ミカサ=アッカーマンはシンデレラに憧れる(162)
―――午前11時 ウォール・ローゼ 繁華街の裏通り―――
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
『esthetique de cendrillon ~愛と出逢うメイクいたします~』
ミカサ「エステ・シンデレラ?」
ミカサ「シンデレラ……昔、アルミンが話し聞かせてくれた本に出てきた気がする」
バタン!!
女性「ああああ~~ッなんて幸せなのッ!」グオオオオオオオ
女性「こんな嬉しいことって初めて!憲兵団に行った彼があたしの元へプロポーズに来るなんてッ!」
女性「ありがとう先生本当にありがとう!ああああ~~っ」ドダバーッ
ミカサ「何今の」
エステ店員「『暗い美人より明るいブス』のほうがましってことよね~~~~『女の青春』は……」チラッ
ミカサ「(…?!目が合った)」
エステ店員「おはいりなさい……『愛と出逢うメイクいたします』」
エステ店員「その看板は真実……興味をお持ちならば……」
ミカサ「シンデレラ……」
『シンデレラ』『愛に出逢うメイク』
その言葉の響きに微かな高揚感を覚え、私の足は自然と扉に向かっていた
そしてこの時はまだ知る由も無かった
ここで、私の『運命』を大きく左右する出来事に遭遇することになろうとは…
◇◆ミカサ=アッカーマンはシンデレラに憧れる◆◇
エステ店員「わたしの名前は“ツジ=アヤ”…フ~~ここの経営者で…エステティシャン(美容マッサージ師)」
アヤ「低血圧っぽい話し方するけど気にしないでね フ~~」
アヤ「これでも仕事には意欲的なのよ…フ~~~」
ミカサ「……」キョロキョロ
アヤ「それはウォール・シーナ南部でのコンクールで優勝したときの賞状を飾ってあるの」
アヤ「そちらは特区で店を出したときの…別に自慢するわけじゃあなく、信用のための証明なのよ~~~フ~~~」
アヤ「あなた……フ~~」
アヤ「とても美人……ね。この髪なんか特に……フ~~」
アヤ「綺麗な、まるで黒曜石の輝き……こんな美しい人が……このローゼにいたなんて……フ~~」
ミカサ「??どうも」
アヤ「さ…そこにおかけになって~~その用紙にお名前とご職業をおねがいね~~」
ミカサ「私はまだ具体的に何を『やる』とは決めていない」
アヤ「そーよねェ~~まだ説明してないもの」
アヤ「『愛と出逢うメイク』のこと……フ~~、はい。まずはこちらをご覧になって」サッつ□
ミカサ「…これは、メニュー??」
【menu】
・愛と出逢うメイク ★当店一番人気★
・愛を捉えるメイク
・プロポーズさせるメイク
―更なる高みを目指したいお客様には―
・玉の輿に乗るメイク
・貴族と結婚するメイク !new!
―宴会、パーティなどに―
・すべらないメイク
・特に理由のないメイク !new!
ミカサ「貴族と結婚するメイク……?(というか、下のメニューは何なの?)」
ミカサ「この文面だけでは、施術の内容がまるで理解出来ない」
アヤ「わたしのお店は、美しい顔やスリムな身体を作るためのエステとはちょっと違ってるの」
アヤ「いくら絶世の美女とはいえ、必ず幸せとは限りませんわ……そうでしょう?」
アヤ「わたしは“幸福の顔”を創ってあげるエステティシャンなの」
アヤ「人の顔には、『人相』というものがあるけれど、人は顔の相によって運が変化するものなのよ」
アヤ「『愛される顔』を持てば『愛と出逢う』運勢になれるのよ」
ミカサ「……はっきり言う」
ミカサ「あまりにもくだらない」
ミカサ「ひょっとして霊感商法?あなた……そんな嘘でお金をとる気なの?」
アヤ「ウフフフ…みなさん最初はそう仰るのよ~~~」
アヤ「でも『ダメでモトモト一回ぐらいやってみようかしら』と思いますわ
アヤ「ところで拝見したところ、あなたの場合は眉の形と……それから目とのバランスが良くないわね~~~~~~」
アヤ「この形では男の子は……」
ミカサ「(まだ喋るか…もう相手にしていては……)」
アヤ「あなたが一緒にいればいるほど、離れていくのよね~~~」
ミカサ「!!」ギクッ
アヤ「違いまして?そんな経験なーい?」チラッ
ミカサ「(こ、この女……!まるで見透かしたかのように……)」
ミカサ「……そんなこと、1度だって起こったことはない」
アヤ「あらそう、ま…いいわ…フ~~」
アヤ「試しに『メイク』のシミュレーションをしてみましょうか」
ミカサ「…これは、マスク?」
アヤ「『黄金長方形』をご存じ?眉、目、鼻、頬から顔のあらゆるパーツが、その『黄金長方形』に当てはまるよう配置されたマスクよ」
アヤ「この配置をなぞれば誰でも美しい顔を得られるというものなのだけど」
アヤ「ま、もっともそれをそのまま誰彼に当て嵌めちゃあ、いかにも『整形』って感じになっちゃって味気ないでしょう?その代りウチではこのマスクを使うの」フ~~~
ミカサの顔
(-_-)→
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ギャ――――z____ス
アヤ「…………プッ」
ミカサ「!!」ギロッ
アヤ「あらごめんなさい」
アヤ「ハロウィンのマスクでしたわ。」
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ピキピキ
アヤ「それじゃあ、フ~~~気を取り直して……ライナーとブロウで下書きしてみますわ」
カキカキ
ミカサ「…………」
アヤ「さあ、これが『愛と出逢う』顔ですわ~~」
アヤ「恋というのは目と眉のバランスで現れるものなの~~~」
アヤ「まずブロウは、直線的で太く力強いラインよりも、緩やかな弧を目の幅より長く描くようにすると、女性の最大の幸福が表現されるのよ~~~」
アヤ「これがあなたのパーフェクトアーチ(完璧な眉)よ~~」
ミカサ「???(わからない)」
アヤ「そして、男の人がずっと見つめられたいと思うような優しさを表現するために」
アヤ「目尻の部分を深くしたいわね~~~」カキカキ
ミカサ「ちょっと待って!深くするって…まさか削ぐの?!」
アヤ「(…削ぐ?)あくまで『メイクと美容マッサージ』で整える顔ですわ」
アヤ「でも30分しかもたないの……どんなにスバラしい事が起ころーと…30分しかもたないメイクですわ」
ミカサ「30分しかもたない……」
アヤ「ためしてみます?どうします?ミカサさん?」
ミカサ「そうね…あなたの言うとおり」
ミカサ「1回ぐらいならだまされたと思って試してみてもいい、って気持ちになってきている」
ミカサ「そればかりか、今何もしなければ何も変わらないということも自覚している」
ミカサ「…ので、やります」
ミカサ「勝てば生きる……負ければ死ぬ……戦わなければ、勝てない……!」
アヤ「ありがとう……(何か文脈がおかしかったけれど、まあいいわ)」
ミカサ「この紙にサインすればいいのね?ミカサ・アッカーマン 訓練兵と」カキカキ
アヤ「ミカサさん…素敵な名前ね。その黒髪も…まるでかつての東洋人を彷彿とさせるわ」
アヤ「それじゃあ始めるからそのまま目を開けないでね~動いちゃあだめよ~~~」
ミカサ「(エレン…あなたの為に私は…戦う……!)」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
「動くと手もとがくるいますからね~~~~~~」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
カシィ―――――z________ン
―――
――
―
―
――
―――正午前 ウォール・ローゼ 繁華街―――
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
ミカサ「………」
ミカサ「これが『愛と出逢えるメイク』?」
ミカサ「あっという間に終わったけど、いざやってみると何の抵抗も無かった…眉を抜いたり書き足したり、目のフチに線を入れただけ」
ミカサ「これだけで『人相』が変わる?『運勢』まで変わるのだろうか?」
ミカサ「『占い』なんてバカバカしいけど、何もしないでいるより、まずは行動」
ミカサ「エレンはどこだろう」
マルコ「あれ、あそこにいるのって」
ジャン「どうした?マルコ……ってうおおおおおお!!!!ミカサがいる!!しかも一人でだ!!」
マルコ「でもどうして一人で歩いてるんだ?今日はエレンたちと別行動なのかな?」
ジャン「(…ハッ)今だッ!!!」ドオッ
ジャン「ミカサに突っ込め!!」
ジャン「どのみち……エレンかアルミンのどっちかが来れば終わりだ」ダッ
ジャン「ミカサ!」ハアハア
ミカサ「??(ジャンだ)」クルッ
ジャン「あ…あぁ えっと…一人でいるのを見かけたもんだからな…つい…」
ジャン「すまない…ミカサ、今日は…いや今日も、とても綺麗だ…」
ミカサ「……」
ミカサ「どうも」
ジャン「(なんだ、今日のミカサは…!?いつもと違う…この見つめていたくなる様な雰囲気は)」ドキドキ
ミカサ「(ジャンが私から目を離さない。つまり『メイク』の効果が現れているということ?それならば…)」ジーッ
ジャン「どうだろう、ここで立ち話も何だから、どっかで一緒にランチでも…(なんて熱い眼差しなんだ)」
ミカサ「…ありがとうジャン。でも今は食事よりも、重いことがある」
ミカサ「くだらない時間をくっている場合じゃあない」
エレン「あ!ミカサ!」
ジャン・ミカサ「あっ!」
ミカサ「エ…エレンッ!(ジャンに時間くったおかげでエレンに逢えた)」
エレン「さ…捜したぞ…ミカサ」
ミカサ「え?私を……?『捜した』?エレンが……?(エレンからやってくるなんて…)」
エレン「う…うん…今日はアルミンと一緒だったんだけどさ…」
エレン「アルミンがミカサのことスゴク心配していたから…」
エレン「で、俺もその…(アルミンの必死さが)気になったっていうか心配っていうか…」
ミカサ「し…心配?」
ミカサ「エレンが私のこと…心配…してくれたの?ほ…本当に?」
エレン「最近、訓練に夢中でオマエが何か悩んでるとか、あんまり気にかけたこと無かったけど」
エレン「一人で落ち込んだりしないでほしいんだ…」
エレン「たった二人の家族同士だし…」
ミカサ「(信じられない…まさかこの『メイク』のせい?偶然?でもこれが『運勢』なら…)」
カラーン……カラーン……
エレン「そういえば昼だな、メシ行こうぜ!あそこに食堂があるし」
ジャン「おいおい待てよエレン!ミカサは食事よりも大事な用があるって言って」
ミカサ「エレンが行くなら私も行こう。それより優先させることは無い」
ジャン「ええ~~?!……え?」
マルコ「ジャン…」ポン…
カランカラン
―オープンテラスが併設されたカフェ―
エレン「なんか小洒落た店だな」
ミカサ「(カップルが多い)」
ウェイター「いらっしゃいませ。何名様でしょうか」
エレン「2人なんですけど」
ミカサ「(ああ!あたしもいつの日か、あんなテラスのペア席でエレンと静かで心落ち着く時間に浸ってみたい…)」
ウェイター「2名様でしたら、ただ今でしたら空いているお席は奥の席と、テラスのペア席のみになりますが…いかがなさいますか?」
エレン「しょーがないな…今日は天気もいいし外で食べるのもいいかもな…よし、テラス席お願いします」
ミカサ「(でも今はエレンと一緒にいるだけで満足…)
ミカサ「……えッ!!」
エレン「ダメだったか?ミカサ…」
ドドドド┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
ミカサ「いいえ!ちっとも!!」
ミカサ「(…夢のよう!『人相』って本当にあるんだ……!」
ミカサ「(私は今のっているッ!強い『運勢』にたしかにのっているッ!)」
エレン「あ…あのさミカサ」チラッ
エレン「どっか髪型とか変えたか?」
ミカサ「え?!(気づいた?)」
エレン「いや、何だ……今日はどこか雰囲気ちがうような」
ミカサ「どういう風にちがうの?(どう違うか教えて)」
エレン「どういう風にって?……う~ん」
ミカサ「ブスになった?(私を褒めて)」ドキドキ
エレン「え?ちがうけど…そうことじゃあなくて…!(な、何なんだ一体…)」
エレン「(な…なんか……あたたかくなったって……いうか―――……)」ドキドキ
ガヤガヤ……
………
ライナー「おう、エレンじゃねえか…何だ?こんなところで手ェ繋いで」
ベルトルト「奇遇だね、ミカサも一緒かい?」
エレン「あっ、ライナー!それにベルトルトまで…!」パッ
ミカサ「(ライナー?)」チッ
ベルトルト「あっちの席のアニと一緒に来たんだけどね」
ライナー「野郎2人連れじゃあ、この店はもったいないというか、変な勘違いされかねんしな」
アニ「……」ゴゴゴゴゴゴゴ
エレン「アニも一緒だったのか」
ミカサ「(あの女も一緒だったのか……)」
エレン「そうだ!ライナー、お前らの席は6人掛けだろ?俺たちも合席していいか?」
ミカサ「?!」(`・ω・´)てそ
ライナー「俺は構わんが……い、いいのか?」
エレン「今は『12時半』……ちょうど混みだす頃だからな。席は一つでも空ける方が店にもいいだろ?」
ミカサ「!!」(´・ω・`;)アセアセ
エレン「ミカサ?どうした、行くぞ?!」ガタツ
ミカサ「え…エレン?!」(´;ω;`)オロオロ
ミカサ「なぜ…………なの……?!」ゴゴゴゴ
ミカサ「なぜ?!30分なの…?」ゴゴゴゴ
どうして『30分』だけなのよォオオオオ~~~~~~~ッ!!
―――――――
アヤ「あのコ…………フ~~」
アヤ「また来るわ……」
需要少ないかもしれませんが、淡々と貼っていきますm(_ _)m
原作準拠です。
>7
exactly(その通りでございます)
>41
原案の由花子さんは、もっとかわいくて、もっとプッツンしてます
>44
ご承知の通りです。
0時から再投稿します
――― 午前8時 食堂―――
ガヤガヤ…
ミカサ「(いよいよ次の休みがきた…!!)」
ミカサ「ねえ、エレン…今日なんだけど」チラッ
エレン「今日?対人格闘用のプロテクターとグローブを見に、アニ達と街へ買い物に行く」
ミカサ「なッ!!」
エレン「さすがアニだ!点数にならないとか何とか言って、本当は対人格闘の訓練が好きなんだよなアイツ!」
エレン「プライベートの時間にも技術の向上に勤しむ姿勢は尊敬するぜ!俺も頑張らねえとな…」
ミカサ「(い…言えない……エステに寄ってからエレンとお茶したいだなんて……)」プルプル
エレン「じゃ、アニを待たせてるから行ってくるな!」スタスタスタ
ライナータチハドコダ?
ライナーナラクタバッ…マダネテルヨ
ベルトルトハドーシタ?
フタリデイイヨ、イコウ
………
アルミン「ねえ、ミカサ…食欲ないようだけど」
アルミン「(…って、原因はやっぱりアレだろうな)」パク
アルミン「(先週も、ミカサとデートしてる最中にライナー達の方へ行っちゃったって聞いたし)」
アルミン「(エレンの奴、僕の話…ちゃんと聞いてたのかなぁ?!)モグモグ
ミカサ「」ゴソゴソ
アルミン「(ギクッ!)ね、ねえミカサ…今日はこれから」
ミカサ「…何もしない」
アルミン「そ、そうだよね、すぐ追いかけ…え?」
ミカサ「い、いえ…何も出来ない……だっていったい何をしてあげればエレンの為になるのか…私にはわからなくなってる」
ミカサ「ねえアルミン…何でエレンは私から遠くに行こうとするんだろう」
アルミン「(こ…これは)」
ミカサ「…私はただ、そばにいるだけでいいのに…」
ミカサ「…それだけなのに…」クスン
アルミン「…確かにそうだね(重症かもしれない…エレン、どうするんだよもう)」
クリスタ・ユミル「…………」
クリスタ「ヒソヒソ(ねえ、ユミル。ちょっとカワイソーじゃあないの?」
ユミル「ヒソヒソ(だめ!こればっかりはつっぱねるしかないの!あの女、エレンのこととなると異常でスゲー怖いんだもん」
ユミる「…っておい!クリスタ!どこ行くんだ?!」
アルミン「あ、クリスタ」
クリスタ「あのね、ミカサ…よけいな事かもしれないけど」
ユミル「やめろよォ~~~クリスタ~ほっとけよォもう~~;」
ミカサ「…」
クリスタ「さっきの話、気になったんだけど…人から好かれるとか嫌われるっていうのは、ほんの微妙な気の持ち方からだと思うの……」
クリスタ「だから、例えばね、ホラ!いつもと違った『オシャレ』とかしてみたら気分が変わることだってあるかも」
ミカサ「!!」
クリスタ「あ…余計なことだったかな…ただの気休めかもしれないもんね…ごめんね!」
アルミン「い、いや!そんなことないよクリスタ!(マジ天使だ……)」
アルミン「ミカサにも気分転換が……必要じゃあないか…な…?」チラ
ミカサ「……今は感傷的になってる場合じゃない」スクッ
アルミン「ミカサ……?」
ミカサ「でも外に出かければ気分転換が出来て気の持ち方も変わる。違わない?」
アルミン「ミ、ミカサ!何処へ?!」
ミカサ「……街へ」
アルミン「!!(動揺を行動で消そうとしてる…)」
サシャ「あ、パァンが余ってますね♪」モガ
―――
――
―
―
――
―――エステ・シンデレラ―――
バタン!!
ミカサ「来ました」
アヤ「『愛と出逢えた』……でしょう?フ~~…」
ミカサ「はい…おかげさまで」
アヤ「これがわたしの仕事よ…来たお客様にステキな30分を提供して、報酬をいただく…」
ミカサ「仰りたいことは分かっています…」
ミカサ「その上で…私情を挟んで申し訳ないんですが」
ミカサ「もっと長くしてもらえませんか…そして今度は、愛を捉える事だって……」
アヤ「『30分』……フ~~…それで満足なさい、ミカサさん…一秒だって『愛に出逢えない人』だっているのよ、この世には」
ミカサ「できるんですよね?」<●><●>ジッ
アヤ「人の話を聞かない人ね」
アヤ「…………」
アヤ「ミカサさん…」ペラッ
アヤ「この童話のヒロイン『シンデレラ』は、姉たちのイヤガラセに合っても清い心を持っていたからステキな愛に出逢えたわ……」
アヤ「この話から学ぶことは、スバラしい出来事にはそれなりの『心がけ』が必要って教訓よね…」
ミカサ「………?『心がけ』?」
アヤ「あなたにそれができるかしら?」
ミカサ「なんのこと?」
アヤ「運勢を長時間完璧に変えるには……フ~……『手相』変えちゃくっちゃあいけないのよ~~~」
ミカサ「!!」
アヤ「いろんなトコをエステしなくちゃあならないわね~」サワサワ
ミカサ「で…できるのねッ?!」
アヤ「ええ……」
アヤ「わたしはね……子供のときから『シンデレラ』のお話に出てくる魔法使いに憧れて『エステティシャン』になったの」
アヤ「あの『魔法使い』のように、人に幸せを与えて生きたいの……」
アヤ「……あなた美人だし、とても好きよ……だから特別にやってあげたいけれど……」
アヤ「…ちょっと失礼…唇、喉、それから、ここのホクロ…移動させなくちゃあならないし」ススッ
アヤ「バストの形も変えなくっちゃあいけないわ~~」ムニュ
ミカサ「」バッ
アヤ「ウフ…凄い腹筋」サワサワ
ミカサ「(普段ユミルと一緒にいるクリスタもこんな気分なんだろうか)」ゾワワ
アヤ「キレキレの腓腹筋…脚の形も…足の裏の『足相』……」サスサスリサスリ
アヤ「つまり全身なのよ……全身『愛を捉えるカラダ』にエステしなくてはならないわ~~フ~~」
ミカサ「…………………(顔近い)」
アヤ「過去に同じことをして『心がけ』を怠った結果、顔と手相…すべての部品を失ってしまったことがある人を、わたしは知っているわ」
ミカサ「!?」
アヤ「本当に、やりますの?」
ミカサ「私は……私の人生の全てを彼に捧げる」
アヤ「……その人も同じようなことを言っていたわ」
アヤ「……『24時間』で、料金は通貨72000です」
ミカサ「いいわ……やってもらいましょう」
ミカサ「1日で訓練兵の給金1か月分、いい商売ね」
アヤ「じゃあ、着替えてそこのベッドに横になって頂戴……」
ドドドド┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
―
――
―――
―――午前11時 街の武具店―――
アニ「……で、グローブにもオープンフィンガータイプ、パンチングタイプとある」
エレン「どれを選べばいいんだ、アニ?」
アニ「対人格闘でナックルを保護する目的があるなら、綿が多い12オンス以上を薦めるよ」
エレン「成程…例えばミカサもこれを着けてれば、強烈なパンチで拳を痛めなくて済みそうだな」
アニ「……」
エレン「しかし、この店デケェ男ばかりだな。ライナーやベルトルトもよくここに来てそうだな?」
カランカラン
エレン「こうして見ると、たしかに『か弱い乙女』なんだよな、アニって」
アニ「何だい今更…実際そうだろうに」
エレン「あっちの人みたいに女でも背丈のある奴は別で…ん、あれは…」
エレン「ミ…」
「エレン……」キラキラキラッ
エレン「ミカサ……」ドキン!
エレン「(な…なんだ?あ…あたたかい輝きの中にいるように見えるぞ…)」ハァハァ
エレン「(あ…あれ?どうしちまったんだオレ…急に動悸がしてきた」ドキドキ
アニ「あ、あれは……ミカサ……なのかい……?」
『続き』はどこからだったかしら…?
そう、あのテラスで手を握ったところから…………!
エレンが私の手に触れたとき、言葉ではなく『心』で通じ合った…
それなのよ…
私が望むことは…心と心が通じること
それだけが生き甲斐…
…
……
………
一日30分、重要ですね。
明日の深夜0時に残り半分、再開します。
1です
読んでくださっている皆さま方へ…
わたしは所詮1ですので、sage進行にしますが、
この駄作を、もっと多くの方に読ませてやっても構わないと思ったら、あげていただけますと幸いです
では予告通り、0時から第2幕を開けたいと思います
――1時間前――
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
アヤ「これで完璧に『愛を捉えるエステ』を完了したわ…」バーン
アヤ「そして大切な『心がけ』っていうのはこれよ…」
ミカサ「…『口紅』?!」
アヤ「寝るとき以外、30分毎に唇に塗っていただくわ……」
アヤ「これを絶対に守ること。魔法を解きなくないのなら」
ミカサ「わかったわ……」
アヤ「ガンバッて……あなたは愛に関して『無敵の肉体』になったのよ……」
………
……
…
エレン「そ…そうだ…これ!ちょっと着けてみろよミカサ」ポスッ
ミカサ「…………(グローブ?)」
エレン「思いっきり叩いても拳を痛めないらしい!ミカサにはこれがいいよ!じゃ、俺は自分の探してくるから!」ソソクサー
ミカサ「ちょ…ちょっと待ってエレン!私を見てッ!」
エレン「」ピタッ!
ミカサ「私を見て……何か『湧き起ってくる気持ち』…あるでしょ?」パアアァァァ
エレン「そ……それは……!」ドクン ドクン
ドスッ!!
エレン「うぐッ?!」
アニ「んんー……いい感触だね、このグローブ」キュッ
エレン「な、なにすんだ…アニ……!!」ゲホッ
アニ「エレン、人がせっかく説明してやってんのに余所見されちゃあ困るな」
ミカサ「……!……」ギリッ
アニ「おやっ!誰かと思えばミカサじゃないか……元気?」
ミカサ「アニ、私は今すごく不機嫌よ」ゴゴゴゴゴゴゴ
アニ「さ、行くよエレン。今のでグローブの効果がわかったろ」グイグイ
エレン「も…もう十分見た!降参する…!」
アニ「そんなこと言ってないでいろいろ勉強しなよ?身を護る防具についてとかさ?」
ミカサ「な…なんなの?これ」
ミカサ「(おかしい!!一体どうしてエレンとアニが戯れ合ってるのよッ!!)」
ミカサ「…ッと、そろそろ『口紅』の時間ね」キュポッ
ミカサ「(でも、まだ機会はある…!!『運勢』は私の味方なのだから……!!)」
―――
――
―
ユミル「よっエレンじゃねーか」
クリスタ「どこ行くの?」
エレン「あっ、ユミルにクリスタ」
ミカサ「(また増えた)」
アニ「(また増えた)」
エレン「アニに付き合ってもらってこれから防具を見に行くことになったんだ」
クリスタ「防具…?なら革製品かな」
アルミン「やあ、エレン」ゾロゾロ
コニー「どしたの?」
ライナー「なんか今日は」
ベルトルト「よく知った顔に出会うね」
ミカサ「(どんどん人が増えていく!!)」
ミカサ「(どこが『運勢』は私の味方だっていうの!)」
ミカサ「(これじゃあ全然2人っきりにもなれないッ!)」
ミカサ「(しかもどーゆーことか!一番いてほしくないあの女達まで)」ギリギリ
ユミル「私はこれからクリスタと鞍(くら)を新調に行くとこなんだよ」
ライナー「ほう、それは興味があるな(天使のクラ……)」
ベルトルト「僕達も見てもらいたいな」
コニー「なんか面白そうだな」
クリスタ「多分、革の専門店に行くなら同じお店だよきっと。みんな一緒に行こう?」ニコッ
アルミン「(女神)」
ベルトルト「(天使)」
ライナー「(結婚したい)」
アニ「……」
ミカサ「……」ゴゴゴゴゴゴゴ
――午後11時50分 繁華街の大通り――
アニ「とりあえず、革物屋に着いたが胸当ては…」
ヒッタクリダー!!
一同「?!」
老婆「ああッ!誰か!誰かッ!」
泥棒1「チッ、騒がれたか!」
泥棒2「とっととズらかるぜ!」ダッ
サシャ「モガッ?!…任せてくださいそこの方!おどりゃ待たんかぁァァい!!」ダダダダダダ
クイニゲダー!!
一同「え?!……さ、サシャ!!??」
コニー「なにやってんだあいつ!ってか食い逃げとかマジで独房にブチこまれたいのか?!」
ベルトルト「どうする?ライナー…」
ライナー「ああ、兵士には避けては通れない状況がある……今がそうだ!!」ダッ
アニ「チッ、面倒だね」パキポキ
ライナー「これよりターゲットから盗品を奪還する!!」
ライナー「まずコニーはサシャに追いつけ!エレンとミカサは正面から、ベルトルトとアニは路地を回ってあの泥棒野郎をやってくれ!」
クリスタ「わたし達は、さっきサシャが出て来た店と、お婆さんのフォローに行ってくる!」
アルミン「みんな、相手は凶器を保持してる可能性もある!気をつけて!」
エレン「これはピンチだが、絶対に逃がせない!全力で追うぞ!!」
ミカサ「わかった!」
ライナー「よし!状況を開始してくれ!!」
―
――
――路地裏――
泥棒1「グボォアッ!」ドサッ
アニ「…フン」
ベルトルト「よくやったアニ!……でもどうしてグローブなんか持ってたんだ?」
アニ「どうでもいいだろ(んん~♪馴染む!馴染むよ~このグローブ!!ああもっと打ちたい…)」ニヤニヤ
ベルトルト「荷物を持ったもう一人の方が見当たらないな……逃がしてしまったか?(嬉しそうだなぁ)」
―
――
――路地裏から離れたスラム街――
泥棒2「ハァッ……ハァッ……チクショウ、一体何だったんだ奴らは」
コニー「見つけたぞ!!」
泥棒2「!!」バッ
サシャ「フフーフ…森育ちの嗅覚を舐めないでいただきたいですね」ドヤァ
泥棒2「チッ、ガキがゾロゾロとしゃしゃり出やがって!」シャキン
コニー「アイツ!光物出してきたぞ」
ミカサ「エレン、危ないから下がってて」
エレン「いや、ここは技術を行使してこの場を治めてやる!」
泥棒2「こいつ……このナイフが見えねえってのかよ!」
エレン「見慣れてんだよそんなもん…ひっくり返してやるよ」バシッ
泥棒2「?!」グリンッ
コニー「おお!あれは、アニの技か!!」
エレン「よし!!確保だ!!」
泥棒2「ちぃッ…しかし詰めが甘いな…」モゾモゾ
ミカサ「?!」
泥棒「(喰らえ!)」バッ + ∵. :+ :
エレン「ぐあぁッ!(粉?!身体が痺れる!!)」
泥棒2「形勢逆転だな…チョーシに乗りやがって!!師ね!!」
ドドドドドドドドド
ミカサ「うあああああああ!!!!!!」ガッ
泥棒2「な!ひッ……」ドッドォォォォォガッシャーーーーーン
ミカサ「エレン!!逃げて!!」ドガガガガガ
コニー「(え…どうなってんだ…上に4メートルくらい人が吹っ飛んだぞ)」
サシャ「(それを追うようにミカサも飛んでいく……1hit,2hit,,,,ああ…!10からまだ繋がってる)」
エレン「(く…くそッ!油断した……ッ!!)」
コニー「よし、とりあえず鞄を回収して、ターゲットを確保だな」
サシャ「でもこれ…心肺蘇生も必要でしょうか?」
泥棒2「」ビクン!ビクン!
エレン「す、すまん…助かった、ミカサ……ミカサ、何処にいる?う…動けな」フラフラ
ミカサ「私はここにいる!」ギュッ
エレン「!!」
ミカサ「(……ハッ!!)」
エレン「ミ…ミカサ?」
ミカサ「エ…エレン」
………
ミカサ「(これなんだ……)」
『運勢』ってこれなんだ…
みんなが私たちに味方してくれている…
通じ合っている…エレンの心と私の心が通じ合っている…
これなんだ……この感動……
エレンも私のことを愛している…
それが今…わかる…
エレン「(な…なにが……一体……)」
カラーン……カラーン……
心が通じている…………
カラーン……カラーン……
エレンの『心』が私…の『心』に流れ込んでくる………
今、正午の鐘が鳴った気もするけど……
でも今はそれどころゃあない……
こんなときに『口紅』なんて塗れる?
ほら こんなにも世界は美しく輝いている
これが私の全て…そして
私の人生は今から変わるんだから……
―――
――
―
ここまでで1/3です。ボリュームが増えてしまったので、残りは明日にしたいと思います。
乙
ミカサかわいいよミカサ
>>97
ご覧いただきありがとうございます
ミカサかわいいです。そして、この原案どおりこのあとミカサには『ひどい』目にあってもらいますw
俺が読むのはここまでのようだな
やべえよ……やべえよ……
◆連絡◆
21時から残り1/3投下しまーす
>>79ですが、原作だとベルトルさんは別に天使だと思ってなさそうですね。
解釈ミスならすいません。
>>99
遠慮なんかしなくていいって
なお、お約束のオチは少し変えました。改悪になっていたら残念ですが…
>>100
やってしまった行動に対して、兵士として責任とってもらわないと(・∀・)ニヤニヤ
シンデレラには、苦しんで、苦しみ抜いた先に、幸せが待ってますから
早くも進撃原作46話を反映したssが投下され始めているのが気になります
ライナーかわいそうwwww
では、第3幕です
―
――
―――翌日 訓練所 集会所――
キース「…以上。ウォールローゼ南部大通りにて発生した路上強盗事件について報告する」
キース「なお、犯人の捕縛にあたり104期訓練生が貢献した件について、憲兵団から感謝状が授与されることとなった。」
キース「当該訓練兵諸君は本日午後3時より、ウォールローゼ大通りの公会堂にて行われる授与式に参加するように」
キース「なおブラウス訓練兵、貴様には被害者であるご婦人から御礼の品が贈られているそうだ。謹んで受け取れ!」
サシャ「ハッ!」バッ
キース「ちなみに同時刻に食い逃げの通報があったようだが…」ギロリ
サシャ「?」
キース「誰か説明してもらおうか……」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
…
……
………
ザワザワ
コニー「あ、あのさアルミン…一つ、聞きてーことがあるんだけどよ」
アルミン「どうしたんだい?」
コニー「ミカサと『キス』してるとこを観ちまったんだが…」
ゲボォォアアア!!
ジャーン?!
キャー!
エーマジデー!
バシッグルングルッ
ワーヒトガトンデルー!?
コニー「ミカサとエレンが『キス』してるとこを観ちまったんだが…」
アルミン「なにをしてるだってェ?!」ガバッ
アルミン「まさか、動揺を行動で隠そうとしたあまり暴走して……」アタフタ
コニー「落ち着けアルミン!お前まさか、エレンから何も聞いてなかったのか?」
アルミン「…………何てことだ……巨人も月までブッ飛ぶこの衝撃……あのエレンが、ついに……」
テメーフザケンナヨ!!
ハ?ヤメロヨヤブケチャウダロ
ネエフランツワタシタチモ
タスケテライナーガイキシテナイノ!
アルミン「何だか騒がしくなっちゃったな…」
アルミン「あれ…そういえばミカサは?誰かミカサを観てないの?」
ミーナ「あ、ミカサなら多分まだ女子寮だよ。昨日の捕り物で怪我でもしたのかな?布団で休んでて、まだ誰も会ってないよ?」
アルミン「(?…おかしい。ミカサに限って素人との格闘で消耗するなんて考えらえれない……だとしたら恥ずかしがってるのかな?)」
――午時3時前 ウォールローゼ市街 大通り――
ザッザッザッ
エレン「あれ以来、ミカサと会ってないんだ…」
アルミン「どういうこと?」
エレン「いるんだよ、訓練所には…でも俺と話したがらない」
エレン「今朝の朝礼にも休んでる」
エレン「ミカサの場合、俺たちに伝言だとかフツー、何かあるはずなんだ…」
エレン「でも何も無いんだ」
アルミン「会ってないのは、そ…その捕り物騒ぎ以来ぜんぜん?」
エレン「ぜんぜん」
アルミン「(こりゃ、下手に茶化してキスのことは聞かないほうがよさそうだな)」
アルミン「(ミカサに関しては…『愛情の真剣さ』は確かだ…そのミカサが態度をコロっとかえてしまったってことは考えにくい)」
アルミン「直接会って確かめたいね」
エレン「一体どこ行っちまったんだ……」ハァー…
エレン「……ん?」
エレン「あ…あの黒髪はッ!!」ダッ
女性「……」
エレン「ミカサ…………!!」
エレン「(なんでこんなところに…あっ、あいつも授与式に出るのか!)」
エレン「ま…待ってくれミカ…サ…?おい…」
女性「」クルッ
エレン「あ………」
エレン(そこで見たのは、ミカサとは程遠い、のっぺりとした顔の、なんて表現したらいいかわからない『人相』の女性だった)
女性「わたし……そんな人ではありません」
エレン「あ…あの……うしろ姿がそっくりだったもので……」ペコッ
アルミン「エレン?行くよー!早くしないと授与式が始まっちゃう」
エレン「ああ…今行く……」
エレン「……………」スタスタスタスタ
女性「」
女性「」
女性「エ……エレン……」ツゥー…
―
――
―――エステ・シンデレラ―――
ドドドドドドドド
アヤ「……はっ!」
ドオ――――z___ン
女性「ツジ・アヤ……」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
アヤ「あなたは…ミカサ…?!」
ミカサ「顔がどんどん崩れていく!塞ごうとしても剥がれ落ちる!」
ミカサ「納得のいく説明をしてもらうッ!!!」
アヤ「ミカサさん……あなた……」
アヤ「『約束』をやぶったみたいね……」
アヤ「残念だわ…30分に一度、シンデレラの『口紅』を塗るのを忘れないでと言ったのに」
ミカサ「ちょっと忘れただけでしょう!」
ミカサ「早く顔を元に戻してッ!」ボロッ
ミカサ「は!な…なに?これ…?私の『手』…」
ドロッ……
ミカサ「あ」
ずるッ…
ずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずる
ミカサ「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!????!!!!!??!」
ミカサ「(私の!私の『手』がッ!『指』も!『顔』もッ…!!)」
ミカサ「グシャグシャになっていくッ!」ガクガクガク
アヤ「手相も指紋もなくなっていくのよ……『約束』を破ったのがいけないのよ…」
アヤ「あの『口紅』は人相だけではなく運勢を固定するためのものだったのよ…」
アヤ「人の運勢を変えるには莫大なエネルギーが必要なの。そのエネルギーが固定されずに飛んで行った…」
アヤ「フ~~……甘く見たあなたが悪い」
ミカサ「なッ?!」
アヤ「自分の『運勢』を甘く見たあなた自身が……」
ミカサ「ズタズタに引き裂かれたいのーッ!?」
アヤ「『引き裂く』?わたしは野心だとかおカネだけのために『エステ』をやってるんじゃあないわ…」
アヤ「シンデレラのお話に出てくるような、人に『幸せ』を与える『魔法使い』になるために」
アヤ「本当に残念だわ…あなたの望みをかねえてやろうとすべきではなかった」ゴゴゴゴ
アヤ「あなたの顔と手相はもう、 ないの 」ゴゴゴゴ
アヤ「飛んで行ったのよ…どうしようもないわ…この世から『消滅』したのよ」ゴゴゴゴ
ミカサ「なん…だと…?」ゴゴゴゴゴ
アヤ「 消えたのよ 」ゴゴゴゴゴ
ミカサ「顔が」
ミカサ「もう、ない……?」
『部品』が無い
自分を示す部品を…レゾンデトールを失った人は
どんな人生を歩むことになる?
ギィ………
「ミカサ」
聞きたかったミカサの悲鳴もやっと聞けたことだし、少し中座します。
1時間後に再投下します。今日中には完結する見込みです
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
ミカサ「!!」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
ミカサ「…いいえ、私はそんな人ではない」
ミカサ「先生……ここは男子禁制ですよね…早くあの男を追い出して」
「その性格なんだよな~~~」
「そのものすごくタフな性格……」
エレン「間違いない、ミカサだ」
エレン「間違いない、ミカサだ」
エレン「そして、その先生とかいう人……」
エレン「その人に……何かされたってことか…」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ミカサ「(もう…おしまいだ…」
ミカサ「(この姿を…エレンから隠すことは出来なかった…もう、生きていけない…)」
ミカサ「(死ぬしかない)」チャキッ
ミカサ「この女を殺してから…!!」ダッ
エレン「!!」
アヤ「やけにならないで、ミカサさん」
ボワンッ
ミカサ「!!」
エレン「?!!」
アヤ「このコなのね……あなたの想い人……エレンくんっていうね……フ~~」
アヤ「このコ、顔の違うあなたを『ミカサ=アッカーマン』と見抜いてる…」
アヤ「本人自身も『ミカサ=アッカーマン』であることを否定胃しているのに、見抜いて追ってくるなんて」
アヤ「このコ、『人相』を見る目ってやつがあるわ…」ドドドド
エレン「何だ……俺は一体何を…見ているんだ…?」キョトン
ミカサ「(か、顔が部屋中に…!!)」
アヤ「いいわミカサ、あなたの『顔』はもう、この世から消え去ったと言ったけど」
アヤ「その男の子の行動に免じて『魔法使い』としてもう1度だけ最後の『チャンス』をあげるわ……」
ボンッ!
ボンッ!
ボン!ボン!ボン!ボン!ボンッ!
アヤ「『最後のチャンス』とは、この大量の『顔』の中からひとつだけ『選択』すること……」
アヤ「この『顔の群れ』は私の精神のビジョンが作り出した『イメージ』……」
アヤ「この中からひとつ『自分の顔』を選びなさい」
アヤ『自分の顔』を選べたら、あなたの『顔』は元に戻る……」
エレン「(こ、これは……似てる…!アルミンが昔聞かせてくれた『あの話』…)」
エレン「(『シンデレラ』に!!)」
エレン「シンデレラは!『ガラスの靴』をピッタリと履いて…王子と結ばれた!!」ドォ―――ン
ミカサ「初めからそういう態度で出てほしいものね」
ミカサ「(毎日鏡で見ている自分の顔なのだから、こんなの問題なく解ける…!)」
アヤ「でも、もし他人の顔を選んだなら、その『顔』は決してあなたにはなじまない……どんな『顔』になるかわからないわよ…
アヤ「なじまないというより、このツジ=アヤの美の基準からいうと…」
アヤ「『醜い』」
アヤ「といった顔になることを予告しておくわ…さながら、あの『巨人』たちのように不気味な『人相』にね…」
ミカサ「………!!」キョロキョロ
ミカサ「……」キョロキョロ
ミカサ「迷いだすと、『こっちかも』って思えてくる…」
ミカサ「でも、決めた…!」ガシッ
ミカサ「間違い無い!自分の顔だからハッキリわかるッ!」
アヤ「それでいいのね?フ~~……はめこんでみればわかるけど」
ミカサ「…………」
エレン「…………」
ミカサ「ハァ…ハア…ハア…ハア…ハア……」
ドクンドクンドクンドクンドクン
ミカサ「い…いえ、こ…この顔じゃない…私の目はもっと吊り上ってたように思えるから…」パツ
アヤ「はい、シャッフル~~」グオオオオオ
ミカサ「ど……どれ…なの?」
ミカサ「や…やっぱりどれだか、自信がない…」ハァハァハァハァハァハァハァ
ミカサ「……」
スッ
アヤ「どうしたの?早く選んで」
ミカサ「いえ、私…………選ばない…」
エレン「え?」
アヤ「なに言ってるの?顔の無い人生を送りたいの?」
ミカサ「私の顔……エレンに選んでもらう」
エレン「お、おい……!!何言って」
ミカサ「だって……」クルっ
ミカサ「私は既に一度死んでいる……それを生き返らせてくれたエレンが選んだものなら……それがどんな顔で、どんな運勢に繋がったとしても……それに従える……」
ミカサ「後悔だってない」
エレン「そ…それはッ!そんなことッ!………」
ミカサ「構わない。エレンが選んだものなら勇気が湧いてくるのだから」
ミカサ「選んでちょうだい、エレン」
エレン「ミカサ」
エレン「わ……わかった」
アヤ「(どうする気かしら、あの子)」
エレン「う~ん……」
エレン「まいったな……」キョロキョロ
エレン「(さっきからとっくに頭が限界なんだが…)」
エレン「こんな大量の顔の中から一体どうやってミカサを……」
エレン「ミカサを……?」
エレン「……あの、先生」
アヤ「何でしょう」
エレン「この中にミカサの顔が『なかった』場合って、どうしたらいいんですか」
アヤ「ん?」ピクッ
エレン「まあいいや、それより先生に頼みがあるんです」
エレン「もし、違う顔を選んじまったとしたら」
エレン「先生の整形で、俺の顔もミカサのようにしてください」
アヤ「!!」
ミカサ「!!」
エレン「ミカサは何かにつけて俺のことを優先しようとする性質(タチ)なんです」
エレン「でも、きっと『違う顔』になるってのは、ミカサにとって…人にとって凄く恐ろしくて、惨めで、残酷で」
エレン「そうなると、ミカサはさっきみたいに俺に見られないようにまた避けだすと思うんです」
エレン「そうなるのが…凄く嫌なんです」
エレン「それならば、俺もミカサと同じになれば、ミカサも自分の顔を受け入れられると思うんです」
エレン「だから……もし違う顔を選んじまったら……黙って……」
エレン「オレを醜くしろ!!」ドォォォォン
アヤ「!!」
ミカサ「エ……エレン……それは……ダメ……」ブルブルブルブル
ミカサ「私が……足手まといになってしまっては……私がッ…!守られてしまっては……!」
エレン「ところで先生…さっきの質問なんですけど」
アヤ「『顔』が全部違うって?何故そう思ったの?」
エレン「それは……3年以上、家族として一緒に過ごして」
エレン「片時も離れることなく…まあそれはそれでうっとおしいっていうか何ですけど」
エレン「いつもそばで飽きるほど見てきた顔なので」
エレン「その顔がここには見当たらなかったような、そうな気がしたんです」
アヤ「………」
スッ
エレン「え!?」
アヤ「もう一つ、出し忘れていたわ…ごめんあそばせ」フイッ
エレン「こ、これは……(ミカサの顔だ!)」
エレン「は、嵌めるぞ」ゴクッ
ドドドドドドドドドド
カチッ
ミカサ「うッ!?」バシッ バシッ
ピアァアアアア
………
……
…
ミカサ「みっ………」
ミカサ「見てッ!エレンッ!!」パアアアアアアァ
エレン「ピッタリだ……」
ミカサ「うっ……」ジワァ
ミカサ「エレェェェェェェェン!!!!」ダキッ
ウアッオイミカサ!?
ワアアアアアアアアアアアン
アヤ「(そう、正解は『全部違う』だわ)」
アヤ「フ~~~100点満点とは言い難いわ。だって確信がなかったわけですもの」
アヤ「でも……このエレンって子……まさか『自分を醜くしろ』と…まで言うとは……」
アヤ「『魔法使い』としてのルールをちょっぴり曲げたけど、治してあげたわ」
アヤ「だって逆に、このあたしが何の関係もないこのエレンにそこまでさせてしまっては」
アヤ「『魔法使い』としてのコケンに関わるから」
ミカサ「(嬉しい!エレンが私を見つけてくれた!私を見ていてくれていた……!」ギュ~
ミカサ「エレン………!!(愛してる……!!)」
アヤ「ミカサさん、あなた…」
アヤ「男の子を見る目だけは、確かだったようね」
【『esthetique de cendrillon』―――営業中 火曜定休 ウォールローゼ公会堂から徒歩5分】
to be continued......
ミカサは無事でした。よかったよかった。
あと少し続きます
―
――
――― 翌日 朝 食堂 ―――
アルミン「覚えてない……だって……?」
エレン「ああ、『くちづけ』をしていたのがミカサだってことは気付かなかった」
エレン「あのとき……泥棒野郎にやられて身動きが取れなくなって」
エレン「その後、けたたましい轟音がしたかと思ったら、すごく逞しい腕に包まれて」
エレン「なんか、あたたかったんだが……そのまま気を失っちまった。ミカサ、その『口づけ』って、まさか俺を助けるために?」
ミカサ「……当然。意識を失いかけていたから息を吹き返させた」
エレン「そうだったのか…サンキュー!また助けられたな!」
ミカサ「当然のこと。『家族』だから」
エレン「……そうか」ジーッ
ミカサ「……どうしたの、エレン?」ジッ
エレン「えッ!!いや、何でもないんだ…(しまった、思わず『唇」を凝視しちまった)」
アルミン「(なんか微笑ましいなぁ)」
アルミン「(二人とも、一皮むけたような気がする)」
ミカサ「(エレンは知らない……)」キュポッ
あの『奇妙』な出来事の後も…私はこうして時々『口紅』を手にしていることを
少しずつ、オシャレというものに興味を持つことができた
綺麗になるという『心がけ』は、行動や、それに伴う結果をプラスに導いてくれると思ったからだ
今度、サシャに髪を切ってもらおう
クリスタにメイクを教えてもらうのもいいな
あんまり変わってしまったら、今度は『私』って解らなくなるかな?
でも、また次も、私を選んでほしい…
私、ミカサ=アッカーマンは
シンデレラに憧れる
………
……
…
おわり。
やった!第3幕完!!
書き溜めていたにも関わらず、思ったよりも時間がかかりすぎてしまいました。
バーバー・ブラウスさんみたい手早くコンパクトにってのが理想ですね。。
読み直しみて、おかしな点も見受けられました…すこし補足をしたほうがいいかもしれません
たとえば、
正午前には既にメイクが完成していたのに、効果が切れたのは、30分を超過した12時半だったり…
ライナーさん、仕切るのはいいけど君は何をしてたの?とかね…あまり整合性とれてませんでした
他、ご指摘等あればお願いします。
このSSまとめへのコメント
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