六花「勇太が私以外の女と浮気してる…」 (11)
富樫「寒くなかったか、七宮?」
七宮「ゆ、勇者! どうして戻ってきたの?
邪王心眼のことはいいの?」
富樫「六花? なんで?」
七宮「なんでって…
二人は恋人の契約を」
富樫「そんなの、今はどうでもいいよ」
人気のない神社の一角で雨宿りしていた若い男女。
富樫勇太は七宮をやさしく抱き寄せると、耳元でこうささやいた。
「お前が転向してなければ、六花とは
付き合ってなかったと思う」
罪悪感より、女としての悦びが勝っていた。
七宮はぎゅっと富樫にしがみついたのだった。
雨に濡れた頬に、涙がこぼれ落ちる。
(もう我慢しなくていいんだ。私は勇者と。
富樫勇太君と……)
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