モバP「夢の続き」 (51)

モバマスSSです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1398586824

前回と同じような感じです。

古典的要素もほぼありません。

事務所

イヴ「うーん…」

P「どうかしたかイヴ?」

イヴ「あ、どうもー。ってそちらこそどうしたんですか?」

志希「ねぇねぇ」

まゆ「一ノ瀬さん?今はまゆが話掛けているんですよ?ねぇ、Pさん?」

ちひろ(なんなんでしょうアレ…?)

杏「全く飽きないねぇ…」フゥ

イヴ「仲がいいですね♪」

P「そうだな。二人共仕事があるんだからちゃんと準備しておけよ」

志希「はーい」

まゆ「分かりました」

P「それで結局どうしたんだ?珍しく真剣な顔してたが」

イヴ「あ、えーっとですね。実は…」ピラ

P「ん?なんだこれ?」

イヴ「子供達のプレゼント希望表ですー」

P「なるほどな。こうなってたのか」

イヴ「結構数があってどうしたものかと思ってたんですよー」

楓「パソコン使って纏めてみたらどうです?」

P「あ、楓さん。どうも」

楓「はい。やみのまー」

イヴ「パソコンは使い方分からないんですよねー」

P「簡単な操作なら教えるぞ?」

イヴ「本当ですか?それならお願いしまーす」

楓「しかし…結構リアルなことしてるんですね…」

イヴ「確かにそうですねー」

楓「夢が壊れたと言うか安心したと言うか複雑な感じです」

楓「結構色々なプレゼントを要求されますね…」

イヴ「ですねー」

P「毎回リサーチすると大変そうだな…」

楓「と言うかどうやって…?」

イヴ「そこはヒミツでーす♪」

P「やっぱり叶えられない願いとかもあるのか?」

イヴ「ありますねー。大金持ちになりたいとか魔法使いになりたいとかは無理ですねぇ」

P「まぁ、そうだろうな」

イヴ「何かになりたいってのは基本的に無理ですねー」

P「でも、ずっとお願いしてくる子供とかいないのか?」

イヴ「いますけど、無理なものは無理ですよ」

P「そうだろうな」

イヴ「ちなみにPさんは子供の頃サンタさんを信じてましたか?」

P「信じてたよ」

楓「私も信じてました」

P「俺は、ゲームとかグローブとか頼んでたなぁ…」

楓「私は…忘れちゃいました」

ファミレス

「それでさー」

凛「うん」

「凛、それだけでいいの?」

凛「今はお腹減ってないしね」

カランカラン

P「凛、ここにいたのか」

凛「あ、ごめんごめん」

「んー?誰?彼氏?」ニヤニヤ

凛「違うって。そんなわけないじゃん」

「凛って焦ると真顔になって早口になるよねー。分かりやすーい」

凛「むぅ…」カァァ

凛「この人は私のプロデューサー。それ以上でもそれ以下でもないの。分かった?加蓮」

加蓮「まぁ、そういうことにしておこっかな」

加蓮「そういや、凛ってアイドルなんだっけ?」

凛「まぁ、一応は…。加蓮、興味あるの?」

加蓮「え?アタシ?んー、どうだろ。第一体力ないし、やる気も出ないかなーって」アハハ

加蓮「なれないものに努力したって意味ないしね」

凛「加蓮」

加蓮「別に凛のこと貶した訳じゃないってば。それじゃ、またねー。プロデューサーさんも」

凛「私達も行こうか」

すみません。中座します。

車内

P「制服違ったが、いつの知り合いなんだ?」

凛「中学の時かな。高校で別になったけど」

P「そうなのか」

凛「えっと…誤解しないで欲しいんだけど、加蓮は普段あんなじゃなくて…」

P「ん?どうかしたか?」

凛「だから、えっと、やる気ないとか、どうとか…」

P「やりたくないものにやる気が出ないのは普通だろ?気にするほどのことじゃないさ」

凛「ならいいけど…」

P「まぁ、友達は大切にな」

凛「分かってるって」

P「そうか。それじゃ、今日の仕事も頑張ろう」

凛「うん。任せて」

加蓮の部屋

加蓮「テレビでも見よっと」ポチ

凛『どうも、渋谷凛です』

加蓮「あ、凛だ」

加蓮(本当にアイドルやってるんだー)

加蓮「ま、アタシには関係ないけどね」

加蓮(なれるわけないし)

加蓮「あ、今度サインでも貰って飾ろうかな?」

加蓮「凛のことだから恥ずかしがっ…けほっ」

加蓮「……」

加蓮「あー、なんかやる気でないから寝よ」

車内

杏「ねぇねぇ」

P「どうした?」

杏「杏を助手席に座らせた意図ってあるの?」

P「特に」

杏「ふーん。てっきり杏は緩衝材にされてるのかと思ったよ」

幸子「……」ソワソワ

志希「ふふーん」

まゆ「あ、それ、可愛いですね」

杏「杏よりも幸子がヤバそうなんだけど」

P「平気じゃないか?」

杏「ならいいけど」

幸子(なんでしょう…猛烈に両脇から言い様もないプレッシャーが…)

幸子「あ、そう言えば、今日はこの四人で収録なんですか?」

P「スタジオが近いだけで違うな。杏と幸子はテレビ、二人は雑誌だな」

まゆ「知ってますよ」

杏「喋るの面倒なんだけど…」

志希「あ、じゃあ代わりにアタシがー」

P「いや、自分の仕事に穴を開けるなよ…」

志希「確かにねー」

杏「杏が代わりに撮られようか?」

P「おいおい…」

杏「ま、嘘だけど」

志希「流石にキミが取ってきた仕事を無碍にするなんて絶対しないから安心してよ」

幸子「ボ、ボクもですっ!」

P「ありがとな」

ファミレス

凛「美味しいねこれ」

加蓮「だよねー」

凛「太りそうだけど」

加蓮「たまにはいいじゃんよ」

凛「ま。確かにね」

加蓮「あ、そうそう。この間テレビ見たよー」

凛「そうなんだ」

加蓮「アイドルっぽかったよ」

凛「そう見えたなら良かった」

加蓮「ちょっと新鮮だったよ。こうして話してる相手がテレビに出てるのを見るのは」

凛「興味でも湧いた?」

加蓮「別にー」

凛「その割にはアイドルとかが出てる番組に詳しくない?」

加蓮「まぁ、体の関係でテレビばっかり見てたからねー。習慣って感じかな」

凛「それだけなの?」

凛(アイドル関係の雑誌とか家にあった気がするんだけど…)

加蓮「それだけって…何か言いたいの?」イラ

凛「別にそういう訳じゃないけど」

加蓮「なに?余裕?見下してんの?」

凛「え、ちょっと、待ってよ…そんなこ――」

加蓮「皆が皆、凛みたいに才能があったりする訳じゃないの」

凛「加蓮?」

加蓮「…ごめん。凛が何も悪くない分かってる。ただの僻みなのに」

加蓮「だけど、アタシ先帰るね。ごめん」ガタッ

凛「加蓮…」

事務所

凛「……ただいま」

杏「…どうしたの?」

凛「別になんでもない」

杏「その顔でなんでもないっていくら杏でも嘘だって分かるよ」

凛「そっか…」

杏「幸いうるさい人は、他の人送っていないから仮眠室行ってきたら?」

凛「ありがと杏」

杏「別に何もしてないし」

泰葉「…どうかしたんですかね?」

杏「さぁ?」

泰葉「あんな顔してるの初めて見ましたよ」

杏「まぁ、そういう時もあるんじゃない?」

泰葉「ならいいですけど…」

泰葉「……」ソワソワ

杏「トイレ?」

泰葉「ち、違いますっ。ちょっと気になって…」

杏「行ってきたら?杏はここでだらだらしてるからさ」

泰葉「そうしますね」

仮眠室

泰葉「…失礼しまーす」

凛「あ、ごめん。使う?」

泰葉「あ、いえ、そのままでいいですよ」

泰葉(目が赤い…)

泰葉「あ、あの、よろしければ、お話くらいなら聞きますよ」

凛「…ありがと」

凛「面白くもないし、オチもない話でいいなら」

凛「――って訳なんだ」

泰葉「なるほど…」

菜々「複雑ですねぇ…」

泰葉「あ、菜々さんこんにちは」

菜々「こんにちはー」

凛「私、そんな見下してるように見えたかな…」

凛「そんな酷い言い方だったかな…」ジワ

泰葉「そんなことはないとは思います」

泰葉「でも、その人の言ってることも分からなくないですけど」

菜々「どういうことですか?」

泰葉「えっとですね、私の子役時代の話なんですけど…」

凛「うん」

泰葉「そういう反応をする人もいました。才能って言葉を聞く限り、ちょっと羨ましかったんじゃないでしょうか」

凛「羨ましい?」

泰葉「はい。アイドルをやっていることが」

菜々「なるほど…」

泰葉「オーディションってものがある通り、全員が全員望んだものになれるとは限りません」

泰葉「勝者がいれば敗者もいます。だから私は、何かに選ばれた時は、落ちた人達の思いも背負ってるって考えてます」

菜々「…良い話ですねぇ。昔のナナの思いも誰かが背負ってくれてるんですかね…」グス

泰葉「もしかしたら、そのお友達は昔アイドルか何かになりたかったんじゃないでしょうか?分かりませんけども」

凛「まぁ、確かにそういう考えもあるかもね。ちょっとすっきりしたかも。ありがと」

泰葉「いえいえ」

菜々「流石ですね岡崎先輩っ!」

泰葉「辞めて下さいよ…」アハハ

凛「背負ってる。か…」

凛「私は図星だと仏頂面になるって言ってたけど、加蓮だって隠し事してる時は、いつも地面を見て言うよね」

凛「間違ってるかもしれないけど、ちょっとだけ頑張ってみようかな…」

事務所

P「見て欲しい人がいる?」

凛「うん」

P「また、どうして?」

凛「アイドルに何か特別な思いがありそうだから…ダメ?」

P「職場見学じゃないからなぁ…」

凛「お願い」

P「その人はどう言ってるんだ?もしかしてだが、この間の加蓮って子か?」

凛「う、うん…」

P「自分でやる気がないって言ってなかったか?」

凛「そ、そうだけど…」

P「無理にやらせる必要もないだろうに」

P「こっちも慈善事業でやってるわけじゃないし」

凛「そ、そうだけど…!」

P「どうかしたか?」

凛「お願い…します」ペコリ

P「り、凛?」

凛「一回でいいから見てあげてくれないかな…?」

P「そこまで言うってことはよっぽどなんだな。分かったよ」

凛「ありがと」

P「しかし、何が凛をここまでさせるんだ?」

凛「なんだろ…こうビビっと来たんだよね」

P「なんだそりゃ」

凛「いつも言ってるじゃん。スカウトする時に」

P「まぁな」

凛「それと同じだよ」

P「一緒にライブでもしてる姿が浮かんだか?」

凛「そこまで明確じゃないけど、一緒にやれる気がしたんだ」

P「そうか」

凛「うん。まぁ、向こうがどう思ってるか知らないけど」

P「どう思ってるんだろうな」

凛「正直な所分からないけど…でも」

P「ビビっと来たんだな?」

凛「誰かに言われると少し恥ずかしいけど…そうだね」

P「仲良しごっこだと思ったらはっきり言うからな?」

凛「そこは大丈夫。覚悟してるから」

ファミレス

加蓮「あ、凛…」

凛「元気だった?」

加蓮「うん。この間はごめんね?」

凛「別に気にしてないからいいよ」

加蓮「そっか。良かったー」ハァ

凛「なに?気にしてたの?」

加蓮「そりゃね。大きな声出しちゃったわけだし」

凛「まぁ、ちょっとだけびっくりしたけど」

加蓮「それでさ、なんでプロデューサーさんも一緒にいるの?仕事?」

凛「あ、そういう訳じゃないけど」

凛「加蓮、アイドルやってみない?ううん、私と一緒にやって欲しいの」

加蓮「……ん?」

凛「えっと、伝わらなかったかな…?」

加蓮「いや、意味は分かるけど」

加蓮「えっとね、凛。一つ良いかな」

凛「いいよ」

加蓮「友達だからこういうこと言ってくれるのは分かるんだけどね、アタシは、特訓とか練習とかあんまりやりたくないんだよね」

凛「……」

加蓮「なんかキャラじゃないって言うか。だから…」

凛「うん。分かった。私が悪かったよごめん」

凛「プロデューサー、ここまで来て貰ってごめん」

P「北条、加蓮」

加蓮「なんですか?」

P「9月5日東京生まれのB型ですか?」

加蓮「よく知ってるね。凛から聞いたの?」

凛(教えてないけど…)

P「XXオーディション書類通過。OOオーデション書類通過。YYオーデション…」

凛「何言ってるの?」

加蓮「……」

P「全てアイドルの登竜門的なオーデションですね。しかし、書類通過してからいずれも体調不良の為辞退となっていますね」

加蓮「だからどうしたの?昔の話なんてよく調べたね?ストーカー?」

P「まぁ、業界なんて狭いものですから」

P(まぁ、まさかこんなにオーデション出てるとは思わなかったが)

凛「加蓮、もしかして――」

加蓮「そういうのは全部親が勝手に送ったの。面倒だったから全部嘘吐いて行かなかっただけ」

加蓮「そもそも、昔の話なんてどうでもいいじゃん。昔がどうだったらどうなの?高校生が今でも戦隊物のヒーローになりたいとか思ってると思うの?」

P「それは流石に思いませんよ」

加蓮「でしょ?」

加蓮「…過ぎたことはいいの。サンタなんていないし、夢も叶わないって子供の頃に分かったのはいい勉強だったよ」

加蓮「最初からスタート地点が違う人がいるってことも知ったしね」チラ

凛「……私に言ってるの?」

加蓮「……別に」

「なにしてるんですかー?」

P「え?」

凛「え?」

加蓮「誰?知り合い?」

P「どうしたイヴ」

イヴ「ちょっとプレゼントの下見に行こうと思ったらプロデューサーさんと渋谷さんを見つけて来ちゃいました」

加蓮「プレゼント?」

イヴ「あ、えっと、私、サンタなんですよ」

加蓮「……え? 何かのキャラ?」

イヴ「違いますよー」

凛「加蓮、この人は――」

イヴ「カレン、カレン…あっ、カレンさんですか?」

加蓮「は、はい。そうですけど」

イヴ「ごめんなさい」ペコリ

加蓮「な、何がですか」

イヴ「毎年プレゼントを贈れなくて」

P「そうなのか?」

イヴ「はい。そうなんですよ。私より前の人がここを担当していた時からずっと同じお願いをしていたから知ってるんです」

加蓮「…あ。それってもしかして」

イヴ「歌ったり、踊れたり、皆が憧れるアイドルになりたい。ですよね?」

加蓮「む、昔の話だし…」

加蓮(そのことを知ってるってことは本当にホンモノ…?)

凛「加蓮…?」

イヴ「それで、一体どうしたんですか?」

凛「実は――」

イヴ「なるほど…」

イヴ「願うだけじゃ、何も出来ない。けれど、願わなければ始まらないですって」

イヴ「目に見える世界だけで、自分の可能性を狭めちゃダメです!」

イヴ「今、ここで見えない、見ることが出来ないものが全部嘘っぱちだなんて考えちゃダメですよ~」

イヴ「その証拠に今まで見たことがなかったサンタクロースが目の前にいるじゃないですか」

凛「加蓮、一緒にやらない?」

加蓮「……い、一回だけね」

凛「ほんと…?」

加蓮「か、勘違いしないでよ!一回だけレッスンに出るだけだからね。これだけ言ってれる親友の顔をこれ以上潰す訳にいかないし、季節外れのサンタクロースの顔も立てないとね」

車内

凛「まさか、あんな隠し玉を用意してるなんてね」

イヴ「私まで乗って良かったんですか?」

P「別にいいぞ。席は空いてるし」

P「まぁ、隠し玉って訳じゃないけどな。少し気になって」

凛「気になった?」

P「凛が、なんでビビっと来たのか。その理由を知りたくなったんだよ」

P「しかし、あんなにオーデションに応募してたのか…」

凛「どうかしたの?」

P「いや、毎回書類は通過するのに、いつも体調不良で辞退するってどんな気持ちなんだろうなって」

凛「……」

P「いつしか、上を見ることを止めて、夢見る少女であることを止めた時のことを考えると心が痛いな」

イヴ「でも、一年に一回だけ、サンタの前でだけ、夢見る少女でしたけどね」

凛「ちなみにいつまで、そんなお願いしてたの?」

イヴ「え、それは秘密ですよー」

イヴ(今回もって言っていいのかなぁ…)

凛「もし、仮に加蓮がアイドルになりたいって言ったらどうなの?」

P「そうだなぁ、オーデションの書類には通ってるし、とりあえず、基礎練習からってことならいいかな」

P「流石にいきなり、ハードワークは大変だろうしな」

凛「意外と考えてるんだね」

P「なんたって、凛の願いだからな」

凛「プロデューサー的にはどう思うの?」

P「分からない。と言うのが本音だな」

P(菜々さんを少し思い出すなぁ…)

加蓮の部屋


加蓮「アタシがアイドルのレッスンを受けるなんてね…」フフフ

加蓮「まぁ、アタシがレッスン受けてる姿を見たら、凛も失望するだろうし、アタシも諦めが付くよね…?」

加蓮(まだ、そんなことを期待してるなんてね)

加蓮「今日は早く寝よっかな♪」

レッスン室

凛「来たね。それじゃ始めよっか」

イヴ「ですねー」

加蓮「他に何人かいるけど、アタシが居ていいの?」

凛「いいと思うよ」

小梅「また、知らない人が…?」

小梅(スカウトでもしてきたのかな…?)

凛「それじゃ、手始めにこの曲から踊ってみよっか」

加蓮「あ、それ知ってる。こうやって踊る奴だよね」

凛「よく知ってるね」

加蓮「よく真似…じゃなくて、たまたまだよ。たまたま」

凛「そっか。それじゃ、頑張ろ」

小梅(スリラーとかやりたいなぁ…)

小梅(こうブラブラ~って)

凛「――はい。終わり」

加蓮「……」ゼェゼェ

凛「ちょっと激しかったね」

加蓮「……まぁ。ね」

凛「大丈夫?」

加蓮「ちょっと、気分悪いかも」

凛「事務所に行こっか。飲み物とかあるし。寝る場所もあるから」

加蓮「……ごめん」

小梅(大丈夫かな…?)ハラハラ

事務所

ちひろ「分かりました。そういうことですね」

凛「うん。お願いちひろさん」

ちひろ「任せて下さい」

加蓮「……」

加蓮(あー、カッコ悪)

加蓮「いい笑いものだよね…」アハハ

ちひろ「大丈夫ですか?」

加蓮「慣れてるんで。もう少ししたら帰りますから」

ちひろ「あ、無理しちゃダメですよ」

加蓮「それじゃ、帰ります」

ちひろ「大丈夫ですか?」

加蓮「はい。さっき頂いた栄養剤で大分よくなったぽいです。ありがとうございます」

加蓮(もうここには来ないかな…)



加蓮「これで綺麗さっぱり諦めが付い…ん?」

加蓮(電気点けっぱなしなのかな)ヒョイ

加蓮「え…」

凛「お、お帰り」

イヴ「お帰りなさーい」

加蓮「なんでいるの?二人以外、皆帰ったみたいなのに」

凛「レッスンは終わったからね。皆は帰ったよ」

凛「加蓮を待ってたの。頑張ってみよ」

加蓮「はぁ?さっきの見たでしょ?やっぱり無理だって」

凛「まだ、わから――」

加蓮「分かるから!」

凛「……」

加蓮「……」

加蓮「凛はね、凄いよ。真面目だし、努力するし。私は――」

凛「出来ない。と言うか、真面目にやって失敗するのがカッコ悪いとか思ってるの?」

加蓮「だって…だって、出来ないもん!頑張ろうと思っても体は言うこと聞かないし、皆はもっと先に行っちゃうだろしカッコ悪いじゃんそんなの」

加蓮「休まない兎に亀が勝つ方法なんてないじゃん…」

加蓮「あ、でも、楽しかったよ。滅多にない経験出来て。それじゃ、また遊ぼうねー」

加蓮「…ばいばい」

凛「かれ――」

P「いつまでもそのままでいいんですか?」

凛「Pさん…」

イヴ「あ、お仕事終わったんですか?」

P「いや、明かりが点いてたから消し忘れかなって」

加蓮「どういうこと?」」

P「誰だって何度も挫折を経験します。一流と呼ばれる人はすぐ立ち上がります。でも、そうじゃない人はいつまでも地面に座り込んだままなんですよ」

加蓮「諦めるなって言ってるの?アタシのこと何も知らない癖に」

P「体が強くないのを言い訳にして斜に構えないで欲しいと言ってるんです」

P「昔と違うって言っているはずなのに、同じ理由で諦めるんですか?」

加蓮「……」

P「勿論、アイドルになれなんて言いません。ただ、頭の隅にでも残して欲しいかなと思っただけです」

P(尤もここに来てる時点でなりたいんだろうけど…)

凛「あ、えっと、トレーナーさんとかいるから、無理せず体力づくりから始められると思うから…」

凛「一緒にどうかな…? 嫌だって言うならもう私も諦めるから」

加蓮「…勝てるの?」

P「はい?」

加蓮「そんな啖呵切って、凛のプロデューサーやってるアンタにプロデュースされて凛を超えられるの?」

P「本人の頑張り次第じゃないかな?まずは、体力付けることから始めなきゃならないだろうけど」

加蓮「中々言うよね…ってことはアタシ次第で越えられるんだね?」

P「まぁ、可能姓はありますね」

加蓮「都合の良い言葉だよねそれ…」

加蓮(なんで、凛はこんな人を好きになったんだろ…)

P「努力とか特訓とか似合わないことをしなきゃ無理でしょうけど」

加蓮「……ふふふ」

凛「加蓮?」

加蓮「正直さ、努力とか柄じゃないけど、アタシをアイドルにしてくれるなんて、こんな変わり者のプロデューサーなんて他にいないだろうし、やるからにはアタシの子供の頃の夢をしっかり叶えて貰うから」

加蓮「テレビに出てるような皆が憧れるアイドルにして貰うから」グイッ

P「お…」

加蓮「人に諦めてた夢をもう一度見させるんだから責任取ってよね。サンタさんには、叶えて貰えなかった今までのお願い分、アタシと一緒に頑張って貰おうかな」

イヴ「一緒に頑張りましょうね」

凛「加蓮…」

加蓮「全く、世話焼きな友人を持ったもんだよね」ヤレヤレ

凛「別にそういう訳じゃないけど…」

P「お、顔が赤いな」

凛「もう…!」カァァ

加蓮「凛、待っててね。ううん。待たなくていいや。すぐに追いつくから」ニコッ

終わりです。
ありがとうございました。

今回は特にモチーフにした話はありませんが、イヴのセリフのいくつかは、アメリカの話を参考にしました。

1897年にある少女がサンタクロースが本当にいるかどうかと新聞社に尋ねたお話です。

興味があればお調べ下さい。

次は蓮実です。

話の展開は大体作ることが出来たので近い内には…。

最近、外伝ばかりなのは、ちょっとした気分転換です。

それでは。

あ、何かあればどうぞ。

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