木場真奈美「今日はもう寝よう。」 (18)

アイドルマスターシンデレラガールズの木場さんのSSです。
何ぶんはじめてですので、稚拙で不慣れな点がありますので、先に思いましたところを書かせていただきますと、

・木場さんとプロデューサーの二人しかいません。
・故にセリフが見づらいかもしれません。
・細かいところでオリジナルな設定が出ます。

よろしくおねがいします。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1398188249

4月22日 22:00 木場真奈美宅

真奈美(シンデレラガールズ総選挙、プロダクション内の選挙であるが、順位公表圏内に私の名前はなかった。)

真奈美(悔しさはある、少しだが沸き立つ感情もあった。)

真奈美(しかし、祝の席だ。心から祝福し、満ち足りた気持ちで帰ってきた。)

真奈美「…今日はもう寝よう。」

真奈美(明日も仕事はある、切り替えていこう。)

<prrrrr

真奈美「ん?誰だこんな時間に…P?」ピッ

真奈美「なんだ、こんな時間に、もう寝るところだったんだが。」

P『今日は選挙お疲れ様。お前、飯食べてないだろう。』

真奈美「何を藪から棒に、大丈夫だ、一食抜いても支障はない。それに一次会では少し食べた。」

真奈美「それよりも今日は寝たいんだ。夕飯なら今度また食べに行こう。」

P『寝るついでにドアホン覗いてみろ。もう家の前まで来てる。』

真奈美「…関連性が見えないんだが…キミが私のプロデューサーじゃなかったら警察を呼んでいるところだ。」スッ

(シャンパンを片手に持ち、笑みを浮かべるP)

真奈美「…入るといい。」

P「ありがとう。」

真奈美「キミのような巨躯が、夜番に女の、しかもアイドルの家を訪ねてくるとはな、スキャンダル確定だな。」

P「その辺りはぬかりない。何人かいたが、丁重にご退散願った。」

真奈美「危ないことはしてくれるなよ、ここでキミを失うわけにはいかない。」

P「人のプライベートを覗き見て金にしてる連中だ、これくらいの露払いは許されるだろう?」

真奈美「相変わらずだな。それはそうと何をしに来た。」

P「何?夕飯を作りに…。」

真奈美「私なら大丈夫だ。」

P「…。」

真奈美「明日には切り替えて仕事に行く。あまり心配するな。」

真奈美「それに総選挙後だ、アニバーサリーの撮影や媒体との打ち合せで、担当ではないにしろ、お前も何かと忙しいだろう。」

真奈美「……あまり私に構うなよ。」

P「二つ、お前は勘違いをしている。」

P「一つ、別に構うとか構わないとか、そういう理由で来たわけじゃない、食事を楽しみたくてきた。それだけだ。」

P「そしてもう一つ、プロデューサーはアイドルをプロデュースするためにいる、担当アイドルの管理は何においても優先するのがうちのプロダクションの社訓だ。」

真奈美「…。」

P「俺はお前担当のプロデューサーだ。アイドルの細かな変化に気がつかないワケがないだろう。」

真奈美「…一つ目と矛盾しているようだが?」

P「気を紛らわせるには食事が一番いい、俺がそうだ。だから純粋に食事をしにきた、間違ってないだろう?」

真奈美「…一緒にするな。」

真奈美「だが…悪くない。」

P「そうと決まれば座ってろ。前に一度ごちそうになったこともある、今日はそのお返しだ。」

真奈美「人の寝入りばなをたたき起こして訪ねてきたのに、作れというのはおかしな話だ。もとよりそうさせるつもりだよ。」

P「ふっ、そうと決まれば座った座った、少し待ってろ、うまいものをつくってやる。」

真奈美「人様の家で何を言ってるんだか。まあ、お言葉に甘えよう。」

(ダイニングキッチン)

真奈美「私が帰った後どうなった?私は少し早めに切り上げてしまったから懇親会終盤を知らない。」

P「あの後な、上位5位まで未成年だったが、志乃さんと高垣さんがお酒片手に迫っていた。さすがに片桐さんに止められてはいたがな。まあ、彼女たちなりの冗談だったんだろう。」

P「菜々はなんだか残念そうだったが、未成年は帰して、成人も何グループかに分かれて二次会へ行った。」

真奈美「流石に200人もいれば二次会も一つのところで、と言うのは無理があるな。」

P「川島さんとか寂しがってたぞ?『真奈美ちゃんと飲みたい―!』といった具合に。」

真奈美「極低音な声の上に破滅的に似ていないな。しかし、悪いことをしたな…。」

P「何、気にするな、成人組でも瞳子さんとかは明日から大きな仕事があるそうで二次会には行かなかったみたいだ。おまえ一人じゃない。」

真奈美「ほう…。瞳子が…。」

P「なんでもフラワーガーデンでのイベントらしい。彼女のプロデューサーもようやく大きな仕事を取ることができて喜んでたよ。これからだな。」

真奈美「私も去年のバリから大きい仕事は久しいが…?」

P「今準備をしている、そう急くな。」

真奈美「その言葉、信用していいのかな?」

P「アイドルとの信頼関係は基礎中の基礎だ、しかし、信じていてくれとしか言い様がないな。」

真奈美「冗談だよ、Pのことは十分に信頼しているさ。」

真奈美「トレーナーの枠でスカウトされたと思えば、アイドルの道に無理やり引き釣りこまれたからな、信じてついていくほかないだろう?」

P「引き釣りこむとは人聞きの悪い、可能性を示した、といってほしいところだな。それにお前も乗ってきた。」

真奈美「言うなれば運命共同体、といったところか。」

P「そうなるな。」

真奈美「P、キミの見出した私の可能性、私はちゃんと体現できているか?」

P「…。」

真奈美「私はキミに期待している、背中を預けてきたつもりだ。」

真奈美「逆に私はキミの期待に応えられているのか?」

真奈美「キミの理想とする世界を体現するにたる人間なのか?私は!?」

P「…できたぞ。食べて落ち着け。」コトッ

真奈美「…すまない、取り乱した。これは…。」

P「普通にペペロンチーノだ。」

真奈美「夜も遅いというのに、炭水化物か。」

P「時間も考慮して、全体的に少量で、少し野菜の割合を多くした。俺としては物足りないが、いいだろう。」

真奈美「野菜を取ればいいという問題ではないと思うが、確かに少量だ。」

P「少し準備がある、そいつを開けておいてくれないか。」

真奈美「?…いいだろう。」

(真奈美宅、テーブル)

P「乾杯。」スッ

真奈美「乾杯。」スッ

真奈美「パスタと簡単なつまみか。なかなかできるじゃないか。」

P「お前と同じで料理は趣味だ。そう驚くこともあるまい。」

P「料理…料理…そうだな、次はそういう方向性も模索してみるか。」

真奈美「Pの取ってきた仕事なら喜んでこなそう、歌の仕事ならなおさら大歓迎だ。この意味、わかるかな?」

P「十分承知している。元々アーティスト寄りのアイドルと思ってスカウトしたのだからな。」

P「だが売り出し方にも色々ある、選択肢は広げられるだけ広げておいたほうがいいと思わないか?」

真奈美「それに越したことはないと思うが…。」

P「『こういうのは若い子に』か?最初はそんなこと言っていたが、今ではこなれたものじゃないか。まして料理は得意分野だろう?」

真奈美「それはそうだが…。」

P「安心しろ、歌もちゃんと歌う。今度、有浦とコラボしてみないか、あっちのプロデューサーもノリ気だ。」

真奈美「柑奈か。彼女のギターで一緒に歌うのも悪くないな。同郷のよしみもある。」

P「だろう?なかなか面白いことになりそうだ。」

真奈美「…。」

P「…。」

P「総選挙…残念だったな…。」

真奈美「…キミからその話題で切り出すのか?」

P「悔しいのはお前だけじゃないさ。担当プロデューサーとして、俺も不甲斐ない。」

P「悔しいが、渋谷凛、素晴らしい輝きを持ったアイドルだよ。前の神崎蘭子も、その前の十時愛梨も、いいアイドルだ。」

真奈美「…教えてくれ、P。私の良さとはなんだ?」

真奈美「私は、歌では誰にも負けないと思っていた。海外での経験、毎日の努力、最初アイドルと聴いた時に驚きはしたが、できないことはないと思っていた。」

真奈美「実力はあるが、結果と結びつかない。これでいいのかと思う時もある、しかし、信じて仕事を取ってくるキミがいる手前、後ろを振り返るわけにはいかないと切り替えてきた。」

P「…。」

真奈美「たまに思うよ、毎日のトレーニングは現実逃避なんじゃないかって…。私はアイドルとして、存在していいのか、と。」

P「…。」

P「お前の武器は自信だよ。今、ちょうど折れかかってるソレだ。」

真奈美「自信…。」

P「どんな壁をも乗り越える強い意志、経験に裏打ちされたその自信こそが、お前の武器だ。」

P「どれだけ辛酸をなめても、プライドで自分を締めあげて前を向いてきた。」

P「自信を支えにした諦めの悪さ、両の脚で立つその姿に人は惹かれるんだよ。」

P「諦めを踏みつけて、限界に目をつぶって、前を向き続けることで、アイドル木場真奈美は存在し続ける。」

真奈美「…。」

P「正面から見たお前は誰にでも頼りがいがある、ある意味孤高ともいえる存在に映るだろう。」

P「しかしながら、人はそれほど強くない。だから俺がいる。プライドもボロボロで倒れそうになった時、俺がしっかり支えてやる。」

P「もちろん、そうなるまで放置しないのが一番だが。」

真奈美「…もうなってるじゃないか…。」

P「そういうな…。さっきお前も言っていたが、俺はお前に背中を預けられている。これはとても名誉なことだ。」

真奈美「そう…なのか…?」

P「おうとも、俺はお前のその精神を尊敬している。諦めの悪さも大好きだ。俺はその支えになりたいと思ってきた。だからお前の信頼はとても嬉しい。」

P「アイドルなくして、アイドルプロデューサーは存在しない。お前の存在そのものが、プロデューサーとしての俺の存在意義でもあるんだよ。」

真奈美「一人ではうまく立つことのできない半人前と」

P「支えるものがないと存在できない半人前。」

P「二人一つでようやく一人前だ。」

真奈美「この歳になって未だ半人前とは、わかってはいたが、恥ずかしいことだな。」

P「気にすることはない、アイドル木場真奈美はまだ誕生して何年も経っていないから仕方ない。」ガタッ

真奈美「どこへ行くんだ?」

P「少し待ってろ…よし、いい感じだ。」

真奈美「これはクッキーか。」

P「そう、食後のデザートとしては似つかわしくないが、まあ食えよ。」

真奈美「…カボチャか。」

P「旬ではないが、これにはちゃんと意味がある。」

P「選挙で1位となったアイドルをシンデレラガールという。」

P「アイドルがシンデレラなら、プロデューサーはさしずめ、魔法使いだ。」

真奈美「だからカボチャか。…ベタだな。」

P「『女の子は誰でもシンデレラ』、プロダクションの創始者、千川始(はじめ)はそう言った。」

P「このカボチャの馬車で必ずハッピーエンドに導いてやる。」


P「俺のシンデレラは、お前だよ、真奈美。」

真奈美「!…フッ、フフッ、こんなベタな慰め方…でも、ありが…とう…。…これからも…よろしく、頼む。」

P「来年の頭にはプロダクションぐるみでの大きな仕事が待っている。こちらこそ、よろしく頼むぞ、シンデレラ。」

P「さて、ずいぶんと話し込んでしまった。夕餉も終わりだ。俺は帰る。」

真奈美「ああ、今日はありがとう、明日もよろしく。」

P「明日はレコーディングだから、スタジオ集合だ。大丈夫だな?」

真奈美「私を誰だと思っている。万全にして向かおう。」

P「それじゃあ。しっかり休め。」ガチャ

真奈美「おやすみ、私のプロデューサー。」





真奈美「ふぅ、Pめ、片付けを放り出して帰ったな。仕方ない。」

真奈美(いつも自問自答していたことと同じことだが、いつもとは何か違う気もする。)

真奈美(わかっていても、他人から確認されると安らぐこともあるのか。)

真奈美(どこかで一人でうまくやらなければならないと考えていた、P諸共先導してやらないといけないと思っていた。)

真奈美(二人で一つ、こんなに簡単に腑に落ちるものだな。)

真奈美「さて、片付けも終わった。」

真奈美「今日はもう寝よう。」

Fin

非常に短いですが以上になります。

総選挙、木場さんの結果は残念でした。
いつも最強キャラだと、言われ続ける木場さんですが、
人並みに挫折し、人並みに苦悩し、そこにいるのだと思います。

読んでいただき有難うございました。

スマホに切り替わりましたが、筆者です。
最後の締めの文だと、ただ残念なだけに見えるので、醜悪ながら付け足しですが

木場さん好きです。
どんな結果であっても、私のシンデレラは木場さんです。

読んでいただき、ありがとうございました。

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