希「一日だけのシンデレラ」 (79)
ラブライブSSです
のぞまきです
ゆるゆると
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部室
希「…」ジーッ
がちゃっ
凛「お疲れ様にゃー!!」
真姫「お疲れ様」
花陽「お疲れ様ー」
希「おぉ、みんな、今日も一日お疲れ様ー」
花陽「あれ、他の子達は?」
希「にこっちは補習、2年生3人組は生徒会の仕事、絵里ちはその手伝いやね」
希「あんまり時間はかからないらしいからもうすぐ戻ってくると思うけど…」
凛「にこちゃん…、卒業できるのかにゃー…」
希「あはは、まぁよっぽどのことがない限りは大丈夫…、やないかな?多分」
花陽「あれ、希ちゃん、それって…シンデレラの絵本?」
希「ああ、これ?図書室にあったから借りてみたんよ」
真姫「なんで今更絵本?」
希「あはは、うちの両親は家におることが少なかったからなぁ」
希「絵本とか読んでもらったことがなくて」
真姫「…ごめんなさい」
希「ええんよ、気にせんで」
凛「なら凛が絵本読んであげるにゃ!」
花陽「凛ちゃん、昔から絵本大好きだったもんね」
凛「そうそう、希ちゃんはこの話がどうなるか知ってるかにゃ?」
希「いや、聞いたことはあるけど覚えてないかなぁ…」
凛「なら凛が教えてあげるね!」
真姫「読み聞かせるのになんで教えちゃうのよ」
凛「シンデレラを散々いじめた継母には焼いた石の靴履かせて踊らせて、ガラスの靴に足が入らなかったお姉様たちは足を切るんだよ!!」
花陽「えっ、えええええ!?凛ちゃん!?」
真姫「まったく」ボスンッ
凛「いったーい!何するにゃ、真姫ちゃん」
真姫「それはグリム童話の話でしょ。ていうかなんでそんなこと知ってんのよ」
希「…そんな怖いお話なんや…」
花陽「いや、違うよ、あのね?」
希「なんか読む気なくなってしまったよ…」
凛「ごめんにゃ…」
ガチャッ
にこ「にっこにっこにー☆遅れちゃいましたぁー」
ドヨーン…
にこ「って何この空気!?」
真姫「まさかにこちゃんの入れ知恵じゃないでしょうねぇ?」
凛「そうだよ?」
にこ「はぁ?なんの話よ!!」
真姫「グリム童話のシンデレラ」
にこ「…」
にこ「…にこぉ、なんのことかわからないにこー」
花陽「にこちゃん…」
希(みんな仲良いなぁ…)
希「はぁ…」
凛「…希ちゃん?どうしたにゃ?」
希「え?ううん、なんでもないよ」
にこ「そんなことより、早く屋上に行くわよ」
花陽「え?でもみんな揃ってないよ?」
にこ「絵里たちは直接屋上に向かうって。さっき廊下ですれ違って、ここの連中に伝えてって言われたのよ」
凛「パシらされたんだにゃ」
にこ「うるさーい!!いいから行くわよ!!」
「はーい」
屋上
にこ「連れてきたわよー」
絵里「悪かったわね、にこ」
にこ「部長だしね、仕方ないわよ」
絵里「恩に着るわ」
海未「にこ、ありがとうございます。では全員揃いましたし、練習始めましょうか」
海未「まずは各自ペア組んでストレッチを行います」
海未「今日は穂乃果と凛、私とことり、にこと花陽、希と絵里のペア、真姫は一人でお願いします」
真姫「わかったわ」
ストレッチ中
希「はぁ…」ボーッ
絵里「希、希!」
希「えっ?」
絵里「その、背中押してくれるかしら」
希「ああ、ごめんな」
絵里「どうしたのよ、ボーっとして。らしくないわよ」
絵里(けどどうせ)チラッ
絵里(真姫を見てたんでしょうね)
真姫「…絵里、どうかした?」
絵里「ああいや、なんでもないのよ、なんでも」
真姫「…そう」
にこ「希はまた真姫ちゃん見てボーっとしてんのね…」
花陽「ねぇ、にこちゃん」
にこ「まぁ、きっとそうでしょうね」
にこ「けど、私たちが口出しすることじゃないから」
にこ「助けるのは求められてからでいいわよ」
花陽「…そうだね」クスッ
にこ「なに?なにがおかしいの?」
花陽「にこちゃん、大人だなって」
にこ「ふっふーん、そうでしょ!?」
海未「また希が呆けてますね…」
ことり「海未ちゃん、わかってるでしょ?」
海未「真姫のことでしょう?」
ことり「流石に海未ちゃんも気付いてるよね…」
海未「流石にとはどういうことでしょうか?」ニコニコ
ことり「やーん、海未ちゃん怖いっ♪」
海未「しかし、あの状態で練習を続けられるのは困りますね…」
ことり「私たちがなにかしてあげられればいいんだけど…」
穂乃果「よーし、行くよ凛ちゃん!!」
凛「任せるにゃあー!!」
ほのりん「ふぎぎぎぎぎっ!!」
練習後
海未(やはり今のままではまずいですね…。早急に手を打たなければ)
絵里「にこ、海未、少しいいかしら?」
にこ「なによ」
海未「希のこと、ですよね」
絵里「やっぱり海未も気付いてる?」
海未「ええ、ことりも気付いています」
にこ「花陽も気付いてたわ。というか気付いてないのは…」
凛「ねえ、穂乃果ちゃん!!こういうのどうかな!?」
穂乃果「すごい、いいよぉ凛ちゃん!!」
海未「あの二人と…」
希「…」ボーッ
真姫「...」
にこ「本人たちだけ、よね…」
絵里「予想通りと言ったところね」
海未「しかし、私たちはどうすればいいんでしょうか?」
にこ「そうねえ…」
絵里「それなら私に考えがあるの。任せてくれるかしら?」
にこ「にこは構わないけど、海未は?」
海未「私もそれで希が練習に集中できるのなら…」
絵里「決まりね」
絵里「待たせてごめんなさい、それじゃあ帰りましょうか」
穂乃果「それじゃあみんなで帰ろーっ!」
絵里「えっと…、ごめんなさい。私は希と話があるから一緒には帰れないわ」
穂乃果「そっかー、残念だけど仕方ないよね」
ことり(穂乃果ちゃん…)
凛「ラーメン食べて帰るにゃー!」
海未「ダメです!太りますよ?」
花陽(凛ちゃん…)
ことぱな(本当に気付いてないんだ…)
希「どうしたん?絵里ち。うちに話って」
絵里「希、最近ため息多いわよね」
希「んー、そうかな?そんなつもりないけど」
絵里「多いわよ、明らかに…。今日だって練習中に何度もため息ついてたもの」
希「そんなこと」
絵里「真姫のこと好きなの?」
希「な、なな、なんで真姫ちゃんの名前が出てくるの?」
絵里「最近真姫から「希が私のことすごく見てくるんだけど…」って相談を受けたの」
希「えっ、そうなん…?」
絵里「あ、真姫」
希「えっ!?」
絵里「う・そ♪」
希「うぅ…恨むで絵里ちぃ」
絵里「あれで隠してたつもりだったの?みんな気付いてるわよ?」
希「…嘘やろ?」
絵里「…ごめん、みんなってのは嘘だけど…。ほとんど気付いてるわよ」
希「うち、どんな顔して練習出ればいいん…?」
絵里「まぁまぁ、みんな心配してるみたいだし、折角だし協力してもらっちゃいましょ」
希「でも…」
絵里「きっとみんな親身になって協力してくれるわよ」
絵里「友達、なんだから♪」
翌日
部室
にこ「さて、今日みんなに集まってもらったのは他でもないわ。実はのぞ」
海未「希と真姫についてなのですが」
にこ「最後まで言わせなさいよ!!」
絵里「真姫には今日は練習は休みだと伝えてあるから、解決策が出るまで話し合いましょう」
穂乃果「なになに?二人がどうかしたの?」
ことり「穂乃果ちゃん…」
花陽「希ちゃんと真姫ちゃんを応援しようって話だよ、穂乃果ちゃん」
凛「えーっ、二人とも付き合ってたのぉ!?」
希「付き合ってはないけど…」
穂乃果「けど?」
にこ「これから付き合う予定だもんね?ね、希?」ニヤニヤ
希「もー、にこっちぃー!!」
ことり「けど、いずれはそうなりたいんだよね?」
希「それは…」
海未「ですが私たちができるアドバイスなんて限られてますよね。恋愛経験皆無ですし…」
凛「穂乃果ちゃん、なにか思い浮かんだー?」
穂乃果「うーん、全然!!」
にこ「あんたたちには誰も期待してないわよ…」
希「ええんよ、うちのためにこうして集まってくれただけで十分やから。練習もちゃんと集中するから。ごめんな」
絵里「希…」
花陽「あっ、そうだ!!!」
海未「どうかしたのですか?花陽」
花陽「あのね、こういうのはどうかな…?」
・・・
穂乃果「おー、なるほどぉ!!」
ことり「それ、素敵かも♪」
海未「なかなかロマンチックですね」
凛「さっすがかよちんにゃー!」
にこ「だけど結局は」チラッ
希「…」
にこ「あんた次第だからね?」
絵里「私たちは手助けはするけど、それ以上は何もできないわ」
絵里「押しつけがましかったかもしれないけど、私たちは希に協力したいの」
希「みんな…、うちのためにありがとうな」
希「…うん、うち、頑張る!!」
翌日
練習後
希「真ー姫ちゃんっ」
真姫「どうしたの?」
希「土曜日空いてる?」
真姫「そうね…、特に予定はなかったはずだけど」
希「ならさ、遊園地行こうよ!!一緒に!!」
真姫「え、えええ…、遊園地…?」
希「どう?」
真姫「絵里を誘ったらどう?私は遊園地とか子供っぽいところは…」
希「絵里ちは明日忙しいんやって。だから…」
希(にこっち、使わせてもらうな)
にこ『まず私からね』
にこ『真姫ちゃんは遊園地に誘うと『そんな子供っぽいところ、興味無いんだけど…』とか言うと思うのよね』
凛『ぷっ、うぷぷっ』
にこ『なによ?』
凛『今の真姫ちゃんの物真似、そっくりだったにゃ!』
にこ『アイドルたるもの、芸の一つや二つくらい持ってないとね!』
ことり『それはアイドルとあんまり関係ないような…』
海未『にこ、話が脱線してますよ』
にこ『ああ、ごめんごめん』
にこ『それで、断った真姫ちゃんにこう言ってやるのよ!!』
にこ『ダメ…かな?』キャルーン
全員『…』
にこ『ちょっと、なんとか言いなさいよ!!!』
穂乃果『それじゃあ普段のにこちゃんじゃん!!』
にこ『そりゃにこがやってるんだからにこよ!!』
にこ『ほら、希。絵里を真姫ちゃんだと思って』
希『うん…』
希[上目遣いで、少し俯いた儚げな表情で…]
希『えっと…、ダメ…、かな?』
絵里『ぶはっ!!』
花陽『え、絵里ちゃああん!!!』
絵里『ハ、ハラショーよ希…。これで真姫は落ちるわ…。私、もうダメみたい…』
花陽『絵里ちゃん、絵里ちゃーん!!!』
にこ『何よこの茶番…』
希(えっと、上目遣いで、儚げな表情で…)
希(真姫ちゃんの袖を掴むんだっけ…?)
希「真姫ちゃん…、ダメ、かな…?」ウルウル
にこ(涙目とのコンボ!!)
にこ(そんなことまで教えてないのに、私の予想を遥かに凌駕している…)
にこ(さすが希…)
絵里「ぶはっ!!」
花陽「えっ、絵里ちゃーん!!!」
真姫「あー、えっと…、その…、わかったわよ…」
凛「あー、真姫ちゃん顔真っ赤にゃー!可愛いんだー!!」
真姫「うるさい!!」ボスンッ
凛「うぐぅっ!!」
希「やったぁ、ありがとぉ真姫ちゃん」ニコニコ
真姫(もう、あんなに喜んじゃって…。案外子供っぽいところもあるのね、希)クスッ
希「それじゃ、エスコート期待してるよ?」
真姫「なんで私が…」
にこ「あれー、もしかして真姫ちゃんエスコートできないのぉー?」
真姫「で、出来るわよそれくらい!!」
にこ「なら希に見せてあげたら?そのエスコートとやらを」
真姫「っ!!わかったわよ!!後悔させてやるんだから!!」
希「えへへっ、楽しみにしてるね」
真姫「まぁ、昨日嫌な思いさせちゃったしね…」
希「それは言わない約束よ?」
ことり「それじゃあ、エスコートついでに真姫ちゃんを王子様に変身させちゃうね♪」
真姫「はぁ!?あんたたち、好き勝手言ってんじゃないわよ!!」
ことり「真姫ちゃん…、おねがぁいっ!!」
海未「ぶはっ!!」
穂乃果「うっ、海未ちゃーん!!」
真姫「もう…わかったわよ。好きにすれば?」
ことり「ありがとぉっ。それじゃあ一緒に帰ろっか♪」
希(にこっち…、みんな…。うちのためにありがとう…)
今回はここまで
ありがとうございました
再開します
約束の時刻 一時間前
希(うー、早く着きすぎてしまったかな)
希(楽しみすぎて早起きしてしまったうちのせいやけど…)
希(…でもこうして好きな人を待ってるのもデートのうち、かな)
希(うぅ、寒っ…)
約束の時刻 30分前
希(あ、あれは…)
希「真姫ちゃーん!!」ブンブン
真姫(あんなに手振っちゃって。子供みたい)フリフリ
希(うち、ちゃんと可愛いかなぁ…)
希『わざわざ朝早くにごめんな』
ことり『ううん、希ちゃんのためだもん♪』
希『でも、こんなことまでしてもらって申し訳ないよ…』
ことり『気にしないの。私が好きでやってることだもん』
ことり『それに、真姫ちゃんとはうまくいってほしいって思ってるから』ニコッ
希『うん、ありがと…』
ことり『せっかくのデートなんだから笑顔だよ!!』
希『うんっ』
ことり『それじゃあまずはお洋服のコーディネートからねっ!』
ことり『最後にこうして…、と出来たっ♪』
ことり『鏡見てみて?』
希『…わっ、これ、うち?』
ことり『お姫様をイメージしてみました♪』
希『なんかうちじゃないみたい…』
ことり『自信持って!すっごく可愛いよ!!』
希『ありがと、ことりちゃん…』
ことり『いえいえ』ニコニコ
ことり『それじゃあ、良い結果を期待してるね♪』
希『うん、ありがとね!!』
ことり『いってらっしゃーい』フリフリ
真姫「随分早いのね」
希「えへへっ、楽しみすぎて早く来てしまったんよ」
真姫「そ、そういうこと言わないでよ…///」
真姫「それに今日は…、なんだかいつもと感じが違うのね」
真姫「どうせことりの仕業でしょうけど」
希「その…、変かなぁ?」
真姫「あっ、いや…、」
真姫「似合ってるし、可愛いと思うわよ」ボソッ
希「真姫ちゃんも、すっごく格好良いよ…?///」カァッ
真姫「女の子に格好良いとか言う?ま、いいけど…」
真姫「それより希、顔真っ赤」
希「えっ、嘘!?」サワッ
希「ひゃっ、ちべたっ!」
真姫「どうしたの…、って手も真っ赤…」
真姫「どのくらい前からここにいたのよ」
希「今から30分前…かな?」
真姫「かな?じゃないわよ。約束の一時間前じゃない!!」
希「えっと…、ごめん」
真姫「はぁ…、呆れた。って私も人のこと言えないか」
希「真姫ちゃんも楽しみにしてくれてたんやね」
真姫「なっ、別にそんなこと…///」カァッ
真姫「待たせるのも悪いと思っただけよ!!」
希「ふふっ、そっか♪」
真姫「もう!いいから行くわよ!」
真姫「っと、その…、手出して」
希「へ?」
真姫「今日は私がエスコートするんでしょ?」
希「…うんっ!」
真姫「さて、どこか行きたいところはあるかしら」
希「うーん…」
希「お土産屋さん!!」
真姫「いきなり!?」
希「ほら、こういうのって時間ギリギリになって満足にお土産が見れないってのがお決まりのパターンやん」
真姫「いや、そんなパターン聞いたことないんだけど」
希「…主に絵里ちが」
真姫「ああ、なんとなく想像ついたわ」
真姫「それじゃ、お土産を見ましょうか」
希(あ、この指輪可愛い…)ジーッ
希(サイズは…、うちの指にぴったり)
希(指輪って言ったら…、やっぱり結婚式やんなぁ)
希(ああ、憧れるなぁ…)ポワーッ
真姫『希、私は希のことが大好きなの』
希『うん、私も真姫ちゃんのこと…、大好き』
真姫『だから私と…、結婚して?』
希『嬉しいっ…』
希(そんで新婚生活は…)
真姫『ただいまー』
希『お帰りなさい、真姫ちゃん』
希『ご飯にする?お風呂にする?それとも』
真姫「希」
希(いやーん、真姫ちゃんったら大胆…)
真姫「希ってば!!」
希「ほわああああああああ!!!」
真姫「さっきからボーっとしてどうしたのよ」
希「あっ、えっと…」
希「なんでもないよ、ごめんな」
真姫「最初からこんなんじゃ先が思いやられるわね…」
希「ごめんごめん、それじゃあ行こっか!」
真姫「…」
希「真姫ちゃん、早く早くぅ!」
真姫「ええ、今行くわ」
希「さーて、それじゃあアトラクションを攻めにいこか!!」
真姫「私は遊園地とかあんまり来ないんだけど、希は何が好きなの?」
希「うちはやっぱりお化け屋敷かなぁ?そういう場所ってスピリチュアルやん!」
真姫「お化け屋敷ったって所詮は人工物でしょ。本物の幽霊なんかいないわよ」
希「信じるものは救われる!」
真姫「それ、意味違うから…」
希「まぁまぁ、なんでもええやん♪それじゃあレッツゴー!」
真姫「はいはい」クスッ
お化け屋敷前
真姫「ここのお化け屋敷は凄いって話には聞いてたけど…。外装がすでにおどろおどろしすぎるでしょ…」
希「最近の遊園地ってすごいんやねぇ」
真姫「これは本当にアトラクションなの?のぞ…」チラッ
希「うぅ…」
真姫「ってなんであなたが怖気づいてるのよ」
希「いや、実は遊園地のお化け屋敷って入ったことなくて」
希「実際のスピリチュアルスポットならよく行くんやけど…」
真姫「いや、そっちのほうが危ないでしょ」
希「確かに色々いるけど、どれも一概に危ないとは言い切れないよ?」
希「例えば幽霊さんのお悩みを解決して運気アップだとか、悪い運気を取り払ってくれるだとか」
希「そもそも幽霊っていっても色々な種類があってね。例えば背後霊」
希「背後霊って言うのは」
真姫「ねぇ。その話、長くなる?」
希「うっ…、ごめん…」
真姫「はぁ、いちいち謝らないの。行くわよ」グイッ
希「うん///」
希(うち、ちゃんとできるかなぁ)
海未『そうですねぇ…。やはり相手の心を惹きつけるには女性らしいか弱さを見せるのが一番ではないかと思います』
海未『自らの弱点を相手にさらけ出すことによって、そこに確かな信頼関係が生まれるのです』
海未『そしてそれが相手の庇護欲を掻き立てて『守ってあげたい、そばにいたい』と思わせることに繋がります』
にこ『ほほぉ、やけに語るわねぇ?』ニヤニヤ
海未『な、ただのアドバイスでしょう!?』
海未『私は希のためを思って意見しているんですよ!!』
海未『それをあなたは、あなたは!!』
凛『なんだか言い訳みたいだにゃー』
海未『言い訳ですって!?』
海未『私は論理的に考えて、無理のないようにですね!!』
凛『海未ちゃん怖いにゃあぁぁぁ』
穂乃果『海未ちゃん、落ち着いてよ!!』
海未『…はっ、失礼しました』
にこ『こっちこそごめん…』
ことり『でも意外だなぁ。海未ちゃんだったら『破廉恥です!』って言うのかと思っちゃった』
海未『流石に友人同士の恋仲くらい応援しますよ…。力になれるかどうかは別として』
海未『希には普段からお世話になっていますから、たまには恩返ししないとバチがあたってしまいますしね』
希『海未ちゃん…』
海未『それに、普段弱さを見せない希だからこそ、真姫の心に訴えかける何かがあると思うのです』
海未『これを機に、一気に距離を縮めましょう』
絵里『つり橋効果、というものもあるしね』
絵里『海未の言っていることは間違ってないと思うわ』
海未『そうでしょう?』ドヤッ
海未『ちなみにつり橋効果というのは実際に渓谷にて実験されたそうですよ』
海未『危機的状況に陥ったところで頼れる女だということをアピールすれば、きっと相手は振り向いてくれます』
海未『ですのでことり…』チラッ
ことり『…ふぇっ?』
海未『あ、なんでもないです…///』
希(海未ちゃんも頑張ってな…)
というわけで本日はここまでです
ありがとうございました
乙ー
>>1はうみこと派なのか…?
>>34
別にそういうわけではありません
色んな意見を聞いて、新しいカップリングを開発したい派です
王道も良いけどそういう組み合わせもありか、みたいな
長くなりそうなのでこのへんで
それでは再開します
お化け屋敷
うぼあああああああああああ!!
希「ひいぃっ!!」ドンッ
真姫「わぁっ!!」ドンッ
真姫「もう、急に止まらないでよ!!」
希「うぅ、ごめん…」シュン
真姫「でも意外ね。こういうところダメなんて」
真姫(ちょっと可愛いかも)
希「うち、驚かされるのはダメみたいやね、えへへ…」
希(それにさっきから胸のドキドキが収まらないの…)
希(真姫ちゃんのせいなんやからね…)
真姫「ほら、手。立てる?」
希「ありがと…。なんか今日の真姫ちゃん王子様みたいやね♪」
真姫「別にいつもと変わらないわよ」
希「そっかぁ」ピトッ
真姫「…何?」
希「んーん、行こっか♪」ギュッ
真姫「はいはい、仰せのままに、お姫様」
希「うっ、うぅう…」
真姫「叫びっぱなしだったわね。手、握ってあげたのに…」
希「だって、こんなに怖いなんてうち聞いてないよ…」
真姫「そりゃお化け屋敷だもの。怖くて当然よ」
希「真姫ちゃんは全然びっくりしてないやん!」
真姫「まぁ所詮は子供だましだから」
希「むっ、そういうこと言うん!?」
真姫「はいはい、ごめんなさい」クスッ
希「もー!今日の真姫ちゃんなんなん!?」
希「絶対怖がらせたるからね!!」
真姫「あんまり無茶するんじゃないわよ?」
希「それは約束出来んかな。せっかく真姫ちゃんと一緒なんだもんっ」
真姫「っ…///」
希「なーんてね、えへへっ」
真姫「…ほら、行くわよ」
希「はーい」ギュッ
希(真姫ちゃんの手、温かいなぁ)
希「真姫ちゃんはジェットコースターに乗ったことある?」
真姫「ないわ」
希「じゃあジェットコースターデビューしよっか♪」
真姫「いやよ。寒いじゃない」
希「でも日差しは暖かいよ?」
真姫「けど風は冷たいでしょ」
希「とか言って本当は怖いんでしょー?」ニヤニヤ
真姫「にこちゃんや凛じゃないんだからそんな安い挑発しないでよ…。一回だけだからね」
希「はーい♪」
希「でも遊園地といえばジェットコースターってくらい遊園地の定番なのに、なんで乗ったことないん?」
真姫「来たのがだいぶ前だから足りなかったのよ、背が…」
真姫「成長したら乗ろうと思ってたけど、いつの間にか家族で遊園地に行くこともなくなってたってだけ」
希「…なら今までの分取り戻そう?」
真姫「希…」
希「一回と言わず、五回くらい乗っちゃおーっ!!
真姫「なんでそうなるのよ!!」
真姫「…」グデー
希「えっと、真姫、ちゃん…?」
真姫「あによ…」グデー
希「大丈夫…?」
真姫「まさか本当に五回も乗るとは思わなかったわ」
希「久々のジェットコースターやから、テンション上がりすぎてしまって…、ごめんな?」
真姫「謝りすぎ」ボスンッ
希「いったぁっ!?」
真姫「私だって楽しかったわよ。だから気にするんじゃないの」
真姫「それに私のためなんでしょ?だからそんな顔するんじゃないの」
希「…うん」
真姫「さて、それじゃあ…、ってもうこんな時間なのね」
真姫「休憩がてらお昼でも食べない?」
希「そうやね」
真姫「希はなにが食べたい?」
希「ふっふっふっ」
真姫「なによ…」
希「実はうち、お弁当を作ってきたのだ!」
真姫「あら、そうなの?言ってくれれば私も作ってきたのに」
希「あれ、真姫ちゃん料理できたの?」
真姫「出来ない、けど…」
希「今日はうちが誘ったんやから、気遣ってくれんくてええんよ?」
真姫「…そんなつもりはないわよ」
希「それじゃ、食べよっか」
真姫「風も止んでるし、ここでいいわよね」
希(真姫ちゃん、喜んでくれるかな)
花陽『やっぱりデートって言ったら手作りのお弁当が基本だよねっ!』
にこ『男を掴むなら胃袋を掴めと言うし、花陽の言うことは間違ってないわね』
ことり『真姫ちゃん女の子だよぉ』
花陽『お弁当って言ったらやっぱりおにぎりが重要だと思うんだよね』
花陽『炊きたてのつやつやお米にお塩を振って、ほんのすこし濃いめのおしょうゆで炊いたおこぶを入れて』
花陽『おいしくなぁれ、おいしくなぁれって愛情たっぷり込めて握るの』
花陽『もちろんおこぶ以外にもオーソドックスな梅干、お米の甘みを引き立てるちょっぴり辛い明太子』
花陽『子供に大人気のツナマヨ、他にもおかかを振りかけたり、あえて具を入れずにお米の味を楽しんだり』
花陽『おにぎりって言うのは奥が深いんです!!』
花陽『簡単そうだからって舐めてかかっちゃダメなの!!』
花陽『でもやっぱり私のオススメはおこぶ!!』
花陽『本当においしいんだよぉ、今度みんなにも食べさせてあげるね!!』
凛『かよちん…』
花陽『あ、それとも今日みんなで家にくる?』
花陽『愛情たっぷりのおにぎりをご馳走しちゃうよ!?』
凛『今はいいかなぁ』
花陽『…はっ!?ごめんなさい…』
海未『…つまり花陽は好物を使え、と言いたいんでしょうか?』
絵里『そういうことでいいのかしら…』
穂乃果『なるほど!それならトマトを使った料理を作ればいいんだね!!』
花陽『ちなみに完熟トマトを煮て、ご飯と一緒に炊くとすっごくおいしいんだよぉっ!!』
花陽『程よいすっぱさがお米の甘みを引き立ててくれるの!』
花陽『ああ、想像するだけでほっぺが落ちそうだよぉ~』
花陽『ちなみにもち米を少し足してみたり、色々な種類のお米を混ぜるとおいしさが際立つの!』
花陽『洗う回数や洗い方、炊くときのお水の量だったりとかで味も全然変わっちゃうんだぁ』
花陽『ちなみに私のオススメは…』
希(っていうからトマト尽くしにしてみたんだけど…)カパッ
真姫「なにこれ、真っ赤…」
希「あ、あはは…」
希(そりゃそうなるよね、うぅ…)
真姫「…いただきます」
希「あ、嫌だったら食べなくても」
真姫「そんなわけないでしょ。ありがたくいただくわよ」
希「いいの…?」
真姫「私のために作ってくれたんだもの。おいしいに決まってるわよ」
希「ありがとね」
真姫「…別に。お礼を言わなくちゃいけないのはこっちよ」
短いですが本日はここまで
ありがとうございました
乙
ぬしは花陽推しと予想
>>46
箱推しです(半ギレ
でも真姫ちゃんのんたんに若干の軍配
てわけで再開します
希「…」モグモグ
真姫「…」モグモグ
希(うわぁ、静かになってしまったぁ…)
希(なに話そう?なに話したらいいかな!?)
希(…あれ?うち、普段真姫ちゃんとどんなこと話してるんやっけ?)
希(改めて考えると全然わからん…)
真姫「ねぇ、これ」
希「…ん?どうしたん?」
真姫「この小さなたまご、プチトマトがくっついてるし顔が描いてあるんだけど…、なに?」
希「ああ、それうちの自信作なんよ!その名も真姫ちゃん!!」
真姫「…わたし?」
真姫「言われてみれば、なんとなく私の髪型みたいね、これ」
真姫「案外器用なのね、希は」
希「案外ってなんよー」
真姫(でも自分で自分を食べるのは…。そうだ)
真姫「ほら、希。あーん」
希「…えっ!?///」
真姫「流石に自分を食べるのは抵抗あるから。食べさせてあげる」
希「でも真姫ちゃんのために」
真姫「わっ、私は希に食べてほしいの!!希に食べられたいのよ!!!」
希「…///」
真姫「…!!」
真姫「いや、違うのよ!!別に変な意味なんてないわよ?ただ、自分の顔が描いてあるから、その…///」
希「うん、そう、だよね…///」
真姫「はい、口あけて///」
希「あーん///」
真姫「…///」
希「…///」モグモグ
真姫「トマトばかりでも案外飽きないものね。希の料理の腕のおかげかしら」
希「褒めてもなにもでぇへんよ?」
真姫「私は料理とか作れないし、素直に凄いと思うわよ」
希「もう、やめてよぉ!!」
真姫「はいはい」
真姫「それじゃあ、これからどうしましょうか」
希「ジェットコース」
真姫「それはないわ…」
希「あははっ、うちもしばらくはいいかな」
真姫「何か落ち着けるアトラクションはあるかしら…」
希(そういえば真姫ちゃんの乗りたいものって…)
凛『真姫ちゃんね、子供の頃からメリーゴーランドに乗りたかったって言ってたよ!』
凛『だけど子供っぽいからなかなか言い出せなかったって言ってたにゃー』
絵里『へぇ、真姫らしいわね』
穂乃果『メリーゴーランドに乗ってはしゃぐ真姫ちゃん、かぁ…』
ことり『可愛いねっ♪』
海未『でしたら真姫に恥を欠かせないように、希がエスコートしてあげなくてはいけませんね』
希『えっ、うちが!?』
にこ『今更なに驚いてんのよ。あの真姫ちゃん?』
にこ『乗りたいものある?って聞かれて素直にメリーゴーランドなんて言うと思う?』
希『それは…、思わないけど』
にこ『でしょ?みんなも協力してくれてるんだから、あんたも頑張りなさいよ?』
希『…うん』
希「メリーゴーランド、とかどうかな?」
真姫「高校生二人でメリーゴーランドに乗るの?それはどうなのかしら…」
希「まぁまぁ、女の子同士やしいいやん。それにせっかく真姫ちゃんと遊びにきてるんやもん」
希「うちは真姫ちゃんとメリーゴーランド乗りたいよ?」
真姫「っ…///」
真姫「そっ、そこまで言うなら付き合ってあげるわよ。希のためなんだからね!」
希「うんっ」ニコッ
希(真姫ちゃん、すっごいうれしそう♪)
希「…」ニコニコ
真姫「な、なによ」
希「ううん、メリーゴーランドに乗ってたときの真姫ちゃん、素敵な笑顔だったなって」ニコニコ
真姫「はぁ!?別に楽しかったとか嬉しかったとか、そんなんじゃないんだからね」
希「もっかい乗っとく?」ニコニコ
真姫「う…、えっとぉ…、うん…///」
希「うー、疲れたぁ…」
真姫「まさか本当に全乗り物制覇するつもりだとは思わなかったわ…」
希「さ、残りは観覧車だけよ!」
真姫「別に観覧車は乗らなくても良くない…?」
希「なに言ってんの!ここまで来たら乗るしかないやん!」グイッ
真姫「ちょっ、わかったから引っ張らないでよ!!」
真姫「ったく、強引なんだから…」
真姫(そんなところも嫌いじゃない、けど…)
真姫「ねぇ、希」
希「どうしたんー?」
真姫「少し家に電話してきていいかしら」
希「ん、じゃあ待ってるね」
真姫「いいわよ、すぐ済むから先に行ってて!」
希「え、でも…」
真姫「いいから!!」
希「あ、真姫ちゃ…、いっちゃった」
真姫「お待たせ」
希「もー、乙女を待たせるなんて最低よ?」
真姫「はいはい、悪かったわよ」
希「悪いと思ってないやろ…?」
真姫「思ってるわよ、少しは」
希「うちは優しいから許してあげるけど、他の女の子相手にこんなことしちゃいかんよ?」
真姫「はいはい、わかったわよ」
希(他の女の子…かぁ)
真姫「なにボーっとしてんの?行くわよ」
希「あ、うん…」
真姫「さっきまでの威勢はどこ行ったのよ?」
希(泣いちゃダメ…、泣いちゃダメ、希)
希「うちは元気よ!ほら行こー!!」グイッ
真姫「だから引っ張らないでってばぁー!!」
真姫「…もう夜ね」
希「そうやね」
のぞまき「…」
希「真姫ちゃん」
真姫「なに?」
希「今日一日、本当にありがとうな」
希「うち、すっごく楽しかったんよ?」
真姫「私も楽しめたわ」
真姫「希の可愛い一面も見えたしね」ニヤッ
希「!?」
真姫「案外怖がりなのね」
真姫「きっと私だけが知ってることよね、これ」
希「もー、忘れてよぉ…」
真姫「忘れていいの?」
希「えっと…、その…」
真姫「冗談よ。私だって忘れたくないもの」
真姫「私ね、遊園地なんて子供っぽいって思って興味ないふりしてたけど」
真姫「本当はずっと憧れてたの」
真姫「だけど両親とも、忙しくなって」
真姫「物心ついたときには家族で出かけることもなかったわ」
真姫「それに私ってこんな性格だから」
真姫「一緒に遊園地に行くほど仲の良い子もいなかったの」
真姫「だから希が誘ってくれて、凄く嬉しかったの」
真姫「憧れのメリーゴーランドにも乗れて」
真姫「はしゃいでる私を見て、希は笑わずにいてくれた」
真姫「まさか、叶わないと思ってた夢がこんな歳で叶っちゃうなんて」
真姫「本当にありがとう」
希「改まらなくていいんよ。ただ…、うちが真姫ちゃんとここに来たかっただけやから」
真姫「希…」
パーン
真姫「ってなに!?」
希「花火、やね」
真姫「また季節はずれね」クスッ
希「けど…」
真姫「ええ、綺麗」
希「花火って色んな大きさや色、形があるよね」
希「花火全部に個性があって、一瞬一瞬輝いてキラキラしてる。まるで」
真姫「μ'sみたい、でしょ?」
希「…うんっ」
真姫「だったらあれが希かしら?」
希「やったらあれが真姫ちゃんやね!!」
真姫「ふふっ」
希「あははっ」
真姫「…でも私たちは花火みたいに一瞬なんかで消えたりしない」
希「…うん。ラブライブ、絶対優勝しようね」
真姫「もちろん」
希(言わなきゃ、言わなきゃ…)
希(せっかくみんなが魔法をかけてくれたんだもん)
希(うちのためにみんなが協力してくれて)
希(勇気をもらったんだもん)
希(だから…!)
真姫「さて、そろそろね」
希「…え?」
真姫「まさかもう一周するつもりだったの?」
希「あの、えっと…」
真姫「…ふぅ。そろそろ帰りましょうか」
希「うん…」
真姫「どうしたのよ、元気ないわね」
希「ううん、なんでもない。ただ疲れただけよ」
真姫「あなた、一日中はしゃいでたもんね。仕方ないわよ」
希「あはは、そやね」
真姫「今日は良い気分転換になったわ。最近は練習ばかりで疲れてたしね」
希「ううん、いいんよ。うちこそ、来てくれてありがとうな」
真姫「お互い様ね」
希「そう、やね」
真姫「ねぇ、希。実はあなたに」
希(結局、言えなかったな)
希(でも今日やないと、うち…)
絵里『好きな人と綺麗な夜景を一緒に見るのってなんだか憧れない?』
花陽『わかるなぁ。誰もいない丘で、綺麗な夜景を見ながら…』
海未『いけません、花陽!!破廉恥です!!』
ことり『そうかなぁ、素敵だと思うよ?』
海未『でしたらことり!一緒に』
絵里『ねぇ、希もそう思わない?』
希『うん、うちもそう思うな』
絵里『実はね、学校の近くに凄く綺麗な夜景の見える場所があるの』
絵里『定番のデートスポットとしても有名らしいんだけど、知ってる?』
希『スピリチュアルスポットならわかるけど、そういうのはあんまり…』
絵里『だと思ったわ』
絵里『憧れの人と二人きりで綺麗な夜景を見ながらラブロマンス、なんてロマンチックよね』
絵里『私もそんな経験してみたいわ…』
絵里『そこで二人は見つめ合って、口付けを交わすの』
絵里『ああ、いいわぁ…』
凛『また変なスイッチ入ってるにゃ…』
希(…いや、チャンスはある!!)
希「真姫ちゃん!!」
真姫「なっ、なに!?」
希「時間、いいかな?」
真姫「え、でももうすぐ日変わっちゃうわよ?」
希「…お願い」
真姫「…仕方ないわね。ここまで来たら付き合ってあげるわよ」
真姫「ねぇ、いったい私はどこへ連れて行かれるの?」
希「もうちょっと、もうちょっとでわかるから」
真姫「まったく。大したことなかったらただじゃおかないわよ?」
真姫「なんて-」
希「着いたぁ!!」
真姫「…」
希「ね、どう?真姫ちゃん!」
真姫「…」
希「真姫ちゃん?」
真姫「…綺麗」
希「でしょ?」
希「来て良かった…、よね?」
真姫「…ええ、ありがとう。希」
のぞまき「あの!!」
希「真姫ちゃ」
真姫「希から言って」
希(うん、今更怖気づいたって仕方ない。うちは今日、真姫ちゃんに…)
希「真姫ちゃん、うち、真姫ちゃんのこと…」
ゴーンゴーン
真姫「って、なに…?」
真姫「…ああ、0時をまわったのね」
希「…」
真姫「ねぇ、希。もう一回いいかしら」
希「…いややなぁ。うち、何も言ってへんよ?」
希「うちは何も言ってない。だから…」ウルウル
真姫「…だったらなんで泣いてるの?」
真姫「なんでそんな悲しそうな顔をするの?」
希「いややなぁ。うちは、うちは…っ!!」
タタタタッ
真姫「の、希!!」
真姫(追いかけなきゃ…)
真姫(けど、どうして…)
花陽『あれ、希ちゃん、それって…シンデレラの絵本?』
ことり『それじゃあ、エスコートついでに真姫ちゃんを王子様に変身させちゃうね♪』
希『ありがと…。なんか今日の真姫ちゃん王子様みたいやね♪』
真姫(…なるほどね。そういうこと)
真姫(白馬の王子様、なんてガラじゃないけど)
希「はぁっ、はぁっ…」
希「…」
希「あはは、やっぱりうちってダメダメやなぁ」
希「ごめんな、みんな」
希「うち、今日言うつもりやったんよ?」
希「やけど、やけど…」
希「魔法、解けちゃった…」ポロポロ
希「いくじなしで、本当にごめんな…」
希「みんなからもらった魔法、結局無駄に…」
「見、つけたぁ…」
希「っ!?」
真姫「まっ…、たく…、わたしっ、が…、体力ないの…、知ってる、でしょっ…」ゼーハーゼーハー
希「真姫、ちゃん…」
真姫「はぁ…、はぁ…。っはぁー…」
希「…」ダッ
真姫「逃げないで!!」
希「…」ビクッ
真姫「シンデレラと王子様はどうなると思う?」
希「あははっ、いきなりなに?真姫ちゃん、おかし」
真姫「いいから」
希「えっと…、継母が焼けた石の靴を」
真姫「あの絵本、読んでないのね」
希「う、うん…」
真姫「王子様が魔法の解けたシンデレラを見つけ出すの。ガラスの靴でね」
希「そう、なんだ」
真姫「そして、ずっと幸せに暮らすの」
希「…ハッピーエンドで良かったね」ニコッ
真姫「無理に笑わなくてもいいわよ…」
希「うん…」
真姫「私ね、あの物語はそんなに好きじゃないの」
真姫「魔法だって、王子様が見つけ出してくれるのだって、全部非現実的だから」
真姫「まぁ、童話なんてどれもそうなんだけど」
希「…」
真姫「けどね、きっと今日、好きになれる」
希「…え?」
真姫「だって、今日の私は王子様なんでしょ?」
真姫「こうして私は魔法の解けたシンデレラを見つけることが出来た」
希「あはは、なに言ってるの?うちはシンデレラなんかじゃないし、それを確かめることだって」
真姫「出来るわよ」
希「え?」
真姫「手、出して」
希「…?」スッ
真姫「確かにガラスの靴はない」
真姫「けれど、確かめることは出来る」
希「これ、指輪…?」
真姫「ぴったりね。シンデレラ」
希「え、真姫ちゃん…?」
真姫「確かにシンデレラにかかってる魔法は解けたのかも知れないわ」
真姫「だけどおかしいわよね。私にかかってる魔法は解けないの」
真姫「この魔法はきっと解けない」
真姫「いつの間にかね、頭の中がシンデレラのことでいっぱいになってたの」
希「真姫、ちゃん…」
希(どうしよう、言葉が出てこないよ…!)
希(うちには勇気が…、勇気が…)
希(…そっか、うちにも解けてない魔法が、ひとつだけ…!!)
穂乃果『ごめんね、私は希ちゃんになにをしてあげたらいいかわかんないや、ごめんね』
希『あはは、無理に何かしてくれなくていいんよ。うちはもう十分…』
穂乃果『だから』ギュー
希『ほっ、穂乃果ちゃんっ!?』
穂乃果『だから私から希ちゃんに、勇気をあげるね』
希『穂乃果ちゃん…』
穂乃果『こうするとね、すっごく落ち着くんだぁ』
希『うん…』
穂乃果『みんながついてる。怖くなんてないから』
希『穂乃果ちゃん、ありがとう…』
穂乃果『希ちゃん、ファイトだよ』ニコッ
希「真姫ちゃん」ギュッ
真姫「…希」ギュッ
希「…大好き」
真姫「私もよ…」
真姫「ガラスの靴はないけどね」
希「そう、やね…」
のぞまき「ふふっ」
希「でも、ガラスの靴なんてなくたっていい」
希「だってうちは」
希「一日だけのシンデレラ」
完
というわけで終わりです
今回は割と普通のお話だった気がします
読んでくださってありがとうございました
このSSまとめへのコメント
のんたんかわいいな!真姫ちゃんも