姉「強豪帰宅部に帰宅で勝つ」 男「えっ」(80)

・前スレの作者と同一人物です。
・前スレの世界観を一部壊してしまったので、新たな気持ちで。
・作者は機械音痴です。連投は見過ごしてください;
・作者は夜型ではありません。すぐ寝ちゃいます。

・こんどこそ完成版の予定です。

前スレ:姉「帰宅部に入部せよ」男「えっ」
姉「帰宅部に入部せよ」男「えっ」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1402152401/l50)

男「帰宅に優劣とかあるの!?」

姉「あるわ。100年前は安定性、そして今は速さよ」

男「なるほどね……よく分からんけど頑張ってね」


姉「何言ってるのよ! 男も手伝うのよっ!!」

男「姉さん、あんたこそ何を言ってるんだい?」


姉「手伝いなさい。これは命令だし実は準備も済んでるわ」

男「なんてこったい」

男「で、何を手伝えばいいの?」

姉「帰宅に協力して欲しいわ。随時サポートはするよ」

男「……それで、最終的に俺はどうすればいいわけ?」


姉「帰宅の世界選手権――"WRC"に出てもらうわ!

姉「そしてみんなで協力して、うちの強豪帰宅部を倒す!」


姉「……ってところね。何か質問ある?」

男「話が飛びすぎだよ。さっぱり訳が分からない」

姉「どこから話そうか」

男「強いて言えば全部だけどさ……」

男「帰宅部と戦うって、姉さんはいったい何部なの?」


姉「北玖学園・第二帰宅部・部長です!!」


男「部長かよ……帰宅部が何個もあるわけ?」

姉「訳あって、今は2つあるのよ」

男「それで帰宅部と戦うのはいいけど、なんで世界大会?」

姉「相手は帰宅のスペシャリスト集団よ!」

姉「それに合わせて我が学園の入学式は12月だし!!」

男「そろそろ入学シーズンじゃん。俺は冬休みだけど」


姉「あっ、今の学校は退学届出しといたわよ?」


男「……えっ?」

姉「何人か居ると思うけどね、北玖学園への編入は」

男「試験とかはどうしたの!?」

姉「ウチにそんなものは無いわ。後から落ちるのはあるけど」

男「学費は?」

姉「軍資金がいくらかあるけど、基本は借金かな」


男「わけがわからないよ」

姉「まぁ、1年くらい協力してくだせぇな」


男「ちょっと待った! 一年? 一年も拘束されるの!?」

姉「そう。WRCはほぼ1年掛けて行われるイベントよ」


姉「だって、家に居なかった期間も有ったじゃない」

男「それもそうか……」

姉「そして、ウチの帰宅部は生徒会によって学費免除されてるわ」


男「じゃあ、相手は人材が足りてるって訳か……」

姉「話が早くて助かるね、でも、第二帰宅部には免除制度がない」

姉「だからこそ、帰宅未経験者の男にも用があるのよ」

男「えっ、確かに帰宅部じゃなかったけど帰宅はしてるよ?」

姉「……でもそれ、電車よね?」

男「電車だね。逆に電車じゃなくて何を使うのさ」


姉「WRカー……すなわち、帰宅に特化した"車"よ」

男「車ぁ!? 免許持ってないよ!!」


姉「そう。北玖学園は入学と同時にライセンスが暫定設置されるの」

男「何なんだよこいつら」

姉「下手なことすると剥奪されるけどね。暫定だから」

男「剥奪されるとどうなるの?」

姉「それが"途中で落ちる"ってヤツよ」

男「……退学か。妙に重いな」


姉「……まぁ、命を背負って走ってるわけだからね――」


姉「ちなみに、卒業と同時に暫定じゃなくなるわ」

姉「その手の企業での就職率は伊達じゃないわっ!」

男「男です! 学園では第二帰宅部でした! って」

男「それでも就職通るの? てか企業とかあるの?」

姉「プロのワークス・チームのことね。安定給じゃないけど、あるわ」


姉「あ、第二帰宅部でも卒業後は実力主義だからね……」

姉「せめて入賞くらいだと、ワークスからスカウトが来るかなー」


姉「無いなら、プライベーターとしての参加になるね」

姉「チームには属さないけど、地元誌では有名になれるかもね」

男「はぁ……マジかよ」

姉「マジだけど、案外面白いところだよ?」


姉「少なくとも、第一帰宅部の奴らよりは、ね……っ!」

男「ところで、なんで第二帰宅部ができちゃったの?」

姉「ええと、作ったのは私の前。先代の部長のときね」


姉「簡単に言うと、第一の顧問が気に入らなかったからだよ」

男「そんな理由で学費免除きっちゃったのか……」

姉「まぁ彼らは今から実力至上主義だからね、要らない人は切る」

姉「切られた人材はプライベーターとして参加したりするわけ」

姉「でも、そんな彼らの練習は過酷を極めたりするわ」


姉「体重制限は当たり前。休日は無いそうだよ」

姉「その上、伏せられてるけど体罰の問題もある」


男「なるほどね……難しいけど、切ったのは正解だと思う」

姉「不仲は、良くないからね」

姉「んで、私と、風紀委員の子と、図書委員の子の4人だった」

姉「今は元部長が卒業しちゃって、3人しかいない」

姉「しかも、校内じゃ集まりそうもない。継続できなきゃ廃部よ」

男「そこで、俺を頼ったわけか」

姉「そう。今までの流れは分かった?」

男「大体分かったよ。だいぶ脱線したけどね」

男「俺が戦力になれるかは置いといて、とりあえず入部は決めたよ」

姉「ありがとうっ! 男くんっ!! 明日、学校で会おうねっ」

男「……明日? なんでまた明日?」


姉「入学式。明日よ」

男「なるほどね……じゃあ、今日は早く寝なきゃな……」

姉「友達は大切にしなよ! じゃ、おやすみー」


男「それ口癖なのか? ……おやすみ」

男「zzz」

いい夢を。

校長「次の日」


校長「北玖学園へようこそ。よい学園生活を。以上」

男「まじかよ」

友「ああ。去年もこんなだったらしいぜ」

男「あれがうちの校長かよ……」


男「って、友じゃん! なんでここに!?」

友「いや、俺ここ第一志望だし?」

男「そうだったのか……俺は姉さんの影響で」

友「ああ、知ってるぜ。第二の部長なんだってな」

男「そうだ……俺、第二帰宅部に所属することになった」


友「……俺は大丈夫だが、それ馬鹿にされるぜ?」

男「えっ」

友「理由は分からない……けど、他言は避けたほうがいいかもな」


男「マジか……先が思いやられるな……」

男「んで、友は第一帰宅部に入るのか?」

友「ああ。特に何も無い場合はウチが帰宅部だ。第一は付けない」

友「帰宅部の優位性は、それだけじゃないぜ」


友「うちには、実力があるやつが集まってくる」

男「……スパルタ、なんだっけ」


友「んで、入部テストもあるから、俺は今からそれを受けに行くっ!」

男「そ、そうか……頑張れよっ!」

姉「そして放課後」


姉「ねぇねぇ、男」

男「? どうした?」

姉「何帰ろうとしてるのよっ、今から部活でしょ?」


男「そっか、帰宅部って帰宅しないんだよな」

姉「そう。でも、まずはメンバーのみんなと顔合わせしないとね」

姉「部室はこっちよ」

姉「部室にて」


姉「ようこそ、誇りある第二帰宅部へ! 歓迎するわ!」

男「男です! 帰宅もラリーも未経験ですけど、頑張ります!」


姉「そこのメガネの彼が、風紀委員の風紀よ」

風紀「下手でも、仲良くやれりゃ無問題さ。今後ともよろしくな」

姉「そして、そこの椅子に座ってる彼女が、図書委員の図書」

図書「……宜しく、お願い致します」

姉「それじゃ、自己紹介といこうかな……私から」


姉「どうも皆さん! 北玖学園・3年生の姉です!」

姉「アクトネームは『ジャスティス』……すなわち、正義です!」

男「図書さん、アクトネームって何ですか?」

図書「そ、そのうち説明がある、と、思う……思います」


姉「帰宅力は、他の部員たちと大差ないかな~」

姉「以上! 1年間よろしく! 次、風紀くんお願いね」

風紀「ご紹介ありがとう。私が3年生・風紀だ」

風紀「全般こなせるつもりだけれど、専門はナビゲーターだ」

男「すみません、ナビゲーターって何ですか?」

風紀「帰宅するドライバーの補助を色々する人のことだ」


風紀「アクトネームは『ジェントル』……非高圧的な態度だ」

風紀「これには日々気をつけているつもりだが……どうだろうか」


風紀「私からは以上だ。次、図書、頼んだ」

すまん、ジェントルじゃない……これは修正前だね~
上げ直しまーす

風紀「紹介をありがとう。私が3年生・風紀だ」

風紀「全般こなせるつもりだけれど、専門はナビゲーターだ」

男「すみません、ナビゲーターって何ですか?」

風紀「帰宅するドライバーの補助など、色々する人のことだ」


風紀「アクトネームは『グローリー』……栄光、だな」

風紀「こう見えて実は野心家だったりする。まぁ、追々話すとして――」


風紀「私からは以上だ。次、図書、頼んだ」

図書「とっ……に、2年生・図書と申します……」

図書「すみません、少し緊張していて……えっと、趣味は読書とかです」

図書「アクトネームは『ビヘヴィオラル』……行動的、です」

図書「アクトネームというのは……すみません、部長、お願いしますっ!」


部長「うん? いいよ~」

図書「はぁっ……だ、駄目だ、まだ緊張してる……うぅ」


部長「えっと、アクトネームってのは、要は行動指針のことだね」

部長/姉「私達の目標は、WRCで優勝することにあるんだ」

姉「前にも話したとおり、これは帰宅の世界大会のことだね」

姉「それで、その優勝への強い羨望に従って発現してゆく――」


姉「それが、アクトネームってわけ。一種の願掛けだけどね」

姉「図書ちゃんは頑張ってるけど、まだ羨望は弱いかもね」

図書「ち、違いますよっ! 初対面の人と、そのっ、き、緊張してるだけでっ」


姉「……人見知りってのは、私どうも理解しがたいなぁ、と」

風紀「徐々に慣れていけばいいさ」

図書「いえ……結局、これじゃ、駄目なんです」

図書「だから、風紀先輩がうらやましくもあるのです」

風紀「まぁ、私自身は人見知りはしない人間だが……」


姉「むしろ、移動先でナンパぐらいまではできるよね~」

風紀「ああ、それは私に任せておけ」


男「認めちゃったよこの人!」

姉「ああ、男の自己紹介がまだだったね。じゃあどうぞ」


男「男です。帰宅は未経験です。よろしくお願いします」

男「……あとは、何を話せばいいの?」

姉「んー、趣味とかかな」

男「趣味か……まぁ読書とかは、人並みに――」


図書「!! 男さんって、読書とかするんですねっ」

男「むしろ、あんまり外に出ない」

図書「好きな作家は誰ですか?」

男「いきなり言われるとなぁ……えっと、ゆうきりん氏とか」


図書「……なるほど、承知いたしました」

男「ごめんね、パッと誰も思いつかなくて」

図書「私の専門は純文学や哲学書なので、ライトノベルは詳しくありませんが……」


図書「お互いの知識の保管ができるなら、嬉しいです……!」

姉「なるほど、図書ちゃんの人見知りは相手の情報不足によって起こるのね」

男「じゃあ、メンバーの皆さんの好きな作家は誰ですか?」


姉「私は読んでも漫画だからなぁ……私屋カヲル先生で」

風紀「一番最近読んだのは、ノイマン・ヤーノシュだな」

姉「誰それ」

風紀「ハンガリー出身の何でも学者だ」


図書「ジャン=ポール・シャルル・エマール・サルトル先生です!」

風紀「ほう、やはり図書は健全でよろしい」

姉「さぁ、ひと段落ついたところで練習をはじめようか」

男「練習って、昨日言ってた……WRカーってのの練習?」

姉「そう! まずはアレに慣れないと始まらないからね」


姉「第一試合が1月中旬にあるから、それまでに特訓だよ!」

男「分かったけど、試合っで何回戦まであるの?」


姉「サボらなきゃ13戦あるね」

男「若干多いね……まぁ、足手まといにならないよう頑張るよ」

姉「まぁ、最終戦はここ、ブリテン王国で行われるよ」

男「へぇ……ここって結構帰宅熱心なんだね」

姉「こんな学校があるくらいだからね……」


姉「でも、お隣のフランツ王国の方が熱心だね」

男「何があるの?」


姉「ラリー――帰宅の、聖地。1回戦と11回戦はそこで行われるよ」

男「本気度!」

姉「さて、練習を始めよう!」

姉「まずは、ペースノートを読む練習だね」

男「ペースノート?」

姉「助手席においてある、まさにノートブックなそれのことだよ」


男「これだね。これをどうするの?」

姉「走ってる途中、ドライバーに随時内容を伝えていく」


男「それって……酔わないのか?」

姉「どうだろう……まぁ、大丈夫じゃないかな」

姉「でも、百聞は一見にしかず! さぁやってみよう!」



男「……全部読み上げたよ。酔わなかった」

姉「さすがだね、私の運転は」

男「自画自賛かいっ! でも、うまかったよ、姉さん」

姉「ありがと……じゃあ、今度は男の番だね」

男「……えっ?」

男「……本当に、俺が運転するのか?」

姉「そうよ! 頑張って! レッツ・ゴー!」


姉「…ごめん、ちょっと止めて……もう、ギブ――っ!」



姉「……ねぇ、男。初めてにしては、お姉ちゃんよく運転したと思ってるわ」

男「だって、運転のカンペがB5用紙一枚しか無いし……」


姉「あの運転で酔わずにかつ言い訳できるのは、ある意味才能ね……」

男「……ごめん、俺、頑張って練習するよ」

男「もう、姉さんのそんな悲惨な姿は見たくないかな」


姉「まぁ、スピードとか思い切りの良さは悪くないわ」

姉「ただ、ハンドルを切り始めるのが少し急だったかな」

姉「ちゃんと減速して、ゆっくり曲がって、それから加速ね。いい?」

男「分かった。じゃあ、もう一本練習してくるね」


姉「はぁ……流石の私でも、テンション下がるなぁ……」

図書「練習後」


図書「それは、ご愁傷様です……」

風紀「ナビゲーターなんてそんな物さ。慣れてくれ」

姉「だって……弟の運転を否定したわけだよ?」

男「……本当に、ごめんなさい」


風紀「男君に関しては何も悪くない。成長していけばいいだけだ」

男「……はい、1月まで、全力で頑張ります!」

いい夜を。
ちなみに、サルトル先生は私の趣味です。

小休止を挟んでのち第一戦に入ろうかと思います。
ではここで行動安価

1.姉と今後の事務的なことについて話す
2.姉と、学園のこととかについて話す
3.風紀と、帰宅のいろはについて話す
4.図書と、オフの日の予定について話す
5.友と、近況報告をする
6.(なんかその他・内容と共に)

>>40で。

5

…良スレだと思うのにレスが少ないな

5了解しました。
ぼちぼち書いていきます。

ヘッドフォンが壊れて悪戦苦闘中

友「次の日」


友「やったぜ男っ! とりあえず足切りは通った!」

男「あ、足切りとかあるんだ……知らんかった」

友「話さなかったっけ? 入団テストのことだな」

男「あんまりに突然のことでな……いまいち記憶が定かじゃない」

友「まったく、しっかりしてくれよ~ でも、聞いてくれよー」


友「今年は珍しく、半分以上落としたらしいぜ」

男「えっ!? ま、マジかよ……合格おめでとう」

男「こっちは足切りとかないけど、感触は良かったかな」

男「聞いた限り、かなり予算不足らしいけど……なんとかなるだろ」


友「逆にこっちは予算不足とかは無いなー、学費免除だし」

友「人手もわりかし足りてるし――いい帰宅部だぜ」


男「1月から一回戦らしいから、今日からもう忙しいよ、たぶん」

友「そうかー、男はモンテ・カルロから出るんだな」

男「えっ……友はその、モンテ・カルロ? から出ないのか?」

友「いんや、俺は出る。けど部員の中じゃ例外だな」

友「大抵の新入部員は3月のラリー・メキシコからの参戦らしい」

友「それまでは先輩に任せて、ひたすらブリテンで練習するんだ」


男「そっか……帰宅部には人材のスペアが居るのか……はぁ」


男「ウチは4人しか居ないから、必然的に1月からなんだろうな」

友「よ、四人!? ちょっと待てよっ!!」

友「メカニックとか、アシスタントとかはどこから出すんだよ?」

男「……メカニック? アシスタント?? ……まぁ、追々聞いてみるよ」

友「知らんのかいっ!!」

男「まぁ、入部したの昨日だしさ。知らないこともあると思う」


友「奇遇だな。俺も入部したのは昨日だが……まぁいっか」


友「それじゃ、ポディウムで会おうぜっ!」

男「あ、ああ……勿論っ!!(ポディウムって、何だろうか……)」

男「放課後」


男「風紀さん、早いですね……もう部室に居るなんて」

風紀「実は午後の講義はサボって、ずっとこのへんに居るからな」

風紀「あと、姉はフラフラしてて遅い。図書は委員会で時々遅い」


男「……風紀さんって、本当に風紀委員なんですか?」

風紀「まぁ、な……実は、生徒会の転覆を狙っている」

風紀「それには、この立ち位置ほど便利なものは無かろうよ」

男「……生徒会に、恨みでもあるんですか?」

風紀「そうか、男は聞いてないのか……実は、第二帰宅部への部費をケチってる」

風紀「恨みも何も、ここはそういう連中なんだよ」


男「なるほど……あと、関係無い質問なんですが、いいですか?」

風紀「構わないぞ」


男「第二帰宅部のメカニックと、アシスタントって誰なんですか?」

風紀「……ははは、冗談を抜かすなっ」

風紀「そんなの愚問だ。それは……部員、全員だ」

男「なるほど……えっ!?」

風紀「全員がドライバーで、ナビゲーターで、メカニックだ」

風紀「そして、アシスタントに関しては、そもそも知らん。すまないな」


男「ってことは、俺もメカニックなんですか?」

風紀「いずれは、な。少なくとも1月までには、そうなってもらう」


男「メカニックの仕事すら、未だ知らないのに……難儀な話です」

風紀「心配いらない。ここはスパルタでもなんでもないからな」

風紀「むしろ、放任主義にすら近いかもしれないな……まぁいい」


風紀「辛くなったら、私が居る。姉が居る。図書が居る。心配無用さ」

男「……まだ、あとの2人は来ないですね」


図書「……酷いです。ずっと居ましたよ……っ」

男「!? ……! 隣に座ってた……?!」

男「ごめんなさいっ……まったく気がついてませんでした……!」

風紀「私も気づいてなかった。実はスパイの才能アリかもな」

図書「風紀さんまで……もう、知らないですっ……!」


風紀「君のような可憐な少女に、そんな涙は官能的すぎるよ」

男「口説き始めたっ!?」

風紀「それは心外な」


図書「少女、ですか……喜ぶか悲しむか、難しい世代ですね」

男「そしてノッた!?」

図書「少しのディスカッションの後、数分後のこと」


姉「ごめんね! 第一のスパイやってて遅れたっ!」

風紀「何か、得たものはあったか?」

姉「どうやら、新入部員に何人か、天才の子がいるらしいね」

姉「モンテ・カルロから1年生を入れてくるって話になってたよ」


男「一人は、たぶん友って奴だよ。俺のクラスメイトの」

男「自分は例外だ、って言ってたかな……確か」

姉「……いきなり、波乱の展開だね! 燃えてくるねっ!!」

姉「よし! 締まって練習、やりましょう!」

一同「おおーっ!!」



図書「風紀さんは、優しすぎます。男さんに総ツッコミでもよかったのに」

風紀「……何のことだ?」

図書「私に気づいてて、チラチラ伺ってたこと、承知しています」

風紀「友達交流は案外、硬くて脆いイオン結晶みたいなもんだからな」

姉「別所にて」


姉「……メカニックの仕事?」

男「そう。風紀先輩が言ってたんだ。俺も協力したい」

姉「うーん、私に聞いてもいいけど、図書ちゃんのほうが上手いかな」

男「図書先輩、か……まだ部室に居るかな」


姉「男っ! 走れば間に合うよっ!」

男「了解っ!!」

男「図書先輩っ、って、いらっしゃいますか?」

図書「……はいっ、私はここに居ますよ」

男「メカニックの仕事を、教わりに来ましたっ」


図書「はい……っ、大丈夫です!」

風紀「頑張れよ、図書。熱くなりすぎないように、な」

図書「……承知いたしました」


図書「えっと……あの……や、や役割とかからっ、説明していきますね」

図書「メカニックというのは、その、マシンの調整とか、そういう人ですっ」


男「……はい」

図書「……っ、ごめんなさい……っ」

男「? 何に謝ってるんですか?」


図書「昨日、打ち解けたと思ってたのに、その……し、たが、回ってなくて……」

図書「でもっ、普段はこんな人じゃ無いんです――げ、幻滅とか……」

男「大丈夫です……えっと、さっきは本当にごめんなさい」

図書「さっき……?」

男「さっき、話にのめりこんでて、図書さんに気づけなくて……」

図書「……ああっ! あっ、えっと、それは大丈夫ですっ」


図書「入室したのに、挨拶し損ねちゃって……私も悪かったです」

男「でも、分は俺にあります。発言にデリカシーが無くって……」


図書「くっ、ふふふ……っ、あはははは………っ……」

男「!?」

図書「す、すみません……! っ、ははあぁぁ…………っ」

男「だ、大丈夫ですかっ?」

図書「いえ、えっと、メカニックというのは、大抵、デリカシーが無いんですよっ?」

男「そうなんですか……知らなかった」


図書「要は、出来上がったマシンを皮肉るのが、メカニックの仕事です」

男「なるほど……でも、なんの爆笑だったんですか?」


図書「……前、私が一年生だった頃の話です」

図書「その日、私は興味深い本を読んで徹夜した後でした」

図書「2限あたりから、少しウトウトとしていたんです」


図書「でも、気がついたら放課後になっていたんです」

男「放課後!?」

図書「私も驚きました……しかも、枕をして寝ていました」


男「……まさか、最初から寝る気だったんですか?」

図書「ち、違いますよぉっ!」

図書「そして、その枕の下には紙が挟まってたんです……あっ、これです」

男「『昨日に限らずだけど、普段の枕が少し高いかもね 同僚』って」

図書「後々聞いたら、前の日に徹夜してたこともバレてましたね」

男「すごい観察眼ですね」


図書「後日、朝に、洗濯してその枕を返しにいったんです」

図書「そうしたら、こう言われたんです」


図書「僕は君のメカニックじゃないけど、不備が気になって。って」

図書「思わず、笑ってしまったんです」

図書「自分の、観察眼の甘さを……そして、彼のデリカシーの無さを」


図書「しかも、彼のその台詞は、先日読んでいた本の台詞の改変でした」

図書「彼は、第一帰宅部の、メカニックのセミプロでした」

男「……なるほど。それを思い出して笑っていた、と」

図書「はい。彼があんまりにも、デリカシー不足だったのを思い出して……」


図書「でも、男さんと姉さんは、メカニックのセンス、あると思いますよ」

男「……それって皮肉ですか?」

図書「どうでしょう……でも、メカニックについて教えろと言われたので――」


図書「これが、メカニックですっ!!」


男「卓越した観察眼、そしてその不備を指摘する無骨さ……」

男「姉は揚げ足取るの上手いですけど……でもどうして、図書先輩に……」

図書「きっと……部長は、面倒臭かっただけだと思いますよっ」

男「――それだけかいっ!!」

ぐっどないと、です

姉「その後の練習は多忙を極めた。 まる」


姉「朝練とかは私が好きじゃないからか、やっていなかった」

姉「でも、ラリーカーを操る精度は、着実に高くなっていた」

姉「そんな弟は最近、コ・ドライバーの練習も始めたらしい」

姉「そんな傍ら、私は今日もこうして睡眠をとるのであった。 まる」


男「……何語ってるのさ」

姉「えっと、溜めちゃってた日記だよ」

男「毎日やってない日記って、すでに日記じゃなくてただの記だね」

姉「……でも、どうしたの? 私の部屋に来るだなんて珍しい」

男「明日から、海外遠征だと思うと、寝付けなくてさ」

姉「そっか……男は、あんまり外に出なかったしねぇ」


姉「第一戦・伝統のモンテ・カルロとは言っても、初の海外旅行だから」

姉「旅行で緊張するのはなんだか滑稽だからね……おやすみ」


男「……おやすみなさい、姉さん」

姉「早朝・ブリテン国際空港にて」


姉「……全員、揃ったね」

風紀「案の定、姉が一番遅かったがな」

姉「えへへ……」


姉「総員っ! 悔いの無いようにっ!!」

姉「北玖学園の生徒会を、マトモにさせる名目のためにっ!!」

姉「……第二帰宅部、リターンマッチ……スタートっ!!!」

風紀「おおおおおっ!!」

男「おおおおぉ……っ」

図書「………んぅ」


姉「こらっ、二人とも! 朝だからってボーっとしないのっ!」

男「……本当に、やる気なんだね」

姉「っ、当たり前よ……私が、部長なんだから――」


場内アナウンス「第二フロント、間もなく出発致します――」

風紀「車内にて」


風紀「……しばらくの間、この国ともおさらばだな」

姉「いいじゃない。どうせ一週間もせずに戻ってくるわよ」

風紀「はは、それもそうだな……」

男「でも、フランツ王国ってどんな所なんですか?」


風紀「フランツ語じゃないと通じないな。あとは飯が美味い」

男「へぇ……でも俺、フランツ語は喋れないです」

風紀「安心しろ。現地人と絡むだけの時間は無い」

男「……分かりましたっ…ふぁあ……」

風紀「東に向かっているからな。眠かったら寝ておくといい」

男「じゃあ、お言葉に甘えて――」


姉「私も普段は朝に弱いけど、どうも、こういう日は……ねぇ」

風紀「まぁ、特別な日だからな……明日は」


姉「あっ、明日かっ! じゃあ私も寝るね! おやすみぃ」

風紀「……全滅か」

風紀「今年は、マシンも二台とも空輸で送っておいたからな」

風紀「船で人間ごと送った去年よりは、気が休まる、か……」


風紀「ああ、また借金が嵩んでしまうな……」




風紀「……暇、だな」

再び行動安価です。今度は風紀のです。

1.今回のラリーの予定を確認する
2.適当な媒体でニュースを見る
3.姉にいたずらを仕掛けてみる
4.図書にいたずらを仕掛けてみる
5.今後のために今は仮眠を取る

>>72

安定の3番で

3了解しました。
ぼちぼち書いていきます。

姉「すやすや……」

風紀「場のノリで寝るような部長は、成敗せねばならぬな」


風紀「イタズラを仕掛ける」


風紀「まずは安定のくすぐりだな」コショコショ

姉「っ……ふふっ……ふふふふっ……」

風紀「……こういうのは、夢うつつの臨界を狙うのが乙なものだ」コショコショコショ

姉「……うぅ……くふふふふ――ふふっ」スヤスヤ

風紀「」コショコショ

姉「あはははは……っ!!」

風紀「!」


姉「……」スヤスヤ

風紀「……」コショコショ


姉「ねぇ」

風紀「!?」

って思ったけど、正直この下りいらんかったわ。
少し巻き戻しつつ再開するよ。

晩酌
>>72
→更に晩酌
→ssは掛けそうも無い今

明日こそ書くよ

姉「……1月13日、夜。自室にて」


姉「その後の練習は多忙を極めた まる」

姉「私の弟は朝に弱いハズなので、朝練らしい朝練はしていなかった」

姉「だが、彼のラリーカーを操る精度は、着実に高くなっていた」

姉「そんな彼は最近、コ・ドライバーの練習も始めたらしい」

姉「そして、私は今日もこうして睡眠を取るのであった まる」


男「……何語ってるのさ」

姉「お、起きてたんだ……これは、溜めちゃってた日記だよ」

男「毎日やってない日記って、すでに日記じゃなくてただの記だね」


姉「……でも、どうしたの? 私の部屋に来るだなんて珍しい」

男「明日から、海外遠征だと思うと、寝付けなくてさ」

姉「そっか……男は昔から、あんまり外に出なかったしねぇ」


姉「……ごめんね。あのとき、無理矢理部活に誘っちゃって」

男「別にいいよ。退屈してたわけだしね」

男「やむを得ない事情があったわけでしょ。仕方ないよ」

姉「男……」


男「姉さんも、早く寝たほうがいいよ」

姉「誰かさんと違って、朝には強いから大丈夫ですよーだ」

男「はぁ……帰宅部としての初仕事、大丈夫かなぁ……」

姉「ただの初・海外旅行だと思えば、夜も辛くないものよ」


男「……ありがとう。そしておやすみなさい、姉さん」

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