兵藤レナ「負けず嫌い」 (15)


デレマスSS

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モバP「1レス今日は何の日」
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の5月15日分のレナさん拡大版


以上が注意
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~ とあるプールバー ~


P「いやー…レナさんが黒服着てるとこ見てみたかったなぁ」

レナ「一応、ロワイヤルスタイルのときはディーラー風っていうな?
そんな感じの衣装だったじゃない」

P「そうですけどね。
俺が求めるレナさんじゃなかったというか…」

レナ「ふーん…?」

P「あ、別に文句があったりするわけじゃないんですけど。
何というか、もっとギリギリの勝負師って感じのレナさんが見たかったんですよ」

レナ「へぇ…じゃあ私欲で衣装やイベント選んでるってこと?」

P「……皆には秘密ですよ?」

レナ「ちいさい子に際どいの着せたりしてないからいいけど、自重しなさいよ?」

P「ははは…善処します」

レナ「でも、どうしようかなぁ…」

P「いや、本当…ね?」


レナ「じゃあ、私に勝負で勝ったら考えてあげましょうか」

P「そんな無茶な……。
さっきまでいいように遊ばれてた身にはきついですよ」

レナ「玉突きでは、ね。
今からカードでもやりに行かない?」

P「俺がレナさんに勝てるカードなんて…。
ババ抜きでも厳しいんじゃあ」

レナ「いいから、いいから。
ポーカーでもブラックジャックでも好きなの選ばせてあげるから、ね?」

P「まったく…まさか、遊びに行きたいだけじゃないでしょうね」

レナ「そもそも初めから遊びにきてるじゃない。
ね、行きましょ?」ギュ

P「…やれやれ」


P( 今、俺たちは東南アジアのある都市にいる )

P( 満足に休暇の取れない環境に身を置いているので、
年度の初めに無理矢理有給を消化させられている俺と )

P( “ たまたま ”同じ期間の長いオフがあったレナさんは、
その休みを使って一足も二足も早いバカンスに来ているのだ )

レナ「ねぇ、Pさん。この街楽しいかしら?」

P「ええ。東南アジアの国ってこう……云い方が悪いですけど、
もっと寂れてたりすると思ってたんで以外でしたけど」

レナ「ま、一概に間違いじゃないけどね。
KLとか一部の都市が世界都市って呼ばれてるだけではあるのよ」

P「ははぁ…。レナさん、こっちに居たことも?」

レナ「いいえ?ただ、どこのカジノにいても情報は入ってくるものだから」

P「色んな客が来そうですもんね」

レナ「その全ての客に対応するんだもの。
ちょっとした情報通になるのも早かったわ」


P「やっぱり見てみたかったですよ。
勝負師兵藤レナ」

レナ「……そんなにいいものじゃないわよ?
建前と本音なんてものじゃない。
人間の醜さの坩堝に取り込まれた人間の姿なんて」

P「そんなの……芸能界にいる時点である程度は自分も経験してますよ。
ただ、自分は色んなレナさんが知りたいだけです」

レナ「そう…。その割には…」ボソッ

P「はい?」

レナ「何でもないわ。
…そういえば私たちって周りにどう見えてるのかしらね?」

P「……カップルか…まぁ、夫婦でしょうね」


P( おめかしして腕組んでる男女なんてそれ以外には見えないだろうよ。
ここが日本なら危ないところだ )

レナ「そうよね?その割にPさんは少しよそよそしくない?」

P「あくまで、そう“ 見える ”だけですから。
日本に戻ればエスコートもできなくなりますよ」

レナ「逆に今はもっと近付いてもいいってことじゃない?」

P「貴方に溺れそうだから嫌なんですよ。
これ以上惑わさないでください」

P( 胸元の大きく抉れて、スリットも信じられない位深いドレス。
そんな女性に惹かれるな、というのは無理な話だ )

P( ましてや日本にいるときのように枷もないし、
この場の空気が容易く俺自身を呑もうとしてくる )

P( ぶっちゃけ自制する意味も割とわかんなくなり始めたんだが )

P「ちひろさんあたりが怖いんです。
勘弁してください」

レナ「…ヘタレね」

P「」





ーー

ーーー


P「…バースト」

レナ「あらあら…。
私はダイヤのKとスペードの6だったんだけど」

P( 俺たちはあれから二人でカード遊びに興じた。
ポーカーもバカラもなんでもやった。
ただ、やはり一対一じゃないと勝負じゃないと、ホテルまで戻ってきたわけだが )

P( いくらなんでも、遊ばれすぎだろ。
俺がバーストしないときはレナさんの札は19以上しかないし、
バーストしたときに限って低い札だし )

P( 運が介在しないブラックジャックなんでブラックジャックではない )

P「いい加減俺のこと遊びすぎでしょ。
いくらなんでもこれは…」

レナ「ん、怒った?」

P「そりゃあ…」

レナ「でも、貴方はいつも同じことしてる」

P「はい?」

レナ「私が攻めれば、誤魔化して。
私が退いてみれば離れないように近付いて。
手のひらで踊らされてる気分はどう?」

P「……」

レナ「ねぇ、どうせなら白黒つけてほしいの」


P「……」

レナ「これでも自分を磨くことは忘れないできたつもりなんだけど」

P「……」

レナ「私にだってプライドがあるから。
退けというなら消える覚悟だってーー」

P「……他にどうしろと」

レナ「……?」

P「兵藤レナという人間を見つけたのは俺です。
だからその魅力も知っている。
でも、だからこそ溺れてしまうことだって簡単に想像できるんです」

レナ「溺れてくれても構わないけど?」

P「俺が俺を許せません。
レナさんの隣にいる男はカッコよくなきゃいけませんからね」

レナ「そんなこと…。
Pさんは十分にカッコいいわよ。
私が気に入る位には」

P「それでも、です。
俺が俺をーー」


レナ「違うってば」ギュ

P「…レナさん」

レナ「貴方には貴方の理想があるかもしれない。
でも、Pさんは私のこと考えてくれてるんでしょ?
それなら、云わせて」

レナ「貴方が私に相応しいかは私が決める。
貴方は私が認めた男なんだから。
自信持ちなさい」

P「……はぁ」

レナ「どう?自信ついた?」

P「やれやれ、ですよ。
……本当に溺れてもいいんですか?」

レナ「それは、これからの貴方次第。
ただ、今夜という一瞬は貴方が還る場所になってあげる」

P「本来は俺がレナさんの帰る場所なんですがね。
……ま、負け続きもうんざりしていたところです」スッ

レナ「ん、期待、しちゃうわよ?」

P「…後で泣いても知りませんからね?」





ーー

ーーー



レナ「……そういえば」

P「はい?」

レナ「懐かしいわね…あっちでは見慣れた風景だったのに」

P「ビリヤード、ですか。
オレも学生時代しか触れなかったので、
懐かしいといえば懐かしいです」

レナ「カードも、ね。
さっきまで久しぶりに昂ぶってた」

P「…いいように弄んだ癖に」

レナ「まるで私が悪い女みたいじゃない?」

P「違うとでも?」

レナ「否定はしないけど。
…Pさんには否定してほしいな」

P「次は俺がカード回しますからね」

レナ「はいはい、ふふっ」

P「まったく」


レナ「さっきまで色々なこと思い出してた。
日本を出て…一人で研鑽を積んで…沢山の経験を…」

P「ハスラー・レナの誕生秘話ですか?」

レナ「そうね……Pさん知ってる?
ビリヤードをする人のことをハスラーっていうのは間違いなのよ」

P「へぇ…どうしてです?」

レナ「英語のhustlerは元々イカサマや悪知恵で巨万の富を得る者、って意味なの。
だから、日本以外だと失礼にあたることもあるわ」

P「ほお……やっぱりあの映画の印象が強いですからね。
ずっとハスラーだと思ってました」

レナ「ま、私は別に云われても構わないけどね。
勝負師を自認するなら勝たなければ意味がないんだから」



P「でも、やっぱり俺はレナさんをハスラーと呼びたいですね」

レナ「どうして?」

P「さっきの……あれ禁じ手ですよ。
あんなこと云われたら」

レナ「でも、私は賭けに勝って貴方を手に入れた」

P「ええ、だからこそハスラーです。
敗者にハスラーの名は相応しくありません」

レナ「ふふっ…Pさんも負けず嫌いなのね」

P「レナさんこそ負けず嫌いじゃないですか」

レナ「ええ
……だからさっきまでいいように啼かされていたのは気に入らないの」

P「へぇ…」

レナ「次は私の番なんだから!」ドサッ

P「っ…はぁ…返り討ちに、してあげますよ!」


以上です

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