母「あんた太りすぎよ!男くん見習いなさい!」少女「」(61)


母「もっとスリムにならないとねえ、将来後悔するわよ!男くんぐらい痩せる覚悟でちょっと頑張りなさい」

少女「あんなガリガリになれって!?ご飯くらい好きに食べたいわっ」

母「まーったく、親の心子知らずだわ。後悔するわよー、そんなオデブちゃんじゃ素敵な恋愛も出来ないんだから」

少女「ぬぐぐぐぐ……っ」


~小学校~


おはよー

おはよー

おはよー

少女「(お母さんめええ……っ好き勝手言いよって、私だって好きで太ってるわけじゃないわっ)」

男「おはよー……」

少女「は!男くん!」

少女「(相変わらずひょろひょろで小さいというか細いというか……)」

少女「(お母さんは私にああなれっていうの!?)」

少女「(無理よ、私の方が二倍ぐらい大きい、そんな勢いなのに)」

男「…………」

少女「(暗い。負のオーラが出てる。確かに細いけど、それより何よりかっこうもなんか汚れてるし、本当にああなれと……無理だろ)」

少女「…………」モンモンモン


先生「じゃあ皆さんさようなら、気をつけて帰ってね」

生徒「はーい!」

少女「(あれから色々考えたけど、私がああなるのは無理だわ)」

少女「(しかしお母さんがこのまま男くんと私を比較して悪口言い放題なのは嫌だ……)」

男「ばいばーい……」ひょこひょこ

少女「うむむむむ……」

少女「(私はああなりたくない。なれない。無理。)」

少女「(一体どうすれば……は!!)」

少女「おい男くん!男くんうちにご飯食べに来ない!?」


男「え!?しょ、少女ちゃん……?え、僕……!?」

少女「そう、男くん。今からうちいくぞ、ご飯食べにきて」

男「え?え?」

少女「ほらさっさと行く!」

男「ふえええ……?」

少女「(私が痩せなくてもいい、逆にこいつを太らせれば、お母さんももう文句は言えまい……!)」

少女「ねえ男くん、男くん何か臭わない?風呂入ってんの?」

男「え、あ、え……あのゴメン、僕あんまり入ってないかも……」

少女「え、そうなんだ。いいなあ、うちお母さんが毎日うるさいよ、入れ入れって」

男「そ、そっか……」

少女「ねー男くん、何でそんなほっそいの?ダイエットとかしてるの?」

男「あ、いや、あの、……僕あんまりご飯食べないから……」

少女「あそうなの?なんで?」


男「あ、あの。あのね、ママが忙しくてね、ご飯とかあんまり作れないの。それで……」

少女「え、大変なんだねー(それが理由か。困ったな)」

男「う、うん……」

少女「じゃ、これから毎日うちにご飯食べにこい。約束な」

男「え!?」

男「い、いいの……!?でもっあのっ迷惑じゃ……」

少女「来ないほうが私に迷惑なんだよ。いい、決定な」

男「うん!うん!」






少女「というわけで、お母さん。今日から男くんうちでご飯食べるから」

男「あ、あの……すみません、あの……」

母「……そうきたか娘。まあいいでしょう、男くん、お母さんに連絡入れるわね。」

男「あ!あのっママは、あのっ多分家にいないから……」

母「え?」

少女「男くんのママ、忙しくて男くんのご飯も作れないらしいよ」

母「……!そうなの」

母「まあそれなら仕方ないものね。男くん、ご飯の前にお風呂入ってらっしゃい。着替えは貸すから」

男「え……!?」

少女「そうだね。男くん臭いし」

スパーンッ

少女「あてっ」

母「ささ、男くんお風呂こっちよ」

少女「ひーっ頭痛いいっ」

母「……少女ちゃん。」

少女「な、何よっ」

母「ああいうことは言っちゃだめなのよ、分かったわね」

少女「はーい(だって臭いのに)」


祖父「ありゃ、今日はお客さんきてんのかー!」

祖母「まあまあ可愛い男のこねぇ」

男「あのっ少女ちゃんの同級生の男です!今日はありがとうございます!」

母「少女ちゃんと違って男くんは礼儀正しいでしょー。少女ちゃんも見習いなさいね」

男「そそっそんなそんな……!すみませんすみませんっ」

少女「……!ぐぬぬぬ……!」

母「さあ男くんもお腹いっぱい食べてってね!」

全「いっただっきまーす!」

男「……!うわあおいしい……!僕こんなおいしいご飯初めてだ……!」

母「まあそお!?嬉しいわあ、ホラ、いっぱい食べてね!こっちもどうぞ!」

男「………っ」ガツガツガツ

祖父「男の子はやっぱりこんぐらい食べっぷりが良くないとな!」

祖母「ええー?あら、食べっぷりなら少女ちゃんも負けてないわよね?」

少女「」





少女「宿題なんてしたくなーい!ゲームやろうよゲーム!」

男「だ、ダメだよ少女ちゃんっほら、宿題少しだからやっちゃおうよっ」

少女「男くんは真面目すぎるな。はああー……」

母「あら!少女ちゃんが宿題やってるなんて珍しい!男くん、ありがとうね!」

男「あっいえっそんな、これくらい普通ですっ」

母「まあまあ、男くんは本当に偉いのねえ、ちょっと少女ちゃん、本気で見習いなさいよ」

少女「……!(な、何から何まで……!)」

母「それと男くん、お母さんに連絡したんだけど、今日は迎えにこれないそうだから、うちに泊まっていきなさいね」

男「……っあ、そうなんですか……?あの、でもっそんな迷惑は……」

母「いいのよ。今から一人で帰るなんて危ないからね。明日学校の準備しに家に寄ってから行くといいわよ。ね?」

ありがとうございます。
女に修正します。

男「え……い、いいんですか……!?え……っ」

女「(チャアアーンス!)じゃ、男くん!お菓子でも食うか!」

母「あんた何言ってんの!歯磨きもしたしもう寝るのよ!」ペシンッ

女「ハギャッ」

男「!は、アハハハハハっ」

母「はいじゃあお布団しくわよー」




男「……ねえねえ、女ちゃん」

女「ん?」

男「あの………なんでいきなり僕をおうちに呼んでくれたの?僕、みんなに汚いって嫌われてるのに……」

女「」ギクッ

女「た、たまたまだ、たまたま。」

男「た、たまたまなの!?」

女「そう、たまたま。まあいいだろ、明日からもうちでご飯食べて早くしっかり肉つけてね」

男「……!う、うんっおやすみ、女ちゃん」

女「おやすみー(危ない危ない)」





女「いってきまーす!」

男「い、いってきまーす!」

祖母「いってらっしゃい。女ちゃん、男くんのおうちに行ったあとは、変な寄り道しないでちゃんと学校に真っすぐ行くんだよ」

女「わかってまーす」

タッタッタッタ




女「ここだっけか?男くんの家」

男「……うん」

女「……」

男「……」

女「何してんだ、早く荷物まとめてきてよ」

男「……っう、うん!すぐ戻るねっ」

女「……何か庭が雑な家だな……」




女友達1「おはよー女ちゃん。ね、何で男と一緒に学校きたの?」

女「おはよう。ちょっと夢と野望があって」

女友達1「ふうん……?でも気をつけた方がいいよ、男と遊んじゃいけないって、うちの母さん言ってたし」

女「は?」

女友達1「男の家、母子家庭でお母さんが変な人なんだって。関わっちゃダメってお母さん言ってた。第一男汚いじゃん」

女「ふーん?うちのお母さんは別に何も言ってないよ」

女友達1「とにかく、あんま関わんない方がいいって」

女「へー……」

女「(私が目指せと言われている男くんがそんな言われようだと困るぞ)」

女「(これは……とにかく毎日風呂に入れて、男を綺麗にしないとダメだな)」






男子1「何だよ何だよー、男、お前女と学校きたのか?」

男子2「あのデブとー?お前らデキてんだろー」

男子3「うわーキモカップルじゃーん」

男「………」

女「おいこらてめえら」

男子s「げっ女!?」

男「女ちゃん!?」

女「しね!百貫アタック!」ドコッ

男子1「ゲフウッ」


女「このおおお!」バッチイインッ

男子2「ビャッ」

女「次はああ」

男子3「ひいっウワアアンッごめんなさいいっ」ダッ

男子12「ビャアアアアンッ」ダダダダッ

女「はあ、はあ……」

男「おお、女ちゃん……?」

女「どうだ」

男「え……!?」

女「……デブも、悪くないだろ……?」

男「へええ……!?」

女「男くんも早く大きくなって、あんなもん撃退できるようになんないとな。いっぱい食べて太ったらできるようになるから。ね。早く太ろう、ね」

男「……っお、女ちゃん、ありがとうう……っ」

女「!?なっ泣かないでよ男くん!何かされたのっ!?」

男「ううんっありがとう女ちゃんっ僕いっぱい食べて、強くなるね……!」

女「!そうだよ!早く太ろうね男くん!(何か知らんがヤッタ!)」

男「うん……!うん……!」




女「たのもー!!」バアアンッ

男「お、お邪魔しまあす」

祖父「あれー女ちゃん、今日は随分早いんだなあ。男くんお帰り」

男「た、ただいま……!です!」

女「じい様!よはおやつを所望じゃ。はよう出してたもれ」

祖父「はいはい、今日は男くんもいるしお好み焼きでも作るかあ」

女「はよう!」

祖父「手伝いなさい!ああこらっランドセルは部屋に持ってけって!僕がお母さんとばあさんに叱られるからっ」



男「も、もうお腹いっぱいだよ女ちゃあん……グッ」

女「まだ入るだろ!ホラホラッ」

男「うわあああ……」

祖父「どっちが男だかわからん……。こらこら女ちゃん、普通はもう無理だから、無理強いはよしなさい、ね」

女「えー?じゃああと私が食べるからいいよ」ハグハグハグ

祖母「ただいまー。あら、おいしそうな匂いがすると思ったら。おじいさんのお好み焼きは鉄板ですもんね」

祖父「ばあさんお帰りー。今はホットプレートだけどな。ハッハッハ」

女「ばはひゃんふぉはへり」

男「あ!お帰りなさい!お邪魔してます……!」

祖母「女ちゃん口にモノ入れたまましゃべらない。ただいま。男くんきてたのねー。よおし、今日はすき焼きよー!」

祖父「おおー!いいな!」

女「ふぁっふぁー!」

男「え!?夕飯!?」


男「………ゲプゥ」

女「はー食べた食べたー」

母「女ちゃん、後片付けお手伝いしてー」

女「はいはーい」バタバタ

男「……!あっ僕もやります!」

女「えー?いいから寝てなよ(運動させたらうまく太らないかもしれないし)」

男「皿洗いしたいんだ……!女ちゃん、お願い……!」

女「えー(まさか私の陰謀に気付いてるんじゃ……)」

母「じゃ、ここは女ちゃんと男くんに任せるかな。母さんはあっちで洗濯物してくるから、よろしくね」

女「あーい」

男「はい!」

女「男くんそれまだ泡残ってんぞ」

男「えっああっごめんなさいっ」

女「私も母さんによく言われてるから」

男「へー……ね、女ちゃん」

女「んー」

男「皿洗いって楽しいんだね」
女「?そっかなー?めんどくさいだけだけどなぁ……(変わってんなコイツ)」






女「男くんまたうちに泊まりになっちゃったけど、お母さん大丈夫なの?」

男「……!あ、うん……うちのお母さんは、特に……。女ちゃんこそ大丈夫?僕迷惑じゃない?イヤじゃない?」

女「あー……(男くんがいると宿題逃げられないからなー。でもまあ)私は楽しいんだけど。ゲーム一緒にやってくれる人、今までいなかったし」

男「……!ほ、本当……!?」

女「だからとにかくいっぱい食べて早くおっきくなりなよ。そしたら……つ、強くなるからな!うん」

男「うん、うん……!」

女「さあゲームやるぞー!これ協力プレイにした方が楽だし、相手探してたんだよー」


~~~~一週間後~~~~~

女「……男くんなかなか太んないんだな」

男「ふ、太ったよ結構?服きつくなっちゃったし」

女「(どう見てもまだまだ痩せ型だろ……)」

男「まっまだそんなにおっきくはなれてないけどっ僕頑張るから!強くなるから!」

女「あ~~~……そういうことじゃないんだよなー」

男「え!?」

女友1「女ちゃーん、また男といるのー?」

女友2「そいつ汚いしきもいし、一緒にいるのやめなって、いい加減」

男「……!」

女「こいつのどこが汚いんだ。この服もうちで洗濯してるし、風呂も毎晩入ってるよ」

女友1「え……?嘘、男、女ちゃんと一緒に暮らしてるの……?」

女友2「えー!?」


女「(メンドクセー)うちに泊まってるだけだよ。男くんのお母さん、仕事で夜いないから。子供だけだと物騒でしょ?」

女友1「男のお母さん?仕事?……女ちゃん、だから前に言ったじゃん。」

女「前?」

女友1「男のお母さん、変な人なんだよ。男を構わないで、男の人と遊び歩いてるんだって。うちのママ言ってたよ」

女友2「それ本当~!?やだ、男ってママに捨てられてんだ……」

男「!!」

女友1「だから男、ガリガリで汚いんだよ、女ちゃん。だから女ちゃん、いい加減男には───」

女「そうだったのか!」

女友12「!?」

男「!?」

女「(男くんがガリガリなのは男のお母さんのせいだったのか……!なら話は早い。男くんのお母さんに直談判してみよう……!)」

女「ありがとね、女友1。私男くんのお母さんと話してみるよ」

男「お、女ちゃん!?」

女友1「ええ!?いやあの女ちゃん!それは危ないから駄目だよ!」

女友2「そうだよ!そんなことしたら駄目だよ!」

女「やれることはやっておかないとさー。男くん、男くんのお母さん今日うちいるの?」

男「……駄目だよ、女ちゃん。女友1ちゃんの言うとおりなんだ」

女「え?」

男「うちのお母さん、僕よりも他の男の人が好きなんだ!だから女ちゃんに会わせらんないよ、女ちゃんにもしものことがあったら僕……っ」

女「ええっ」

女友1「絶対駄目だよ女ちゃん!……うううっうわあああんっ」

女友2「男のママのせいで女ちゃんが怪我しちゃうー!うわあああんっ」

男「………っう、うう……っグズッ」

女「な、ちょ、え、え……!?待って!分かった、分かったから!みんな泣かないでよおおお!」

女「(参ったなあ……男くんがガリガリな元凶をせっかく見つけたっていうのに……あれ?待てよ……)」



男子1「おい、デブ」

女「……あ?」

男子1ビクッ「お、お前男と暮らしてるんだろ?お前ら結婚すんのかよ、ガリキモとお前じゃお似合いだな」

女「あっそ。お前なんてその性格の悪さじゃ一生モテねえよ。ひがみか?」

男子1「……!うっううっ」グズ……ッ

女「馬鹿じゃないの?自分から売った喧嘩で泣くとか……」

男子2「あー!デブ女が男子1泣かせたー!せーんせぇに言ってやろ!」

女「」ゴンッ

男子2「ぎゃあああんっうわーっ痛いよおおー!」

男子3「あっこのデブ……!」

男「おっ女ちゃんを虐めるな!」バッ

女「男くん!?」


男子1「うっせえ男!お前女に気に入られてるからっていい気になるなよな!」

男子2「そーだそーだ!」

男「うるさい!女ちゃんは僕が守るんだ!」ガバッ

男子s「やるのかあ!」

女「わああ男くんよせ!もーっ」

ワーワー!ワーワー!




母「で、男くんはこんなに傷だらけなわけね」

男「すみません……」

母「謝らないで。うちの女ちゃんを庇ってくれるなんて、男くんぐらいなものよ。ありがとうね」

男「……!いえっそんな……!」

母「で、男子三人相手にして、あの子だけは無傷とか……我が子ながら凄まじいわぁ」

祖父「女ちゃん!女が男子相手に喧嘩なんかしちゃだめだろ!挙げ句余所様の子供まで巻き込んで……」

女「怪我なんかしたらしたでそれだけでしょ。ふんっ」

祖父「まーったく女ちゃんは……」頭抱え

祖母「母、ちょっと……」

母「……うん。あっちの部屋行きましょう」

祖母「男子くん達のお母さんから電話きたよ。うちの息子に怪我させて、どう責任とるんだって」

母「まあ来るでしょうね電話。お母さんありがとうね。次から私が出るわ」

祖母「まーったく。女ちゃんは悪いことしたわけじゃないから、私謝んなかったわよ」

母「ははは。でも謝っとかないと角が立つからね。仕方ない、私が謝罪しとくわ」

祖母「嫌な世の中になったもんねえ。昔なら、女と喧嘩なんてしようもんなら、男の親が頭下げるのが普通だったのに」プンプン

母「変な世の中になってきてるんだよ、お母さん」


女「おじいちゃんパンケーキ!」

祖父「もう夕飯だよ女ちゃん……」

男「……………」




女「宿題終わったー!さあゲームゲーム!明日は土曜日だから今日はラスボスまで突っ走るぞー!」

男「……女ちゃん」

女「ん?」

男「いつもありがとうね。でも、僕、……明日からはもう来れないよ」

女「え?」

男「明日は昼には母さん帰ってくるから、僕明日からはちゃんと家でご飯食べるよ」

女「はああ!?えっでも……っ男くんまだ全然ふとっいや、大きくなってないじゃん!」

男「いや、本当に今まで美味しいおやつやご飯食べさせてもらって、十分大きくなれたよ。」

女「(足りねえんだよおおおお!)」

男「だから、今日は早く寝るね。ゲーム、最後まで一緒に出来なくてごめん……」ゴソゴソ


女「いやゲームもあれなんだけど、いやゲームはどうでもいいんだけど……」

男「ごめん。……女ちゃん、本当にありがとうね。学校でも庇ってくれて。でも僕もう大丈夫だから。女ちゃん、今までみたくみんなと仲良く遊んでね?」

女「はああ……?」

男「僕、女ちゃんが構ってくれた間、今までで一番幸せだった、ありがとう……」

女「(何を言い出すんだこいつは)」

男「でも僕といると、女ちゃんが大変だから。もう僕には構わないで……」

女「いや別に大変じゃないけど……」

男「………」

女「………」

男「………ウッグスッヒクッヒック……」

女「!?(何で泣いてんだ……)」

男「」グスグス

女「(何かはわかんないけど、作戦失敗してるな……)」

女「(やはりこれは……乗り換えるしかない。別な路線に)」



男「女ちゃんのお母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、本当に今までありがとうございました」

母「男くん、こちらこそ助かってるのよ?男くんが来てくれなきゃ、女ちゃん宿題なんてぜんっぜん出来ないんだから」

祖母「そうよお。だからまた是非遊びにきてほしいのよ?」

祖父「そうだぞ男くん」

男「でもこれ以上は迷惑かけれません。本当にありがとうございました。では、失礼します」ダダダダ……ッ

母「あ!男くん……!やだ、急にどうしたのかな……」

祖母「……!あ、母……!まさか昨日の、男くん聞いてたんじゃ……!?」

母「あ……!もうっ子供が気にすることじゃないのに……!」

祖父「男くん、ありゃお母さんネグレクトだろ。近所で聞いてみたら有名だったぞ。帰って大丈夫なんか……」

祖母「まあ……!小さい子があんなに細っこくて、おかしいと思ってたのよ……!」


祖父「……児童相談所あたりに、相談しないといけないのかもしれないな」

祖母「だったら急がなくちゃおじいさん。どうしてあんな良い子にそんな虐待なんて酷いまね出来るのかしら、私もう信じられないわ……!」

母「……駄目だよ母さん、父さん。確証がないと危ないよ」

祖父「しかし母!何か取り返しのつかないことになってからじゃ遅いんだぞ……!」

祖母「そうよ。誰か大人が守ってやらないと、子供は自力じゃ生きていけないんだから……!」

母「うん……。………」

女「ふわああ、おはよー。お腹減ったあ~~~」





男「……はあー……」

男「……もう5時か。やっぱり母さん帰ってこないや……」

男「お腹減ったなあ、うちじゃ、何も食べるものないしな……」

シ……ン……

男「(女ちゃんの家じゃ、今頃夕飯だろうな……)」

男「(女ちゃん、今頃何してるだろ)」


男「(きっと怒らせちゃったよね、いっぱい優しくしてもらったのに、逃げるみたいに出てきちゃった……)」

男「(女ちゃんも、お母さんもおじいちゃんもおばあちゃんも、きっと怒ってる……)」

男「(暗くなってきた……僕の家は、電気もつかない……お母さんまた払ってないんだな……)」

男「……女ちゃんの家、いつも明るくて暖かくて楽しかった……女ちゃん、女ちゃん……一緒に遊びたいよう、どうして僕のうちは、こんなに寂しいのかなあ……」



???「おーい!男くん!」

男「……!?え……!?」

???「いるんだろ!開けてよ!寒いよ外!」

男「え?え!?」ドタバタドタッ

ガラッ

女「よー。男くんの家真っ暗だな。電気つけないの?」

男「お、女ちゃん……!?」

女「電気は?」

男「……!あ、あの、うち今電気止まってて……」


女「電気が止まる?壊れてんの?まあいいや、じゃあ早くうち行こうよ、ここじゃ何も出来ないじゃん」

男「え!?」

女「早く。男くんと帰ってくるまで、私ご飯抜きなんだよ。死んじゃうから」

男「……あっでもっ僕はもう、女ちゃんの家には……っ」

女「はーやーく!晩飯が冷める!あと服とかもっと持ってくぞ!いつも同じ服になっちゃってるじゃん男くん!」

男「いやっだから……!」

女「早く!寒い!」

男「はははっはい……!」

バタバタバタ……ッ

女「……男くんちの中、ゴミだらけだなぁ……うわわ」

女「こんな汚いんじゃ大分大変そうだけど……」

女「やるしかないよな。修行はきつければきついほど有効だし」

男「ごめんっ荷物まとめてきた……!」ハアッハアッ

女「よし、じゃあ早くいこー。寒いし暗いしお腹へったよ」


男「……女ちゃん、僕迷惑かけちゃうのに、本当にまた行っていいの?」

女「こない方が迷惑だよ(太らないうちは)。今日はステーキなんだから。男くんほら、鞄一つ持つよ」ヒョイッ

男「……ううう、女ちゃんありがとう!ありがとう……!わああんっ」

女「!?何で泣くの!」

男「うわあああ~~~っ」

女「(女より男の方が泣き虫だろ絶対……)」

トボトボトボ





男子1「おいデブ、それにゴミ男!」

女「またお前らか」

男子2「……!おっお前らなあ、いい気になるなよ!うちのお父さん達がな、今日先生達と話し合うんだぞ!」

女「はあ」

男子3「お前らが俺達のこと怪我させたからだ!叱られちまえ!デーブ!バーカ!」

男「え……!?」


女「あっそお。じゃ、もう叱らるの決まってたらどうでもいいもんな」ニコッ

男子s「え」

バキドコッグシャッ

担任「で、本日皆様に集まっていただいたわけですが……」

女「」ムス

男「……」

母「初めまして。私女の母です」

男子3母「あなたがこの暴力女の母親なんですね。うちの男子3くんになんて事を……!可愛そうに、そんな巨体にタックルされて苦しかったって、あの子一晩中泣いてたんですから……!」

男子2父「どういう教育をしてるんだあんたは!?暴力なんて最低じゃないか!」

男「……!違うっ女ちゃんは僕を庇ってくれただけで……!」
男子3母「子供は黙ってなさい!」

男「……!」

男子3母「とにかく!これは由々しき問題ですよ!先生!女さん母さん!どう責任とるおつもりなんですか?」

男子2父「そうだぞ!この場だけの謝罪なんて求めてないからな!」

ギャーギャー!

担任「まあまあ皆さん、落ち着いて……!」

母「すみませんねぇ」

女「(すげえな、このおばさんとおじさん、うちの母さんより喧しいわ)」

担任「ほら女ちゃんも謝って、ね?もうあんなことしないよね?」

女「……はい。もう男くんを汚いだのゴミだのキモイだの言ってる男子sに暴力振るったりしません。ちゃんと「いじめはだめだよ」って、口で説明します。すぐ泣いちゃうし」

母「ほほほ、そうよねえ(あちゃーさすが我が子だわ)」

男子3母「……っ!な、うちの子がそんな事言うわけないわ!暴力女な挙げ句にそんな嘘までつくなんて!先生!お母さん!どんな教育をしてらっしゃるんですか!?」

担任「女ちゃん……!」

男2父「最悪だな!子育てもまともに出来ないのか!これはpta会議でとことん追求しないと。うちの子だけじゃなく、今度他の子に暴力なんて振るわれたらどうするんです!?先生!」

担任「」オロオロ

母「お言葉ですが、うちの子は……」

男1母「この度は誠に申し訳ありませんでした」

全「!?」

先生「男1母さん……!?」

男1母「失礼ですが。男2お父さん、男3お母さん。自分のお子さんとちゃんと話されましたか?」

男2父男3母「……!?」

男1母「私は昨日、しっかり聞いてきたんですがね。うちのクソバカ、男くんを虐めてたそうです。今日も女ちゃんに殴られたってことは、男1がまた何かやったんでしょう。女ちゃん、男くん、女お母さん。本当にごめんなさい。」

母「いやー……(あらら、男子1くんお母さんてば)」

男子1母「先生。そういうわけなので、皆さん一度自分の子としっかり話し合う時間が必要だと思います。それからでもいいですよね?また話し合うのは。」

担任「え、えっと……?」


男子2父「男子1くんお母さん……!?あんた何をっ自分のお子さんが殴られてるんですよ!?」

男子3母「自分のお子さんが大事じゃないの!?」

男子1母「ですから、うちのクソバカは女ちゃんに殴られて当然のことをしたんですって。……あなた達も大丈夫ですか?もし虐めが本当なら、お子さんのことを謝罪させて恥をかくのは、親の自分達ですよ?」

男子3母男子2父「……!」

男子1母「じゃ、そういうことで。お互い子供が可愛いからこそ、しっかり事実確認しましょうね」





母「男子1母、あんた良かったの?」

男子1母「それより本当にごめんね!また帰ってから説教だわ、はー……」

母「しかし最初聞いた時はびっくりしたわよ、あんたの男子1くんがねー……」

男子1母「それがさー、男子1を庇うわけじゃないんだけど……」

母「?」

男子1母「うちの子、女ちゃんのこと好きなんだわ。だから男くんが女ちゃんに急に構われだして、嫉妬したみたい。ごめんね」

母「えーマジで!?アッハッハ!そりゃないでしょー、あのおデブだぞ!?」

男子1母「それがマジなのよ。ぶっちゃけ喧嘩ばっかふっかけてたじゃない、いつも。愛情表現最悪なんだけど。つか家で女ちゃんの話しかしないしね」

母「あれまー、何と物好きな。それにしても今日のあんた、輝いてたわよ。昔と何も変わってないのね。格好良くて惚れるかと思ったわ」

男子1母「でしょでしょ?私もスカっとしたわ。あんな親を持つ子供と同級生ってのが笑えないけど」

母「まあねえ……時代変わったよね」

男子1母「……うん。」

男子1母「それよりも!マジで叱らなきゃうちのクソバカ!もーっ我が子ながら情けない……!」

母「まあまあ、昨日はちゃんと全部正直に話したんでしよ。ほどほどにね」

男子1母「でも今日も何かやってるし、信じらんないもーっ女ちゃんに怪我がなかったのだけが幸いだよ、本当に申し訳ないっ」

母「それ言うならうちこそごめんね!暴力は駄目って、うちもちゃんと教育しなおさなきゃ……はあ……」

男子1母「何で。女ちゃんはかっこいいよ。真っすぐでさ、さすが母子の子供」

母「男子1母子に言われると照れるからやめて」

男子1母「ははは………にしても、母子。」

男子1母「あんた……男くんのお母さんは本物だよ。気をつけな」

母「!うん」

男子1母「今日だって話し合い放棄でしょ。ネグレクトで遊び人、有名だよマジで」

母「実はね、男子1母子、今回のこの騒動、殆ど私のせいなんだよ……」

男子1母「っえ?」

母「女ちゃんあんなんじゃない。毎日毎日めちゃくちゃ食べるし、ジジババもあげちゃうからさ……男くん見習って痩せなさい!て叱ったの」

男子1母「ちょwww」

母「私男くんが虐待されて痩せてたなんて知らなかったからさ、ついクラスで一番ちっちゃくて痩せてる男くんの名前出しちゃったんだよね……。何というか、知らなかったとはいえ、男くんに申し訳なくて死にそうだよ……」

男1母「あらまー」

母「そしたらうちの子、何をどう判断したのか分からないんだけど、男くんうちに連れてくるようになって。……で、男くんの身なりとか話しとか改めて確認してみて、あ、これはもしかしてって、漸く分かったのよね……」

男子1母「そういういきさつかー!仕方ないよね、あんた昔っから人の噂話とかまるっきり興味なかったし」

母「それにしてもね。お父さんが近所で探り入れて分かるくらい有名なんだもん、私自分に呆れ返ってるよ……」

男子1母「あんたらしいよ。……でも私、正直に凄いと思うよ?」

母「え?」

男子1母「だって、知らなかったとはいえ、ここ二週間くらいずっと男くんにご飯とか食べさせてあげてるんでしょ?てか、住ませてるようなもんじゃん?普通出来ないよ」

母「それが男くん凄くしっかりしててさー、女ちゃんも男くんに言われると宿題やるし、正直うちが助けられてるぐらいなんだよ。ジジババも男くんお気に入りだし」

男子1母「あの男くん、正直前は大人しい通り越して、暗かったじゃない。そんでガリガリだし服汚いし……それが今日は結構身体も肉ついてたし、身奇麗だし、何より、さっき女ちゃん庇って反論してたじゃん。私びっくりしたわ」

母「ね?本当にいい子なのよ」


男子母1「だから、そんなふうに変われたの、たかだかここ二週間、あんたんちで世話してあげたからでしょ?女ちゃんと母子達のおかげなんだよ。それって凄いことじゃない」

母「男子1母子……」

男子1母「これから何があっても、私は母子達の味方だからさ。いくらでも力になるよ」

母「……もう、あんたは……。本当にありがとうね」

男子1母「ははは、昔っからの馴染みじゃない。」

母「うん。……ね、今度うちにみんなでご飯食べにでも来ない?男子1くんも一緒にさ。私腕によりかけて料理するよ!」

男子1母「え?どうしよっかなあ、母子の家行くと太るんだもん、めっちゃ美味しい料理が山盛り出てくるから」

母「もーあんたは!」

アハハハハ






男子1「おいデ……女!」

女「ああ?またお前かよ」

男「……!」


男子1「そんでガリ男……いや男!」

男「!?は、はいっ!?」

男子1「この間までは悪かった。俺最低だった。もうしないから、仲間にしてくれ」

男「え……!」

女「えーいらねえ」

男子1「!?何でだよ!?」

女「だってすぐ泣くんだもん」

男子1「……!!なっ泣かね……っ」ウルッ

女子1「女ちゃん仲間にしてあげなよー、男子1くん泣いちゃうよー」

女子2「可哀相だよ」

女「えー!?」

女子1「ねえ男くん。男くんからも何か言ってあげなよ」

男「え……!?う、うんっ女ちゃん、仲間ハズレはよくないよ」

女「ええ!?」

男子1「そ、そうだぞ女……!仲間にしろよ!お前は虐めっこかよ!」

女子2「男子1くんが言うとへーん」

男子1「な、なんだとおっ」

女子1「……ね、女ちゃん、私達もごめんね?女ちゃん一緒じゃないとやっぱり寂しいよ、また前みたいに皆で遊びたいの……」

女子2「うん……あと、男くんもごめん。やっぱり仲間ハズレはよくないなって、私男くんに別に悪いことされたワケじゃないのに……男くん凄いよね、女ちゃん庇って男子くん達と喧嘩するんだもん、見直したよ」

男「えっそんな……!僕は……!」

女「もー何か知らないけどみんなうるさーい!よし!じゃあ今日は全員うち集合!ゲーム大会するぞ!」

女子12「わーい行く行く!絶対行く!」

男子1「お、おう!俺負けねーからな!」

男「……!うん!みんなでゲームしようね!女ちゃん!」

ワーワー

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年02月09日 (火) 11:44:22   ID: qad0CGrm

全俺が泣いた。

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