モバP「パイフーロン」 (48)



加蓮とまゆとユッコがメインのシリーズです。
シリーズのつながりはこれだけなので、ここからでもどうぞ。

前回

モバP「パラメーター」



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―事務所・午後―



P「お待たせ2人とも。写真持って来たぞ」ガチャ

裕子「ついに出来たんですね!どんな写真なのかなあ!楽しみだなあ!」ワクワク

加蓮「現場で何枚か見せてもらったじゃん。大体イメージ出来てるでしょ?」クス







堀裕子(16)
http://i.imgur.com/2G3jiwK.jpg

北条加蓮(16)
http://i.imgur.com/BARcecS.jpg




P「写真にしたらまた印象が違うだろ。菜々さん達は午前中に選び終わってるから、
  後はお前達2人だ。俺と社長である程度は絞ったから、後はこの写真の中から
  お前達の意見も交えて選ぶぞ」ドサッ

加蓮「絞ってこの枚数なの?もうちょっと減らしてくれてもいいんだけど」ドッサリ

P「これでもかなり絞ったんだぞ。特に今回の加蓮の写真は両方とも凄く多かったよ。
  モデルが良いからカメラさんもいっぱい撮りたくなったんだろうな」ニコッ

加蓮「ふ、ふん、プロなら一発で決めてよね……」モジモジ





裕子「プロデューサー!選ばれなかった写真はもらってもいいですか?福井の両親にも
   送りたいし、私も記念に欲しいので!」キラキラ

P「いいけど友達とかにあげちゃダメだぞ?写真の管理は厳しいからな」

裕子「やったあ!それじゃ写真選び頑張るぞー!さいきっくファイトー!おー!」

P「ははは、テンション高いな裕子は。でもまずは仕事用の写真から選んでくれよ」





加蓮(川で撮影した写真こんな風に撮れたんだ。青いモミジが綺麗だな……)クス

凛「着物のすそ上げすぎじゃない?もうちょっとおろした写真ないの?」ジロジロ

まゆ「そうですねえ。加蓮さんもお年頃ですし、冒険したい気持ちもわかりますけど
   あまりはしたないのはよくないと思いますよお」ジロジロ

加蓮「……どこから出て来たのよアンタ達?」

凛「え?私達さっきまで一緒にレッスンしてたじゃん。忘れたの?」キョトン

まゆ「Pさんが事務所にいる時は、まゆはいつもそばにいるじゃないですかぁ♪」ウフフ






渋谷凛(15)
http://i.imgur.com/W4GM1tt.jpg

佐久間まゆ(16)
http://i.imgur.com/IUnt80Z.jpg





加蓮「ちょっと奈緒、そっちでマンガ読んでないでこの2人回収してよ」

奈緒「えー、ヤだよ。今いいトコなんだからジャマすんなよ」

加蓮「Pさん、今日の奈緒のパンツは」奈緒「うぉぉぉい!? 何言うつもりだ!? 」バタバタ!!





神谷奈緒(17)
http://i.imgur.com/fJFC346.jpg





裕子「凛ちゃん達も手伝ってくれるんですか?ありがとうございます!」ニコッ

P「今回の加蓮の写真は『夜宴』シリーズだから、凛と奈緒の意見もあった方がいいかも
  しれないな。写真も多いし、まゆもよかったら意見を聞かせてくれないか?」

凛「プロデューサーに頼まれたら仕方ないね。私達も一緒に選んであげるよ」フフン

まゆ「わかりましたぁ。よろしくお願いしますね♪」ニッコリ

奈緒「おぼえてろよ加蓮…… 今度また毒茸伝説歌わせてやる……」ジト…

加蓮「手伝ってくれるのはありがたいけど、ケンカとかしないでよ?」







***



奈緒「しかしこうやって写真を見ると……」マジマジ

加蓮「ん?何?」

奈緒「同じ『夜宴』シリーズなのに加蓮だけ夜の要素ゼロだな。撮影は昼間っぽいし、
   背景や衣装の色もあたしや凛と違って明るいし……」

まゆ「確かに一度見ただけでは同じシリーズだと思えませんねえ。まゆもこの写真は
   意外でした。Pさんと事務所も思いきった事をしたと思いますよお」






裕子「そもそも『白芙蓉』って何ですか?はじめて聞きましたけど……」

奈緒「お前自分の写真選びは終わったのか?」ジロリ

裕子「あ、あはは…… ちょっと時間がかかりそうなので休憩です……」

P「お前達が疑問に思うのもよくわかる。じゃあ写真選びの参考にどうしてこの加蓮が
  夜宴シリーズになるのか説明しようか」

加蓮「アタシは現場で聞いたけどね」フフッ





P「まずは裕子が言った『白芙蓉』だが、凛なら知ってるんじゃないか?」

凛「うん。ウチの店で夏に時々入荷されるからね。『フヨウ』は花だよ」

裕子「お花なんですか!でもどんな花か名前だけじゃイメージ出来ません……」ムムム…

凛「ハイビスカスって言ったらわかるかな。フヨウはハイビスカスと同じ仲間だから、
  あれとよく似てるよ。花びらが大きくて、ひらひらしてて綺麗だよ」

奈緒「へえ、ハイビスカスの仲間なのか。じゃあ見た目は結構派手なんだな」

凛「丈夫なハイビスカスと違ってフヨウはデリケートだけどね。一日しか咲かないし、
  派手というよりはむしろ逆の透明感のある花だよ」






フヨウ(白)
http://i.imgur.com/IY0pymv.jpg




P「さすが凛はよく知ってるな。一般的に言われているフヨウの花はそれで合ってるよ。
  でもそれだと単純で面白くないから、ちょっと一捻りしてあるんだ」

まゆ「加蓮さんの髪飾りの花は、ハイビスカスというよりは……」ジー

裕子「これって確か、池の上に咲いてる大きな花ですよね?」マジマジ

加蓮「フヨウは知らなくてもせめてこっちは知っといてよ。アタシの『加蓮』って名前の
   由来になってる『蓮(ハス)』だよ」





凛「この形はハスの花だね。でもどうしてハスにしたの?」



P「詳しい由来はよくわからないが、昔の人達は凛がさっき言ったフヨウを『木芙蓉』と
  呼んで、ハスを『水芙蓉』って呼んでいたらしい。芙蓉って言葉は美しいものを表現
  するのに使われていたそうで、今回の撮影イメージに合ってたから採用したんだ」




加蓮の髪飾りとハスの花
http://i.imgur.com/phCN1WB.png




加蓮「美女のことも芙蓉って呼ぶんだって。アタシにぴったりでしょ♪」フフン♪

奈緒「はいはいナルシストナルシスト。自分で言うなっての」

裕子「ああ、だから加蓮ちゃん水の中に入って撮影してるんですね!ハスの花みたいに
   水中からニョキって生えてるイメージで」ポン!

まゆ「ぶふっ!? ニョキって…… 加蓮さんが水中から生えてるって……」プルプル…

加蓮「……裕子って空気読めないよね。サイキックで何とか出来ないの?」イラッ

奈緒「裕子は悪くないだろ。今のはレンコン…じゃなくて加蓮の説明不足だぞ」ニヤニヤ

加蓮「どんな言い間違いよ!? 根っこじゃなくて花を見てよ!! 」グワッ!!







 ギャーギャー



P「仲良いなあいつら。いつもあんな感じなのか?」

凛「いつもは奈緒と加蓮が逆だけどね。ふーん、 加蓮って裕子とまゆが一緒にいると
  あんな風になるんだ……」クス








―――



P「舞台は夜の帳が降りたとある和屋敷の大宴会場。『夜宴の歌姫』の凛が檀上で美しい
  歌声を披露し、『夜宴のメイド』の奈緒が楽しく客達をもてなす。そして庭の池では
  月に照らされたハスの花が幻想的な光景を生み出している―――――」



P「これが『夜宴』シリーズのイメージだが、いいと思わないか?」キラキラ

奈緒「せめて時季くらいは合わせようぜ。凛が10 月であたしが2 月で加蓮は4月に
   撮影って、シリーズにするには無理があるだろ」バッサリ

P「うぐ……っ!? そ、それはスケジュールの都合上仕方なくだな……」アセアセ






凛「ハスの花って朝早くに咲いて昼には閉じちゃうよ?夜は寝てるんだけど」ズバッ

P「そ、それはあくまでイメージで、そこまでリアリティを求めなくても……」オロオロ

加蓮「アタシまんまハスの花だったの?ていうか宴会に参加してないじゃん」キョトン

P「加蓮は花の妖精的な感じで…… ああもう!いちいち細かいんだよお前らは!」ガタッ!!




まゆ「トライアドの皆さんにはPさんのロマンがまったく理解出来ないみたいですねえ。
   まゆは今のPさんのお話、と~っても素敵だと思いましたよぉ」ニッコリ

P「ありがとうまゆ…… 俺の味方はお前だけだよ……」イジイジ

まゆ「うふふ、まゆはいつでもPさんの味方ですから♪」ヨシヨシ

凛「……」イラッ

加蓮「……」イラッ

奈緒「いや、そりゃそうなるだろ。今のはあたし達が悪いって」





裕子「ところで加蓮さんだけ、どうしてこんなに明るい写真なんですか?夜宴だったら
   加蓮さんの背景も暗くした方がいいと思いますけど」

P「最初は衣装を白くして背景は暗くしようかって案だったんだが、いっそのこと背景を
  全部白くしてみるかって話になってな。そうすると衣装のカラーのバリエーションも
  広がるし、加蓮もそっちの方がいいって言ったしな」

加蓮「凛と奈緒が先に『夜宴』のイメージで撮影してくれていたから出来た写真だよね。
   それにやっぱりウチのアイドルで『白』といえばアタシでしょ」ニヤリ

凛「……」イラッ

まゆ「……」イラッ

奈緒「あれ?お前らさっきまで睨み合ってなかったか?」





P「ううぅ…… ぐすっ……」ボロボロ

裕子「ど、どうしたんですかプロデューサー!? お腹痛いんですか!? 」ギョッ!!

P「いや、ついウェディングドレスを着た加蓮を思い出してな…… 俺もいつか来賓席から
  高砂の加蓮を眺めるのかと思うと、今から嬉しいやら寂しいやら……」グスグス

凛「眺められちゃうんだ加蓮。式場の花はウチの店で手配してあげるよ」ニヤニヤ

まゆ「披露宴には呼んでくださいね。あ、まゆはPさんの隣の席でお願いします」ニヤニヤ

加蓮「……」イラッ

奈緒「あっちで敵になったりこっちで味方になったり忙しいな……」ヤレヤレ





裕子「よし!それじゃそろそろ私も自分の写真選びに戻ります!どんなに沢山の写真が
   あってもエスパーユッコのさいきっくダウジングがあれば……」サッ ←スプーン

P「あ、言い忘れていた。それだがな裕子」ヒョイ

裕子「ああ!? 何するんですかプロデューサー!スプーン返してください!」ピョンピョン

P「お前はこの写真選びで超能力の使用を禁止する。これはプロデューサー命令だ」

裕子「なっ!? 」ギョッ!!

加蓮(まさかPさん……)

まゆ(裕子さんの超能力を信じているんですか……?)





凛「プロデューサー、それはちょっと……」

P「ああ、凛の言いたい事はよくわかっている。だが裕子はサイキッカーであると同時に
  アイドルだ。裕子はアイドルとしても成長しなければならない。違うか?」

裕子「で、でもエスパーユッコじゃないアイドルの私なんて、ミートソースがかかって
   いないカルボナーラみたいなものですよ!? 」グワッ!!

奈緒(重すぎて食えねえよそんなパスタ。混乱してるのか素なのかわからねえな……)





P「落ち着け裕子。お前のプロデュース方針は今後もサイキックアイドルで変わらない。
  だが困ったら何でもサイキックに頼るのはお前の悪いクセだ。お前もあんなに苦労
  して宙吊り撮影したのに、そんなに簡単に決めていいのか?」ジロリ

裕子「そ、それは……」

P「監督さんもカメラさんもスタッフのみんなも、お前の魅力を最大限に引き出す為に
  一所懸命考えて、たっぷり時間をかけて撮影してくれたんだ。どうすればお前の
  可愛さを写真に収められるだろうってな」ニコッ

裕子「か、かわわわわわわいさですか……!? 」カアア





P「ああそうだ。俺から見ればお前も芙蓉の花だよ。だからお前も超能力なしで、俺達が
  撮影した可愛いお前の写真に真剣に向き合ってくれ。エスパーユッコのお前を否定
  するわけじゃないが、サイキックなしでもお前は魅力的なんだからな」ナデナデ

裕子「わ、わかりました…… さいきっく今だけ封印……」モジモジ

奈緒(ったく、恥ずかしい事を平気で言うんだからPさんには困ったもんだぜ……)クス



 ゴゴゴゴゴ……



奈緒(な、何だぁっ!? この禍々しいオーラはっ!? )ゾクゾクッ!!







凛「……」ゴゴゴゴゴ…

加蓮「……」ゴゴゴゴゴ…

まゆ「……」ゴゴゴゴゴ…



奈緒「あーお前ら、仲直りしたのはいいけど裕子に八つ当たりすんなよ?」ヤレヤレ






凛「……今更だけどさ、『夜宴のメイド』って何かいやらしくない?」

加蓮「ご主人様に夜のご奉仕とかするのかな。いやらしいね」

まゆ「いやらしいですねえ」

奈緒「あたしに八つ当たりすんなよ!いやらしくねえよ!」グワッ!!

P「さ、雑談はこれくらいにしてそろそろ決めるぞ。写真選びはアイドルとして自分の
  魅せ方を勉強する立派な仕事だからしっかりやってくれよ!」パンパン!!







***



加蓮「おわったぁ~……」グデーン

裕子「つかれました……」ダラーン

奈緒「芙蓉のイメージ皆無だな。もっとシャキっとしろよ」

まゆ「自分の写真ならともかく、他人の写真を選ぶのは大変ですねえ」フウ

凛「加蓮の衣装が蒼かったら、もうちょっと早く選べたんだけどね」コキコキ





P「お疲れみんな!それじゃこの写真を社長のところに持って行くよ。今日は晩ご飯に
  連れて行ってやるから、少しだけここで待っててくれ」ニコッ

裕子「え!? いいんですか!? やったあ!」ガバッ

P「ああ、もう夕飯時だしな。10分くらいで戻るから、みんなで相談してどこに食べに
  行くのか決めといてくれよ」バタン





加蓮「だってさ。みんな何食べたい?」

奈緒「ハスの話してたらレンコンが食べたくなってきたな。和食とかどうだ?」ニヤリ

凛「ひどいよ奈緒。加蓮を食べるなんて私には出来ないよ」

加蓮「アタシをレンコンにしないでよ!アタシは根っこじゃなくて花だから!」グワッ!!





まゆ「でもレンコンはレモンと同じくらいビタミンCがたくさん含まれていますから、
   疲れた時に食べるのはいいと思いますよお」

加蓮「え?そうなの?」

凛「私も聞いたことあるよその話。ちょっとイメージ出来ないけどね」

まゆ「ですがレンコンの旬は秋から冬ですから、今は季節外れですねえ。食べられない
   ことはないと思いますけど……」





裕子「じゃあカレーとかどうですか?確か福神漬けってレンコンも入ってましたよね?
   それに疲れた時にはカレーが一番です!」

奈緒「裕子…… お前って実は天才じゃね?」

凛「悪くないね。カレーも何か加蓮っぽいし。ふふっ」

まゆ「まゆもその発想はありませんでした。裕子さんは目の付けどころが違いますねえ」

裕子「いや~、それほどでも~♪」エヘヘ

加蓮「おかしい…… どうしてアタシがいじられる側になってるの……?こういう役は
   いつもなら奈緒のはずなのに……」グヌヌ…



おわり







 ここまで。夜宴の白芙蓉の解釈は完全に作者の想像ですので、間違っていたら
すみません。加蓮はハスの花だし、花はフヨウじゃなくてハスだと思いますが。
ちなみに「パイフーロン」は白芙蓉の中国語読みです。そろそろネタが……
 ついでに補足ですが、ハスの花はゆっくり白からピンクに変わるそうです。
白芙蓉なのに衣装がピンクなのはそれもあるのかなと想像したり。では


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