注意
短い
鬱ではない
練度は中途半端
いつからだろうか……ヒーローを目指したのは。
いつだっただろうか……ヒーローになれたのは。
いつからだろうか……ヒーローが足枷になったのは。
いつだっただろうか……ヒーローが嫌になったのは。
そして、アタシはヒーローを辞めた。
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友子「光ぃい!こっちこっち!」
光「もー!声大きいって!社食でみんな見てるから!恥ずかしいからやめてよ」
友子「ごめんごめん!でも久しぶりにこの席とれたからテンション上がっちゃって~」
光「ハァ…」
アタシが初めてアイドルとして活躍したのは14歳、アタシを担当してくれたプロデューサーがすごかったこともあり、デビューしてから半月後にはヒーローアイドルとして大きなライブも経験出来た。
翌年、アタシが15歳の時。すでに大手の仲間入りを果たしていた事務所は、シンデレラガールズの冠番組の中での企画として、敵も味方も一般市民も事務所のアイドルで構成された特撮ドラマを作った。
それも、企画を通してくれたのがアタシのプロデューサーだったこともあって、アタシは晴れて夢であったヒーローになる。
あの時は嬉しかったなぁ。
さらに次の年には日曜の朝の戦隊物に途中加入、二年後には初主役で初の女性ライダーになれた。
順風満帆。有頂天。アタシの人生の絶頂期だ。
幸せで幸せで仕方ない。
でも、アタシは間違った。
プロデューサーに伝えてしまったのだ。
長い時間をかけて育っていったアタシの恋心を。
アタシが告白した時の、プロデューサーの絶望した表情は忘れられない。
友子「でね~この指輪買って貰っちゃたの~!」
光「ふ~ん」
友子「反応薄いな~……光は彼氏つくらないの?ぶっちゃけ私達さぁ、そろそろ年齢的にヤバイじゃん」
光「何が?」
友子「結婚とか」
光「あーそうだね」
友子「まあ、光は焦らなくても男なんか選り取り見取りだもんね。なんてったって元アイドルだし」
光「そうでもないよ……本当に好きな人には振り向いてもらえなかったり、私もみんなと変わらないよ」
友子「ええ~!?そうなんだ!もっと聞きたいな~光のそういう話」
光「嫌な性格」
アタシの人生初めての告白からひと月後。その人はアタシのプロデューサーではなくなり、新しいプロデューサーがアタシの担当となった。
アタシの幸せだった時間は終わり、アイドル引退までのカウントダウンが始まる。
ヒーローアイドルとして売り出していたアタシは、その方向では大成功と言ってよかっただろう。
でも、それは世間でのアタシのイメージが完全に決まってしまっていることでもあった。
数年前のアタシだったら両手をあげて喜んでいただろう状態だったが、その時のアタシは嬉しく思っていなかった。
なぜなら、段々とアタシに回って来る仕事が減って来ていたからである。
このままアイドルを続けるか。
アイドルをやめて大学に進学するか。
新しいプロデューサーからこの選択を迫られるまで、そう時間は掛からなかった。
光「ハァ…」フラフラ
光(結局仕事が終わってから居酒屋で根掘り葉掘り……もう夜中じゃん)
光(いい人なんだけど、これだけは疲れるんだよな)
光(結婚かぁ……)
光「でも今はそんなことより気持ち悪い……ぅぅ」
光「ん?……なんだろ、今あの路地に変な人影が――」
???『ゲヒヒ…ゲヒャヒャヒャッ!!』
血塗れの男「」ダラン
光「ヒッ!?」
光(ちょ!?死…か、怪人!?)
???『ウギャアアアアアッ!!』バッ
光「う、うわああああああああ!!!」ダッ
アタシが選んだのは、アイドルを、ヒーローをやめること。
夢を捨てることだった。
光「ハッ!ハッ!ハッ!」タタタタッ
光(何だアレ何だアレ何だアレ!?)
光(まさか本物の怪人だって言うのか!?)
光(それにあの血……)
光「うっ……オエッ、ゲェ…」ビチャビチャ
光「ハァ…ハァ…」
光(こういう時に限ってお酒飲んでるし……頭痛いし気持ち悪いし…わけわかんない!)
アイドルをやめた後は意外と順調だった。
いい大学に入れたわけじゃなかったけど、学生生活は普通に楽しかったし、就職活動なんかはアイドル時代のオーディションに比べたら簡単だった。
だけど、いつも胸の真ん中にぽっかり穴が開いているみたいで落ち着かない。
失ったものの正体に気付いてはいたけれど、アタシにはもうどうすることも出来なかった。
光(とにかく人がいるところに出なくちゃ)タッ
光(確かここを曲がれば)
少女「うぅっ…ヒック…ヒック…」
光(子ども!?)ピタッ
光「どうしたんだ!?ここは危ないからお姉ちゃんと一緒に――」
光(あれ…?何かおかしい)
少女「ヒック…ヒック……一緒にいてくれるの?」
光(ここはオフィス街で…こんな終電ギリギリの時間に子どもがいるはずが……)
少女「ねえ…?」クルッ
コウモリ怪人『オ゛ネ゛エ゛チ゛ャ゛ン゛ン゛ン゛ン゛ッ!!!』グァアッ
光「あっ」
でもやっぱり……
もうちょっとアイドルやりたかったな。
[世にも
奇 奇
怪
な な
偶像話]
スタッフ「はいカットォ!お疲れ様です!」
渋谷凛(光-ヒカリ役)「お疲れ様です」
南条光(少女役)「お疲れ様です!」
監督「いやー!二人ともよかったよ!これで二人の撮影は終わりだからさ、完成楽しみにしててよ~」
凛「はい、ありがとうございます」
光「楽しみにしてます!」
モバP「ん、お疲れ様二人とも」
凛「ありがとう。プロデューサー」
光「自分がモデルの役に襲いかかるのは変な感じだったけど、すっごく楽しかったよ!」
凛「私も…いつもと違う自分を出せてよかったかな。演技の幅が広がったと思う」
モバP「そりゃ結構。今回10分ぐらいのミニドラマだったけど、それでも色々と何日も費やして大変だっただろ?」
光「うん…アタシ出番ちょっとだけだったけど何回か失敗しちゃったし」
凛「自分で思ってた以上に笑えてなかったりね」
モバP「今後二人にはこういった女優方面への仕事も考えてるからな。今回のことをしっかり吸収して励んでくれ」
凛/光「はい!」
光「でさーPさん」
モバP「ん?」
光「なんでこんなストーリーなの?」
モバP「そりゃあ……」ニヤァ
凛(うわ気持ち悪い)
モバP「夢破れて悶々と日々を過ごす光を想像すると興奮しちゃうからだよ!」
凛「うわ気持ち悪い」
モバP「ッ!?」
光「ごめんキモい」
モバP「ッ!?」
光/凛「……」ジトー
モバP「そそそそそそれに現実じゃあんなことにはならないからな!俺なら例えどんなイメージがついても光をトップアイドルにするから!」
光「誤魔化されないよ」
モバP「はい……すみません」
凛「相変わらず仲良いね二人は」
光「ま、変な人だけど……」チラッ
モバP「……?」
光「大切なアタシの相棒だからね!」ニカッ
おしまい
夢破れて悶々と日々を過ごす南条さんを書きたかったけど
やっぱり光ちゃんには笑顔が似合うと思うの
等身大の素顔の特訓前とかマジ753
その結果中途半端な出来になったけど
出来が悪いのはいつものことでした
名前の件は混乱させてしまって申し訳ありません
お付き合いいただき
ありがとうございました
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