アニ「メイク道具?」(579)
ユミル「クリスタの私物を整理してたら色々出てきたんだ」
クリスタ「訓練兵団入りが決まった時、慌ただしかったから、手近にあったものを詰めて持ってきちゃったんだけど…」
アニ「…ここにいる限り、使う機会は無いと思うけどね」
クリスタ「そうだよね。持ってても仕方ないし、思い切って全部処分…」
ユミル「いやいや、捨てんのは勿体無いだろ。物資不足のご時世だし、こーいうのだって結構値がはるんだぜ」
アニ「意外だね。あんたがこんなのに興味示すなんて」
クリスタ「ユミルは訓練兵団入る前はメイクしてたの?」
ユミル「クリスタが考えてるのと意味合いは違うけどな。内地で金品の無断借用繰り返してた頃は、時にはちょっと化けて追手をまく必要もあったんだよ」
アニ「…」
ユミル「だからチーク入れたりグロス塗ったりみたいなチマチマした技術はあんま知んない。むしろアイメイク盛ったりエクステ付けたりみたいなのだったら分かるぜ」
クリスタ「すごーい!私も一応はアイラッシュ持ってるけど、全然使いこなせなかったよ」
アニ(二人が何を話してんのかサッパリ分からない…)
クリスタ「アニは?」
アニ「えっ」
クリスタ「アニはここへ入る前はメイクしてたの?」
アニ「…いや、ないね。むしろ、そーいうのバカバカしいと思ってるし」
ユミル「へっ、美人のアニ様はすっぴんでも十分お綺麗ですってか」
アニ「ギロッ
クリスタ「ユミルやめなよ~」
アニ「…」
クリスタ「でも、これ処分しちゃうのはやっぱり勿体無いのかなぁ」
ユミル「なぁ、それ使って少し私に教えてくれよ」
クリスタ「ん、いいよ。えっと、普段ファンデは何使ってたの?クリーム?パウダー?」
ヤイノヤイノナンヤカンヤで約30分経過
アニ「…」
クリスタ「ハイ、出来た~。ユミルは背高くて眼が切れ長だから、クールビューティーっぽさを意識してみました」
ユミル「おおっ、さすがクリスタ。私の魅力が分かってんじゃん。そばかす隠しのテクにも感心したよ」
クリスタ「コンシーラー乗せる段階で無理に全部消そうとせず、肌の色よりも少し暗めなパウダーファンデで仕上げた方が最終的には良くなるって思ったんだ」
ユミル「自分でやるとバカみたいに厚塗りになっちゃうから、崩れた時が最悪だったんだよね」
クリスタ「ふふ、人のメイク手伝うのって楽しいね。よかったらアニもちょっとやってみない?」
アニ「は?いや、私はいいよ」
ユミル「おいおい、なに遠慮してんだよ。せっかく女神クリスタ様が手伝ってくれるって言ってんだ。ここは素直に好意を受けとけよ」
クリスタ「も~どうしてユミルはいちいちケンカ腰なのかな」
アニ「…」
クリスタ「ごめんね、アニ。無理強いはよくないよね…」シュン
アニ「…(ナントナクザイアクカン)」
アニ「…そこまでやりたいってんなら、別に私は構わないけどね」
クリスタ「えっ」
アニ「ただし、私は本当にそっち方面の知識ないから、完全にお任せだよ」
クリスタ「うん!まかせて!!」ニコーッ
クリスタ「えっと、アニの肌はもともと白いからベースメイクはそんなにしなくてもいいかな」
アニ「…」
クリスタ「取り敢えず下地クリームはピンクパール系の色にして、眼のまわりのくすみを抑えるのにコンシーラー」
アニ「…」
クリスタ「ファンデもピンク系のパステルカラーっぽい淡いのがいいかな。チークは薄いローズだね」
アニ「…」
クリスタ「…」
アニ「…?どうしたの、急に黙っちゃって」
クリスタ「あらためて見てみると、アニってまつ毛長いね」
アニ「そう?」
クリスタ「うん、長くてすっごくキレイ。私の場合、量は多いけど短いの。アニはちょうどその逆。量が少ないかわりに一本一本が長いのね」
アニ「…一々言わなくていいから」
ユミル(こいつは照れてる時も怒ったような表情かえねーのなwww)
クリスタ「そうなるとアイメイクは黒のが全体がしまるかな」
アニ「…」
クリスタ「つけまつ毛で量をカヴァーしたいところだけど…。うーん、でもシンプルな方がアニらしいかな」
アニ「…」
クリスタ「じゃあ、マスカラの上に透明マスカラ重ねてツヤ出し、ビューラーでチョイチョイッと」
アニ「…」
クリスタ「眉はもともと細いし形がいいから、あんまり整えなくても大丈夫だね」
アニ「…ねぇ、じっとしてるの飽きてきたんだけど」
クリスタ「あ、ゴメンね。あとはリップメイクだけだから。カラーリップに、グロスは唇の真ん中だけ薄く…」
ユミル「いや、ここまでやったんだから、ついでに髪もいじろーぜ」
アニ「!?」
クリスタ「それ、いいかも」
アニ「あんたたち、私で遊ぶんじゃないよ…」
クリスタ「髪おろして、ふわふわのウェーブつけよう!」
アニ「これ、いつ終わるんだ…」
テナモンヤナンヤカンヤでさらに30分経過
クリスタ「ついに出来た~!!」
ユミル「やべぇ、別人みてーだwww」
アニ「…」
クリスタ「すっごく似合ってるよ」
ユミル「なんつーか、とげとげしさが消えたっつーか、印象が柔らかくなったっつーか」
クリスタ「それはマスカラをコームタイプにしたからかな。まつ毛が広がって目もとが優しげになったと思うんだ」
ユミル「さっすが私のクリスタ、いい腕してるな」
アニ(確かに鏡に映る自分が別人みたいだ…)
ユミル「なに鏡をまじまじと見てんだよ」
アニ「…ん、いや、違和感っていうか、自分じゃないみたいな…」
ユミル「よし、エレンあたりに見せて感想きいてみようぜ」
アニ「それは絶対イヤだね」
ユミル「いいじゃねーかよ。女として意識してもらえるかもしんねーぞwww」
アニ「別に女として見てもらいたくないし。だいたいなんでエレンなんだよ…」
ユミル「けっ、ノリの悪い女だ」
クリスタ「じゃあ、せめてお出かけしかない?たまの休日だし、このまま街へ出かけようよ」
アニ「…ん、まぁそのくらいだったら」
ユミル「ならクリスタ、アニに私服貸してやれよ」
クリスタ「そうだね、サイズが合うのがあればいいんだけど…」ガサゴソ
市街地
エレン「しっかし最前線の街だってのに人が増えたよな」
アルミン「もう5年近く何も無いからね。雰囲気もだいぶ明るくなったよ」
ミカサ「エレン、飲み物持ちながら歩くのは行儀良くない。こぼさないように気を付けて」
エレン「うるさいな。お前は俺の母親かよ」
ミカサ「エレンはすぐにトラブルを起こすから、目を離すと危険」
エレン「たまには一人でブラブラさせてくれよ…」
アルミン「アハハハ…」
アルミン「そうだ、ミカサ、よかったら僕の買い物に付き合ってくれない?」
ミカサ「アルミンの買い物?」
アルミン「うん、あっちの方で古書を扱ってるお店があったんだ。何かいい掘り出し物がないか覗いてみたいな」
アルミン(たまにはエレンにも一人の時間が必要だよね)
エレン「おお、いいじゃん。行ってこいよ。俺はここで待ってるからさ」
ミカサ「エレンが迷子にならないか心配」
エレン「だ~!!俺は幼児かっつーの!いいから早く行った行った」
ミカサ「アルミン、30秒で買い物すませて」
アルミン「えっ…それはちょっと約束できないな…」
エレン「ハ~、やっと一人になれた。ミカサも俺にばっかり構ってないで、少しは見聞広めるべきだよな~」
市街地別の場所
クリスタ「コレカワイイー、アレモカワイイー、デモネダンガカワイクナイー」
アニ「…二人はいつも、買わずに見てるだけなんて不毛なことに休日を費やしてるわけ?」
ユミル「別にいつもってわけじゃないけどな。それに品物見てるのはクリスタだけで、私はウィンドウショッピングなんて柄じゃないね」
アニ「そんな休日の過ごし方、楽しいの?」
ユミル「楽しいね。何しろクリスタの嬉しそうな顔が見られるんだから」
アニ「…悪いけど、私には理解できないね」
アニ「それにしても…スカートってのは穿きなれてないから落ち着かないね」
ユミル「だろーな」
アニ「って言うか、なんであんただけメイク落としてんだよ」
ユミル「しょーがねーだろ。私はクリスタの私服なんてサイズ的に着れないし、かと言って私服じゃ、あのメイクと合わないし」
アニ「くっ」
ユミル「いーじゃねーか、似合ってるぜwwwクリスタから借りたワンピwww」
アニ「人のこと着せ替え人形と勘違いしてるんじゃないかね、あの子」
ユミル「あー、若干それっぽい気はするなwww何しろクリスタこだわりの小道具でポーチまで持たせてんだから」
アニ(…勢いに乗せられてここまで来たけど、冷静になって考えてみると、何やってんだろ、私)
ユミル「これで白い帽子でもかぶせたら、どこのお嬢様かって感じだよな」
アニ「ねぇ」
ユミル「あ?」
アニ「私は先に帰ってるよ。クリスタにはあんたからよろしく言っといて」プイッ
ユミル「おい!」
アニ「スタスタスタ
トコトコトコ
クリスタ「ゴメ~ン、お待たせ。すっかり夢中になっちゃって…あれ?アニは?」
ユミル「帰っちまったよ」
クリスタ「もしかして私が待たせすぎちゃったからかな。私が誘ったのに、悪いことしちゃった…」シュン
ユミル「いや、遅かれ早かれ、あいつは帰ってたよ。むしろ、あの無愛想女がよくここまで付き合ったって感じだよな」
クリスタ「そーなのかなー」
ユミル「まぁいいじゃねーか。私らはもう一回りしてこようぜ」
アニ「スタスタスタ
アニ(しっかし、このサンダルも歩きにくいね。なんだって街の女どもはこんな歩きにくいもの履いてるんだか)
アニ「スタスタスタグキッ
アニ「あっ…」
******
エレン「あ~、すげー開放感。やっぱたまにはミカサからはなれないとなー」
エレン「マジ、おふくろ以上にうるさい時あるからな~あいつ」
エレン「さて、今のうちに俺もどっかの店を覗いてみるか」キョロキョロ
ドンッ
アニ「いたっ」
エレン「っと、ゴメン」
アニ(!!!!!?エレン!!!)
ベチャッ
アニ「ん?ベチャッ?」
エレン「うわっ!やっちまった!!」
アニ「あ…(借り物のワンピに飲み物が…)」
エレン(うわ~やべ~アセアセ。くっそ~ミカサの言ってたとおりになっちまった)
エレン「あ、あの、本当にすみません!なにか拭くものは…」アタフタ
アニ(よりによってエレンとぶつかるなんて…)
アニ(…でも、もしかしてまだ私だって気付いてない?なんとかして顔見られないようにしなきゃ)
アニ「……いや、私がよろけてぶつかったんだし…」
エレン「で、でも俺もよそ見してたから…」
エレン(さっきからこの人、そっぽ向いたままだよ。相当怒ってんのかな~)
アニ(とりあえず染みになる前に軽く拭いておこう)
アニ(クリスタが持たせてくれたポーチの中に何か入ってないかな)
アニ(レースのハンカチ…あの子、どこのお嬢様だったんだい)
アニ(まぁこれで少しはましになったかな。あとは帰ってからすぐに水に浸そう)
アニ(ん?エレンのズボンにも結構こぼれてる…)
アニ「…」
アニ「これ貸してあげるからあんたも少し拭いたら?」スッ
エレン「あ?ああ、ありがと…う…んん?」
アニ「ドキーッ
エレン(あれ?なんかどっかで見たような顔だな…)
エレン「あの…どこかで会ったことなかったっけ?」
アニ(ヤバイヤバイヤバイゼンリョクデタニンノフリ)
アニ「ハァ?私はあん…あなたみたいな人、知らないけど」
エレン「ジーッ
アニ「ヒヤアセダラダラ
エレン「…ご、ごめん、俺の勘違いみたいだ」
アニ(!!気付かれなかった!!他人に見えるほどのクリスタのメイク術に、今だけは感謝しておいてあげる)
エレン(そうだよな、こんなお嬢様っぽい人、俺の知り合いにいるわけないよな。着てるものとか超高そうだし…)
エレン「お、俺、弁償するよ!」
ワイワイキャッキャッ
クリスタ「あ、アニまだ帰ってなかったみたい。ホラ、あそこにいるよ」
ユミル「なんだい、あいつ文句言ってたわりにはあの恰好、気に入ってんじゃねーのか」
クリスタ「それにあれは…エレン?」
ユミル「!!」
クリスタ「お~い、二人ともムグググ」
ユミル「ちょっと静かにしてろ!」
クリスタ「も~、急に口ふさがないでよ」
ユミル「悪い悪い。でも、ちょっと面白そうな事になってそうな気がするぜ。そっと近づくぞ」
エレン「弁償する…って言っても今、持ち合わせが無いんだよな。友達から借りてくるからちょっと待っててくれないか?」
アニ(友達ってアルミンか、まさかミカサ?どっちにしろ、顔を合わせるのは得策じゃない…)
アニ「私、今ちょっと急いでるんだ。私も悪かったんだし、気にしなくていいから」
エレン「そうか…」
エレン「…じゃあ、もしヒマだったら来週、ここに来てくれないか。その時にキチンと弁償するから」
アニ(はぁ?!)
アニ(くっ、この男、意外としつこい)
アニ(どーせこいつのことだから、口説いてるつもりなんか毛頭なくて、ただ単に義理堅いだけなんだろうけど…)
アニ(けど、いつまでもここで押し問答続けるのは危険だ。一刻も早く離脱しないと)
アニ「…ヒマだったらね。それじゃ」スタタタタタッ
エレン「あっ…」
エレン「…」
アルミン「お待たせ、エレン」
ミカサ「本当に待たせてごめん、エレン。アルミンの買い物は女並みに長い」
アルミン「いや、つねにミカサがせっつくから相当早く切り上げたつもりだけど…ってエレン、どうしたの?」
エレン「えっ?」
アルミン「いや、なんとなくボーッとしてたから」
エレン「いや、別に…」
ミカサ「ん?エレン、もしかして飲み物こぼしたでしょ」
エレン「あ、ああ…」
ミカサ「はぁ~っ、やっぱりエレンは私がついていないとダメ」
アルミン「あ、でも軽く拭いてあるから、汚れはそんなに目立たないね」
アルミン「その手に持ってるのはハンカチ?へ~、エレンがそんなもの持ってるなんて意外だな」
ミカサ「ピクッ
ミカサ「それ、女もの…」
エレン「!」
アルミン「えっ!?」
ミカサ「エレン、どういうことなの?」
エレン「おい、そんなにグイグイ押すなって。と、取り敢えず今日はもう兵舎に戻ろうぜ」
エレン「さっきあったことは、おいおい説明するから…」
アニ(くそ、エレンに会ってしまうだなんて…油断した…)
ダダダダダッ
アニ(!?後ろから誰か走ってくる!まさかミカサ?)
クルッ
ユミル「よっ!」
アニ「…ユミルにクリスタ。…まだ何か私に用?」
ユミル「へへへ、見てたぜ~」
アニ「…チッ」
クリスタ「ねぇ、さっきはエレンとどんな話をしてたの?」
ユミル「普段と違ってて可愛いとか言われたのか、こんにゃろめwww」
アニ「…別に何も言われてないよ」
ユミル「あ~、あいつは彼女が髪切っても気付かないタイプっぽいしな~」
クリスタ「そっか…でもせっかくこんなに可愛くメイクしたんだから一言ぐらいあっても…」
アニ「いや、そもそも、私だってことに気付いてないし…」
クリスタ「気付いてないって…え、じゃあどうしてお話ししてたの?」
ユミル「まさかナンパかwwwあのエレンがwww」
アニ「違うよ。変に誤解されるのもイヤだから全部話しとくけど」
カクカクシカジカ
クリスタ「なるほど、そういうことだったんだ」
ユミル「まったく、わざわざ弁償するとか、律儀なところがアイツらしいって言うか」
ユミル「にしたって普通気付くだろ~、いくらメイクで別人みたいになってるからって。どんだけ鈍感なんだよ」
クリスタ「それじゃあアニは来週もこの恰好でエレンに会いに行くの?」
アニ「行かないよ。ああ、服の染み気にしてるんだったら、私が弁償するからさ」
クリスタ「ううん、そんな事は全然気にしなくていいの。それよりも…」
ユミル「お前、エレンとの約束やぶんのかよ」
アニ「…別に約束したわけじゃない。ヒマだったら行くって言っただけ」
クリスタ「でも、エレンの性格からしたら絶対待ってそうだし…」
ユミル「デートすっぽかすとか悪女だなwww悪女www」
アニ「ギロッ
クリスタ「やめなよ、ユミル。…でも、私もすっぽかしちゃうのはやめた方がいいと思うな」
クリスタ「もし行かないんだったら、実は今日ぶつかったのがアニだって事情を説明してあげた方がいいと思うよ」
アニ「…」
クリスタ「勿論、普段と違う恰好してたのを知られるのが恥ずかしくって言いにくいとかあるかもしれないし、それに関しては私に責任があるって言うか…」
クリスタ「だから、私からエレンに説明してもいいけど」
アニ「…そこまでしてもらわなくていいよ。さっきはちょっとテンパっちゃってタイミング逃しただけで、無理に隠すつもりはないんだ」
アニ「明日にでも私の口からちゃんと説明しておくよ」
ユミル「ま、エレンのヤツじゃあ、変に吹聴して廻ったりもしないだろーしな。あーあ、盛り上がりに欠けてつまんねー展開だ」
アニ「残念だけど、私はあんたに娯楽を提供するつもりは毛頭ないからね。娯楽が欲しいならサシャでも相手にしてな」
翌日 訓練終了後
ユミル「で、どうすんだ?」
アニ「取り敢えずエレンには昨日の経緯を説明するけど、アルミンやミカサにまで話すつもりはない」
ユミル「ってことは…」
クリスタ「エレンが一人になるよう、私とユミルで誘導すればいいんだね」
ユミル「まぁ、ミカサのマークを外すのが主な仕事になるんだろーけどな」
アニ「あの猛犬は近づくだけで噛みついてきそうだからね」
クリスタ「昨日も言ったけど、私にも責任あるから、いくらでも協力するよ!」
ユミル「ま、私もそれぐらいの手助けはしてやるさ」
アニ「…助かる」
ユミル(勿論この恩は後で倍返ししてもらうけどなwww)
ユミル「で、あの3人組は今どこにいるんだ?おい、芋女!エレンたちを見なかったか?」
サシャ「エレンですか?さっきミカサとアルミンと一緒に厩舎の方に行きましたけど」
ユミル「だってよ。さて、そんじゃ一仕事しに行きますか」
ユミル「あ、あと芋女!私とクリスタの分の水汲みやっとけよな」
サシャ「ハ、ハイ、今すぐやります、恩人様…へへへ」
クリスタ「もう、そんなのダメだって、いつも言ってるのに…」
厩舎裏手
ミカサ「エレン、調子が悪いみたいだけど、大丈夫?」
エレン「大丈夫だって今日何度も言ってるだろ。いー加減しつこいな」
アルミン「でも、僕から見ても、今日のエレンは調子良くなさそうだよ」
エレン「そ、そうか?」
アルミン「立体機動の訓練でジャンに挑発されても突っかかっていかなかったし」
アルミン「いや、別に突っかからないのは冷静で良い判断だと思うけど、何ていうか…心ここにあらずって感じがしたな」
ミカサ「エレン、悩みがあるなら何でも打ち明けて。私たちは家族でしょ」
エレン「家族だからって何でも相談するわけじゃないだろ…」
アルミン「…」
アルミン「もしかして、エレン…」
厩舎付近
クリスタ「エレンたち、どこかなー」
アニ「ん、あそこに…」
ユミル「お、いたいた。なんか3人で話してんな。さてと、どうやって分断するか」
ユミル「取り敢えずそ~っと近づいてみっか」
クリスタ「なんでそ~っとなの」
アニ(と言いつつクリスタも忍び足になってる…)
アルミン「…」
アルミン「もしかして、エレン…」
アルミン「昨日の女の子のことが気になってるんじゃない?」
エレン「!」
ミカサ「!」
アニ「!」
クリスタ「!」
ユミル「!」
エレン「な、何言ってるんだよ、アルミン!」
アルミン「僕の勘違いだったらそれで構わないんだ。でも、もしそうなら…何か力になってあげられるかもしれない」
エレン「…」
ミカサ「…エレン…どうなの?」グギギギ
エレン「き、気になってるとか、そーいうのは、よく分からないんだけど…」
エレン「ただ…」
ミカサ「ただ?」
エレン「もう一度会ってみたいとは思ってる…」
ミカサ「!」
アルミン「!」
アニ「!」
クリスタ「!」
ユミル「!」
クリスタ「(小声で)ちょっとユミル!どうなってるの、これ!」
ユミル「(小声で)分かんねー。分かんねーけど、最高に言い出しにくい状況になったのは確かだなwww」
アニ「…」ホウシンジョウタイ
アルミン(あのエレンに情緒が育まれてる!幼馴染の僕としては素直に祝福してあげたいけど…)
ミカサ「エレンはその女に騙されてる!!」ギリギリギリ
アルミン(手放しでは喜べそうにないな…)
エレン「騙されてねーって!だいたい、俺が説明した状況のどこにそんな余地があるんだよ」
アルミン「取り敢えず、来週の休暇の日にもう一度会う約束はしてるんだよね」
今さらですが、この先で10巻ネタバレしちゃいそう
アニメ派の人、ゴメンナサイ
エレン「ん…だけど、来るかどうかは分からないんだ…。俺が強引にそう言っただけで…」
アルミン「今からそんなネガティブに考えることはないさ。きっと来てくれるよ」
エレン「そ、そうかな」
ミカサ「…その時に、私がその女の化けの皮を剥がしてあげる…」
エレン「お前、ぜってーついてくんなよ!!」
ユミル「…おい」
アニ「…」
ユミル「おい、アニ、聞いてんのか?」
アニ「…ん?ああ、聞いてるよ…」
ユミル「どうすんだよ」
アニ「…どうするって?」
ユミル「予定通り、エレンを分断するかって聞いてんだよ?」
アニ「あ、ああ…どうするかね…」
クリスタ「…と、取り敢えず今日はやめといた方がいいと思うな…」
ユミル「そうだな、私もそう思うんだが…」
アルミン「…ん、そうだ」
アルミン「エレン、昨日のハンカチ、今持ってる?」
エレン「あ?ああ」
アルミン「もう一度見せてもらっていいかな?」
エレン「いいけど、どうした?」
アルミン「うん、ちょっと気になる事があって…」
エレン「ほら、これ。で、なんだ?気になる事って」
アルミン「エレンの話から推測するに、その女性は結構裕福な家庭の人らしいけど、だとしたら…」
エレン「だとしたら?」
アルミン「!やっぱり!ほら、ここに刺繍がしてある」
エレン「刺繍?」
アルミン「うん、上流階級の家庭では、オーダーメイドのハンカチにファミリーネームを刺繍で入れるって話を聞いたことがあったんだ」
クリスタ「!!!」
ユミル「(小声で)おいおい、なんだか話がやばい方向に転がってないか」
エレン「ってことは?」
アルミン「エレンにこれを貸してくれた人の名前が分かると思うんだ。え~っと…w、r、a、i、t、h…。レイスかな」
クリスタ「ギクーンッ!!!
ユミル(あっちゃ~)
アニ(?どういうこと?)
ミカサ「エレンをたぶらかした女はレイス…」
エレン「レイス…あの子、レイスっていうのか」
ユミル「(耳打ち)なんだってあんなもん後生大事に持ってんだよ!」
クリスタ「うう、だって…」
ユミル(くそ、なんとかしてあれをエレンから取り戻さねーと)
ユミル「おい、アニ、ひとまず戦略的撤退だ。作戦を練り直すぞ」
アニ「あ、ああ。いったいどういう状況になってるんだい?」
ユミル「…一つだけ言えるのは、アニには来週もあのメイクでエレンに会ってもらわなくっちゃならない理由ができたってことだ」
長々と深夜までスミマセン。もう寝ます。
お付き合いいただいた方々、途中支援してくださった皆様、
本日はありがとうございました。
また明日夜、機会があれば続けさせていただきます。
支援の方々、感謝です。
昼間書きためようと思ったら寝過して出来ませんでした。
今からtokyo mxで始まる前まで頑張ります。
牛歩進行ですが、ご容赦ください。
前回のまとめ
フルメイク姿のアニは街でばったりエレンと遭遇
全力で他人のふりをした結果、苗字はレイスと勘違いされ…
ユミル「とりあえず現況をまとめるとこんな感じだな」
アニ「…」
クリスタ「…」
アニ「ねぇ、そもそもあのハンカチは誰のものなんだい?クリスタが持たせてくれたポーチに入ってたから勝手に使ってしまったけど」
クリスタ「ビクンッ
ユミル(私もクリスタの事情を完全に把握してるわけじゃないけど…)
クリスタ「…」
ユミル(なるべく穏便に済ませたい。クリスタのためにも)
ユミル「なぁ、アニ。人は隠し事なんて一切無しで生きていけると、あんたはそう思うかい?」
アニ「な、なんだい、藪から棒に…」ドキッ
ユミル「少なくとも私には、他人に言えない事ある。あんたにだって話せないことの一つや二つあるだろ?」
アニ「…」
ユミル「つまりは、これもそーいう類の一つってことだ。余計な詮索はしてくれるなってこと」
クリスタ「アニ、ゴメンね…」シュン
アニ「…なんだか分からないけど、別に興味があるわけじゃないし、いいよ。不必要に知ろうとはしないよ」
ユミル「ああ、それでいい」
ユミル(ふ~、こいつが好奇心強い女じゃなくて助かった。それに、愛想はないけど他言しないと信用できそうなヤツではあるし)
ユミル「でだ、私とクリスタにとって、最大の目的はあのハンカチをエレンから取り戻すことだ」
ユミル「そのためにも、あんたには来週エレンにもう一回会ってもらって、あれを受け取ってきて欲しい」
アニ「…だったら、わざわざ昨日と同じメイクで出かけなくてもいいんじゃない?当初の予定通り、昨日ぶつかったのは私だって説明してから受け取っても同じだろ」
ユミル「出来ればそれは避けてほしい。なぜかって言うと、訓練兵団内部の人間じゃなくて、外部の知らない人間の持ち物だってことにしておきたいからな」
アニ「ふーん…」チラッ
クリスタ「…」ショボン
アニ(ただ可愛いだけのお人形かと思ったら、意外とこの子も色々事情を抱えてるんだね)
アニ(それに、このそばかす女。伊達にクリスタにちょっかいかけてるわけじゃなさそうか…)
アニ(ま、私の知ったことじゃないけど…)
アニ「…仕方ないね。あれをエレンに渡したのは私だし、こうなったら最後まで付き合うよ」
ユミル「頼んだぜ」ホッ
クリスタ「アニ、ありがとう」ウルウル
あッという間に一週間後 休日
アニ「で、今日はどういう手順でいくんだい?前回と違って、兵舎でメイク済ませるのはリスク高いと思うけど」
クリスタ「そうだね。出かける姿を人に見られるわけにはいかないし…」
アニ「だからと言って街中でメイクなんてしてたら目立って仕方がないだろ?」
ユミル「う~ん、事前に街中で人の目の届かない場所を調査できればよかったんだが、さすがにそんな余裕はねーよ」
クリスタ「じゃ、メイクは前回と同じく私室で。その後、アニが外へ出るまでは、私とユミルで人がいないか確かめながら先導する。これでどうかな?」
アニ「…それが最善かね」
ユミル「ああ、それしかないだろ。それよりも問題はむしろ…」
エレン!ヒトリデカッテニドコイクノ!!
ツイテクンナヨ!ミカサ!!
ワーワーギャーギャー
ユミル「牝ゴリラの首にどうやって鈴をつけるかだよな…」
エレン「だから先週から何度も言ってるだろ、今日は一人で行かせてくれって!」
ミカサ「エレンを一人にはさせられない。前回だって私がついていれば人に飲み物こぼすような失態はさせなかった」
エレン「ぐぬぬ、それを言われると反論できねーが…」
ミカサ「それにエレンは純粋だから、人を信じすぎてしまって心配」
エレン「お前…恥ずかしげもなく、よくそーいう台詞言えるよな…」
エレン「とにかく!ミカサは終日兵舎で待機!!アルミン、こいつが暴走しないように見張っててくれよ。頼んだ!」
エレン「ついてくんなよ!絶対についてくんなよ!!」ダダダダッ
アルミン「エレン…それじゃついてこいって言ってるみたいだよ…」
ミカサ「行っちゃった…」シュン
アルミン「ミカサ…なんて言うか、男子には反抗期っていうのがあるんだよ。家族だからこそ疎ましく感じるっていうか」
ミカサ「?…つまり、エレンは不良になったってこと?」
アルミン(その発想は三世代前の母親だよ、ミカサ…)
ミカサ「…アルミン、あなたは危機的な状況の時ほど、どの行動が正解か当てることができる」
アルミン「へ?あ、う、うん…」
ミカサ「今はそれに頼りたいと思う。私は今日どうするべき?」
アルミン(そんな大げさな状況じゃないと思うけど…)
アルミン「やっぱりついていくべきじゃないと思うよ。家族だからこそプライベートは尊重しなきゃいけないだろうし」
ミカサ「…分かった」
サシャ「♪~」
ミカサ「ピンッ
ミカサ「アルミンの忠告には従う。今日はずっと兵舎で待機してる。けど…」
トコトコトコ
ミカサ「サシャ、頼みがある」
サシャ「へ、なんですか?」
ミカサ「今日、エレンが外で人と会う約束をしてるの。どうやら厄介事に巻き込まれているみたいで…そう、あれはきっと詐欺事件…」
アルミン(!!ミカサ、何を言い出すんだ!)
サシャ「ほえ~、やっぱり市街地って恐いところですね~。森では人間同士が結束してなきゃ生きていけませんよ」
ミカサ「でも、私は理由あって追いかけられない。だから私の代わりにエレンを見張って、出来ることなら二人の邪魔…じゃなくてエレンを助けてあげてほしい」
サシャ「はぁ…。あ、でも私、今日はちょっと別の用事が…」
ミカサ「勿論、報酬は出す。今日の夕食時のパンを譲る」
サシャ「エレンを騙すだなんて許せませんね!!私が必ずやとっ捕まえてエレンを救ってみせます!!!」
ミカサ「うん、お願い」
アルミン(ミカサは母親になったら思春期の子供に介入し過ぎて嫌われるタイプだな…)
クリスタたちの私室
ユミル「おい、エレンが出かけたみたいだぞ。うちらも早速準備して後を追おう」
クリスタ「うん、分かった。こっちもそろそろメイク完成しそう。服装は先週と同じでいいかな」
アニ「私は構わないよ。…で、お目付役の猛獣切り離しはどうするんだい?」
ユミル「それがどうやらミカサは後を追わないっぽいぞ。あの過保護ママにしちゃあ珍しい話だが、私たちには好都合だ」
アニ「ふ~ん…何か裏がありそうだね」
ユミル「んな事いったって探りをいれてる時間はない。ホラ、そろそろ行くぜ」
クリスタ「よし、これで完成!うん、前回同様可愛く出来たよ」
ユミル「へへへ、ではお嬢様、お出かけいたしましょうか」
アニ「…まったく」
コンコン
サシャ「クリスタ、ユミル、いますか?入りますよ~」
アニ「!」
クリスタ「!」
ユミル「!」
ユミル「(小声で)アニ、隠れろ!」
アニ(!隠れるってどこへ!!)
クリスタ「(小声で)と、とりあえずベッドの中へ!布団かぶって!!」
ガバッバサバサッ
ドアノブガチャ
サシャ「お邪魔しますね」
ゴメンナサイ、30分休止
今回観てリヴァイxハンジも悪くないと思いました
再開してもう少し頑張ります
ユミル「お、おう。どうした、何か用か?」
クリスタ「ドキドキ
サシャ「ええ、実は…ん?クンクンッ、この部屋、何か匂いますね…」
ユミル「は?」
サシャ「何でしょう…あんまり嗅いだ事のない匂いですね。でも、決して悪い匂いじゃ…」クンクンクンッ
クリスタ「(耳打ち)もしかしてメイク道具の匂いかな。私の持ってるのはファンデでも何でも基本的に無香料だけど…」ヒソヒソ
ユミル(くっ…こいつの鼻は獣並みかよ…)
ユミル「それよりサシャ!!何の用だよ!!私たちはヒマじゃねーんだ、さっさと言え!!」
サシャ「あ、ご、ごめんなさい。実は今日代わるように頼まれてた備品整備の当番なんですが、急な用事で出来なくなってしまって…」
ユミル「チッ…なんだ、そんなことかよ…」
クリスタ「べ、別にいいんだよ、気にしなくて。サシャだって休日を満喫してきたらいいんじゃないかな」
サシャ「ハイ、ありがとうございます!でも、休日を満喫出来るわけじゃないんですよね~」
ユミル「分かった分かった。いいからもう行けよ」
サシャ「さて、これからエレンを追いかけないと」
ユミル「…?!!!!」
クリスタ「???!!」
サシャ「行ってきま」
ユミル「ちょっと待て!芋女。今何て言った」
サシャ「へ?パァン…ですか?」
ユミル「何行目にそんな台詞があったんだよ!!」
カクカクシカジカ
サシャ「…という訳で、エレンがピンチなんです」
クリスタ(これは…)
ユミル(危ねぇところだった…だが、どうやら天はこっちの味方をしてるな)
ユミル「おい、芋女。やっぱりお前には備品整備の当番をやってもらわなくっちゃならないね」
サシャ「え、でもミカサと約束してしまったし…」
ユミル「いや、私だって鬼じゃない。何も約束を破れとは言ってないんだ」
ユミル「つまり、あんたには予定通り備品整備をしてもらって、代わりに私とクリスタでエレンを助けにいってやるよ」
ユミル「ちょうどクリスタと一緒に街へ出かける予定もあったしね」
サシャ「え…でも、それじゃ…」
ユミル「勿論、ミカサからの報酬はお前が貰って構わない。それどころか私からも報酬のパンをやろう。どうだ、悪くない提案だろ?」
サシャ「私、備品整備の仕事に命かけます!!当番は誰にも譲れません!!」
クリスタ「そ、そこまで意気込まなくてもいいんじゃないかな…」ニガワライ
サシャ退出後
クリスタ「アニ、もう出てきていいよ」
プハァ
アニ「あなたが無理やり布団かぶせたから息苦しくてたまらなかったよ」
ユミル「お前、髪型がくしゃくしゃになってんぞ…」
クリスタ「あ、本当だ。ゴメンね、もう一回直すから」
アニ「いや、別に私はこのままでもいいんだけど…」
クリスタ「ダメだよ!せっかくのデートなのに髪型がきまってないなんて」
アニ「…あんた、当初の目的ちゃんと覚えてんのかい?」
20分経過
クリスタ「よし、これで元通り」
アニ「エレンが出かけてからだいぶ遅れをとっちまったね。早く行かないと…」
コンコン
ミーナ「クリスタ、いる?入るよ」
ユミル「またかよ!隠れろ!」
アニ「今日は何て日だい、まったく…」
ミーナ退出後、再び髪直して20分経過
アニ「完全に遅刻だぞ…」
ユミル「いいんだよ。男なんて待たせてなんぼだ。逆に男より早くいって待っててみろ。安い女と思われるぞ」
クリスタ「も~ユミルの意見て、どうしてそうヒネくれてるのかなぁ」
アニ「…こいつの意見は真っ当じゃないのかい?」ヨクワカラナイ
クリスタ「そうだよ。私たちみたいな若いうちから駆け引きするような疲れた恋愛してたら、大人になった時に後悔するよ」
ユミル「…クリスタこそ誰に吹き込まれたんだよ、その婆臭い恋愛観」
アニ(まぁどっちにしろ私には関係ない話かな。色恋沙汰なんて…てんで遠い世界の話じゃないか…)
市街地
ユミル「よ、予想以上に疲れたな…」ハァハァ
クリスタ「うん…あの後も宿舎を出るまでに色んな人に見つかりそうになりながら来たから…」フゥフゥ
アニ「遠回りし過ぎて、結局エレンの出発からもう既に一時間半近くも経ってるじゃないか…」ヘトヘト
クリスタ「もしかしてエレン、帰っちゃってないかなぁ…」
ユミル「ちくしょう、帰ってたらただじゃおかねぇぞ、あの精神的インポ野郎」
アニ「…」キョロキョロ
アニ「あ…いた」
クリスタ「え、どこどこ?」
ユミル「ああ、あそこの角の所か。つーか、なんであいつは兵団の制服なんだよ…私服着てこいよ」
ユミル「しっかし、よくよく考えてみたら一時間半待たされて帰らない男ってのもひくよな。どんだけ未練がましいんだよって話だ」
クリスタ「またユミルはそういう見方しかできないんだから…」
アニ「…ねぇ、こういう時、女は素直に遅れたことを謝った方がいいのかな」
ユミル「あ?いや、別にそんな必要ねーだろ」
クリスタ「当然だよ!そーいうのはキチンと伝えないと」
アニ「…」
アニ「ま、こんなこと、人にきいてどうにかなるもんじゃないね。私の思うようにやってみるよ」
ユミル「よし行ってこい!私たちは物陰から応援してるからな」
クリスタ「頑張ってね!」グッ
アニ「何を頑張るんだよ…」
エレン「…」ボーッ
アニ「…あ、あの」
エレン「!!!!あ、や、えっと」ワタワタ
アニ「…」ゴクッ
アニ「………遅れてゴメン」
エレン「い、いいよ…えっと…そ、そう!俺も!俺もついさっき来たばかりだし!」
アニ「…は?」
クリスタ「!」
ユミル「!」
ユミル「でたwww優しい嘘(笑)だよwwwあんなん今どきマジで言うヤツがいるんだなwww」
クリスタ「ちょっと!笑っちゃ失礼だよ」プルプル
ユミル「クリスタも笑いこらえてんじゃねーかwwwしっかしあいつはマジもんの天然記念物か」
アニ「…そ、そう。あん…あなたも来たばっかりなんだ」
エレン「あ、ああ…」
アニ「…」
エレン「…」
アニ(いくらメイクしてるからって声は同じなんだし、口調ぐらいは変えないとマズいよね)
アニ(しかし、意識して口調を変えるとなると、とんでもなく話しづらい…)
アニ(さっさと用件を切り出してしまわないと)
アニ「あの」
エレン「あのさ」
アニ「///」
エレン「///」
ユミル「くっそ~。もどかしいなんてもんじゃねーぞ、あの二人」
クリスタ「アニはユミルみたいにスレてないからね」
ユミル「おいおい、傷つくようなこと言ってくれるな。私はあーいうの一歩引いて見ちまうから、どうしたって意見が冷たくなるのさ」
ユミル「だいたい、あいつとあたしじゃ前提条件が全然違う」
クリスタ「?」
ユミル「つまりだな、私なんかはハナっから男に興味が無いタイプなんだ」
ユミル「だけど、あいつは違う。あいつの感受性は私よりもクリスタ寄り、至極普通なヤツなんだと思うぜ」
ユミル「それを何でか知らないが無理やり自分には縁遠いものなんだって言い聞かせてる」
ユミル「少なくとも私にはそー見えるけどね」
クリスタ「…」
ユミル「…何か言えよ」
クリスタ「ユミルって凄いね。他人に関心ないようでいて、キチンと観察してるんだ」キラキラ
ユミル(く、つい余計なことをしゃべり過ぎちまった…これというのもあの二人のせいだ…)
エレン「そ、そうだ。せ、先週はホントにゴメン。今日は改めて弁償するって話だったんだよな」
アニ「いや、本当にいいよ。お金なんて。むしろ、そんな責任感じられても困るし」
エレン「そ、そうか…じゃあ代わりに何か奢るよ!」
アニ「…それより、先週貸したハンカチを返して欲しいんだけど」
エレン「ハンカチ?ああ、あれか。悪い、今日は持ってきてないんだ」
アニ「…はぁ?!」
ユミル「ちょ!」
クリスタ「ええ~っ!!」
エレン「そうだよな、あれ、結構いいものっぽかったもんな」
アニ(こいつ…会う約束取り付けておいて、借りた物をもってこないとか…私にも分かるけど、それは常識外れだぞ…)
エレン「そうだ。今から一緒に兵舎へ取りに来る?」
アニ「え…」ビクーンッ
エレン「あ、言ってなかったけど、俺は第104期訓練兵団所属のエレン・イェーガーっていうんだ」
アニ(知ってるよ)
エレン「…えっと、名前、聞いてもいいかな」
アニ「…え?」
エレン「名前なんだけど…何ていうんだ?」
アニ(な、名前?!!畜生!どーすんだよ!!こんなの想定してなかったぞ)
アニ(チラッ)
クリスタ「どーしよー、ユミル!アニが私たちにヘルプを送ってるよ」
ユミル「くっそー、あの男、分かってて狙ってんじゃねーだろーな」
ユミル「取り敢えずブロックサインで、ご・ま・か・せ、と」
アニ(ユミルの野郎、何をのんきに踊ってんだ…)
アニ「…」
アニ「名前ね…名前…」
アニ(ここが限界か…クリスタには悪いけど、嘘をつき通せる気がしない…)
アニ「ア…」
エレン「ア?」
アニ「ア…アネ…」
エレン「アネ?」
アニ「アネサ…」
エレン「アネサ…。アネサ・レイスっていうのか」
アニ(くっ…こいつ、微塵も私だと疑わないのかよ。自分で言うのもなんだけど、さすがに今のは怪し過ぎ…)
クリスタ「…なんか勝手に一人で納得しちゃったみたい…」
ユミル「アニのやつ…偽名使うにしろ、本人とかぶり過ぎだろ…」
エレン「で、どうする?」
アニ「え?」
エレン「もしよかったら兵舎まで取りに来る?」
アニ「あ、えーと、それは…」
エレン「もしかして、今日も時間ないから無理?」
アニ「そ、そう。実は今日も急いでるんだ…」
エレン「そうなのか。悪いことしたな」
アニ(ホントだよ…)
エレン「そうだ。直接、俺が家まで届けるよ。どこに住んでるんだ?」
アニ(!!!さすがにもう勘弁してほしい…)
アニ「…いや、それは無理じゃないかな…」
エレン「無理?もしかしてトロスト区じゃないのか?」
アニ「あ、ああ、遠いんだ」
エレン「カラネス区か、それともクロルバ区?」
アニ「いや、そうじゃなく…」
エレン「トロスト区でもカラネス区でもクロルバ区でも無いのか?」
エレン(う~ん、どう見ても僻村の人間とは思えないし、かと言ってウォール・ローゼ内の街じゃないとすると…)
エレン「え…まさか…いや、じゃあ、もしかして…」
アニ「?」
エレン「!!!ウォール・シーナの住民なのか!!!」
アニ「え?」
エレン「それしかあり得ないもんな。でも、どうしてウォール・シーナの住民がここに???」
アニ(くそ、何か勝手に一人で納得したみたいだ。だんだんと嘘が増えてきて、いつボロが出てもおかしくない状況になってきた…)
エレン「そうか、ウォール・シーナの住民かぁ。俺、そういう人に初めてあったよ。でも、どうしてトロスト区に来てるんだ?」
アニ「そ、それは…」
アニ(そんなの私の方が教えてほしいくらいだよ)
エレン(アネサ、何だか言いにくそうだな…。待てよ、そう言えばアルミンが昔こんなことを言ってたな)
アルミン「ウォール・シーナ内部に住む特権階級の人たちは最前線の街の実情をよく知らない」
アルミン「かつての奪還作戦だって巨人を見たこともないような一部の人間によって立案された。僕はそれがくやしくてならない…」
アルミン「だけど、中には心ある人たちもいて、彼らはキチンと前線の視察を行っているらしい」
アルミン「勿論、それは非公式なものであって、決して大きく喧伝されたりはしないのだけれど…」
エレン(…!そうか、アネサは非公式の視察、いわゆるお忍びってヤツだな!だからさっきから言い淀んでるんだ)
エレン「アネサ、もしかしてウォール・シーナ内から来た事は秘密なのか?」コエヲヒソメテ
アニ「そ、そう。これは秘密なんだ…だからあまり街中で言わないでくれる?」
エレン「ああ、分かった」ヤッパリオレノソウゾウハマチガッテナカッタ
アニ(いくらなんでもこれ以上、妙に勘繰られたらヤバい。なんとか話題を逸らさないと…)
アニ「あ、あのさ、エ…エレンは訓練兵団なんだよね。訓練兵団ってどんな所なのか、教えてくれるかい?」
アニ(兵団の話題はまずかったかな。でも、出会って二回目の男とどんな話をしていいかなんて、私には分からないよ…)
エレン「ああ、いいぜ。でも、立ち話ってのもなんだから…。時間ってあとどのくらい大丈夫なんだ?」
アニ「えっ、あ、あと30分くらいなら…」
エレン「そうか、じゃあ、すぐそこにある店に腰を落ちつけるってことでいいよな」
アニ「別に構わないよ…」
アニ(失敗した…5分も無いって言っておけばよかった…)
二度目の邂逅を全部書き切りたかったけど
今日はこの時間が限界です…
見てくださった方、ありがとうございます
気力と体力残ってたら火曜日夜に続き頑張ります
おやすみなさい
支援の方々、大々感謝です。
書いてみて 初めて分かる 有り難味
すごく励みになります
平日なので早々に切り上げると思いますが宜しくお願いします
前回までのあらすじ
別人を装ったフルメイク姿のアニとエレン、二度目の顔合わせ
誤解はますます進行し、ウォール・シーナ内に住むお嬢様ということに…
ユミル「ってな感じになってるわけだが」
クリスタ「う~ん、どうしてこんなおかしな状況になっちゃったんだろう」
ユミル「現状、私らにできることは、ただ見守るだけだ。アニの機転に期待しようぜ」
エレン「…っていう感じで、殆どのヤツは、12歳を迎えて生産者にまわるのは臆した腰抜けだって世論に流されて訓練兵団に入ってる」
エレン「だから、くやしいけど、調査兵団に入ってこの世から巨人を駆逐してやろうなんて気概をもつ人間は僅かなんだ」
エレン「成績上位者は憲兵団になって内地での快適な暮らしを手に入れる、そうでなきゃ駐屯兵になって憲兵団への異動を伺う」
エレン「王政府の方針だか何だか知らないけど、外の世界に興味を持つこと自体がタブー視されているせいで、俺みたいな調査兵団志望の人間は異端扱いさ」
エレン「残念ながら、訓練兵団の実情なんてこんなもんなんだ。外の世界を知らなければ、人類の尊厳を取り戻すことなんて出来ないってのに…」
アニ「…」
アニ(…まったく、エレンらしい色気のない会話だね。いや、別にそんなものを求めてたわけじゃないけど…)
アニ(あんたの主張は何度も聞かされてきたよ。今話していることも、普段こいつが声高に叫んでいることと同じ)
アニ(会って二回目の女にする話題じゃあないにせよ、こいつが裏表のあるようなヤツじゃないって事だけは確か…)
アニ(エレン…誰もがあんたみたいに勇敢にはなれないんだよ…)
エレン「…けど」
アニ「?」
エレン「最近、それだけじゃダメなのかもしれないって思うようになったんだ」
アニ「え…」
エレン「前にな、同期の仲間にこう言われたことがあるんだ。なぜかこの世界では、巨人に対抗する力を高めた者ほど巨人から離れられる。どうしてこんな茶番になってるのか?って」
アニ「!」
エレン「そいつは、それが人の本質だからだって言ってた。兵団の訓練を、下らない世界での兵士ごっこだって一蹴してたよ」
アニ(それは…)
アニ「…。…随分と冷めたこと言うお仲間だね」
エレン「冷めてるっていうか…、そいつはいつも怖い顔してて、大男を空中で一回転させるような女なんだけどなwww」
アニ「…」
クリスタ「エレン…」
ユミル「地雷原を裸足で突っ走るような…まさに死に急ぎ野郎だよ…」
エレン「とにかく、俺はそう言われて、確かにそうだと納得しちまった」
エレン「憲兵志望の同期にこの疑問をぶつけてみたら、そいつはそれが現実だから甘んじて受け入れろ、なんて言いやがる」
エレン「そんな現実はおかしいハズなんだ。おかしいハズなんだけど、どうしてそうなっちまってるのか、俺には分からない」
アニ「…」
アニ「…あんたの言ってることはきっと正しいよ」
アニ「だから、もし、あんたみたいな正しい人だけで世の中ができてたら、兵団の仕組みだっておかしなことにはなってなかっただろうね」
アニ「けど、そうじゃなかった」
アニ「きっと兵団という組織の仕組みは、人間の本質がよく表れるような構造になってるんであって、正しい人間は一般的じゃないんだよ」
アニ「他人より自分の利益を優先させ、周りがズルすれば一緒に流される、そんな弱い人間が普通なんじゃないかな…」
ユミル(なんか、あいつ完全にアニとしての本音を語っちゃってるっぽいぞ)
クリスタ(アニ、さっきまではエレンの事をあなたって呼んでたのに、口調が完全にいつもと同じになってるよ)
エレン「…」
アニ「…どうしたんだい?」
エレン「なんかさ、アネサって、俺の知ってるヤツにすげー似てるんだよな。あいつも同じような意見言いそうだなって思って」
アニ「ブフッー!ゲホゲホゲホッ!!
エレン「うぉ、おい、大丈夫か」
アニ「ごめん、ちょっとむせちゃって…」ゴホゴホッ
クリスタ(いつもはリアクションの薄いアニがあんなに噴き出すなんて…)
ユミル(エレン、侮れんヤツ)
アニ(油断し過ぎた…私から喋るのはもうよそう。聞き役に徹して凌がなきゃ…)ゴホゴホッ
アニ「…で、話を戻すと、最近あんたはそれだけじゃダメなのかもしれないって思うようになったって言ってたね。何がどうダメなんだい?」ゴホゴホッ
アニ「巨人に対抗するためには、まず組織の構造を変えるべきだって言いたいの?」ゴホゴホッ
エレン「ん、ああ、別にそこまで具体的に考えてたわけじゃないんだけど…」
エレン「うまく言えないけど、俺たちに今必要とされているのは巨人に対抗する力だけじゃなくって、色々なことを知ることなんじゃないかなって思うんだ」
エレン「仮に、どうして壁の外の世界に行きたいと思ったのかって訊かれたとしたら、俺は」
エレン「オレが!!この世に生まれてきたからだ!!って答えると思う。それってつまり、この世界ってものが何なのかを知りたいからなんだよな」
エレン「そう考えると、壁の外を知るだけじゃ足りなくて、壁の内側のことも、巨人のことも、兵団のことも、正しいって何なのかとか普通って何なのかとか」
エレン「そういうことをひっくるめて全部知りつくさなけりゃ、きっと俺は満足できない気がするんだ」
アニ「…」ゴホッ
エレン「っと、いけね。つい話しこんじまったな。時間、まだ、大丈夫なのか?」
アニ「ん、ああ…もう行かないと…」
エレン「そうか…」
エレン「…」
アニ「…」
エレン「…」
アニ「…」
エレン「…あのさ」
アニ「また」ボソッ
エレン「え」
アニ「………また、会えるかな…」
エレン「!!あ、ああ!勿論!!」
アニ「…そん時は忘れずにハンカチ持ってきてよね」
エレン「あ、ああ、そうだった。ホント、今日は忘れちまってゴメンな。今日は来てくれるかどうか不安で、そっちに気が回らなかったんだ」
エレン「でも、来てくれて、すげー嬉しかったよ」ニカッ
アニ「!!」セキメーーーーーンッ
クリスタ(アニってば顔が真っ赤//)
ユミル(悪人面のエレンが笑うとキモいな…)
ソレジャマタライシュウオナジバショデ…アア…マタネ…マタナ!…スタスタスタ
アニ「…」
ユミル「よーご苦労だったな、演技派女優」ニヤニヤ
クリスタ「お疲れ様、本来の目的が果たせなかったのは残念だけど、来週の約束は取り付けたし、ひとまずは成功かな」
ユミル「別れ際に、二人が会っていた事を他の人間に漏らすなって伝えておいたのもナイス機転だ。これで兵団内で妙な噂が流れることもないだろう」
アニ「…」
ユミル「で、それはおいといて」
ユミル「なあ、おい、どうなのよ」ニヤニヤ
アニ「なにが…」
ユミル「いや、もう、あれは完全にエレンのやつ、あんたに惚れてるだろwww」
アニ「は?」
クリスタ「う、う~ん、たしかに傍から見てると、そんな感じに思えるかなぁ…」
アニ「惚れてるって…いもしない人間にかい?あり得ないだろ…」
クリスタ「で、でも、エレンはそんな事知らないわけで」
ユミル「ま、あんたのメイクにコロッと騙されちゃうところなんて、チョロくて可愛いーじゃねーかwww」
クリスタ「チョロいってひどいなぁ…もっとこう、母性本能をくすぐるとか、言い方があるでしょ。ミカサが構いたがるのも分かるもん」
アニ「バカバカしい…。おおかた、メイクした女を見慣れてないから舞い上がってるだけでしょ」
ユミル「ま、そーいうのも否定はできねーけど…それより、あんたはどうなんだよ」
アニ「私?」
ユミル「そう、エレンがどう思ってるかはおいといて、どうよ。別人視点から改めてエレンと接してみたわけじゃない」
ユミル「いつもと違う男としての顔を知っちゃったみたいなwww」
クリスタ「//…ユミル、言い方が下品…」セッキメーン
アニ「…」
アニ「…まぁ、思ったよりもあいつがバカじゃないってことは分かったよ」
ユミル「もう付き合っちゃえよwww目つきは悪いけど、馬面のジャンとか老け顔のライナーよりかはイケメンの部類だろwww」
アニ「うるさいな。そんなこと、あり得ないから。いいから帰るよ」
クリスタ「あ、待って、アニ。その恰好で帰るとまた人の目を気にしなくっちゃいけないから、先に着替えて帰ろう」
ユミル「そうそう。次回のことも考えて、市街地でメイクしたり着替えたりできる場所を、今のうちに見つくろっておこうぜ」
アニ「…」
アニ(…ほんと、付き合うとかバカらしい。私にそんな事できるわけないじゃないか…)
ユーヤケコヤケデヒガクレテー
カァーカァー
ゴメンナサイ、猛烈に眠いのでおちます
明日明後日多忙につき、金曜夜また来ます
自分でもビックリするぐらい進行ノロくて申し訳ないですが
ハッピーエンドまで頑張ります
支援の方々、本当に感謝!!
夜 兵舎食堂
ワイワイガヤガヤ
ミカサ「エレン、本当に今日は誰とも会わなかったの?」
エレン「何度も念を押すなよ、しつこいな。ずっと待ってたんだけど、結局来てくれなかったんだって」
エレン(ミカサ、嘘ついてスマン!だけど、ホントのことを話すわけにはいかないんだ……)
エレン「約束っていっても曖昧なものだったし、きっと忙しかったんじゃないかな」
ミカサ(ずっと待ってたのに誰も来ないなんて……エレン、可哀そう)
ミカサ「エレンとの約束を破って精神的苦痛を与えるだなんて……その泥棒猫は調子に乗り過ぎだ。いつか然るべき報いを……」
エレン「いや、お前は会ってきて欲しかったのかよ!」
エレン「連絡先も訊いてなかったから、多分もう会う機会は無いんじゃないかな」
アルミン「そうなのか……」
アルミン(せっかくエレンにも思春期到来の気配が感じられたのに残念……エレンも内心落ち込んでるはず)
アルミン(でも、こういうことの積み重ねが大人の階段を上るってことなんだ。おじいちゃんが隠し持ってた本にもそう書いてあったし)
アルミン「今回は残念だったけど、エレンにはきっとまた素敵な出会いがあるよ」
エレン「ああ、ありがとう……アルミンは物言いが近所のおばちゃんみたいだな……」
エレン「それより早く飯食おうぜ。腹へっちまったよ」
サシャ「備品整備、つつがなく終りました!パンください!パァン!!」
ユミル「あ?お前にやるパンなんざねーよ」
サシャ「ガーンッ!
クリスタ「ちょ、ちょっとユミル。いじわるしちゃダメだよ。サシャ、私のをあげるから世界の終りみたいな顔しないで……」
サシャ「やっぱり神様!?」ガバッ!バクバクバクバクッ
ユミル「チッ。お前、いい加減うざいからパァンて言うの止めろ」
ミカサ「キョロキョロ
ミカサ「サシャ、今日はどうだったの?
サシャ「あ、ファイ、ふぉれなんれすが」バクバクバクモグモグモグ
ユミル「おっと、その件に関してなんだけど、尾行は私が引き継がせてもらったよ」
ミカサ「……ユミルが?」ケゲンナヒョージョー
ユミル「私とクリスタの二人でね。街へ出かける用事もあったし、ちょうどいいからついでに引き受けたのさ」
サシャ「そうです。そして私はパンを引き受けました」
ユミル「で、エレンは今日一日の出来事を何て言ってるんだい?」
サシャ「ミカサ、私に約束のパンをください」
ミカサ「……エレンは、今日一日誰にも出会わなかったって」
サシャ「エレン尾行はユミルたちに任せましたが、パンを食べるのは私の任務です」
ユミル「ああ、その通りさ。あいつは一日中案山子みたいに突っ立ったママだったよ」
ミカサ「……本当に?」
クリスタ「コクコク(うう……ミカサの射るような視線に負けそう……)
サシャ「パァン……」
ユミル「こいつマジで殺したいほどウザいから、気道にパン突っ込んで黙らせてやってくれ」
ユミル「で、あんたは私たちを疑ってんの?別にいいけど、私たちにはあんたに嘘をつく理由なんて無くない?」
ミカサ「……別に疑ってない。そう、エレンは誰とも会わなかったの……」ジーッ
クリスタ(ミカサの目力ってなんでこんなに強いの?!これ以上睨まれたら私の方から視線そらしちゃいそう……)
ザワザワ
ウッソー!マジデー?!ヤルジャン!イツカラナノ?
クリスタ「そ、それにしても今日はなんだか随分と賑やかだね。どうしたのかな?」
クリスタ「ね、ねぇ、ミーナ。みんな何を騒いでるの?」
ミーナ「クリスタたちはまだ聞いてないの?じゃあ、ちょっと聞いてよ!!」
ミーナ「ハンナってば、一週間前からフランツと付き合ってるんだって!」
クリスタ「え、え~。そうなんだ~(よかった!なんとか話題逸らせそう……)
コニー「おいおい、二人が付き合い始めたなんて、俺は全然気がつかなかったぞ。黙ってるなんて水臭い野郎だなー」
フランツ「隠してたわけじゃないんだけど……わざわざ言うのもなんか恥ずかしくて//」テレテレ
ライナー「ったく、何をいっちょまえに照れてんだよ。ま、何にせよ、良かったじゃねーか」
エレン「ああ、そうだな。おめでとう、フランツ」
ジャン(けっ、羨ましくなんかないんだからな……。ハンナぐらいのブスならお前らにいくらでも譲ってやるよ!)
コニー「よーし、今夜はフランツの部屋で、洗いざらい暴露してもらうからな!」
サシャ「なんか、男子サイドが盛り上がってますねぇ」
ミーナ「こうなったら私たちも負けてられないわ。みんなでハンナの部屋に集合よ!全部聞き出すまで寝かせないんだからね」
男子部屋
フランツ「……というような事があって、彼女をすっごく意識するようになっていったんだけど……」
ジャン「ふ~ん」(てめぇのハンナ好き好きトークなんざ興味ねぇんだよ!それより)
ジャン「で、告ったのはどっちからなんだ?」キョウミシンシン
ジャン(俺が知りたいのは、どうやったらカップルに成れるか!来るべき日のために、俺は手順を知っておかなきゃならない!!)
フランツ「それは僕から。二人になった時、勢いで『好きだ』って言ったんだ。そしたら…」
ハンナ「私、そんなこと言われるの初めてだから頭真っ白になっちゃって……」
ハンナ「なんか言わなきゃ言わなきゃって考えてるうちに『それで?』とか言っちゃって……」
*****
フランツ「『それで?』って返されて、本当その時は『あ、僕やっちゃったかな!?』って凄くあせったよ」
*****
ハンナ「その瞬間、私何言ってるんだろうって蒼白になっちゃって、もう泣きそうだったんだけど……」
*****
フランツ「だけど、もうそこまで言ったら引き返せないと思って『付き合ってください!』ってたたみかけたんだ」
女子部屋
サシャ「おお~、フランツって意外と男らしいんですね」
ハンナ「そ、その時は、なんだか、彼って優しいだけじゃなくて、男らしいところもあるんだなって」
ハンナ「普段とは別の一面を見ちゃったっていうか……」
ミーナ「彼の男としての一面を見ちゃったみたいな?」ニヤニヤ
キャー!モウナニイッテルノヨー!ハズカシー!キャッキャキャッキャ
クリスタ(チラッ)
ユミル(チラッ)
アニ「…」
男子部屋
ジャン(なるほど。やはり最後は押しの一手、最後の最後まで言い切る事が重要なのか)
エレン「やっぱり、最後までハッキリと自分の口で言い切るのが大事なんだな」
ジャン「!てめぇ!!俺の考えてることとダブってんだよ!ふざけんな!!」
エレン「はぁ?知るかよ、そんなこと」
ジャン「って言うか、誰を想定しての発言だよ、今のは!」
エレン「お前には関係ないだろ!」
アルミン「やめなよ、二人とも~」
ドタンバタン
女子部屋
ミーナ「ついに104期の中でも公認カップルの誕生か~。あ~、私も彼氏ほしい~」
サシャ「私も彼氏欲しいです!」
ユミル「へぇ、意外だね。あんたは色気より食い気だと思ってたけど」
サシャ「私だって人並みに彼氏ぐらい欲しいですよ。食事のたびにパンを譲ってくれる優しい彼氏が」
ユミル「すまん。聞いた私がバカだったよ……」
ミーナ「クリスタなんか男子の間じゃ超人気だから、すぐ彼氏出来そうだけど」
クリスタ「え!?わ、私なんかダメだよ……」アハハハ……
ユミル「そうだぞ!クリスタは私の嫁なんだから浮気は許さん!」
ミーナ「ミカサはエレンと半ば公認って感じ?」
ミカサ「私とエレンは家族だから……」
サシャ「そうですね、二人はもう夫婦と呼んでも過言ではないくらいですね」
ミーナ「でも、ミカサってば独占欲強そ~だから、正式に付き合うことになったら、訓練中に私が近づくのすらイヤがりそう」
アハハハハハ
アニ「イラッ
アニ「バカバカしい」
女子一同「!」
シーン
アニ「…」
ミーナ「ちょ、ちょっと、急になんなのよ」
アニ「あんたたちは何のために訓練兵団に入ったの?」
アニ「彼氏見付けるため?」
アニ「男と遊ぶため?」
アニ「だったら今すぐ開拓地へ行って生産者にでもなったら?」
アニ「ポンポン子供でも産めば重宝がられるんじゃない」
ミカサ「アニ、言い過ぎ」
アニ「ギロッ
シーン
ミーナ「い、いきなり何言ってるの?ケンカ売ってるの?」
アニ「……別に」
アニ「ただ、なんでそんなに浮かれていられるのか、私には理解できないってだけ……」
クリスタ「や、やめなよ、アニ……」
ミーナ「それがケンカ売ってるっていうのよ!」
サシャ「オロオロ
ユミル「……」
ザワザワ
ソーゼン
ハンナ「みんな!」
女子一同「!」
ハンナ「ちょっと落ち着こうよ。ほら、ミーナも座って」
ミーナ「で、でも」
ハンナ「私なら気にしてないから大丈夫。それに……」
ハンナ「アニの言うこともちょっとだけ分かるの」
ハンナ「実は、私も付き合い始めた頃、不安だったんだ」
ハンナ「恋愛なんかしてていいのかなって」
ハンナ「兵士としての訓練と恋愛……その両立が私なんかに出来るのかなって」
ハンナ「結局どっちも中途半端になっちゃうんじゃないかって」
ハンナ「でも、実際は違ってたの」
男子部屋
フランツ「僕はさ、ライナーたちみたいに成績が優秀なわけでもないし、ジャンやエレンみたいに強烈な目的意識があったわけでもない」
フランツ「なんとなく、きっと将来は駐屯兵団に配属されて、巨人から街の人たちを守っていく仕事につくんじゃないかなって思ってた」
フランツ「それが、ハンナと付き合いだしてから、もっとハッキリとした形で思い描けるようになってきたんだ」
フランツ「漠然と、街の人たちを守っていくっていうんじゃない。僕の隣にいる、このハンナを守らないといけないんだって強く思うようになったんだ」
女子部屋
ハンナ「だから、付き合いだしてからの一週間、もっと頑張らなきゃって、いつもよりずっと訓練に身が入るようになったの」
ハンナ「アニはきっと恋愛がマイナスになるって考えてるんだろうけど、そんな事はないよ」ニコッ
ハンナ「もし不安に思ってるんだったら大丈夫。その時、あなたは一人じゃない」
ハンナ「私にフランツがいるように、きっとあなたの隣にも誰かいるから」
アニ「……」
アニ「……ゴメン。嫌味な言い方しちゃったね……」
ハンナ「ううん、さっきも言ったけど、気にしてないから大丈夫」
アニ「ミーナも、必要以上に噛みついちゃって悪かった……」
ミーナ「わ、私もちょっとヒートアップしちゃったって言うか……」
アニ「他のみんなも……気分悪くさせちゃったね、謝る」
サシャ「だ、大丈夫ですよ。誰もそんなに気にしてませんから。ね!皆さん」
ユミル「なんでお前が仕切ってんだよ」ドツキ
サシャ「アイターッ
アハハハ
クリスタ「ホッ
アニ「……」
アニ(なんてことはない。一番浮かれてんのは、私だったってわけか……)
本日お付き合いいただいた方、支援してくださった方、
本当にありがとうございます。
また明日夜、来ます。お疲れさまでした。お休みなさい。
前回までのまとめ
フルメイク姿のアニは、エレンに別人と勘違いされつつ急接近
恋愛なんて……と斜に構えながらも揺れる乙女心(レオンハート)
アニ「いや、ちょっと待て。そのまとめはおかしい」
ユミル「?どこに向けて突っ込んでんだ、お前は」
クリスタ「さて、今日はようやく休暇の日。待ちに待った三回目のエレンとの密会だね」
アニ「なんか私ら休日ばっかり繰り返してる気もするけどな……あと、密会っていうな」
ユミル「ま、それは置いといて、ようやくクリスタのハンカチを取り戻せる日がきたわけだ」
アニ「やれやれ、私の変装もやっと今日でおしまいってわけだ。せいせいするね」
クリスタ「……」
クリスタ「あの……アニは本当にいいの?」
アニ「なにが?」
クリスタ「このまま、エレンと会ってたアニはいなくなっちゃって、普段通りの関係に戻っちゃっていいの?」
アニ「……いいも何も、私は元からこんな事したくてしてるわけじゃないし」
ユミル「エレンみたいな直情バカは、失恋の一つも経験しといた方が後学のためになんだろ」
アニ「だいたいさぁ、アイツが私……って言うか私のメイク姿に惚れてるってのは、あんたら二人の勝手な想像だろ」
アニ「私の方はアイツのことなんて何とも思っちゃいないんだから」
ユミル「何とも?」
アニ「ああ、何とも」
クリスタ「全然?」
アニ「全然だね」
ユミル「からっきし?」
アニ「しつこいな!からっきしだよ、ちっともだよ、寸毫も微塵も雀の涙ほども、本当に全く何とも思ってないよ!!」
クリスタ「そ、そんなに興奮しなくても……ゴメンね」
アニ「いいよ、ここらで白黒ハッキリつけようじゃないか。
アニ「アイツがどう思ってるか、今日それとなく、さり気無く訊いてやる」
アニ「アイツだって何とも思ってないんだったら、今日でこの話はおしまい。私の前で二度とするなよ」
ユミル「ああ、いいぜ」
ユミル(アニ、気付いてるか?今、お前は自分で墓穴を掘ったんだぞ……)
ユミル「ところで、今回は兵舎でなく市街地で着替える段取りになってんだ。場所は前回の帰りに見つくろっておいた」
クリスタ「今からそこに向かうんだけど……」
アニ「人目に付かない所って、どこなんだい?」
ユミル「へへ、それは……ここだ!」
アニ「!」
クリスタ「こ、ここは……!」
ユミル「そう、昔計画された地下都市の廃墟。坑道になってて結構広いし、出入り口付近は自然光も入ってくる。穴場だぞ」
クリスタ「へぇ、こんな所あったんだね」テクテク
アニ「……」
ユミル「おい、アニも早く入ってこいよ」
アニ「なんとなく、地下に入るのは怖いんだ。ここに入ると複数人に取り押さえられるような……」
ユミル「メタなこと言ってないで、いいから入れ!」
坑道内
クリスタ「……よし、メイクはこれで完成っと」
アニ「毎回、この待ち時間は億劫だね」
クリスタ「う~ん、慣れないうちは面倒なだけかもしれないけど、自分で思うように作れるようになると、だんだん楽しくなってくるよ♪」
ユミル「年食うと一周まわって、また面倒くさくなるらしいがな」
クリスタ「も~、そういうことは言わないでよ」
アニ「……そういや、今回は髪にウェーブ作らないのかい?」
クリスタ「おおっ、よくぞ聞いてくれました!今回はファッションを変えてみることにしたんで、それに合わせてるんだ!!」
クリスタ「今回のコンセプトは、月並みだけどカジュアル・テイストにしてみたの」
クリスタ「前回と前々回は、私の私服の中からサイズ合うものを流用しなくちゃいけなかったんで、私にとってはちょっと大きめのバルーンスリーブのワンピとミュールを組
み合わせてガーリーっぽさを強調したわけだけど……」
ユミル(ガーリーっぽさって……クリスタはティーンズ誌の愛読者かよ。だが、そこが可愛い!)
アニ「ミュール?前に履いたアレってサンダルって言うんじゃないの?」
クリスタ「えっと、細かく言えば色々違いがあるんだけど、一番は爪先が見えるかどうか、かな」
クリスタ「ミュールは爪先をおおうけど、サンダルだと見えちゃう。だからネイルのお手入れをしてる余裕が無い時はサンダル履けないんだよ」
クリスタ「勿論、ミュールだって踵のお手入れが必要になるわけだけど、アニはひび割れとか全然ないから、その点はクリアしてたんだよね」
クリスタ「話を戻すと、私の服を流用するのは、やっぱりサイズの問題で限界があるんで、今回は出来るだけアニの私服を目立たないように活用しつつ、いつもと違う雰囲気に仕上げてみたかったんだ」
アニ「あんたに言われたから、これは一応持ってきたけど……」
クリスタ「うん、ありがとう。それと、ここに来る前にお買い物すませてきた分を組み合わせて……」
お着替え中
モゾモゾ
クリスタ「上はスリムフィットのワイドuネック七分袖tシャツ、下はふくらはぎまでの七分丈レギンスと、アニが持ってきたデニムのキュロットパンツ」
クリスタ「足元はポインテッドトゥのパンプス、バッグはキャンバス素材のミニトートが順当かもしれないけど、あえてダークブラウンのビニール」
アニ「……まぁ、前よりは違和感ないかも」
クリスタ「とくに意識したのは、もともと産毛の薄いアニの肌のキレイさと、あとはシャープなシルエットを強調すること」
クリスタ「この恰好だと、ふくらはぎから足の甲にかけて肌を出してるんで、そこが目をひくようになってるハズ」
クリスタ「男子は女子のレギンスに魅力を感じないなんて統計もあるみたいだけど、ナンセンス!ポインテッドトゥと合わせれば、スラリと見えて絶対かっこよくなるから」
ユミル「え、それ、誰に向かってしゃべってるの?」
クリスタ「心配だったのは、パンプスで足が痛くならないかどうかだったけど……」
アニ「ん、今のところは大丈夫みたい」
クリスタ「そう、よかった。パンプスは自分の足にあったフォルムを選ばないとすぐ痛くなっちゃうから気をつけないと」
クリスタ「無理にヒールを高くするのも禁物。今回選んだ4センチが妥当なところじゃないかな」
クリスタ「ちなみに、全体のシャープなシルエットにあわせたんで、髪はウェーブさせなかったんだ。ストレートにおろしてみました」
ユミル「うん、悪くないじゃないか」
アニ「わざわざ無駄な散財しちゃって……いくら使ったの?あんたが立て替えてくれた分は払うけど、あんまり高すぎると払いきれないよ……」
クリスタ「いいよいいよ、私の楽しみで買っちゃったみたいなところあるし。それにそんな高くない量販店ものばかりだから」
アニ「借りは作りたくないんだ」
クリスタ「そ、そう?じゃあ……」2+2+3+3デソウガク1マンエンミマン
ユミル「それじゃ、いよいよ出陣といきますか」
市街地オープンカフェ
ユミル「さて、今日も私らは少し離れた所から盗み聞きなわけだが」
エレン「ヤ,ヤァ!
アニ「…ヒサシブリ
クリスタ「あ、今日のエレンはちゃんと私服着てきてるよ」
エレン「アッ,ハンカチモッテキタカラ,カエスヨ
アニ「…クッ,コンナモノノタメニ……
ユミル「私服ったって、いつも兵舎の中で着てる芋の皮みてーなシャツじゃねーかよ……」
エレン「エッ?
アニ「イヤ,ナンデモナイ…
クリスタ「もしかしてエレン、あれしか持ってないのかな」ニガワライ
エレン「…っていうことがあって」
アニ「へぇー」ウワノソラー
エレン「それで、そいつらは付き合い始めたそうなんだけど…」
アニ「へぇー」ウワノソラー
アニ(とにかく、コイツからそれとなく、さり気無く訊き出してみなきゃ……)
エレン「そしたらあいつが…」
アニ「ねぇ」
エレン「え?」
アニ「……エレンって」
アニ「私のこと、どう思ってるの?」
ユミル/クリスタ(全然さり気無くないじゃん!!)
アニ(ちょっと露骨だったかな……)
アニ(これでもし、ただの友達としかおもわれてなかったら……)
アニ(なんか私、ちょっと自意識過剰みたいで恥ずかしい……)
アニ(って、いやいや!それでいいんじゃん!それでいいハズじゃん……なのに)
アニ(なのに、私はそれがショックなの?)
エレン(!)
エレン(これは勝負どころか?!)
エレン(えっと、こういう場合は…そうだ!フランツの例に倣えば、ハッキリと言い切る!だったな)
エレン「ど、どうやら俺は!アネサのことが好きなんだ!」
アニ「!」
ユミル/クリスタ(いった~!!)
アニ(くそっ!どうしてコイツはこうも無駄に男らしいんだ!)
原作でアニに人殺させた作者が残酷すぎる…
こういう可愛いアニをもっと見たかったから支援
>>283
ほんとそれ
ライナーも好きだったけど
もう訓練時代の関係じゃあいられなくなるから悲しい
エレン「イ、イヤかなぁ」ドキドキ
アニ「イ、イヤじゃないよ……」ドギマギ
アニ(って私は何を言ってるんだ!ああ、ちくしょう!)
ユミル「おお!偶然かもしれないが、今のエレンの返しはナイスだぞ」
クリスタ「どういうこと?」
ユミル「人間誰しもダメかと訊かれてれば、軽い感じでダメって返しやすい」
ユミル「けど、イヤとか嫌いかって訊かれると、返しづらいもんなんだ。イヤってのは、わりと強めに拒否ってる語感だからな」
>>283
そうですよね。
ライベルは壁ぶっ壊したから、エレンのオカン殺した張本人だけども、アニは訓練兵時代はまだ何もしていない。
ところが、卒団してからは人体ヌンチャクとか使って、殺しを楽しんでるって事を考えると、エレンの百年の恋も消え去るってもので…
アニ(……もしかしたら私は心のどこかでこの結果を予想してたかもしれない。こうなったら認めてしまおう。私は確かに予想していた)
アニ(けど、実際に耳にするまでは、これほどまでに破壊力が大きいとは思わなかった!)
アニ(くっ、動揺を隠しきれない……)セキメーンッ
アニ「……」
エレン(だ、黙っちゃったぞ、どうしよう……)
エレン(いや、どうしようじゃない!フランツもやってのけてたろう?ここまできたら突き進むしかないんだ!!)
エレン「じゃあ、俺と付き合ってくれ!」
ユミル/クリスタ(言い切ったー!)
アニ(どうする?!)パニック
>>283
逆に考えるんだ、原作でああなったからこそ二次創作で輝くと
アニ(いや、どうするじゃなくって!とにかく、あいつが付き合いたくなくなるような方向に話をもってかないと……)
アニ「わ、私は結構めんどくさい女だよ。すごく嫉妬深いし、独占欲も強いし」
アニ「エレンってもてそうだから、きっと私とはあわないんじゃないかな」
エレン「え!?俺、今まで一回ももてたためしなんてねーよ」
アニ(クッ、こいつは……)
アニ「エレンて鈍感そうだから、たんに周りからの好意に気付いてないだけじゃない?」
エレン「そんなに俺のこと持ち上げられると照れるけど……いや、本当にちっとも、もてないって」テレテレ
アニ(しまった!確かに今の私の発言は、エレンをいい男だと暗に褒めてるようにとれる……)
アニ「じゃなくて!あんた絶対いるでしょ!いつも一緒にいるような女の子が!!」
エレン「ん~、いるかなぁ?いまいち思い浮かばないけど」
クリスタ(エレン……)
ユミル(さすがの私も……)
アニ(ミカサに同情するよ……)
アニ「私の勘じゃあ、座学も実技も何でもできる万能な可愛い幼馴染が、あんたの世話を甲斐甲斐しく焼いてるように思えるんだけど!!」
クリスタ(アニ、露骨すぎるよぉ//)
ユミル(あいつ、捨て身だな……骨は拾ってやる、南無南無)
エレン「ああ、座学が得意な幼馴染なら確かにいるな。けど男だぞ」
アニ「~~~~~~」(それはアルミンでしょ!)コエニナラナイサケビ
エレン「普段一緒にいる女っていったら、家族みたいなヤツが一人いる。みたいっていうか、完全に家族だけど」
アニ「……その子の話、聞かせてよ」
エレン「カクカクシカジカ
アニ「つまり、9歳の時に初めて出会って、3年間一緒に暮らして、そのまま一緒に訓練兵団に入って、今に至る、と」
エレン「ああ、何ていうか、ちょっと口ベタなところはあるけど、悪い奴じゃないよ。問題点があるとすれば、過保護なとこだな~」
エレン「そいつはマジで何でも出来ちゃうすげーヤツなんだけど、そのせいか俺のことをいつまでも子供扱いしてさ」
エレン「ま、俺だっていつまでも同じままじゃない。いつかアイツだって認めざるを得ないような、すげー兵士になってやる」
アニ「……あんたは、その子のこと好きなの?」
エレン「そりゃ好きだよ。ケンカすることだってあるし、たまにはムカつく時だってあるけど、嫌いになることはないだろ」
アニ「……その子はあんたのこと、どう思ってるの?」
エレン「えっ、そんなこと考えたこと無かったけど……出来の悪い弟と思われてたら、かなりくやしいなwww」
アニ「……そういうんじゃなくって」イラッ
アニ「もし、その子があんたに恋愛感情をもってたらどうするの?!」
エレン「ええええっ!?いや、さすがにそれはないだろwww」
アニ「あったらどうするのって訊いてるの!!」
ユミル(アニさん、熱くなりすぎだぜ……)
エレン「どうするって言われてもなぁ……。疎遠になったり、気まずくなるのはイヤだしなぁ」
エレン「好きとか嫌いとか抜きに、縁起でもないけど、それこそどっちかが死ぬまでずっと付き合ってくだろうって思ってるから」
エレン「だからまぁ……何とかするしかないだろ」
アニ「何とかって……」
この雰囲気で草生やすのはやめろよ……
エレン「いや、マジでそんな場面、想定出来ないんだって。アネサは兄弟姉妹いる?いなけりゃ親父さんでも何でもいいや」
エレン「もし家族からそういう目で見られてる自分を想像しろっていわれたら、出来なくないか?」
アニ「でも、あんたの場合、初めて会ったのって9歳の時なんでしょ。状況が違うよ」
エレン「いやいや、9歳の時にお互い男女なんて意識しないだろ、普通」
アニ「……私、男女間の友情って信じてないんだけど」
エレン「だーかーらー友情とも違うんだって!結局は俺自身がどうなのかってところが重要なんじゃないの?」
エレン「俺は!アネサが好きなんだ!それでいいだろ?」
アニ(ぐぬぬ)
ユミル「……押し切られたな」
クリスタ「アニの完敗だね」
アニ(なんてこった、話が元に戻っちゃったじゃないか……)
アニ「あ、あの、あの、でも私たち、まだ知りあったばっかって言うか……。お互いをよく知ってないし……」
エレン「そ、そうか……」
エレン(そう言えばフランツも、だんだんとお互いを意識するようになって、それから付き合いだしたって言ってたな……)
エレン(もしかして俺、あせりすぎたか?!)
エレン「ゴメン、確かに急だったかも……」
アニ(なんとか思いとどまってくれたか……)ホッ
エレン「じゃあ、これから毎週会おう!」
アニ「は?」
エレン「そうすれば、お互い色々と知る事ができると思うんだ!」
アニ「」(絶句)
ユミル「エレンのヤツ、何食ったらああいう前向きな性格になれんのか、教えてほしいな」
クリスタ「思い込んだらとことんまでやらなきゃ気が済まない、一途なタイプなんだよね」
ユミル「肉食か草食かは知らないが、三角食べできずに単品一気食いしちゃうってか」
クリスタ「でも、私としては、今日買った服がまだまだ活用できそうで、ちょっと嬉しいかも」
ユミル「さて、本日最後の仕事は、口から魂抜け出てるアニを回収して帰る事か。まったく、この先どうなることやら」
つづく
ご支援してくださった方々、感謝いたします。
本日はリラックスしすぎてビール飲みながらがいけませんでした。2本目は致命的でした。
テンション変だし、事前にとったメモを無視しちゃったりするミスもしました。
って言うか、いつまでも終らなくて本当にゴメンナサイ。
ss初めてなので、頭で考えたのと実際書くのとの隔たりに四苦八苦してます。
来週にはきっと終るハズ…というか終らせたい…。
>>283
>>284
>>287
私としては、やはり人体ヌンチャクあってこそのアニさんかと……
自分で書く場合はヒドイことさせられないけど、原作は残酷であってほしいです
>>290
ですよねー
>>299
申し訳ない。
エレン君にとっては笑っちゃうほどあり得ない仮定だったということで、どうかご勘弁を…
また明日夜来ます。皆様、本当にありがとうございました。お休みなさい。
座学の授業中
カリカリカリ
教官「……であるからして長距離射撃において最も問題となるのは左右の変化量になるわけで……」
カリカリカリ
アニ「……」チラッ
エレン「……」
教官「それは銃身の種類や状態、スコープの取り付け方など様々な要因によって変化し……」
カリカリカリ
エレン「……」
アニ(こいつ涼しい顔で授業受けやがって……)
アニ(そもそもコイツ、本当に私だって気付いてないのか?イヤ、気付いていない、それは確実……)
教官「風の影響は弾道曲線から距離ごとの変移量を計算できるが……」
アニ(だけど二度目に会った時、ハンカチを忘れてきたのは怪しすぎる。あれはもしや駆け引きだったのか?)
教官「風による変移量の公式は前回の授業でも活用した通り……」
アニ(あり得る。となるとエレン一人であんな事を思い付くとは考え難い。誰かに入れ知恵された?)
教官「dは変移量、vは横風の強さ、tは飛行時間、rは飛行距離……」
アニ(参謀役といったらアルミンか?それとも恋愛経験のあるフランツ……まさか兄貴分のライナー?!)
教官「ではvoが何を表わしているのか、前回の復習も兼ねて、この問題をレオンハート訓練兵にやってもらおうか」
アニ(っていうか、なんで私はこんなことばっかり考えてるんだ!私はこんな人間じゃなかったハズ……)モヤモヤ
クリスタ「アニ!指されてるよ」ヒソヒソ
教官「レオンハート訓練兵!」
アニ(一日中あいつのことが頭から離れないのが何でかなんて……)モヤモヤ
クリスタ「アニ!」ヒソヒソ
教官「アニ・レオンハート訓練兵!答えなさい!」
アニ「もう全然分かんないよ!」ガタッ
シーン
教官「そ、そうか……」
ライナー「何やってんだ、あいつ?」
コニー「だよなー。俺も全然授業分かんねーや」
休日 公園
エレン「サイキンアツクナッテキタナ
アニ「ナツモチカイシネ
ユミル「さて、衝撃の毎週会おう宣言を経ての4度目の逢瀬なんだが……」
クリスタ「今回のファッション、どうしようかと迷ったけど、袖ありのカジュアルショートドレスにしてみました!」
エレン「キ,キョウハスゲーオトナッポイナ///
アニ「ソウ?///
ユミル「あれは高そうだな……。アニには『安かったからお金はいいよ』とか言っちゃってたけど……」
クリスタ「あ、あの、実際バーゲンで安かったんだよ!」
エレン「アイスウッテルナ
アニ「タベル?
ユミル「まぁまぁ。お姉さんには本当のお値段教えてみなさい」ニヤニヤ
クリスタ「こ、このくらい?」3マンデオツリ
ユミル「あ~あ~、これはアニには言えんわな。だけど、さすがにドレスの安いのはキャバ嬢みたいになっちまうし」
クリスタ「カジュアルを突き詰めて、ホットパンツとニーソの組み合わせとかやっちゃうと、普段のアニのイメージとリンクし過ぎちゃうから、どうしてもこっち方面を模索するしかなかったの」
クリスタ「ちなみにチョーカーとアンクレットは私の持ち物から流用だから、散財したのはドレスだけだよ」
エレン「オレガカッテクルヨ!トッピングドウスル?
アニ「エット……
ユミル「しっかし、私らもすっかりデートの見張りが定番になっちまったな」
クリスタ「うん、二人が順調にデートを重ねてるのは嬉しいんだけど……」
ユミル「このお芝居をいつまでも続けるわけにはいかない、か……」
クリスタ「……私、エレンになら自分の名前のこと、話してもいいかなって思うんだ」
ユミル「……」
クリスタ「エレンは秘密を早々に洩らすような人じゃないし……」
クリスタ「何よりも、アニがこんな事してるのは結局私のせいだっていうのが心苦しくて……」
クリスタ「ユミルは優しいから、私から無理に聞き出そうとしなくて、私はそれに甘えて……」
クリスタ「でも、本当はそれじゃいけないんだ……」
クリスタ「いつか、ユミルにも話さなきゃいけない時が来る……」
クリスタ「私さえ覚悟を決めれば、このこんがらかった状況は全部解決するんだ……」
ユミル「クリスタさえ覚悟を決めれば、ねぇ……」
ユミル(果たしてそれで障害がなくなるのか。悪いけど、私にはそう思えないんだよ……)
公園
エレン「はい、アイス」
アニ「ありがとう……あっトッピングが一つ多い……」
エレン「それ、俺のおすすめの味なんだ。アネサにも食べてもらいたくて」
エレン「そこのベンチでも座るか」
アニ「うん」
アニ(甘い……)
アイスペロペロ
アニ「ねぇ、ちょっと訊いてみたいんだけど……」
アニ「あんたは私なんかのどこがそんなに気に入ったの?」
エレン「えっと、それは……あれか!基本中の基本、私のどこが好き?っていうヤツだな」
アニ「ちょ!!……そんな甘い意味合いじゃなくって、もっと単純な意味合いで」
エレン「う~ん、一言じゃあ言い尽くせないけど……」
エレン「……///コレ、けっこう言うの恥ずかしいんだけど、言わなきゃダメなのか?」
アニ「いや、別に無理して言わなくていいんだ。ただ私はさ……」
アニ「あんたが私に何をしてくれたとしても、私からあんたに何もしてあげられないと思うんだ……」
アニ「それどころか、むしろあんたを不幸にしちゃう……」
アニ「私は幸せになっちゃいけない類の女なんだよ……」
エレン「は?何それ」キョトン
エレン「ん~、何だかよく分からないけど、取り敢えず勘違いしてるみたいだし言っとくぜ」
エレン「俺を不幸にするって事はあり得ないな」
エレン「だって、今の俺、アネサと一緒にいられてすげー幸せだもん」ニカッ
アニ「!!///」
エレン「前にも話した同僚がさぁ、彼女が出来たらそれまで以上に頑張れるようになるって言ってたの、今はすげー実感できるんだ」
エレン「もももも勿論、まだ俺たち正式に付き合ってるわけじゃないけど」ゴニョゴニョゴニョ
アニ(……)
アニ(……今やっと分かった)
アニ(なんで自分がこんなにモヤモヤしているのか、その理由が分かった)
アニ(コイツが私に向けている好意が本物だって信じられるからだ)
アニ(本物だって信じられるからこそツラいんだ)
アニ(いつか私はみんなを……コイツを傷つけてしまう)
アニ(私は……もうコイツと会うべきじゃないんだ……)
ゴメンナサイ!短いけど本日はこれで失礼させていただきます。
ラブコメの鉄則どおり、物語の最後はどうしてもシリアスに…
シリアス書くの恥ずかしいけど、あともう少し頑張ります
あまり期待せず、また明日夜お待ちいただければ幸いです。おやすみなさい。
http://m2.upup.be/lmf4cibsjq
アネサイメージです
頑張ってください!!
支援してくださった皆様、感謝いたします。
そして>>340さん!!!ありがとうございます!!
あまりの嬉しさに飛び跳ねたらベッドの角に向う脛ぶつけて
7巻嘘予告のアルミン状態になりました。
12時過ぎぐらいに戻ってきます。宜しくお願いいたします。
一週間後 休日 兵舎
クリスタ「え?!行かないって……」
アニ「ああ、もう行かないよ。あんたのハンカチは取り戻したし、これ以上、私が協力する必要はないでしょ」
ユミル「おいおい、エレンはどうすんだよ?」
アニ「私の知ったこっちゃないね。誰も来なければ、そのうち諦めて帰るだろ。これ以上は面倒見きれないよ」
ユミル「ふーん……お前はそれでいいのか?」
アニ「ああ、いいんだ……」
クリスタ「あの、今さらかもしれないけど、もしエレンを騙してることを気に病んでるんだったら、私のせいだいってこと、バラしちゃってもいいんだ……」
アニ「……」
クリスタ「私のために嘘をつかせちゃって、アニには本当に申し訳ないと思ってるの……」
アニ「……別にあんたのためだけじゃないよ」
クリスタ「もっと早い段階でエレンにアニのことを話せていれば、こんな状況にはならなかったわけだし……」
アニ「……そんなことないよ」
クリスタ「エレンなら秘密を無闇と人に話すような」
アニ「そうじゃない!」
クリスタ「ビクッ
アニ「……そうじゃないんだ。これは私の気持ちの問題なんだ」
クリスタ「アニが気に病む必要は……」
アニ「私は!」
クリスタ「!
アニ「……私は最初からアイツのことなんて何とも思っちゃいなかったんだ」
アニ「……ただ、それだけのことなんだよ……」
クリスタ「アニ……」
ユミル「……」
アニ「あんたたち、もう私なんかを構うなよ……私にかかわって後悔するのはあんたたちなんだからね……」
ユミル「……いくぞ、クリスタ」グイッ
クリスタ「でも……」
ユミル「本人がああ言ってるんだ。一人にしといてやれよ」
ユミル「アニ、今まですまなかったね」
アニ「……」
バタン
クリスタ「ユミル!」
ユミル「ほっとけ。そっちのが優しいって時もある」
クリスタ「でも!」
ユミル「もうこれ以上は善意の押し売りにしかならないぞ」
クリスタ「アニは絶対無理してるよ!このままでいいハズが」
ユミル「あんたは、自分じゃ叶えることの出来ない理想を他人に押し付けようとしてるだけだ。やめとけ」
クリスタ「私は!そんなこと……」
ユミル「あいつが無理してるとか、何考えてるとか、そこまで踏み込むのは無神経なんじゃねーの?」
クリスタ「私がいけなかったんだ……」
ユミル「ちっ、クリスタは良い子ちゃんすぎるぜ、まったく」
クリスタ「もう取り返しがつかないのかな……」
ユミル「いずれにしろ、こっから先は私らじゃ無理なんだよ」
ユミル「もし何とかなるとしたら、それは……」
市街地
エレン(今日は遅いな……)
さらに一週間後 座学の授業中
カリカリカリ
教官「……であって、その際に中心となる戦術的行動には4つの段階がある。それは……」
カリカリカリ
アニ「……」
エレン「……」
教官「さらに戦闘行動の方式を分類すると伏撃、逆襲、強襲、誘致、欺瞞などがあり……」
アニ「……」
エレン「……」
カリカリカリ
教官「では、組織的な戦闘力を失った敵に対して継続的に行われる攻撃を何と呼ぶか、この問題をイェーガー訓練兵にやってもらおうか」
アニ「……」
エレン「……」
ミカサ「エレン、指されてる」ヒソヒソ
教官「イェーガー訓練兵」
エレン「……」
ミカサ「エレン!」ヒソヒソ
教官「エレン・イェーガー訓練兵!答えなさい!」
エレン「!あ、ハイ……」
エレン「……申し訳ありません。聞いていませんでした」
アニ「……」
ライナー「何ボーッとしてんだ、あいつ?」
コニー「だよなー。俺、聞いてても分かんねーや」
さらにさらに一週間後 立体機動訓練中
エレン「」ヒュン
ジャン(きたな、エレン!今日こそミカサの前で決着を付けてやろうじゃねーか)ヒュン
エレン「」ヒュン
ジャン(目標発見!!横からいただくぜ!!)ズバッ!!
ジャン「ハッ、どうした死に急ぎ野郎!お前の獲物は俺が頂いてやったぜ!」タンッ
エレン「……ああ、出し抜かれちまったな」タンッ
ジャン「はぁ?」
エレン「……」
ジャン「……チッ、張り合いがねーな」
キース「エレン・イェーガー。人一倍強い目的意識を持った訓練兵。だがここ2週間ほどは集中力、覇気ともに欠けている……と」カリカリ
一ヶ月後 食堂
ワイワイガヤガヤ
ミカサ「エレン、最近ずっと調子悪そうで心配。ちゃんと眠れていないみたいだけど大丈夫?」カチャカチャ
エレン「ああ、ちょっと寝不足気味かもしれないな……でも、心配するほどのものでもないよ」
アルミン「でも、ここのところ成績も落ちてるみたいだし、やっぱり心配だよ」カチャカチャ
ミカサ「それに、ここ2ヶ月ほど、休日はずっと一人で出歩いてる。たまには兵舎で体を休めた方がいい」カチャカチャ
エレン「……そうかもな」
エレン「……」
エレン「サシャ、よかったらパン食べるか?俺のぶん、分けてやるよ」
サシャ「え、またですか?分けていただけるのは嬉しいんですが、さすがにこう連日だとエレンの体が心配になります」
エレン「いや、ちょっと食欲なくってさ……」
ミカサ「ダメ!ちゃんと食べないと体に悪い」
アルミン「体調管理も兵士の務めだよ」
エレン「大丈夫だって。最低限は食べてるつもりさ」
ミカサ「エレン!私たちは家族でしょ。お願いだから相談して……」
エレン「ああ……ありがとう、ミカサ。お前がいてくれて、本当に感謝してるよ」
エレン「もう少し……もう少しだけ気持ちの整理出来たら、きっと相談するよ」
アニ「……」
行軍訓練中
ジャン「まったく雨の中を行軍訓練とはついてるぜ……」ハァハァ
コニー「イヤ、どう考えてもついてねーだろ!ジャン、お前、頭おかしいんじゃねーか」ハァハァ
ジャン「……訓練中でなかったら、お前の頭に蹴りいれてるんだがな……」ハァハァ
マルコ「足元がぬかるんでる。二人とも気を付けて」ハァハァ
ズズーンッ
マルコ「?!」
コニー「なんだぁ?!今の地鳴りは」
ジャン「分からねぇ……。分からねぇけど、本当に今日ほどついてる日はなさそうだ」ハァハァ
バシャバシャバシャ
マルコ「教官だ!前から引き返して来てる……」ハァハァ
ジャン「楽しいお知らせだと嬉しいんだが……」ハァハァ
バシャバシャバシャ
教官「伝達事項だ!前方ので落石発生につき、第三班以降は事前に予定されたルートを大きく迂回して行軍を続けろ。以上!」
ジャン「ゲッ、大幅に迂回ってマジかよ……」
コニー「じゃあ、さっきの地鳴りは落石かぁ。前の班のヤツら、大丈夫だったのかなぁ」
やっちゃった
教官=キースのところ、「~前方ので~」は「前方の沢で」です
まぁ大した違いないから読み飛ばしちゃってください
行軍訓練最終地点
クリスタ「フゥフゥフゥ……みんな、お疲れ様」
ユミル「ゼェゼェゼェ……くっそ、落石のせいで余計な距離を行軍させられたぜ」
アニ「ハァハァハァ……」
ユミル「迂回したのって三班からだろう?チッ、一班と二班のヤツらは得しやがったな」ゼェゼェ
クリスタ「でも、二班の人はちょうど落石のあったタイミングに通過したんじゃない?大丈夫だったのかなぁ」フゥフゥ
ユミル「まーたそうやって他人の心配かよ。まったく困った博愛の天使様だぜ」ゼェゼェ
ユミル「誰かに聞きゃすぐ分かるだろ。おーい、ベルトルさん!」
ベルトルト「」
ユミル「相変わらずあんた影薄いなぁ。たまにいた事を忘れちまうよ。ところでさぁ二班のヤツらは……」
ベルトルセツメイチュウ
アニ「……え」
医務室前
バタバタバタ
クリスタ「ミーナ!」
ミーナ「クリスタ……」
ユミル「いったい何が起こったんだ?詳しく聞かせてくれ」
ミーナ「うん……」
ミーナ「あの落石に私たちの班が巻き込まれた時、エレンだけが沢に転落しちゃって……」
ミーナ「ミカサが必死に救助したんだけど、雨で増水してた事もあって時間がかかっちゃって……」
ミーナ「エレン、最近ずっと調子悪かったみたいだし、今日も最初から顔色悪かったんだ……」
アニ「……それで、エレンはどういう状態なの?」
ミーナ「幸い外傷は大したこと無いの。でも、急性肺炎を起こしてるのと、あと、どうやら頭を強く打ったみたいで……意識が戻って無いんだ」
アニ「!」
クリスタ「えっ!」
コンコン
ユミル「入るよ」
ミカサ「……」
アルミン「……やぁ、お見舞いかい。ありがとう」
ユミル「衛生官殿は?」
アルミン「うん、取り敢えず、現状で出来る処置は全てしていただいた。後はとにかく体力と意識の回復を待つばかりかな」
ユミル「あー、それはアレか。明日の朝ぐらいには良くなりそうなのか?」
アルミン「……どうだろう。肺機能の低下が著しいんで、予断を許さないらしいけど……」
クリスタ「!そんな……」
アニ「ギュッ
ミカサ「大丈夫。きっとエレンは大丈夫」
アルミン「肺機能の低下による呼吸困難が起こった場合、すぐに衛生官殿を呼べるよう、誰かずっと様子を見ていた方がいいそうなんだ」
アルミン「取り敢えず、今晩はミカサと僕がずっとついてるよ」
クリスタ「あの……もし、私たちに出来ることがあったら何でも言ってね」
アルミン「うん、ありがとう、クリスタ」
アニ「……」
ユミル「……ホラ、私らがあんまり長居しすぎるとミカサたちの負担になるぜ。行くぞ」
アニ(エレン……)
明け方
ミカサ「……」
アルミン「……」
アルミン「ミカサ、少し休まないと……」
ミカサ「私は大丈夫……。アルミンこそ少し休んで……」
アルミン「……エレン、早く目を覚まさないかなぁ……」
ミカサ「……」
アルミン「……」
シーン
「……ア……」
ミカサ「!」
ミカサ「エレンが何か言ってる!」
アルミン「え?!」
シーン
アルミン「ぼ、僕には何も聞こえなかったけど?」
ミカサ「うわ言みたい……」
「……ア……」
ミカサ「!」ガタッ
アルミン「ミカサ?!どうしたの?待って!どこへ行くの?」
医務室前廊下
アニ「……」
アニ「……」
ガラッ
アニ「ビクッ
アニ(ミカサたちか)サッ
アルミン「待って!ミカサ!どこへ行くの?」
ミカサ「人を探してくる。エレンがうわ言で呼んでいた人を連れてくる」
アルミン「それは誰なの?」
ミカサ「私の知らない人。エレンはアネサって呼んでいた」
アニ「!」
アルミン「知らない人を連れてくるって……その人は訓練兵なの?」
ミカサ「分からない。けど、きっと違うと思う。エレンはこのところ毎週末、その人に会っていたんだと思う」
アルミン「探す当ては?」
ミカサ「ない」
アルミン「そんな無茶だ!!手掛かり一切無しで人を探すなんて!街に住む人全員に聞いてまわるつもりかい?」
ミカサ「そうする」
アルミン「第一、その人を連れてきてどうするの?その人がエレンを治してくれるわけでもなし」
ミカサ「それでも!」
アルミン「ビクッ
ミカサ「それでも私はやる!今、エレンがその人に会いたがっている」
ミカサ「なら、その人を探すのは私の役目。私が!エレンの望みを叶えなくてどうするの!」
ミカサ「エレンは私に生きる希望を与えてくれる」
ミカサ「だから、私もエレンに望むものを与えたい。ただ、それだけ」
アニ「!」
アルミン「ミカサ!待ってよ!」
ダダダダダッ
アニ(私は……)
アニ(私はバカだ!私は自分のことしか考えてなかった……)
アニ(エレンのために会わなくなったんじゃない。自分がつらいから逃げ出したんだ。だから私は……)
アニ(だから私はミカサの気高さにすら気付かなかった。二人の仲がどれほど尊いものなのかに気付かなかった)
アニ(私はバカだ……)
アニ(……)
タッタッタッタッ
アニ「クリスタ!」ガラッ
ユミル「!」
クリスタ「……アニ」
アニ「起こしちゃってゴメン。でも、今すぐ私を手伝ってほしい!」
アニ「今、私が出来る唯一のことをするために!」
ご支援の方々、本日も感謝です。終わりが見えてきて、本当に嬉しいです。
でも、このシリアス展開は寒いわー。とか言いつつノリノリ。
多分あと2回の更新で終わります。明日夜はもしかしたら来られないかもしれません。
それではお疲れさまでした。おやすみなさい。
1ですが、今夜は無理ぽいですので、明日水曜夜に続きやります。
兵舎前
タッタッタッタッ
ユミル「ミカサ!アルミン!何やってんだ!」ハァハァ
アルミン「ユミル……実は……」
ミカサ「アルミン、説明している時間が惜しい。私は先に行ってる」
ユミル「ちょっと待て!話を聞け!」
ミカサ「……」
ユミル「なんとなく事情は把握してる。あんたらはエレンのために謎の人物を探してこようってんだろう?」
アルミン「どうしてそれを……」
ミカサ「!」ガッ
ミカサ「ユミル、何か知っているなら、すぐに口を割った方が賢明」
ユミル「だー!そう殺気立つな!私は別にあんたらを邪魔しようとかハメようとか考えてるわけじゃねぇ!手を放せ!」
ミカサ「ジーッ
ユミル「くっ……か、簡潔に説明するとだな、この一件に関しては私にあずからせてほしいんだ」
アルミン「ユミル、きみはいったい何を知ってるんだい?」
ユミル「私の口から全部説明するわけにはいかねーんだが……」
ユミル「とにかく、あんたらがその人間を探しに行っても無駄骨だが、私なら今すぐワタリをつけることができる。ここまでで勘弁してくれ」
ミカサ「ジーッ
アルミン「ユミルなら交渉が可能……ということは、クリスタが何か関係あるのかい?」
ユミル「これ以上はノーコメントだ。ミカサが力ずくで聞き出そうとしたって絶対言わねーぞ」
ミカサ「ジーッ
ユミル(ハ、ハンパねぇ威圧感……。私だってそれなりに修羅場くぐって来たつもりだが、こいつはヤバすぎんだろ。本物の人殺しの目だ……)
ミカサ「ジーッ
ユミル「ゴクッ
ミカサ「……分かった。ユミルを信じる」パッ
アルミン「ミカサ……」
ユミル「ホーッ
ユミル「あんたら、そもそも勝手に厩舎から馬連れだして街まで走らせるなんざ軍規違反だぜ。教官たちに気付かれる前に戻してこいよ……」
アルミン「分かった。ユミル、恩に着るよ。ミカサ、行こう」
ミカサ「うん……」
ミカサ「……ユミル、私たちはどうしていればいい?」
ユミル「しばらく私たちに時間をくれ。その間、あんたらは休んでなよ。エレンを悪いようにはしないからさ」
ミカサ「……エレンをお願い」
トボトボトボ
ユミル「……」
ユミル「……ふぅ、数分なのに訓練以上に疲労感。寿命が縮んだぞ。アニのやつ、この借りは高いぜ~」
ユミル「しかも、兵舎ん中でアネサに化けるとか、危ない橋渡りやがって……。ったく、クリスタに迷惑かけんなよ」
*****
アルミン(ユミルは「私たちに時間を」と言った。つまり、この件に複数人が関わっているのは確実)
アルミン(さらに、今すぐ交渉可能ということは、兵団内部の人間が探し求める人物であるということ)
アルミン(にもかかわらず、エレンが呟いた名前にミカサは聞き覚えが無かった。これらを合わせて考えると、すなわち……)
医務室前廊下
アニ「いつも通りのメイクありがとう、クリスタ」
クリスタ「あの……」
アニ「分かってる。こんなことしたって何にもなりゃしないって……」
アニ「でも、今の自分にできることっていったら、これぐらいしかないんだ……」
アニ「しかも、あいつの側にアニとして居ても意味が無い。あいつが望んでいるのはアネサだから……」
クリスタ「そんな……」
アニ「とにかく、私の自己満足かもしれないけど、こうしてあいつの側にいてあげたいんだ」
アニ「こんな事に巻き込んじゃってゴメン」
クリスタ「ううん、気にしないで……私は部屋の前で待ってるね。誰も入ってこないよう、ここで見張ってるよ」
アニ「ありがとう……」
バタン
クリスタ「アニ……」
医務室
アニ「……」
エレン「……」
アニ「エレン……」
エレン「……」
アニ「……まったく、なんで目を開けないんだか……」
アニ「エレン……私はね……」
アニ「冷たい人間になりたかったんだ」
アニ「自分勝手な女になりたかった」
アニ「他人から影響なんか受けず、他人に影響も与えず、ただ淡々としていたかった」
アニ「何をされても感謝なんかせず、何をされても心動かさず、自分のことだけを、自分のするべきことだけを考えていたかった」
アニ「ところが、実際の私は一人でキリキリまい」
アニ「他人のことなんか無関心って顔しながら人の顔色うかがって疲れて」
アニ「人の無知さに腹を立てながら、本当は自分が一番何も分かって無くて」
アニ「自分の足場をさぐるのに必死な、なりたいものにもなれない、不安でいっぱいの未成熟な人間」
アニ「他人の心に値しない人間」
アニ「……」
エレン「……」
アニ「……でも、あんたは」
アニ「私を見てくれた。あんたの目に映る私は本当の私じゃないけど、それは私にとって鏡だった」
アニ「私は鏡の中に、自分がならなければいけない姿とは違う自分を見た」
アニ「あんたが映してくれる私は、本当の自分よりもキレイで」
アニ「それは姿形だけにとどまらなくって、本当の自分よりもしっかりと立っている人間で」
アニ「例えそれが幻であっても、あんたの目に映る自分を見ることで、私は安心感を覚えた」
アニ「……」
アニ「ハハ……何言ってるんだろうね。ミカサの拙い言語力がうつっちゃったかな。自分でも何言ってるのかサッパリ分かんないや……」
エレン「……」
アニ「……」
アニ「……いつの間にか、私はあんたに依存しちゃってたんだね」
アニ「あんたがいないと自分が見えなくなって不安なんだ」
アニ「だからお願いだよ……」
アニ「また、私のことを見てよ……」
アニ「エレン……」
エレン「……ア……」
アニ「!」
アニ「エレン!?」
エレン「……ア……」
アニ「エレン!聞こえる?私の声!」
エレン「……ア…?……いや、アネサか?」
アニ「!」ガタッ
クリスタ「どうしたの?!」ガラッ
アニ「エレンが目を覚ました!」
クリスタ「えっ!」
アニ「早く衛生官を呼んできて」
クリスタ「う、うん!分かった!待ってて!」
タッタッタッタッタッ
エレン「……ここは医務室?俺はいったい……」ウウ~ン
アニ「エレン、私だよ!分かる?」
エレン「……アネサ、だよな?……なんでこんな所に?」
アニ「そうだよ、私だよ。あんた、訓練中、落石に巻き込まれて意識なかったんだよ」
エレン「……そうか、なんとなく思い出してきた」
アニ「それに重篤の肺炎で危険だって言われてたけど……」
エレン「そうなのか?……いや、とくに苦しいとかは感じないな……」
アニ「そう……本当によかった」
エレン「それにしても、どうしてここにいるんだ?」
アニ「うん……あの……」
アニ「今まで会いに行けなくてゴメンね……」
エレン「ホント、もう二度と来てくれないかと思ってたよ」
アニ「私はそのつもりだったんだけどね……」
エレン「あ、やっぱりそうなんだ……」シュン
アニ「……」
アニ「でもね……無かったことには出来ないんだよ。二人で会ってたことを……」
アニ「だからもう一度……ううん、一度じゃなくて、これから……」スッ
エレン「え……」
バタバタバタ バタン
クリスタ「お待たせ!」
衛生官「意識が戻ったって?」
アニ「///バッ
診察中
衛生官「……」
エレン「……」
アニ「……」
クリスタ「……それで、あの、イェーガー訓練兵の容体はどうでしょうか?」
衛生官「いや、驚いた。昨日診察した時は、肺胞腔内の浸潤が広範囲にわたっていたので正直難しいと思っていたが……」
衛生官「ところが、僅か半日でまるで肺胞が全て再生したかの如く健康になっている」
衛生官「人間とは思えない驚異的な回復力だ。信じ難い」キミホントニニンゲン?
衛生官「意識を失っていたわけだから脳波の検査は必要だが、体の方は健康そのもの。問題は全く無いだろう」
アニ「!」
クリスタ「よかったぁ」ウルウル
衛生官「ところで……」
衛生官「君は一体何者だい?その姿、とても訓練兵に見えないが……」グンキイハンシテナイ?
アニ(やばい!)
アニ「あ、あの、私は……」
クリスタ「え、衛生官殿!か、彼女は…えっと…そのぉ…」
アニ「掃除婦です」
衛生官「は?」
アニ(チッ、今までで一番しょーもない嘘をついてしまった……)
クリスタ「あ、朝早くご足労おかけして申し訳ありませんでした。これ以上お手を煩わすわけには参りませんので、どうぞお戻りください」グイグイ
衛生官「う、うむ」
バタン
アニ「ホッ
クリスタ「そろそろ他の皆も起きてくる頃だから、取り敢えず部屋に戻ってメイクを落として着替えた方が……」ヒソヒソ
アニ「そうだな……」ヒソヒソ
エレン「……」
エレン「あれ、もしかして、アネサとクリスタは知り合いなのか?」
アニ/クリスタ「ギクーッ
アニ「い、い、いや、さっき知り合ったばかりで……」
クリスタ「そ、そうなの。彼女がエレンに会いたがっていたから、ここまで案内してあげたの」
クリスタ(もう明かしちゃってもいいんだけど、咄嗟に話あわせちゃった。今だとエレンも混乱するだろうし)
アニ「エレン、私、そろそろ行かないといけないから……」
エレン「そうか……」
アニ「……」ツカツカツカ
アニ「エレン、今度の休日、いつもの所で待ってるから」ヒソヒソ
エレン「!」
アニ「それじゃあね」クルッ
エレン「あ、待てよ、外まで送っていくよ。教官に見つかったりすると面倒だろうし」
アニ「いやいやいや、そーいうのいーから!本当に!!」
クリスタ「そそそうだよ、エレン、まだちゃんと横になっていた方が」
エレン「そうか……でも、また会えるんだよな」ニカッ
アニ「///(くっ、こいつはまた邪気のない笑みを……)
アニ「ああ、会えるよ。またね」
バタン
医務室前廊下
アニ「ふぅ……」
ユミル「よっ、エレンのヤツ、どうやら目を覚ましたみたいだな」
アニ「ユミル……あんたにも世話になったね」
ユミル「まったくだぜ!ミカサに殺されるかと思ったよ。あいつ、本気で怖かったぞ」
アニ「そうか……今回の一件で、どれだけミカサがエレンのことを大切にしてるのか、本当によく分かったよ……」
ユミル「ん……」
アニ「ミカサたちにも早く知らせてやってくれないか、エレンが無事だってこと」
ユミル「ハイハイ、まだ働かされるわけね。あんたも早くすっぴんに戻ってこい。面倒くさい言い訳やら勘違いやらは食傷気味なんでな」
病室内
ミカサ「エレン!」ダキッ
エレン「おわ、ミカサ……って痛い痛い痛い!強く抱き過ぎ!!」ギリギリギリ
アルミン「エレン……本当によかったよ……」グスッ
コニー「まったく心配させやがって」
サシャ「ううう、よかったです。昨日の夕食は喉を通りませんでした~」グズグズ
ジャン「チッ、悪運の強いヤツだぜ。ま、このまま死なれちゃ寝覚めがわりーからな」
ライナー「何言ってやがる。お前、昨日の夜は本気でへこんでただろ」
ジャン「べ、別に死に急ぎ野郎のことを心配してたわけじゃねーよ///」
ミーナ「ジャンって絵に描いたようなツンデレよね」
マルコ「そこがジャンの良いところじゃないか」
ベルトルト「」
イヤイヤホントヨカッタヨカッタ
ハハハハハハ
エレン「だ、談笑してるとこ悪いんだけど、まじで誰かミカサ引きはがして……別の要因で呼吸停止するぞ……」ニンゲンマンリキ……
サシャ「あれ、そう言えばアニの姿が見当たりませんね?」キョロキョロ
ユミル「あ、ああ、ヤツならまだ自分の部屋で寝てるんじゃないかねぇ」
サシャ「そうなんですか?まったく薄情ですねぇ」
ユミル「あいつは氷の女だからな」
サシャ「私、エレンが目を覚ましたって伝えに行ってきますね」スタタター
クリスタ「あ、サシャ……」
クリスタ(行っちゃったけど大丈夫かな?)
ユミル(時間からいって、さすがにもうすっぴんに戻ってる頃だろ)
女子部屋
アニ「……」オトシオトシ
アニ「二人で会ってたのを無かったことには出来ない……か」
アニ「あんなこと言って、私はどうするつもりなんだか……」キガエキガエ
サシャ「アニぃ、起きてますか?入りますよ」コンコン
アニ「あ、ああ、いいよ……(間一髪!)」
サシャ「聞いてください、エレンが目を覚ましたんですよ!お医者様もビックリの回復だそうです!」
アニ「そうかい、そいつはよかったね。それじゃ私も医務室にちょっとだけ顔出してこようかな」
サシャ「はい!そうしてください。エレンも喜びますよ」
アニ「スタスタスタ
サシャ「テッテッテッ
サシャ「……ん?」
サシャ「クンクンクン
サシャ「ん~……」
アニ「?どうしたんだい」
サシャ「い、いえ、何でも無いです。気にしないで下さい」
サシャ「……」
サシャ(この匂い、前にも一度嗅いだ事がありますね……なんなんでしょう?)
サシャ(別にイヤな匂いじゃないんだけど、故郷でも、兵舎の中でもあまり嗅いだこと無いような)
サシャ(そう言えば前回もクリスタたちの部屋の中から……じゃあ、今のも部屋から?)
サシャ(……あれ?そうじゃなくて、これって……)
アニ「サシャ、何してるんだい。先行くよ」
サシャ「あ、は~い、すいません。今行きま~す」
テッテッテッ
本日もご支援くださった方々、ありがとうございます。
多分あと一回の更新で終ります。って言うか早く終われ。
木曜多忙につき、金曜夜もしくは土曜夜にハッピーエンドまで頑張ります。
お疲れさまでした。おやすみなさい。
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4271994.jpg.html
>>272アネサってこんな感じですか?間違ってたらすいません。
知らない単語ばっかりでぐぐりまくったw
エレアニ最高です。続き楽しみにしてます!
>>457
神様!嬉しさのあまり超大型巨人になったので、あなたに駆逐されたいです!!
1ですが、まさにそんなイメージで書きました。本当にありがとうございます!
雑用片づけてから書き始めます。でも、手書きメモ作ってたら今日じゃ終わりそうもないのに気付きました。
多分、今日と明日に分けます。もうちょっとだけ乙女チックラブコメな妄想を垂れ流させて下さい。
宜しくお願いします。
次の休日 女子部屋
クリスタ「……え、エレンに正体は明かさないの?」
アニ「ああ、明かさない。このまま、騙したまま、訓練兵団を卒業するまでは付き合い続けるよ」
クリスタ「卒業までって……」
アニ「そこでお別れだ。あいつは調査兵団、私は憲兵団。そうなってしまえば、会うことは出来なくなる」
アニ「だから、卒業の際にはキチンとアネサとしてお別れするさ」
アニ「もっとも、二人が志望する団へ入れるかどうかは成績次第だけどね」
ユミル「……それがあんたの出した結論か」
アニ「ああ、あいつには言わない」
アニ(言えばあいつを苦しめてしまう日が来る。だから言わない)
アニ(だけど、あいつの側にいるうちは、あいつの力になってやりたい)
アニ「……矛盾してるんだ、私は」
クリスタ「えっ、どういうこと?」
アニ「何でも無い。ただの独り言」
アニ(こんな事をすれば、いつか自分に破滅を呼び込むことになるかもしれない。私は戦士になれそうもないね……)
アニ「……そうだね、この茶番劇は卒業までは続くんだ。いっそのこと、アネサの設定をもう少し細かく作っておいた方がいいかもね」
アニ「例えば、実は貴族のご落胤ていうのはどうだろう」
クリスタ「え゛」
アニ「それで、命を狙われているからウォール・シーナ内から逃げて来ざるを得なかった、とかどうかな」
クリスタ「そ、それは無理があるんじゃないかな、ハハハ」カワイタワライ
アニ「だよね、私じゃ貴族のご落胤って柄じゃないもんね」ハハハ
クリスタ「アハハ……(は、反応に困っちゃう)」
アニ「今までメイクはクリスタ任せだったけど、これからは自分でも出来るようにならないとな。
アニ「だってこの先は、私の我が儘であいつに会うわけだし」
クリスタ「……」
アニ「服も自分で選べるようにならないと……」
アニ「笑っちゃうね、こんなのバカにしてた私が、人を欺くためにメイクを覚る羽目になるだなんて……」
クリスタ「ねぇ、アニ」
クリスタ「アニは、メイクするってこと、自分の顔を作るっていう行為は、周囲を騙してることだって思ってるでしょ?」
クリスタ「でも違うんだよ」
クリスタ「メイクはより良い自分を目指してするもの。メイクしている自分は、より良い自分」
クリスタ「今よりも可愛くなろう、とか、もっとキレイになろう、とか努力している自分なの」
クリスタ「騙したり騙されたりしてるわけじゃなくって……もし普段の自分と気付いてもらえない事があったとしても、それはそれだけ自分が頑張ったって証明になるの」
クリスタ「だから、時には面倒くさくって大変に思う事があっても、やっぱり楽しいものなんだよ……」
アニ「……そうなのかもしれないね」
クリスタ(アニは吹っ切れたように晴れやかだけど、やっぱりどこか寂しそう……)
クリスタ(やっぱり私じゃ他人を助けることなんてできないのかな)
クリスタ(ユミルの言うとおり、私は自分が叶えられない希望を他人に押し付けてるだけなのかな……)
ユミル「……」
ユミル「おい!お前ら二人とも、しょぼくれた顔してんじゃねぇ!!今日エレンに会うんだろ?だったら景気よくパーッと行こうぜ!」
クリスタ「う、うん!」
アニ「ああ、そうだね」
クリスタ(そうだ、私が暗い顔してちゃダメ!せめてアニを元気づけてあげないと!)
クリスタ「じゃあ、今日もめいっぱいオシャレしようか!」
ユミル「もう陽気は夏だしな。薄着の季節だぜ、グヘヘ」
クリスタ「ユミル、おじさんみたいなのやめてよ……」
クリスタ「でも、確かにユミルの言うとおり暑くなってきたんで、今日はキャミにしようか」
アニ「キャミソール……露出が多いね……」
クリスタ「うん、そうなると色々気にしなくっちゃいけないことがあるけど、中でも避けられないのがムダ毛の処理」
クリスタ「アニはもとから薄い方だけど……普段はどうしてる?」
アニ「なんかこういう会話って普段他の人としないから生々しくてヤダな……」
ユミル「おめーがいつも一匹狼気取ってるツケだ!普通はみんな話題にしてるんだよ。さっさと話さないと進まねーだろーが!」
アニ「いちおカミソリで……」
クリスタ「カミソリか……う~ん、ちょっと脇見てもいい?ゴメンね」グイッ
アニ「え、え、え?!///」
クリスタ「……アニ、あんまり肌強い方じゃないでしょ。カミソリはもう使うのやめた方がいいかも」
クリスタ「カミソリは直接肌に刃を当てるわけだから、やっぱり一番ダメージが大きくて肌が荒れやすいの」
アニ「も、もう腕おろしてもいいかな///」ハズカシイ
クリスタ「あ、ゴメンね。もういいよ。選択肢としては毛抜き、脱毛器、電気シェーバー、脱毛クリームなんかがあるけど、アニは電気シェーバーで十分だと思う」
アニ「電気シェーバーって、結局カミソリと同じじゃない?」
クリスタ「電気シェーバーは肌に直接刃が当たらないから。その分、深く剃れないから濃い人は活用しづらいだろうけど、アニなら薄いから大丈夫ね」
アニ「ふ~ん……」チラッ
ユミル「……おい、アニ。あんた今あたしの方見ただろ」
アニ「……見てないよ」
ユミル「いいや、見たね!ふざけんな、あたしの事、毛が濃いと思ってんだろ!」
アニ「……思ってないよ」
ユミル「くっそ~、女の敵め!毛が薄いヤツなんて大嫌いだぁ!!」
クリスタ「アハハ……」(私もかなり薄い方だけど……黙っとこう)
クリスタ「と、とにかくアニの場合、手足も市販されてる家庭用脱毛器で問題無いと思う。やるならお風呂上がり、もしくはお風呂で使える物もあるよ」
アニ「ん、分かった」(色々面倒くさいんだな)
クリスタ「あと、肌弱いのが気になるようなら、いちお処理は生理後にするよう心がけて。脱毛器の説明書なんかにも注意書きされてるハズだけどね」
アニ「……う、うん///」
ユミル(いちいち照れんなよ。こいつ、こーいう話題に弱いなー)
クリスタ「それから薄着の季節に気になるのが下着。ベアトップとかホルターネックを着る時、ブラの肩紐をどうしたらいいのか誰もが一度は考えると思うけど……」
アニ「……着たこと無いから考えたこと無かった」
ユミル「私はブラトップ一択だから」ドヤァ
クリスタ「……」
クリスタ「えっと、こういうのも人それぞれ趣味があるから、取り敢えず一般論だけど、対処法としては、ストラップレスにする、チェーンとかリボンとか見えても恥ずかしくないものにする、透明ストラップにするっていう感じになると思うの」
クリスタ「そして、露出部分が大きくなると、ある程度はカップがないとスタイル悪く見えちゃう」
クリスタ「ある程度なんで、別に寄せて上げるタイプじゃなくてもいいけど、アンダーベルトの縫製がしっかりしてるものを選ぶといいかも」
アニ「……どうしよう。そんなの気にして買った事無かった……」ズーン
クリスタ「べ、別に落ち込むこと無いよ。今日はアニが持ってる物の中から選んでみるから」アセアセ
クリスタ「……あ!持ってるじゃない。これ、ストラップが脱着可能でチューブトップになるタイプだよ!」
アニ「それ、肩紐外せたんだ……」シラナカッタ
クリスタ「今度、下着も一緒に買いに行こうね」ニコッ
アニ「は、恥ずかしいから一人で行く……///」
ユミル「何か初めてブラ買いに行く娘とお母さんみたいな会話だな。ほら、そろそろ着替えまとめて街行くぞ。エレンとの待ち合わせに遅れちまう」
市街地 坑道内
クリスタ「はい、お着替え完了!今日も可愛く出来上がりました」
ユミル「で、クリスタ先生による本日のコーディネートはどんなんだ?」
クリスタ「うん、さっきも言ったとおり、上はアウター用のキャミで色は淡いピンク。下はミントグリーンのプリーツミニスカート、足元は白のフラットパンプスです!」
ユミル「……なんつーか、色合いが地味じゃね?」モリガール?
クリスタ「うっ……(小声で)派手な柄でギャルっぽくすると激しく拒否されそーだったから妥協案として……」ヒソヒソ
ユミル「なるほど」
クリスタ「いちお、ワンポイントとしてロングネックレスとアンクレット、コットンキャンバスのトートを用意したから。アニって右利き?」
アニ「うん」
クリスタ「それじゃアンクレットは左足にするね」
アニ「こーいうのって利き足と逆にするのがルールなの?」
クリスタ「ルールってことは全然ないんだけど、利き足にすると引っ掛かり易いんで、逆にした方が無難かな。個人の好みとかクセにもよるけど」
ユミル「考えてろよ、蹴り足につけてたら、すぐ吹っ飛んじまうだろ」
アニ「ああ、そうか。納得した」
クリスタ「それで納得しちゃダメだよ!街中で人を蹴ったりしないでね」アセアセ
アニ「……ほんと、何から何までありがとうね。じゃ、行ってくるよ」
クリスタ「うん、気をつけてね」
ユミル「なんなら泊ってきてもいいんだぞ。一発キメてこい」グッ
アニ「……何をだよ///」
タッタッタッ
クリスタ「……アニにとって楽しいデートだといいね」
ユミル「私はどーでもいいんだけど……それにしても、一つ疑問があるんだ」
クリスタ「?」
ユミル「あいつ、ヤる時もメイクしたまんまのつもり?」
クリスタ「///」
ユミル「な、どーするつもりなんだと思う?」
クリスタ「し、知らない!///ほら、いつも通り、こっそり見に行かないと」
ユミル「なーなー、クリスタはどう思うんだよー」ニヤニヤ
市街地 繁華街
ワイワイガヤガヤ
ジャン「ったく、エレンのヤツ、朝からどこに行ったんだ?奢らせようと思ってたのによ」
マルコ「奢らせるって……今日はエレンの快気祝いをするつもりだったんじゃないの?」
コニー「いーじゃねぇか。俺たち、あいつの事で散々心配したんだ。飯ぐらい奢ってくれてもバチは当たんねーだろ」
サシャ「なんでもいいから早く何か食べましょうよ~。ああ、街のあちこちから良い匂いが……」クンクン
ライナー「まぁ、何にしろ良かったじゃねーか。あの後の脳波検査でも異常なかったし、アルミンたちも一安心だろ」
アルミン「うん、それはもう」
ミカサ「……」
アルミン(ミカサ、ずっと黙ってるけど、今日はエレンが誰かに会いに行ってるんじゃないかって、きっと考えてるハズだ)
アルミン(どうしよう……僕の推測を話してしまったほうがいいんだろうか……。恐らくエレンが会っているのは……)
ライナー「お、あそこにいるのはクリスタたちじゃないか。見かけないと思ったら、一足先に街へ出てたのか」
コニー「お~い、クリスタとブス!こっちこっち!」
クリスタ「えっ?!」ビクッ
ユミル「誰がブスだ、ゴラァ!……って、ゲゲッ、全員大集合かよ」
クリスタ(も、もしかしてこれは鉢合わせのピンチ?!)
ユミル(幸いエレンたちにはまだ気付いていないようだ。こいつらよりも先にアニが気付けば……)
快気祝いはお見舞いのお礼じゃなかったっけ?
>>489
ですね~。ゴメンなさい。私、今まで知りませんでした
必死にググってしまいました。周囲がしてあげるお祝いって何て言うんですか?
誰かエロい人、教えて!!
アニ「……ケガはもう大丈夫なの?」
エレン「ああ、もうすっかり。て言うか、元からヤバかったなんて自覚ないんだ。医者曰く、俺って人間離れした回復力なんだとさ」
アニ「そう……なんか色々とゴメンね」
エレン「いや、会えなかった事なら、もういいんだ。なんか事情もあったんだろうし」
アニ「うん、あの、謝ったのは、それだけじゃなくって……返事するのを待たせちゃってゴメンってことでもあって……」
エレン「え?」
アニ「さんざん待たせちゃったけど……いいよ、付き合おうよ」
エレン「ま、マジで!?」
アニ「うん……」
エレン「よ、よっしゃああああ~!!」ガッツポーズ
アニ「ちょっと……恥ずかしいよ」
エレン「ゴ、ゴメン。でも、okしてもらえるのって予想以上に嬉しいわ」ニカッ
アニ「まったく、しょうがないねぇ」
アニ(これでいいんだ……)
アニ(……ん?向こうでユミルが飛び跳ねてる……って、ヤバイ!なぜか皆集合してるじゃないか!)
アニ「エレン!わ、悪いけど急用できた!」
エレン「急用?突然どうしたんだ?」
アニ「じゃなくて、じゃなくて、えっと……ト、トイレ!トイレ行きたくなったの!」
エレン「あ、ああ、悪い」
アニ「くっ」(いったん距離を取って身を隠さないと)バッ
コニー「?おい、ブス。さっきから何ピョンピョン跳ねてんだ?」
ユミル「いや、急に垂直跳びの練習がしたくなってな……。つーかブス言うんじゃねーぞ、ハゲチビ」
コニー「ハゲじゃねーよ、剃ってんだよ!」
ライナー「お、ついでにエレンも発見したぞ。なんだよ、あの野郎、あんな所に一人で突っ立っていやがって」
ミカサ「エレン!」タッタッタッ
クリスタ(よかった……なんとかアニはみんなの視界から脱することができたみたい)ホッ
ユミル(こんな調子で卒業までとか、先が思いやられるな)
エレン「ん?あれ、珍しいな。ミカサが他の皆と揃って街に出かけるなんて」
ジャン「てめぇ、一人で勝手に行くんじゃねーよ。今日はお前にたかりに来たんだからな」
エレン「たかるって、何で俺が」
ミカサ「エレン、こんな所で何やっていたの?」
エレン「あ、えっと……」
ジャン「まさか、誰か女と会ってたんじゃねーだろうな」ハハハ
ユミル「そ、そんなわけーねーよな。こいつはそんな甲斐性あるタイプじゃ……」
マルコ「そうだよね、エレンにはミカサがいるわけだし」
サシャ「クンクンクン
エレン「ミカサがいるって、俺は別に……」
サシャ「クンクンクン
ライナー「それにしても、本当に一人で休日過ごしてんのか?だとしたら寂し過ぎんだろ」
サシャ「クンクンクン
エレン「ほっとけよ」
サシャ「分かりました!さっきまでここにいたのは、アニですね!」
クリスタ/ユミル「!!」
アルミン「……」ピクッ
やったー。ここまできたー。明日で絶対終われます。早く終われ~。
お付き合いくださった方々、感謝いたします。
本日もお疲れさまでした。おやすみなさい。
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4274831.jpg
されるがままのアニ可愛い!支援。
>>513
ありがとうございます!絵柄からいって>>457と同じ方ですよね?
お礼の言葉も尽きるほど感謝です!ここまでしていただけるなんて喜びいっぱい胸いっぱい!!
なので行動で示すということで、ユミルは>>513の嫁!アニは私>>1の嫁ということで一つヨロシク
今夜で最後まで書きあげます。お付き合いお願いいたします。
ジャン「はぁ?なんでお前にそんなことが分かるんだ」
サシャ「この匂いです。アニの匂いがするんです!」
コニー「アニの匂いって……お前は犬かよ」
マルコ「ま、まさかサシャってアニフェチだったの?」
サシャ「ち、違いますよ!なんですか、アニフェチって」
サシャ「確かに私は狩猟生活が長かったから、皆さんよりは匂いに敏感かもしれません。けど、これはすっごく珍しい匂いだから、とくに印象に残ってたんですよ」
エレン「いったい何の話をしてるんだ?」
サシャ「えっと、最初に嗅いだのは二ヶ月くらい前だったと思うんですが、ユミルたちの部屋に入った時、普段嗅ぎなれない匂いがしたんです」
サシャ「あれは……そうそう、ちょうどミカサから、エレンの後をつけてくれって頼まれた日のことですね」
サシャ「それからも時々その匂いはして、最初は何か物か、それとも特定の場所でするのかと思ってたんです」
サシャ「でも、この前、エレンが事故に遭った日の事なんですが、アニと並んで歩いた時に分かったんです」
サシャ「その独特の匂いは、アニからしてるんだって」
サシャ「今もこの場にその匂いが残ってたんで、だからさっきまでアニがいたんだって分かったんです」
ミカサ「エレン!本当にそうなの?アニがここにいたの?」
エレン「だから、アニなんかいないって……」
ライナー「まさかアニのやつ、メイクしてて化粧の匂いでもすんのか?」ハハハハ
クリスタ/ユミル「ビクーッ
アルミン(そうか!僕の中で全ての謎が今やっとつながった!!)
エレン「……え?」
コニー「そーいえば今、アニがどこにいるか誰か知らないか?」
ジャン「いや、俺らが兵舎出た時には既にいなかったと思うが……」
マルコ「僕は、てっきりクリスタたちと一緒だと思ってたんだけど」
クリスタ「あ……う……」
ユミル「い、いや、私らも知らないね……」アハハ…
エレン「……」
エレン「……もしかして……」
ミカサ「エレン、どうしたの?」
エレン「……え……いや、でも……」
ミカサ「エレン?大丈夫?」
エレン「……そんな……まさか……」
エレン「……」
エレン「!!」
バッ
ミカサ「エレン?!どこ行くの?」
エレン「確かめて来る!」ダッダッダッダッ
ミカサ「何を?!」
エレン「何もかもだ!」
サシャ「ありゃあ、エレン、行っちゃいましたね」ポカ~ン
コニー「何?何がどうなってるの?もしかして、また俺だけ分かってないパターン?」
ジャン「安心しろ、俺も全然分かんねぇ」
ライナー「おいおい、これは一体どういうことだよ」
ミカサ「ユミル、あなたは何か知っているんでしょう?」グッ
ユミル「くっ……」
アルミン「ミカサ、落ち着いて。ユミル、君が言いにくいようなら僕から少し推理を披露させてもらってもいいかな」
ユミル「……」
アルミン「大丈夫、僕の推理が当たっているなら、君が心配している事柄に関しては秘匿できると思うよ」ボソッ
ユミル「えっ?」
コニー「おい、いい加減、何がどうなってるのか教えてくれよ。わけ分かんなくて鼻の穴から脳みそ垂れてきそうだぜ」
アルミン「おそらくエレンと一緒にいたのは、サシャが指摘するとおりアニ」
アルミン「ただし、変装した上で偽名を用いたアニだ。サシャが嗅いだ匂いというのは、ライナーがさっき言ったようにメイク道具の香料なんだろう」
アルミン「そして、変装の協力者はユミル。だからエレンはアニに会っているとは思っていなかった」
ジャン「はぁ?なんでそんな事を?意味分かんねーんだけど」
アルミン「ここからは自信ないんだけど、最初は偶然だったんじゃないかな」
ミカサ「偶然?」
アルミン「うん。メイクして街へ出かけたアニが、たまたまエレンと出会い、エレンがアニと気付かず接してしまった」
アルミン「アニは自分の正体を言い出す機会を逸し、結局その勘違いが今の今まで続くことになった」
アルミン「どうだろう、ユミル。僕の推理は間違ってる?」
ユミル(アルミンの野郎、私がクリスタをかばってると薄々気付いて……癪だけど、その芝居のらせてもらうぜ!)
ユミル「ああ、降参だ。全てアルミンの言うとおりさ」
マルコ「アルミンすごいよ!まるで名探偵みたいだ」
ミカサ「……なんでエレンを騙し続けたの?」ズイッ
ユミル「あいつは……アニは、エレンに自分の正体を明かさないまま、卒業時に別れるつもりなんだ」
ミカサ「なぜ?」
アルミン「それは、エレンが調査兵団を、アニが憲兵団を、それぞれ志望しているからかな?」
ユミル「ん……とにかく、あいつは悪意からエレンを騙してるわけじゃない。正しいかどうかは別として、あいつなりに悩んで出した答えだってことだけは分かってやってほしい」
ミカサ「けど、エレンは気付いてしまったみたい……」
サシャ「あわわわわ、事情も知らず私があんな事を言っちゃったからですね~、ゴゴゴゴメンナサイ~!!」ドゲザッ
ユミル「……アニには悪いけど、私はどっかでこうなる事を望んでいたよ。そうじゃなきゃアニがあまりにも救われないからな」
クリスタ「ユミル……」
ユミル「けど、あいつの頑なな心を溶かすのは容易なことじゃ出来なさそうだ……」
ライナー「基本的に不器用なヤツなんだよ、アニは」ハァ
ベルトルト「」
コニー「うお?!ベルトルトいたのかよ。今まで全然気付かなかったぞ……」
マルコ「ライナーの言いたいことは分かるよ。いつも一人でいるのも、人が嫌いなんじゃなくて、周りに嫌われたがっている感じだもの」
ジャン「ちっ、エレンの野郎なんかに任せて大丈夫なのか?」
サシャ「心配ですね……」
ミカサ「大丈夫」
アルミン「え?」
ミカサ「エレンが追いかけていったでしょ。こういう時、エレンは必ず何とかしてくれる」
ミカサ「だって、エレンはいつだってヒーロー(主人公)なんだもの」
****
ダッダッダッダッ
エレン「ハァハァ(ちくしょう……アネサのヤツ……何処まで行きやがった……)
エレン「ハァハァ(まだ頭ん中がグチャグチャだ……アネサが、アニ……本当にそうなのか?)
エレン「ハァハァ(けど……だとしたら俺は……)
エレン「!!いた!」
エレン「待て!待てよ!!アネサ!」
エレン「ハァハァ(くそ、走って逃げていきやがる……)
エレン「ハァハァ(……)
エレン「アニ!!」
アニ「!」
タッタッタッタッ……ピタ
坑道
エレン「本当にアニだったんだな……」
アニ「……」
エレン「ゴメン!今まで気付かなくって……」
アニ「あ、あやまるのは私の方だよ……騙してたのは、私なんだから……」
エレン「……なぁ、なんで今まで黙ってたんだ?言ってくれればよかったのに……」
アニ「……」
エレン「確かにすげー驚いたし、今もまだ混乱してて、何をどうしたらいいのか、正直よく分かってないけど」
アニ「……」
エレン「少なくとも、アニだと知ったからって、それで急に気持ちが変わるとか、そーいうことは……」
アニ「言ったら!」
エレン「ビクッ
アニ「……言ったら、私がダメになっちゃうんだよ。あんたを巻き込んだら、私が絶対に後悔するんだ……」
エレン「ハァ?意味わかんねーよ」
アニ「そう、分からないだろうよ、あんたに私のことなんか……か弱い乙女の気持ちなんて分からないだろうさ……」
エレン「……」
エレン「確かに分からないさ。ついさっきまで、アニだなんて想像もしてなかったんだ。お前が何を考えてるのかなんて分かるわけないだろ」
エレン「けど、前に言ったよな!」
アニ「……」
エレン「お前と、アネサとして会った時に言ったよな。壁の外を知るだけじゃなく、壁の内側も、巨人のことも、何もかもひっくるめて知りつくさなきゃ満足できないって言ったよな」
アニ「……」
エレン「だから、お前の事を分からないままになんて、しておけるわけないだろ!」
エレン「アニ、こっちに来い!」
アニ「私はそっちにいけない……私は戦士になりそこなた……」
エレン「なら俺が行く!!」
アニ「!」
エレン「そうだ、俺自身も今やっと気付いたよ。お前のどこに惹かれていたのか」
エレン「お前はいつも孤高でありたいって願ってただろ。他人を寄せつけないように態度で示していただろ。けど、時々そこから感情が漏れ出して、それを必死に隠そうとしてただろ。それは、お前の自尊心の高さがそうさせてたんだ」
エレン「プライドや虚栄心が高ければ生きづらい。誰だってそうだ。俺も、ジャンも、みんなそのせいで衝突し合ってる。そして、生きづらいって分かってても簡単に捨てられるもんじゃない。俺なんかバカだから尚更だ」
エレン「そんな中、お前は自尊心からくる生きづらさに気付きながら、必死に耐えて、それでもなお自尊心を掲げることを決してやめなかった」
エレン「それは、アニの時もアネサだった時も変わらない。お前の本質なんだ。俺は、そこに惹かれたんだ」
アニ「……」
エレン「今きっとアニは、その自尊心のせいで、他人への愛情なんて欠片も持ち合わせていないんじゃないか、とか、自分の背負うものを他人へ預けるなんて許されない、とか考えてるかもしれない。アニの心のブレーキは、きっとよく利く優れモノなんだ」
エレン「だから、言ってやる」
エレン「俺を頼れ!」
エレン「俺が自分の全部を賭けて、お前の力になってやる!」
エレン「お前がなんで泣いてんのか、それを知るまで絶対に諦めない!」
アニ「……」
アニ「……」
アニ「……よくもまぁそれだけクサい台詞が言えるもんだね」
エレン「頭で考えるよりも感情が先に動くタイプなんだ」
アニ「後悔するよ……」
エレン「それも前に言っただろ。お前と一緒にいると幸せなんだって」
アニ「……あんたには負けたよ。私もだよ。私もあんたと一緒にいると幸せなんだ。あんたが好きだから……」
エレン「!!///」
アニ「どうしたんだい?」
エレン「今、初めてアニの口から好きって言葉を聞いたよ……」
アニ「フフ……そうじゃなきゃ、あんたのつまんないデートに付き合ったりするもんか」
エレン「えっ、俺としては精一杯頑張ったつもりだったんだけどな……」
アニ「じゃあ、頑張ったご褒美に、今だけは私も感情のままに動いてあげるよ……」スッ
*****
サシャ「はわわわわわ~~、キ、キスしてますよ~///」
コニー「やるじゃねーか、エレンのヤツ」ヒューヒュー
ライナー「おい、あんま騒ぐなよ。覗き見してんのがバレるだろ」
ベルトルト「」
ジャン「くっ、死に急ぎ野郎のくせにナマイキだ……」
ユミル「ふ~、なんとか丸く収まったみてーだな」
マルコ「フランツ、ハンナに次ぐ公認カップル二組目だね」
クリスタ「アニ、よかったね」ウルウル
ミカサ「……」
アルミン(それにしても、ミカサも精神的に成長したみたいだな)
アルミン(エレンが事故に遭った時もそうだったけど、以前のような独占欲むき出しの振る舞いがなくなった。二人の新しい門出が、幼馴染として純粋に嬉しいよ)
アルミン「ミカサ、エレンを祝福してあげようね」
ミカサ「?」
アルミン「これからはエレンも、以前のように僕たちといつも一緒というわけにはいかないだろうけど、友情は変わらないからね」
ミカサ「アルミン、何を言ってるの?」
アルミン「ん?」
ミカサ「誰があの女狐とエレンの仲を許すといった?」
アルミン「え゛」
ミカサ「アニはまだまだ私とエレンの境地に至っていない。そんなことではエレンを安心して任せられない。それに……」
ミカサ「まだまだ勝負はわたしのがリードしてる」ニッ
アルミン「あ、あは、あははは……」
アルミン(まさか、エレンを巡るハーレムラブコメはここからスタートなの?僕の胃痛もこれから始まるの?)
ミカサ「でも、心配しないでアルミン」
ミカサ「エレンにも、私にも、アルミンにも」
ミカサ「そしてアニにも」
ミカサ「不幸な未来なんて絶対訪れないから」
アニ「何はともあれ、嘘と誤解と勘違いに満ちた私の話はこれでおしまい。
もちろん、解決してない問題は山積みで、この後の私たちがどうなるかなんて、正直いって分からない。
だって、この世界はまだまだ謎だらけなんだから。
まぁ、不幸な結末はゴメンだから、せいぜいそうならないよう足掻いてみせる。
でも、たった一つだけハッキリと分かったことがある。
それは、やっぱり私はあいつと一緒にいた方が幸せだってこと。
だからせめて、今日もメイクをきちんとして、より良い自分になってみよう。
あいつのために、私のために」
おしまい
自己満なダラダラ長話をここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。見苦しい言い訳を二、三。
メイクして別人に間違えられて惚れられちゃうって物語の骨子は、「ハレグゥ」描いてる人の少女マンガ「ライアーライアー」から、
アニ、クリスタ、ユミルが何の説明もなくナチュラルに同室なのは、多分エレアニ好きの人は知ってるでろう有名ssからそれぞれパクってます。
その他、細かい所は超適当。全然分からない軍関係だけは多少ググったりもしたけど、やっぱ適当。あんまり突っ込まないでね。
話の筋は書いてるうちに二転三転。カットしたエピソードも多くて、一番悔やまれるのはアニとミーナが喧嘩をきっかけに仲良くなる件を抜いたこと。
筋と無関係な部分では、ブーツとかファーとか冬のファッション、古着のリメイク、メイクのウォータープルーフなんかもやりたかった。際限なくなるんで断念。
当初はライナーも大いに活躍する予定でしたが、書いてる途中に別マガで最新話読んで全カット。アニキ、扱いが難しくって、仕方なかったんだよ……。
結末だけでも4,5回は変更になり、どんどん木に竹を接いだような話になってっちゃって、放置しようと思ったのも一度や二度じゃないんですが、
ヘロヘロながらも終わってよかったです。これもひとえにレスくれたり絵を描いてくれた皆様のおかげです、イヤ、ホント冗談抜きにマジで。
最後にもう一度、感謝!
やたらファッションに詳しいのが気になった
差し支えがなければ教えてほしい
>>563
ファッション関係に携わった経験は一切ないです。
多分年齢重ねれば自然と身に付きます。若くないんです……
おつです。次回作の予定あればお願いします!
>>568
ss書く楽しさにハマっちゃったんで、
進撃放送終わる前に書けたらいいな。
でも、似たような雰囲気のしか書ける気がしないし
取り敢えずしばらくは読むの専門に戻ります。
このSSまとめへのコメント
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