エルヴィン「妻に浮気された」(46)


ウォール・ローゼ内のとある場所。

街の喧騒から離れた路地裏に、ひっそりとそのbarはあった。

隠れ家的なその場所で静かに男たちは酒を酌み交わしていた。


エルヴィン「みんな聞いてくれ。私は今、妻に対して腹が煮えくり返っている。」

ハンジ「どうしたの?」

エルヴィン「浮気された。」

ナナバ「あぁ、そういうこと。」

ミケ(スモーキーな香りの後に、鼻を駆け抜ける柑橘系の爽快感。いいウィスキーだ。)スゥッ

リヴァイ「どうでもいい。」


エルヴィン「兵団のコネクションのため、

      私が貴族の令嬢と結婚したことは、皆知っているだろう。」

ハンジ「政略結婚だよね。」

ナナバ「最初から愛はないし、しかたがないよ。」


エルヴィン「あぁ、そうだ。結婚したものの、私は忙しさにかまけてほとんど家に帰っていない。」

ハンジ「家って内地にあるんだっけ?」

エルヴィン「そうだ。」

ナナバ「そりゃ、遠いね。」


エルヴィン「先日、中央に召集された際、時間があったんで久しぶりに家に帰ってみたんだ。」

ハンジ「間男と遭遇した?」ワクワク

エルヴィン「そのほうがまだマシだ。妻が赤子を抱いていたんだ。

      あなたの子よって、既成事実もないのにしゃぁしゃぁとぬかしやがった。」

ナナバ「それはきつい。」


リヴァイ(眠い・・・。)ウトウト

ミケ(さくらんぼ、いや、野いちごのような凝縮感のある果実香の中に力強いタンニンを感じる。

   いいワインだ)スゥッ

エルヴィン「立場上、私が離婚できないことを知っているからやりたい放題だ。

      あいつの高慢な態度にはもう我慢できん!!」


ナナバ「兵団のためにプライベートまで犠牲になってもらって悪いね。」

ハンジ「生活費だけ入れて、二度と帰んなきゃいいじゃない。」

エルヴィン「それでは、この怒りはおさまらない。あの女に一度ギャフンと言わせてやりたいんだ。」

ナナバ「どうやって?」

エルヴィン「それを君たちに考えてもらいたい。」


ハンジ「うーん、エルヴィンも浮気する?」

エルヴィン「浮気したところで、あいつは痛くも痒くもないだろう。

      私のこと何とも思ってないからな。」

ハンジ「肉体的に痛めつけるわけにもいかないし・・・。」


ナナバ「知り合いの女の子が言ってたんだけど、

    振った男が自分より綺麗な女と付き合ってたらかなり癪らしいよ。」

エルヴィン「そうなのか?」

ナナバ「エルヴィンに興味がなくても、奥さんより綺麗な女性と一緒にいるところを目撃させれば、

    少しは仕返しになるんじゃない?」


ハンジ「生ぬるいお仕置きだけどね。」

エルヴィン「いや、生ぬるくてもいいんだ。本気で離婚沙汰になってもマズいからな。」

リヴァイ「zzz・・・」

ミケ(蘭の華やかな香りが甘い夢へと誘い、気品溢れる存在感がいつまでも余韻を残す。

   いいブランデーだ。)スゥッ


ハンジ「綺麗な女性ね・・・。」

ナナバ「団の中から探せば?」

エルヴィン「それはダメだ。プライベートの問題に団員の手を煩わすわけにはいかない。」

ハンジ「奥さん寝取られたのばれたら、恥ずかしいしね。」


ナナバ「じゃあ、どうする?」

ハンジ「うーん・・・。」チラッ

リヴァイ「zzzz」グラッ、ポスッ

ミケ(フレッシュなミントの香り。まるでサンスタートニックのようだ。いいリヴァイの頭だ)スゥッ


ハンジ「リヴァイ寝てるし。」

ナナバ「本当だ。・・・ちょっと、可愛くないか?」

ハンジ「そうだね。童顔だし。寝てたら目つき悪いの分からないし。」

ナナバ「これ・・・、ちゃんとメイクしてカツラかぶせたら、そこそこいけるんじゃないか?」

ハンジ「そうだねぇ。リヴァイよりすっぴんはひどい女はたくさんいるしねぇ。」


エルヴィン「おいおい、まさか・・・。」

ナナバ「リヴァイに女装してもらおう。」

ハンジ「エルヴィンの奥さんって美人なの?」

エルヴィン「・・・鎧の巨人1/10スケールモデルだ。」

ナナバ「じゃ、リヴァイで決定。」

やっぱ、ばれちゃった?


ハンジ「今度の休みに女装させたリヴァイ連れて、家に帰ってみなよ。」

ナナバ「ちょっと、リヴァイ起きて。」ツンツン

リヴァイ「・・・ん?」ゴシゴシ

ハンジ「エルヴィンがね、今度の休み女装して家に遊びに来いって命令してるよ。」

リヴァイ「・・・エルヴィンの・・判断を・・信じよう・・・ふぁぁ・・・」zzz


ナナバ「okでたよ。」

エルヴィン「okなのか?しかし、やってみて損はないな。」

ハンジ「衣装とメイクは私にまかせて。」

エルヴィン「では、頼んだ。」

よしがんばる


次の休日。ハンジの部屋。

ハンジ「よし完成。なかなかかわいいじゃない。」

リヴァイ「本当にこれはエルヴィンの指示なのか?」

ハンジ「そうだよ。リヴァイもちゃんと了承したんだから。」

リヴァイ「覚えてねぇ。」

ハンジ「早速、エルヴィンのところへ行こう。」


エルヴィン邸の近く。

ハンジ「お待たせー。」

エルヴィン「あぁ、わざわざ来てもらって悪かったな。」

ハンジ「いいって、いいって。」

エルヴィン「ほう!リヴァイ。そのドレスなかなか似合ってるじゃないか。」

リヴァイ「うるせぇ。」


ハンジ「リヴァイ、瞳は常に伏し目がちにしといて。じゃないと怖い。」

リヴァイ「カツラが重てぇ。」

エルヴィン(!!)ビクッ

ハンジ「まぁまぁ、早速エルヴィン邸内部へレッツゴー!」


エルヴィン邸内

ハンジ「おじゃましまーす。」

リヴァイ「広いな。」

エルヴィン「元々は貴族の屋敷だからな。」


バタバタバタ

メイド「お、お帰りなさいませ。ご主人様。」

エルヴィン「ああ。随分、慌てているようだがどうした?」

メイド「あのっ、そのっ・・・。」

エルヴィン「妻はどうしてる?」

メイド「!!!お、奥様は、えーと、その・・・。」


ハンジ「これは、まさか・・・、間男とバッタリ?」

リヴァイ「間男って何の話だ?」

エルヴィン「妻の部屋へ・・・、いや、まずは気づかれないようこっそり相手を確認しよう。」

エルヴィン「こっちだ。」


エルヴィン邸、庭。

エルヴィン「この窓から妻の部屋が覗ける。」

三人 「じぃ~~~・・・・!!!!?」

エルヴィン「あれは!!!」

ハンジ「小鹿隊長こと!!!」

リヴァイ「キッツ・ヴェールマン!!!」

三人「・・・・・・」


エルヴィン「ははは・・・本部へ帰ろう・・・。」

ハンジ「なんか・・・ごめんね・・・。」

リヴァイ「きたねぇケツだったな。」

エルヴィン「私は・・・、ヤツの子供を養育してたのか・・・。」

ハンジ「・・・離婚しなよ。私たちも団の運営、協力するから・・・。」

リヴァイ「で、俺は何でこの格好なんだ?」

~おわり~

おしまいです。
レス下さった方、読んで下さった方ありがとうございました。

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