律子「プロデューサーには足りないものがある」 (41)

春香「……何を言ってるんですか、律子さん?」

あずさ「そうですよ、プロデューサーさん、毎日私たちのために頑張っているじゃないですか」

律子「何も理由もなしにそういうこと言ってるんじゃないんですよ」

雪歩「じゃあ、どういうことなんですか?」

律子「逆に聞くけど、今のプロデューサーに足りないものは何だと思う?」

響「う~ん……そうやって改めて聞かれると難しい気がするぞ」

やよい「よく分からないです……」

律子「今後のみんなにも関係のあることだからね、しっかり考えてほしいの」

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真「ボクたちにも関係のあること……? どういうことだろ?」

貴音「皆目見当もつきませんね……」

美希「……分かったの! ハニーに足りないものって女心を理解する力なの!」

亜美「あっ、それありそー! さっすがミキミキ!」

真美「これは早くも正解が出ちゃったんじゃないかなー?」

律子「……あれはあれで重篤だと思うけれど、残念ながら今回の議題とは違うわよ」

伊織「それじゃ、いったい何が足りないってことなのかしら」

千早「甲斐性……とかかしら」

春香「それはあまり違いがないんじゃないかなぁ……」

律子「う~ん、正解は出なかった、か」

響「……で、その正解ってなんなんだ?」

律子「今のプロデューサーに足りないもの、それはね……」




律子「ズバリ、"威厳"、よ」

あずさ「威厳……ですか?」

真「それって、プロデューサーが威張り散らした方がいいってこと?」

やよい「うー……そんなプロデューサー、あんまり想像できないです」

雪歩「プロデューサーが高圧的になったら……怖いですぅ」

律子「そうじゃないわよ。威厳、って言っても何もふんぞり返るってことじゃないの」

美希「それもそうなの。今更ハニーに凄まれたってあまり怖くないの」

亜美「一番年下の亜美たちが兄ちゃんのことオモチャにしてるからねー」

伊織「自覚があるんなら少しは自重しなさいよ」

真美「いおりんだって兄ちゃんのこと時々パシリみたいにしてるじゃーん」

伊織「そっ……それはそれ! これはこれよ!」

律子「……とまぁ、こんな風に今更私たちへの接し方を変えようとしても無理があるのよ」

貴音「わたくしたちへの威厳でないとすれば……それは仕事での相手へ、ということでしょうか?」

千早「……いまいちピンとこないのだけれども」

律子「ピンと来ないのも仕方ないかしらね。
    これは私が竜宮のプロデューサーとして現場で感じたことでもあるから」

春香「律子さんが感じたこと?」

律子「ええ。どうしたって私は制作会社やテレビ局、ラジオ局、出版社……
    とにかく色々なところで現場を取り仕切る人たちと話す機会が多くなるのよ」

あずさ「私たちのためなんですものね、いつもいつもありがとうございます」

律子「で、どうしたって芸能界は結構年功序列の男社会だったりするの。
    私みたいな女がプロデューサーです、って出て行っても明らかに見下されてるな、って思うことは結構あるわ」

やよい「もしかして、それで律子さんはいつも嫌な思いをしてる、ってことなんですか?」

律子「心配してくれてありがと。でも、それは覚悟の上でプロデューサーやってるからね。
    それに、女であることが結構プラスに働くことだってあるんだから」

真「へぇ、例えば?」

律子「スタイリストさんやメイクさんは女性が多かったりするじゃない?
    そうすると、結構話に乗ってくれたり、力になってくれたりすることがあるのよ」

春香「現場のスタッフさんを味方につけちゃう、ってことですね」

響「……でも、それとプロデューサーの威厳と何の関係があるんだ?」

律子「プロデューサーの場合はまた事情が違ってくるわ」

雪歩「それは、プロデューサーが……その、男の人、だからですか?」

律子「それもあるわね。ところで、テレビ局とかで働いてるADさんって何歳くらいか分かる?」

真美「ADの兄ちゃんたち? そういえば、何歳とかってあんまり気にしたことないなー」

律子「一口にADさんっていっても、局の社員さんと、制作会社の人に分かれるけどね」

千早「やっぱり、どっちに雇われているかで違ってくるのよね?」

律子「局の社員さんだと、ADはせいぜい数年やってディレクターになるらしいわ。
    だから、ディレクターがだいたいプロデューサーと同じかちょっと年上くらいになるわね」

貴音「では、もう片方の制作会社の御仁ですと……」

律子「そっちは能力次第って聞くわね……人によっては10年以上もADやってるって聞くわ」

亜美「10年以上も!? 亜美の今までの一生と同じぐらいの時間じゃん!」

伊織「どこの世界も下働きは楽じゃないってことね。
    すると、そっちだとプロデューサーより年上のADがいたっておかしくないってことなのかしら」

律子「つまり、現場の人からしたら自分と同じくらいか年下か……
    それぐらいの人が"プロデューサー"としているわけだから、少なからずやっかみもあるのよ」

春香「え~、普段お仕事していてあんまりそういうことに気付いたことなかったなぁ」

律子「さっきの私の話とも被るけど、見下されるような気がするのは女だからってだけじゃないわ。
    業界で一人前として働くには若すぎるってのもその理由じゃないか、って思うの」

真「確かに、今でもたまにマネージャーと間違われることがあるもんなぁ」

美希「ミキにはハニーがプロデューサーでもマネージャーでも関係ないの。ハニーはハニーなの」

律子「みんながみんな美希みたいに割り切ってくれたら楽なんだけどね。
    どうしても"この小娘が"って感じになるのよ。プロデューサーなら"この小坊主が"かしら?」

響「小坊主……そうは見えないけどなぁ。向こうからすればそう見えちゃうのかな?」

あずさ「プロデューサーさんも私たちが思っている以上に大変なんですね~」

律子「それに加えて、プロデューサーはあれで押しに弱いところもあるでしょう?」

やよい「頼まれたことをイヤ、って言えないってことですか?」

雪歩「その、押しに弱いとどうなっちゃうんですか?」

律子「昔みたいに765プロが売れていない頃だったら、多少の無理もこっちが聞く必要があったわよ。
    でも、今は少しはこっちの要求だって通していく必要があるのよ」

亜美「いつまでも昔のままだと思ってもらっちゃ困るぜ! ってことだね」

千早「昔私たちが出た"ゲロゲロキッチン"のディレクターさんみたいな感じかしら。
    あの時はまだ売れていなかったから歌のコーナーを無くすのも飲まざるを得なかったけど……」

貴音「確かに、押しに弱いのも考え物ではありますが……
    その人の好さもプロデューサーの良き所ではありませんか?」

真美「そーだよ、お姫ちんの言うとおりだよー。
    真美たち相手じゃなくても、現場で威張ってる兄ちゃんはあんまり見たくないなー」

律子「そんな悠長なことも言っていられないでしょ。
    いつまでも昔みたいな関係でズルズルやっていたら私たちが無駄に損するだけよ」

春香「損、ですか?」

律子「そうよ。こっちの足元ばっか見られたって困るのよ。早く何とかしないと……」

あずさ「何とかしないと?」

律子「いつまでたっても歌の仕事が増えなかったり……」

千早「!」

律子「いつまでたっても女の子らしい仕事が貰えなかったり……」

真「!」

律子「このご時世だからギャラだって足元見られたり……」

やよい「!」

律子「現場でもうちょっと強く出られないと状況はこの通りよ」

伊織「確かにそれは困るけど……私たちがどうこう言っても結局はアイツ自身が変わらないと意味ないじゃない」

律子「言ったでしょ、悠長なことは言っていられないって。
    プロデューサーが見下されてるってことは、765プロが見下されてるってこととほぼイコールよ?」

響「じゃあ、巡り巡っては律子もひっくるめて見下される、ってことになっちゃうのか?」

亜美「それじゃ、律っちゃんが頑張っててもムダってことになっちゃうの?」

律子「ムダとまでは言わないけど、効率は決していいとは言えないわね」

真美「じゃーどうするの? 接し方を変えるのは真美たちと同じで無理があると思うよ?」

律子「ここは形から入ることにするわ。見た目から改造よ」

美希「見た目?」

貴音「一理あるかもしれません。人というものは眼から入る情報で対象を判断する比率が高いと聞きます。
    これから新たに現場で知り合う方相手には第一印象で値踏みされないことが大事ということですね」

春香「う~ん、威厳ある見た目かぁ」

千早「風格とか、貫録とか、そう考えた方がいいのかしら」

真「いかにも業界の人、って感じにしていった方がいいのかな?」

あずさ「どうすればいいのかしら……」

伊織「見た目から入って、貫録とか威厳がある風なのよね?」

真美「おっ、いおりんは何かいいアイディアがあるの?」

伊織「ウチのSPたちがそうなんだけど、サングラスとかつけてみるのはどうかしら?」

響「プロデューサーに、グラサン、かぁ?」

雪歩「たっ、確かにうちのお弟子さんたちもよくつけていて、ちょっと怖い時があります……」

亜美「今、ゆきぴょんがさらっと怖いこと言ってたのは聞かなかったことにしとこーかな……」

律子「サングラスは悪くないかもしれないわね。あれ一つで印象はガラッと変わるわ」

やよい「でも、ちょっと怖くないですか?」

美希「でも、ギョーカイの人ってなんだかサングラスのイメージがあるの。
    なんかサングラスして、上に羽織ってるジャケットとかを首に巻いてるってカンジ」

春香「い、今どきそんなベタな人っているかなぁ……」

貴音「ですが、手っ取り早く見た目を変えられるというのは大きな利点でしょう」

響「問題はプロデューサーにグラサンが似合うかどうかだけど……」

雪歩「こっ、こんなこともあろうかと……」 ゴソゴソ

千早「? 萩原さん、カバンの中なんか漁っていったい何が……」

雪歩「さ、サングラスを持ってきてありますぅ!」

伊織「……なんでそんなもの持ってるのよ」

亜美「ゆきぴょんのグラサンって、さっき言ってたお弟子さんのやつ?」

雪歩「うん、そうだよ。使ってない予備のを頼んで貰ってきたの」

真美「でも、ゆきぴょんはサングラスかけないよね?」

雪歩「うん……これは真ちゃんに似合うかな、って思って」

真「ボクに!?」

雪歩「いつかかけてもらおうかな、って思ってたけど、プロデューサーにかけてもらうのもいいかも」

真「いやいや、ちょっと何言ってるのかよく分からないんだけど!?」

美希「そうなの、雪歩の言ってることはおかしいの!」

真「よかった、美希は味方してくれて……」





美希「真くんにはこういうフレームレスのグラサンの方が似合うに決まってるの!」 スチャ

真「あぁ、うん、そんなことだと思ったよ……」

雪歩「わ、私の持ってきた方が似合うと思いますぅ!」

美希「ミキの方が似合ってるの!」

あずさ「あらあら、微笑ましいわね~」

律子「言ってる場合ですか……思いっきり脱線してるじゃないですか」

春香「でも、肝心のプロデューサーさんがこの場にはいませんよね」

やよい「そうでした、それじゃ帰ってくるまで待っているんですか?」




??「その必要はないわ!」

亜美「そっ、その声は!」

伊織「わざわざ隠さなくたっていいわよ、もう残ってるのは一人しかいないでしょ」

貴音「小鳥嬢、出てきてくださいまし」

小鳥「んもう、みんなノリが悪いわねぇ」 ガチャ

真美「真美はもうちょっとノっていたかったんだけどねー」

千早「それで、音無さん。何かあるんですか?」

小鳥「任せなさいって。伊達に765プロの事務を切り盛りしてるわけじゃないわ」

響「そっか、いつも妄想に耽っているだけかと思ってたけど、ちゃんと仕事してるんだもんな!」

小鳥「……悪意のない純粋な瞳で言われるのがツラい……けど、あたし負けない」

美希「小鳥のイメージより、今はハニーのイメージがどうなるかの方が大事なの」

小鳥「バッサリいくわねぇ……まぁいいわ、これをみてちょうだい!」 スチャ

律子「これは……プロデューサーの顔写真?」

雪歩「ちょっと大きな紙に引き伸ばしてありますね」

春香「こ、この顔写真はどうしたんですか?」

小鳥「プロデューサーさんが765プロに入社してきた時の履歴書をね。
    貼ってあった顔写真を取り込んで色々アレしたのよ」

伊織「……ずいぶん堂々とした職権乱用じゃない」

やよい「確かに、これプロデューサーに初めて会った時の雰囲気に似てます!」

真「似てるも何もプロデューサー本人の当時の姿なんだけどね」

千早「……心なしか今よりも少し血色がいいようにも見えるわ」

真美「だよねー。あと、今の方がこの写真よりもちょっと痩せちゃった感じ?」

貴音「あなた様……疲れていらっしゃるのですね、痛み入ります」

あずさ「でも、イメージチェンジして仕事のストレスが少しでも減れば……」

律子「ですね。わざわざこんな大きな顔写真を出してきたってことは……」

小鳥「はい、これを使ってサングラスを描けば、この場にいなくてもシミュレーション出来るかな、と」 スチャ

伊織「マッキーまで……こういうことには用意周到なのね」

亜美「んっふっふ~、それって兄ちゃんの顔写真に落書き出来るってことだよね?
    じゃあそれ亜美やる、亜美!」

美希「ダメなの! ハニーの顔に落書きなんて許さないの!」

律子「美希の反論もともかくとして、亜美はよしておきなさいよ……
    どうせ額に"肉"とか書くつもりでしょ?」

亜美「えー、今どきそんな古いことするわけないっしょー」

真美「書くならほっぺたにグルグル渦巻きとかだよねー」

春香「バカボン!?」

響「それはそれで十分古いような気がするぞ」

律子「……埒が明かないから私が書いちゃうわね。小鳥さん、マジック貸してください」 カキカキ

雪歩「……あの、これって」

律子「……自分で描いてみて思ったけど、これってあの人よね」

真美「ゴメン、ちょっとマジック貸して。これならアレ持たせた方がいいと思うんだ」 カキカキ

やよい「……ピコピコハンマーです」

あずさ「あぁ、もうあの人になっちゃいましたね……」

小鳥「確かにプロデューサーはプロデューサーだけど……」



亜美「……10ポインッ!」(モノマネ)

春香「内Pだこれー!?」

美希「これじゃあまり威厳があるとは言えない気がするの」

真「芸能界の大先輩のはずなんだけどね」

伊織「なんというか逆に親しみまで覚えちゃうわよ……」

貴音「もし、響……?」

響「ん? どうしたんだ、貴音?」

貴音「その、10ぽいんとというのは貯めれば何かあるのでしょうか?」

千早「いや、四条さん……アレはそういうことじゃあ……」

貴音「しかし、わたくしの行きつけのらぁめん店ではぽいんとを貯められるかぁどというものが……
    すたんぷがいっぱいになれば一杯無料なのですよ?」

響「いや、根本的にそういうことじゃないんだって」

真美「ダメだお前たちはっ!!」(モノマネ)

雪歩「ひっ! ど、どうせ私はダメダメのひんそーなちんちくりんで……」

真「雪歩も落ち着いて、あれは一種の様式美だから」

律子「……というわけで、プロデューサーにグラサンは威厳が出ないことが分かりました」

あずさ「議論が振り出しに戻っちゃいましたね」

春香「でも、サングラスがだめならどうすれば風格や貫禄が出せるんだろ?」

やよい「あ、あのー……」

千早「? どうしたのかしら、高槻さん」

やよい「おヒゲを伸ばすのってどうでしょうか? 何となく現場の偉い人って伸ばしてる気がします」

亜美「兄ちゃんにヒゲ?」

美希「なんだかオジサンっぽくなりそうなの」

律子「いや、アリかもしれないわね」

小鳥「どうしてです?」

律子「昔のアメリカの大統領にリンカーンって有名な人がいるでしょ?」

伊織「いるわね。確か5ドル紙幣の肖像画にもなっていたかしら」

あずさ「あと1セント硬貨にも描かれてますよね。あの方も立派なおヒゲをされてますけど……」

律子「リンカーンがヒゲを伸ばしたのにはキッカケがあってね。
    大統領選挙の真っ最中に11歳の女の子から贈られた手紙があったのよ」

響「じゃあ、その手紙で……」

律子「そうよ。その手紙には"存在感を出すためにヒゲを伸ばしたらどうでしょうか?"って書かれてたのよ。
    そのアドバイスのおかげで当選できた……ってわけじゃないかもしれないけど、それからリンカーンはヒゲを生やしたわ。
    選挙が終わってから、手紙をくれた女の子のもとにわざわざ出向いてヒゲを見せたってエピソードがあるくらいだわ」

貴音「つまり、プロデューサーもりんかぁん殿のようにヒゲを生やせば存在感が出る、と?」

真美「真美は面白いと思うなー。なんかこう、ダンディって感じがするじゃん」

貴音「だんでぃ……それはよろしくないのではないでしょうか?」

真「え? なんでまた」

貴音「それではプロデューサーが『げっつ』と叫んで回ってはスベってしまうではないですか」

響「……そのダンディじゃないから」

亜美「あの人もそれが芸風だからね、ちかたないよね」

雪歩「四条さん……内P知らなくてダンディさんは知ってるんだ……」

小鳥「う~ん、でもねぇ……プロデューサーさん、そんなにヒゲが濃い方じゃないですし」

春香「……え? なんで小鳥さんはそんなことを知ってるんですか?」

美希「へ、返事次第じゃただじゃおかないの!」

小鳥「ほら、プロデューサーさん、よく仕事が片付かないって事務所に泊まって仕事してるのよ」

千早「それは音無さんも一緒にですか?」

小鳥「いや、あんまり遅くなると危ないから、ってほどほどのとこで私は帰されちゃうのよ」

あずさ「あらあら、プロデューサーさん、お優しいんですね~」

小鳥「さすがの私も申し訳ないから、そんなことがあった次の日はなるべく早く出てくるようにするんだけど……」

伊織「不思議ね、小鳥が仕事してるって聞くと違和感を覚えちゃうわ」

律子「コミカルSSではとみに仕事しないイメージが強いからかしらね」

小鳥「メタいことは言わないでくださいって。
    で、私が事務所につくと、ソファーでプロデューサーさんが仮眠をとってるんですが……
    一晩経ってるはずなのに、ヒゲがあんまり伸びてないんですよ」

真美「剃ってから寝てるんじゃないの?」

小鳥「違うみたいよ。これはプロデューサーさんの寝顔を3日続けて撮った写真なんだけど……」 スチャ

伊織「……前言撤回するわ。どさくさに紛れてなにやってんのよ」

小鳥「やるべきことはやらなくちゃ」

雪歩「本当だ、並べてみたらちょっとずつ伸びてるのが分かります」

やよい「3日目の朝で、うちのお父さんのいつもの朝と同じくらいです」

響「個人差があるとは思うけど、こんなに薄い人もいるんだな、ビックリしたぞ」

真「父さんが聞いたら羨ましがるだろうなぁ……」

亜美「で、ピヨちゃんよ。もちろんこの寝顔写真もいっぱいあるんだよねー?」

春香「私にも! 私にもください!」

美希「ミキも! ミキもハニーの寝顔写真欲しいの!」

千早「……早起きして事務所に来ればいいんじゃないかしら」

美希「それが出来ていればこんなことは言ってないの!」

小鳥「はいはい、みんな落ち着いてちょうだい。焼き増しは1枚50円から承るわよー」

伊織「何売りつけてんのよ!」

春香「伊織はいらないの?」

伊織「……いっ、いるに決まってるじゃない!」

律子「でも、これだけ伸びるのが遅いのも考え物ね」

貴音「やはり、さきほどのさんぐらすのようにすぐに出来ないからでしょうか?」

律子「それもあるけど、やっぱりヒゲを伸ばすまでの間にはどうしても無精ヒゲに見える時期があるのよ。
    芸能界だとそのあたりは普通の会社よりは緩いかもしれないけど、それでもマズい場面はあるわ」

あずさ「確かに、中途半端に伸びているのは逆に印象が悪くなりそうですね」

律子「一度伸びてしまえば、あとはそういう人だって印象は与えられるでしょうけど……
    もう一つの問題はどこにヒゲを伸ばすか、よね」

真美「あごヒゲとか、口ヒゲとか、色々あるしねー。
    そうだ、メガネと一緒になってるチョビヒゲとかつけちゃうのはどう?」

千早「完全にパーティーグッズじゃない。
    いくらなんでもそれで来られたらこっちもどんな顔したらいいか分からないわよ」

小鳥「でも、せっかくのやよいちゃんの提案も無下には出来ないわよね……」

律子「ヒゲの質や濃さもあるから、描くだけじゃ検証もしきれないし……
    時間はかかるかもしれないけど、ここはプロデューサーにヒゲを蓄えてもらうとしましょうか」

美希「オジサンっぽくなっちゃいそうだけど、これはこれで新鮮かもしれないの」

春香「それじゃ、しばらく結果を待つとしましょうか」

---

春香「こうして、しばらくプロデューサーさんにはヒゲを伸ばしてもらったんですが……」

律子「……」

小鳥「……どうしてこうなった」

雪歩「あれ……あごヒゲだよね?」

真「うん……どこから見ても立派なあごヒゲのはずなんだけど」





R「なんだなんだお前ら、せっかくやよいが伸ばしてみてくださいって頼んだから伸ばしたのに……」

千早「雰囲気どころか、名前まで変わっちゃってるじゃないですか……」

亜美「ねーねー兄ちゃん、このヒゲ本物ー?」 グイグイ

真美「つけヒゲってわけじゃないよねー?」 グイグイ

R「おっ、おいお前ら! 引っ張るなって! 痛い、痛いから!」

伊織「いっそそのまま引っこ抜いちゃいなさいよ」

あずさ「あまり威厳がついた風にも見えませんしね~」

響「さんざん引っ張っておいてこのオチはないと思うぞ」

貴音「流石ですね、響。ネタを引っ張るのとヒゲを引っ張るのをかけたのですね」

響「違うから! そういうつもりで言ったんじゃないから!」

やよい「あのー……私がいけなかったんでしょうか?」

伊織「気にしちゃだめよ。やよいは何も悪くないんだから」

R「そっ、そうだぞやよい……やよいは何も悪く……痛ぇっ!?」 ブチィッ

春香「あっ」

千早「抜けたわね。それも根こそぎ綺麗に」

真「ギャグじゃなかったら大惨事になってるよね、これ」

P「うぅ……ひどい。ここまで伸ばすのにすごい時間かかったのに」

美希「元に戻ったの」

律子「ハァ……まぁ、ああして双子やみんなのオモチャになってるうちは威厳どうこうは無理だったのかもしれないわね」


 おわれ

勘を取り戻そうと久々に書いてみたら変なのが出来た
そのまま葬るのも忍びなかった、反省はしていない

とりあえずHTML申請出しておきます
次があればまたよろしくお願いします

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