GACKT「どうしたんだよもう…」 (342)

今朝からやけにYOUがしつこい。
やれもったいないだのおもしろいよだの…。

僕はライブの企画で忙しいのに、ゲームなんてやってる暇は無いよ。

「でもさ、折角並んでまで買ったんやし、勿体無いやん」

大体さ、僕の好きなゲームって分かってるでしょ?
ほら、頭文字Dとかだってあるじゃない。

何で育成ゲームなの?

「えぇ…でも前まで物凄いはまってたやん」

「だから知らないんだよ…夢でも見てたんじゃないの?」

「んー…いいからやってみてよ。本当面白いから!」

「THE IDOL M@STER ONE FOR ALL…そもそも原作知らないのに…」

仕方ない、一日二日だけやって、終わりにしようかな…。

まあ、親友の頼みだし、やってあげるかな。

「んー…YOUの話を要約すると、10人以上いるアイドルを一人ずつトップへ導くのか…これは、長くなりそうだなぁ…」

僕は暴走するゲームは好きなんだけどなあ。

何だか、真面目一辺倒なゲームだなぁ。

そういえば、ときメモなんてあったよな。

うーん…まあ初めはこのリボンの女の子でいこうかな…。

いや、ダメだ。

この子は一番まともな子なんだろう?

なら、一番難しい子から始めてやろうじゃないか。

とりあえず、YOUに電話しよう。

『もしもし?どったのがくちゃん』

「あのさ、あのゲームで一番難しい女の子って誰?」

『え?んー…どーだろ、人によるけど…美希かな?』

美希。

星井 美希か。

うーん。実力はあるんだな。

だけど、自由奔放すぎるんだと。

あはは。僕みたいじゃないか。

「…あれ?」

何だか、見覚えがあるような…。

「うーん…分からないや」

会ったことのある女の子なら覚えてるんだけど…。

ましてやアニメの子なんだろう?

覚えてるとかそういう話ではない。

とりあえず、美希という子からやってみるか。

まあ、100km走れる奴なら10km走れるだろうし、大盛り食べられる奴は、中盛り食べられる筈だし。

「だけど、いまいち興味が湧かないんだよなあ…」

メールチェックもしたいし、まあ、毎日少しずつやっていこうかな。

何せ親友の頼みだしな。あはは。

「さて、名前は、と。….うーん、まあGACKTでいいか」

『さて、これから頼むよGACKT君!まだアイドルランクは無いからね。まずはプロデュースするアイドルを一人選んでくれたまえ!』

うん。迷いはないさ。
僕はすぐに美希を選んだ。

さてこれからどうなるかな。

…あれ?

何だか眠気が…これは、寝落ちだな。

仕方ないか。明日暇があったらやろう。

参ったな。メールチェックもしてないのに…。




…zzz…。

「…はっ!!」

…うーん。朝かな?

あれ?

いつもだったら、まだ夜なのに。

いや、地下で寝てるんだし、朝か夜かも分からないんだけど。

何で朝って分かるんだろう…。

「眩しっ…」

眩しい、というか、目覚めも悪い。

さっきまでソファの上で寝てたのに…。

「…ここ、どこ?」

ふと日が差している方向を見ると、そこには…。

「ななひゃくろくじゅうご…プロ?」

こんな所は見覚えが…あれ?

あるような気がする。

あ、そうか。さっきのゲームだ。

「…え?」

いや、そんな事はあり得ない。

何故かって…そりゃあ、ゲームの世界に現実の人間が行くなんて、有り得ないよ。

とは言ったものの…一体どうしたものか。

まさか、誘拐でもされたのか?

すると、ドアの開く音がして、中から老人が現れた。

「やあGACKTくん!今日からよろしく頼むよ!」

「は?」

え?何?

訳も分からず、彼は僕に向かって歩いてきた。

「あの、失礼ですけど貴方は?」

するとその老人は、?とした顔で答えた。

「私かね?高木 順次郎だよ?忘れてしまったかね?」

少し顔が暗くなっている。
いけないな。
ここは穏便に済ませなければ。

「いや、大丈夫。僕はGACKTだよ。何だかよく分からないけどよろしく」

握手をすると、やけに痛がっていた。

話を聞いてみると、どうやら僕はこの事務所、765プロダクションのプロデューサーらしい。

GACKTなんて名前も知らず、僕の履歴書は神威 楽斗で登録されていた。

うーん。どうやら夢を見ているようだ。

これじゃあ、YOUのことバカに出来ないな。

まあ、今はこの夢を楽しむとしようか。

よろしくな、765プロダクション。

明日からまた書いていきます

結構長くなりそうなんで、気が向いたら見て下さい

貴音の曲が売れ、知名度も上がったものの、未だ765プロはさほどテレビでは有名事務所ではなかった。

まあ、今の世の中、アイドルが二人少々売れたくらいでは駄目だろうしな。

そんな中、僕はそろそろ三人目のアイドルを誰にするかという話を社長から提案された。

そうだなぁ…誰にしようか。


いや、とぼけるのはよそう。

実はもう決まっているんだ。

女の子アイドルにしては少々珍しい中性的な外観を持つ子。

「真ちゃんですか…」

小鳥が真の写真を見てほう、と一言。

「どうしたの?」

「うーん、真ちゃんをどういう風に売り出すのかなーって」

どういう風に?
そりゃあ、やっぱり…。

「アクションとかかなあ」

何故だか小鳥が苦笑いしていた。

僕は何か、マズイことでも言ったのだろうか。

「会ってみれば、分かると思いますよ?真ちゃんの性格」

「うーん、どうだろう…」

「GACKTさんなら、そのままでもいけそうですし」

「…?」

小鳥から意味深な一言を言われ、今日はレッスン会場にいるという真に会いにいく事になった。

どんな感じなんだろう。気になってドアを少しだけ開けて覗いてみる。

すると、黒いTシャツに下のジャージ、少し短めの髪にピョンと出たアホ毛。

恐らく、あの子が菊地真だろう。

何かしゃがみ込んで一心不乱に一人で喋っている。

不気味だな。もしかしたら、危ない子なのか?

急に霊が乗り移って…いや、どうやら漫画を読んでいるらしい。

漫画を声に出して読むのも相当おかしな感じではあるが。

いずれにしても、今は休憩中のようだし、話しかけてみるか。

「真ちゃんかな?」

「うわあっ!!?」

少年のように驚いた真は、焦りながらもその漫画をカバンに急いで隠した。

チラッと見えたが「りぼん」というコミック雑誌だそうだ。

それだけでこの子がどういう子なのか、瞬時に理解出来た。

しかし、僕を見つめてどうしたのか。

…あ、サングラス忘れてたなあ。

「………王子、様?」
「は?」

真は一体何を言ってるんだろう。

王子様?確かに夢の中の王子ならやったことあるけど…。

「…!?あ!す、すいません!」

どうやら夢から覚めたらしいな。

「僕は、お前のプロデューサーだよ」

「えっ…?え?ええ!?」

あ、これうるさそうだな。

「ええええええええええ!!!!!!???」

ああもう。耳が痛いよ。
ただでさえ隊長から耳悪いって言われてるのに…。

「えっと、それって、ボクがアイドルになれるってことですか?」

うん。ていうかそれが目的でレッスンをやってるんじゃないの?

「や、やっりぃ…!!」

あはは。もうこりゃあ、イメージも決まったようなもんだよな。

「で、宣材写真撮るっていったのにさ、何でそんな格好?」

美希の時にも貴音の時にもやったものだが、彼女らにはこの点では何も悪い点は無かった。

しかし、この子は…。

「え、これじゃ駄目なんですかぁ!?」まっこまっこりーん



「普通の服か、それかそこの男物の衣装でいいよ」

「ええ!?アイドルって、可愛くフリフリなものを着れるんじゃあ…」

金線入りの黒ジャージで練習してる奴が言えることか。

「まあ、知名度が上がればそういうのも出来るから」

「うう、分かりましたぁ…」

嫌がっている割には、ノリノリでポーズ取ってるな。

それに筋肉の引き締まりも悪くない。

この子ならアクションもこなせるだろう。

真の持っている魅力は、たちまち雑誌を賑わせることとなった。

美男女子、いやあ、かわいそうに…。

「かわいそうって顔には見えませんよぉ」

真が落ち込みながらソファに体育座りしている。

慣れない変装をしてみたものの、結局はバレてファンの女の子達から追いかけまわされたらしい。

将来は宝塚も夢じゃないな。

「嫌です。ボクは普通に恋愛したいんです!」

『今年の夏は、水分補給にこれ!』

「もっと、可愛らしくて、純情な恋愛がしたいんです!」

『身体に最も適した清涼飲料水!』

「王子様みたいな男の人と、手を繋い『スポーツドリンク!!ポカリズエット!!』やかましいなあもう!!何で僕が話した途端にCM大音量で流すんですか!!」

「世間はお前にこれを求めているんだ。仕方ないさ」

「うう…」

「大丈夫さ。僕は、お前を女として見てるから」

「え!?」

「…だから、今はそれでいいかな?」

見る見るうちに顔が赤くなる。

純情も純情すぎると怖いな。

どっかの誰かにホイホイついていきそうで。

「そんな輩、ボクの空手でぶっ飛ばし…!!」

やらかしたな、と自分でも分かっているようだ。

黙ってストンと座り直した。


「真、こんな話をするのは申し訳ないが、アイドルは基本的にフィクションみたいなものさ。それぞれ売り出し方は違う。過去をひた隠しにして純情なイメージで売ったアイドルだっているんだ」

「過去?」

「誰とは言わないけど、元々かなりのヤンキーだった子が売れっ子アイドルになったこともある」

「そ、そうなんですか…」

それに比べたら、お前なんて可愛いもんさ。

納得出来たかどうかは分からないけど。

「実を言うと貴音だって、初めはイロモノな感じで見られてたんだぞ?」

「た、貴音さんが?そりゃ凄いなあ」

「だが貴音はそれらのイメージを自分で払拭した…お前に出来るかな?」

「で、出来ますよ!ほーらほら、まっこまっこりーん♪」

「…」

「…」

「「…」」

…出来ないんだろうなあ…

それから真はそれなりに雑誌には出始めたものの、未だテレビからの依頼はCMくらいだった。

まあ、アイドルだしな。持ち歌が無いんじゃな。

しかし、真の歌唱力はというと、ぶっちゃけのど自慢だったらAメロに入る前に鐘が一個鳴るくらいだろうな。

それに、真はダンスの方が輝く。

僕はそっち方面で行かせたいのだが、真はそれを断固拒否していた。

ま、そこは腐っても鯛、というところかな。

「うーん…」

どうしたらいいものか。

何とかして、真の希望も叶えてやりたい。

そんな事を考えて、事務所まで辿り着いた。

すると、僕のデスクの隣の机に見慣れない眼鏡の女の子がいた。


「…誰?」

僕に気がついた女の子は、眼鏡をクイッと上げて僕を訝しげに見る。

「…あの、貴方は…神威さんですか?」

僕を名字で呼ぶのは中々いないが、まあ頷いておこうか。

「…成る程、その反応は、どうやら私の事知らないみたいですね」

全く社長は…。とぼやきながら僕の元に歩いてくる。

意外と背は低く、髪の毛で身長を盛ってるんじゃないだろうかと思えた。

「紹介が遅れて申し訳ありません。私はこの事務所のプロデューサーの一人、秋月律子と申します」

名刺を渡そうとして「あ、同じ事務所ですよね…」と苦笑しながら可愛らしいストラップがついた携帯電話を取り出した。

僕の無機質な携帯電話とはえらい違いだな。

アドレス帳も無機質なんだけどな。あはは…。

「これから宜しくな」
「はい!一緒にアイドル達を輝かせましょう!」

年齢を聞くと、まだ19歳だと言う。

過去が気になるが、まあそれを詮索するのは野暮ってものだよな。

しかし、思わぬ助力だ。
丁度良いし、彼女に知恵を借りるとしよう。




「はあ…真のアイドルとしての活躍、ですか」

「成功してはいる。だけどそれは真の意思とは反するみたいだしな。このままじゃいつかパンクするのは目に見えてる」

「そうですね…確かに、真は男扱いを受けると怒りますから。…そういえば、美希と貴音の歌を書いてくれたのは、GACKTさんでしたよね?真の歌は書いてあげないんですか?」

「僕はそれなりに高い実力じゃないと、書けないんだ」

「あ、はあ…そうですか」

歌に妥協はしたくないからな。そ 真のレベルに合わせても良いけれど、それだと質が落ちる。

真のファンは買ってくれるだろうが、いつしか消えていくだろうしな。


「うーん…GACKTさん」

「ん?」

「妥協、ではなく、真の成長の為に曲を提供する、というのはどうでしょうか?」

「真の成長?」

「こう言っては何ですが、アイドルの頂点に立つために、様々な物を経験し、踏み台にしていくべきだと思うんです」

僕の歌を踏み台に?
僕は黒い三連星じゃないんだぞ?

それに、その扱いは気に入らないな。

「気を悪くしたのならすいません。でも、私達はプロデューサーです。私達の役目は、彼女達を輝かせることです」

「…」

「だから、協力してあげてください。…勿論、レッスンなら死ぬほどやらせても構いません。あの子のタフネスは半端じゃありませんから」

「…そうか」

…そうだな。今の僕は歌手じゃないんだ。

プロデューサー、か。

僕の歌は、武器にもなるみたいだ。

だが、それは僕の意思に反する。

これじゃ、真と同じだな。

…そうだな。可能性を消してしまうのは良くない。

なら、真がどれだけ僕についてこれるか、やってみようじゃないか。


「真、今日から喉が破裂するくらいのレッスンするから」

「え?」

「大きな声は出るみたいだけど、ただそれだけだ。もっと綺麗に、それでいて伸びのきく歌声にする」

「は、はい!」

「それと、嫌になったら降りてくれ。僕はあまり加減が出来ない」

そう。これは第二の貴音を産んでしまうのではないかと思ったのだ。

あの時みたいな事はしたくない。

あまり、無理をさせたくないんだ。

「大丈夫です!僕はタフってだけが取り柄ですから!」

……頼もしいことだ。

しかし真は、全く倒れる事は無かった。

菊池真は伊達じゃないってことか。

やるじゃないか。

それに歌声も段々良い物になってきた。

だけど、これ以上やると本当に喉が破裂しかねないのでやめておくか。

まさか、僕の方からやめるだなんて言ってしまうなんてな、あはは。

「どうだ?それなりに堪えたか?」

「は、はい…喉がガラガラですよ」

「じゃあ、少しでも水分を多く取った方がいい。僕みたいに」

「一日四リットルは難しいです…」

とは言え、流石にヘトヘトらしい。

それに、少々やり過ぎたかな。もう夜遅い。

仕方ない。帰りは送ってやるとするか。

「え?でもボクの家近いですし、大丈夫ですよ?」

「いいからいいから」

真を連れて事務所を出る。
隣の真は大きめの帽子を深く被り、マスクもした。

まだ知名度は浅いとはいえ、ファンは知っているからな。

気がつけば追いかけられることもありそうだ。

しかし今僕らはどう映っているんだろうな。

「それだったら、恋人同士がいいかな?にひひ」

「見て見てー!イケメン兄弟だよー!」

「…」

「…」

まあ、マスクしてるからって言い訳も出来るから。

「それ、かばってるのかけなしてるのかどっちですか…」

お前の私服が悪い。

「うっ…だって、女の子っぽい格好するとGACKTさんとかにバカにされるから…」

「しないよー」

「テキトーに答えないでくださいよ!」

全く、何で僕が真のパシリにされなきゃならないんだ。

コンビニなんて言ったことほとんど無いのに。

えっと、喉飴と、スポーツドリンクと…。

「…あ」

これ、真が宣伝してたやつだ。
…良い笑顔じゃないか。

僕も一つ買おうかな。

「…ん?」

何やらコンビニの外がやかましい感じだ。

見ると、外で待ってた真がバイクに乗っていたチンピラにちょっかいをかけられている。

大方、男と間違えたんだろう。

仕方ないなあ。僕もうも40なのに。


「…」

「おい、何でガンつけてたんだ?」

「…そんなことしてない」

「は?何?聞こえないんだけど」

「…」

「何か言ってみろよ!あ!?」

「…」

「おいシブタク、もうそいつ殴っとけば?」

「おお、そうするわ」

「…」

「言っとくけど、お前が悪いんだk」

「…!?」

「シブタクぅぅううう!!」

あれ、どうやら加減を忘れたようだ。

思いっきり振り抜いちゃったよ。

「お、おい何だテメェ!」

いけないな。そんな口の聞き方は良くない。

少し、調教してやるか。


「…真、得意の空手はどうしたんだ?」

「…」

「…もしかして、女の子だって、証明したかったのか?」

真が頬を膨らませながら俯く。

そっか。

全く、世話の焼ける女の子だ。

「でも、無事で良かったよ」

「GACKTさん…」

「なんたって、僕の可愛いアイドルだからな」

あはは。泣いちゃったよ。

泣くと女の子らしいな。


「いいか真。女の子らしさってのは色々だ。
男にとって女とはこういうものだなんてイメージは無い。美希のようなキラキラした子が良いって奴もいるし、貴音みたいなミステリアスな奴が良いって奴もいる。
…勿論、お前みたいなボーイッシュな子が好きだって奴もいるんだよ」

「GACKTさん…」

「顔や、体じゃない。良い女ってのは、身体の中から出てくるもんさ」

「…なら、ボクはどうですか?」

真か?そうだな…。

「最高の女だよ」

「~!!」

そんな力強く抱きしめるなよ。スーツが皺くちゃになるだろ?

ポケットの中の物が壊れるじゃないか。

…ん?ポケット?

「GACKTさん、何か出てきましたよ?」

ああ、出てきたな。何だかいきなり出てくるから気持ち悪いよ。

「真、僕の歌を歌いたいか?」

「え?ぼ、ボクの?…はい!歌いたいです!」

「そっか。じゃあ、あげるよ」

可愛らしい歌っていうか、いやらしい歌だけどな。

http://www.youtube.com/watch?v=yb83fmI47KQ


「結局真もノリノリで歌ってるじゃないですか」

「ああ、それはな、僕と一つ約束したんだ」

律子と事務所で二人でテレビを見ている。

真のデビューシングルを特集したニュースがやっていた。

「約束?なんですか?」

「…僕と二人の時だけは、女でいるってな」

「…あの、間違っても手は出さないでくださいよ?」

「わかってるよ、まだ18じゃないもんな」

「そういう問題じゃありません!!!」

あはは。真はこれでいい。

迷わず僕を踏み台にすればいいさ。

真の物語の主人公は、真なんだからな。

僕も、全てが終わったらこの経験を踏み台にしてやるからな。

そうそう。僕も、お前も、ガンダムだよ。

真編 終

そういえば律子は僕がこの事務所に入ってからしばらく見てなかったけど、何でだろうか。

その疑問はすぐに解消された。

どうやら営業回りで事務所に帰る暇も無かったらしい。

そしてその足で稼いだ成果もあったらしく、彼女の根回しのおかげでアイドル達の知名度もそれなりにあった。

全くの無名だとしたら、もうちょっと大変だったかもしれない。

律子のお陰で「ああ、あの子か」という意識を植え付けることができたのだ。

あはは。頭が上がらないや。

そんな事を考えていたら、どうやら僕は事務所の扉が開いた事にすら気付かなかったようだ。

ふと隣を見ると、短めのツインテールの笑顔の女の子が僕を見て立っていた。

「…ああ、やよい?」

すると大きな声ではい!!と答え大きくお辞儀をした。

そのお辞儀というのも、両手を後ろに挙げ、その勢いもつけて上半身を大きく下げる。

いや、解説する必要なんか無いか。

高槻やよい。14歳。

家族の為にアイドルをやっているそうだ。

売れなければマイナスになるという考えは無かったのだろうか。

見切り発車な子だな。

だけど、とっても明るい。

何だかこっちまで嬉しい気分になるよ。

これは、大人には出せない雰囲気だな。

だけど…少し、いやかなり。

舌足らずで時折何を言っているのか聞き取れなかった。

「…ああ、やよい?」

すると大きな声ではい!!と答え大きくお辞儀をした。

そのお辞儀というのも、両手を後ろに挙げ、その勢いもつけて上半身を大きく下げる。

いや、解説する必要なんか無いか。

高槻やよい。14歳。

家族の為にアイドルをやっているそうだ。

売れなければマイナスになるという考えは無かったのだろうか。

見切り発車な子だな。

だけど、とっても明るい。

何だかこっちまで嬉しい気分になるよ。

これは、大人には出せない雰囲気だな。

だけど…少し、いやかなり。

舌足らずで時折何を言っているのか聞き取れなかった。

やばいかなりミスった

やよいと出会った翌日、彼女に提供されていた曲、「キラメキラリ」を聴いていた。

とてもやよいらしい曲だとおもう。

こういう曲はあまり聴かないけれど、ちょっとだけ元気の出る曲だ。

ただ英語(だと思う)は何を言っているのかわからなかったけれど。

しかし彼女に僕の曲を提供するとしたら、どうなるんだろう。

僕が曲を提供したとて売れなければ元も子もない。

それに何より彼女に合わない。

うーん。やよいを理解する為に、どうしたらいいのだろうか。

律子に聞いてみると、どうやら伊織と仲が良いそうだ。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom