ミカサ「身を引こう」(187)


ミカサ「本気。私は貴方達から身を引く。だから気にせず、エレンを受け入れてほしい」

アニ「待ってよ。あんたさ、エレンが好きなんだよね」

ミカサ「勿論・・・でも、選ばれたの私ではない。エレンは貴方を選んだ」

ミカサ「家族だからこそ解る。エレンもまた本気なのだと」

アニ「・・・」

ミカサ「私とアニがエレンが好きな様に、エレンにも誰かを好きになる権利がある」

ミカサ「今まではそれが曖昧だった。だから私は貴方と競争した」

ミカサ「それが決定された今、これ以上の競争は不毛。だから身を引こう」

アニ「それで、それでいいのミカサ。あんなに好きだったのに」

ミカサ「誰が良いとか悪いとかを決めるのは私じゃない」

ミカサ「エレンだけ」

アニ「・・・でも、さ」

ミカサ「それともアニはエレンを突き放して私に与えてくれると言うの?」

アニ「それは、」

ミカサ「出来ないはず。私もできない。エレンもきっと納得しない」

ミカサ「アニ、私はエレンのことが好き。でも家族としての愛はそれ以上にある」

ミカサ「私はエレンが幸せになるなら・・・それでいいと思っている」

アニ「・・・そっか」

ミカサ「だからアニ。エレンは貴方に任せる。どうか、幸せにしてほしい」

アニ「言われなくても判っているさ。何としてでもそうする」

ミカサ「ありがとう」

アニ「こちらこそ・・・ありがとう、ミカサ。あんたがライバルでよかった」

ミカサ「私もエレンが選んだのが貴方でよかった」

エレン「おーいアニ!」

アニ「! え、エレン・・・」オロオロ チラッ

ミカサ「行ってあげて」

アニ「・・・うん。ミカサ、は?」

ミカサ「私はいい。本音を言うと、全く辛くないわけでもないから」

アニ「わかった・・・何、エレン?」タッ

アノヨツギノタイジンカクトウダケドサ…
マタワタシトヤリタイノ?
イ、イイジャネーカヨ!ツギコソカッテヤル!

ミカサ「・・・」ズキズキ

ミカサ(ああ、何故「まただ」なんて私は思っているんだろう)

ミカサ(失ったわけじゃない。祝福すべきことなのに)

ギュッ

ミカサ(貴方からのマフラーは温かい筈)

ミカサ(なのに何故、ここはあの時のように寒いんだろうか・・・・)

~食堂~

ミカサ「・・・」モグモグ


マルコ「あれ、ミカサが珍しく一人で食べてる・・・」

ジャン「珍しいな。死に急ぎ野郎は・・・っと、アニと二人で食ってる?」

ジャン「んでアルミンはライナー達とか。どうなってんだ?」

マルコ「よく判らないけど・・・何か、ミカサ寂しそうだな」

ジャン「・・・俺、行ってくるわ」

マルコ「じゃ、ジャン。・・・仕方ないな、もう」


ミカサ「・・・」モグモグ

ジャン「よう」

ミカサ「・・・モグモグゴクン ジャン、何?」

ジャン「隣空いてるから座るぞ」

マルコ「失礼するよ」

ジャン「なあミカサ、今日の飯は肉が入っているのに気づいていたか?」

ミカサ「・・・」モグモグ

ジャン「ひき肉が申し訳程度に入ってるだけだけどよ。少しテンション上がるわな」

マルコ「ジャンは肉が好きだね」

ジャン「サシャほどじゃねーよ。まあ普通に好きだけどよ」

ジャン「ミカサは?ミカサはなにか好きな食べ物とかあるか?」

ミカサ「エレンが好きなものなら、私も好き」

ジャン「そ、そうか。お前ら家族だもんな。好きなものも似てるよな」ショボーン

マルコ(ジャン・・・)

ミカサ「・・・」モグモグ

ジャン「あのよ、直球で聞いていいか?なんでエレンと食わないんだ?」

ミカサ「!」ビクッ

マルコ「ジャン!」

ジャン「悪いマルコ。俺の性格上、聞かないのはやっぱ無理だ。何でだミカサ?」

ミカサ「貴方には関係ない」

ジャン「お前がそういう言い方するのはエレン絡みで何かあったってことか」

ミカサ「・・・!」キッ

ジャン「睨むなよ。俺はこれでも心配してるんだぜ?」

ミカサ「だったら放っておいて。首を突っ込まれるのは迷惑・・・」ガタッ

マルコ「わ、悪いミカサ!ジャン、謝って!」

ジャン「嫌だね」

マルコ「ジャン!」

ジャン「俺は謝らなきゃいけないことはしてねーし、言ってねえ」

ジャン「そうやっていかにも何かありますな顔をしておいて、首を突っ込むな?」

ジャン「そんなもん、気にするに決まってるだろ」

ミカサ「・・・ジャンには関係ない」

スタスタ

マルコ「ほら怒っちゃったじゃないかジャ・・・」

ジャン「・・・」ズーン

マルコ「落ち込むくらいなら何であんな言い方してんだよ!お前はアホか!」

ジャン「仕方ねーだろぉ!?気になるし心配するじゃねーか!」

マルコ「だからってああいう言い方すればミカサだって嫌がる!」

ジャン「んなもん判ってる・・・くそっ」ブチッ ムシャムシャ

マルコ「・・・ったく。ジャンはいい加減そのハッキリ言うのをなんとかしろよ」

ジャン「うるせえな!もう後も祭りだ!あー!スープもうめえなー!」ズズー

マルコ「拗ねちゃったし・・・。仕方ない、アルミンに事情を聞くか」

ジャン「好きにしろ。俺は飯を食う」モグモグ

マルコ「全くもう」ガタッ

ライナー「・・・でよ、その時のベルトルトがな」

ベルトルト「やめてよライナー・・・昔の話だろ・・・!」ドスッ

ライナー「おま脇腹をっ」ゴフッ

アルミン「ははは・・・」

マルコ「アルミン、食事中に悪いけどちょっといいか?」

アルミン「え、何?」

マルコ「ミカサのことなんだけど」

アルミン「ああ・・・やっぱり目立っちゃうよね、アレ」

マルコ「何で一人で食べているんだ?必ずエレンとアルミンのどちらかと居るのに」

アルミン「・・・エレンには言わない?」

マルコ「エレンに話したらマズイことなの?まあ、言わないでおくよ」

アルミン「ありがとう。ええと、その、答えを先に言うとミカサはエレンに振られた」

マルコ「そっか。じゃあ、見たところエレンはアニを選んだってことかな」

アルミン「さすが察しがいいねマルコ。そしてアニも応えた。晴れて恋人同士だ」

ベルトルト「・・・あの二人付き合い始めたんだ」

ライナー「エレンとアニなら似合いだろう。それに兵士には休息も必要だからな」

ベルトルト「戦士をやるのも時々疲れてしまうしね」モグモグ

ライナー「・・・。・・・。そうだな。俺達は戦士だったな」バクッ モグモグ

マルコ「なんだそれ?あ、ええと・・・それで何でアルミンはこっちに?」

アルミン「それはミカサが一人でいたいって言ってたからかな」

アルミン「結構繊細なんだよ。ジャンはさっき構ってたけど、今はそっとしてあげて」

マルコ「なんだ見てたのか」

アルミン「まあミカサのことが気になるから、ついね」

マルコ「事情は分かった。ありがとうアルミン。ジャンにも今はそうするように伝える」

マルコ「それじゃ、三人ともまた後で」

ライナー「ああ」

ベルトルト「また訓練でね、マルコ」

アルミン「またね」

アルミン「・・・はあ、とはいえ本当に大丈夫なのか心配だよ」

ライナー「なるようになるしか無いだろ。色恋沙汰は下手に首突っ込むと痛い目に合う」

ライナー「俺もクリスタとなぁ。なあアルミン、何とかならねーか?」

アルミン「ええー・・・もう、僕は便利屋じゃないんだからね!」

ライナー「ははっ」

ベルトルト「・・・」モグモグ ズズー

ガタッ

マルコ「ただいまジャン。って、俺の分がないんだけど!?」

ジャン「芋女が取っていきやがった・・・悪いマルコ。勢いに押された」

マルコ「ええー・・・」

ジャン「だってスゲー早口でそれっぽいこと言いながら持って行くんだぞ!」

ジャン「うっかり「ああ」って言ったらもうその後は・・・」

マルコ「もういいよ・・・何となく判った。あ、ミカサのこと聞いてきたよ」

ジャン「! な、なんだって言ってた?」

マルコ「エレンとアニが付き合い始めて、ミカサは今フリーになっている」

ジャン「いよっしゃああああああ!!!」

マルコ「でも今はミカサも心の整理がついていないようだ」

ジャン「じゃあ今がチャンスか!?」

マルコ「違う違う。むしろ今、変に刺激すると嫌われかねないってことだよ」

ジャン「おいおい、でもそれじゃ他のやつに出し抜かれちまうだろ」

マルコ「ミカサは何だかんだで美人だし、密かに人気があるからねー」

マルコ「でも今は本当に止めたほうがいい。ミカサだって考える時間がほしいだろ」

ジャン「・・・それもそうだな。判ったよマルコ。今は何もしない」

ジャン「でもミカサからアクション起こした場合はいいだろ?」

マルコ「うーん、ミカサがジャンにねぇ・・・」

ジャン「無いとは言い切れないだろ!無いとは!まあ忠告ありがとな」スッ

マルコ「どういたしまして・・・って、これ。パン?」

ジャン「これだけ咄嗟に隠しておいた。食わないと訓練辛いだろ」

マルコ「・・・お前もそういうところをミカサに出せばいいのにね」

ジャン「俺はいつもどおりやってるつもりだ!」

マルコ「はいはい」ムシャムシャ

~対人格闘訓練~

ミカサ「・・・」ウロウロ

ジャン「さーて今日は誰と組むか・・・っと、ミカサ。お前どうした?相手は?」

ミカサ「・・・」

ジャン「相手がいないのか?」

ミカサ「探しているところ。構わないで」

ジャン「さっきのこと、まだ怒ってるのかよ・・・」

ミカサ「・・・」プイッ

ジャン「好きにしろ。・・・でも相手が見つからなかったら、俺が相手になるぞ」

ミカサ「・・・そう」

スタスタ

ジャン「・・・結局構っちまったな。上手くやれねーもんだ」

コニー「おいジャン。お前余ってるのか?俺と組もうぜ」

ジャン「あ、ああ」

エレン「くそ!もう一回だアニ!」

アニ「やれやれ・・・恋人はもっと優しく扱ったら?」

エレン「そ、それとコレは話が別だろ!それに恋人より弱いのはかっこつかねえ」

アニ「・・・仕方ないね。来なよエレン」

エレン「ああ!」

ミカサ「・・・」ズキズキ

サシャ「ミカサ、どうしました?相手が居ないんですか?」

ミカサ「・・・ええ。今探している」

サシャ「では私と組みませんか?コニーがジャンの所に行ってしまったので!」

ミカサ「判った。組もう」

サシャ「で、でも手加減してくださいね。ミカサ、強いから・・・」

ミカサ「努力する」

ブンッ

サシャ「お、おおお~・・・」グルグル

ミカサ「大丈夫?ごめんなさい、手加減はしたつもりなんだけど」

サシャ「い、いえ!視界はグルグルしますが、痛くはないので大丈夫ですよ」

ミカサ「そう、良かった」フイッ

エレン「よし!一本取った!どうだアニ、俺も中々やるだろ?」

アニ「ちっ、腕を上げてるね・・・だが私も負けないよ」

ミカサ「・・・」ズキズキ

サシャ「ミカサ、元気ありませんね。どうかしたんですか?」

ミカサ「なんでもない」

サシャ「そうですか?だってジャンが相当心配していましたよ」

ミカサ「・・・ジャンが?」

サシャ「いやーマルコのご飯が余っていたのでちょっと拝借しようと思ったんですが」

サシャ「ジャンが考えこんでた顔をしていたんですよね」

サシャ「ミカサに元気が無いと言っていたので、何となくペアを組んでみようかな―って」

ミカサ「貴方も心配してくれていたの?」

サシャ「まあ、そんなところです」

ミカサ「ありがとう」ペコリ

サシャ「そ、そんな!頭まで下げなくていいですよ!思いつきでやったことですし!」

ミカサ「それでも心配してくれたのは事実」

ミカサ「だからちゃんとお礼は言いたい」

サシャ「~~~っ!なんか、ジャンの気持ちが少しわかってしまう自分が居ます・・・」

ミカサ「?」

サシャ「あ、独り言です。訓練、続けましょうか」

ミカサ「そうしよう」

ワイワイガヤガヤ
アーツカレタツカレター

ジャン「あーいってえ。コニーお前無茶苦茶やるんじゃねーよ」

コニー「悪かったっての」

ジャン「ごめんで済めば憲兵団はいらねえって・・・あ?」

ミカサ「・・・」ジィッ

コニー「ミカサがすげえジャンを睨んでる・・・お前何やったんだよ」

ジャン「なんもしてねえ!でもじっと見られると照れるな」

コニー「睨んでるミカサにそう言えるお前は大したもんだよ・・・」

ミカサ「ジャン、話がある」

ジャン「お、おう」

コニー「ジャン・・・死ぬなよ」

ジャン「物騒なこと言ってるんじゃねえよ!ハウスハウス!」シッシッ

コニー「心配してやってんのに!あー損した!てめーなんか投げられちまえ!」

ジャン「ったくよぉ・・・で、なんだよ」

ミカサ「・・・コニーはいいの?貴方を心配していたのに」

ジャン「ありゃ面白がってるだけだ。それより話ってなんだ?」

ミカサ「・・・」

ミカサ(ジャンも一応はサシャと同じように心配してくれていた・・・)

ミカサ(怒って悪かったと言わないと)

ジャン「言っとくがさっきのことなら俺は謝らないからな」

ミカサ「・・・」ムッ

ジャン「でも、まあ、なんだ。言葉がキツかった・・・それは謝る」

ジャン「悪かった」

ミカサ「・・・意外。謝るとは思わなかった」

ジャン「俺を何だと思ってるんだよ!つーか、話はこれで終わりか!?」

ミカサ「いや、」

エレン「ミカサ、何やってんだ?殆ど帰っちまっ・・なんだジャンもかよ」

ミカサ「・・・!」ズキズキ

エレン「あんまり残ってると教官に叱られるぞ。帰ろうぜ」

ジャン「悪いがエレン。ミカサは俺に用があるみたいでな。俺が送っていく」

エレン「そうなのか?」

ミカサ「・・・」コクン

エレン「そっか。じゃあ俺はアニ達と一緒に行ってるから、また後でな」

エレン「夕食は食えそうか?朝は調子悪いとか言って一人で食ってたから心配したぞ」

ミカサ「ごめんなさい」ズキズキ

ジャン「・・・もういいだろエレン。早く用事を済まさせてくれ」

エレン「そうだったな。悪い。じゃあな二人共」

ジャン「・・・・・・おいミカサ」

ミカサ「」ビクッ

ジャン「ありゃ何だ?なあ、お前エレンに振られたんだろ」

ミカサ「どうして知っているの?」

ジャン「マルコがアルミンに聞いてな。んで俺もそれを聞いた」

ジャン「告白したんだろ?それともあいつは俺が思っていた以上に無神経か?」

ミカサ「違う!」

ミカサ「エレンは無神経じゃない・・・私が、何も伝えていないだけ」

ジャン「は?」

ミカサ「私はエレンに好きだと言っていない。だからエレンは知らない」

ミカサ「だからエレンにとって私は家族のまま。何も変わらない」

ジャン「・・・何だそれ。お前それでいいのかよ」

ミカサ「でも、エレンはアニを選んだ。好きだって、アニが好きだと言った」

ミカサ「アニはそれに応えた。入る余地がどこにあるの?」

ジャン「俺が言っているのはそういうことじゃねーよ」

ジャン「お前はこのままずぅーっとエレンの家族やるつもりなのか?」

ジャン「そんであいつが他の女とイチャついてるのを見てヨカッタネーってか」

ジャン「とんだ聖人君子だな!」

ミカサ「じゃあどうすればいい・・・!そうしないとエレンの側にいれない!」

ミカサ「私はもう、家族を失いたくない!」

ジャン「そういうのはな、臆病って言うんだよ!失いたくない?馬鹿じゃねーの?」

ジャン「お前、エレンを家族だとか言うくせにあいつを信じてねえのか!」

ミカサ「! わ、私は・・・」

ジャン「自分の臆病さをエレンのせいにするな」

ミカサ「・・・」プルプル

ジャン「・・・帰ろうぜ、ミカサ。何かお前の話を聞ける気分でもねえ」

ミカサ「私は・・・私は・・・」

ジャン「もういい。・・・帰ろう。もうここに居ても仕方ない」

ミカサ「・・・うん」

ジャン(俺って何でいつもこうなんだろうなぁ・・・絶対嫌われた・・・)

ジャン(マルコの言うとおり、関わらないほうがいいのかもしれんな)

ジャン(あーあ、クソ。俺はいつだって上手くいかねえよ)

ミカサ「・・・」

ミカサ(ジャンの言うとおりだ。私は気持ちも伝えずに一人で悶々としている)

ミカサ(伝えるべきことも伝えずに傷ついている・・・滑稽だ)

ミカサ(それでも言えない。私は何で、いつもこうなんだろうか)

~夕食~

ジャン「・・・」ズーン

ミカサ「・・・」ズーン

マルコ(揃って酷い有様になっている・・・ジャンが絶対何かしたなコレ)

ジャン「・・・」ズズー

ミカサ「・・・」ムシャムシャ

マルコ(なのに何故一緒に食べてるんだ・・・俺まで気まずいだろ・・・!)

ジャン「・・・マルコ」

マルコ「はひっ」ビクッ

ジャン「明日の立体機動訓練だけどよ、お前と同じ班だな。頑張ろうぜ」

マルコ「そ、そうだね。ていうかミカサもだけど・・・」

ミカサ「・・・」モグモグ

ジャン「ミカサも、その、頑張ろうぜ?な?」

ミカサ「・・・」ズズー

ジャン「・・・」ショボーン

マルコ(色々と耐えられない・・・ていうかホント、なんで俺らと食べてんだ!)

マルコ「あ、あのさミカサ。俺達と食べるなんて、珍しい、な?」ドキドキ

ミカサ「・・・ジャンが誘った」

マルコ「そ、そっか。ジャンが誘ったんだ。乗るなんて珍しいな」

ミカサ「エレンとは顔を合わせづらい、から」

ジャン「・・・そういうことだ」

マルコ「あのさ、悪いと思ったけどアルミンに聞いたんだ。だからさ、その」

ジャン「よせよマルコ。お前が放ってやれって言ったんだろ」

マルコ「ちょ、それを今言う?」

ミカサ「気にしていない。・・・」モソモソ

ジャン「・・・ミカサ。エレンと居ると気まずいなら暫く俺らと飯食えよ」

ミカサ「・・・」ムシャムシャ

ジャン「もう変な説教も垂れねえし詮索もしない。一人で飯食うとエレンが心配するぞ」

マルコ「うん、それは言えてる。エレンは仲間思いだから・・・あっ」

ミカサ「・・・そう、エレンは仲間思い。だから仲間の・・・家族の私を心配する」

ジャン「・・・(この馬鹿)」ゲシッ

マルコ「イタッ(ごめん)」

ジャン「・・・っち。なあミカサ。一応一個だけ条件つけさせてくれ」

ジャン「俺らと飯食うときはエレンがどうこうとかは無しだ。出来なきゃ喋らない。いいな?」

ミカサ「・・・どうして?」

ジャン「エレンの話をする度にこんな空気になってたらお互い飯が不味いだろ」

ジャン「それに俺はアイツを嫌ってること、お前忘れてないか?」

ミカサ「そういえばそうだった」

ジャン「だろ?嫌いな奴の名前を出されたら萎えちまう。だからエレンは抜きだ」

マルコ「ジャン・・・」

ミカサ「わかった。条件を呑む」

ジャン「・・・いいのか?エレン抜きなんだぜ?」

ミカサ「私はもしかしたら・・・少しエレンから離れるべきなのかもしれない」

ミカサ「エレンが大切なのは変わりない。でも、全てにしていた」

ミカサ「それは何かが間違っている。ジャン、貴方に言われてそう考えた」

ジャン「え、俺そんなこと言ったか?」

ミカサ「直接的ではない。ただ、さっきの説教は色々と考えさせるきっかけになった」

ミカサ「感謝している」

ジャン「べ、別にいいよ。まあ、その、後ろ向きじゃねえならいいんだ」

マルコ「へえ、ジャンもやるもんだな」

ジャン「茶化すなよマルコ!それより飯だ!チンララしてると飯が冷めるぞ!」ガツガツ

ミカサ「・・・?マルコ、ジャンは何か気に障った?イライラしている」

マルコ「ミカサも負けじと鈍いよな。ま、思春期ってことだよ」

ミカサ「???」

マルコ「俺もいい加減食べようかな。う、冷めてる・・・」ズズー


サシャ「・・・訓練の時より吹っ切れた感じがしますね」

ユミル「何が?・・・ああ、ミカサか。まあ元気そうだわな」

クリスタ「朝食の時、誘おうか迷ったけど・・・ジャン達と一緒に食べてるんだね」

サシャ「ですがあのジャンですし。心配です」

ユミル「大丈夫だと思うがな」

クリスタ「どうしてそう思うの?」

ユミル「ジャンは馬鹿だが最低限のラインは弁えてる」

ユミル「自分の言い過ぎる悪癖も自覚してるし、上手くやる努力はするだろ」

サシャ「・・・」ジー

クリスタ「・・・」ジー

ユミル「んだよじっと見て・・・気持ちわりいな・・・」

サシャ「ユミルって結構人を見てますよね」

クリスタ「人を褒めるのも珍しいよね。前にベルトルトを褒めたくらいかも」

サシャ「貴重なデレを見ましたねぇ」

クリスタ「ニヤニヤ」

サシャ「ニヤニヤ」

ユミル「なんだこれすげえうぜえ」


ライナー「クリスタがニヤニヤしている・・・可愛いな結婚しよう」

アルミン「ライナーは相変わらず揺らぎないなぁ」

ベルトルト「むしろ揺らぎまくった結果なんだけどねコレ・・・」

ジャン「あー食った食った。それじゃ俺らは宿舎に戻るが・・・送っていくか?」

ミカサ「大丈夫。エレンは女子宿舎には普段来ないから」

ジャン「そ、そっか」

マルコ「・・・ミカサ、ここはジャンの言葉に甘えたら?お前も女の子なんだから」

マルコ「ジャンの気持ちを汲んでやってくれ。な?」

ミカサ「・・・よくわからない。でも、世話をかけた身である。今回は受けよう」

ジャン「!!!!(マルコぐっじょぶ!)」

マルコ(良かったなジャン!)

ジャン「そ、それじゃ送っていくな!マルコ、先に帰っていてくれ」

マルコ「ああ。送り狼になるなよ」

ジャン「し・・・・っねえよ!馬鹿かテメエは!」

ミカサ「?」

ジャン「くっ!行こうぜミカサ、アイツが変なこと言い出す前にな!」

ミカサ「??? わかった、行こう」

マルコ「思春期だなぁ」

スタスタスタスタ

ミカサ「ジャン、歩くのが早い」

ジャン「あ、わ、悪い。つい早歩きになっちまった」

ミカサ「いつも通り歩いてくれるならい、・・・っ」


アニ「わざわざ送るなんて気が効くじゃないか」

エレン「うるせえな。俺だって少しは・・・お、ミカサ。ジャンも一緒か?」

アニ「え、ミカサ?」

ミカサ「・・・」ズキズキ

エレン「今日はジャンと一緒にいるのが多いな。もしかしたらお前・・・」

アニ「! え、エレン!ここまででいいよ!それじゃあね!」

エレン「え?まだ宿舎についてな・・・」

アニ「いいから!」バシッ

エレン「痛いな!急になんだってんだ・・・まあいいや。おやすみアニ」

ミカサ「・・・」ズキズキ

ジャン「・・・エレン、ミカサにはおやすみはないのか?」

エレン「あ、そうだったな。ミカサもおやすみ。ジャンは・・・いいか」

ジャン「確かに同室だけどよ。ほらさっさと帰れ帰れ」

エレン「うるせーよ。じゃあなアニ、ミカサ」

スタスタ

ミカサ「・・・」ズキズキ

アニ「ミカサ・・・あんた、やっぱりまだエレンのことが・・・」

ジャン「アニ、言うな」

ジャン「お前がそんなことを言い出したら、ミカサはどうすればいいんだよ」

アニ「・・・ごめん」

ミカサ「アニが悪いわけじゃない・・・でも、今は一人になりたい」

ミカサ「ジャン、送ってくれてありがとう」

ジャン「・・・ああ。明日の立体機動、一緒の班だぞ」

ミカサ「うん」

ジャン「だからちゃんと寝ろよな」

ミカサ「うん・・・」

アニ「ミカサ、中に入ろう?外は冷える。中で温まろう」

ジャン「じゃあな二人とも」

ミカサ「ジャン」

ジャン「ん?」

ミカサ「おやすみなさい」

ジャン「・・・ああ」

ミカサ「・・・」

アニ「ねえミカサ、やっぱり、さ。エレンに」

ミカサ「私は言わない」

ミカサ「エレンにこの気持ちは伝えない・・・だから、もうその話はやめて」

アニ「・・・わかった。何度もごめん」

ミカサ「いい。中に入ろう」



ギュッ

ミカサ「だって今日もこんなにも寒い・・・」

書き溜め分は以上。また書き溜めたら投下します

>>1は最新話までフォローしてるのかな
なんかベルトルトのセリフで匂わせてる感じがあって面白かった

マルコって一人称俺か?

>>42
はい。本誌も読んでいます

>>45
一人称「僕」のようで実は男らしい喋りで一人称「俺」のキャラ、と覚えてたけど読み返したらまんまでした
何で俺だと思い込んでたんだろ。次から僕に直します。指摘ありがとう


以上。続きはまだ書いています。それまで失礼

~立体機動訓練~

カチャカチャ

ジャン「だからよ、こうすればカチッとはまりやすいって」

マルコ「こう?」カチャ

ジャン「ちげーよこう。マルコ不器用だな。それじゃ憲兵団行けねーぞ」カチッ

マルコ「一言余計なんだよ!あ、こうかな」カチッ

ジャン「そうそう」

ミカサ「・・・」カチャカチャ カチッ

ジャン「ミカサは装置の整備終わったか?」

ミカサ「まだ」

ジャン「そうか。かかるなら先に行っているが、どうする?」

ミカサ「先に行って問題ない」

マルコ「了解。じゃあ僕らは先に行っているから、訓練所でねミカサ」

ジャン「じゃあな。しっかしよー、立体機動訓練は点数稼ぎにはいいが憲兵団では・・・」

ミカサ「・・・」カチッカチッ カチャ

ミカサ「・・・あ」

マルコ「どうしたの?」

ミカサ「大丈夫。先に行っていて構わない」

ジャン「いやお前「あ」っつってたよな?おいまさか壊したのか?」

ミカサ「違う。嵌らなくなった」

ジャン「見せてみろよ」グイッ

ミカサ「ちょっと」

ジャン「こっちの爪が引っかかってる。このまま無理にはめると爪が壊れるぞ」

マルコ「あ、ホントだ。一回外したほうがいいねコレ」

ジャン「お前がこの程度に気づかないなんてな。ちゃんと寝たのか?」

ミカサ「・・・寝た」

ジャン「嘘だね。つーかよく見たら目に隈ができてるじゃねーか」

ジャン「どうせ変なことでも考えて寝れなかったんだろ。それで訓練をちゃんと・・・」

ミカサ「ジャン。約束を忘れないで」

ジャン「・・・わかったよ。詮索しないって言ったんだったな」

マルコ「ミカサ、本当に辛かったら言ってくれよ?同じ班なんだからさ」

ミカサ「勿論。迷惑はかけないつもり」

ジャン「その迷惑をかけないってのもちゃんとわかってて言ってるのかね」

ミカサ「・・・」ジロッ

ジャン「あーはいはい!約束でしたね!何であんな約束したんだ俺は・・・」

マルコ「はは、自分の首を絞めてるなジャン」

ミカサ「自業自得。・・・整備、終わった」カチッ

ジャン「じゃあついでだし一緒に行くか?ベルトルトは先行っちまったし」

マルコ「ベルトルトは早起きして整備してたみたいだもんね」

ジャン「あいつ真面目に取り組みすぎだろ。それに何考えてんのか・・・」

ミカサ「真面目なのはいい事だと思うけど」

ジャン「ベルトルトの場合は思考が読めねーから不気味なんだよ。無口だし」

ジャン「ライナーと一緒に居る奴程度しかわかんねえんだよな」

マルコ「ちょっとジャン・・・その言い方はないでしょ」

ミカサ「それを言うなら、私だって同じ」

ジャン「ミカサもそうだけど、そうじゃなくてなんていうのかな。ま、いいや」

マルコ「悪口言いたかっただけかよ・・・」

ジャン「悪口のつもりじゃなかったんだけどな。本人には言わねーよ」

マルコ「当たり前だろ!」

ライナー「今日はクリスタと一緒でな、これは何かあるんじゃないかと・・・」

ベルトルト「そう・・・良かったね。あ」

マルコ「やあベルトルト。待たせたかな」

ベルトルト「ライナーと話していたから。それに僕が早すぎただけだし」

マルコ「そっか。ライナーは別の班だけど、誰と一緒だっけ?」

ライナー「俺はエレンとサシャと・・・ふっ、クリスタと一緒だ。いいだろう?」

ジャン「お前も相当だよな。進展してんのか?」

ライナー「実は昨日、宿舎まで送ってやった。丁度ユミルがどこか行ってたんでな」

ライナー「あの時の顔・・・あれはもうイケると思うんだが。どうだベルトルト?」

ベルトルト「さあ・・・」

ジャン「めでたい脳みそしてんなお前も。ベルトルトも少しは突っ込めよ」

ベルトルト「・・・いや、僕は」

ライナー「そうか?ま、お前とどっこいどっこいってところだ」

ジャン「はは、言いやがる。まあ死に急ぎ野郎の子守も頑張れよ?」

ミカサ「エレンは子供じゃない。ライナーに迷惑かけない」

ジャン「あ、いやそういう意味じゃねーんだけど。素で返すなよ・・・反応に困る」

マルコ「いや今のはジャンが悪いだろ・・・」

ジャン「あーはいはい!俺が悪いですね!マルコ、ミカサとタッグすんなよ!」

ライナー「そっちもジャンの子守を頑張れよ。こいつは口が悪すぎるからな」

ジャン「うるせーよ!そろそろ行こうぜ。開始の鐘がなる時間だ」

ベルトルト「それじゃライナー。僕も彼らと行くから。気をつけて、ね」

マルコ「またなライナー。今日は負けないぞ」

ミカサ「・・・それじゃ」

ゾロゾロゾロ…

ライナー「俺もエレン達の所に行くか。点数稼いで、立派な兵士にならんとな」

ベルトルト「・・・」ズバッ

ミカサ「・・・」ズバッ

ジャン「おいマルコ。あの無口コンビ何とかならねーのか?全然喋らねえ」

マルコ「真面目に取り組んでいるんだろ。ジャンも私語を謹んで真面目にやれよ」

ジャン「ああやって見るとベルトルトはミカサにちょっと似てるかもな」

マルコ「まあ・・・似てるかもね。少しはベルトルトを好きになれそう?」

ジャン「好きも嫌いも、別にベルトルトのことを始めから嫌ってねーよ」

マルコ「じゃあ何でああいう言い方するのさ」

ジャン「だってそう思ったんだから仕方ないだろ。実際不気味じゃねーか」

マルコ「お前はホント・・・そういうところ、卒業までに直しとけよ」

マルコ「ジャンは根はそう悪いやつじゃないのに、その欠点が大きすぎる」

ジャン「うるせーよ。買いかぶりだ」

ミカサ「・・・」プシュウウウウウウウ

ベルトルト「・・・? ミカサ、ガスを噴かせすぎてない?」

ミカサ「・・・ハッ き、気をつける」プシュー

ベルトルト「うん」

ジャン「おーい、どうした? 何話してんだよ」

ベルトルト「いや、ミカサがガスを」

ミカサ「ベルトルト」ジロッ

ベルトルト「・・・。何でもない。ただ少し会話してただけだよ」

ジャン「なんだそれ・・・」

マルコ「妬くな妬くな」

ジャン「妬いてねえよ!!ベルトルト・・・まさかミカサを狙ってねえよな・・・」イライラ

マルコ「やっぱり妬いてるじゃないか」

ジャン「だから妬いてねえっての!」

カンカンカンカン

マルコ「とか言ってる間に終了の鐘だ。ほら行くよジャン」

ジャン「仕切んなよ。ベルトルト、ミカサ。戻るぞ」

ベルトルト「わかった」

ミカサ「わかった・・・」フラフラ

ジャン「・・・ミカサ、お前はちょっとストップだ。一旦止まれ」

ミカサ「?」

ベルトルト「・・・僕は先に行っているよ」

ジャン「ああ。マルコにも後から行くと伝えておいてくれ」

ベルトルト「うん」

ジャン「ほらあの木で止まるぞ」パシュッ

ミカサ「・・・」パシュッ

ミカサ「・・・何故ここで止まる?」

ジャン「お前がフラフラだからだよミカサ。1位の余裕か?立体機動は楽勝ってか?」

ミカサ「・・・」プイッ

ジャン「口出しはしないとは言ったが、怪我しそうなことすんなら話は別だ」

ジャン「迷惑かけないって言ったよな?」

ミカサ「かけてない」

ジャン「かけてんだろ。それとも結果オーライなら問題ないと思ってんのかお前」

ジャン「察するにさっきのベルトルトとのやりとりも、なんかやらかしたからだろ」

ミカサ「・・・首を突っ込まないで」

ジャン「勘違いすんな。お前じゃなくても俺は同じ事を言っている」

ジャン「それが死に急ぎ野郎でもだ。怪我したら点数に響くし、教官の説教も待ってる」

ミカサ「自分の心配?」

ジャン「そうだよ。俺はいつだって自分の心配をしている」

ミカサ「最低」

ジャン「最低で結構だね。別にそれを変えようとは思わない。俺はそういう奴だ」

ジャン「でも俺がそういう奴であることと、お前のやってることは別だろ」

ジャン「話を逸らすなよ」

ミカサ「・・・」

ジャン「正直に言えよ。寝てないんだな?」

ミカサ「・・・全く寝てないわけじゃない。明け方近くには、寝れた」

ジャン「じゃあ殆ど寝てないってことか」

ミカサ「そうなる・・・」

ジャン「・・・お前って頭いいのに結構馬鹿だよな。始めからそういえばいいだろ」

ミカサ「・・・? 何、侮辱している?」

ジャン「違えよ。とにかくお前の状態は判った。戻るぞ」

ミカサ「一体何がしたかったの」

ジャン「一言言いたかったのと、お前の状態を確認したかっただけだ」

ジャン「バランス崩しそうになったら後ろから声掛けするから、先にいけ」

ミカサ「・・・」

ジャン「次はもうやるなよ。・・・その、なんだ、心配もするし」

ミカサ「・・・ごめん」

ジャン「それマルコ達にも言ってやれ」

ミカサ「うん」ギュッ

ジャン「・・・」

ジャン(ミカサって時々あのマフラーを握っているよな。エレンから貰ったんだっけか)

ジャン(大事にしてんだな。あー何か虚しくなってきた)

ジャン(今日の夜はライナーにエロ本借りて寝ようかな・・・はあ・・・)

ミカサ「・・・」

ミカサ(そういえば、ジャンとこうやってエレンが居ない時にあまり話したことがない)

ミカサ(いつも嫌なことばかり言って、虚栄心が高い。そしてよく怒る)

ミカサ(それだけの男だと思っていた・・・でも、少し違うように見える)

ミカサ(エレンと離れてから、私は今まで気づかなかったことの方が多いと判る)

ミカサ(私は・・・)フラッ

ジャン「ミカサ、バランス崩れてんぞ」

ミカサ「・・・」プシュッ グイッ

ミカサ(アルミンとエレン、二人は広い世界を見るために頑張っている)

ミカサ(私は、狭い世界で生きた)

ミカサ(・・・知りたい。もっと沢山のことを。もっとこの世界を知りたい)

ジャン(さっきからずっと黙ってるな・・・やっぱエレンのことでも考えてんのか?)

ジャン(俺とエレン、何が違うってんだよ・・くそ)

ジャン「・・・」ズーン

ミカサ「・・・」ズーン

マルコ「またかよ!二人で帰ってくる度にそうなるのやめてくれないか!?」

ベルトルト「ええと、教官がもう来てるから並ぼう?」

ジャン「おう・・・」

ミカサ「そうしよう・・・あの、二人とも」

マルコ「うん?」

ベルトルト「何?」

ミカサ「体調悪いの隠していて、ごめんなさい」ペコリ

マルコ「あ、やっぱりそうだったのか。言ってくれれば役割も替えられたのに」

マルコ「ずっと心配してたんだよ」

ベルトルト「あの時もやっぱり体調悪かったんだね。でも何事も無くてよかった」

ミカサ「・・・ごめんなさい」

ミカサ(ジャンの言うとおり、結果が良ければそうじゃない)

ミカサ(心配をかけてしまった・・・)

キース「全員整列!」

ジャン「そろそろ名指しでどやされそうだな。行くぞ」

マルコ「ああ」

ベルトルト「うん」

ジャン「ミカサもだ。教官のアイアンクローは嫌だろ」

ミカサ「・・・」コクリ

マルコ(なんかミカサ、少しだけジャンに素直になっている気がするなぁ)

マルコ(この二人、上手くいくといいんだけど・・・)

~一週間後~

ジャン「・・・」ソワソワ

マルコ「どうしたのジャン?落ち着かない様子だけど」

ジャン「いや、さ。最近のミカサってエレンを見ても落ち込んだりしねーからよ」

ジャン「そろそろデートに誘おうか迷っている」

マルコ「ああ。確かに前ほど落ち込んだりはしないよね」

ジャン「一応お前の言ってたとおりに変に刺激しねーようにはしてきたけど・・・」

マルコ(いや思い切り悪態とか説教してたよなお前)

ジャン「やっぱり待つのは俺の性に合わないっていうか。わかるだろ?な?」

マルコ「まあ・・・ジャンが我慢強い性格だとは思ってなかったけど」

ジャン「俺はやるぞ・・・今日の朝食でミカサを誘う!」

マルコ「好きにしろよ。でも案外上手くいくかもよ?」

マルコ「最近のミカサはエレンとアルミンを除けば、ジャンと仲いいように見えるし」

ジャン「やっぱりそう思うか?!俺もそんな気がしていたぜ!」

マルコ「あと僕とも仲がいいね」

ジャン「!?!? お前・・・まさか・・・」

マルコ「冗談だよ。僕にはそのつもりはないから安心しろって」

ジャン「びびらすなよマルコ。さすがにお前相手だとやりづれーよ・・・」

マルコ「そう?」

ジャン「だって友達が恋敵なんて嫌じゃねーか。これでもお前のことも気に入ってんだ」

マルコ「・・・・・・ジャンもさ、エレンに負けずに恥ずかしい所あるよね」

ジャン「はあ?!あいつと一緒にすんじゃねーよ!」

マルコ「似てるところがあると思うよ」

マルコ「でもエレンは皆を引っ張るタイプだけど、ジャンは弱い人に慕われるタイプだよね」

ジャン「あん?確かに成績下位の奴にやたら頼られるけど」

マルコ「エレンは太陽のようだけど、太陽があれば影も出来るもんだ」

マルコ「いわばジャンはその影にいる人ってところかな」

ジャン「それ褒めてんのか?なんか馬鹿にされてるような気がするんだが」

マルコ「ええと。怒らずに聞いて欲しいけど、ジャンは・・・」

ミカサ「・・・おはよう」

ジャン「よ、ようミカサ。今日もいい天気だな」

マルコ「おはよう。ジャン、この話はまた今度するよ」

ジャン「よくわかんねえけど・・・まあ待ってるわ」

ジャン「それより・・・な、なあミカサ。今度の休日って空いてるか?」

マルコ(お、早速誘いに行ったか)

ミカサ「特に予定はない」

ジャン「じゃあ俺と一緒に買物にでもいかねえか?新しい店が出来たんだってよ!」

ライナー「お、久しぶりにジャンのミカサアタックが始まったか」

コニー「振られるにパン一つ!」

ユミル「賭けか?なら私は受けるにパン賭ける。ベルトルさんは?」

ベルトルト「え、僕もやるの?」

ライナー「よし!俺とベルトルトは振られるに賭けるぞ!」

ベルトルト「ちょ、勝手に・・・」


ミカサ「わかった。一緒に行こう」


ライナー「なんだと!!!!!!」ガタッ

コニー「マジか!!!???」ガタッ

ユミル「よおっしゃあああ!私の勝ちだな!パン寄越せ!」

ベルトルト「ライナー・・・」ジロッ

ライナー「・・・すまん。しかしどうなってるんだアレは・・・珍しい」

ジャン「ほ、本当か!?マジで行ってくれるのか!?!?」

ミカサ「行く。連れて行ってほしい」

ジャン「よぉっし!よぉおおっし!か、必ず楽しい一日にする!約束する!」


アルミン「ミカサ・・・何考えてるの?まさか本気でジャンを・・・じゃないよね」

エレン「どうしたんだアルミン?」

アルミン「何でもない。ちょっと僕、あっちに行ってくるね」

エレン「? ああ」

アニ「・・・ミカサ、自棄を起こしたんじゃ・・・ないよね」

エレン「アニも顔色悪いけど、大丈夫か?」

アニ「あ、ああ。何でもないよエレン。ただご飯が口にあわないだけ」

エレン「?? お前もアルミンも、なんかよく分かんねーな」

ジャン「じゃあ、いつ集まる?!ええと、飯食うところも決めねーと・・」

アルミン「ちょっといい?」

ミカサ「・・・アルミン」

ジャン「何だよ。いま俺とミカサは忙しいんだ。後にしろ」

アルミン「ごめんごめん。でもミカサと少し話したいから、ちょっとミカサ借りるよ」

ジャン「おい!変なことを吹きこむつもりじゃねーだろうな!」

ミカサ「アルミンはそんなことしない」ジロッ

ジャン「う・・・くそ。わかったよ。連れて行けばいいだろ」

アルミン「ごめんねジャン。別に邪魔するわけじゃないから・・・」

ミカサ「ジャン、また後で予定について話そう」

ジャン「あ、ああ!待ってるからな、ミカサ!」

イヤーヨカッタナジャン!ヨッコノイロオトコ!オレノパンカエセ!
ボクノパン…
パンガホウサクデメシガウメエ

アルミン「・・・ミカサ、単刀直入に聞くけど。自棄を起こしてないよね?」

ミカサ「起こしていない」

アルミン「じゃあ何で誘いに乗ったの?今までは断るか、無視くらいしたじゃないか」

ミカサ「ここ最近、ジャン達と行動していて判ったことがある」

ミカサ「私の世界は・・・とても狭い。ジャンのことも、ただの嫌な人だと思っていた」

アルミン「君は昔からエレンだけを見ていたからね」

ミカサ「そう。でもエレンから離れた今、沢山の事が見える気がする」

ミカサ「エレンのことはまだ好き。多分、それは一生変わらないことだろう」

ミカサ「それでも、少しでも自分を変えたい・・・だから誘いに乗ろうと思った」

アルミン「そっか・・・考えた上で誘いに乗ったんだね」

ミカサ「心配をさせたなら、ごめん」

アルミン「いや、いいさ。自棄とかじゃないならそれでいい」

アルミン「むしろ君が変わろうとしているんだ。喜ばしいことだと思わない?」

ミカサ「アルミン・・・ん?」


ユミル「キルシュタインの!ちょっといいとっこ見ってみったい!」

ライナー「やってやれベルトルト!パンの恨みだ!」

ベルトルト「何で僕がこんなことを・・・よいしょ」メキメキ

ジャン「うおおおおおおおおお!!!????」

コニー「すげえ人の背中ってあんなに反るんだな!もっとやってやれ!」

マルコ「もうやめたげてよぉ!」


ミカサ「・・・やっぱ断ろうかな」

アルミン「か、可哀想だから行ってあげようよ!」

~休日~

ジャン「・・・」ドキドキドキドキ

ミカサ「ジャン、待たせた?」

ジャン「ぜ、ぜんっぜん待ってねえ!み、ミカサ・・・本当に来てくれたんだな」

ミカサ「約束したから。それより、どこに連れて行ってくれるの?」

ジャン「あ、ああ。新しい店が出来たって言っただろ?そこに行くつもりだ」

ミカサ「わかった。ついていく」

ジャン「内地の職人が作った工芸品を置いてある店でな、細工品が綺麗らしい」

ジャン「もし気に入ったのがあれば・・・その、言えよ」

ミカサ「どうして?」

ジャン「そりゃどうしてって、判るだろ?か、買ってやる!」

ミカサ「自分で買うからいい」

ジャン「・・・」ショボーン

ジャン(それにしても・・・)チラッ

ミカサ「・・・」

ジャン(本当にミカサとデートで来てるんだな。夢みてえだ・・・)

ジャン(ミカサは気まぐれで来たのかもしれん。でも、チャンスはチャンスだよな?)

ジャン(こ、告白・・・いけるか俺!?いけるのか!?)ググッ

ミカサ「ジャン、t字路だけど。どっちを曲がるの?」

ジャン「み、右だ。右に行って、そこを真っすぐ行った壁近くに店があるらしい」

ミカサ「そう」

ジャン「店に行った後に露店街も行こうぜ。他の区の商人が来てるらしい」

ミカサ「わかった」

ジャン(イマイチ反応が薄いな・・・ミカサはこういうのに興味がねーのかな)

ジャン(死に急ぎ野郎となら何でも喜びそうだけど)

ジャン(・・・いや、今日は俺とミカサがデートしているんだ!あいつは関係ねえ!)

ジャン「・・・」パンパンッ

ミカサ「? 何故いきなり自分の頬を?」

ジャン「気合入れってやつだ!もうすぐ着くぞ!」

ミカサ(そんなに気合を入れなければならない店なんだろうか・・・なら私も)

ミカサ「・・・」パンパンッ

ジャン「何で急に頬叩いてんだ?」

ミカサ「気合を入れた」

ジャン「????? お、おう?」

ミカサ(怪訝な顔をされた。何か違ったのかな)

ジャン「あ、ここだ。この店だ。結構人が集まってるなー」

ミカサ「・・・綺麗な細工」

ジャン「!! そ、そうだろ?最近まで無名の職人らしいが、繊細な細工をするんだ」

ミカサ「この人形も可愛い」

ジャン「・・・なんか死に急ぎ野郎に似ていないかソレ」

ミカサ「欲しい」

ジャン「お、俺が買うのか!?その人形を!?」

ミカサ「貴方は欲しいものがあれば買ってやると言った。なら、これを買って欲しい」

ジャン「ぐうううううう!わかった!買えばいいんだろ買えばぁ!」

ジャン「おい店主!これいくらだよ!」

店主「一千億超金貨」

ジャン「あ、そういうのはいいです」

店主「・・・100」

ジャン「100だな。ほらよ。・・・ミカサ、お前の人形だぞ」

ミカサ「ありがとうジャン」ギュッ

ジャン(俺が買った死に急ぎ野郎人形をミカサが抱きしめている・・・すげえ複雑だ)

ミカサ「エレン・・・」ギュッ

ジャン「・・・何か腹減ったな。ミカサは何か好きな食べ物とかあるか?」

ミカサ「嫌いなものはない・・・けど、知ってる店がある」

ジャン「へえ。じゃあそこに連れて行ってくれよ」

ミカサ「わかった」フッ

ジャン(わ、笑った!?こ、これはいけるんじゃないか?俺いけるんじゃないか!?)

ミカサ「その店は前にエレンが連れて行ってくれた店なの」

ジャン「おっふ」

ミカサ「何?」

ジャン「なんでもねえよ!」

ジャン(ちょっと期待したじゃねえかああああ!!!くそ!!!!)

ミカサ(数瞬前まで嬉しそうだったのに急に落ち込んだ・・・)

ミカサ(ジャンには最近世話になっている。何か返してやりたいのに)

店員「らっしゃっせー」

ミカサ「ここがその店。私はここのスープを気に入っている」

ジャン「大衆食堂か。美味そうな匂いさせてるな」

ミカサ「メニューはこれ。アルミンはこのムニエルが好きで、エレンは・・・」

ジャン「だーかーら!エレンの話は良いっての!俺はアイツが・・・」

ミカサ「ごめん、無意識だった」

ジャン「ったくよぉ・・・」

ミカサ「聞いてもいい?何でジャンはエレンをそこまで嫌うの?」

ジャン「いや、それは・・・なんだっていいだろ別に」

ミカサ「エレンは人に嫌われる性格ではない。なのに貴方は酷く嫌っている」

ミカサ「私はソレがとても気になっていた」

ジャン「そりゃ買いかぶりってもんだ。あいつを嫌う奴はそれなりにいる」

ミカサ「何故?エレンはただ努力をしているだけ」

ジャン「ソレはすげーと思うよ。努力して、調査兵団入って、巨人倒すんだろ?」

ジャン「厭味抜きでその精神力は大したもんだと思うぜ」

ミカサ「なら何故?」

ジャン「・・・例えば、舞台の主人公になれない奴の気持ちって判るか?」

ミカサ「?」

ジャン「俺はわかる」

ミカサ「ジャン・・・もっとわかりやすく説明して欲しい」

ジャン「今度アルミンにでも聞いてくれ。俺よりアイツの方が判るだろうよ」

ジャン「俺から説明すんのはしんどい」

ミカサ「わかった・・・」

店員「お客さん、ご注文はまだですか?」

ジャン「あ、すいません。ええと俺はこの魚の蒸し料理ください」

ミカサ「私はこのスープとパンを」

店員「はーい。お待ちくださいませ―」

ジャン「湿気た話はここまでにして、お互いの話でもしねえか?」

ミカサ「お互いの?」

ジャン「お前って自分のことをあんまり話さねえし。いい機会だからよ」

ミカサ「わかった」

ジャン「んじゃ俺から行くか。ええと、俺の出身地はさ・・・」

・・・

・・



ジャン「こんな時間になっちまった。日が沈む前に訓練所に帰ろうぜ」

ミカサ「ええ」

ジャン「ミカサの話、結構面白かったよ。案外話す方なのな」

ミカサ「必要ではないことを喋らないだけ。無口と思われるようだけど」

ジャン「俺も無口だと思ってたわ」

ミカサ「なら今日でその認識が改まったと思う」

ジャン「はは、そうだな。もう無口とか言えねーな」

ミカサ「それでいい」フッ

ジャン(今日はよく笑うなミカサ・・・全く笑顔を見たこと無いわけじゃねーけど)

ジャン(大体がエレンと居る時にしか笑わねえもんな)

ジャン(これはもしかしたらいけるんじゃないか!?いや、そうじゃなくても、)

ジャン(今言えば、意識くらいはしてくれるかもしんねえ)

ジャン(・・・よおおおっし!)

ジャン「な、なあミカサ。今日は楽しかったか?」

ミカサ「・・・ええ」

ジャン「そうか、そりゃよかった・・・あのよ、何で俺が今日誘ったか判るか?」

ミカサ「?」

ジャン「前も誘ったことあるよな。断られたけど・・・誰でも誘ってるわけじゃない」

ジャン「お前だから今日誘ったんだぜ、ミカサ」

ミカサ「・・・」

ジャン「ハッキリ言う。俺は、俺はずっと前からお前のことが・・・好」

ミカサ「ごめんなさい」

ジャン「・・・は?」

ミカサ「ごめんなさい」

ジャン「ま、まだ何も言ってねえだろぉ!?せめて最後まで言わせろ!」

ミカサ「何を言おうとしたのかさすがに判る。でも、ごめんなさい」

ジャン「それってエレンがまだ好きだからってことか?それなら別に俺は・・・」

ミカサ「そうじゃない」

ミカサ「誰かを好きになるということは、その人にとっての一番になりたいと思うだろう」

ミカサ「だけど私の一番はこの先何があってもエレンだけ。揺るがない」

ミカサ「だからジャン、貴方の気持ちに応えられない」

ジャン「・・・そんなのわかんねーだろ。これから変わるかもしれねえし」

ミカサ「変わらない。私の命も、居場所も、エレンが与えてくれたもの」

ミカサ「例えエレンが他の女を愛しても、死んだとしても、決して変わらないだろう」

ミカサ「だから貴方でなくても、誰の気持ちにも応えられない」


ジャン「は、」


ジャン「はは」

ミカサ「・・・ジャン?」

ジャン「そりゃそうだよな。お前にとって、エレンが一番で・・・二番はアルミンかな」

ジャン「俺は何番目だ?多分三番目にも自分の親父とか母親がいるんだろうな」

ミカサ「・・・」

ジャン「わかった、わかったよミカサ。お前の気持ちは良く判った・・・」

ジャン「勝手に期待して盛り上がった俺が馬鹿だったんだ。これは滑稽なこったな」

ミカサ「ジャン私は・・・私は貴方に感謝をしている。だから」

ジャン「・・・感謝ってなんだよ。感謝が何の腹の足しになるんだ!」

ジャン「そりゃお前の自己満足か!?」

ミカサ「違う・・・そうじゃない。自己満足じゃない」

ジャン「お前、俺が何の下心もなしに助けていたと思ってたのかよ。俺は見返りを求めてたんだ」

ジャン「もしかしたら・・・少しは俺のこと持って俺は思ってさ・・・」

ミカサ「ジャン、」

ジャン「・・・でも全部俺が勘違いしていた。お前は俺のことどうだっていいわけだ」

ミカサ「違う」

ジャン「何が違うんだよ。それとも可哀想な俺のために体の一つでも差し出すか?」

ミカサ「私は、私は貴方に沢山の事を教えられた」

ミカサ「ジャンはそのつもりはなかったのかもしれない。でも、視野が広がった」

ミカサ「だから今日誘いに乗ったのも、ジャンに少しでも返したくて・・・」

ジャン「そういうのはな!傲慢っつーんだ!!!」

ジャン「何だよ視野が広がったって!俺はお前を成長させるための道具か何かか!?」

ミカサ「そうじゃない!何故そうやって悪い方に・・・」

ジャン「もういい、これ以上話しても不毛だ。自分が嫌いになりそうになる」

ジャン「・・・帰ろう。日もだいぶ沈んだんだ」

ミカサ「ジャン・・・私は貴方をそんな風に思ったりしてない・・・」

ジャン「頼む。俺にこれ以上、お前に酷いことを言わせないでくれ」

ジャン「俺は全部飲み込んでお利口な返事ができるほど賢い人間じゃねえんだ」

ジャン「だからもう・・・帰ろう・・・」

ミカサ「・・・」ズキズキ

ミカサ(頭が痛い・・・何故、今この痛みを感じる。ジャンは家族ではない)

ミカサ(ではジャンは私のなんだろうか)

ミカサ(仲間、同期、感謝、友達、・・・わからない)

ミカサ(だけどジャンの望むものは私は与えられない。私は、どうすればいい)

ミカサ「・・・」ポロッ

ジャン「! な、何泣いてんだよ・・・」

ミカサ「・・・? 本当だ、私は泣いている」

ジャン「自覚なしかよ・・・、ああもう、これでも使え!」

ミカサ「ハンカチ・・・」

ジャン「返さなくていい。たまたま持ってたもんだからな」

ミカサ「私は、貴方に酷いことをしたのに、貸してくれるの?」

ジャン「そのつもりがないのに期待した俺が馬鹿だったといっただろ」

ジャン「ミカサだけが悪いわけじゃねえよ・・・」

ミカサ「・・・うっ、っ」ポロポロ

ジャン「泣くなよミカサ・・・お前に泣かれたらどうすればいいのか判らなくなる」

ミカサ「ごめん、なさい」

ジャン「はは、お前って感情表現豊か・・・」ポロッ

ジャン「は、俺にも移っちまった」ポロポロ

ミカサ「ジャン、傷つけてごめんなさい。酷いことをした」

ジャン「俺も、変に期待して悪かった。勘違いしてだっせえよな」

ミカサ「・・・ジャン、明日も一緒に朝食を食べてもいい?」

ジャン「・・・・・・・」

ミカサ「我儘を言っているの判っている・・・でも」

ジャン「明日は・・・マルコと一緒に食べてくれ。俺から話をしておくから」

ミカサ「・・・」

ジャン「お前と食べる飯の時間、楽しかったよ。でも俺にはもう無理だ」

ジャン「俺は頷けるほど強くない」

ミカサ「わかった・・・」

ジャン「お前のとる道・・・結構キツい道だと思うけど、俺だけは応援してる」

ジャン「これは一応、下心無しだ」

ミカサ「・・・ジャン」

ジャン「あと明日からは暫く関わらないでくれ。俺も一人になりたい」

ミカサ「・・・うん」ギュッ

ジャン「マフラーも大事にしろよ。いつも握ってるから、そのうち伸びるぞ」

ミカサ「・・・」ハッ

ジャン「そういうのもずっと見てたはずなのにな、俺も」

ジャン「ほら、訓練所に着いたぞ。宿舎までは・・・悪い、送ってやれねえ」

ミカサ「構わない・・・」

ジャン「それじゃ、おやすみミカサ。・・・さようなら」

ミカサ「さよう、なら」



サシャ「ぜいっぜいっ・・・ひいい・・・ご飯盗まなきゃよかっ・・はふ・・・」

サシャ「はふ、おや、あれは・・・」

ミカサ「・・・」

サシャ「はあ、はあ、ミカサ、こんなところで何をしてるんですか?」

ミカサ「・・・」ポロポロ

サシャ「み、ミカサ!?な、泣いているんですか!?」

ミカサ「うわ、ああ、あああああああん」

ミカサ「ああああああん・・・」

~翌日~

ジャン「・・・」ズーン

マルコ「またこのパターンかよ・・・ジャン、一体何があったの?」

マルコ「ミカサはサシャ達と食べてるし。まさかいつもの調子で怒らせたんじゃ」

ジャン「違う。振られた」

マルコ「はあ?」

ジャン「だからもうミカサとは食わない」

マルコ「振られるなんていつものことだろ?ジャンらしくもない・・・」

ジャン「・・・」ムシャムシャ

マルコ(なんかいつもと様子が違うな・・・これはいつもと違う振られ方したのか?)

サムエル「なんだよジャン。元気ないな」

ナック「最近かなり機嫌が良かったのに。体調でも悪いのか?」

ジャン「別に・・・ほっといてくれ。俺にもそういう日はある」

サムエル「はっはーミカサに振られたか?しょげんなしょげんな。いつものことだろ」

ジャン「・・・」ズズー

マルコ「あの、なんかいつもと違うみたいだから今日は・・・」

ナック「ジャンが大人しいと気が狂うな。いつもの大口やってくれよ、な?」

ジャン「うるせーなぁ。なんだ?どうせ次が立体機動訓練だからコツ聞きに来たんだろ?」

サムエル「そういうこった。前の説明じゃよくわかんねーから教えてくれよ」

ナック「お前、立体機動の扱いだけはピカイチだからな」

ジャン「ったくよぉ・・・お前らも現金だよな。いいよ、何がわからないんだ?」

マルコ「はは、少し調子でたね。二人とも、ありがとう」

サムエル「ジャンはムカつくくらいじゃねーと、いつも通りって感じがしねえよ」

ナック「性格悪くないジャンなんてただの優等生だよな」

ジャン「お前ら安心のクズだな!俺を何だと思ってやがる!」

ダカラカンセイノホウソクガダナー
ナルホドワカラン
ブットバスゾ!!!

ミカサ「・・・」チラッチラッ

クリスタ「ジャンは相変わらずああいう人たちに人気があるね」

サシャ「エレンとは真逆ですねえ。ミカサ、気になりますか?」

ミカサ「・・・」

クリスタ「ジャンはああしてると面倒見がいいのに、色々と勿体無いなぁ」

ユミル「口が悪いのと、エレン絡みでの沸点の低さが致命的だな」

サシャ「だってあの二人は水と油ですもん。ジャンはさしずめエレンの影ですかね」

ミカサ「アルミンも同じ事を言っていた」

ユミル「・・・ジャンは良くも悪くも普通だからな。そういう奴の気持ちもわかるんだろ」

ミカサ「普通の人の、気持ち?」

ユミル「凄い奴を素直に凄いと思えず、見ていて嫉妬を覚えちまう奴も居る」

ユミル「でも同時に憧れてもいる。ジレンマってやつかね」

ミカサ「ユミルは時々大人びたことを言う」

サシャ「同じ十代のはずなんですがね。年齢詐称ですか?」

クリスタ「え、本当は二十代だったりするのユミル・・・?」

ユミル「お前ら殺されたいのか?」

ミカサ「・・・そういう意味なら私も判る。私もエレンが羨ましくて、時々眩しい」

クリスタ「ミカサは太陽と月で言うと、月って感じだよね」

ユミル「そりゃ一人で輝けないって意味かぁ?」

クリスタ「ち、違うよ!なんでそういう風に受け取るのかな・・・!」

ミカサ「いや、合っている。とてもそれがしっくりきた」

ミカサ「私はエレンという太陽が居て成り立つ。でも今はエレンが居ない」

ミカサ「・・・どこかでそれを、ジャンに求めていたかもしれない」

ユミル「そりゃ大層な役目を背負わせようとしたもんだ。あいつが太陽って柄か?」

サシャ「同じ球体でもダンゴムシですかね」

クリスタ「サシャって結構言うよね・・・」

ユミル「・・・まあそれはとにかく、精算したらどうなんだよ」

ミカサ「エレンとのこと?」

ユミル「そうだ。いつまでも引きずって暗い顔されるとうざってえ」

クリスタ「私も・・・えっと、うざいとは思わないけど。そのほうがいいと思う」

クリスタ「じゃないとエレンだって、気づかないうちにミカサを傷つけちゃう」

クリスタ「そんなのお互いに良くないよ・・・」

サシャ「エレンの性格上、あとでソレを知ったら後悔するでしょうしね」

ミカサ「・・・考えてみる」

クリスタ「お、応援してるよっ」

サシャ「頑張ってください!」

ユミル「振られる前提の告白を応援してどうすんだか・・・」

クリスタ「ユミルもジャンに負けないくらい口が悪いよね」

サシャ「こちらは悪意でやってる分、ジャンよりタチが悪いです」

ユミル「喧嘩か?お前らさっきから喧嘩売ってるのか?」

サシャ「いや、ただ真実を・・・」

クリスタ「言われて腹を立てるくらいなら直したらいいのに・・・」

ユミル「うるせーよ!」

ミカサ「・・・ふふ」

クリスタ「み、ミカサが・・・」

サシャ「笑った・・・!?め、珍しくないですか?ねえ?」

ユミル「最近だと、ジャンと居る時も笑ってたよな」

ミカサ「そう。ジャンは結構面白い人」

ユミル「・・・私はそう言うんでもいいと思うけどね。ジャンとお前も頭悪いよ」

ミカサ「言っている意味が判らない」

ユミル「これ以上は言わん。クリスタとサシャが何か言ってくるしな」

サシャ「言ってくださいよユミル。パン一欠片あげますから」

クリスタ「ユミル拗ねないで」

ユミル「知らね」

ミカサ(私の気持ち・・・伝えるべきか。それともこのまま秘めたままにするか)

エレン「ライナー!次の訓練は一緒の班だな!頑張ろうぜ!」

ライナー「やる気十分だなエレン。よし、一等目指すか!」

エレン「ああ!他の班には負けねえぞ!」

ミカサ(エレン・・・)ギュッ



・・

・・・

ジャン「あーだりーやる気でねぇー」

サムエル「その割には立体機動訓練、随分気合入ってたじゃねーか」

ナック「なあジャン。やっぱり慣性?あれよく判らないんだが」

ジャン「実践もしてまだわかんねーのかよ。知性は巨人並かテメエは」

サムエル「お前の説明が悪いんだよ、ああそうに違いない」

ナック「そうだそうだ。ジャンの説明が悪い」

ジャン「お褒めの言葉ありがとよクズども。もう教えてやんねー」

サムエル「そう言わずに助けてくれよ」

ナック「ジャンの分の装置の整備、やってやるからさ」

ジャン「お前のド下手糞な整備で飛べるか!今度お前らの秘蔵のエロ本貸せよな」

マルコ「はは・・・お前らっていい友達だよな」

ジャン「まともな友達はマルコしかいねーよ。お前だけが俺の癒しだわ」

サムエル「やだオホモダチ?」

ナック「不潔だなジャン」

ジャン「ケツにブレード突っ込んでやろうか?あ?」

エレン「お、ジャン。今日は随分と調子が良かったな。何か良い事あったか?」

ジャン「・・・」

エレン「何睨んでるんだよ」

ジャン「べぇっつにいいいい?エレンくんが話しかけるなんて珍しいですねぇ?」

エレン「いきなり喧嘩売るんじゃねーよ。なあ、コツ教えてくれ」

ジャン「イヤデスー」

エレン「いいだろ。他のやつには教えてるじゃねーか」

ジャン「教わりたきゃミカサに教わればいいだろ。あいつだって上手いじゃねえか」

ジャン「なんでわざわざ俺に聞くんだ?仲良くねえだろ」

エレン「ついでにそのミカサのことで話もしたい」

ジャン「・・・は?」

エレン「最近ちょっと様子が可笑しい気がしてよ。お前も一緒に居るようだし・・・」

エレン「なにか知ってるのかもって思って」

ジャン「お前、気づいていたのかよ」

エレン「そりゃ・・・家族だし。ミカサの様子がおかしければ心配だってするだろ」

ジャン「・・・家族、家族家族。お前はソレばっかだなエレン」

エレン「は?」

ジャン「鈍感も過ぎれば罪悪だってわかんねーか?お前がそんなだから俺はな!」ガッ

エレン「うわ!なんだよ!?服が破ける・・!」

マルコ「ちょ、ちょっとジャン!何やってんだ!」

サムエル「おいジャン落ち着けって!何急に突っかかってんだよ!」

ジャン「離せ!こいつは殴らないと気がすまねえ!」

エレン「俺がなにやったってんだよ!あっくそ!服が伸びたじゃねーか!」ガッ

ナック「エレンもやめろ!教官に見つかったらどうすんだ!」

ギャーギャー

ライナー「おい何の騒ぎ・・・お前ら、何やってんだ!行くぞベルトルト!」

ベルトルト「僕も止めに行くのか・・・はあ・・・」

コニー「文句言うな!教官に見つかる前に止めないと大目玉だぞ!」

ジャン「畜生!畜生!何でお前なんだよ!くそ!」ガッガッ

エレン「だから!言っている意味がわかんねーっつってんだ!」ガッガッ

ライナー「ほらジャン!離れるんだ!」ベリッ

コニー「エレンもだ!ほら!」ベリッ

ベルトルト「あれ僕が来た意味無くない?」

ジャン「はっなっせぇっ!こいつは殴る!ぶん殴る!」

ライナー「お前、対人格闘はエレンより成績低いだろ!勝てると思ってるのか!」

エレン「ジャンがいきなり殴ってきやがったんだ!」

コニー「だからってやり返したら喧嘩になんだろ!」

ベルトルト「そうだよ。二人共少し落ち着こう?ジャン、何でいきなり殴ったの」

マルコ「それは・・・あっ。もしかしてミカサ絡みか、ジャン?」

ジャン「・・・・」

エレン「何でミカサのことで俺を殴るんだよ!」

ジャン「何で・・・だああ・・・?」ググッ

ライナー「こら落ち着け!ジャンどうどう!よーしよしよしよし!」ワシャワシャ

ジャン「人を犬扱いしてんじゃねえよ特徴的な眉!」

コニー「おいライナーまで攻撃するのは止めろ!言って悪いことがある!」

ベルトルト「あ、今の悪口なんだ」

サムエル「ジャン、いきなり殴ったのはさすがに駄目だ。ここはエレンに謝ろう」

ナック「言いたいことも判るが、暴力はダメだって」

ジャン「・・・嫌だ。謝らない」

マルコ「ジャン!」

ジャン「何が家族だよ、何が心配だよ・・・白々しい。胸糞悪いんだよエレン」

ジャン「だから俺はお前が嫌いなんだ。弱い奴の気持ちがわからないお前がな」

エレン「・・・だったらお前に俺の気持ちはわかるのかよ」

エレン「俺が何も考えてない巨人倒したいだけの死に急ぎ野郎だと思ってんのか?」

ジャン「違うか?実際そうだろうが」

エレン「その通りなら、もし巨人がこの世から居なくなったら、俺はどうするんだ」

エレン「何もない人間になっちまう」

エレン「俺は・・・本当は、外の世界を知りたくて、兵士になりたかったんだ」

エレン「巨人の駆逐なんて・・・母さんが死ぬまで強く考えたこと無かった」

ジャン「・・・・・・」

ライナー「もういいエレン。無理に自分のことを語る必要はない」

ライナー「ジャン。エレンに言うことがあるだろ?」

ジャン「・・・悪かった。すまん」

エレン「もういいよ。お前が俺を嫌ってると判った上で変な頼み事した俺も悪い」

エレン「でも一発殴らせろ」ガッ

ジャン「いっ・・・・てえええ!思い切り殴んじゃねーよ!」

エレン「お前も殴ったんだからあいこだろ!」

コニー「ったく。最近喧嘩しねえから仲良くなったのかと思ってたぞ」

ベルトルト「やっぱり水と油だね」

マルコ「皆、すまなかったな。ほらジャンも皆にちゃんと謝れよ」

ジャン「悪かったよ」

ナック「ホントだよ!お前あっちこっち蹴りやがって!ほい仕返し」ゲシッ

サムエル「痣になったじゃねーか。ほい俺も仕返し」ドカッ

ジャン「いてーな!お前らは一回死ね!」

ライナー「教官に見つからない間に宿舎に戻るか。二人共、飯の前に手当だな」

ベルトルト「じゃあ軟膏を医務室から貰わないと・・・」

コニー「クリスタから貰おうぜ。確か馬用のを持ってたはず」

ジャン「動物用のを使う気かよ・・・」

コニー「馬みたいな顔してるんだから丁度いいだろ」

ジャン「黙れマルコメ」

コニー「なんだよマルコメって!すげえ侮辱された気がする!」

マルコ「お前らまで喧嘩するのは止めろ!」

ザッザッ

ミカサ「・・・エレン」

エレン「あ、ミカサ。お前まだ残ってたのかよ」

ミカサ「エレンに話がある。来て欲しい」

書き溜め分はここまでです。また書き溜めたら投下します
かなり遅れたとしても今週中には終わらせる予定

ジャン「・・・」

エレン「はあ?いや、でも今は・・・」

ライナー「用があるなら手当をしてからでもいいか?二人とも結構打撲してるんでな」

ミカサ「わかった。じゃあ夕食の後に声をかける」

エレン「おう」

ジャン「・・・ミカサ、話すのか?」

ミカサ「そう・・・私は話す。明かすこととする」

ジャン「頑張れよ」

ミカサ「ええ。ありがとう」

エレン「?? なんだジャン。お前は内容知ってるのか?」

ジャン「さあな」

ジャン「多分、俺には関係のない話だ」

~夕食~

ミカサ「・・・」ドックンドックンドックンドックン

クリスタ「ミカサの心臓の音がこっちにまで聞こえてくる・・・」

サシャ「よほど緊張しているんですね」

ユミル(周りに聞こえるほどの心臓の音ってどうなってんだよ)

ミカサ「・・・」ペロ

クリスタ「ひ、人の字を書いて舐めた・・・!」

ユミル「古典的過ぎるだろ」

サシャ「ミカサ、緊張するのはわかりますが、何か食べないとお腹すきますよ・・・」

ミカサ「喉に通る気がしない」

ユミル「んじゃ告白の最中に腹を鳴らすしかねーなぁ」

ミカサ「! た、食べる・・・」モグモグ

クリスタ「そうそう。お腹の音が鳴ったら恥ずかしいもんね」

サシャ「お腹空くと頭も働きませんしね!」

ジャン「・・・」ハァ

マルコ「ジャン、また元気を無くしちゃったな。どうしたんだ?」

ジャン「ミカサに振られた」

マルコ「それはもう朝に聞いたって。ぶっちゃけさ、まだミカサが好きだろ?」

ジャン「・・・わかんねえ」

ジャン「振られてから色々と考えた。俺って本当にミカサが好きだったのかなーとかよ」

マルコ「で、考えた結果は?」

ジャン「わかんねえ。今、ミカサが好きかと言われたら即答はできない」

ジャン「でもミカサのことを考えちまうから、正直自分でもどうしたいのかわからん」

マルコ(これは重症だなぁ・・・)

ジャン「だけど俺は誰かの二番目三番目になるのは嫌だ」

マルコ「・・・僕は一番とか二番とか、そういうのは問題じゃないと思うけど」

ジャン「あ?」

マルコ「ジャンは自分の親とミカサ、どちらかしか選べないと言われたら選べる?」

ジャン「んなもん、」

マルコ「多分お前はこの場ではミカサと言うだろうな」

ジャン「・・・」

マルコ「だけどそう単純じゃない。だからさ、そんなことは気にせずに・・・」

カンカンカンカン

マルコ「と、食事の時間が終わっちゃったな。部屋で続きを話そうか?」

ジャン「いや、いい。何となく言いたいことは分かった」

マルコ「そっか」

ジャン「・・・あのよマルコ。俺はお前とミカサの場合でも迷うと思うぞ」

マルコ「はっ?何だよ急に」

ジャン「お前はいい友達ってことだよ。おら、部屋に戻んぞ」ガタッ

マルコ「お前は本当に・・・なんだかなぁ」ガタッ

アシタノクンレンメンドクセーナー
ケンペイダンニハイリタイナラガンバレ

ミカサ「・・・エレン」

エレン「お、ミカサ。夕食後に話があるんだったな・・・どこかに移動するか?」

ミカサ「出来るだけ人気のないところがいい」

エレン「・・・もしかして結構真面目な話だったりするか?」

ミカサ「そう」

エレン「わかったよ。じゃあ宿舎裏辺りに行こうぜ」

ミカサ「そうしよう」

エレン「んで、ここまで来たけど話ってなんだよ?」

ミカサ「・・・」

エレン「どうした?言い難いことなのか?」

ミカサ「エレン。これから話すことはどうか落ち着いて聞いて欲しい」

ミカサ「そして貴方がどう思ったとしても、私は貴方を家族だと思うだろう」

エレン「・・・おう」

ミカサ「前置きはここまで。先に言いたいことを、言おう」


ミカサ「私は、貴方が好き」


エレン「は、え?」

ミカサ「それは家族としてではなく、異性に向ける感情としての好き」

ミカサ「私は貴方に救われたあの日から、ずっとエレンを想っていた」

エレン「・・・」

エレン「そうだった、のか」

ミカサ「貴方は知らないだろうけど、裏側ではアニと争ったこともあった」

ミカサ「でも、私はきっと臆病だったのだろう」

ミカサ「この告白も今になってやっと出来るくらいなのだから」

ミカサ「本当はずっと、ずっとこの感情も押し殺して、生きるつもりだった」

ミカサ「アニと貴方のことも祝福するつもりだった」

ミカサ「なのに、なのにずっと苦しい」

ミカサ「貴方が幸せなはずなのに、私はずっと苦しい」

ミカサ「貴方を好きで好きで、今も好きで、こんなの、辛い」

ミカサ「それなのに貴方を好きで居ることをやめられない」

ミカサ「だから、今更こんなこと言われたって、迷惑なのかもしれない」

ミカサ「それでも、伝えなければ進めないと、私は思った」

エレン「・・・」

ミカサ「エレン、1つだけ理不尽な恨み事を聞いて欲しい」

エレン「ああ」

ミカサ「私はずっと昔から、貴方のことが好きだった、のに、どうして」

ミカサ「どうして、私ではなく、アニを選んだ、の」

ミカサ「私だって負けないくらい、いいえ私こそが世界一貴方を、貴方をっ」

ギュッ

ミカサ「っ」

エレン「もういいよミカサ」

ミカサ「うあ、ああ、あああああ」

エレン「お前が一番側に居たのに、俺は何もわかってなかったな」

エレン「ジャンにも怒られるわけだ・・・」

ミカサ「うわああ、あああん、ああああん・・・!」

エレン「ミカサ。俺を好きになってくれてありがとう」

エレン「俺はお前じゃなくアニを選んだけど、でもお前のことも大事に思っている」

エレン「はは、ここだけの話な。入団時はお前を守りたいなんて思ったんだ」

ミカサ「・・・!」グスッ

エレン「お前は俺より強くて、守る必要なんて無いのかもしれんが・・・」

エレン「でも、お前は俺に残された最後の家族だ」

エレン「俺はお前とそういう関係にはなれないのかもしれない」

エレン「そうだとしてもお前が傷ついたり危ない時は命をかけてもいい」

エレン「だから、お前の告白を迷惑なんて思ったりしねえよ」

ミカサ「エレン・・・エレンっ」ギュウ

エレン「初めて会った時も、泣いてたよな。お前って、本当は泣き虫だよ」

ミカサ「うん、うん・・・」

エレン「泣き止むまでこうしてる。でもアニには内緒にしとけよ」ギュッ

ミカサ「言わない・・・アニには内緒」ギュッ

ミカサ「エレン、ずっと好き。貴方を一生、一番好き」

ミカサ「貴方をずっと、一番愛している、エレン」

・・・

・・



スタスタ

ジャン「・・・はー。部屋に居ても、なんか落ち着かねえな・・・」

ジャン(今頃ミカサはエレンに告白してるんだろうなぁ・・・)

ジャン(そんで、一生エレンだけが好きなんて言ってるんだろうよ)

ジャン(エレンはどう返すかな。愛人にするとか言ったら殺す)

ジャン(いや、言うわけねーか。あいつはそういうことはしねえしな・・・)

ジャン(もっとエレンが嫌なやつで、どうしようもなければ逆恨みも出来たのによ)

ジャン(俺って中途半端だな)

ミカサ「ジャン」

ジャン「おわ!?って、ミカサ?お前、エレンとの話はどうした」

ミカサ「終わった」グスッ

ジャン「・・・目、真っ赤だな。泣いたのか?」

ミカサ「泣いた。そして振られた。アニがいるし、私は家族にしか見えないって」

ジャン「まあ予想通りだわな。つーかよ、お前忘れてないか?」

ミカサ「?」

ジャン「俺はお前に昨日振られたばかりで傷心なんだが。ほっとけって言っただろ」

ミカサ「・・・ごめんなさい。うっかりしていた」

ジャン「まあいいんだけどよ」

ジャン「なあ、告白してスッキリしたか?」

ミカサ「した」

ジャン「そりゃ良かった。言わないっつーのはしんどいからな」

ミカサ「ぎゅってして貰った」

ジャン「マジかよ!?あの死に急ぎスケベ野郎・・・明日ぶん殴ってやろうか・・・」

ミカサ「駄目。私を慰めるためにやったのだから。エレンにそのつもりはない」

ジャン「ソーデスカー」

ミカサ「でも、これで今度こそ私は乗り越えないといけない」

ミカサ「エレンのことはきっと一生一番好き。でもいつか・・・もし出来るなら・・・」

ミカサ「エレンじゃない誰かを好きになってみたい、と、思う」

ジャン「・・・・・・」

ジャン「あのよ、それは俺じゃ駄目か?」

カサ「え?」

ジャン「あ、やっぱいい。今言うことじゃねえよな。忘れてくれ」

ミカサ「気にしない。続けて欲しい」

ジャン「・・・振られてから頭が破裂するんじゃねーかってくらい考えた」

ジャン「んで情けねえんだけどよ、俺はまだお前のことが好きみたいだ」

ジャン「未練たらしいよな」

ミカサ「ジャンは・・・私でいいの?私は貴方を一番好きになれない」

ミカサ「私はエレンを一番好きだと、そう貴方に言ったのに」

ジャン「お前なぁ・・・それを言うならこの先ずっと出会いなんて見込めねーだろ」

ジャン「それに、一番とか二番とか、そういうんじゃねえかもって思ったんだ」

ミカサ「・・・?」

ジャン「マルコに言われたんだ。親とお前、どちらかを選ばないといけない時、」

ジャン「どちらを選ぶかって」

ジャン「俺さぁ・・・答えられなかったよ。お前のことが好きなのにな」

ジャン「その時さ、思ったんだ。一番とか二番とか、物事はそう単純じゃないって」

ミカサ「・・・ジャン。でも私はきっとエレンを必ず選ぶ」

ミカサ「貴方とエレンが病気になって、クスリが一つしか無い時、私はエレンに使う」

ミカサ「エレンが悲しめば貴方と街を散策する時もエレンの元に行く」

ミカサ「そしてもし、もしエレンとアニが離れることがあれば、私は、きっと」

ジャン「なあミカサ。俺は頑張ればお前の何番目になれる」

ミカサ「駄目。だって私は、私はどうしてもエレンを優先してしまう!」

ミカサ「そんな私が貴方に好きになれなんて言えない・・・っ」ポロポロ

ジャン「・・・もう一回聞くぞ。俺は頑張れば何番目だ?」

ミカサ「三番目。もっと頑張っても二番、一番には決してなれない」

ジャン「じゃあそれでいいよ。俺、二番でいい」

ジャン「一番はエレンに譲ってやる。だから俺を二番目に好きになってくれよミカサ」

ミカサ「どうしてそこまで言えるの?」

ミカサ「私はジャンにそこまで好きになって貰えるほど、何かを与えていない」

ジャン「俺もよくわかんねえや」

ジャン「でも初めてその黒髪見た時から俺はこんなもんだ。だから、そんなもんなんだよ」

ミカサ「私は・・・」

ジャン「今すぐ返事なんていらねえよ。もう、俺も大分開き直ったからよ」

ジャン「だから、もしその気になってくれるならよ・・・」


ジャン「また明日、朝食を一緒に食おうぜ?」


・・・

・・



~朝食~

ジャン「・・・」ズーン

マルコ「もういい加減慣れたなコレも・・・また何かあったのかジャン?」

ジャン「いや、その、なんだ。昨日の自分の言動がすげえ恥ずかしい」

マルコ「お前が恥ずかしいのは今更だろ」

ジャン「失礼なことを言ってんじゃねえよ!あー死にたい」

ミカサ「・・・死なれたら困る」ガタッ

ジャン「ホハッ!?」

マルコ「ミカサ!い、一緒に朝食を食べるのか・・・でも、ジャンは・・・」チラッ

ジャン「・・・」プルプルプルプル

マルコ「何で顔を真赤にして顔を隠してるんだよ!?」

ジャン「マルコ・・・今の俺に触れるな・・・!」プルプルプルプル

ミカサ「いただきます」

マルコ「そしてお前はマイペースだなミカサ!」

マルコ「よく判らないけど、まあ一緒にまたご飯を食べれて何よりだ」

ミカサ「私もまたマルコと食べれて喜ばしく思う」

ジャン「!? ま、マルコ・・・てめ・・・」ギロッ

マルコ「いやいやいや今のは社交辞令だろ。どんだけ器小さいんだお前は」

ジャン「小さくねえよ!・・・み、ミカサ、その、なんだ」

ミカサ「?」

ジャン「ぉ、おはよう・・・」

マルコ「何だそれ」

ミカサ「・・・おはよう、ジャン」

ジャン「はうんっ」

マルコ「気持ち悪っ」

ジャン「それが友達に言うセリフか!もっと俺に優しくしろよ!!」

マルコ「今日のジャン凄い面倒くさいな」

エレン「・・・」ガタッ

アニ「・・・」ガタッ

アルミン「・・・」ガタッ

ジャン「えっ、何でお前らまで来て・・・・」

マルコ「え、ええと。何だか大所帯なってきたな・・・はは・・・?」

エレン「・・・ジャン」

ジャン「何だよ死に急ぎ野郎」

エレン「ミカサから色々と話しは聞いているし、世話になったことを感謝してる」

エレン「だが!」クワッ

ジャン「はひ!?」

エレン「うちのミカサはお前みたいな馬面には!やらねえ!!!」

ジャン「ああああああああ!?」

アニ「・・・」ウンウン

ジャン「え、お前も何なの!?頷いてるんじゃねえよ!」

アルミン「ジャンごめん・・・止めたんだけど、エレンがどうしてもって」

ジャン「これはどういう状況なんだよ!教えてくれ!」

アルミン「・・・僕もミカサがエレンに告白したことは聞いた。アニも知っている」

アルミン「しかしそれを引き金に、エレンは目覚めてしまったんだ」

ジャン「何にだよ!」

アルミン「父性に・・・だ!」

ジャン「何・・・だと」

エレン「うちのミカサに手を出したらぶっ飛ばすからな!」

マルコ「うわぁ・・・今日はエレンも面倒くさいぞ・・・」

アニ「い、義妹に、て、手は・・・」カアアッ

ジャン「てめえもノってくんじゃねえよ!つかお前ら結婚してねーだろ!?」

ギャーギャーワーワー

ライナー「あの卓すげえ面白そうだな。上手くいくにパン一つ」

ユミル「私はエレンの妨害に音を上げるにパン一つ賭ける。ベルトルさんは?」

ベルトルト「えっ、また僕もやるの?」

ライナー「よし!ベルトルトの分もだ!」

ベルトルト「また勝手に!ライナー、この前からいい加減にしろよ・・・」ガシッ

ライナー「ちょ、」

ベルトルトマテドンガラガシャーン
サイキンノキミハセンシトシテノジカクガドウタラ!!!!!!

サシャ「おおっと!こちらでも騒ぎが始まりましたね!?」

コニー「ベルトルトとライナーか!珍しい組み合わせの喧嘩だな!」

クリスタ「け、喧嘩は駄目だよ!止めないと・・・!」

ハンナ「フランツっ私怖いっ」ギュッ

フランツ「僕が守ってみせるよハンナ!」ギュッ

エレン「ミカサが欲しければもっと兵士として洗練しねえと俺は認めねえ!」

ジャン「何なんだよもう!過保護は嫌われるぜエレン!」

ミカサ「それはない」

ジャン「お前はどっちの味方・・・エレンですよねそうですよねぇー!」

アニ「あ、アナタ頑張ってー・・・」カアアッ

アルミン「アニ・・・無理に自分のキャラに合ってないことしなくていいから」

アニ「そ、そうだね・・・」カアアアアアアアアアアアッ

マルコ「何というか前よりややこしいことになってるなジャン・・・」

ジャン「ご心配ありがとよ!このアホなんとかしてくれ!」

エレン「誰がアホだ!この馬鹿!」

ジャン「馬鹿って言ったほうが馬・・・ああもう面倒くせえなオイ!」

ミカサ「ジャン」

ジャン「なんだよ!お前の家族止めてくれる気になったか!?」

ミカサ「とても楽しい」

ジャン「・・・そーかよ」

エレン「うちの子に色目使ってんじゃねえ!!」

ジャン「やめろ面倒くさい!いますっげえ良い感じだったのに台無しじゃねえか!」

エレン「ざまあ」ハッ

ジャン「殺す」ギリッ

ドッタンバッタンガシャーンパリーン

ライナー「俺が悪かった!戦士として自覚が足りてなかった!」

ベルトルト「君もアニもさぁー!人の苦労をさぁー!」ギリギリギリギリ

ユミル「ベルトルさん落ち着け!さすがにそろそろ教官が来る!」

ベルトルト「君も毎回何で僕を賭けに誘うの!もーあったまきた!」グワシッ

ユミル「え、それhいてええええええええ!!!???」ミシミシ

サシャ「で、出たぁー!192cmの生み出すアイアンクロー!」

コニー「あれ本気で痛いんだよな・・・」ブルッ

バッタンバッタンドンガラガラー

クリスタ「皆!皆落ち着いて!騒ぎすぎよ・・・!」

ハンナ「フランツ!」

フランツ「ハンナぁ!」

クリスタ「み、皆、静かに・・・」


ギィ


キース「かなり大きな音がしているようだが・・・何かあったのか?」

ジャン「死ねこの死に急ぎ野・・・あっ」

エレン「うるせえこのクズ野・・・やべっ」

ベルトルト「・・・・あ」ミシミシギリギリ

ライナー「ベルトルト!教官来てる!来てるから関節・・おおお!?」ギチッ

ユミル「割れる!頭が割れる!」ミシッ

キース「・・・後で教官室に来るように」

バタン

マルコ「せ、説明を求める必要もないって顔で去っていった・・・」

ジャン「どうすんだよこの野郎!」

エレン「知るか!行くしかねえだろ!」

ベルトルト「・・・はあ」

ライナー「いや何でお前がため息を吐いているんだ」

ユミル「加害者なのにここまで被害者面とか色々と酷いなベルトルさんは」

ミカサ「ジャン」

ジャン「なんだよ!」

ミカサ「エレンを巻き込んだ・・・お仕置き・・・」グリッ

ジャン「いてえ!尻をつね・・・凄く痛いのでやめてください本当に痛いコレ」

ミカサ「・・・説教、頑張って」

ジャン「お、おう」

エレン「・・・・・・・・・・・・・娘はやらんぞ」ジロッ

ジャン「お前の娘じゃねえだろ!」

ライナー「あーもーこれ以上騒ぐなお前ら!行くぞ!」

ベルトルト「何でこんなことに・・・」

ユミル「騒いだからだろ」

ジャン「よりにとってこの日にここまでの騒ぎになるとはな」

ジャン(ま、こういう始まり方も悪くはねえか・・・)

ミカサ「いってらっしゃい、エレン。・・・それに、ジャンも」フッ



ジャン「・・・おう」ニカッ



おわり

以上です。ダラダラと長くなってすみません。ちなみにオレは普段はエレミカ派です
数えたらこれでssが8個目になってて俺は暇人だと思いました

読んでくれた人と感想くれた人はありがとうございました

アニが無理して奥さんっぽい口調してたのが笑ったw

よければ今まで書いた作品教えてくれ

>>171
タイトルを直接アレするのは恥ずかしいので概要だけ

・ベルユミ名前ネタ
・おっぱいパブ
・ライナーホモハーレムでベルトルトの胃が痛い
・うんことおしっこを我慢する訓練
・ハンナとフランツの話
・ベルチンコ

ごめん今回ので7作目でした。俺嘘ついた

寝て起きたら凄く恥ずかしくなってきたので、これもまとめ無しでお願いします

うんことかベルチンコのほうがよっぽど内容的に恥ずかしいだろって話だけど、
俺にも何が恥ずかしいかわからん
何か毎回恥ずかしがってる気がするな俺・・・

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年09月05日 (木) 07:49:51   ID: gQMXRDWj

他のやつの方がタイトルからしてハズいw
ジャンはなぁ~ものすごい名脇役だよな 読者に好かれるタイプ

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