トレーナー「クチート、かみくだく!」
クチート「クチィ!」ゴキッ
ガブリアス「ガァ・・・ヴ」ズシーン
対戦相手「ば、バカな・・・ガブリアスがクチートに負けるなんて・・・」
トレーナー「よく頑張ったなぁクチート!ほら、おいで」
クチート「クチ!」トコトコ ピョン
トレーナー「お~よしよし、クチートたんはホントにいい子でちゅね~♪」スリスリ
クチート「クチィ…///」
クチート(困ったな…オレ、本当はオスなんだけど…)
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クチート「はぁ…」
サーナイト「あら、どうなさったんですのクチートさん?せっかくバトルに勝ったのに元気がありませんね」
クチート「あ、姉さん・・・いや実は…その・・・」
サーナイト「もしかして悩み事・・・ですか?あの、わたくしでよろしければご相談に乗りましょうか?」
クチート「え?いいんですか?」
サーナイト「ええ。だって同じマスターに仕える仲間ですもの。困ったときはお互い様ですわ」ニコ
クチート「あ、ありがとうございます。じゃあ、どうぞ隣に座ってください」
サーナイト「それで、お悩みというのは?」ストン
クチート「はい・・・最近こう思うんです。オレ、本当にこのパーティに居てもいいのかなって…」
サーナイト「えっ!?急になにをおっしゃるんですか?マスターはわたくし達の事を本当に可愛がってくれていますよ?」
サーナイト「特にクチートさんはマスターのお気に入りじゃありませんか」
クチート「だからこそ、です。マスターがオレの事を気に入ってくれてるのは、もちろん分かってます」
クチート「でも…もしマスターが、オレが本当はオスだと知ったら?」
クチート「どんなに傷つくかと思うと・・・オレ、なんだかマスターを騙してるような気がして・・・」
サーナイト「クチートさんの言わんとしてること・・・分からないわけじゃありませんわ」
サーナイト「わたくし達のパーティはクチートさん以外全員女性ですし、クチートさんが肩身の狭い思いをなさってるのも分かります」
サーナイト「でもね?クチートさん?わたくし達のマスターが、性別だけでポケモンを差別するような方だとお思いですの?」
クチート「えっ?」
サーナイト「わたくしも、クチートさんも、グレイシアさんも、エーフィさんも、ミミロップさんも、チラチーノさんも・・・確かにトレーナーさんたちの間ではいわゆる【通好み】といわれるポケモンたちばかりですわ」
サーナイト「でもマスターは邪な下心ではなく、純粋な愛情を持ってわたくし達に接してくれています」
サーナイト「マスターとの付き合いが一番長いわたくしが言うのですから、間違いありませんわ」ニコ
サーナイト「クチートさんだって、内心では気づいてるんじゃありませんか?」
クチート「それは・・・そうかも知れませんけど…でも、このままオスなのを隠し続けるのも気が引けるし…」
クチート「かといって、オレ達の言葉はマスターには通じないし、どうすれば・・・」
サーナイト「うーん…むずかしい問題ですわね・・・」
エーフィ「それなら、いい方法があります」
サーナイト「エ、エーフィさん!」
エーフィ「突然申し訳ありません。盗み聞きするのは失礼だとは思ったのですが・・・」
エーフィ「話の内容が思いのほか深刻だったので仲間として見過ごす事はできませんでした」
クチート「それは構いませんけど…方法ってなんですか?」
エーフィ「これからお話します。この作戦を成功させるにはサーナイトの協力が必要不可欠なのですが・・・協力していただけますか?」
サーナイト「ええ、もちろんですわ!」
エーフィ「ご協力感謝します。では、まず・・・」
トレーナー「ふぁぁ・・・そろそろ寝るか・・・」
クチート「クチ!」
トレーナー「おー!クチート!今日は大活躍だったな!」
クチート「クチィ!」トコトコ ピョン
トレーナー「お?なんだなんだ?一緒に寝てほしいのかな~?この甘えん坊めっ!」ナデナデ
クチート「クチィ・・・」ウトウト
トレーナー「なんだ?もう眠く・・・あれ?なんか・・・俺・・・も・・・」フラフラ
ゴロン
トレーナー「zzzzzz・・・」
クチート「・・・」スヤスヤ
エーフィ「どうやら作戦は成功のようですね」
チラチーノ「お兄ちゃんだいじょうぶかなあ…?」
エーフィ「我々は最善を尽くしました。後は彼の健闘を祈るだけです」
グレイシア「しっかし、アンタも意外といい所あるじゃない。それでもう少し愛想がよければ可愛いのにねぇ」
エーフィ「なっ!?マスターに対して常にツンツンした態度ばかりの貴女には言われたくありません!」
グレイシア「べ、別にどんな態度だろうが私の勝手でしょ!?私は別にあいつの事、なんとも思ってないんだから!」
エーフィ「おや?では何故そこまでムキになるのですか?」ニヤ
グレイシア「そ、それは・・・!」
チラチーノ「ふ、ふたりともケンカはやめて~!」
ミミロップ「そうだよー。そのせいでマスターとクチートが起きちゃったらどうするのさ?」
グレイシア「ご、ゴメン・・・」
エーフィ「私も大人気ありませんでした・・・」
サーナイト(クチートさん・・・がんばってくださいね…!)
トレーナー「う、うーん・・・ここは・・・」
トレーナー「この洞窟は・・・!懐かしいなあ、クチートと初めて出会った洞窟じゃないか!」
トレーナー「ちょうど2年前、ここで野生のあいつと出会ったんだっけな・・・」
クチート「クチィ!」
トレーナー「クチート、お前も来てたのか!この洞窟、覚えてるか?懐かしいよなぁ」
クチート「・・・」スゥ
トレーナー「ん?どうした?」
クチート「あっ、あの!マスター!」
トレーナー「え?え!?お前、言葉を・・・!?」
クチート(やった!マスターと言葉が通じてる!)
~回想~
エーフィ『まず、私とサーナイトが廊下の曲がり角の陰に隠れます。クチートはその付近でマスターを引き留めてください』
エーフィ『この時、近過ぎても遠過ぎてもいけません。マスターに我々が見つかっては意味がないので』
エーフィ『マスターをギリギリまで引き付けたら、サーナイトが催眠術をかけて二人同時に眠らせ、同じ夢の中に送り込みます』
エーフィ『現実では不可能でも、夢の中ならクチートの言葉を伝える事も可能なはずです』
エーフィ『しかし、流石に貴女一人の力でこれだけの作業をこなすのは困難でしょう』
エーフィ『そこで、私がサーナイトに瞑想をかけ、特殊能力を強化します』
エーフィ『これなら二人を同じ夢に送り込む事も可能なはずです』
クチート『エーフィさん・・・オレのためにそこまで・・・!』ジワ
サーナイト『クチートさん、この作戦必ず成功させましょうね!』
クチート『はい!オレ、頑張ります!』
~回想終了~
クチート(姉さん、エーフィさん・・・ありがとうございます!)
クチート「マスター、今まで隠してましたが・・・オレ実はオスなんです!」
トレーナー「え?え?」
クチート「黙っててごめんなさい…マスターを騙すつもりじゃなかったんですけど…」
クチート「けどオレがオスだって知ったらマスターが傷つくかもしれないと思って・・・」
クチート「でも、このまま黙ってるのもマスターを騙してるみたいで気が引けて・・・」
クチート「けど、伝えようにもオレの言葉はマスターには通じないし…オレ、どうしていいのか分からなくて・・・」
クチート「もしオレのこと嫌いになったなら、オレ出ていき・・・」
トレーナー「知ってたよ」
クチート「え?」
トレーナー「お前がオスだってこと、最初から分かってたよ」ニコ
クチート「で、でも・・・さっき、オレがオスだって言ったとき驚いて・・・」
トレーナー「そりゃそうだよ。いきなり自分のポケモンが喋ったら誰でも驚くだろ?」
クチート(そ、そっか・・・マスターはこれが夢だって知らないんだった・・・)
トレーナー「でも、こうしてお前と話せるなんて、まるで夢みたいだなぁ」
クチート(夢なんですけどね…いや、夢だけど夢じゃなかった!ってやつか)
クチート「でも、それならどうして、オスのオレをあんなに可愛がってくれたんですか?」
トレーナー「ちょうどいいや。その事も含めて色々とお話ししようか?隣においで」
クチート「は、はいっ!」ピョコ
トレーナー「なぁクチート。なんで俺がお前の事を気に入ってるか、分かるか?」
クチート「い、いえ・・・」
トレーナー「俺がかわいいポケモンが好きなのは事実だ。見た目でお前を気に入ったってのも、確かにある」
クチート「はい・・・」
トレーナー「けどな、それ以上に気に入ったのは、お前のその健気さなんだよ」
クチート「健気さ?」
トレーナー「そう。お前は体は小さいし、種族値だって決して高い方じゃない」
トレーナー「にも関わらず、お前はどんなに強いポケモンが相手でも一歩も引かなかった」
トレーナー「そのせいで大ケガしたこともあったっけなあ」
クチート「あ、あの時は心配をおかけしてすいませんでした・・・」
トレーナー「あははは。いいんだよ。けど、ずっと不思議に思ってたんだ」
トレーナー「トレーナーに懐いてるってだけで、ポケモンがそこまで無茶するもんなのかなって…」
トレーナー「でも、お前の話を聞いてたら納得できたよ。クチート、お前は俺の期待に応えようとしてくれてたんだよな?」
クチート「は、はい・・・」
トレーナー「オスである自分を可愛がってくれるマスターを、失望させたくない。嫌われたくない」
トレーナー「だからせめてバトルだけでも・・・そう思ってたんだろ?」
クチート「はい・・・」ウルウル
トレーナー「バカだなぁ。俺がオスかメスかでお前を嫌いになるわけないだろ?」
クチート「マスター・・・」ジワ
トレーナー「でもそうとは知らず、お前はその小さな体で必死に戦って、散々思い悩んで、一人で苦しんでたんだよな・・・」
トレーナー「今まで気づいてやれなくてゴメンな?」ナデナデ
クチート「ま・・・マスタぁ…」ポロポロ
トレーナー「今まで無茶し続けて辛かっただろ?もう我慢しなくていいんだぞ」ナデナデ
クチート「・・・!マスターッ!!」ガバッ
トレーナー「よしよし・・・気が済むまでこうして泣いてていいからな」ギュ
クチート「うぁぁぁぁん・・・ますたぁ・・・」ポロポロ
トレーナー「俺たちはずっと一緒だ。これからもよろしくな?クチート!」
クチート「・・・は・・・はいっ!」ゴシゴシ
クチート「よろしくお願いします、マスター!」ニコ
翌朝
トレーナー「・・・あれ?ここは・・・?」
トレーナー(そうか…昨日クチート抱きつかれて、急に眠くなってそのまま廊下で寝ちゃったのか…)
トレーナー(じゃあ、あれは夢だったのか…そうだよな・・・ポケモンが喋るわけないか・・・)
クチート「クチ!クチ!」ピョンピョン
トレーナー「おはようクチート!昨日いい夢を見たんだ。あの時の洞窟でお前とお話ししてな・・・」
クチート「クチィ!」
トレーナー「って言っても分かるわけないか。けど言葉は通じなくても、俺たちはいつも一心同体だ。そうだろ?クチート?」ナデナデ
クチート「クチィ!」ニコ
クチート(はい!マスター!)
おしまい
ポケモンssは初挑戦だったけど、予想以上に大変だった…
長いことやってないけど、久々にポケモンやってみようかな
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