エレン「はーぁ…疲れた疲れた…」ドサッ
ミカサ「エレン。なにをしているの?」
エレン「ミカサか。ちょっとな、休憩だよ」
ミカサ「疲れたのなら部屋へ行って休むべき。こんなところで座り込んでいないで」
エレン「部屋行ったらダメだ。ベッドに倒れて寝ちまう」
ミカサ「今日は午後から休養日のはず。寝てしまっても問題は、ない」
.
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エレン「そうなんだけど、午後は自主練したいからな。少しだけ休むんだ」
ミカサ「せっかくの休みなのに、エレンは熱心ね」
エレン「まぁな。こういうところで周りと差をつけねえと」
ミカサ「なるほど。参考にしよう」
エレン「といっても、お前には差を付けられっぱなしだけどな…」
ミカサ「そんなことはない。すぐにエレンも私に追いつく」
エレン「お前に追いつく為にも、頑張らないといけねえのさ。だけど今は…」
ミカサ「ちょっとだけ休憩?」
エレン「ああ、ちょっとだけな」
.
エレン「ところでお前、午後の休みはどうするんだ?」
ミカサ「私は部屋で寝る予定だった。休養は大切だ」
エレン「そうか。ミカサも疲れてるもんな」
ミカサ「だけど、エレンが鍛錬を積むというのなら、私も一緒にやる」
エレン「…いや、それはいいぜ。休むつもりだったんだろ?お前に悪いからな」
ミカサ「悪くない。私はかまわない。だから共に訓練を」
エレン「オーケー。じゃあ言い方を変えるぞ」
ミカサ「?」
エレン「お前に追いつく為の訓練をお前とやってどうする」
ミカサ「なんと…」ハッ
.
ミカサ「で、でも、ほかの訓練生とは差を付けられる」
エレン「おお、その心は?」
ミカサ「私は強い」
エレン「うん」
ミカサ「とても強い」
エレン「おう」
ミカサ「すっごく強い」
エレン「そうだな、で?」
ミカサ「…ので、私がエレンに教えれば、私くらい強くなれる」
エレン「なるほどな。天才かミカサ」
ミカサ「そう。私は天才」フンス
.
ミカサ「だから、私もつきあおう」
エレン「そうか。そりゃ助かるぜ。ありがとな」
ミカサ「いい。エレンのためなら。…だけど」ポスン
エレン「お?」
ミカサ「いまは、ちょっと休憩」
エレン「ちょっとだけか?」
ミカサ「そう、ちょっとだけ」
エレン「休息は大事だもんなあ」
ミカサ「その通り。休まなければ、人は生きていけない」
ミカサ(エレンの隣…)
.
エレン「…なんか不思議だな」
ミカサ「どうしたの」
エレン「お前とはガキの頃から一緒にいて…長いこと訓練も一緒にやってきただろ」
ミカサ「うん。もうそろそろ、五年」
エレン「でもこうやって二人でのんびり落ち着いて話すのは、久しぶりじゃねえか?」
ミカサ「…言われてみれば」
エレン「あの頃もこうして並んで座ってたっけなぁ…」
ミカサ「懐かしい……」
エレン「…ふぁ~ぁ…」
.
ミカサ「エレン?眠いの?」
エレン「…眠くねぇ」ゴシゴシ
ミカサ「そう」
エレン「…ふぁ」
ミカサ「ふふ…エレンが嘘が下手だ」
エレン「うるせぇな…ここで寝たら、俺の午後が消えちまうんだよ…」
ミカサ「なら、もう行く?」
エレン「…いや、まだだ。もう少し休んで…一時になったら行くぞ」
ミカサ「わかった。あなたがそういうなら」
.
エレン「…………」
ミカサ「…………」
エレン「なんだかさ」
ミカサ「?」
エレン「…ミカサの隣、落ち着くな」
ミカサ「…そういう、もの?わたしには、わからない」
エレン「なんでだろうな…幼なじみだからか?」
ミカサ「家族だから、かも」
エレン「んー…そうか…」
ミカサ「うん」
エレン「…………」
ミカサ「…………」
.
ボーン…ボーン…
ミカサ「あ…一時…」
エレン「…………」
ミカサ「エレン。もう時間。行かないと」
エレン「…………」
ミカサ「エレン。……エレン?」
エレン「…………くぅ」コテンッ
ミカサ「え」
エレン「むにゃ…zzz…」ウトウト
ミカサ「え…え?」オロオロ
.
エレン「ううん…zzz…」
ミカサ(ね、寝てる…!?いつのまに…しかも私の肩を枕に…!?)
エレン「………ぐぅ」
ミカサ(ストップ。いったん落ち着こうアッカーマン。まずは状況を整理)
ミカサ(私は、エレンと肩を並べて座っていた。壁を背にして)
ミカサ(そしてエレンが、睡魔に負けた。抵抗していたのに、勝てなかった)
ミカサ(エレンは今、私の肩を枕に、眠りこけている)
ミカサ(…つまり、だ)
ミカサ「…………動けない」
エレン「スヤァ」
.
ミカサ(ど、どうしよう。もう一時を回った。自主練にいかないと)
ミカサ(その為にはエレンを起こさなくては…し、しかし…)
ミカサ「エ、エレン…?」ヒソッ
エレン「むにゃぁ…ぐぅぐぅ…」
ミカサ(起きる気配、なし。よほど疲れていたのだろう)
ミカサ(むしろ起こすのは忍びない)
ミカサ(ここは寝かせといてあげるのが、エレンの為。休養は、大切だ)
ミカサ(…………だが)
エレン「zzz…zzz…」
ミカサ(こ、この状況は…少し…)カァァ
.
エレン「ん…zzz…」
ミカサ(くっ…なんだこれは…なんだこれは!?)
ミカサ(これではまるで私がエレンと…その…)
ミカサ(嬉しい…けど、これは…)
ミカサ(…こんなところを誰かに見られでもしたら、私は死にそうだ)
ミカサ(頼むから、誰もココを通りかからないで…)
アルミン「あれ?ミカサとエレン?」
ミカサ「!!………アルミッ…!」
.
エレン「んがっ!…ぐぅ…」
ミカサ(あ、危ない…あまりの事態に思わず叫びそうになった)
ミカサ(が、通ったのはアルミン。彼ならまだ良い。いやこれは好機!)
ミカサ「アルミン。助けてほしい」
アルミン「どうしたのミカサ?…ってあれ?エレンは…」
ミカサ「エレンが私の肩で寝ている」
エレン「zzz…」
アルミン「うん。そうだね。珍しいな、エレンが居眠りするなんて」
ミカサ「…助けてほしい」
.
アルミン「…わからないな。この状況でなにを助けるって?」
ミカサ「私と場所を変わってほしい。彼を起こさないように」
エレン「ぐ~…すぴー…」
アルミン「ああ、彼を寝かしといてあげたいんだね」
ミカサ「そう。彼は疲れてる。起こすのはかわいそう」
アルミン「なるほど。君は何か用事が?」
ミカサ「用事は、ない」
アルミン「……あ、もしかして、その、花摘みかい?」
ミカサ「……そうでもない」
アルミン「じゃあ、なぜ…?」
ミカサ「………しい」
アルミン「え?」
ミカサ「恥ずかしい…から…」カァッ
そのときアルミンに電流走る…──!
.
アルミン「…………」スッ
ミカサ「!?…アルミン!?どこへ…!?」
アルミン「…悪いけどその頼みは聞き入れられない」
ミカサ「な…!?」
アルミン「いやぁ~…残念だよ。君に…こんな残酷な仕打ちをしなくちゃならないなんて…」
ミカサ「アルミン…なぜ!?私と貴方は、親友だったはずでは…!?」
アルミン「そうとも親友さ。だからさ。【だから】やってるんじゃあないか…」
ミカサ「…どういうこと?私には、意味が」
アルミン「常々思っていたけどさ…君、エレンのこと好きだろ?」
ミカサ「~~~~!!??!?!」ボフッ
.
アルミン「おっと、その反応は図星だね。まあ知ってたことだけど」
ミカサ「な、え、あ、なにをいきなり、そんな」
アルミン「バレバレだよ。エレンには気づかれてないだろうけども」
アルミン「君も君でぶきっちょだから、わかりやすく積極的なアタックもできないでいた。そうだろう?」
ミカサ「ぁ、ぅ……」
アルミン「良い機会じゃあないか。せっかくエレンに肩を貸してやれるんだもの」
ミカサ「こ、これは不可抗力でっ…」
アルミン「なんでもいいさ。使えるものは…有効活用しないとねぇ?」
ミカサ「ア、アルミン…!?」
アルミン「今の君はこうだ。身動きも取れず、大きな声で話すことも出来ず、この場を離脱することもできない」
アルミン「そしてすぐ近くにはエレンがいるってわけだ。つまり、なんだろうな」
アルミン「君はそこで悶えてゆけ」ニッコリ
ミカサ(ああああああああ!!)ジタバタ
.
アルミン「おっと!いいのかい?そんなに暴れて…彼が目を覚ますよ?」
エレン「んがーっ…すぴーっ…」
ミカサ(くっ…!)
アルミン「まあそういうことだからさ。悪く思わないでよね。」
ミカサ「アルミン。私は今、貴方を嫌いになりそうだ」
アルミン「悲しいこと言うなあ。これも君のことを思ってのことなんだ。信じてくれよ」
ミカサ「…本当に?」
アルミン「本当だとも。決しておもしろがっている訳では」
ミカサ「え」
アルミン「おおっと。じゃ、お二人とも仲良くやっててね」
ミカサ「待って、アルミン。私たちまだやり直せる。きっと理解し合える。だから」
アルミン「アディオス」スタスタ
ミカサ「アルミン!カムバック!アルミィィィィン!!!」(小声)
.
ミカサ(くっ…行ってしまった…あのアルミンが…あの優しかったアルミンが!)
ミカサ(とりあえず、彼は対人格闘訓練の時にしばく…)
ミカサ(しかし…さて)チラッ
エレン「すや…すや…」
ミカサ「どうしたものか」
ミカサ(彼を起こす訳にはいかない…下手に動くことは許されない)
ミカサ(今の私に出来ることは、彼が自然に起きることを待つだけ)
ミカサ(事実、それは何も出来ないということ)
ミカサ(…この世界は、残酷だ)
エレン「ぐぅ…むにゃ…」
.
ミカサ「…………」チラッ
エレン「zzz…zzz…」
ミカサ(エレンの頭が肩に乗ってるから、顔が見れそうで見れない)
ミカサ(無理に見ようとして動いたら、おそらく彼は起きてしまうだろう)
ミカサ(……エレンの寝顔、見たいような、見たくないような)
エレン「くかーっ…zzz…」
ミカサ「…………ちょっぴり見たい」
エレン「zzz…zzz…」
ミカサ(でも、ダメ。なにもできない。私は無力だ)ショボン
.
失敬。何かルールが変わったのでしょうか?
失礼しました。確認しました。続けます。
エレン「んふふ…むにゃ…」
ミカサ(笑ってる…良い夢でも見ているのだろうか)
ミカサ(どんな寝顔をしているのだろう…せめて夢の中では幸せに、エレン)
エレン「んぅ……へへ…zzz…」
ミカサ「……………」
ミカサ「…………暇だ」
ミカサ「いったいどんなことをしていれば」
ミカサ「………そういえば、エレンが寄りかかっていない方の腕なら動かせる」
.
ミカサ「……………」
エレン「むにゃむにゃ…んんぅ…」
ミカサ「えい」プニッ
エレン「んにゅっ」
ミカサ「……………」
エレン「zzz…zzz…」
ミカサ「てい」プニッ
エレン「んにゅっ」
ミカサ(面白い…)プニップニップニッ
.
エレン「んぁ…」ゴソッ
ミカサ「!」ハッ
ミカサ(し、しまった…突つきすぎた…!?)
ミカサ(ど、どうしよう。起こしてしまったか…?)
エレン「ふぁ~…むにゃむにゃ…」ウトウト
ミカサ(よかった…刺激に反応しただけ。起こしてはいない)
ミカサ(…うん?)
ミカサ(私は…目覚めて欲しいのか、欲しくないのか、どっちなんだろう)
ミカサ(エレンを起こしたくない…けど、今の状況は、…恥ずかしい)
ミカサ(エレンが頭を預けてくれるのは、嬉しい…でも、早くどいてほしい)
ミカサ「……………どうしたら」
エレン「へーちょ!」
ミカサ「ひゃっ!?」ビクーン!
.
ミカサ「エ、エレン…?起きたの?」
エレン「うーん…すやすや…」
ミカサ「……………」
ミカサ「…………え、寝言?」
エレン「ぐぅ…ぐぅ…」
ミカサ(び、びっくりした!びっくりしたぁ!)ドキドキ
ミカサ(寝言…やけにはっきりした寝言だった…それにしても)
ミカサ(へーちょ?え…へーちょって…なに?)
ミカサ(へーちょ…へーちょ…わからない)
ミカサ(起きたら聞いてみよう…)
.
ミカサ「……………」
エレン「すう…すう…」
カチ…コチ…カチ…コチ…
ミカサ(静かだ。時計の音と、エレンの寝息以外)
ミカサ(平和な時間…すばらしい…)
ミカサ(今、巨人と血みどろの戦いをしているなんて信じられない)
ミカサ(こんな風に過ごしているのは、いったいいつぶりだろう)
ミカサ(本当だったら、グリシャおじさんと、カルラおばさんも、エレンや私と一緒に…)
ミカサ(…………)
ミカサ(駆逐しよ)ウン
.
ミカサ(それにしても、いつになったら起きるのか)
エレン「zzz…zzz…」
ミカサ(このままだと哀れなエレンの午後は霧散してしまう)
ミカサ(私は、エレンがゆっくり休めるならそれでも良いと思うが)
ミカサ(エレン自身は訓練をしたがっていた。寝てしまうのは不本意のはず)
ミカサ(やはり起こした方がいいのかもしれな…)
エレン「う~ん…」ゴソゴソ
ミカサ(あ…寝返りを…)
エレン「んー…むにゃむにゃ…」ゴロン
ミカサ(!? もっと私の方に寄って…!?)
エレン「すぴー…」ピットリ
ミカサ(うわああああああ顔が近いいいいいいい)
.
エレン「ん…すぅ…すぅ…」
ミカサ(ダメだ。これはダメだ。近い近い近い近い)
ミカサ(やばい。エレンの髪の香りやばい。なんかいいにおいする)
ミカサ(さっきから寝息もかかってる。首筋にダイレクトアタック)
ミカサ(…いけない、脈拍があがって…体温も)ドキドキ
ミカサ(まずい、このままでは。私が変な風になってしまう)
ミカサ(どうしよどうしよどうしよどうしよ)
.
エレン「くかーっ…すやすや…」
ミカサ「う…………」ドキドキ
ミカサ(わ、私の鼓動がやけに大きく……)ドキドキ
ミカサ(き、聞こえてない?エレンは、気づいていないだろうか?)
エレン「zzz…zzz…」
ミカサ(くっ…静まれ…私の心臓…静まれ…!)
ミカサ(冷静になれ私。落ち着けミカサ。これくらいなんてことはないはず)
ミカサ(そうだ頑張れ私、君ならできるぞ私、すごいぞ私…)
クリスタ「ミカサ?エレン?こんなところでなにしてるの?」ヒョコッ
ミカサ「ひぃ!?」ビクーン
.
ミカサ「ク、クリスタ…驚かせないでほしい」ドキドキ
クリスタ「あ…ご、ごめんね。そんなつもりはなかったんだけど…」
ミカサ「…いい。勝手に驚いたのはこちらのほう」
クリスタ「えっ…と、エレンは?寝てるの?」
ミカサ「そう。起こさないであげてほしい。死ぬほど疲れてる」
クリスタ「うん、わかった。じゃあ、小さな声でね」ヒソヒソ
ミカサ「そうしてくれると、助かる」ヒソヒソ
クリスタ「それじゃ…ええっと、一つ質問いい?」ヒソヒソ
ミカサ「なに」ヒソッ
クリスタ「………二人って、その、つきあってたりしてたっけ?」
ミカサ「………!」カァァッ
.
ミカサ「……ち、ちがう。エレンは…家族」
クリスタ「恋人じゃあないの?」
ミカサ「違う。全然違う。断じて違う。エレンは大切な人。それだけ」
クリスタ「ふ~ん……そうなんだね……ふ~ん…」ニヤニヤ
ミカサ「…なにがいいたいの」
クリスタ「…私ね、けっこうこの手の話題って好きなんだぁ」ニコニコ
ミカサ「クリスタっ…そのっ、緩んだ顔を、ひきしめて…」
クリスタ「え~?でも、端から見たら今のミカサとエレンってまるで」
ミカサ「………!」ブンブン
クリスタ「えへへ、残念。届かないよー」ヒョイッ
.
ミカサ「クリスタ…あなたも、私の敵にまわるというのか」
クリスタ「そんなぁ、敵じゃないよ。私は恋する女の子の味方だよ!」
ミカサ「…………恋、なんて」
エレン「……んぁ…」ゴソゴソ
ミカサ「あ…」
クリスタ「寝返り…起きちゃうのかな?」
ミカサ(ふぅ…助かっ)
エレン「んっ」グイッ
ミカサ「!!!??」
.
クリスタ「わ…エレンが…ミカサの腕を…」
ミカサ「え、え、え」オロオロ
エレン「ん~~~…うにゃ」ギュッ
クリスタ「りょ、両腕で抱きしめるように……!?」
ミカサ「~~~~~~~!!??!!?」ボフン
クリスタ「きゃ~!きゃ~!これエレンホントに寝てる!?実は起きてたりしない!?」
ミカサ「~~~~~~~~~~!!」ドキドキドキドキ
クリスタ「うわー!ミカサの顔真っ赤!リンゴみたい!」
ミカサ「言わっ…言わないで…」ドキドキドキドキ
.
エレン「ん~~~~…へへ…」
クリスタ「エレン、笑ってるね…ミカサ?」
ミカサ「…もう、黙って、クリスタ」
ミカサ(………エレンのバカ。早く起きて)
ミカサ(わたしをこんな恥ずかしい目にあわせるなんて…貴方はひどい人だ)
ミカサ(だけど、もっとバカなのは)
ミカサ(…恥ずかしい以上に気分が高翌揚している、私自身……)
ミカサ「…………うぅ」
.
クリスタ「うふふ。今のミカサとエレンって、と~ってもお似合いだよ!」
ミカサ「…………からかわないで」
クリスタ「ホントだってば。ほかのみんなにも見せてあげたいくらい」
ミカサ「ダメ。それはダメ。何が何でも許さない」
クリスタ「なんで?」
ミカサ「なんでも」
クリスタ「絶対?」
ミカサ「絶対」
クリスタ「そっかぁ…残念だなぁ…」
ミカサ「」ホッ
クリスタ「ここにパンがあります」スッ
ミカサ「!?」
.
サシャ「お呼びですか、神」スタッ
クリスタ「サシャ。今すぐみんなを集めてきて。そうしたらこのパンをサシャにあげるよ」
サシャ「Yes,boss」シュバッ
ミカサ「……!!……!!……!!」ブンブン
クリスタ「えへへ。ぶいっ」ピース
ミカサ「クリスタっ…!あなたは、わたしたちの、我々の女神だったはず…!」
クリスタ「そうだよ?私は女神、なぜかみんなからそう呼ばれてる。私はミカサの、みんなのヴィーナスだよ」
ミカサ「だったら、なぜこんなっ…!ゆ、許されない…!」
クリスタ「私は女神クリスタ。104期生のヴィーナス。だけどね…覚えておいて、ミカサ」
クリスタ「美の女神ヴィーナスは……愛の女神でもあるんだよっ!」ババーン
ミカサ「やかましい」
クリスタ「ごめん」
.
サシャ「呼んできました!」シュタッ
クリスタ「うむ!大儀であーる!」
ミカサ「! う、ぁ…」
ライナー「なんだなんだいきなり…んん?」
コニー「おお!エレンがミカサの肩で寝てるぞ!」
ユミル「うへ、しかも腕に抱きついてやがるじゃねえか…やるなあエレン」
ジャン「ぬわにぃぃぃぃ!!!?エレンのちくしょうめ、許"さ"ん"ん"ん"ん"!!!」
ベルトルト「どーどー、まあ落ち着きなよジャン」
マルコ「わあ、エレンってばよく寝てるね。いつものギラギラした感じが嘘みたい」
アニ「…ふん」
アルミン「いやぁ~、幸せそうな寝顔だねぇ~。なんでかなぁ~?」ニコニコ
クリスタ「なんでだろうねぇ~」ニッコリ
ミカサ「いっそ殺せ」
.
エレン「むにゃぁ……」ゴソゴソ
ライナー「おっ、エレンが身じろぎしたぞ」
マルコ「騒がしくしたから起きたのかな?」
ジャン「けっ、こんなやつ、とっとと蹴り起こしちまえばいいんだよ!こんな風に…」スッ
クリスタ「ダメだよジャン、そんなことしちゃ!ミカサがかわいそうじゃない!」
ジャン「ああ?なんでミカサが…」
アルミン「はいは~い。ジャンの席はこっちだよ~、さっさと動いてね~」
ジャン「お、おいアルミン!?なにしやがる!?そっちは外…押すなって!おい!?」ズルズル
ユミル「…かわいそうな奴め」
ベルトルト「しょうがないよ。空気読めないんだもん」
コニー「おまえサラッとひでぇな」
ミカサ「真にひどいのはクリスタ…」
クリスタ「きこえません!」
.
ライナー「それで、ミカサはずっとエレンに肩を貸してるのか?」
ミカサ「うん」
ベルトルト「腕も?」
ミカサ「………腕は、ついさっき………」
ユミル「振りほどいたりはしないんだな」
ミカサ「…………エレンを起こす訳には」
アルミン「それだけなのかなぁ?」
ミカサ「うるさい」
サシャ「ひゃー、真っ赤っかですね。いつもは冷静なミカサが珍しい」
ライナー「居眠りするエレンといい、今日は珍しいものが見れる日だな」ニヤニヤ
ミカサ「……………うるさぃ」
エレン「ん、んー…んぉ?」パチリ
.
エレン「…あれ?おれ…」
ミカサ「あ…」
マルコ「あっ、起きたね」
クリスタ「うふふ、おはようエレン」
エレン「お、おお…おはよう。ん…そうか、寝ちまってたのか」
アニ「…ねぼすけ」
サシャ「よく寝てましたよぉ」ムシャムシャ
コニー「なんでお前はパン食ってんだよ」
ベルトルト「エレン、疲れはとれたかい?」
エレン「ああ…お前ら、こんなところで揃いも揃ってなにやってんだ?」
クリスタ「えーっと…鑑賞会?」
エレン「は?」
クリスタ「でもそれももうおしまい。エレンが起きちゃったってことは…」
ミカサ「…………」ユラァ
クリスタ「ミカサも動けるんだもの!」
.
ミカサ「貴方たち…覚悟はいい」ゴゴゴゴゴ
サシャ「おおぅ、見える、見えます!ミカサの背後にゆらめく闘気が!」
ライナー「おっとっと、こいつぁ大層ご立腹だな!」
ミカサ「アルミン、クリスタ、まず貴方たちから血祭りにあげてやる」
アルミン「うわ、これはヤバいね。とっとと逃げよう!」ダダッ
クリスタ「そーいん、てっしゅー!」ダダッ
全員「はーい!」ダダッ
ミカサ「逃がさない……!」ダダッ
エレン「待てよミカサ」ガシッ
ミカサ「むぎゅ」
.
ミカサ「エレン。邪魔をしないでほしい」
エレン「どこ行くんだよ。おれと訓練するんじゃなかったのか?」
ミカサ「………したい。でも、ちょっとだけ後回しに」
エレン「おれはもう行くぞ。少し寝たらすっきりしたしな!」
ミカサ「…それは、よかった」
エレン「だけど、どうせ寝るんだったらやっぱり部屋に行くべきだったな。体が痛いぜ」ゴキゴキ
ミカサ「床に座っていたから。やはり居眠りはよくない」
エレン「そうだな…そういえばお前、おれが寝てる間はなにしてたんだ?」
ミカサ「………ぁぅ」
ミカサ(一人でドキドキしてたなんて、言えない…)
.
ミカサ「……………」
エレン「ミカサ?」
ミカサ「ね、寝てた」
エレン「寝てた?部屋でか?」
ミカサ「…………違う。貴方の隣で」
エレン「なんだ、お前も居眠りしてたのかよ」
ミカサ「そう。やはり私も疲れていた」
エレン「そうか。毎日毎日地獄の訓練だもんなあ。そりゃミカサだって疲れるか」
ミカサ「疲れた。とっても疲れた。本当に、疲れた…」
ミカサ(もう、あんな目に遭うのは、御免…)カァァ
.
ミカサ(だけど、エレンが起きたとき)
ミカサ(ちょっぴり、残念だと思ったのは…なぜ?)
ミカサ(もう恥ずかしいのはこりごり。でも、またいつか、エレンと……)
ミカサ「………エレンは」
エレン「ん?」
ミカサ「寝ているとき、笑ってた。良い夢だった?」
エレン「あ、あー…悪くはなかったかな」
ミカサ「それはよかった」
エレン「おう。そういえばお前が出てきたぞ」
ミカサ「……そう」
.
エレン「………なんだよ、なに笑ってんだ?」
ミカサ「なんにも」ニコニコ
エレン「変なやつだな…」
ミカサ「ちなみにどんな」
エレン「いや、それは忘れた」
ミカサ「…………」ショボン
エレン「だけど、良い夢だったっていうのは覚えてるぞ」
ミカサ「やった」
.
エレン「で、お前は?」
ミカサ「え?」
エレン「お前は、どんな夢を見てたんだ?」
ミカサ「え、えと……」オロオロ
ミカサ「…………エレンには、秘密」
エレン「なんだよそりゃ。教えろよ」
ミカサ「だめ。ひみつ」
エレン「おれは教えたんだぞ、教えてくれたって良いだろうが!」
ミカサ「やだ。教えられない」
ミカサ(本当は夢なんてみていないからだけど…)
ミカサ(………私も、夢を見てみたい)
ミカサ(エレンのすぐそばで、幸せな夢を…)
.
ミカサ(エレン。私は、貴方が好き。恥ずかしいから、口にはだせないけど)
ミカサ(貴方が言ってくれれば、腕でも肩でも膝でも、いつでも貸して枕にしてあげる)
ミカサ(………………だから。たまには)
ミカサ(エレンの肩も、私に貸してくれると嬉しい)
ミカサ「エレン。もうとっくに一時は過ぎてしまっている」
エレン「うお、マジじゃねえか!せっかくの貴重な時間が!」
ミカサ「訓練をするなら、早く行った方がいい」
エレン「そうだな!それならほら、さっさと訓練場に行くぞ!」
ミカサ「うん、いこう」
ミカサ(今度は私も、エレンの隣で、エレンの夢を見ていたいから)
【おしまい】
以上となります。ご覧くださりありがとうございました。
女の子は男の子にときめいていれば良いんだと思います。
ただ狼狽えるミカサを書きたかっただけでもあります。
ついでに今まで書いた進撃SSはこちら。
もしご興味を持たれたらどうぞご覧くださいませ。
サシャ「当麻さーん、ごはーん!」上条「はいはい」
リヴァイ「ハンジに不意打ちでキスをしてみる」
エレン「手乗りサシャ……」
アニ「にゃーにゃーにゃー」アルミン「……」
ミカサ「エレンが私の肩で寝ている」エレン「zzz…」 ←NEW!
このSSまとめへのコメント
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