進撃戦隊 キョジンジャー!(140)

サシャ「うぇっひっひ……さあさあさあさあ! はやく皆さんのパァンを出してください!」

ダズ「そ、そんなぁ……これは俺たちの大事な昼飯なんだぞ……!」

サシャ「ほー? 断ると言うんですか? では仕方ありませんね……代わりにあなたの肉を食べることにします!」ガブッ

ダズ「うぎゃああああああ!」

「待てい!」

サシャ「ハッ! 何奴!?」


エレン「壁内の平和を守るため!」

ライナー「悪と戦い市民を助ける!」


エレン「エレンレッド!」シャキーン

ライナー「ライナーイエロー!」シャキーン

ベルトルト「ベルトルトブルー!」シャキーン

ユミル「はあ……ユミルグリーン」ダラーン

アニ「……アニピンク」ボソッ

ベルトルト「五人そろって」

エレン「進撃戦隊 キョジンジャー!!」テッテレー

スレタイでわかると思いますが、戦隊モノですので、進撃の巨人の世界とは似ても似つかないパラレルワールド的世界観です。

ゴレンジャーとかそこらへんを思い出してください。

一部シリアスですが基本ギャグです、至らない部分はノリでお見逃しください。あとアニメ派の人にはネタバレありますが、進撃ss読んでる人には問題ないレベルです。


サシャ「で、出ましたね、キョジンジャー!」

ライナー「おとなしく奪ったものを返すんだな」

サシャ「いやです! これは私のパァンです!」

エレン「ふざけんな! 観念しやがれ!」

サシャ「くっ……出てきてください、巨人たち! 私が逃げるまで時間を稼いでください!」

雑魚巨人「「「「キーーーー!!」」」」ドシーン

ベルトルト「巨人だ! 3m級が2体、15m級が2体!」

エレン「総員、立体起動に移れ!」

ライナー「行くぞ!」ビュンッ

ベルトルト「ああ!」ビュンッ

ユミル「めんどくせえなー……」ビュンッ

アニ「……」ビュンッ


説明しよう!
キョジンジャーの面々は立体起動を用い、空中を素早く駆け抜ける優秀な戦士である!
彼らの手にかかれば巨人など屁のカッパなのである!
戦隊パワーで原作よりすっごく強いのだ!

ヒュンッ ヒュンッ ズバッ! イェェェェェガアァァァァ!

ライナー「雑魚は片付いたぞ!」

エレン「サシャを追おう!」ビュンッ



サシャ「困りました……もう追って来てます。全然時間稼ぎになってません」

サシャ「でも、私だって立体起動は得意です! これだけ離れてればすぐに撒け……」

サシャ「……」クンクン

サシャ「この匂いは……お芋!?」


ライナー「おいエレン! サシャが地面に降りたみたいだぞ!」

エレン「何っ!?」

ユミル「市場の辺りだな」

ベルトルト「もしかしたら、あのあたりにアジトがあるのかもしれない!」

アニ「……急ぐよ」ビュンッ


ライナー「……確かこのあたりだったはずなんだが……」

ベルトルト「どこだろう?」

ユミル「……あ、いた」ユビサシ

エレン「!」


サシャ「うへへ……どいてくだふぁい! そのお芋は全部私のものです! んぐっ。あ、あなたとあなたとあなたは残ってるお芋を洗ってふかしてくだふぁい!」モグモグ

エレン「見つけたぞ、サシャ!」

サシャ「……!」ハフハフ

ライナー「俺たちが追っかけてるのにまた食料の略奪とは、なめたことするじゃねえか」

サシャ「……」モキュモキュ

ユミル「……いや、黙々と芋食ってんじゃねえよ」

サシャ「あ、すみません!」ゴクゴク

ユミル「水分補給しろって意味じゃねえよ!」


アニ「……ほら、無駄話してないでさっさと捕まえるよ。こいつのせいで値上がりするくらい食料が盗まれたじゃないか」

エレン「そうだな。サシャ、おとなしく投降しろ。逃げ場はないぞ」

サシャ「……ふっふっふ。甘いですね、エレン。私がお芋を食べるのを許してしまった時点で、みなさんの負けなんですよ……!」ゴゴゴゴゴゴ

ユミル「! おまえら気をつけろ! あの芋女、何か仕掛けてくるぞ!」

サシャ「行きますよ……!」

プシュウゥゥゥゥゥウウウウ! ビュンッ

エレン「なっ……」

アニ「放屁で空を飛んで……!?」

サシャ「いただきます!」ガブリッ

ライナー「ぐぁああああああ!!」

ベルトルト「ライナーーーーッ!」


エレン「大丈夫かライナー!?」

ライナー「あの野郎……肉を噛みちぎりやがった……!」

ユミル「エレン、ライナーはほっとけ! そんくらいの傷はすぐ治る!」

アニ「それよりも……あの速さはまずいね」

サシャ「どうですか私のおならは!」モグモグ

サシャ「お芋の力で立体起動よりも速く飛べるんですよ!」ゴクン

サシャ「さあ……もういっちょ!」プシュゥウウウウウ! ガブリッ

ライナー「ぐぁああああああ!!」

ベルトルト「ライナーーーーッ!」


エレン「くそっ! サシャに追いつけねえ!」ヒュンッ

ユミル「どうすんだ! このまんまじゃやられっぱなしだぞ!」

アニ「……カウンターでいこう。あいつが飛んでくるのに合わせて、ブレードを叩き込む」

サシャ「ひゃっふうぅぅぅ!」ガブリッ

ライナー「ぐぁああああああ!!」

ベルトルト「ライナーッ!」

ライナー「なんで俺ばっかりやられるんだッ!」

エレン「ライナーが狙われてる! あいつの近くで迎え撃つぞ!」


サシャ「よしっ、次は右腕いきますよライナー!」プシュゥゥゥウウウウ

ライナー「指名……だと……」

サシャ「いただきまぁぁぁぁああああ――――」

ガブリッ ザンッッッ!

サシャ「――――あえ?」ヨロッ……

アニ「……よし」

エレン「やったか!?」

ライナー「ぐぁああああああ!! なんで俺がやられてから攻撃するんだカウンターだろぉぉおおおおおっ!」

ベルトルト「ライナーーーッ!」


サシャ「ふ……ふふふふ……」

アニ「!? 生きてる……確かに胴を薙いだはずだ。手ごたえもあったのに……」

ユミル「……おまえ流石だな、容赦ねぇ」

サシャ「危なかったですが……浅かったですね、アニ!」

バッ! ボロボロボロ……

エレン「なんだ……サシャの服が裂かれたところからパンがいくつも……!」

サシャ「これぞパァンアーマーです! 持ち運びと防御を兼ね備えた最強の技です!」

アニ「……チッ」

サシャ「ふぅー……」ドヤァ

ユミル「……だが、もうパンは落ちちまったな。次は確実に致命傷だ。死にたくないんなら、ここで投降したらどうだ?」

サシャ「……なんだかんだ言って優しいですよね、ユミル。確かにこのままじゃ絶対に勝てません。でも、このお芋パワーなら簡単に逃げ切れます!」

アニ「……どこに逃げるって?」

サシャ「……っ!(やってしまいました! 私のパァンアーマーを自慢している間に、囲まれてしまってます……!)」


エレン「サシャ、お前がどの方向に動こうが、カウンターを叩き込めるぞ!」

サシャ「くっ……仕方ありません! ボスからリスクが大きいと言われてますが……私はやりますよっ!」

ガリッ

ユミル「! まさか、あれは……っ!」

ピカッ ドォォォオオン!

エレン「嘘だろ……」

アニ「どうしてサシャが……」

おなら巨人「ふぉぉぉおぉぉおおおい!」

ユミル「巨人化しやがった……!?」

エレン「っ! くるぞ! 回避しろ!」

ズーーーーン!

エレン「ぐっ……みんな無事か?」

アニ「……ライナーがつかまれた」

おなら巨人「へへへへ……」ギュッ

ライナー「ぐぁああああああ!!」ボキボキボキ

ベルトルト「ライナーーーッ!」

ライナー「くそっ……このままじゃまずい! 俺は戦士として責任を果たすぞ!」

ベルトルト「ライナー……やるんだな!? 今…! ここで!」

ライナー「あぁ!! 勝負は今ここで決める!!」

ピカッ!

鎧の巨人「ウォオオオオオオオ!!」

おなら巨人「くっ、来ましたね、鎧の巨人!」


説明しよう!
キョジンジャーの面々は戦隊パワーで巨人に変身することができるのだ!
彼らはとっても強い! 原作と同じくらい強い!
ただし街への被害が大きいので緊急事態でなければめったに使用できないのだ!

おなら巨人「負けませんよライナー!」ガブッ

鎧の巨人「ふっ……よく噛めよ、サシャ」

おなら巨人「~~~!! 硬っ!」


ユミル「あー、ライナーなら大丈夫だな。帰るか」

エレン「何言ってんだユミル! 俺たちも加勢するぞ!」

アニ「……やめときな。全身硬化してるライナーじゃなきゃ、サシャの餌になるだけだ」

おなら巨人「くっ……負けません! なんとしても鎧の巨人の肉を食べてみせます! お芋よ、私に力を!」

プシュゥゥゥウウウウ!

鎧の巨人「なにっ……!?」

おなら巨人「おならで加速して……その勢いで鎧をぶん殴りまっっっす!!!」ブンッ

バァアアアアアアアアン!!

鎧の巨人「ぐ……ぅ……!?」

ピキ……ピキピキビキビキビキ

鎧の巨人「ぐぁああああああ!!」バリィィィイイイン!

ベルトルト「ライナーーーッ!」

エレン「おい、まずいぞ! あのままじゃ食われる!」

ユミル「使えねえなあ、あのゴリラ」

アニ「どうする? あいつやけに強いから、突っ込んで行っても危なそうだよ」

エレン「……合体だ!」

ユミル「は?」

エレン「合体技で倒そう! 大丈夫だ、俺に策がある……! いくぞっ!」ガリッ ピカッ!

アニ「エレンの策か……不安だね」ピカッ!

ユミル「大丈夫かよほんとに……はぁ、やるか」ピカッ!

ベルトルト「あの、僕は……」

エレン巨人「ベルトルトはでかすぎるから待機な!」

ベルトルト「」

おなら巨人「はっ! エレンたちも来ましたね! でももう遅いです、ライナーの両足は食べ尽くしました!」

鎧の巨人「ぐぁああああああ!!」シュゥゥゥゥウウウウウ

ベルトルト「ライナーーーッ!」

おなら巨人「これでライナーは戦力外です! さて、さすがに一度に3人も相手にして勝てるとは思えないので……一番柔らかそうなエレンのうなじを食べさせてもらいます!」プシュゥゥゥウウウウウ

エレン巨人「うぉっ!? あぶねぇ!」サッ

ユミル巨人「おいエレン、策はどうした。芋女に食われんのはごめんだぞ」

エレン巨人「そうだった! ライナー、足の再生はやめて、先にうなじと右腕の硬化をやってくれ!」

鎧の巨人「あ、ああ、わかった。だがそれじゃあ俺は戦えないぞ?」

エレン巨人「大丈夫だ。アニ、ライナーの胸から下と左腕を削いでくれ」

女型の巨人「わかった」グイ

鎧の巨人「は? ……おいおいエレン、冗談もほどほどに……ぐぁああああああ!!」ブチブチブチッ

ベルトルト「ライナーーーッ!」

鎧の巨人「ぐぁ……エレン、何をするんだ……がはっ」

エレン巨人「すまんライナー! だけどこうでもしないと重くてお前を振り回せないんだ」

鎧の巨人「……ん?」

エレン巨人「行くぞライナー! アニ、ユミル、俺の後ろにいてくれ!」ガシッ

鎧の巨人「おい掴むな……待て、一体何を……」

おなら巨人「エレンいただきまぁぁぁぁあああす!!」プシュゥウゥゥウウウウ

ユミル巨人「来るぞ!」

エレン巨人「ウォォォオオオオオオオ!!」ブンッ

鎧の巨人「やめっ、振り回すのやめ――――」

ガキィィィイイイイイン!

おなら巨人「がっ! ……ライナーの腕で私の歯をガードするなんて!」

鎧の巨人「ぐぁああああああ!! また壊れたぁぁああああ!!」バリィィィイイイン!

ベルトルト「ライナーーーッ!」

エレン巨人「アニ、ユミル! 今だ!」

おなら巨人「んなっ!?」

エレン巨人「これがキョジンジャーの合体技、ライナーオトリバーストだ!!」

ユミル巨人「ガァァァアアアアアア!」ブンッ

女型の巨人「キャァァァアアアアアア!」バシッ

ズゥゥゥゥウウウウウン!

エレン巨人「やった!! 討伐数1!!」バンザイ

エレン「はぁっ……はぁっ……やっぱ巨人化は疲れるな……」

ユミル「おいエレン! お前もサシャの捜索手伝え!」

アニ「おかしいね……殺してはいないはずなんだけど」

ライナー「……こりゃ逃げられたな。エレンにガードされた時点でうなじから抜け出して、放屁で飛んでったのかもしれん」

ベルトルト「ごめん、僕がちゃんと見てればよかったのに……」

エレン「気にすんなって。盗られた食料は取り返せたんだし」

「みんなーー!」タッタッタッタ

ライナー「!」

ベルトルト「この声は!」

クリスタ「はぁ……はぁ……大丈夫、みんな? 怪我してない?」

ユミル「クリスター! 会いたかったぞー!」ガバッ

クリスタ「きゃっ……ちょっとユミル、離してよもうっ」

エレン「おうクリスタ、走ってきたのか?」

クリスタ「うん。近づくと危ないから待ってるつもりだったんだけど、苦戦してるみたいだったから居てもたってもいられなくなって……ライナー、ボロボロだったみたいだけど大丈夫?」

ライナー「ああ、あのくらい、たいしたことはない」キリッ

クリスタ「わあ……すごいんだね、ライナー」

ライナー「それほどでもないさ(結婚しよ)」

【キョジンジャー本部】

アルミン「おかえり、みんな!」

エレン「おうアルミン、ただいま」

アルミン「壁の上から見てたよ。サシャ、巨人化してたね……」

エレン「ああ……」

ユミル「アルミン、ありゃどうなってんだ? わたしら以外に巨人化できる奴がいるなんて聞いてないぞ」

アルミン「僕も驚いたよ……」

アルミン「今考えられる可能性は、二つ。一つは、僕らが知らなかっただけで、もともとサシャが巨人化能力を持っていた可能性」

アニ「……ないね」

ユミル「ないな。あの芋女に限って」

アルミン「はは、そうだね。あともう一つ考えられるのが、遂に悪の組織が、人に巨人化能力を与えることに成功したって可能性だ」

ライナー「……それはまずいな」


アルミン「うん。ただでさえ普通の巨人でも、君たちのような規格外に強い人間以外には大きな脅威だ。それが格闘術の心得のある知能的な巨人となると、いくらみんなでも命にかかわると思う」

エレン「そうだな……巨人の攻撃力は桁違いだ。油断したら一発でうなじを吹っ飛ばされちゃうな。実際俺とライナーはサシャに食われそうになったし」

ユミル「あれ格闘術関係ないけどな」

ライナー「加えて悪の組織の改造人間が持つ特殊能力だ。サシャの放屁能力は、巨人化しても健在だった。いや、むしろ巨人化能力を得たことで、放屁もパワーアップにしてるように感じる。以前は空を飛べるほどの放屁力は無かった」

クリスタ(放屁力……)


ユミル「……思ってたよりやべぇな」

アニ「ライナー、ご愁傷様」ポン

ライナー「なんで俺に言うんだよ!」

ベルトルト(僕はあと何回叫べばいいんだろうか)

アルミン「とにかく、気をつけた方がいい。今までは一人ひとりバラバラでパトロールすることもあったけど、これからは五人まとまって行動すべきだと思う」

エレン「わかった、気をつけるよ」

クリスタ「……とにかくみんな、今日は休んだ方がいいんじゃないかな?」

ユミル「そうだな! クリスタ、一緒に寝ようぜ!」

クリスタ「やーだよっ」プイッ

ユミル「ガーン……(可愛い)」

クリスタ「みんなにおやつ作ってあるから、座って待っててね!」トコトコ

ライナー「うぉおぉおおおおお!! クリスタのおやつぅぅぅううう!!」

アニ「……うるさい」ゲシッ

エレン「アルミン、ちょっと話そう」

アルミン「あ、うん。じゃああっちの部屋使おうか」

エレン「ああ」スタスタ


クリスタ「おまたせー! ……あれ? エレンとアルミンいなくなっちゃった?」

ユミル「気にすんな、すぐ戻ってくんだろ。それよりクリスタ、はやくおやつ!」

クリスタ「そうだね。じゃあまずはライナー!」

ユミル「えっ……」

ライナー「あ、ああ!(感動しよ)」

クリスタ「はい、どうぞ!」コトッ

ライナー「……あー……クリスタ?」

クリスタ「ん?」

ライナー「これ……カレーだよな?」

クリスタ「カレーだよ?」

ライナー「……なんで『おやつ』にカレーなんだ?」

クリスタ「だって……ライナー、イエローでしょ?」

ライナー「いや、確かにイエローだが……」

クリスタ「だから、カレー。ねっ?」

ライナー「……なんでもいいや、結婚しよ」ガツガツ

ユミル「クリスタ! 私の分、はやく!」

クリスタ「はいはい、ユミルはこれどーぞ!」コトッ

ユミル「……こりゃ」

クリスタ「きゅうりだよ」

ユミル「……グリーンだからか?」

クリスタ「」ニコッ

ユミル「……せめて切ってくれ」

クリスタ「ベルトルトはこれ!」コトッ

ベルトルト「……茄子だね」

クリスタ「茄子だよ!」

ベルトルト「生の茄子だ……」

ユミル「プッ……一番ひどいなブルー……」プププ

ベルトルト「……嫁のメシがまずい」ボソッ

ユミル「……あ? 今なんつった? 嫁ぇ? 誰の話をしてんだコラ」ガタッ

クリスタ「ちょっと、やめてよ二人とも! 私はその、まだ誰のお嫁さんでもないよ……//」

ユミル「クリスタ! お前が気にするべきはそこじゃねえんだよ!」

クリスタ「えーと、アニの分持ってくるね!」

アニ「私のもあるのか……(正直怖い……)」

クリスタ「もちろんだよアニ、はいどーぞ! 苺パフェだよ!」コトッ

アニ(よかった、まともだ……)ホッ

クリスタ「どうしたの? もしかして甘いの嫌いだった……?」

アニ「いや、ありがとう。……んっ、おいしい」

クリスタ「よかった!」パァッ

ユミル(dvだ……これはクリスタから私へのdvだ……)シクシク パリポリ

【キョジンジャー本部 アルミンの部屋】

アルミン「それでエレン、どうしたの?」

エレン「ああ……奴らの巨人化能力の話だ。あれだと、今までみたいに捕縛することは難しくなる。捕まえた奴を尋問してアジトの手掛かりを掴むっていうこれまでの方法が使えないかもしれない」

アルミン「そうだね……」

エレン「ミカサが奴らに捕まったままもうすぐ一年経つっていうのに、俺たちは未だに敵の本部の場所を突き止めるどころか、奴らが新しい力を手に入れるのを阻止することさえできなかった……! どうすればいいんだっ、くそっ!」ドン

アルミン「エレン、落ち着いて! 確かに敵の巨人化能力は厄介だけど、良い面もあるんだ!」

エレン「どういうことだ?」

アルミン「今まで市中で直接的に悪さを働いてきたのは悪の組織の末端ばかりで、彼らを捕まえても有力な情報はほとんど掴めなかった。彼らは本部の場所を知らず、壁内各地に隠されてる支部でサシャやコニーといった幹部にしか会ったことが無かった。だから僕たちは、組織のボスが一体何者なのかまったくわからなかった」

エレン「ああ、そうだな」

アルミン「でも、今回表に出てきて巨人化能力を披露したのは、末端じゃなくて幹部のサシャだ! つまり、」

エレン「そうか、幹部クラスなら本部の場所や黒幕が誰か知ってるってことだな!」

アルミン「うん。捕まえるのは難しいと思うけど、それが出来れば、一気に核心に迫ることができる!」

エレン「しかしどうして幹部が前線に出てくるんだ? いつもあいつらは部下に指示を与えるだけで戦いには出てこなかったし、俺たちが情報をもとに支部を襲撃したときも、さっさと逃げ出してっただろ」

アルミン「うーん……これは推測の域を出ないけど……巨人化能力を持ってるのは幹部の人間だけなんじゃないかな。だからキョジンジャーに手も足も出ない末端を使うのをやめて、力のある幹部を出してきたのかもしれない」

エレン「誰でも彼でも巨人化するわけじゃないってことか」

アルミン「何らかの制約があるのかもね。ある程度の身体能力が必要とか、もしくは巨人化能力を付与するための薬物か何かが大量生産できる代物ではないとか……。とにかく、サシャが出てきた以上、次も幹部級が出てくる可能性は高い」

エレン「わかった……次は必ず捕まえてみせる。ありがとな、アルミン」ガチャッ

アルミン「ううん、頑張ってね、エレン」

エレン「」ガチャッ

クリスタ「わっ!? あ、びっくりした、エレンかあ……」

エレン「ごめんクリスタ、ドアぶつけそうだったな。大丈夫か?」

クリスタ「うん、ありがと。そうだエレン、これエレンのぶんのおやつね!」サッ

エレン「おお、りんごか! ありがとな!」ガブッ

クリスタ「アルミンにも差し入れしようと思ったんだけど……」

エレン「ああ、アルミンなら部屋にいるぞ」

クリスタ「わかった、ありがとうエレン!」

コンコン

アルミン「どうぞ」

ガチャッ

クリスタ「アルミン、おやつ持ってきたよー」

アルミン「あ、ありがとう!(天使の手作りおやつキタ!)」ガタッ

クリスタ「はいどうぞ!」コトッ

アルミン(……なんで……なんで僕は……)

アルミン(仲間におやつと言っておにぎりを差し出されている光景を……眺めているんだ……どうして僕の体は動かないんだ……)

クリスタ「ごま塩だよ!」ニコッ

アルミン(ああ神様……)モグモグ

クリスタ「……ところでアルミン、エレンと二人で何を話してたの?」

アルミン「ああ……これからの話をちょっと。もう一年経つからね、エレンも焦ってるみたいだ」

クリスタ「……もう一年かあ……ミカサ、大丈夫かな……」

アルミン「ミカサは強いから、きっと大丈夫。こっちに僕とエレンがいる以上、相手もミカサを切り札として生かしておくだろうし」

クリスタ「人質ってこと?」

アルミン「うん。手荒な真似はされてないだろうけど、囚人と同じ扱いだろうからね。エレンが早く助け出したいって思い詰めるのも無理はないよ」

アルミン「なんせ……たった一人の家族で、妻だからね……」

えっ

クリスタ「悲しい話だよね……結婚したその日にエレンが毒を盛られて倒れて……」

アルミン「解毒薬を取りに行ったミカサが、そのまま帰ってこなくて……後から悪の組織にさらわれたってわかった」

クリスタ「エレンは倒れたけど、ミカサが出てって少ししてから起き上がったんだよね?」

アルミン「うん。そのときはまだ本人すら知らなかったけど、エレンは巨人化能力があったからね」

クリスタ「それからエレンがミカサを追いかけようとしたときに……」

アルミン「うん。僕の家が襲われた。今考えれば、エレンに毒を盛ったところから、ミカサ誘拐、僕の襲撃まで、すべて悪の組織の計画だったんだろうね。ただあのときはエレンが巨人化能力に目覚めたことで、襲ってきたごろつきはみんな撃退したけど」

クリスタ「どうして悪の組織は三人を襲ったの?」

アルミン「たぶん、奴らの一番の目的はミカサだったんじゃないかな。ミカサは超人的に強いから、敵に回せば彼女ほど厄介な存在はいない。かといって普通に暗殺しようとしても敵わないから、回りくどい計画を立てたんだろう」

クリスタ「つまり……ミカサを捕まえるためにエレンに毒を盛ったってこと?」

アルミン「うん。あの日エレンに盛られた毒は致死性のものだったけど、即効性が低くて、解毒薬を与えるまで十分な猶予があった。エレンが倒れたことで動揺していたミカサを誘拐するのは、今悪の組織の幹部になっているサシャやコニーたちには不可能じゃなかっただろう。そしてさらに僕の家を襲った目的は、僕の命じゃなくてエレンの誘拐だったんだと思う。悪の組織はエレンを幽閉して人質にすることで、ミカサを自分たちの手駒として利用したかったんじゃないかな」

クリスタ「……怖いね」

アルミン「奴らの元々の計画はエレンの覚醒でどうやら失敗に終わったようだけど、第一目標であるミカサの無力化には成功した。奴らはそれから一月も経たないうちに『壁内征服』を掲げて市中で狼藉を働き始めた。僕らはすぐに気付いたよ、こいつらがミカサを誘拐したんだって。驚いたことに悪の組織は巨人を使役していて、憲兵団の手に負えるものじゃなかった」

クリスタ「そこで、アルミンとエレンが立ち上がったんだよね!」

アルミン「ああ。エレンは巨人化して奴らと戦い、彼が捕まえた組織員から僕が情報を引き出した。まあ、捕まえられたのは末端の雑魚ばかりで、最初のうちはほとんど情報を得られなかったんだけどね……」


アルミン「そんなある日、僕は捕まえた奴から悪の組織支部の場所の情報を得ることに成功して、エレンがそこを襲撃した。そして……」

アルミン「エレンは捕らえられたミカサを見つけた」

アルミン「ほんの数秒だったらしいけど、エレンは確かに見たらしい。鉄格子の向こうにいるミカサを……。でもすぐに巨人の大群に襲われて、話すこともできず、巨人に食われそうになった」

クリスタ「そこでライナーたちが助けに来てくれたんだよね!」

アルミン「ああ。ライナー、ベルトルト、アニ、ユミル……彼らも巨人化能力を持った特別な戦士だって情報を直前で入手してね、僕が助けを求めたんだ」

アルミン「それから僕は四人に仲間になってこれからも戦ってくれるようお願いしたけど、なかなか頷いてくれなかった。巨人になれる人間ってのは一般人には恐れられる存在だからね。エレンを一回助けるくらいなら躊躇なくやってくれたけど、自分たちの正体を公表してまでヒーローとして悪の組織と戦うことにメリットを感じられなかったんだろう」

クリスタ「あれ、そうだったの? でも私がアルミンの話を聞いて、『ヒーローってかっこいいね!私、子供のころからそういうの憧れてたんだ!』って言ったら、ライナーもユミルも『実は俺(私)たちもヒーローとしてこれから戦うことにしたんだ(キリッ)』って言ってたよ」

アルミン「ああクリスタ、君には本当に感謝してるよ……。クリスタのおかげでライナーとユミルが協力してくれて、ベルトルトとアニも渋々ながらそれについてきてくれたからね。仲間が増えて、晴れて僕らは『キョジンジャー』として壁内の平和を守るヒーローになったんだ」

クリスタ「……ここまで長かったね」

アルミン「長かったよ、本当に。でも、ここがゴールじゃない。むしろここからが決戦なんだ。絶対に、絶対に勝ってみせるよ……!」

クリスタ「うん! 一緒に頑張ろうね、アルミン!」

アルミン「ああ!(そして結婚しよう!)」

【どこかの地下 悪の組織本部】

サシャ「はぁっ、はぁっ……」ヨロヨロ

サシャ「はぁぁぁあああああっ……」グター

「……大丈夫、サシャ?」

サシャ「あ、危なかったです……あのあと憲兵団に見つかって……巨人化の反動が強すぎて撒くのに苦労して……おかげでここに戻ってくるのが夜になってしまいましたよぉ……」

「……」

サシャ「はあ……お腹減りました……」グゥー

「……」サッ

サシャ「それは! パァンじゃありませんか! くれるんですか?」

「……」

「」ガブッ

サシャ「……!!!」ガーン

サシャ「そんな……ひどいです……鬼です……!」

「あなたは任務に失敗した。今夜は飯抜き」

サシャ「うぇぇえええええん!許してくださいぃぃいいいい!!」

「私に頼んでもしょうがない。ボスに直接言って。あと今日の報告も」

【悪の組織本部 奥の間】

??「遅かったではないか、サシャよ」

サシャ「ボス、ごめんなさい! 反省してるので夜ご飯ください!」

ボス「先に報告をせよ。巨人化はうまくいったか? キョジンジャーとの戦いの手ごたえはどうだった?」

サシャ「はい…巨人化はうまくいきました。でも解除したあとの反動が辛いですね。憲兵団から逃げることさえ一苦労でした」


ボス「キョジンジャーの反応はどうだった?」

サシャ「驚いてたみたいですけど、やっぱり強いですねー。ライナーは硬いし、アニとユミルは攻撃力高いし、エレンは変な合体技とか言ってきましたし。危うく死ぬところでした。あとなんかもう一人いた気がしましたけど誰でしたっけ?」

ボス「いや、その四人で全員だと記憶していたが」

サシャ「そうですよね、変なこと言ってすみません。お腹が減り過ぎて馬鹿になっちゃったみたいです!」

コニー「お前は元から馬鹿だろ」ニュッ

サシャ「あ、コニー! 失礼ですよ!」

ボス「コニー、次は貴様が行け」

コニー「おっ、やっと俺様の出番か! 見てろよボス、キョジンジャーなんか全員けちょんけちょんにしてやるぜ!」

サシャ「頑張ってくださいね、コニー」モグモグ

コニー「はっ、お前に言われなくたって余裕だぜ! ……っておい、なに人の飯食ってんだ!」

サシャ「いらないのかと思いまして」ズズーッ

コニー「これから食うんだよ! 手止めろ! ああっ、もうー!!」

ボス「……もうよい、二人とも下がれ」

ボス「……」

スタスタスタ

「……呼んだ?」

ボス「ああ……今回の戦い、見ててどう思った? 勝てそうか?」

「……五人いっぺんに相手にするのは難しい。一度に相手にできるのはせめて二人まで」

ボス「そうか……では、そうできるように準備しよう。ああ、紅茶でも飲むか?」

「……いただこう」

ボス「一年近く戦ってないが、大丈夫か?」コトッ

「問題ない。近くの巨大樹の森で立体起動の訓練をしているし、体もなまっていない。紅茶ありがとう」ズズーッ

ボス「ならばいい。決戦の日は近い」

ボス「頼むぞ、ミカサ」

「……もちろん。絶対に―――」

ミカサ「――私がキョジンジャーを、殺す」

やっと一区切りついた。思ったより長い。
基本ギャグのはずなのにストーリーとか伏線とかやったらどう見てもシリアスです本当にごめんなさい。
シリアスなストーリーにするくせにギャグ調じゃないと筆が止まる病気なんですすみません。

今日はここでやめます。読んでくれた方ありがとう。ミカサとエレンの結婚について何か言いたげな>>45の家には後日ミカサさんが訪問します。

ありがとうございます、今日もゆっくり投下します

【商店街】

コニー「おら! 俺の言うことを聞きやがれ! でないとてめぇの命はねえぞ!」シャキン

ミーナ「きゃーっ! ごめんなさいごめんなさい! なんでもするのでどうか命だけはー!」ガクガク

コニー「よーし……さて、えーっと、何を奪うんだっけか……」

ミーナ「ひぃっ……こいつ馬鹿ぁ……」ガクガク


コニー「おっとそうだ! 忘れないようにサシャに『とってくるものリスト』を頭に書いてもらってたんだった!」

ミーナ「ひぃっ……こいつハゲ馬鹿ぁ……」ガクガク

コニー「……ハッ!? やべぇ! どうやって自分の頭を見るんだ!? 見えねえぞ!」

ミーナ「ひぃっ……こいつクソチビハゲ馬鹿ぁ……」ガクガク

コニー「どうしよう……どうすればいいんだ……」

ミーナ「ひぃっ……帰ってもう一回聞いてこいよこの馬鹿ぁ……」ガクガク

コニー「なっ! お前、今俺のこと馬鹿っつったろ!」

ミーナ「ひぃっ……さっきから何度も言ってるよ馬鹿ぁ……」ガクガク

コニー「俺は馬鹿じゃねえ! ……ハッ! そうだいいこと考えたぞ! 鏡があれば頭に何が書かれてるかわかる! おい、鏡を出せ!」

ミーナ「ひぃっ……どうぞ……」ガクガク

コニー「よっしゃ! これでリストが見れるぜ! ありがとよ、じゃあな!」ヒュンッ

ミーナ「馬鹿で助かった……」

コニー「よーし、そんじゃ憲兵団の目の届かない屋根で鏡見てみるか」ヒュンッ

「待てい!」

コニー「ハッ! 何奴!?」

エレン「壁内の平和を守るため!」

ライナー「悪と戦い市民を助ける!」


エレン「エレンレッド!」シャキーン

ライナー「ライナーイエロー!」シャキーン

ベルトルト「ベルトルトブルー!」シャキーン

ユミル「ユミルグリーン……なあ、これ必要なのか? これのせいでおやつがキュウリなんだけど」

アニ「……アニピンク」シャキーン

ユミル「てめぇ苺パフェ食ったせいで乗り気になってやがるな!?」


ベルトルト「五人そろって」

エレン「進撃戦隊 キョジンジャー!!」テッテレー

コニー「出たなキョジンジャー! 待ってたぜ! 出でよ、巨人どもー!!」

雑魚巨人「「「「キーーーーー!!」」」」ドシーン

エレン「総員、立体起動に移れ!」

ライナー「ハッ、相も変わらず雑魚巨人か。学習能力が無いな。さすがコニーだな!」

コニー「……ふっ。それはどうかな」ヒュンッ

ユミル「!? コニーの野郎、逃げないで立体起動でこっち突っ込んでくるぞ!」

エレン「避けろ、ライナー!」

ライナー「くそっ……!」ヒュンッ

コニー「おせぇ! 体が小さいぶん俺は小回りが利くんだぜ!」ヒュヒュンッ

アニ「……ライナー!」

コニー「うおりゃあ!」ザンッ

ライナー「ぐぁああああああ!!」

ベルトルト「ライナーーーーッ!」

ユミル「チッ! 援護するぞ!」

エレン「待てユミル! 体の大きい俺たちじゃコニーにやられちまう!」

アニ「……私がやるよ。あんたらは巨人を頼む」ヒュンッ

エレン「わかった、アニ!」ヒュンッ

ライナー「くそっ……腕を斬られた……!」

アニ「ライナー、邪魔」ゲシッ

ライナー「ぐはっ……!」ヒュー……ドスン

ベルトルト「ライナーーーーッ!」

アニ「ふっ!」ザンッ!

コニー「くそっ……」ガギンッ!

コニー(間一髪ガードしたけど刃がこぼれてる……やっぱアニの斬撃はつえぇ!)

コニー「……だが、それなら俺は! 速さに賭けるぜ!」ビュンビュンビュンッ

アニ「っ! 後ろ……!?」

コニー「うぉぉぉおおおおお!!」


アニ「……の、後ろ……」

コニー「!?」


エレン「コニー、悪く思うなよ」

ザンッ!!

コニー「っ……がはっ……!」ヒュー……ドスン

アニ「……ありがと、助かった」

エレン「気にすんな、仲間だろ。さて、巨人も片付けたし、コニーも墜落したな。取り押さえるぞ!」

ライナー「……待て! あいつの体から、蒸気が出てるぞ……!」

ユミル「おいおい、コニーも巨人化するのかよ……!」

コニー「へへっ、やってくれたじゃねえか、キョジンジャー……」ヨロッ

コニー「だが勝負はここからだぜ! いくぞっ!」

ピカッ ドォォォオオン!

ハゲ巨人「ぐぉぉぉおおおぉぉおおおお!!」

エレン「俺たちもいくぞ!」ガリッ

ベルトルト「あの、僕は」

エレン「あ、すまんベルトルト、今回も待機な」

ベルトルト「」

エレン巨人「よし、一斉に畳み掛けるぞ!」

鎧の巨人「待てエレン。忘れたのか? サシャに巨力な放屁能力があったように、コニーにも何か特殊な能力があるはずだ。迂闊に突っ込むのは危険すぎるぞ!」

ハゲ巨人「ククククク……ライナーの言うとおりだぜ、エレン」

ユミル巨人「!? (なんだ……雰囲気がいつものコニーと違うぞ……)」

ハゲ巨人「俺の能力は最強だ……お前らは俺に指一本たりとも触れることはできねえぜ!」

女型の巨人「バカな……」

ハゲ巨人「見せてやろう! この天才コニー様の力を! 黄金の光を受けて放つ、我が紅蓮の弓矢を受けるがいい!」

鎧の巨人「くるぞ! あいつから目を離すな!」

ハゲ巨人「それでいいライナー! いくぜっ! 太・陽・拳ッ!!!」ペカアァァァァァッ

エレン巨人「……!? 目が、目がぁっ……!」

ユミル巨人「くっそ、なんだあれ! 目がくらんで見えねえ!」

鎧の巨人「ぐっ……どうなってんだ……」

ハゲ巨人「はっはっは! どうだ俺の能力は! 太陽の光を額に集めて放つことで、見た者すべての目を潰すのさ!」

エレン巨人「なんて馬鹿な技なんだっ!」

女型の巨人「……落ち着いて。手でうなじを守りながら、周りの音や気配でコニーと戦えばいい……こんなふうにねっ!」バシッ!

鎧の巨人「ぐぁあああああああ!!」

ベルトルト「ライナーーーーッ!」

女型の巨人「あ、悪かったね、ライナー」

エレン巨人「こっちは四人いるから、音や気配だけじゃ同士討ちの危険があるぞ!」

ユミル巨人「どうすりゃいいのさ……」

ハゲ巨人「はっはっは! あがけあがけ! はっはっは!」

鎧の巨人「……コニーが調子に乗っている間になんとかしたいな。エレン、何か策は無いか?」

エレン巨人「うーん……額に光を集めて相手の目を潰す技か……」

エレン巨人「! そうだ! ハゲならこっちにもいるじゃねえか、なあユミ―――」

ブンッ

鎧の巨人「ぐぁああああああ!!」バリィィィイイイン

ベルトルト「ライナーーーーッ!」

鎧の巨人「どうして俺が殴られるんだ……一体どうして……」ヨロッ

エレン巨人「ユミル、頼むよ! これしか手が無いんだ!」

ユミル巨人「アホかてめぇは! 誰がやるか!」

女型の巨人「ユミル……頑張れ……プフッ」

ユミル巨人「削ぐぞてめぇ!」

エレン巨人「ユミル! お前がやらなかったらみんなが死ぬんだぞ! お前のわがままで俺たちを殺す気か!」

ユミル巨人「……くそっ……お前らあとで覚えてろよ……」

鎧の巨人「よし……やるぞ。おいコニー! こっちを見ろ!」

ハゲ巨人「ああ? なんだよライナー」

鎧の巨人(素直に返事するとは、やっぱり馬鹿だな)

エレン巨人「コニー、ユミルを見てみろ!」

ハゲ巨人「ん?」

ユミル巨人「くそっくそっ……(クリスタがここにいないのが唯一の救いか……)」



ユミル巨人「くらえハゲ野郎! 太・陽・拳ッ!!」ペカァァアアアア

ハゲ巨人「!?」

エレン巨人「どうだ!?」

鎧の巨人「やったか!?」

女型の巨人(あっ、ライナー禁句……)

ハゲ巨人「……痛ぇ」

ユミル巨人「!?(マジで効いたのか!?)」



ハゲ巨人「腹痛ぇよwwwwwwぶゎっかwwwwwwぶぁーか!wwwww」

ハゲ巨人「何やってんだよユミルwwwww馬鹿かお前wwwwwお前そんなキャラだったのかよwwwww似合わねーー!wwwwww」


ハゲ巨人「最初から言ってるだろwwwwwこれは俺の特殊能力だってwwwwwハゲてたらできるってわけじゃねえよwwwwww」


ハゲ巨人「なんだよ『くらえハゲ野郎!』ってwwwwwハゲはお前だブス!wwwwwブスハゲ女めwwwww」

ハゲ巨人「あーwwwww腹痛ぇwwwwwお前ら俺を笑い殺す気かよwwwwwやべぇ死ぬwwwwwマジでお前ら――――」

ドスドスドス ガシッ!

ハゲ巨人「痛っ! いででででで、頭割れる……あっ!? ユミル、どうやって俺の頭掴みやがった!? まだ目は見えないはずだろ!」ギリギリギリ

ユミル巨人「そんだけ大声で笑ってりゃ、目なんかいらねえよ……この野郎……」ギリギリギリ

ハゲ巨人「くそっ、このやろう離せっ、痛っ、うわ体持ち上がってる!?」ギリギリギリ

ユミル巨人「じゃあなコニー。二度と笑えなくしてやるよ」ニコッ


ブチュッ! ドスゥゥゥウウン……

エレン巨人「すげぇ……ユミルのやつ、コニーの頭握りつぶしたぞ……。あっ! 目が見えるようになってる!」

鎧の巨人「あいつの特殊能力の発生源は額だったから、それが潰れたことで効果が切れたんだろうな。さあエレン、立体起動に戻るぞ。また逃したら大変だ」

女型の巨人「大丈夫なのかい? あいつがまた巨人化するかもしれないよ」

鎧の巨人「サシャも一回しか巨人化しなかっただろ。たぶんそれがあいつらの限界なんだ」

エレン「……よしっ、行こう!」

今日は終わりです、また明日

すみませんでした、一週間死んでました。
また少し書きます

ベルトルト「みんな、おつかれさま」

エレン「おうベルトルト! コニーを捕まえててくれたのか、サンキュー」

ベルトルト「いやあ……僕ほとんど役に立ってないからこれくらいはさ……」

ライナー「何言ってんだ、もっと自分に自信を持てよベルトルト」

ベルトルト「ライナー……!」

ライナー「お前しか俺が傷ついたことを心配してくれないんだぞ?」

ベルトルト「ライナー……」

コニー「くそっ……俺としたことが、捕まっちまうなんて……」

エレン「さて、コニー。お前に聞きたいことがたくさんある」

コニー「へっ! 誰が喋るもんか。俺は軽々しく仲間を売ったりしない! それにお前らは俺を長く拘束して尋問することなんてできないぜ。体力が回復したらもう一度巨人化して逃げてやるからな!」

ライナー「敵に回すと厄介な能力だな……どうする、エレン?」

エレン「……簡単なことだ」


エレン「体力が回復しないように」

エレン「定期的にこいつの体を」

エレン「削ぎ落とす」

ライナー「!?」

コニー「お……おい、冗談だろエレン……」

エレン「俺は冗談なんか言わないし、聞きたくもない。コニー、答えろ。アジトはどこにある?」

コニー「……っ!(なんだよこの目……。エレンのやつ、本気だ。俺の腕をもぐことにも脚を切り落とすことにも、なんの躊躇も感じてねぇ……!)」

エレン「……まずは足からいくか」スッ

コニー「待て待て、待ってくれエレン! わかった、喋るから! ブレードしまってくれ!」

ユミル「ハッ、何が軽々しく仲間を売ったりしない、だ。ちょっと脅したらこれだもんな」

コニー(うるせえブス……こんなエレンに凄まれて耐えられるわけねぇだろが……人殺しの目してんだぞ……)

エレン「……よしコニー、一分やる。一分でお前らのアジトとミカサの居場所、ボスがどんな奴なのか、全部吐け。できなきゃ両足を落とす」

コニー「わ、わかった! えーっと、アジトは地下にあるんだ! 場所は……あれ、何区だっけあそこの名前……」

アニ「……早くしな」ギロッ

コニー「うっ! えーっと、えーっと……あっ……! 地区の名前はド忘れしちまったけど、ミカサの居場所ならわかるぜ!」

エレン「! 本当か!? どこだ!」

コニー「ああ。エレン、お前の後ろだ」ニヤッ

エレン「……は?」クルッ

ザクッ


ミカサ「……」

エレン「ミカ……サ……?」

ミカサ「っ」ズバッ

エレン「」バタッ

ライナー「! エレン!」

ミカサ「動かないで」スッ

ライナー「!」


ユミル(おいおい、なんだよこの状況は……)

ユミル(なんで捕まってるはずのミカサが現れて、しかもエレンを斬りやがったんだ?)

ユミル(エレンを見下ろすあの目……なんであそこに憎しみがあんなにこもってんだ?)

ユミル(なにより……ブレードをつきつけられてるのはライナーなのに、なんでこっちまで動けなくなるくらいのプレッシャーがかけられるんだよ……!)

コニー「ミカサ、助かった! いやー、危なかったぜ」

ミカサ「……コニー。あなたがこいつらの目を潰している間に私が皆殺しにする作戦だったのに、何故独断専行したの?」

コニー「え、そんな作戦だったか!? 俺はまた略奪任務だって聞いてたぞ。サシャにも『とってくるものリスト』を書いてもらったし」

ミカサ「それはサシャが食べたいものリスト。作戦とは何の関係もない」

コニー「」


ミカサ「……作戦は失敗した。すみやかに撤退する」

コニー「おお、わかった!」

ライナー「ちょっと待て!」グイ

コニー「うわっ」ヨロッ

ミカサ「……なに」


ライナー「今コニーを解放しちまったら、お前はエレンにとどめを刺して逃げるだろう? それじゃあ困るんだよ」

ミカサ「……わかった。そっちがコニーを解放したら、こちらもこいつに手を出さないと約束しよう」

ライナー「(こいつ、か……)……いやそれじゃ駄目だ。同時にエレンとコニーを投げて交換する」

ミカサ「……いいだろう」

コニー「え!? なんだよ投げるって! 怖えよ!」


ライナー「3つ数えたらいくぞ。ユミル、カウント頼む」

ユミル「あ? 『せーの』でいいだろ……。ほら行くぞ、せーのっ!」

ライナー「!?」
ミカサ「!」

フォイッ

ライナー(ちょちょ、ユミル、いきなり過ぎて素直に放り投げちまったじゃないか)

ミカサ(やられた……フリで騙すつもりだったのに焦ってしまった)


ヒューン

ライナー「おっと……エレン、大丈夫か? エレン!」ダキトメ
エレン「」

ミカサ「……」
ドスンッ
コニー「痛っ! ふざけんなミカサ、受け止めろよ!」

ミカサ「……」ギロッ

コニー「ア、イヤ……ナンデモナイデス」


ミカサ「……はやく立って。アジトに戻る」ヒュンッ
コニー「あ、待てよミカサ!」ヒュンッ

ライナー「くそっ! アニ、ユミル、ベルトルト! ミカサを追ってくれ!」

ベルトルト「わかっt」
ユミル「待ちな!!」

ライナー「どうしたんだユミル……奴らのアジトを暴く絶好の機会なんだぞ! 怖気づいたのか?」

ユミル「ああ……その通りさ。怖気づいちまった」


ユミル「エレンの傷はどう見たって重傷だ……胴を半分斬られてる。いくら再生能力があるっつってもそれは手当てしないとまずい」

ユミル「となると誰か一人はエレンから離れられないから3人で追うことになるが……ベルトルさん以外は全員消耗してる」

ユミル「そんな状態であのミカサと戦って勝てるかどうか、怪しいだろ。それにコニーも、巨人化できないとはいえ、あのふざけた特殊能力は使えるはずだ。目潰しするくらい強力な光を出す力が残ってるかはわからんが、一瞬でも目をくらまされたら、ミカサに確実にやられる」

ユミル「……つまり、下手に追ったら返り討ちにされる可能性が高いってことだ」


ライナー「……つまり。己が身可愛さに、敵をみすみす見逃そうってことか」

ユミル「ああ」

ライナー「……ッ」グッ

アニ「やめなライナー。あんたらしくないよ、ユミルの方が冷静だ」

ライナー「っ……すまん」

ベルトルト「……じゃあ決まりだ。すぐにエレンを本部に運んで手当てしよう」


【キョジンジャー本部】

「「「「……」」」」

ガチャッ

クリスタ「……あっ、みんな……」

アニ「エレンは?」

クリスタ「うん、応急だけど手当てして、包帯でぐるぐる巻きにしといた。深手だけど、エレンの回復力なら何日か休めばちゃんと治ると思う」

ユミル「はあ……心配かけさせやがって」

クリスタ「ふふ、ユミルも人の心配なんてするんだ?」

ユミル「当たり前だ、私はエレンの治療をするクリスタが疲れてないかと心配でしょうがなかったぞ」キリッ


クリスタ「さっ、みんな、今日も大変だったみたいだから、おやつ持ってくるね!」

ライナー「あ、俺はちょっとアルミンと話してくるから……」ガタッ

クリスタ「そう? じゃああとでアルミンの部屋にライナーのぶんも持っていくね」

ライナー「すまんな(カレーだよな)」ガチャッ

ユミル「ベルトルさん……どうする?」

ベルトルト「……僕は信じるよ……野菜は生でそのまま出すもんじゃないって二人でたくさん説得したじゃないか……!」


トコトコトコ

クリスタ「みんな、お待たせ!」

「「」」ビクッ

クリスタ「アニ、どうぞ」コトッ

アニ「……ありがとう(……いちごドーナッツ……おいしそう)」

クリスタ「はい、ユミルとベルトルトもどうぞ!」コトッ

ユミル「キウイ……(前よりずっとマシだな)」

ベルトルト「あの、クリスタ……この紫のは何? ブルーベリー?」

クリスタ「ミキプルーン」

ベルトルト「えっ」

クリスタ「ミキプルーン」


【キョジンジャー本部 アルミンの部屋】

コンコン

ライナー「アルミン、ちょっといいか」ガチャッ

アルミン「ん? 何、ライナー?」

ライナー「ああ……エレンとミカサの話だ」

アルミン「……うん」


ライナー「どうなってるんだ、あれは。捕まってるはずのミカサが何故悪の組織に協力している? 何故ミカサが……エレンを傷つけるんだ?」

アルミン「僕もわからない……正直混乱してる。悪の組織に協力しているってだけなら、ミカサが騙されているということで話はつくけど……エレンを斬るなんて考えられない」

ライナー「……洗脳されてる、って可能性はあるか?」

アルミン「無くは無いけど……あのミカサだよ? ミカサがエレンを敵として認識するように洗脳するなんて……十年かけたって無理だと思う。ミカサの半分はエレンで出来てるって言っても過言じゃないよ。それを崩したらミカサの自我そのものが壊れるんじゃないかな」

ライナー(凄まじい話なんだがすんなり納得できるのが怖いな)


ライナー「まあ、いい……俺は仮にもヒーローだ。騙されてるのか洗脳されてるのか他のなんなのかはわからんが、敵対するというのならミカサ相手でも戦う覚悟がある。だが……エレンには、それができるのか?」

アルミン「……わからないよ。君たちから話を聞いただけの僕でさえ、動揺して頭が働かないんだ。実際に会って、しかも傷つけられたエレンは……。……エレンにとってミカサは家族だ。去年からは妻でもある……大切な人なんだ。エレンはミカサみたいに相手に依存してるわけじゃないけど、精神的なダメージは計り知れない」

ライナー「戦えるのか、あいつは?」

アルミン「僕がなんとかフォローするけど、傷が治っても心が安定するまでは戦線に出すわけにはいかないと思う。しばらくの間は君たち4人に頑張ってもらうことになるけど、いいかな?」

ライナー「当然だ、こっちはまかせろ。……だから頼むぞ、アルミン」

アルミン「ああ。僕は親友としての務めを必ず果たすよ」


コンコン ガチャッ

クリスタ「アルミン、ライナー、おやつ持ってきたよー」

アルミン(またか……結婚しよ)
ライナー(またか……結婚しよ)

クリスタ「はいアルミン、どうぞ」

アルミン「あ、ありがとう……(おはぎか……前回よりはいいけど、米縛りでもあるのかな?)」

クリスタ「ライナーもどうぞ!」

ライナー「すまんな(またカレー……ただしライスじゃなくてナン……だと……)」


【キョジンジャー本部 医務室】

エレン「……」

エレン「……」

エレン「ミカサ……」

エレン「なんで……どういうつもりなんだよ……」

エレン「……でも……本当に……」

エレン「生きてて、よかった……」グスッ


【悪の組織本部】

ミカサ「……」ジィー

コニー「」ビクビク

ミカサ「……」ジィー

コニー「」ブルブル

ミカサ「……コニー」

コニー「」ビクッ


ミカサ「ボスは元々あなたに期待してなかった」

コニー「……は?」

ミカサ「今日で5人全員をいっぺんに殺せるとはそもそも思ってなかった。まだ決戦のときじゃない。ので、あなたの失敗は私たちにとって致命的なものではなかった。ボスもあなたをこれで見限ったりはしない」

コニー「……そりゃどうも……」

ミカサ「……だけど」ギロッ

コニー「」ゾクッ


ミカサ「少なくとも一人くらいは今回の作戦で屠れるはずだった。あなたの失敗は我々を不利に陥れることはなかったが、同時に何の利益もあげることはできなかった。……私はとても怒っている」

コニー「……わるい」

ミカサ「あなたは決戦に必要な人材。だから私はあなたを殺さない。今は、まだ」

コニー(なんだよミカサ、怖すぎるだろ……サシャのときと比べて明らかに機嫌が悪いじゃねえか……)ビクビク

ミカサ「……覚えておいてほしい。あなたは自分の存在価値を示さなければならないということを。それができなければ……処分するということを」シャキンッ

コニー(こぇぇぇぇえええええ!!!)


ミカサ「……私はボスに呼ばれているのでここで失礼する。あなたはじっくり反省しているといい」スタスタスタ

コニー「……」ビクビク

サシャ「……」ジィー

コニー「……」

サシャ「……ミカサ、行ったみたいですね」

コニー「ああ……やばかった。殺気だけで体が千切れそうだった……」


コニー「……そうだ……元はと言えばサシャ、てめぇがまぎらわしいこと言うからこんなことになったんじゃねえか!」

サシャ「それは言いがかりですよ! 私は個人的なお願いをしただけです! 決して作戦を無視しろなんて言ってません!」

コニー「お前、『このリストのものは必ずとってきてください、これは今後の私たちにとって必要不可欠な超重要任務です!』って言ってたじゃねえか!」

サシャ「食べ物は生き物に必要不可欠です! 食べなきゃ生きていけません、超重要ですよ!」

コニー「任務とか作戦とか、難しい話は同時に一個しか覚えてらんねぇんだよ!」

ギャーギャー


【悪の組織本部 奥の間】

ミカサ「……ボス」

ボス「ミカサか……紅茶、飲むか?」コトッ

ミカサ「ありがとう……」ズズッ

ボス「……エレンはどうだった? 驚いていたか?」

ミカサ「ええ……でもあんな『偽物』をエレンと呼ばないでほしい。名が穢れる」

ボス「ああ、すまんな、ククッ」


ミカサ「本当はあの場であいつを殺したかった。だけど、コニーを渡してこちらの情報が漏れてしまったら、あなたに迷惑がかかると思った」

ボス「……気遣い、感謝する」

ミカサ「当然のこと。あなたは私の私怨に協力してくれている」

ボス「私だって、君と同じ私怨で動いてる」

ミカサ「……それでも。私は最後まであなたの正体が暴かれないよう努める。すべてが終わったあと、あなたが再び自分の人生を歩めるように」

ボス「……ありがとう……」


ミカサ「……ところで、やはりあなたを『ボス』と呼ぶことには違和感がある。あなたのそのもったいつけた喋り方も」

ボス「ククク……『悪の組織のボス』としてのけじめだ。部下に威厳を示さねばなるまい?」

ミカサ「……そう」

ボス「……それに、こうしたほうが、サシャとコニーが盛り上がる」

ミカサ「確かに」


【悪の組織本部 地上出入口】

スタスタスタ  ピタッ

ボス「……誰?」


ジャン「……よう」

ボス「……ジャン」


ジャン「決戦の日……もうすぐだな」

ボス「ああ」

ジャン「……悪いが、俺は決めた。……俺は、近々奴らを誘き出して、殺す」

ボス「……それは困る」

ジャン「勘違いすんな。これはお願いじゃない、宣言だ。俺はてめぇに協力はしているが、部下じゃあない」

ボス「……」


ジャン「まあ心配すんな。捕まるつもりはないし、万が一捕まったってここの場所やお前の正体を吐いたりはしねえよ。ミカサに誓って、な」

ボス「……わかった。邪魔はしない」

ジャン「ああ……恩に着る。……じゃあ、それだけだ。気をつけて帰れよ」

ボス「……ああ」

ジャン「……」

ボス「……」

ジャン「……なんだよ」


ボス「……君は、恨んでる?」

ジャン「ハッ、誰を?」

ボス「……」

ジャン「……誰もかれも、恨んでるさ。エレンも、キョジンジャーの連中も、お前のことも……何より、ミカサを救えない自分自身の不甲斐なさをよ」

ジャン「俺にはミカサを憎しみから救い出す力が無い。……俺じゃ、駄目なんだよ。だからせめて、俺は、ミカサの代わりにあいつらを殺す。少しでもミカサがかぶる血の量を減らす」


ボス「……君は、本当に……」

ジャン「……くそっ、これじゃ死に急ぎ野郎みたいだな。せっかく憲兵団に入ったってのによ、俺の生活が台無しじゃねえか」

ジャン「……何もかもエレンの野郎のせいだ。ああ、ムカつく、訓練兵時代よりずっと俺は今あの野郎にムカついてんぞ。絶対あの野郎の顔ぶん殴ってやる、絶対許さねえ」

ボス「……昔から思ってたけど、ジャンは本当にエレンと仲が良いんだね」

ジャン「『良かった』、だろ。……いや、仲良くねえけど!」


ジャン「チッ……俺はそろそろ行くぞ、明日も憲兵団の仕事があるんだ。てめぇらが悪の組織なんて大々的に行動してるせいで、俺たちも働かなきゃいけなくなってんだぞ」

ボス「……ごめんね」

ジャン「お前も気をつけて帰れよ。じゃあな」ヒュンッ

ボス「……」

スタスタスタ……


ああ疲れた

二回戦終わりです。ながすぎぅしぬぅ!ここまででワードで54ページです読んでる方すみません。
ssとしては長すぎるんじゃないかという懸念と、ジャンを参戦させたことで色々とストーリーのこじつけが難しくなったことで失速してました。じゃんじゃん
次の話でいくらかネタバラシしないとラストに暴露大会詰め込みになりそう。

ジャンの三回戦やったら最終決戦です、長い。よろしくお願いします。

書きためが全然たまってないのですが落ちたらいやなので少し載せます


【二日後 キョジンジャー本部 深夜】

ギシッ……ギシッ……

アニ「……」

ソー……ガチャッ

エレン「! 誰だ?」

アニ「うわっ……あんた、起きてたのか」

エレン「なんだアニか……おどかすなよ……」


アニ「こんな時間になんで起きてるのさ。病人なんだから早く寝たら?」

エレン「昼間寝すぎて眠れねぇんだよ……。アニこそ、なんでこんな時間に俺のとこに来たんだ?」

アニ「別に……目が冴えて寝つけなかったから、なんとなく寄ってみただけ」

エレン「ん? なんでなんとなく俺のところに来るんだ?」

アニ「……何? あんたは、昼間に行くとライナーにからかわれるのが嫌ででも心配でしょうがないからこっそり深夜にお見舞いに来た、とでも私に言ってほしいの?」

エレン「いや、別に」

アニ「……そう」

エレン「ああ」


アニ「……あんた、大丈夫なの?」

エレン「ん? ああ、もう傷は大体ふさがった。動かなければ痛みもほとんどないぜ。寝返りうつのはちょっとしんどいけどな」

アニ「……私が心配してるのは、体のほうじゃないよ」

エレン「……俺は平気だ」

アニ「あんた、大きなクマできてるよ。それに目も赤い。ほんとに昼間寝てたの?」

エレン「お前が心配するようなことじゃねぇだろ」


アニ「……そうだね。悪かったよ」スッ

エレン「部屋に戻るのか?」

アニ「……少し散歩したら寝る」

エレン「そうか……」

アニ「……」

エレン「……」

アニ「……じゃ、おやすみ」

エレン「ああ、おやすみ」

アニ「……」ガチャッ

バタンッ


エレン「……」

エレン「……はぁ」

エレン「バカだな俺……仲間に対して何意地張ってんだ……」

エレン「……あいつ散歩に行くって言ってたな……」

エレン「……少しくらい動いても大丈夫だよな……」ギシッ

【キョジンジャー本部 中庭】

アニ「……」

アニ「……ハァ……」

アニ「私は何を期待してたんだろ……何に賭けてたんだろ……」

アニ「……もう、一年前に勝負はついてたっていうのにさ……」

エレン「アニ、ここにいたのか」

アニ「っ、エレン!? あんた、何してんの……?」


エレン「何って……散歩」

アニ「起き上がっちゃ駄目だろう……? 傷口が開くよ?」

エレン「ちょっとくらいなら大丈夫だろ……隣座るぞ」ポスッ

アニ「……どういう風の吹き回しだい? 私と話したいことなんてないだろ?」

エレン「うっ……さっきは悪かったよ……。ガキみたいだよな、仲間に意地張っちまって」

アニ(……仲間、ね)


エレン「俺さ……最初はうれしかったんだよ。ミカサがちゃんと元気に生きてるってわかって、本当にうれしかったんだ」

アニ「……」

エレン「でもさ、俺を斬ったときのあいつの目を思い出して、怖くなったんだ。俺を、巨人を見るみたいに、憎しみの目で見てたんだよ……」

エレン「あいつに傷つけられたことはどうだっていいんだ。でも、あの目を思い出すと、俺は、どうしようもなく怖いんだよ。あいつは今、俺を家族と思ってないんだなって、わかっちまったんだ……」グスッ


アニ「……」

エレン「……わるいな、アニ。泣き言なんて言っちまって。頭では理解してるんだよ、今のミカサは俺たちの敵なんだって。でもさ……信じたくないんだ。あいつに、あいつのあの目にまた会うのが、たまらなく怖いんだよ……」

アニ「……それで、逃げるのかい?」

エレン「え?」

アニ「信じたくないから、怖いから、現実から目を背けるのかい? あんたのミカサへの想いはその程度だったのかい?」


アニ「私は、本当は怖がりなんだ。でも、大切な人さえ自分の味方でいてくれれば、世界中の人間に恨まれたって、私は戦える」

アニ「エレン……あんたは私なんかよりずっと勇敢だろ。あんたは、たとえミカサにどう思われていようと、あいつに向き合える強さがあるだろう?」

エレン「……」

アニ「……それができないって言うなら、別にいい。私の見当違いだったってだけのこと。あんたは何もわからないまま、安全な場所でうずくまってればいい。私たちは四人で戦う、それだけさ」

エレン「……」


アニ「……私はそろそろ寝るよ」スッ

エレン「……アニ」

アニ「ん?」

エレン「お前が仲間でよかったよ。ありがとうな」

アニ「……別に」


アニ(私がヒーローになったのは、あんたのためでも、ましてや正義のためなんかでもない)

アニ(ただ自分のため……醜くて浅はかな希望のため)

アニ(私は、本当に最低な人間だ)

アニ(でも……捨てきれなかった。甘いんだ、私は、いつもいつも)

アニ「……」

エレン「……あ……アニ、わるいんだが……」

アニ「……何」

エレン「肩貸してくれないか? 傷口、開いたみたいだ」

アニ「……ハァ」

エレン「わるいな」

アニ「出会ったときからあんたは変わらず、死に急ぎ野郎のまんまだね……」

ミカエレ至高と思ってるんだけどアニの片思いは礼儀だと思った(キリッ
短いけど今日はこれでおやすみなさい

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