親愛なる同志、そして友人たちへ
この手紙は君たちに向けて書くものである。
君たちに送った理由、それはこの手紙を本にして出版してほしいという私個人の願いによるものだ。
現在私は当局から睨まれている。というのも私が反航空歩兵、そして反艦娘だからという理由であるそうだ。
しかし私個人としては彼女たちになんら含むところを持っていない、これは確かなことなのだ。
さて、これ以上私の無駄な弁解を書いて紙面を無駄にするわけにも行かない。
この手紙は世界中の私の信頼の置ける友人に親展で送付したつもりである。
検閲を逃れるためにさまざまな手段を尽くしたわけであるが、
君がこの手紙を読んでいるということは私と友人たちの努力が実を結んだのであろう。
この手紙の送り先は、日本、連合王国、アメリカ、ドイツ、ソビエト、合衆国、ブラジル、エチオピアである。
受け取り手は私の古くからの友人もいれば私が取材をする過程で友達になった奴もいる。
諸君、私がこの手紙を送った理由はなんとなく想像がつくだろう。
私は書き残さねばならないのである。
諸君の奮闘を、戦友の死を、彼女たちとの和解を。
友よ、私は再び君たちにどこかで会えることを願っている。
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[私個人の話]
友よ、私の話を冗談だと思わないでほしい。今から書き表すことはすべて真実である。
これらの話は一般の読者にはまったくの酔狂として受け入れられるだろうし、
各国の情報機関とやらにいらぬ心配を抱かせるだろうから、製本するときには除外して欲しい。
私はこの世界の人間ではなく、私以外にもこの世界の出身でない人間が存在する。
彼らと私がどうして、そしてなぜここに来れたのかは私にも分からない。ただ、存在したのである。
彼らの具体的な名前をここに列挙することはしないが、彼らは実際われわれの周りにも多数存在する。
君の横でタバコをふかしている奴かもしれないし、口やかましい上官かもしれない。
君の命令を伝えに行って流れ弾で死んだそいつかも知れない。ともかく彼らは―われわれは、いたるところに存在していた。
私の趣味はいわゆる軍事趣味ともいふべきもので、思想や国を超越して制服の蒐集や戦術などについてあれこれ思案するのが好きだった。
私がこの世界に来てまず最初に驚いたのは空とぶ少女と海を行く少女たちのことだった。
君たちは少女なんてロマンチックなものではないよ、と笑うかもしれないが、ともかく私の世界では少女はそんな事はしなかった。
一部の軍事趣味家や漫画愛好家がそういうものを考えて「あったら面白いな」と笑いあう程度の、フイクションだけの存在だったのである。
だから、私はこの世界に来てそれに驚き、次に一般の兵士の待遇の悪さと指揮の稚拙さに驚いたのだ。
我々、外から来た人間はほとんどがこの、兵士の地位を向上させることを目指して活動している。いや、活動していた。
本書の目的はそこである。兵士たちの死闘を明らかにすることによって彼らの地位を向上させるのである。
そして、これはこの世界に突然現れたせいで祖国も家族もない、私自身の悲願なのである。
ああ、だが私はすばらしい友人と仲間に恵まれた。
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