愛「ゲッター!!」絵理「ロボ?」涼「ぎゃおおおおおおぉぉん!」 (641)

春香「ゲッターロボですよ、ゲッターロボ!」
春香「ゲッターロボですよ、ゲッターロボ!」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1394527173/)
の続編です

一応原作はゲッターシリーズですが、オリジナル要素強めです
投下ペースは遅めになると思いますが、良ければお付き合い下さい

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1400579061

小鳥(音無小鳥、二十チョメチョメ歳です。高木ゲッター線研究所で通信、情報担当として働いてます)

小鳥(といっても、高木博士と春香ちゃんが政府に拘束されてからは、ちょっぴり暇な毎日を過ごしてます)

小鳥(事の発端は、春香ちゃん達が黒井博士を倒してからしばらくたった後……)

……

律子「こ、拘束ぅ!?」

高木「ゲッター線とその利用、そして先の黒井の件に関する事情聴取……との事だったが、まあ実質拘束と言った方が正しいだろうね。実際、我々の査問の為にアメリカ支部から人を呼ぶという話もある」

春香「私も、ゲッターロボ操縦者の代表として重要参考人になったみたいで」

千早「どうして春香だけ……」

真美「そーだよ! 政府の連中めー!」

律子「それに関しちゃ、ゲッターロボの開発技術を持ってる千早や真美を連れてかれなくて助かるけどね」

小鳥「何でも、世界……特に周辺国から圧力がかかったみたいで」

千早「確かに、ゲッターロボは現段階で最強の兵器」

真美「ゲッター線開発技術を持ってんのは日本とアメリカくらいだかんねー。ビビっちゃってもちかたないね」

律子「だからって、ゲッター線開発を禁じられたらいざって時どうするのよ」

千早「……私に考えがあるわ」

春香「千早ちゃん?」

千早「今は可能かどうかも分からないから明言は避けるけど……任せて頂戴。春香が帰ってくるまで、世界は……皆の思い出の詰まったこの研究所は、私が守るわ」

春香「千早ちゃん……」

小鳥「はるちはキタ―!」

高木「あの~、私も拘束されるんだが……」

……

小鳥(あの時の春香ちゃんと千早ちゃんのやり取り、今思い出しても……)ジュルリ

小鳥(は!? とにかく、それ以来開発チームの律子さん、千早ちゃん、真美ちゃんの三人は大忙し。けど、オペレーターの私は開店休業状態というわけです)

小鳥(そんなわけで私は、こうして研究所の近所の喫茶店でのんびりティータイムを楽しめているんですけど……)

小鳥「はぁ、暇だなぁ。新しいカップリングでも考えよっと」

??「あのー」

小鳥「ピヘヘヘ……」妄想中

??「あのー!!!」

小鳥「きゃっ!! ご、ごめんなさい!」

??「あ、気付いてくれた! あの、あなたが音無小鳥さんですよね!」

小鳥(びっくりした。凄い大声……でも、この子誰だったかしら。何処かで見たような……)

小鳥「そ、そうだけど、どちら様かしら?」



愛「私、日高愛って言います!!」

第一話「新たなるゲッター」
OP:http://www.youtube.com/watch?v=9epjSTPMOu4


小鳥「それで、あなたはあの舞さんの娘さんってわけね」

愛「はい!!」

小鳥「あの舞さんの子供がこんなに大きくなってたなんて……時が過ぎるのは早いのね」ムムム

愛「ママが言ってました! 小鳥はいっつもモーソーしてばっかで、美人なのにコンキ? を逃すって」

小鳥「舞さん……」シクシク

愛「それで、さっきの話なんですけどー」

小鳥「シクシク……え、あ、はいはい。さっきの話ね。愛ちゃんがゲッターロボに乗りたいって」

愛「はい!!」

小鳥「でもね、今、ゲッターロボ……と言うより、その動力のゲッター線自体が政府から禁止されてるの。残念だけど、今は誰もゲッターロボには乗れないわ」

愛「そっちじゃなくて、今作ってるゲッター線を使わないゲッターロボの方です!!」

小鳥「あぁ、今千早ちゃん達が一生懸命作ってるあれね。なるほど……ってちょっと待って!? 愛ちゃん、その話を何処で聞いたの? コレ、一応極秘事項って言うか、政府にすら話を通してない筈なんだけど」

愛「それも……」

愛「ママが言ってました!!」

小鳥(舞さんどんだけよ)

愛「ママはこう言ってました! 今、高木研究所は面白いオモチャを作ってるって。そして、私はそれを使って戦わなきゃいけない運命だって!!」

小鳥「オモチャって……確かに舞さんらしい言い方だけど。それに、戦うって一体誰と?」

愛「それは、小鳥さんの方が詳しいと思いますよ?」

小鳥「え?」

愛「次の敵は、月界人です」

小鳥「……嘘、でしょ?」



~研究所~
律子「で、この子を連れて来たと」

小鳥「はい……」

律子「あのですねぇ、例のゲッターロボは極秘中の極秘事項なんですよ。どうしてそう軽々と話を信用して、あまつさえ現場に連れてきちゃうんですか! こちとら秘密にしなきゃでメカニックすら増やせないんですよ!」

小鳥「ご、ごめんなさい。でも、間違いなくこの子は舞さんの娘さんなんです! 私には分かります!」

律子「ハァ……そもそも、その日高舞さんって人も私は知らないんですけど」

小鳥「そうですよね。私達がゲッターロボに乗ってた頃は、律子さんいませんでしたし」

真美「何何~、昔話?」

小鳥「そ、そんな昔って事はないと思う。14年前の事だし……」

真美「真美まだ生まれてないじゃん」

小鳥「ピヨー!!」

??「ちょっと律子姉ちゃん! 後ちょっとで完成なんだから、遊んでないで手伝ってよぉ」

律子「はいはい、分かってるわよ!」

小鳥「何方ですか?」

律子「ああ、私の従弟ですよ。メカニックが足りない時、ちょいちょい手伝わせてるんです。昔真が無茶やってゲッターロボが半壊した時と、ゲッターGを改修した時にも来てますよ」

小鳥「そうだったんですか。それより、もうすぐ完成だそうですね! 名前はもう考えてるんですか?」

律子「ええ。ゲッター線を使わないから、ゲッターって付けなくてもいいんですけど、千早が譲らなくて」

小鳥「色んな思い出が詰まってますからね」

律子「そうですね。だから、新しいロボットの名は、『ネオゲッターロボ』に決まりました」

愛「ネオゲッターロボ……」

律子「貴女のお母様がどんな人なのか分かんないけど、勝手な真似はしないでね」

愛「はい!! だいじょぶです!! 私、きっと皆さんお役に立って見せますから!」

律子「聞いちゃいないわねこの子……」

律子「あ、小鳥さん。この子、一応千早のとこに連れてっといて下さいね。今じゃあの子がここの所長代理なんですから」

小鳥「分かりました。愛ちゃん、行こっか」

愛「はい!!!!」

小鳥「……もうちょっと静かにしゃべってね」

愛「分かりました!!!」

小鳥「……」

すみません。用事が入ったのでいったんここでストップです

続きは今夜中には投下できると思います

乙です

前スレのURL貼っておきます
春香「ゲッターロボですよ、ゲッターロボ!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1394527173/)

>>26
ありがとうございます!
今作も楽しんで頂ければ幸いです

それでは再開します

……

千早「……で、72番のパーツを胸部に取り付けて下さい」

小鳥「あ、いたいた。千早ちゃーん、今いいかしら?」

千早「それと、91番は処分で。ええ、まっ平らに。というか80番以降は全部まっ平らに……あら、音無さん。はい、大丈夫ですよ」

小鳥「忙しそう……ね?」

千早「いえ、あと少しで終わりですから。私のやることと言えば確認作業くらいのものです」ナゼギモンケイ?

小鳥「そ、そう……あ、ところでね」カクカクシカジカ

千早「……そうですか」

小鳥「あら、驚かないのね?」

千早「ええ。春香が、言ってたので」

小鳥「春香ちゃんが?」

千早「はい。もうすぐ、新たな戦いが始まるって」

愛「月界人です!!!」

千早「きゃっ! ……こ、この子は?」

小鳥「千早ちゃんのきゃっ! 頂きました!」(この子が日高愛ちゃん。さっき話した舞さんの娘さんよ)

千早「逆です逆」

小鳥「コホン。とにかく、この子をココに置いてあげていいかしら?」

千早「それは構いませんが……正直、安易にネオゲッターのパイロット候補にするわけにはいきませんね」

千早「そもそも、何故音無さんはそんなに日高さんを推薦するんですか?」

小鳥「この子のお母さんの舞さんはそれはそれは凄いパイロットだったの。その舞さんが推薦してるんだから、きっと凄い子に違いないわ!」

千早「親が凄腕のパイロットだからって、その子供も凄腕とは限らないじゃないですか……」

小鳥「それは……そうなんだけど」

千早「そもそも、音無さんがパイロットだった頃のお話をあまりよく知らないんですが」

小鳥「ごめんなさい……それはあまり詳しく聞かれたくないの」

千早「……まぁ、一応テストパイロットということにしておきます。どの道、パイロット候補は一人もいない状態ですし」

小鳥「あら、千早ちゃんや真美ちゃんは?」

千早「私はこの研究所を預かる身ですから、軽々しく出撃するわけにはいかないじゃないですか。それと、真美なんですが……」カクカクシカジカ

小鳥「ア、アメリカ政府からの呼びだし!?」

千早「ええ。あちらも、ゲッター炉心を作成したいらしくて、日本政府に技術者を一人依頼したんです」

真美「んで、元々向こうにいた真美が選ばれちったってわけだYO」

小鳥「真美ちゃん! そうなの……さみしくなるわね」

真美「真美のいない間、ココをよろしく頼むかんね!」

愛「はい!!!! 皆さんの為にもがんばります!!!」

真美「……ダレこの子?」

愛「私、ネオゲッターロボのテストパイロットで日高愛っていいます!!! よろしくお願いしまーす!!!」

真美「よ、よろちく……元気があってよろち→ですなぁ」キーン

小鳥「あ、愛ちゃん……研究所では、少し静かにしゃべってね……」

愛「はい!!!」

真美「千早お姉ちゃん、この子大丈夫なの?」

千早「さぁ……でも、どの道パイロットが足りてないからね。まずは様子を見させてもらうわ」

真美「千早お姉ちゃんも苦労人ですな→。んじゃ、真美は旅仕度があるから、また後でね→」

千早「さぁ、私達も仕事に戻るわよ! 後少し、頑張りましょう」

オオー

小鳥(……月界人、どうして今更になって)

小鳥「そういえば愛ちゃん。月界人がいつごろ攻めてくるかって、お母さんから聞いてる?」

愛「今日です!!!」

小鳥「……ごめんもう一回」

愛「今日です!!!」

小鳥「…………ピヨー!!?? 妄想してる場合じゃないじゃない!! ち、千早ちゃーん!!」

 小鳥が千早に事を伝えていたまさにその時、研究所に久しく鳴り響くことの無かったサイレン音がひろがる。

小鳥「っ!? 東京上空に巨大ロボット出現!」

千早「ほ、本当に来た!?」

律子「しかもこの反応……ゲッター線です! 巨大ロボットからゲッター線反応感知!」

小鳥「ど、どうする千早ちゃん!?」

千早「こうなっては仕方ありません。日高さん!!」

愛「はい!!」

千早「貴女を、ネオゲッターロボのゲットマシン……ネオイーグル号のパイロットに任命します!」

愛「分っかりましたぁ!! 頑張ります!!!」

律子「で、でも千早。ネオゲッターはまだ……」

千早「そうね。パイロットは足りず、動きはするけれども未完成。その上、エネルギー充填率が40%以下……常識的に考えれば、出撃すべきではないのだけれど」

律子「ゲッター線以外のエネルギーの弱点ね。無尽蔵のゲッター線エネルギーならこんな苦労しなくていいんだけど……」

愛「私やります!!! やらせてください!!」ハイッ

千早「分かったわ。人類の……私たちの運命、貴女に懸けるわ。今日のところは、貴方はネオイーグル号に乗りなさい。ネオジャガー号とネオベア―号は自動操縦にしておくわ」

愛「はい!!」

律子「千早、こっちは準備オーケーよ!」

小鳥「発進通路オールグリーン。全機発進準備完了。いつでも行けます!」

千早「スゥ……ハァァァ。ネオゲッターロボ、発進!!!」

 こうして、少女たちの新たな戦いの火ぶたが切って落とされたのである。


第一話 おわり

本日は以上です

>>26さんが貼って下さってる前作
春香「ゲッターロボですよ、ゲッターロボ!」
より短くしたいなーとは思ってるのですが、それでも長いです

後、投下もちょっと不定期です。長くなってしまいますが、お付き合いよろしくお願いします

急ですが、本日これより投下を開始いたします

よろしければお付き合い下さい

第二話「戦え、ネオゲッターロボ!」

小鳥「ねぇ千早ちゃん。一つ聞きたいんだけど……」

千早「何ですか?」

小鳥「どうして愛ちゃんを一人で行かせたの? ネオジャガー号に千早ちゃん、ネオベア―号に真美ちゃんが乗った方が勝率は高い気がするんだけど……」

千早「そのことですか。ネオゲッターは未だ完全な状態ではありません。そこに私達ゲッターチームをすべて投入するよりは、もしもの際の保険として、私と真美、そして法的には禁止されているゲッターロボGを残しておくのが、司令官たる私の義務ですから」

小鳥「そ、そんな! それじゃ愛ちゃんは……」

千早「小鳥さん、解って下さい。私たちは人類最後の砦なんです。誰を犠牲にしようと、私達は敗れるわけにはいかないのです」

小鳥「千早ちゃん……」

……

愛「うわー、凄いパワー!!」

千早『調子はどう? 日高さん』

愛「はい、絶好調です!!」

千早「そう。では、そのまますぐにネオゲッター1に合体して。合体コールは『ゲッターチェンジ』よ」

愛「わっかりましたー!!!」

千早『あ、それから……』

愛「ゲッタァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!!!! チェェェェェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエンジッ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

~研究所~

ボンッ

小鳥「きゃっ、通信機が……」

律子「壊れたわね」

千早「……エネルギーの問題で、後5分程度しか戦えないと伝えるつもりだったんだけれど……大丈夫かしら?」


……

愛「うわぁ、これがネオゲッターロボ!! かっこいー!!」

敵ロボット「……」ゴゴゴゴゴ

愛「あ、これが敵だな! なんだろ? 鬼みたいな角?が二本あるけど、鬼っぽくないし……」

愛「あ、分かっちゃったかも! これ、ウサギさんですね!」

??「その通り! このマシンの名は『月兎』!」

愛「げっと??」

??「そう、貴様ら地球人が、かつて我らが星で用いた謎の兵器、ゲッターロボを参考に作り上げた戦闘ロボットだ!」

月界人「そして、この月兎を使って、今度こそこの青き星を我ら月界人の王女に捧げるのだ!」

愛「そうはさせません! えーと、このゲッターロボ、武器は何があるんだろ?」

愛「小鳥さーん、博士ー! ……あれー、誰も応答しない」

月界人「何をしているのか知らんが、食らえ!」ズガン

愛「うわぁっ!?」

 月界人の駆る戦闘ロボット「月兎」の攻撃によろめくネオゲッター1。

愛「あぅぅ、ネオゲッターロボ、どうやって戦えばいいんだろ?」

月界人「オラオラオラオラァーッ!」

愛「むー、負けません!! こっちもパンチで応戦です!」

月界人「ふむ、ラッシュの速さ比べというわけか……だが、無駄無駄無駄ァ!」ガガガガッ

愛「わわっ、どうして!? パワーもスピードも全然でないよぉ」

~研究所~

小鳥「……ネオゲッターの動き、悪くないですか?」

律子「そりゃ、エネルギーほとんど空っ欠ですからね」

千早「それ以前にあの子、操縦が下手過ぎよ。動きの一つ一つが大きすぎるわ」

~戦闘地帯~

ドザザァァッ!

 月兎の猛攻に、とうとう地に倒れ伏すネオゲッターロボ。

愛「うぅぅ、どうしよう。このままじゃ負けちゃうよぉ」

月界人「ふはははは! 容易い、容易いぞ地球人! これならかつて貴様らと戦った時の方がまだ苦戦したくらいだ」

愛「ママと……」

月界人「貴様の命、我らが気高き王女に捧げてくれるわ!」

愛「私、死んじゃうの?」

月界人「くらえぇぇぃ!!」

愛「そんなの……」

愛「そんなの、嫌だよぉ! うわぁぁああああん!!」ビェェーン

~研究所~

小鳥「!? ネオゲッターロボ、エネルギー回復!」

千早「何ですって!?」

小鳥「70、80……100、どんどんあがっていきます!!」

律子「そんな馬鹿な……」

……

月界人「なっ!? この光は、ゲッター線!? このロボットもゲッターエネルギーなのか!」

愛「うわぁああああああん!!」

 愛の泣き叫ぶ声に共鳴するように、輝きを強めるネオゲッター1。その光は徐々に姿を変え、両腕に集められる。

愛「嫌だよぉぉおおおお!!」ビエーン

 両腕の光がいっそうまばゆく輝き、月兎に向かって放たれた。

月界人「なっ、馬鹿なぁあああ!!」

 ネオゲッターの両腕から放たれた超高温のプラズマは、敵の駆るロボット、月兎を飲み込み、蒸発させた。

……

千早「……勝った、の?」

律子「みたいね。それにしても……」

真美「アレ、律っちゃんの開発してたネオゲッターロボの必殺技『プラズマサンダー』じゃん?」

律子「ええ、でもアレはプラズマエネルギーでシャインスパークを再現するってコンセプトからも分かる通り、エネルギーの大部分を使用する技よ。とてもじゃないけど、さっきまでの充電率で出せる技じゃないわ」

千早「一番奇妙なのは、プラズマエネルギーが充填される一瞬前にネオゲッターから感知されたゲッター線反応……日高愛、あの子は一体何者なの?」

律子「……まぁ、それはひとまず置いといて、未だに泣きっぱなしの小さな英雄を迎えに行かなきゃね」

 今、ゲッターチームの新たな戦いの火ぶたが切って落とされた。ゲッターは、月界人は、そして日高愛とまだ見ぬ仲間たちはどうなるのであろうか!


第二話 おわり

続けて第三話を投下します

第三話「電子の戦姫 水谷絵理」

千早「完成よ……これがゲッター線を使わず、最新型エネルギー『プラズマエネルギー』で動くゲッターロボ。その名もネオゲッターロボ!」

律子「ここまで色々ごたついたけど、とうとう完成したわね」

千早「後は、パイロットを揃えるだけなんだけど……こうなって初めて、高木博士の偉大さが解るわね。私には、パイロットを直感で見つけて来るなんてとてもできそうにないわ」

律子「あの人のアレは人間技じゃないんだから、真似しようとしなくてもいいわよ……後、それについて、小鳥さんから連絡があったんだけど」

千早「?」

……

絵理「……」

小鳥「えーっと」

絵理「ひぅ!」ササッ

小鳥「な、何もしないから怖がらないでー」

千早「この人が、新しいパイロット候補ですか?」

小鳥「ええ。ほら、絵理ちゃん。自己紹介してくれない?」

絵理「水谷……絵理です?」

律子「いや、知らないわよ!」

絵理「ひぅっ!!」

小鳥「律子さん、脅かさないで下さいよ」

律子「べ、別に脅かしたわけじゃ……で、小鳥さん。今度は何処から拾って来たんですか?」

小鳥「この子は、昔の友人の紹介なの」

律子「まーたそんな出所の分からない人を……」

小鳥「だ、大丈夫ですよ! さっきシミュレーションで戦闘訓練をしたんですけど、絵理ちゃんってば凄いんですから!」

千早「シミュレーション……」

小鳥「ええ。プレイデータ見てみる?」

千早「お願いします」

 3人は絵理のシミュレーションデータを観戦する。

律子「……へぇ、凄いじゃない。この反応速度と動き、とてもじゃないけど初めてとは思えないわ」

小鳥「ですよね!」

千早「……」

小鳥「千早ちゃん?」

千早「水谷さん」

絵理「っ!!」

千早「正直に答えて欲しいのだけれど……貴女、このネットゲームのプレイヤーでしょう?」

 そういって千早がディスプレイを操作すると、画面にゲッターロボの絵と、「ゲッターロボ大決戦」というタイトルが映し出される。

小鳥「ゲッターロボ……大決戦? ネットゲームか何かかしら?」

千早「ええ、昔どこかの会社が、彼女のプレイしたのと同じ戦闘シミュレーションデータから作り出したネットゲーム……そして、水谷さん、貴女は……」

千早「そのゲームでクイーンと呼ばれる、ELLIEさんね?」

絵理「!? ……はぃ」

律子「千早、詳しいわねぇ」

千早「パイロットは随時探してたから、一応調べていたのよ」

千早「音無さん、話になりません。どこのどなたが推薦したのか知りませんが、ゲームと現実を一緒にするような人の推薦では、とてもではありませんが……」

絵理「尾崎さんを馬鹿にしないで!!」

千早「っ!? ……お、尾崎さん?」

小鳥「私の古い友人で……私と、愛ちゃんのお母さんの舞さんと一緒に、プロトタイプゲッターロボに乗っていた、初代ゲッターチームの仲間よ」

千早「初代ゲッターチームの……なおさら理解に苦しみます。ゲッターの操縦は、システム上では測れないことくらい、ゲッターチームならすぐ分かることです」

小鳥「確かにその通りだけど……玲子ちゃ、じゃなくて尾崎さんなら、絵理ちゃんに何かを感じ取ったんじゃないかしら?」

千早「そうでしょうか?」

小鳥「きっとそうよ! そうだ、一度試してみればはっきりするんじゃないかしら?」

絵理「ぅえっ!?」

小鳥「ね、絵理ちゃん! あなたも玲子ちゃんの汚名返上したいでしょ? 決まりね!」ピヨー!

絵理「が、がんばります?」

律子「……大丈夫なのかしら」

……

小鳥『愛ちゃん、絵理ちゃん。準備はいいかしら?」

愛「ばっちしです!!!」

絵理「準備、完了?」

律子『いや、それをこっちが聞いてるのよ」

絵理「ひぅっ!」

小鳥『だから、脅さないであげてくださいよ』

律子『お、脅してないですってば……』

千早『それでは、これより水谷絵理の適性審査を行います。ネオベアー号は自動操縦になってるから、二人は飛行、合体、行動を実施してみてもらうわ。それでは、ゲットマシン発進!!』

 三機のゲットマシンはぐんぐん加速し、あっという間に音速の壁を超えてしまう。

絵理「ひぃぃぃぃぃいぃいいいいいいいぃぃぃいいいいいい!!???!!」

小鳥『え、絵理ちゃん大丈夫!?』

絵理「も、もう……むぅりぃぃぃぃぃっ!!」

小鳥『絵理ちゃん落ち着いて! それは別の人の台詞よ!』

律子『小鳥さんこそ落ち着いて下さい!』

千早『このままじゃ拙いわね……日高さん、すぐに合体してあげて! それしか水谷さんを救う手はないわ!』

小鳥『今の三機のポジションからだと、ネオゲッター2に合体するのが一番成功率が高いわ!』

愛「了解しました!! 行きますよ絵理さん!」

絵理「い、良いから早くぅぅぅ!」

愛「よぉぉぉし!! ゲッタァァアアアアッ!! チェェェエエエンジッ!!」

 愛のアシストにより、三機は絵理の乗るネオジャガー号を先頭に合体する。

小鳥『これが……』

律子『ええ、これこそがネオゲッターロボの空戦形態にして、三形態中最速を誇る……』

千早『ネオゲッター2』

愛「これが、ネオゲッター2。やりましたね、絵理さん!!』

絵理「きゅぅ……」

愛「え、絵理さん!?」

律子『あちゃー、気絶しちゃってるわね』

千早『……まぁ、合体のショックで死ななかっただけ見所があると思うことにします。けど、今のところはまるで駄目ね。日高さん、そのまま研究所へもどっt……』

 その時、空から突如巨大なロボットが落下してきた。

 ロボットは着陸すると、間髪おかずにネオゲッター2へと襲いかかる。

愛「わわっ、これは!!」

小鳥『月兎! よりによってこのタイミングで……』

千早『日高さん、いったん距離をとって!』

愛「はい!!」

 絵理が気絶しているため、代わりに愛がネオゲッター2を操縦するが……

月界人「遅い、遅すぎる!」

 ジタバタと無駄に足ばかり動かす割にはほとんど進まぬネオゲッター2に、月兎はすぐさま追いついてしまう。

愛「はわわ、追いつかれちゃいました!」

千早『そうだったわ……あの子、動きに無駄が多すぎるんだった』

月界人「くらえぇぇいぃ!!」

 月兎が腕に持つ鎚を振るい、ネオゲッターを粉砕せんとしたその時、突如ネオゲッター2が愛の操縦を離れ、最小限の動きで機敏に月兎の攻撃を避ける。

月界人「な、何!? 先程までの動きとは段違いだ!」

千早『な、何が起こったの!?』

小鳥『ネオジャガー号からの優先操縦コードを確認!』

律子『ネオジャガー号の内部カメラを見て下さい!』

小鳥『そんな、絵理ちゃん……』

千早『気を失ったまま……操縦してるですって!?』

絵理「ぅぅぅ……」

律子『そんな……そんなはずないわ!』

小鳥『いえ、ありえるかもしれません……』

小鳥『彼女は元々ネトゲプレイヤーのクイーン……なら、寝落ちしたままでも敵の攻撃に対応する術を身につけていたとしても不思議じゃありません!』

千早『いや不思議ですよ』

愛「絵理さん凄いです!」

月界人「く、まぐれに決まっている! これならどうだ!」

 月兎の後部からミサイルが雨霰と発射されるが、ネオゲッター2はこれも神がかった操縦で難なくかわす。

月界人「畜生、これを回避されたとなっては、もはや打つ手無しか……」

ネオゲッター2「……」

 必中最速の技を以てしてもネオゲッター2を捉えられなかった月界人は敗北を覚悟するも、当のネオゲッター2はというと、ピクリとも動かない。

千早『どうしたというの!』

小鳥『も、もしかして……敵の攻撃には反応できるけど、自分からは動けないんじゃ……』

月界人「ふっ、何だか知らんがチャンス! くらえぃ!!」バッ

 しかし、月界人が攻撃に転じると、相変わらずの無駄のない華麗な動きでスルリと避けてしまう。

月界人「くそっ、またか!」

小鳥『このままじゃ勝負がつかないわ……』

律子『いいえ。勝負はつきますよ、私達の負けで……」』

小鳥『な、なんでですか!?」

千早『ネオゲッターロボは従来のゲッターのように無尽蔵のエネルギーを持っている訳ではありません。勝負が長引けば、先に音を上げるのはこちらです』

愛「絵理さん、絵理さん!!」

愛「うーん、起きない……スゥゥゥ」

千早『っ! 日高さん、止めっ』

愛「絵理さぁあぁあああああああああんっ!!!!」ボンッ

~研究所~

千早「なさい! ……また壊れたわ」

小鳥「愛ちゃん、恐ろしい子……」

……

絵理「ひぅっ!!? 今の音、何?」

愛「あ、絵理さん! 気づいたんですね!」

絵理「あ、愛ちゃん。私、いったい……」

 意識を取り戻した絵理が顔を上げる。

月兎「……」

絵理「……」

絵理「ひぅぅっ!!」ビクッ

愛「絵理さん!! 私達であいつをやっつけちゃいましょう!」

絵理「む、無理だよ。私、合体するだけで気絶しちゃうのに」

愛「絵理さん!!」

絵理「っ!?」

愛「力を、貸して下さい!」

絵理「駄目、私……戦えないよ」

絵理(私、どうしてこんなに駄目なんだろう。今だって、私よりずっと年下の愛ちゃんに励まされて……)

月界人「っ!! 隙あり!」ブンッ

絵理(こんなんじゃ、尾崎さんの期待に応えられない)ヒラッ

月兎「くっ、このぉぉおおおおおおっ!!」ババババッ

絵理(今だって、逃げてばっかし。怖くて、自分から立ち向かうなんてできないよ)スッ

絵理(そういえば、あの時もこんなだったな……)

~回想~

尾崎「絵理、またこんなとこに居たのね」

絵理「尾崎さん……」

尾崎「訓練、辛い?」

絵理「……うん。ネットと違って、痛いことや怖いこと、いっぱいあるから」

尾崎「そうね。でも、生きていくって、きっとそういうことと上手に付き合うってことだと思うわ」

絵理「上手に、付き合う?」

尾崎「ええ。いつも真正面からぶつかってたら身が持たないからね。逃げるところは逃げて、ぶつかるところはドカンと思いっきりぶつかる。要はタイミングの問題ね」

絵理「タイミング……」

尾崎「絵理。いつか、あなたの力が必要になる時がきっと訪れるわ。その時は……そう、その時は」

尾崎「ぶつかりなさい、あなたの全力で。大丈夫、あなたは戦えるだけの力を持ってるから。この私が保証するわ」




……

絵理「今が……」

愛「絵理さん?」

絵理「今が、その時!」

 瞬間、月兎から大きく距離をとる。

絵理「愛ちゃん、私が月兎のところまで近づくから、攻撃をお願いできる?」

愛「まっかせて下さい!!」

 愛の力強い返事に呼応するように、ネオゲッター2の両腕のドリルが激しく回転を始める。

絵理「スゥ……行くよ!」

愛「はい!!」

月界人「馬鹿が、来ると分かっていてみすみす当たる馬鹿がいるか!」

絵理「私を、水谷絵理を……ELLIEを、舐めないで!」

~研究所~

千早「あ、あの動きは!!」

小鳥「あれは、千早ちゃんの……」

……

絵理「マッハスペシャル!」

 突如、月兎の周りに無数のネオゲッター2が現れる。

絵理「愛ちゃん、今!」

愛「行きます!」

愛・絵理「「ドリルアーム!!!!」」

月界人「お、王女様ばんざぁぁあああああああああああいぃぃ」

ドカァァアアアアン!!

~研究所~

千早「……勝ったわね」

律子「ええ」

小鳥「それ別の作品じゃないですか?」

千早「小鳥さんは時々何を言ってるのか分かりませんね」

律子「……呆れた」

千早「どうしたの、律子?」

律子「今、ネオゲッター内部の映像だけ回復したんだけど……」


……

愛「絵理さん、やりましたね!」

絵理「……」

愛「絵理さん?」

絵理「きゅー」

愛「あれ、また気絶してる?」

 無尽蔵の体力はあれど、操縦が下手な日高愛。操作は天才的ながら、ゲッターの操縦に身体が耐えきれない少女、水谷絵理。何とも頼りないパイロットばかりであるが、これから先彼女たちとネオゲッターロボは月界人との戦いを乗り越えられるのであろうか。また、彼らの首領、王女とは一体何者なのか!

第三話 おわり

誰も見てなくとも第四話も投下します

第四話「男? 女? もう一人の秋月涼」

 ネオゲッターチームに絵理が加わってから数日が過ぎた。

 ゲッターロボ……人類の敵と戦う世界のヒーロー。そして、それを駆る美しき少女達。彼女らの華々しい活躍の陰に、目立ちはしないが確実に結果を出す人々がいた。

メカニック「ふぅ、お疲れさん」

涼「あ、お疲れ様でーす!」

メカニック「やれやれ。今日もボロボロになって帰ってきたなぁ、ネオゲッターロボ」

涼「仕方ありませんよ。戦ってるんですから」

メカニック「そりゃそうだけどさぁ……はぁ、こんな職場じゃ、ちょっとくらいうるおいが欲しくなるよなぁ」

涼「うるおい?」

メカニック「そうそう、うるおいだよ。例えばよぉ、ウチには色んなタイプの美少女がいるじゃねーか。お前の従姉の秋月律子博士や、知的美人の如月博士。こないだまでいた天海春香ちゃん。小さい子が好きなら天真爛漫な双海真美博士や日高愛ちゃん! それに最近入った水谷絵理ちゃんも可愛いよなぁ」

涼「あ、あはは……確かに、ここには可愛い子が多いですよね」

メカニック「おいおい涼クンよぉ、カマトトぶってんじゃねぇぞ! 多いですよねぇじゃなくて、どの子が可愛いと思うかって聞いてんのよ俺は!」

涼「え、えぇぇ!? そ、そんな事言われても……」

メカニック「おいおい、そんなことだから、涼は女の子なんじゃないかなんて噂が立つんだぜ」

涼「むっ、そんなことないですよ!」カチンッ

メカニック「おう、その意気だ! その意気でお前の審美眼を見せてみろ!」

涼「えーっとですね、まず律子姉ちゃん……は親戚だから置いといて、如月博士はやっぱり凛としたところが素敵ですよね」

メカニック「うんうん」

涼「それに、普段は厳しい表情が多いんですけど、昔からの仲間に対してふと見せる優しげな表情にはぐっときますよね」

メカニック「解ってんなぁ!」

涼「それに、あの人凄く綺麗な声してるんですよね。本当に、研究者にしとくのがもったいないくらい」

メカニック「うーん、素晴らしい審美眼だ! ……ただなぁ」

涼「?」キョトン

メカニック「そんな完璧な才女、如月博士も、たった一つだけ弱点があるんだよな」

涼「弱点ですか?」

メカニック「ほら、如月博士は……」

 そういいながら、メカニックの男は自分の胸をポンポンと叩く。

涼「あー……」

メカニック「なぁ」

涼「まぁ、確かに如月博士の胸は小さいですけど……」

メカニック「な。お前の方がバストサイズあるんじゃねってくらいだよ」

涼「えぇぇ!! 何言ってんですか! 僕は男ですよ!」

メカニック「いや、でもさ。お前もそう思うだろ?」

涼「た、確かに……男の僕の方が如月博士より胸は大きいかもしれないですね」

 メカニックは、涼の会話の途中で突然青ざめ、あらぬ方向を向きながら口笛を吹き始める。

涼「? どうしたんですか?」

メカニック「へっ!? りょ、涼。お前さっきから何て独り言いってんだよ!」

涼「独り言? あはは、何言ってんですかぁ」

??「私も、貴方が何を言ってるのか知りたいわね」

 瞬間、涼の背中に凄まじい悪寒が走る。

 まるで油を差し忘れた人形のようにゆっくりと振り返ってみると、そこには大方の予想通り、如月千早が般若の形相で涼を睨みつけていた。

涼「ぎ……」

千早「ぎ?」

涼「ぎゃぉおおおおおおおん!! ごめんなさぁああいぃいいいい!!」ビューン

 秋月涼は、風になった。

……

律子「あっはっはっはっは!!」バンバン

涼「わ、笑いごとじゃないよぉ」

律子「ふふふ……ごめんごめん。くふっ、だって、あんましにもタイミングが……」ケラケラ

涼「全く、僕だって前半はべた褒めだったのになぁ……そこは聞いてないんだから困っちゃうよ」

律子「あはは。しかし困ったわねぇ」

涼「へ? 何が?」

律子「いやぁ、ネオゲッターロボの三人目のパイロット、まだ見つかってないって言ってたでしょ?」

涼「うん。そうだったね」

律子「それでね、私に当てがあるから任せてくれって、千早達に言っちゃったのよ」

涼「へぇ、良かったじゃない! で、どんな人なの?」

律子「アンタ」

涼「……へ?」

律子「アンタ。秋月涼を推薦しようとしてるのよ」

涼「え、えええええええええ!?」

律子「アンタ、昔真に身体を鍛えろって言われてから、パイロット用のトレーニングをこっそりやってたでしょ」

涼「き、気付いてたんだ……」

律子「私を舐めないで欲しいわね。そういうわけで、アンタを三人目のパイロットに推薦しようと思ってたんだけど……」

涼「その僕が千早さんを怒らせちゃったってわけだね……」

律子「そう。困ったものねぇ」

涼「そもそも、僕なんかにネオゲッターのパイロットが務まるのかなぁ……」

律子「何よ、男らしくなりたいんでしょ!」

涼「そりゃなりたいけどさぁ……そもそも、ゲッターのパイロットは皆女の子じゃないか! そんなところに男の子が一人入るのも……」

律子「閃いた!!!」

涼「うわっ!? な、何をさ?」

律子「ふふふ、流石はゲッター研究所のマッドサイエンティストと謳われた私だわ。自分の才能が恐い……」

涼「へぇ、そんなに凄いアイディアなんだ。なら、早くやってみようよ!」

律子「……言質はとれたわね」

涼「へ?」

 律子は一瞬眼鏡をきらりと光らせると、猛然と涼に襲いかかった。研究所に、涼の絶叫が響き渡る。こうして、今日も高木ゲッター線研究所の夜は更けていく……



……

千早「それで律子、新しいパイロット候補っていうのはどの子なの?」

律子「今呼ぶわ。おーい、涼~! 出て来なさーい!」

涼「……」モジモジ

千早「物影から出てこないわね」

律子「もう、ほら! 覚悟を決めなさい!」

 そういって律子が引っ張り出したのは、ショートボブのふんわりとした髪の美少女であった。

律子「紹介するわ! 私の祖父の息子の弟の子供で、秋月涼っていう子よ」

涼(それ従弟のことじゃん!)

千早「……」

律子「どうしたの、千早?」

千早「いえ、どうしてかしら? 私、彼女とは初対面の筈なのに……」

千早「何故か彼女を見てると、こう、怒りがふつふつと……」

涼「ぎ、ぎゃぉぉおおおん!!」

千早「ん? その叫び声、何処かで……」

律子「ほ、ほら千早! 早くこの子の適性を見てみましょうよ!」

千早「え、ええ。そうね。それじゃあ秋月さん……じゃあ紛らわしいし、涼」

涼「は、はいぃぃぃ」

千早「早速だけど、ネオベア―号に乗ってみてもらえないかしら?」

涼「は、はい!」

千早(何でこの子こんなに怯えてるのかしら?)


……

千早『それじゃあ、日高さん、水谷さん、涼。三人とも準備はいいかしら?』

愛「はい!!」

絵理「準備、O.K.?」

涼「大丈夫です」

千早『それじゃあ行くわね。水谷さんと涼は、とにかく操縦桿を握ることだけ考えて頂戴……では、ゲットマシン、発進!!』

 千早の号令で、三機のゲットマシンがそれぞれ発進する。

絵理「ひぅぅぅぅぅぅぅっ!!??!!!!」

千早『水谷さん、落ちついて! とにかくまっすぐ前を見るのよ!』

絵理「む、無理ぃぃぃぃ!? きゅぅ」ガクッ

~研究所内~

千早「水谷さん!?」

律子「あー、気絶しちゃったようね。ネオジャガー号、オートパイロットに切り替えるわ」

千早「ええ、お願いするわ……そういえば、涼の様子はどうかしら?」ピッ

涼『……』

千早「涼、調子はどうかしら?」

涼『あ、如月博士! 今のところ大丈夫です!』

千早「へぇ、なかなかやるじゃないの。初めてとは思えないわ」

涼『ちょっといろいろ操作してみてもいいでしょうか?』

千早「ええ、構わないわ……それにしても、彼女操縦もかなり上手いわね。まるで、ゲットマシンをずっといじってたみたい」

涼『ギクゥッ!』

千早「? 日高さん、涼。水谷さんも気絶してるし、そろそろ帰還しなさい」

あいりょう「「はい!!!」」

絵理「きゅぅ……」

~研究所~

千早「涼、テストの結果、あなたをネオゲッターロボ三人目のパイロットに採用することに決定しました」

涼「ほ、ホントですか!?」

律子「よくやったわ、涼。私も推薦者として鼻が高いわ」

涼「あの律子姉ちゃんが褒めてくれるなんて……まるで夢みたいだ!」

愛「涼さん、これからよろしくお願いします!!」

絵理「よ、よろしく、お願いします」

涼「こちらこそよろしくね。愛ちゃん、絵理ちゃん!」



……

タッタッタッタッ

??「如月博士!」

千早「あら、あなたは……」クルッ

??「お久しぶりです、如月博士」

千早「ええ、本当に久しぶりね。以前会ったのは、高木博士の行ったゲッターロボのテストパイロット選考の時だったかしら?」

??「ええ。あの時は、私も力及ばず選考から漏れてしまいましたが……あなたがパイロットから研究者に転身したと聞いて、こうしてまた駆けつけたんです!」

夢子「私を……この桜井夢子を、ネオゲッターロボのパイロットにしてください!」

第四話 おわり

本日は以上です

こっからしばらく間が開くかもです

おつー
ようやく三人揃ったか

ところで本編前のゲッターの歴史って小鳥さん達がプロトゲッターで戦った最初の月界人との戦いの他にも黒井と高木がゲッターに乗って世界を救ったって描写があるけど、それって何?
あ、複線とかなら黙ったままでOKです

>>141
解りづらくてすみません……
おそらく前スレ77での高木の会話のことなのでしょうが、あれは開発者として高木と黒井の二人が、そして元祖ゲッターチームとして舞、尾崎、小鳥の三人が月面で戦ったという意味合いです。開発者として、自分達も戦いに加わっていたという自負からなるセリフととらえてください。混乱させてしまってすみません……

今日は亜美真美の誕生日! 亜美真美おめでとう!

ということで、駄作一つあげときます

皆様コメントありがとうございます!
質問とかしてもらった方が読んで貰ってる感出るので好きなので、質問はどんどんしてもらって大丈夫ですよ

五話がなかなか進まない……

唐突ですが、これより第五話の投下を開始します

第五話「夢子と涼」

愛(ママ、とうとうネオゲッターロボのパイロットが揃ったよ!)カキカキ

愛(絵理さんはまだ合体のショックに慣れないみたいだけど、ビックリするくらい操縦が上手で……)カキカキ

愛(こないだパイロットになったばかりの涼さんは、まるで何度も訓練を受けたみたいに何でもこなしちゃうんだ)カキカキ

愛「……ハァ」

愛(でも、私はまだまだ動きが大振りで無駄が多いって、如月博士に怒られてばっかし)

愛「せっかくパイロットになれたのに、私、他の二人に比べてまだまだ全然駄目だよぉ……」ウルウル

……

絵理(尾崎さん。私、ネオゲッターロボのパイロットになれたよ)メルメル

絵理(尾崎さんの言ったとおり。リアルって……本物のゲッターロボって、怖いことや大変なこと、沢山あるけど、とっても素敵。けど……)メルメル

絵理「私、今のままじゃ駄目……だよね?」ハァ~

……

涼(真さんの言葉に動かされて……いや、真さん達の戦いを見て始めた訓練だったけど、実を結んで本当に良かったなぁ)

涼「でも……」

涼「あの格好は何とかならないかなぁ……はぁ、如月博士、まだ怒ってるよなぁ……」

メカニック「おぉ、そこにいるのは涼じゃねぇか」

涼「あ、メカニックさん。こんにちは」

メカニック「聞いたか? ネオゲッターロボ、とうとうパイロットが揃ったらしいな」

涼「そ、そうらしいですねー」アハハ

メカニック「いやぁ、今回もまた超絶美少女揃い!」

涼「は、はぁ……」

メカニック「まず、こないだのテストで見事な操縦を見せた、ネオベアー号パイロットの秋月涼ちゃん!」

涼(女装しただけで偽名も使ってないのに、ばれないもんなんだなぁ……)

メカニック「そして、同じくネオベアー号の桜井夢子ちゃん!」

涼「ええ、同じくネオベアー号の……えぇっ!? 同じく!?」

メカニック「あ、ああ。そうだけど、どうしたんだ?」

涼(そんな……ネオベアー号のパイロットは僕じゃなかったの? それに、桜井夢子ちゃんって一体……)

涼「これは、どういう事?」

~高木研究所所長室~

千早「よく来てくれたわね、涼」

涼「如月博士! あの……」

千早「その顔だと、もう知っているようね。秋月涼、あなたをネオベアー号のパイロット”候補”に任命します」

涼「ぱ、パイロット候補? だって、こないだは……」

千早「ええ。それに関しては申し訳ないと思っているわ。でもね、これはそういう義理や道理が通用する話ではないの。生半可な覚悟でパイロットを任せるのは、あなた自身の為にもならないわ」

涼「それは分かりますけど……」

千早「とにかく、当分の間、ネオゲッター3のパイロットは秋月涼、桜井夢子の二人制とします」

涼「はいぃぃ……」シュン

涼「失礼します」バタン

律子「……少し納得いかないわね」

千早「何がかしら?」

律子「身内の贔屓目抜きにしても、日高さんや水谷さんよりは涼の方が操縦が上手いように思うんだけど」

千早「ええ、そうね」

律子「なら、なんで他の二人でなく、涼を『候補』に落としたの?」

千早「理由はいくつかあるけれど、まず一つ目は、他の二人はある程度『特別』なのよ」

律子「特別?」

千早「日高さんは、最初の戦いの際にゲッター線らしきエネルギーを放出していたわ」

律子「それだけど、測定ミスってことはないの? 敵の月兎とかいうロボットもゲッター線で動いてるんでしょ?」

千早「仮に測定ミスだったとしても、エネルギーを回復させたのは事実よ。とにかく、日高さんは未知のポテンシャルを秘めているわ」

千早「次に水谷さん。彼女は体力こそゲッター操縦に耐えられない、常人に毛が生えた程度のレベルだけれど、その反応速度は目を見張るものがあるわ。音速戦を行うネオゲッター2の操縦は、残念ながら彼女レベルでなければ務まらない」

千早「彼女たちと比較して、涼はあまりにも平凡なのよ。何をやらせても普通。他の二人に比べると少し体力はあるみたいだけど、それも特記すべきほどでもないし……正直、このまま訓練を重ねれば、日高さんも水谷さんも、涼を超えるでしょうね」

律子「なるほどね……」

千早「もう一つの理由は、彼女……桜井さんにあるわ」

律子「彼女、元ゲッターロボパイロット候補の一人だったのよね? どんな子なの?」

千早「昔の彼女は、自分の目的の為ならば卑怯な手を使うことも厭わない人間だったわ。候補生の一人だった私も、何度かその毒牙にかかりかけたこともあったわね。ただ、操縦の腕だけは確かだった」

千早「そして、元ゲッターポセイドンパイロット……あずささんの事を姉と慕っていたわ」

律子「……なるほどね、だから『ネオゲッター3』に乗りたい、と」

千早「ええ、最初の頃の真美みたいなものね。敵討ちって訳じゃないけど、やはり思い入れが強いみたい」

律子「ふーん。まぁ涼との二人制にした理由は解ったけど、桜井さんは今まで一体何処にいたの? 元はここの人間だったんでしょ?」

千早「追い出されていたのよ、高木博士に。あの人は何より、ゲッター線とゲッターロボを汚す人間を許さない人だから」

律子「そんな人を入れて大丈夫かしらね」

千早「後々のことを考えると、パイロットは多いに越したことはないわ。今はとにかく、様子を見ることにしましょう」


……

涼「うぅ、せっかくあの真さんと同じゲッター3タイプのパイロットになれたと思ったのになぁ……」

??「情けない顔ね、秋月涼!」

涼「? き、君は誰?」

夢子「私は桜井夢子。ネオゲッター3のパイロットよ」

涼「君が夢子ちゃかぁ。ぼ……じゃなくて、私秋月涼。同じくネオゲッター3のパイロットだよ。よろしく」スッ

夢子「同じく? ふん、笑わせないでよね」パシンッ

夢子「私はパイロットの座を得るためにずっと……本当にずっと努力をしてきたの。それを、ぽっと出の奴なんかにとられてたまるもんですか」

涼「ぼ、僕だって……」

夢子「……僕?」

涼「じゃなくてー! 私だってずっとゲッターロボに関わって来たんだから! ネオゲッターに至っては、それこそ設計の段階k」

夢子「ふん、それってあの秋月博士の従姉妹だからってだけでしょ。このコネ眼鏡!」

涼「夢子ちゃんその呼び方はまずいって!? そもそも私今眼鏡かけてないし」

夢子「とにかく! ネオベアー号のパイロットは私一人なんだからね。あんたは補欠よ補欠。そこんとこ、覚えときなさいよ。じゃっ!」スタスタ

涼「……言いたいこと言って行っちゃうんだもんなぁ。せっかく同じマシンに乗る仲間なのに」

涼(夢子ちゃん、か。どんなパイロットなんだろうなぁ……)


……

夢子「ゲッタァァアアアアチェェェェエエエンジ!!」

夢子「はぁぁあああああっ!!」ドゴォ

月界人「お、王女様ばんざぁぁあああい!!!」ドカァァン!!

~研究所~

夢子「ふっ、楽勝だったわね!」

愛「うぅぅ、何とか勝てましたけど、フラフラしますよー……」

絵理「ぅ……」

涼(凄い技術だ……絵理ちゃんどころか、あの元気いっぱいの愛ちゃんまで着いて行けてないなんて……)

涼(それにくらべて僕は……)


~先日~

月界人「くらえぃ!」ババババッ

涼「わわっ!? え、絵理ちゃんお願い!」

絵理「うん、回避行動は任せて」ササッ

涼「よぉし、今だ! ゲッタートルネード!!」ビュオォォォ

月界人「うわぁああっ!!?」ブワァッ

涼「今だよ、愛ちゃん!」

愛「任せて下さい!! ゲッタァァァアアア!! チェェェェエエエエエエンジ!!」ガション

愛「くらえー!! ナックルボンバー!!」バシュゥン

ドゴォォォオオオオン!!!


……

涼(他の二人に頼ってばっかだもんなぁ……)

涼(如月博士の言いたいことは分かってる)

涼(未知の実力を秘めた愛ちゃん。天才的な反応速度を持つ絵理ちゃん。それにくらべて僕はただの平凡なパイロット……現状、ネオゲッター3のパイロットが僕である必要性はない)

涼「僕には真美ちゃんみたいなトリックプレイはできないし……やっぱ、僕も真さんみたいに必殺技とか欲しいな……うん、そうだ! 僕だけの必殺技。これだ!」



……

涼「うーん……」

愛「あ、涼さん! そんなにうんうんうなってどうしたんですか?」

絵理「具合、悪いの?」

涼「あ、愛ちゃんに絵理ちゃん。いやぁ、今ネオゲッター3を使った必殺技を考えてる所なんだけど……」

愛「必殺技!! カッコイイですねー! どんな技なんですか?」

絵理「ゲッター3の必殺技と言えば、やっぱり大雪山おろし?」

涼「うーん、それも考えたんだけど、あの技って結構難しくて……何度か試してみたんだけど、どうにも上手くいかないんだ。やっぱし本人に教えて貰わなきゃ駄目なんだろうけど……」

絵理「あの技を使えた人は、もう……」

涼「うん……だから、それに代わる何か新しい必殺技を考えてるところなんだ!」

愛「うーん、必殺技ですかぁ。どんなのがいいですかね?」

絵理「やっぱり、ネオゲッター3のパワーを活かす技?」

涼「それはまだ考え中なんだ……でも、今度の戦いこそ私頑張るからね!」タッタッタッ

絵理「涼さん、何か焦ってる?」

愛「うーん、やっぱし夢子さんが気になるんですかね? でも私、涼さんと一緒に戦うの好きです!!」

絵理「私も……桜井さんと一緒に戦うと、いつも気絶するけど、涼さんとなら、5回に一回は最後まで起きてる?」

愛「それは……進歩ですね!」

絵理「愛ちゃん、お世辞言う時声小さいね……」

愛「あ、あはははは……」

絵理「何にせよ、焦りすぎないといいけど……」

愛「ですね!!」




……

愛「よーし! くらえ、ブーメランソーサー!!」

月界人「ふん、動きが丸見えだ! これでもくらえ!」ビーム

絵理「愛ちゃん、オープンゲットして!」

愛「わわっ、オープンゲット!!」カチッ

涼「よーし、ゲッターチェェェンジ!!」ガション

絵理「きゅー」

愛「絵理さんまた気絶しちゃった……」

涼「よーし、行くぞぉ! くらえ、必殺! りゅんりゅんパンチ!!」バヒューン

ドガッ

涼「ぐはっ!」

愛「わわっ!!」

絵理「ばたんきゅー」

月界人「なんだその大振りなパンチは。カウンターのいい餌食だな」

月界人「とどめだ! ゲッタービーム!」

愛「り、涼さん!! 私にチェンジして下さい!!」

涼「お、オープンゲット!」ポチッ

月界人「くっ、分離して躱したか……しかし次に合体した時が貴様らの最後だ!」

愛「とりゃぁぁあああああ!!!」

月界人「なっ、ゲットマシン単体で突撃だと!?」

ドゴォッ!!

月界人「ぐはっ!」

愛「今です、ゲッターチェェェンジッ!!」ガション

愛「涼さん、絵理さん! ネオイーグル号にパワーを集中して下さい!!」

涼「う、うん!」ポチッ

絵理「きゅー」オートモード

愛「はぁぁああああああっ!! プラズマぁぁぁあああああ!! サンダァァアアアアアッ!!」バリバリバリバリィッ

月界人「ぐわぁあああああっ! お、王女様ばんざぁあああい!!」

ドワォオオオオオン!!

……

千早「三人とも、お疲れさま。日高さん、今日の勝利は貴女のおかげといえるわね」

愛「えへへ、ありがとうございます!」

涼「……」

千早「涼、説明してもらえるかしら。あの理解できない行動を」

涼「ぼ、私は、他の二人に負けないパイロットになりたくて……」

千早「それで、真のように必殺技を持とうとしたわけね」

涼「……はぃ」

千早「あのね、涼。真は特別なの。彼女は、本来二本足で行う柔道技を、キャタピラというまったく条件の違う機体で再現してみせる格闘戦の天才だったわ。その真と違って、貴女は特記すべき能力もないただのパイロット」

涼「ぅぅ……」

千早「……まあ、いつかしなければとは思っていたけれど、これが良い機会かもしれないわね」

三人「「「??」」」

千早「三人とも、合宿よ!」

涼「が、合宿ですか!?」

絵理「着いていけるか、不安……」

愛「何だか楽しそうですねー!! みんなでお泊まり!!」

千早「日時等についてはまた追って連絡するわ。それじゃ、今日はこれで解散」

愛「はーい!! お疲れさまでーす!!」

絵理「合宿……大丈夫かな?」

涼「お疲れさまですぅ……」

千早「あ、そうそう涼」

涼「は、はい……」ビクッ

千早「そう身構えないでよ。この件、桜井さんにも伝えておいてくれないかしら?」

涼「夢子ちゃんにですか? 分かりました」トボトボ

小鳥「……涼ちゃん、大丈夫かしら?」

千早「この程度で折れるようであれば、彼女にゲッターチームの資格はありませんよ。この先、どんな苦悩に直面するか分からないんですから」

小鳥「……ねえ、合宿のコーチなんだけど、私にあてがあるの」

千早「そうなんですか? 最悪私がやろうと思っていたんですけど、候補がいるならその方にお願いできますか?」

小鳥「ええ。あの人たちなら、きっと彼女たちをいい方向に導いてくれると思うわ」

~トレーニングルーム~

涼「あ、いたいた。夢子ちゃーん」

夢子「はっ、たぁ! やっ!」

涼「夢子ちゃん!」

夢子「……何よ、涼じゃない。何のよう?」

涼「如月博士が、夢子ちゃんに合宿の事を伝えるようにって」

夢子「合宿ぅ? 如月千は……如月博士も随分発想がお気楽になったわね。操縦の訓練なんて、一人でやった方が良いに決まってるじゃない」

涼「そ、そうかなぁ……」

夢子「そうなの! 私はパス。そんなことしてる暇があったら、一人でトレーニングしてるわ」

涼「わ、分かった。如月博士に伝えておくよ」

夢子「ねぇ……あんたはなんでゲッターに乗ってるの?」

涼「え?」

夢子「だから、あんたが命をかけて戦う理由よ」

涼「戦う、理由……」

夢子「私はね、かつてお姉様と慕っていた方がいたの」

夢子「その人は凄いパイロットで、ライバルでもあったはずの私をいつも気にかけてくれた。でも、その人はかつての戦いで、ゲッターに乗ることなく死んでしまった……」

涼「それって、三浦あずささんのこと?」

夢子「そうよ。あの人こそ私の憧れ! 私は、あの人の代わりにネオゲッター3で戦うの!」

涼(……それって、夢子ちゃん自身の『戦う理由』じゃない気がするけど、聞いたらまた怒るだろうしなぁ)

夢子「……私何話してんだろ。こんなこと、アンタに言っても仕方ないのに。ま、そういうわけだから。アンタたちみたいなひよっこの仲良し合宿には参加しないわ」

涼「ひよっこって……確かに私はひよっこだけど、他の二人まで」

夢子「そうね、訂正するわ」

涼「っ!」

夢子「今、ネオゲッターチームで一番のお荷物はアンタよ、秋月涼」

涼「……」

夢子「あの日高愛って子は、操縦技術はボロボロだけど、あの底なしの体力は目を見張る物があるし、水谷絵理にはあの超能力じみた回避能力がある。だけど、アンタだけ何もない。ただ操縦できるってだけよ。今のアンタなんて、私にとってはライバルですらないわ」

涼「確かに……その通りだよ」

夢子「ふん、反論もできないなんてとんだ腰抜けね。この分だと、私がネオベアー号の唯一のパイロットになる日も近そうね。じゃ、そういうことで私はもう帰らせて貰うわ」カッカッカッ

涼「……」

涼(やっぱり、僕には必殺技が必要なんだ。他の子達に追いつけるだけの、僕だけの強力な必殺技が……)

第五話 おわり

以上です
アイマスDSでは涼のストーリーが一番面白かった。夢子可愛いよ夢子

男の娘? 何それ興味ねぇと思ってましたが、涼ちんはなんだかんだ漢でした

それとゆっくりでもいいから完結させておくれよ

おつー

涼ちんはBADも強烈だからなぁ・・・

乙!

ゲッターに乗らずに死んだあずささんもだけど、登場すらせずに死んだ亜美も忘れないであげて。

皆様コメントありがとうございます

>>198,>>199
涼夢こそ至高ですね!

先日前日譚の舞尾崎小鳥についてご質問があったのをきっかけに、うっかりこの三人の話を書き始めてしまい、なかなかこちらに集中力を割けないでいますが、必ず完結させます! でも息抜きにちょこちょこ別スレたてて短編書くと思いますごめんなさい

>>199
私は絵理のBADが一番ダメージでかかったですね。オザリンまるでダメだよオザリン……てか、DSのBADはどれも無駄に手が込んでた気がします

>>200
亜美が嫌いなわけではないのに、ssでは錯乱させたり呪い殺されたり失恋させたりもうさんざんな目に遭わせてるきがします……ごめんよ亜美

だいぶ間が開きましたが、これより第六話を投下します

よろしければお付き合いください

六話「合宿」

千早「ということで、これよりゲッターロボ操縦訓練合宿を始めます」

愛「わーい!!」

絵理「わ、わーい?」

涼「絵理ちゃん真似しなくていいから」

千早「最初は私がコーチを務めようとも思ったんだけど、音無さんがコーチに当てがあると言うので、その方々に任せることになりました」

千早「それでは、コーチの方々。後はよろしくお願いします」

ガラッ

尾崎「久しぶりね、絵理。元気にやってる?」

絵理「お、尾崎さん!?」

千早「水谷さんは当然知ってると思うけど一応紹介しておくわ。この方は尾崎玲子さん。かつてはこの研究所でプロトゲッターのパイロットをやっていた方で……」

尾崎「今はフリーのプログラマーをやってるわ。皆よろしく」

愛「よろしくお願いします!!」

尾崎「貴女があの舞さんの娘さんね。たしかに、何となく舞さんに似てる気がするわ」

涼「よろしくお願いします」

尾崎「……悪いんだけど、秋月さん。貴女の抱えている問題については、私では指導できないわ」

涼「え、ええー!!? じゃあ、私はどうなるんですか?」

千早「大丈夫。貴女にはとっておきの指導者を呼んでいるから」

涼「と、とっておきの指導者?」

千早「元防衛省官僚で、現代の孔明と謳われた……」

ガラッ



武田「そう、僕だ」



涼「いや、誰ですか?」

武田「自己紹介が遅れたね。僕の名は武田蒼一。かつてここの作戦司令官なんて役職をさせてもらっていたこともあったが、今はフリーの軍事アドバイザーさ」

涼「は、はぁ。よろしくお願いします」

千早「武田さんには、私もここに来たばかりの頃にお世話になっていたわ。武田さん、また私に戦術のご講義をお願いします」

武田「ふ、参ったな。世界を救ったゲッターチームのメンバーに、今更僕なんかが言える事なんて無いよ」

涼(あの如月博士が頭を垂れるなんて、ホントに凄い人なんだなぁ)

千早「またそうやって煙に巻いて……では、武田さん。涼のこと、お願いします」

武田「ああ……この子には色々と『隠された』部分があるみたいだしね。一つじっくりと様子をみさせてもらうよ」

~愛&絵理サイド~

尾崎「さてと。二人とも、自分の欠点は自覚できているわよね?」

愛「はい……私は、操作が荒くて無駄が多いとこです!」

絵理「私は、スタミナと耐久性のなさ?」

尾崎「その通り。そして、その欠点を同時に克服できるトレーニングがあるわ。少し手荒になるけど頑張ってね」

愛「分かりました!」

絵理「手荒な訓練……不安」



~涼サイド~

武田「さてと、まず質問なんだが……」

武田「君はどうしてそんな格好をしているんだい?」

涼「な、なんのことですか!?」

武田「隠さなくていい。君は本当は男だろう?」

涼「……はい。実は」カクカクシカジカ

武田「ほう。まあそれはいいだろう」

涼「え、いいんですか!?」

武田「ああ。如月君は身体的特徴に触れられると怒りが長いからね。誤解とはいえ、無駄な諍いは避けるべきだろう」

涼「良かった……こんな格好しておいて、今更男でしたなんて言いづらくて」ホッ

武田「だが、チームメイトまで騙し続けるつもりかい?」

涼「え?」

武田「君に、大事な事を問おう」

武田「まず第一に、ゲッターチームとはなんだと思う?」

涼「ゲ、ゲッターチームですか? うーん、ゲッターロボのパイロット達……って答えを求めてるわけじゃないですよね」

武田「ああ。もっと概念的なことさ」

涼「うーん。ゲッターチーム、それは……」

涼「自分の命を預け合う仲間達。つまり、三つの命は、ゲッターに乗っている時は一つ。僕は、そう思います。そう思って、戦っています!」

武田「……」

涼「うっ、駄目だったでしょうか?」

武田「いや、良いと思う。そもそもこの問いに正解などないのだからね。それが君の『答え』ならば、その想いを貫くといい」

涼「はい!」

武田「だが、命を預けている相手に、自分の正体を隠したままでいいのかな?」

涼「うっ、それは……」

武田「すぐには無理か。まあそれは構わないさ。何せ、君たちネオゲッターチームは未だその域に達していないのだから。命を預け合う、真のゲッターチームの域に」

涼「うっ……そうですよね。僕が他の二人みたいに凄い特技を持ってないから」

涼「武田さん! 僕、あの二人に追いつきたいんです。胸を張って、ゲッターチームの一員だって言えるようになりたいんです!」

武田「ふむ……」

涼「そのために、僕……僕、必殺技が欲しいんです! お願いです、僕に必殺技を教えて下さい!」

武田「……必殺技なんて考えるな」

涼「え!?」

武田「例えばだが、君の尊敬する菊池真君。彼女は果たして、あの大雪山おろしという技が無ければ戦えなかっただろうか?」

あ、菊池じゃなくて菊地だ。ごめんよまこちー

涼「そ、そんなことありません! 真さんは、たとえ大雪山おろしが無くてもすばらしいパイロットでした!」

武田「その通り。つまり、だ。必殺技というのは飽くまで優秀なパイロットの十分条件であって、必要条件というわけではない」

涼「じゃ、じゃあどうすれば良いんですか! 僕、本当に何の取り柄も無くて……これじゃ、ネオベアー号のパイロットが僕である必要が無いじゃないですか!」

武田「例えばだ、君は秋月博士の従弟だという話だが……」

武田「別段、秋月博士の従弟は君でなくても構わないだろう?」

涼「へ? そんなこと言われても……」

武田「世の中なんて得てしてそういう物さ。この世に、必然で成り立つことのなんと少ないことだろう。だが、現に君はネオベアーのパイロットとしてここにいる。それは確かに必然ではないが、果たして単なる偶然だろうか?」

涼「……運命、ですか?」

武田「ふむ、運命か。そういう言い方もあるだろう。だが覚えておいて欲しい。君は今、運命を切り開くに足る力を持っているのだと言うことを」

涼「運命を、切り開く力……」

武田「ま、それも君の努力次第だがね」

武田「しかし……僕個人としては、君にはそれが出来ると信じている」

涼「ほ、本当ですか!?」

武田「もちろん今のままでは駄目だ。君は、秋月涼として、秋月涼のまま強くならねばならない。菊地真に憧れようと、日高愛や水谷絵理を目指そうと、それだけでは君はただの模造品で終わってしまう」

武田「見せてくれないかな。僕に、『本当の君』を」

涼「本当の……僕」

武田「ゲッターチームにおける君の役割、見えてきた?」

涼「……まだ、はっきりとは判りません。でも、何かが掴めたような気がします!」

武田「そうか。それは良かった。なら、行ってくるといい。君の仲間達の所へ」

涼「えっ!? 武田さんのレッスン、もう終わりなんですか?」

武田「君に一番足りなかったのは『決意』だったからね。そこのところは、まだ若い尾崎君では確かに難しいだろう」

武田「今の君なら、きっと答えに向かってまっすぐ進むことが出来るだろう。期待しているよ」

涼「武田さん……ありがとうございます! 僕、頑張ります!」タッタッタッ

武田「……運命、か。過酷な言葉だ。だが、どうか僕に見せて欲しい。人はただの運命の奴隷でないという証を。そしてたどり着いて欲しい。『光り輝く世界』に」




……

涼「愛ちゃーん、絵理ちゃーん!」

愛「ぁ、……ょぅ、ん」ヘロヘロ

絵理「はきゅぅ……」チーン

涼「なっ、何ですかこの地獄絵図は」

尾崎「あら、秋月さん。いえ、たいしたことじゃないの。ただ、ちょっと。ほんのちょっと『トレーニング』しただけ」

涼「そ、それでこうなったんですか?」

尾崎「彼女たちには、私達元祖ゲッターチームがやってたトレーニングをやってもらったんだけど……」

尾崎「今のままじゃ全然駄目ね。機体性能に人間が助けられるなんて、そんなのゲッターロボである必要がないわ」

涼「なんか今、文明に対するもの凄い挑発を聞いた気がする……」

尾崎「いい、貴女達にはこの訓練を後1週間で完成させてもらうわ」

涼「い、1週間ですか!? 絵理ちゃんだけじゃなく、愛ちゃんまであんな状態になる訓練を1週間で……」

尾崎「言っておくけど、これでも長めにとってるんだからね。私達プロトゲッターチームは、この訓練を3日で仕上げたんだから」

涼「プロトゲッターチーム……」

尾崎「私と高木研究所のオペレーターの小鳥さん、それから日高さんのお母さんの舞さんの三人よ。特に舞さんは、戦いに賭ける執念もだったけど、その操縦の才能は本物だったわ。けど……」

涼「?」

尾崎「才能って、遺伝しないものなのね……日高さんの操縦の腕は、お世辞にも上手いとは言えないわ」

涼「でも、愛ちゃんにはあの未知数の力がありますよ!」

尾崎「未知数の力……ねぇ。如月さんや小鳥さんは、その力を随分と過信してるみたいだけど、私はそんな博打じみた才能に全てを預けたりはしないわ。全てはパイロットの地力とマシンスペックが物を言うのよ」

尾崎「そう言う意味では秋月さん、貴女には期待しているわ」

涼「ぼ、僕にですか!?」

尾崎「ぼ、僕?」

涼「き、聞き間違いじゃないですか!? それより、どうして私に?」

尾崎「正確なコントロールなら絵理も得意だけど、貴女は三人の中で唯一、マシンスペックを理解しながら操縦してるからね。他の二人は、自分の戦いに必死過ぎて視野が狭くなってるから。貴女のような人間はチームに一人は必要よ」

涼「マシンスペックを理解……」

涼(そうか、僕はネオゲッターロボには開発段階から関わってる。だから、ネオゲッターの良いとこ、限界、何だって知っている)

涼(ネオゲッターチームにおける僕の役割……こういう事、なのかなぁ?)


……

尾崎「3,2,1……今よ」

愛「行きますよ、絵理さぁああああん!! オープンゲット!!」

絵理「ゲ、ゲッタァアアア、チェェェエエエエエンジッ!」ゴォォォォ

涼「っ! 危ない!」

 ネオイーグルに衝突されたネオベアーがバランスを崩し、更にネオベアーが先頭を飛ぶネオジャガーに衝突するという玉突き事故により、合体は愚か、激しく高度を落とす三機。

絵理「きゃぁあああああああああっ!!」

涼「え、絵理ちゃん!」

 錐揉み状に落下していくネオジャガー号を助けようと、後方から強制的に合体しようとする涼だったが……

涼「くぅっ、ネオベアーの加速じゃ間に合わない!」

愛「絵理さぁあああああああああああああああん!!!!」

涼「あ、愛ちゃん! 加速のついたネオジャガーには、他のゲットマシンじゃ追いつけなっ」

愛「おりゃぁああああっ!!」カッ

涼「あ、あの光は!」

~陸~

尾崎「……懐かしいわね、あの光。操縦技術は似なくても、やっぱり日高さんは舞さんの娘ってことかしら」


……

愛「たぁああああああっ!! 行きます!! がったぁああああい!!」ガション

涼(そんな! あそこからネオイーグルのスペックで追いつける筈ないのに……)

愛「涼さん! 私達と合体して下さい!」

涼「えっ!? う、うん。行くよ! ゲッタァアアアッチェェェエエエエエンジッ!!」ガション

愛「で、できましたー! 大気圏突入レベルの速さでの合体訓練、成功です!!」

尾崎『いいえ。これは成功とは呼べないわ』

愛「えー! 何でですか? 私達、ちゃんと指示通りネオゲッター2に合体しましたよ?」

尾崎『説明してあげるから、いったん降りて来なさい」



……

愛「それで、どうしてさっきの訓練が失敗なんですか? 私、納得できません!」

尾崎「日高さん。今回の訓練成功は貴女の単独行動に起因するものというのは解るかしら?」

愛「た、たんどくこーどーにきーん?」

涼「つまり、愛ちゃんだけのおかげだったってことだよ」

尾崎「少し違うけれど、まあそれで良いわ。つまり、日高さんが何らかの理由で操縦や戦闘が不可能になった場合、さっきみたいな合体はできなかったということよ」

尾崎「それに、そもそもこの合体訓練の目的は、日高さんに精密な操縦技術を、そして絵理にゲッターの操縦に耐えうる耐久力を身につけて貰うための訓練よ。その両方が達成されない限り、成功とはいえないわ」

絵理「ぅ……」

涼「え、絵理ちゃん大丈夫? まだ気分悪い?」

尾崎「……特に絵理。貴女はいいかげんにゲッターの操縦に適応しなきゃ。本来三つの心が一つになるのがゲッターロボなのに、貴女の気絶で他の二人は三分の二の力で戦わなきゃならないのよ。もっと自分の双肩に世界の命運がかかっていると言うことを自覚して貰わなくちゃ困るわ」

絵理「……はぃ」

尾崎「ハァ……絵理、正直に答えて頂戴。貴女は何のためにゲッターに乗っているの?」

絵理「それは……尾崎さんが、乗れって言ったから?」

尾崎「そうね。でも貴女はその話を請けた。リスクを理解した上でね。それはどうしてなの?」

絵理「そ、それは……」

尾崎「それは?」

絵理「……わ、分からないよ!」ダッ

涼「え、絵理ちゃん!」

尾崎「放っておきなさい!」

涼「で、ですが」

尾崎「あの子もいい加減、目の前の『現実』を乗り越えられるようにならなきゃいけないのよ」

涼(確かに、確たる目的意識も無しに戦うのは良くないけど……今の絵理ちゃん、一人にして大丈夫なのかなぁ)

第六話 おわり

本日は以上です。ありがとうございました


次回はもうちょい早めに投下できるようがんばります

あ、愛ちゃん誕生日おめでとう! 誕生日ss投下できなかった・・・・・・

1です

おそらく明日の夜には第七話を投下させていただきます。よろしければお付き合い下さい

1です

これより第七話を投下させていただきます。もしかしたら途中でいったん切るかもしれませんがよろしければお付き合い下さい

七話「お嬢様とひきこもり」

涼「……ということなんですけど」

千早「なるほど、水谷さんの戦う理由ね……」

涼「どうすれば良いでしょうか? 尾崎さんは、良い機会だからしっかり自分で考えて欲しいみたいなんですけど、私は今の絵理ちゃんを一人にしておくのは良くないんじゃないかなと思って」

千早「そうね……戦う理由をなくしてしまった時は、何か立ち上がるきっかけが必要よね」

千早「……よし、決めたわ」

涼「な、何をでしょうか?」

千早「涼。水谷さんに、このメモに書いてある場所に行くよう伝えておいてくれないかしら」

涼「はい。でも、一体何処なんですか、この住所は?」

千早「この高木ゲッター線研究所は、元々は国の所属機関だったんだけど、先日のゲッター線開発凍結の決定以降、国から離れた独立研究機関となったの。それで資金提供者を探さなきゃならなくなったんだけど……」

千早「その時、快く名乗り出て、一切の研究開発費用を請け負ってくれたのが、水瀬財閥だったの」

涼「み、水瀬財閥!? あの、CMなんかでよく見る?」

千早「そう。その水瀬財閥よ。水谷さんに会って欲しいのは、そこのお嬢様の『水瀬伊織』さんよ」




……

絵理「す、凄いお屋敷……呼び鈴、どこにあるんだろう?」

執事「水谷絵理様ですね」

絵理「ひぅっ! は、はい」

執事「お嬢様がお待ちです。どうぞこちらへ」



絵理「……外から見ても大きな家だったけど、中も凄い」テクテク

執事「それでは、こちらのお部屋へお入り下さいませ」ガチャッ

お待たせしてすみませんでした

次回投稿は明日夜を予定しております
よろしければお付き合い下さい


バタン

絵理「失礼、します?」

伊織「待ってたわ、絵理。話は千早から聞いてるわ」

伊織「……ふぅん、アンタがゲッターのパイロットねぇ」

絵理「は、はい」

伊織「納得できないわ」

絵理「え?」

伊織「あんたみたいなやる気のない奴が選ばれて、私がゲッターに乗れないなんて納得できないって言ってるのよ!」

絵理「伊織さんは、ゲッターのパイロット候補だった?」

伊織「随分昔、一時期だけね。でも、悔しいけど私には才能がなかった。なにより、高木博士と私のお父様が、私がパイロットになることを許してくれなかった」

伊織「だから、あんたみたいに才能だがあるってだけでゲッターに乗ってる奴は気にくわないのよ!」

絵理「そ、そんな。私、才能なんて……それに、やる気がないわけじゃ……」

伊織「じゃあ何? あの超能力じみた回避能力は訓練で身につけたって言うの?」

絵理「あれは……昔から、ああいうの得意だったから?」

伊織「ほら、やっぱりそうじゃない」

絵理「で、でも! 私だってちゃんと特訓を……」

伊織「あの程度の特訓で逃げ出すような奴のどこにやる気があるって言うのよ?」

絵理「そ、それは……」

伊織「あのね。アンタ、今自分が世界の運命を握ってるってこと、解ってんの?」

絵理「わ、わかってる……つもり?」

伊織「はっきり言いなさいよ!」

絵理「ひうっ!」

伊織「地獄のような特訓の苦しみや、敵と戦う痛み、仲間を失う悲しさ……アンタにそれを乗り越えてでも戦おうって気概はあんの?」

絵理「……痛いのは、怖い。戦うのも」

伊織「ハァ……悔しいけど、今この星を守ってるのは私じゃない。アンタよ。でも、アンタにはその自覚がまるでない」

伊織「ねぇ、絵理。あなたは何故ゲッターに乗っているの?」

絵理「……分から、ない」

伊織「話にならないわ。いい? ゲッターロボっていうのは、常人なら乗るだけでも命がけのものなのよ。その上戦うっていうなら、なおのこと『覚悟』が必要よ」

絵理「覚悟?」

伊織「命を賭けて戦うだけの理由と言い換えてもいいわ。絵理、貴女にそれがあるのかしら?」

絵理「……」シュン

伊織「……悪かったわね。少し言いすぎたわ。でもね、さしたる覚悟もなしにこんな戦いに身を投じるなんて、アンタ自身のためにもならないわ」

伊織「アンタ自身のためにも、絵理が戦う理由をきちんと考えておきなさい。いいわね?」

絵理「……うん」

絵理「……伊織さんは?」

伊織「ん?」

絵理「伊織さんは、どうしてゲッターに乗りたいの?」

伊織「そうね……守られる私でいたくなかった。そんなところよ」

絵理「守られる、自分?」

伊織「誰かに守られる弱い私じゃなくて、誰かを守ってあげられる自分になりたかった。家や、お父様、お兄様達に守られるか弱い女の子でいたくなかった。だから私は、ゲッターに乗ろうとした」

伊織「さぁ、絵理。今度はアンタの番よ」

絵理「私は……」

伊織「ねぇ、絵理。アンタはどうしてゲッターに乗ることになったの?」

絵理「……私、昔はひきこもりだった。人と会うのが怖くて、毎日ネットばかりしてて……そんな時、あのゲームに出会ったの」

伊織「あのゲーム?」

絵理「ゲッターロボ大決戦。春香さん達の戦いで一躍人気になったゲッターロボのネットゲーム。私は、そこでかけがえのない友達を手に入れた」

絵理「そして、私の戦いを見て声をかけてくれたのが、尾崎さん」

織「尾崎さんって……初代ゲッターチームの尾崎玲子!?」

絵理「そう。尾崎さんは、私の操縦技術なら、きっと地球のために戦うことができると言ってくれた。一緒に戦おうって」

伊織「つまり、この戦いにアンタの意思はないってワケ?」

絵理「多分、そう……でも、よくわからない?」

絵理「はじめは、尾崎さんがきっかけだった。けど、私自身もどこかで、ネットじゃない、リアルのゲッターロボに興味を持っていた。そして、今仮にゲッターから降りろって言われたら、多分抵抗する?」

絵理「でも、それがなんでなのかは……分からない?」

伊織「ふぅん。ま、いいわ。想いを明確に形にする必要なんてないもの。でも、これだけは覚えておきなさい」

伊織「今アンタがしてることは、生半可な覚悟でやっていいことじゃない。あやふやな気持ちのままじゃ、いつか絶対後悔するわ。もう、逃げるのはやめにしなさい」

絵理「……うん。ありがとう、伊織さん。私、自分の気持ちをきっと見つけてみせる」

伊織「その意気よ。そうでないと、ゲッターに乗れない私がバカみたいじゃない……」




……

千早「どうだった、水谷さん。気持ちの整理は出来たかしら?

絵理「はい。伊織さんのゲッターに対する想いを聞いて、私もきちんと自分と……ゲッターと向き合おうって、思いました」

千早「そう。それは良かったわ。迷ったままでは、ゲッターは応えてくれないから……」

絵理「今回のこと、本当にありがとうございます。私、もう嫌なことから……自分から逃げたりしません!」

千早「お礼なら涼に言って頂戴。貴女を一人にしちゃ駄目だって言い出したのはあの子だから」

絵理「涼さんが……」

千早「さ、合宿に戻りなさい。皆が待ってるわ」

絵理「……はい!」ダッ

律子「……あの子、いい目をするようになったじゃない」

千早「そうね。初めて会ったときは、いつもおどおどしてて頼りなかったけど、この分なら大丈夫そうね」

小鳥「合宿、無事終わると良いわね」

千早「終わらせて貰わなきゃ困りますよ。この星の為にも」

第七話 おわり

次回更新は9月頭を目指してます
よろしければお付き合いください

本日、第八話を投下します

途中、中断することもあるかもしれませんが、よろしければお付き合いお願いします

第八話「合宿終了」

合宿最終日

尾崎『さぁ、三人とも! 今よ!』

愛「行きます!」ゴォォォ

絵理「う……うん!」ゴォォォ

涼「了解!」ゴォォォ

愛絵理涼「「「ゲッターチェェェエエエエンジ!!!」」」

ガション

尾崎(どうにか超高速でのネオゲッター2への合体はこなせるようになってきたわね……)

尾崎『いいわよ三人とも! 次は、そのままネオゲッター2で加速してオープンゲットよ!』

絵理「うん、分かった! 行こう、愛ちゃん、涼さん!」

愛「よーし! 行きますよー!!」

涼「OK! 絵理ちゃん、加速して!」

絵理「了解。加速、開始」ゴォォォ

愛「うぅ、凄い勢い……コックピットに押さえつけられてるみたいです!」

涼「くっ、う……え、絵理ちゃん! 大丈夫?」

絵理「苦しい、けど……な、なんとか……そろそろ、分離?」ゴォォォ

涼「うん! もう速度も十分上がったし、オープンゲットしよう!」

絵理「分かった……オープン、ゲット!」

 ネオゲッター2の加速そのままに、三機のゲットマシンに分離する三人。

愛「うわっ!?」グラッ

涼「あ、愛ちゃん!」

 分離の勢いで、愛の駆るネオイーグル号はあらぬ方向へ進路がそれてしまった。

絵理「ど、どうしよう!?」

涼「とにかく合体するしかないよ! このままじゃ、愛ちゃんが墜落しちゃう!」

涼(合体……ここは愛ちゃんに一番近い僕が行くべきか。そして、動体視力のいい絵理ちゃんには……)

涼「僕が愛ちゃんの正面まで移動してそのまま合体するから、絵理ちゃんはナビゲートを頼むよ!」

絵理「わ、私がナビゲート? 責任、重大?」

涼「頼んだよ、絵理ちゃん!」

絵理「う、うん。頑張る!」

涼(今の位置関係は、先頭から絵理ちゃん、僕、愛ちゃんの順……愛ちゃんの進行コースに合わせさえすれば、合体は可能のはず!)

絵理「涼さん! そのまま進路を下げて!」

涼「了解!」

涼(よし、ネオイーグル号のちょうど正面に来れたぞ。このまま速度を落とせば……)

絵理「っ! 涼さん、高度を上げて!」

涼「えっ!? だって今ちょうど真後ろに愛ちゃんがいるのに」

絵理「いいから上げて!」

涼(ど、どうする!? 見たところどう考えても現状維持がベストだけど、絵理ちゃんの言うことも信じてあげたいし……)

涼「え、えーいっ! 男は度胸だー!」グンッ

 涼が高度を上げた直後、愛のネオイーグル号がそれに合わせたかのごとく高度を急に上げた。

ガションッ!

涼「が、合体出来た!?」

 空中でネオゲッター3へと合体した三人は、そのまま眼下の海へと入水した。

絵理「良かった……」

愛「う……」

涼「あ、愛ちゃん! 大丈夫!?」

愛「うわぁぁぁああああん!!」ビエー

絵理「あ、愛ちゃん。泣かないで?」

愛「うわぁあああん、り、涼さん、絵理さん、ありがとうございますぅ!! 私、私……」

涼「愛ちゃん、もう大丈夫だから泣かないで」

絵理「うん。無事で、良かった?」

尾崎『三人とも、大丈夫!?』

涼「はい! 絵理ちゃんのおかげです。まさかあそこで急に上昇するなんて……」

愛「す、すみません! 私、墜落すると思ってあわてて操縦桿を引き上げちゃって……」グスッ

絵理「私だけじゃない。涼さんの、おかげ?」

涼「ぼ、僕の? 僕はただ絵理ちゃんのナビに従っただけで」

絵理「涼さん、私を信じてくれた。あの場で、一番成功率の高い指示をくれた。だから、涼さんのおかげ」

尾崎『そうね。今回は秋月さんのお手柄よ。さぁ、三人とも戻ってきなさい』




……

尾崎「三人とも、お疲れさま」

愛絵理涼「「「お疲れさまです!!!」」」

尾崎「まだまだ不安な所はあるけど、とりあえず合宿はこれで終了よ。皆よく頑張ったわね」

尾崎「特に絵理。貴女、合体や戦闘で気を失わなくなったわ、凄いじゃない」

絵理「それは、皆のおかげ?」

尾崎「自信を持ちなさい、絵理。今の貴女は、立派なゲッターチームよ。もちろん、まだまだ上を目指さなきゃいけないけどね」

絵理「うん!」

尾崎「秋月さん、貴女もよく頑張ったわ」

涼「わ、私はそんなたいしたことは……」

尾崎「さっきのハプニングでも、とっさにあの状況でベストな方法を指示できていたわ。貴女には、皆をまとめる才能があるのかもしれないわね」

涼「あ、ありがとうございます! 私、頑張ります!」

尾崎「日高さん。貴女については、まだまだ荒削りなところが目立つけれど、最初よりは随分正確な操縦が出来るようになってるわ。これからは、勢いだけじゃなくて、周りをよく見て行動できるように気をつけなさい」

愛「はい!! 頑張ります!!」

尾崎「三人とも、本当にお疲れさま。今日は帰ってゆっくり休みなさい」

愛絵理涼「「「はい、お疲れさまです!!!」」」




~数日後~

月界人「くらえ! ゲッタービーム!」

涼「愛ちゃん!」

愛「りょーかいです! オープンゲット!!!」バシュンッ

愛「涼さん! お願いします!!」

涼「OK! ゲッターチェンジ!」ガション

涼「ゲッタートルネード!」ビュォオオオオッ

涼「今だ! 絵理ちゃん、頼んだよ! オープンゲット!」

絵理「うん。ゲッターチェンジ!」ガション

絵理「ドリルアーム!」

月界人「ぐわぁああああっ!! お、王女様万ざぁあああい!」ドガァアアアン

愛「やったー!!」



~研究所~

愛「絵理さん、涼さん! これからお風呂に行くんですけど、一緒に行きませんか?」

絵理「うん、行く……涼さんは?」

涼「わ、私は遠慮しとくよ。ちょっとやりたいこともあるしね」アハハハ

愛「そうですか……じゃ、また今度一緒に行きましょうね!! さ、行きましょう絵里さん!!」ダッシュ!

絵理「あ、愛ちゃん待って……じゃ、涼さん、お疲れ様」

涼「お疲れ様。楽しんできてね」フリフリ

涼「……ふぅ。僕もシャワー浴びよっかな」

~研究所内シャワールーム~

涼「ふぅ……この研究所、女所帯だからってなんでシャワールームが一つしかないんだろ」ザァァァ

夢子「あら、その声は涼?」ザァァァ

涼「ゆ、夢子ちゃん!?」ビクゥッ!

夢子「なによ。今日は戦闘に出てなかった私がシャワー浴びちゃいけないっていうの?」

涼「い、いやぁ、そういうのじゃないんだけどね。アハハハ……」

夢子「声しか聞こえないからよく分かんないけど、アンタなんか取り乱してない?」

涼「そ、そんなことないよ! うん、私いつもどおり!」


夢子「あっそ……あのさ、涼」

涼「ん?」

夢子「今日の戦い、なかなか良かったじゃない」

涼「……へ?」

夢子「ちょっ、人がせっかく褒めたげてるのに、聞こえなかったの!?」

涼「い、いやぁ。夢子ちゃんがそんなこと言うなんて意外だなと思って……」

夢子「失礼ね。私はいつだって公正な判断の下に発言してるだけよ。アンタがやっと少しは使えるパイロットになったから、こうして褒めてあげてるんじゃない。感謝しなさいよね!」

涼「あ、あはは。ありがとう」

夢子「ふふんっ。といっても、まだまだ私のライバルって程じゃないけどね。せいぜい頑張って、私の足元レベルくらいまでは上がってきなさい」

涼(ああ、そうか……)

夢子「その時は、この桜井夢子の本気ってやつを見せてあげるんだからね!」

涼(夢子ちゃんはずっと一人で戦ってきたから……夢子ちゃんにとって、コレが人との唯一の関わり方だったんだね)

涼「……夢子ちゃん!」

夢子「な、何よ?」

涼「月界人との戦いが終わって平和になったらさ、どこか遊びに行こうよ」

夢子「へ?」

涼「この戦いが終わるまではライバルなのかもしれないけど……その後は、友達として、普通に買い物行ったり、カラオケとか、ご飯とか……そういうのも、いいんじゃないかな?」

夢子「……」

夢子「この戦いが終わったら……ねぇ。考えたこともなかったわ。私にとって、ゲッターの正規パイロットになることだけが生きる意味だったから」

涼「なら、一緒に探そうよ。この戦いの、先の世界のことを」

夢子「この戦いの先、ねぇ……」

夢子「ま、そこまで言うなら、涼の話に乗ってあげなくもないわ。どうせ、何も予定なんてないしね」

涼「やったぁ! よろしくね、夢子ちゃん!」

夢子「ふふ、なんだか変な気分。でも、悪い気分じゃないわ。さて、そろそろ出ようかしらね。涼も出てきなさいよ。ご飯でも食べに行きましょ」

涼(げっ、そういえば僕たちまだシャワー室なんだった! この薄い壁の向こうに裸の夢子ちゃんが……)

夢子「ほら、何してんのよ。さっさと出てきなさい!」

涼「わ、私はもうちょっとかかるから、夢子ちゃんは先に出て待ってて!」

夢子「もう、シャワー浴びるのに何十分かけてんのよ。じゃ、先に玄関まで出とくから、早くしなさいよ!」

涼「う、うん。すぐ行くから待ってて!」

涼(最初はどうなることかと思ったけど、夢子ちゃんとも仲良くなれそうだな……四人のゲッターチーム、このまま上手くいくといいなぁ)


第八話 おわり

本日は以上です。間が空いて申し訳ない……


仕事が忙しくて響の誕生日ssを投下できなかったのが心残りです。ひびたかわっほいなお話が書きたい……でも書けないから誰か良いひびたかを書いてください

これより、第九話の投下を開始します

よろしければお付き合い下さい

第九話「拒絶」

~東京某所~

涼「ゲッターミサイル!」バシュンッ

月界人「ぐぅっ、お、王女様万ざぁあああいっ!」

ドワォオオオオオッ!

小鳥『お疲れ様、愛ちゃん、絵理ちゃん、涼ちゃん。研究所に戻ってきて」

愛絵理涼「「「はい!!」」」

~研究所~

千早「三人とも、お疲れ様」

尾崎「最近、良い調子じゃない」

愛「ありがとうございます!!」

絵理「二人の、おかげ?」

夢子「ふん、まぁまぁなんじゃない?」

??「いい戦いだった。掛け値なしに」

涼「そ、その声は……」

武田「そう、僕だ」

涼「たけd「武田さん!?」

夢子「貴方は、あの武田蒼一さんですよね!」

武田「ああ、そうだけど」

夢子「私、桜井夢子です! 昔武田さんがここで作戦指令をされていた頃、パイロット候補生で、武田さんの戦術講義には毎回参加してました!」

武田「……思い出したよ、桜井くん。キミは確かに僕の講義に毎回出席し、非凡な成績を修めていたね」

夢子「ありがとうございます! 私、今はネオゲッター3のパイロットをやってるんです」

武田「そうか、キミが秋月くんと交代でパイロットをやっているという……」

夢子「はい。私自身、まだまだ未熟なパイロットで涼……秋月さんには迷惑をかけてしまっています」

涼(誰コレ?)

夢子「人類の平和のため、尊敬する先輩方のためにも、一日も早く一人前のパイロットになりたいとは思うのですが……」

武田「ふむ、いい心がけだね」

夢子「そのためにも、是非武田さん直々にご指導いただきたいのですが」

武田「……」

夢子「ダメでしょうか?」

武田「ダメというわけではないんだが……僕は自分の技術をあまり後世の人々に使って欲しくはないんだ。戦術論なんて、所詮は争いの道具だからね」

武田「だから、願わくば君たちゲッターチームには、自らの手で自分なりの戦い方を掴み取ってもらいたい。その上でもし、僕の教えが必要だというのならば、その時は僕も隠しだてはしない。全ての技を伝授しよう」

夢子「……つまり、武田さんの教えを受けたければ、ゲッターのパイロットとして成長しろってことですね?」

武田「まぁ、そのように受け取ってもらっても構わないかな」

涼「よかったね、夢子ちゃん!」

夢子「うん! こうしちゃいられないわ。涼、特訓に付き合いなさい!」

涼「え、今から? 私、さっき戦闘から帰還したところなんだけど……」

夢子「つべこべ言わない! ほら、行くわよ!」グイッ

涼「わわっ!? 待ってよぉ」



愛「行っちゃいましたねぇ」

絵理「……」

武田「ふっ、若いな。じゃあ如月くん、僕はここらで失礼するよ。梅昆布茶、ごちそうさま」

千早「ええ。本日はお越しいただき、ありがとうございました」

武田「僕の方も、『例の件』については政府側に打診してみるが……あまり期待はしないでくれ。近頃、連中に妙なのが口利きしているようだからね」

千早「妙なの?」

武田「正体は掴めないが、君たちも用心しておいてくれ。では、また来るよ」



小鳥「夢子ちゃん、変わったわね」

千早「そうですね。昔は誰かと一緒に特訓だなんてあり得なかったんですが……」

小鳥「新生ゲッターチームもまとまってきたってところかしらね?」

千早「だといいんですが」


~トレーニングルーム~

夢子「ほらほらほらっ! 逃げてばっかじゃ私には勝てないわよ!」

涼「ぎゃおおおんっ! 夢子ちゃん、ちょっとは手加減してよぉ」

夢子「シミュレーションだろうとなんだろうと私は常に全力よ!」

涼「ぎゃぉおおおんっ!」






……
夢子「ふ、ちょろいもんよ」ドヤァ

涼「うう、結局一回も勝てなかった……」

夢子「涼は実戦ではなかなかいい動きをするけど、やっぱしまだまだ私の方が上みたいね」

涼「まぁ、実戦だとさっきみたいな動きをすると絵理ちゃんが着いて来られないし、機体に負担がかかるしね」

夢子「一つ目は水谷絵理が悪いんだからいいとして、後者はどういうこと?」

涼「夢子ちゃんの操縦は可動域と逆方向に負担がかかりすぎるんだよ。だから序盤は良くても、後半戦で負担が溜まって動きが悪くなってくるんだ」

夢子「……思い当たる節はあるわね。序盤では避けられた攻撃が、戦っている最中に突然避けられなくなったりすることがあるわ」

涼「(それは途中で絵理ちゃんが気絶するからってのもあるけど……)関節部の不調は機動性を著しく落とすからね。しかも、一箇所が壊れるとそこを庇って全体に負荷がかかるし」

夢子「ふぅん、そういう事を考えながらする戦いもあるわけね……ちょっと見直したわ」

涼「え、えへへ」

夢子「ちょっとよ、ちょっと! すぐに私もその技を手に入れて見せるんだから! ということで、今日は一日中付き合ってもらうわよ!」

涼「ぎゃぉおおんっ! 僕、もうヘトヘトだよぉ」





チュンチュン……

夢子「ふふっ、すっかり(涼のメカニックとしての技を)搾り取ってやったわ」ツヤツヤ

涼「せ、戦闘後休むまもなく訓練して、その上徹夜で議論なんて……」ゲッソリ

夢子「それにしても凄いわね」

涼「え、何が?」

夢子「あんたがよ、涼。なんでこんなにネオゲッターのスペックに詳しいのよ」

涼「あー……えっと、私が律子姉ちゃんのイトコだから?」

夢子「なんで疑問形なのよ。水谷絵理の真似?」

涼「でも、夢子ちゃんも凄いよ。私の話、結構難しい内容もあったのにどんどん吸収していって。もしかしたら、夢子ちゃんにはメカニックの才能があるのかも」

夢子「ふっ、当然よ。この桜井夢子にできないことはないわ!」

 その時、敵機襲来を知らせるサイレンが、けたたましく研究所に鳴り響く。

夢子「丁度いいわ。涼から教えてもらった技、さっそく使ってくるから、ここでこのネオゲッター3パイロット、桜井夢子の活躍を見てなさい!」ダッ

涼「夢子ちゃん、気をつけてねー!」




……

夢子「ゲッターチェンジ!」ガション

夢子「行くわよ!」ダッ

月界人「くらえ、ゲッターミサイル!」バシュンッ

夢子「遅い!」ヒラッ

夢子(本当だ。量の言うとおり操縦したら、回避後の立ち直りスピードが段違いね)

夢子「これなら行けるわね。ゲッタースマッシュ!」ブンッ

月界人「ぐあっ!」

夢子「とどめよ! プラズマブレイク!」バリバリバリィッ

月界人「ぎゃぁああああっ!!」ドワォオオオ

夢子「ふふん、楽勝楽勝ぅ♪」


……

涼「お疲れ様、三人とも」

愛「お疲れ様でーす!!」

絵理「涼さん、お疲れs」

夢子「見た!? 私の操縦! アンタの言うとおりやったら、確かに立ち直りが早かったわ。シミュレーショントレーニングだけじゃ解らないもんなのね」

涼「うん、見てたよ。流石夢子ちゃんだね。さっき教えたことをもうあんなに実戦に取り入れてるなんて」

夢子「ふふん、あったりまえじゃない。でも、私の躍進はあんなもんじゃないわよ。さ、今日も練習に付き合いなさい!」

涼「ふふ、はいはい」

ワイワイガヤガヤ

愛「……あの二人、すっかり仲良くなりましたねー」

絵理「……うん」

愛「あれ、絵里さんなんだか機嫌悪そう?」

絵理「……なんでも、ない?」

愛「むー、何だか分かんないですけど、悩んでる時は相談してくださいね!」

絵理「うん。ありがと」





絵理「……夢子さん、いつも一人で戦ってる。一緒に戦ってる私たちのこと、見えてるのかな?」


~東京某所~

涼「ゲッターサイクロン!」

絵理「涼さん、今だよ!」

涼「うん! プラズマブレイク!!」

月界人「ぐわぁああああっ!! 女王様万歳ぃいいい!!」ドガァアアアン

……

小鳥「お疲れ様、三人とも」

夢子「お疲れ、涼!」

愛「お疲れ様でーす!!」

絵理「今日も、快勝?」

涼「そうだね。最近、調子いいかも!」

夢子「そりゃそうよ。なんたってこの私と毎日トレーニングしてるんだからね」

涼「あはは。感謝してるよ夢子ちゃん」

律子「あのなよなよした涼がこんだけ立派にパイロットやるとは、分かんないものねぇ」

涼「なんだよ、もともと律子姉ちゃんが推薦したくせに」

律子「ま、しっかりしてきたのは良い事だわ。この調子で頑張んなさい」

涼「うん!」

千早「……」

千早「小鳥さん、律子。ちょっと……」

小鳥「何?」

律子「どうしたのよ、改まって」

千早「少し話があります。所長室に来てもらえますか?」

小鳥「え、ええ」

夢子「……?」



~所長室~

律子「涼を、正規パイロットに?」

小鳥「そうなると、夢子ちゃんはどうなるの?」

千早「櫻井さんには、ネオベアー号のサブパイロット兼メカニックを務めてもらおうと思います」

小鳥「サブパイロットはわかるけど、メカニック?」

千早「近頃、涼とネオゲッターの構造について随分勉強してるみたいだし、この際人手の足りないメカニックを手伝ってもらおうかと思いまして」

律子「でも、どうして急に涼をメインパイロットに?」

千早「おかしなことを言うわね。櫻井さんと涼、どちらの時がネオゲッターの負傷が大きいか考えれば、自ずと答えはでるはずよ」

律子「……確かに、ほとんどオープンゲットしない櫻井さんより、状況に応じて変形を繰り返す涼の方がネオゲッターにかける負担は少ないわね」

小鳥「後、他の二人のパイロットの動きも、夢子ちゃんよりも涼ちゃんがパイロットの時の方がずっと良いわね」

千早「ええ。これらの要因を考えれば、自然涼をメインパイロットにするのが適切だという結論に達しませんか?」

律子「ま、確かにその通りね」

小鳥「で、でもそれじゃ夢子ちゃんは……」

千早「納得はしないでしょうね」

小鳥「もう少し様子を見たらどうかしら? 今、ゲッターチームはやっとだんだんまとまって来たところなんだし」

千早「まとまっている? 違います音無さん。あれは個人に依存しているだけです。ああいうのはチームとは言いません」

律子「手厳しいわね。ただ、私も千早の案自体には賛成よ。ネオゲッターの整備だってタダじゃないし、小鳥さんの言うとおり、他の二人のモチベーションも涼と一緒の方が高いしね」

小鳥「と、とりあえずもうしばらく様子を見ましょう。適切な時を選んで発表しないと、ゲッターチームに不和が生じかねないわ」


~所長室外~

夢子「この私が……涼の代わり?」ドクンッ

涼「あ、夢子ちゃんそんなとこにいたんだ?」

夢子「っ!?」ビクッ

涼「あのさ、これからこないだ夢子ちゃんが行こうって言ってたカフェにいかない?」

夢子「え、あの……」

涼「どうしたの?」

夢子「わ、私ちょっと用事があるから。また今度行きましょ!」

涼「うん。じゃ、またね」

夢子「……」

……

夢子「ハープンキャノン!」

月界人「甘い!」ヒラッ

夢子「くっ、水谷さん! 回避行動を!」

絵理「えっ!? あ、うん!」

月界人「くらえっ!」ガッ

夢子「きゃぁっ! ……水谷さん、何で回避しないの!」

絵理「だって、操縦権を急に渡されても……」

夢子「言い訳は聞いてないわ! ったく、結局私がやるしかないわけね」

夢子「ゲッターサイクロン!」ビュォオオオオッ

月界人「うわぁああっ!!」

夢子「インパクトキャノン!」

ドワォオオオオオ!!

小鳥『お疲れ様。三人とも、帰還してね』

~研究所~

ドンッ

絵理「ひぅっ!」

夢子「どういう事よ、さっきの戦いは! アンタならあの状況からでも見切れたはずでしょ?」

絵理「で、でも……夢子さん、普段は操縦権を絶対渡さないから」

夢子「じゃあ何? 私と一緒に戦ってる時は手を抜いてるって訳?」

絵理「そ、そういう訳じゃ……」

愛「夢子さん、もう止めてください!!」

夢子「戦いの役に立たない奴は黙ってなさい!」

愛「なっ、酷いです! 私だって戦ってm」

夢子「アンタが私の役に立ったことが今まであった? 涼が成長した今、アンタがゲッターチーム唯一のお荷物なのよ!」

愛「そ、そんな」グスッ


ガチャッ

涼「三人ともお疲れさ……」

愛「うぅ……グスッ」

絵理「……」

涼「ど、どうしたの!?」

夢子「……何でもないわよ」スタスタ

涼「愛ちゃん、大丈夫?」

愛「グスッ……はい、私、平気です」

涼「絵理ちゃん。この部屋で何があったの?」

絵理「……ちょっとした、喧嘩?」

涼「け、喧嘩!? 何があったの?」

絵理「夢子さんは、私たちが夢子さんの時だけ手を抜いてると思ってる?」

愛「そんな事ありません! 私、どんな時だって一生懸命やってます!!」

絵理「私も、同じ。けど、夢子さんは納得してないみたい」

涼「そうなんだ……分かった。私からも夢子ちゃんに話してみるよ」

絵理「うん。お願い、涼さん」





~トレーニングルーム~

夢子「……」

ガチャッ

涼「やっぱり、ここにいたんだね」

夢子「涼……」

涼「何があったの?」

夢子「別に。あいつらがたるんでたから、活を入れただけよ」

涼「愛ちゃんや絵理ちゃんだって、別に気を抜いてるワケじゃないと思うんだ。ただ」

夢子「……ねぇ、涼。あんた、この研究所が出来たばっかの頃のこと、知ってる?」

涼「え?」

夢子「ココに、色んな夢や希望、覚悟を秘めた少女達が集まってた。私やお姉様、如月千早に双海姉妹……他にも、たくさんの子がいたわ」

夢子「彼女たちは、自分の意志でここにやって来たの。地球を守ろうと、人類を救おうと、新しい自分を手に入れようと……あの場所には、少なくとも惰性や偶然でパイロットを目指した奴なんていなかったわ」

夢子「それが、今はどうなの? あの天海春香や菊地真の成功につられて、何処の馬の骨とも知れないような、自分の意志で戦わない連中ばっかりじゃない。そんなんだから、戦いの途中で気を抜くのよ」

涼「……確かに、僕自身を含めて、愛ちゃんも絵理ちゃんも、自らの意思でゲッターに乗ったワケじゃない。でも、例えその経緯が偶然でも、僕は今の、ゲッターのパイロットとしての自分に誇りを持ってるよ」

夢子「涼?」

涼「……夢子ちゃんに聞いて欲しい事があるんだ」

涼「僕の目的は、あの日真さんが見せてくれた、『覚悟ある人』になること。僕が僕であると、自信を持って言える男になることだよ」

夢子「僕? それに、男?」

涼「夢子ちゃん。実は僕、男の子なんだ」

夢子「……」






夢子「何ふざけたこといってんのよ」




涼「え、え?」

夢子「私の信念を、気持ちを、思い出を! そんな馬鹿馬鹿しい冗談で汚さないで!」

涼「そんな、これは冗談なんかじゃ」

夢子「信じてたのに……」

涼「えっ」

夢子「友達だって、思ってたのに! あんたも他の連中と一緒! やっぱり私の敵なんだわ!」

涼「夢子ちゃん! 僕の話を」

夢子「五月蠅い!」バタンッ!

涼「……夢子ちゃん」






~数日後~

小鳥「都内上空にゲッター線反応! 月兎と思われます!」

千早「ネオゲッターロボパイロットは?」

小鳥「研究所内に全4名集合しています!」

千早「すぐに集合をかけて下さい。今日の組み合わせは……」

律子「今日は涼の番ね。ちょうど良いわ。先日の件、この戦いで見極めましょ」

……

絵理「この音は」

愛「月兎が来た合図です!!」ダッシュ

小鳥『パイロット三人は、至急ネオゲットマシンに搭乗して! 今日は涼ちゃん、お願いね!』

絵理「私達も急ごう、涼さん」タッタッタッ

涼「うん。私も……」

夢子「涼!」

涼「ゆ、夢子ちゃん!」

夢子「こないだはごめんなさい。私、頭に血が上っちゃってて……」

涼「そんな。僕も、夢子ちゃんの気持ちを解ってあげられなかったし……」

夢子「これから出撃でしょ? はい、これ」

涼「これは?」

夢子「私が作ったキャンディよ。戦闘前だから、これくらいがちょうど良いかと思って」

涼「ありがとう!」パクッ

夢子「……食べたわね」

涼「ん?」

夢子「……」ニヤリ

涼「? ……っ!?」

夢子「アンタに私の気持ちが解るわけないでしょ」

涼「ゆ、め……っ」バタッ





夢子「……さてと。誰がゲッターのパイロットにふさわしいか、分からせてあげなきゃね」

第九話、おわり

本日は以上です

読み返して思った。前作とだいぶノリが違う

新ゲッターロボだと竜馬一人でいいんじゃね?な展開だったね…

少し早いけど1ヶ月対策保守。

>>393
保守ありがとうございます!
遅筆な1ですみません……



先日寝ぼけながらssを書いてたらですね、間違えて中盤大部分消して代わりにがなはるss上書きしててですね……その上その状態で保存してました
今全力で書き直してます。近いうちに必ず投下しますので、是非お付き合いよろしくお願いします

>>392
新ゲッターで唯一気に入らないのがその点だったりします
ゲッターシリーズにおいて竜馬が特別な存在であることについては否定しないのですが、ゲッターはやはり「三つの心が一つに」なって初めてゲッターたり得るというのが私の個人的感想です。要約すると、隼人と武蔵坊弁慶の活躍をもっとみたかったってだけの話ですが

長文失礼しました。10話作成に戻ります

次回更新は12月25日深夜の予定です

長い間お待たせしてすみませんでした……よろしければお付き合い下さい

遅くなってすみません。サンタ狩りに時間かかって……

では、十話の投下を始めます。よろしければお付き合い下さい

第十話「夢、歪みの果てに」

律子「遅い! 涼のバカは何やってんの!」

小鳥「研究所中を探索してるんですが、まだ見つかっていません」

絵理「涼さん、どうしたんだろ?」

愛「さっきまで一緒だったんですけどね……」

バタンッ

夢子「お待たせしました」

千早「桜井さん? 今日は貴女の番じゃ……」

夢子「涼なら、体調が悪いからと言って帰りましたよ」

律子「か、帰ったですってぇ!?」

バタンッ

夢子「お待たせしました」

千早「桜井さん? 今日は貴女の番じゃ……」

夢子「涼なら、体調が悪いからと言って帰りましたよ」

律子「か、帰ったですってぇ!?」

絵理「……夢子さん、嘘付いてる」

夢子「何ですって?」

絵理「涼さんは、体調が悪いからって私達を置いて帰るような人じゃない」

愛「そーです!!」

夢子「ふんっ、仲がおよろしいことで。そうやって弱い奴同士くっついて、自分より上手い人の足引っ張って楽しんでんでしょ?」

絵理「何のこと?」

夢子「しらばっくれないでよ! 私の時だけ手を抜いて、私の評価を下げようとしてたクセに!」

愛「そ、そんなの誤解です!!」

千早「静かにっ!!」

シーン……

千早「……とにかく、涼がこの場にいないというのは事実よ。なら、桜井さんに乗って貰うしか道はないわ」

絵理「そんなっ」

夢子「流石如月博士、合理的な判断ありがとうございます」

千早「時間がないわ。早く出撃しなさい」

夢子「はい!」

絵理「でも……」

千早「今この瞬間も人が死んでいるのよ! 何をぐずぐずしているの!?」

愛「は、はい!!」ダッシュ!

小鳥「千早ちゃん……」

千早「ええ、分かってます。でも、今は一刻を争う時なんです。こんな時に、内輪もめをしている時間はありません」

小鳥「……大丈夫かしら」




……

絵理「目標、確認?」キーン

愛「今回の月兎は……ゲッター2タイプですかね?」

絵理「地中戦になりそう。こっちも、ネオゲッター2?」

夢子「その必要はないわ! ネオゲッター3で行くわよ!」

愛「そんな、地中の相手にどうやって攻撃するんですか!!」

夢子「五月蠅いっ! 黙って合体しなさい。ゲッタァアアアチェェエエエエンジッ!」

 愛の制止を振り切り、強引にネオゲッター3へと合体する夢子。

夢子「行くわよ、プラズマブレイク!!」

 ネオゲッター3の背から凄まじい威力のプラズマエネルギーが放出されるが、敵は素早く地中に潜り、これを避ける。

絵理「やっぱり、地中の相手にネオゲッター3は厳しい?」

愛「夢子さん! オープンゲットしてください!!」

夢子「五月蠅い! 黙って私のサポートにまわってなさい!」

絵理「っ!? 夢子さん、下!」

 絵理の指摘の一瞬後、ネオゲッター3の足下からドリルが現れる。

夢子「なっ!?」

 絵理の忠告を聞き流していた夢子は対応が遅れ、結果としてネオゲッター3の脚部、即ち絵理の乗るネオジャガー号の一部がドリルに貫かれた。

絵理「ひぅっ!」

愛「え、絵理さん! 大丈夫ですか!?」

絵理「ぐっ……な、何とか、大丈夫?」

愛「夢子さん、無茶苦茶です!」

夢子「黙ってろって……言ってるでしょぉおおおおっ!」

 地上に飛び出してきた月兎の足を掴む夢子。

夢子「今だっ! ハープンキャノ」

月界人「ドリルミサイル!!」

 ネオゲッター3のハープンキャノンより一瞬早く、月兎のドリルがネオゲッターを貫かんと射出される。

夢子「っ!? お、オープンゲット!」

夢子「ふぅ、危なかったわね。よし、もう一度ネオゲッター3に合体するわよ!」

月界人「甘いわ! ゲッターロボ最大の弱点、合体の隙を見逃す筈がなかろうが! くらえゲッターシザー!」ガシッ

夢子「きゃぁああっ!!」

愛「ね、ネオベアー号が捕まっちゃった!」

絵理「夢子さん!」

月界人「おっと、このマシンは貰っていくぞ。ゲッター線無しでここまでの出力を誇るネオゲッターロボの秘密、暴かせて貰おう!」ズォオッ

愛「げ、月兎が飛んでっちゃう!」

絵理「愛ちゃん、追って! 私のネオジャガー号、さっきのダメージで、もう動けない」

愛「分っかりましたぁあああっ!!」

月界人「ふんっ、ゲットマシン一機でこの俺の月兎に勝てるか! ドリルハリケーン!」

愛「むむむむ……ま、負けないよー!」キィイイイイン

絵理「この光は……」

月界人「こ、これはゲッター線!? くっ、最大出力!!」ビュォォオオオッ

愛「うわっ!?」

愛「うわぁああああっ!!」

 月兎のドリルハリケーンにより、愛のネオイーグル号は地に叩きつけられてしまう。

絵理「あ、愛ちゃん!」

月界人「ふぅ、驚かせやがって。これ以上不測の事態が起こる前に退かせて貰おうか。このゲットマシンは頂いていくぞ」ビューン

愛「夢子さん!! 夢子さぁあああん!!!!」



……

律子「……さい、起きなさい、涼!!」

涼「っ、うぅぅ」

律子「気がついたのね!」

涼「ぅぅ……り、律子姉ちゃん?」

律子「涼、大丈夫?」

涼「……ゆ、夢子ちゃん! 夢子ちゃんは!?」ガバッ

律子「……」フルフル

 涼の問いに、無言で首を振る律子。

涼「な、何がどうなったの?」

千早「桜井さんとネオベアー号は月界人に捕まり、ネオイーグル号、ネオジャガー号は半壊。特にネオジャガー号についてはかなりダメージが大きいわね」

涼「如月博士、説明して下さい! 私が倒れている間に、一体何が起こったんですか!?」

千早「まず、貴女は桜井さんの毒入りキャンディを食べて倒れた。ここまでは良いかしら?」

涼「……やっぱり、あのキャンディに毒が入っていたんですか」

千早「といっても、数分気絶する程度のものだけどね。彼女、昔もああいう手で他のパイロット候補を蹴落としてたけど、未だに懲りてなかったのね」

涼「そんな言い方は止めて下さい! 夢子ちゃんは、追い詰められていて……」

千早「追い詰められていれば何をやっても許されるというものではないわ。特に、貴女たちはね」

千早「その後、彼女は貴女の代わりにネオベアー号に乗って出撃。地中戦を挑んできた相手に対して強引にネオゲッター3に合体し、敗北したわ」

律子「状況は考え得る限り最悪ね。人類最後の切り札を奪われた上、人質まで取られるなんて」

千早「律子、『最後の切り札』ではないわ。私達にはまだアレがある」

律子「でも、政府の許可が……それに、もしアレが使えたとしても、誰が乗るのよ?」

千早「アレさえ戻ってくれば、あんなゲッターロボもどきなんて私と春香の二人で十分よ」

涼「あの。さっきから出てくるアレってもしかして……」

千早「ええ。政府によって凍結されてる『ゲッターロボG』よ」

~ゲッターロボG隔離施設~

役人「いかん!」

千早「何故ですか! 人類は今、抵抗の手段を失い丸裸同然なんですよ!」ドンッ

役人「これは高度に政治的な問題だ。キミのような素人に出しゃばられては困るのだよ」

千早「では、これから現れる月界人のロボット軍団は、国の保有する装備のみで対処していただけるということでよろしいのですか?」

役人「ぐっ……」

千早「奴らのゲッター線兵器『月兎』に対抗できるのは、我々ゲッター線研究所の保有するネオゲッターか、現在あなた方の下で凍結されているゲッターロボGのみであると思うのですが」

役人「むむむ……ど、どのみちこの案件は私のみで決断できることではない。如月博士には、別室でしばらくお待ちいただきたい」

千早「分かりました。良いお返事をいただけることを期待しています」

……
千早「春香!」

春香「千早ちゃん、久しぶり!」

千早「春香、あなた元気にしていた? ここの連中にいじめられたりしてない? ちゃんとごはん食べてる?」

春香「あはは。千早ちゃん、まるでお母さんみたい」

千早「ご、ごめんなさい//// 久しぶりに逢えたものだから」

春香「ううん。私もあえて嬉しいよ!」

千早「ええ……」

春香「……千早ちゃん、元気ないね」

千早「やっぱり、私には人の上に立つなんて出来ないのかしら」

春香「どうしてそう思うの?」

千早「今回の件だって、私が気付かないうちに桜井さんを追い詰めていたのが原因だし。高木博士なら、きっともっと上手くやっていたと思うわ」

春香「私は、千早ちゃんは良くやってるって思うな」

千早「え?」

春香「感情に振り回されずにその場で一番的確な事を敢行するのは、誰にでも出来る事じゃないよ」

千早「でも……」

春香「千早ちゃんなら大丈夫だよ」

千早「そうかしら……」

春香「もちろん! 千早ちゃんをいっちばん良く知ってる私が言うんだもん。間違いないよ!」

千早「……ふふっ、そうね。ありがとう。春香のおかげで、少し気が楽になったわ」

春香「どういたしまして! 今の私には、これくらいしか出来ないけど……」

千早「いいえ。うまくいけば、もしかしたら春香もここを出て、また一緒に戦えるかも知れないわよ」

春香「もしかして千早ちゃん、ゲッターロボGを使うつもり?」

千早「ええ! 真美がいないのは残念だけど、政府の連中を何とか説得して、ゲッターロボGと春香を解放させるつもりよ」

春香「そっかぁ……」

千早「何か、不安でもあるの?」

春香「ううん、そうじゃないんだけど……」

千早「大丈夫よ。政府の連中だって、戦う手段がゲッターロボGしかないのは重々承知してるわ」

春香「……うん」






 春香と千早が話している頃、別室ではゲッターロボG使用許可について話し合われていた。

役人「ど、どうするかね?」

??「まぁ、現状ゲッターロボG使用を許可するしかないだろうねぇ」

役人「し、しかしそれでは近隣諸国が!」

??「騒ぎたい奴らには騒がせてやれば良い。どうせゲッターには手出しできないんだから……ねっ、スティンガーくぅん」

スティンガー「う、うん。そうだねコーウェンくん」

役人「……確かに、現状ゲッターロボGがなければ、我々に待つのは破滅のみだが」

スティンガー「飽くまでネオゲッター奪還までの一時的許可にとどめれば、何も問題はないだろう」

役人「むむ……」

スティンガー「君たちは何も心配することなどない」ポン

コーウェン「そう。我々がいる限り、他国やゲッター研究所の連中の好きにはさせませんよ」ポン

役人「あ、ありがたい。この件はやはり君たちに一任するよ」

コーウェン「それでいいのです。今こそ、あのゲッター線に見放された哀れな生物に」

スティンガー「真理の鉄槌を以て応えてやるのだ」

コーウェン「そう。それこそが」

コーウェン&スティンガー「「ゲッターの意志!」」

……

千早「ゲッターロボGの一時的凍結解除が決定したわ!」

小鳥「本当!? 良かったぁ……一時はどうなることかと」

涼「それで、パイロットは……」

千早「ゲッターロボGと同一期限で、春香の帰還も許可されたわ。私と春香の二人で出るわ!」

律子「ま、後がないこの状況では、それが一番でしょうね」

涼「そう、ですか……」

涼「あ、あの!」

千早「何かしら?」

涼「あの、私が乗っちゃダメでしょうか?」

律子「乗るって、ゲッターロボGに!?」

愛「私も、このまま負けっ放しは嫌です!!」

絵理「汚名、返上?」

尾崎「日高さん……絵理まで」

涼「お願いします! ゲッターロボGに乗らせて下さい!」

千早「駄目よ。律子も言ったとおり、私達にはもう後がないの。それとも……」

千早「私と春香の二人よりも、貴女たち三人の方がゲッターを乗りこなせるとでも?」ゴゴゴゴゴ

絵理「ひぅっ!」

愛「そ、そうは言ってないですケド……」

小鳥「あの愛ちゃんを静かにさせるなんて……千早ちゃん、恐るべしね」

涼「でも……」

千早「まあ、秋月さんだけなら、空いたポセイドン号のパイロットとして乗って貰っても構わないけれど」

涼「はい……」

愛「良かったですね、涼さん!!」

絵理「私達の分まで、頑張って」

涼(それじゃ、ダメなんだ……)

武田「……ふむ。秋月君、ちょっとこっちへ」

涼「武田さん?」






……

武田「キミは、『三人で』ゲッターロボGに乗りたいんだね?」

涼「はい。夢子ちゃんを追い詰めてしまったのが僕なら、僕自身が彼女を助けてあげたいんです。そして、出来ることなら……」

武田「桜井君に、キミの考えるゲッターチームの在り方を分かって貰いたい。そう言うことだね?」

涼「その通りです。そのためには、春香さんや如月博士に『乗せて貰う』んじゃ駄目なんです。僕達三人が、僕たち三人の戦い方で月界人に勝たないと……」

武田「なるほど」

涼「でも、皆の言うことも分かるんです。確かに、僕ら三人の力を合わせても、まだまだ如月博士達には全然かないません。この状況が、もう崖っぷちだって事も分かってます」

涼「それに、如月博士が春香さんと共に戦うことをどれだけ楽しみにしていたかも、痛いほど解るんです。だから、僕が我慢して……周りの空気を読んで、諦めるのがベストだって……」

武田「空気など読むな」

涼「え?」

武田「大事なのはキミがどうしたいのかだ。確かに現実的に言えば、如月君達の意見の方が正しい」

涼「それに、如月博士の想いも……」

武田「では、キミの想いは諦めれば良い、そう言うわけだね?」

涼「そんな事は!」

武田「時として相並ぶ事のできぬ状態というのは必ず起こる。これから先、キミはずっとそうやって他の人の気持ちを汲んで道を譲り続ける気かい?」

涼「でも……じゃあ、どうすれば」

武田「そうやって決断を他者に委ねるな。そんな事では、キミはキミの思い描く秋月涼には一生なれはしないぞ」

涼「僕は……僕は、この戦いだけは! 何があっても、誰が相手でも! 譲りたくありません! ネオゲッターを取り戻すのは、夢子ちゃんを救い出すのは、僕達です!」

涼「これは、僕の戦いです!」

武田「よく言った。全力でキミに協力しよう」

涼「ありがとうございます!」





……

愛「ええー!!?? 私達がゲッターロボGに乗」モガモガ

涼「あ、愛ちゃん!!」

絵理「愛ちゃん、うるさい? でも、どうやって? 如月博士達、認めてくれないと思う」

涼「事が起こったら、武田さんが時間を稼いでくれる。その隙に、私達三人でゲットマシンに乗り込んで、強制的に出撃する!」

愛「きょーこーとっぱですね!!」

涼「ただ、これはただの私のわがままだから、二人に無理強いは出来ない。この作戦が嫌だったら……」

絵理「嫌じゃ、ない」

涼「え?」

絵理「私、負けたままなんて嫌だから……それに、夢子さんに解って欲しいから。私達のやり方」

愛「私だって、このままじゃ収まりませんよ!!」

涼「二人とも……」

愛「やりましょう、涼さん!」

絵理「やろう?」

涼「うん! ……それと、この作戦を決行する前に、二人にはどうしても伝えておきたい事があるんだ」

愛絵理「「??」」

涼「……実は私、ううん。僕、男なんだ!」

愛絵理「「……」」ポカーン

愛「何いってんですか?」

絵理「あんまし、面白くない?」

涼「冗談じゃないんだ! 信じて欲しい。この戦いだけは、男として……秋月涼自身として決着を付けたいんだ!」

絵理「涼さん……」

愛「……私、信じます!!」

愛「私知ってます。涼さんは、こういう時に嘘をついたりする人じゃないって!! 一緒に戦って、解ってますから!!」

絵理「私も、信じる!」

涼「二人とも、ありがとう!」

愛「よーっし、ネオゲッターチーム……あれ? 今回乗るのはネオゲッターじゃなくてゲッターロボGだから……とにかく、ファイトォオオオっ!!」

絵理涼「「おーっ!」」

第十話 おわり

本日は以上です

今夜はラーメンじゃなくて蕎麦の気分……十一話はできれば年内に投下したいです

ナバロン砲とかGアームライザーなら防衛くらいできそうな気がする

>>464
防衛できるの研究所周辺だけなんじゃ……
どうでもいい設定ですが、高木博士の研究所は早乙女研究所と違って本当に単なる研究所なので最低限の防衛機能しかない(防衛装置作る時間と金の余裕が無い)という設定です。別に生かされることは無い設定ですが
技術系の人員は全員ゲッターの修理&メンテナンスでほぼ手一杯で、それ故第一部でもゲッターのメンテナンスでゲッターGの改修に相当の時間がかかってたりします

虚無ってないです。待って下さっている方、本当にすみません……次回更新は土曜日夜を予定しております
よろしければお付き合い下さい

長らくお待たせしてしまって済みません……これより第十一話を投下します
よろしければお付き合い下さい

第十一話「ダズリングワールド」

~ゲッター研究所作戦司令室~

ヴーッ! ヴーッ!

小鳥「日本海上空に巨大ロボット出現! ゲッター線反応を確認しました!」

千早「いよいよね、春香」

春香「……」

千早「春香?」

春香「千早ちゃん、少し目を瞑った方が良いかもしれないよ」

千早「えっ?」

 その時、司令室に閃光が走った。

小鳥「きゃっ!?」

律子「な、何なのこの光は!?」

千早「くっ、月界人の攻撃!? 春香、急いでゲットマシンに」

??「おっと、そうはいかないよ」

千早「その声は!?」

武田「そう……僕だ」

……

涼「うぅ、帰ったら怒られるだろうなぁ」

愛「涼さん、今更そんなこと言っても遅いですよ!!」

絵理「雰囲気、台無し?」

涼「ぎゃぉおおおん!」

絵理「ふふ。涼さん、やっぱりいつもの涼さん」

愛「ですね!!」

涼「むぅ、僕だってこんな時くらいカッコイイ男の子になりたいのに」

愛「いつも通りで良いじゃないですか。いつも通りの私達で!」

絵理「うん!」

涼「……さぁ、行こうか!」

三人「「「ゲッターロボ、発進!!!」」」

……

千早「どういうつもりですか、武田さん! そこをどいて下さい!」

武田「ふっ。男と男の約束だ。退くわけにはいかないね」

千早「何を訳の分からないことを……」ギリッ

春香「千早ちゃん」ポンッ

千早「は、春香?」

小鳥「え!? げ、ゲットマシン三機、発進しました!」

千早「何ですって!?」

武田「ふむ、うまくいったようだね」

春香「私達はここで見ていよう。ね?」

千早「でも……」

春香「これで良いんだよ。これは、あの子達の戦いだから」

武田(見せてくれ、秋月君……人は運命を乗り越え、『光り輝く世界』へ辿り着けるという事を)



……

愛「な、何だかいつもより操縦しにくい気がします!」ギュィィイン

絵理「ひぅぅううっ!!」

涼「しゅ、出力はネオゲットマシンの方が上の筈なのに、どうして」

千早『当然よ。ネオゲッターはゲッターロボに比べてパイロットの負担を半分以下にできるよう設計されているんだもの』

三人「「「き、如月博士!!??」」」

律子『涼、あんたよくもやってくれたわね』

涼「り、律子姉ちゃん!?」ヒィ

律子『無事に勝って帰らないと承知しないからね。しっかりやりなさい!』

涼「律子姉ちゃん……」ジーン

律子『ちなみに、帰ってきたらキッツいお仕置きが待ってるからね!』

涼「ぎゃぉぉおおおんっ!!」

千早『事ここに至っては仕方ないわ。ネオゲッターチーム、敵を必ず機能停止させなさい!』

三人「「「はいっ!!!」」」

千早『ゲッターロボG、合体よ!』

愛「空なら私が行きますよー!! チェェエエエエエンジドラゴォォオオオンッ!! スイッチオン!!」

ガションッ!!

涼「絵理ちゃん、大丈夫?」

絵理「な、何とか……こんな所で、気を失ってなんて、いられない!」

尾崎『絵理……立派になったわね!』ガタッ

千早『尾崎さん、落ち着いてください』

愛「飛ばしますよ!! つかまっててください!!」ビューン

……

涼「っ! 見えた!」

絵理「……あれは!?」

月界人A「ふっふっふ……来たな、ゲッターロボ」

月界人B「かつての因縁、ここで晴らさせて貰おう!」

??「……」

愛「げ、ゲットマシン!?」

絵理「嘘……今までの、月兎とは違う、本当のゲッターロボ?」

月界人A「その通り! 行くぞ、チェンジ! ゲッター3!」

ザブンッ!

愛「海に逃げましたよ!!」

絵理「……今までの、一形態かつ一人乗りの月兎じゃない。用心した方がいいかも」

涼「どっちにせよ、相手が海ならこっちもゲッターポセイドンだ! 愛ちゃん!」

愛「はい! オープンゲット!!」ポチッ

涼「チェェエエエエンジポセイドォオオオオオン! スイッチオン!」ガションッ

ザブンッ

 気泡が消え、ゲッターポセイドンの視界が開ける。そこにいたのは……

愛「あ、あの姿……」

絵理「ネオゲッター、3?」

涼「もしかして……あのゲットマシンは」

??「お察しの通りよ、涼」

涼「嘘でしょ……その声は!?」

夢子「これはネオベアー号を強制的に合体させてるの。ま、寄せ集めゲッターってとこかしら?」

涼「どうして、どうして夢子ちゃんがそこに!?」

夢子「ふふっ、ふふふふふふふふふふふ……あははははっ! そんなことどぉおおおおおおだって良いでしょ? 今、私はとっても気分が良いの。何てったって、この手で直接アンタと決着をつけられるんだからね、りょぉおおおおおおおおおおおっ!!」

 夢子の咆哮に呼応するように、寄せ集めゲッターの拳がゲッターポセイドンに向かって振るわれる。

涼「ぐっ! どうして……」

絵理「戦って!」

涼「え?」

愛「そうです、戦って下さい! 涼さん!!」

涼「で、でも……」

夢子「ほらほらほらほらぁっ!! このまま黙って殺されるワケぇ?」

 寄せ集めゲッターのラッシュを浴び、倒れ伏すゲッターポセイドン。

涼「う、うわぁああああっ!!」

愛「涼さん! 戦って下さい!!」

涼「でも、相手は夢子ちゃんだよ!?」

絵理「だからこそ?」

愛「夢子さんに、私達の戦い方を見せつけるんです!」

涼「僕達の……」

愛「気持ちと気持ちのぶつかり合いです!!」

絵理「夢子さんに、涼さんの……私達のやり方、解って貰おう?」

涼「……よしっ!」カッ

涼「ゲッタァアアアッサイクロォオオオオン!!」

夢子「ゲッタートルネェェェェェド!!」

月界人A「むっ、機体性能は互角か……」

夢子「ならばっ!」

涼「これでどうだっ! ゲッターネット!」

夢子「ハープンキャノン!」バシュンッ

ドガァァアアアン!!

涼「ぐぁああああっ!!」

夢子「いいザマねぇ涼。私からパイロットの座を奪ったこと……たぁっぷり後悔させてやるわ!!」ビュッ

涼「がはっ! ゆ、夢子ちゃん……止め、るんだ……」

夢子「だぁああれが止めるもんですか! そうやって! アンタは!」ドスッ

涼「ぐっ」

夢子「いつもいつもいつもいつも! 私に甘い事ばっかり言って!」ドガッ

夢子「信じてたのに……信じてたのに信じてたのに信じてたのに信じてたのにぃいいいいい!!!」

ガシッ

夢子「っ!? 腕を捕られた!?」

涼「そうやって……」

夢子「くっ、離せ!」

涼「そうやって、いっつも一人になって! 勝手に遠くに行って!」ググググッ

バキンッ

夢子「う、腕がっ!?」

涼「もっと僕を、僕らを頼ってよ! 友達でしょ!」

夢子「な、何よ! 私は仲間も友達も要らない! 一人でだってやってけるんだから!」

愛「夢子さんの分からず屋!!」

夢子「日高愛っ!」

…これって「悪いな、俺達は目つぶってても合体~」な流れじゃ…

寝オチしてた……

>>509
仮にそれを言わせるなら春香達にします

「目をつぶってても合体」
「あばよダチ公」
「物理法則もあったもんじゃねぇ」

は好きなセリフなので、どこかでそれとなく使いたい

絵理「ゲッターは、一人で動かすものじゃない!」

夢子「水谷絵理……あんた達ヘボパイロットが足をひっぱるからいけないのよ! アンタ達なんて、必要ないんだから!!」

涼「夢子ちゃんの分からず屋! ゲッターチームは三人で一つだ!」

愛「一人で戦う夢子さんに、私達三人が負けるわけありません!!」

夢子「はっ! なら見せてあげるわ! ゲッターチームなんて所詮はただの役割分担……本当に優れたパイロットなら、一人で十分強いって事を!」

涼「僕たちの想い、見せてやる!」

絵理「っ、涼さん! 海底に向かってミサイルを!」

夢子「ゲッタァアアアットルネェエエエエド!!」

涼「了解! ストロングミサイル!!」ドゥンッ

 絵理の指示通り、ストロングミサイルは寄せ集めゲッターの足下付近に着弾し、海底をえぐり取る。

夢子「あはははっ、何処狙ってんのよ!」

絵理「笑ってられるの、今の内?」

夢子「何を言って……っ!?」グラッ

 ストロングミサイルによって海底に出来た穴に滑り落ちる寄せ集めゲッター。

愛「今です!! フィンガーネット!!」バシュゥッ

愛「そぉおおおおおおおっりゃあぁあああああっ!!!」ブゥンッ

 ゲッターポセイドンの怪力に遠心力をプラスした投擲により、遙か上、海上へと放り投げられる夢子。

月界人A「桜井夢子! ここは一端オープンゲットを」

夢子「黙ってなさい! まだ私は負けてない!」

絵理「空中のゲッター3なら、怖くない?」

涼「行くよ、愛ちゃん! オープンゲット!!」

愛「よーっし、チェェェエエエエエンジッドラゴォオオオオン! スイッチオン!!」

夢子「くっ、何とか海に戻れば……」

愛「そうはさせません!! ゲッターパンチ!!」

 下方からの強烈な一撃により、下降するどころか再度空中に打ち上げられる夢子。

愛「絵理さん、お願いします!! オープンゲット!!」

絵理「チェンジ……ライガー!」

絵理「そんなに降りたいなら、降りてみる? チェーンアタック!」

夢子「ぐはっ!!」

 絵理の放ったチェーンアタックにより、今度は海中へたたき落とされる。

夢子「このままじゃ機体が……でも、海中に戻ればこっちのものよ!」

涼「まだ分からないの!? 三つの心を一つにしたゲッターロボは無敵だ!」

夢子「ゲッターポセイドン……良いわ、涼。ここで決着を付けてあげる!」

涼「受けて立つよ、夢子ちゃん! これが僕たちの……ネオゲッターチームの戦い方だ!」

夢子「インパクトキャノン!」

涼「絵理ちゃん、愛ちゃん! 行くよ!」

愛絵理「「了解!!」」

 絵理の操縦により、襲い来るミサイルを華麗に躱すポセイドン。

夢子「ふんっ、躱したところで隙だらけじゃない。これでもくらいなさい! ゲッタースマッシュ!」ブンッ

涼「ここは僕が!」グッ

夢子「なっ、立ち直りが早すぎる!?」

愛「最後は私が決めるよー!」

 愛の咆哮に共鳴するように、青白く輝くゲッター線に包まれるゲッターポセイドン。

愛絵理涼「「「ゲッタースマァアアアアッシュ!!」」」

 二体のゲッターの拳が交差する。そして、先に相手にその拳をたたき込んだのは、後から行動したはずのゲッターポセイドンであった。

夢子「ぐはっ!!」

 ポセイドンの強烈な一撃に沈黙する寄せ集めゲッター。

夢子「くっ……あの状況なら私の方が絶対に先に動けてたはず」

涼「僕一人じゃ、おそらく夢子ちゃんには良くて相打ちだった。けど、僕には信じる仲間がいる。僕を信じてくれる、仲間がいる!」

夢子「……一人じゃ、出来ないこと」

涼「でも、仲間となら出来る。ゲッターが他のロボットと違うのはそこだ! ゲッターチームの仲間は、道具でも予備パイロットでもない! 一つの機体に三つの魂。三つを一つにするからゲッターは強いんだ!」

夢子「……お姉様と、同じような事を言うのね」

涼「え?」

夢子「一人では出来ないことも、仲間となら出来る。訓練生だった頃、他の候補生と衝突ばかりしてた私にお姉様がよく言った言葉よ。あの頃の私には、けんか腰の私を窘めるための方便にしか聞こえなかったけど……こうやって身を以て教えられちゃ、かなわないわね」

夢子「私が、間違ってた……ってことかぁ」

月界人B「桜井夢子! 何をしているんだ! まだこの機体は戦えるぞ!」

夢子「もう良いのよ。何でかしら? とってもすっきりした気分だわ。負けてこんなに気分が晴れるなんて……ふふっ。私、おかしくなっちゃったのかしら」

涼「夢子ちゃんは一人で背負いすぎたんだよ。あずささんの死も、人類の運命も……最初から、一人で背負う事なんてなかったんだよ。夢子ちゃんの重荷は、僕も一緒に運ぶから。一緒に歩んでいこう」

夢子「涼……」

月界人A「ふんっ。操縦技術を維持するために憎しみの感情だけを増幅して正気を残したが、こうなってしまっては最早駒としては使えんな」

月界人B「で、あるからして。こうさせて貰おう」ポチッ

夢子「な、何!? 頭が……きゃぁああああああっ!」バチバチバチバチィッ

涼「夢子ちゃん!!」

月界人A「バーサーカーモードだ。自我を失う故、正確な操縦は愚か自らを守ることすら出来なくなるが、こうなったからには死ぬまで戦い続けるぞ」

月界人B「我々は地球人等と心中する気はないのでな。脱出させて貰おう。永遠にさらばだ、ネオゲッターチームよ!」バシュン

 小型の脱出艇で戦場を離脱する月界人達。

愛「ま、待てぇええ!!」

夢子「がぁああああああっ!!!」ブゥンッ

涼「ぐはっ!! ゆ、夢子ちゃん、正気に戻るんだ!」

夢子「ああああああっ!!!」

涼「くっ、攻撃は大振りだけど、どうすれば夢子ちゃんを止められるんだ……」

愛「とにかく、今は攻撃を避け続けましょう!! 絵理さん、お願いします!」

絵理「任せて」

夢子「はぁああああああっ!!!!」ドゴォッ

涼「ぐはっ!!」

愛「え、絵理さん!? どうしたんですか?」

絵理「あ、あれ? 避けられない?」

涼「落ち着いて、絵理ちゃん! 攻撃自体は大振りだよ!」

絵理「う、うん……もう一度!」

ドガァッ!

絵理「きゃっ!! な、何で? 動き、全然見えない」

涼「どうしたの、絵理ちゃん!」

絵理「そんな……どうして? どうして、避けられないの? 私、これしか皆の役に、立てないのに」ガクッ

愛「しゅ、出力が低下してます!!」

涼「絵理ちゃんの戦意が機体に影響してるんだ。絵理ちゃん!!」

絵理「……涼さん?」

涼「僕らは三人で一つ! 誰かが失敗しても、皆で助け合えば大丈夫だよ! だから、絵理ちゃん。戦おう!」

絵理「涼さん……」

愛「涼さんの言うとおりです!! 絵理さん、今まで私達のこといーっぱい助けてくれたじゃないですか!! 今は、私達が助ける番です!!」

涼「この程度のピンチ!」

愛「私達三人揃えば!!」

絵理「……うん! 絶対、余裕?」グッ

涼「行くよ、二人とも!」

絵理「うん!」

愛「まっかせて下さい!!」

愛絵理涼「「「ゲッタァアアアアアアアアッ!!! スマァアアアアアアアアッッシュ!!!」」」

 暴走状態の夢子のめったやたらに振るう拳に合わせ、ポセイドンの豪腕を打ち込む。

オープンゲットすればいいんじゃないだろうか

涼「もいっちょぉおおおおっ!」

 続けざまに、残るもう一本の腕を破壊する。

愛「これで落ち着いて夢子さんを救出できますね!!」

絵理「……そうもいかないみたい」

夢子「ガぁああああああああああああああっ!!」

涼「と、突進してきた!?」

愛「回避するよー!!」

 突撃事態は回避したゲッターGだが、腕のない寄せ集めゲッターはそのまま障害物に衝突し、元々ダメージのたまっていた機体はついに限界に近づいていた。

愛「!! 夢子さんのゲッター、光ってません?」

涼「まずい、このままじゃ……」

愛「どうしたんですか?」

やっぱり蕎麦は最高だぜ

>>539
涼「下手に夢子ちゃん傷つけたくないし、攻撃大振りで当たりにくそうやしとりあえず回避で様子見しよか」
愛「避けるの得意な絵理さんに任せようや」
絵理「よっしゃ任せとき……避けれん何でやもっぺん」
絵理「やっぱダメや何でやねん」

て感じです。涼は回避の得意な絵理に任せれば、オープンゲットするまでもないと判断したが故の現象です

再開します

涼「あの光、月界人の仕込んだゲッター炉心から漏れてるゲッター線だ!」

涼「あれが漏れてるって事は、もうあの機体の装甲は限界を超えてるって事だよ。一端海中から出さないと、今のままじゃ水圧でつぶれて、夢子ちゃんが……」

愛「ペシャンコになっちゃうんですね!? 分かりました!! いっくよー!! ゲッターネット!!」バシュッ

愛「うぉおおおおおおおおおおおりゃああああっ!!!」ブゥンッ

愛「浅瀬にあげられました!!」

涼「ありがとう! 後は夢子ちゃんさえなんとかすれば」

絵理「っ! 涼さん、また向かってくる!」

愛「どうするんですか!?」

涼「真正面から……受け止める!」

ガシィッ!!

涼「うぉおおおおおおおおおっ!!」ググッ

夢子「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」

絵理「な、何とか止められたけど、いっぱいいっぱい?」

愛「この状態から、どうやって夢子さんを助け出せば……」

涼「愛ちゃん、絵理ちゃん! 操縦代わって!」ガチャッ

絵理「涼さん、何でゲッターの外に!?」

愛「ま、まさか!」

涼「夢子ちゃぁあああんっ!!」バッ

 自身のコックピットから、夢子のいる寄せ集めゲッターのコックピットへと飛び移る涼。

絵理「無茶だよ涼さん!」

涼「ネオベアー号の設計開発には僕も携わってるんだ……ここをこうすれば!」ガチャッ

 外部操作により、ネオベアー号のハッチを開き、コックピットへと侵入する。

涼「夢子ちゃん!」

 しかし、夢子は尚も涼に襲いかからんと拳を振るう。

夢子「らぁあああああああっ!」

涼「ぐっ……この!」ガシッ

 両の手で夢子を抱きしめるように拘束する涼。そして、

涼「目を……覚ませぇえええええええっ!!」

渾身の頭突きが、夢子の額にたたき込まれた。

 夢子の身体から力が抜け、それと共に寄せ集めゲッターの暴走も止まる。

絵理「敵機、機能停止を確認?」

愛「私達の勝ちです!!」

涼「お、終わったぁ……」ガクッ

とりあえず十一話おわりです。地の文下手なんで分かり難いところがあったかと思いますが、お付き合いして下さった方、ありがとうございました

十三話以降の書きためが全然進まない&思ったより長くなってしまったので、次の十二話で一度切って、続きは新しいスレを立てようと考えてます。次でとりあえず涼編おわりの予定です



涼編ってことは、愛と絵理編もあるのか

>>554
ある予定です。が、涼編よりはかなり短くする予定です。おそらく愛、絵理併せて6話以内には収まるかと……収まるといいなぁ

これより12話とオマケの13話を投下します。よろしければお付き合い下さい

十二話「Dearly Stars」

~高木研究所~

武田「いい戦いだった、掛け値無しに」

涼「武田さん。今回の件、色々ありがとうございました」

武田「良いんだよ。お陰で良いものを見せて貰った。まぁ、真に『光り輝く世界』をつかみ取れるかどうかは、今後のキミにかかっているがね」

涼「?」

千早「三人とも、まずはお疲れさま」

愛「お疲れさまでーっす!!」

涼「お、お疲れさまです……」ビクビク

千早「……そう硬くならなくて良いわ。ネオベアー号と桜井さんを無事奪還したことで、今回のことは不問にします」

小鳥「その上、敵の月兎を半壊状態だけど回収したんだもの。おつりが来る位よ!」

涼「ほっ、良かったぁ」

律子「全っ然良くないわよ! アンタ達が帰ってきてから、ゲッターGのゲッター炉心が調子悪いのよ! こんなの高木博士かアメリカにいる真美じゃなきゃ直せないじゃないの!」

涼「ぎゃおぉおおん! ごめんなさぁああい!」

春香「まあまぁ律子さん。私が政府施設に戻るついでに、博士に修理を依頼しときますから」

律子「全く、皆してこの子達に甘すぎよ!」

千早「ま、代償については成果で返して貰えば良いわ。それより……」

涼「そうです。夢子ちゃんの容態は!」

千早「命に別状はないから、まずは安心して頂戴。ただ……」

千早「退院後も、彼女がここに戻ることはないわ」

愛「なっ、何でですか!?」

千早「それが本人の意思だからよ。本当は黙っているように言われたのだけれど、貴女たちに伝えないわけにはいかないと思って」

涼「僕……行ってきます!」

律子「待ちなさい涼! 桜井さんがどうして思い悩んでるか考えてみなさいよ」

涼「どうしてって……」

律子「あの子はアンタ達……特に涼に対して深い罪悪感を抱いてるわ。そんなところにアンタが急に現れても、桜井さんを余計に追い詰めるだけよ」

涼「それは、そうかもしれないけど……」

律子「桜井さん本人も誰にも会いたくないって言ってるのよ。今は黙って見守ってあげましょ。時間しか解決できないことだってあるわよ」

千早「……秋月涼。こんな時で悪いけれど、貴方をネオベアー号の正式なパイロットに任命します」

涼「えっ……」

千早「この件は桜井さんも了承済みよ」

涼「嘘、ですよね?」

千早「いいえ、これは紛れもない事実よ」

涼「……」

千早「私からは以上よ。お疲れさま、後は各自休みをとりなさい」バタンッ

涼「武田さん! こんなのが……これが僕の戦いの結果だって言うんですか! これが運命だと、そう言うんですか!」

武田「……事ここに至っては、致し方ないだろうね。桜井君の分も頑張りたまえ」バタンッ

涼「……ない」

絵理「え?」

涼「納得できないよ! 僕はこんな形で正規パイロットになりたかったワケじゃない!」 

愛「涼さん……」

涼「僕、夢子ちゃんと話してくる!」

愛「で、でも夢子さんは!」

涼「夢子ちゃんが僕に会いたくなくても、僕は夢子ちゃんに会いたいんだ!」ダッ

愛「涼さん!? 涼さーん!!」

絵理「行かせてあげよう、愛ちゃん」

愛「で、でも……」

絵理「……夢子さん、ちょっとうらやましい」ボソッ

愛「へ?」

絵理「ううん。何でもない」

絵理「……うまくいくと良いね、涼さん」

……

武田「如月君も意外と演技派だね」

千早「あら、何のことでしょう?」

武田「ふっ、まぁ良い。我々老骨はただ見守るだけだ。歯がゆいがね。そうだろう、音無君」

小鳥「何で私にふるんですか?」

~病室~

夢子「……」

ザワザワザワザワ

夢子「……何だか騒がしいわn」

ドガァアアアアアアンッ!!!!

涼「あ、夢子ちゃん!」

夢子「りょ、涼!?」

 病室の壁を突き破り、ポセイドン号と涼が突如夢子の前に姿を現した。

涼「夢子ちゃん、身体の具合はどう?」

夢子「は、激しい運動は止められてるけど、基本的には無事よ……ってそれよりアンタ何しt」

涼「良かった! さ、乗って!」グイッ

 突如現れた涼にいわゆるお姫様抱っこをされ、そのままポセイドン号のコックピットに連れ去られる夢子。

涼「飛ぶよ。つかまってて!」

夢子「えっ!? ちょっ!」

 抗議の暇もなく、ポセイドン号は空へと消えていった。

夢子「……アンタ、意外と無茶するのね」

涼「あはは、如月博士から話を聞いて、後はもう必死だったから」

夢子「如月千早め、昔より口が軽くなったわね……それより、何でそうまでして私なんかに会いに来たのよ」

涼「会いたかったからね」

夢子「……何よそれ」

涼「僕もうまく説明できないけど、このまま夢子ちゃんとお別れなんて嫌だったから」

夢子「ワケ分かんないわ。私がアンタに何したのか忘れたの?」

夢子「自分がネオゲッターに乗りたいあまり仲間に毒を盛って、その上他のパイロットの忠告も聞かずに敵に負けてつかまり、挙げ句の果てには洗脳されて敵に寝返る……ふっ、自分で言ってて馬鹿馬鹿しくなるくらい最低ね」

涼「……」

夢子「笑いなさいよ。無様なこの私の結末を」

涼「笑わないよ」

涼「一生懸命、なりふり構わずやった結果だもん。そうまでして、叶えたかったことなんでしょ? なら、誰にも笑う権利なんてないよ」

夢子「叶えたかったこと、か……ここが、このポセイドン号のコックピットこそが、ずっと私が憧れ続けてた場所なのね」

……

高木『ふむ、キミが桜井夢子君だね』

夢子『はいっ! よろしくお願いします!』

小鳥『夢子ちゃんは、どうしてゲッターのパイロットを目指すことにしたの?』

夢子『はいっ! 私、ゲッターのパイロットになって……』

……

候補生A『凄いわよねぇ。あれがこないだポセイドン号のパイロットに決まった三浦あずささんだって』

候補生B『やっぱり実力が違うよね。ねぇ、水瀬さんはどう思う?』

伊織『人は人よ。私はパイロットの座を憧れで終わらせるつもりなんて全然ないんだから!』

伊織『でもまぁ、あのスピードの中あれだけ繊細な動きが出来るってのは……素直に凄いと思うわ』

亜美『おやおやぁ、珍しくいおりんがデレましたなぁ』

伊織『あ、亜美!?』

亜美『んふふー、良いトコ見せて貰いましたぞいおりん!』

伊織『うっさい!』

亜美『ひぇー、いおりんが怒ったー! ゲッタービーム撃たれる前に退散だー』

伊織『誰のおでこが輝いてるですってぇええええっ!!』

ギャーギャー

夢子『……何て綺麗な操縦』

夢子(あれが本当のゲッターパイロット! 凄いわ! 私もいつかあんな風に)

……

武田『明日はいよいよ、ライガー号のパイロット選定試験の日だ。既に正規パイロットに決まった双海亜美君や三浦君に負けないよう、君たちも頑張りたまえ』

候補生達『はい!!』

夢子(明日の試験に合格すれば、あこがれのお姉様と一緒にゲッターロボGで戦える……でも、候補生の中には努力の鬼とまで言われたあの水瀬伊織がいる。私が合格するという確証は何処にもない……)

候補生A『水瀬さん、また訓練だって』

候補生B『凄いわねぇ。明日に備えて今日くらい休めば良いのに。何かあったら大変なんだし』

候補生A『対G訓練なんて、一番身体を壊し易いってのにね』

夢子『……』

……

伊織『がはっ!!』

高木『水瀬君! 水瀬君、しっかりするんだ!』

伊織『へ、平気よ。このくらい……ごほっ!』

小鳥『伊織ちゃん、しゃべっちゃ駄目! この出血……臓器が傷ついてるんだわ。すぐに病院へ!』

伊織『この程度でどうにかなるなんて……自分で自分がっ、情けないわ』ゴフッ

高木『音無君、事故の原因は解ったのかね?』

小鳥『それが……何者かが対G訓練装置の加速度を弄った形跡が』

高木『何だって!?』

小鳥『既に調査を依頼済みです。まもなく結果が来るかと思うんですが……』

ガチャッ

研究者『音無さん、高木博士! 解析結果出ました!』

高木『それで、一体犯人は……』

研究者『指紋はぬぐい去られていたのですが、現場に残っていた靴跡及び衣類の繊維。そして周辺廊下の監視カメラ映像から……』

研究者『パイロット候補生の一人、桜井夢子の犯行と断定されました』

高木『……なんて事だ』ガクッ

……

高木『……解っていると思うが』

夢子『……』

高木『ここの責任者として、ゲッターの開発者として。キミを許すことは出来ない。本日中に、ここを出て行って貰う』

夢子『……私、諦めませんから』

夢子『どんな手を使おうと、憧れのお姉様と一緒に戦場に立って見せます』

夢子『いつか必ず、戻ってきます』スッ

カッカッカッカッ……バタンッ

高木『桜井君、出来れば最後まで信じてあげたかった。道を踏み外したとは言え、あの時キミが語った夢は本物だったのだから……』

……

夢子「そうか……」

涼「夢子ちゃん?」

夢子「私の本当の夢は……ゲッターのパイロットとして成し遂げたかった事は……」



……

夢子『はいっ! 私、ゲッターのパイロットになって……』

夢子『この手で作ってみたいんです! 皆が笑って暮らせる、平和な世界を!』




……

夢子「目的と目標を取り違えて、手段を間違えて、同じ夢を見てきたライバルを卑怯な手で蹴落として……」

夢子「あーあ。私、一体何やってんだろ」ポロポロ

 はらはらと涙を流す夢子を、操縦桿を持たぬ方の腕で強く抱きしめる涼。

涼「今からでも遅くないよ」

夢子「だけど……」

涼「やってしまったことは、もう元には戻せない。大事なのは、罪から逃げない事だと思う」

涼「それが償いきれる物なのかは僕には分からないけど……一緒に償っていこうよ。それが、夢子ちゃんの夢に近づく唯一の方法なんだから」

夢子「でも、こんな私が今更夢を見て良いわけが!」

涼「夢を見る資格がない人なんていないさ。少なくとも、僕はそう信じてるよ」

夢子「……相変わらず、なよなよした甘っちょろい事ばっかり言うんだから」

涼「あはは。僕もまだまだ夢の途中だからね。ビシッとしたカッコイイ男の子への道のりは遠いかなぁ」

夢子「……叶ってるじゃない」ボソッ

涼「へっ?」

夢子「何でもない! いい加減帰るわよ! この体勢、よく考えたら相当恥ずかしいんだから!」

涼「帰るって……」

夢子「研究所。一緒に、行ってくれるんでしょ?」

涼「……うん!」

夢子「ところで……別に嫌ってワケじゃないんだけど」

涼「ん? どうしたの?」

夢子「腕、ゆるめてくれない? ちょっと苦しい」

 涼は夢子の言葉に、改めて現状を確認する。

涼「……あっ////」

夢子「ちょっ////意識すんなー!!!」ジタバタ

涼「あ、駄目! 夢子ちゃん(膝の上で)暴れたら……」

夢子「えっ? ん……何かお尻に当たって……っ!?//////」

涼「……」

夢子「こっ、こ……」

涼「鶏?」

夢子「この変態がぁああっ!」バシーンッ

涼「ぎゃぉおおおおおん!!」

……

夢子「本当にすみませんでした!」

愛「えっと、私気にしてませんよ!! 仲間の大切さを解ってもらえれば、それで十分です!」

絵理「というか、私達、実害はあまりなかった?」

千早「それで、桜井さんは今後どうするの?」

夢子「……私は、パイロットを降ります」

涼「えっ!?」

夢子「やっぱり、ネオゲッターチームには涼が必要だと思うから。私は、ネオゲッターのメカニックとして、皆を支えて行きたいと思います」

律子「涼から基礎は学んでるみたいだけど、これからは私の下でビシバシしごいたげるから覚悟しときなさい!」

夢子「よろしくお願いします。ただ、その前に行っておきたい所が……」

千早「水瀬さんの所ね?」

夢子「はい。他にも、私が訓練生時代に妨害をした人たちの所へ。謝って済むことではありませんが、それでも」

千早「ええ。私もそれが良いと思うわ」

涼「僕も一緒に行くよ」

夢子「駄目。これは私一人でやらなきゃいけないことだから……気持ちだけありがたく受けとっとくわ」

涼「夢子ちゃん……」

律子「はいそこ! 良い雰囲気になるのは二人っきりの時にしなさい」ニヤニヤ

夢子「そっ、そんなんじゃないですから!!」

絵理「夢子さん、五月蠅い?」

夢子「アンタそんな毒あるキャラだっけ……」

涼「夢子ちゃんが皆と仲良くしてくれて嬉しいなぁ」

律子「アレが仲良く見えるとかアンタ目と耳大丈夫?」

小鳥「燃える展開ね!」●REC

律子「そんでもって小鳥さんは何を録画してるですか! 政府側に提出する今回のゲッターG一時使用の結果報告書類、今日中に作成して下さいよ!」

小鳥「もう済ませました」

律子「相変わらずこの人は無駄に優秀だからタチが悪いわ……」

小鳥「マッドサイエンティストの律子さんに言われたくないですよ」ボソッ

律子「なっ//急に褒めないで下さいよ!」テレテレ

千早「褒めてないわよ……」

ヤイノヤイノ……

武田「秋月君」

涼「武田さん?」

武田「見せて貰ったよ。キミの決意。そして力を」

涼「そんな……僕はただ夢中でやっただけで」

武田「キミの場合、その『夢中』を自分のためでなく、人のために出来る。キミの望みが、そのまま人々の望みになる。いわゆる、心の欲するところに従って矩を超えずというところかな」

武田「キミは見事、ゲッターチームにとって最善の結果をつかみ取ることが出来た。あの逆境から一人も失わずここまでたどり着いたのは、奇跡と言っても良いだろう」

武田「窮地にあっても尚仲間を想う……そんなキミだからこそ、この役目を任せられる。秋月君、キミをこのゲッターチームのリーダーに任命したい」

涼「ぼ、僕がリーダー!?」

愛「賛成です!! 涼さんがリーダーなら、文句ありません!!」

絵理「私も、賛成。涼さんしかいない?」

涼「でも、僕なんかが……」

夢子「えぇいまどろっこしいわね!」バシンッ

涼「ぐえっ!?」

夢子「男の子、でしょ?」

涼「……はい! やらせて下さい!」

律子「女の子に文字通り背中を押されてってのが、ある意味涼らしいわね」

小鳥「うーん……」ピヨピヨ

千早「? 音無さん、どうしたんですか?」

小鳥「ピヨッ!? いや、どうでも良いことなんだけどね……」

小鳥「涼ちゃん達三人も春香ちゃん達三人も両方ゲッターチームじゃ紛らわしいな~なんて思って」ワタシタチモゲッターチームダシ

律子「ホントにどうでも良いことですね」

千早「でも、たしかに紛らわしいわね。今までは便宜上ネオゲッターチームと呼んできたけれど、ロボの乗り換え時には不適切ですし、仮に私達が復帰した際には紛らわしいですしね」

愛「あー、私もちょっと混乱しちゃいました」

涼「じゃあ、チーム名をつけたらどうでしょう?」

絵理「チーム名……うん、良いかも」

愛「さっすがリーダーです!! で、どんな名前ですか?」

涼「うぇっ!? うーん……」

愛絵理「「……」」ドキドキ

涼「……夢子ちゃんどう思う?」

夢子「わ、私!?」

律子「そこで人任せかい!」

涼「えっと、そうじゃないんだ。直接ゲッターに乗らない夢子ちゃんも、ゲッターチームの仲間って事を意識できるように、チーム名は夢子ちゃんにつけて貰いたいんだ」

夢子「……後で文句言うんじゃないわよ」

涼「大丈夫。夢子ちゃんの付ける名前なら、きっと素敵な名に決まってるよ!」

夢子「またアンタはそうやってハードルあげて……」

夢子「……Dearly Stars」

愛「ディアリースターズ?」

絵理「意訳して……切なる輝き?」

涼「何故意訳?」

絵理「その方が、カッコイイから? 決して、エキサイト先生じゃない」

夢子「アンタ達見てるとね……昔の、夢に向かってまっすぐだった頃を思い出しちゃうのよ。アンタ達には、私みたいに夢を見失わないで、ずっとその輝きを、まっすぐ追いかけていて欲しい。だから、ディアリースターズ」

涼「良いじゃない! ありがとう、夢子ちゃん!」

千早「決まったみたいね。じゃあ、ディアリースターズ。ここで貴女たちの任務について再確認させて貰うわ」

DS「「「はい!!!」」」

千早「現状、我々の戦法は『守り』のみ。これが何故だか分かるかしら?」

涼「えっと……」

愛「分かりません!!」

絵理「……ネオゲッターの、エネルギーの問題?」

千早「そのと「流石ね、絵理!」……尾崎さん、ちょっと落ち着いて下さい」

千早「コホン……その通り。ネオゲッターでは月まで行った所で、エネルギー補給が出来なければ勝ち目はない。そんな状態で、敵陣のまっただ中にはやれないわ」

律子「ゲッターGが使えれば言うことなしなんだけど、炉心が調子悪い上に、こんな時だけ政治家殿は仕事が早くてね。さっき隔離施設に持ってっちゃったわ」

千早「そして私達はゲッター炉心の使用、研究を禁止されている。だから、現状守りに徹するしか道がないの」

涼「後手に回るしかないっていうのは厳しいですね」

愛「むー、もどかしいです!!」

律子「今、ネオゲッターを長時間稼働させるための追加装備を全力で開発中よ。完成したら、月まで行って直接叩き潰して来なさい!」

千早「それまでは、とにかく敵の攻撃を食い止めることに専念して頂戴。良い、チームDSの皆。地球の人々の命は、貴女たちの双肩に懸かっているわ」

愛「私、頑張ります!! ね、絵理さん、涼さん!」

涼「もちろんだよ! 僕たちディアリースターズなら、きっとやれるさ!」

絵理「……うん」

~その日の夜~

涼(こんな夜中に所長室に呼び出しって、一体何のようだろう?)テクテク

涼(はっ、もしかして、やっぱり僕だけ怒られたり……)

涼(うぅ、この扉を叩くのが妙に躊躇われる……)

涼(でも、ここで立ちっぱなしってわけにもいかないしなぁ)スッ

??「もう良いです! 失礼しますっ!」ガチャッ

涼「えっ!?」ゴンッ

尾崎「あ、秋月さん!? ごめんなさい。扉、ぶつかったわよね?」

涼「○×△※~!?」

武田「尾崎君、待ちたまえ。話はまだ……」

尾崎「っ、秋月さん! ごめんなさい!」タッタッタッ

千早「……涼じゃない。そんなところにうずくまってどうしたの?」

涼「ほ、星が見えますぅ~」グルグル

千早「遊んでないで入りなさい。武田さんが貴方に話があるそうよ」

涼「ふぁい……」

武田「良く来てくれたね。騒がしいところを見せて申し訳ない」

涼「どうしたんですか? 尾崎さん、凄い剣幕でしたけど……」

千早「……」

武田「まあ、それは今は置いておこう。それより、君を今日ここへ呼んだのは他でもない。君にお別れを言っておこうと思ってね」

涼「え!?」

千早「武田さんは、これからしばらく別任務に就いていただくことになったの」

涼「別任務?」

千早「武田さん曰く、今回の月界人との戦い、『黒幕』がいるらしいの」

武田「ああ。その黒幕を倒すのに必要なある物をとりに行かねばならなくなってね」

涼「武田さん、黒幕って……それに、必要な物って一体何なんですか?」

武田「黒幕については、僕もハッキリと掴めているわけではないから明言は避けるよ。必要な物というのは、黒井博士の研究データだ」

涼「黒井博士……って、あの新人類の頭目の!?」

武田「そう。その黒井崇男がかつて人間だった頃、最後に遺したデータ。それを回収するのが、今回の僕の仕事さ」

千早「何度も尋ねて恐縮ですが、本当にそんなデータが現存するんですか? 高木博士はそんな物については一度も触れませんでしたが」

武田「このデータの存在は、黒井博士が失踪する以前に僕だけが伝えられていたんでね。高木博士ですらその場所は把握できていないんだ」

涼「それなら、僕に同行させて下さい! そんな重要な物なら、敵も必ず何か動きを見せるはずですよ!」

千早「私もそう言ったんだけど……」

武田「ああ。せっかくの申し出だが、遠慮しておくよ。先だっての戦いが君の戦いであったように、これは僕がやらなければならない事なんだ」

涼「だけど……」

武田「ふっ、そんな心配そうな顔をしないでくれ。大丈夫。運命に立ち向かうキミの姿を見て、僕も戦う勇気を貰ったからね」

涼「でも、何か起きてからじゃ……」

武田「秋月君。人は最後には必ず死ぬ。しかし、終末が来ると解っているからと言って、人の生は無意味だろうか?」

涼「武田さん、一体何を……」

武田「今は解らなくて良い、ただ聞いてくれれば……僕は無意味ではないと思う。例え定められた結末でも、そこに至るまでの道のりさえ満足のいく物なら、それはそう悪くない。そう思わないかい?」

涼「やめて下さい! まるでもうすぐ死ぬような……」

武田「如月君、秋月君、冷静になって聞いて欲しい」

武田「この研究所の中に、黒幕と通じている人間がいる」

涼「なっ!?」

千早「やはりですか……」

涼「如月博士は知ってたんですか!?」

千早「近頃、この研究所のアカウントから機密情報にアクセスした形跡がいくつもあったのよ」

武田「そして、その何者かが盗み見たのは全て、かつての黒井博士の研究データ……違うかい?」

千早「ええ、確かにその通りです」

武田「今回僕が動くことで、その内通者も必ず何らかの動きを見せるはずだ。それを見逃さないでくれ」

涼「武田さん、おとりになるつもりですか!? そんなの危険すぎます!」

武田「僕のことは良い。何となく感じるんだよ。僕はもう、そう長くは生きられない」

武田「ゲッター線に長く関わる者は、希に『ゲッターの意志』に触れる事がある。その中で、偶然自らやその周りの運命を知る事がある。黒井博士が何を見たのかは分からないが、僕は自らの死が近いことを知った」

武田「絶望したさ。一時は全てを投げ捨て、放浪の身になったこともある。だが、結局結末は変わらなかった。半ば諦めた僕は、古巣のここに戻り、そして君たちと出会った」

武田「秋月君。君たちには自ら運命を切り開く力がある。それがゲッターに選ばれた者だからか……それは分からない。だが、僕はゲッターの意志など関係なく、己の意志を貫き戦う君の姿に勇気を貰った。君たちの役に立てるなら、この命捨て甲斐があると言うものさ」

千早「でもっ!」

涼「如月博士!」

千早「……涼?」

涼「行かせて、あげましょう。それが武田さんの選んだ道なんですから」

武田「ありがとう、秋月君。人生の最後に君に出会えて、本当に良かったと思う」

千早「はぁ……男の人の考える事はよく分かりません」

武田「……もう行くよ。あまりずるずると別れを惜しむのも、僕の美学に反するしね」

涼「……」

武田「如月君、梅昆布茶ありがとう。君の煎れる梅昆布茶は、不器用だが安らいだよ」

千早「不器用は……余計です」

武田「秋月君、後のことは君に託す。地球を……人類を頼んだよ」

涼「……はい!」

武田「それじゃ。運が良ければまた会おう」

 そういって、武田蒼一は夜の闇に消えていった。

第十二話 おわり

ちょっと眠いんで13話はまた次回に。短いですが

お付き合い下さった方、ありがとうございました。早くこたつの方を完結させねば……もう春だし

第十三話「ゲッタードラゴン」

春香「博士、お久しぶりです」

高木「やぁ、天海君。変わりないかね?」

春香「ええ、私は。でも、ゲッターGが調子悪くて……」

高木「ふむ、ゲッターGが?」

春香「ゲッター炉心の調子が悪いみたいで……ゲットマシン単体なら問題ないんですが」

高木「なるほど……分かった。少し調べてみよう」

春香「はい、よろしくお願いします。それと……」

高木「ん? 何かね」

春香「……いえ、何でもありません」

高木「はっはっは、おかしな天海君だ」

春香「それでは、よろしくお願いします……さようなら、高木博士」

高木「……ああ。さようなら、天海君」

バタン



高木「……ふむ。月界人の作ったゲッター炉心との共鳴は思ったほどの効果は無かったようだねぇ。この分だと、まだまだ時間がかかりそうだ。そう……」

高木「真のドラゴンに至るまでに、ね」

おわり

超短いですが13話終了です。いったん依頼を出して、続きは次スレで書かせていただきます
よろしければお付き合い下さい
次スレはおそらく同名でたてます

よし、ゲッターザウルスの出番だ


続き待ってる

乙です
涼夢はやはり良いものだ…

>>636
1は暴走する方がゲッターは魅力的とか考えてる基地外です。アークみたいなお利口さんは火星へ飛んで行きなさい。でもカーンのデザインは好き

>>637
遅筆ですみません。5月くらいには新スレたてられると思います

>>638
涼夢に絵理を絡ませるのが大好物ですが、あんまそういう内容のSS見かけない気がします

再起可能です。が、両親をはじめとした周囲の人間に止められているためパイロットにはなれないでいます

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