モバP「遠く離れて」諸星きらり「地球にきーらーりー☆」 (36)


モバP「おっはようございまーす」

千川ちひろ「おはようございます。プロデューサーさん、ドリンクどうぞ」

モバP「あ、どうも……うん? 見たことないラベルですね」

ちひろ「新作ですよ。今までのドリンクにも入ってた成分を濃縮しただけですけどね。名付けて開運ドリンク!」

モバP「へ?」

ちひろ「ほら、今日はほたるちゃんが来るじゃないですか」

モバP「ああ、それで……」


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※モバマス

※ウルトラマンシリーズ

※短編

※前作
モバP「モロボシ・ダンの」諸星きらり「まーなーむーすめー☆」
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※地球は狙われている……。今、宇宙にただよう幾千の星から、恐るべき侵略の魔の手が……。


モバP「って、運ってドリンクでどうにかなるもんなんですか」

ちひろ「ほたるちゃんの不運なら大丈夫だと思いますよ?」

モバP「おお、詳しいことはわからないが凄い自信だ……!」

双葉杏「プロデューサー、杏にも飲み物ちょーだーい」

森久保乃々「もりくぼも欲しいんですけど……」

モバP「ああ、お前たち、いたのか」

杏「今日は今朝からいたよー。褒めてもいいよ」

乃々「杏さん、もりくぼが来たときからいたんですけど……」

モバP「……杏、お前ひょっとして昨日寮に帰ってないな?」

杏「ぎくっ」

モバP「仕方ないヤツだな、ほら、ドリンクやるから元気出せ」

ちひろ「あ、プロデューサーさん。杏ちゃんと乃々ちゃんにはジュースが冷えてますからドリンクなしで」

モバP「なにそれずるい」


ちひろ「まあまあ。プロデューサーさんにはお茶を淹れますから」

モバP「ああ、それなら……ジュースは冷蔵庫ですか?」

ちひろ「はい」

モバP「だ、そうだ。お前ら、飲んでいいぞ」

杏「めんどくさいからプロデューサーが取ってきてよ」

乃々「もりくぼも賛成なんですけど……」

モバP「おまえらなあ」

ちひろ「いいですよ、お茶入れるついでに持ってきますね」

モバP「ああ、すみません。ほら、お前たちもちひろさんに感謝しないとだぞー」

杏「ありがとーちひろさーん」

乃々「ありがとうございます……」


杏「けど、プロデューサーもチョロいよね」

モバP「チョロいってお前」

乃々「チョロいんですけど……お茶で懐柔されてたんですけど……」

モバP「いや、だってちひろさんのお茶美味しいだろ。銘柄知らないけど」

杏「んー、中国茶じゃないの?」

乃々「ウーロン茶っぽい……と、思いますけど……」

モバP「そうなのかな。ウーロン茶とはまたちょっと違うだろ」

杏「聞いてみればいいんじゃない? 面倒だから杏は聞かないけど」

モバP「それもそうだな。ちひろさーん! あのお茶って何茶なんですかー!?」

ちひろ「――ロン茶ですよー」

乃々「……やっぱり、ウーロン茶みたいですけど……」

モバP「給湯室からだとよく聞こえなかったけど、そうっぽいなー」


モバP「そうだ。杏、乃々」

杏「なに?」

乃々「なんですか……」

モバP「おまえたち、宇宙人とか怪獣だったりしないか? 杏は寝てばっかりだしガヴァドンAとかさ」

杏「……どうしよう乃々ちゃん。ついにプロデューサーがおかしくなったよ」

乃々「あ、あの、プロデューサーさんももりくぼと一緒にお仕事やめた方がいいと思うんですけど……」

モバP「え、なにその反応」

乃々「プロデューサーさんが働きすぎでおかしくなったんだと思ってるんですけど……」

杏「面倒だけど、杏の面倒を見てもらえなくなるのはもっと困るしなあ。仕方ないよね。確かちひろさんの机に……」

モバP「ん、なに探してるんだ?」

杏「プロデューサーの休暇簿だよ。今月1日も休んでないでしょ」

乃々「プロデューサーさんを事務所で見ない日がないんですけど……」


モバP「そういえばそうか。俺は土日とかない仕事だからなあ」

杏「杏たちとは業態が違うんだから、自分の休みくらいちゃんとしてよ……あれ、机の上にはない。引き出しかなあ」

乃々「あ、私も探しますね……」

モバP「無理に探さなくていいぞ。どうせ暫く休みは取れないし」

杏「そんなこと言ってるからおかしなこと言い出すんだよ。あれ、ここでも……うん? なにこれ」

モバP「どうした?」

乃々「杏さん、どうしたんですか……?」

杏「なんかちひろさんの机からタバコが出てきたよ」

モバP「タバコ? ちひろさんタバコ吸わないだろ」

乃々「吸ってるの見たことないですけど……。それに、凄く古そうですけど……」

杏「杏はよく知らないけど、最近のタバコってなんか注意書きとかいっぱい書いてあるんじゃないっけ」

モバP「そうだな。ほとんど無地だし、それに……『EE』? こんな銘柄、聞いたことない……いや、どっかで見たか……?」


ちひろ「お茶が入りましたよーって、なにしてるんですか!」

モバP「ああ、いや、すみませんちひろさん。杏と乃々がどうしても俺に休みを取らせたいらしくて」

杏「プロデューサーの休暇簿を探してたんだよ。いきなり怪獣がどうとか言い出すくらい疲れてるみたいだから」

ちひろ「プロデューサーさん……またですか……」

乃々「見つかったのはタバコですけど……」

ちひろ「休暇簿なら……ああ、ありました。はい。プロデューサーさん最近休んでないですし、今週なら大丈夫ですよ」

杏「杏たちのおかげだね」

乃々「お礼に今日の仕事なくしてくれてもいいですけど……」

モバP「そんなわけにはいかないぞ。まあ、もう少し時間あるからそれまでは休んでてもいいけどな」

ちひろ「プロデューサーさん、お茶もどうぞ。杏ちゃんと乃々ちゃんはジュースですよ」

杏「わぁーい」

乃々「わぁーい……」

モバP「歓声までダルそうって、お前らほんとやる気ないのな……」


モバP「けどちひろさん、このタバコどうしたんです?」

ちひろ「あ、ああ、それですか。ええと……同郷の先輩が故郷に戻るのに、もう要らないからとくれたんですけど」

モバP「ちひろさんタバコ吸いませんよね」

ちひろ「そうなんですよね。だから持て余しちゃって」

モバP「よければ貰っても? 友達がタバコ吸うんですよね」

ちひろ「あー……やめておいた方がいいと思いますよ」

モバP「ああ、やっぱり古いからですかね」

ちひろ「それもありますし、あんまり健康にいいものでもないですから。凶暴化したり」

モバP「ですよね。俺も会う度に言ってるんですけどね……凶暴化?」

ちひろ「いい機会だから、捨てちゃいますね」

モバP「あの、ちひろさん?」


モバP「ちひろさん、今なんか物騒なこと……」

白菊ほたる「すみません、おはようございます……」

モバP「お、ほたるか。ああ、おはよう」

ちひろ「はい。おはようございます、ほたるちゃん」

ほたる「プロデューサー、ちひろさん、おはようございます……あの、大丈夫ですか? 経営、傾いたりしてませんか?」

モバP「ははは、いきなりか。ほたるは心配性だな。大丈夫大丈夫。俺もこのとおり元気だし、事務所の経営も……」

ちひろ「順調ですよ。今のところは、ですけど」

モバP「ちょっと不安になる言い方は止めてくださいよ。ああでも、開運ドリンクが効いて仕事も増えるといいですね」

ほたる「か、開運ドリンク、ですか?」

モバP「おう。ちひろさんの新作でな。ほたるも飲むか?」

ちひろ「あ、ほたるちゃんはもう少し待ってください」

モバP「はい?」


杏「プロデューサー! 杏は仕事に行くよ!」

モバP「!?」

乃々「もりくぼは引退するのを……引退しようと思うんですけど……!」

モバP「  」

杏 「働くって素敵!」

乃々「きっと流した汗は美しいんですけど……!」

杏 「たくさんの夢があれば!」

乃々「いもですけど……!」

モバP「え、なに、なにが起きたのこれ。縦読みそれでいいのか?」

杏「乃々ちゃん、仕事に行こう!」

乃々「望むところですけど……!」

モバP「おい、ふたりとも! ……あ、ああ、行っちゃったよ」

ちひろ「思った通り。ほたるちゃんと杏ちゃん、乃々ちゃんの相乗効果が出てきたみたいですね」

モバP「相乗……効果?」


ちひろ「はい。実は先日、プロデューサーさんが営業に出ている間に偶然知ることになったんですけど」

モバP「あ、はい」

ちひろ「ほたるちゃんも怪獣だったんです」

モバP「……はい?」

ほたる「そ、そうなんです。すみません、すみません」

モバP「ええと、怪獣、ですか」

ちひろ「はい」

モバP「どんな怪獣……なんです?」

ちひろ「ふふふ、聞いて驚いてください! なんと、ほたるちゃんはですね!」






ほたる「や、ヤメタランス……です」

ちひろ「あっ」





ちひろ「私が言おうと思ってたのに!」

ほたる「す、すみません、すみません」

モバP「ヤメタランス……って、確か、いるだけで周囲が怠け者になっていく?」

ほたる「は、はい」

モバP「え、じゃあほたるの不幸って、事故は?」

ほたる「運転手さんが急に運転をやめてしまって……」

モバP「前の事務所は……」

ほたる「あの、私がいると……皆さん勤労意欲をなくされて……」

モバP「……そりゃ潰れるなあ」

ほたる「私も、一生懸命お仕事したんですが……」

ちひろ「社長さんが経理系のお仕事をしなくなってしまったらしくて」

モバP「最強の侵略兵器だな!?」

ほたる「ち、違います。侵略とかじゃなくて、私、アイドルになりたくて……」


ちひろ「そこでちひろ印の開運ドリンクです」

モバP「ええと、それは」

ほたる「私の身体から出るなまけ放射能をブロックする効果が……」

モバP「なまけ放射能!?」

ちひろ「放射能と言っても怠け者になるほかは無害なので安心してください」

モバP「あ、そうなんですか……って、ちひろさんなんでそんなもの作れるんですか」

ちひろ「今更ですよプロデューサーさん。エナドリもスタドリも私が作ってるのに」

モバP「なん……だと……」


モバP「って、それじゃあの杏と乃々はどう説明するんです」

ほたる「そ、それはですね、杏さんみたいに元々働きたくない人は、働きたくないのを怠けることになりまして」

ちひろ「裏返って働き者になる、ということなんです」

モバP「ああ、ええと、マイナスにマイナスをかけるとプラスになる、的な」

ほたる「大体そんな感じです、すみません……!」

モバP「と、すると。俺とちひろさんは先にドリンクを飲んでいたから平気で」

ちひろ「杏ちゃんと乃々ちゃんは飲んでなかったのでなまけ放射能の影響を受けてしまった、ということですね」

モバP「……ちひろさん、今日わざと杏たちとほたるが事務所で鉢合わせするようにしましたね」

ちひろ「流石に気付かれますか」

ほたる「すみません、すみません」

モバP「いや、ほたるは別に……悪くないって言うのかなあ、これ」


モバP「うん? でも俺、ほたると一緒にいて怠けたくなったことないんですけど」

ほたる「そういえば、どうしてでしょう……?」

ちひろ「プロデューサーさんは多少怠けるくらいでちょうどいいと思うんですけどね」

ほたる「……あ! あの、凄く前向きな人には怠け放射能も効き辛いと……聞いたことが、ありました」

モバP「俺のやる気がありすぎただけみたいな話か……」

ちひろ「宇宙人もウルトラマンもプロデュースしちゃうプロデューサーさんですしね」

モバP「なんか釈然としませんが……あ、ほたるはもうきらりやあやめのことは知ってるのか?」

ほたる「は、はい……ちひろさんがドリンクを作る時に手伝っていただいてますし」

ちひろ「ええ。最初はきらりちゃんと戦ってもらってどうにかならないか、と思ったんですけど」

モバP「俺の知らないうちにそんなことが……!?」


~ちょっと前~

諸星きらり「なんだかめんどくさくなってきたにぃ……★」

浜口あやめ「ああ、きらり殿の星も黒くなっておりますね……」

市原仁奈「仁奈もだりーでごぜーます……」

川島瑞樹「わかるわ……」

佐久間まゆ「私ももういろいろ面倒です……」

白菊ほたる「ああ、また私のせいで大変なことに……」

ちひろ「おはようございまーす、って、なんですかこれ!」

ほたる「す、すみません、私のせいなんです」

ちひろ「ほたるちゃん?」

ほたる「最近力が強くなってしまって……」

ちひろ「……力?」

ほたる「もうこれ以上秘密にはしていられません……あ、あの、私、実は怪獣、なんですっ!」


 ほたるが自分の素性を告白するあいだ、大怪獣ラッシュの公式ホームページでお楽しみ下さい。

 http://www.daikaijyu.com/rush/

 ウルッ! トラッ! フロンッ! ティアッ!


ほたる「……と、言うわけなんです」

ちひろ「なるほど、ほたるちゃんが怪獣ヤメタランス……」

ほたる「あの、ちひろさんはどうして平気なんですか……?」

ちひろ「え、ええと、毎日ドリンク飲んでるからかしら」

ほたる「……はあ……」

ちひろ「でも、そういうことであれば本当ならきらりちゃんの出番なんだけど」

ほたる「きらりさんの?」

ちひろ「ええ、きらりちゃんは実はウルトラマンなの。だけど……」

きらり「にょわっ……でゅわっ……へぇやっ……★」

ちひろ「もう日本語を話すのも面倒になってるみたいだし」

ほたる「ど、どうしましょう……」

ちひろ「今日は休憩室で大丈夫よね。ちょっとほたるちゃん、休憩室に行っててもらえる?」

ほたる「は、はい」


ちひろ「きらりちゃーん」

きらり「ちひろさん、でゅわー……★」

ちひろ「ほら、これ飲んで、ちょっと休憩室でほたるちゃんに浄化光線みたいの撃ってもらえない?」

きらり「じょーか、こーせん?」

まゆ「ちひろさぁん、なんですか、それ……?」

ちひろ「まゆちゃんは寝てていいから、ね」

まゆ「はぁい……」

ちひろ「ないかしら、浄化光線とか封印光線とかそういうの」

きらり「……なんかすっきりしてきたにぃ☆ あることはあるゆー?」

ちひろ「ドリンクが効いたみたいね。そうしたら、ちょっとお願い。その光線が効いてる間に、私は解毒ドリンクを作ってみるから」

きらり「おっすおっす! まーかせてー☆」


ニョワッ デュワッ

ポエッポエー ポエー

あやめ「ああ、なんだか珍妙な鳴き声ですね……やる気を削ぐような……なんでもいいですが……」

ちひろ「ほら、あやめちゃんも飲んで飲んで」

ニョワッ

ポエッポエー

あやめ「……は、あやめは今まで何を」

ちひろ「詳しいことは後で説明しますが、ほたるちゃんが怪獣ヤメタランスだったんですよ」

あやめ「なんと……恐ろしい……!」

ニョワッ ニョワ……ニョワ……ニョワ……

ポエッポエポエー

ニョワー☆

シュワシュワシュワシュワー

あやめ「おや、光線ではありませんね」

ちひろ「ウルトラ一族によくある浄化光線ですよ」

あやめ「フォッ!? ちひろ殿、最近どんどんウルトラマンに詳しくなっておられますね」

ポエッポエー

ニョワッ!!


きらり「おっすおっすばっちし☆ これでしばらくはだいじょーぶだと思うにぃ」

ほたる「あ、ありがとうございます、すみません……」

あやめ「ところできらり殿、先程の浄化光線の名前は……」

きらり「おにーちゃん譲りの、ウルトラキラリレクターだゆ☆」

あやめ「その様な技をお持ちとは。これからも役に立つことがありそうですね」

きらり「そーだにぃ。ウルトラマンは怪獣を倒すだけじゃないのだー☆」

ちひろ「よかったですね、ほたるちゃん」

ほたる「はいっ……!」


 またもや事務所、じゃない、地球の平和は守られた……いや元からピンチでなかった気もするが!

 だが気をつけろ、この事務所、じゃない、地球にはまだたくさんの怪獣と宇宙人が潜んでいるぞ!

 いけ、ウルトラウーマンキラリ!

 たたかえ、ウルトラウーマンキラリ!


モバP「た、大変だったんですね……!」

ちひろ「プロデューサーさんが営業から帰ってくるときには元どおりでしたけどね」

モバP「ご、ご苦労さまです」

ちひろ「いえいえ。プロデューサーさんが外に出てお仕事を取ってきてくれるから、私が事務所で頑張れるんですよ」

モバP「いやあ、ちひろさんが宇宙人や怪獣のはずがなかったですね! カネゴンなんて言ってすみませんでした!」

ちひろ「ふふふ、まあ、カネゴンじゃないって言っただけで宇宙人じゃない、とは言ってませんけどね」

モバP「またまたぁ……」

???「ふぅん、そういうことだったんですねぇ……」


登場宇宙人解説

◆ヤメタランス(白菊ほたる)

身長:156センチ ~ 45メートル(無限に増える)

体重:42キロ ~ 3万トン(無限に増える)

出身地:ヤメタランス惑星

必殺技:なまけ放射能

 ……

 …………

 ………………

 ああ、説明?

 めんどうだな~。仕方ないから、する、けど……。

『帰ってきたウルトラマン』第48話「地球頂きます!」で初登場。通称なまけ怪獣。

 やる気だけはある宇宙人ササヒラーに地球に連れてこられた宇宙生物で、そこにいるだけで怠け者になるなまけ放射能を撒き散らす能力があるよ。

 元々怠け者が浴びると怠けるのを怠けるのでやる気が出るよ。

 ヤメタランス本人はいい怪獣だったけど、本人がいくらやる気があってもこの能力じゃうまくいかないよね。

 うん、説明……終了……。


『ウルトラウーマンキラリ』第4話「お仕事頂きます! なまけ怪獣ヤメタランス登場」

 おしまい。


 おつきあいありがとうございました。

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