兎角「あれから」 (76)

兎角「このダンボールはここでいいか?」

「あ、うん」

兎角「こんなもの本当にいるのか?」

「うーん」

兎角「これは? いらないだろ」

「いるよー…」

兎角「はぁ……せっかく広い部屋なのに沢山物があるとなぁ」

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兎角「で、さっきから何してるのお前」

「えへへっ、二人の記念写真を飾ってました!」

兎角「…くすっ」

兎角(……幸せ、だな)


兎角「愛してるよ」


兎角「――晴」


晴「……ふふっ、晴も兎角さんを愛してます」

 私と晴は卒業した後、なんやかんやあってすぐに同棲生活を始めることにした

晴は大学生。私は暗殺の仕事をしている。晴にはやめた方が良いと言われたが、私はこの仕事が天職だと思っている

それに給料も高いしな。だが晴の言うことは何でも聞いてしまうタチなので、何年後かには普通に就職しようか、なんて
 
 で、今日は同棲生活初日。荷物を運ぶのって案外面倒臭いんだな


兎角「美味しいよ。晴」

晴「よかったぁ」

晴「ていうか兎角さんカレー以外も食べれるんだね」

兎角「当たり前だ」

兎角「……ふう。ごちそうさま」

晴「お粗末様でした♪」

晴「あ、お風呂入ってますよ。晴は食器洗いしてるから先に入ってね」

兎角(一緒じゃないのか……)

カポーン

兎角(ん。このシャンプー……)

兎角「! 晴の髪の毛の匂いだ」

兎角(これからは一緒の匂い、なんだな……)

兎角(嬉しいな。同棲はじめてよかった)

「兎角さーん。服、置いときますね」

兎角「ん、ああ」

ガラ

兎角「ふぅ……」


兎角「ん」


兎角(晴が選んでくれた下着だ)

兎角(下着なんかどうでもいいのに、無理やり店に連れて行かれたんだっけ)


『兎角さんは美人さんなんですから下着もちゃんとしたの穿きましょうよ。ってことで買いに行きましょう!』

『嫌だよ面倒くさい。それに晴の方が美人だ。いや、可愛いだな……いやいや、でも美人だし可愛い……あと……』

『……可愛い下着穿いてくれたら、もっと好きになるのに……』

『!』


兎角「……くすっ」

TV「――」

晴「ふふふっ」

兎角「……」ジー

晴「ふー面白かったぁ」

兎角「え、終わったのか」

晴「ええっ!? 兎角さん見てたよね?」

兎角「あ、ああ」

晴「あっ、兎角さんはテレビを見るのが下手なんだね」

兎角「なんだそれ。なんかムカツク」ガバッ

晴「きゃーっ! ごめんなさいごめんなさいぃ!」

兎角「許さない」ムニー

晴「ほへんははいい~!」

兎角「ぷっ」

晴「もぉっ!」

兎角「そろそろ寝るか。十二時前だ」

晴「そうですね。あ、兎角さんは奥が良いですか?」

兎角「いや、晴が奥」


晴「……兎角さん。私が落ちないようにですか?」


兎角「ああ。もちろんだ。黒組が終わっても守護者であることは変わりない。私は一生晴を守るつもりだ」

晴「と、兎角さん」

兎角「よいしょ。ほら、おいで」

晴「はいっ!」

兎角「わっ、抱きつくなよ暑い」

晴「……でも、凄くドキドキしてますよ?」

兎角「! そ、それは晴だって」

晴「えへへ……」

兎角「は、晴……」

晴「……兎角さん」

チュッ

兎角「……晴」ギュ

晴「兎角さん……」

「おやすみなさい……」

今日はここまで



兎角「朝だよ。晴」

晴「うぅん」

兎角「こら、起きろ」ユサユサ

晴「あ、だめですよぉ兎角さん……やぁん……」

兎角「……」

チュッチュッチュッチュ

晴「んぅ…? !?」

兎角「おはよう晴」

晴「と、とかくさんなんでキスしてたの!?」

兎角「起きないからだ」

晴「もお……口元べたべたじゃないですか」ペロ

兎角「!」

晴「……」カァッ

晴「も、もうっ! そんなことより朝ごはんです!」

晴「はい、兎角さん」

兎角「ありがとう。旨そうだ」

晴「えへへ……」

兎角「晴の手作りがこれから毎日食べれるんだよな。嬉しい」

晴「がんばりますっ!」


晴「あ、そういえば春紀さんと伊介さんも同棲してるらしいですね」

兎角「らしいな」モグモグ

兎角「でもあいつらが家族を置いていくなんてな」

晴「逆に追い出されたらしいですよ」

晴「さっさと二人になれって」アハハ

兎角「ふーん」

さようなら

晴「じゃあ行ってきますね」

兎角「ああ。行ってらっしゃい」


晴「あ、そうだ」

兎角「?」


チュッ


晴「えへへ。行ってきます!」

バタン


兎角「ったく……」ペロ

兎角「仕事が無いと暇だな」

兎角「トーレニングがてらにこの段ボールの山を整理するか」


~~~~~~~~~~

兎角「ふぅ。もう昼か」

兎角「確か冷蔵庫の中に……」

兎角「あった。カレー」

チン

兎角「あむ」

兎角「……」

兎角(一人で食事するのってこんなに寂しかったっけ)

兎角「暇だな」

兎角「……走るか」




兎角「……」タッタッタ


「次はどこに行きましょうか」
「え、映画、見た、です……」


兎角(…あの後ろ姿は)


純恋子「あら。東さん御機嫌よう」

真昼「……こ、こんにちは……」

兎角「こんな昼間から……お前らニートか?」

純恋子「うふふ、それを言うなら東さんも」

兎角「私は暗殺の仕事がある」

純恋子「まあ。そうでしたのね」


兎角「お前は仕事しなくても金は腐るほどあるんだろ?」

純恋子「ええ。そして真昼さんはヒモですわ」ニコ

真昼「! ち、ちがっ……」ギュ


純恋子「うふふ、冗談ですわ。真昼さんは私のメイドさんですものね」ナデナデ

真昼「あぅ……すみ、れこさ……」カァァ

純恋子「ま、真昼さん……可愛すぎますわ……」

真昼「す、すみれこさんのほうが……」


兎角(あほらし)タッタッタ

夕方

ガチャ

兎角「ふぅ」


タッタッタ


晴「おかえりなさい!」


兎角「ただいま」ニコ

晴「んっ」チュ

兎角「ん」

晴「へへへー」

兎角「ふふっ」

晴「兎角さん凄い汗ですね」

兎角「ああ。走ってきたんだ」

晴「お風呂入ってますよ」

兎角「じゃあ入ってくるよ」

晴「まだ外は薄明るいですけど、ご飯はどうします?」

兎角「いつでもいいよ」

晴「じゃあ今から作りますね」

~~~~~~~~

トントントン


TV「――」


カァーカァーカァー


グツグツグツ


マッテヨー ワーワー


晴「ふんふふふーん」


兎角(なんか、いいな)

兎角(平凡で平和な毎日。晴が傍にいる毎日)

兎角(幸せだな)


晴「ご飯出来たよー」

兎角「ああ。今行く」スクッ


「今日は兎角さんの大好きなー」

「カレーか!」

「お魚です!」

「……」




TV『21世紀の切り裂きジャック脱獄!?』

『看守も数人殺害され――』

深夜

晴「それじゃもう電気消しますね」

兎角「うん」

晴「……」ギュ

兎角「!」ドキドキ


晴「兎角さん……」

兎角「晴……」

晴「…いいよ」


兎角「は、はるっ!」ガバッ

晴「きゃっ」

兎角「晴っ晴っ!」チュッチュ

晴「んっんっ」


兎角「だ、駄目だ!」ドキドキ


晴「え?」

兎角「ド、ドキドキしすぎて……頭がぁ」フシュー


晴「……」


兎角「すまない……でも、でも今度こそは!」


晴「……ふふっ、いいんですよ」

晴「私たちは私たちのペースでいいんですから」ナデナデ

兎角「晴……」

晴「だから、今日はもう寝よう?」

兎角「ごめん……」ギュ

―― 

 数か月経っても私達はできないでいた。もちろん全部私のせいだ。こんなにヘタレだったなんて自分でも驚いている。晴には申し訳ないし、私だって愛し合いたいんだ。だけど最近は仕事が忙しい。深夜に家を出てまた深夜に帰ってくるなんてこともある。
 
 正直、私達は今すれ違っている。どうすればあの頃に戻れる? 仕事を変える? ダメだ。もう少し頑張れば一軒家だって買える。晴の喜ぶ笑顔を見たいんだ。

 私はいったいどうすれば――


ガチャ

兎角「……ただいま」


シーン


兎角「はは。そうだよな」

兎角「飯は……」


『チンして食べてください』


兎角「……こんな夜中に電子レンジ使うと晴を起こしてしまうかもしれないし、冷めたままでもいいや」

兎角「おいしい……けど、冷たいな……」

兎角「……」

兎角「風呂、入るか」

~~~~~~~~

兎角「ふぅ」フキフキ

兎角「ん? 着替えが無いな」

兎角「そもそも下着ってどこにしまってるんだ」

兎角「……どこだ?」


『兎角さん。下着、棚に置いておきますね』

『ありがとう』



兎角(この家のこと何にも分かって無かったのか私は)

兎角(……晴のことも)


兎角「……惨めだな」

 いつからか私たちは別の部屋で寝るようになっていた。深夜に帰ってきた日は必然的に布団に入るのも遅くなる。だから深夜に晴を起こしてしまわないようにする為、私はリビングのソファーで寝ることにした。ああ、触れ合えないのが寂しい。晴と抱き合ってキスしたい。そして一緒に寝るんだ。

 こんなに近いのに遠いだなんて、苦しくて仕方ない


兎角「……晴。おやすみ」

 いつからか私たちは別の部屋で寝るようになっていた。

深夜に帰ってきた日は必然的に布団に入るのも遅くなる。

だから深夜に晴を起こしてしまわないようにする為、私はリビングのソファーで寝ることにした。

 ああ、触れ合えないのが寂しい。晴と抱き合ってキスしたい。そして一緒に寝るんだ。


 こんなに近いのに遠いだなんて、苦しくて仕方ない


兎角「……晴。おやすみ」




 そしてその日はやってきた




兎角「今は……七時か。久しぶりに早く帰れるな」ソワソワ


兎角「晴……」


兎角(金も溜まったし家を買うことができる。晴、喜んでくれるかな)


兎角「あ、そうだ。何か買って行ってやろう」

兎角「……あいつの喜びそうな……カレー味の菓子を……」ジュルリ

兎角「……♪」


 こんなに機嫌がいい日はなかなかない。どれくらいかって言うと晴といつも一緒に居た時位機嫌がいい。

帰って、晴とおかえりなさいのキスをして、一緒に風呂入って、ご飯を食べて、のんびりして――


 ――暗殺の仕事から足を洗うって、言うんだ。そして家を買おうって。

目いっぱい抱きしめてくれるかな。喜んでくれるかな


兎角「ふふ、晴……」

 ここのエレベーター、こんなに遅かったか? 凄く遅く感じる。


ウィーン

『○階です』


兎角「……」ソワソワ

 ここの通路、こんなに長かったか?


兎角「……」スタスタ


 あ、着いた。


兎角「……」ドキドキ

ガチャ



「あっあっ」

「やだっ」

「き、きもちいよ」

「だめっ、んっ」










兎角「             」

休憩

兎角「?????」




ガチャ





晴「やだっ、あんっ、やめっ」

晴「ああんっ」

晴「も、もっと……」




兎角「???????????」

兎角「?」


晴「やぁ……んっ」


バタン


晴「えっ」




兎角「なに、してる?」




晴「え? え、あ、あ、ああ、あああれ?」ポロポロ



兎角「そいつころしていいかな?」




乙哉「おー、こっわぁ~」



兎角「ごめん。殺す」ダッ

乙哉「あっ、ちょっとやばいかも」


兎角「あああああああああああああああああ!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 気づいたら私は武智に馬乗りになって顔面を殴り続けていた。

 もう止まれない。


兎角「死ねっ! 死ねっ!」

武智「ああああああいだいいだいだいだいいだい」


晴「やめて、しんじゃう……! やめてっ!」ギュ


兎角「……は?」

兎角「晴は、こいつを庇うの?」

 晴は答えなかった。ただ泣きわめくばかりだった。

このどうしようもない感情をぶつけるため、私は晴を犯し始めた。

晴の秘部を舐め、指を入れる。そして自分のと合わせる。

やめろ。やめろ。こんな形で、なんで。嫌だ。

晴「う、うぅっ、きもちいよ、とかくさん!」

兎角「……」


 萎えた。

さっきまでアイツとやってたんだなとか、アイツの方が気持ち良かったんだろとか思うと

馬鹿らしくなって、心の中が虚無感でいっぱいになった。


~~~~~~~~~~~~~~~~


 あの後我に帰った私は武智を外に放り出し、晴に服を着させた。

それでも晴は泣き続けたままで、「ごめんなさい、ごめんなさい」としか言わない。


兎角「……」

晴「もう、一生、しないから、ごめんなさい、ごめんなさい」

兎角「私はもうお前を信じれそうにない」

晴「っ! ごめんなさい、ごめんなさい……!」

兎角「私は今まで何のために頑張っていたんだろう」

兎角「晴の為に死ぬ気で働いたんだけど、それが晴を苦しめてたんだな」

兎角「そうかそうだよな。すまないな。晴」


兎角「別れよう」


晴「い、いやっ! やだっ! 別れたくないですっ!」ギュッ

ドン

晴「え」

兎角「触んな。汚い」



兎角「臭いんだよ。お前」


晴「ぁぁあ……あ」

いつの間にかこんなことになってた
また明日ー

『兎角さん。今日も遅いな……』


『寂しいよ……』


『んっんっ……はぁ』


『うぅっ、とかくさん……』

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年06月22日 (日) 01:07:52   ID: jeI_NjBt

続き気になる 


2 :  SS好きの774さん   2014年06月22日 (日) 22:18:56   ID: dVMaDCYH

いいですね、続き待ってます。

3 :  SS好きの774さん   2014年06月24日 (火) 13:31:40   ID: UtCRiMxy

こういうベタなの大好き

4 :  SS好きの774さん   2014年08月04日 (月) 02:27:42   ID: bc-KsOAe

続き( `・ω・´)ノ ヨロシクー

5 :  SS好きの774さん   2014年11月24日 (月) 00:43:24   ID: Ku7vtWER

続きまだかな…

6 :  SS好きの774さん   2015年01月02日 (金) 05:49:50   ID: y5Yl39Zy

続き…(´・ω・`)ショボ-ン

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