マルコ「あのさ、もしも僕たちが」
ジャン「おう」
マルコ「血の繋がった兄弟だったらさ」
ジャン「うん」
マルコ「僕はお兄さんかな? 弟かな?」
ジャン「んー、兄貴なんじゃねえの?」
マルコ「どうして?」
ジャン「だってそりゃ、お前の方が歳上だし……それに、俺はお前から色々教えられてるし、色々助けられているからな」
ジャン「それは僕も同じだよ。ジャンからはかけがえのないものをたくさん貰ってるし、世話になってばっかりだ」
ジャン「そうか?」
マルコ「そうだよ」
ジャン「じゃあ、お互い様だな」
マルコ「お互い様だね」
ジャン「待てよ、それじゃあ結局どっちが兄貴ってことになるんだ?」
マルコ「んー、どっちでもないかな」
ジャン「何だよそれ。質問した意味がねぇじゃねぇか」
マルコ「そうだね。やっぱり僕たち、親友でよかったのかな」
マルコ「あのさ、もしも僕たちが」
ジャン「おう」
マルコ「恋人同士だったらさ」
ジャン「は? 何言ってんだ!?」
マルコ「例えばの話だって」
ジャン「お、おう」
マルコ「僕たちは上手くいくと思う?」
ジャン「んー、いかねぇだろうな」
マルコ「どうして?」
ジャン「俺より有能な彼女なんて嫌だ」
マルコ「でもミカサのこと好きじゃないか」
ジャン「あっ、あいつは別なんだよ! そうじゃなくて、マルコだとなんか嫌なんだ。越えられそうで越えられない壁があるみたいで」
マルコ「でも、僕も分かる気がする。ジャンは確かに、お互いに高め合いたい相手であって、守りたくなるような相手ではないかな」
ジャン「はっ、結局上手くいくわけねぇってことじゃねえか」
マルコ「そうだね。やっぱり僕たち、親友でよかったのかもね」
マルコ「あのさ、もしも僕たちが」
ジャン「おう」
マルコ「違う訓練兵舎に所属してたらさ」
ジャン「そりゃ、出会わなかったら、ってことか?」
マルコ「うん」
ジャン「続けろ」
マルコ「僕たちは今みたいに、成長出来たかな?」
ジャン「……出来てねぇ、だろうな」
マルコ「どうして?」
ジャン「お前いなかったら、俺は余裕で憲兵入りしちまうからな」
マルコ「あぁ、なるほどね」
ジャン「お前は?」
マルコ「そうだね。僕も、ジャンが頑張ってるから、僕も頑張ろうって思うよ」
ジャン「じゃあやっぱり、結論は同じじゃねえか」
マルコ「うん、そうだね。やっぱり僕たち、親友になれてよかったね」
ねぇ、ジャン
やっぱり僕たち
親友になれて、よかったねーー
ジャン「ーーマルコ?」
ジャン「あぁ、そうか」
ジャン「もうあいつはいないのか」
ジャン「……」
ジャン「なぁ、マルコ」
ジャン「もしも俺たちが」
ジャン「遠い未来に生まれ変わって」
ジャン「また同じように出会えたら」
ジャン「また、親友になってくれるか?」
おしまい。
二千年後の君へ。
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