真姫「とある日の昼下がり」 (50)
・設定はSIDとかアニメとかごっちゃになってるので、生暖かく見守っていただけると幸いです。
・地の文は真姫ちゃん一人語り。SID風に捉えていただけると。
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今日は午前中で授業が終わって音楽室で1人、作曲してた。
でも、今日はなんでかイマイチ。
煮詰まった私はなんとなく部室に足を向けた。
ちょっぴり疲れちゃったし、少し昼寝でもしようかな、なんて。
部室のドアを開けると今は誰もいないみたい。
椅子に座ってちょっと背伸びをする。
部室には柔らかなお日様の光が差し込んでる。
「ふぁ……」
μ’sのダンスや歌の練習に、作曲、そして勉強。
日々はなかなか忙しいけど、とっても充実してる。
ツンツンして過ごしてた1人ぼっちの日々よりはずっと。
とはいえ、疲れるものは疲れるし。
あっという間に眠気は訪れて。
「おやすみなさい……」
誰にでもなくぽつりと呟いて、机に突っ伏す。
私、結構疲れてたみたい。
気づいたらそのまま寝ちゃってた。
---
どれくらい時間が経ったのか。
誰かに頭を撫でられてるような感触。ちょっと気持ちいい……。
「んぅ……」
ちょっとだけ身じろぎすると頭にはなんだか柔らかい感触。
「あら、お目覚めかしら?」
「ん……?」
目を開けて首をちょっぴり上げると。
にこにこしてるエリーの顔。
そして、私が枕代わりにしてたのはエリーの太もも。
いわゆる膝枕。
「ちょ、え、エリー?何してるのよ!」
「何って、膝枕よ?」
膝枕よ?じゃなくって!
びっくりして飛び起きようとした私をエリーが制する。
「いいからいいから。そのまま横になってなさい?疲れてるんでしょ?」
「う……」
反論は、できない。
部室でこんなに無防備に寝てたのは私だし。
……エリーの膝枕、なんだか気持ちいいし。
「ふふ、それにしても真姫の寝顔ったら天使みたいだったわ」
かあっと顔が赤くなるのが分かる。
「ひ、人の寝顔勝手に見ないでよ、もう……」
「ごめんなさーい」
ちっとも悪びれてないエリーの返事。
エリーが生徒会長だった頃はこんな風になるなんて思いもしなかったわね。
「ふふ、それにしても真姫の寝顔ったら天使みたいだったわ」
かあっと顔が赤くなるのが分かる。
「ひ、人の寝顔勝手に見ないでよ、もう……」
「ごめんなさーい」
ちっとも悪びれてないエリーの返事。
エリーが生徒会長だった頃はこんな風になるなんて思いもしなかったわね。
「ねえ、なんで膝枕……?」
「んー、堅い机の上じゃちゃんと疲れも取れないでしょ?まして枕なんかないし……」
「まあ、そうね」
「だから、私の膝でよければ貸してあげようと思ってね」
そう言いながらエリーは私の頭を優しく撫でる。
「このなでなでは……?」
「なでなでって……真姫もそんな言葉使うのね、ふふっ」
言われて、また顔が熱くなる。
ああもう、寝ぼけてるのかしら。
「亜里沙によくやってあげてたのよね、膝枕。」
亜里沙……ああ、エリーの妹さんだっけ。
「そのとき、こうして撫でてあげるとよく眠れるみたいだったから」
うん、すごく気持ちいい……。
それに、なんだか安心する。
「そうね……確かに……気持ちいいかも……」
また眠気が襲ってくる。
「今日の真姫は素直ねえ……」
なでなで。
「うるさいわね……」
なんて言いながら、振り払えない。
お姉ちゃんがいたら、こんな感じだったのかな……?
ぼーっとした頭のせいか、なんだかいつもより無防備なのが自分でもよく分かる。
「ねえ、エリー?」
「なあに?」
ああ、余計なこと言っちゃうな、なんて思いながら。
「私、みんなに嫌われてないかな……?」
「そんなことあり得ないと思うけど……どうしてそう思うの?」
なでなで。
エリーの指が私の髪を優しく梳いてくれる。
「私……素直じゃないし」
ぽつり。
「ときどき、言葉も悪くなっちゃうし」
ぽつり、ぽつり。
「ホントは、もっと素直に言いたいことたくさんあるの……」
「穂乃果や海未、ことりには私のこと、μ’sに誘ってくれてありがとうとか」
「凛と花陽にはこんな私と友達でいてくれてありがとうとか」
「エリーや希、にこちゃんは私が馴染めるように影でいろいろやってくれて、ありがとう、とか……」
エリーは何も言わずに私の頭を撫でてくれる。
「私にできるのは曲作ったりとか、合宿の場所の提供とかそのくらい」
「全然、みんなに恩返しできてないから……」
普段なら絶対に言わない、私の心の柔らかいところがぽろぽろと流れ出す。
「それは違うわ、真姫……」
そこでエリーがすごく優しい声で。
「私は……私達はね」
「真姫がどれだけ頑張ってくれてるかよく知ってるわ」
「作曲だって、μ’sの練習、やらなくちゃいけない勉強の合間にちゃんとやってくれてる」
「素直じゃないところだって、真姫の魅力のひとつよ」
「μ’sのみんなはね、真姫が誰より友達思いで優しいところ、知ってるわ」
「みんな、そんな真姫のことが大好きなのよ」
本当に、お姉ちゃんみたいに優しく、優しく。
すっと心の中にエリーの言葉が流れ込んできて。
「そう、かな」
「そうよ、私が保証してあげる。なんならみんなに聞いてあげましょうか?」
「それは、恥ずかしいから、いいわ……」
なんて言いながら、私の目からはぽろっと涙のひとしずく。
悲しいわけじゃない。ちょっぴり安心して、ちょっぴり嬉しかっただけ。
ちょっぴり、安心しただけ。
エリーには顔が見えてないはずだから。ちょっとだけ。
「真姫、今はゆっくり休みなさい……」
なでなで。
「さっき真姫は私達にたくさんのありがとうをくれたけど……こっちのセリフよ」
「いつもありがとうね、真姫」
「私達のために、いつも頑張ってくれて」
「たまには、こんな風に甘えていいのよ」
ゆっくり、ゆっくり撫でてくれる。
気持ちいいな……。
もう一度、寝ちゃいそう。
寝ちゃっても、いいかな。
「真姫、眠い……?」
「うん……」
「いいわよ、寝ちゃいなさい」
眠りに落ちる前、無意識にぽつりとこぼす。
「ありがと、……絵里、おねえちゃん……」
「……ふふっ」
くすっとエリーの笑い声が聞こえて。
そのまますっと、まどろみに身を任せた。
---
ちょっぴり強くなった日差しで目を覚ます。
「……ん……」
相変わらず私はエリーの膝の上で。
でも、違うのは。
「エリー、寝ちゃってるわね」
ちょっと悪いことしちゃったかな。
よだれなんて垂らしてないわよね。
そっとエリーの膝から頭をどかす。
うーん、なんだかとってもすっきりしてる。
エリーのおかげ、かな。
「絵里、おねえちゃん……」
眠る前にこぼれた言葉を、ぽつりと呟いてみる。
お姉ちゃんか。
ちょっぴり、欲しくなっちゃったかも。
なんて、考えていると---
「何かしら?」
「うぇっ!?」
お、起きてた!?
「ま、まさか狸寝入り……!?」
「失礼ねえ、さっきまでは本気で寝てたわよ?ま・き・ちゃん?」
あああ、なんてこと……。
「~っ……」
なんだかすごく恥ずかしい。
「こ、このことは忘れて……」
「ふふ、いやよー。あんな可愛い真姫、なかなか見られないんだから」
「うう……じゃあせめてみんなには秘密にしてよ……」
「分かってるわよ、私の妹の真姫ちゃんは私だけのものだし」
いたずらっぽくエリーは笑う。
「あ、あの!」
もう、いいや。
素直ついでに。
「なあに?」
「……ありがと」
「?」
「ひ、膝枕よ!」
「ああ、いいのよ。お姉ちゃんも楽しかったわよ?」
「もうそれやめて!」
なんて言いながら、2人とも笑ってて。
ありがとね、エリー。
ちょっぴり恥ずかしかったけど、とっても嬉しかった。
きっとこれからもなかなか素直になれない私だけど。
よろしくね、……絵里おねえちゃん。
ちょっと短いですが以上です。
台本形式取っ払ってみたので読みにくくなければいいのですが……いかがでしたでしょうか?
もしかしたら後でちょっとだけ続き書くかもしれませんので、html化は少々お待ちを。
感想ありがとうございます!
SIDに近いってのは嬉しいですねえ。私もあの雰囲気大好きなんですよ。
それでは、本当に短いですがちょっぴりオマケを。
おまけ
絵里おねえちゃん、とこぼして真姫が寝入ってしまった。
やだもう、ハラショーよ!
「反則ね、これは……」
真姫の柔らかい髪を撫でながらさっきの話を思い出す。
あんなこと考えてたのね。
「嫌うわけないじゃない、こんなに可愛いのに……」
確かにちょっと素直じゃないかもしれないけど。
みんなのために何かしたい、とか。
感謝の気持ちとか。
この子はそういうの、全部表情とか態度に出ちゃうのよね。
「だから、大丈夫……」
「みんな分かってるわよ」
ゆっくりゆっくり、安心させるように。
「ん……」
これ以上は起きちゃうかしら。
「おね……ちゃ……」
「ふふっ……どんな夢見てるのよ」
ほっぺたをつんつん。
「んん……やぁ……」
やだ……すっごい可愛い……。
普段はツンツンしてるけど、無防備だとこんなに可愛いのね。
破壊力抜群だわ。
これはアイドルとして大きな武器ね……うん。
でもダメダメ、起こしたらかわいそうだものね。
「んー……ふぁ……」
気持ちよさそうな真姫の寝顔見てたらなんだか私も眠くなってきちゃった。
「ちょっとだけ、寝ようかな……」
私も、この可愛い妹と一緒に。
「おやすみ、真姫……」
膝の上に優しい暖かさを感じながら。
そんな優しい時間。
安らかなひととき。
柔らかな日差しの中、そっと眠りに落ちた。
以上です。
おまけも含め、これで完結です。
我ながら非常にのんびりしたSSだとは思いますが楽しんでいただけたら幸いです。
それでは、html依頼出してきます!
また何か投稿した際はよろしくお願い致します。膝枕シリーズでも書こうかな。ではではー
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