松永涼「バンド演ろう」 (23)

夏樹「急だなー。いいけど」

涼「やっぱり夏樹も大概考えなしだね?」

夏樹「振っといてそれひどくねーか……」

涼「褒めてる褒めてる!」

夏樹「褒められてるんだ、それ」

涼「アタシはベースね。夏樹ギターよろしくッ」

夏樹「え、別にアタシギター以外も一応演るぞ?」

涼「知ってる。でもギターがいちばん好きでしょ?」

夏樹「そりゃそうなんだけど。そっち、ベース演ってたことないだろ? ていうかボーカルじゃないの?」

涼「歌って欲しい人がいてさ、そのためのバンドだから。それに夏樹のほうがギター巧いじゃん。ダントツで」

夏樹「そりゃどーも」

涼「ギターソロもあるから、きっちり聴かせてほしいんだ。んじゃOKってコトで」

夏樹「無茶苦茶だなー」

涼「仕事よりは無茶苦茶じゃなくない?」

夏樹「ドラムどーすんだ? 事務所から探すのか?」

涼「心当たりはあるよ」

夏樹「ふーん……」

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・モバマス
・一回に数レス投下

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夏樹「うおー。マジかー」

涼「やれる」

夏樹「涼も大概考えなしだな」

涼「やれるって」

小梅「……毎日、練習、してる……から……」

夏樹「へぇ。んじゃさ、叩いてみてよ。何ならベースと合わせて」

涼「任せてよ。秘密の特訓してたんだから」

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―――

小梅「…………ふぁ」

涼「どうよコレ!」

夏樹「……これはアタシの考えなんだけど」

小梅「……?」

夏樹「バンドの演奏の完成度は、ドラムが握ってる」

小梅「……」

涼「やれてたよ! 何聞いてたのさ!」

夏樹「涼に聞いてねーよ」

涼「夏樹!」

夏樹「黙ってろッてんだ!」

小梅「だい、じょうぶ。……涼さん、待ってて」

涼「う……」

夏樹「思ってたよりはずっと出来てたよ。練習期間の割には、ビートだけじゃなくてアレンジも刻めてた」

小梅「……」

夏樹「でも、叩けてるって感じじゃない。丁寧に演奏してるけど、それだけだ」

小梅「……はい」

夏樹「まァ、あともう一つ…… 今は気にしなくていいけど、涼がベースじゃないと、多分演れない」

涼「え」

夏樹「お前アイコンタクトし過ぎ! ガイドし過ぎ!! いいけど!」

涼「それはいいじゃん!? ベースとドラムったら一蓮托生でしょ!?」

小梅「……涼さん……!!」

夏樹「小梅もさー!? そんないい顔できるなら、ドラムももっと感情的に叩いてけよ、涼と一緒に演りたいんだろぉ!?」

小梅「……!?」

涼「そ、それだよ小梅! よし、やれる!!」

夏樹「……これホントにいいのかな?」

涼「ありがと夏樹。大丈夫だ、やれるよ!」

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―――


アヤ「悪ィ、ちょっと待って」

涼「待つような話だったかな……?」

アヤ「えーと、アタシが?」

涼「アヤさんが」

アヤ「メインボーカル?」

涼「メインボーカル」

アヤ「歌うのは全然構わないけど、バンドとか初めてだぞ? メンバーは?」

涼「アタシがベース、夏樹がギター」

アヤ「お。そこにアタシでいいのか!?」

涼「ドラムは小梅」

アヤ「お、おおぅ……そこに、アタシで……い、いいのか……?」

涼「いいの。アヤさんに一曲歌って欲しくて組んだバンドだから」

アヤ「え、そうなのか!? そういうことならアタシも全力でやるぜ!」

涼「じゃあ曲は渡しとくね。ボーカル周りは特にアレンジないから練習しといて」

アヤ「おう。……あ、これ知ってる。っつーか古い曲だな!? 父親世代じゃねーの?」

涼「調べたら25年以上前だった。中高生辺りのロックバンドには定番のナンバーだよ」

アヤ「アタシは中高生じゃないけどな!」

涼「たまたま有線で聴いてさ。『アヤさんに歌わせたいなー』って思ったの」

アヤ「は、そりゃどうも。どうせなら、期待以上にやってやりたいな」

涼「期待してるね。この曲、シークエンスは難しくないけど、格好良く演るには技術だけじゃ絶対足りないから」

アヤ「ハートがなきゃダメだ、って?」

涼「そうそう。解ってるね」

アヤ「だりーがドヤ顔で言ってた。この曲じゃないけど」

涼「台無し」


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涼ちゃんが取り上げた曲は実在のものです。

予想して下さっても構いませんよ。(フリ

座ってろ多田

にわかでもロック

80年代後半のロックバンドとか多すぎィ!?
国内限定でも、ブルハにBOOWYにユニコーン諸々……

てっきりあの子がボーカルだとおもってた

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―――

アヤ「お疲れー」

夏樹「お疲れっす。レッスン後なのにすみません」

アヤ「ホントだよ! ま、そもそも使える時間少ないしな。小梅ももうすぐ撮影行くんだろ?」

小梅「は、はい……連休、全部……」

アヤ「今日入れてあと三日かァ」

夏樹「それなんだけど、連休明けると今度はスタジオ使える日がしばらくないみたいで」

小梅「え……ご、ごめん、なさい……?」

アヤ「謝ることじゃないだろ。そうすると、涼が言ってた『記念の収録』は?」

夏樹「アタシたちに他の予定が入らなかったとして、三週間後ってとこ?」

小梅「……と、遠い、ね」

アヤ「いいんだけど、なーんか気持ち的には乗り切れないな」

涼「待たせたね! 明後日の午前中でスタジオと収録機材抑えたよ!」

夏樹「早ぇよ!?」

アヤ「ばッ……!? まだ一回しか合わせたことないぞ!?」

涼「背に腹は代えられない、無い袖は振れない、三日後しかチャンスがないなら三日後にやればいい」

アヤ「恰好良く言っても、無茶振りなのは誤魔化せないからな!?」

涼「いつかやろう、じゃいつまでもやれないよ」

小梅「涼さん……!」

夏樹「あぁっ、また小梅がいい顔に……」

アヤ「いや、あの……まあ、うん。解ったよ。アタシがやればいいんだ、やるよ」

涼「よし、じゃあギターソロから二番の入り。それから一回通そう。それで気を付けるとこ見付けたら終わり」

小梅「えっ……練習……足りる……?」

涼「通せるのはわかってるからね。今日明日しか練習できないなら、回数やるよりも目的をはっきりさせるべきよ」

夏樹「尤もだけど、練習量いちばん少ないのたぶんお前だからな」

涼「アタシが、小梅にカッコ悪いとこ見せるわけないでしょ」

アヤ「すげーな」

夏樹「あー……あー、うん、そうだな……」

涼「夏樹とアヤさんに無茶言った手前、そこはやってみせるよ」

小梅「わ、私も、頑張るから……!!」

涼「というわけで、さっきのプランでササッと練習終えて、今日は事務所にスーツ借りに行こう」

夏樹「え、衣装までやんの?」

涼「だってこれやるなら黒のタイトで合わせなきゃじゃん」

アヤ「三日後に一回録るだけなのに?」

涼「動画も撮るよ」

夏樹「まさか髪の毛も?」

涼「もちろんバキバキに立てる」

アヤ「……なつきち」

夏樹「はい」

アヤ「涼ってこんなヤツだった?」

夏樹「……こいつのほうがよっぽどフラストレーション溜めてそうですね」

涼「やってやるぞー!」

小梅「お、おー……!」

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つづく。

>>12
×:涼「背に腹は代えられない、無い袖は振れない、三日後しかチャンスがないなら三日後にやればいい」

○:涼「背に腹は代えられない、無い袖は振れない、明後日しかチャンスがないなら明後日にやればいい」

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―――

夏樹「たった一曲、たった一回録るために、ここまでやるかよ……」

小梅「でも、そういう気持ちも、ロック……だから……」

夏樹「あぁ、小梅がおかしくなった……!」

涼「李衣菜よりマシさ!」

夏樹「比べるなよ!?」

涼「さすがに夏樹はキマッてるね、リーゼントもいつもよりトゲトゲ?」

夏樹「コピー元を思ったら、中途半端はできねーだろ。それより、涼はともかく小梅のスーツはもうなんかすげーな」

小梅「ふぁ……? す、凄いって……変、かな?」

涼「大丈夫だよ小梅! めちゃめちゃ可愛い!!」

夏樹「いや合ってるけど、そうだけど! そうじゃなくて! ちゃんと着こなせてるなー、って感心してる」

小梅「う、ぅぁ……恥ずかしい……!」

涼「めちゃめちゃ可愛い!!!」

夏樹「お前、これ目的にバンド組んだんじゃねーだろな……」

涼「そそそそんなことないよ?」

アヤ「何してんだ……」

夏樹「あ、お疲れさ……ま、で、す」

涼「お、おぉ……」

アヤ「……あ、あぁ、やっぱスーツ変?」

小梅「!! !!!」

アヤ「こここ小梅!? そんな首横に振ったら目回すぞ!?」

涼「カッコイイです」

夏樹「……うん、カッコイイすね」

アヤ「アタシ的にはお前らのほうがよっぽど似合ってるけど」

涼「アタシは元々経験ありますからいいんです」

夏樹「アタシもまあ似たような。UKロックなんかはパンツにショートジャケットとか珍しくないんで」

小梅「ジャケットもパンツも、たまに……私服で……」

アヤ「あー……うん、アタシが普段のファッション適当過ぎだよな、うん。解ってた」

千奈美「本当にね。レッドバラードの他の四人が泣くわよ」

アヤ「うッ」

夏樹「あれ、千奈美さん。どーしたんです?」

千奈美「ヘアセットとメイクの手伝い頼まれたの。あと、その手袋も貸してる」

涼「おんぶに抱っこじゃん」

小梅「……かわいい……!」

千奈美「収録するんでしょう? どうせだから手伝いたいんだけど、何かある?」

アヤ「えっ」

涼「じゃあそのハンディカムで。動いて撮ってほしいんだけど、一脚でイケる?」

アヤ「えっ、えっ?」

千奈美「これね。解ったわ、ちょっと練習してみる」

涼「あ、それなら撮ってほしいカット少し説明する」

アヤ「えええぇ、お前いるの!? あああ、緊張してきた……なんだこれ……」

夏樹「アヤさん、千奈美さんのこと好きすぎるんじゃねーの……」

アヤ「やめろォ!? ていうかだりーは?」

夏樹「気が散るんで」

アヤ「えっ、ひどくない?」

夏樹「後で見せるからいいよ」

小梅「……私も、あとで、さっちゃんとしょーこちゃんに、見せる……」

涼「……と、こんな感じでね。千奈美さん、大丈夫そう?」

千奈美「だいたいね。リハで回してみるわ」

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―――

涼「どうだった?」

千奈美「ま、流し撮りだからこんなものよね。よかったわよ。練習期間短かったらしいじゃない?」

小梅「……ま、前から、触ってた、から……」

涼「プライベート殆ど二人で練習したからね、二人に恥かかせたくなかったし」

夏樹「アタシはまあいつものことで」

千奈美「で、アヤ」

アヤ「お、おぅ?」

千奈美「もう一回歌詞見直したほうがいいんじゃない?」

アヤ「……そうする」

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―――

アヤ「Frustration、Complain、Shame、Occupation……そういうネガティブや束縛を振り切って……」

千奈美「……ところで、確かこの曲、書いた時点でもうバンドは解散決めてたんじゃなかった?」

アヤ「え、そうなのか?」

小梅「凄く売れてて、人気もあった、って、聞いたけど……」

涼「そうだね。解散を決めてから、半ばヤケになって書いたとかなんとか」

夏樹「この曲を夏にリリースして、その年末に解散だってな。演ることになってから一応調べ直した」

アヤ「アタシはまだアイドル辞める気ないぞ」

千奈美「当たり前でしょ。社会への鬱憤や体制への不満を叫ぶのもロックの原点って話よ」

小梅「……し、少年少女の、感情の、は、発露? でも、あるって……」

涼「そうそう。解ってるね」

アヤ「だりーが言ってた?」

千奈美「違うわよ?」

小梅「違う、よ?」

涼「今ヒヤッとした」

夏樹「やめてくれ!?」

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―――

千奈美「……ん、大丈夫ね。動画二つと音声、ちゃんとエンコード出来てる」

涼「よし、オッケー! お疲れ様でしたーッ!」

小梅「お、お疲れ様、で、した……!」

夏樹「お疲れさん」

アヤ「お疲れ様。……えーと、三人とも。ありがとう」

涼「誘ったのアタシだから。むしろアタシが礼を言うほうだね、ありがとうございました」

小梅「私も、みんなに、お礼……あ、ありがと……」

涼「あああ小梅かわいいなあああ!」

夏樹「後にしろ!? ……なんつーか、勉強になったよ。本当にお疲れ様」

アヤ「アタシも色々新鮮だったよ。いやあ、ギターソロ熱かったなー」

夏樹「一応、本領だから」

アヤ「傍で聴けたのは嬉しかったよ。で、小梅はこれから撮影前乗り?」

小梅「は、はい……この後、さっちゃんたちとお昼食べる約束してて……午後から、事務所……」

アヤ「ん。頑張って来いよ。涼と夏樹はこれからどーすんの」

夏樹「今日はオフっすけど、せっかくこっち来たんで、シャワー浴びたら寮か事務所でも行こうかなって」

涼「アタシもオフ。でも木場さんに編集手伝ってもらうようにお願いしたから先にそっちだね」

アヤ「お。完成したら寮に置いといてくれればいいから」

千奈美「私にも頂戴ね。ほら、アヤはさっさとシャワー浴びに行くわよ。奢ってくれるんでしょ」

アヤ「ああ、解ってる、解ってるから……それじゃあ、またなー」

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―――

千奈美「思いつきにしては、いいチョイスだったんじゃない?」

アヤ「どうなんだろうな。別にアタシ、自分が操り人形だと感じたことはないけど」

千奈美「まぁそうね。アンタ自由なほうよね。アイドルとしてはだいぶ不穏で不安」

アヤ「え、そんなに!?」

千奈美「アイドルはあの、なんだっけあの顔極める関節技……」

アヤ「クリップラークロスフェース」

千奈美「そうそれ! そういうの使わないから」

アヤ「いい技なんだけどなあ」

千奈美「そういうことを言ってるんじゃないの!」

アヤ「解ってる」

千奈美「アンタ私といるときはボケに回るわよね!?」

アヤ「お前真面目だからなー、ついつい……」

千奈美「……ま、いいわ。今日はいいもの見せてもらったから」

アヤ「そりゃどーも。千奈美がいてくれて助かったよ」

千奈美「メイク?」

アヤ「だけじゃなくてな」

千奈美「そ。ランチ何にしようかしら」

アヤ「ビュッフェとかにしないか?」

千奈美「大きく出たわね。じゃあ東南アジアで」

アヤ「あ、またバリ行きたいなー」

――――――

―――

小梅「行っちゃった……ね」

涼「小梅も忙しいんでしょ? 片付けと引き渡しはやっておくから先に帰りな」

小梅「え、い、いいの……?」

涼「大丈夫。それじゃ、撮影しっかりね」

小梅「う、うん……! 涼さん、ありがとう……すごく、たのしかった……!」

涼「アタシも楽しかったよ。またやろうね」

夏樹「……じゃーアタシも……」

涼「バンドマンの礼儀は果たそうね?」

夏樹「機材拭いとくからモップ掛けよろしく」

涼「一曲だけど結構汗かいたね」

夏樹「フツーに収録やるのと同じだったからな……誰だよ趣味の範囲って言ったのは」

涼「こんなガッツリやりたくなかった?」

夏樹「楽しかったよ?」

涼「そっか。それならよし。さーて、次は誰に何を歌ってもらおうか!」

夏樹「次あンの!?」

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おわり。

おもしろかった

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