凛「え?Pさんが過労死」【安価】 (227)


凛母「……凛、ご飯は?」

凛「いらない」

凛母「でも、もうPさんのことがあってからご飯食べてないわよね……」

凛「いらないって言ってるでしょ!」

凛母「ごめんね。でも、ここに置いておくから今日は食べてね」イソイソ

凛「……だって、もうPさんはいないから、生きている意味ないよ」

凛「なんで、Pさん死んだの?」

凛「仕事しすぎたら体を壊しちゃうから駄目だって言ったのに」

凛「スタドリの飲み過ぎは駄目だって言ったのに」

凛「過労で死ぬなんて…これから頑張ろうって言ったのに…」

凛「そんなのってないよ」

凛「……Pさん、会いたいよ」


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P『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛』





凛「……」

凛「キャアアアアアア!!!」

P『し゛~ぶ゛~や゛~り゛~ん゛~』

凛「いやあああああああああああああ!!!」

P『ちょ、やめ!幽霊だからすり抜けて当たらないし痛くないけど、止め!』

凛「いやあああああ!」

凛母「どうしたの、凛!」

凛「きゃああああ!」ブン

凛母「たわば!」ゴチン


十分後…

P『ごめん、呪怨の真似はやり過ぎだったな』

凛「Pさん……だよね?」

P『あぁ』

凛「私のこと恨んでるから幽霊になって出てきたの?」

P『俺が?凛を恨む?ありえないだろ』

凛「……嘘」

P『嘘じゃないって』

凛「でも、Pさん私たちのせいで働きすぎて」

P『俺は凛たちにとって最適な時に適切な量の適切な内容の仕事を取ってきただけで、凛たちをトップアイドルにするためにとって来た仕事の量に俺の体力が持たなかっただけだ。凛が悩むことじゃない』


凛「私がアイドルとして未熟だったから、Pさんに無理をさせたんじゃ」

P『それは考え過ぎだ』

凛「そうだとしても、私は嫌だよ。Pさんと一緒に居たかっただけなのに、Pさん死んじゃったら、私アイドルやっていく意味なくなっちゃったよ……」

P『そっか。俺は死んじゃったけど、凛にはアイドルを続けてほしい』

凛「どうして?」

P『俺の好きな女の子はこんなに魅力的なんだぞって皆に自慢したいんだ』

凛「好きなって、Pさん、言葉ちゃんと選ばないと駄目だって」

P『仕方ないだろう。俺は凛を一人の女の子として好きなんだから』

凛「生きてる時にその言葉聞きたかったよ!Pさんの馬鹿!」

P『凛、俺……』

凛「うわらば!」ベタン

P『幽霊だから抱き着こうとしてもすり抜けてしまうから…って遅かったか』


P『凛の顔色は大分良くなったから良いとして……さて、どうしようかね』

凛「…」チーン

凛母「…」チーン






P『あと、なんで俺の写真がA1サイズに拡大印刷されて壁に貼っているんだろう』

翌日…

凛「おはようございます」

ちひろ「おはよう、凛ちゃん。ひさしぶりね、もう大丈夫なの?」

凛「はい、ちょっと色々あってこれから頑張れそうだから」

ちひろ「そう、凛ちゃんは強いね。私なんてまだ気持ちの整理できてないのに」

凛「ちひろさんも無理しないで。Pさんみたいなことがあったら皆が悲しむから」

ちひろ「ありがとうね、凛ちゃん」

凛「他の皆は?」

ちひろ「お休み。やっぱりPさんが亡くなったことが精神的にきつかったみたい。仕方ないわよね。皆Pさんのこと好きだったから」

凛「何か手伝うことない?」

ちひろ「うーん、この書類の山を何とか出来たら良いのだけど、凛ちゃんには難しいと思うから…じゃあ、電話対応お願いして良い?」

凛「はい」


P『凛』

凛「何?」

P『割箸とボールペンでこんな感じの作ってほしいんだけど良いか?』

凛「良いよ。これぐらいの物だったらすぐに作れる」

P『頼むわ』

数分後…

凛「ちひろさん、書類仕事手伝って良い?」

ちひろ「え? でも、これPさんか私じゃないと分からない内容よ」

凛「大丈夫だって」

ちひろ「凛ちゃん、その割箸で作った矢倉みたいなのは……勝手に動いて」

凛「無人型自動書記ってPさんが…って、ちひろさん白目向いちゃってるから聞こえてないか」

P『凛、次の書類くれ』

凛「はいはい」

数時間後…

P『仕事終了!』

凛「お疲れ様。お茶飲む?」

P『嬉しいんだけど、俺幽霊だからお茶飲めないんだわ』

凛「そうだったね。ごめん。幽霊っぽくないから」

P『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛』

凛「それ止めて。本当に怖いから」

P『悪い悪い。んで、お茶だけど、やっぱり淹れてくれるか?』

凛「でも、飲めないんじゃ?」

P『飲めないけど、お茶のお供え物があるだけで喉の渇きが良くなるような気がするから』

凛「ふーん、じゃあ、食べ物のお供えがあるとお腹いっぱいになるとか?」

P『たぶん』

凛「分かった。お茶とお菓子持ってくるね」

P『悪いな。ポルダーガイストで持ってきても良いんだが、事務所の隅で小動物みたく縮こまって震えているちひろさんの心臓に悪いと思うから』

凛「そう思うんだったら、最初にちひろさんに話した方が良かったんじゃない?」

P『そうだったな。じゃあ、今から事情説明するか。たぶん俺の声はちひろさんに聞こえないと思うから説明よろしく』

事情説明終了…

ちひろ「そうだったの。…今Pさんがここにいるのよね?」

凛「うん。ずっと私の横に居るよ」

ちひろ「凛ちゃんには見えるんだ。ま、仕方がないか。Pさん凛ちゃんを溺愛していたからね。それが関係しているのかも」

凛「私を溺愛って、そんな風には見えなかったけど」

ちひろ「プロデューサーとしての立場があったからね。凛ちゃんには隠していたのよ。おかげで私はすごく酷い目にあったけど」

凛「酷い目?」

ちひろ「一日数回は私に凛ちゃん関連の話をしてくるの」

凛「例えば?」

P『ちょ!おま!ちひろさん、凛にそれは話さないで!』

凛「Pさんは黙ってて」

ちひろ「『凛が弁当作ってきてくれた。嬉しくて死にそう』とか『ステージ衣装の凛ってなんでこんな可愛いんだろう。いつ見ても見惚れてしまう』とか」

P『ワーワー!俺には聞こえない!』

ちひろ「事務所の蛍光灯が点滅してる!」

凛「大丈夫。Pさんが動揺して霊障起こしているだけだから害はないよ……たぶん」

ちひろ「たぶん!?」


ちひろ「やっと収まったわね」

凛「勝手に窓が開いたり時計が落ちたりテレビがついたり大変だったね。ちひろさん。それと、Pさんは動揺しすぎ」

P『うぅ、穴があったら入りたい。凛に恥部を知られた』シクシク

凛「恥部って…Pさんがこんなに私のこと好きなんだって分かって嬉しかったけど?」

P『凛って時々卑怯だよな』

凛「なんで?」

P『たまにドキッてさせられる』

凛「それはPさんも同じだと思うけど」

P『そうか?』

凛「おかげでPさんのことが好きになった子たくさんいるんだから」

P『いやいや、それはないだろう』

凛「あるんだって。Pさんが死んでから皆元気なくなってるんだから」

P『凛みたいにか?』

凛「そう」

P『……』


ちひろ「Pさんと話している所悪いけど、凛ちゃん、ちょっと良いかな?」

凛「どうしたの、ちひろさん?」

ちひろ「さっきも言ったけど、今アイドル活動できているのって誰も居なくて、あれから事務所に来たの凛ちゃんが初めてなの。だから、凛ちゃんにお願いがあるの。休んでいる皆に会って元気づけてほしいの。Pさんがいるってわかれば元気になる子は絶対に居るはずだから。みんなが復帰するまでの間、私は他のプロダクションにスタドリを売りつけてお金稼いで事務所をなんとか維持させるから」

P『凛、俺からも頼む』

凛「分かった。ちひろさん、Pさん、困ったときは助けてね」

ちひろ「分かっているわ。だって、私はCGプロの事務員ですもの」

P『当然だ。俺は凛のプロデューサーで、背後霊だからな』

凛「とりあえず、どうする?」

P『そうだな。>>+3に会いに行くか』

今から大急ぎで書き溜めます。
書き終わり次第投下しますので、少々お待ちください。

死因:爆死

とか嫌すぎるわ

>>30
爆弾上かな?(すっとぼけ)


雫「ただいま~」

雫父「おかえり、雫」

雫「疲れたから、ご飯要らない」

雫父「今日は雫の好きな献立だぞ。良いのか?」

雫「……おやすみなさい」

雫母「あなた、あんなことがあったんだから、ちょっとの間だけそっとしておきましょう」

雫父「そうだな。しかし、まさかPくんがあんなことになるなんてな」

雫母「えぇ、いつも元気そうだったのにね。あら、電話」プルルル

雫母「はい、及川です。……はい…本当ですか!ありがとうございます。雫も喜ぶと思います。私はいつでも大丈夫ですから……はい……お待ちしていますね」

雫父「どうしたんだ?」

雫母「アイドル友達が雫を心配してこっちに会いに来てくれるって」

雫父「それでいつ来るって?」

雫母「明日ですって」

雫父「そうか。善は急げと言うしな。早く来てくれたほうがありがたい」

翌日…

P『電車の長旅、お疲れ』

凛「うん。言っても新幹線だったから長旅って言うほどじゃないと思うけど」

P『しかし、幽霊って便利だよな。新幹線の料金掛からないし』

凛「感激するところ、そこ?」

P『だって、ウチの事務所出張料金の援助上限あって、それを越えたら自腹なんだぞ。おかげで北海道出張とか行ったらマジで死にかけるから』

凛「なんで上限なんてあるの?」

P『昔、ちひろさんが経費を使って贅沢したことがあってな。それで。それ以降な。……くそ、呪ってやる。ちっひーめ』



その頃、事務所…

ちひろ「痛っ、紙で指が切れちゃった。事務所にバンドエイドってあったかしら?」


モバP『凛、待ち合わせは?』

凛「待ち合わせはここなんだけど」

モバP『凛、あの人、雫のお父さんだ』

凛「すみません。もしかして、雫のお父さんですか?」

雫父「そうですが…渋谷さんですか?」

雫父「はい。娘がいつもお世話になっています。今日はわざわざ岩手に来ていただいて」

凛「頭下げないでください。私がやりたくてしてることだから」

雫父「こんなところで立ち話もなんですし、ウチに向かいましょうか。オンボロの軽トラですが、ちょっと我慢してくださいね。ウチにはこれしか無くて」

凛「失礼します」

モバP『凛、俺は荷台に乗ってるから』

凛「分かった」

雫父「どうかしたんですか?」

凛「い、いえ。何でもないです」

モバP『すまん。普通に会話してたら周りからおかしい目で見られるから、二人っきりじゃないときは電磁波を利用してそっちにメール送るわ』

凛「携帯?」ピロロン

凛「メールだ」

『To.凛
 From;???
 Sub.登録よろしく
 本文:キャピピピピーン、あたちプロデューサー、よろちくね♡』

凛「……」ピッピッピ

『To.プロデューサー
 From;凛
 Sub.Re:登録よろしく
 本文:キモイ』

雫父「うわああ!」キキー

凛「きゃ!…どうしたんですか?」

雫父「今、バックミラーに血の涙を流す男の人が…平坦な道で助かった」

凛「……」ピッピッピ

『To.プロデューサー
 From;凛
 Sub.謝るから
 男の人なんだから、泣かない』

>>43
細かいかもしれませんが、誤字脱字ならぬ誤記号脱記号があったので…

『To.:凛
 From:???
 Sub.:登録よろしく
 本文:キャピピピピーン、あたちプロデューサー、よろちくね♡』

凛「……」ピッピッピ

『To.:プロデューサー
 From:凛
 Sub.:Re:登録よろしく
 本文:キモイ』

雫父「うわああ!」キキー

凛「きゃ!…どうしたんですか?」

雫父「今、バックミラーに血の涙を流す男の人が…平坦な道で助かった」

凛「……」ピッピッピ

『To.:プロデューサー
 From:凛
 Sub.:謝るから
 本文:男の人なんだから、泣かない』


雫父「到着しました。いやぁ、あれから何事も無くて本当によかった」

凛「運転ありがとうございます」

雫父「いえ、渋谷さんこそ雫の為にわざわざこんなところまで来てくれてありがとうございます」

凛「雫は?」

雫父「Pさんのことを忘れようと牧場の仕事に打ち込んでいるように見えます。だから、こっちに帰ってきてから楽しそうな顔を見たことがありません。笑っていることは笑っているんですけど、なんというか表面的で心から笑えていないんです。正直見ていてつらいですよ。牛たちも雫の寂しさを感じ取っているのか、最近搾乳の量が少なくて…すみません。つい愚痴を。雫なら牛舎に居ますよ。案内しますね」

凛「お願いします」


雫父「雫ー!渋谷さんが来てくれたぞー!」

雫「はーい。凛さん、久しぶりですねー」

凛「久しぶり、雫。今日も牛の世話?」

雫「はい。牛さんのお家、牛舎のお掃除です。凛さんも良かったら、どうですか?」

凛「ごめん。ちょっと動きにくい格好だから、また今度ね」

雫父「雫、今日は良いから、渋谷さんとウチでゆっくりしてなさい」

雫「でも……」

凛「こちらから押しかけて来たので、気にしないでください。話ぐらいここでもできますから。そのかわり、雫には少し案内とかお願いするかもしれませんけど、良いですか?」

雫父「どうぞどうぞ……あ、携帯が鳴ってる」

雫父「え?あぁ、分かった。すぐに戻る。……すみません。少し用事が出来たので、行きますね。雫―、渋谷さんのこと頼んだぞ」

雫「はーい」

雫父「それではなにもないところですが、ゆっくりしていってくださいね」


凛「雫、アイドルに戻る気はない?」

雫「ごめんなさい。Pさんのことで頭がいっぱいなのに、新しいプロデューサーがついても仕事に専念できそうにないですから、Pさんにも新しいプロデューサーにも失礼かなーって」

凛「そう」

雫「Pさんと言えば、前にこの牛舎に来たんですよー。Pさん、……手伝ってもらって……力持ちで……だから……お葬式の時寝ているんだって思って。……でも、起きてくださいって何回言っても起きなくて。……でも、体が冷たくて……起きてくれなくて」ポロポロ

モバP『……雫』

長台詞を改行してくれると読みやすいです
SSとしてのクオリティは高いので期待


??「モー」

雫「ご、ごめんね。牛子、今掃除するから待ってね」グスン

凛「牛子って言うの?」

雫「はい。Pさんが来てくれた時に生まれたので、Pさんに名前を付けてもらったんですよー」

モバP『あー、あの時の子か……ずいぶん大きくなったなぁ』

牛子「モー」

雫「凛さんの方を見てますね」

凛「本当だ。よーしよし。あれ?」

雫「凛さんじゃないみたいですねー。でも凛さんの後ろには誰も居ないみたいですし」

モバP『もしかして、俺か?』

牛子「モーモー」

モバP『動物って気配に敏感だって言うけど…まさかな。……よーしよし。ってやっぱり透けるか』

雫「牛子……すごく嬉しそう。牛子がこんな嬉しそうなの久しぶり。ずっと静かで寂しそうだったのに」

モバP『牛子、俺に触れようと手に頭を当てようと頑張っているんだけどな。すまんな、牛子、俺幽霊なんだわ』

雫「凛さん、牛子は何を見ているんでしょうね」

凛「ねえ、雫、幽霊って信じる?」

>>54さん、アドバイスありがとうございます。



雫「いたら良いなって思います」

凛「怖くない?」

雫「東日本大震災の時なんですけど、

  幽霊さんが出るっていう場所に、地震や津波で家族を失った人が何回も行ったそうです。

  その人に会えるなら、幽霊さんでも良いから会いたいって。

  今なら、その気持ちすごく分かります。私もPさんに会いたいから…

  だから、Pさんに会えるなら、幽霊さんでも怖くないです」

凛「Pさん牛子を撫でようとしているよ」

雫「Pさんが居るんですか?」

凛「さっきまで、ずっと私の後ろにいた。さっき牛子が私の後ろを見ていたのも、Pさんが居たから」

雫「凛さんには見えるんですか?」

凛「うん、雫のために連れてきた。

  ねえ、雫。もう一回、言葉を変えて同じ質問をして良い?



凛「……幽霊のPさんのいる事務所のアイドルに戻る気はない?」

仙台…

モバP『何とか雫を説得できたな』

凛「おじさんも雫の良い顔が見れて良かったって喜んでたね」

モバP『あぁ。アイドル復帰も認めてくれたし……ありがとうな、凛。

  皆から信用のある凛だったから俺のことが見えない雫も俺の存在を信じてくれた。

  熱意があったから親父さんを説得できた。感謝してもしきれない』

凛「Pさんがいるから雫は復帰してくれるんだよ。だから、お礼を言うのは私の方。ありがとう、Pさん」

凛「ね、Pさん、折角の岩手なんだから仙台で観光していこうよ」

モバP『お!それ良いな。新幹線の時間まで結構あるし』

凛「そういえば、初デートだね」

モバP『そ…そうだな』

凛「どうしたの?」

モバP『べ、別に、デートしたことないからデートって言葉を聞いて驚いたなんてありえないから!』

凛「デートしたことないんだ。フーン」

モバP『なんだ、凛!何がフーンなんだ!あのな、俺でもデートの二回や三回…いや一回……』

凛「見栄張らなくても良いよ。行こう。Pさん」

モバマス…仙台…
あっ...(察し)


凛「牛タン美味しかった。また来たいな」

モバP『そっか、そこら辺の浮翌遊霊十人に聞いたら皆あの店はオススメだって言ってたからな』

凛「食べる前の牛タンをPさんにお供えしたけど、どうだった?」

モバP『すごく美味しかった…ような気がする。ありがとうな、凛』ニコ

凛「うん。…それより新幹線まで時間ちょっとだけあるね。駅まで歩いて行こうか」

モバP『そうだな。変装しているし、気付かれることはないだろう。…何だ?』

凛「どうしたの?」



??「なあ、お兄さんと、朝まで遊ばない?」

??「こ、困ります」



凛「男の人五人がかりで一人の女の子相手に高圧的に迫っているけどどうする?」

モバP『普通なら警察に連絡して終わりにするけど』

凛「けど?」

モバP『あの女の子の何かにティンと来た。だから、警察に連絡して終わりじゃ勿体ない』

凛「幽霊になってまでスカウトするって、Pさんってプロデューサーの鏡だよね」

モバP『それに、あんな可愛い女の子に高圧的に接している野郎が許せん』

凛「彼女として怒ったらいいのか、女として同意するべきなのか…でも、Pさん、生きている人に触れられないよね?」

モバP『凛、俺を誰だと思っている?』

凛「私を人気アイドルにしたプロデューサーだったね。で私は何をしたら良いの?」


凛「そんなところにいたの、まゆ。早く行くよ」

??「え?」

男A「友達?へー、友達も可愛いね。君も一緒に遊びに行かない?」

凛「悪いけど、その子と遊ぶ約束してるから」

男B「良いではござらんか。拙者たちが混ざってモーモンタイでござろう。デュフフ」

凛「女子会だから、遠慮する」

男C「女子会じゃなくてさ、ゴーコンにしちゃおーぜ。ギャハ」

凛「そんな気ないから、私彼氏いるし」

男D「彼氏?あ、俺のことか」

男E「いや、俺のことだろ」

凛「そもそもさ、女の子囲んで恥ずかしくないの?」

男A「あぁん?何生意気言ってんの?」

男D「君、自分の立場分かってる?」

男B「生意気な女子が凌辱される…『くっ…殺せ!』イベント来たでござるよ!男C氏!拙者、カメラ、セットするでござるよ」

凛「これからすること、正当防衛だからね」



凛「Pさん!」

男E「どこから湧いて出やがった!この男!」

男C「かまわね、こっちは五人だ。やっちま『オラ!』ヂュェ!」


モバP『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
  オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
  オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラー!!』

男5人「ゴバーー!」


凛「大丈夫?」

??「ありがとう…ございます」

凛「怪我はない?」

??「はい。……大丈夫です」

凛「これ、貴方を助けてくれたさっきの男の人の名刺、アイドル事務所のプロデューサーをしているんだけど」

??「……さっきの男の人は?」

モバP『凛、ヤバい!さっきので新幹線の時間が!』

凛「ごめん、込み入った事情があるんだけど、ちょっと時間無くなったから、アイドルに興味があったら電話してきてね。そしたら、会えると思うから、じゃあね!」タッタッタッタッ



??「名刺……CGプロ、プロデューサー、モバP……だから、Pさんか。うふふ……まゆを助けてくれた運命の人。まゆをこんな気持ちにさせた責任は重いですよ、Pさん」


凛「間に合った」

モバP『すまん、凛。ちょっと熱くなって殴り過ぎた』

凛「で、さっきの何?」

モバP『アレか、幽霊って気持ちが爆発すると不可解な現象を起こすだろう?ポルダーガイストしかり、霊障しかり。足をつかまれたしかり。

  俺はそれらの現象を起こすエネルギーを俺はコントロールする方法を見つけてな。自動書記もその能力の一部みたいなものだ。

  それで、感情の爆発を機にエネルギーを凝縮させて幽体に纏わせてな一時的に実体化したんだ。

  俺はあの状態の俺のことを悪霊モードって呼んでる』

凛「要するに、怒って悪霊になったから殴った?」

モバP『その解釈で良い。そのおかげでアイツらを撃退出来たわけだ』

凛「幽霊って何でもありなの?」

モバP『そうでもない。あくまで、この力は負の感情を糧にしている。

  だから、いくら凛を抱きしめたいと思っても、実体化できないんだ。ごめんな、凛、抱きしめてやれなくて』

凛「良いよ。Pさんがいるだけで私幸せだから」

モバP『……凛』


モバP『ところで、さっきの“まゆ”っていうのは、あの子の名前か?』

凛「うん、Pさんの指示通り知り合いのフリをして連れ出せたらっていうことで名前を読んだ方が良いかなって思って適当に名前を付けてみた」

モバP『じゃあ、違うかもしれなかったと?』

凛「そうだね」


今日の投下は以上です。

次回用に安価を投下します。

Pと凛が次に会いに行くアイドルは>>+2です。

>>42にひどい誤字で文脈がおかしかったので、修正

×
雫父「そうですが…渋谷さんですか?」
雫父「はい。娘がいつもお世話になっています。今日はわざわざ岩手に来ていただいて」


雫父「はい。渋谷さんですよね?テレビで見てます。娘がいつもお世話になっています。
今日はわざわざ岩手に来ていただいて」

>>68
誤字報告

×モーモンタイ
○モーマンタイ

こんばんは、>>1です。
これまで投下したモノを読み返してみると誤字脱字がいくつか見つかり、読んでいる方々に迷惑をかけていると思います。
この場をお借りして、謝罪させていただきます。大変申し訳ありません。
今後は誤字にいっそう気をつけますが、ミスがあったときは皆様の脳内変換のお力をお借りすると思います。

それでは、お待たせしました。
アーニャ編を書いていたら、予想以上に長くなりそうだったので、本日は一部だけ投下します。
それでは、よろしくお願いします。


翌日…

凛「おはようございまーす」

モバP『おはようございます』

ちひろ「おはよう、凛ちゃん。見えないけど、Pさんも、おはようございます」

凛「今日はレッスンをしても良いですか」

ちひろ「凛ちゃん、トレーナーさんもまだ復帰できないって」

凛「仕方ないよ。Pさんは過労死したっていうのが普通の人の認識なんだから。隣の会議室で自主練してるね」

モバP『おう、いってらっしゃーい』

ちひろ「いってらっしゃい、凛ちゃん」

モバP『さて、仕事しますか。えぇーっと、無人型自動書記用のポールペンは…あった』

ちひろ「ひっ!…やっぱりポルダーガイストには慣れませんね」ガタガタ

モバP『仕方がないでしょ。幽霊なんだから』

ちひろ「うぅ…怖いからテレビでも付けて、気を紛らわせよう」

モバP『おい、コラ、ちっひー!仕事中にテレビ付けんな!』


テレビ『続いては芸能界のニュースです』

モバP『お、そう言えば、今日は芸能界の情報をチェックしてねえな。
  毎朝凛が新聞を広げているのを後ろから覗き込んで読んでいたんだけど、今日は時間がなかったからな』

テレビ『元CGプロのアイドルグループ“にゃん・にゃん・にゃん”が独立以降初めてのライヴをメンバーのアナスタシアさんの地元北海道で行いました』

モバP『え?』

ちひろ「え?」

モバP『おい、ちひろ。これはどういうことだァ?』悪霊モードON

ちひろ「ひぃぃ!真っ黒なPさんが見える!」

モバP『答えろ、ちひろォ。いつ“にゃん・にゃん・にゃん”の独立を認めたァ?』

ちひろ「知りませんよ!“にゃん・にゃん・にゃん”が独立したなんて、私も初めて聞きましたよ!」

モバP『だーがァ、今テレビでは“元”って言ってたよなァ?“独立”って言ったよなァ?俺の知る限りィ、長期休暇の書類は見たが、辞職関係の書類は見てないぞォ。
  だったらァ、てめぇがその書類を処理したはずだよなァ』

ちひろ「そんなはずは!そんな書類受理してませんよ!ここに人事の書類があるから……あった」

モバP『ち゛~ひ゛~ろ゛~』般若顔

ちひろ「……きゅ~」バタン

モバP『あ、やりすぎた。
  ……事務所を一人で支えようとしてたんだ。山のような書類を一人で捌いていて忙しかったから、ミスしてしまうのも仕方がないのにな。
  ……すみません、ちひろさん』悪霊モードOFF


凛「それで…次は北海道?」

モバP『すまんな、凛。付き合ってもらって』

凛「それは言わない約束」

モバP『そうだったな』

凛「で、なんで“にゃん・にゃん・にゃん”の独立に反対なの?」

モバP『凛は“にゃん・にゃん・にゃん”が独立しても良いのか?』

凛「嫌だよ。私は三人と一緒に居たい。なんだかんだで長い付き合いだから。でも、それは私の感情論。

  みくも、のあさんも、アーニャも、Pさんのことを乗り越えて、CGプロと決別して三人で頑張ろうとしている。

  だから、頑張る“にゃん・にゃん・にゃん”の邪魔したら、Pさんが相手でも怒るよ」

モバP『頑張って前に向かって歩こうとする人の歩みを止める権利を俺は持っていない。いや、俺は死んでいるんだから、持ってはならないだな。

  だから、俺が三人の足を引っ張っちゃいけない。むしろ、俺が三人の背中を押さないと駄目なんだ』


凛「だったら、どうして?」

モバP『にゃん・にゃん・にゃんの真意を知りたい』

凛「真意?」

モバP『凛の携帯にテレビで映ってた“にゃん・にゃん・にゃん”のライヴ映像を送った。見てくれ』

凛「……何かおかしいところある?」

モバP『アーニャを見てくれ』

凛「アーニャを?どこも変なところないけど?」

モバP『みくものあさんも変わったが、アーニャが一番変わった。いや、変わり過ぎている』

凛「どこが?」

モバP『目だ』

凛「目?」

モバP『CGプロに居た時、みくはパッチリとした愛くるしい目をしていた。のあさんは奥が見えない神秘的な目をしていた。

  そして、アーニャは純真無垢な澄んだ瞳をしていた。

  だが、さっき見せた奴を見てくれ。衣装はともかく、のあさんの目は全く変わっていない。みくの目も多少の迷いを含んではいるが概ね変わっていない。

  だが、アーニャは…』

凛「え?……これって本当にアーニャの目?」

モバ『そうだ』

凛「嘘…だって、アーニャ、目が死んでるみたい」

北海道のとあるアパート…

みく「あー、ライヴ疲れたにゃー」

のあ「みく、疲れているところ悪いけど、机を拭いて」

みく「了解にゃ。今日の晩御飯は何なのにゃ?」

のあ「鯛のアラで作ったアクアパッツァよ」

みく「また魚にゃー!みくは魚が嫌いって口が酸っぱくなるほど言っているはずにゃ!いい加減お肉が食べたいにゃ!って言っても、お金が無いから仕方ないにゃ」

のあ「同じ値段で量の多い業務用鶏肉が近くのスーパーで売っているわ」

みく「だったら、最初からそれを買ってくるにゃ!…次は何を手伝ったらいい?」

のあ「箸とコップを並べたら、テレビでも見て時間を潰しなさい」

みく「分かったにゃ」

テレビ『厚生労働省の発表で去年一年の過労死による死者のかz』

テレビ『だから、日本人は働き過ぎd』

テレビ『仕事のストレスg』

みく「……のあにゃん、テレビ面白いのやってないにゃ」

のあ「……そう」

みく「ねえ、のあにゃん、みくのお願いで北海道に来てもらったけど、後悔してない?」

のあ「みく、間違ったことをしていない貴方に私は賛同した。

  だから、みく、貴方は不安になってはならない。貴方が不安になれば、それはアーニャにも伝わる。それは貴方にとって不本意なはず。

  でも、何をするにおいても活動資金は必要。だから、私は資金面で貴方の支えになる。このことに私は後悔していない。

  そして、貴方は“にゃん・にゃん・にゃん“のアイドルとして、プロデューサーとして頑張りなさい」

みく「分かっているにゃ。みくは凛ちゃんに続いてCGプロでは古株だったから、Pちゃんの仕事のやり方を一番知っているつもりにゃ。

  だから、みくがPちゃんの代わりになってアーにゃんとのあにゃんを支えていくつもりにゃ」

のあ「理解しているなら良いわ」

みく「ところで、のあにゃんはたまに夜にお仕事だって言っていなくなるけど、どんなお仕事をやっているにゃ?

  もしかして、夜の大人なお仕事とかしてないよね?」

のあ「心配無用よ。猫は自分を安売りしないでしょ?自身や貴方達を貶めることはしないわ」

みく「良かったぁ~。のあにゃんが大丈夫だって分かって安心したにゃ」

のあ「出来たわ」

みく「やっとご飯にゃ。
  …うげ、鯛の頭がまるまるお皿に乗ってるやん。しかも心なしかこっちを見とるし、かなんわ~。のあさん、魚あげますね」

のあ「みく」

みく「何ですか?」

のあ「にゃー」

みく「し、しまったにゃ!つい、動揺して語尾ににゃーを忘れたあげく関西弁が出てしまったにゃ!」

のあ「……失望しました。みくにゃんのファンやめます」

みく「に゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」


みく「ごちそうさまにゃ」

のあ「みく。明日はどうするの?」

みく「明日はアーにゃんを連れて北海道庁の観光キャンペーンガールのオーディションに行くつもりにゃ。のあにゃんも行くにゃ」

のあ「残念だけど、明日はどうしても外せない仕事があるから、いっしょに行けないわ」

みく「それは残念にゃ」

のあ「ただ、明日の仕事で活動資金が貯まるから、当分の間アイドル活動の専念は可能よ」

みく「本当にゃ!また、“にゃん・にゃん・にゃん”の活動が出来る。楽しみにゃ!」

のあ「そうね」

新千歳空港…

凛「飛行機使えば、北海道って結構近いんだね」

モバP『一時間半ぐらいでいけるからな』

凛「で、どうするの?“にゃん・にゃん・にゃん”の活動拠点なんて知らないよ」

モバP『俺も知らん。今の “にゃん・にゃん・にゃん”はメール先しか公開されていないらしいからな。電話番号が分からない。

  だから、あいつらの本拠地が分からない。だが、アイツらが行くところは分かる』

凛「どこ?」

モバP『ちひろさんに調べてもらったんだが、アーニャは精神的疲労と体調不良を理由にCGプロを辞めて実家に帰っているそうだ。

  だから、今の“にゃん・にゃん・にゃん”の活動範囲内はアーニャの実家近辺に絞られる。

  そして、アーニャの実家近辺で行われる今日のイベントは無い。だが、オーディションでこんなのがあった。携帯を見てくれ』

凛「北海道庁の観光キャンペーンガールのオーディション?…どうして、これに絶対に参加するって言い切れるの?」

モバP『こういったキャンペーンガールは普通一過性のモノだが、話題のアイドルが適用されたとなると一過性のモノでなくなる。

  アイドルの知名度を利用して、向こう側が様々な事をしようと提案してくるからだ。

  更に、みくとのあさんの実家は近畿圏内だから一緒に活動するために、アーニャの実家付近に居を構えているはずだ。

  実家からの援助があるなら別だが、女二人で住むのなら安定した収入を得ようとするはず。

  だから、この仕事を見逃すはずがない』

凛「なるほど。じゃあ、行ってみようか」

モバP『待て、凛。少し面白いことを思いついたんだが、俺の話を聞いてみないか?』

凛(あ、すごく悪い顔している)


みく「アーにゃん、いつも通り、落ち着いて行けば、オーディションは受かるにゃ」

アーニャ「ブィッチ ストーイキミ…頑張ります」

みく「アイドルと付添人の二人での面接だから、プロデューサーのみくがアーにゃんのフォローをしてあげるにゃん!」

面接官A「アナスタシアさん、付添人の前川みくさん、面接を始めます。お部屋へどうぞ」

みく「いよいよだにゃん!頑張っていくにゃ」

アーニャ「ダー」

みく「失礼しま…す……にゃ」

アーニャ「シト スルチーラス…どうしたのですか、みく?」

みく「な…なんでもないにゃ」

アーニャ「変なみくです」

みく(あの鼻眼鏡かけているの、どう見ても凛ちゃんだよね?)

鼻眼鏡「椅子に掛けてください」

みく「……失礼しますにゃ」

アーニャ「失礼します」

面接官B「それでは面接を始めます」

>>99文脈がおかしい気がしたので、いまさらですが、修正です。

× でも、何をするにおいても活動資金は必要。だから、私は資金面で貴方の支えになる。このことに私は後悔していない。

  そして、貴方は“にゃん・にゃん・にゃん“のアイドルとして、プロデューサーとして頑張りなさい」


○ 貴方は、“にゃん・にゃん・にゃん“のアイドルとして、プロデューサーとして自信を持って頑張りなさい。

  私はその活動資金を集めて、貴方の支えになる。それで貴方やアーニャが笑顔でいてくれるのなら私は絶対に後悔しない」


アーニャ「面接…疲れました」

みく「みくもプロデューサとして初めて面接を受けたけど…思った以上にきつかったにゃ。
  もしや、あれこそが就活生を苦しめる大敵…圧迫面接!?」

アーニャ「みく、あの面接官、何処かで見た気がするのですが、みくは知っていますか?」

みく「鼻眼鏡のことかにゃ?」

アーニャ「ダー…あの人の目を見ていたら、吸い込まれそうになりました」

みく「アーにゃん、もしかして、天然?」

アーニャ「天然ってなんですか、みく?」

面接官A「お待たせしました。結果発表をします。○○さんと××さん以外はお帰りくださって結構です。お疲れ様でした」

みく「え?…アーにゃんが選考で…落ちた?」

アーニャ「……ヴァズヴラチーツァ…帰りましょう。みく」

面接官A「すみません。アナスタシアさんは面接官とお話があるので、残っておいてください」

アーニャ「…ダー」


鼻眼鏡凛「うまく接触できたね」

モバP『だろう。俺が面接官Bに憑依して、凛を特別審査員として他の面接官に紹介する。そうすれば、簡単に面接に潜り込むことができる』

鼻眼鏡凛「さすが、私のプロデューサーだね」

モバP『しかし、生でアーニャの目を見たが、予想以上に悪くはなさそうだったな。もう少し目が輝いていたら、アーニャを合格させても良かったと思う』

鼻眼鏡凛「そうだね。やっぱり、地元に帰ったことと、みくとのあさんが居ることが大きいと思う」

モバP『みたいだな。二人には感謝だな。』

鼻眼鏡凛「それと、みく、いい方向に変わったね」

モバP『あぁ、前は頼りない芯がガッタガタの猫アイドルだったが、今はアーニャとのあさんを引っ張っていくちゃんとした“にゃん・にゃん・にゃん”のリーダーだ。っと、この部屋か』


鼻眼鏡凛「お待たせしました」

みく「……凛ちゃん、鼻眼鏡似合ってないにゃ」

アーニャ「……みく、凛がこんな悪趣味な鼻眼鏡掛けるとは思えません」

凛「…悪趣味だよね。私もそう思う」スチャ

みく「だいたい、凛ちゃん何してるのにゃ?」

凛「観光キャンペーンガールの審査員を頼まれたの」

みく「じゃあ、どうして鼻眼鏡かけてたのにゃ?」

凛「こうでもして顔を隠さないとアーニャにバレて、ちゃんとした面接できなかったかもしれなかったから」

みく「どういうことにゃ?」

凛「今のアイドルとしてのアーニャの顔を生で見る必要があった」

アーニャ「私の顔ですか?」

凛「前のライヴの映像見たよ。良かったよ。アレが普通のアイドルのライヴだったらね。でも、“にゃん・にゃん・にゃん”としては失敗だよね?

  ……そして、みくはその理由分かっている。そうじゃないと、ライヴ中のみくの表情があんなことになるはずないものね」

みく「さすが、凛ちゃんにゃ」

凛「ううん、私も言われるまでは気づかなかった。でも、アーニャの目が死んでるって言われて、すごく納得できたよ」

アーニャ「それは本当ですか、みく?」


みく「本当にゃ。Pちゃんのことがあってからアーニャの目が虚ろになったにゃ。みくは見ていて辛かったにゃ。

  …だから、みくはアーニャをなんとかしたくて、みくの家族とのあにゃんに我儘言って、のあにゃんと一緒に北海道に来たにゃ。

  みくたちがアーにゃんの傍にいたら、元に戻ってくれると思ったから。でも、いつまで経ってもアーにゃんの目は虚ろだったにゃ」

アーニャ「…みく」

みく「そんな時、アーにゃんの家でホームパーティーをしていて、あることに気付いたにゃ」

凛「あること?」

みく「アーにゃんが家族にアイドル活動の話をしている時、アーにゃんの目がすごく輝いていたようにみくの目には映ったにゃ。

  だから、アーにゃんをアイドルとして復活させれば、アーにゃんが立ち直ってくれると思ったのにゃ」

凛「それで、みくがプロデューサーになって、“にゃん・にゃん・にゃん”の活動を再開させたの?

  アナスタシアという眠っている白雪姫を起こさせるために」

みく「うん。でも、失敗だったにゃ」

凛「失敗?」

みく「アーにゃんはアイドルの話をしているとき目が輝いていたんだじゃなくてPちゃんの話をしている時、目が輝いていたんだって、分かったにゃ。

  だって、思い返してみたら、アイドル活動最中のPちゃんの話ばっかりで、話し終わったら悲しそうにしてたから。

  だから、アイドルとして復活させたところで、Pちゃんは帰ってこないから、アーにゃんがすぐに元気になるわけじゃないのにゃ」

モバP『確かにな。夢を見ないシンデレラではいくら着飾ったところで誰かを魅了することはできない』


凛「そういえば、のあさんは?」

みく「のあにゃんは別のお仕事にゃ」

凛「別のお仕事?」

みく「何をしているのか知らないけど、“にゃん・にゃん・にゃん”の活動資金の調達をしているにゃ。

  危ないことはしていないって言ってたけど、やっぱり心配にゃ」

モバP『凛、二人がどんなところに住んでいるのか不安だから、自宅に行ってみたいって言ってくれ』

凛「ね、みく。こっちで住んでいるんだよね?」

みく「にゃー、のあにゃんとルームシェアしているにゃ」

凛「見に行っていい?」

みく「どうして?」

凛「私の知っているみくとのあさんがルームシェアして住んでいるって想像できないから。

  それに、こんな会議室じゃなくてもっと落ち着いたところで話がしたいし」

アーニャ「ヤ トーザ…私もです」

みく「そういうことなら、了解にゃ。のあにゃんに連絡入れておくにゃ。じゃあ、今から直行にゃ」


北海道某所……

??「ちょろちょろウザいぞ!小娘がぁぁ!」

のあ「貴方の尺度で相手の表面を測ったところで、奥にある真実は見えてこない」ピロピロン

のあ「メール……そう、凛が来ているのね」ピッピッピッ

??「よそ見とはずいぶん余裕だな!邪あああぁぁぁ!」

のあ「ふっ」

??「なにぃぃ!我が剛腕を片手でメールを打ちながら止めただと!」

のあ「用事が入ったから、遊戯はここまで。貴方はもう逝きなさい」

??「じゅああああああ!」ドロドロ

のあ「仕事終了」

役人A「ありがとうございます。高峯様。これでこの町は救われました。……あのー、どちらに?」

のあ「夕食の買い出しよ」

役人B「その格好でですか?」

のあ「そうよ。急いでいるから、失礼するわ」

役人C「高峯様、ネコミミメイド姿のまま行ったぞ」


みく「ここがみくとのあにゃんの根城にゃ!」

モバP『セキュリティはまだしっかりしてそうだな。ただ間取りが結構狭そうに見える。1Kは二人で住むにはちょっときついだろうな』

凛「アーニャは初めて?」

アーニャ「ダー…緊張します」

みく「散らかっていないと思うけど、ちょっと待ってにゃ……って、のあにゃん、また脱ぎ散らかしたままにゃ!しかも、みくの一番のお気に入りの猫のぬいぐるみの目が隠れるようにブラジャーを置いているにゃ!」

モバP『マジで!!凛早く行け!突貫だ!!』

To.:プロデューサー
From:凛
Sub.:
本文:怒るよ

モバP『ごめんなさい。凛様』


みく「片付け終わったにゃ…どうぞにゃ」

アーニャ「お邪魔します」

凛「お邪魔します。……凄い部屋だね」

アーニャ「ハーオス…混沌としています」

凛「一つの部屋が真っ二つに分かれていて、半分は猫のぬいぐるみが密集していて、もう半分はモダンチックで物が少ない。まるで、二つ部屋があるみたい」

To.:プロデューサー
From:凛
Sub.:どうしたの?
本文:部屋に入らないの?

モバP『部屋に盛り塩されているためか、部屋に入ったら気分が悪くなる。玄関入ったところに居るな』

凛「盛り塩?」

みく「あぁ、これにゃ。のあにゃんがこの部屋はレードー?が通っているから幽霊がたくさん出やすいんだって、だから、盛り塩をしておく必要があるって。

  おかげで家賃が安くて家計が助かっているにゃ!」

モバP『霊道か、なるほど。外の雰囲気が良かったように幽霊の俺が感じたのはそれが理由か』

凛「それっていわくつき物件ってことじゃないの?」

みく「心配ないにゃ。みくたちが入居する日にジバクレー?とフユーレー?を倒したってのあにゃんが言ってたから問題ないにゃ」


ピンポーン

のあ「帰ったわ。凛、久しぶりね。アーニャも来ていたのね」

凛「うん、久しぶり、のあさん」

アーニャ「プリヴェート…おかえりなさい。お邪魔してます」

モバP『……猫耳メイド姿のまま外出してたんだこの人』

のあ「みく、お茶を淹れて頂戴。凛とアーニャは座っていなさい」

みく「あれ?盛り塩捨てるのにゃ?」

のあ「汚れた盛り塩は効果が半減するわ」

モバP『やっとこれで、部屋に入れる。霊道が通っている所為か、すごく快適だわ。寛ぐ~』

みく「お茶の用意出来たにゃ」

凛「すみません。押しかけたみたいで」

のあ「私の願っていた訪問客を断るはずがない」





のあ「ねえ、P」ペタ



モバP『え?俺見えてるの?ってか、おふ…だばばばばばばばばばばばば!』ビリビリビリ

凛「Pさん!」

みく「ふぇ?」ポカーン

アーニャ「グローム…雷が紙から」ポカーン

のあ「ふん」バチーン

モバP『ギャピ!のあさん、なんでビンタできんの?』

のあ「春日大社の神木を岩塩と白蛇の血とかに数十年漬け込んで作った数珠を身に着けているからよ」バチーンバチーン

モバP『いりゃい!やへて!』

誘い入れてベシベシやるとはのあにゃんヒドスwww


のあ「P、ひさしぶりね」

モバP『久しぶりですね、のあさん。……あのー、足痺れちゃって…崩しちゃ』ボロボロ

のあ「貴方が死んだことで皆がどれだけ悲しんだか、体で思い知る必要があるようね」ギロォ

モバP『分かりましたから、お札と数珠は勘弁してください』

凛「のあさん、Pさんが見えるんですか?」

のあ「これまで陰陽師であることを否定したことないわ」

凛「普通、陰陽師ですかって質問しないと思うけど」

みく「陰陽師って安倍晴明とかの陰陽師のことにゃ?」

のあ「有名な分家のことね」

みく「……分家って。それより、Pちゃんそこに居るんだよね?」

のあ「そうよ。しかも、凛が連れてきた」

みく「……凛ちゃん、Pちゃんが居るなら最初から言ってほしかったにゃ!」

凛「でも、みくたちには見えないから信じてもらえないと思って」

みく「それでも、言ってほしかったにゃ!みくは凛ちゃんが嘘をつかないって知ってるもん!」

凛「ごめん」

みく「凛ちゃんが北海道に来たのって、Pちゃんが関係しているの?」

凛「Pさんがアーニャのライヴ姿を見て心配だったから、何とかしたいって」

みく「Pちゃんらしいにゃ」


アーニャ「のあ、プロデューサーはここに?」

のあ「えぇ。この数珠を着けたら普段幽霊が見えない貴方でも見える上に触れることができるわ」ジャラ

みく「アーにゃん、数珠を着けるにゃ」

アーニャ「でも…みくだって」

みく「いいから、黙って、さっさと着けるにゃ!」

アーニャ「……」

モバP『あー、久しぶりだな。アーニャ』

アーニャ「……プロデューサー、なのですか?」

モバP『のあさんにビンタされて顔がえらいことになっているけど、一応…』

アーニャ「プロデューサー!」ダキッ

モバP『うお!』

アーニャ「プロデューサー!!プロデューサー!!プロデューサー!!」





みく「ね、のあにゃん。アーにゃんはPちゃんに抱き着いているんだよね?」

のあ「ええ」

みく「みくにはPちゃんが見えないから異様な光景にしか見えないにゃ」


モバP『そっか。北海道から離れたせいで、天体観測もホームパーティーも出来なくて寂しかったから、CGプロ時代は俺に甘えていたのか。

  でも、俺が死んで拠り所が無くなったからCGプロに居るのが辛くなって北海道に戻って、

  俺を思い出してしまうからアイドルをやるのが嫌になって辞めたというわけか』ナデナデ

凛「しかも、北海道にみくたちが押しかけてきて、アーニャを励まそうとしてアイドルをやろうってアーニャに言ったんだけど、

  みくの好意を無碍にできないから、辛かったけど心を殺してアイドルをやっていたと」ジトー

のあ「心を殺した結果目の輝きを失った。…みくの空回りが生んだ悲劇ね」ジトー

みく「……すみませんでした」正座

アーニャ「私こそ…イズヴィニーチェ……ごめんなさい。みくにちゃんと言わなかったから…みくに迷惑かけました」

みく「……アーにゃん。……み…みくは寛大だからアーにゃんを許してあげるにゃ!」

アーニャ「スパスィーバ、みく」ダキッ

みく「アーにゃん!くすぐったいにゃ。にゃああ!」

モバP『百合や!百合の花が咲いとるでぇ!!』

凛「五月蠅い」バキッ

モバP『ブベ!数珠は反則!』

>>のあ「春日大社の神木を岩塩と白蛇の血とかに数十年漬け込んで作った数珠を身に着けているからよ」バチーンバチーン


呪具にしか聞こえないんですが……
ついでに陰陽師なら春日大社より安倍文殊院だろ(県民感)

>>126さん、

桜井市にはそんなすごいところがあったのですね。
奈良市内なので奈良の神社といえば春日大社が出てきてしまいます(中途半端な県民感)

陰陽道の元は儒教や道教が発端らしいですが、
日本の陰陽道はそれらに加えて、さらに日本の神道や道教や仏教などが入り混じって、独自に発展したものらしいです。

再開します。



凛「良かったね。アーニャの目の色、昔に戻ったみたい」

モバP『あぁ、本当にな』

凛「皆にどれだけ好かれていたのか分かった?」

モバP『骨身にしみたよ。幽霊だけどな。みく、のあさん、アーニャ、迷惑かけたな。こんな俺を慕ってくれてありがとう』

凛「ごめん。私が数珠を持っているから、みくとアーニャには聞こえていないみたい」

モバP『いちいち話すときに数珠を渡さないといけないなんて非効率的だな。のあさん、何かありませんか?』

のあ「たらららったら~幽霊の声が聞こえる蓄音機」ピシャピシャピシャピシャ~

モバP『何それ!』

凛「何それ!」

のあ「名前の通り、そのままよ」

凛「数珠がなくても、みくやアーニャにPさんの声が聞こえるってことだよね?ほら、Pさん、もう一回」

モバP『あー、オホン。なんか二度も同じこというの恥ずかしいな。……みく、のあさん、アーニャ、迷惑かけたな。こんな俺を慕ってくれてありがとう』

のあ「まだ動かしてないわよ」

モバP『のあさん!』

これ、のあにゃんが聞きたいがために何度も言わせてるだろw


数日後、東京…

凛「ということがあったの」

雫「それは大変でしたねー」

凛「本当に大変だったんだから

  ……アーニャの回復祝いで回転寿司に行こうってのあさんが言った直後、魚嫌いのみくが『十日連続魚はイヤ』ってのあさんに怒って猫のぬいぐるみをのあさんに投げて、それに対抗する形でのあさんは鬼を召喚して、最後にはみくと鬼が大乱闘。

  おかげで、アパートの大家さんが怒鳴り込んできて、うるさいって皆怒られたんだから」

ちひろ「それで、みくとのあさんはアパートから追い出されてここに戻ってきたと」

みく「そういうことにゃ」

のあ「女子寮が残っていて助かったわ」カキカキ

ちひろ「それで、のあさんは何をしているんですか?」

凛「大家さんの説教から逃げた逃走犯への刑罰」

モバP『のあさん、アカーン!体に変な呪文筆で書くの止めて!めっちゃ痒いし、チクチクするぅ。手も荒縄で縛らんとってぇ!痒いとこかかれへーん!堪忍やでぇぇ』



みく「ところで、ちひろさん、あの部屋の隅で震えているの誰にゃ?」

ちひろ「佐久間まゆちゃんよ。先日凛ちゃんとPさんが雫ちゃんのところに行った時に、Pさんにスカウトされたんだって」





まゆ「うふふふ…何故か男の人の断末魔が蓄音機から…まゆ、おかしくないですよね」

アーニャ編は以上です。
次回にモバPが会いに行くアイドルは>>+4です。
本日はお疲れ様でした。

未亡人(っぽい)が未亡人(ガチ)になってるな…うん

あの子(ガタッ!)
小梅「ど…どう、したの?」

美優さん編も結構長くなりそうだったので、今日だけで投下しきれなさそうですので、一部のみ投下します。
それでは、現在書き溜めた内容を投下していきます。


数日後…

凛「まゆ、お疲れ様。大分上達したね」

まゆ「凛ちゃんの教え方が上手いからですよ」

凛「そう。でもPさんの彼女にはなれないよ」

まゆ「凛ちゃんからもらうつもりはないですよ。…奪いますから」

凛「奪うなんて無理だって。Pさんは私の彼氏で、背後霊なんだから」

まゆ「でも、Pさんが凛ちゃんの背後霊になったのって、凛ちゃんに惚れているからですよね。

  だったら、凛ちゃん以上の魅力でPさんを誘惑すれば、Pさんはまゆのものに…うふふ」

モバP『凛にまゆ、火花を散らすの止めてくれないかな?正直怖いんだけど…』オロオロ

まゆ「鏡に映ったPさんも格好いいですね」

モバP『そ…そうか?』

凛「……鼻の下伸びてるよ」ゲシ

モバP『痛い!すまん、凛。その容姿で褒められたことなくて』

凛「ふーん、良かったね。のあさんが実家から幽霊の映る鏡を持ってきたおかげで皆から姿を見てもらえて。

  しかも蓄音機まであるんだから皆と話せてうれしいよね」

モバP『確かに、嬉しいのは否定しないが、凛がそこまで怒ると素直に喜べない……って、どうした、アーニャ?』

アーニャ「構ってほしい…にゃ」

モバP『……すまん、こっちに戻ってきてから、あまり面倒を見ることができていなかったな』ナデナデ

アーニャ「ムニェー オーチン プリヤートナ……嬉しいです。のあから数珠を貰って良かったです」

モバP『アーニャは昔より甘えんぼになったな』ナデナデ

まゆ「まゆも数珠を貰ったので、撫でてくれますよね?」ニコー

モバP『お…おう』


凛「ふーん、Pさん、私よりアーニャやまゆの方が良いんだ。ふーーん」ジトー

モバP『そんなことはない!たしかに、まゆやアーニャも大事だが、俺にとって一番大事な人は凛だ!』

凛「そう」スタスタ

モバP『凛、ちょっと待ってくれ!話を聞いてくれ!すまん、アーニャ、まゆ放してくれ』

アーニャ「ニ ハチュー…嫌です」

まゆ「まゆのことが一番になるまで…放しませんからね」





凛「……再生」

『俺にとって一番大事な人は凛だ!』

凛「……もう一回再生」

『俺にとって一番大事な人は凛だ!』

凛「……やっぱり、もう一回再生」

『俺にとって一番大事な人は凛だ!』

凛「……最後に、もう一回再生」

『俺にとって一番大事な人は凛だ!』

凛「……ヤバイ。顔真っ赤になりそう///」スタスタ


ちひろ「おはようございまーす。またイチャコラしているんですか?そんな暇があったら、仕事をしてくださいよ」

モバP『ほら、ちひろさんが来たし、仕事だ仕事。もう終わり!』

まゆ「ちひろさーん、スタドリ3ダース」

ちひろ「千川ちひろはクールに去るぜ」

モバP『ちひろーー!』ガタガタ

ちひろ「助けますから、ポルダーガイストは勘弁してください。

  まゆちゃんもアーニャちゃんも仕事が終わったら、Pさんが構ってくれるから大丈夫ですよ。

  ほらほら、解放されたんですから、ポルダーガイストは止めてください」

モバP『いや、俺はもう止めたんですけど…アレ?体が何かに引っ張られ』

ちひろ「あれ?Pさん?」

まゆ「鏡に映っていない」

アーニャ「……消えました」


のあ「それで、私が呼ばれたと」

ちひろ「はい。突然、Pさんが消えて」

のあ「Pの霊気の籠ったボールペンを借りるわね……遠隔霊視開始……見えたわ」

アーニャ「グジェ…どこですか?」

のあ「女子寮……美優の部屋ね。……しかも、留美、瞳子まで居るわ」

ちひろ「……クール三重士」

まゆ「クール三重士って何のことですか?」

ちひろ「CGプロのクール属性年長者三船美優さん、和久井留美さん、服部瞳子さんの三人のことよ。

  でも、どうして、Pさんはそんなところに?」

のあ「百物語というものを知っているかしら?」

ちひろ「どうして、いきなりそんな話を?」

のあ「知っているのか聞いているのだけど?」

みく「怪談を百回したら不思議なことが起きるっていうアレのことかにゃ?」

のあ「そう。その百物語の時は話に出てくる者達の魂は話し手の言葉によって生まれる言霊が引き寄せられ、怪奇を起こす。百物語で怪奇が起きるのはそういう理由よ」

凛「それが今のこととどう関係があるの?」

のあ「クール三重士の三つとは何?」

凛「過去…愛…あ!」

のあ「そう…言葉よ。重い言葉によって生まれた言霊は強い拘束力を持つ。

  彼女たちが何を話しているのか知らないけど、過去が重ければ重いほど、感情が重ければ重いほど、言霊の力は増大する。

  そんな想いを持った三人も集まれば、遠方のPなど簡単に引き寄せられるはずよ」

みく「じゃあ、さっさと迎えに行かないと、不味いにゃ!」

のあ「待ちなさい」ガシ

みく「ぐえぇ」ビターン

のあ「彼女たちはあくまで引き寄せて拘束するだけ。Pをどうにかできる力はない。事態が急速に悪化することはないわ」

>>154で、誤字がありました。

×のあ「そう。その百物語の時は話に出てくる者達の魂は話し手の言葉によって生まれる言霊が引き寄せられ、怪奇を起こす。百物語で怪奇が起きるのはそういう理由よ」

○のあ「そう。その百物語の時は話に出てくる者達の魂は話し手の言葉によって生まれる言霊に引き寄せられ、怪奇を起こす。百物語で怪奇が起きるのはそういう理由よ」

>>154にて誤字がありましたので、報告します。

× そんな想いを持った三人も集まれば、

○ そんな想いを持った者が三人も集まれば、


のあ「それに、そもそも、私たちがPを助けに行く必要はないのよ」

凛「どうしてですか?」

のあ「Pを今の三人から離したところで、彼女たちは孤独感のあまり再びPを呼び寄せる」

みく「だったら、Pちゃんが幽霊になっていることを教えればいいにゃ!そうすれば、三重士の寂しさは消えるにゃ」

のあ「逆効果よ」

みく「どうしてにゃ?」

のあ「美優は貴方達ほど交友関係が広くない。留美は好きだった仕事を首にされた過去がある。瞳子に至ってはアイドルとして挫折した過去がある」

ちひろ「……ずばずば言いますね」

のあ「事実よ。…絶望を知っているからこそ、…人生経験を積んでいるからこそ、降りてきた幸福を見失わないように無意識に必死になる。

  でも、必死に見続け追い続けたモノが蜃気楼のように消えてしまえば、再び絶望する。

  もし、そこに、再び彼女たちにとっての幸福が再び降りてくれば、どうなる?」

凛「その幸福を手放すまいと前より必死になって、Pさんを求めることを意識する」

ちひろ「意識すれば今まで以上に言葉が重くなる。その結果、美優さんの言霊にPさんは意思に反して拘束され、Pさんへの想いに美優さんは拘束されてしまう。」

のあ「そういうこと。誰かを想うことは悪いことではないけど、そういう関係の上ではPにとっても、美優たちにとっても良い影響を与えない」

凛「確かに、Pさんを助ける為だけじゃなくて、美優さんたちを助けるためにも、そういう関係を構築させない必要があるね」

のあ「どうしたの、アーニャ?」

アーニャ「ウダーチャ…皆幸せになりたいだけなのに…悲しいです」

のあ「そうね。でもそれは、幸福は形を持たないから。そして、人によって存在する場所が異なるから。

  だから、断崖へと走っていると知らないまま、幸福を見出したと誤想し速度を上げて、他人を谷底に落ちてしまうこともある」

凛「もしもなんだけど、美優さんたちがPさんに会いたいって言葉にしたら、Pさんの姿が見えてしまうってことはないですか?」

のあ「十分あるわね」

雫「…そんな。だったら、なおのことPさんを助けに」

のあ「言ったでしょ。行く必要はないわ。

  だって、PはCGプロのプロデューサーよ。何人ものアイドルをプロデュースした彼がこの程度で終わると私は思えない」


モバP『ヤバい。マジでヤバい。過労で倒れた時よりヤバい匂いがプンプンする。

  気が付いたら、なんでか美優さんの部屋にいて、留美さんと瞳子さんがいて、お茶会をやっている。

  この場の風景をパッと見るだけなら、問題は無いんだけど…』

留美「ウェディングイベントの前日に婚姻届をそれとなくPさんに渡したのだけど、名前だけ書いて突き返されてしまってね。

  後にも先にも婚姻届に名前を書いてくれたのはあの時だけだったわ。

  アイドルとプロデューサーという立場から本当は結婚できなかったけど、本当はしたかったという気持ちの表れだと私は受け取っているよ。瞳子は?」

瞳子「昔したことのある仕事が来たことがあってね。私は気乗りじゃなかったのだけど、プロデューサーが私のトラウマを吹き飛ばしてくれたおかげで成功したの。

  あの時、私はプロデューサーの下でアイドルをするために産まれたんだって思ったの……美優は?」

美優「……これね……Pさんが死ぬ十三日前に私にプレゼントしてくれたスカーフなの。

  …今思えばPさんは自分の死期を悟っていて、……自分の代わりだと思って私にプレゼントしてくれたのかも…」

モバP『話が重いわ!ってか、俺そんなつもりなかったからね。

  留美さんの件は忙しいときに留美さんが婚姻届を他の書類に紛れ込ませて渡してきたから、思わず書いてしまっただけです!

  瞳子さんの件は瞳子さんが昔のことで消極的だからトラウマを払拭する必要があったので、わざとあの仕事を取ってきたんです!成功したのは瞳子さんの力量で、俺は何もしてません!

  そして、美優さん!』

美優「……Pさん」ポロポロ

モバP『スカーフ握りしめて泣かんとって!そんなつもりでスカーフ上げたんちゃいますからねぇ!

  ってか、俺はここにいますよ!おーーい!もしもーーし!!』

美優さんは死ぬって言う言い方より亡くなるって言い方すると思うな

>>168 確かに、言われてみれば、そのような気がしますね。

× 美優「……これね……Pさんが死ぬ十三日前に私にプレゼントしてくれたスカーフなの。

○ 美優「……これね……Pさんが亡くなる十三日前に私にプレゼントしてくれたスカーフなの。


モバP『三人とも俺の知る三人とは別人みたいに俺には見える。

  俺が死んでから初めてあった凛も雫もアーニャも、俺のことで深く傷ついて別人みたいになっていたからな。

  異性に好かれるはずがないっていう認識を改めた方が良いのかもしれないな』

留美「…P君」

瞳子「……プロデューサーさん」

美優「………Pさん」

モバP『三人の気持ちは分かったが、さて、マジでどうしよう。三人は俺が見えない。

  鏡無しでも見える凛ものあさんも来ない。ってか、俺がここに居るの分かるはずもないだろうし、まず来ないだろうな。』

(*注意:のあさんはPが美優さん宅に居るのを知っていますが、放置しています。Pはこのことを知りません)

モバP『俺の機嫌が悪くなる要因がないから悪霊モードは使えない。

  できるのはポルダーガイストと霊障と……メールの送信のみか。姿を見せられないのに、この三つだけで何とかなるのかね?

  ……いや、俺はこの人たちのプロデューサーなんだ。何とかする義務が俺にはある』

モバP『……美優さん、これで、あの時の約束思い出してください』


ピローンピローン

留美「携帯?…私のじゃないようね」

瞳子「着信音からして私も違うわね。……ということは美優の?」

美優「……え?」

留美「誰から?」

美優「分からないわ」

留美「分からないって、送り主名を見たら分かるじゃない。アドレスに登録しているなら、名前は出るし、登録していなかったとしても広告メールなら名前が表示されるはずよ」

美優「……そうなんだけど…これ」

瞳子「送り主名がアドレスになっているわね。しかも件名も本文も無し。写真が一枚添付されているだけ。少し気味が悪いわね」

留美「どんな写真なの?」

美優「…紫陽花。そういえば…」


美優『せっかく二人で観光できる日だったのに、降られちゃいましたね。

  でもこの方が人通りも少ないし、それに…いつもよりPさんのお側にいられるから…私は嬉しい…です…。』


美優『このまま時間が止まってしまえたら…そうしたら、このまま…ずっと…二人で』ギュ


モバP『……確かに、時間が止まれば俺たちは紫陽花を見ていられます』


モバP『だけど、それだけというのは悲しくないですか?』


美優『…どうしてですか?』


モバP『時間が止まるということは変化がなくなると言うことです。

  今の光景は綺麗かもしれないけど、それ以上の絶景を見ることができなくなってしまう』


美優『これ以上に良い風景がある保証はないです』


モバP『確かに保証はない。でも、これ以上の絶景がないという確証もない。

  言い方を変えてみたら、今以上の絶景に巡り合える確率はあるということです。

  もし、頑張ってそこに辿り着けるとしたら、歩を進めたくなりませんか?』


美優『そうかもしれないですね』


モバP『そうでしょう。だから、幻想を見てしまったとしても、現実の上を歩き続けてください』


美優『分かりましたけど…どうして、そんな話を?』


モバP『美優さんはまっすぐだから、現実が美優さんの望まない方向に流れようとしても、自分を曲げずに突き進むんじゃないかって、今の美優さんを見ていたら思ったんでですよ』


美優『私の思い込みが強いみたい聞こえますよ』


モバP『さ…どうでしょう?』


美優「ということがあったんですよ」


留美「……私たちは何をしているんだろうな」ガタッ


瞳子「どうしたの、留美?」


留美「今の私たちの足が止まっているということを気付かされたわ。私は行くわね」


瞳子「行くって、何処に?」


留美「決まっているじゃない。事務所よ。瞳子と美優はどうする?」


美優「私も行くわ。……Pさんとの約束だから」


瞳子「二人が行くなら、私が一人過去を見続けて愚図っても仕方がないな」

数日後…

留美「P君、この書類にサインをお願いするわ」


モバP『はいはーい……って、これ婚姻届じゃないですか!ったく、本当に油断も隙もないんだから…』


瞳子「プロデューサー、今度のドラマの台本の読み合わせに付き合ってくれないかしら?」


モバP『すみません、今忙しくて、代わりに留美さんがしてくれますよ』


瞳子「…男の人の方が…ドラマの雰囲気出るからお願いしたのだけど……やっぱり私は駄目だから、ぞんざいに扱われるのね」


モバP『分かりました!後で、相手しますから、落ち込まないでください』


美優「Pさん…Pさん用のスカーフを買ってきたので巻いていただけませんか」


モバP『あ、ありがとうございます』


美優「お揃いですね。なんか…夫婦みたいですね」


モバP『……三人が引き籠もりを辞めて、復活してくれたのは良いし、言霊の拘束も無くなったけど、身が持ちそうにないわ』


凛「美優さんの部屋に言霊で閉じ込められるのとどっちが良い?」


モバP『こっちの方が良い。あの重苦しい空気は二度と御免蒙る。だから、仕事が終わったら…凛…アレ』


凛「分かった」


モバP『頼むわ』


凛「無事に私の家に帰れたらね」


モバP『え?』


凛「後ろ」


留美「…」ジトー


瞳子「……」ジトー


美優「………」オロオロ


モバP『これ、アカンやつや』

美優(クール三重士)編は以上です。


ということで、安価とまいりましょう。

次回のアイドルは>>+3です。


モバP『うぅ……疲れた。アレなんて意味深に言うんじゃなかった』クター


ちひろ「Pさん、お疲れの所、大変申し訳ないのですが、少し良いですか?」


モバP『どうしました?』


ちひろ「さきほど杏ちゃんからメールが届いたんですよ」


モバP『杏からですか、珍しいですね。明日は槍でも降るんでしょうか?』


ちひろ「……槍で済んだら良いですけどね」


モバP『どういうことですか?』


ちひろ「とにかくこのメールを見てください」


モバP『メールの数が50超えてますよね?

  …件名が【印税生活の為に少し本気】。添付ファイルが……音楽ファイルと映像ファイルと文書ファイルか。

  ……ってか、添付ファイルの数、多すぎだろう。一つのメールにこの数だと、全部で……数十個ずつ?

  再生できますか?』


ちひろ「ロックの掛かっていないものに関しては再生できるみたいです」


モバP『ロック?』


ちひろ「はい。最初の二つ、三つは開くことができるんですけど、残りはパスワードが必要みたいなんですね。

  パスワードが欲しければ、作詞作曲家用の契約書を送れと…」


モバP『アイドル辞めて作詞作曲の印税で暮らすつもりか』


ちひろ「どうします?」


モバP『とりあえず、杏の様子を見に行きましょうか。……凛』


凛「なに?」


モバP『女子寮の杏の部屋に行くぞ』


凛『分かった』


モバP『そういうわけで、ちひろさん。事務所のことはお願いしますね』


ちひろ「はい。留美さんも復活してくれたし、のあさんの召還している鬼もパソコンを使えるようになったので、大船に乗ったつもりで任せてください」


モバP『じゃあ、いってきます』


凛「いってきます」


凛「ここだよ」


モバP『きらりと相部屋か』



ニョワー、アンハピハピスゥ  ガッシャーン!! グラグラ



凛「…揺れたね」


モバP「揺れたな」


凛「これ、入らない方が良いよね」


モバP『あぁ、生身だと間違いなく天国行きだな。こんなところで、杏生きているのか?

  ……凛、どこかに隠れていろ。俺が覗きに行ってくる』


凛「ドア、開けようか?」


モバP『大丈夫だ。幽霊は壁をすり抜けられるからな』スゥー


モバP『お邪魔しまーす。

  って、ここ女子寮の中ですよね?ファンシーグッズがたくさん飾られていますけど、死体が転がって…マネキンか。

  いや、でもおかしいだろう。なんで粉砕されたマネキンがあちこちに転がってんの?壁に刺さっているのもあるし。

  …しかも、心なしかこのマネキン俺に似ているような……』


きらり「……にょわー」


モバP『あのー、きらりんさん、その手に持ったマネキンどうするんですか?』


きらり「Pちゃんもハピハピしよ!」ゴシャ


モバP『マネキンに鯖折り!ってか、俺の名前呼んだ!!』


きらり「……あんはっぴーきらりんぱわー★」


モバP『ボロボロのマネキンを俺に向かって投げた!』



ゴッシャーン



モバP『あぶねー、幽霊じゃなかったら、今ので三回は死んでたわ』


きらり「マネキンさんじゃ、Pちゃんの代わりになれないにぃ…」


モバP『俺の代わりにマネキンを抱きしめていたんだな。

  でもマネキンだと体温を感じられないし抱き返してくれないから寂しくなって、破壊することで気を紛らわしていたのか』


モバP『杏はどこだろう?…きらりんルームには……うわ、辛!すっげー辛い匂いがする。目が痛いぃ!

  杏!ここに居るのか!居たら、返事してくれ!って、俺の声届くわけねーじゃん!』


杏「辛いは現実の辛さを味覚化したんじゃないかって杏思うんだ」


モバP『杏がハバネロを生のまま食ってる!見てるだけで辛いわ!』


杏「あー、働きたい」


モバP『……え?』


杏「でも、動きたくない」


モバP『どっちやねん!』


杏「働いている間は嫌なこと忘れられるし、お金が溜まる。一生寝て過ごせるだけのお金が溜まったら、ずっと寝る。

  そうしたら、嫌な事なんて一生見なくてすむんだからさ」


モバP『……杏』


杏「あー、作曲疲れた。ちょっと休憩」グデー


凛「お帰り」


モバP『おう、ただいま』


凛「きらりと杏はどうだった?」


モバP『二人とも色々して寂しさを誤魔化そうとしているみたいだ。

  きらりは暴れて、杏は作詞作曲振付を考えていたよ。』


凛「Pさんが死ぬと寂しいって思う人がたくさんいるっていうこと分かった?」


モバP『美優さんの時に十二分に理解していたつもりだったけど、再認識させられたよ』


凛「だったら、絶対にもう二度と無理はしないで、自分を大切にして」ギュ


モバP『分かった』


凛「今度無理しようとしたら、クール三重士に私とまゆとアーニャが加わって、Pさんを言霊で閉じ込めるから」


モバP『それだけは勘弁してください』


凛「で、どうするの?」


モバP『杏ときらりのことか?

  …きらりの方は何とかなりそうだ。きらりは俺に抱きしめられたら、アイツの飢えは満たされるはずだからな。手法は今のところ見つからないが、最終の目的地は見えている。

  だが、杏は違う。飢えは満たされなくていいから、ただ悲しい人生を送りたくないと杏は願っている。

  アイツ言っていたよ。……飽いていればいい、餓えていれば良い。生きる場所の何を飲み、何を喰らおうと足りぬ。でも、それで良い。

  そう思えぬ生物は、その時点で自壊するしかない。

  だから、自分は高望みをしてはならない。過度な幸福を求めない。凡人並みの人生があれば十分だって』


凛「凡人並みの人生……そう言う割には随分怠けの要素が多いと思うけど」


モバP『俺もそれについてはそう思う。だけど、アイツが言いたかったのは、飢えのない人生を求めないけど、不幸に染まった人生も送りたくないってことだ。

  そんなアイツにとって、俺が死ぬことが最大の不幸だったんだろう。

  だから、自分が休みたかったのもあるだろうけど、俺に休め休めと口を酸っぱくして言っていたんだと思う』


凛「そうかな?」


モバP『あぁ、たまに真剣な眼で休みを取ろうと言っていたからな。

  あの時の杏は鬼気迫るものがあった。自分の休みの話をする時と人が違う。あれには俺も驚いた』


凛「ふーん。じゃあ、杏のことはどうするの?」


モバP『俺が幽霊になって存在していると言ったところで、おそらく信じない。

  蓄音機や鏡を使っても、自分は疲れているから幻覚を見ているだけだって言うと思う』


凛「どうして?」


モバP『アイツは過度の希望を持つことが嫌なんだよ。希望が大きければ大きいほど、希望が砕け散った時の絶望は大きいってからな』

× モバP『アイツは過度の希望を持つことが嫌なんだよ。希望が大きければ大きいほど、希望が砕け散った時の絶望は大きいってからな』

○ モバP『アイツは過度の希望を持つことが嫌なんだよ。希望が大きければ大きいほど、希望が砕け散った時の絶望は大きいからな』


凛「私はそんなの嫌だな。……大きな希望を持たなかったら、私はアイドルになれなかったと思う。

  奈緒や加蓮、卯月に未央と同じステージに立てなかったと思う。それにPさんの傍にいられなかったと思う」


モバP『そうだな。俺も凛をトップアイドルにしたいって願ったから、俺はトップアイドルになった瞬間の凛を見届けることができたんだ。

  その結果が……こんな形になったけどな』


凛「…本当にね。こんなことにならなかったら、皆今頃笑顔だったのにね」


モバP『さ、それはどうだろうな』


凛「どうして?」


モバP『凛たちが売れるようになるまでの事務所の経営は良くなかった。

  仕方ないよな。無名の小規模な事務所だったもんな。

  だけど、凛が頑張ってくれて、トライアドとニュージェネが売れるようになって、にゃん・にゃん・にゃんも売れるようになった。

  結果、業界の間で凛たちのプロデューサーである俺が認められた。

  そのおかげで、事務所の他のアイドルたちを業界の人に紹介できるようになって、皆の知名度が上がった。

  他にも、俺が飲んでるスタドリやエナドルが業界の人に売れるようになった。

  それら全部が事務所の経営を安定させたんだ。

  だから、俺や皆の努力が無かったら、とっくの昔に事務所は終わっていたのかもしれない』


凛「命を懸ける程努力していなかったら事務所は終わっていたから、結局皆が笑顔になることはなかったっていうこと?」


モバP『そうだ』


凛「……ふざけないでよ。倒れない程度で頑張るとかできなかったの?」


モバP『言っただろう。凛たちをトップアイドルにするにはあのタイミングにあの量の仕事が必要だった。

  一つでも逃していたら、終わっていたかもしれない』


凛「世の中って残酷だね」


モバP『あぁ、誰もがシンデレラになれるわけじゃない。頑張れば皆がハッピーエンドに絶対になるっていうご都合主義はないんだ。

  努力が実らなくて、徒労に終わることの方が世の中には溢れている』


凛「頑張っても報われない。報われたとしてもそれ以上の悲劇が待っているかもしれない。…今なら、杏の気持ち分かるかも。

  でも…それでも私は夢を叶えるために、頑張りたいな。……私って、変なこと言ってる?」


モバP『いや、杏の言っていることも、凛の言っていることもおかしくない』


モバP『二人とも変なことは言っていない。賛同できるかどうかは別としてな。

  でも、賛同できないからと言って、俺は自分の考えを押し付けるようなことはしたくない。

  なぜなら、アイドルは皆に夢を見せる存在だと思っているからだ。だから、俺は杏に鞭を打つようなことはしたくないし、頑張ることを強要したくない。

  やる気がないのに、無理させてもファンたちに夢を見せることなんてできないと思う。

  ……ただ、それでも、杏には頑張ってほしいと思っている』


凛「それは、アイドルとしての才能があるから?」


モバP『それもある。だが、俺はそれより杏が自分を好きになるために頑張ってほしい』


凛「自分を好きになる?」


モバP『アイツが何もしたがらないのは努力が無駄になるからだ。

  それは単純に失敗して悲しむことを嫌うからというのもあるが、努力して周りから評価されたとしてもそれが自分にとって無価値かもしれないと思っているからだ』


凛「……」


モバP『少し努力するだけで大抵のことができてしまう。

  以前あっただろう?凛が何週間もかけて覚えたステージの振付を杏はたった二日で覚えたこと』


凛「うん」


モバP『たった二日で覚えることのできた振付をステージでするだけで評価される。

  この程度での努力で評価されて、人生何とかなるのかと杏は思い、もっと手を抜くようになる。そして、その極論が…』


凛「努力しない。でもそれって普通もっと頑張れば、自分でも評価できる何かを掴み取れるかもしれないって思わないかな?」


モバP『凛の場合はそうかもしれないが、杏は捻くれているからな』


凛「…なるほど」


モバP『アイツは何かを達成しないから、自分を評価できない。好きになれない』


凛「……」


モバP『過度な幸福は要らない。嫌なことは起きないでほしいから飢えててもいい。

  世の中がつまんなく自分には見えてしまうけど、それで構わない。

  だって、努力が徒労に終わるのも嫌だ。自分で評価できるなにかを自分が達成できるという確証はないから。

  そんな自分が好きになれない。だから、何も考えずにダラダラしたい。

  それが双葉杏だ』


凛「杏の思っていることは分かったけど、杏を復活させる糸口は見つかっていないよね」


モバP『そうだな。でも、杏はたぶん放っておいても何とかなるよ』


凛「それはどうして?」


モバP『アイツが双葉杏で、ルームメイトがきらりだからだ。だから、まずはきらりを復活させる必要がある。

  そして、きらりを復活させる案を俺は思いついてしまった』


凛「思いついてしまったって、もしかして……」


モバP『あぁ』


凛「嫌、無理はしないって約束したよね?」


モバP『あぁ。したな。だがな、無理とは理がないことをいう。だから、俺がこれからやることは無茶だ』


凛「屁理屈」


モバP『知っている』


凛「馬鹿」


モバP『理解している』


凛「すけこまし」


モバP『なんか違うくね?』


凛「絶対に帰ってきてね」


モバP『お…おう』


翌日…

杏「ようやく封筒が来たか。これで印税生活が始まるぞ……二つ?一つは杏のだ。もう一つはきらり?……きらり、封筒だよ」


きらり「にょわー…どこからにぃ?」


杏「ちっひーから」


きらり「なにかなぁ……開かない」


杏「ハサミそこ」


きらり「にょわー」バリバリ


杏「引き裂くのは良いけど、片付けよろしくね。杏寝るから」


きらり「封筒の中から綺麗な玉が繋がったアクセサリーだにぃ。ん?……P…ちゃん?」


モバP『あぁ、久しぶりだな。元気…じゃなかったな』


きらり「Pちゃーーーん!」


モバP『おごっ!みぞお…ち』


(注意:破壊力=体重×スピード×握力)


きらり「Pちゃーーーん!」


モバP『にぎゃああああ!』ボキボキボキ


(注意:アナコンダの締め付けはカピバラやワニを殺すほどの力がある)


きらり「Pちゃーーーん!」


モバP『…………』ゴロゴロ


(注意:デスロールとはワニが獲物を確実に仕留めるために水中に引きずり込んで回転する必殺技のことである)


きらり「Pちゃーーーん!」


モバP『………』ピューーーン


(注意:アメリカ・デラウッェア州ではフライング・パンプキンという祭りがあり、空気砲部門では1000メートル以上かぼちゃを遠くに飛ばさなければ、入賞できない)


そのころ、事務所…


のあ「つまり、みくが鬼と戦えたのは猫又と接したことがあるからよ」


アーニャ「パニャートナ……なるほど、納得です」


みく「みくは納得いなにゅ!」ゴチーン


モバP『……』クター


のあ「類は友を呼ぶとはこのことね」


アーニャ「クサジャリェーニユ ヤー ……残念ですが、聞こえていないみたいです」


翌日……


きらり「じゃ、きらりん、杏ちゃんと行ってきまーす」


杏「きらりに下して…杏、今日こそ休むって決めたからさ」


きらり「とか言いながら、無抵抗の杏ちゃんかわゆすぅー☆」


杏「抵抗するのも疲れた。プロデューサーが死んで悲しかったとか、幽霊になって復活したとか、もうどうでも良いや。

  考えるの止めた。……あー、飴舐めたいから、用意してて」


凛「あれでいいの?」


モバP『いいさ、今のところ、杏は自分を好きになれていないが、色んなことを体験していたら、その内何かを見つけるだろう。気長に待つさ。

  それに、ニート系アイドルなんだからあんな調子でむしろいいのだと思う』


凛「ふーん、Pさんがそう言うなら別に良いけど」

杏(&きらり編)は終了です。
では、さっそく安価と参りましょう。
モバPが次に会いに行くアイドルは>>+4です。


時子「もー、最悪ね。気分転換に外に出てみたのは良いけど、楽しくない。

  私が公園で池を眺めているって、ありえなさすぎね。本当に暇つぶしですらない。

  かといって、事務所に行く気も出ない。

  ……全部あの下僕のせいね。いいえ、違うわね。本当の下僕なら主人である私が許可するまで死ななかったはず。アレは単なる社畜ね。

  ……ん?世界の拷問博覧会?…面白そうね。私の暇つぶしになってもらうわよ」



数分後、美術館…

時子「へー、こんなものもあるのね。なかなか興味深いわね。

  ……何これ?日記帳みたいだけど……エリザベート・バートリの拷問日。あぁ、あの有名な血の伯爵夫人ね。

  一部分だけ和訳しているみたいね。……これなら豚どもは良い声で鳴くでしょうね。一度使ってみたいものね」


??『そんなに使ってみたいなら、貸してあげてもいいわよ』


時子「誰?」


??『ただし、代償としてその体貰うわよ』


モバP『ちひろさん、この書類お願いします』


ちひろ「Pさん、書類処理速度早すぎです」


モバP『今日は後30枚ほどですので、大丈夫ですよ』


ちひろ「サンジュウマイ?…30枚!?ちょっと待ってくださいよ!なんでそんなに多いんですか?」


モバP『芸能人格付け審査に凛がゲスト出演した時の書類に、剛腕PASHに雫がゲスト出演した時の書類に、

  鉄子の部屋にまゆがゲスト出演した時の書類に、テレビチャンプのニートチャンピオンに杏が出演した時の書類に、

  それから……』


ちひろ「もう良いです」


みく「Pちゃん、□△局のこの前収録した心霊番組の放映はいつにゃ?」


モバP『この間のアレか?あれなら、お蔵入りになったぞ』


みく「どうしてにゃ?」


モバP『なんでも番組終了後からディレクターの体調が悪くなって入院したかららしい。

  しかも原因が分からないんだから、勝手に流すのも不味いだろうってテレビ局の人から聞かされたよ』


みく「……原因不明。みくたちは大丈夫かにゃ?」


のあ「安心なさい。私が呪いを掛けただけよ。みくに実害はないわ」


モバP『何やってるんですか!のあさん』


のあ「アーニャに執拗に迫ったからよ」


モバP『ならば問題無し』

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