佐天「始まりはそう…とっても唐突だったの」
佐天「偶然貰った有名店の金平糖がおいしかったから」
佐天「できたら儲けもの、くらいの気持ちでレシピ調べて作ってみたんだ」
佐天「まあギリギリセーフって感じの味だったかな、形は0点だったけど」
佐天「数日後、ポケットに埋まってる1粒に気付いた。流石に食べたくはないよね」
佐天「何気なしに、『こんぺいとう!』と叫んで教室の窓から投げてみた!」
佐天「空気抵抗をやけに受けずに轟音立てて飛んで行ったと思ったら」
佐天「運動場に半径1メートルのクレーターができた」
佐天「…………な、なんだってーー!!?」
初春「佐天さん、システムスキャンの結果はどうでしたか?」
佐天「うん、lv1だって!」
初春「よかったじゃないですか!どんな能力なんですか?」
佐天「自作こんぺいとうを投げると、一握りで相手全体に200ダメージ」
佐天「ちなみに御坂さんの超電磁砲が相手単体に1000ダメージってとこ」
初春「…凄まじい威力ですね」
佐天「でも…正直この能力、好きになれそうにないなあ」
初春「え、なんでですか?待望の、それも強力な能力なのに」
佐天「これでも自称料理愛好家なんだよ?苦労して作ったお菓子を…」
佐天「散々投げ捨てることになるなんて、ちょっともやもやするよ」
佐天「威力測定の時も、きちんとしたデータ取りたいとか言われて」
佐天「グラニュー糖にして何十キログラム分も捨てまくったんだから…」
初春「確かにそう言われると勿体ないですね…」
佐天「せめて繰り返し使えたらなあ」
佐天「というよりこの能力、どうやってレベルを上げていけばいいんだろ?」
初春「こんぺいとうの完成度を高めればいいんじゃないですか?」
佐天「あ、それは一理あるかも。酷い出来たったし」
佐天「ほら、こんな感じ。表面の凹凸がぐちゃぐちゃでしょ。食べてみて?」
初春「…口の中で暴発したりしないでしょうね(パクッ)」
佐天「答えを聞く前に食べてくれる初春素敵」
初春「…えっと、微妙な味です」
佐天「…………orz」
初春「私が投げても特に変なことは起こりませんよね(ヒョイ)」
佐天「あ」
初春「『こんぺいとう!』なーんっちゃ…」
ドカーン! なんだなんだー!? ザワザワ……
なんかあのあたり地面が草ごと抉られてるぞ! マジ?
佐天「他人が投げても一握り当たり相手全体20くらいの威力は出るよ?」
初春「怖すぎますよ!?」
佐天「ははは、初春初春、私、lv.2になったよ!」
初春「1か月も経ってないのに早いですね!」
初春「で、どんなことができるようになったんですか?」
佐天「あはははは、凄いんだから!」
佐天「使用前に『アタックアップ!』って叫ぶだけで威力1.5倍だってさ!」
佐天「よーし、『アタックアップ!』…そんでもって、『こんぺいとう!』(ビュン!)」
ドッガアアアアアアン!!!
初春「……街路樹が向こうの方まで粉々に」
佐天「どう?どう?凄いでしょ!!」
初春「ちょ、ちょっと佐天さん、威力が凄いのはわかりましたけどやりすぎですよ!」
佐天「まあまあ、そんなこと言わずにさあ!」
初春「言いますよ!何考えてるんですか!」
佐天「…………」
初春「…………さ、佐天さん?」
佐天「……ネエ初春、私ヲホメテヨ」
佐天「シノゴノイワズニサア」
初春「……い、一体…どうしちゃったんですか!」
佐天「怪我シタクナカッタラ……トットト、ホメロォ!!(振りかぶり)」
初春「…あ…ちょっと…佐天…さん?」
佐天「…………」
初春「…………」
佐天「…………」
初春「……………………ふう、わかりました」
初春「……意地でも、ほめません。私は佐天さんの心を信じます」
佐天「……っ!!」
初春「脅しに屈して嘘を並べ立てるほど、ヤワな親友関係は結んでませんから」
初春「脅しに屈して間違いを正してあげられないほど、臆病じゃないですから」
佐天「……う……あ……」
初春「ったく、しょうがないですね(抱き)」
初春「まあとりあえず、何があったか詳しく説明してくださいね?(ギュッ)」
佐天「……うっ、ううっ、うわーーーーん!」
佐天「う゛いはる、ごめん、ごめんねぇ!!全部話すからっ!!(ギューッ)」
黒子「佐天さんのレベルアップの話を聞いて探していましたら」
御坂「思いがけない百合状態が展開されていた件について」
黒子「ここは私たちも負けて居られませんの!お姉様に抱きつ」
御坂「ジャッジメントブレイカー(微細砂鉄広範囲放射)」
黒子「はうっ!?……微妙に違います…の…(ガクッ)」
御坂「……あ、やばい、ちょっとだけやりすぎたかも」
黒子(ピクピク)
御坂初春「「料理ノイローゼになったあ!!??」」
佐天「…はい……」
御坂「ちょっと、それで街路樹があんなことになったっての!?」
御坂「ふざけてるとしか思えないわよ!」
初春「……御坂さん、もう少し話を聞きましょうよ」
初春「佐天さん、最近どんなことをしてたのか教えてもらえますか?」
佐天「……うん」
黒子(ピクピク)
黒子(…いい加減労わってくださいませお姉様♪待ちくたびれましたの)
御坂「…………(じーっ)」
御坂「『こんぺいとう!』(ポイッ)」
黒子「gyaaaaaaa!deathnoooo!!!」
○月△日
佐天「ふああああ、昨日は…いや昨日も…大変だった……(グイーッ)」
佐天「って、もうこんな時間!?ってことはそろそろ…」
ピンポーン! すいません、●×運送でーす!
佐天「やっぱ来たか…」
どーも、ありあとあしたー!
佐天「今日の指示ノルマは…砂糖20㎏、かあ…」
佐天「やばいなあ、今日は補習もあるのに」
佐天「なんでこんなことになっちゃったんだろ…(グスン)」
佐天「朝からいきなり金平糖、帰ってからも金平糖♪」
佐天「……むなしい」
佐天「いくら必要な材料やらガス代やら援助してくれるとはいっても」
佐天「正直限度があると思う、肝心の報奨金は碌にくれないし」
佐天「部屋は暑いし体調は崩れるし…」
佐天「しかも前にも増して丁寧に作らなきゃなんない」
佐天「そして何時間もかけて作ったやつを結局食べない」
佐天「……こんなのってないよ、拷問だよ……」
佐天「てな感じです」
御坂「」
初春「」
佐天「一体どうすればいいんですか、御坂さんー」
御坂「佐天さん、送られてくる材料ってその日のうちの消化が絶対なの?」
佐天「はい…別に監視されているわけじゃないんですけど、使い切れって…」
御坂「従順すぎる、かな。いい佐天さん、融通利かせなさいっ」
佐天「融通、ですか?」
御坂「研究機関側はおそらく、早くデータが欲しいから焦らせてるだけ」
御坂「私もちょっと経験あるからね…。心配しなくてもいいわ」
御坂「自分のペースでゆっくりやっていってもちゃんと成果は出るんだから!」
御坂「いい?努力するのと無茶をするのとは大違いなのよ?」
佐天「……ほんと、ですか?」
御坂「はあー、変なところ真面目だったのね、佐天さんって」
御坂「じゃあこういうのはどう?能力使用がレベルアップにつながるってんなら…」
御坂「別に1粒ずつチマチマ投げていっても1回は1回でしょーが!!」
佐天「!!!」
御坂「突撃訪問とかで余った材料を咎められたらこう言って返すといいわよ」
御坂「一度作ったら1か月持たせるつもりで投げてきゃいいの!」
佐天「……御坂さん、ありがとうございます!!」
佐天「ふっふっふーん!いい話聞いちゃった、流石lv.5だね!」
佐天「というわけで、昨日作った金平糖がここにあります!」
佐天「いつもの投擲場(半強制連行)に来て投げまくってるぞー!」
佐天「『こんぺいとう!』(ズガーン!)」
佐天「いやー、回数変えずに作業疲労30分の1だよ、凄い楽だよ!」
佐天「『こんぺいとう!』(ドカーン!)」
佐天「金平糖を投げまくること自体は何故か疲れないし♪」
佐天「むしろ投げ足りないくらいだよね!!」
佐天「…あれ、持ってきた量こんなに少なかったっけ?なくなっちゃった」
佐天「明日はもうちょっと多めに持って来よう」
佐天「『アタックアップ!』……『こんぺいとう!』(ドガガガガーン!)」
佐天「しばらく威力1.5倍っ!『こんぺいとう!』『こんぺいとう!』」
佐天「『こんぺいとう!』『こんぺ』…あれ、もうなくなってる」
佐天「ペース上げすぎたかな…まあいっか」
佐天「…………明日は2倍持って来てみるかぁ」
研究員a(……そろそろ訓練室の壁がやばいな……)
研究員b(しかも一点集中でもないから全面補修・補強し直しか…)
御坂「あ、あれぇ?佐天さん、一時は持ち直した体調がまた悪化してない?」
佐天「そそそ、そんなことはないですよ!楽しくやってますし!」
佐天(…やばい、変な方向で労力増えてしまった)
佐天(ま、まあもとに比べりゃ5分の1の調理時間だし!)
佐天(何より本当に今は楽しんでやれてるし!)
佐天(『こんぺいとう!』と叫ぶ回数は6倍になったけどね、hahaha!)
佐天(…あっれー?お菓子を粗末にしたくない佐天さんはどこにいったのでしょー?)
佐天(……1粒ずつだと罪悪感が薄れるのかなあ…)
佐天(まあ、今後はちょっぴりマシになるんだけど)
佐天「そういえば御坂さん、とうとうlv.3になりましたよ!!」
御坂「…なんですって!異常な早さね…!?」
佐天(そりゃ1日に1万回近く使ってりゃ上がらない方がおかしいよ)
佐天「というわけで、勝負しませんか?」
御坂「勝負?言ってくれるじゃないの、受けて立つわ!腕が鳴るぅー!」
佐天「あ、待って、待ってください!?単純な威力勝負じゃ勝ち目ないです!」
佐天「ズバリ、的合戦をしましょうよ!」
御坂「…的合戦??」
佐天「御坂さんと私で、10発ずつピストルの弾を持って対峙します」
御坂「…コインと金平糖ってことね?」
佐天「お互い、粒の大きさを制限して破壊力や速度を頭打ちにして…」
佐天「ダメージを負ったかどうかに関係なく、体に当てられたら負けってことで」
御坂「了解したけど…いいの?制限したところでモーションとかでこっちが有利よ(ニヤリ)」
佐天「御坂さんにはこのくらいしておいた方が油断で却って弱くなる」
御坂「なっ!」
佐天「……って白井さんが自慢げに言ってましたー」
御坂「…くーろーこぉー!!」
御坂「…私ちょっと用事ができたから行くわね。勝負は3日後でどう?」
佐天「大丈夫ですっ!!」
佐天「初春、ちょっとpcかなんかで計算してほしいんだけど…」
初春「はあ、いいですけど?」
佐天「えっとね、5パーセントが10回で……」
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