぞっ!散開ッ!!」ググッ
ボゴゴゴゴォォン
泊地棲姫「なっ…オノれぇぇ……ッ!」 小破
ヒュー……
大鳳「いい風ね。この風が、そのまま私達に勝利をもたらす」
木曾「っしゃあ!大鳳、お手柄だぜ!さぁて、深海棲艦に本当の戦闘ってヤツを、教えてやるよ!」ヒュンッ
泊地棲姫「チッ…!」スッ…
ビュオッ
泊地棲姫「くっ…!」サッ
木曾「デカブツから先に掻っ捌くか」クルクル チャキッ ジャキッ
泊地棲姫「刀と砲塔ヲ同時に……舐めたマネを……ッ!」
長門「おおおおおっ!!」ブンッ
ドンッ
泊地棲姫「がはっ…!うぐ、このヨウな……」 小破
木曾「調子乗りすぎだぜ、深海棲艦…幹部クラスだかなんだかしんねぇけどよ…」
大鳳「……第二次攻撃隊、次発発艦準備完了よ」サッ
長門「貴様等の界隈じゃ、弱肉強食なのだろう?ならばこれが必然だな」
泊地棲姫「お、ノレ……ッ!」
木曾「…へへっ、居るのかどうかもわかんねぇけど、お前等の指揮官は無能だなぁ!」
泊地棲姫「何ヲ…!?」
木曾「たった一匹で俺等どうにかできるとか本気で思ってる時点で終わってるってんだよ。ざけんな!」
長門「見縊らないで貰いたいな」
木曾「……いくぜ、深海棲艦」ギラッ ザッ
ドン ドン ドン
泊地棲姫「その程度の、砲撃ナド!」サッ
木曾「あぁ、避けれるだろうな。だがよ…それで逃げたつもりなのかい?」グンッ
泊地棲姫「なっ……」
ザザザンッ
泊地棲姫「ガアアアアアアアッッ!!」 中破
大鳳「第二次攻撃隊、発艦!敵を掃射します!」ビュン ビュン
ボゴォォォン
泊地棲姫「ガハッ…ま、まだ…だ……まだダアアアアアアァァァッ!!」ジャキッ 大破
長門「いいや、これで終わりだよ。覚えておけ、私は長門型一番艦、戦艦長門……貴様等深海棲艦を駆逐する者だ!」
泊地棲姫「」(この三人…先の榛名同様の強さヲ秘めてイルというのカ。馬鹿ナ、ありえナイ…負けるノカ、私ガ……)
ドォン ドォン
ササッ
バシャァァァン
長門「ビッグセブンの力、侮るなよ」ジャキッ
弾着観測射撃 ドォン ドォン
ボゴォォン ボゴォォォン
泊地棲姫「────」(侮っていタノは…私の、方……気を付けろ、リコリス…他の者達、コイツ等は……)
木曾「やったか!?」
泊地棲姫「……ワタシモ…モドレルノカ…アオイウミノウエニ……」 轟沈 ブクブクブク……
大鳳「え…?」
長門「……戻るぞ、二人とも」
大鳳「あっ、ええ…」
木曾「榛名達の手当てもしねぇとな」
大鳳「」(なんだったの、さっきの言葉は…)
-執務室-
翔鶴「────以上が今回の任務の報告になります」
提督「おう、サンキューな。急遽の出撃で疲労感も一入だろ。翔鶴たち六名は十分に休息を取ってくれ」
翔鶴「ありがとうございます、提督」
川内「ふんふふーん、ふんふーん♪やっせんー、やっせんー、やーせーんー♪やっせんはぁ~、いいよぉ~ねぇ~~~~♪」
提督「……なんだ、あれ。無駄にビブラート効いてんぞ…」
翔鶴「うふふ…夜戦、沢山できたみたいで、とても幸せそうです」
金剛「あんなに上機嫌な川内初めて見るネー」
筑摩「大活躍でしたもの、今回は『うるさい』なんて言っちゃダメですよ、提督」
提督「へぇへぇ、わかりましたよ。今回は長門たちの帰還と未知だった新手の深海棲艦を一匹しとめる事も出来
たしな。収穫としても十分だ。何より、モーレイ海を制圧できたのが大きい。これでキス島へ向けての攻略準備
も一段と進めることが出来るはずだ」
金剛「それで提督ぅー、榛名や霧島達はダイジョーブなのー?」
提督「ん、ああ…問題ない。結構傷だらけで帰ってきたからこっちも大層心配したんだがな……」
榛名「こんなんじゃダメですね。私ももっともっと頑張らないと!」
衣笠「ほーんと、少し自惚れてたかなぁ。これじゃ青葉に笑われちゃうよ。私も精進精進!」
羽黒「意気込みだけじゃやっぱりダメですね。私も、もっと強くなる為に努力します!」
赤城「お腹が空きました!」
瑞鳳「私も!提督!ご飯ご飯!」
霧島「傾向と対策の研究が疎かでした!もっとデータの集積を進めないと…」
提督「…って感じで微塵も心配する余地がなかった」
金剛「そ、そうなんだ…よ、良かったネー」
比叡「あの子達、なんか無駄に逞しくなってますね。私も負けてらんないな。ねっ、お姉さま!」
金剛「あ、暑苦しいのは私勘弁ヨー…」
提督「とにかく、今回は収穫も多かった。霧島も言ってたが、敵の戦力も徐々に開示されてきている。勿論、あ
れで全てのはずもないだろうがな。傾向と対策の練り直しは必須だろう」
-???-
リコリス「……泊地棲姫が、死ンダ」
新鋭提督「…そう。そこまで力を付けたのね」
装空鬼「ドウするの?」
新鋭提督「恐らく近代化改修による戦力強化でしょうね。けど、こちらの戦力が全て割れてるわけじゃない。
リコリスと装甲空母鬼の二人は身を晒してるから既に相手も知ってるでしょうけど、その力まではまだ把握して
る訳ではない」
装空鬼「ならば、次ハ私が……」
新鋭提督「いいえ、彼らには暫く北方海域で足を止めてもらうわ」
リコリス「あの子を出す気ナノ?」
新鋭提督「あら、心配?」
リコリス「……まぁ、ドウセ彼女も一緒に居るコトだろうし、問題はナイと思うケド……哀れナノは、相手ネ」
新鋭提督「無垢は時として何よりも邪悪なのよ」
リコリス「一体、何人の艦娘がアクタンの餌にナルのかしらね…」
装空鬼「マスターにしては、早急な対応ニ奔るノネ」
新鋭提督「あら、私も一応提督よ?戦術眼くらいは持ってるわ。蛮勇じゃない所を見せて上げるわよ」
装空鬼「ナラ、私も準備に入るトしよう」
リコリス「…第二幕、どんな進路を取るノかしら。楽しみネ」
本日はここまで
でもってPart3とか着いてるけど第一章的な感じで、区切りよくこのスレもここまで
次回以降、新スレで第二章書きたいと思います
ここまで長ったらしいものを読んでくれた人、本当にありがとう!
二日位してから依頼スレへ報告します
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