楽「なんか千棘がデレデレになった」 (283)
千棘が楽にでれでれになる話です
設定・言動等ミスがあったら申し訳ないです
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朝 通学路
楽「おはよー」
小咲「あ、一条君!おはよう、今日はすごくいい天気だね」
楽「あぁ、そうだな」
小咲「・・・」キョロキョロ
楽「・・・」
小咲「・・・」キョロキョロ
楽「・・・? どうかしたか?」
小咲「う、ううん!何でもないよ」
小咲「(どうしよう!今、すごい自然な形で一条君と二人きりになっちゃってる!うわぁああ、どうしよう...)」
小咲「(な、なんか話さなきゃ)」
小咲「─あのね、昨日」
千棘「ダーリン!おはよー!」タッタッタッ
楽「ん?あぁ千棘、おはよー。ってなんで走りながら?そんな遠くから挨拶しなくても」
小咲「」
千棘「楽ーー!!」タタタタタタタタタ
楽「ん??な、なんだ?」
千棘「楽ぅー!」ギュッ
楽「!?」
小咲「!?」
千棘「あー、やっぱり落ち着くわねーあぁ...」スリスリ
楽「え、ちょ、ち、千棘?」
千棘「楽、おはよー!」スリスリ
楽「ど、どうしたんだよお前」
千棘「どうしたって?なにが?私はただ、ダーリンが抱き心地がいいから抱きしめてるだけだけど?」スリスリ
楽「な、なんか可笑しいぞ?熱でもあるんじゃないのか?」
千棘「熱だなんて!あるわけないじゃないのー!」スリスリ
小咲「」
楽「(あぁ!小野寺が硬直している!?)」
楽「ほ、ほらあの、無理に恋人のフリとか今はしなくていいんだぞ?な?な?」
千棘「─恋人のフリ...ねぇ。楽、私たちこのままでいいの?」
楽「へ?」
千棘「私たち─偽者の恋人のままで、いいの?」
楽「」バタッ
千棘「! 楽!大丈夫!?」
小咲「」シーン
教室 昼休み
楽「(く、くそ!なんか可笑しいぞ今日のあいつは!
─いや、可笑しいってレベルの問題じゃない...食事に毒でも盛られたんじゃねぇか!?)」
楽「(さっきだって、
俺が配布物を運んでるときに手伝ってくれた─まではいいんだが、
ずっと笑顔で俺に話してくるし...。
俺にすりすりしてくるし...。
挙げ句の果てに『偽者の恋人でいいの?』だなんて...)」
楽「(普段のあいつがどれだけ頑張ろうとこんなになるとは思えないし...。
演技ではないんだろうな。
そもそも人目のつかないところで俺にデレデレする演技をする必要はないし)」
楽「(なんか気が狂っちまいそうだ...。でも・・・正直)」
楽「─可愛いかったな」
るり「なにが可愛いの?一条君」
楽「うおわぁ!?」バタン
るり「ちょ、そんなびっくりしなくてもいいじゃないの」
楽「だ、だって」
楽「(しまった、声に出してしまった!
しかも一番聞かれて誤解を受けそうなワードを!)」
るり「なんかさっきからうっとり顔で妄想に更けてるなぁ、
って思って近づいてみたら開口一番『可愛かったな』だもの。
ただの変態じゃない」
楽「そんな緩い表情になっていたのか!?」
るり「それはもう、とろけてたわね」
楽「(油断し過ぎだろ俺...)」
るり「何が可愛いかったのかはあえて聞かないわ。
それで全く関係のない話なんだけど、
今日はなんだか妙に千棘ちゃんと仲が良いわね」
楽「(こいつ絶対気づいてる!)」
楽「え?ああ、そうかな?
イツモトカワンネーンジャネーカナー?」アハハハハ
るり「あなたと千棘ちゃんが仲がいいっていうよりかは、
千棘ちゃんから仲良くしてきてるって感じだけど─一条君にそんなことする娘だっけ?あの子」
楽「(鋭すぎる・・・!)」
ガラガラッ
千棘「楽ー!ご飯食べに行きましょ、屋上に」
るり「あら、噂をすれば影ってやつね。じゃあ、あとはお二人で仲良くどうぞ?」タタタタタ
楽「あ、ちょ」
千棘「ん?どうしたの?行きましょ」
楽「どうせなら、皆と食べないか?小野寺とか宮本とかと一緒に─」
千棘「うーん、それもいいけど...。私はやっぱり」
千棘「楽と二人きりがいいかな!」ニコッ
楽「グハッ!」
楽「(!! また朝っぱらみたいにぶっ倒れるとこだったぜ・・・)」
楽「(なんだろうな。こいつがそういうこと言うと、普段言わない分ドキッとするな...。)」
楽「あぁ。行こうぜ、屋上」
千棘「うん!行きましょ!」
タッタッタッ...
るり「・・・」
るり「まるで本物のカップルね...」
小咲「るりちゃん、そろそろお昼にしない?」
るり「・・・」
小咲「るりちゃん?」
るり「─小咲」
小咲「何?」
るり「あなた、今日あたりにでも一条君と付き合っちゃったほうがいいわよ」
小咲「」ブーーーー!!
小咲「─な、いきなり何てこと言うのるりちゃん!」
屋上
千棘「眺めがよくていいわねー」
楽「あぁ、そうだなぁ」
千棘「じゃあその辺で食べましょ」
楽「了解」
楽「(本当に大人しいなこいつ。
蹴る殴るとか一切してきてこねぇ。
なんというか俺も蹴られるのがすきなわけじゃねぇけど、調子狂うな)」
千棘・楽「いただきまーす」
パクパクモグモグ
千棘「んー!!美味しい!!
やっぱり屋上で食べるお弁当は格別ね!」
楽「そうだな、俺もそう思うよ」
千棘「楽もそう思う?なんでなんだろう?」
楽「外だからじゃないか?風とか、気持ちいいからかな?」
千棘「あー。で
も私はそれだけじゃないかな、おいしく感じる理由」
千棘「楽と食べてるからっていうのもあるかもね」
楽「」ブーーーー!!
楽「ゲッホゲホ・・・ふぅ」
千棘「だ、大丈夫?」
楽「(いきなりなんてこと言うんだ)」
千棘「そうだ!私のお弁当一口食べてみる?私が作った訳じゃないんだけどね」
楽「ん?あ、いいよ。残り少ないしお前の食べる分が減っちゃうだろ?」
千棘「大丈夫大丈夫!正直結構お腹いっぱいになってきちゃったから...」
楽「─そういうことならありがたく頂戴するか」
千棘「うん!分かった─じゃあ口開けて」
楽「────────ん!?」
千棘「だから口開けてってばー」
楽「え、まさか」
千棘「当たり前じゃないの、『あーん』ってやるのよ『あーん』って」
楽「そ、それじゃまるで本物のカップルみたいじゃねぇかよ!!」
千棘「一回やってみたいのよー!お願い♪楽」
楽「(─っ/// こ、こいつ可愛い)」
楽「う、うんしょうがねぇな。一回だけだかんな」
千棘「やったー!じゃあ行くよー」ウキウキ
楽「・・・」
千棘「はい、あーん」
楽「───あーん・・・」
千棘「あーん」
楽「・・・」
パクッ
モグモグモグモグ
楽「お、おお、美味しいな!この玉子焼!」
千棘「はいじゃあ次!」
楽「つ、つぎ?」
千棘「次は楽が私にやるのよ!『あーん』って!」
楽「」
楽「(ままままままままま、まじか!?)」
千棘「ほら!楽って料理上手じゃない?だから私に食べさせてよー!今日のお弁当だって楽が自分で作ってきたんでしょ?」
楽「あぁ、そうだけど」
千棘「じゃあ私に食べさせて!」
楽「(そそそそ、そんなの緊張するだろうが!まさかこいつにそんなカップルのがやるようなことをする事になるなんて思いもしないし!ま、マジでどうしたんだこいつ!)」
千棘「あーん」
楽「─っ!!!」
楽「(俺に向けて小さく口を開けている
─すごい信頼している奴にしかみせないような油断している表情だ!こんなとろけた顔見たことねぇ...。)」
楽「(こ、こっぱずかしいけど。千棘が求めているのならこっちもそれに応じるしかないか─仕方なくだ、仕方なく)」
楽「(うん、そうだな...
じゃあ特に訳もなく手間をかけて作ってきた、
この苺大福をせっかくだから食べさせてやるか。ちょうど2個あるし)」
楽「大福だから、気をつけろよ」
千棘「あいうう!?あうっえ、おおあおおううえうお!?」
楽「喋るなら口閉じて喋れよ!─じゃあ・・・」
楽「(一応言ったほうがいいのか。千棘だって言ってきたんだし...)」
楽「あ、あーん」
千棘「あーん」ワクワク
パクッ
モグモグモグモグ
だいたいこんなふうに書いていきます
今日はここで終わりです
千棘「んんーっ!!お店の大福を食べてるみたいだわ!!
─あ!これ苺入ってるし!美味しいな!」キラキラ
千棘「え、これ本当に楽が作ったの!?」キラキラ
楽「ま、まぁな」
千棘「すごいじゃない!
楽ー、あんた一流シェフとかになれるんじゃないの?」
楽「え、えへへ。そうか?」
楽「(ここまで褒められると嬉しいな...。
しかも千棘がこんなに褒めているなんて。
俺を褒めることなんて殆どないのに)」
千棘「それに比べて私は
─女の子の癖して料理もろくにできない...」ショボーン
楽「え?いやいや、
必ずしも料理が出来ることが女の子である絶対条件ではないと思うぞ。
少なくとも俺はそう思ってる」
千棘「とは言われてもね...。
やっぱり料理が出来るようになったら楽しいだろうなーって。
思うんだよね」
楽「─そう・・・だな。
確かに料理をするのは楽しいことだな。
完成を楽しみにしながら料理を作って、作り終えた達成感とか」
千棘「ふーん・・・。私にはそういうの分からないなぁ」
楽「─良かったら」
千棘「ん?」
楽「─良かったら、教えてあげてもいいけど」
千棘「本当に!?」
楽「あぁ。お前に料理の楽しさを少しでも知ってほしいと思ったから...」
千棘「やったー!!ありがとう楽ー!」ギュッ
楽「うお!?ま、まぁな!」
楽「─で、料理はどれくらい出来るんだ?」
千棘「卵割れない」
楽「!」
千棘「お粥作れない」
楽「!!」
千棘「包丁握れない」
楽「!!!」
楽「(本当に料理の基礎の基礎、
当たり前の当たり前からダメじゃねぇか・・・)」
バーベキューの時に一応ちゃんと野菜カットしてなかったっけ?
千棘「こんなんだけど大丈夫かな...?」
楽「お、おう!任せとけ!卵を割れるくらいにはレクチャーしてやる!」
千棘「うん!ありがとう!あはは、嬉しい!」
楽「じゃあ、いつにする?お前の都合の良い日でいいぜ」
千棘「うーん─今日は?」
楽「ふぇ!?」
楽「(今日!?都合の良い日でいいとは言ったけど!)」
>>37
説明不足でしたね
アニメの『ウミベデ』より前で、夏休み中の設定で書いてます
千棘「! ダメだった!?」
楽「いいや!全然だめじゃないだめじゃない!大丈夫だ!」
千棘「そう!じゃあ今日ね!場所は楽の家で良いわよね?」
楽「あぁ、問題ないぜ」
千棘「よし!じゃ、決まり!
いやー楽しみだなー!
私も卵が上手に割れるようになれるのかなー!」
楽「なれる─とは思うけど...」
楽「(正直、人に教えるのは上手じゃない。
ましてや、卵割りの方法なんてのを人に教えたことはない。
なのに、約束しちゃったなぁ。
それに自信満々に『卵割れるくらいにはレクチャーしてやる!』
なんて言っちゃって!)」
楽「(流れに乗せられて約束しちゃってから若干後悔しちまったよ...)」
楽「(まぁでも。
今のモードの千棘が家に来るのは、ちょっと嬉しいかもな・・・)」
楽「って何考えてんだ俺!」
クロード「──お嬢が一条楽と二人でクッキングだと・・・!?」
その頃 教室
小咲「─っていうことなんだけど」
るり「小咲も気づいちゃってた?」
小咲「気づいちゃってたもなにも・・・目の前で見ちゃったし」
鶫「なるほど・・・お嬢が一条楽にデレデレであると・・・」
万里花「それは頂けないですわね!」
集「聞き捨てなら無いなぁ!」
るり「なにちゃっかり参加してきてんのよ。あんたはお呼びでないわ」
集「まぁまぁー」
小咲「私が気にすることじゃないのかもしれないけど・・・。
千棘ちゃんってあんな感じじゃなかったよね?」
鶫「うん・・・、そうですね。
小野寺様の仰る通り。
お嬢は一条楽に積極的にアピールするような方ではありません」
鶫「どうしたんでしょう・・・?
なにかあったのでしょうか」
万里花「いや、私はそうは思いませんわ。
桐崎さんが秘めていた思いを、さらけ出しただけではないかと」
鶫「な、何を言ってるんだ貴様は!
お嬢が一条楽のことなど好きなはずがないだろうが!
きっと良くない催眠術にでもかかったんだー!」
るり「うーん。
催眠術はないにしても、
秘めていた思いをぶつけたっていうのはあり得るかもしれないわね」
鶫「そ、そうでしょうか...」
集「もしかしてー、あの二人もう結婚しちゃってたりしt...」
ガシッ
るり「あんたは黙ってなさい」グググ
集「─あ、ありがとうございまぁあす!」バシッ!
鶫「け、けけけけけけ、結婚だと!?」
鶫「(結婚...)」
鶫「(一条楽と結婚...)」
─────妄想─────
鶫「お、おかえり、一条楽」
楽「おいおい、結婚したっていうのにその呼び方はないだろー。
俺たちもう、夫婦なんだから」ポンポン
鶫「─っ////」カァァァッ
楽「あははは、可愛いな、誠士郎」
鶫「─そ、そうか?」
楽「あぁ!女の子らしいよ!」
鶫「───楽!!」カァァァッ
─────妄想終わり─────
鶫「(女の子らしいよ、女の子らしいよ、女の子らしいよ、女の子らしいよ...!)」
鶫「っぁあー!!やめろぉー!!かわいくなどなーい!!」
鶫以外「!?」
鶫「・・・・・・・あ」カァァァッ
鶫「や、やめろ!み、みみ見るな」カァァァッ
万里花「あら鶫さん、妄想に浸っておられたのですか?
それはそれは...」フフッ
鶫「き、貴様!」
ガラガラ
るり「あ、帰ってきた」
るり「まぁそういうことだから、あの二人。特に千棘ちゃんに何かあったら教えてね」
小咲「うん、分かった」
小咲「(話切り出したの
私なのにうまくるりちゃんにまとめられちゃったな...)」
トコトコ
千棘「あれ?
こんなに大勢でお昼食べてるって、なんか珍しいわね」
楽「橘と鶫が一緒に弁当を食べているっていうのは、
なんだかあまり見たことのない光景だな」
万里花「あら、楽様。
これは鶫さんがどうしても食べたいと言うものですから、
仕方なく食べて差し上げているのですよ?
仕 方 な く です」
鶫「それはこっちのセリフだ!」
るり「たまたま食べようってなっただけよ」
楽「ふーん」
集「ところで楽ー!
一体千棘ちゃんと屋上で何をしてきたんだー?」ニヤニヤ
楽「え?誘われて・・・一緒に弁当食べてきた」
集「それだけかー?」
楽「べっ、別にそれだけだよ」
楽「(軽くイチャイチャされてたなんて言えない)」
放課後
千棘「楽!一緒に帰ろ!」
楽「あぁ」
トコトコトコ
楽「(今の千棘になんだか慣れつつあるな、
俺。
まるで以前からこうだったんじゃねぇのかって
思わせられるような自然さを感じる...)」
楽「(しかもなんだ。
形式上偽物の恋人ではあるものの、
実際今まででやってきていることは
本物の恋人がやるようなことばっかだし)」
楽「(そんな状況に慣れちまったってことは、
俺は千棘が彼女であっても、
うまくやっていけるかもしれないということなのか...?)」
楽「(千棘が元に戻った場合は分からないけれど、
少なくとも今の千棘だったら、
うまくやっていけるかも?)」
楽「(いやいやいや、
ないはずだ。
そんなことは、ないはず)」
その頃
クロード「そろそろだが─準備は良いな?」
ギャング達「はい!!」
クロード「もし一条楽が不埒な行為、
またはそれに準ずる行為をお嬢に行った場合は即突入だ。
常に警戒していろ」
ギャング達「イエス!!」
クロード「(盗撮カメラ、盗聴器、腕っ節のスナイパー、とか。
準備は万端だ。
誠士郎も呼ぼうとは思ったが
─まぁ一条楽ごとき、誠士郎を用意しなくとも打ち倒せるレベルだろう)」
クロード「(とりあえず!
お嬢がご無事でいられることを祈るのみだ・・・!)」
クロード「はっ・・・!きたぞ!隠れろ!」
サササッ
楽「じゃあ手配はしてあるから、入ろうぜ」
千棘「うん!」
ガラガラ
楽「ただいまー」
千棘「失礼しまーす」
ドドドドドドドドドド
楽「!!?」
「おう!坊ちゃん!お帰りっす!」
「いやぁー羨ましいっすよ坊ちゃん!そんな可愛い女の子と料理ってー!」
楽「お、おう」
楽「じゃ、じゃあちゃっちゃとキッチンに行くか」
タッタッタッ
キッチン
千棘「失礼しまーす...って広っ!?」
楽「あぁ、なんかこのキッチンやたらとでかいんだだよなー。
殆ど俺しか使わないんだけど」
千棘「へぇー」
楽「まぁでも、
設備とかに恵まれてありがたいな。
だてに広いだけじゃないんだぜ?このキッチン」
千棘「たしかに、
レストランの厨房にありそうな機械もあるわね...」
楽「そう!よく気づいてくれたな千棘!
まずこれ、このオーブンは全国のファミレスに設置されているようなオーブンだ!
一般家庭には絶対置いていない!
そしてこの釜戸!
これはピザを焼くだけのために作られた特製の釜戸だ!
一般家庭には絶対置いてない!それに...」
千棘「あ、あのー、楽?」
楽「どうした?」
千棘「ちょっと分からない...」
楽「あ!ごめんごめん」
楽「(しまった。
無我夢中になって話してしまった...)」
千棘「いや、いいのいいの!
楽が料理好きなんだなーっていうのが伝わってきたから!」ニコッ
楽「おう、そう言われると嬉しいぜ」テレッ
千棘「じゃあ、早速始めようよ!」
楽「じゃあ始めるか!」
千棘「おう!」
─卵を割ろう─
楽「まず、
卵にひびを入れるときテーブルの角とか
調理台の角でやったりする輩がよくいるけどな、
あれは駄目なんだ。
本来は平らな面で卵にひびを入れるのがいい」
千棘「へぇーそうなんだー。
角でやるものだと思ってた...」
楽「角でひびを入れると殻が細かくなってしまって
割った時に殻が混入してしまうことがあるからな。
平らな面でやったほうがいい」
楽「まぁとりあえず俺のを見といてくれ」
千棘「うん」
コンコン
パカッ
《卵一個消費》
千棘「おおおお!すごい!ちゃんと割れてる!」
楽「千棘だってこのくらい出来なくはないはずだ!」
千棘「うん!うん!頑張るよ!」
楽「じゃあ、一回やってみてくれ』
千棘「うん、分かった!」
ガンガン
グシャ
《卵二個消費》
楽「ああ!
そんなに強く叩きつけちゃ駄目だ!
叩きつけるんじゃなくて優しくぶつける感じで!」
千棘「あぁ...そうね。
いまいち加減が分からないわ」
楽「──しゃーねーな。
ちょっと手を貸せ。
俺がお前の手を動かしてやっから」
千棘「あ、うん!」
ギュッ
千棘「ひゃっ」
楽「ちょ、変な声あげんなよ!」
楽「(なんだ今の超甘い声...)」
千棘「ご、ごめん///」
楽「じゃあ行くぞ」
楽「まず、卵を軽く持って。
平らな面でコンコンってやる」
コンコン
千棘「うん」
楽「そして、両手を使って優しく開く」
パカッ
《卵三個消費》
千棘「おおおおう!」
楽「こんな感じだ」
千棘「この感覚、気持ちいいわね!」
楽「だろ?」
クロード「くそっ!一条楽!お嬢とイチャイチャしやがって!」ガンッガンッ
カンカン
パカッ
《卵四十五個消費》
千棘「─はっ!出来た!」
楽「おおっ!やったな千棘!」
千棘「やったぁ!楽!ありがとう!」
ギュッウウウ
楽「っ///いや、お前が頑張ったからだよ、
俺は手助けしただけだっ!」
千棘「楽ー!!」
楽「ほら。
まだまだ。
あとお粥作るのと包丁握れるようにするんだろ?頑張ろうぜ」
千棘「おう!」
千棘「あ、あと言い忘れてたんだけど」
楽「ん?」
千棘「私お粥の作り方、分からないわけじゃないんだよね」
楽「おお!それなら早く済みそうだな!」
千棘「作り方ならわかってるんだけど...作り方なら」
楽「(い、いやな予感がする)」
楽「ま、まぁなんとかなるさ」
千棘「あー、
でも...もう午後7時になっちゃったなぁ」
楽「そうだな、
結構時間経っちゃったな。
気づかないうちに夜だわ」
千棘「うーん...帰るの怖いなぁ」
楽「なんだったら、俺がついていってやってもいいけど...」
千棘「え!?いいの!?
じゃあそうしよう!」
クロード「(・・・寒い)」
ザーーーー
千棘「あ、あれ?雨降ってるの」
楽「すごい量だな...。台風並みか?」
千棘「これは帰れそうに無いわね...泊まる?」
楽「え?今なんて」
千棘「帰れそうにないから、ここに泊まろうかな」
楽「ええええ!?」
クロード「ええええ!?」
楽「そ、そそそそそそそれれれはマズいだろ!!
マズいだろ!!」
千棘「ん?そうかな?」
楽「いやいやだって!
高校生が二人でお泊まりだなんてほら、不純だししかも!
─開いていて泊まれそうな部屋って言ったら俺の部屋しかないし・・・」
千棘「楽の部屋!?入ってみたい!」キラキラ
楽「いや、そんな期待しているようなものはないぞ??
─じゃなくてー!やっぱお泊まりはダメだってば!」
千棘「何?楽。
じゃあ私を一人で雨の中帰らせるつもり?
そんな酷いことしないよね?」ウルウル
楽「っえ!?
あー、う、そ、それは、まぁないけど...」
トコトコ
楽の父「お?なんじゃ、二人とも」
楽「親父」
千棘「あのー。
今日、私泊めさせてもらってもいいですか?」
楽の父「ん?あぁ、構わないよ。
お嬢ちゃんの頼みとあらば」
楽「!?」
千棘「やったー!ありがとうございます」
楽「ちょ待てよ親父!いいの!?
本当にいいのか!?」
楽の父「なんじゃあ?楽。
泊めてほしいって言っとるんだから泊めてやればいいじゃないか」
楽「それもそうだけど!」
楽の父「いよいよそういう段階に入ったってことじゃろ?
応援しとるぞ」コソコソ
楽「はぁ!?」
楽の父「嬢ちゃん!
これから夕飯なんじゃが、一緒に食べるかい?」
千棘「はい!是非とも!」
楽「(まじかよ!
いやいやいやいや、同級生の女の子を家に泊めるとか初めてなんだけど...!
どうすりゃいいんだよ!)」
楽の父「じゃ、楽。今から作ってくれな」
楽「」
クロード「今日は張り込みだな...」
ギャング達「zzz...」
クロード「おい寝るなぁ!」
─夕食後─
千棘「ふぅ...さすがに疲れたわ。
すごい質問責め...。
集英組の皆さんって元気ね」
楽「いや、確かにいつも元気なんだけど、
いつも以上に元気だったな。
きっと来客が来て嬉しかったんだろ。
にしても質問しすぎだよなぁ。
容赦なさすぎ」
千棘「とにかく何か質問質問って感じで
『好きな色は!?』って聞かれた時は
もう質問することないんじゃないのかなって
さすがに思っちゃったよ...」
千棘「でも!
楽の料理が美味しかったからそういうのは気にならなかったわね!
特にあの麻婆豆腐!
中華料理店で食べたような味よ!
ふぁあ...思い出すだけでとろけてしまいそうな味だわ」ホワァ
楽「あ、ありがとうな」
千棘「(なんか今日1日で
こいつの見てはいけない表情を結構見ちゃってる気がしてならないな...。
なんというか、プライベートな表情を)」
楽「あ、そろそろ風呂に入らないとな...
どうする?千棘、先に入るか?」
千棘「うーん、いや。楽が先でいいよ」
楽「おう、了解」
千棘「あ!風呂といえば...」
楽「どうした?」
千棘「着替え持ってきてない...」
楽「まぁそもそも泊まる予定じゃなかったからな...
しょうがない」
千棘「この家にないかしら...
ちょっとお父さんに聞いてくるわね!」
数分後
千棘「あるみたい!パジャマと下着が」
楽「へぇー。
うちにちゃんとあったのか。なんか意外だわ」
千棘「じゃあ、私は楽の部屋で待ってるわね」
楽「うん、別にいいけど...なんもいじるなよ?」
千棘「大丈夫よ!なんもしないわ」
風呂
チャポン
楽「ふぅ?・・・」
楽「疲れるなー」
楽「だいたいいちいち反応が可愛すぎるだろ・・・。
あれが素の千棘だっていうのか!?」
楽「デレデレしてるし、
殴りかましてこないし、
あれが俺や他のみんなに普段見せない
本当の千棘の姿なんじゃないか!?」
楽「そうだったら嬉しいんだけど...」
楽「─いや
嬉しいって何だよ!」
楽「俺は何だかあいつを好きになりつつあるような気がする...」
楽「俺があいつのこと好きな訳...好きな訳ないだろうが...」
楽「あいつとは偽物の恋人で、
偽物の恋人のままで、
友達より上の関係になることはないはずなんだ!」
楽「はずなんだってなんだ!
断言すればいいだろ!『はずだ』って!」
楽「でも・・・」
楽「あれが本当の千棘だとすれば───千棘は」
楽「千棘は、俺のことが好きだということになるのだろうか...」
楽「千棘の本心では、『一条楽のことが好き』ということになってるのか...?」
楽「うわぁぁあ!もう分からん!!」
バッシャーン
ブクブクブク
楽「...そんな、結論がでるわけ無いだろ!
俺が千棘のことが好きなのかとか、
千棘が俺のことが好きなのかとか、
こんな浴槽の中で答えがでるわけない・・・」
楽の部屋
ガラガラ
楽「千棘、終わったから風呂入ってきていいぞ」
千棘「あ、うん分かったわ」
楽「(これで少し、休息の時間が出来た...)」
千棘「あー待って。ちょっとついてきて来れない?」
楽「え!?ん、何故だ!?」
千棘「大丈夫よー、一緒に入るとかは考えてはないわよ。
─それとも、もしかして一緒に入りたいの?」ニヤニヤ
楽「なっ!ん、んなわけないだろ!」
千棘「本当?楽、私は別にいいけど?」
楽「恥ずかしいだろうがっ!」
千棘「フフフ、冗談よ冗談!使い方を教えてほしいのよ」
楽「な、なんだそういうことかよ」
風呂入り口
楽「─っていうことだ、分かったか?」
千棘「うん!分かった分かった!」
千棘「─なんだか、今日は楽に教えてもらいっぱなしで申し訳ないわねー」
楽「いやいや、気にしなくていいよ。じゃあ、ゆっくり使ってくれ」
千棘「うん!」
今日はここまでで
ガラガラ
楽「ふぅ...これでようやく休めれるぜ」
千棘「うわああああああ!!?」
楽「(!?
風呂の中から悲鳴が!?てか早速すぎんだろ!)」
千棘「なになに!?」
楽「どうした!千棘!?」
千棘「どうなってるのこれえ!?」
平日は更新頻度が落ちます
6時以降でないと更新できないので、あしからず...
楽「(んん!?
何が起きているんだこの扉の向こうで!!
水音と千棘の声だけじゃ何も分からねぇ!)」
千棘「ちょ、ちょっと来て!楽」
楽「(な、中に入るだと...
で、でも千棘は裸だろ!?)」
千棘「早くー!」
楽「(いや!
そんなこと考えている場合じゃない!
もしかしたら一大事かもしれない!)」
楽「(よし、行くぞ!)」
ガラガラ
楽「大丈夫か!千棘!」
千棘「シャワーが止まらないんだけど!!」ドドドドド
楽「」
楽「(思ってたより、
大したことじゃない...)」
楽「あー、
これはシャワーが壊れちゃってるから駄目だなぁ。
とりあえずだしっぱにしといてくれ」
千棘「ひゃあ!み、見ないでよ!」
楽「み、みてねぇよ」
千棘「え、あの...
み、見てないのね?」カァァァ
楽「・・・あぁ。
見えてないぜ。
なにせ煙が凄くて...」
楽「(本当は見えてたなんて言えないだろ...)」
千棘「本当ね!?」カァァァ
楽「あ、あぁ」
千棘「じゃあ早く!
出てって出てって!
うぅぅ..」
楽「分かった分かった!出るから!」ササササッ
数十分後
楽の部屋
ガラガラ
千棘「あー、さっぱりしたー」
楽「おう、お帰り」
千棘「うん、ただいま」
千棘「あ、さっきはごめんね。
ちょっと...恥ずかしくて、勢いで言っちゃて」
楽「いや全然大丈夫だ、うん。
そんなことより、千棘は大丈夫だったか?
俺に体見られそうになって」
千棘「う、うん恥ずかしかったけど。
楽だから、別にいいかなって...」
楽「」ブーーーッ
楽「は、はぁ..?」
千棘「別に、楽に見られちゃても嫌ではなかった...かも」
楽「(な!なんだよそれ...。
俺なら大丈夫って...!)」
千棘「ま!それに!
私は自分のスタイルに自信があるしねっ!」フーン
楽「─まぁ、結構良かったしな...」
千棘「え?」
楽「あ」
千棘「やっぱり見たんじゃないのー!!
うわぁぁあ恥ずかしいよ!恥ずかしいよお!」カァァァ
楽「い、今のは─そ、その、誤解だ!」
千棘「嫌じゃないんだけど!
嫌じゃないんだけど恥ずかしいっっ!
うぅぅぅ!
お願い!記憶から消し去って!
楽の記憶から消し去って!」
楽「わ、分かった!
うん!
記憶から無かったことにするよ!」
楽「(─駄目だ。脳裏から離れねぇ...)」
千棘「はぁ...はぁ...。あ!またつい叫んじゃった...。ご、ごめん」
楽「すまない...俺も嘘をついていて」
千棘「私に気を遣って嘘をついたんだよね?分かるよ、楽の優しさだよね」
千棘「だから気にかけることはないよ!うん!」
楽「千棘...」
千棘「ただ!忘れてね?」
楽「─う、うん」
千棘「うん、ありがと」ニコッ
楽「おう」
数分後
千棘「さて、じゃあ楽の部屋にせっかく来れたし」
千棘「物色しようかな」ニヤッ
楽「え!やめろよ!」ビクッ
千棘「大丈夫って!変なもの見つけちゃってもそっと戻しておいといてあげるから!」
楽「いやそんなの本人いる前じゃ全く意味ないぞ!?」
千棘「うーん、これは」
楽「(聞いてなーい!)」ガーン
今日はここまでにします
千棘「この本棚すっごいわね...」
千棘「隅から隅までレシピ本ばっかり!
昼にシェフになれるんじゃないのって言ったけど、
もしかして、シェフ目指してる!?」
楽「うーん、
そんなつもりはないんだけどな。
あくまで趣味の範囲だよ」
千棘「へぇー。
本当に料理好きなのねー」
千棘「レシピ本以外の本はないの?」
楽「漫画もあるにはあるんだけど、
レシピ本に比べたら少ないなぁ」
千棘「あれ?これは!」キラキラ
楽「あれ、もう別のアイテムかい」
楽「(レシピ本について語りたかったけど...)」ションボリ
千棘「これはまさか!卒アル!?」
楽「─あぁ、そうだな。
中学校の卒業アルバムだけど」
楽「(この流れはみる感じだな!
いいよ、受けて立とう!
中学校時代の俺の活躍を見せつけてやる!)」
千棘「じゃあ早速見てみよう!」
パラッ
千棘「あ!これ小咲ちゃんだ!
あはは、可愛いね!」
楽「あぁ、そうだなぁ...」デレェ
千棘「これも小咲ちゃん!
あ!これもだ!」
楽「うん、うん!」デレェ
千棘「ちょ、ちょっと!ら、楽。
顔が収集つかないことになってるわよ...」
楽「ん、そうか?」デレェ
千棘「るりちゃんもいる!
皆初々しいね、なんか」
楽「うん、そうだなぁ。
そ、そ、それよりさ。俺を見つけてみたらどうだ?」
千棘「あぁ!そうね。
どんな感じなのかしら」ウキウキ
ペラッ
ペラッ
千棘「あぁ!!いた!!」
楽「お?どれどれ」ジー
千棘「体育祭かな?これ。
思いっきり転んでる!」
楽「」
千棘「あっははは!
すごい派手に転んじゃってるじゃない!」
楽「い、いやいや!
も、もっと他の写真があるはずだ!」
ペラッ
千棘「あくびしてる!」
ペラッ
千棘「目閉じちゃってる!」
ペラッ
千棘「居眠りしちゃってる!」
楽「(うおお!
実にかっこいい写真がないっ!!
そうだっけな!?
確かかっこよく写ってる写真があったんだけどな!)」
千棘「なんというか、ちゃんと写ってるのが少ないわね...
ちゃんと写ってるのないかしら」
楽「ある!あるはずだ!」
ペラッ
千棘「あ...これ」
楽「ん?」ジー
楽「!!!」
楽「(これだこれ!この写真だ!
修学旅行の時に何かの寺の前で写真を撮られたんだが、
アングルといい、光の当たり方といい、
すごいいい感じなんだよな)」
千棘「この写真、いいじゃない!」
楽「だろ?」
千棘「うん・・・かっこいい」ボソッ
楽「え?」
千棘「!
いやいや、
なんでもないよ...」
楽「(俺には聞こえた、
かっこいいって言ったよな。
なんだよ...
抱きついてきたり、
偽物の恋人でいいの?
とか言ってきてるのに、
どうして恥じるんだ...?)」
数十分後
千棘「ふぅー。物色も飽きたわね」
楽「トランプでもやるか?」
千棘「あ!いいわね!やりましょ!」キラーン
ガサゴソガサゴソ
楽「よいしょ、じゃあ、何やるか?」
千棘「そりゃあ勿論ババ抜きよ!」
楽「おお!」
千棘「林間学校での因縁があるからねっ」
楽「あー、
確かあのときは俺と千棘が残って、
結局決着つかなかったんだっけな」
千棘「そう!
その決着を今ここでつけるときよ!」
楽「おう!そっちがその気なら!やってやる!」
ゴゴゴゴゴゴ
─数十分後─
楽「(それぞれ手持ち二枚...これはあの時と同じ状況だっ!)」
楽「じゃあ、引くぜ」
楽「こっちか!」
千棘「・・・」ニヤッ
楽「こっちか!」
千棘「・・・」ガーン
楽「おい、千棘。ポーカーフェイスだぞ、ポーカーフェイス」
千棘「─っ!しまった!忘れてたわ」
千棘「!」ジッ
楽「(ふふふ...
必死でポーカーフェイスやってるとこ悪いが...
俺の勝ちは見えているんだ千棘!)」
楽「俺の勝ちだっ!」
バッ!
楽「(このカードはジョーカーではないっていうことは千棘の反応を見れば一目瞭然だ!!)」
楽「ふんっ!俺の勝ち...だっ!?」
楽「(ジョーカーだと!?)」
千棘「ふふっ、まんまと騙されたわね?楽!」ニヤリ
楽「ま、まさか!」
千棘「ジョーカーの時に喜んだ表情で浮かべて、
ジョーカーじゃない時にしょんぼりした表情を浮かべたのよ!」ドーン
楽「な、なんだと!」
楽「(俺がそれで千棘のカードを判断するだろうということまで見越して!)」
千棘「ふっふっふ。
私だって学んだわ!」
楽「しまった!」
千棘「じゃあ引かせてもらうわよ!
楽のジョーカーはこっちのカードだから...こっち!」
バッ!
千棘「よしっ!あっがりー!」
楽「・・・負けてしまった、だと!?」
楽「畜生!もう一回だ!もう一回!─
千棘「おう!」
今日はここまでで
>>78
亀レスだけど最後千棘が喋っちゃってない?
楽っぽいセリフだけど
───しばらくして───
楽「はぁ、はぁ、あと、あと一回だ」
千棘「そ、そろそろ寝ない?
はぁ、はぁ、もう、こんな時間、だし」
楽「こんな、時間、
って、どんな時間、だぁ」
千棘「─え、えぇっと...
はぁ、はぁ」
千棘「─────8時...」
楽「あぁ、そ、そうか、8時か...」
千棘「─まだまだ、いけ─」
楽・千棘「8時いいいいいい!?」
>>127
あ、今気がつきました
そこは楽のセリフです
楽「ま、マジかよ!?」
千棘「私たち!」
楽・千棘「夜を明かしちゃったの!?」ガーン
カーテンピシャ!
楽「あぁ...朝だ...」
千棘「しまったああ!
夢中になりすぎちゃったわ!!!」
楽「これは」
楽・千棘「ヤバい」
バンッ!
タッタッタッタッ
楽「行ってきます!!!」
千棘「おじゃましましたーっ!」
ダダダダダ
楽「やばい!やばい!遅刻だ!」
千棘「急がないと!」
クロード「zzz...」
クロード「はっ!お、お嬢!?」
学校
小咲「(うーん、
千棘ちゃんと一条君遅いなー...)」
チラッ
小咲「(───ってあれ!)」
小咲「(学校に向かって走ってきてるあの二人!
一条君と千棘ちゃんだ!)」ガタッ!
小咲「(二人してすごい速さでトーストくわえながら走ってる...)」
ガラガラ
キョーコ「ほらー、お前ら座れー、HR始めるぞー」
ダダダダダ
キョーコ「ん?なんだ?」
ダダダダダ
ピシャーン
楽・千棘「はぁ...はぁ...はぁ...」
小咲「(早っ!)」
キョーコ「おお!どうしたお前ら」
楽・千棘「ち、遅刻しました」
キョーコ「あのなー、
仲良くするのは構わないけどな、
仲良く遅刻するのはいけないぞ?」
楽「すいません...」
キョーコ「ま、でもギリギリセーフだな。
その仲の良さに免じて許してやる」
千棘「─あ、ありがとうございます...」
キョーコ「じゃあ席座れー」
楽・千棘「は、はい」
楽「(・・・あー、どうしよ)」
千棘「(・・・すっごい眠い)」
昼休み
楽「zzz...」
千棘「zzz...」
ガツッ!
楽・千棘「痛ッ!」
るり「ちょっと、
何仲良く眠っちゃってんのよ。
もう昼よ、昼」
楽「あ、あぁ...もう昼か」
るり「あんたたち何だってば、
そんな寝不足なのよー。二人」
千棘「い、いやーたまたまだよ!たまたま」
るり「まさかとは思うけどさ
───一緒に泊まってた訳じゃないよね?」
楽・千棘「」
楽「(さすがに泊まってたっていうのがばれたらやばいよな...)」
千棘「────えぇ。
ええ、そうよ。泊まってたわ」
楽「」ブーーーッ
楽「(え!
そ、それって言っていいことなのか!?)」
るり「(ふーん...)」
るり「やっぱりそうだったのね。
まぁ、泊まるのを止めろとは言わないけど、程々にしなさいよ」
楽「あ、あぁ」
鶫「お嬢!!」
鶫「い、一条楽と泊まっていたとは本当ですか!?」
千棘「えぇ、そうよ」
鶫「─っっ!!」
カチッ
鶫「おい一条楽!!」
楽「!!」
鶫「貴様、お嬢に何をした!!」
楽「な、別に何もしてねぇよ!」
千棘「そうよ鶫、
楽はなにもしてないわよ。
私から頼んだんだから、楽は悪くないわ」
鶫「─そ、そうだったんですか?」
鶫「いゃぁ...すみません。
昨日中お嬢が帰ってこなかったものですから...
心配しすぎてしまいました...」
千棘「いや、
何の連絡も寄越さなかった私が悪かったわ...
ごめんね心配させて」
鶫「いえいえ、ご無事でなによりです」
鶫「─でも」
鶫「さすがに集英組に泊まるというのは油断しすぎではないでしょうか?」
千棘「うーんそうかしら」
鶫「いや、まぁ...。
一条楽と泊まることを止めはしませんが、
一条楽は信用ならん男ですよ。
お嬢になにをしでかすか分かったものではありません!
もしお嬢の身に何かがあったら─」
千棘「─しない」
鶫「・・・え?」
千棘「楽はそんなことはしない。
するはずがないわ。私に乱暴なんてことはしない」
千棘「私は楽を信用してる」
鶫「・・・はぁ、そうですか」
鶫「(あれ?
こんなに一条楽を信頼してたっけな?)」
千棘「ね、楽!」クルッ
楽「お?あ、あぁ」
楽「(こんなに
─こんなに信用されていたとは...)」
楽「(嬉しいな...)」ポッ
カチッ
鶫「照れるなぁあ!!」
楽「えええっ!?」ビクッ
今日はあまり進行しませんでしたが
ここまでで
───放課後───
楽「(─よ、よし。
今日は俺から声をかけてやるか)」
楽「おい千棘!」
千棘「ん?」
楽「─い、一緒に帰ろうぜ」
千棘「え!」ワァァァァ
楽「ん、ん?どうかしたか?」
千棘「わぁああ...!」
楽「え?」
千棘「楽から一緒に帰ろうって言ってくれた...!」ワァァァァ
楽「え、そ、そりゃあまぁ」
千棘「う、嬉しい!!」ギュッ
楽「おおっ!そうか!」
千棘「じゃあ帰ろう!」
楽「おう!」
バッ!
るり「ちょっと待った!そうはさせないわよ!」
楽・千棘「???」
るり「今日はマックで緊急勉強会を開くわ!二人も来なさい」
楽「あ、そうだったのか」
千棘「うーん...しょうがないわね。勉強会とあらば行くしかないわ」
るり「じゃあ早くいくわよ!皆が待ってるわ」
バッ!
マック
ウィーン
るり楽千棘「はぁ...はぁ...はぁ...」ツカレタ
小咲「あ!るりちゃん!
それに千棘ちゃんと一条君!」
るり「ま、待たせちゃってごめん...」
楽・千棘「ごめん..」
小咲「あ、いいよいいよ全然気にしなくて!」
るり「じゃ、座りましょ」
トコトコトコ
楽・千棘「ふぅ...」
楽「さすがに高校からマックまで走りっぱっていうのはきついな...」
千棘「そうね...」
万里花「ちょっと!」ガタッ!
楽「な、なんだよ」
万里花「楽様?
こういうときは私の隣に座るのがいいとは思いません?
なんなら、膝の上でもよろしいですよ?」
楽「え、いやいいよ。
もう座っちゃったし。
そこまで無理してもらうのも申し訳ないし」
万里花「いやでもですね...自分でいうのもなんですが、
座り心地良いですよ?
私の、膝!」
鶫「おいやめとけ。しつこいぞ橘万里花」
万里花「あぁ...楽様...」
るり「さて、じゃあ勉強会としましょー」
るり「と─言う名の下の、会議をしましょー」
千棘「あれ?勉強会しないの?」
るり「実はね、
今週末に海に行くことにしたのよ。その会議をしたかったのよ」
楽「じゃあなんでわざわざ『勉強会』だなんて嘘つかなくたって良かったんじゃ?」
るり「いやー、どうでしょうね。
『緊急』と『勉強会』がなかったらあなたたちそのまま帰っちゃいそうだったけど」
千棘「いや普通に遊びの計画を話し合いたいって言ってくれても行ったよ!?」
るり「あぁ、そう?
まぁじゃあとりあえず、日時については明後日の日曜日ってことになってるんだけど
異論はない?」
集「あー!ないぜ」
るり「ほかのみんなもいいね?」
みんな「うん」
るり「で、問題は何を持って行くかってことなんだよねー。
あっちで何をするかによるんだけど」
千棘「私、浜辺でビーチボールやりたい!」
楽「ビーチボールか...」
鶫「浜辺で行うスポーツは、特別な感じがありますものね」
小咲「で、でも私。
ビーチボールってやったことないよ?」
楽「お、俺もだ」
万里花「そもそも私は運動をあまりしないほうがいいと言われていますので...
身体が弱いものですから」
集「うーん。
ビーチボールもいいけどさー、やっぱ浜辺でBBQって憧れてて意外と出来ないよなぁ」
楽「確かに。あまりやったことないよな...」
小咲「海辺で食べるお肉って
美味しそうな感じがするよねー」
万里花「それなら私でもできそうだわ!」
鶫「楽しそうですね」
千棘「BBQかぁ...」
るり「分かった!
もう決めなくていいわ」
るり「ビーチボールもBBQもやりましょう!
ビーチボールとかはボール一つでなんとかなりそうだし」
集「皆のやりたいことを全部詰め込むってことですな?
じゃあすこ─」
バコッ!
るり「かと言ってこれ以上増やすな」ゴゴゴゴゴ
千棘「うーん、じゃあ言い出しっぺだし。
私がビーチボール持って行くよ。
あと、BBQ関係の何かを...」
万里花「では私は!
食材をありったけ持ってきます!
結構高めのお肉や結構高めの野菜とか持って行きますわ!」
楽「あのな、橘。
食材は高ければいいってもんじゃないんだぞ?」
万里花「大丈夫です楽様!
質が伴っている食材をちゃんとお持ちします!」
─なんだかんだで─
るり「千棘ちゃんと小咲と私が全部持ってくることになったわ。
他の皆は気にすることはないわよ」
みんな「はーい」
るり「じゃ、解散!」
マック前
楽「あぁ。
なんだかんだでもう夜になっちまったな」
楽「明日は土曜日だし...
早く帰って早く寝よう─てか寝ないと死ぬ」
千棘「それは全くもって同感だわ...」
千棘「うーん...そんなところ悪いけどさ」
楽「ん?」
千棘「ちょっと話があるんだけど、
明日のことについて。こっちきて」
楽「あぁ」
トコトコトコ
るり「(こっそりどこにいくつもりなかしら...)」
鶫「お嬢!どこに─」
るり「ダメよ!派手に行っちゃ!
忍び足で行くのよ」
鶫「忍び足で...」
サスサスサス...
鶫「(一体路地裏でなにを...)」
今日はここでおしまいです
路地裏
千棘「明日、楽暇だよね?」
楽「あぁ、別に予定はないけど...」
千棘「じゃ、じゃあさ!─」
千棘「─デートしない?」
楽「───デ!デート!?」
鶫「(お嬢ぉ!?)」
千棘「してみたいのよ、
きちんとしたデート。
クロードとかに監視されてるから泣く泣くデートをするんじゃなくて...
心から楽しいデートをしたいのよ」
楽「心から楽しいデート...」
るり「もう、それって告白じゃないの!
気づきなさいよ一条君!」コソコソ
千棘「遊園地、そう。
遊園地でデートしたいわね」
楽「─デートか...」
楽「いいぜ、デート。
遊園地デートなんてしたことないし」
千棘「やったぁ!ありがとー!」
千棘「いゃあー!
明日がたっのしっみねー♪」ウキウキ
楽「そうだな。
俺もデート楽しみだよ」
楽「・・・」
楽「あっ!遊園地行くのが楽しみってことだからな!?
誤解するなよ!」
千棘「とか何とか言っちゃってー。
私とデート出来るのが楽しみなんじゃないの?」ニヤリ
楽「ち、ちげぇよ!」
千棘「えっへへ、
まぁ何よりも楽しみなのは私の方なんだけどねー!」
楽「─そ、そうなのか」
るり「そうなのかじゃないでしょ一条君!
千棘ちゃんが一条君とデートするのが楽しみだって言ってるでしょ!
もー、一条君鈍いわね」コソコソ
鶫「お、落ち着いて下さい」
千棘「じゃ、そういうことで決まりね!
ドタキャンは許さないわよ?」
楽「大丈夫だよ。
約束したからには、守らなきゃならねぇからな。そんなことはしねぇよ」
千棘「じゃあ大丈夫ね!ふっふー♪
今日は寝れないわね!」ウキウキ
楽「あぁ。俺もそんなとこなんだが
─どうも眠たい」
千棘「そうね。
今日は昨日から今日にかけて寝てない分寝て、その分デートも楽しめるようにしよー」
楽「そうだな、それが一番だ」
千棘「うん、ではでは。
私からの話はそういうことだから。みんなのとこに戻ろうか」
楽「おう」
その日の夜
LINEにて
宮本るり『小咲、起きてる?』22:24
小咲『うん起きてるよー(^^ )』22:26
宮本るり『よかった。明日なにもないよね?』22:27
小咲『うん、明日は暇だよ(っ´ω`c)』22:28
宮本るり『明日遊園地に行こう!』22:29
小咲『え!突然だね...』22:29
宮本るり『いっていいのかな』22:30
小咲『ん?』22:30
宮本るり『うん、いいかな』22:31
宮本るり『明日一条君と千棘ちゃんが
遊園地でデートするんだって』22:32
宮本るり『・・・』22:35
宮本るり『おーい』22:40
宮本るり『小咲ー!』22:42
小咲『ご、ごめん。びっくりしちゃった』22:43
宮本るり『だ、大丈夫?』22:43
小咲『うん(^∇^)』22:44
宮本るり『だからそういうことで。
あの二人をこそこそと見て遊園地を回るのよ、明日は』22:45
小咲『うーん...バレないかな?』22:46
宮本るり『千棘ちゃんはともかく、
一条君はなにかと鈍いから多分大丈夫よ』22:47
小咲『そ、そうなんだ』22:48
小咲『うん、分かった!
そういうことなら行かせてもらうよ』22:49
☆*鶫*☆『あのー。
それ私も行かせてもらってもよろしいでしょうか』22:50
宮本るり『あ、起きてたんだ』22:51
小咲『鶫ちゃん!うんいいよー、私は』22:52
☆*鶫*☆『ありがとうごさいます!』22:53
宮本るり『ところで』22:53
宮本るり『あなたの名前可愛いわね』22:54
☆*鶫*☆『あ、これは』22:54
小咲『確かに!
カワイイね(*´ω`*)』22:54
☆*鶫*☆『こ、これに関しては触れないで下さいい!』22:55
宮本るり『女の子らしいわね』22:56
小咲『女の子らしいね』22:56
22:57
☆*鶫*☆さんが退出しました
宮本るり『あ』22:57
次の日
朝
楽「あぁーーっ!
wよく寝た!」
楽「(昨日は眠すぎて帰ってすぐ、8時くらいには寝ちったな)」
楽「(そのせいで...まだ朝の4時)」
楽「(こんなに早く起きることなんてなかなかねぇよ)」
楽「(でも八時間も寝てるから、二度寝するほど眠くもないんだよなぁ)」
楽「やることがない、暇だ」
楽「───テレビでもみるか」
ピッ
TV『なんと!この洗濯機がお手頃価格─』
ピッ
TV『今ならイーモバイルに加入で!無料!─』
ピッ
TV『試験放送中です』
楽「つまんな!」
楽「(午前4時のテレビってこんなつまらないのかよ!
通販と試験放送ばっかりだ!)」
楽「(なんも録画してないしな...)」
ピロリン
楽「ん、なんだ?」
》新着メッセージがあります《
楽「こんな時間にLINE...誰だ?」
ピッ
──────
千棘『ダーリン、おはよー!起きてる?』4:25
──────
楽「あれ!?千棘起きてんのかよ!以外だな」
>>182
誤字
× 以外だな → ○ 意外だな
──────
ラク『起きてるぜ、ハニー』4:26
千棘『あ!起きてた!』4:27
千棘『いやあ...
昨日早く寝過ぎちゃって早く起きすぎちゃった( ̄△ ̄)』4:28
千棘『だからやることがない!』4:28
ラク『そうだな』4:29
千棘『あ!そうそう!
今日のデートはクロードにも内緒にしてあるからクロードに見張られることはないわよ』4:30
千棘『あと、鶫とか他の皆にも内緒で!』4:31
ラク『なんで内緒にしなきゃいけないんだ?』4:32
千棘『なんか秘密にしてたほうがよさそうじゃない』4:33
ラク『多分バレると思うけどな』4:34
ラク『宮本とか勘が鋭いし』4:34
千棘『うーんそうね...まぁとりあえず!秘密にしといてね!』4:35
ラク『りょーかい』4:36
─しばらくして─
千棘『あれ?
もう太陽が昇ってきたわ』7:05
ラク『もう大分前に昇ってたな』7:06
千棘『じゃあ
そろそろ私はおちるねー(*゜▽゜)ノ』7:07
ラク『じゃあ俺もおちる!』7:07
千棘『あ、
9時に遊園地入場門の近く集合ね!』7:08
ラク『おーけー』7:09
────────
楽「結構長く話しちまったな...」
楽「(んまでも。結構楽しく時間をつぶせて良かったよ)」
────────
千棘の部屋
千棘「んんっー!結構長く話しちゃったなー。目がしばしばする!」
千棘「あー!でも、あと二時間かー!」
千棘「はぁ?...!楽しみだわぁ...本当に楽しみ...」ウキウキ
千棘「うん、今回のデートで─」
千棘「─私が楽のこと好きだってこと、気づいてほしいな」
今日はここまでで
書きためていたものがなくなったので明日以降ペースが、今以上におちるかもしれません...
楽の部屋
楽「そうだ...。一応デートということなんだから、服装をそれなりにキメていかないとな」
楽「でもだなぁ」
楽「いざ選ぶとなると迷うな・・・」
楽「・・・」
楽「このベストを着て行くべきか...」
楽「着ていかないべきか...」
楽「・・・」
楽「うわぁーー!決まらねぇ!!」
楽「(そもそも俺は何を基準に服を選んでいるんだ!?何で悩んでいるんだ!)」
楽「(自分の着ていきたい服を選べばいいのに...)」
楽「(本当に何を基準に選んでいるんだ)」
楽「────千棘か?」
楽「(俺は、『千棘に気に入って欲しい』っていうことを基準に服を選んでいるのか?)」
楽「(そんなことなんか気にしなくていいだろ...気にしなくて)」
楽「(俺と千棘は紛れも無い、偽者の恋人。それがたまたま本物の恋人の如くデートをして見ようっていう)」
楽「(そんな本気にするような、本気のデートじゃないはずだ...)」
楽「(俺があいつに服装の事をどうこう言われたところで、なんとも思わないはずだろ!?)」
楽「(でもどうして・・・)」
楽「(千棘が好きそうな服を選んでしまうんだろう)」
数分後
楽「よし...」
楽「これで行くか」
楽「(結局千棘の事を意識したコーディネートになっちまったな...)」
楽「(―まぁ、いいか)」
楽「ところで今いったい何時なんだ・・・?」
ピッ
楽「ええっ!?は、8時50分だと!?」
楽「(だだだっだだ大遅刻だ!今からいくら急いだって9時には着かない!!)」
楽「しまった!やっちまった!!」
ダダダダダダ
楽「走るぞ!」
遊園地前
千棘「・・・・・・・・」
千棘「(楽、遅いわね...何かあったのかしら)」
タッタッタッタッ
千棘「あ!楽!」
楽「千棘ぇ!すまん!」ハァハァ
千棘「遅いわよー」
楽「ほんと...すまない」
千棘「なんかあったの?」
楽「え?」
千棘「いや、なんかトラブルかなんかに巻き込まれちゃったから遅くなったのかなって思って」
千棘「大丈夫だったの?」
楽「(なんだよコイツ...。いつもだったらこういう時、こんなに待たせておいてどういうこと!?とか)」
楽「(俺のことを心配するようなことってあまり言わないのに...)」
楽「トラブルには巻き込まれてはないな」
楽「まぁ、単刀直入に言わせてもらうと...」
楽「時間のこと考えてませんでしたっ!すまん!」
千棘「・・・」
楽「(怒ってるか・・・?)」
千棘「・・・プッ」
千棘「あっはははは!いやあいいよいいよぜんぜん!」
楽「え?」
千棘「だ、だからそんなに真剣に謝らなくたっていいって!」
楽「(・・・めちゃくちゃ楽しそうだなコイツ)」
楽「(そうか・・・)」
楽「(俺はコイツのこういう笑顔が見たくて、意識して服装を選んでいたのか...)」
楽「(千棘の、明るい笑顔が見たくて)」
千棘「ところで・・・」
楽「ん?なんだ?」
千棘「今日の楽の服、なんかダサいね」
楽「」グサッ!
楽「(今聞こえた!心に棘が刺さる音が聞こえた!)」
楽「そ、そうか??」
千棘「もっとよく考えて選んだほうがいいと思うわよ?」
楽「これでもよく考えたつもりだわっ!」
千棘「私だってよく考えたのよ!このファッション!」
千棘「とっておきの全身コーデよ!」キラーン
楽「確かに・・・」
楽「確かに、可愛いけど...」
千棘「・・・へ?」
楽「」
楽「(しまった!つい思っていたことが口に出ちまった!)」
千棘「(・・・か、可愛い///)」
千棘「あ、ありがと」カァァァ
楽「!!」ドキッ
楽「い、いやぁ、誤解すんなよ!ふ、服が可愛いって言ったんだからな!」
るり「あの二人、かなりイチャイチャしてるわね...」ジー
小咲「」
鶫「おのれ一条楽...!」
千棘「じゃ、そろそろ入りましょ」
楽「おう、行こうぜ」
ガシッ
楽「え...!」
千棘「ほらほら!早く行くわよ!」
千棘「は、はぐれないように手は放さないでよ!」
楽「分かった」
るり「私たちも行くわよ」
小咲「うん」
鶫「分かりました」
入園
千棘「うわーー!!ひろーい!!」
楽「こらこら、走り回るなよ」
千棘「でもでも!遊園地なんて久しぶりだしー!」
楽「まぁ、その気持ちは分からんでもないな」
楽「(俺も内心走り回りたいところだが...)」
千棘「あっはははー!楽しい楽しいー!」
楽「そんなにはしゃいじゃうと疲れるぞ?今日は腹一杯遊ぶんだろ?」
千棘「そうねそうね!何に乗る?」ウキウキ
楽「聞いてない」ガクッ
千棘「よし!
お腹いっぱい楽しみためには、こうゆっくりしてはいられないわね」
楽「そうだな」
千棘「園内マップ見せて」
楽「おう」
千棘「─へー、結構広いんだねこの遊園地」
楽「ん?ここの遊園地には来たことないのか?」
千棘「うん!
ここには一回も来たことがないわ」
楽「俺も初めてなんだよな...」
千棘「あら。
じゃあ二人ともなにがあるかよくわかってないってことね...」
楽「そうだなぁ。
ま、とりあえずアトラクションの名前で判断して乗ってみようぜ」
楽「これとかどうだ?」
千棘「ん?」
楽「『迷える森の白馬達』ってやつ」
千棘「なによこれ、何のアトラクションだかサッパリ分からないじゃないの」
楽「俺の予想だけど...多分メリーゴーランドかなんかじゃないか?」
千棘「あー!それなら納得できるかも...
だけどこの『ハピネスアドベンチャー』とかいうのは本当に何のアトラクションだかサッパリ」
楽「何でここのアトラクション名はこんな変なのばっかりなんだよ!」
楽「まぁいいか!
とりあえずその、迷える森の白馬達だっけ?それに行ってみるか」
千棘「うん!」
─迷える森の白馬達─
楽・千棘「ジェットコースター!?」
楽「可愛い名前してジェットコースターかよ!」
千棘「しかも一回転つきの結構ハードなジェットコースターねぇ...」
楽「どうする?乗るか?
今ならまだ空いてそうだし」
千棘「うーん...そうね!
初っぱなからジェットコースターに乗っちゃおっか!」
るり「よし、私たちもあれ乗るわよ」
小咲・鶫「でも、あれ...」
るり「ん?どうかした?」
小咲「あれすっごい怖そうな...」
鶫「感じがします...」
るり「 拒 否 権 は な い わ 」
小咲・鶫「─っ!!」
るり「行きましょ」
るり「(一条君と千棘ちゃんの四つ後ろに私と小咲。
その後ろに鶫ちゃんってところなんだけどバレないかしら...)」
プルルルルルルル...
千棘「は、は、しゅ、出発するわよ」ガクガク
楽「あ、あぁ」
るり「いよいよね」
小咲「」
鶫「・・・」ドキドキ
ガタガタガタ
千棘「(うわー!結構高いぃぃ!)」
楽「・・・・」
楽「(これは思ってたより厳しそうな...)」
ガタガタガタ
楽「(─落ちる!)」
ヒューーーーーーーー
千棘「きゃーーーーー!!」
楽「うわぁーーーーっ!!」
るり「うおー」
小咲「」チーン
鶫「ひやぁあああああっ!!!」
乗車後
千棘「はぁはぁ...く、くたびれたわ」
楽「最初からとばしすぎたか...?」
千棘「そうね...メリーゴーランドとかに乗っておけばよかったかもしれないわね」
千棘「まぁでも!楽しかったわね」
楽「まぁな!なんだかんだで楽しかったな」
千棘「じゃあ次行くわよ!」
─ハピネスアドベンチャー─
千棘「おっと、これはコーヒーカップじゃないの」
楽「これは何というか、見た目通りの名前だな!」
千棘「ん?楽、ちょっと楽しくなってきたんじゃないの??
テンションが上がってきてるような」
楽「そうだな、
今すごく楽しいぜハニー」
千棘「ふふふっ、そうね。
私もよダーリン」
楽「(あー、何だろう)」
楽「(なんで自然とダーリン、ハニーで呼び合っているんだろ...)」
楽「(今日は無理に恋人のフリなんてしなくても良かったんじゃないのか?)」
楽「(────いや、でも。辛くはないな)」
楽「(今、無理に恋人のフリをしているのではなく─自然に恋人のフリをしている...)」
グルグル
楽「おおっ!始まった!」
千棘「よし!回すわよー!」
グルグルグルグル
楽「おおおおおお!」
千棘「もっとよ!もっと!」
グルグルグルグルグルグル
楽「わああああああ」
千棘「ま、まだまだ!」
楽「お、ちょっとま─」
千棘「えい!」
グルグルグルグルグルグルグルグル
楽「ぎゃああああああっ!遠心力が!遠心力が!」
千棘「ーっ!!」
シュー
楽「はぁはぁ...終わった」
千棘「ちょっとこれは、昼の前にやっておいて正解だったわね」
楽「そうだな...」
お化け屋敷
楽「お、お化け屋敷だ。どうする?行くか?」
千棘「うーん...」
楽「なになに...『日本で最も怖いと評判のお化け屋敷』らしい...」
千棘「えー...!」
楽「ちょっと興味が湧いてきたな」ニヤリ
お化け屋敷
楽「ということで入った」
千棘「こ、怖い...」
ギュッ
楽「!」
千棘「ら、らくぅ...は、離さないでよ?」ギュッ
楽「わ、分かった」
ピシャーン!!
千棘「ひゃああ!!」
楽「(雷の音!!)」
千棘「ぅぅうう...」ウルウル
楽「だ、だだだ大丈夫だ!俺についてててこい!」
千棘「うん...」
楽「(つっても─俺だって怖ぇよ!)」
ガッ!
千棘「ひゃあああうっ!」ビクッ!
楽「うおおおおっ!!?」ビクッ!
千棘「ひゃあーーーーっ!」
ダッシュ!
楽「え、ちょ!走るなって!」ズリズリズリ
千棘「だって怖いんだからしょうがないでしょー!!!!」ダダダダダ
お化け屋敷出口
スタッフ「す、すごいですね...。
このお化け屋敷、平均で30分くらいかかるんですけど...」
スタッフ「お客様二人は────9分」
スタッフ「これはこの遊園地始まって以来の快挙ですよ!」
楽「は、はぁ。
それはどうも...」
千棘「だ!だって怖かったしー...」
スタッフ「記念に、こちらをどうぞ」
千棘「───これは?」
スタッフ「本遊園地のマスコットキャラクターのぬいぐるみです」
楽・千棘「(い、いらない!)」
─数時間後─
楽「あぁー!もう夕方か」
千棘「早いわねー、もう日が沈みそうね...」
楽「次乗るのが閉園時間的にも最後になりそうだな」
千棘「そうねぇ─じゃあ」
ビシッ!
千棘「あれにしましょう」
楽「あれは」
楽「──観覧車か」
観覧車前
楽「おおっ...」
楽「結構大きい観覧車だなこれは」
千棘「一周約15分だって」
楽「景色もよさそうだな」
楽「シメにもってこいのアトラクションだな」
観覧車中
千棘「うわー!
いい景色ね、楽」
楽「まだ始まったばっかだけどな」
楽「きっと、これからもっといい景色があるな」
千棘「・・・」
楽「・・・」
千棘「ねぇ、楽」
楽「なんだ?」
千棘「──楽」
楽「・・・な、なんだよ」
千棘「私ね。
ずっと言いたかったことがあるの」
楽「言いたかった、こと?」
千棘「今日の遊園地デートだってそうよ。
そのためにやったの」
楽「・・・」
楽「(なんだこの緊張感のある空気は...)」
千棘「楽だって異様に思ってたでしょ?」
楽「何をだよ」
千棘「私の態度が急変したってこと」
楽「─!」
楽「─確かに、おかしいなとは思ってたよ」
千棘「あれはわざととか監視されてたからとか毒を盛られたからとか」
千棘「そういうのじゃ、ないの」
楽「─そうだったのか?」
千棘「あの態度は─私が素直になっだけ」
楽「素直に?」
千棘「うん、素直に」
千棘「そう。そういうことよ」
楽「そういうことってどういうことだよ」
千棘「もう...鈍いわね」ボソッ
千棘「だ、だから...」
楽「・・・」
千棘「・・・」
楽「・・・」
千棘「その、つまり・・・」
楽「・・・」
千棘「だから・・・」
楽「な、
なんだよ」
楽「もどかしいな」
千棘「だから!!」
千棘「私は楽が好きなの!!!大好きなの!!!」
ザワッ
楽「俺のことが────好き?」
楽「(じゃあ、本当に)」
楽「(本当の本当に、ここ数日間の今までと違った千棘は、
本来の千棘だったということか...!)」
楽「(素直になった千棘の姿だってことか...!)」
楽「(抱きついてきた千棘も、
料理を教えてやった千棘も、
ババヌキをした千棘も、
今日ここにいる千棘も!)」
楽「(─全部)」
千棘「私は楽に私が楽のことが好きだってこと、気づいてほしかったの...!
だからここの数日間はあんな態度をとっていたの」
楽「そ、そうだった─のか」
千棘「(はぁ...やっと言えた)」
千棘「(ずっと言いたかった事がやっと言えた...)」
千棘「だから──私と」
千棘「本当のカップルになってほしいの」
楽「!!!」
千棘「それだけよ、私が言いたかった事は」
楽「・・・・・・」
千棘「・・・・・・」
楽「ごめん」
千棘「・・・・・」
楽「今日中には答えはまだ出せない」
千棘「───うん、分かった」
楽「ただ!明日中には答えを出すから...
それまでは待ってくれないか」
千棘「───私はいつまでも待ってるわよ。楽」
千棘「明日じゃなくたって構わないわよ!
楽が答えをくれるって言うなら、いつまでも待つわよ」
楽「──千棘...」
ポーン
アナウンス『終了です』
楽「じゃあ出るか」
千棘「うん!」ニコッ
千棘「今日は楽しかったわ!ありがとう楽」
楽「あぁ、俺もすごく楽しかった」
楽「じゃあ帰ろうか...」
千棘「分かったわ」
楽「と─その前に」
楽「そこの三人も一緒に帰ろうか」
楽「小野寺、宮本、鶫」
小咲「ええっ!」ビクンチョ!
鶫「き、貴様!気づいていたのか!」
るり「なんでこういうときだけ鋭いのよ」
千棘「えええっ!
三人とも来てたの!?てか鶫も!?」
鶫「ストーカーみたいなことをして申し訳ございません、お嬢...」
るり「いつから気づいていたの?」
楽「お化け屋敷の辺りからだな」
小咲「けけけけ、結構早いね!?」
楽「だって、隠れてるつもりかもしれなかったのかもしれないけどさ、
隠れてきれてなかったぞ」
小咲「そ、そうだったの?」
楽「あ、あぁ」
千棘「え!ど、どの辺まで見てた!?」
るり「どの辺って?」
楽「おい千棘!
あまり深く掘り下げないほうが」コソコソ
るり「ん?何だって?」
千棘「! いーやいや!?なんでもないよ!さあさあ帰ろ!」
るり「何よー...」
その日の夜
楽「(─告白された)」
楽「(いまだに実感がわかないな...
俺は千棘に告られたのか)」
楽「(記憶のある内で、
女の子にあんなに面と向かって告白されたのは初めてだ...)」
楽「(千棘はいつまでも待ってくれるとは言ってたけど)」
楽「(俺は決めた、明日中には答えを出すんだって)」
楽「(でも、もう答えは出てるのかもしれないな...)」
楽「(今日の遊園地デートで分かったよ)」
楽「(あいつの告白なしにしても、俺は自然と気づかされてたかもなぁ)」
楽「(あいつとジェットコースターに乗って楽しかったし)」
楽「(さらに遡れば、
あいつに料理を教えられてとても楽しかった)」
楽「(もっと遡れば、
あいつに名前で呼ばれ始めたとき、少し嬉しかった)」
楽「(そもそも、
あいつと初めて会った時から、俺はあいつを可愛いと思っていたのかもしれない─)」
楽「(そうだ。
もっともっと前に答えはでてたんじゃねぇのか?
俺が気づいてなかっただけで)」
楽「(今日遊園地デートをしたからとか、
そういう事の以前に答えは出てたはずだ!)」
楽「(俺は─)」
楽「(桐崎千棘が好きだ)」
楽「(今日そう伝えてやればよかったんだろ...)」
楽「(でも俺は躊躇した...)」
楽「(明日には)」
楽「(ちゃんと伝えないとな...,)」
今日はここまでです
亀更新申し訳ない
次の日 海辺
集「うっひゃーーーっ!」
集「いやいやぁ、快晴!
天候にも恵まれた今日!
早速水着の女の子たちがいっぱいいらっしゃいますな?」
ゴツン
るり「そういう気持ちで来てるんだったら今すぐ帰りなさい」ゴゴゴゴゴ
楽「良かったな!晴れて」
小咲「そうだね、一条君」
千棘「そうね!楽」
楽「(あくまで平然を装ってくれるんだな。千棘は)」
楽「(内心は緊張していると思うんだけど...)」
楽「(実際のところどうなんだろうか...)」
ドーン!
千棘「よし!着替え終わったわ!」
集「おお!皆さん水着でお揃いのようで...!」
鶫「・・・っ!」
プニッ
鶫「!!!」
プニップニッ
万里花「やっぱりまた大きくなったような気がしますわね...」
鶫「き、貴様ぁぁあ!
な、何をするううううう!」
千棘「えー!鶫また大きくなったの...?
どこまで大きくなるのよあなたの胸」
プニッ
鶫「そ、そんなこといわれましても!
ってどさぐさに紛れて触らないでくださーい!」
楽「・・・」ジー
楽「(いや、あいつは基本緊張はしてなさそうだな)」
鶫「─っ!!」
楽「・・・」
ダスダスダス
カチッ
楽「拳銃!?どこに隠し持って─」
鶫「おい!一条楽!
こっちをみるんじゃない!!」
バーンバーンバーン
楽「うわああああっ!!」
海
小咲「ごめんね、千棘ちゃん!
私がカナヅチなばかりに、私が使ってる浮き輪を千棘ちゃんと紐で結んじゃって」
千棘「いいのいいの、
これがなかったら小咲ちゃんがどっか流れてっちゃうかもしれないしね!」
楽「しかし、海に入ったけどやることがないな」
バッシャーン!
千棘「えい!」
楽「っあ!く、くそ!」
千棘「小咲ちゃん!ゴーグルかけて!」
小咲「う、うん!」
楽「水をかけやがったな!?」
千棘「ここは、2対1よ!」
バッシャーン!
楽「仕返しだ!」
バッシャーン!バッシャーン!
楽「!!?」
楽「(何!?
小野寺がいたのか!!)」
楽「うわっ!」
千棘「あっはは!くらいなさーい!楽!」
小咲「えーい」
楽「2対1とか卑怯だぞ!」
サッ
集「そうだそうだ!
俺も応戦するぜ!楽!」
楽「おお、ありがたい!」
千棘「!! まさかの応戦ね...」
千棘「じゃあこっちだって負けてられないわ!」
バッシャーン!バッシャーン!
千棘「うっ...!」
千棘「鶫ーっ!鶫ー!」オーイ
鶫「───ん?お嬢が呼んでいる?」
鶫「お呼びしょうか!!お嬢!!」
千棘「いいから早く来て!!」
鶫「は、はい」
千棘「楽めがけて水をばっしゃー!ってやるのよ!」
鶫「了解です!!」
バッシャーン!バッシャーン!
鶫「うわぁーーーーっ!!
一条楽っ!貴様ぁぁあ!」
バッシャーン!バッシャーン!
楽「なんかすごい怨念じみたものを感じる...」
楽「おらっ!」バッシャーン!
集「おりゃー!」バッシャーン!
小咲「えいっ!」バッシャーン!
千棘「とうっ!」バッシャーン!
鶫「たぁっ!」バッシャーン!
楽「(だ、だめだ!
2対3はやっぱりきつい!)」
万里花「はっ!」
万里花「(楽様が困り果てた表情を浮かべてらっしゃるわ!)」
万里花「これは私の出番ね」ニヤリ
ダーーーーッ!
楽「!?」
万里花「お呼びでしょうか!楽様!」
楽「びっくりしたぁ...いや別に呼んでないけど─」
楽「いや、でも手伝ってくれ!」
万里花「なにをでしょうか!!」
バッシャーン!
万里花「─!
ちょっと、あなたたち何で水をかけてくるのかしら?」
楽「ほら!橘!やり返してやれ!」
万里花「そうですわね!やり返してやりますわ」
バッシャーン!
万里花「らっくんは─らっくんはうちが守るけん!!」
バッシャーンバッシャーン!
千棘「くっ!」
千棘「(一人であの威力──すごいわ)」
バッシャーン!バッシャーン!バッシャーン!
──────────────
みんな「・・・疲れた!」
楽「疲れた!
もうやめにしようぜやめに!」
千棘「そうね...
そもそもどうなったら終わりなのかもよくわからなかったし...」
万里花「で、でも...た、楽しかったですわ...」ベターッ
鶫「そうだな...楽しかったといえば楽しかったな。
てか橘万里花、貴様大丈夫か!?」
集「なんかお腹減っちゃったなー」
集「まぁ、揺れる胸がいっぱい見れて腹がいっぱいいっぱいだけど─」ボソッ
ガシッ
集「へ!?」
るり「胸がなくて悪かったわね...」ゴゴゴゴゴ
集「そんなこと言ってないよるりちゃん!?」
るり「BBQの準備が出来たわよ、そろそろ食べましょう」
BBQ
るり「というか結局私が全部準備してたじゃないの...」
千棘「あっはは...ごめんね」
楽「すまなかったな、ありがとな」
るり「いいのよいいのよ、別に怒ってないから」
るり「で!」
るり「今日はこんな食材を持ってきたわ」
バーーン!
みんな「おおーっ」
るり「結構いろいろと買ってきたわ、でもこれだけじゃ足りないだろうからね」
るり「あとこれと同じくらいの食材を小咲に買ってきてもらったわ」
小咲「うん、はいどーぞ」
バーーン!
みんな「おおーっ!!!」
楽「これなら全員腹一杯食えそうだな!」
るり「じゃあ早速...
お肉を焼いていきましょ」
ジュー
集「ああ...!美味しそうな音!」
るり「他にも椎茸とかカボチャとかいろいろ入れてくから、
みんな手伝ってね」
みんな「はーい」
千棘「(よし!今しかないわ...!)」
千棘「よし、そういうことなら─」
千棘「私は卵を割るわ」
みんな「!?」
千棘「(楽に教えてもらった技術...)」
千棘「(忘れてしまうまえに披露するとしたら今日しかないわ!)」
小咲「で、でも千棘ちゃん」
小咲「この前卵割れないんだー
って言ってなかったけ...?」
千棘「昔の私と今の私とでは全然違うわ!」
千棘「まぁまぁ、とりあえず見ててよ」
みんな「うん」
ゴクリ...
千棘「(あの時!あの時の感覚を思い出して...)」
コンコン
ピキッ
千棘「(おおっ!
綺麗にひびが入ったわ!)」
千棘「(ここからよ─ここからが難しいのよ...)」
千棘「─────よしっ」
千棘「えいっ!」
パカッ
千棘「お」
千棘「やったぁぁぁぁぁあ!!!」
小咲「す、すごいね千棘ちゃん!」
鶫「さすがです!お嬢!」
オオオオオッ!
楽「やったな!千棘!
一人でやってのけたな!」
千棘「ん?えっへへへ...。ありがとう」
千棘「楽のおかげだよ!私がここまで出きるようになったのは!」
小咲「ん??一条君のおかげって?」
千棘「この卵の割り方はね、楽に教えてもらったのよ」
小咲「へー、すごいね一条君」
楽「ま、まぁな」
楽「いや、でも本当にすごいのは覚えのいい千棘のほうだ」
千棘「─ありがとっ!」
るり「あのー、千棘ちゃん」
るり「悪いんだけど」
千棘「ん?」
るり「卵使わないんだけど...」
千棘「え!」
みんな「いただきまーす」
モグモグ
千棘「んー!おいしい!」
るり「最高の出来ね」
万里花「かなり美味しいですわね」
楽「うん、なかなか...」
楽しい時間は呆気なく過ぎていき、気づけばもう夜になっていた。
るり「もう夜になっちゃったわね」
集「じゃあそろそろ!花火といきましょうか!」
るり「───あれ、千棘ちゃんは?」
るり「あと一条君も...」
───────
千棘「・・・」
シャー
千棘「(線香花火ってきれいね...)」
シャー
千棘「・・・・」
トコトコ
楽「おい」トン
千棘「うわっ!」
千棘「ちょっと!
線香花火終わっちゃったじゃないのー!」
楽「なに一人で線香花火やってるんだよ」
千棘「あ、うん...」
楽「俺にもやらせろよ」
楽「まだあるよな?」
千棘「─えぇ、ちょうどあと二本」
楽「そりゃあいいや、やろうぜ」
千棘「うん」
シャー
楽「俺結構線香花火長持ちさせるの得意なんだぜ」
千棘「私だって結構得意よ?
多分人に負けたことないわよ!」
楽「そうか。じゃあ勝負してみるか?」
千棘「いいわ!かかってきなさい!」
シャー
楽「・・・・・」
シャー
千棘「・・・・・・」
シャー
楽・千棘「(なんて地味な勝負なんだ...)」
シャー
パチパチパチ
楽・千棘「あ」
千棘「同時に、落ちちゃったわね」
楽「決着つかずか...」
千棘「ふふふ、もう線香花火はないからなぁ...」
楽「そうだな」
千棘「・・・・」
楽「・・・・」
楽「なぁ、千棘」
千棘「ん?」
楽「俺、昨日あれからいろいろ考えたんだ」
楽「昨日の夜いろいろ考えたんだ」
楽「結局答えを出すことは出来たんだ、簡単に」
千棘「・・・・うん」
楽「(行け!行け、一条楽!)」
楽「お前は時に暴力的だし」
楽「きれやすいし」
楽「感情の起伏が不安定で...」
千棘「・・・え?」
楽「でも!今思うと」
楽「暴力的なところも
きれやすいところも
感情が不安定なところも」
楽「全部含めて、守りたいと思った」
千棘「─!」
楽「殴りたくなれば俺を殴ればいいし」
楽「八つ当たりしたければしてもいいし」
楽「不安になったら俺に泣きついてもいい」
楽「(─言ってやれ!
言ってやれ一条楽!)」
楽「そんなところも全部!」
楽「─俺は受け止められる自信がある」
楽「そんなところも全部全部、千棘なんだから...」
楽「だからつまり俺は」
楽「いや、俺も─────」
楽「─お前のことが好きだ、千棘」
千棘「────っ」
千棘「───ら、楽...」ウルウル
ギュッ
千棘「ありがとう...ありがとう楽」ウルウル
千棘「正直...
昨日の時点で断られると思ってたから...!」
千棘「うれしいよ...」
楽「─そんな泣くなよ」
楽「俺達は今、本物のカップルになれたんだから」
千棘「うん!うん!」
楽「─なぁ、千棘」
千棘「んふふ、何?楽」
楽「─なんか今までもこうやって呼び合っていたのに」
楽「カップルになってからだと、またなんか恥ずかしいな」
千棘「そうね、楽!」
楽「あぁ、千棘」
千棘「そうだ...」
千棘「私から一つ、楽にあげたいものがあるの」
楽「なんだ?」
千棘「今だったら惜しみなくあげることができるわね」
チュッ
楽「─!!?」
千棘「─ん、んんっ...」
千棘「─っはぁ...」
楽「・・・お、お前」
千棘「──私のファーストキスよ...」
千棘「楽に、ずっとあげたかったの」
楽「ファーストキス...」
楽「(初めて触れたけど千棘の唇...)」
楽「(すごく柔らかかった...)」
千棘「じゃああらためまして!」
千棘「よろしくね!楽!」
楽「よろしくな!千棘!」
─こうして今日。
一条楽と桐崎千棘は偽物から本物のカップルへとなったのである。
一条楽にとっても桐崎千棘にとっても、忘れられない思い出になったのは言うまでもない。
今日は終わりです
もう少しだけ続くのでお願いします
『後日談』
集「今年の劇は!」
集「ロミオとジュリエットをやることになりましたぁ!!」
集「もちろん、主役をつとめますのは...」
集「本クラス一のラブラブカップル!
一条楽と桐崎千棘嬢のお二人!!」
楽「(前のままだったらここで躊躇してしたかもしれない。
だけど、今の千棘と俺はまがいもなく本物のカップル...)」
楽「もちろん!」
千棘「ありがたくやらせてもらうわ!」
楽・千棘「だってラブラブカップルだし!」
楽「(─躊躇なくこんなことを主張出来る...)」
千棘「(現に私たちは本当にラブラブで、あの日から1ヶ月は経ったけど、
仲の良さは特に変わらなくて)」
楽「(むしろ前よりも仲がよくなったような気がする)」
千棘「(もちろん、
私たちが本当にカップルになったっていうことはみんなに言ったわ)」
楽「(カップルになるというだけでこんなにも気が楽になるんだと思ったよ)」
千棘「(お互いに好きな人と一緒にいることがこんなにも楽しいんだと思ったわ)」
集「じゃあ一通り練習をしてみよう!」
集「じゃあ、ロミオとジュリエットのこの台詞から!」
ドーゾ!
楽「ジュリエット!今助けにいきます」
千棘「えぇ...」ウットリ
楽「今、助けに参りました...」
千棘「うん、ありがとう!」ギュッ
楽「心配しましたよ...」ギュッ
カーーット!!
集「ちょっとちょっと!
そんな台詞台本には書いてないんだけどなー」
るり「とんだバカップルね、のろけすぎよ」
千棘「えへへ...ごめんなさい」
楽「俺達の関係はきっといつまでも続く」
千棘「私たちの関係はきっといつまでも終わらない」
楽「な、そうだろ?千棘」
千棘「えぇ、そうよ。楽」
千棘「ふふっ...///」
ギュッ...
───終───
終わりです
千棘の誕生日の日に終わらせようと思いましたが止めました
少ししたら別のヒロインに同じようなことをさせたいです
ありがとうございました
このSSまとめへのコメント
支援
支援
めっちゃいいです!!!!