ダリオ=ブランドーがジョースター教にハマりました (64)

ダリオ「ウヘヘヘヘヘヘヘ。おい見ろよッ!事故だぜッ!」

酒場の女「ちょっとォだんな!あたしゃ関わり合いはゴメンだよォ」


1868年の雨の日……崖から落ちた貴族の馬車を見つけたんだ。

それが運命の始まりだった。運命の出会い——


ジョースター「き……君が介抱してくれたのか。ありがとう……」

ダリオ「(こいつ…おれを命の恩人と思っているようだぞ。ケケケ!)」

ジョースター「礼をさしあげようと思ったが……
なるほど。既に財布や指輪は『盗った』というわけか……『君』がッ!!」

ダリオ「ひ…ひいいいィィィ!?おれが盗んだと、ばれてやがるッ!?」

ジョースター「……しかし逆だ。
『あげちゃってもいいさ』と考えるんだ」

ダリオ「え……!?」

ジョースター「『施し』の精神こそが、我が『ジョースター教』の教え。
持っていきなさい。財布も指輪も……」

ダリオ「お…おまえ……。いや!『あなた様』は……!!」





『宗教!』

そのすてきな好奇心がダリオを行動させたッ!





※『ジョジョの奇妙な冒険』第一部を元にした想像のお話です。

拙い文章ですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。

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ダリオ「聞こえねえのか……ディオ……
ゴホッ、ゴホッ!ゴホ、ゴホ、ゴホ……」

ディオ「なんだい父さん、薬かい?」

ダリオ「い、いいや薬はいらねえ……ディオ!
ちょいとここへ来い。話がある。
おれはもう長いことねえ……わかるんだ……。じき死ぬ……」

ディオ「……」

ダリオ「いいかディオ。ゴホッ!おれが死んだらこの手紙を出して、
この宛名の人の所へ行け!おれは『この方に恩がある』……
晩年、おれはこの方への奉仕ができなかった。
だから、おまえは一生をかけてこの方へ尽くすんだぜ!」

『DARIO BRANDO  BORN 1827 DEAD 1880』

ディオ「醜くってズル賢こくって、何かあれば『ジョースター、ジョースター』。
母に苦労をかけて死なせ……最低の父親だったぜ!
ひとりでも生きられるが、利用できるものはなんでも利用してやる!
だからこのジョースターとかいう貴族を利用して、だれにも負けない男になるッ!」

ディオ「くずめッ!」 ペッ

ジョナサン「君はディオ=ブランドーだね?」

ディオ「そういう君はジョナサン=ジョースター」

ワンワンワン!

ジョナサン「紹介するよ、ダニーってんだ!
心配ないよ!決して人は噛まないから」

ボギャアアッ!

ディオ「(犬を蹴り上げたッ!
こいつがジョジョか。こいつを精神的にとことん追いつめ……)」

ジョナサン「なっ!急に知らない犬が走ってきてビックリしたのかい!?
ディオ!許してくれーーッ!」

ディオ「(な…なんだと!?)」

ジョースター「ディオ……ダニーの事はもういいね?」

ディオ「は…はい。
(くそッ!調子が狂う……。本当は一言『許さん』と言って欲しいくらいだ)」

ディオ「!」

ガシッ

ディオ「何してんだ?運ぶつもりか?
気安くぼくのカバンにさわるんじゃあないぜ!」

ジョナサン「申し訳ないッ!
ぼくの手は犬のヨダレでベトベトしているかもしれないしね!」

ディオ「(何か……早くも寒気がしてきた)」

どれだけ貧しくとも、どれだけ人に罵られようとも、
『誇り』だけは忘れずにディオは生きてきた。

しかし、それまで『誇り』を頼りに生きてきたディオの生活は、
とても辛いものとなるのだった。

ジョースター「また間違えたなジョジョ。
6度目だッ!同じ基本的なまちがいを6回もしたのだぞッ!
しかし!何度も続ければいつかはできる!頑張ろうジョジョ!」

ディオ「(……そこは叱るべきだろうがッ!)」


ジョースター「ジョジョ!おまえはそれでも紳士か!
作法がなっとらんぞッ!作法が!ジョジョの食器を追加したまえ。
今晩はとことん作法を学ぼう、ジョジョ!」

ディオ「(おれはこの父がジョジョを『あまやかしていた』のを悟った。
養子として恥ずかしいッ!おれの作法は完璧だぞ!?)」





ディオ「味わいな!このままッ!!親指を!
こいつの!目の中に……つっこんで!殴りぬけるッ!」

ズボォ!ブッギャア!


観衆「すごい防御テクニック!それに見た事もない花火だッ!」

ディオ「特別ここにいる者だけに教えてやってもいい。
でもジョジョには絶対教えるなよー。あいつはすぐ秘密をもらすヤツだからな」

観衆「いや、ジョジョはそういうことは決してしない」

観衆「おい!ジョジョの目から血が出ているぞ!ディオが何かやったんだ!」

観衆「ディオは卑劣な奴だ!」

観衆「かーえーれ!かーえーれッ!!」

ディオ「(こ…このディオがブーイングを受けているだとッ!?)」

ディオ「おーい!みんな登ってこいよ!隠れてパイプふかそう」

モブ「おい変なのがなんか言ってるぜ。
向こう行こう。ここで遊ぶのはあぶないぜ……」

ディオ「くそッ!ジョジョ!
あいつさえいなければ…!!」



ジョナサン「『孤独』は人間をカラッポにするからな。
ディオが無気力なフヌケになる前に、何とかしてあげないと……」

ディオ「? 誰だあの女の子。おれをじっと見てた……ブドウ?」

ディオ「おれへの……『プレゼント』かな?
ブドウありがとう!明日もここにいるから君もおいでよォーーッ!」

ディオ「フフフ…あらためて思い出すに、
あの子バツグンにカワイイぞ!」

『恋!』

そのすてきな好奇心がディオを行動させたッ!

たちまちディオと女の子は友達になり、ディオは彼女に夢中になったッ!


ディオ「(エリナ…エリナか。なんてカワイらしい名だろう!)」






ディオ「フフ…そろそろ見せてもいいかな……」

『DIO×ERINA』

エリナ「まあ!ディオったら『いけないひとッ!』」

ディオ「ねえ一言…『うれしい』と言っておくれよ」

キャッキャッ


ディオ「じゃあなーっ、バイバーイ」

ディオ「ん?エリナ……ハンカチを忘れていってるぞ。
どれ届けてあげないと……ん?あれはエリナと……ジョジョ!?」

ズキュウウウン!

ディオ「!?」

モブ「やっ、やったッ!!」

ディオ「(お…おれは何を見ているんだ……。
ジョナサンとエリナが、『キス』をしている……)」

ジョナサン「エリナ……もうディオとキスはしたのかい?」

ディオ「!?」

エリナ「するわけないわ。
彼とは『あなたの頼み』で遊んでいるだけだもの」

ガサッ

ジョナサン「!?」 エリナ「!?」

ディオ「ど、どういうことだ……どういうことだジョジョーーーーッッ!!!」

エリナ「ディオ、それ以上近づかないで。行きましょう、ジョジョ」

ディオ「ま、待て!エリナ!?いったいこれは……」

モブ「見ろよディオのなさけねぇ姿を!ウヒヒヒヒ」

モブ「おい言ってやれよ!なぜ彼女があんな態度をとるのかをよ!」

モブ「やだよ。オレ、ディオが悲しむ姿を見たくねーモンッ!
ウヒャヒャヒャヒャ!」

ジョナサン「おまえらやめろッ!ぼくはディオの為を思って……」

ディオは理解した。

エリナはジョジョに『頼まれて』、おれと遊んでいただけだったのだ。
しかし……これはエリナへの『侮辱』だ。彼女の心を弄んでいる。



ディオ「彼女に対する『侮辱』が許せないッ!」

ディオ「ジョジョーーーーッッ!!!」

ジョナサン「ぼくは『君の為』を思ってやった。
ただ、それが君の為になっていなかったというなら、
鉄拳による報復も甘んじて受け入れよう」

ディオ「君がッ!泣くまで!殴るのをやめないッ!!」

ドッガァァン!

ジョースター「二人共!道端でなにをやっている!?」

ジョースター「男子たるものケンカの一つもするだろう!
しかしディオ!今のはジョナサンを一方的に殴っていたように見えた!
『ジョースター教』の教えを学ぶ者がすることではない!」

ディオ「こ…これは!」

ジョースター「いいわけ無用!ディオ!あとで君だけに罰を与える!」

ディオ「こんなに落ち込む気持ち……母さんが死んだ時以来だ。
みじめで……苦しくって……寒くって……」


そして——

7年の歳月が経過する——

ディオはひとりぼっちのままどのように成長していくのだろう


石仮面は——

静かに時を待つ…

ここまでご覧頂きありがとうございます。
続きはまた日を改めて、書かせて頂きます。

それでは。

実況「倒れない!ひきずるぞォジョジョ!しかし4人目ッ!
さすがにぐらついたかーーッ!?ああッ!!」

パッシィ!

実況「パスがとおったァーーーッ!ディオ!
やはり我が校のディオ=ブランドーですッ!」

『トライ!』

ジョナサン「やったなディオ!またまたぼくらのコンビで勝負を決めたなッ!」

ディオ「あ…あぁ」

ジョナサン「この勝利をさっそく父さんに報告しなくっちゃあな。
ディオ、着替えたら待っててくれ。いっしょに帰ろう」

新聞部「ジョジョ!ディオ!学園の新聞に、
君たちの友情について書くけど話してくれないか?」


ディオ「(オレはジョースター家の正式な養子になった。
7年か……あれから7年も経つ。
今……ジョジョとあんな会話をしていたけれど、
正直おれはヤツに対して友情を感じていない。
形はどうあれ、あんなにやさしくしてくれているのに……)」


ジョナサン「(友情?そんなものとは違う。
これは『施し』だ。哀れなる存在への『恵み』に過ぎない。
ディオはぼくの兄弟だ。ぼくには責任がある。
彼の心は、このジョナサン=ジョースターが支える。
『ジョースター教』の一員として……)」

ジョースター「ゴホッ!ゴホッ!」

ジョナサン「父さん、気分はいかがですか?」

ジョースター「だいぶいいよ……ゴホッ。
ただ咳が止まらないな」

ディオ「(よし……『薬』が効いているな。
このディオが受けた屈辱は必ず晴らしてやるぞ。
『侮辱する』という行為に対しては、神は殺人も許してくれるはずだ)」

ジョナサン「ディオが言ってたな。『考古学が金になるのかい?』って。
石仮面……この秘密を解いて、一大センセーションをまきおこせればいいな」

ジョナサン「あ!しまった!」

ドサドサドサ

ジョナサン「父さんの本の間に古い手紙が……『ダリオ=ブランドー』だってッ!?」

執事「いつもすみません、ディオさん」

ディオ「薬をあげる事ぐらい、たやすいさ」

ゴソゴソ…

ジョナサン「ディオ。今……その薬どうした?」

ディオ「……」

ゴゴゴゴゴゴ…

ジョナサン「7年前、君のお父さんが出した手紙。偶然見つけたよ。
君の父の症状は……ぼくの父さんと同じ症状だーーーッ!!
いったいこれはどういう事だッ!
その薬……調べさせてもらう!」

ディオ「ジョジョ!その薬を調べるということは、
友情を疑う事!『友情』を失うぞッ!」

ジョナサン「『友情』だって?……ぼくと君がかい?
そんなもの、初めからあるわけがないッ!
今の言葉で疑惑が確信に変わったぞッ!
君はぼくの優しさを、憐れみを、そして『施し』を裏切った!
恩を仇で返そうなどという輩は許さんッ!!」

グオオオン!

ディオ「うう!?も、持ち上げられる!?
こ…こいつなんて力だッ!ぐあああッ!?」

バゴォオンッ!!

その時!一階の床に叩きつけられディオが吐いた血が、
『石仮面』に付着した!

ビイイイン!

ディオ「!?」



ジョナサン「父にはもう近づかせんッ!この薬を分析して、
必ず刑務所にぶち込んでやるぞッ!!」

この後は、『原作通り』に時は流れる——


ジョナサンは食屍鬼街でスピードワゴンを仲間にし、薬の証拠をつかんだ。

一方ディオは酒を飲まずにいられず、結果『石仮面』の吸血鬼化の秘密を知る。


そして、ジョースター邸では食屍鬼街から戻ったジョジョが、
ディオの帰宅を待っていた……

ディオ「どうした執事!?なぜ邸内の明かりを消しているッ!?」

シュボ!

ジョナサン「……解毒剤は手に入れたよ。つまり『証拠』は掴んだ。
残念だよディオ。君も『ジョースター教』の教えを継ぐ者と信じていたのに…」

ディオ「ご、誤解だよジョジョ!ぼくは悔いているんだ!
『施し』を裏切ってしまったことに!その証に戻ってきたんだ!
逃亡しようと思えば外国でもどこへでも行けたはずなのに!」

ジョナサン「た…たしかに!」

スピードワゴン「ジョースターさん気を付けろ!信じるなよ、そいつの言葉を!」

ディオ「ヌムッ!?」

スピードワゴン「この東洋人の顔に見覚えがあるだろうッ!!」

ワンチェン「……」

ディオ「!?」

ジョナサン「この東洋人が君に毒薬を売った証言はとってある」

ジョースター「話は全て聞いたよ。君のお父さんはわたしをよく慕ってくれた。
君にも『施し』の精神がいつかわかる日がくると思っていたが……」

ディオ「ここまでか……わかりました、逮捕されますよ。
だがせめてジョースター卿。あなたの手で手錠をかけて欲しい」

ジョースター「わかった……わたしが手錠をかけよう。
罪は罪だ。しかし、罪を償ったら……
また一緒に『ジョースター教』の教えを学ぼうじゃあないか」

ゴゴゴゴゴゴ…

ディオ「ジョジョ…人間ってのは能力に限界があるよな。
人間を越えるものにならねば……」

ジョナサン「なんのことだ?なにを言っているッ!?」

ディオ「おれは人間をやめるぞ!!そしてジョースターッ!
貴様さえいなければッ!
ブランドー家は狂わなかったんだよオオォォーーーッッ!!」

ジョースター「こ…これはッ!?ナイフと『石仮面』!!」

ドス!
ベットリ…

警部「奴を射殺しろーーーッ!!」

ドガガガガーン!

ディオ「うわっはははははーーーーッッ!!!」

ジョナサン「ああ……なんてことだ。父さんの信念が、
『施し』の精神が、こんな結果を招いてしまうなんて……」

ジョースター「ジョ…ジョ……。
『施し』を受けなかったからと言って、暴力に走ってはいかん……。
施しを受けない者にはな…逆……だ。
もっと大らかで、やさしい…更なる『施し』をかけて……あげるんだ。
その者を『救えるまで』……な……」

ジョナサン「父さん……」

ジョースター「悪くないぞジョジョ……
息子の腕の中で死んでいくと……いう…のは……」

警部「ジョースター卿ーーーッ!!死んでしまったらおしまいじゃ!」

スピードワゴン「ちがうッ!あの父親の『ジョースター教』の精神は……
息子のジョナサン=ジョースターが立派に受け継いでいる!
ハッ!?
死体が…ディオ=ブランドーの死体がないッ!?」

ドン!

スピードワゴン「さ、サツの旦那の頭が吹っ飛ばされた!?
な…なんだこいつはァーーーッ!?生き返っているッ!」

ディオ「UREEYYYッ!!」

スピードワゴン「襲って来るぞ!危険だ!ジョジョーーッ!
早く撃て!!早く撃つんだーーーッ!!」

ジョナサン「いいや、ぼくは父さんの『教え』に従い、
ディオを決して攻撃したりはしない!彼を『救う』んだ!
だ か ら 『逃げる』ッ!!」

スピードワゴン「なっ!何を言ってるんだァーーーッ!?」

警官「うわあああーーっ!!」

ドオーン! ドゴッ!

警官「し…死なねえ!頭を撃ち抜いたのに!」

ディオ「こんなにすばらしい力を手に入れたぞ!
石仮面からッ!!ジョースターの血からッ!!」

ドスドス!

警官「ぎゃああああああ!!」

スピードワゴン「ひょっとして吸い取っているのか!?
人間の中の精気を……ディオは吸い取っているのかッ!?」

警官「うおおおおおおおお!?」

スピードワゴン「(警官達が恐怖しているッ!)」

スピードワゴン「か…怪物を生み出したのか……あの石仮面は!
だが、奴をこの世にいさせちゃあいけねえ!
そしてジョジョはもうダメだ!
あいつは『狂って』いる!戦えるのはオレだけだ……!!」

警官「に……逃げろッ!スピードワゴンさん!
あんたに勝ち目はねえッ!殺されるだけだ!」

ジョナサン「そうだッ!
『施し』の精神が君にはわからないのか!?スピードワゴンッ!」

スピードワゴン「おおおりゃああああっ!!」

グボァ!ガシッ!

警官「ううッ!と…止めやがった!槍を手に串刺して止めやがった!!」

ディオ「ジョジョォォーー……邪魔をしないなら、屋敷の外に出ていろ。
あとでケリをつけてやる!」

ジョナサン「わかったッ!ディオ!必ず君を救い出すッ!!」

ボオッ!

ディオ「!?」

突如屋敷に火の手が上がり始めた。

スピードワゴン「これは『策』だッ!おまえを倒す為の!!」

警官「やっ…やったぞ!奴は焼けている!し、しかし!
焼けながらも皮膚が再生している!?この火では倒せないのかッ!?」

ディオ「フアアアアアアッ」

スピードワゴン「おおおおおッ!スキだらけだぜーーーッッ!!」

ババババルル!

ディオ「刃のある帽子を飛ばしたのか!?だがそれがどうし……ハッ!?」

ガシッ

スピードワゴン「帽子は囮ッ!このまま貴様を……投げ飛ばすッ!!」

ブオン!
ディオは宙に投げ飛ばされた!その先にはッ!!

ディオ「な…なにィ!!」


バゴ!ズブ……ズンッ!!!

『ジョースター家の守護神 慈愛の女神像!!』

ディオ「ギャアアアアア!!
よ…よくも!よくもきさまッ!よくもこんなァアアアアアアーーーッ!!
ジョジョ!た、助けてくれーーーーッ!!ハッ!?外にいて『声』が届いていない!?
火が!火がああァァ!!ジョオジョオオオォオオーーーーッッ!!!」



ジョナサン「や…屋敷が焼け落ちるッ!!そんなバカな……
ディオ……ディオォォ—ーーーーッッ!!!」




- 屋敷跡 -

ガラガラ ガラガラ

ジョナサン「ディオ……あの炎の中、君の声が聞こえた気がした。
『助けてくれ』という声が……。まだこの瓦礫の下に……ハッ!?」

ガバア!

ディオ「はぁ…はぁ…ジョジョ……。なぜおまえがここにいる……」

ジョナサン「ディ、ディオ!まさか本当に生きていたなんて……!
く…首だけ!?か……体はもうないのか!?」

ディオ「はぁ…はぁ……そうだ。
だから…おれはもう間もなく死ぬ。なぁ、なぜここにいるんだ……」

ジョナサン「君の『声』が聞こえた気がしたからだ。『助けてくれ』って……」

ディオ「……」

ジョナサン「ディオ。君こそ首から触手を伸ばして、
ぼくの生命エネルギーを……吸い取ろうとしないのかい?」

ディオ「……そんなことはしない。
ジョジョ、おまえは一途なまでにおれを信じてくれた。
宗教だろうが何だろうが、『信じて』くれたんだ。この『化け物』をな……
だから、このままいさぎよく焼けただれて死ぬとするよ。
それがジョジョ、君の『施し』に対しての礼儀だ……」

ジョナサン「『施し』……確かにそうだった。
だけどぼくは今、君に『奇妙な友情』を感じている。
それは君もぼくを想い、ぼくも君を想っているからだ。
一方通行ではない。それがはっきりわかったよ……
ぼくの今の心は、ただ一つ。君を『救いたい』。最後まで『救いたい』」

スッ

ディオ「ジョジョ…なんだその剣は……?
自分の首元に剣をあてて……
ジョジョ、何を考えている……!掻っ切るというのか!?
自分の首をッ!エリナが悲しむぞ!!」

ジョナサン「『恋人の情を集めても、我が胸に燃える友情の火には及ばぬ』
ディオ……ぼくらは二人で一人だったのかもしれないな」

ディオ「離すんだ!考えなおせ!!ジョジョ!!」

ジョナサン「幸せに……エリナ……

そして……

ディオーーーーッッ!!
ぼくの最期の『施し』だ!受け取ってくれーーーーーッッッ!!!」





ザンッ!!!

この物語は『信じる』ことをテーマにした物語です。

『狂信』も含めた意味で……


ジョナサンは、自ら首をはねた。

そのジョナサンの体をディオは乗っ取り、生き延びた。


ジョナサンのこの狂信的行動が『正しいか否か』は、

誰にも答えが出せないだろう。


だが……己の『信じる道』を貫いたジョナサンの死に顔は、優しく微笑んでいた——



≪ダリオ=ブランドーがジョースター教にハマりました −完−≫

最後までご覧頂き誠にありがとうございました。
コメントを頂いた皆様、本当にありがとうございました。

それでは。

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