【Fate】士郎「お前は…?」コナミ「――」【遊戯王TF】 (637)

・Fate/stay night、遊戯王タッグフォースシリーズクロス
・このコナミ君は姿TF6中身TF1~6+DCまで経験したコナミ君です
・ネタバレを多分に含んでいるので注意

次レスからプロローグ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1403195762

「――、いつでも戻ってくるといい。お前たちが帰るこの街は、俺が守ってみせるさ」


              「俺は風の向くまま、まっすぐ、まっすぐ……! お前もそうだろ? ――」

   
  「――、未来はきっと、あなたたちが……」

          
           「卒業したら一番に、――のところに行くから!」


    「キングの座を奪いにこい! ――! お前が来るのを世界の頂点で待っているぞ!」 


                         「アデュー……私の――……」      


   「この私がデュエルカーニバル優勝者である君の願いをなんでも叶えよう! さあ、願いを、――君」


「――――――」

「――――――……」

「《――――》、《――――》、《――――》」



士郎「はぁっ……はっ……!」

ランサー「ったく……一日に二度も同じ人間を殺すことになるとはな」

士郎(クソッ……なんだってこんな奴に……)

そもそもの始まりは放課後の校庭。あの場でこの男と赤い男の戦闘を目撃していた自分は、この男に殺された。
一度殺された自分を誰が助けてくれたのかはわからないが、まだ生きている。
助けてもらった命を、簡単に捨てるわけにはいかない。

ランサー「じゃあな。今度は迷うなよ、坊主」

士郎「!」ガキン!

手に持った強化したポスターを使い、男の槍を弾く。

ランサー「ほう……? なかなかやるじゃねえか、だが……」

ドンッ

士郎「ぐっ……!?」

男の蹴りで自分の体が土蔵まで飛ばされる。だが、ここで何か武器を見つければ――

ランサー「お前が最後のマスターだったのかもしれんが……これで詰めだ」

そんな考えも虚しく、男はそこまで接近していた。

士郎「ふざけるな、俺はこんなところで――」

士郎「殺されて、たまるかっ!」

カッ

士郎「え――」

ランサー「何……っ……!」

目映い光とともに男が何かに弾き飛ばされる

ランサー「チッ……」

男が庭の方へと退く。
そして、呆然とそれを見ていた自分の視界に入ったのは、蒼銀の少――――――

               /        ___   l. l               /             ヽ      l
           /        l゙ o }   l, !           /              ヽ     .|
              _    ._..‐'.!  ゙ー-'   l l,            l             ゙L    .!
         /゛/ ,..-'".,..-'゛        l l            l                 ll、   !
        / .!'´., /              l /  ̄/     /               l!__r‐|r‐-'"
        / ,/゛                l,二二    _rt'ト                  i″  /
        ! l       ._..〟        /__/    ,..-、                 /  ,/
         l .!   _.. ‐''´._..ノ         /l   l _..-'" _..ノト、               / ,,┤
         ! し-''". _.. ‐'″          / .l,..-'" _..-'"゛ !| .__-、       ./ ,/ l
       !_.. -'"                 // _..-'"     __ l__l \_    / /   l
         |              ,! ゙゙‐'ヽ ヽ     l__l    / /-, / ,/
         l                 i′    l,、 l.    リ   / /,,ノ./
            l                !     ,i" ヽ.l.   │  /__/ /
         │            l    /    '<'、 ,..-'゙ll、 ._//        l
          !            |   ./      ヽ`ぃ-l゙.!'" /         /
`'ー..、       .|、              |  ./       l.! l.l .,! /           /
、   ゙゙'-、、    .l'-             ! /        〃 ゙'ミ .ヽ             ,!
 ゙''-..,、  `''-..、 / !          /l゙        ||  .ヽ .ヽ           /
    `゙'ー ..,, .`''" .\         l .l           !|   ヽ  ヽ       ./
        `゙'ー 、  .\         ! /         !l、.    l  .ヽ     /             ,/
            `、.   \     ! .l゙            !|ニニ=_ .ヽ  ヽ    /           /
             ヽ,   .\  / l            |.!    `゙''ヽ  .ヽ  ./        /
               \   `ゞ ,!          !.!      ヽ  ヽ〃      /
                 \    ,!             | l      ヽ  /      /
                   \  |           ! !       ヽ \    /
                       `''!、             }.l       ヽ  ヽ  /
                          \.        .! .!        l  `'ッ′
                         \       l l           l   く


士郎「っ!?」

士郎(今のは……)

ランサー「お前が最後のマスターだったのかもしれんが……これで詰めだ」

士郎(幻……?)

士郎(だとしても……)

士郎「殺されて、たまるかっ!!」


カッ

士郎「え――」

ランサー「何……っ……!」

目映い光とともに男が何かに弾き飛ばされる。
それは数秒前に見た幻と同じ。ただ一つ違うのは―――

「…………」

自分の視界に入った人物が、赤い帽子を目深にかぶった青年である、という部分のみ。

士郎「あんた、一体……」

「――――――」

その青年は帽子に隠れている目でこちらを見つめ、ただ一言。







「サーヴァント、決闘者(デュエリスト)」





プロローグここまで
一話は今日の夜か明日になります。

「――――?」

士郎「は、え? 俺がマスターか、……ってどういうことだ?」

「――――……」ダッ

士郎「あ、お、おい!」

ランサー「テメェ……」

「…………」

ランサー「まさかサーヴァントを呼び出すとは思わなかったが――」

ランサー「おもしれぇ、相手になってやるぜ。かかってきな!」ザッ

男が槍を構え、纏う空気も戦闘時のものへと変わっていく。
それに対して、帽子の青年は臆するでもなく

「――……」スッ

士郎(あれは……)

ランサー(カードの束……? 魔術の類か?)

そうすることが当然であるかのように、40枚のカードを取り出した。

「……」ガチャ

士郎(左腕の盾にカードをはめた……?)

そして、彼は5枚のカードを引き

「――――デュエル」


「《ファイヤー・ボール》」

ゴウッ!

士郎「!?」

彼がカードを構えた瞬間、巨大な火の玉が現れ男の方へと飛んでいく。

ランサー「! その程度――」ダッ

ランサー「まさか、そんな魔術でどうにかしようだなんて思ってないよな?」

「…………」

ランサー「へっ、口じゃなくて闘いで語れってか? だったらこっちも行かせてもらうぜ!」ヒュッ

「――――」

ランサー「そらっ!」ブン!

「《ランサー・デーモン》」

ランサー・デーモン「オォッ!」ガキィン

ランサー「何!?」


ランサー「チッ! しゃらくせえ!」

ゴウッ

ランサー・デーモン「オォオォオオオ!」ギィン

ランサー「そらよ! 終いだ!」

ザンッ

ランサー・デーモン「――――……」シュウゥゥゥ

「《デーモンの斧》」ブン!

ランサー「おっと!」

「――……」

ランサー「へっ、そこまで大振りの攻撃にあたるかよ」


ランサー「しかしわからねえな……火の魔術に召喚魔術かと思ったら接近戦まで仕掛けてきやがる」

ランサー「テメエ、どこの英霊だ? いや、そもそも何のサーヴァントだ?」

「――――」

赤い帽子の男は先ほどと同じように告げる。
「決闘者(デュエリスト)」だと。

ランサー「決闘者、だ? ハッ、イレギュラーってわけかい」

ランサー「ついでにもう一つ聞いておくが、この勝負、ここらで分けって気は無いか?」

「――――?」

ランサー「お前のマスターは使いもんにならねえだろうし、俺のマスターは表に姿を出しやしねえ。お互い、万全な状態で戦う方が好ましいんだが――」

「……――――」

ランサー「退く気はなし、か。こっちは様子見が目的だったんだがな。そっちがその気なら仕方ねえ」ザッ

「…………」

ランサー「その心臓、貰い受ける――――!」ジャキッ

士郎「あれは……」

死ぬ前に校庭で見た最後の構え。
あれが何かはわからない。だが、あれを食らえば帽子の青年は――――

「……ドロー」

ランサー「刺し穿つ(ゲイ)――――」

士郎「っ! 逃げ――」

ランサー「――――死棘の槍(ボルク)!」

帽子の青年の足元を目掛けた必殺の呪いの槍。それは、


「――――《禁じられた聖槍》、《くず鉄のかかし》」

彼が出現させたであろう物体によって、その動きを止めていた。

士郎「え……?」

ランサー「何だと!?」

「――!」ダッ

ドスッ!

ランサー「ぐっ……!?」

ランサー「俺の槍が止まるだと……!? 貴様……! 一体何をしやがった!?」

「…………」

ランサー「チッ……だんまりか……。斧に槍に魔術……果ては俺の宝具を止めるときた」

ランサー「アレを見られた以上、ここで殺しきるまで殺りあいたいところだが――」

「…………」ジャキ

ランサー「生憎、うちの雇い主は躱されたら帰ってこい、なんてぬかしやがる。悪いが、ここで退かせてもらうぜ」

「――……」

ランサー「追ってくるのならそれでも構わん。だが、それなりの覚悟をしてくることだ」シュッ


士郎「逃げた……のか」

「……」

目の前に居るのはさっきまで槍の男と死闘をくりひろげていた青年。
およそ人間とは思えないような相手と対等に渡り合っていた奴に近づくのが安全であるはずがない。
だが――

士郎「……」

士郎「なあ、あんた一体何者なんだ? それにさっきの槍の男も――」

「――――、――?」

士郎「……コナミ? ……決闘者(デュエリスト)のサーヴァント? それにマスターって……いや、俺はただの――痛ッ!?」

士郎「な、んだ、これ」

「――――」

士郎「令、呪? いや、だから俺は…………?」

コナミ「…………」チラッ

士郎「……? どうした? 塀の向こうに何か……」

コナミ「…………!」

彼の手に先ほどと同じようなカードが現れる。
それはつまり、

コナミ「《千里眼》」

コナミ「…………」ダッ

士郎「お、おい! ……?」

彼の使用したカードによって現れた塀の向こうの映像。
そこに移っていたのは、見知った顔だった。

士郎(遠坂……? ってことはアイツ――!)

衛宮邸前

コナミ「――――」バッ

アーチャー「! 凛、下がれ!」チャキ

凛「っ!」

コナミ「《魔法剣士ネオ》、《地縛霊》、《つまずき》」シュッ

魔法剣士ネオ「ハァッ!」ドッ

アーチャー「何……!?」ガキン!

凛「セイバーのサーヴァント……!? それに、あの赤い帽子の奴がマスター……!?」

アーチャー「ッ! この程度!」キィン

魔法剣士ネオ「ムゥッ……!」

アーチャー「今度はこちらから行かせてもら――――何!?」グラッ

地縛霊「オォォオォォォオオオォ」ガシッ

凛「アーチャー!」

凛(足を封じられて身動きが取れない状況。それに、あの体勢じゃ――――)

魔法剣士ネオ「オォッ!」


士郎「コナミ! 止めろ、攻撃を止めてくれ!」

コナミ「――――……」

魔法剣士ネオ「……」ピタッ

アーチャー「っ……」

凛「衛宮、くん……?」

士郎「遠坂……あー……その、えーっと……」

凛「……そう、そういうことね。――アーチャー、少しの間霊体化しててちょうだい」

アーチャー「……あまり良い判断だとは言えないが……」

凛「大丈夫よ。衛宮くんは状況がわかってないし、サーヴァントの方も令呪無しに攻撃を止められるくらいには敵意は無いわ」

凛「それに、あなたが出たままだと向こうも警戒せざるを得ないでしょうからね」

アーチャー「……了解した。だが」

凛「わかってる。何かあったら令呪使ってでもすぐ呼び出すわよ」

アーチャー「…………」スゥ

凛「さて、と」

士郎「と、遠坂?」

凛「少し話良いかしら? 衛宮くん」

一旦ここまで
12時過ぎくらいに続きを

衛宮邸 居間

凛「――と、そういうことよ。理解できた? 今の自分が置かれてる状況が」

士郎「……ああ、七人の魔術師殺し合い、そのマスターの一人ってことだよな」

士郎「それで、さっきの槍の男も、遠坂の近くに居た赤い男も、そこのコナミもそのマスターが召喚したサーヴァント」

コナミ「…………」

凛「……ねえ、さっき外で叫んでた時も気になったけど、その『コナミ』っていうのは彼のクラス?」

士郎「え? ああいや、クラスは決闘者(デュエリスト)って言ってたな」

コナミ「…………」コクリ

凛「決闘者のクラスのサーヴァント……? つまりイレギュラークラスってわけね」

凛「じゃあ『コナミ』っていうのは彼のあだ名ってこと? なんだ、案外重要な部分はちゃんとできてるじゃないの」

士郎「? 重要なこと?」


凛「そ、さっきも言ったけど、サーヴァントってのは受肉した英雄。だからそれを扱った文献なんかも沢山ある」

凛「だから有名であればあるほど、その人物が使っていた武器、弱点なんかもすぐ暴かれてしまう」

凛「つまりサーヴァントにとってもマスターにとっても、真名ってのは相手にばらしたくないものなのよ」

士郎「ああ、なるほどな。ってことはコナミは俺のしそうな行動まで考えてあだ名を教えてくれたってことか」

士郎「つまり、お前の真名ってのは別にあるわけだな? コナミ」

俺が感謝の念を抱きながらコナミの方を向くと

コナミ「…………」フルフル

彼は無言で首を横に振った

士郎「――え?」

凛「――は?」


凛「……つまり『コナミ』ってのはあだ名なんかじゃなくて真名まんまってこと…………?」

コナミ「…………」コクコク

凛「な――」

凛「…………衛宮くん、彼の名前は聞かなかったことにしてあげるわ。クラス名で呼ぶか、別の呼び方を考えるかしなさい」

士郎「あ、ああ……ええっと……」

コナミ「――――」

士郎「え? 今の呼び方のままでいいって……」

凛「……決闘者、あなた、自分が何言ってるかわかってるの?」

コナミ「――、――――」

凛「どうせ真名からわかることなんてない……? それってどういう……」

士郎「無名な英雄ってことか?」

凛「……いえ、例えどんなに無名な英雄であっても、サーヴァントとして呼び出されたのは何かしらの信仰があってのもの」

凛「だから、真名から何もわからない、なんてことはありえないわ」

コナミ「――――」

それでも彼は言いきる。
自分の真名からわかることはない、と。


凛「……いいわ。そこまで言うなら、私は何も言わない」

凛「衛宮くん、あなたが決めなさい。彼をどう呼ぶか」

士郎「え、ああ……」

コナミ「…………」

士郎「……コナミ、真名から何も出ないってのはなんか根拠があって言ってるのか?」

コナミ「…………」コクリ

士郎「その根拠ってのは……」

コナミ「――――……」

士郎「それを言う方が真名バレよりも何か出る可能性がある、って……?」

コナミ「……」コクリ

士郎「……わかった」

士郎「よろしくな、コナミ」


凛「……いいのね、それで? 聞かなかったことにしてほしいなら今のうちよ?」

士郎「ああ、俺はあいつを信じる。それに、名前を聞いたって遠坂みたいにあだ名かなんかだと考えるのが普通だろう?」

凛「確かに、大っぴらに呼んでる名前を真名だと思い込む奴はいないでしょうけど……まあ、いいわ」

凛「さて、話もまとまったし、行きましょうか」

士郎「行く? こんな時間にどこへだ?」

凛「教会よ、この戦争についてよく知ってる奴が居るところ。衛宮くん、知りたいんでしょ?」

士郎「ああ。……コナミ、一緒に来てくれるか?」

コナミ「…………」コクリ

凛「じゃ、行きましょうか」

アーチャー(…………)

コナミ「…………?」





0→300



道中

士郎「……」

凛「……」

コナミ「……」

凛(こうやって歩いてるとコナミがただの現代人にしか見えないわね……)

士郎(どう見ても大学生くらいの兄ちゃんだよな……)

凛(そもそも赤い帽子に赤いジャケットにジーパンの英雄ってどこの国の英雄よ……)

士郎(…………英霊って聖杯からの知識の中から現代に合いそうな服装考えて召喚されるのか?)

凛(……もしそうならアーチャーが悲しいことになるからやめてちょうだい……)

アーチャー「聞こえているぞ、凛」スウ

コナミ「――?」

士郎「あ、いや、なんでもない。遠坂、まだ教会まではあるのか?」

凛「もうすぐそこよ、ほら」

教会 外

コナミ「――――」

士郎「え? ここで待機してるって? なんでまた……」

アーチャー「ふむ、ならば私もここで待機するとしよう」

凛「アーチャー?」

アーチャー「何、そこの未熟者への配慮だ。己のサーヴァントと離れた状態で他のサーヴァントが近くにいるなど、気が気でないだろうからな」

凛「……まあ、いいわ。衛宮くん、行くわよ」

士郎「……わかった。コナミ、しばらく待っててくれ」

ギィ…………バタン

コナミ「……」

アーチャー「……行ったか」

教会

綺礼「再三の呼び出しに応じぬと思えば、まさか客をつれてくるとはな。」

綺礼「だが――なるほど、彼が七人目、そしてイレギュラークラスのマスターか」

凛「そういうこと。ただ、魔術師ではあるけど知識が素人もいいところなのよ。だからあなたが教えてちょうだい」

綺礼「――なるほど。いいだろう。少年よ、名は?」

士郎「……衛宮士郎だ」

綺礼「衛宮――――そうか……」

士郎「……?」

綺礼「ふむ、では説明を始めるとしよう。この聖杯戦争について」


――
―――

綺礼「話はここまでだ。マスターとして聖杯戦争で戦うかどうか、ここで決めよ」

士郎「俺は――」

士郎「戦う、このふざけた戦いを終わらせるために」

綺礼「そうか。ならば君を決闘者のマスターであると認めよう。マスターが残り一人になるまで、存分に戦うがいい」

綺礼「さて、まだ質問などはあるかね? これが最後かもしれんのだ。疑問は無くしておくといい」

凛「だったら質問させて貰うわ。綺礼、衛宮くんのサーヴァントの出現で潰れたクラスは? わざわざ教会にきてあげたんだからこれくらい答えなさい」

綺礼「いいだろう。――――セイバーだ」

凛「…………え?」


凛「セイバーって……そんなわけないでしょ!? 三騎士クラスじゃないの!」

綺礼「確かに。三騎士がイレギュラーに置き換わるなど、本来は有り得ん。だが事実だ」

綺礼「此度の聖杯戦争において召喚されたのはバーサーカー、キャスター、アサシン、ランサー、ライダー、アーチャー、そしてデュエリストの7騎」

綺礼「原因は不明だ。少なくとも私にはわからん」

綺礼「だが良いではないか? 見方を変えれば、最優のサーヴァントが居ない分、お前の勝率が上がったとも言えるぞ?」

凛「それは……確かにそうかもしれないけど……」

綺礼「……さて、質問はもう終わりかね?」

綺礼「何も無いのなら帰るがいい。――――と言いたいところだが」

綺礼「衛宮士郎。お前が呼び出した決闘者のサーヴァント、その姿を少し見せてもらえないだろうか?」

士郎「……? なんだってそんなこと……」

綺礼「何、本来有り得んことを引き起こしたイレギュラーに少し興味が沸いただけだ。無論、強制はせん」

士郎「……わかった。少し待っててくれ」

教会 外

アーチャー「……」

コナミ「……」

士郎「おーいコナミ、ちょっと来て……お前ら、なんかあったのか?」

アーチャー「フン……」

コナミ「――――?」

士郎「え? ああ、監督役の奴がお前に会いたいんだとさ。来てくれるか?」

コナミ「――――」

士郎「ああ、サンキュ。じゃ、行くか」

教会

士郎「連れてきたぞ、言峰」

綺礼「……なるほど。そのサーヴァントがイレギュラーか」

コナミ「…………」

士郎「それで? 会ってなにがしたかったんだ、アンタは」

綺礼「さっきも言っただろう。少し見せてもらうだけだ、と…………だが、これは――」

と、神父はコナミに目をやり――

綺礼「ク――――なるほどな。確かに、異常なサーヴァントだ。そして、どこまでも正常なサーヴァントだ」

心底愉快そうに、笑っていた。

士郎「……? 異常で正常って、どういうことだよ」

綺礼「何、こちらの話だ。気にすることはない」

士郎「む……まあいいか。なら、俺たちはこれで帰るぞ言峰」

コナミ「…………」

綺礼「……衛宮士郎」
                         
綺礼「そのサーヴァントは、お前にとってこれ以上ないパートナーだ。彼と共に戦い、勝ち残ったのならば――」







「――――喜べ少年。君の願いは、ようやく叶う」





ここまで
次話は土日のどっかに


コナミ君のステータスとかカードの詳細とか出るのは次話か次々話だからちょっと待ってね!

>>46
まさかこのコナミ君全くしゃべらないタイプ…?

おつー

しかし因果の呪いにかかし効くとかEXTRA版ローアイアスばりだな
レベル制限B地区とか平和の使者とか張ったら士郎好みに戦争集結できるんじゃないか……?

>>47
喋らないのがコナミ君、というイメージが自分の中にあるので基本的に喋りません
ですので喋るコナミ君を期待して読んでくれた方は申し訳ないです

>>50
因果逆転の呪いを防いだのはかかしじゃなくて聖槍のほうです
かかしは呪い消滅後の槍を止めるために発動しました

多分今日の夜投下

前にどこかで同じようなSSを見たような
それでは場にいる全員にターン制行動を強制して宝具を装備魔法扱い、更に相手が撤退すればアンティルールで奪っていく鬼畜使用だった

>>58
やっぱこのネタって既に誰かやってたのか……
内容が二番煎じになってたりしたら申し訳ない

次レスから投下

教会 外

コナミ「――――?」

士郎「ああ、俺は戦う。半人前のマスターで悪いけど、一緒に戦ってくれるか?」

コナミ「――――――」

士郎「……ありがとう。これからよろしくな、コナミ」

凛「随分と仲がいいことね。ま、せいぜい頑張ることね。これからは敵同士よ?」

士郎「敵同士……そうか、そうだよな」

凛「ただまあ、攻撃を止めてもらった借りもあるし、今いきなり攻撃、なんてことをするつもりはないわ。明日からせいぜい気をつけることね」

士郎「ああ、色々ありがとな遠坂。助かったよ」

凛「……アンタって本当……いえ、いいわ。とにかく――」

「ねえ、お話は終わり?」


凛「――――っ」

士郎「君は……」

「こんばんは、会うのは二度目だね。お兄ちゃん」

イリヤ「そしてはじめまして、リン。私はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。名前を聞けばわかるでしょう?」

凛「アインツベルン……それに――」

バーサーカー「――――――」

凛「バカげたステータスのサーヴァント……」

イリヤ「お兄ちゃん、ちゃんとサーヴァントを召喚できたんだね。でも……」

コナミ「…………」

イリヤ「……本当に、英霊?」

コナミ「――……」

イリヤ「その反応は薄々予想してたって? ふぅん……まあいいわ、どうせやることは変わらないもの」


凛「……アーチャー、アレはまともにやり合ってかなうような相手じゃないわ。遠距離からの攻撃に徹しなさい」

アーチャー「……だが、前衛はどうするつもりだ? アレを凌ぐのは、骨が折れるというレベルではないぞ」

凛「こっちは三人。守りに徹すれば、凌ぐだけならきっと出来るわ」

アーチャー「了解した。……」チラッ

コナミ「……」

アーチャー「……」ヒュン

士郎「コナミ、行けるか?」

コナミ「――――」

士郎「挑まれたら逃げないのが決闘者? ……わかった、無理だけはしないでくれよ」

士郎「遠坂、俺も一緒に戦う」

凛「衛宮くん……」

イリヤ「相談は終わった? だったら……」

イリヤ「やっちゃえ、バーサーカー!」

バーサーカー「■■■■■■■■■――!!!!」







コナミ「――――デュエル」






コナミ「《火炎地獄》」

ボウッ!

コナミ「――ッ…………」

バーサーカー「■■■■■■――!」

ゴゴゴゴゴゴ

イリヤ「ふうん、随分な規模の魔術じゃない。それに、バーサーカーに少しでも傷をつけるなんて」

イリヤ「もっとも、あなたもその余波を受けてるみたいだけど」

コナミ「…………」

イリヤ「バーサーカーはその程度の傷じゃ止まらないわ。それに――――」

イリヤ「私のサーヴァントを相手にそんな隙を少しでも晒すなんてね! バーサーカー!」

凛「アーチャー!」

アーチャー「――――」

ドドドドドドドド!

バーサーカー「■■■■■■■■■――――!!!!!」ガガガガガ

イリヤ「無駄よ、リン。そんな攻撃じゃ、バーサーカーに傷一つつけられないわ」


バーサーカー「■■■■■■■――!!」ゴアッ

コナミ「!ドロー――……《攻撃の無敵化》」

バーサーカー「■■■■■■――――!!!!!」

ドゴン!

コナミ「――――――――……!」

士郎「っ! コナミ!!」ダッ

凛「ちょっ、衛宮くん!?」

イリヤ「へえ、直撃を食らってあんなに吹き飛ばされたのに、まだ死なないなんて随分と頑丈なのね」

イリヤ「追って、バーサーカー」

凛「アーチャー! 足止めを――」

イリヤ「無駄だって言ってるでしょう? あの程度の矢、足止めにもならないわ」



コナミ「……《無謀な欲張り》」

コナミ「ドロー」

コナミ「――」

士郎「コナミ、大丈夫か!? さっきの直撃の傷は――」

コナミ「――」

士郎「一時的に死なない体にしたから問題ない? そんなことまでできるのか……」

コナミ「――――」

士郎「それに、どうにかなるかもしれない……だって? ほ、本当か!?」

コナミ「――」グッ

士郎「……ああ、お前を信じるよ。コナミ」


凛「衛宮くん!」

イリヤ「……へえ、こんな遠くまで吹き飛ばされて堪えてないなんて、本当頑丈なのね。バーサーカーみたい」

バーサーカー「■■■■■■――」

コナミ「――――!」ダッ

イリヤ「わざわざ自分から死ににくるなんてね! バーサーカー!」

バーサーカー「■■■■■■――――!!!」

ゴォッ

コナミ「《バトル・ブレイク》」ガキィン!

バーサーカー「■■■■■■――!?」

グシャ!

士郎「っ! やったのか!?」

凛「……いえ、まだダメみたいね」

イリヤ「……驚いた。一回でもバーサーカーを殺せるなんて……」

コナミ「……――?」

イリヤ「ええ、そうよ。バーサーカーは一回殺しただけじゃ死なない。さて、何回やれば殺しきれるのかしらね?」

コナミ「――――」

イリヤ「効果さえ判れば対処法はいくらでもある? ……へえ、言うじゃない」

イリヤ「バーサーカー!」


バーサーカー「■■■■■■――――!!!!!」

ゴォッ!

凛「え? アーチャー、そこから離れろってどういう……」

士郎「っ…………!」ゾクッ

コナミ「《墓地封印》、《聖なるバリ――」

士郎「コナミ! 退け!」

コナミ「!?――――!」ダッ

アーチャー「――――――!」

ドッ!

士郎(間に合わない……!?)

士郎「コナ――」

コナミ「……――《緊急テレポート》」ヒュン

ドゴォッ!

バーサーカー「■■■■■■――――!?」


士郎「っ……! コナミ、無事か!?」

コナミ「……」コクリ

バーサーカー「■■■■■■――――!!!」

凛「……一回二回殺した程度じゃ死なないってのは本当みたいね……」

イリヤ「……別々のサーヴァントとは言え、まさかバーサーカーがこんな短時間で二回も殺されるなんてね……」

イリヤ「いいわ。退くわよ、バーサーカー」

凛「……ここまでやって逃げるつもり?」

イリヤ「ええ。お兄ちゃんのサーヴァントにも、リンのアーチャーにも興味が沸いたの。だから、しばらく生かしておいてあげる」

イリヤ「じゃあね、お兄ちゃん」


コナミ「――――」

士郎「とりあえずは助かった……のか?」

凛「……ええ、悔しいけどそうみたいね」

コナミ「――――?」

士郎「ああ、俺は大丈夫だ。ありがとな」

凛「……とりあえず帰りましょう、他のマスターが襲撃してこないとも限らないわ」

士郎「ああ……」










コナミ「…………」スッ

コナミ「《真実の眼》」キィン

イリヤ(――――)

コナミ「――!…………」

コナミ「………………」

一旦ここまで
12時くらいに続きを

衛宮邸

士郎「う……」

士郎「朝……そうだ、昨日は確か遠坂と一緒にバーサーカーを……」

士郎「……とにかく、起きなきゃな。朝飯の準備もあるし」

士郎「……あれ? コナミはどこに……」

ピンポーン

士郎「っと……誰だ? こんな朝から……」

ガララララ

凛「おはよう、衛宮くん。昨日は眠れたかしら?」

士郎「む……まあ、寝覚めはよくないな」

士郎「って遠坂、何の用だ? 昨日の今日で何かあるのか?」


凛「無かったら来てないわ。上がってもいいかしら?」

士郎「ん、ああ。居間で待っててくれ」

士郎「そうだ。遠坂、朝飯は食べたのか? もしよければお前の分も作るが」

凛「……そうね、頂こうかしら」

士郎「はいよ。ちょっと待っててくれ」

コナミ「――――」ヌッ

士郎「うおっ、ビックリした……コナミ、いつの間に……」

士郎「そうだ、お前も朝飯いるか?」

コナミ「――」

士郎「りょーかい。居間で遠坂と待っててくれ」


衛宮邸 居間

コナミ「――」カチャ

凛「ごちそうさま……さて、それじゃ本題に入ってもいいかしら?」カチャ

士郎「ああ……でも、遠坂から俺を訪ねてくるような理由なんて思いつかないんだが……」

凛「単刀直入に言えば、同盟を申し込みにきたのよ」

士郎「……同盟? 遠坂がわざわざ俺に?」

凛「そ。と言っても、バーサーカーを倒すまでの間、って条件でだけどね」

士郎「! バーサーカー……」

凛「あの反則じみたステータスと耐久力、あなたも見たでしょう? それでも、あのマスターの言葉を信じるならアーチャーとコナミは一回バーサーカーを殺せた」

凛「何回殺せばいいのかはわからないけど、限界はあるはずよ」

士郎「……つまり、バーサーカーを倒しきるために同盟を組もう……ってことか?」

凛「そういうことよ。二人で攻めれば殺しきるのはきっと――」


アーチャー「――凛、私はその案、同意しかねる」スゥ

凛「……アーチャー?」

士郎「同意できないって……なんでだよ?」

アーチャー「凛、君の言っているのはバーサーカーを倒すまでの間、そこの主従と協力関係を結ぶということだろう?」

アーチャー「……百歩、千歩、いや万歩譲ってそこの未熟者と組むのはよしとしよう」

アーチャー「だが――――」キッ

コナミ「…………」

アーチャー「そこの決闘者――そいつと組むのは容認できん」

士郎「なっ」

凛「……もちろん、理由があって言ってるんでしょうね?」

アーチャー「……言っても君は納得しないだろう。ほとんど勘のようなものだ」

凛「勘って……そんなものが理由になると――」

アーチャー「――もし、今の条件での同盟を組もうというのなら凛、令呪を使うことだ」

凛「な――」


凛「……」

アーチャー「……」

士郎「……」

コナミ「……」

凛「……わかった。バーサーカー撃破までの停戦協定、共闘はバーサーカーとの戦いのみ」

凛「これで納得しなさい。アーチャー」

アーチャー「……いいだろう。すまない、恩に着るよ、凛」スウ

凛「そう思うならもっと明確な理由を示しなさいっての……」

凛「……ごめんなさいね、衛宮くん。こっちから持ち掛けといてなんだけど、この条件でも飲んでくれるかしら?」

士郎「あ、ああ……それは構わないけど……一体どうしたんだ? アーチャーの奴」

凛「さあね……まったく……後できっちり問いただしてやるわ……」

凛「この借りはいつかちゃんと返すわ。今日の用はこれだけだから帰るわね。朝ごはん、ごちそうさま」


コナミ「――――」

士郎「ああ、バーサーカーを倒すまでは遠坂たちとは戦わない」

士郎「……あれ、バーサーカーといつ戦うつもりなんだ、アイツ……」

コナミ「――」

士郎「……そういえばコナミ。朝どっか行ってたのか? 姿が見えなかったけど」

コナミ「――――、――」

士郎「外を見て回ってたけど途中で金髪の兄ちゃんに絡まれた? そりゃまた災難だな……」

コナミ「――」

士郎「穂群原学園……? 確かに俺が通ってるとこだけど、どうかしたのか?」

コナミ「――――」

士郎「少し違和感があったから近いうちに調べた方がいいかもしれない? ……わかった、そのときは学校までついてきてくれるか?」

コナミ「――」

士郎「ああ、サンキュ。コナミ」


士郎「……そうだ、コナミ。お前のことを詳しく教えてくれないか?」

コナミ「――?」

士郎「いや、まだ会ってから一日しか経ってないってのもあるけど、お前のことを知らなさすぎると思ってな」

士郎「これから戦っていくのに、パートナーのことを知らないんじゃ大変だろう?」

コナミ「――――」

士郎「……目を閉じて軽く念じてみろって? 何を……」




ステータス情報が更新されました

クラス:決闘者(デュエリスト) マスター:衛宮士郎
真名:コナミ

筋力:C
耐久:C
敏捷:C
魔力:B
幸運:C
宝具:EX

スキル
・決闘機械(EX)戦闘時におけるカード使用時の魔力消費を軽減する。EXランクでは魔力消費なしで使用可能。また、ドロー時のカードに多少の補正がかかる。
ただし、軽減可能なのは具現化、使役のための魔力のみであり、一部のカードを使用する場合に必要な、コスト・効果としての魔力消費は軽減できない。
・無窮の話術(A) ひとつの時代で多くの人を魅了した、人智を超えた域の話術。
        その気になれば、どんな相手とでも友好な関係を築くことができる。      
・単独行動(A+)マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。単独で戦闘を行うことができる。
・黄金律(E) 日々の生活には困らない。

宝具

・「決闘者の魂」(ソウル・オブ・デュエリスト)
ランク:EX
種別:対人宝具     レンジ:-
コナミが所持するカード。その力を具現化、使役することができる。
戦闘時に使用する場合、40枚のデッキとなり、使用に制限がかかる。
戦闘開始時に使用できるカードは5枚。以後時間経過や他のカードの力でカードをドロー可能。40枚を超えて使用した場合、魔力が無くなり、現界していられなくなる。
また、別の相手と戦う場合は新しく40枚が生成されるが、一度戦った相手と再び戦う場合、デッキの消費具合は引き継がれる。
デッキに入っているカードは決まっておらず、ドローするカードは使用者の幸運に依存する。

非戦闘時に使用する場合は、所持しているカードを好きに選択して使用できる。
ただし、非戦闘時に発動したカードで他のサーヴァントやマスターに攻撃、などということはできない。
また、聖杯戦争中一度使用されたカードは別のカードの力で呼び戻すなどしない限り、その聖杯戦争中二度と使用できない。


士郎「これは……?」

コナミ「――――」

士郎「攻撃力、守備力、モンスター効果みたいなもの? いや、そんな例えされてもだな……」

士郎「とにかく、これがコナミの能力ってことか?」

コナミ「……」コクリ

士郎「なるほど……お前が使ってたあのカードが宝具ってやつなのか」

コナミ「――」

士郎「一応他にも宝具はあるけど魔力消費が激しいし制約もあるからからそうそう出せない? ……そういえば魔力の供給ってできてるのか? 全然そんな感じがないんだが」

コナミ「――――」

士郎「できてない? それってすごくまずいんじゃないのか?」

コナミ「――――、――」

士郎「単独行動があるし魔力もある程度ならカードで賄えるから大丈夫? ……すまん、俺が未熟なばかりに迷惑かけて」

コナミ「――――」

士郎「自分にできることをやればいい? ……そうだな、その通りだ」


士郎「なあコナミ、カードを使うのがお前の戦い方なのはわかったけど、普通の戦い方ってできるのか?」

コナミ「――――」

士郎「リアルファイトもできないと決闘者はやってられない? そ、そうか。大変なんだな」

士郎「コナミ、俺を鍛えてくれないか? 少しでも戦えるようになりたいんだ」

コナミ「――――、――?」

士郎「ああ、サーヴァントに勝てないなんてのはわかってる。でも、守られっぱなしってのは嫌なんだ」

士郎「だから、せめて自分のことは自分で守れるようにしたい。……だめか?」

コナミ「――」

士郎「……ありがとう。すまないな、我侭につきあってもらって」

コナミ「――――」

士郎「パートナーなんだから気にするな? ……そうだな。よろしく頼む」

士郎「そうだ、コナミ。お前の左腕のそれって――」


――
―――






300→800




遠坂邸

凛「……それで? 理由を話してもらうわよ、アーチャー」

アーチャー「理由とは? なんのことだね」

凛「とぼけないで。衛宮くん――決闘者との協力を頑なに拒んだ理由よ」

アーチャー「……さっきも言っただろう。君は納得しないだろうが、勘だ」

凛「そんなことを聞いてるんじゃないわ。その『勘』に至った原因があるでしょう? それを話しなさい」

アーチャー「……何故、そう思う?」

凛「リアリストのあんたが、『ただの勘』なんて曖昧なものを判断材料にするわけがないでしょう?」

アーチャー「ふむ……なるほど、私はマスターのことを侮っていたようだな」

アーチャー「いいだろう。だが、それでもその原因すらも些細なものだ。期待はしてくれるな」

凛「……」


アーチャー「昨日の夜、教会に行った時のことは覚えているな」

アーチャー「その時の私とヤツの行動を覚えているか?」

凛「? 行動って……教会の外で待ってただけでしょう?」

アーチャー「そうだ。と言っても、ヤツは私がしようとしてることに気づいて待機を申し出たのだろうが」

凛「……なに? まさかあの場で戦闘でもしようとしてたの?」

アーチャー「まさか。そんなことをするぐらいなら衛宮士郎を殺す方が楽だ。そちらを選ばない理由がない」

アーチャー「私はヤツと会話……正確には聞きたいことがあっただけだ」

アーチャー「凛、君の目にはあのサーヴァント、どう映る?」


凛「どう映るって言われても……最初に交戦した時はともかく、それ以外は普通にしか」

アーチャー「そうだな、普通だ。騎士のごとき高潔さも、戦士のごとき苛烈さも、王のごとき輝きも、怪物のごとき狂気も持ち合わせていない」

アーチャー「私が気にかかったのはそこだ。ヤツの在り方は、あまりにも英雄らしからぬのだ」

凛「……でも、それを言ったらあなたも似たようなものじゃない?」

アーチャー「そうだな。だから気になった。ヤツが私と似たような存在なのか」

凛「……それで、質問には答えてくれたの? 彼は」

アーチャー「……ああ、懇切丁寧に答えてくれたとも。ヤツは」

アーチャー「その答えから感じたのは、確かに私と似たようなものなのだろうな」

アーチャー「だが――いや、だからこそヤツは危険だ」

凛「……アーチャー?」

アーチャー「ヤツの目的意識は一つのみ。それを満たされるならば、なるほど、確かにこれ以上強力な味方はいないだろう」

アーチャー「だが、同じように満たされるならば――ヤツは何の葛藤もなく、牙をむくだろう」


アーチャー「凛、はっきり言うが君はお人好しだ」

凛「なっ、私は別に――」

アーチャー「その君が同盟を――それも、多少見知った相手と組んでみろ。恐らくなあなあでその関係を引きずりかねん」

アーチャー「衛宮士郎はまだいい。はっきり言って取るに足らん」

アーチャー「だが、決闘者――アレと組み、絆され、殺されるなど、笑えん冗談だ」

凛「……そこまで言うほど、彼は危険だと?」

アーチャー「何度も言ってるが、ほとんど勘に近いものだ。必要以上にヤツに関わらないというのなら」

アーチャー「いや、ヤツが味方でいるとの確信がもてるなら、同盟でもなんでも、私が言うことはない。ヤツは強力な味方になるだろうからな」

アーチャー「……あの場でこの話をすれば余計に拗れそうだったのでな。すまなかった、改めて謝罪しよう」

凛「ふう……いいわよ、理由はわかったし」

凛「それに、今の停戦状態なら向こうが何かしてくることは無いだろうし、そうなったら多分衛宮くんの性格からして令呪を使ってでもコナミをとめるわ」

凛「……ちょっと休むわ……何かあったら教えてちょうだい」

ここまで 次はなるべく今日中に

あと宝具の欄に書き忘れましたが再戦した場合フィールドは引き継がれません
なので手札使い切らせる→撤退→再戦、五枚ドローの繰り返しができるならそれで勝てます。宝具の特性知ってれば

おまけ
一瞬やろうと思ったけど没にしたネタ

士郎「単独行動があるし魔力もある程度ならカードで賄えるから大丈夫? ……すまん、俺が未熟なばかりに迷惑かけて」

コナミ「……」

                _______________________
      ____TIME |_______________________|
      |レベル1| ___________
       ̄ ̄ ̄ ̄ |  衛宮士郎を叱れ!   |
              ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

        (START)    (START)    (START)
        __|__   __|__   __|__
        |適当に |  |その   | |未来永劫|
          ̄ ̄ ̄ ̄     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        __|__   __|__   __|__
        |あなたの|  |考えは | |しなきゃ  |
          ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        __|__   __|__   __|__
        |よくない|  |するべき | |する…かも|
          ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        __↓______↓______↓___
        |            ?               |
         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
         
コナミ「……」

コナミ「その 考えは よくない」

士郎「そうだな……お前の言うとおりだ」

トゥルリン(好感度上昇音)

やべえミス発見
なんで>>70で墓地封印発動してるのにアーチャーに殺されたバーサーカー生き返ってるんだ
コナミ「《墓地封印》、《聖なるバリ――」

コナミ「《墓地封――」

こういうことにしておいてください

今日の9時くらいに投下
あと今更だけどこのスレのコナミ君はギャルゲー主人公じゃなくてデュエルマシーンとしての側面が強いからそっち期待してた人は注意してね!

ジャックって黄金律Dくらいありそうだよね(金の出所はクロウカーリー狭霧ステファニー)

次レスから投下

衛宮邸

士郎「っと……もう昼か。結構な時間話してたな」

コナミ「――――」

士郎「ああ、特訓は午後にでも……」

プルルルルル!

士郎「む……嫌な予感しかしない電話……」

士郎「はい、もしもし衛宮ですけど」

大河「もしもしー士郎? 藤村でーす!」

士郎「……」

コナミ「?」


士郎「それで、何の用だよ藤ねえ」

大河「士郎、私ぃー士郎のお弁当が食べたいなーなんて」

士郎「……」

大河「そういうわけだから、至急弓道部まで来られたし」ガチャ

士郎「…………」

コナミ「――?」

士郎「いや、なんつーか……うん。猛獣用の弁当を作ることになった。昼飯と一緒に作っちゃうからちょっと待っててくれ」

士郎「これで朝とか夜とかも飯食いにくるからな、藤ねえは」

士郎「…………あ」

コナミ「?」


士郎「そういえばコナミが家に居るっての何も言ってないな……」

士郎「コナミ、アーチャーみたいに霊体化ってできるのか?」

コナミ「――――」

士郎「出来るけど一般人がよく来るなら下手に消えてないほうがいい? まあ、確かにそうだな」

士郎「もしも事情を知らない藤ねえとコナミが家の中でバッタリ、なんて考えたくもないな」

士郎「よし、適当に理由でっちあげてコナミが俺の家にしばらく居候してるってことにしよう」

コナミ「――――」

士郎「大丈夫大丈夫。女の子を居候させるわけでもないし、藤ねえも納得してくれるって」


士郎「っと。よし、昼飯と弁当完成」

士郎「そうだ。コナミ、弁当を届けに学校に行くの、お前もついてきてくれるか?」

コナミ「――――?」

士郎「ああ、違和感とやらも一緒に調べる。藤ねえに紹介するのも、はやい方がいいだろうしな」

コナミ「――――」

士郎「よし、そうと決まったらさっさと昼飯をすまそう。藤ねえをあんまり待たせると手がつけられないからな」

コナミ「――」

穂群原学園 弓道場 外

美綴「お、衛宮だ。藤村先生の食事番?」

士郎「ああ、藤ねえは中にいるか?」

美綴「いるいる。ほら、さっさと届けちゃいなさい」

コナミ「……」

美綴「っと……そっちの人は? 衛宮の知り合い?」

士郎「ああ、コナミっていうんだ。ちょっとした理由で家に居候してる」

美綴「ふーん……ま、よろしくね、コナミ」

コナミ「――」


弓道場

桜「あっ……先輩!」

士郎「よ、桜。藤ねえいるか?」

桜「あ、はい。藤村先生なら……」

大河「士郎ー、こっちこっち!」

士郎「おっと、ちょっと行ってくる」

コナミ「……」

桜「あの……先輩、そちらの人は……?」

士郎「ああ、そうだった。桜にも説明するからちょっと来てくれ」


大河「ふう、ごちそうさま。やっと調子が戻ったわー」

大河「それで士郎、そっちの帽子の人は?」

士郎「ああ、オヤジの知り合いの息子で、コナミっていうんだ」

士郎「オヤジを訪ねて来たみたいだけど、亡くなってるとは思わなかったみたいでな」

士郎「少しの間こっちに用があるらしいから、その間家に居候することになった」

大河「切嗣さんの知り合い? ふぅん……まあいいんじゃない?」

士郎「ああ、そういうわけだから、桜ももしいきなり家でコナミに会ってもビックリしないでくれよな」

桜「わかりました」

大河「ちなみに、どれくらい滞在予定なの?」

コナミ「――――」

大河「長くても二週間かからない程度? あら、結構短いのね」


コナミ「――――」スッ

大河「ん? お近づきの印とお昼のデザートにプリンはどうかって?」

大河「ふふん、冬木の虎と呼ばれたこの私を物で釣ろうだなんて――」パクッ

大河「やだ、すごい美味しい……なにこのプリン」

大河「よし! 居候でもなんでも私が許可するわ!」

コナミ「――」

桜「……」ソワソワ

コナミ「――――?」

桜「……え? い、いえ! 私は別に……」

コナミ「――――」スッ

桜「あの……その……いただきます……」

桜「……わあ、おいしいです」

士郎「…………」


士郎(コナミ、あのプリンどうしたんだ? 家の冷蔵庫には無かったよな? 買ったのか?)

コナミ(――――、――――)

士郎(無限に出せるから気にしなくていい? ……えっと、そういう効果のカードがあるのか?)

コナミ(――――)

士郎(昔の知り合いが冷蔵庫に無限プリン機能をつけてくれた? いや、意味がわからないんだが)

士郎(というか、その冷蔵庫はどこにあるんだ?)

コナミ(――、――)

士郎(企業秘密? 強いて言うならフィールドでも手札でもない謎空間? ……????)

コナミ(――……)

士郎(あんま考えすぎるなって……まあ、藤ねえも桜もコナミのこと受け入れてくれたみたいだからいいか)

大河「それで士郎、この後はどうするの?」

士郎「ああ、ちょっと校内に用があるからそっちに行ってくるよ」

大河「そう? じゃ、いってらっしゃい。コナミ君、プリンありがとうね」

コナミ「――」

校内

士郎「確かに、言われればなんか気持ち悪さを感じるな……」

コナミ「……」

士郎「といっても、原因がわからないんだよな。遠坂ならわかるんだろうけど」

コナミ「――――」

士郎「ああ、きっとなんかの魔術……なんだと思う……」

士郎「コナミ、これをどうにかしたりって……」

コナミ「――――……、――――」

士郎「多分罠無効系か破壊系でどうにかできるけど発生場所がわからないから対応できるカードが少ない?」

士郎「それに破壊系でどうにかしようとすると全体破壊になるから多分学校が吹き飛ぶ? ……それは勘弁願いたいな」

士郎「じゃあその、無効系ってのを使うことはできないのか?」

コナミ「――――……」

士郎「能動的に使えるのは更に数が少なくなるから無駄には使用できない……そうか、一回しか使えないんだったな」

士郎「んん……どうしたもんか……」


コナミ「――――?」

士郎「汎用性無い上に相手に見つかれば潰されるようなモンスターでもよければ使っても多分今後に支障はない?」

士郎「一時的にならそれでも問題ない……か。わかった、それを使ってもらえるか?」

コナミ「……」コクリ

コナミ「《静寂虫》」スッ

静寂虫「…………」

士郎「虫……?」

静寂虫「…………!」

コナミ「……」

士郎「……おお、違和感が無くなったぞ」

コナミ「――――」

士郎「ああ、わかってる。バレる可能性があるから楽観はできない、だろ?」

士郎「それでも、わざわざカード使ってまで止めてくれたんだ」

士郎「ありがとな、コナミ」






800→1000






士郎「よし、それじゃ帰るか」

士郎「あの違和感は……明日遠坂に聞けば答えてくれるか……?」

コナミ「――――」

士郎「ああ、停戦って言ってたし、さすがに校内で出会い頭に殺しにくるなんて無い……と思う」

コナミ「――」

士郎「ん、ああ。特訓は帰ったらやろう。遠慮せずにやってくれ」

コナミ「――――」

士郎「……鍛えれば腰を打ちながら崖から落ちても気絶で済むようになって要人警護のSPも軽く伸せるようになる?」

士郎「……デュエリストってカードで戦う人……だよな……?」

コナミ「――」

士郎「カードとデュエルディスクがあればヤのつく人たちに囲まれてもリアルファイトで対応できる? 違う、そういう意味じゃない」


――
―――






1000




???

士郎(っ……)

士郎(どこだ、ここ……? 確か学校から帰って特訓して……疲れで夕飯の後すぐに寝たんだったか……)

士郎(ここは……冬木市……じゃないよな、どう見ても)

「デュエル!」

士郎(!?)

士郎(あれはコナミが使ってる宝具と同じ――)

士郎(……すごい髪型だな……)

コナミ「――――デュエル」

士郎(! コナミ……?)


「ぐうっ……!」LP 0

「コナミ……そうか、終わったんだな。お前がこの街で果たす役割は」

コナミ「…………」

「お前がいなくても寂しくはない……と言えば嘘になる」

「だが俺は、お前が未来を見つけるためにこの街を出ることがそれ以上に嬉しい」

「……行って来い。俺の魂はこの街と共にある。この街の未来を作るのが、お前やゾーンとの約束だ」

「例え離れ離れになっても、俺たちの絆は変わらない」

「コナミ……お前はかけがえの無いパートナーで、最高のライバルだった」

「またいつか、共にデュエルをしよう」

「最高のタッグデュエルを!」

コナミ「――――!」

士郎(…………これは)


場面は変わる。何度も何度も、めまぐるしく変わってゆく。

士郎(コナミの……記憶……?)

「俺は風の向くまま、まっすぐ、まっすぐ……! お前もそうだろ? コナミ!」

              「キングの座を奪いにこい! コナミ! お前が来るのを世界の頂点で待っているぞ!」

  「コナミ……俺と共にプロリーグを作らないか?」

                     「卒業したら一番に、コナミのところに行くから!」
            
          「コナミ……お前と一緒に戦えて、オレは……オレは満足だ!」

                                     「コナミ、未来はきっと、あなたたちが……」
                      「アデュー……私のコナミ……」

   「たとえ地味でも、皆を守れるような……お前もそうだろ? コナミ」

            「絶望の中で巡り会った、コナミ、お前こそが、私の最後の希望だったのだ……」

  「コナミのこと待たせちゃったから……これからはずっと、一緒にいるからね!」

              「まさかデュエルを続けたい、なんて願うなんてな……よーし、デュエルしようぜ! コナミ!」


彼の周りにはいつも人がいた。

彼と共に、世界を救った人がいた。

彼と共に、自分の道を見つけた人がいた。

彼と共に、誰かに未来を託した人がいた。

彼と共に、笑って過ごした人がいた。

彼は――コナミは、多くの人を救っていた。

その姿はまるで

士郎(正義の……味方……)

己が追い求める理想そのものだった。


彼がいつの時代の人間なのかはわからない。

彼がどこの国の人間なのかもわからない。

彼の真名にも、聞き覚えはない。

士郎(……それでも――――)

多くを救った彼は、人々にとって正しく英雄だったのだろう。

士郎(コナミ……)

彼の記憶の一部を見て、そう、理解した。







        ・ ・     ・ ・ ・
彼の記憶の一部を見て、そんな、理解をしてしまった。











1000→1000(2000)




ここまで
>>1に書き忘れましたが投下は基本的に週末になります。平日は投下できれば投下って感じに

読んでくれてる方は今後もよろしくお願いします

interlude
>>39直後
教会 外

コナミ「…………」

アーチャー「さて、まずは会話の場を設けてくれたことに感謝を、とでも言おうか? 決闘者」

コナミ「――――?」

アーチャー「何、大したことではない。貴様に二、三聞きたいことがある、というだけのことだ」

コナミ「――――……」

アーチャー「答えられることなら、か。ああ、もちろんそれで構わない。こちらは何かを差し出すでもなく、ただ聞いているだけなのだからな」

アーチャー「一つ目だ。お前が凛と衛宮士郎に言っていた、『真名からは何も出ない』は本気で言っているのか?」

コナミ「……」コクリ

アーチャー「なるほど。それを信じるならば似たような状況、というわけか」

コナミ「――――?」

アーチャー「気にするな。こちらの話だ」


アーチャー「二つ目だ。生前の記憶などは残っているか?」

コナミ「――――? ――」

アーチャー「残っている、か」

アーチャー「これで最後だ。ただ、かなり失礼なことを聞く」

アーチャー「無論答えなくてもいいし、この質問に対して怒ってくれても構わない」

コナミ「――」

アーチャー「遠慮するな、か。……なら、聞かせて貰おう」

アーチャー「決闘者、貴様は――」





「本当に、英雄か?」




コナミ「――……」

アーチャー「……」

意図のわからない問い。
だが、そんな質問、彼の答えはとうに決まっている。

コナミ「――――」

自分は英雄などではない。
自分は『決闘者』
それ以上でもそれ以下でもない。

アーチャー「……そうか」

だが――

アーチャー「……?」

世界を救うのではなく、世界を救ったのが英雄なら
誰かを救うのではなく、誰かを救ったのが英雄なら
誰かを導くのではなく、誰かを導いたのが英雄なら

確かに、見方によっては自分は英雄なのだろう、と。

アーチャー「……」


だが、それでも。
もしも自分が世界を救った英雄でも
もしも自分が世界を滅ぼした極悪人でも

コナミ「――――」

自分は『決闘者』
それ以上でもそれ以下でもない。

アーチャー「――――」ゾクリ

アーチャー「貴様――――」

コナミ「……」

アーチャー「……その在り方を、よしとしたのか」

コナミ「――」

答えは変わらない
自分は『決闘者』だと

アーチャー「っ――――」

コナミ「……」

士郎「おーいコナミ、ちょっと来て……お前ら、なんかあったのか?」

幕間的なもの1終了

幕間的なものはもう一個(>>83のあたり)あるけど投下日は未定

衛宮邸

士郎「…………」

士郎「夢……」

コナミ「――」

士郎「うおっ……い、いや、なんでもない。おはようコナミ」

コナミ「――――?」

士郎「体は大丈夫かって? ああ、疲れが多少残ってるくらいだ。他はなんともない」

コナミ「――」

士郎「それにしても本当にカード無しでも強いんだな……いや、サーヴァントに勝てると思ってたわけじゃないが」

コナミ「――――」

士郎「稀にデュエリストの風上にも置けない奴がリアルファイトやら銃器やら爆発物やら使ってくるからあの程度の動きは必須?」

士郎「……もうつっこまんぞ」


士郎「……」

士郎(そういえば――)

士郎「なあ、コナミ」

コナミ「?」

士郎「英霊ってのはなんか願いがあるから召喚されたんだよな? お前の願いってなんなんだ?」

コナミ「――、――」

士郎「聖杯に願いは無い? ただデュエルがしたい?」

士郎「はは、本当にデュエルってのが好きなんだな」

コナミ「――」

士郎「デュエルだけできればいいって? そ、そこまで言えるのか……」

コナミ「――」

士郎「デュエルこそ人生か……深いな……」
    ・ ・
そんな冗談のやりとりができる。それくらいに自分達は打ち解けあえているのだろう。
それが、少し嬉しかった。

穂群原学園 校内

慎二「……」

士郎「よう慎二、おはよう」

慎二「っ! 衛宮……!」

慎二「はっ……なんだい、僕を殺しにきたのか?」

士郎「は? 慎二、何を……」

慎二「クソ……お前も遠坂も……! いいさ、すぐに思い知らせてやる……!」ダッ

士郎「お、おい、慎二!」

士郎「どうしたんだ、あいつ……」

授業中

コナミ(……――!)

士郎(どうした? コナミ)

コナミ(――……)

士郎(静寂虫が潰された、って……まさか、もう見つかったのか!?)

コナミ(――――)

士郎(ああ、これだけ早く見つかったんだ。きっと校内にあれを仕掛けた奴がいる)

士郎(でも学校に他に魔術師が……まさか遠坂が仕掛けたってことは……)

コナミ(――)

士郎(ああ……答えてくれるかはともかく、とりあえず昼にでも遠坂に聞いてみよう)



士郎「遠坂、ちょっといいか」

凛「……衛宮くん?」

士郎「ああ、聞きたいことがあるんだが、いいか?」

凛「……いいわ、私も少し話があるし、屋上まで付き合いなさい」


―――
――

教会

綺礼「……随分と機嫌が良さそうだな。ギルガメッシュ」

ギルガメッシュ「言峰か。確かに今の我は気分が良い」

ギルガメッシュ「あのイレギュラー、あれは中々に良いものだぞ?」

綺礼「ほう、昨日の朝、あのイレギュラーに会いに行った時は殺すつもりで出向いたと思っていたが」

ギルガメッシュ「そうだな、つまらぬものが召喚されていたのならそうするつもりであったとも」

ギルガメッシュ「言峰、お前もヤツを見たのであろう? お前から見てヤツはどう見える?」

綺礼「破綻者だな。アレは一つを望み、他を切り捨てる類の人間だ。そしてそこには何かの感情が入り込む余地など無い」

脳裏に浮かぶのはかつての仇敵
しかしすぐに「いや」と頭を振る

綺礼(ヤツはその在り方に動かされ進んでいただけ、だったか)

綺礼「だというのにその在り方は余りにも自然だ。まるで普通の人間であるかのようにな」


ギルガメッシュ「そうだな。ヤツには喜怒哀楽もあれば善悪の区別もつく」

ギルガメッシュ「しかし他を切り捨てるとしてもそこに悪意や後悔といったものなどはない」

ギルガメッシュ「そもそもが逆なのだ。ヤツはデュエルとやらのために他を切り捨てるのではない、デュエルをしたから他が切り捨てられたのだ」

ギルガメッシュ「ヤツにとってデュエルとは全てに先行するものであり、それが当然の在り方なのであろうよ」

だが、と

ギルガメッシュ「――それが当然として生きてきたが故に、ヤツの中には渇望と絶望が渦巻いている」

綺礼「……ほう」
                  ・ ・
ギルガメッシュ「ヤツは恐らく果てに辿りついてしまったのであろうな。己が進む先を失ったのだ」

ギルガメッシュ「進む先、つまり舞台を失ったヤツの中に生まれるのはデュエルをするという渇望、デュエルができないという絶望」

ギルガメッシュ「そこから目を背け、過去に生きるのかと問うてみたが――クク、ヤツは中々に愉快な答えを出してくれたぞ?」

綺礼「……その答え、とは?」

ギルガメッシュ「何、考えるまでもない。単純にして明快、これ以上ないというほどの正論だ」

ギルガメッシュ「無いものは作ればいい、デュエルをできる舞台が無いのなら――――」

―――
――

穂群原学園 屋上

士郎「なるほど……やっぱりこの学園に他のマスターが……」

凛「そうよ、衛宮くんの言ってた違和感もそいつが仕掛けた結界によるものでしょうね」

凛「一時的に止まってたみたいだけど、また動き出したみたいだしね」

士郎「そうか、やっぱり……」

凛「それにもう潰しておいたけど蟲の使い魔も居たもの。確定と言っていいわ」

士郎「そうか、蟲の使い魔……」

士郎「……うん?」

コナミ(……)

士郎「……遠坂、蟲の使い魔って?」

遠坂「校内に居たのよ。ほら、なんていったかしら、あの水の中にいる……」

士郎「……タガメ?」

遠坂「ああそれそれ、よくわかったわね。見た目はあんな感じだったわ」

コナミ「……」

士郎「……結界が動きを再開したのってそれを潰したのと同時くらいか?」

遠坂「随分冴えてるわね……。そうよ、止めてた理由はわからないけど、使い魔の消滅が再開の起点になってたのかもしれないわね」


士郎「……遠坂、それ多分コナミが出したモンスターだ」

凛「……えっ」

士郎「あのタガメがあの結界を一時的に止める働きをしてたんだ。消滅と同時に結界が再開したってことは……」

凛「……」

士郎「……」

コナミ「……」ハア

凛「えーっと、その……」

凛「し、仕方ないじゃない! まさか衛宮くん達が出したものとは思わなかったし――」

凛「衛宮くん達、が……」

凛「……」

士郎「……遠坂?」

凛「……考えてた相手がそれをやったとは限らない……?」

凛「……っ! まずい!」


士郎「え――――」

空が赤く染まる。それは、

凛「結界の発動……! やっぱり慎二のヤツが……」

士郎「慎二……? あいつがどうかしたのか!? いや、それよりもこれは……」

凛「……慎二もマスターよ。朝聞かされたわ。てっきり結界は他のマスターが仕掛けたんだと思ってたけど……」

士郎「慎二が……? じゃあ朝あいつが言ってたのは……」

士郎「! そんなことより、これを放っておいたら……」

凛「まずいわね。さっさとこれを発動したサーヴァントを倒すなりしないと……」

コナミ「……《トラップ・スタン》」


凛「え……? 結界が消えた……?」

士郎「コナミ……お前……」

コナミ「――」

凛「しばらくは無条件で無効化していられるけど時間が経てばまた結界が発動する?」

士郎「だったらそれまでに慎二を……コナミ、行けるか?」

コナミ「――!」

凛「待ちなさい、衛宮くん……アーチャー」

アーチャー「……共闘はバーサーカーのみではなかったのかね?」スウ

凛「この状況じゃそんなこと言ってる場合じゃないでしょう……」

凛「協力して倒せとまでは言わないけど、とにかく慎二を止めるわよ」

アーチャー「……些か不服だが、了解した」

コナミ「――――」ダッ




1000→1400



凛「……生徒も先生も、皆気を失ってるわね」

士郎「この結界の影響……なんだよな、これは」

凛「そうよ、本当なら皆死んでてもおかしくないような結界なんだけどね」

凛「完全じゃないってのと、すぐに効果を無効化したのが良かったんでしょうね」

士郎「慎二……」

コナミ「――!」

アーチャー「――近いぞ、気をつけろ」

――


慎二「クソッ、クソッ……! どうなってるんだよライダー!? なんで結界が止まってるんだ!?」

ライダー「……わかりません。不完全な状態での発動で失敗したのか……」

ライダー「いや、発動はしているし破壊もされていない……発動したまま効力を無くされている……? そんなこと……」

慎二「クソ……役立たずが……これじゃ――」




士郎「――慎二!」

凛「観念なさい、逃げ切れるなんて思わないことね」

慎二「衛宮……遠坂……っ! どいつもこいつも……!」

アーチャー「……」ジャキン

コナミ「……」スッ

ライダー「……」

コナミとアーチャーが構える
それに対するライダーは


ライダー「マスター、退きましょう。二人相手では分が悪い」

慎二「な――ふざけるなよ! 逃げるなんて……!」

凛「そうね、逃げたとしてもすぐに追いつくわ」

凛「それに、弓兵を相手に背を見せる気?」

ライダー「……私の宝具使えば、離脱を邪魔されることはない」

離脱し、状況をリセットしようとするライダー
しかし


コナミ「――――《縮退回路》」


無情にも、死神の鎌は振り下ろされた

ズズ……

士郎「これは……?」

空間が歪む
離脱など許さないというように周囲にズレが生じる

ライダー「結界……一体何を……」

コナミ「――――」

決闘者は語る
今この場から逃げ出すこと、それは存在の消滅を意味すると

慎二「な――――」

ライダー「……」

慎二「……クソックソックソッ! ……ライダー!!」

後退は不可能。勝ちは見えないが、この場での降参などプライドが許さない
出来ることは意味も無くサーヴァントを動かすのみ

ライダー「――――!」ダッ

アーチャー「自棄になったか……マスターも、それに仕えなければならないサーヴァントも哀れなものだ」チャキ

コナミ「――――デュエル」


アーチャー「ハアッ!」ギィン!

ライダー「っ……!」ガキン!

コナミ「《ジェネティック・ワーウルフ》」

ジェネティック・ワーウルフ「ガアアアアアア!!」

ライダー「ッ――ハッ!」ヒュン






慎二「クソ……何やってるんだよライダー!」

凛「二人を同時に相手にして、有利に立ち回れるわけないでしょう? 倒されるのも時間の問題よ」

士郎「慎二……どうしてあんな結界なんて……」

慎二「うるさい……うるさいうるさい! お前らなんかに――」


コナミ「《ジェネティック・ワーウルフ》をリリース」

コナミ「《冥界の魔王 ハ・デス》」

ライダー「な――」

ただでさえ一方的だったバランス
それが一気に傾く

ハ・デス「――――!」

ゴオッ!

ライダー「っ……!」

受けまいとしての咄嗟の回避は、しかし

アーチャー「――貰った!」

ザシュ!


ライダー「っ、あ……!」ガクッ

コナミ「――――」

ハ・デス「オオオオオオオオ!!」

ドン!

ライダー「あ……――」

ライダー「…………」スウ…

アーチャー「……終わりだな。後は消えるのみだ」

コナミ「……」

ズズ……

アーチャー「周囲のズレも直った、か。後は……」


慎二「ひ、あ……ライダー……」

凛「……だから言ったでしょう。二対一で勝てるわけなんかないって」

アーチャー「……」チャキ

コナミ「……」

慎二「う、あ、あ……」

慎二「ああああああああああああ!」ダッ

士郎「っ! 慎二!」

アーチャー「追わないでいいのか、凛」

凛「……いいわ、どうせ教会に向かったんでしょうし、そこに着かれたら手出しできないもの」

凛「それに、あいつに何かする気力なんて残ってないわ」

アーチャー「……君がそう言うなら構わないが」

コナミ「……」

士郎「慎二……」


凛「……とりあえず、綺礼に学校の事を連絡しときましょう。後の処理はやってくれるわ」

士郎「そうか……遠坂はこれからどうするんだ?」

凛「学校に居るわけにもいかないし、とりあえず家に帰るわ」

凛「それじゃあね、衛宮くん」

士郎「ああ、それじゃ――」

士郎「……っと。そうだ、遠坂に聞き忘れてたことがあったんだ」

凛「? 聞き忘れたこと?」

士郎「バーサーカーのことだ。共闘するって言ったって、いつ戦うつもりなんだ?」

凛「あー……そういえば決めてなかったわね……」

凛「……そうね、遅くとも一週間後まで。準備と状態が万全なら、もう少しはやくって所かしら」

士郎「……ああ、わかった。それまでに準備はしておく」

帰り道

士郎「……そういや、ありがとな。コナミ」

コナミ「?」

士郎「お前のおかげで、学校の皆は大事に至らずに済んだんだ」

士郎「お前が咄嗟に止めてくれなかったら――」

思い浮かぶのは10年前の記憶
あの惨状を――

士郎(ッ――!)

コナミ「……?」

士郎「……いや、ちょっと眩暈がしただけだ」

だったら、あの惨状になるのを止めたこのパートナーは、きっと

士郎「……」




1400→2000


ここまで
しろうの かんちがいが かそくする






2000





衛宮邸 居間

士郎「今日学校であんなことがあったんだし、藤ねえも桜もさすがに来ないよなあ」

士郎「……よし、なら特訓だな。コナ――」

士郎「……どうしたんだ、コナミ。そんな大量のカード広げて」

コナミ「――――」

士郎「……え? 俺のデッキを作らないかって……」

士郎「いやいやいや! それ宝具なんだろ!? そんなに軽く渡しちゃダメだろ!」

コナミ「――、――――」

士郎「さすがに聖杯戦争で使いそうな強力なカードは抜くしいざという時の護身用にも使える? いや、それでもだな……」

コナミ「――」

それに

士郎「ん?」

コナミ「――――」

デュエルできる相手が増えたら、それは喜ばしいことだ。と

士郎「……」


士郎「……わかった。ルールもデッキの組み方もよくわからないから、手伝ってくれ」

コナミ「――――、――」

士郎「基本ルールはともかく細かいところは製作者もわかってないから大丈夫?」

士郎「いや、カードゲームとしてどうなんだそれは」

コナミ「――」

士郎「とりあえずはメインになるデッキを40枚以上、あとはEXデッキか」

コナミ「――――」

士郎「まずは自分が気に入ったカードを決める? そうだな……」ガサゴソ

士郎「……お、このモンスターなんていいんじゃ――――」スッ

一枚のカードを手に取る
瞬間

士郎「な――――」

ザ……ザザ……


  「問――。――が私――――――」

             選――剣

   ア――リ―
          セ―――

   ―束さ――――の―

         全――き―――

     「シ――――――貴――、――て――」

ザザ……

ノイズが走る。何かもわからない映像が脳内を駆け巡る

士郎「、あ」


コナミ「――、――?」

士郎「い、や、大丈夫、だ」

士郎(今の、は……)

再びカードに触れる

士郎(何も起こらない……気のせい、か)

士郎「……それで、次はどうするんだ?」

コナミ「――――、――」

士郎「それに関連するようなカードとサポートするカードを入れる、か。えーっと……」

―――
――


士郎「……よし、これで完成だな」

コナミ「――?」

士郎「ああ、出来たぞ。コナミが途中で見てくれなくなったからちゃんと出来てるか不安だが……」

コナミ「――――、――」

士郎「ああ、わかってるよ。見ちゃったら戦う楽しみが無い、だろ?」

士郎「でも、これって使ったら消えちゃうんだろ? いつデュエルするつもりなんだ?」

コナミ「――――」

士郎「……聖杯戦争に勝ち残ったら?」

士郎「……そうか、そうなったら戦いでカード使うことも無くなるのか」

コナミ「――」

士郎「ああ、わかった。デュエルはその時だな」


そうだ、きっと俺達はこの戦いを終わらせられるはずだ
                    コナミ
デュエルをしたい、というのがパートナーの願いなら、俺もそれを手伝おう

聖杯に願う望みの無い彼に、俺がしてやれることはそれくらいだ





・...・..・...・..・.・..・
聖杯に願う望みの無い彼に










2000→2000(3000)





短いけどキリの良いとこまでやりたかったのでこれで終了


十代スリもっと売ってくださいコンマイ様

衛宮邸

シ―――――――聞――――

士郎「う……ん……?」

耳鳴りで目が覚める

士郎「……今のは」

誰かの声のようにも聞こえた耳鳴り
懐かしいような声色は、誰のものだったか

士郎「……昨日のデッキ組みの時もそうだけど、少し疲れてるのか?」

士郎「ま、その内治るだろ。すぐ治まったのを見る限り一時的なものだろうし」

士郎「さて、朝飯作らないと……」スタスタ





――ウ――――――

居間

テレビ「新都でガス漏れ事故が多発し――」

コナミ「――」

大河「ふー、ごちそうさま。やっぱり士郎のご飯はおいしいわー」

士郎「藤ねえ、体は大丈夫なのか? 昨日あんなことがあったんじゃ……」

大河「んもう、大丈夫よ。原因はわからないけど、私も生徒の皆も、何か問題がある人はいないらしいわ」

士郎「――そうか、よかった」

大河「そういう士郎こそ大丈夫なの? なんかあったように見えるけど」

士郎「え? ああ、ちょっと疲れが残ってるくらいだよ。大したことじゃない」

大河「ふーん……あんまりムリしちゃ駄目よ?」

士郎「わかってるって……」

コナミ「……」




大河「ところでコナミ君、あのプリンってまだあったり……」

コナミ「――……」

大河「太る? ……えっ、もしかしてあのプリン滅茶苦茶カロリー高い……?」

穂群原学園

凛「おはよう、衛宮くん」

士郎「ああ、おはよう。……慎二はやっぱり来てないのか?」

凛「さあね。確認はしてないけど、今のアイツの状況で来るはずもないでしょう」

凛「保護されてれば安全なんだし、出てくるとも思えないわ」

士郎「……そうか」

凛「……慎二の心配も結構だけど、脱落した相手より、まだ居る相手のことを考えなさい」

凛「柳洞寺にキャスターが居る。あそこには近づかない方がいいわ」

士郎「柳洞寺……? あそこがキャスターの拠点なのか?」

凛「ええ、ライダーを倒した後、少し探ってみたけど間違いないわ」

凛「ただ、キャスターを相手に敵陣で戦うのは自殺行為よ。やめておきなさい」

士郎「……わかった。気をつける」


士郎「……」

コナミ(――?)

士郎「いや……嫌な予感がするというかなんというか……」



教室

士郎(……やっぱり慎二は来てないみたいだな)

コナミ(――――?)

士郎(心配かって? ……まあ、友達だからな)

コナミ(……)

衛宮邸 夜

ピンポーン

士郎「……? 誰だ? こんな夜中に……」

ガララララ

士郎「はい、どちら様……」

慎二「よう、衛宮」

士郎「っ……慎二……?」

コナミ「……」

慎二「ははっ、そんな警戒するなよ。僕はただ話をしに来ただけなんだからさ」

士郎「話……? いや、そもそもお前は教会で保護されてるはずじゃ……」

慎二「そんなことはどうでもいいんだよ。ただ、ここで話すことでもない。なあ、衛宮――」


慎二「柳洞寺までついてこいよ。そこで話をしよう」

士郎「――慎二、お前」

コナミ「……」

キャスターか、そのマスターのどちらかに操られている
教会に逃げ込まなかったのか、それとも逃げる前に捕まったのか

士郎「……断る。行く理由も無いし、話ならここでだってできるだろう」

慎二「へえ、そうかい。まあ、それも仕方ないか――」

慎二「――なら、こいつはもういらないな」

慎二の声が慎二のもので無くなる
ナイフを片手に持ち、自分の首を――


士郎「――慎二っ!」ガシッ

慎二の腕を掴み、それを止める
だが、慎二(キャスター)は

慎二「……止めても無駄だ。それに、こいつがダメなら次は別の奴を使うだけだ」

士郎「何……?」

慎二「お前に近しい人物ならいくらでもいるだろう。来ないのなら次は――」

士郎「っ――お前!」

コナミ「――――」

士郎「……コナミ?」


慎二「サーヴァントの方は来る気になったか。それで、お前はどうする?」

士郎「……柳洞寺まで行けば、慎二は解放するんだな?」

慎二「それはもちろん。大人しく来てくれれば、な」

士郎「……わかった」

コナミ「――」

士郎「……コナミ、すまん。行くべきじゃないなんてのはわかってる」

士郎「それでも、むざむざ慎二を死なせたくないんだ。……手を貸してくれ」

コナミ「――――」

言われるまでもない、と
パートナーのその言葉が、何よりも心強かった






2000→2400






柳洞寺

慎二「――」ガクッ

士郎「慎二!?」

「安心なさい、魔術が切れて気を失ってるだけよ」

何もない空間から現れた、フードで顔を隠した女性
こいつが、

士郎「……アンタがキャスターか」

キャスター「ええ、その通り。歓迎するわ、デュエリストにそのマスターさん」

士郎「……わざわざ自陣まで連れてきたってことは、ここで俺達を落とすつもりか?」

コナミ「……」

聞くまでも無い問い
相手の返答など、あって一言、無ければそのまま攻撃されるだろう
全身に力を入れ、相手の攻撃にそなえる
だが――

キャスター「あら、そこの坊やの言ったことを聞いてなかったのかしら? 話がしたい、と言ったでしょう?」

キャスターの口から出たのは、そんな想像とは正反対の言葉だった


士郎「……何?」

キャスター「もしもここで貴方たちを落とすつもりなら、門をくぐった瞬間に殺してるわ」

キャスター「そうせずに、貴方たちの前にこうして姿を現してることが、その証明になるんじゃなくって?」

士郎「……」

キャスターの言ってることは正しい
話がしたい、という言葉にも、恐らく嘘はない

士郎「……それで、話ってのはなんなんだ」

キャスター「物分りの良い子は好きよ。それに、話といっても別に難しいことでもなんでもないわ」

キャスター「――貴方たち、私に協力なさい」


士郎「……どういうことだ、なんで俺達と手を組む必要がある?」

キャスター「あら、これでも私はデュエリストの能力をかなり評価してるのよ?」

キャスター「バーサーカーを傷つけ、一度殺した火力もさることながら、結界の無効化、発動、召喚魔術……彼のやったことは多岐にわたるわ」

キャスター「それも何の準備も無い、ただカードを使った、なんて方法だけでね」

士郎「……」

キャスター「恐らく彼は、発動のための魔力さえあれば出来ないことなんてほとんど無いのではなくって?」

コナミ「……」

コナミは答えない
その沈黙は肯定か否定か

キャスター「正直に言ってしまえば、坊やを直接操らず、わざわざ人質なんて使って連れてきたのも、それを警戒してのことよ」

キャスター「何が出てくるかわからない以上、坊やを直接どうこうする、なんて危険でやってられないわ」

キャスター「――その万能性を捨て置くのは惜しい。だから、手を組まないかと言ってるのよ」


士郎「……仮に、コナミがそんな万能サーヴァントだったとして、今度は俺達にメリットが無いだろう」
                       ・..・.・..・
キャスター「あら、言ったでしょう? 魔力さえあれば、って」

キャスター「坊や、あなたは彼が力を発揮するための魔力を十分に供給できてるのかしら?」

士郎「それは……」

キャスター「こちらにはそれを与えられるだけの魔力がある。彼の力を十全に振るうことも可能となるはずよ」

士郎「……? 与えられるだけの魔力があるって、そんなもんどっから……」

キャスター「わからないかしら? この柳洞寺を中心に街の人から魔力を吸い出してるのよ。そのおかげで魔力に困ることなんてないわ」

士郎「な――」


士郎「お前、無関係な人間を……!」

キャスター「あら、人聞きが悪いわね。殺してなんていないわ、彼らには魔力を提供してもらってるだけ」

キャスター「それに坊や、貴方はこの戦いを終わらせたいのでしょう? なら、迷うことなんて無いのではなくって?」

士郎「……それ、は」

仮にキャスターの予想が事実なら、コナミの全力とは凄まじいものなのかもしれない
それこそ、この戦いをすぐに終結させることができるほどに

だが

士郎「――いいや、それでも、無関係の人を巻き込む奴に協力なんてできない。この話は無しだ」

そもそも、自分の戦いはこのような輩を止めるためのもの。
それに協力するなんて、バカげている。
その言葉を聞いたキャスターは、しかし

キャスター「あら、それは残念」

まるで予想通りだ、というように、驚きもなにも無い口調でそう言った。


士郎「……なんだ、まるで断るのがわかってたみたいに……」

キャスター「ええ、そうね。坊やは恐らく断るだろうと思っていたわ」

士郎「……? ならこの話はなんのために……」

キャスター「坊やに話したのはもしも受けてくれたら儲けもの、程度の理由よ。本命は――」

コナミ「……」

キャスター「――貴方よ、デュエリスト」

士郎「何を――」

コナミがそんな提案を受け入れるはずがない
あいつだって、無関係の人を巻き込む、なんてしないはずだ


キャスター「貴方の願いは知ってるわ。デュエルをしたい、だったわね」

コナミ「……」

キャスター「そして貴方は、その願いのためなら裏切りも、他を切り捨てることも厭わない」

士郎「何を言って……」

コナミはそんな奴ではない
デュエルが好きなのは確かだが、そのためだけに他を切り捨てるなど、あいつがするはずがない

コナミ「……」

コナミは何も答えない
その沈黙は、きっと否定のためのもののはずだ

キャスター「――私に協力するというなら、貴方の願い、叶えてさしあげましょう」

コナミ「…………」ピクッ

士郎「コナミ……?」


キャスターは何と言ったのか
自分の願いを叶える、と、そう言ったのか

コナミ「……――」

出来るはずがない、と期待を押し殺した声でそう、口にする

キャスター「いいえ、その程度の願い、叶えられないはずがないでしょう?」

出来るはずがない。

そう、はずだ。でも、きっと、もしかしたら
彼女は、自分が考え付かなかったような答えを――――

キャスター「あなたが力を振るう為の相手ならいくらでも用意しましょう。それで満足いかないなら、聖杯を使って、デュエル相手に困らない世界にすればいい」

――そんな希望は、儚くも崩れ去った


コナミ「……」

駄目なのだ。聖杯で自分の願いが叶うことは無い
いや、そもそも、力を振るう為の相手とは、まさか

キャスター「貴方の言うデュエルとはつまり、そのカードを使った戦闘のことでしょう?」

コナミ「――」

――ああ、やはり
この聖杯戦争での戦い方を、彼女はデュエルと捉えているのか

コナミ「……」

頭に浮かぶのは失望の二文字
もう話すことなどない
ならば

コナミ「――デュエル」

ここまで
棺もタートルくらいの値段になるのかなー

禁止制限はどうなんだろうな


コナミ「――デュエル」

士郎「コナミ……!」

やはり、コナミは頷かなかった
そうだ、コナミだって、そんなことを望むはずがない

キャスター「……どうして? 提示した条件に、貴方が不満に思う所なんて無いはずよ」

コナミ「……」

彼は答えない
あるのは、彼女へと向けた明確な敵意のみ

キャスター「……いいわ。なら、その選択に後悔して死になさい!」ヒュン

士郎「!?」

キャスターの姿が虚空へと消える
そして

キャスター「さあ、沈みなさい!」

上空から放たれるのは大量の魔力弾
その全てが、こちらへと向かってきている

士郎(避けられ――)


コナミ「――《精霊の鏡》」

現れたのは巨大な鏡
そこへ、魔力弾が全て吸い込まれる

キャスター「なんですって!?」

コナミ「対象変更、キャスター」

キャスター「な――っ」

鏡から放たれる同じだけの魔力弾
それを避けるためにキャスターに生まれるカード発動のための隙

コナミ「《サイレント・ソードマン LV3》」

現れるのは剣士のような風貌の少年
戦いの場に似つかわしくないその姿はキャスター(魔術師)にとっての天敵

キャスター「そんなものっ!」

剣士に向けて放たれる数多の魔力弾
しかし


コナミ「――《レベルアップ!》」

魔力弾が当たる前に、少年の姿が変化する
そして現れるは

コナミ「《サイレント・ソードマン LV5》」

キャスター「な――」

当たるはずだった魔力弾が霧散する
成長した剣士が持つのはセイバークラスのごとき対魔力

キャスター「だったら――!」

士郎「っ!」

攻撃の対象を変更し、放つは強大な魔力の一撃
マスターさえ消してしまえば――

コナミ「《メタルシルバー・アーマー》」

サイレント・ソードマン「――――!」

放った魔力弾が軌道を変え、剣士へと向かい消滅していく
そして


サイレント・ソードマン「オォッ!」ザンッ

キャスター「くっ――――」

転移に間に合わず、剣士の攻撃が身を掠める
だが、それだけ。致命傷には程遠い

しかし

コナミ「――――」

これで詰みだ、と

キャスター「……何を。確かに対魔力を持ったその剣士は脅威」

キャスター「それでも、この柳洞寺は私の神殿。ここで私が敗北することなどありません」

キャスター(……あの剣士との距離は動きを見て転移しても間に合う程度に離れている。大きな隙でも見せなければ、さっきのように食らうことはない)

キャスター(……魔術は全てあの剣士に防がれる。だったらマスターの坊やを物理的手段で潰せば――)

転移でマスターを潰し、逃げに徹する
守りに徹していれば、この柳洞寺内において負けることは無いはずだ

キャスター「……行くわよ!」

転移を発動しようとした、その瞬間


サイレント・ソードマン「――――」

剣士の体が再び変化する

コナミ「――《サイレント・ソードマン LV7》」

キャスター「え――――」

転移が発動しない
それどころか、魔術が発動する気配が無い

コナミ「――!」

サイレント・ソードマン「ハァッ!」

ザシュ!

キャスター「あぁっ!!」

剣士の一撃が入る
先ほどのものとは比べるべくも無い致命傷


キャスター「――――」

何度試しても魔術が発動しない
脳裏に浮かぶのはデュエリストの言葉

これで詰みだ、と

キャスター「…………フフ」

その言葉と今の状況を照らし合わせ、情けない笑みがこぼれる
バカげている、対魔力どころか、魔術の発動すらさせないなど

次に攻撃を食らえば死ぬ。食らわずともこのままなら放っておけば死ぬ。しかし不思議と恐怖は無い
信じたくない状況に、脳がついていかないのか

キャスター(宗一郎様……)

マスターはまだ露見していない。この場に居ないのは不幸中の幸いか
デュエリストのマスターの性格を考えれば、恐らく探し出して殺す、などとすることもないだろう

キャスター「……」

ならば、自分にできることはもう――いや


キャスター「……」ズズ…

動かない体を無理矢理立ち上がらせる

サイレント・ソードマン「…………」ジャキ

キャスター「っは……」

コナミ「……」

魔術は発動しない
体は後数分としない内に消えるだろう

キャスター「――坊や」

士郎「……?」

それでも


キャスター「――せいぜい気をつけることね。貴方はサーヴァントに裏切られる」

その言葉は

相手を疑心暗鬼に陥れたいがための捨て台詞か

士郎「何を――」

裏切られ続けた生前からくる忠告か

サイレント・ソードマン「――――!」

ザシュ!

キャスター「――――」

最後まで、自分にもわからなかった


コナミ「……」

士郎「……終わった、のか」


――せいぜい気をつけることね。貴方はサーヴァントに裏切られる


士郎(そんなこと――)

コナミ「――――」

士郎「……そうだな、慎二を教会に連れて行こう」



教会 外

士郎「コナミ、ちょっと待っててくれ。サーヴァントを連れてると言峰になんか言われそうだ」

コナミ「――」

教会

士郎「言峰、居るか?」

綺礼「――何の用だね衛宮士郎。脱落し、保護を求めにきたか?」

士郎「……そうだ。だけど、保護して欲しいのは俺じゃない」

綺礼「む? ……なるほど、ライダーのマスターか」

士郎「ああ、ここなら慎二の安全を保障してくれるんだろう?」

綺礼「ふむ、了解した。ルールを破るマスターでも現れない限り、彼の安全は保障しよう」

綺礼「それにしても、敵であるはずのマスターを助けるか。再び牙をむく可能性を考え、殺しておこうとは考えないのかね?」

士郎「……もう慎二にそんなことをする気力なんて無い。それに――」

士郎「コナミだって危険を顧みないで慎二を助けるのを手伝ってくれたんだ。あいつも、マスターを殺そうなんて考えはしない」

そんな何気ない言葉
それを聞いた言峰は

綺礼「――――」

口元を歪め、笑っていた


士郎「……なんだ、気味の悪い。そんなに敵のマスターを助けたことがおかしいか」

綺礼「――いいや、被害を最小限に抑えようというその心がけは立派だ。それにしても、随分とあのサーヴァントを信頼しているのだな」

士郎「? そりゃあまあ……コナミには何度も助けられてるし、あいつが悪い奴なんかじゃないってのは一緒にいればわかる」

それに、俺はコナミの記憶を知っている
多くを救ったあいつの姿は、今でも脳裏に焼きついている

綺礼「ク、そうか。悪い奴ではない――確かにな」

士郎「……?」

どうも言峰の返答は的を射ない
こいつは何が言いたいのか


綺礼「……そうだな、衛宮士郎。最近新都でガス漏れ事故が多発していたのは知っているか?」

士郎「え? ああ……なんだっていきなりそんな話……」

綺礼「あれはキャスターの仕業でな。町中の人間から魔力を吸い上げていた」

士郎「……やっぱりキャスターの言ってたのは本当だったのか」

綺礼「む、既に知っていたのか。それでは無駄話になってしまったな」

士郎「……それで、いきなりなんなんだ。そんな話をするなんて」

綺礼「何、少し発破をかけてやろうと思ってな」

綺礼「お前達がキャスターを討伐したことで多くの人が救われた。ライダーの時同様にな」

士郎「……」

綺礼「それによって報酬が得られるなどというわけではないが――――お前の望みは叶っていってるのではないかね、衛宮士郎」


士郎「……アンタ、本当にどうかしたのか? そんな応援みたいなこと……」

綺礼「さてな、ただ、それを続けたお前が最後にどうするかが気になるというだけだ」

士郎「最後って……俺が殺されるって言いたいのか」

綺礼「まさか、お前とデュエリストは恐らく最後まで勝ち残るだろう。そして聖杯へと辿りつく」

綺礼「そして辿りついたお前がどう選択するのか、とな」

士郎「……? 言っただろう。俺は聖杯を使う気なんてない。コナミだって……」

綺礼「ふむ……そうか。まあいい、時がくればわかることだ」

綺礼「話はこれで終わりだ。他に用が無いのなら早々に帰るがいい」

士郎「言われなくても……慎二のこと、頼んだぞ」

ギイィ……バタン




綺礼「……衛宮士郎」

綺礼「デュエリストはお前にとってこれ以上ないパートナーだ」

綺礼「正義の味方を目指すのであれば――クク」


教会 外

士郎「すまんコナミ、待たせた」

コナミ「――?」

士郎「ああ、少し言峰の話に付き合わされてた」

士郎「キャスターの言っていた魔力吸い上げは事実だったんだそうだ。これで止まるとも言ってたな」

コナミ「――」

士郎「ああ、よかった。もうこんなことをする奴が居なけりゃいいんだが……」

コナミ「――、――」

士郎「……そうだな。また同じことがあれば止めるだけだ」


――せいぜい気をつけることね。貴方はサーヴァントに裏切られる


士郎(……そんなことはない。コナミは――)






2400→3000





ここまで
出番無いアサシンかわいそう

乙です
今回の話で気になってステータス見直してきたけどコナミくん秩序・善とかの属性が公開されてないのね

キャスターはモンスターじゃなくてプレイヤー扱いなんだな
出番なかったけどアサシン召喚してたのかな

>>219
DCの制限(2103年11月)
しかし宝具の仕様で全カード一枚しか使えないので禁止以外意味無かったりする
禁止も使おうと思えば使えるけど使わない。なぜなら彼は決闘者

>>244
え? と思って見直したらマジだった
>>99あたりも書き直したのを後で貼っておこう

>>246
サーヴァントはモンスターでありプレイヤーでもあるみたいな状態
今のコナミ君がやってることがデュエルではなくサイコデュエリストの戦いみたいな感じなのでそれに合わせてカードの効果も都合よくなったりしてます
>>24とか>>73とかみたいな感じに

そしてよく考えなくてもキャスター死んだ瞬間にアサシン消えるわけじゃないし端折るのはダメな気がしてきた
そんなわけで>>232で柳洞寺出てから教会着くまでの間に↓の4レスがあったってことにしてください

柳洞寺 山門

「そこの御仁、少しよろしいか」

士郎「……? アンタは?」

「ふむ、まずは名乗っておこう――アサシンのサーヴァント、佐々木小次郎」

士郎「っ! サーヴァント――――……?」

気のせいか
彼から感じられる力は弱弱しい

士郎「……あんた」

アサシン「いかにも。この肉体はあの女狐めに喚ばれた身でな。奴が敗れた以上、長くは持たん」

アサシン「喚ばれたと思ったらこの山門に縛られ、誰と死合うこともなく気づけば消滅を待つのみよ」

アサシン「人の世とはかくも無常なのかもしれぬが――機会があるのならそれに縋ってみようと思ってな」

アサシン「この死に損ないの我侭、聞いてはくれぬか」

コナミ「――……」

サイレント・ソードマン「……」ジャキ

剣士はまだ消えていない
アサシンがキャスターのサーヴァントである以上、まだキャスターとの戦いは継続していると見なされているのか

アサシン「――――感謝するぞ。名も知らぬサーヴァントよ」


アサシン「……」

サイレント・ソードマン「……」

アサシンに時間は無い
マスターたるキャスターが消滅している以上、彼が全力を出せる時間の限界は刻一刻と迫っている
打ち合いによる消耗も、傷を受けることによる消耗も今の彼にとっては惜しい


アサシン「――――」

――故に、彼の攻撃は初撃に全てが集約される
生前ひたすらに刀を振るい、燕を斬るにまで至った剣技の極地。その全てを、彼はこの一瞬に捧ぐ

アサシン「秘剣――――」

サイレント・ソードマン「――!」ダッ

剣士が踏み込む。その命を取らんと、アサシンに巨剣が振るわれる
だが

アサシン「――――燕返し」


士郎「な――」

コナミ「……」

彼の刀から放たれるは一瞬の差も無い三発の斬撃
同時に発生した結果としてそこに生じるは回避不能の斬撃空間
全てを捧げた一撃は、剣士の命を削り切るには十分に過ぎる

サイレント・ソードマン「グ……オォォォォォ!!」

それでも、剣士が己が剣を最後まで振り切るのは人の身でないことの恩恵か
目の前の侍に負けたくないという意地から生じるものか

アサシン「――見事なりよ、異界の剣士。我が渾身の一撃を受けてなお、その剣を届かせるか」

アサシンの体に袈裟斬りが入る
避けることも受け流すこともしなかった彼は、致命的な一撃を負いながらも、その佇まいを崩すことはない

サイレント・ソードマン「――――」スウ

アサシン「……」

剣士の体が光となって消滅する
その最期を、彼は最後まで変わらず見守っていた


アサシン「……いや、中々に良い死合いであった。これでこそ、喚ばれたかいがあったというもの」

コナミ「――――」

アサシン「ああ、あの一撃を振るえただけで満足だ。感謝するぞ、名も知らぬサーヴァントにそのマスターよ」

士郎「……アンタには、聖杯に望む願いとかは無かったのか?」

アサシン「生憎、聖杯に願うほどに大層な望みなど持ち合わせておらんよ。強いて言うのなら、この刀を振るえる相手と戦うことが願いであった」

アサシン「――得物は違えど、それはそなたも同じであろう? 名も知らぬサーヴァントよ」

コナミ「……」

アサシン「……ふむ、そろそろ限界か。それではな。余計なお世話かもしれぬが、黄泉でお前達の応援でもさせてもらおう」スウ

アサシンの姿が光に消える
最後までその飄々とした立ち振る舞いを崩さなかった彼の考えはわからない
それでも、望みを叶えた彼はきっと満足して逝けたのだろう

コナミ「――」

おめでとう、と。誰にも聞こえない、声で彼は呟いた

修正したの貼りなおし
あと>>251の最後変なとこに読点入ってるけど「誰にも聞こえない、声で彼は呟いた」→「誰にも聞こえない声で、彼は呟いた」です

クラス:決闘者(デュエリスト) マスター:衛宮士郎
真名:コナミ
属性:混沌・善

筋力:C
耐久:C
敏捷:C
魔力:B
幸運:C
宝具:EX

スキル
・決闘機械(EX)戦闘時におけるカード使用時の魔力消費を軽減する。EXランクでは魔力消費なしで使用可能。また、ドロー時のカードに多少の補正がかかる。
ただし、軽減可能なのは具現化、使役のための魔力のみであり、一部のカードを使用する場合に必要な、コスト・効果としての魔力消費は軽減できない。
・無窮の話術(A) ひとつの時代で多くの人を魅了した、人智を超えた域の話術。
        その気になれば、どんな相手とでも友好な関係を築くことができる。      
・単独行動(A+)マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。単独で戦闘を行うことができる。
・黄金律(E) 日々の生活には困らない。

宝具

・「決闘者の魂」(ソウル・オブ・デュエリスト)
ランク:EX
種別:対人宝具     レンジ:-
コナミが所持するカード。その力を具現化、使役することができる。
戦闘時に使用する場合、40枚のデッキとなり、使用に制限がかかる。
戦闘開始時に使用できるカードは5枚。以後時間経過や他のカードの力でカードをドロー可能。40枚を超えて使用した場合、魔力が無くなり、現界していられなくなる。
また、別の相手と戦う場合は新しく40枚が生成されるが、一度戦った相手と再び戦う場合、デッキの消費具合は引き継がれ、手札・フィールドは引き継がれない。
デッキに入っているカードは決まっておらず、ドローするカードは使用者の幸運に依存する。

非戦闘時に使用する場合は、所持しているカードを好きに選択して使用できる。
ただし、非戦闘時に発動したカードで他のサーヴァントやマスターに攻撃、などということはできない。
また、聖杯戦争中一度使用されたカードは別のカードの力で呼び戻すなどしない限り、その聖杯戦争中二度と使用できない

>>247
直すまでもないだろうけど2103年→2013年ね


コナミ君が善なのはほら、本人の中で絶対に破られることのないルールがあるから…

interlude
>>83の少し前

深山町

コナミ「…………」テクテク

「そこな雑種、足を止めよ」

コナミ「……?」

振り返った先に居たのは、ライダースーツを着た金髪の美丈夫
その視線は、まるで品定めでもするかのようにこちらに注がれる

「ふん――なるほど、貴様が件のイレギュラーか」

「ク、なかなかどうして、このようなものが召喚されるとはな」

コナミ「……」

「雑種、貴様は聖杯に何を願うつもりだ?」

コナミ「……――――」

決まりきった答えを口にする
聖杯に願いなどない。デュエルができればいい。と


「ク――ハハハハハハ!! そうであろうな! 貴様の目には他のものなどまるで映っておらん!」

目の前の彼は心底愉快そうに笑っている
答えが予想通りだというように、その答えが孕んだ歪さを見抜いているというように

「ただ一つを望み、他を切り捨て、自分に正直に自分勝手に生きてきたか。――その在り方の果てに何を得た?」

コナミ「――――」

得たものなどない。いや、それ以前に、自分は果てになどにいないし果てなどあってはいけない。

「ほう――? だが雑種、貴様も薄々気づいているのではないか?」

「貴様の目――その奥にある絶望はなんだ?」

コナミ「……――」

一瞬の逡巡の後、そんなものはない、と否定する。
だが


..                                       ・ ・
「我にはわかるぞ。貴様のその絶望、それは地上の――いや、世界の果てを知った類のものだ」
                                              ・ ・
「どうあっても先がない。貴様の望みに合わせて言うなら、デュエルできる舞台がない」

「そこから逃げるためにこの聖杯戦争に無理矢理混じったか? それでどうする?」

コナミ「……」

「この戦争でデュエルとやらの真似事をして、それで満足か?」

「また先の無い世界で、その現実から目を背け、過去を廻り続けるか?」

彼はどこまで見抜いているのか
その眼から逃れることなど出来ないと予想しながらも、楽観的な言葉を口にする

コナミ「――――、――」

「一度はその状態からでも次の舞台が作られた? だから次もまた作られるかもしれない?」

「ハ――何を言うかと思えば……永遠に次が来ないかもしれぬというのに、それを待ち続けるか?」

コナミ「…………」

やはりか、彼に言い訳など通用しない
――それなら、仕方ない


コナミ「……――」

それなら

「む?」

コナミ「――――」

自分が居た世界が果てで、先が無いのなら

コナミ「――――」

新しい世界(未来)を作り出すまでだ、と

その言葉を聞いた彼は、ほんの一瞬目を見開き

「ク、ハ、ハハハハハハ! 己が望みのために! 己が身勝手のために! 世界を相手取るときたか!」

彼は再び笑う。何の葛藤も無しに答えたその言葉を面白がるように


「セイバーの枠が潰されたと聞いた時は貴様をこの我が手ずからこの場で殺すつもりであったが――」

「雑種、名は」

コナミ「――」

「コナミ、貴様という存在に興味が湧いた。貴様の在り方――それを以て、我を愉しませるがいい」

「ではな。その望みのため、せいぜい足掻いてみせよ」

コナミ「……」

――デュエルをするという願いも、それを出来る世界を創るという願いも、聖杯が叶えられる範囲に存在しないのはわかっている
思いつく方法は一つだけ。それ以外の方法は無いはずだ。いや、でも、もしかしたら、他の方法を考え付く人もいるのだろうか

幕間的なもの2終了






3000





???

士郎(……ここは)

士郎(夢……いや、コナミの記憶、か? でも、それにしては……)

周りは見渡す限り一面の闇
いや、正確には、後方にのみ光がある

コナミ「……」

士郎(! ……コナミ)

闇の中に決闘者が独り
彼は動かない。後方の光などまるで無いと言うように、前方の闇だけを見つめている

コナミ「……」

――この場所こそは彼の居た世界の最果て。決闘者が決闘者で在り続け、あらゆる可能性全てを経験した末に辿り着いた無の牢獄
未来などない。人などいない。時間などない。存在するは過去にのみ

――世界は、そこで終わっている


コナミ「――」

――デュエルを

士郎(……)

呟かれた一言に込められた感情は何か

デュエルを
              ――期待

デュエルを
              ――焦燥

デュエルを
              ――悲嘆

コナミ「……」

デュエル、を
              ――絶望


その言葉を最後に、彼は呟くことも、動くこともしなくなった
――映像が、消える






3000→3000(4000)





衛宮邸

士郎「……」

暗闇から目が覚める
夢に見た場所がどこかは知らない
だが、あれが、あんな世界が、アイツの記憶だというのか

士郎「そんなの……」

デュエルが出来ればいい、とコナミは言った
――まるでなんてことないように言ったその言葉には、どれほどの想いが込められていたのか

士郎「……」


シロ――――――私――聞こ―――――


士郎「っ……!?」

耳鳴りが起こる
一時的なものであるが、昨日よりも酷くなっている気がする

士郎「……治まった、か」

士郎「……よし」

気合を入れなおす
聖杯戦争が終わったらデュエルをする。そう、コナミと約束した
アイツの望みを、俺が果たすことができるのなら――


穂群原学園

凛「……それじゃ、キャスターは脱落したのね?」

遠坂に昨日の顛末を話す
慎二のこと、キャスターのこと、ガス漏れ事故のこと。キャスターが持ちかけてきた提案については――――話さなくてもいいだろう

士郎「ああ。それと、キャスターはアサシンを召喚なんてこともしてたらしい。そっちの消滅も確認した」

凛「サーヴァントがサーヴァントを……!? ……いえ、これで残るサーヴァントは四騎、か」

凛「……そうね。衛宮くん、そろそろバーサーカーを叩くわ。準備は出来てる?」

士郎「ああ、俺は問題ない」

凛「……と言っても、コナミは昨日、一昨日と連戦してるんでしょう? 少し休ませた方がいいんじゃない?」

士郎「む……確かに……」

ただでさえ、コナミに魔力供給は無い
今どれほどの消耗をしているのかはわからないが、連戦は避けるべきか

凛「それじゃ、二日後にアインツベルンを攻めるわ。それまでコナミを休めておきなさい」

士郎「……わかった。それまでは大人しくしておく」

―――
――


教会

ギルガメッシュ「ライダー、キャスター、アサシンが脱落。これで残りは四騎か」

ギルガメッシュ「……ふむ、此度の聖杯戦争の終結まで長く見積もってあと三日ほどと言ったところか」

綺礼「ほう。それまでに残り三騎が落ちる、と?」

ギルガメッシュ「で、あろうな。バーサーカーが動けば、そこでこの戦争は一気に進行する」

ギルガメッシュ「――お前も、そうなるように動かしてるのではないか? 綺礼」

綺礼「さて、なんのことだかな。私は迷える者のために、道を開く手伝いをしているに過ぎん」

ギルガメッシュ「クク――まあ良い。勝ち残るのは恐らく決闘者」

ギルガメッシュ「そして、ヤツがその後に向かうのは我の所であろうよ」

英雄王の口元に笑みが浮かぶ
それは予想などではなく、その未来を確信してるが故のもの

綺礼「……随分と嬉しそうだな、ギルガメッシュ。そんなに決闘者との戦いが楽しみか?」

ギルガメッシュ「無論だ。あやつは人が持つ一面を突き詰めた、ある種の完結した人間と言っていい」

ギルガメッシュ「で、あるならば、その在り方の果てを見極めるのは、裁定者たる我の役目よ」

ギルガメッシュ「――失望などさせてくれるなよ? 決闘者」


衛宮邸 夜

食事をとり、コナミを休ませる
本人は多少の魔力なんてカードで賄えると言っていたが、それでも休ませるに越したことは無いだろう
バーサーカーとの戦いまで二日。それまでの消耗は避けるべきだ
だが

カラララララン!!

士郎「!?」

天井につけられている鐘が鳴る
それは、屋敷に張られている結界が反応した証
数日前のランサー襲撃の時と同様、鳴る理由など一つしかない

コナミ「……」

士郎「他のサーヴァントかマスター……」

コナミとアーチャーを除けば残りは二騎
攻めて来たのはランサーか、それとも――

士郎「……コナミ、行けるか?」

今はコナミを休ませる時であるとわかっている
だが、それと同時に、逃げることもできないだろうとわかっている

コナミ「――」

問題ない、と一言
その言葉に押され、外へ出る


イリヤ「こんばんは。お兄ちゃん」

バーサーカー「……」

そこに居たのはいつぞやの少女――そして、バーサーカー

士郎「……イリヤスフィール、で良かったよな?」

イリヤ「んー、長いしイリヤでいいよ。お兄ちゃんの名前は?」

士郎「……衛宮士郎だ。士郎でいい」

イリヤ「シロウ……うん、良い名前」

イリヤ「ホントはもっとお話もしたいし、遊んだりもしたいんだけど――」

イリヤ「もう、待ちきれなくなっちゃった」

コナミ「……」


イリヤ「ねえシロウ、この戦いを降りて、私のモノにならない? そうすれば殺さないですむわ」

士郎「な、何を――」

イリヤ「答えて。ここで死ぬか、戦いから降りるか」

士郎「……」

そんなもの、決まっている
戦いから降りるなど、コナミへの裏切りに等しい
聖杯戦争を終わらせる。コナミとの約束を果たす。その二つのためにも俺は

士郎「……断る。戦いから降りる気は無いし、ここで死ぬ気も無い」

イリヤ「そう、それなら――」

イリヤ「殺して、バーサーカー」

バーサーカー「■■■■■■――――!!」

コナミ「……」ジャキ

イリヤ「……このペースだともう、あんまり時間も無さそうだもの」

士郎「……え?」

呟かれた一言が風に消える
一瞬哀しそうな目をした彼女は、なんと言ったのか

コナミ「――――デュエル」

遠坂邸

凛「……! アーチャー、衛宮くんの家に行くわよ」

アーチャー「……何かあったのか?」

凛「ええ、もしもの時のために今日から衛宮くんを使い魔に監視させてたんだけど――」

凛「バーサーカーとそのマスターが接触してきたわ。恐らくこのままだと交戦する」

アーチャー「なるほど。それでバーサーカーと戦う予定を前倒しにする、と?」

凛「そうよ。あの場所でバーサーカーから逃げ切ることなんて無理に決まってる。……準備はいい?」

アーチャー「了解した。私に問題はない」

凛「よし、それじゃ――」

外に出る
バーサーカーとの初戦を見る限り、コナミが早々に負けることは無いだろうが、急ぐにこしたことはない


ランサー「――よう嬢ちゃん。そんなに急いでどこへ行くんだ?」

目の前には、青い槍兵が立ちふさがっていた


凛「ランサー……!? こんな時に……!」

今、他のサーヴァントと交戦すれば間違いなく応援には間に合わない
まるで図ったかのようなタイミング。……いや

凛「……ランサー、あなた」

ランサー「ああ、勿論偶然ここに居たってわけじゃない。オレはお前らの足止めを命じられててな」

凛「……まさかバーサーカーとランサーが組んでいたなんてね……迂闊だったわ」

脳内で舌打ちをする
自分達が共同戦線を張っていたというのに、何故残りの陣営も組んでいるということを考えなかったのか
だが

ランサー「いいや? バーサーカーと同盟なんざ組んでないぜ。これはオレのマスターからの指示だ」

と、そんな予想は、他ならぬ彼の言葉で否定された


凛「同盟を組んでない……? じゃあ、なんで……」

ランサー「残る陣営は4つ。その中に同盟を組んでるようなとこがあるなら、崩せる時に崩さない手は無いってな」

凛「……つまり、アーチャーかデュエリストのどっちかが倒されればそっちの目的は達成……ってことね」

そうだ、とランサーは一言

ランサー「デュエリストとバーサーカーの勝負がつくまでお前らを足止めするように言われてるが――」

ランサー「――お前らを倒すな、とは言われていないんでな。そこの弓兵との決着、つけさせてもらうぜ」ジャキ

アーチャー「……凛、下がれ。どの道、ヤツを倒さないことには先に進めん」

アーチャー「バーサーカーについては後だ。今はこの場のことだけを考えろ」チャキ

凛「……ええ、わかってるわ」

思考を切り替える。だが、それでも悪い予感が頭を過る
ランサーを相手に、消耗無しの突破も、短期決着も不可能だろう
結果として、バーサーカーと二対一且つ万全の状態で戦うチャンスは潰えたと言っていい

可能性は低いが、今はコナミがバーサーカーを退けてくれることを願うのみだ

ランサー「――さあ、始めるとするか」

ここまで
投下が遅かったのはドン・サウザンドの仕業なんだ…


メインデッキの縛りは理解したけどエクストラデッキの扱いってどうなってんの?

>>289
ミス発見「――お前も、そうなるように動かしてるのではないか? 綺礼」→「――お前も、そうなるように動かしてるのではないか? 言峰」

>>298
回答ついでにちゃんと書いてなかったとこもここで書いておこう

・カードのもつ能力について
やっているのはデュエルではなくカードが持つ力の具現化なので、カード自体が力を持っていればそれだけ力は強いものとなる(三幻神、三幻魔etc)魔罠の場合も同様
カード自体に力が宿っていなくても、制限、準制限なんかのカードはそれなりの力を発揮する
もちろん普通のモンスターが弱いわけではないが、かなりのステータスが無いとサーヴァントとまともにやりあったら効果無けりゃまず負けるってレベル
ライダーはアーチャーとの二対一、キャスターは魔封じがあったからモンスター側が勝てた
また、モンスターがいくら居ようが相手がそれを無視して突っ込んでくれば普通にコナミは攻撃される

カード効果については、そのまんまの効果だったりそれっぽい効果(千里眼で他の場所見たり真実の眼で正体見たり)だったり。ただし破壊効果があるからといって確実に仕留められるわけではない
避けられれば不発、何かしらで防がれれば軽減もされる。バーサーカーを殺せたのは攻撃反応型を至近距離で使い、防御も回避もさせないような状況に持ち込んだため

・破壊除外その他の扱い
破壊(墓地送りは同じ扱い)・除外 クリーンヒットすれば死亡
手札・デッキバウンス マスターの元に戻るだけ
装備カード化 よっぽど弱ってないと脱出される
コントロール奪取 相手に令呪ある限りは不可
No.101 こなみくんの かーどちしきは DCで とまっている

・幸運とドローの関係
強さは前述の通りなのでそれを基準にドローできるかどうか

A以上:神なんかもドロー可
B:カード自体に力があるものを普通にドロー可
C:特に力とか持ってるわけではないカード。稀に力あるものもドロー可
D:カードは拾った
E:TF4ディマク

・エクストラデッキ
必要な時に湧き出る感じ(5D'sの流星とかWCS2011の白紙のカードみたいな)
但しこちらにも幸運補正はかかるので現状ではネオスシリーズや6D'sやNo.などの使用は不可

・決闘機械(EX)のドロー補正
現幸運よりも高いものをドローできる、とかではなく今の状況に合ったものをある程度ドローできるようになる

以下投下


バーサーカー「■■■■■■――――!!」

士郎(やっぱり速い……! この庭じゃ、コナミもすぐに接近される……!)

バーサーカーに接近戦など死にに行くようなもの
庭が狭いわけではないが、バーサーカー相手ではどこに居ても逃げようのない広さでしかない

コナミ「――《古の森》」

コナミが一枚のカードを掲げる
その、瞬間

士郎「な――」

ズズ……

イリヤ「嘘……!?」

世界が変わる
今居る場所は衛宮邸の庭などではない。自分達が立っているのは、木々の生い茂る深い森の中


イリヤ「固有結界……!? ……いえ、これは――」

コナミ「……」

無論、固有結界などと大それたものではない
カードによる一時的な書き換え。固有結界とは似て非なるもの

イリヤ「……本当、あなたが何のサーヴァントなのかわからないわ」

コナミ「――」

初戦での彼女の言葉を信じるのなら、バーサーカーの蘇生には限度がある
――ならば、その限度まで殺しつくすのみ

イリヤ「……それでも、バーサーカーに勝つことなんてできない。バーサーカー!」

バーサーカー「■■■■■■――!」ダッ

コナミ「――――!」ダッ

初戦と戦法は同じ
効果で破壊し、破壊後の隙をついた一撃離脱


バーサーカー「■■■――――!!!」

ゴウッ!

コナミ「《炸裂装甲》」

バーサーカーの攻撃に合わせてカードを発動する
これでバーサーカーを一撃――――

バーサーカー「■■■■■■――――!!!!」

コナミ「……!?」

バーサーカーの動きが止まらない
いや、死ぬどころか、傷一つついていない

コナミ「ッ《ダーク・リゾネーター》」

ダーク・リゾネーター「キヒヒ」

モンスターを盾とし、バーサーカーから離脱

コナミ「……ドロー」

バーサーカーとの距離をとる
と、同時


バーサーカー「■■■■■■――!?」

森が蠢き、降り注ぐ光がバーサーカーを侵食する
――そして、破壊

イリヤ「……これで二回目、ね。あなたにバーサーカーを殺されたのは」

コナミ「……」

イリヤ「この森の力はそれでおしまい? ――だったら、もうこの森に意味なんてないわね」

士郎「……どういうことだ? バーサーカーを殺すほどの力に意味がないって……」

イリヤ「いいわ、教えてあげる。バーサーカーの能力は蘇生だけじゃない」

イリヤ「――一度受けた攻撃の無効化。一回バーサーカーを殺した方法で、二回目も殺すことはできないの」

士郎「なっ……」

コナミ「……」

イリヤ「もう一つ教えてあげるわ。バーサーカーの命のストックは十一個。それに、初戦で殺された二回の分はもう回復してる」

イリヤ「残りのストックは十個。それを倒しきるだけの手が、あなたにあるかしら?」

コナミ「……」


コナミ「……」

炸裂装甲は無効、古の森は有効
バーサーカーを一度バトル・ブレイクで破壊していることを考えれば、罠に耐性がついているのか
……いや、ならば火炎地獄で一度傷つけているのだから魔法にも耐性がついているはずだ

コナミ「――」

ならば恐らく今の耐性は「魔法によるダメージ」「魔法による破壊」「罠による破壊」
カード効果でどうにかしようとすれば、可能なのはモンスター効果による破壊・除外、魔法による除外、罠による除外
バーサーカーのストックと比べれば圧倒的な数不足。破壊と除外が同一扱いされていれば更に減る

バーサーカー「■■■■■■――――!!」

バーサーカーが再び向かってくる
思考を切り替え、残った手札での迎撃を考える

コナミ「《チューニング・サポーター》」

コナミ「《チューニング・サポーター》に《ダーク・リゾネーター》をチューニング」

バーサーカー「■■■■■――!!」

コナミ「《スカー・ウォリアー》」

スカー・ウォリアー「オォッ!」ギィン!

傷だらけの戦士がバーサーカーの一撃を防ぐ
だが、それも長くは持たないだろう。距離を取り、再び思考をバーサーカーの対策へと戻す

コナミ「……ドロー」


コナミ「……!」

チューニング・サポーターによるドローがもたらしたのは今の状況を覆す可能性を持った一枚
だが、そのために必要な枚数が多すぎる。そして、最後のキーカードを今のステータスでドローする確率は0に近い

コナミ「……」

ならばどうする。他に存在するのは戦闘破壊、リリース
これでもバーサーカーのストックには届かない

バーサーカー「■■■■■■――――!」

スカー・ウォリアー「グアアァッ!」ザシュ

バーサーカーを抑えていた戦士が消滅する
だがそれで充分。カードをドローするための時間は稼いでくれた

コナミ「ドロー」

覚悟を決める。どの道その方法以外でバーサーカーを殺しきるのは恐らく不可能
必要なカードは全て単体では機能しない。それはつまり、カードを手札に抱え込み、防御手段を減らしていくことに他ならない

コナミ「……《魔法族の結界》《フェデライザー》」シュッ

バーサーカーに向かって投擲するようにモンスターを召喚
大した能力も無いソレは、バーサーカーの一撃で破壊されるだろう


バーサーカー「■■■■■■――――!!」

ブゥン!

フェデライザー「――」グシャ

コナミ「ドロー」

だが、そうしなければバーサーカーはすぐに迫ってくる。彼我の距離は50mも無い
必要なのはカード使用のための隙。バーサーカーの攻撃によって生まれる一瞬すら今は見過ごせない

コナミ「《ミスティック・バイパー》……リリース、ドロー、ドロー」

――二枚目

コナミ「《黒薔薇の魔女》、ドロー」

コナミ「《サイバー・ヴァリー》」

これでバーサーカーの動きを一度は止められる
だが楽観などしてはいけない。バーサーカーの攻撃はこの体には正に一撃必殺
攻撃を止めることのできる手札が減り、死は刻一刻と迫っている


コナミ「《捨て身の宝札》、ドロー」

バーサーカー「■■■■■■――!!!」

サイバー・ヴァリー「――――!」キィン

バーサーカーが振るった斧剣が地面に刺さる
そこに機械竜の姿は既に無く、魔力の残滓は決闘者のデッキに注がれる

コナミ「ドロー」

――三枚目

バーサーカー「■■■■■■――――!!」

バーサーカーが残った黒薔薇の魔女を屠るために、地面に刺さった斧剣を引き抜き振るう
黒薔薇の魔女には攻撃を止める能力も力もない。次の瞬間には彼女は破壊される運命にある

コナミ「――《魔法族の結界》、《黒薔薇の魔女》を墓地へ。ドロー」

だがそれは許さない。今は一枚としてカードを無駄にできない
サイバー・ヴァリーと同じように、その魔力をデッキの糧とする


コナミ「《手札断殺》」

手札三枚を使用する二枚ドロー
これで手札は残り五枚――まだ、残りのカードは来ない

バーサーカー「■■■■■■――――!!!」

バーサーカーが速度を上げる。もう距離は20mを切っている
壁となるモンスターは消えた。手札に防御手段は無い

コナミ「――《打ち出の小槌》」

残り五枚の内一枚を使用
手札一枚を別のカードと入れ替える

――四枚目


コナミ「――」

最悪のタイミングで四枚目をドローする
手札は全て埋まった。バーサーカーはすぐそこまで接近している

バーサーカー「■■■■■■――――!!!!!」

ゴウッ!

コナミ「――……」

足りない。足りない。足りない
ドローまでの時間が足りない。回避するための距離が足りない。防御するための手札が足りない

コナミ「――」

だがサレンダーなどするつもりは無い
勝負が決まるのはバーサーカーの攻撃を食らった瞬間。残りは一秒と無いだろうが、それまで負けは確定しない

――バーサーカーの斧剣が決闘者へと触れる
そして


士郎「コナミ――――!!!」

コナミがやられる。そう感じた瞬間、左手の甲に熱が走る
――令呪というサーヴァントへの絶対命令権。その内の二画が弾ける
自分は何を願ったのか。死ぬな? 勝て? 避けろ? それはわからない
ただ、コナミというパートナーを失いたくなかった。それが根底にあったのは絶対だ

コナミ「――」ヒュン

バーサーカー「■■■■■■――!?」

結果として、バーサーカーの一撃は令呪という奇跡によって躱される
だがそれは迫り来る死を一秒先延ばしにしたに過ぎない
再びバーサーカーが斧剣を振るえば、状況は再び元に戻る

コナミ「…………」キィン

しかし、それは令呪による奇跡が一つの場合の話
決闘者の右手が輝く。自然な動作で、デッキに手を重ねる

コナミ「――ドロー」

――勝利は、ここに確定した


バーサーカー「■■■■■■――!!」

バーサーカーが斧剣を振るう
――だがそれも、既に無意味

コナミ「《封印されし者の右腕》」

バーサーカー「■■■――――!?」ギイン

決闘者の背後には巨大な魔方陣
そこから突如として現れた巨大な腕がバーサーカーの攻撃を弾く

コナミ「《封印されし者の左腕》」

バーサーカー「■■■■■■■■■――――――!!!!!」

アレを完成させてはならない。狂気に塗りつぶされた理性ではなく、本能がそう語りかける
全身の力を爆発させ、今まで以上に苛烈な攻撃を繰り出す


コナミ「《封印されし者の右足》」

バーサーカー「■■■■■■■■■―――――!!!!!!!」

だが届かない。バーサーカーの攻撃は、全てが巨大な腕に阻まれる
出力を再び上げる。この壁を突破するためなら、命を賭すことすら厭わない

コナミ「《封印されし者の左足》」

魔方陣から現れていく体が完成へと近づく
命を賭した一撃すらも決闘者の体には届かない

バーサーカー「■■■■■■■■■――――――!!!!!!!!!!!」

だからといって諦める英雄がどこに居よう
目の前の決闘者は一秒先に迫る死に臆すること無く立ち向かった
ならばここで諦めるなど、彼への侮辱、英雄としての誇りを貶めることに他ならない


コナミ「――――《封印されしエクゾディア》」

決闘者の宣言と同時
魔方陣から現れたバーサーカーをも超える巨体が完成する

バーサーカー「■■■■■■■■■■■■――――――!!!!!!!!!」

バーサーカーが咆える。召喚神ではなく、決闘者に自身の存在を知らしめるように
命を賭して足りぬというのなら、命を消費してでも立ち向かうのみ
それが英雄ヘラクレスとしての、彼への礼儀にして最大の賛辞

コナミ「――怒りの業火 エクゾード・フレイム」

エクゾディア「オオオオオオオオォォオォォォォオ!!!!」

その宣言と共に、召喚神の手に収束していた膨大なまでの魔力の塊がバーサーカーへと向けて放たれる
回避など不可能。食らえば残りの命は瞬く間に消え去るだろう

バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■■――――――!!!!!!!!!」

だが侮るな。その者こそは十二の試練を成しえたギリシャの大英雄ヘラクレス
それが命を消費してまで放つ一撃が、この召喚神に及ばぬはずがない


バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■■■■■――!!!!!!!!」

放たれた魔力の塊に立ち向かう。体が焼かれ、ボロボロと崩れ落ちていく
それでも前へ。この身が滅ぶよりも先に、この一撃を彼に魅せるのだと

バーサーカー「■■■■■■■■■…………■■■■■■――!!!!!!」

体に穴が空き、左腕が弾ける
それでも両足は地面へ。右手は己が武器を離さない

コナミ「――――」

帽子に隠れた顔に浮かぶ表情はわからない
余裕か、焦燥か、驚嘆か

バーサーカー「――――!!!」

もはや咆える余裕すら残されていない
一瞬ごとに迫る死は、着実に自身の体を蝕んでいく


イリヤ「……バーサーカー!!」

バーサーカー「……――!」

聞きなれた声が耳に響く。それは己が守るべき少女の声
その言葉で失われた肉体が戻るわけではない。消費した命が戻るわけではない

バーサーカー「■■■……■■■■■■■■■■■■――――――!!!!!!」

だが体は動く。意志は先ほどよりも強固に
一撃を届かせるのだと。少女を守るのだと

バーサーカー「■■■■■■■■■――――!!!!!!」

押し寄せる魔力をはねのけ、その出力地点まで到達する
――そして、一撃

エクゾディア「グ、オオォォォォォォ!!!」

バーサーカーの一撃が突き立つ
意志と命を込めた英雄の一撃は、それだけで召喚神を倒すには十分だった

バーサーカー「――――!!!」

コナミ「――」

後は、彼のもとへ――


コナミ「――――」

バーサーカー「――――」

ピタリ、と
時が止まったように二人は動かない

コナミ「……」

もうお互いにわかっているのだ。バーサーカーの肉体はとっくに死んでいる
原型などもはや留めていない。数秒とせずに消えてしまうだろう

バーサーカー「――」

だというのに、彼は不動
肉体の欠損など、命の欠損などないというように仁王立ち

バーサーカー「……」スウ

――自身が光と消える最後まで、彼は膝を屈することなどなかった


ランサー「そらっ!」ガキィン

アーチャー「チィ――――!」ギィン

凛(ランサーの動きが前よりも速くなってる……このままじゃ……!)

アーチャー「フッ!!」

ランサー「おっと!」

二人が距離をとる
既に戦い始めて数分。お互いに致命傷は無いが、状況はアーチャーの不利

ランサー「さて、足止めとしての役割もそろそろいいだろう」

ランサー「――そろそろ、決着をつけさせてもらうぜ」ジャキ

凛「あれは――」

思い出すのは夜の校庭
中断した戦いの最後に見た構え、ランサーの宝具

凛「……アーチャー!」

アーチャー「わかっている!」ダッ

ランサーに宝具を撃たせるわけにはいかない
食らえばアーチャーは死ぬ。あの時助かったのは衛宮士郎という第三者のおかげ
その存在が無ければ、宝具を撃たれてアーチャーが助かる術は無い

ランサー「刺し穿つ(ゲイ)――――」

アーチャー「――――!」


――令呪を以て命ずる


ランサー「……何?」


――自害せよ、ランサー


ランサー「、な――!?」

ドスリ、と
ランサーの槍が突如として向きを変え、ランサー自身を貫く

アーチャー「何!?」

不可解な事象に疑問を抱く
だが、決定的なチャンスをこの肉体は逃さない

ランサー「ッ!……言み――――」

アーチャーの一撃が入る
心臓を貫いた槍と合わせ、もはや助かることなどない決定的なまでの致命傷

ランサー「――」スウ

ランサーの姿が光へと消える
弓兵と槍兵の戦いは、ここに幕を下ろした


綺礼「……」

令呪の一画が消える
自身のサーヴァントを捨てるという行動は、もちろん判断を誤ったりしたものではない

綺礼「……ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカー、ランサー」

綺礼「これで五騎――さて、お膳立てはしてやったぞ? 決闘者」

―――

イリヤ「そんな……! バーサーカー!!」

イリヤがバーサーカーの居た場所へと近づく
もうそこに彼の姿は無い

イリヤ「嘘でしょ……? ねえ、バーサーカー!!」

イリヤ「バーサー……!? っあ……!」ガクッ

士郎「イリヤ!?」

コナミ「……」

イリヤが崩れ落ちる
それは負けたことによるショックなどではなく、完全に意識を失っている


士郎「おい、イリヤ! イリヤ!」

いくら声をかけても、イリヤは目を覚まさない

コナミ「……――、――」

士郎「……イリヤが、聖杯? サーヴァントの魂を溜めるために人としての機能が無くなっていってるって……?」

今更になってイリヤがなんと呟いていたのかに気づく
――もう時間がない、と

士郎「そんなの――」

イリヤを助けたいと思う
だが、どうやって

コナミ「……――」

――そんなどうしようもない時、あの記憶の中のコナミはいつも誰かに手を差し伸べていた
そして今もまた、その方法を示そうとしている


士郎「……令呪を一画使ってもいいならイリヤを助けられる?」

コナミ「――」コクリ

令呪。サーヴァントへの絶対命令権
バーサーカーとの戦いで二画を消費し、残りは一画
もちろん、自分だけの問題であれば、これを使って救えるのならばイリヤを助けたい

士郎(だけど――)

これは自分だけの問題ではない
令呪とはサーヴァントにとっても切り札のようなものだ
それを使うということは、つまり

コナミ「……」

コナミを見やる
その目には後悔などなければ、令呪を惜しむ気持ちすら感じられない
――いや、衛宮士郎の取る行動がわかっているからこそ、彼はその提案をしたのだ
衛宮士郎はイリヤスフィール・フォン・アインツベルンという少女を助けると

士郎「――」

ならば後は自分の気持ちだけ
イリヤという少女を助けたいかどうか。それだけの話


士郎「……コナミ」

コナミ「……」

士郎「頼む、イリヤを助けてくれ」

コナミ「――」スッ

コナミが二枚のカードを取り出す
同時に、令呪ですべき命令も教えてくる

士郎「……わかった。準備はいいか?」

コナミ「……」コクリ

左手を掲げる
令呪発動のために、意志を左手に込める

士郎「――令呪を以て命ずる。コナミ、今から一分間を戦闘中だと認識しろ」


左手に熱が走り、最後の一画が弾ける
命じた内容はつまり、カード使用の魔力消費を無くせというもの

コナミ「《禁じられた聖杯》」

士郎「え……は!?」

コナミの手に現れたのは黄金の杯
それはまさに聖杯というべきもの

コナミ「――――」

士郎「イリヤの聖杯としての機能を無効化する……? だけど、それだけじゃ――」

失われた人としての機能は戻らない
聖杯としての機能が無くとも、それでは意味が無い

コナミ「《死者蘇生》」

だから、その機能を呼び戻す
既に死んでしまった人としての機能を蘇生し、肉体が持っていた聖杯としての機能を無効化する


イリヤ「……う」

士郎「イリヤ!?」

コナミ「――、――」

しばらくは眠りっぱなしだろうけど、これで問題ないはずだ、とコナミは言う

士郎「……ああ、良かった」

――思えば、これで何人になるのか、コナミが救った人の数は
学校の生徒、新都の人々、慎二、イリヤ

士郎「……」

聖杯戦争の終わりは近い
令呪を失った俺に何ができるかはわからない
それでも、コナミのために出切ることを全力でやっていこうと、心に誓った






3000→3500






コナミ「…………」スッ

《禁じられた聖杯》

ズズ……

《禁じ;;れ;;;;聖杯》

ズズ……

《;;じ;;;;;;;聖杯》

ズ……

《小聖杯》

コナミ「……」


ここまで

Q:対バーサーカーにおける《決闘者の魂》と《王の財宝》の相違点はなんですか?
A:宝具が違います。(14/07/20)

ステータスの更新を忘れていた

クラス:決闘者(デュエリスト) マスター:衛宮士郎
真名:コナミ
属性:混沌・善

筋力:C
耐久:C
敏捷:C
魔力:B
幸運:C
宝具:EX

スキル
・決闘機械(EX)戦闘時におけるカード使用時の魔力消費を軽減する。EXランクでは魔力消費なしで使用可能。また、ドロー時のカードに多少の補正がかかる。
          ただし、軽減可能なのは具現化、使役のための魔力のみであり、一部のカードを使用する場合に必要な、コスト・効果としての魔力消費は軽減できない。
・無窮の話術(A) ひとつの時代で多くの人を魅了した、人智を超えた域の話術。
        その気になれば、どんな相手とでも友好な関係を築くことができる。      
・単独行動(A+)マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。単独で戦闘を行うことができる。
・黄金律(E) 日々の生活には困らない。

宝具

・「決闘者の魂」(ソウル・オブ・デュエリスト)
ランク:EX
種別:対人宝具     レンジ:-
コナミが所持するカード。その力を具現化、使役することができる。
戦闘時に使用する場合、40枚のデッキとなり、使用に制限がかかる。
戦闘開始時に使用できるカードは5枚。以後時間経過や他のカードの力でカードをドロー可能。40枚を超えて使用した場合、魔力が無くなり、現界していられなくなる。
また、別の相手と戦う場合は新しく40枚が生成されるが、一度戦った相手と再び戦う場合、デッキの消費具合は引き継がれ、手札・フィールドは引き継がれない。
デッキに入っているカードは決まっておらず、ドローするカードは使用者の幸運に依存する。

非戦闘時に使用する場合は、所持しているカードを好きに選択して使用できる。
ただし、非戦闘時に発動したカードで他のサーヴァントやマスターに攻撃、などということはできない。
また、聖杯戦争中一度使用されたカードは別のカードの力で呼び戻すなどしない限り、その聖杯戦争中二度と使用できない

・「運命改竄」(ディスティニー・ドロー)
ランク:A+
種別:対人宝具     レンジ:0    最大捕捉:1
決闘者としての彼が持つ究極の技巧。
一時的に自身の幸運のステータスを限界まで引き上げ、ドローするカードを己が望んだ物へと変更する。
令呪のバックアップなしに使用できるのは一度のみ。


凛「……どういうこと? サーヴァントを自害させるなんて……」

アーチャー「確かに解せんな。だが、今はそれを考えるよりもバーサーカーの方に向かうべきではないか?」

凛「っ! そうだった、衛宮くん達の方は――――」

凛「……え、ウソ……?」

アーチャー「……どうかしたのか?」

凛「……バーサーカーが居なくなってる。マスターが倒れてるし、多分コナミが勝ったんだと思うわ」

アーチャー「ほう、大したものだな。アレを倒しきったのか」

アーチャー「――ならば、もう何も問題はないな」

凛「……アーチャー?」

アーチャーが跳ぶ
一番見晴らしがいい場所に陣取り、その手には弓、視線は衛宮邸へ

アーチャー「―――」

ドシュッ!


アーチャー「……チ、防がれたか。対バーサーカーで消耗していると思ったのだがな」

凛「ちょ、アーチャー!? いきなり何を――」

アーチャー「何をも何もあるまい。バーサーカーと戦った直後の今が奴を倒すチャンスだと踏んだだけだ」

アーチャー「あちらの陣営との停戦協定はバーサーカーを倒すまで、なのだろう?」

凛「それは――」

確かにそうだ
あのバーサーカーとの戦闘直後で消耗しているであろう今がチャンス
そして、決闘者を倒した時点で遠坂凛は聖杯戦争の勝者となる
だが

凛「……ダメよ。ただでさえ向こうには借りがある」

凛「それに、一人でバーサーカーと戦わせておきながら不意打ちで勝ちましたなんて、そんな勝ち方は認めないわ」

それは、まだ捨てきることの出来ていない甘さか
聖杯戦争に勝つためならば、この機を逃す必要など無いはずだ


アーチャー「ほう、そんな勝ち方は認めない、と」

アーチャー「君はこの戦いでの勝利を望んでいたのではないのかね?」

凛「ええ、そうよ。だからこそ、そんな勝ち方は認められない」

アーチャー「……くだらんな。結果ではなく、過程に意味を求めるなど」

アーチャー「今が決闘者を倒す絶好の機会だと、本当にわかっているのか?」

凛(……?)

その言葉に違和感
理由はわからないが、何かがおかしい

アーチャー「そうだな、君の意見を尊重して今攻撃するのを止めたとしよう」

アーチャー「それで、いつ戦うというのだ。決闘者に対して今以上の勝率を期待できる状況があると?」

凛「……」

やはりその言葉には違和感
アーチャーの言葉は、聖杯戦争に勝つためというよりは――


凛「……アーチャー、何をそんなに焦っているの?」

アーチャー「……何?」

凛「さっきから聞いてれば決闘者決闘者って……まるで、勝つことよりもコナミを倒すことが重要みたいじゃない」

アーチャー「……」

凛「前に言ってたわよね? コナミとの戦闘よりも衛宮くんを殺す方が楽だって」

凛「それなのに、その方法を口にしないのはどういうことかしら?」

アーチャー「……それは」

凛「……前に言ってた、コナミが危険だってのと関係してるの?」

アーチャー「……関係無いと言えば嘘になる。だが、それよりも――」

凛「……?」

アーチャー「……すまない。少し頭を冷やしてこよう」スウ

凛「アーチャー……」


アーチャー(……)

アーチャー(私が焦っている、か)

確かにそうかもしれない
残るサーヴァントは自分と決闘者。そして、自分は決闘者に対して嫌悪感を抱いている
だが

アーチャー(……バカな。その程度で私が焦るだと?)

決闘者に抱いた嫌悪感はそもそも、同族嫌悪のようなもののはずだ
何か一つのために他を捨てる、その在り方を決闘者に見た。それが理解できるからこその嫌悪

アーチャー(だが――)

今胸中にあるのは別の嫌悪だ
それが何かはわからないが、決闘者と初めて相対した時から少なからずあったのだろう
そしてその嫌悪は、日に日に増していっている

アーチャー(……何だというのだ。それとも、ヤツが私の生前に関わっていたとでもいうのか)

仮にそうだとしても、生前の記憶などほとんど磨耗している
よっぽどのものでない限り、思い出すことなど出来ないだろう


アーチャー(……磨耗していない記憶、か)

ふと、その記憶を思い出す
例え地獄に落ちようと鮮明に思い出せるであろう記憶
土蔵で出会った、――の記憶

アーチャー(……何?)

記憶にノイズが走る
その姿を忘れることなど無いはずなのに、記憶の中の彼女がブレていく

アーチャー(バカな……!)

記憶の中の彼女がブレていき、その姿が別の人物と重なる
そう、それは

アーチャー(決闘者……だと……!?)

そんなはずはない。自分の記憶に居るのは――のはずだ
これではまるで――
                .・..・..・..・..・..・
アーチャー(ヤツが彼女に成り代わっているようではないか……!)


アーチャー(……ああ、そうか)

嫌悪感の正体に気づく
確証など無い。それでも、きっとそうだという確信に近いもの

アーチャー(衛宮士郎が別のサーヴァントを召喚したのはただ単にそういう可能性の世界だからだと思っていたが――)

違う
あそこに本来居るはずなのは――だ。そこに決闘者が居るということが、彼女の存在が無かったものにされていることが腹立たしいのだと

アーチャー(……だが、ヤツの目的はなんだ?)

アーチャー(仮に私の予想が当たっているとして、何のためにそんなことをする?)

決闘者の願いがデュエルとやらであるという予想はつく
あの戦闘方法がそれだというのならばただのバトルジャンキーだ。さしたる問題はない

アーチャー(……本当にそうか? ならばこの胸騒ぎはただの勘違いだとでも?)

その胸騒ぎはまるで、決闘者が取り返しのつかないことをしでかすと、そう伝えているようで

アーチャー(……何にせよ、決闘者を消せば全てのケリはつく)

アーチャー(自分殺しが出来るとすれば、その後だろうな)


士郎「っ……」

コナミ「……」

突如として遠方から飛来した物体
それはコナミによって防がれていた

コナミ「――」

士郎「……矢? ってことはアーチャーか?」

コナミ「――、――」

士郎「バーサーカーが倒れたから攻撃してきたんだろうって?」

士郎「確かに、停戦はそこまでだったけど……いや、だったらなんで追撃が来ないんだ?」

コナミ「――――」

士郎「遠坂が止めたんだろうって? ……確かに、そんな気はするな」

コナミ「――」

士郎「……ああ、分かってる。もう遠坂とも敵同士、なんだよな」

バーサーカーが倒れ、残るのはランサーとアーチャー
停戦も無くなった。後は――


翌日 穂群原学園

凛「衛宮くん」

士郎「っ――と、遠坂?」

凛「……まずは謝っておくわ。ごめんなさい」

士郎「……って、え?」

凛「昨日のことよ。アーチャーの攻撃がそっちに行ったでしょう?」

士郎「あ、ああ。でもあれは停戦が無くなったから――」

凛「それでも、よ。まだ借りが残ってる上に、バーサーカー討伐に助力したわけでもない」

凛「そんな状態で不意打ちして聖杯戦争に勝ちました、なんて、そんなの認められないわ」


士郎「……」

凛「……? どうしたの?」

士郎「いや、なんというか……律儀なんだな、遠坂」

凛「む……話を続けるけど、もう残ってるのはアーチャーとコナミの二騎だけ」

凛「だから決着をつけるなら相応しい場所で、ってことよ」

士郎「……? 残りが二騎? ランサーはどうしたんだ?」

凛「……ランサーは脱落したわ。昨日の夜にアーチャーと交戦、戦闘中に自害して消滅した」

コナミ(……)

士郎「……自害? なんだってそんな……」

凛「さあ、ね。自分のサーヴァントを捨てるマスターの考えなんてわからないわ」


士郎「……それで、決着に相応しい場所ってのは?」

凛「柳洞寺よ。聖杯の降霊場所として、あそこ以上の場所は無いもの」

士郎「柳洞寺……」

凛「……本来バーサーカーと戦うはずだった明日まで戦いは預けておくわ」

凛「ま、そんなの無視してかかってきてくれても構わないけどね。正々堂々と、なんて戦いでもないんだし」

士郎「いや、そんなことしないぞ。遠坂が他の誰かを巻き込もうとしてるわけでもないしな」

士郎「俺の目的はもう果たされてるようなもんだし、コナミだってわざわざそんなことしようとは思わないさ」

凛「……はぁ、本当に、こっちの気が抜けるわね……」

凛「まあ、いいわ。せいぜい準備しておきなさい。それだけよ」

士郎「ああ、……最後の相手がお前でよかったよ。遠坂」

衛宮邸

士郎「……」

明日が最後の戦い。聖杯戦争の終結
これが、最後

士郎「……」

自分が聖杯戦争に参加した目的は既に達せられている
残ったのは自分と遠坂。そして、遠坂は間違っても聖杯をおかしなことに使おうとなどしないだろう
十年前と同じようなことはもう起こらない

士郎「だけど……」

決めたのだ
この聖杯戦争を勝ち残り、アイツとデュエルをすると
あの闇の中にいた相棒の願いを叶えてやるのだと

士郎「……よし」

気合は十分
どこまで力になれるのかはわからないが、その決意だけは胸にしっかりと


コナミ「……」

ランサーは自害した

昨日の夜

イリヤスフィールの不調

聖杯

コナミ「……」チラリ

《小聖杯》

タイミングが良すぎることを疑うべきか
目的に近づいていってることを喜ぶべきか

コナミ「……」

何にせよ、時間はあまり残されていないだろう
さて、この世界はあとどれだけ自分を見逃してくれるのか――


翌日 柳洞寺 夜

凛「……本当に何も仕掛けてこないなんてね。一応、警戒はしてたんだけど」

士郎「言っただろ。誰かを巻き込むわけでもないなら、俺から戦いに行くことなんてない」

凛「……だったら、なんでここに来たのかしら?」

士郎「……この戦いに勝つためだ。俺は、コナミにそう約束した」

凛「……そう。なら――」

コナミ「――デュエル」

凛「やるわよ、アーチャー」

アーチャー「……」

凛「……アーチャー?」

アーチャー「……そうだな。私も全力でいかせてもらおう」


アーチャー「――I am the bone of my sword.(体は剣で出来ている)」


アーチャーが呪文を詠唱する
彼が持つ唯一の宝具。それを起動するための言葉がそこに紡がれていく

コナミ「……」

凛「これは――」

アーチャー「――unlimited blade works.(その体は、きっと剣で出来ていた。)」

詠唱を終えると同時
――世界が、変動する

士郎「――」

炎が走り、世界が塗り変わっていく
一面に広がる荒野。そこにあるのは無数の剣のみ

凛「固有結界……アーチャー、あなた――」

アーチャー「説明は後だ。凛、悪いが君に気をかけていられる余裕は無い」

アーチャー「君の言うとおり、私はヤツを消すことを急いているようなのでな」


士郎「――――っ」

脳内に熱が走る
この異常を、この世界がなんであるかを自身は理解できる

コナミ「――」

士郎「……大丈夫だ。心配しなくていい」

そんな強がりの一言
アーチャーは完全にコナミを殺す気でいる。ならば、コナミに気を使わせるわけにはいかない

士郎「……」

幸いにも、アーチャーの殺気はコナミだけに向けられている
恐らく、こちらを狙われてコナミに庇われる、ということも無いだろう

士郎「……?」

ふと、疑問が頭を過る
この世界なら、アーチャーは苦も無くマスターである衛宮士郎を殺せるはずだ
だというのに、ヤツはコナミだけを敵として見据えている
強敵だから。と言えばそれまでだが、あれはもっと違う何かが――


コナミ「……」

周囲に目を向ける
広がる荒野。空間に回る歯車。夥しい数の剣。アーチャーの世界

コナミ「……」

既に火蓋は切られた
彼はこちらを完膚無きまでに殺す――いや、消すつもりだろう

コナミ「――」

ならば、引く可能性の限りなく低いこのカードを引けたのは運命か
使えば世界に目をつけられるか――どうせ勝たねば意味が無いのだ。そんなことを考える必要はない

コナミ「――《RUM-リミテッド・バリアンズ・フォース》」

だからやることに今までと変わりはない
ただ淡々と、一枚の発動を宣言する
それにより引き起こされるはランクアップ。「コナミ」という存在の確立


凛「魔力と幸運が上がった……!? アーチャー、気をつけて!」

アーチャー「――――」

そんな言葉が耳を通り抜けていく
目の前と、自分の頭の中で起こっていることを照らし合わせる

コナミ「――」

アーチャー「……やはり、貴様は――」

記憶の中で彼女と重なっていた決闘者の影が濃くなる
疑念は完全な確信へ。決闘者は――という存在の立ち位置に居座っているのだと

コナミ「――――」ジャキ

もはや語りはすまい
目的はただ一つ。決闘者という異物を消し去るのみ

アーチャー「――引導を渡してやる。貴様の身勝手に、彼女を巻き込まないで貰おう」

ここまで


アーチャー「行け!」

言葉と同時
数多の剣が決闘者を囲む

コナミ「――」

決闘者を取り囲んだ剣の切先が中心へと向けられる
そして放たれるは剣による一斉射撃

コナミ「《攻撃の無力化》」

だが、決闘者には届かない
空間が捻じ曲がり、決闘者に触れようとした剣が次々と消えていく

アーチャー「チッ……」

しかし、そんなのは攻撃する前から分かっていた
既に決闘者の戦い方は三度も目にしている

アーチャー「……」

普通に攻撃しているだけでは決闘者には届かない
カードによる戦闘。それぞれのカードが持つ力は千差万別
まさに万能とも言えるサーヴァント


アーチャー(だが……)

穴はある
どんなに万能であろうと、決闘者には決して無視することのできない穴が

コナミ「ドロー」

アーチャー「――」

一つ目
カードをドローしてから再び自身の力のみでドローするためには暫くの時間を要するということ

アーチャー「――行くぞ」

勝つためのチャンスは次に決闘者がドローを行うまでの間
手近な剣を弓につがえ、決闘者に向けて放つ

コナミ「《マシュマロン》」

マシュマロン「……」

再びのカード使用
召喚されたのは、この場に似つかわしくないマシュマロのようなモンスター


マシュマロン「――――!!」

それは決闘者を守るように立ちはだかり、放たれた一撃に耐える
だが、攻撃はそれで終わらない

アーチャー「――」

マシュマロン「……!!」

刺さった剣が爆発する
しかし、その爆発の盾になるようにモンスターは動き、見事に決闘者を守ってみせた

アーチャー「まだだ!」

爆発による煙が晴れるよりも速く、次の行動へと移る
今重要となるのは速さ。決闘者が動くよりも先に、次の行動を


アーチャー「――――鶴翼、欠落ヲ不ラズ」

両手に持った干将・莫耶を決闘者に向けて投擲
モンスターは一体のみ。二方向から来る攻撃を防ぐことは不可能
ならば、決闘者のとることのできる行動は一つ

コナミ「……《シールド・ウィング》」

先ほどと同じように壁にするべく、二体目のモンスターを喚ぶ
二方向からの攻撃を弾かれ、干将・莫耶はあらぬ方向へと飛んでいく

アーチャー「――――心技、泰山ニ至リ」

だが、それでいい
新たな干将・莫耶を手に持ち、決闘者へと走る

コナミ「――――」

二体のモンスターの間を縫い、決闘者の前へと辿りつく
そして、片手の莫耶を振るい上げると同時


コナミ「《マシュマロン》、《シールド・ウィング》をリリース」

コナミ「《バスター・ブレイダー》」

バスター・ブレイダー「ハァッ!」ガキン!

アーチャー「――――」

二体のモンスターを生け贄とし、新たなモンスターが喚び出される
莫耶による一撃は防がれる。だが――

コナミ「……!?」

先ほど二体のモンスターが弾いた干将・莫耶が背後から迫る
決闘者に喚び出された剣士は主を守るべく、背後からの奇襲に向かい剣を振るう

アーチャー「―――心技 黄河ヲ渡ル」

しかし、そんな隙を見逃すはずは無い
背後からの対処のために無防備になった剣士へと、もう片方の手に持つ干将を突き立てる

コナミ「……《アルケミー・サイクル》」


バスター・ブレイダー「ヌ……オォォォォ!!」

奇襲の短剣を砕くも、その一撃で剣士は屠られ、状況はリセットされた
この場には二人のみ
ただ、最初と違うことが一つだけ

コナミ「――――」

決闘者の手にカードは無い
アーチャーの息もつかせぬ攻撃に対応すべく、その手札を切った結果だ

――これが二つ目。決闘者最大の弱点
手札を使い切ってしまえば、ドロー可能な時間までは何の能力も無いということ

アーチャー「―――唯名 別天ニ納メ」

干将・莫耶に魔力を込める
巨大化した夫婦剣による一撃は、決闘者の命を容易く葬り去るだろう

アーチャー「―――両雄、共ニ命ヲ別ツ……!」

決闘者へと夫婦剣を振るう
手札が無ければ、決闘者はそれに対処など出来ない


――そう、手札が無ければ、だ


アーチャー「何……!?」

先ほど葬り去られた剣士の残滓が決闘者へと向かっていく
決闘者が直前に発動したカード。その力により、一枚のドローを可能とする

コナミ「――ドロー」

アーチャー「ッ――――!」

攻撃を中断し、距離を離す
その一枚から何が出てくるか分からない以上、至近距離での対処は避けるべきだという判断

アーチャー「チィ――――!」

手に持つ干将・莫耶を投擲
時間が経てばまた手札が増えてしまう。それを避けるためにはなりふり構ってなどいられない

コナミ「……」

その攻撃で決闘者は手札を消費。再び同じ状況に戻り、アーチャーに屠られる
それが決闘者の辿る運命


コナミ「……」

確かにそうだ。手札一枚ではまずどうにもならない
モンスターでは壁にしかならず、魔法も罠もこの距離では対処されてしまうだろう

コナミ「――」

――だが、それは少し前までの話
ランクアップ。存在の昇華。ステータスの上昇した今ならば

コナミ「《呪縛牢》」

コナミ「――《レッド・デーモンズ・ドラゴン》」

アーチャー「何……!?」

干将・莫耶が決闘者の前に現れた何かに弾かれる
そこに出現したのは巨大な牢。捕らえられているのは紅蓮の竜

アーチャー「これは――」

今までのモンスターとは明らかに違う
牢に封じられている状態でもひしひしと伝わるその力
――そして、時間切れ


コナミ「ドロー」

アーチャー「っ――」

決闘者がドロー可能な時間へと到達する
成功したかに見えた策は、最後の最後で覆された

コナミ「《紅蓮魔竜の壷》」

コナミ「ドロー」

アーチャー「くっ……!」

決闘者の手札が二枚に増える
手を拱いていれば状況は悪化するばかり

アーチャー「……」

だが、まだ間に合う
封じられているあのモンスターが動きだすその時までは

コナミ「《ジャンク・シンクロン》……《シールド・ウィング》」

決闘者が喚び出したモンスターの力で、先ほど消滅したはずのモンスターが蘇る
そして

コナミ「《シールド・ウィング》に《ジャンク・シンクロン》をチューニング」

コナミ「《TG ハイパー・ライブラリアン》」

出現したのは司書のような姿をしたモンスター
だが、牢に封じられているモンスターほどの力は感じられない


アーチャー「――――」

再び数本の剣を決闘者に射出する
倒すことを目的としたものでなく、カードを消費させるための手数勝負

コナミ「《チェーン・リゾネーター》」

決闘者が更に一枚のカードを掲げ、現れたのは鎖を持った小さな悪魔
そして、その鎖に引かれ、もう一体の悪魔が喚び出される

コナミ「《クロック・リゾネーター》」

決闘者を守るように鎖に引かれ、悪魔は剣をその身に受ける
あと一撃も受ければ消えてしまうだろうが、それでも一度は耐えてみせた

アーチャー「……!」ゾクリ

何かが来る
今まで決闘者が使用してきたカードとは比べ物にならない何かが
対処の準備を。攻撃か、防御か

アーチャー「……I am the bone of my sword.(体は剣で出来ている)」


コナミ「《レッド・デーモンズ・ドラゴン》に《チェーン・リゾネーター》《クロック・リゾネーター》をチューニング」

牢に囚われた竜が四つの炎の輪に包まれる
その力が増幅し、牢に皹が入っていく

コナミ「――《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》」

召喚と同時
決闘者の側にいる司書がドローを補助すべく、その魔力を分け与える

コナミ「ドロー」

スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン「グオオオオオオォォォォ!!」

咆哮が結界内に響き渡る
喚び出された竜はその身に炎を纏い、弓兵へと突撃する

アーチャー「――熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)……!」

その一撃に対して放つはアーチャーが持つ中で最高の防御用宝具
一枚の花弁が城壁と同等の防御力を持つそれは、決闘者が今まで使用していたモンスターの攻撃程度であれば容易く防ぎきる

アーチャー「ぐっ……!?」

だが、明らかに今までのモンスターと違うレベルの攻撃に花弁の数枚が砕かれる
このまま続けていれば、間違いなく残りの花弁も突破されてしまうだろう


アーチャー「ぬ……おおおおおおおおお!!!」

魔力を込める
一枚を突破するスピードが緩まるが、耐え切ることは恐らく不可能

アーチャー「……づぁっ!!」

最後の一枚を砕かれると同時に、なんとかその軌道を逸らす
その衝撃で吹き飛ばされるが、気にかけている暇は無い

アーチャー「っ!」

最初に決闘者にそうしたように、竜を剣で囲み、そのまま串刺しにしようとする
だが

スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン「――――!」シュン

アーチャー「何……!?」

その姿が消える
目標を失った剣は、その場で静止していた


コナミ「ドロー」

アーチャー「チッ……!」

あの竜の対処に時間を割きすぎた
決闘者の手札は再び二枚に

コナミ「《デブリ・ドラゴン》……《シールド・ウィング》」

決闘者が召喚したのは小柄な竜
その力で三度喚び出されるモンスター

コナミ「《シールド・ウィング》に《デブリ・ドラゴン》をチューニング」

コナミ「《オリエント・ドラゴン》」

新たなモンスターが召喚される
しかし、そのモンスターに先ほどと同じような力は感じない
それよりも厄介なのは――

コナミ「ドロー」

決闘者の側に立っている司書
アレが存在する限り、決闘者の手札が増えるスピードは今までの比ではない


アーチャー「――――」

目標を見失い、静止していた剣の対象を司書へと変更する
アレは今まで決闘者が使用していたのと同じ類のモンスター。十分に倒せる範囲だ

コナミ「《ワン・フォー・ワン》」

コナミ「《コピー・プラント》」

しかし決闘者は、そんなことを意に介さずカードを使用する
手札二枚を捨ててまで召喚したのは今まで以上に貧弱なモンスター
そして、剣が司書に当たる直前、空間が歪む

スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン「オオオオォォォ!!」

アーチャー「何だと!?」

先ほど消えた竜は司書の前へ
司書を守るように立ちはだかり、その身に剣を受ける
全身に攻撃を受けながら、その身はいまだ健在

アーチャー「ならば……!」

竜の身体に刺さったままの剣を爆発させる
しかし、それをわかっていたというように、竜は決闘者から離れ、被害を自身のみにとどめた


コナミ「《レベル・スティーラー》」

手札が無いはずの決闘者が新たなモンスターを喚び出す
出現したのは天道虫。司書から力を奪い、その肩に止まる

アーチャー「――I am the bone of my sword.(我が骨子は捻れ狂う)」

アーチャー「――偽・螺旋剣(カラドボルグ)!」

新たな攻撃。標的は先ほどと同じく司書
しかし、恐らくはまたあの竜が壁となる

スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン「――――!」

再び竜が司書の前に立ちはだかり、その矢と自身を異次元へと飛ばそうとする
だが、それは悪手

スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン「――!?」

放たれた矢が空間を捻じ切る
異次元に逃げようとした竜は、そのまま身を貫かれた


コナミ「《レベル・スティーラー》に《コピー・プラント》をチューニング」

コナミ「《フォーミュラ・シンクロン》」

コナミ「ドロー」

アーチャー「……っ」

最大の力を持っていた竜は倒した
だというのに、まだ

コナミ「《TG ハイパー・ライブラリアン》《オリエント・ドラゴン》に《フォーミュラ・シンクロン》をチューニング」

コナミ「――《シューティング・クェーサー・ドラゴン》」

アーチャー「――――」

出現したのはたった今倒した竜以上の力を持つモンスター
モンスターはその一体のみになったが、それを補って余りあるまでの力

アーチャー「……万事休す、か」


アーチャー「……」

届かない。アレを突破する術が思いつかない
――いや、一つだけ

アーチャー「……凛」

凛「……」

アーチャー「令呪を。アレを突破するためにはそれ以外に無い」

凛「……アーチャー、あなた」

アーチャーが何を以てアレに対抗するつもりかはわからない
だが、恐らく彼は死ぬつもりだ

アーチャー「何、ヤツを倒せば君が勝者だ。サーヴァントとしての務めは、果たしてみせるさ」

凛「……」

他に方法が無いだろうことは自分でもわかっている
直接対峙していなくても伝わるあのモンスターの力。それに対抗するためにはアーチャーの言うような方法しかないのだろうと
アーチャーの覚悟は決まっている。ならば、マスターである己がするべきは

凛「……令呪に告げる」

次の一撃に

凛「重ねて令呪に告げる――――!」

その、全てを


アーチャー「――――」

二画の令呪のバックアップ
自身の魔力は心許ないが、これで問題は無い

アーチャー「……」

磨耗した記憶を引きずり出す
決闘者の影に汚染された彼女を
その剣を、その輝きを

アーチャー「……っ」

神造兵器たるその剣の複製は不可能
自身に可能なのは真に迫った贋作を作り出すことのみ
それでいい。例えそれでこの身が滅ぼうと、それ以上の剣は無い

手元に現れた剣に全ての魔力を込める
令呪による魔力、そして自身を形成する魔力、その全てを


コナミ「――」

決闘者が攻撃を宣言
魔力を更に込める。魔力の枯渇により身体が消えていく
そして、飛来する竜に合わせ、その剣を

アーチャー「……おおおおおおおおお!!!」

全てを込めた一撃。その一振り
この壁を突破し、決闘者へと届かせる
その想いは、一つの壁を引き裂いた

コナミ「――《シューティング・スター・ドラゴン》」

だが、壁はそれで終わらない
引き裂かれた竜の中から新たな竜が飛び出す

アーチャー「っ……はあっ!!」

二振り
身体はもう限界。だがその一振りで二つ目の壁を消し去る
壁は無い。届く。決闘者に一撃を


コナミ「――《集いし願い》」

コナミ「――――《スターダスト・ドラゴン》」

最後の壁が現れる
今まで決闘者の喚び出した竜、その全てを集約したような力を持った、最大の壁

アーチャー「…………――!!」

三振り
限界のその先へ。枯渇した魔力を更に搾り出す

コナミ「――」

剣と竜が拮抗する
全てを込めた一撃。全てを集約した一撃
それらは一歩も引かずに鬩ぎあう

アーチャー「っ…………!!」

魔力の最後の一滴までこの一撃に
この壁の突破を――――


スターダスト・ドラゴン「――――――!」

剣と拮抗していた竜が消滅する
これで、もう壁は無い
だが

コナミ「……」

竜だけでなく、そこには剣の輝きも無くなっていた
限界を超え続けた結果。アーチャーもその剣も、維持できる魔力はもう無い

アーチャー(目的も果たせず、サーヴァントの責務も全うできず、か。なんというザマだ)

固有結界が崩れていく
手足の一本も動かせず、声を出すこともままならない

アーチャー(……残ったのは決闘者。そして)

かつての己
衛宮切嗣の理想に、正義の味方に憧れた愚か者

アーチャー(だが――)

それ以外に存在しない
決闘者を止めることが出来るとすれば、それは


アーチャー「衛宮、士郎……」

士郎「……え?」

出ないはずの声を紡いでいく
ただでさえ消滅寸前の身体が、更に消滅の速度を上げる

アーチャー「貴様が……正義の味方で……在り続ける、つもりなら」

士郎「……」

自分と同じ轍を踏むのならこの手で殺すつもりだった
そんな相手に「正義の味方」を説くなど、なんということかと自嘲する

アーチャー「貴様の……手で、決闘者、を――」スウ

士郎「っ――」

最後の言葉が出る前にその身が消滅する
出来たのは唇を動かすことだけ。それでもきっと、届いた、はずだ


士郎「……」

目の前で消えた弓兵の最後の言葉を反芻する
正義の味方で在り続けるのなら、コナミを――

士郎「……なんで、そんな。コナミが――」

コナミ「――――」

思考に耽っている所にコナミが現れる
その背中には見知った姿

士郎「……遠坂!」

コナミ「――――、――」

士郎「余波で吹き飛ばされて気絶しているだけ? ……そうか」

士郎「……」

聖杯戦争はここに終結した
死傷者も最小限。衛宮士郎の目的は果たされた






3500→4000






士郎「……ふぅ」

緊張感が途切れ、気が抜ける
――ああ、そうだ。改めて、共に戦ってくれた相棒にお礼を言おう

士郎「なあ、コナ――――」

コナミ「――《催眠術》」

士郎「……え?」ガクッ

力が抜ける。意識が遠のく
薄れ行く視界に映っているのは一枚のカードを掲げたパートナーの姿

士郎「コ、ナ……」

士郎「…………」

コナミ「……」


「ふむ、予想よりも早かったな。大した差では無いが」

コナミ「……」

声に振り向く
そこに立っているのはいつぞやの美丈夫
ただ一つ違うのは、その身にまとうのが黄金の鎧であるということか

ギルガメッシュ「これで六騎全てが脱落――コナミ、貴様は晴れて聖杯戦争の勝者となったわけだ」

コナミ「……」

ギルガメッシュ「――だが、それでも貴様の目的には届かないのであろう?」

コナミ「――……」

その言葉を肯定する
確かに、六騎の魂では目的には届かない

ギルガメッシュ「ク、やはりな。方法は知らぬが、必要な物は見当がつく」

ギルガメッシュ「さて、お前の目の前に立っているのは新たなサーヴァントだ。ならばどうする?」

コナミ「……」

どうする? そんなものは決まっている
相手がどれだけ強大であろうと、自分のやることは変わらない

コナミ「――デュエル」


ギルガメッシュ「クク――己が目的のため、この我に刃を向けるか」

ギルガメッシュ「だが、よいぞ。貴様の在り方に免じて不問としてやろう」

コナミ「《オレイカルコスの結界》」

持ちうるカードの中で最大の力を持つ結界を発動
これで、外から干渉されることも、中から外に干渉することも無い

ギルガメッシュ「ほう、だがまだあるのであろう? 貴様の力を発揮するためのものが」

コナミ「……《RUM-バリアンズ・フォース》」

二度目のランクアップ。存在の昇華
これでもう、使えないカードはほぼ無くなった
だが、それはつまり、今まで以上に自分を隠しにくくなったということ

ギルガメッシュ「なるほど、それが本来の貴様に最も近い状態か」

それにしても、と

ギルガメッシュ「世界とは融通がきかぬものよな。異物の一つや二つ、人間であることに変わりがないのなら見逃してもよかろうに」

コナミ「……」


コナミ「――……」

ギルガメッシュ「貴様の正体に気づいているのかだと? さてな、凡そは見当がついているが、そんなことに興味はないのでな」

コナミ「……」

ギルガメッシュ「我が興味を持つのは貴様の在り方。貴様が何者かなど、そんなことは些事でしかない」

人でありながら領分を超えた大望を抱き、国のため、民草のために人であることを捨てた――

願いというにはあまりにも矮小な望みを抱き、そんな望みのために他を捨て、人の領分を超えながらも人で在り続ける決闘者

ギルガメッシュ「――クク、なんとも皮肉よな。まるで逆の存在に居場所を取られるとは、あやつも想像しなかったであろう」

コナミ「……」

ギルガメッシュ「決闘という現在に生きるがために過去未来全てを捨て、決闘をするがために人の領分を超える修羅」

それでも、己が欲に忠実に走り続ける決闘者は間違いなく人間だ、と

ギルガメッシュ「――さあ、抗ってみせよ決闘者。ここが貴様にとっての分岐点だ」

ここまで
対サーヴァント最終戦


コナミ「――」

黄金のサーヴァントの背後が揺らめく
歪んだ空間から姿を見せるのは無数の宝具

コナミ「《アルカナフォース0-THE FOOL》《スクラップ・ゴブリン》」

相手のクラスも名前も知らない。それでも、その強大さは対峙しただけで伝わってくる
壁となるモンスターを呼び出し、攻撃に備える

ギルガメッシュ「……よもや、そのような雑兵で我に立ち向かうつもりではあるまいな?」

そんなつもりは無い。いや、そもそも彼に並のカードが通用するとも思えない
だからこれは、そのための下準備

ギルガメッシュ「ふん、まあよい」

大量の宝具が撃ち出される。点では無く面を攻撃する広範囲射撃
破壊され辛いとは言え、大した力の無い下級二体で凌ぐのは無理がある

コナミ「っ……」

防ぎきれなかった宝具が身体を掠める
それでも、今は耐えるのみ


ギルガメッシュ「ほう、雑兵と思ったが中々に堅いな」

コナミ「……《メタモルポット》」

コナミ「ドロー」

宝具の雨が止むと同時、残った一枚のカードを使用
それにより、手札を五枚にまで戻す

コナミ「ドロー」

そして、通常のドロー
手札は潤沢、場にはモンスターが三体

コナミ「――」

最後の戦いにして最大の敵。消耗や消費を考える必要は無い
並のカードで届かぬならば、並でないカードを使うのみ

コナミ「《アルカナフォース0-THE FOOL》《スクラップ・ゴブリン》《メタモルポット》をリリース」

結界内の空気が振動する
今ここに喚び出すは、神の一柱



コナミ「――《オシリスの天空竜》」



ギルガメッシュ「――――」

決闘者が喚び出したモノ、それは正に神と呼ぶべきもの
それを見た英雄王は表情を変える。その顔に浮かぶのは喜悦

ギルガメッシュ「ク、ハハハハ!! 人の身にありながら、神を従えるか!」

神が人に使われる
その光景がおかしいのか、英雄王は笑いを止めない

コナミ「……」

いや、その光景以上に、決闘者がそれを何とも思ってないということ
畏れるでも誇るでもなく、それがさも当然であるというような在り方を面白がる

ギルガメッシュ「――いや、よいぞ。世界を、我を相手にするのならそうでなくてはな」

再び宝具を大量に展開
先ほどの比では無いほどの数の歪みが空間に生じる

コナミ「――召雷弾」

対するように決闘者は一言
その言葉を合図に、天空の神は片方の口を開く


ギルガメッシュ「……ほう」

撃ちだした宝具、その中で神の放った攻撃に巻き込まれたものが力を削がれていく
耐え切れなかったものは砕け、耐え切ったものもほとんど宝具としての力を失っている

ギルガメッシュ「人に使われようと神は神か。だが――」

コナミ「――」

主の身を守るように、天空の神はその身体で決闘者を囲む
先ほどの攻撃で落としきれなかった宝具が、神へと突き立つ

ギルガメッシュ「その一匹で我に届くなどと、間違っても思わぬことだな」

更に多くの宝具が展開される
先ほどの倍を軽く超える数。召雷弾で砕かれぬほどに、一つ一つは更に強力に、

コナミ「サンダー・フォース」

攻撃を宝具ではなく本体へ
神がもう片方の口を開け、英雄王へと向け一撃を放つ


ギルガメッシュ「……ふん」

それに臆するでもなく、前方にいくつもの防御用宝具を展開
それらが無残にも砕かれるが、その身に攻撃が届くことは無い

ギルガメッシュ「届かぬと言った筈だぞ。そんなものではな」

コナミ「……」

手札を切ればそれだけこの神の力は減る
だが、このまま続けても埒が明かないのも事実

コナミ「ドロー」

手札は六枚
この場に並べるのであれば、喚ぶべきものなど決まっている

コナミ「《スケルエンジェル》」

コナミ「ドロー」

コナミ「《深海のディーヴァ》……《ニードル・ギルマン》」

可能な限り手札を減らさず、必要な場を作る
残る手札は五枚


コナミ「《スケルエンジェル》《深海のディーヴァ》《ニードル・ギルマン》をリリース」


コナミ「――《オベリスクの巨神兵》」


新たな神を喚ぶ
天空の神に並び立つ破壊の神

ギルガメッシュ「二匹目、か」

それでも英雄王は余裕を崩さず
その程度ではまだ足りぬ、と

コナミ「《終焉の焔》」

二つの黒炎が神の隣に現れる
破壊神はその黒炎を握り潰し、自身の力へと変換

コナミ「《黒焔トークン》二体をリリース」

コナミ「ゴッド・ハンド・インパクト」

オベリスク「――――――!」

その力と、天空神の放つ召雷弾
それらが英雄王の放つ無数の宝具全てを砕く


コナミ「……」

宝具は全て消えた
この二体であれば、防御用の宝具を展開されたところで突破しきれるだろう

コナミ「――――」

攻撃を宣言
膨大な力が一人へと向けられる

ギルガメッシュ「……」

だが、それを向けられている英雄王はさしたる動揺も見せることは無い
ただ、片腕を一振り

ギルガメッシュ「天の鎖よ――――!」

その言葉と共に、突如として現れた鎖が神を縛り上げる

コナミ「――……」

ギルガメッシュ「無駄だ。神がこの鎖から逃れることは出来ん」

ギルガメッシュ「そんなものか? 貴様が走り続けた道というのは。この程度で崩れるものだというのなら――」

膨大な量の宝具を展開
神は動けず、決闘者を守ることも不可能

ギルガメッシュ「死ぬがよい。ここが貴様の終焉の地だ」


コナミ「……」

宝具が迫る
今の神は使い物にならない。ならば

コナミ「《ダークシー・フロート》」

コナミ「……《ハイレート・ドロー》」

ギルガメッシュ「む……」

自身のモンスターを全て破壊
神が破壊された際の魔力の爆発により、迫る宝具全てを弾く

コナミ「ドロー」

二枚のカードをドロー
これで手札は三枚

ギルガメッシュ「……神を捨てたか。まあ、役に立たぬ神など居ても邪魔なだけではあるが」


コナミ「《魂の解放》」

コナミ「《異次元からの帰還》……っ」

魔力が一気に持っていかれる
あまり使わないようにとしていたライフコストの必要なカード
だが、これが最後なら問題もない

コナミ「《オシリスの天空竜》《オベリスクの巨神兵》《ニードル・ギルマン》《アルカナフォース0-THE FOOL》《スクラップ・ゴブリン》」

コナミ「《ニードル・ギルマン》《アルカナフォース0-THE FOOL》《スクラップ・ゴブリン》をリリース」

コナミ「――《ラーの翼神竜》」

ギルガメッシュ「三匹目、か。だが――」

再び鎖が神を縛る
先ほどと状況は変わらず

コナミ「……」

手札はゼロ
――やることは一つ


コナミ「……」

ギルガメッシュ「――ほう」

決闘者の右手が煌く
バーサーカーの時のように令呪によるものではなく、自身の力によるもの

ギルガメッシュ「なんとも矮小な光よな。だが――」

その光は、間違っても人々の希望だとか願いだとか、そんな類のものではない
光に込められているのはただ一人だけの思い。デュエルを、というその思いだけが

ギルガメッシュ「その純粋さと輝きは我が認めてやろう。決闘者、貴様が走り続けた道をな」

コナミ「――ドロー」

一枚
勝負を決める最後のカード

ギルガメッシュ「ここが貴様にとっての分岐点。終焉か、未来を拓くか――」

空間が歪み、英雄王が一つの宝具を取り出す
円柱状の刀身を持った剣。それこそは彼の切り札

ギルガメッシュ「――示してみせよ決闘者。その輝きを以てな」


コナミ「《オシリスの天空竜》《オベリスクの巨神兵》《ラーの翼神竜》をリリース」

三柱の神を束ねる
そして喚び出すは新たな一柱の神

コナミ「――《光の創造神 ホルアクティ》」

結界の中に光が満ちていく
喚び出されたのは、決闘者が持ちうる中で間違い無く最高の力を持つカード

ギルガメッシュ「――さあ、目覚めよエア!」

刀身が回転を始める
それだけで空間は切断され、断層が生まれていく
英雄王の乖離剣。そこからもたらされるのは絶対的な死



コナミ「《光の創造神 ホルアクティ》の攻撃――――」



ギルガメッシュ「天地乖離す(エヌマ)――――」






コナミ「――――光創世(ジェセル)」






ギルガメッシュ「――――開闢の星(エリシュ)!!!」





光と力が衝突する
破れぬはずの結界が軋みをあげ、ひび割れていく

コナミ「――――」

敵は強大
かつて天地を分けた一撃。そんなものに人が挑むなど、ただの無謀でしかない
だが

コナミ「――……」

ただ一つだけを求めた
今という一秒にその闘いがあるのなら過去も未来も関係無いと
今という場所にその闘いがあるのなら善も悪も関係無いと
ただそれだけ。果てに辿りつき、無き未来に絶望しようと変わることの無いその思い
その思いがもたらす光が、その光がもたらすカードが、その一撃に敗れねばならぬ道理は無い

コナミ「…………」

結界が崩壊する
光と力の衝突に耐えられなくなった結果

残ったのは、二人


ギルガメッシュ「――一つを求め、ここにまで届く、か」

コナミ「……」

神も、結界も、剣も無い
そこに居るのは英雄王と決闘者、その二人のみ

ギルガメッシュ「なるほど。やはり貴様は人の持つ可能性の一つを極めたモノだ」

英雄王の身体には致命傷
それでも、満足そうに

ギルガメッシュ「どこまでも身勝手に、どこまでも貪欲に、一つを求め走り続ける」

人を率いる夢ではない
人を導く光ではない
人を裁く雷ではない

そこにあるのはただの一人で自己完結した望み
故に決闘者は英雄などではなく、どこまでもただの人であるのだと


ギルガメッシュ「誇るがいい決闘者。どこまでも人間らしいその在り方、我が認めてやろう」

だが、と

ギルガメッシュ「貴様がその在り方を続けるのならば、目的は果たされぬ」

コナミ「……」

ギルガメッシュ「それでも、願いは果たされよう。未来永劫変わらぬ貴様の願いはな」

ギルガメッシュ「――進むがいい、今までと変わらぬままにな。それが貴様なのだ」

ギルガメッシュ「……ではな。中々に愉しめたぞ」スウ

黄金のサーヴァントが消滅する
残ったのは、一人

コナミ「……」

柳洞寺の奥へと歩を進める
誰も居ない、邪魔のされない場所へ


世界には見えない力がある
人が認識できるもの、そうでないものは様々だが、まあ、そんなものが

コナミ「……」
・ ・
あの世界はそれが顕著だった
重要な場面で敗北すれば気づかぬ内に世界は巻き戻され、開始地点が同じであれば何度繰り返そうと人は同じ道を辿る

コナミ「……」

つまり、世界にはそんな人の想像の及ばぬ場所で働く力があるのだ。何故自分がそれを認識できたのかは知らないが
それはきっとどこの世界にも――この世界にも、それに類するものがあるのだろう

コナミ「……」

だから、一番警戒すべきはソレ
「コナミ」とはこの世界とは違う――並行世界ですらない、あの世界で言うところの精霊世界でもない、完全に異世界の存在、異物

そんなものを世界が許容するとは考えられない
だから、ある英霊の立場に自分を重ねることで存在を隠した


コナミ「……」

特定の人に成り代わったり、どこかに溶け込んだりというのはあの世界でもよくあったこと
それ自体は造作も無い
それでも、やはり世界が違えばそのあたりの勝手も違うようで

――アーチャーと、黄金の彼

発言から察するに、既にこの世界に存在していた――という英霊の記憶を持つ二人には違和感があったのだろう
それと同時に、今の自分の状態の危うさも理解した

コナミ「……」

今の自分は、紙一重で存在できているような状態
「コナミ」は――という英霊であると世界に誤認させるのも限界

コナミ「……」

目的の準備は全て整っている
あとは最後、カードの発動さえ出来れば

コナミ「――」

このあたりでいいだろう
先ほどの戦闘場所からそれなりに離れた、開けた場所


コナミ「《RUM-ヌメロン・フォース》」

手元に複数のパーツで構成された一枚のカードが現れる
ヌメロン・コード。自分がもと居た世界の全てを記し、世界そのものを作り上げたカード

コナミ「……」

あの世界の全てを経験した自分にとって、ヌメロン・コードによる世界の改変は意味をなさない
必要なのは未来。自動的に生成されるのか、そもそもあるのかすら分からないもの

コナミ「《小聖杯》」

七騎のサーヴァントを倒し、膨大な魔力を溜め込んだ聖杯
これだけあれば十分目的には届く

コナミ「……」

この世界に飛ばされた理由はわからない
デュエルの無い世界に自分が存在する意味など無いのだから
デュエルが存在するのは、一枚のカードによって作られたあの世界だけ。この世界には「デュエル」という概念が存在できない
キャスターとの会話でそれを確信した。あの口ぶりからすれば、自分の行動は全て監視されていたはずなのだ
マスターの彼にデッキやルールの説明をする所も見られていた。そのはずなのに、あの解釈
だからカードはただの宝具、戦闘のための道具としてしか認められず、「デュエル」を理解できるものなどこの世界には居なかった


もと居た世界に未来は無い。新たなデュエルももう望めない
それでも、この世界に飛ばされた時に得た知識で目的は出来た
この世界は異世界であると、それだけ分かれば問題は無い

未来の無い世界と、未来がまだ続く別の世界
それがあれば

コナミ「――――《超融合》」

聖杯に蓄えられた魔力を用い、一枚のカードを発動する
あらゆるものを融合するカード。対象が対象であるために、それだけの魔力を消費する

コナミ「……」

ふと、昔似たような状況があったことを思い出す
その時は止める側だったが、あの時の相棒はどうしているだろう、なんて

コナミ「対象は――」
.                      ・
超融合が聖杯の魔力を吸い上げ、黒くなった光を発しながら対象を巻き込もうと渦巻く
渦から伸びる光の一つがヌメロン・コードを捕まえる
他の光は別の方向――――世界を穿ち、その外側へ

コナミ「――二つの世界」



――さあ、新たな舞台を


ここまで
Q:異次元からの帰還って禁止じゃね
A:>>247

Q:ヌメロンフォースはリミテッドの真の姿であってヌメロンコードではないのでは
A:調整中(14/08/12)

なんか見直したら修正前の貼られてたんで修正版
まあコナミ君が何言いたいのかっていうと「ここデュエル至上主義な世界じゃないの?はまじ」ってだけなんですが
>>427

コナミ「《RUM-ヌメロン・フォース》」

手元に複数のパーツで構成された一枚のカードが現れる
ヌメロン・コード。自分がもと居た世界の全てを記し、世界そのものを作り上げたカード

コナミ「……」

あの世界の全てを経験した自分にとって、ヌメロン・コードによる世界の改変は意味を成さない
必要なのは未来。自動的に生成されるのか、そもそもあるのかすら分からないもの

コナミ「《小聖杯》」

七騎のサーヴァントを倒し、膨大な魔力を溜め込んだ聖杯
これだけあれば十分目的には届く

コナミ「……」

この世界に飛ばされた理由はわからない
デュエルの無い世界に自分が存在する意味など無いのだから
デュエルが存在するのは、一枚のカードによって作られたあの世界だけ。この世界には「デュエル」などというものはない
仮にあったとしても、世界にとって重要でないもの
キャスターとの会話でそれを確信した。あの口ぶりからすれば、自分の行動は全て監視されていたはずなのだ
マスターの彼にデッキやルールの説明をする所も見られていた。そのはずなのに、あの解釈
だからカードはただの宝具、戦闘のための道具としてしか認められない






4000





???

士郎(う……)

士郎(どこだ、ここ……廃墟……?)

「デュエル!」

士郎(――!)

士郎(あの人は確か、コナミと最初にデュエルしてた……)

コナミ「――――デュエル」

士郎(やっぱり……ってことは、コナミの記憶、か)

戦っている相手は同じ。やはり、あの時と同じ記憶だろうか。

士郎(……? 相手の人、なんか険しい顔してるな……)

コナミ「……」


「ぐああっ!」LP0

士郎(……え?)

違う。何かが違っている。
何だ、これは。

コナミ「……」

「無様だな、遊星。さっきまでの威勢の良さはどこへ行った?」

コナミの隣に現れたのは、顔に刺青のようなものをした白髪の男。

遊星「コナミ……騙されるな……お前は……俺達の、俺の……大切な、相……」

士郎(な……)

遊星と呼ばれた人物が、傷だらけになって地面に倒れ伏す。
だというのに、コナミは彼に視線を向けることすらない。

士郎(なんだよ……)

士郎(なんだよ、これ……!)


――場面は変わる。何度も何度も、目まぐるしく変わってゆく。

士郎(あいつは、そんなこと……)

           「本格的に、人間を闇で支配する時が来たようだ。行こう、コナミ君。いや、ダークネスよ!」


        「ずっと……ずっと……信じてた、のに……」


            「コナミ、貴様までもが俺達を裏切っていたのか……! 仲間との絆を……信頼を……!!」


     「コナミ……! なぜ、万丈目くんの肩を持つの……!?」


                   「みんなを……そして、この私を……裏切ったの!?」


         「私に復讐を遂げさせてくれたあなたのために、この身を捧げたいの」


   「堪能するがいい! この闇を! 母なる闇こそが人間にはふさわしいのだ!」


         「……コナミ、そのモノはただデュエルが出来ればいいという悪しき存在」


彼の周りにはいつも人がいた。

彼と共に、世界を滅ぼした人がいた。

彼と共に、過去の復讐を成した人がいた。

彼と共に、誰かの未来を崩した人がいた。

彼と共に、誰かの笑顔を奪った人がいた。

彼は――コナミは、多くの人を破滅へと導いていた。


士郎(違う! あいつはそんな――!)


――せいぜい気をつけることね。貴方はサーヴァントに裏切られる


士郎(っ――!)

脳裏に浮かぶのはキャスターの言葉。
あいつが、俺を――

士郎(……違う! この記憶だって、きっと――)

きっと、なんだというのだ。
この記憶が確かなら、衛宮士郎が倒すべくは


――そのサーヴァントは、お前にとってこれ以上ないパートナーだ


士郎(…………やめろ)

なぜ、その言葉の意味を理解しようとしているのか。
……言うまでもない。衛宮士郎は正義の味方でなくてはいけない。
だったら、必要なものは――


――喜べ少年。君の願いは、ようやく叶う


士郎(――やめろ!!)


――貴様が正義の味方で在り続けるつもりなら、貴様の手で決闘者を






殺せ





柳洞寺

士郎「う……」

士郎「柳洞寺……そうだ、確かコナミに……」

周囲を見回してコナミを探す。
だが、見つかったのは気を失って横になっている遠坂と――

綺礼「……ほう、生きていたか衛宮士郎。てっきり決闘者に殺されたかと思っていたが」

そんなことを言いながら近づいてくる神父の姿だった。

士郎「……言峰? 何でこんな所に……いや、それよりもどういう意味だ。俺がコナミに殺されるって」

綺礼「監督役が勝者の前に現れても別に不思議はあるまい。貴様が殺されると言ったのは、決闘者の目的の邪魔になると思ってのことだが」

そんなことを言いながら、神父は俺の左手に目を向ける。

綺礼「……なるほど、令呪は既に使い切っているのか。ならば特に問題も無いというわけか」

士郎「……ちょっと待て、目的ってどういうことだ。アイツは聖杯に願うことなんて――」

綺礼「無い、というのだろう?」

言葉を言い切るよりも前に、神父はその先を言う。
そう、コナミは聖杯に願うことは無い。だったら、何を

綺礼「――だが、聖杯を使わない、と彼は言ったのかね?」

士郎「……え?」


士郎「……どういうことだ。聖杯ってのは願望機なんだろう、願いが無いのに使うことなんて」

綺礼「そうだな。だが、聖杯で叶わぬことであればどうだ?」

士郎「聖杯で、叶わないこと……?」

綺礼「そうだ。そもそも聖杯とは、蓄えた英霊の魂――膨大な魔力を使用することで願望機として機能する」

綺礼「だがな、それにも勿論限界はある。この世界の内側のみに干渉するのであれば、ほとんどのことは叶えられよう」

綺礼「ならば、それ以上を望む場合はどうすればいい。衛宮士郎」

士郎「……何が言いたいんだ。その『それ以上』とやらがコナミの目的とでも言うのか」

綺礼「ああ、そうだ。聖杯が叶えられぬのなら、自分でどうにかするしかない」

綺礼「……さて、衛宮士郎。決闘者の願いは知っているな? デュエルをしたい、だったか」

士郎「……」

……そうだ。だから分からない。
あいつが何の目的で聖杯を使うなどというのか。


綺礼「私も詳しくは知らぬがな、決闘者の居た場所に未来は無いのだそうだ」

士郎「……」

知っている。あの暗闇を。
絶望の混じったあの声を。

綺礼「ならば過去に生きるのか。そう聞かれた決闘者は答えた」

綺礼「――無いのなら、新しい世界を創るまでだ、とな」

士郎「世界を、創る……?」

綺礼「そうだ。私には方法など想像もつかんが、何かしらの手段が彼にはあるのだろう」

士郎「……」

いつかのキャスターの言葉を思い出す。
魔力さえあれば出来ないことなど無いのではないか、と。
それが顔に出ていたのか、神父は面白そうに表情を歪める。

綺礼「何か心当たりがあるようだな。それでこそ、私もランサーを捧げた甲斐があったというものだ」

士郎「……ランサーを、捧げた?」

ランサーは自害したと遠坂は言っていた。
じゃあ、こいつが――


綺礼「そうだ。中々に良いタイミングだったと思っているのだが」

士郎「……何が良いタイミングだ。自分のサーヴァント殺すことに何の意味が――」

綺礼「意味ならあるとも。決闘者の手元に聖杯を置く、という意味がな」

士郎「何……?」

ランサーが自害したのはバーサーカーを倒したのと同じ夜。
バーサーカーを倒した後、イリヤは体調を急変させた。
コナミが言うには、聖杯であるイリヤはサーヴァントの魂を溜め込んだせいで――――

士郎「――お前」

綺礼「五騎も溜めれば不調もきたすだろう。そして、お前がそれを見過ごすことはない」

綺礼「決闘者は手を差し伸べたのではないかね? イリヤスフィールを助けられる、と」

士郎「っ――――」

確かに、こいつの思ったとおりに進んでいる。
イリヤを助けた。イリヤを保護した。……だが


士郎「……いや、コナミはイリヤの聖杯としての機能を無効化したって言っていた」

士郎「お前の目的が『聖杯である』イリヤをコナミの手元に置くことなら、それで意味をなさなくなるはずだ」

綺礼「機能を無効化した、とはどうとでも解釈できるな。言葉の通り、イリヤスフィールが溜め込んだ中身ごと聖杯としての機能を消したとも――」

綺礼「別の器を用意し、中身を移し替え、この聖杯戦争における新たな器にしたとも、な」

……イリヤを助けた時のことを思い出す。
あの時コナミは何を持っていた。
あれは、確か

士郎「――――」

綺礼「そちらにも心当たりがあるか? ――いや、なんとも。ここまで思い通りに行くと不安を覚えるな」

綺礼「それにしても驚きだな。まさか魔術回路ごと中身を引き抜いたか? いや、それともアインツベルンが作るような物をその場で用意したのか――何にせよ、決闘者であれば出来てもおかしくは無い、か」

そんな、よくわからないことをぶつぶつ言いながらくつくつと神父は笑う。
……何とも気に入らない。全てこいつの思い通りになっているようで。
ただ、分からないことが一つ。

士郎「……言峰、アンタ何がしたいんだ。コナミの目的を知って、聖杯が手元に行くような根回しまでして」


綺礼「何、決闘者の目的は私の目的を内包しているのでな。それを手伝っているというだけのことだ」

士郎「お前の目的がコナミの目的と被る……?」

綺礼「そうだ。私の元々の目的はな、聖杯の中身を開放することでな」

士郎「中身を……?」

綺礼「ああ、そうだ。聖杯の中身とは本来、万能である無色の力」

綺礼「だがな、今の聖杯にあるのはそんな物ではない。アレは汚染された悪性の力の塊」

綺礼「――十年前の火災もそれが原因だ。それを知るお前なら、どのようなものか理解できるだろう?」

士郎「――――」

あの、地獄。
それを、こいつは


綺礼「決闘者が目的を果たすつもりならば、聖杯の中身は開かれる」

綺礼「そんなものを糧とし世界などというものを創り出す――それは、十年前の火災や私の目的などとは比べ物にならないほどの地獄を生むだろう」

綺礼「その誕生を私は祝福しよう。『この世全ての悪』を、決闘者の望む世界を」

士郎「っ……! お前が、アイツの何を知ってやがる! コナミはそんな世界――」

望んでない、と言い切れればよかったのに。
なのに、どうして、この口は動いてくれない。

綺礼「――お前も、既に理解しているのだろう」

士郎「っ――」

先ほどの記憶がフラッシュバックする。
コナミが引き起こした光景が。

綺礼「デュエルが出来るのならば、目的も、結果も、場所も、立場も、善悪も、未来も、世界も関係ない」

綺礼「――彼はそういう存在だ、と」

士郎「っ……!」

言い返さなければいけないはずなのに。
言い返さないといけないとわかっているのに、言葉は出てくれない。


綺礼「汚染されていようと、アレが願望機であることに変わりは無い」

綺礼「決闘者の願いを受け、方向性を持ったのなら、その魔力は決闘者の望むように動くだろう」

綺礼「ならば、その力を糧として創られた世界が、決闘者の望まぬモノのはずはあるまい」

士郎「そん――――っ!?」

地面が揺れる。
地震ではない。もっとおぞましい何かによって引き起こされた、ような。

綺礼「――始まったか」

士郎「な、に……?」

神父の向いた方向――境内の奥へと視線を向ける。
遠目ながらに見えたのは、黒い球体のような物。

士郎「なんだ、アレ……」

綺礼「決闘者だろうな。あそこから外に向かって侵食するつもりなのだろう」


士郎「っ――――!」ダッ

走ってコナミの元へ向かおうとする。
だが

綺礼「シッ――――」

士郎「ぐっ……!?」

突然の蹴り。
咄嗟に防御するが、それでも衝撃を完全には殺しきれない。

士郎「っ……言峰……!」

綺礼「言ったはずだぞ衛宮士郎。アレは私の目的でもある。今の貴様に何が出来るとも思えんが、邪魔はさせん」

士郎「くっ……!」

目の前の敵を越えることは出来ない。
攻撃も、防御も、策すらない。それでも、どうにかコナミの所まで――


綺礼「――何?」

何かに気づいた神父がその場を飛び退く。
先ほどまで居た場所を通り過ぎるのは魔力の塊。

凛「……やっぱり、そう簡単には当たってくれないか」

綺礼「……ふむ、起きていたか、凛」

士郎「……遠坂?」

凛「行きなさい衛宮くん、コナミの所へ」

士郎「え――」

凛「ほら、ぐずぐずしない! 早く!」

綺礼「チ――」

複数の宝石が神父へと向けられる。
さすがにそれを軽く捌くことは出来ないのか、今なら――

士郎「……すまん、遠坂。任せた!」

走る。境内の奥へ。
コナミが居るという黒い塊へ。


士郎「……」

走りながら考える。
どうしてこんなことになったのかと。

士郎「アイツは……」

キャスターの言うように、裏切ったのだろうか。
言峰の言うように、悪なのだろうか。
アーチャーの言うように、倒さねばならない相手なのだろうか。

士郎「……クソッ!」

まだ頭が混乱しているのか、まともに思考できない。
相手を信じずに何がパートナーか。
明確な大衆の敵を放置して何が正義の味方か。
衛宮士郎はどちらだ。

多くを救った人間を正義と言わずなんと言う。
多くを滅ぼした人間を悪と言わずなんと言う。
コナミはどちらだ。

衛宮士郎は何だ。コナミは何だ。この状況は何だ。するべきは何だ。

士郎「……」

答えも出ないまま、目的の場所にたどりつく。
先ほど遠目に見た時よりも大きくなっている気がするが、今ならきっとまだ間に合う。
一歩、踏み込む。


士郎「ここが……」

外から見た球体からは予想もつかないほどに中は広い。
しかし、中の光景はなんとも奇妙なもの。
自分の知っている世界に、コナミの記憶で見た世界を足し合わせたようなチグハグさ。

だが、そんな光景のおかげか、少し頭が冷えた。
状況を整理する。

コナミの目的は、あの未来の無い闇からの脱出。
方法は聖杯の魔力と、恐らくはコナミの持つカード。
聖杯は汚染されている。そんな物を使ったら、過程で、結果で世界はどうなるのか。
過程として自分の居た世界が消滅でもするか? 結果として荒廃した世界でも誕生するか?
なんとも、現実感の無い話だ。

士郎「……」

衛宮士郎はどこへ向かう?
コナミの所へ。

どうして?
コナミを止めるために。

それが、コナミの未来を潰すことになっても?

士郎「……」


何故、衛宮士郎はコナミを止めようとする。

裏切られたから?
違う。俺がアイツの一面しか見てなかっただけだ。コナミは裏切ってなんかいない。

コナミは倒さねばならぬ悪だから?
……違う。上手く言えないが、それも何か違う気がする。

じゃあ、どうして――

士郎「――――」

ふと、頭を過ったのはいつぞやの会話。
相棒と交わした、他愛の無い約束。

士郎「……ははっ」

思わず笑ってしまう。この状況でそれを思い出したということに。
遠坂に律儀だななどと言ったが、自分も中々に律儀であるらしい。


士郎「――ああ、そうか」

俺はコナミを知っている。
記憶を見ただとか、誰かに聞いたとかではない、ただの一個人としてのコナミを知っている。
正義でもなく悪でもなく、ただ純粋にデュエルが好きなコナミを知っている。衛宮士郎を助けてくれたコナミを知っている。
出会って二週間にも満たないけれど、過ごした記憶に嘘などないから。
衛宮士郎はコナミのパートナーで、コナミは衛宮士郎のパートナーだから。

士郎「だから――」

譲れない思いがある、正義の味方を貫くという思いが。それがパートナーの思いと衝突したのなら、ぶつからなければいけない。
パートナーだけど。パートナーだから。正義の味方としてではなくパートナーとして。

士郎「……」

周囲に人の姿は見えない。
どこにコナミが居るのかはなんとなくだがわかる。

士郎「……よし」

理由は見つかった。
あとは、コナミに――


コナミ「……」

カードは発動した。
既にこの世界はどちらの世界でもない。それはつまり、懸念していた事態を免れたということ。
後は完了するまで待つだけ。

コナミ「……」

近づいてくる人の気配。
誰だろうなどと考えるまでもない。「彼」に決まっている。

コナミ「……」

彼は止めに来たのだろうか。
……どうやって?
カードを破壊するか。「コナミ」という存在を消滅させるか。

コナミ「……」

ああ、いや
元居た世界の要素を取り込んだこの世界なら、彼なら、もしかしたら――――


士郎「……コナミ」

コナミ「……」

声に反応したコナミがこちらに振り返る。
その背後には一枚のカード。
禍々しさを持ったそれを見た瞬間、一目でこの事態を引き起こした原因であると理解する。

士郎「……」

どうすれば止められるのか、と考える前に体が勝手に動いていた。
いつの間にか左腕に装着されていた機械にデッキをはめる。

士郎「――デュエルだ。お前との約束と決着、ここで果たしてやる」

コナミ「……――」

そんな言葉に、コナミは一瞬驚いたような素振りを見せたが、すぐに左腕を構える。
いつもと変わらぬ赤帽子に隠れた表情。しかし雰囲気は今までと比にならないほど「決闘者」として。
お互いの思いは違えど、求むるは結果ではなくこの瞬間。


士郎「――――行くぞ」

衛宮士郎はパートナーとしてコナミ(パートナー)と闘い

コナミ「――――」

コナミは決闘者として衛宮士郎(パートナー)を下す。






「――――――デュエル!」





ここまで
途中で区切らなければ次で最後です

このスレ内最初で最後のデュエルですが
・マスタールール2(コナミ君がマスタールール3を知らない)
・禁止制限2013年11月(DCと同じ)
・お互いにハイランダー。お互いに相手がハイランダーであることを知っている
・ここまでにコナミ君が使用したカード使用不可
・確認できる範囲はアニメと同じ(墓地・除外・カード効果確認不可)
でお送りします


コナミ「ドロー」手札6

コナミ「モンスターをセット、カードを一枚セットしてターンエンド」手札4


コナミ LP8000 モンスター 伏せ1 魔罠 伏せ1 手札4


士郎「俺のターン、ドロー!」手札6

士郎「俺は手札から《聖騎士アルトリウス》(ATK1800)を召喚!」手札5

士郎「更に、自分フィールドに光属性通常モンスターが存在することにより《聖騎士ガウェイン》(DEF500)を守備表示で特殊召喚!」手札4

士郎「レベル4のアルトリウスとガウェインでオーバーレイ! エクシーズ召喚! 《機甲忍者ブレード・ハート》(ATK2200)!」

士郎「ブレード・ハートの効果発動! エクシーズ素材を一つ取り除き、バトルフェイズ中二回の攻撃を行う!」

士郎「バトルだ! ブレード・ハートで伏せモンスターを攻撃!」

ブレード・ハート「オォッ!」(ATK2200)

魂を削る死霊「ヒヒ」(DEF200)

コナミ「モンスターは《魂を削る死霊》。戦闘では破壊されない」

士郎「……やっぱそう簡単には食らってくれないか」

士郎「カードを一枚セットし、ターンエンド!」手札3


士郎 LP8000 モンスター 《機甲忍者ブレード・ハート》(ATK2200) 魔罠 伏せ1 手札3


コナミ「ドロー」手札5

アルトリウスにガウェイン、ならば彼のデッキは【聖騎士】か。
効果を発動し聖剣を破壊する聖騎士、聖剣の再装備、切り札に当たるアルトリウス。
だが、破壊効果はアルトリウスとアロンダイトによる魔罠破壊のみ。他のエクシーズや汎用カードの警戒をするべきか。

コナミ「《手札抹殺》を発動、お互いのプレイヤーは手札を全て捨て、同じ枚数だけドローする」手札4

コナミ「ドロー」

士郎「ドロー!」

コナミ「死霊をリリースし、《邪帝ガイウス》(ATK2400)をアドバンス召喚」手札3

コナミ「ガイウスの効果発動。アドバンス召喚成功時、フィールドのカード一枚をゲームから除外する。対象はブレード・ハート」

ブレード・ハート「――――!?」

士郎「ブレード・ハートが……っ!?」

コナミ「バトル。ガイウスで直接攻撃」

ガイウス「オオォ……!」ATK2400

士郎「っ――ぐあっ……!」LP5600

コナミ「カードを一枚セット。ターンエンド」手札2


コナミ LP8000 モンスター 《邪帝ガイウス》(ATK2400) 魔罠 伏せ2 手札2


士郎「俺のターン……ドロー!」手札4

士郎(……手札に聖剣はある。あとはあのカードを引けば一気に――)

士郎「……カードを一枚セット! そして《カードカー・D》(ATK800)を召喚!」手札2

士郎「カードカー・Dの効果発動! このカードをリリースし、デッキから二枚ドローしてエンドフェイズに移行する!」手札4

士郎(……! 来た……!)

士郎「ターンエンドだ!」


士郎 LP5600 モンスター 無し 魔罠 伏せ2 手札4


コナミ「ドロー」手札3

コナミ「――バトル。ガイウスで直接攻撃」

ガイウス「オオオオオオォ!」(ATK2400)

士郎「罠発動、《ダメージ・ダイエット》! このターン受ける全てのダメージを半分にする!」

士郎「っ――ぐ……ああああああああ!!!」LP4400

コナミ「ターンエンド」


コナミ LP8000 モンスター 《邪帝ガイウス》(ATK2400) 魔罠 伏せ2 手札3


士郎「っ……! 俺のターン、ドロー!」手札5

士郎「俺は手札から《聖騎士モルドレッド》(ATK1700)を召喚!」手札4

士郎「更に《聖剣カリバーン》をモルドレッドに装備し、攻撃力を500アップ! そしてカリバーンの効果でライフを500回復する!」手札3 LP4900

モルドレッド(ATK1700→2200)

コナミ「……」

士郎「モルドレッドは聖剣を装備している時、レベルが一つ上がり闇属性となる」

士郎「そして俺はモルドレッドの効果を発動! デッキから――」

コナミ「モルドレッドの効果にチェーンし、罠発動、《妖怪のいたずら》。フィールド全ての表側表示モンスターのレベルを2下げる」

士郎「っ――!?」

ガイウス 6→4
モルドレッド 5→3

士郎(効果を――いや、先の展開を読まれている……!?)


士郎(……いや、モルドレッドのレベルを下げられただけなら――!)

士郎「モルドレッドの効果により、デッキから《聖騎士ガラハド》(DEF1800)を守備表示で特殊召喚!」

士郎「その後自分フィールドの装備魔法――カリバーンを破壊! そしてカリバーンの効果によりカリバーンをガラハドに装備!」

モルドレッド(ATK2200→1700)
ガラハド(ATK1500→2000)

士郎「カリバーンの効果でライフを500回復する!」LP5400

士郎「そして俺はガラハドの効果発動! 墓地からガウェインを――」

コナミ「ガラハドの効果にチェーンし、手札から《D.D.クロウ》を捨てて効果発動。相手の墓地のカード1枚をゲームから除外する。対象は《聖騎士ガウェイン》」手札2

士郎「っ――――」

士郎(ここまで――っ)

コナミ「……」

士郎「……手札に戻せなかったことにより、聖剣を破壊する効果も不発だ」


コナミと衛宮士郎を大きく隔てるものの一つとして、彼らの持つカード知識の差がある。
片や6000近いカードの知識を有するコナミ、片や自身のデッキ程度しか知らぬ衛宮士郎。


士郎(……場にはガラハドとレベルの下がったモルドレッド、それにカリバーン)

士郎(エクシーズは不可、今使える展開用のカードもない)


衛宮士郎はコナミの動きをほとんど読むことは出来ない。
コナミが無駄に動かないために未だデッキが見えないということもあるが、どんなカードが来るか、と考える為の知識が無い。
出来るのはせいぜい、その見えないカードを警戒して動く程度のこと。


コナミ「……」

士郎(手札は――)


対して、コナミは衛宮士郎の使うカードから、潰されたくないであろう部分を確実に潰してくる。
勿論、そのデッキで普通使わないようなカードを使えば不意もつけるだろう。だが、それだけだ。
対処するためのカードをコナミが握っている限り、衛宮士郎はまともに動くことすらままならない。


士郎(……ガラハドとモルドレッドのどちらかが生き残れば次のターンで立て直せる)

士郎(……いや、そんな受身な考えじゃダメだ。守っててもジリ貧になるだけ――残っても、さっきみたいに止められる可能性だってある)

士郎(もっと、せめてガイウスを破壊する程度はしないと――)


士郎(コナミの場の伏せカード、あれが除去系の罠だったら――)


衛宮士郎がこのデュエル中に、決闘者としてコナミの居る高みに近づくことは出来ない。
コナミに近づけるとするなら、それはコナミが衛宮士郎の居る場所へと下がってきた時だけ。


士郎「……」


だが、既に持っている知識を無くすなどということをコナミは出来ないし、することもないだろう。


士郎「俺は――」

コナミ「……」


故に、相手の動きを読めない衛宮士郎が、相手の動きを読めるコナミに近づく方法があるとするのなら――



士郎「――俺は墓地から、《聖剣を抱く王妃ギネヴィア》の効果を発動!」



――コナミが読めない、6000の外側にあるカードを使うことだ。


コナミ「……!?」

士郎「ギネヴィアは1ターンに1度、手札・墓地から攻撃力300アップの装備カードとして聖騎士に装備できる」

士郎「俺はモルドレッドにギネヴィアを装備!」

モルドレッド(ATK1700→2000)

士郎「バトルだ! モルドレッドでガイウスを攻撃!」

コナミ「……」

コナミ「……罠発動《ピンポイント・ガード》」

コナミ「墓地のレベル4以下のモンスターを守備表示で特殊召喚する。対象は《ダブルコストン》(DEF1650)。そしてそのモンスターはこのターン破壊されない」

士郎(! 除去系の罠じゃない、これなら――)


士郎「ガイウスに攻撃を続行!」

士郎「そしてこの瞬間、ギネヴィアの効果発動!」

士郎「ギネヴィアは自身を装備している聖騎士の属性によってその効果を変える」

士郎「聖剣を装備しているモルドレッドは闇属性。そして、闇属性時のギネヴィアの効果は――」

モルドレッド「オオオォォォ!」(ATK2000→1700)

ガイウス「――――!?」

士郎「自身を破壊することで、攻撃対象のモンスターを破壊する! ガイウスを破壊!」

コナミ「っ――――」

士郎「俺はこれでターンエンドだ!」


士郎 LP4400 モンスター 《聖騎士モルドレッド》(ATK1700) 《聖騎士ガラハド》(DEF1800) 魔罠 伏せ1 《聖剣カリバーン》(ガラハド装備) 手札3


コナミ「――」

ガイウスだったものが霧散していく。
それ自体はどうでもいい。モンスター一体を破壊する方法などいくらでもあるのだから。だが――

コナミ「……」

見たことの無いカード。聞いたことの無いカード。
自分が集めたカードの中に知らないものなど無い。だというのに、彼のデッキにはそれがある。

コナミ「――――」

その未知に胸が高鳴る。彼のデッキにそんなカードがある理由などどうでもいい。
知らぬカードが、知らぬデュエルが、あの闇の中で望み続けたデュエルがここにあるというのなら――

コナミ「――――ドロー!」手札3

体が熱を持つ。長い間持っていた、絶望に冷めた気持ちはどこかへと。
この身こそは決闘者。デュエルの中にこそ存在すべき場所がある。
他に必要なものなど無い。ただ――――!

コナミ「手札から《貪欲な壷》を発動!」手札2

コナミ「墓地のモンスター5体をデッキに戻し、カードを2枚ドローする!」

士郎(ドロー加速……仕掛けてくるか!?)

コナミ「戻す対象は《魂を削る死霊》《邪帝ガイウス》《虚無の統括者》《創世の預言者》《D.D.クロウ》」

コナミ「ドロー!」手札4


コナミ「手札から永続魔法《冥界の宝札》を発動」手札3

コナミ「そして《冥界の宝札》を手札に戻し、墓地から《BF-精鋭のゼピュロス》を特殊召喚!」手札4

コナミ「この効果でのゼピュロスの特殊召喚はデュエル中一度しか行えず、発動後自分は400のダメージを受ける」LP7600

コナミ「そして再び、《冥界の宝札》を発動!」手札3

士郎(レベル4が二体……エクシーズか? それとも、ガイウスみたいな上級か?)

コナミ「闇属性モンスターをアドバンス召喚する時、ダブルコストンは二体分のリリースとなる」

士郎(……二体分? ゼピュロスはリリース用じゃないってことか?)

コナミ「そして永続魔法《進撃の帝王》を発動!」手札2

コナミ「このカードがフィールドに存在する限り、自分のアドバンス召喚したモンスターはカード効果で破壊されず、対象にもならない」


コナミ「…………」ズズ……

士郎(え――)

士郎「なんだ、これ……」


コナミの背後、この世界を創っているカードから泥が溢れ出す。


コナミ「二体分のリリースとなったダブルコストンとゼピュロスをリリースし」

士郎「三体のリリース……!?」


フィールドまで達した泥が積み重なり、現れるは一つの巨大な影。


コナミ「アドバンス召喚――」


コナミが掲げるはただ一枚。
常人には扱えぬ闇を纏った神の一柱。


コナミ「――《邪神ドレッド・ルート》!!」手札1

ドレッド・ルート「■■■■■■■■■――――!!!!」(ATK4000)

一旦ここで区切ります。もう区切るとこは多分無い。

遅くなってすまぬすまぬ。言い訳っぽいこと書くと新規聖騎士関連の日本語名全部出るまで待ちたかった。
あとメダロットやってた。
読んでくれてる方は今後もよろしくお願いします。

コナミ君が知らないカードを士郎が使ってる理由についてはエピローグで書くから突っ込まないでね!

やばいなんかもう一ヶ月経ってる
ほったらかしてて申し訳ない。十月入ってからちょっと忙しいことが続いてるせいであんまり時間が取れてないです
25日くらいには解放されるので今月中に終わらせられるよう頑張ります


新作嬉しすぎて泣きそう

見直してて気づいたけど>>494の士郎のライフ4400じゃなくて5400ですね

以下投下


士郎「っ――――!!!」

士郎(攻撃力4000――――!)

コナミ「そしてこの瞬間、冥界の宝札の効果が発動!」

コナミ「二体以上のリリースを必要とするアドバンス召喚に成功した時、デッキから二枚ドローする!」

コナミ「ドロー!」手札3

士郎(最上級モンスターにドロー補助、それに耐性付与か……!!)

コナミ「更に、ドレッド・ルートの効果――」

ドレッド・ルート「■■■■■■――――!!!」

モルドレッド「うぅ……」(ATK1700→850)(DEF1000→500)

ガラハド「ぐっ……」(ATK2000→1000)(DEF1800→900) (カリバーン装備)

士郎「!?」

コナミ「ドレッド・ルートがフィールドに存在する限り、このカード以外の全てのモンスターの攻撃力・守備力は常に半分となる!」

士郎「そんな――!?」


コナミ「バトル! ドレッド・ルートでモルドレッドを攻撃!」

ドレッド・ルート「■■■■■■■■■――――!!!」(ATK4000)

モルドレッド「――……!」(ATK850)

士郎「っ! 罠発動、《和睦の使者》! このターン、プレイヤー、モンスターに対する戦闘ダメージを0にする!」

ゴウッ!!

士郎「っ……!」

士郎(防いだはずなのに、なんて衝撃だ……!)

コナミ「カードを二枚セットし、ターンエンド!」手札1

コナミ LP7600 モンスター 《邪神ドレッド・ルート》(ATK4000) 魔罠 伏せ2 《冥界の宝札》《進撃の帝王》 手札1


士郎「俺のターン、ドロー!」手札4

コナミ「スタンバイフェイズに罠発動、《無力の証明》!」

コナミ「自分の場にレベル7以上のモンスターが存在する時、バトルを放棄することで相手の場のレベル5以下のモンスター全てを破壊する!」

士郎「っ!」モンスター 《聖騎士モルドレッド》(ATK850)《聖騎士ガラハド》(DEF900) → モンスター 無し

士郎(モンスターが全滅――装備されてたカリバーンが破壊されてライフ回復も止められたか……!)

眼前に立ちふさがる邪神。
対する自身の場には、一枚としてカードが存在しない。

士郎(……効果破壊は不可、戦闘もドレッド・ルートの効果と攻撃力を考えれば難しい)

4枚の手札を見やる。
そこに、この状況を突破できるカードなどは無く。

士郎「……」

ライフは残り5400。
少ない数値ではない。だが、あの邪神の前では――


士郎(っ……! 何考えてんだ俺は……!)

邪神の力にあてられたのか、思考に纏わりつく邪念。
それらを無理矢理振り払い、邪神の撃破へと思考を向ける。

士郎(……進撃の帝王を破壊しない限り、邪神はほぼ無敵に近い)

士郎(……いや、進撃の帝王の破壊だけじゃダメだ。それに、ターンをかければ俺の敗北は確定する)

仮に、数ターンかけて進撃の帝王を破壊したのなら――その頃にはもう、コナミは次の手を打つための手札をきっと揃えている。
すぐに破壊したとしても同じだ。進撃の帝王の破壊だけに満足し、ターンを渡せばコナミは必ず場を同じかそれ以上にまで持っていく。

士郎(……1ターンの内に邪神と進撃の帝王両方の破壊――)

反撃の手を与えてはいけない。
最善はその二枚を破壊したターン中の勝利。不可能ならば、次のターンに何も出来ないようにした上でターンを渡さなければいけない。

士郎(でも、どうやって――)

と、



――――シロウ



士郎「――――!」

脳内に響く声。
それは、今までのように気のせいだなどと言えないほどに鮮明な。

士郎(今のは――)

ふと、エクストラデッキに目を向ける。
最初に決めた一枚。このデッキにとっての、衛宮士郎にとっての――

士郎(……)

先ほどとは違った、澄んだ思考。
相変わらず、手札にこの状況を突破できるカードは無い。だが――

士郎「……」

邪神に臆するな。ダメージを厭うな。堅実な手など意味が無い。
命(ライフ)を賭けろ。ドローに賭けろ。運に縋れ。
そこまでしてようやく、己はあいつの足元に食らいつく権利を得る。

士郎「――俺は手札から《黙する死者》を発動! 墓地の通常モンスター、《聖騎士アルトリウス》を守備表示で特殊召喚!」手札3

士郎「そしてアルトリウスをリリースし、《聖騎士エクター・ド・マリス》(ATK1600)をアドバンス召喚!」手札2

エクター「ハッ!」(ATK1600→800)


士郎「更に墓地から、《聖剣を抱く王妃ギネヴィア》の効果を発動! エクターに装備!」

エクター「――!」(ATK800→950)

士郎「カードを一枚セット! ターンエンドだ!」手札1


士郎 LP5400 モンスター 《聖騎士エクター・ド・マリス》(ATK800) 魔罠 伏せ1 《聖剣を抱く王妃ギネヴィア》(エクター装備) 手札1


コナミ「ドロー!」手札2

わざわざ守備表示のモンスターをリリースしてまでのアドバンス召喚。
ギネヴィアの闇属性時の効果使用のためだとすれば、あの伏せは進撃の帝王を破壊するためのものか、それとも――
どちらにせよ、攻撃を誘われているのは確か――だが。

コナミ「手札から《カードガンナー》(ATK400→200)を召喚!」手札1

コナミ「カードガンナーの効果発動! デッキの上から三枚のカードを墓地に送り、攻撃力を1500アップする!」

カードガンナー「……」(ATK200→950)

コナミ「カードガンナーの効果で墓地に送られた《ダンディライオン》の効果発動! 《綿毛トークン》二体を守備表示で特殊召喚!」


コナミ「――バトル! カードガンナーでエクターを攻撃!」

カードガンナー「――――」(ATK950)

パーシヴァル「ハアッ!」(ATK950)

士郎「エクターに装備したギネヴィアの効果発動! 自身を破壊することで、戦闘モンスターを破壊する!」

エクター「オォッ!」(ATK950→800)

コナミ「カードガンナーの効果発動! フィールドのこのカードが破壊され墓地に送られた場合、カードを一枚ドローする!」

コナミ「ドロー!」手札2

コナミ「バトル続行! ドレッド・ルートでエクターを攻撃!」

ドレッド・ルート「■■■■■■■■■――――!!!!」(ATK4000)

エクター「……!!」(ATK800)

士郎「――……!」

迫る邪神の一撃。
目を逸らすな。己が挑むべき相手から。
耐えろ。ライフがまだ残っているのなら。
怯むな。この程度では、まだあいつを見上げることすら出来はしない――!


士郎「――が……っは……!」LP2200

全身を貫く衝撃。だが、耐えた。
まだライフは尽きていない。まだ、まだ――!

コナミ「そして永続罠《リビングデッドの呼び声》発動! 墓地の《光帝クライス》を攻撃表示で特殊召喚!」

コナミ「クライスは特殊召喚したターン、攻撃することはできない」

コナミ「クライスの効果発動! 召喚・特殊召喚時フィールドのカードを二枚まで破壊し、破壊されたカード一枚につきカードのコントローラーは一枚ドローする」

コナミ「対象はクライス自身とリビングデッドの呼び声。よって二枚ドロー!」手札4

コナミ「そして手札から《おくびょうかぜ》を発動! 次の相手のエンドフェイズまで、セットされた魔法、罠を破壊することはできない!」手札3

コナミ「カードを二枚セットし、ターンエン――」手札1

士郎「エンド、フェイズに……罠発動……! 《活路への希望》!」

士郎「相手よりライフが1000以上少ない時、ライフを1000払うことでライフ差2000につき一枚、ドローする……!」LP1200

士郎「ライフ差は6400……! 俺は三枚のカードをドロー……!」手札4


コナミ LP7600 モンスター 《邪神ドレッド・ルート》(ATK4000)綿毛トークン(DEF0)綿毛トークン(DEF0) 魔罠 伏せ2《冥界の宝札》《進撃の帝王》 手札1


士郎「俺の、ターン、ドロー……!」手札5


士郎「――――」

士郎「俺は手札から《戦士の生還》を発動! 墓地の戦士族一体を手札に加える! 《聖騎士の三兄弟》を手札へ!」

士郎「そして、手札から、《聖騎士の三兄弟》(ATK1200→600)を召喚!」手札4

士郎「三兄弟の効果発動! 召喚成功時、手札から聖騎士を二枚まで特殊召喚できる!」

士郎「……だが、この効果を使用したターン、聖騎士以外を特殊召喚することは出来ない」

コナミ「手札から《増殖するG》を墓地に送り効果発動! このターン、相手が特殊召喚を行う度に一枚ドローする!」手札0

士郎「っ……!」

コナミにドローさせれば、まず間違いなく妨害は飛んでくる。
だが、止まらない。ここで止まれば、永久にコナミに届きはしない……!

士郎「俺は手札から《聖騎士トリスタン》(ATK1800→900)《聖騎士ボールス》(ATK1700→850)を特殊召喚!」手札2

コナミ「モンスターが特殊召喚されたことにより、一枚ドロー!」手札1


士郎「俺は手札から《聖剣アロンダイト》を発動! トリスタンに装備!」手札1

士郎「――そして、トリスタンの効果発動! このカードに聖剣が装備された時、フィールドの表側表示のカード一枚を破壊する!」

士郎「俺が選択するのは、進撃の帝王!」

コナミ「っ――!」魔罠 伏せ2 《冥界の宝札》《進撃の帝王》 → 魔罠 伏せ2 《冥界の宝札》

士郎「そして墓地からギネヴィアの効果発動! ボールスに装備!」

士郎「ボールスは聖剣装備時レベルが一つ上がり、闇属性となる」

ボールス 光→闇 ☆4→5 ATK850→1000

士郎「聖剣を装備したボールスの効果発動! デッキから聖剣三枚を選択し、その内の一枚をランダムに相手に選ばせ手札に加え、残りを墓地に送る!」

コナミ「!――手札から《エフェクト・ヴェーラー》を墓地に送り効果発動! 相手のモンスター一体の効果をエンドフェイズまで無効にする!」手札0

士郎「――っ!」

思った通り、飛んでくる妨害。
だが――!

士郎「トリスタンの効果! このカードがフィールドに存在する限り、相手はトリスタン以外の攻撃力1800未満の聖騎士を攻撃・効果対象に出来ない!」

コナミ「――……! 《エフェクト・ヴェーラー》の効果により、エンドフェイズまでトリスタンの効果を無効にする!」


士郎「ボールスの効果続行! 俺が選択するのは《天命の聖剣》《聖剣ガラティーン》《聖剣 EX-カリバーン》の三枚!」

コナミ「……真ん中のカードを選択」

士郎「その一枚を手札――残りを墓地へ送る」手札2

士郎「そして墓地の《聖騎士エクター・ド・マリス》の効果発動! 墓地の聖騎士二体――モルドレッドとガラハドを除外し墓地から攻撃表示で特殊召喚する!」

エクター「ハッ!」(ATK1600→800)

コナミ「特殊召喚により、一枚ドロー!」手札1

レベル4と5が二体ずつ。聖騎士以外召喚不可。
止めるとすればレベル4を――――いや。


士郎「俺は――」

コナミ「――墓地の《妖怪のいたずら》を除外し、効果発動! フィールドのモンスター一体のレベルをエンドフェイズまで1下げる!」

士郎「!?」

コナミ「対象は――――《聖騎士ボールス》!」

ボールス ☆5→4


士郎「っ――――!!」

一手止められた。だが止まるな。
止められたのなら他の手を考えろ。残った道を手繰り寄せろ。
邪神を倒すために作った一ターン。あいつに近づくための――!

士郎「俺はレベル4のボールスとトリスタンでオーバーレイ! エクシーズ召喚!」

士郎「――現れろ、《聖騎士王アルトリウス》!」

アルトリウス「オオッ!」(ATK2000→1000)

コナミ「特殊召喚により、一枚ドロー!」手札2

士郎「アルトリウスの効果発動! エクシーズ召喚成功時、墓地の聖剣を三種類まで選択し、このカードに装備する!」

士郎「俺が選択するのは《天命の聖剣》《聖剣カリバーン》《聖剣ガラティーン》!」

コナミ「アルトリウスの効果にチェーンし、手札の《カオスハンター》の効果発動! 手札一枚を捨て、手札から守備表示で特殊召喚!」手札0

カオスハンター DEF1600→800

士郎「アルトリウスの効果で、自身に三枚の聖剣を装備!」

アルトリウス「――――!!!」(ATK1000→1750)

士郎「カリバーンの効果により、ライフを500回復!」LP1700

士郎「アルトリウスの効果発動! エクシーズ素材を一つ取り除き、自分の場の聖剣の数まで魔法・罠を破壊する!」

士郎「おくびょうかぜの効果でセットされたカードは破壊できない……だが、表側の冥界の宝札を破壊!」

コナミ「……っ」魔罠 伏せ2 《冥界の宝札》 → 魔罠 伏せ2


士郎「そして、三兄弟の効果発動! 1ターンに一度、墓地の聖剣・聖騎士の三枚をデッキに戻し一枚ドローする!」

士郎「墓地のアロンダイト、ギネヴィア、トリスタンをデッキに戻し、一枚ドロー!」手札3

士郎「手札から《聖剣 EX-カリバーン》をアルトリウスに装備!」手札2

士郎「そして手札から《フォース》発動! ドレッド・ルートの攻撃力を半分にし、その数値をアルトリウスに加える!」手札1

ドレッド・ルート「■■■■■■■■■――――!?」(ATK4000→2000)

アルトリウス「オオオオオオオォォッ!」(ATK1750→2750)

コナミ「――……」

士郎「――バトルだ! アルトリウスでドレッド・ルートを攻撃!」

アルトリウス「ハアァッ!」(ATK2750)

ドレッド・ルート「■■■■■■■■■――――!!!!」(ATK2000)

邪神を超える一撃。与えるダメージはたったの750ポイント。
それでも、意味はある。一撃を与えることが。コナミの足元に食らいつけると、届くと証明するための――


コナミ「――罠発動《ガード・ブロック》! 戦闘ダメージを0にし、デッキから一枚ドローする!」手札1

士郎「っ――――!」

だが、届かない。
邪神は倒した。それでも、まだあいつには――

士郎「っ……! 三兄弟で綿毛トークンに攻撃!」

届かなくとも、そこで止まりなどしない。
可能な限り、相手の場を――

士郎「――……!」ゾクリ


邪神を倒した。故に衛宮士郎は勝利へと近づく。
――だが。


コナミ「――永続罠発動! 《血の代償》!」


コナミにドローを許した。故に衛宮士郎は――


コナミ「ライフを500払い、自分のメインフェイズ、又は相手のバトルフェイズに通常召喚を行う!」LP7100

コナミ「綿毛トークン二体とカオスハンターをリリース!」

コナミ「――アドバンス召喚! 《邪神イレイザー》!!」手札0


イレイザー「■■■■■■――――――!」(ATK ?)

士郎(二、体目っ……!)

コナミ「イレイザーの攻撃力は相手の場のカードの枚数で変動する」

コナミ「数値は一枚につき1000ポイント。よって、攻撃力は7000となる!」

イレイザー「■■■■■■■■■――――!!!」(ATK7000)

士郎「っ――バトルを中断! バトルフェイズを終了する!」

士郎「……手札から《一時休戦》を発動!」手札0

士郎「お互いのプレイヤーは一枚ドローし、次の相手のエンドフェイズまで、お互いにあらゆるダメージを受け付けない!」

それでもまだ、諦めはしない。
まだライフは残っている。次のターンにも繋げられる。
――まだ、デュエルは終わっちゃいない。

士郎「ドロー!」手札1

コナミ「ドロー!」手札1

士郎「そして永続魔法《強欲なカケラ》を発動!」手札0

イレイザー ATK7000→8000

士郎「俺はこれでターンエンド!」


士郎 LP1700 モンスター 《聖騎士王アルトリウス》(ATK3500)《聖騎士エクター・ド・マリス》(ATK1600) 《聖騎士の三兄弟》(ATK1200)
       魔罠《聖剣カリバーン》《聖剣ガラティーン》《聖剣 EX-カリバーン》《天命の聖剣》(アルトリウス装備)《強欲なカケラ》 手札0


コナミ「ドロー!」手札2

コナミ「手札から《マジック・プランター》を発動!」手札1

コナミ「自分の場の永続罠――血の代償を墓地へ送り、二枚ドロー!」手札3

コナミ「バトル! イレイザーでエクターを攻撃!」

イレイザー「■■■■■■――――!!!」(ATK8000)

エクター「グ……アアアアアア!!」(ATK1600)

士郎「っ……! 一時休戦の効果により、ダメージは発生しない!」

イレイザー ATK8000→7000

コナミ「カードを一枚セットし、ターンエンド!」手札2


コナミ LP7100 モンスター 《邪神イレイザー》(ATK7000) 魔罠 伏せ1 手札2


士郎「俺のターン……ドロー!!」手札1

士郎「この瞬間、強欲なカケラにカウンターが一つ乗る!」

士郎「そして、ガラティーンの効果により、アルトリウスの攻撃力は200下がる」

アウトリウス ATK3500→3300

士郎「カリバーンの効果発動! ライフを500回復!」LP2200

士郎「アルトリウスの効果発動! エクシーズ素材を一つ取り除き、装備している聖剣の数まで場の魔法・罠を破壊する!」

コナミ「アルトリウスの効果にチェーンし、罠発動、《おジャマトリオ》!」

コナミ「相手の場に《おジャマトークン》(DEF1000)三体を守備表示で特殊召喚!」

コナミ「おジャマトークンはアドバンス召喚のリリースに使えず、破壊された時コントローラーに300ポイントのダメージを与える!」

イレイザー ATK7000→10000

士郎(攻撃力10000――!)

士郎「……アルトリウスの効果でおジャマトリオとカリバーンを破壊!」

イレイザー ATK10000→9000

士郎「三兄弟の効果発動! 墓地のエクター、ボールス、カリバーンをデッキに戻し、一枚ドロー!」手札2

士郎「アルトリウス、三兄弟を守備表示に変更! ターンエンド!」


士郎 LP2200 モンスター 《聖騎士王アルトリウス》(DEF2000)《聖騎士の三兄弟》(DEF2400)《おジャマトークン》(DEF1000)*3
       魔罠 《聖剣ガラティーン》《聖剣 EX-カリバーン》《天命の聖剣》(アルトリウス装備)《強欲なカケラ》 手札2


コナミ「ドロー!」手札3

コナミ「手札から《E-HERO ヘル・ゲイナー》を召喚!」手札2

コナミ「ヘル・ゲイナーの効果発動! このカードを二ターン後のスタンバイフェイズまで除外し、悪魔族一体を選択することで、そのモンスターはバトルフェイズ中二度の攻撃が可能となる!」

士郎(っ――! まずい……!)

コナミ「悪魔族――邪神イレイザーを選択!」

コナミ「バトル! イレイザーでアルトリウスを攻撃!」 

イレイザー「■■■■■■■■■――――!!!」(ATK9000)

士郎「天命の聖剣を装備しているモンスターは、1ターンに一度、破壊されない!」

コナミ「ヘル・ゲイナーの効果により、イレイザーでもう一度アルトリウスに攻撃!」

アルトリウス「グアアアッ!!」

士郎「――ぐっ……!」

イレイザー ATK9000→4000


士郎(イレイザーの攻撃力は大幅に下がった――だが)

まだ、到底届く数値ではない。
そして、聖剣の効果を発動し、再装備を行えば、それだけイレイザーの攻撃力は上昇する。

士郎「……聖剣の再装備効果は発動しない!」

コナミ「カードを一枚セットし、ターンエンド!」手札1


コナミ LP7100 モンスター 《邪神イレイザー》(ATK5000) 魔罠 伏せ1 手札1


士郎「俺の……ターン!」手札3

士郎「この瞬間、強欲なカケラにカウンターが乗る!」

士郎「そして、カウンターが二つ乗った強欲なカケラを墓地に送り、二枚ドロー!」手札5

イレイザー ATK5000→4000

士郎「三兄弟の効果発動! 墓地のガラティーン、天命の聖剣、聖騎士アルトリウスをデッキに戻し、一枚ドロー!」手札6

士郎(――! このカードは……)

引いた一枚。
逆転の可能性を秘めた、それ故に一歩使い方を誤れば敗北へと繋がる一枚。


士郎(……)

まだ、使えない。
使うための条件も揃っていなければ、使うべき状況にもなっていない。

士郎「――三兄弟をリリースし、手札から《魔聖騎士ランスロット》(ATK2000)をアドバンス召喚!」手札5

士郎「そして墓地のチューナーモンスター、《湖の乙女ヴィヴィアン》の効果発動! 自分の場のレベル5の聖騎士のレベルを一つ下げ、このカードを特殊召喚する!」

士郎「だが、ヴィヴィアンは戦士族のシンクロにしか使用できず、シンクロ召喚に使用した時除外される」

コナミ「……」

これで、手札抹殺で墓地へ送られた三枚は全て判明した。
スティーラー効果のチューナー。レベル5戦士シンクロ。何が来るか、などと考える必要も無い。
彼は、きっと。

士郎「レベル4のランスロットに、レベル1のヴィヴィアンをチューニング!」

士郎「――シンクロ召喚! 《魔聖騎士皇ランスロット》!!」

ランスロット「ハッ!」(DEF900)

士郎「ランスロットの効果発動! シンクロ召喚成功時、デッキから聖剣を一枚装備する!」

士郎「俺は天命の聖剣を選択し、ランスロットに装備!」

士郎「カードを二枚セットし、ターンエンド!」手札3

イレイザー ATK4000→7000


士郎 LP2200 モンスター 《魔聖騎士皇ランスロット》(DEF900)《おジャマトークン》(DEF1000)*3
       魔罠 伏せ2 《天命の聖剣》(ランスロット装備) 手札3


コナミ「ドロー!」手札2

ランスロットの強化体――シンクロ召喚時に聖剣を装備。
元の効果を考えれば、聖剣をサーチする効果が残っていると考えるべきだが。
壁にするためだけか、それとも――

コナミ「バトル! イレイザーでランスロットに攻撃!」

イレイザー「■■■■■■■■■――――!!」

士郎「天命の聖剣の効果により、1ターンに一度、破壊されない!」

コナミ「ヘル・ゲイナーの効果により、もう一度ランスロットに攻撃!」

士郎「――!」

ここを止めなければいけない。
あの伏せが、このカードを無効にする類のものであれば勝利には届かない。
賭け。だがそれに勝たなければ――

士郎「罠発動! 《フローラル・シールド》!」

士郎「相手モンスター一体の攻撃を無効にし、カードを一枚ドローする!」手札4

イレイザー「■■■■■■――――!?」

邪神の攻撃を防ぐ花弁の盾。
もう、何度目か。いまだダメージも与えられず、それでも、まだ足掻くために。
それでも、まだ、あいつに――!

コナミ「……《強欲な瓶》を発動し、一枚ドロー。ターンエンド!」手札3

イレイザー ATK7000→6000


コナミ LP7100 モンスター 《邪神イレイザー》(ATK6000) 魔罠 無し 手札3


士郎「俺のターン……ドロー!」手札5

士郎「手札から《聖騎士アルトリウス》を召喚!」手札4

士郎「そして《馬の骨の対価》を発動! アルトリウスを墓地に送り、二枚ドロー!」手札5

士郎「ランスロットを攻撃表示に変更!」

ランスロット「――……!」(ATK2100)

コナミ「……」

士郎「――バトルだ! ランスロットでイレイザーを攻撃!」

ランスロット「オオオオォッ!!」(ATK2100)

イレイザー「■■■■■■■■■――!!!!」(ATK6000)

士郎「そしてこの瞬間、罠発動! 《魂の一撃》!」

士郎「ライフが4000を下回っている時、ライフを半分払い、4000との差分だけ、モンスターの攻撃力を上昇させる!」LP1100

士郎「4000との差は2900――よって、ランスロットの攻撃力を2900アップさせる!!」


ランスロット「――――――!!!!」ATK2100→5000

士郎「そして、俺の場のカードが減ったことにより、イレイザーの攻撃力もダウンする!!」

イレイザー「■■■■■■――!?」ATK6000→5000

コナミ「――――」

ランスロットとイレイザーの攻撃力が並んだ。
そして、ランスロットが装備しているのは――

士郎「――そして、天命の聖剣の効果により、装備モンスターは1ターンに一度、破壊されない!」

ランスロット「ハアアアアァァッ!」

イレイザー「■■■――■■――…………」

士郎「邪神イレイザー撃破!」


コナミ「……」

黒鎧の騎士に屠られ、泥へと還る邪神。
――そして、その泥は。

士郎「……な、に!?」

ランスロット「グ、アッ!?」

全てを覆い尽くす。
自分の場、相手の場、その全てを――

コナミ「――イレイザーの効果発動! 破壊され、墓地へ送られた時、フィールドの全てのカードを破壊する!!」

士郎「な――!?」

迫る泥の波。
聖剣の加護はもう無い。つまり、それが示すのは。

ランスロット「グ、オオオオオオッ!!!」

士郎「っ――――!!!」モンスター 《魔聖騎士皇ランスロット》(ATK5000)《おジャマトークン》(DEF1000)*3 → 無し

コナミ「そして、おジャマトークンの効果発動! 破壊された時、コントローラーに300ポイントのダメージを与える!」

士郎「――!!」

標的を変え、迫り来る泥。
――そして、一撃。

士郎「っ……がっ――」LP200


士郎「――……っは……」

朦朧とする意識。
――それでも、まだ。

士郎「手札か、ら《異次元からの埋葬》発動……ヘル・ゲイナー、モルドレッド、ガラハドをそれぞれの墓地に戻す……」手札4

士郎「お、れは……カードを、三枚、セット」手札1

士郎「ターン……エン――――!?」

コナミ「!――……」


ゴゴゴゴゴゴゴ


士郎(もう、時間が少ない――この世界が完成しきるまで――)

士郎「ターン、エンドだ……っ……!」


士郎 LP200 モンスター 無し 魔罠 伏せ3 手札1


コナミ「……」

そういえば、未来のためにデュエルを始めたのだったか。
――そんな、どうでもいいことはとっくに忘れてしまっていた。

コナミ「――ドロー!」手札4

――今を。デュエルしている今を。
一分を。一秒を。一瞬を。
このデュエルを。このターンを。このフェイズを。このタイミングを――!

コナミ「手札から《終わりの始まり》を発動!」手札3

コナミ「墓地に闇属性モンスターが7体以上存在している時、5体を除外することで、デッキから3枚ドローする!!」

コナミ「墓地にはゼピュロス、ダブルコストン、ドレッド・ルート、冥府の使者ゴーズ、カオスハンター、虚無魔人、イレイザーの7体の闇属性!!」

士郎(……カードガンナーの時と、カオスハンターで捨てたカード、か)

コナミ「墓地からカオスハンター、ダブルコストンを除く5体を除外! 3枚をドロー!!」手札6

コナミ「――! ……」

そのカードを引いたのは、何の因果か。
未来などどうでもいいと言った。それでも、そのカードを引いたのは、気づかぬ所にある未練か。何かの暗示か。

コナミ「――――手札から《未来への思い》発動!!!」手札5


コナミ「自分の墓地に存在する、レベルの異なるモンスター三体を、攻撃力0、効果を無効にし、特殊召喚する!」

コナミ「この効果を発動するターン、エクシーズ召喚以外の特殊召喚を行えず、エクシーズ召喚を行わなかった場合、4000のライフを失う」

コナミ「墓地から《カードガンナー》《光帝クライス》《カオスハンター》を特殊召喚!!」

士郎「っ……!!」

再び収束していく泥。
それは、今までの比ではなく。

コナミ「――――そして、三体のモンスターをリリースし、アドバンス召喚、《邪神アバター》!!」手札4

アバター「――――」(ATK ?)

士郎「三体、目か……っ!」

現れたのは、漆黒の球体。
周囲の泥全てを凝縮し、その中で蠢かせている。
そして、その姿を――

コナミ「アバターの効果発動! このカードの召喚に成功した場合、相手は2ターンの間、魔法・罠を使用できない!」

士郎「っ罠発動……! 《ブレイクスルー・スキル》……! エンドフェイズまで、相手のモンスター一体の効果を無効にする!」

士郎「そしてブレイクスルー・スキルにチェーンにチェーンし、《エクシーズ・リボーン》発動……! 墓地から聖騎士王アルトリウスを特殊召喚し、このカードを素材とする……!」

コナミ「エクシーズ・リボーンにチェーンし、手札から《サイクロン》発動! エクシーズ・リボーンを破壊し、素材となる効果を不発にする!」

士郎「……エクシーズ・リボーンの効果により、聖騎士王アルトリウスを守備表示で特殊召喚……!」

アバター「……」(ATK ?)

コナミ「……手札を全て伏せ、ターンエンド!」手札0 LP3100


コナミ LP3100 モンスター 《邪神アバター》(ATK ?) 魔罠 伏せ3 手札0


コナミ「……」

これで、最後。
彼が、邪神を突破し、勝利しなければいけないのは今。
つまり、このターンが。

士郎「……」

これが、最後。
もう、残っている手段など無い。しかし、チャンスがあるとするのなら、それは今しかない。
つまり、このターンが。




コナミ「――」

彼 / あいつ にとってのラストターン――!

士郎「――」



士郎「俺、の……ターン、ドロー!!!!」手札2

――残っている手はあといくつだ。
二枚の手札。一枚の伏せ。一体のモンスター。



――シロウ



士郎「――」

脳内に響く声
――わかっている。喚べ。喚ばなければ勝てなどしない。
そのカードを。その名前を。

士郎「――墓地から《聖剣 EX-カリバーン》の効果発動!!」

士郎「このカードを除外し、自分の場の聖騎士エクシーズモンスターを使用することで、新たな聖騎士をエクシーズ召喚する!!」

コナミ「――!」

士郎「聖騎士王アルトリウスを使用し、――エクシーズ召喚、《神聖騎士王アルトリウス》!!」

――喚べ。呼べ。今の衛宮士郎が知るはずのないその名前。
二つの世界の全ての可能性が混ざり合ったこの世界。
だからこそ、その名前を、姿を知っている。――を。彼女を。


士郎「――――セイバーーーーーーー!!!」


セイバー(神聖騎士王アルトリウス)「はあっ!」(ATK2200)

コナミ「――――……!」

――その姿を知っている。
「コナミ」という存在があの世界に「在る」ために成り代わったその英雄。
「コナミ」という存在とは、相容れないであろう、対極な在り方のその英霊。

士郎「アルトリウスの効果発動! エクシーズ召喚成功時、墓地の聖剣を三種類まで装備する!」

士郎「俺は墓地から《天命の聖剣》を装備!」

コナミ「――」

セイバー「――!」

聖剣を構える騎士王。
そして、それに対峙するのは。

コナミ「――アバターの効果! アバターの攻撃力・守備力は、フィールドで最も高い攻撃力のモンスターの攻撃力+100となる!!」

アバター「――はあっ!」(ATK?→2300)

漆黒の球体が姿を変え、現れる黒鎧黒剣の騎士。
姿こそ騎士王と同じ。しかし、瞳は金色にくすみ、構える聖剣が放つは黒き輝き。

セイバー「――」

アバター「――」

――お互いに動くことはなく。そして。


士郎「アルトリウスの効果発動! エクシーズ素材を一つ取り除き、モンスター一体を破壊する! 対象はアバター!」

セイバー「はああっ!」

アバター「――づあっ!」

――一撃。

コナミ「速攻魔法発動! 《我が身を盾に》! ライフを1500払い、モンスター破壊効果を無効にし、破壊!」LP1600

アバター「おおおっ!!」

ガキン!

セイバー「くっ……!」

――弾かれる。まだ。

士郎「天命の聖剣の効果により、装備モンスターは1ターンに一度破壊されない!」

士郎「手札を一枚捨て、《ライトニング・ボルテックス》を発動! 相手の場の表側モンスター全てを破壊!」手札0

セイバー「――はぁっ!!」

――一閃

コナミ「カウンター罠《神の宣告》発動! ライフを半分払い、ライトニング・ボルテックスを無効に!」LP800

アバター「ぜあああっ!!!」

ギィン!

――防がれる。まだ。


士郎「墓地から《ブレイクスルー・スキル》を除外し、効果発動!」

士郎「エンドフェイズまで、相手モンスター一体の効果を無効にする!」

アバター「っ――ぐぅ……!?」(ATK2300→0)

膝をつく騎士。そして。

士郎「――バトルだ! 邪神アバターを攻撃!!」

セイバー「約束された(エクス)――――」


聖剣に収束する光。
だが、それは騎士王のものだけでなく。


アバター「約束された(エクス)――――」


聖剣に収束する闇。
対峙する黒い騎士もまた、迎え撃たんと解き放つその力。






セイバー「――――勝利の剣(カリバー)!!!!」





アバター「――――勝利の剣(カリバー)!!!!」






せめぎ合う白と黒の暴風。
だが既に、黒い騎士の持つ聖剣に力は無く。

セイバー「……おおおおおおおおおおっ!!!!」


アバター「……ああああああああああっ!!!!」

光に飲み込まれる黒の暴風。泥へと戻っていく騎士の体。
――だが。

コナミ「――罠発動! 《ヘイト・バスター》!! 悪魔族が攻撃対象となった時、戦闘を行う二体のモンスターを破壊し、破壊した相手の攻撃力分のダメージを与える!!」

士郎「――!」


アバター「う……おおおおおおおおぉぉぉオオオオォォ!!!!!!」


セイバー「…………!!!」


聖剣から放たれる魔力が膨れ上がる。
光を飲み込み、自身を飲み込み、全てを飲み込み、そして――


士郎「――――罠発動《約束の地-アヴァロン-》!!!」

士郎「墓地の《聖騎士王アルトリウス》《魔聖騎士皇ランスロット》《聖騎士の三兄弟》《聖騎士モルドレッド》《聖騎士ガラハド》を除外し、効果発動!!!」

士郎「フィールドに存在する全てのカードを破壊する!」

コナミ「――――……!!」


セイバー「全て遠き理想郷(アヴァロン)――――!」

カードを通じ、世界に顕現する聖剣の鞘。
迫り来る力の全てを防ぎ、闇を防ぎ、なお傷一つ与えることも叶わぬ最強の守り。

アバター「ああああああああアァアアアアア!!!」

コナミ「っ――――!!!」


邪神が泥と消え、消滅する光と闇。
――そして、誰も居ないはずの地に立っているのは。


士郎「――神聖騎士王アルトリウスの効果発動! フィールドから墓地へ送られた場合、墓地からレベル4以上の聖騎士を特殊召喚する!」

士郎「俺は《聖騎士アルトリウス》を特殊召喚!!!」

セイバー「――――おおおおおおおおおおおっ!!」(ATK1800)

コナミ「――……!!」LP800

――迫る蒼い流星。
手札は無く、モンスターは無く、魔法も、罠も無く。

士郎「――アルトリウスで、プレイヤーにダイレクトアタック!!!」

セイバー「約束された(エクス)――――!」






セイバー「――――勝利の剣(カリバー)!!!!」



一撃。



コナミ「――…………」LP0




――ようやく、届いた。























ゴゴゴゴゴゴゴ……

士郎「……」

崩れ始める世界。
聖剣の一撃は、この世界を創っていたカードも同時に吹き飛ばし、もう、この世界が消滅するまでは時間の問題だ。

セイバー「――シロウ」

士郎「! ……セイバー」

目の前に立つ、知らないはずの少女。
だが彼女は、何を言うでもなく。

セイバー「彼の所へ急ぎなさい、シロウ。今のあなたのパートナーは、彼なのでしょう」

――その言葉は。
彼女と自分の状況を理解するには、十分で。

士郎「……ああ。すまなかった、セイバー。それと、助かった」

セイバー「――ええ。また、どこかで」

士郎「――ああ。また、いつか」

――コナミの場所へ、足を進める。


コナミ「……」

士郎「……」

この勝利を、誇らなければならない。お互いの譲れないものを賭けた一戦。
そうしなければ、自分の思いを、相手の思いを、この戦いを無にしてしまうから。

士郎「……コナミ」

例え、怨まれようと。例え、憎まれようと。
その全てを背負う覚悟は出来ている。だから。

――そのはず、なのに。

コナミ「……」

あいつは。



コナミ「――――」

ありがとう。

コナミ「――、――」

デュエルが、出来た。


士郎「――――っ!!」

その言葉は、どこまでも透明だった。
未練も無く、憎悪も無く、善も無く、悪も無く。
ただ、デュエルが出来た。
――だから、ありがとうと。

士郎「っ……」

デュエルが出来たから。だから、きっとコナミの願いは叶ったのだ。
――それでも。どこまでも純粋にデュエルを追い続けたコナミを、またあの闇に戻してしまうということが。

士郎「コナミ、俺は――」

誰もが救われる世界が、理想だなんてことはわかってる。
選んだこの道が、間違いだなんて後悔もしない。
――それでも。この相棒を救えないということが、ただ、悔しくて。

士郎「……っ」

その姿を、直視できなかった。
己にとっての理想の体現を。己にとってのパートナーを切り捨てるということが。
自分で、自分を否定してしまいそうで――


ゴゴゴゴゴゴ!!!

士郎「!?」

コナミ「――」

世界が崩壊する。
超融合によって素材となりかけた二つの世界は、その力を取り戻し。

士郎「――コナミ!」

コナミ「……」


――衛宮士郎の世界にとって、「コナミ」とは本来存在しないもの。
もう、世界を騙すだけの力も無く、「異物」たるコナミは矛盾として排除される。
コナミが存在した世界を。存在した記録を。存在した記憶を。
――コナミという存在を。


士郎「っが……あ……!!」

――消える。
あいつと過ごした記憶が。あいつの名前が。あいつの顔が。
頭から全て抜け落ちていく。

士郎「……コ、ナ」

手を伸ばす。
コ――のもとへ。何が出来るわけでもない、ただ。

だが。


士郎「……!?」


手が届かない。彼の姿が遠のく。
――力を取り戻した世界は、もう一つ。


コナミ「……」


コナミが居た世界の力。
誤った歴史を歩んだ者を、その分岐点まで巻き戻す。
コナミにとっては、何度も経験した慣れた力。
ただ、違うのは、その力を受けているのが彼ということか。


士郎「――!」

巻き戻る時間。赤い帽子の彼の姿が遠のく。
もう、名前も、何故自分が手を伸ばしているかすらわからない。
ただ、そうしなければいけないと。そうしなければ後悔すると――――
自分が、あいつが。

士郎「、あ――――」


――もう、届かない。




そうして。


正義の味方は世界を救い


衛宮士郎は――を救えず


――は再び闇へと消え


偽りの聖杯戦争は、終わりを告げる。




一旦切り

あとエピローグだけだから深夜中に投下できたらいいな(フラグ)

あああ見直してたらミス発見。デュエル内容には関係しないからダメージは無いけど
>>538
パーシヴァルどっから出てきたんだよエクターだよちくしょう
>>550
イレイザーの攻撃翌力9000→4000じゃなくて9000→5000ですねはい。次のレスでは直ってますが


はい深夜中は無理でした。今日中に終わります


「……い……先輩」

士郎「う……ん」      

桜「先輩、起きてますか?」

聞きなれた後輩の声と、外から差し込んだ光で目を覚ます。
寝ぼけているのか、頭がうまく働かない。

士郎「桜……あれ、ここは……」

見渡す限り、見慣れた光景が広がっている。
……ああ、そうだ。ここは家の土蔵、確か昨日の夜から壊れたストーブを修理して――

――ザ――――

士郎「あ、れ……?」

桜「……先輩?」

一瞬、記憶に走るノイズ。
そこに、映っていたのは。


士郎「っ――――」

知らないはずの人。
きっと、最近すれ違った人かなにかを思い出したのだ。
だって、そんな人は知り合いに居ないのだから。そのはず、なのに。

桜「あの、先輩? どうかしたんですか?」

士郎「……いや、なんでもない。朝の支度しなくちゃな」


胸の内に残る蟠り。
そして、自分の中から何かが抜け落ちてしまったような感覚。

何かから逃げるように。
何かから目を背けるように。

ただ、いつも通りに――



























コナミ「……」

闇の中に決闘者が一人。
だが、その目に絶望などは無く、ただ前を見据えている。

一歩。

――この刀を振るえる相手と戦うことが願いであった。得物は違えど、それはそなたも同じであろう?

コナミ「……」

――デュエルが、出来た。

一歩。

――貴様がその在り方を続けるのならば、目的は果たされぬ。それでも、願いは果たされよう。未来永劫変わらぬ貴様の願いはな

コナミ「……」

――それでも、デュエルが出来たから。

一歩。


コナミ「……」

宝具とは、サーヴァントの象徴だ。
今持っているカードは全て把握している。だが、その宝具で作った彼のデッキには知らないカードが存在した。

一歩。

コナミ「……」

それはつまり、生きている内にそれらのカードを手に入れるということ。
まだ見ぬカード。まだ見ぬデュエル。無いと絶望していた未来の存在の証明。

一歩。

コナミ「……」

だからきっと、あの世界に飛ばされた理由はそういうことなのだろう。
彼に会うことが。彼とデュエルしたということが。
誰かの言葉を借りるなら、未来に絶望しないということが。


コナミ「……」

一歩。

世界の最果てにたどり着く。見据える先には微かな光。

コナミ「……」

……そういえば。
その「彼」に、何も言わずに消えてしまったな、と。

コナミ「――……」

コナミ「……」

コナミ「……」

コナミ「…………《――――》」


















桜「……? 先輩、何ですか、それ?」

士郎「え?」

桜が指差した先にあったのは、一枚のカード。
黒と茶色の渦巻き模様なこと以外何の変哲もない、ただの――

士郎「……!」

何かに引かれるように、そのカードに手を伸ばす。
知らないはずなのに、何か大切な物の気がして。
知らないはずなのに、――のことを思い出せる気がして。
何もわからないまま、カードを拾い上げ――

桜「……先輩!?」

士郎「――――っ!」

暗転する視界。
体を包む浮遊感。
そして。


士郎(……ここは)

見渡す限り一面に広がる闇。
――だが、その中に、一人。

士郎(! ――ぐっ!?)

闇の中を歩く、赤い帽子の青年。
その姿を見た瞬間、脳内に響く鈍痛。

士郎(あ、――――ああ)

脳内を駆け巡る記憶の断片。

彼の名前はわからない。
――それでも、彼と戦った数日を。

彼が誰だかわからない。
――それでも、闇の中で絶望していた彼の姿を。

士郎(――っ――!)

脳内を過る後悔の念。
あいつを――


士郎(――――え?)

そうして、向けた視線。
その、先に居たのは。

コナミ「――」

士郎(――――あ)

闇の中、前へと歩みを進める青年。
――そこに、絶望の色などは無く。

士郎(――――)

一人を救えなかったことを悔やんだ。自らの理想を否定しかけた。
――それでも。
その背中が。前へと進むその背中が、否定しかけた自分以上に、自らの理想を肯定してくれているようで。


士郎(こ、れは……)

再び、流れ込む記憶。
その記憶は、思いは、自らのものではなく。

士郎(あいつ、の――)

あの、最後の戦い。衛宮士郎が選び、衛宮士郎が成した正義が間違いではないと。
自分は衛宮士郎のおかげで救われた。だから。
――だから、全てを救いたいという衛宮士郎の理想は、思いは、間違ってなどいない、と。


士郎(――……)

再び、赤い帽子の青年に視線を向ける。
その姿をまっすぐに見られるということが、少し、誇らしかった。

コナミ「……」

青年が歩みを止める。
その先には微かな光。彼が望み、焦がれ続けたもの。

士郎(……)

彼がその光に手を伸ばせば、この闇は晴れるのだろう。
そして、きっとこの記憶は、また消えてしまう。

士郎(……)

そのことに、不思議と後悔や未練といった思いは生まれなかった。
ただ――そうだ、そういえば。


士郎(――またな、相棒)

そんな、別れの言葉。
声として出ないその言葉は、きっと彼には届かない。
だから、彼が踏み出す一歩を見届けようとして――



士郎(……――!)


あいつは。


コナミ「……」


相変わらず、背を向けたまま。
ただ、こちらに見えるように片手を振り――


コナミ「――またね、相棒」


士郎(――――……!)


そう言って、一歩踏み出し。

コナミ「――――」

――闇が、晴れる。


「……い! 先輩!」

士郎「う……」

桜「先輩! 大丈夫ですか!?」

士郎「桜……ああ、大丈夫だ」

気を失っていたのか。
気を失う前は、たしか。

桜「先輩、いきなり倒れて……やっぱりどこか悪いんじゃ……」

士郎「――いや、問題ない。少し、寝ぼけてたみたいだ」

士郎「……うん。今はしっかりと、目が覚めた」

士郎「……さて、朝の支度しなくちゃな。さっさとしないと、藤ねえが来ちまう」

桜「あっ! 先輩、待ってくださーい!」


士郎「…………ん」

手の中に持っていた一枚のカード。
それが、光へと消えていく。

士郎「……《好敵手の記憶》」

胸の内の蟠りも、何かが抜け落ちた感覚も、すっかり無くなっていた。
――本当に、目が覚めた。

士郎「……ああ――」

だから、いつも通り、理想に向かって――






4000→4000(Clear!)






コナミ「……」

コナミ「――……?」

光に手を伸ばし、辿りついた場所。
アカデミアでも、ネオドミノでも、ハートランドでもない。
室内――どこかの建物か

「……えーっと。どちら様?」

コナミ「――!」

背後からかかる声。
振り向いた先に居たのは、ゴーグルをかけた赤緑髪の少年。

「……あ! もしかして塾長が言ってた新しい塾生ってアンタのことか?」

「確か、熱血の赤い帽子だからわかりやすいぞ! とかなんとか言ってたっけ……」

コナミ「――?」

「え? ああ、自己紹介してなかったな。俺は――」

遊矢「――俺は榊遊矢! お前は――コナミっていうのか。よろしくな!」


遊矢「っと……そうだった。確かコナミを見かけたらデュエルしてみろって塾長に言われてたんだったな……」

コナミ「! ――?」

その言葉に、いち早く反応する。
――ああ、やっぱりここは。

遊矢「ああ。この塾のデュエルを教えてやれー! とか言っててな」

遊矢「そうだな……ここじゃアクションフィールドは発動できないけど、問題は無いか」

コナミ「――」

慣れた動作で、デュエルディスクを構える。
そして、デッキをセットし。

コナミ「――……」

デッキの中に見えた、知らないカード。
その事実に、少し口元が緩む。

遊矢「……よし、準備完了!」

もう、迷いはしない。未来が続くと知っているから。
だから、今まで通り――

遊矢「――デュエルだ、コナミ! ペンデュラム召喚を――俺のエンタメデュエルを見せてやる!」ジャキン

コナミ「――――!」ジャキン

もう、絶望はしない。そこにデュエルがあるから。
だから、いつも通り――






「――――デュエル!」









――デュエルを、続けよう





そしてTFSPとFate本編へ……だったらいいな

スレ立てた時点で「最終的にコナミ君と士郎がデュエルしてなんやかんやしてTF新作の世界に辿りつく」
ってオチ以外何も考えてなかったからストーリーとか設定とか穴ありまくりな気がしてならない。
とりあえずこれにて完結ということで。

読んでくださった方は長い間お付き合いありがとうございました。

HTML化依頼もしたので以下完全な余談

・VS士郎時のコナミ君のデッキ
邪神は色々と都合が良かった。見栄え的にも汚染された聖杯的にも。アバターでオルタになれるとことかも。
書いてる途中に気づいたけどコナミ君が知ってる限りの聖騎士じゃ汎用に頼らないと倒せないとことかも。
他にも考えたけど
三幻神→コナミ君がホルアクティ出せないわけない。出されたら対処できない。没→ギル戦へ
エクゾディア→同上→バーサーカー戦へ
そっぴー→書いてみたけどコナミ君のデッキがわけわからなくなった。出した後に士郎に不自然じゃないリカバリーさせる方法も思いつかなかった。
特にラストターンでアヴァロン、神聖騎士王、EX-カリバーンの三枚使って決めるのはデッキ決める前から決めてたことなので墓地含む除外はすこぶる相性が悪い。没。

・途中の1000とかの数字
わかる人はわかるだろうけど士郎の好感度
ゲームでもハート一個で好感度1000なんですよね。

・宝具
今考えれば変な縛り(同カード一回しか使えない)つけなければ良かったと思う。うん。
この縛りのせいで話が進むたびに戦闘が書きにくくなるわ使えるカードの幅が狭まるわ最終戦のドローソースで頭悩ませるわで散々だった。
やっぱこういう重要なことは書く前にちゃんと考えないとだめですね。

・ラストデュエル
ドレッド・ルートの処理が面倒なので早々にご退場願いたかった。しかし結構長い間場に居るという。
攻撃翌力変動の処理間違ってませんよね……?

・聖杯他色んな物の設定の解釈
重大なミスとかしてそうで怖い


こんなところか
それでは重ね重ね、読んでくださった方はありがとうございました。

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