P「メルツェルの自動人形」 (95)
・世間は亜美真美誕だけど気にしたら負けかなーって
・初SS故色々と駄目な部分が多いかもしれません
・句点と三点リーダーが多いのは仕様です
・スレタイと内容はあまり関係ないかも
大丈夫な方はどうぞ
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1400684332
~??765プロ、事務所???
美希「ただいまなのー!」
真「ただいまー!」
千早「おかえりなさい」
赤羽根P「おかえり、二人とも」
美希「あれ?小鳥は?」
赤羽根P「今日は風邪っぽかったから帰ってもらったよ、まあ事務仕事はPさんもいるし俺も後でやるから心配ないさ」
P「・・・」カタカタ
美希「・・・ミキあのPって人ちょっと苦手なの」
真「美希っ!」
美希「でもあの人誰も担当してないのにいつもパソコンの前か外に行ってるの、あの人が取ってきた仕事ってのも聞いたことないし・・・」
赤羽根P「美希、やめなさい」
美希「むぅ・・・ハニーが言うなら・・・」
千早「・・・」
赤羽根P「美希は明日午前中から歌番組の収録があるだろ?早く帰りなさい」
美希「地方局の歌番組なんて久しぶりなの」
真「ボクは明日なんでしたっけ?」
赤羽根P「真は・・・雪歩と○○○○の収録だな、こっちも割と早いぞ」
真「じゃあボクも美希と一緒に帰ろうかな」
美希「あはっ☆心強いボディーガードなの」
真「ちょっとそれどういう意味かな?」
千早「でもいざとなったら美希を守るでしょう?」
真「そりゃあもしそうなったら守るけどさ」
美希「やっぱり心強いボディーガードなの」
真「もうそれでいいや・・・」
千早「私は明日午前からレコーディングですよね」
赤羽根P「ああ、△△スタジオだな」
美希「じゃあハニー、バイバイ」
赤羽根P「また明日な」
美希「そうだ、千早さんも途中まで一緒に行こ?」
千早「ごめんなさい、今日はCDショップに予約したCDを取りにいかないといけないの」
真「あそこは駅と真逆のほうだね、残念」
美希「むぅ・・・じゃあね千早さん」
千早「ふふ、今度の休日どこか行きましょう」
美希「やったの!千早さんからデートのお誘いなの!」
真「千早にはもう春香がいるじゃないか」
千早「なんで私と春香が付き合ってるみたいに言ってるの?」
美希「え?」
真「え?」
千早「えっ」
真「じゃ、じゃあそろそろ帰ろうか」
美希「末長くお幸せになの」
千早「色々ひっかかるけどさようなら」
ギィ バタン
千早「さて、私もCDショップ行ってから帰りますね」
赤羽根P「ああ、じゃあな」
ギィ バタン
P「・・・」カタカタ
赤羽根P「先輩、手伝いましょうか?」
P「助かる、半分くらいそっちに渡してもいいか?」カタカタ
赤羽根P「大丈夫です、まだプロデューサーとしては半人前な俺を見てくれている恩を少しでも返したい」
P「アイドルからの評価は真逆だがな、はは」カタカタ
千早(忘れ物をしてしまったわ・・・話し声?)
赤羽根P「先輩がそう演技しろと言ったのでしょう?」カタカタ
P「765に定住するつもりは無いからな、少なくともお前が十分育たないと離れられないが」カタカタ
赤羽根P「じゃあまだまだですね」カタカタ
P「美希の明日の番組は赤羽根が取ってきたものだろう」カタカタ
赤羽根P「俺にはまだあの程度の仕事を取る程度の力しかありません」カタカタ
P「あの局は今まで765と縁の無かった所だ、地方局とはいえ繋がりを持てたのは大きい」カタカタ
赤羽根P「ありがとうございます、いつか先輩みたいになれるように」カタカタ
P「俺にだけはなるな、絶対に」カタカタ
赤羽根P「・・・」カタカタ
P「よし、終わったらたるきで飯でも食うか」カタカタ
赤羽根P「お、良いですね」カタカタ
P「後に終わらせたほうの奢りな」カタカタ
赤羽根P「えっ」カタカタ
千早(これは・・・どういうこと・・・?)
千早(Pさんが仕事を・・・?何か自分の認識が間違ってる気がする)
千早(聞いてみるべきね・・・)
<<たるき亭>>
<アリャッシター
赤羽根P「ゴチになります!」
P「赤羽根に負けるとは何たる不覚・・・」
赤羽根P「危なかった、今月の残りの夕食代が寂しくなる所だった・・・」
P「さて、俺はちょっと事務所でやらなきゃいけないことがあるから先に帰っててくれ」
赤羽根P「まさかまだ事務仕事残ってるんですか?」
P「そんな訳ないだろう、残っていたらお前に丸投げするさ」
赤羽根P「そんな酷い!」
P「はは、じゃあそういう訳でまた明日な」
赤羽根P「おやすみなさい」
<<765プロ、事務所>>
P「さて残りを終わらせるか」
P「・・・」カタカタ
P「・・・」カタカタ
P「・・・」カタカタ
P「・・・」カタカタ
ギィ バタン
P「・・・誰だ?赤羽根か?」
千早「私です、忘れ物を取りに」
P「もう7時だぞ、早く帰りなさい」
千早「・・・帰る前に一つ聞きたいことがあるのですが、私が先週でたあの歌番組を取ってきたのは誰ですか?」
P「赤羽根だ」カタカタ
千早「春香が今やっているゴールデンの半レギュラーの仕事を取ってきたのは誰ですか?」
P「赤羽根だ」カタカタ
千早「本当にそうなのですか?貴方がプロデューサーを指導し、さらに私達を育てるために仕事を取ってきているのでないのですか?」
P「何を根拠に」カタカタ
千早「じゃあ私達が帰った後、何をしていましたか?」
P「できる後輩ができない先輩の手伝いをしていただけだ」カタカタ
千早「私にはそうは聞こえませんでした」
P「・・・あまり良い趣味とは言えんな」カタカタ
千早「つまり、あれが真実なんですね」
P「俺はお前がここまでお前が他人に執着する人間だとは思っていなかったよ」
千早「私も自分がこんな人間だとは思っていませんでしたよ」
P「変わったな、今この瞬間だけなら仲間に毒されたなと表現する所だ」
千早「毒は薬にもなりますよ?」
P「薬も毒になるんだよ」
千早「・・・で、結局貴方は実はプロデューサーとして私達を育て上げていたのですか?」
P「だったらどうしたと言うのだ、俺の765プロのアイドルからは"後輩に比べて仕事ができず、愛想も悪い木偶"というような印象を持たれている」
千早「そうですね」
P「ならそれが事実だ、現実がどうであれ」
千早「私はそうは思いませんが」
P「それにどうせ俺は赤羽根が一人前になったら去る予定だ、そうした後の765プロに俺の穴を残してはならない」
千早「貴方自身はそれでもいいんですか?」
P「十分だ、そもそも俺は人付き合いが苦手な人間だ」カタカタ
千早「私もそうですよ」
P「なら解ってくれるだろう?俺は現状を維持したいんだ、あまり触れないでくれ」カタカタ
千早「まあ元々言いふらすつもりはありませんが・・・わかりました、その代わり一つお願いがあるのですが」
P「・・・何だ?」カタカタ
千早「明日から撮る新曲の歌い方でアドバイスを頂きたいのですが」
P「そういうのは赤羽根に頼め、そっちのほうが参考になる」カタカタ
千早「私は貴方の指導を受けたいのです、参考になったならないは私が判断することです」
P「はぁ、面倒な。わかった見てやるよ」カタ…
千早「ではここの・・・」
P「ああいや今日はもう遅い、明日にしよう」
千早「そうですか・・・」
P「明日××レッスン場に17時に必要なものと明日録ったテープを持って来てくれ、時間とかは大丈夫か?」
千早「はい、問題ありません」
P「じゃあもう今日は帰・・・もうこんな時間か、乗せていくよ」
千早「とてもありがたいのですか・・・残りの事務は良いのですか?」
P「あぁ・・・じゃあ10分待ってくれ、終わらせる」
千早「わかりました」
千早(この人はこんな生き方で楽しいのだろうか?)
千早(・・・楽しいのだろう、以前の私と一緒ね)
<<翌日、朝、765プロ事務所>>
P「おはようございます」
赤羽根P「おはようございます」
小鳥「おはようございます」
P「音無さん熱は下がったんですか?」
小鳥「はい、一応マスクはつけていますが元気バリバリですよ!」
P「じゃあ元気バリバリついでに、今日俺五時前くらいに事務所を出なければいけなくて、事務の人手が少なくなりますが大丈夫ですか?」
小鳥「貸し1ですよ」
P「じゃあ昨日の分と差し引いて貸し借り無しですね」
小鳥「うっ・・・」
赤羽根P「俺らは多分大丈夫ですが、何か大きな仕事でも見つけましたか?」
P「いや、そういう訳じゃないが・・・」
小鳥「これは女の気配ね、私のインカムが囁いているわ・・・さあお姉さんに洗いざらい話してみなさい?」
赤羽根P「・・・お姉さん?」
小鳥「あ"ぁ"?」
P「まあ女絡みには違いないんですがね・・・昨日赤羽根が帰ったあと事務所で忘れ物をした如月と出くわしてしまって」
小鳥「それでそれで?フィッヒッヒ」
赤羽根P「・・・楽しそうですね音無さん」
P「俺らが実際やってる事を詮索された挙句、新曲の歌い方で学びたいことがあると迫られて」
小鳥「それで今日見ることになったと」
P「そんなところです」
赤羽根P「・・・ということは千早には俺が実はダメ人間だということがわかってしまったということかぁ・・・」
P「如月は昨日"つまりプロデューサーもいつも努力しているのですね"と言っていたがね、まあそう思うなら早く一人前になってくれ」
赤羽根P「はぁ、了解です・・・」
小鳥「あら赤羽根さんは千早ちゃんを狙っていたのですか?」
赤羽根P「そういうわけじゃないんですがね・・・身近な人、それも美人から嫌われるって何か悲しくなりません?」
P「俺にはわからんな、まあ如月それ位で人を見放す人間だとは思わん」
赤羽根P「それはわかってるんですがね・・・」
P「そっとしておいたほうが良さげだなこれは」
小鳥「ちは×P・・・ちは×羽根・・・いやここは千早ちゃんを巡り合う関係からの羽根×P・・・」
P「こっちはこっちで持病か・・・さて俺も仕事を始めるとするか」
<<夕方、××レッスン場>>
千早(少し早く来すぎてしまったわね)
千早「・・・」ゴソゴソ
千早(楽しみ・・・なのかしら)
千早「・・・」カチカチ
千早(それにしてもPさんは何故あんな事をしてるのだろう)
千早「・・・」シャカシャカ
千早(あの人だってまだ確か25,6歳でしか無い)
千早「・・・」シャカシャカ
千早(まだ比較的新人の年なのに何故新人を教育するようになっているのだろうか)
千早「・・・」シャカシャカ
千早(ああも自分を犠牲にしてまで)
千早「・・・」シャカシャカ
千早(・・・まさか私が他人に自分を犠牲にしてまでと思う日が来るとは思わなかったわ)
千早「・・・」シャカシャカ
ピロリロリーン
千早「プロデューサーからメール?」
千早「・・・」シャカシャカ
ピロリロリーン
千早「プロデューサーからメール?」
千早「・・・」
ピロリロリーン♪
千早(プロデューサーからメール?)
ガチャ
P「すまない、待たせたか」
千早「いえ、私もさっき来た所です」
P「そうか。じゃあ早速だが今日録ったものを貸して、その間に聞きたい所を考えておいてくれ」
千早「了解です」
ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー
P「こんな所か」
千早「ありがとうございました、とても有意義な時間でした」
P「こちらこそ、久し振りこういう事をやったから駄目な部分もあっただろうが」
千早「え?とてもそうとは思えなかったのですが・・・」
P「まあ赤羽根には色々と教えてるからそれでかもな」
千早「どうりで何処と無くプロデューサーと教え方が似ているのですね」
P「なら今度からは赤羽根に教わるといい」
千早「善処します」
P「俺は本当にこれきりにして欲しいのだがな・・・」
P「そういえば如月はこれから予定はあるか?」
千早「事務所に忘れ物をしたのでそれを取りに行かなければ」
P「なら先に帰っててくれ、時間をずらしてから俺も戻る」
千早「ずらすとは、何故?」
P「色々勘繰られると面倒だ」
千早「私は構いませんが」
P「俺が構うんだ」
千早「なら仕方ありませんね、それでは後ほど」
P「ああ」
ガチャ
千早(実際彼の教え方は解りやすかった)
千早(あれなら普通にプロデュースすればトップアイドルを作ることもできるはず)
千早(でも何故?気になるわね)
千早(・・・何故私はこんなに他人を気になっているのだろう)
千早(・・・毒された、ね)
<<765プロ事務所>>
ガチャ
千早「ただいま」
真美「お、千早お姉ちゃんおかえりー」
春香「おかえり、千早ちゃん」
小鳥「おかえりなさい」ニヤニヤ
千早(音無さんが嫌な顔をしてる・・・まあプロデューサーが知っていたのなら音無さんが知ってても可笑しくないか)
春香「千早ちゃんどこ行ってたの?」
千早「私今日から新曲のレコーディングだから、それに関連してちょっとレッスンスタジオにね」
真美「千早お姉ちゃんは相変わらず真面目ですな」
小鳥「それで、どうだった?」
千早「とても有意義な時間でしたよ」
小鳥「ふぅーん」ニヤニヤ
千早(いい加減その顔やめて欲しいわね)
春香「そうだ、今日はなんとあの春香さんの手作りクッキーがあるんだよ!」
千早「あまり珍しくはないじゃない」
春香「そうだよね・・・いつもいつも私のクッキーばかりで飽きちゃったよね・・・ウウッ」
千早「え?いえそういう訳じゃなくて」
春香「いや大丈夫だよ・・・ごめんね千早ちゃん、明日からはちゃんとしたクッキー持ってくるね・・・」シクシク
千早「は、春香・・・その・・・そういうことじゃなくて・・・その・・・ごめんなさい・・・」オロオロ
真美「あ→あ千早お姉ちゃんはるるんを泣かせた→」
小鳥「いーけないんだーいけないんだー」
春香「ううう・・・」
千早「は、春香ぁ・・・」ブワッ
春香「ねぇ千早ちゃん・・・」
千早「な、何?」
春香「ちょっとじっとしてて」
千早「はい」
春香「・・・」
千早「・・・」
春香「千早ちゃんかーわーいーいー!」ダキッ
千早「」
真美「やっぱりかぁー!」
小鳥「いやぁ眼福眼福」
千早「」
春香「真美もノリノリで煽ってたくせにやっぱりじゃないでしょー」
真美「気のせいじゃないかな」
千早「」
小鳥「いやあはるちはは世界の宝ね」
赤羽根P「おーい二人ともそろそろ帰る時間・・・千早もいたのか」
千早「」
真美「まあ本当ははるるんの最初の嘘泣きでわかってたんだけどね」
赤羽根P「音無さんこれどういう状況ですか?」
小鳥「ピョヘヘヘ・・・え?何ですか?」
千早「春香」
春香「はい」
千早「正座」
春香「え?」
千早「正座」
春香「はい」
赤羽根P「本当にどういう状況だよこれ・・・」
ガチャ
P「ただいま戻りまし・・・ただいま戻りました」
真美(あ、あの兄ちゃんだ・・・)
小鳥「お疲れです、どうでした?」
P「微妙ですね」
小鳥「ふふ、頑張って下さいね」
真美(はるるんは仲良くしようって言ってたけどやっぱりダメダメな兄ちゃんじゃん)
P「事務手伝いますよ」
小鳥「ありがとうございます」
春香「あ、Pさんこんばんは!クッキー焼いてきたので食べて下さいね♪」
P「ありがとう」
赤羽根P「さて二人ともそろそろ帰れー」
はるまみ「「はぁい」」
赤羽根P「千早はどうする?」
千早「私も帰ります」
赤羽根P「そうか、気を付けてな」
千早「はい」
真美「じゃね兄ちゃんまた明日→」
春香「さようならー」
ガチャ
赤羽根P「・・・それでどうでした?先輩」
P「不本意ながら満足していたよ」
小鳥「あら、赤羽根さんの仕事取っちゃうかもしれませんね」
P「それだけは勘弁願いたいものです」
赤羽根P「ううん、もっと先輩から学ばないとなぁ」
P「そういえば教え方が似てると言ってたな、その点ではよく学べてるかもな」
赤羽根P「中身が伴わないと」
P「俺から見れば全然大丈夫だと思うが」
小鳥「これは・・・NTRの気配!」クワッ
両P「「仕事に集中して下さい」」
小鳥「そんなひどい・・・」
<<はるちはまみ、帰り道>>
春香「むぅぅ」
真美「どったのはるるん、正座で足痺れた?」
春香「いや、Pさん相変わらず愛想悪いなぁって」
千早「・・・」
真美「あれはあっちにその気がないかあしょうがないっしょ」
春香「でもPさんも765プロの一人だし、仲間はずれは寂しいよ・・・」
千早「・・・」
真美「う→ん、そこまでして・・・って千早お姉ちゃんどしたの?いつになく静かだけど」
千早「・・・え?」
春香「そうだ、千早ちゃんはPさんのことどう思う?」
千早「・・・」
千早(彼の意思は"現状維持"、私もそれに従いましょう・・・)
千早「私は・・・今のままのほうが良いと思うわ」
真美「千早お姉ちゃんもそう思う?正直真美達にはどうしようもないよねぇあれは」
春香「むむむ・・・怪しい」
千早「え?」
春香「千早ちゃんって気持ちが顔に出やすいよね」
千早「そ、そうかしら」
春香「春香さんは千早ちゃんがPさんについて何か知ってると推理しますよー」
真美「ほう?何か面白そうな気配がしますな」
春香「さっさと吐いて楽になっちめぇよ姐さん」
千早「何なの春香のそのキャラは」
真美「まあこのはるるんクッキーでも食いなよ」
千早「そこはカツ丼でしょう」
真美「故郷のおっかさんも泣い・・・ごめんなさい」
千早「・・・大丈夫よ。最近はその、たまに電話とかもしてるし」
春香「ふむ、そうだ今度千早ちゃんの実家に遊びに行こう!」
千早「えっ」
真美「そいつはいいアイデアですなぁ、真美も一緒に行ってもいい?」
春香「多分大丈夫だよ、ね?千早ちゃん」
千早「いやそもそも私もまだ行ったこと無いのだけど」
春香「まあまあ大丈夫大丈夫、とりあえず今日はファミレスでご飯食べて帰ろうよ、真美も大丈夫?」
真美「ママに電話してみるね」
千早(少し戸惑ったけど・・・まあ会う口実にはなるか)
真美「あ、もしもし・・・」
千早(もしかしてそれも読んで春香は言ってくれたのかしら)
春香「千早ちゃん、今はまだいいけど何かあったら言ってね」
千早「ええ、その、母と会う理由をくれてありがとう」
春香「何のことかわからないけど・・・もちろんPさんのこともね♪」
千早「・・・ええ」
千早(つい肯定してしまった、やはり春香には敵わないわね・・・)
真美「はるるんご飯大丈夫だってよ→」
春香「よーしじゃあ行こう!」
真美「お→!」
千早「ええ」
千早(でも、春香には悪いけどPさんのことを言うことは無さそうね)
千早(独占、ではない。Pさんの意思を尊重するだけだ)
千早「・・・独占?」
春香「どうしたの?千早ちゃん」
千早「いえ何でもないわ」
千早(独占?今私はそう思ったの?)
千早(いや、彼の指導は良いものだったからそう考えただけだ)
千早(私は人を能力で評価したい)
千早(・・・誰に言い訳してるのかしら)
千早(とりあえず彼のことは考えないようにしましょう)
千早(結局、その新曲のレコーディングは予定より早く終わった)
千早(プロデューサーが出来ない人間だということではないのだが、やはりPさんの教え方は解りやすい)
千早(それに二方面からの意見を取り入れることも重要だろう)
千早(そして、私は近くに控える定例ライブで歌う歌についてPさんに教えを乞う日が続いた)
寝ます
それと>>1の"句点"は句読点の間違いです
句点に限って言えばそんなに多くないね
ACfAじゃなくて「トルコ人」のほうの意味でスレタイ付けた筈なのにこの有様はなんだメルツェェェェル!
という事で再開します
・・・少し伊織が嫌な役回りになるかもしてないから注意を
<<数週後、765プロ、ある日の日常>>
千早「ただいま戻りました」
小鳥「おかえりなさい」
赤羽根P「おかえり、千早」
千早「・・・」キョロキョロ
小鳥「あら、Pさんなら営業よ」
千早「え?いえそういうわけでは無いのですが」
小鳥「あら、そうだった?」
千早「・・・」
赤羽根P「まあまだ俺も一人前には程遠いから急がなくてもいいだろう」
千早「プロデューサーは十分プロデュース出来てると思います、そんなに卑下しなくても」
赤羽根P「いや、まだまだだよ」
千早「・・・まあいいです、今日は春香がうちに泊まりに来るので一緒に帰ることになってるんですよ」
小鳥「そういえばさっき春香ちゃんから"もうすぐ事務所に着くので千早ちゃんに言っておいて下さい"って連絡が着たわね」
千早「・・・それを知っててPさんの名前を出したんですか?」
小鳥「小鳥まだ女の子だからわかんなぁい」
千早「・・・無性に殴りたい」
赤羽根P「千早、一発までなら許可する」
千早「では遠慮無く」
小鳥「すいませんでした、ごめんなさい、許して下さい」
千早「微妙に棒読みなのが気にりますけど・・・まあいいでしょう」
赤羽根P「いやぁ千早もこういう悪ノリに乗ってくれるようになったなぁ」
千早「プロデューサー達のお陰ですよ、変われたのは」
赤羽根P「そう言って貰えると嬉しいよ」
千早「あるいは毒された、ですね」ボソッ
小鳥「・・・?」
春香「ただいまー!あ、やっぱり千早ちゃんのほうが早かったかぁ」
千早「ふふ、待ってたわよ」
小鳥「誰をでしょうねぇ」ボソッ
赤羽根P「ねぇ」ボソッ
千早「それじゃあ帰ります」
春香「さようならー」
赤羽根P「じゃあな」
小鳥「ええ、また明日ね」
春香「今日は何を作ろうかなぁ」
千早「今晩も楽しみだわ」
ガチャ
小鳥「さて赤羽根さん、千早ちゃんを寝取られた感想はどうですか?」
赤羽根P「ツッコミ所しかない発言はやめて下さいよ・・・」
<<更に一週後、ある喫茶店>>
P「で、用件は?私が東郷寺さんに呼ばれる理由が思い当たらないのですが」
麗華「端的に言う、お前をスカウトしたい」
P「・・・また急ですね、正直困惑しています」
麗華「一応765プロの社長には話を通してあったがな」
P「しかし何故ですか?私はただの765の重石ですよ?」
麗華「今日はそういう話をしに来たのではない、私はお前の実力を買いたいだけだ」
P「まさか天下の魔王エンジェルからそういう話を貰えるとは思ってませんでしたよ」
麗華「"まさか"ね、本当にそう思ってるのか?」
P「"まさか"ですよ、まあ自分も歳の割には色々なプロダクションを渡り歩いてきましたが、全て倒産寸前の所でしたからね」
麗華「その全てがお前が辞めるまでに復興しているがな」
P「はは、私は運を引き付ける力でもあるのかもしれませんね」
麗華「お前が惹きつけいるのはファンだ、アイドルの」
P「ファンを惹きつけるのは彼ら彼女らの実力でしょう」
麗華「実力?私達にそれを言うか」
P「それがあなた達の正々堂々では?」
麗華「私はお前自身の考えを聞いているんだ」
P「私としてもそのやり方も実力だと思いますよ、生まれ持った環境も自分の力の一つだ」
麗華「わからない人間だな、私達のやり方は765プロと逆のやり方ではないのか?」
P「生憎私は765の味方でも仲間でもありません」
麗華「それにしては他の事務所の時より在籍している期間が長くないか?」
P「・・・気の所為ですよ」
麗華「まあいい、ともかく私達の所へ来てくれ」
P「まだ行けませんよ、まだ」
麗華「来ないと765プロを潰すと言ってもか?」
P「はい、正直765プロが潰れても私には無関係ですしね」
麗華「・・・」
P「それに誘うならもっと優秀な人間を誘わないと東郷寺の名が廃りますよ、例えば現876プロの若手チーフプロデューサーとか」
麗華「自分の教え子の売り込みかい」
P「まだ教え子なんて持てる歳じゃあないはずなんですがね」
麗華「ならば自分の担当アイドルを持てばいい」
P「私には無理ですよ、もう」
麗華「そこまで最初の担当アイドルが金で叩き潰されたことが悔しかったか?」
P「 その頃はそう思っていましたが、今はそうは思いません」
麗華「ならば何故」
P「私はもうあんなアイドルの顔を見たくないんです」
麗華「・・・」
P「私はまた自分のアイドルがあの理不尽な悔しさで顔を、人生を歪ませるのが恐いだけです」
麗華「それは唯の臆病じゃないのか」
P「知ってますよそんな事」
麗華「・・・そうかい」
P「・・・まあ、どうしてもスカウトしたいというなら次の765プロの定例ライブが終わってからにして下さい」
麗華「確かあと半月無いくらいか」
P「それが終わったら私は765プロを出ますから、拾うならその後に」
麗華「・・・わかった、その時に良い返事を貰えることを願っているよ」
P「私もですよ」
麗華「よく言うものだ、会計は持たせてもらうよ」
P「年下の女性から奢られるのは初めてですね」
麗華「なに、傲るのは得意科目さ」
P「それでは、今日の日はさようなら」
麗華「次は仲間として会えることを願っているよ」
カランカラン
麗華「交渉決裂か、久しい感触だ」
<<同刻、喫茶店の外>>
伊織(カフェか、久しく行ってないわね)
伊織(あれは、うちの駄目プロデューサーと・・・麗華?!)
伊織(アイツ何をしてたのかしら・・・まさか765プロの情報を売ってなんていないでしょうね)
伊織(問いただしてみるべきね・・・)
<<その後、夕方、765プロ事務所>>
P「ただいま戻りました」
赤羽根P「おかえりなさい」
小鳥「おかえりなさい」
千早「おかえりなさい、Pさん」
P「・・・今事務所に居るのはこれだけか?」
千早「あと社長室に社長がいます」
P「そうか、それはちょうどいい」
千早「繕う必要がないからですか?」
P「繕っているのは今だ、とでも言っておこうか」
小鳥「Pさん今日はどこに行ってたんですか?」
P「午前中は定例ライブでの色々な挨拶、午後はあるお方にお茶に誘われてそれについて行った感じですね」
赤羽根P「あるお方?」
P「ということなので今日のタイムカードから1時間削っておいて下さい、音無さん」
小鳥「あるお方っていうのと話の内容教えてくれたらいいですよ」
P「元々話すつもりでしたよ、そのお方というのは東・・・」
バタン!
伊織「ちょっとそこの駄目プロデューサー!」
P「・・・何だ?」
伊織「アンタ喫茶店で麗華と何を話してたのよ!」
赤羽根P「麗華・・・というとあの東豪寺プロの?!」
伊織「そうよ、何をしてたのか洗いざらい話しなさい!」
P「お前には関係ないだろう」
伊織「関係大アリよ!相手はライバルプロダクションのアイドルでプロデューサーなのよ!」
P「それで?」
伊織「あまり考えたくないけど・・・アンタは麗華にうちの情報を売ってるかもしれない」
小鳥「ちょっと伊織ちゃん!」
伊織「小鳥は黙って!これはウチの存亡の問題でしょ!」
赤羽根P「・・・」
千早(Pさんがそんな事を?そんなはず無い)
千早(無いだろうけどPさんももうすぐ765プロを出ると言っていたし・・・)
伊織「もう一度聞くわ、アンタ東郷寺プロに情報を売ったりしてないわよね?」
P「そうだと言ったら?」
伊織「社長に言ってアンタを辞めさせる」
P「ならそうするといい」
伊織「それは肯定ってこと?もういいわ、元からアンタは気に食わなかったのよ、社長に言ってアンタなんて辞めさせてやる!」
P「頑張れよ」
伊織「ーーーッッ!」
バタン
オオミナセクンドウシタノカネ
アノムノウヲヤメサセナサイ、イマスグ
フム、マズハハナシヲキコウジャナイカ
千早「Pさん、今の話は?」
P「もうわかってると思うが俺を誘ったお方というのは東豪寺麗華だ」
赤羽根P「で、肝心の内容は?」
P「俺の引き抜きだよ、とりあえず断ったがな」
千早「引き抜き・・・ですか?」
小鳥「よかったぁ・・・」
千早(よかった・・・)
赤羽根P「それにしてもまた突然ですね」
P「俺も正直困ったよ」
小鳥「・・・それで伊織ちゃんのアレははどうします?」
P「その罪を被ってここを出ます」
三人「「「え?」」」
P「元々次の定例ライブが終わったらここを出るつもりだったからな、理由は無いよりある方が良い」
千早(Pさんがここから居なくなる?じゃあ私はこれから歌の指導を誰に乞えばいい?)
赤羽根P「ちょっと待って下さい、初耳ですよ」
P「社長には話は通してあったんだがな」
赤羽根P「それに俺はまだ一人前になってません」
P「お前は十分できるようになったよ、もう俺は必要ない」
小鳥「今でさえ辛い事務処理はどうするんですか?」
P「社長が新しい人を雇うと言っていましたよ」
小鳥「・・・」
千早「・・・」
赤羽根P「でも何で急に・・・」
P「だから前々から決まっていたと・・・」
赤羽根P「しかし・・・」
千早「Pさん!」
P「・・・何だ?」
千早「や、辞めないで下さい」
P「何故?」
千早「歌についてまだあなたから聞きたいことが沢山あります」
P「それはもう赤羽根で十分だ」
千早「私には第二の視点が必要です」
P「俺の考え教え方が赤羽根のと似てると言ったのは誰だ?」
千早「それに、人手不足が予想されます」
P「さっきも言ったが新しい事務が来る予定だ」
千早「それに・・・春香があなたとも仲良くなりたいと言ってました」
P「こっちは願い下げだ」
千早「そ、それに・・・」
P「如月、引き止めたいのは解ったがこれはもう決定事項だ、諦めてくれ」
千早「・・・はい」
P「・・・これだから繋がりは作りたく無かったんだがな」
ガチャ
伊織「・・・アンタの定例ライブ後の解雇が決まったわ」
P「そうか、それは良かった」
伊織「職を追われるというのに呑気ね」
P「内心は焦ってるとでも言えばいいか?」
伊織「知らないわよ、765プロから邪魔者が消えてせいせいするわね」
赤羽根P「いっ、伊織!俺はお前に言わなければいけない事がある!」
伊織「・・・何よ?」
赤羽根P「実は今まで・・・」
P「やめろ」
赤羽根P「ですが!」
P「やめてくれ、頼む」
赤羽根P「・・・はい」
伊織「何コイツに指図されちゃってるのよアンタは」
高木「・・・うぉっほん!水瀬君、如月君、二人とも今日は帰りたまえ」
伊織「・・・」
高木「私達はこれから彼のことで色々と話さなければいけない」
伊織「・・・帰るわよ、千早」
千早「え、えぇ・・・」
ガチャ
高木「・・・こんな終わり方でいいのかね?」
P「手を振って送られるより幾分かマシです」
小鳥「千早ちゃんも行かないで欲しいみたいですよ?」
P「それが俺に何か関係が?」
小鳥「いや、最近随分千早ちゃんに入れ込んでるなと」
P「そんなことありませんよ」
小鳥「もしかして千早ちゃんに情でも・・・」
P「そんなことありませんって!」
小鳥「そ、そんなに否定しなくても・・・」
高木「君がそうなら良いのだがね、一応いつでも辞表は撤回できるようにしておくよ」
P「まあ無いと思いますが、ありがとうございます」
高木「さぁ君たち、仕事に戻りたまえ」
三人「「「はい」」」
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー
赤羽根P「しつこいようですが、本当に良かったのですか?」
P「本当にしつこいな、これで良かったんだ」
小鳥「・・・Pさんが居なくなるのは寂しいですが、その後の辛い時期を乗り越えるために今から頑張らないといけませんね」
P「その意気で行っててくれると俺も幾分か気が楽です」
小鳥「よし!今日は終わったらどこか飲みに行きましょう」
P「たるき一票」
赤羽根P「はぁ、たるき二票」
小鳥「・・・二人とも財布が寂しすぎませんか?」
赤羽根P「そ、そんな事ありませんよ」
P「そうだ赤羽根、餞別代わりにこれを」
赤羽根P「・・・この厚いファイルは?」
P「引き継ぎ資料という訳ではないが、うちや他の有名、新鋭アイドルの色々な傾向を纏めたものだ」
赤羽根P「いつの間のこんな物を・・・ありがとうございます」
P「まあそのデータも一年もつかわからない情報だがな、一年後はそれを自分で作れるようになると便利だぞ」
赤羽根P「精進します」
小鳥「あの?私には何かありませんか?」
P「・・・葡萄のハイチュウ食べます?」
小鳥「ひ、ひどい!」
ガチャ
高木「ははは、面白そうなことやってるねぇ」
高木「一人の男の門出だ、今日は私の奢りでどこか行こうじゃないか」
赤羽根P「流石社長!」
P「太っ腹!」
小鳥「百貫[ピザ]!」
高木「太っ腹の部分を強めても意味は強まらないよ音無君・・・」
P「ははははは」
<<その夜、布団の中>>
千早(Pさんが辞める?)
千早(いや、何を驚いているのだ私は)
千早(最初話をしたあの時からわかっていたことじゃないか)
千早(でも・・・)
千早(嫌だ、彼に辞められては・・・その・・・困る)
千早(しかもあんな形でなんて・・・)
千早(何故かは・・・そうだ、私が歌を教わりたいからだけだ)
千早(そう、それだけ)
千早(それだけの筈なのに・・・)
千早(なんで・・・)
千早(なんでこんなに・・・)
千早(寂しいのだろう)
千早(みんなに真実を話す?)
千早(いや、そうすれば彼は私を恨むだろう)
千早(春香に相談してみようかしら)
千早(でも結局は同じね)
千早(諦めるしかないのかしら・・・)
千早(・・・)
千早(ああ、考えてたら頭が痛くなってきた)
千早(もう寝よう、寝て忘れよう)
千早(この気持ちを)
千早(翌日、社長の口から彼が辞めることが発表された)
千早(社長は辞める理由については話さなかったが、彼が765プロの情報を売ろうとしていたという"設定"は水瀬さんから全員に伝わった)
千早(ある人は怒り、ある人は困惑し、またある人は純粋に悲しんだ)
千早(しかし、数週後にはそんな事ほとんどの人が定例ライブの熱で忘れていた)
千早(ほとんどの人が)
<<定例ライブ当日、ステージ袖>>
ミンナーアリガトー
春香「ふぃ?疲れた」
千早「お疲れ様、水を持ってきたわ」
春香「ありがとう千早ちゃん」
千早「次は・・・確か竜宮小町の番ね」
春香「・・・ぷはぁ!あ"ァ?生き返る」
千早「おっさん臭いわよ」
春香「えぇ?ひ、ひどい・・・」
千早「ふふふ」
春香「・・・Pさん、来てないね」
千早「・・・ええ」
春香「もうちょっと話したかったなぁ」
千早「でも彼は765プロの裏切り者よ?」
春香「本当は違うよね?千早ちゃんやプロデューサーさんの様子を見ればわかるよ」
千早「・・・」
春香「それに伊織の話でもPさんは一度も情報を売ったなんて言ってないし」
千早「765プロとしては彼を裏切り者と捉えて辞めさせた、それが事実でしょう」
春香「・・・」
千早「彼は言っていたわ、「事実は事実だ、現実がどうであれ」と」
春香「でも・・・」
千早「・・・」
春香「それってやっぱり寂しいよ」
千早「・・・今はライブに集中すべきね、彼のことはその後考えましょう」
春香・・・そうだね、今日はファンのみんなのために頑張らないと!」
千早「ええ」
ミンナーアリガトー
カイジョウノニーチャンネーチャンアリガトネー
アリガトウゴザイマス
赤羽根P「こんな所にいたのか千早、次の次に出番だから準備しておいてくれ」
千早「了解です、行ってきます」
赤羽根P「おう、行ってこい!」
春香「・・・気付くかなぁ千早ちゃん」
赤羽根P「ん?どうかしたか?」
小鳥・アナウンス『それでは続いては如月千早で「眠り姫」』
千早(今は歌に集中しないと・・・)
??♪
千早(いけないけど・・・)
ずっと眠っていられたら
この悲しみを忘れられる
そう願い 眠りについた夜もある
千早(・・・もしかして来ているかもしれない、探してみましょう)
ふたり過ごした遠い日々
記憶の中の光と影
今もまだ心の迷路 彷徨う
千早(関係者席・・・)
あれは儚い夢
そう あなたと見た 泡沫の夢
たとえ100年の眠りでさえ
いつか物語なら終わってく
最後のページめくったら
千早(S席・・・)
眠り姫 目覚める 私は今
誰の助けも借りずに
たった独りでも
明日へ歩き出すために
千早(A席・・・)
朝の光が眩しくて涙溢れても
瞳を上げたままで
千早(百年どころか一月程度なのに・・・馬鹿みたいね、私)
どんな茨の道だって
あなたとなら平気だった
この手と手 繋いでずっと歩くなら
千早(私はここまで弱い人間だったかしら?)
気づけば傍にいた人は
遥かな森へと去っていた
手を伸ばし 名前を何度呼んだって
千早(毒された・・・か、改めて春香達には感謝しないとね)
悪い夢ならいい
そう願ってみたけれど
たとえ100年の誓いでさえ
それが砂の城なら崩れてく
最後のkissを想い出に
千早(居た・・・やはり来てたのね)
眠り姫 今目覚める 私は今
都会の森の中で
夜が明けたなら
未来 見つけるそのため
千早(・・・今の私にこの歌を歌う権利はあるのかしら)
蒼き光の向こうへと涙は拭って
あの空見上げながら
千早(・・・でもこの歌は彼が最後に教えてくれたもの)
誰も明日に向かって生まれたよ
朝に気付いて目を開け
きっと涙を希望に変えてくために
人は新たに生まれ変わるから
千早(今はこの歌を彼のために歌おう)
眠り姫 目覚める 私は今
誰の助けも 今はいらないから
独りでも明日へただ
歩き出すために
千早(・・・)
そう 夜が明けたなら
未来 見つけるそのため
蒼き光の向こうへと涙は拭い去り
あの空見上げて
千早(・・・)
千早(見ていてくれましたか?)
ワァァァァァ
ワァァァァァ
ワァァァァァ
千早「・・・」ペコリ
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー
春香「お疲れ様千早ちゃん♪」
赤羽根P「お疲れ、いつも以上に良かったぞ」
千早「ありがとうございます」
赤羽根P「特に最後の"眠り姫?"の所からが本当に素晴らしかった」
千早「そうでしたか?集中してたので・・・」
春香「で、見つかった?」
千早「な、何が?」
春香「ううん、何でもない」
赤羽根P「?まあいいか、二人とも次の曲に備えて休んでくれ」
二人「「はい!」」
<<ライブ終了後>>
赤羽根P「よしみんなお疲れ様!」
アイドル「「「お疲れ様でしたー!」」」
亜美「いんや→大成功だったね」
貴音「真良いステージでした」
真「でも流石にクタクタだね」
伊織「あら、体力バカの真がクタクタなんて珍しいわね」
真「何おう?!」
律子「こらアンタたち余計疲れることしないの!」
マ、ジブンハカンペキダカラツカレテナイケドナ
ジャアヒビキンダケイマカラダンスレッスンネ!
エ?チョットソレハ…
ホネハヒロッテヤルヨヒビキン…
アミチャンマミチャンヒビキチャンヲアマリカラカッタラメッ!ヨ
春香「たはは・・・あそこはいつも通りだね」
千早「・・・」
春香「千早ちゃん?」
千早「・・・え?ごめんなさい、ちょっと考え事してて」
春香「ふーん・・・」
千早「な、何?」
春香「・・・千早ちゃん、いってらっしゃい」
千早「え?」
春香「行きたい所があるんでしょ?」
千早「・・・」
春香「なら行かなくちゃ」
千早「・・・ありがとう、春香」
タッタッタッ・・・
真美「あれ?千早お姉ちゃんどこいったの?」
春香「さぁ?私にもわかんない」
赤羽根P「・・・」
春香「それよりも私、Pさんの事で気付いたことがあるの」
雪歩「Pさんについて?」
伊織「あの裏切り者がまた何かしたの?」
春香「・・・プロデューサーさん、言っても大丈夫ですかね?」
赤羽根P「俺は何も聞こえないし、喋るのは独り言だけだ」
赤羽根P「その結果みんなからの評価を落としても仕方の無い事」
春香「ありがとうございます、実は・・・・・・」
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー
<<765プロ事務所前>>
P「・・・」
千早「・・・やはりここに居ましたか」
P「少し忘れ物をな、もう持ち帰れないだろうが」
千早「今日のライブ見ていてくれたんですね」
P「曲の前半に視線が動き過ぎなこと以外はほぼ完璧だったな」
千早「あの距離でよくそんな事がわかりますね」
P「だからか・・・もう少し曲に集中して欲しかったが」
千早「終わった事を嘆いても前に進めませんよ」
P「嘆く前に反省をすればの話だがな」
千早「・・・時にPさん、アイドルの寿命ってどれ位だと思いますか?」
P「また唐突な・・・まあそこまで長くないな、アイドル全盛期のこの世の中じゃ5年生きれれば重畳だろう」
千早「知ってるとは思いますが私はアイドルの次として生きるなら歌手になりたい」
P「ああ、普段からそう言ってるな」
千早「私のプロデューサーはアイドルのプロデューサーだ、いつまでも私の面倒を見るのは不可能でしょう」
P「まあ、そうかもな」
千早「しかし、私は私の性格から考えてセルフプロデュースは難しい」
P「・・・」
千早「つまり私には新たなプロデューサーが必要になるでしょう」
P「それは、そうだな」
千早「でも自分で言うのも何ですが私は人と話すのが苦手です、それが初対面であれば特に」
P「第三者目線からなら最近そうは感じなくなってきたがな」
千早「業界を生き抜くための手伝いとして居る筈のプロデューサーと上手く話せないのであれは仕事にも大きな影響が出るでしょう」
P「・・・」
千早「逆に言えばそれが知己の人物なら私もとてもやりやすくなります」
P「・・・?」
千早「ですが私の知己かつ歌手をプロデュースできそうな人はあなたか律子位しかいません、律子はアイドルのプロデューサーですから実質あなた一人だけということです」
P「つまり?」
千早「つまり、私がもし歌手として独立した時私のプロデューサーになってくれませんか?」
P「それは俺に対するスカウトということか?」
千早「遠い未来の事ですが、そう取ってもらって構いません」
P「・・・三十秒考えさせてくれ」
千早「はい」
P「・・・」
千早「・・・」
P「・・・わかった、検討しておこう」
千早「ありがとうございます」
千早「自分で長話しておいて何ですが、多分もうすぐ春香とプロデューサーがあなたの誤解を解いてここに皆で来ると思います」
P「全く面倒な・・・如月が天海に言ったのか?」
千早「いえ、春香が自分で気づきました」
P「天海か・・・あいつも物好きな奴だったな」
千早「"も"?」
P「如月も、だ」
千早「・・・」
prrr…
prrr…
千早「水瀬さんから電話・・・?ちょっと失礼しますね」
P「ああ」
Pi!
伊織『千早!Pさんの居場所わかる?!』
千早「・・・何があったの?」
伊織『話は春香とプロデューサーから聞いたわ、私はアイツに非道いことをしてしまった・・・』
千早「・・・」
伊織『このままにしておくのは私が許さないの、だから会いたい』
千早「・・・」チラッ
P「・・・」
伊織『今Pさんと一緒に居るんでしょう?場所を教えて!』
千早「・・・ごめんなさい水瀬さん、さっきまでいたのだけどもう行ってしまったわ」
伊織『じゃあどこら辺で別れた?』
千早「事務所の辺りよ、でももう別れてから時間が経ってるからもうここら辺には居ないと思うわ」
伊織『ああもう自分で探すわ、ありがとう!』
Pi!
千早「・・・こんなもので良かったですか?」
P「・・・すまないな」
千早「でも皆すぐにここに来るでしょう、ここから離れたほうがいいかもしれませんね」
P「そうさせてもらおう」
千早「では、またいつか会いましょう」
P「ああ、あいつらにもよろしく言っておいてくれ」
千早「ふふ、わかりました」
P「・・・今でこれという事は数年後には俺も丸くなってるのかね」
千早「え?」
P「さっきの話、前向きに考えておくよ」
千早「・・・はい!」
P「それじゃあな」
千早「さようなら、またいつか」
千早(今のうちはさようなら、私の好きな人)
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー
<<遠い未来、とある芸能事務所>>
P「相談?」
新人P「今度の定例ライブの事で聞きたいことがあって」
P「そういえばもう定例ライブの季節か」
新人P「僕、定例ライブの構成とかするの始めてなんですよ?」
P「良い経験じゃないか」
新人P「骨子は組んできたんですけど細かい所をチーフに聞こうかと」
P「まあ多少は力になってやるさ」
「それで・・・」「ここは・・・」「成る程・・・」「あと・・・」「でも・・・」「いや・・・」「ああ!・・・」
・・・・・・
新人P「ありがとうございました」
P「こっちもこういうのはご無沙汰だったから楽しかったよ」
新人P「そうだ、定例ライブといえば、チーフが奥さんに逆プロポーズされたのって定例ライブの後なんでしたっけ」
P「・・・誰から聞いた」
新人P「事務さんから」
P「春香・・・」
春香「あら、どうしましたか?」
P「別にあれは逆プロポーズでも何でもなかっただろう」
春香「まあそれならそれでいいですよ」
新人P「ははは」
春香「そういえば千早ちゃんもうすぐボーカルレッスンから帰ってくるみたいですよ」
P「レッスンコーチを事務所内で賄えるとやはり楽だな」
新人P「それ以上にあの"如月千早"のレッスンが受けられるというのは貴重だと思いますよ、今は如月性ではありませんが」
P「今日は二人ともいつになく結婚ネタで弄ってくるな」
春香「気のせいですよー」のワの
千早「ただいま戻りました」
春香「あ、千早ちゃんおかえりー」
新人P「おかえりなさい」
P「・・・おかえり、千早」
千早「ただいま」
千早「あなた」
くぅ疲、初心者のこんなSSを読んでくれてありがとうございます
あとACか?と思って来てしまった人はすみません
HTML化は日付変わるまでには済ませる予定です
次があったら今回の反省点を踏まえて頑張ってみます
それでは最後に、亜美真美誕生日おめでとう!
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