マルコ「あのさ、もしもの話だけど」ジャン「おう」(18)


マルコ「あのさ、もしも僕たちが」

ジャン「おう」

マルコ「血の繋がった兄弟だったらさ」

ジャン「うん」

マルコ「僕はお兄さんかな? 弟かな?」

ジャン「んー、兄貴なんじゃねえの?」


マルコ「どうして?」

ジャン「だってそりゃ、お前の方が歳上だし……それに、俺はお前から色々教えられてるし、色々助けられているからな」

ジャン「それは僕も同じだよ。ジャンからはかけがえのないものをたくさん貰ってるし、世話になってばっかりだ」

ジャン「そうか?」

マルコ「そうだよ」


ジャン「じゃあ、お互い様だな」

マルコ「お互い様だね」

ジャン「待てよ、それじゃあ結局どっちが兄貴ってことになるんだ?」

マルコ「んー、どっちでもないかな」

ジャン「何だよそれ。質問した意味がねぇじゃねぇか」

マルコ「そうだね。やっぱり僕たち、親友でよかったのかな」


マルコ「あのさ、もしも僕たちが」

ジャン「おう」

マルコ「恋人同士だったらさ」

ジャン「は? 何言ってんだ!?」

マルコ「例えばの話だって」

ジャン「お、おう」

マルコ「僕たちは上手くいくと思う?」


ジャン「んー、いかねぇだろうな」

マルコ「どうして?」

ジャン「俺より有能な彼女なんて嫌だ」

マルコ「でもミカサのこと好きじゃないか」

ジャン「あっ、あいつは別なんだよ! そうじゃなくて、マルコだとなんか嫌なんだ。越えられそうで越えられない壁があるみたいで」


マルコ「でも、僕も分かる気がする。ジャンは確かに、お互いに高め合いたい相手であって、守りたくなるような相手ではないかな」

ジャン「はっ、結局上手くいくわけねぇってことじゃねえか」

マルコ「そうだね。やっぱり僕たち、親友でよかったのかもね」


マルコ「あのさ、もしも僕たちが」

ジャン「おう」

マルコ「違う訓練兵舎に所属してたらさ」

ジャン「そりゃ、出会わなかったら、ってことか?」

マルコ「うん」

ジャン「続けろ」

マルコ「僕たちは今みたいに、成長出来たかな?」


ジャン「……出来てねぇ、だろうな」

マルコ「どうして?」

ジャン「お前いなかったら、俺は余裕で憲兵入りしちまうからな」

マルコ「あぁ、なるほどね」

ジャン「お前は?」

マルコ「そうだね。僕も、ジャンが頑張ってるから、僕も頑張ろうって思うよ」


ジャン「じゃあやっぱり、結論は同じじゃねえか」

マルコ「うん、そうだね。やっぱり僕たち、親友になれてよかったね」


ねぇ、ジャン
やっぱり僕たち
親友になれて、よかったねーー


ジャン「ーーマルコ?」


ジャン「あぁ、そうか」

ジャン「もうあいつはいないのか」

ジャン「……」


ジャン「なぁ、マルコ」

ジャン「もしも俺たちが」

ジャン「遠い未来に生まれ変わって」

ジャン「また同じように出会えたら」


ジャン「また、親友になってくれるか?」

おしまい。
二千年後の君へ。

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