ミカサ「エレンが私の肩で寝ている」エレン「zzz…」 (54)


エレン「はーぁ…疲れた疲れた…」ドサッ

ミカサ「エレン。なにをしているの?」

エレン「ミカサか。ちょっとな、休憩だよ」

ミカサ「疲れたのなら部屋へ行って休むべき。こんなところで座り込んでいないで」

エレン「部屋行ったらダメだ。ベッドに倒れて寝ちまう」

ミカサ「今日は午後から休養日のはず。寝てしまっても問題は、ない」

.



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エレン「そうなんだけど、午後は自主練したいからな。少しだけ休むんだ」

ミカサ「せっかくの休みなのに、エレンは熱心ね」

エレン「まぁな。こういうところで周りと差をつけねえと」

ミカサ「なるほど。参考にしよう」

エレン「といっても、お前には差を付けられっぱなしだけどな…」

ミカサ「そんなことはない。すぐにエレンも私に追いつく」

エレン「お前に追いつく為にも、頑張らないといけねえのさ。だけど今は…」

ミカサ「ちょっとだけ休憩?」

エレン「ああ、ちょっとだけな」

.



エレン「ところでお前、午後の休みはどうするんだ?」

ミカサ「私は部屋で寝る予定だった。休養は大切だ」

エレン「そうか。ミカサも疲れてるもんな」

ミカサ「だけど、エレンが鍛錬を積むというのなら、私も一緒にやる」

エレン「…いや、それはいいぜ。休むつもりだったんだろ?お前に悪いからな」

ミカサ「悪くない。私はかまわない。だから共に訓練を」

エレン「オーケー。じゃあ言い方を変えるぞ」

ミカサ「?」

エレン「お前に追いつく為の訓練をお前とやってどうする」

ミカサ「なんと…」ハッ


.


ミカサ「で、でも、ほかの訓練生とは差を付けられる」

エレン「おお、その心は?」

ミカサ「私は強い」

エレン「うん」

ミカサ「とても強い」

エレン「おう」

ミカサ「すっごく強い」

エレン「そうだな、で?」

ミカサ「…ので、私がエレンに教えれば、私くらい強くなれる」

エレン「なるほどな。天才かミカサ」

ミカサ「そう。私は天才」フンス


.


ミカサ「だから、私もつきあおう」

エレン「そうか。そりゃ助かるぜ。ありがとな」

ミカサ「いい。エレンのためなら。…だけど」ポスン

エレン「お?」

ミカサ「いまは、ちょっと休憩」

エレン「ちょっとだけか?」

ミカサ「そう、ちょっとだけ」

エレン「休息は大事だもんなあ」

ミカサ「その通り。休まなければ、人は生きていけない」

ミカサ(エレンの隣…)


.



エレン「…なんか不思議だな」

ミカサ「どうしたの」

エレン「お前とはガキの頃から一緒にいて…長いこと訓練も一緒にやってきただろ」

ミカサ「うん。もうそろそろ、五年」

エレン「でもこうやって二人でのんびり落ち着いて話すのは、久しぶりじゃねえか?」

ミカサ「…言われてみれば」

エレン「あの頃もこうして並んで座ってたっけなぁ…」

ミカサ「懐かしい……」

エレン「…ふぁ~ぁ…」


.



ミカサ「エレン?眠いの?」

エレン「…眠くねぇ」ゴシゴシ

ミカサ「そう」

エレン「…ふぁ」

ミカサ「ふふ…エレンが嘘が下手だ」

エレン「うるせぇな…ここで寝たら、俺の午後が消えちまうんだよ…」

ミカサ「なら、もう行く?」

エレン「…いや、まだだ。もう少し休んで…一時になったら行くぞ」

ミカサ「わかった。あなたがそういうなら」


.



エレン「…………」

ミカサ「…………」

エレン「なんだかさ」

ミカサ「?」

エレン「…ミカサの隣、落ち着くな」

ミカサ「…そういう、もの?わたしには、わからない」

エレン「なんでだろうな…幼なじみだからか?」

ミカサ「家族だから、かも」

エレン「んー…そうか…」

ミカサ「うん」

エレン「…………」

ミカサ「…………」


.



ボーン…ボーン…


ミカサ「あ…一時…」

エレン「…………」

ミカサ「エレン。もう時間。行かないと」

エレン「…………」

ミカサ「エレン。……エレン?」

エレン「…………くぅ」コテンッ

ミカサ「え」

エレン「むにゃ…zzz…」ウトウト

ミカサ「え…え?」オロオロ


.



エレン「ううん…zzz…」

ミカサ(ね、寝てる…!?いつのまに…しかも私の肩を枕に…!?)

エレン「………ぐぅ」

ミカサ(ストップ。いったん落ち着こうアッカーマン。まずは状況を整理)

ミカサ(私は、エレンと肩を並べて座っていた。壁を背にして)

ミカサ(そしてエレンが、睡魔に負けた。抵抗していたのに、勝てなかった)

ミカサ(エレンは今、私の肩を枕に、眠りこけている)

ミカサ(…つまり、だ)

ミカサ「…………動けない」

エレン「スヤァ」


.




ミカサ(ど、どうしよう。もう一時を回った。自主練にいかないと)

ミカサ(その為にはエレンを起こさなくては…し、しかし…)

ミカサ「エ、エレン…?」ヒソッ

エレン「むにゃぁ…ぐぅぐぅ…」

ミカサ(起きる気配、なし。よほど疲れていたのだろう)

ミカサ(むしろ起こすのは忍びない)

ミカサ(ここは寝かせといてあげるのが、エレンの為。休養は、大切だ)

ミカサ(…………だが)

エレン「zzz…zzz…」

ミカサ(こ、この状況は…少し…)カァァ


.



エレン「ん…zzz…」

ミカサ(くっ…なんだこれは…なんだこれは!?)

ミカサ(これではまるで私がエレンと…その…)

ミカサ(嬉しい…けど、これは…)

ミカサ(…こんなところを誰かに見られでもしたら、私は死にそうだ)

ミカサ(頼むから、誰もココを通りかからないで…)

アルミン「あれ?ミカサとエレン?」

ミカサ「!!………アルミッ…!」


.



エレン「んがっ!…ぐぅ…」

ミカサ(あ、危ない…あまりの事態に思わず叫びそうになった)

ミカサ(が、通ったのはアルミン。彼ならまだ良い。いやこれは好機!)

ミカサ「アルミン。助けてほしい」

アルミン「どうしたのミカサ?…ってあれ?エレンは…」

ミカサ「エレンが私の肩で寝ている」

エレン「zzz…」

アルミン「うん。そうだね。珍しいな、エレンが居眠りするなんて」

ミカサ「…助けてほしい」


.



アルミン「…わからないな。この状況でなにを助けるって?」

ミカサ「私と場所を変わってほしい。彼を起こさないように」

エレン「ぐ~…すぴー…」

アルミン「ああ、彼を寝かしといてあげたいんだね」

ミカサ「そう。彼は疲れてる。起こすのはかわいそう」

アルミン「なるほど。君は何か用事が?」

ミカサ「用事は、ない」

アルミン「……あ、もしかして、その、花摘みかい?」

ミカサ「……そうでもない」

アルミン「じゃあ、なぜ…?」

ミカサ「………しい」

アルミン「え?」

ミカサ「恥ずかしい…から…」カァッ



そのときアルミンに電流走る…──!


.



アルミン「…………」スッ

ミカサ「!?…アルミン!?どこへ…!?」

アルミン「…悪いけどその頼みは聞き入れられない」

ミカサ「な…!?」

アルミン「いやぁ~…残念だよ。君に…こんな残酷な仕打ちをしなくちゃならないなんて…」

ミカサ「アルミン…なぜ!?私と貴方は、親友だったはずでは…!?」

アルミン「そうとも親友さ。だからさ。【だから】やってるんじゃあないか…」

ミカサ「…どういうこと?私には、意味が」

アルミン「常々思っていたけどさ…君、エレンのこと好きだろ?」

ミカサ「~~~~!!??!?!」ボフッ


.



アルミン「おっと、その反応は図星だね。まあ知ってたことだけど」

ミカサ「な、え、あ、なにをいきなり、そんな」

アルミン「バレバレだよ。エレンには気づかれてないだろうけども」

アルミン「君も君でぶきっちょだから、わかりやすく積極的なアタックもできないでいた。そうだろう?」

ミカサ「ぁ、ぅ……」

アルミン「良い機会じゃあないか。せっかくエレンに肩を貸してやれるんだもの」

ミカサ「こ、これは不可抗力でっ…」

アルミン「なんでもいいさ。使えるものは…有効活用しないとねぇ?」

ミカサ「ア、アルミン…!?」

アルミン「今の君はこうだ。身動きも取れず、大きな声で話すことも出来ず、この場を離脱することもできない」

アルミン「そしてすぐ近くにはエレンがいるってわけだ。つまり、なんだろうな」




アルミン「君はそこで悶えてゆけ」ニッコリ

ミカサ(ああああああああ!!)ジタバタ


.




アルミン「おっと!いいのかい?そんなに暴れて…彼が目を覚ますよ?」

エレン「んがーっ…すぴーっ…」

ミカサ(くっ…!)

アルミン「まあそういうことだからさ。悪く思わないでよね。」

ミカサ「アルミン。私は今、貴方を嫌いになりそうだ」

アルミン「悲しいこと言うなあ。これも君のことを思ってのことなんだ。信じてくれよ」

ミカサ「…本当に?」

アルミン「本当だとも。決しておもしろがっている訳では」

ミカサ「え」

アルミン「おおっと。じゃ、お二人とも仲良くやっててね」

ミカサ「待って、アルミン。私たちまだやり直せる。きっと理解し合える。だから」

アルミン「アディオス」スタスタ

ミカサ「アルミン!カムバック!アルミィィィィン!!!」(小声)


.



ミカサ(くっ…行ってしまった…あのアルミンが…あの優しかったアルミンが!)

ミカサ(とりあえず、彼は対人格闘訓練の時にしばく…)

ミカサ(しかし…さて)チラッ

エレン「すや…すや…」

ミカサ「どうしたものか」

ミカサ(彼を起こす訳にはいかない…下手に動くことは許されない)

ミカサ(今の私に出来ることは、彼が自然に起きることを待つだけ)

ミカサ(事実、それは何も出来ないということ)

ミカサ(…この世界は、残酷だ)

エレン「ぐぅ…むにゃ…」


.


ミカサ「…………」チラッ

エレン「zzz…zzz…」

ミカサ(エレンの頭が肩に乗ってるから、顔が見れそうで見れない)

ミカサ(無理に見ようとして動いたら、おそらく彼は起きてしまうだろう)

ミカサ(……エレンの寝顔、見たいような、見たくないような)

エレン「くかーっ…zzz…」 

ミカサ「…………ちょっぴり見たい」

エレン「zzz…zzz…」

ミカサ(でも、ダメ。なにもできない。私は無力だ)ショボン

.

失敬。何かルールが変わったのでしょうか?

失礼しました。確認しました。続けます。



エレン「んふふ…むにゃ…」

ミカサ(笑ってる…良い夢でも見ているのだろうか)

ミカサ(どんな寝顔をしているのだろう…せめて夢の中では幸せに、エレン)

エレン「んぅ……へへ…zzz…」

ミカサ「……………」

ミカサ「…………暇だ」

ミカサ「いったいどんなことをしていれば」

ミカサ「………そういえば、エレンが寄りかかっていない方の腕なら動かせる」

.



ミカサ「……………」

エレン「むにゃむにゃ…んんぅ…」

ミカサ「えい」プニッ

エレン「んにゅっ」

ミカサ「……………」

エレン「zzz…zzz…」

ミカサ「てい」プニッ

エレン「んにゅっ」

ミカサ(面白い…)プニップニップニッ


.



エレン「んぁ…」ゴソッ

ミカサ「!」ハッ

ミカサ(し、しまった…突つきすぎた…!?)

ミカサ(ど、どうしよう。起こしてしまったか…?)

エレン「ふぁ~…むにゃむにゃ…」ウトウト

ミカサ(よかった…刺激に反応しただけ。起こしてはいない)

ミカサ(…うん?)

ミカサ(私は…目覚めて欲しいのか、欲しくないのか、どっちなんだろう)

ミカサ(エレンを起こしたくない…けど、今の状況は、…恥ずかしい)

ミカサ(エレンが頭を預けてくれるのは、嬉しい…でも、早くどいてほしい)

ミカサ「……………どうしたら」

エレン「へーちょ!」

ミカサ「ひゃっ!?」ビクーン!


.



ミカサ「エ、エレン…?起きたの?」

エレン「うーん…すやすや…」

ミカサ「……………」

ミカサ「…………え、寝言?」

エレン「ぐぅ…ぐぅ…」

ミカサ(び、びっくりした!びっくりしたぁ!)ドキドキ

ミカサ(寝言…やけにはっきりした寝言だった…それにしても)

ミカサ(へーちょ?え…へーちょって…なに?)

ミカサ(へーちょ…へーちょ…わからない)

ミカサ(起きたら聞いてみよう…)


.



ミカサ「……………」

エレン「すう…すう…」

カチ…コチ…カチ…コチ…

ミカサ(静かだ。時計の音と、エレンの寝息以外)

ミカサ(平和な時間…すばらしい…)

ミカサ(今、巨人と血みどろの戦いをしているなんて信じられない)

ミカサ(こんな風に過ごしているのは、いったいいつぶりだろう)

ミカサ(本当だったら、グリシャおじさんと、カルラおばさんも、エレンや私と一緒に…)

ミカサ(…………)

ミカサ(駆逐しよ)ウン


.



ミカサ(それにしても、いつになったら起きるのか)

エレン「zzz…zzz…」

ミカサ(このままだと哀れなエレンの午後は霧散してしまう)

ミカサ(私は、エレンがゆっくり休めるならそれでも良いと思うが)

ミカサ(エレン自身は訓練をしたがっていた。寝てしまうのは不本意のはず)

ミカサ(やはり起こした方がいいのかもしれな…)

エレン「う~ん…」ゴソゴソ

ミカサ(あ…寝返りを…)

エレン「んー…むにゃむにゃ…」ゴロン

ミカサ(!? もっと私の方に寄って…!?)

エレン「すぴー…」ピットリ

ミカサ(うわああああああ顔が近いいいいいいい)


.



エレン「ん…すぅ…すぅ…」

ミカサ(ダメだ。これはダメだ。近い近い近い近い)

ミカサ(やばい。エレンの髪の香りやばい。なんかいいにおいする)

ミカサ(さっきから寝息もかかってる。首筋にダイレクトアタック)

ミカサ(…いけない、脈拍があがって…体温も)ドキドキ

ミカサ(まずい、このままでは。私が変な風になってしまう)

ミカサ(どうしよどうしよどうしよどうしよ)


.



エレン「くかーっ…すやすや…」

ミカサ「う…………」ドキドキ

ミカサ(わ、私の鼓動がやけに大きく……)ドキドキ

ミカサ(き、聞こえてない?エレンは、気づいていないだろうか?)

エレン「zzz…zzz…」

ミカサ(くっ…静まれ…私の心臓…静まれ…!)

ミカサ(冷静になれ私。落ち着けミカサ。これくらいなんてことはないはず)

ミカサ(そうだ頑張れ私、君ならできるぞ私、すごいぞ私…)

クリスタ「ミカサ?エレン?こんなところでなにしてるの?」ヒョコッ

ミカサ「ひぃ!?」ビクーン


.




ミカサ「ク、クリスタ…驚かせないでほしい」ドキドキ

クリスタ「あ…ご、ごめんね。そんなつもりはなかったんだけど…」

ミカサ「…いい。勝手に驚いたのはこちらのほう」

クリスタ「えっ…と、エレンは?寝てるの?」

ミカサ「そう。起こさないであげてほしい。死ぬほど疲れてる」

クリスタ「うん、わかった。じゃあ、小さな声でね」ヒソヒソ

ミカサ「そうしてくれると、助かる」ヒソヒソ

クリスタ「それじゃ…ええっと、一つ質問いい?」ヒソヒソ

ミカサ「なに」ヒソッ

クリスタ「………二人って、その、つきあってたりしてたっけ?」

ミカサ「………!」カァァッ


.




ミカサ「……ち、ちがう。エレンは…家族」

クリスタ「恋人じゃあないの?」

ミカサ「違う。全然違う。断じて違う。エレンは大切な人。それだけ」

クリスタ「ふ~ん……そうなんだね……ふ~ん…」ニヤニヤ

ミカサ「…なにがいいたいの」

クリスタ「…私ね、けっこうこの手の話題って好きなんだぁ」ニコニコ

ミカサ「クリスタっ…そのっ、緩んだ顔を、ひきしめて…」

クリスタ「え~?でも、端から見たら今のミカサとエレンってまるで」

ミカサ「………!」ブンブン

クリスタ「えへへ、残念。届かないよー」ヒョイッ


.



ミカサ「クリスタ…あなたも、私の敵にまわるというのか」

クリスタ「そんなぁ、敵じゃないよ。私は恋する女の子の味方だよ!」

ミカサ「…………恋、なんて」

エレン「……んぁ…」ゴソゴソ

ミカサ「あ…」

クリスタ「寝返り…起きちゃうのかな?」

ミカサ(ふぅ…助かっ)

エレン「んっ」グイッ

ミカサ「!!!??」


.



クリスタ「わ…エレンが…ミカサの腕を…」

ミカサ「え、え、え」オロオロ

エレン「ん~~~…うにゃ」ギュッ

クリスタ「りょ、両腕で抱きしめるように……!?」

ミカサ「~~~~~~~!!??!!?」ボフン

クリスタ「きゃ~!きゃ~!これエレンホントに寝てる!?実は起きてたりしない!?」

ミカサ「~~~~~~~~~~!!」ドキドキドキドキ

クリスタ「うわー!ミカサの顔真っ赤!リンゴみたい!」

ミカサ「言わっ…言わないで…」ドキドキドキドキ


.



エレン「ん~~~~…へへ…」

クリスタ「エレン、笑ってるね…ミカサ?」

ミカサ「…もう、黙って、クリスタ」

ミカサ(………エレンのバカ。早く起きて)

ミカサ(わたしをこんな恥ずかしい目にあわせるなんて…貴方はひどい人だ)

ミカサ(だけど、もっとバカなのは)

ミカサ(…恥ずかしい以上に気分が高翌揚している、私自身……)

ミカサ「…………うぅ」


.




クリスタ「うふふ。今のミカサとエレンって、と~ってもお似合いだよ!」

ミカサ「…………からかわないで」

クリスタ「ホントだってば。ほかのみんなにも見せてあげたいくらい」

ミカサ「ダメ。それはダメ。何が何でも許さない」

クリスタ「なんで?」

ミカサ「なんでも」

クリスタ「絶対?」

ミカサ「絶対」

クリスタ「そっかぁ…残念だなぁ…」

ミカサ「」ホッ






クリスタ「ここにパンがあります」スッ

ミカサ「!?」


.




サシャ「お呼びですか、神」スタッ

クリスタ「サシャ。今すぐみんなを集めてきて。そうしたらこのパンをサシャにあげるよ」

サシャ「Yes,boss」シュバッ

ミカサ「……!!……!!……!!」ブンブン

クリスタ「えへへ。ぶいっ」ピース

ミカサ「クリスタっ…!あなたは、わたしたちの、我々の女神だったはず…!」

クリスタ「そうだよ?私は女神、なぜかみんなからそう呼ばれてる。私はミカサの、みんなのヴィーナスだよ」

ミカサ「だったら、なぜこんなっ…!ゆ、許されない…!」

クリスタ「私は女神クリスタ。104期生のヴィーナス。だけどね…覚えておいて、ミカサ」

クリスタ「美の女神ヴィーナスは……愛の女神でもあるんだよっ!」ババーン

ミカサ「やかましい」

クリスタ「ごめん」


.




サシャ「呼んできました!」シュタッ

クリスタ「うむ!大儀であーる!」

ミカサ「! う、ぁ…」

ライナー「なんだなんだいきなり…んん?」

コニー「おお!エレンがミカサの肩で寝てるぞ!」

ユミル「うへ、しかも腕に抱きついてやがるじゃねえか…やるなあエレン」

ジャン「ぬわにぃぃぃぃ!!!?エレンのちくしょうめ、許"さ"ん"ん"ん"ん"!!!」

ベルトルト「どーどー、まあ落ち着きなよジャン」

マルコ「わあ、エレンってばよく寝てるね。いつものギラギラした感じが嘘みたい」

アニ「…ふん」

アルミン「いやぁ~、幸せそうな寝顔だねぇ~。なんでかなぁ~?」ニコニコ

クリスタ「なんでだろうねぇ~」ニッコリ

ミカサ「いっそ殺せ」


.



エレン「むにゃぁ……」ゴソゴソ

ライナー「おっ、エレンが身じろぎしたぞ」

マルコ「騒がしくしたから起きたのかな?」

ジャン「けっ、こんなやつ、とっとと蹴り起こしちまえばいいんだよ!こんな風に…」スッ

クリスタ「ダメだよジャン、そんなことしちゃ!ミカサがかわいそうじゃない!」

ジャン「ああ?なんでミカサが…」

アルミン「はいは~い。ジャンの席はこっちだよ~、さっさと動いてね~」

ジャン「お、おいアルミン!?なにしやがる!?そっちは外…押すなって!おい!?」ズルズル

ユミル「…かわいそうな奴め」

ベルトルト「しょうがないよ。空気読めないんだもん」

コニー「おまえサラッとひでぇな」

ミカサ「真にひどいのはクリスタ…」

クリスタ「きこえません!」

.



ライナー「それで、ミカサはずっとエレンに肩を貸してるのか?」

ミカサ「うん」

ベルトルト「腕も?」

ミカサ「………腕は、ついさっき………」

ユミル「振りほどいたりはしないんだな」

ミカサ「…………エレンを起こす訳には」

アルミン「それだけなのかなぁ?」

ミカサ「うるさい」

サシャ「ひゃー、真っ赤っかですね。いつもは冷静なミカサが珍しい」

ライナー「居眠りするエレンといい、今日は珍しいものが見れる日だな」ニヤニヤ

ミカサ「……………うるさぃ」

エレン「ん、んー…んぉ?」パチリ

.



エレン「…あれ?おれ…」

ミカサ「あ…」

マルコ「あっ、起きたね」

クリスタ「うふふ、おはようエレン」

エレン「お、おお…おはよう。ん…そうか、寝ちまってたのか」

アニ「…ねぼすけ」

サシャ「よく寝てましたよぉ」ムシャムシャ

コニー「なんでお前はパン食ってんだよ」

ベルトルト「エレン、疲れはとれたかい?」

エレン「ああ…お前ら、こんなところで揃いも揃ってなにやってんだ?」

クリスタ「えーっと…鑑賞会?」

エレン「は?」

クリスタ「でもそれももうおしまい。エレンが起きちゃったってことは…」

ミカサ「…………」ユラァ

クリスタ「ミカサも動けるんだもの!」


.




ミカサ「貴方たち…覚悟はいい」ゴゴゴゴゴ

サシャ「おおぅ、見える、見えます!ミカサの背後にゆらめく闘気が!」

ライナー「おっとっと、こいつぁ大層ご立腹だな!」

ミカサ「アルミン、クリスタ、まず貴方たちから血祭りにあげてやる」

アルミン「うわ、これはヤバいね。とっとと逃げよう!」ダダッ

クリスタ「そーいん、てっしゅー!」ダダッ

全員「はーい!」ダダッ

ミカサ「逃がさない……!」ダダッ

エレン「待てよミカサ」ガシッ

ミカサ「むぎゅ」


.



ミカサ「エレン。邪魔をしないでほしい」

エレン「どこ行くんだよ。おれと訓練するんじゃなかったのか?」

ミカサ「………したい。でも、ちょっとだけ後回しに」

エレン「おれはもう行くぞ。少し寝たらすっきりしたしな!」

ミカサ「…それは、よかった」

エレン「だけど、どうせ寝るんだったらやっぱり部屋に行くべきだったな。体が痛いぜ」ゴキゴキ

ミカサ「床に座っていたから。やはり居眠りはよくない」

エレン「そうだな…そういえばお前、おれが寝てる間はなにしてたんだ?」

ミカサ「………ぁぅ」

ミカサ(一人でドキドキしてたなんて、言えない…)


.



ミカサ「……………」

エレン「ミカサ?」

ミカサ「ね、寝てた」

エレン「寝てた?部屋でか?」

ミカサ「…………違う。貴方の隣で」

エレン「なんだ、お前も居眠りしてたのかよ」

ミカサ「そう。やはり私も疲れていた」

エレン「そうか。毎日毎日地獄の訓練だもんなあ。そりゃミカサだって疲れるか」

ミカサ「疲れた。とっても疲れた。本当に、疲れた…」

ミカサ(もう、あんな目に遭うのは、御免…)カァァ


.



ミカサ(だけど、エレンが起きたとき)

ミカサ(ちょっぴり、残念だと思ったのは…なぜ?)

ミカサ(もう恥ずかしいのはこりごり。でも、またいつか、エレンと……)

ミカサ「………エレンは」

エレン「ん?」

ミカサ「寝ているとき、笑ってた。良い夢だった?」

エレン「あ、あー…悪くはなかったかな」

ミカサ「それはよかった」

エレン「おう。そういえばお前が出てきたぞ」

ミカサ「……そう」


.



エレン「………なんだよ、なに笑ってんだ?」

ミカサ「なんにも」ニコニコ

エレン「変なやつだな…」

ミカサ「ちなみにどんな」

エレン「いや、それは忘れた」

ミカサ「…………」ショボン

エレン「だけど、良い夢だったっていうのは覚えてるぞ」

ミカサ「やった」


.



エレン「で、お前は?」

ミカサ「え?」

エレン「お前は、どんな夢を見てたんだ?」

ミカサ「え、えと……」オロオロ

ミカサ「…………エレンには、秘密」

エレン「なんだよそりゃ。教えろよ」

ミカサ「だめ。ひみつ」

エレン「おれは教えたんだぞ、教えてくれたって良いだろうが!」

ミカサ「やだ。教えられない」

ミカサ(本当は夢なんてみていないからだけど…)

ミカサ(………私も、夢を見てみたい)

ミカサ(エレンのすぐそばで、幸せな夢を…)


.



ミカサ(エレン。私は、貴方が好き。恥ずかしいから、口にはだせないけど)

ミカサ(貴方が言ってくれれば、腕でも肩でも膝でも、いつでも貸して枕にしてあげる)

ミカサ(………………だから。たまには)

ミカサ(エレンの肩も、私に貸してくれると嬉しい)




ミカサ「エレン。もうとっくに一時は過ぎてしまっている」

エレン「うお、マジじゃねえか!せっかくの貴重な時間が!」

ミカサ「訓練をするなら、早く行った方がいい」

エレン「そうだな!それならほら、さっさと訓練場に行くぞ!」

ミカサ「うん、いこう」


ミカサ(今度は私も、エレンの隣で、エレンの夢を見ていたいから)


【おしまい】

以上となります。ご覧くださりありがとうございました。
女の子は男の子にときめいていれば良いんだと思います。
ただ狼狽えるミカサを書きたかっただけでもあります。


ついでに今まで書いた進撃SSはこちら。
もしご興味を持たれたらどうぞご覧くださいませ。

サシャ「当麻さーん、ごはーん!」上条「はいはい」
リヴァイ「ハンジに不意打ちでキスをしてみる」
エレン「手乗りサシャ……」
アニ「にゃーにゃーにゃー」アルミン「……」
ミカサ「エレンが私の肩で寝ている」エレン「zzz…」 ←NEW!

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