P「射撃系最強はピストルズです」高木「『皇帝』に決まってるだろうキミぃ」 (107)


P「……いや、冷静に考えましょうよ、社長? 『セックス・ピストルズ』の方が強いですって」

高木「冷静な判断力を欠いているのはキミではないかね? 『皇帝』の方がはるか格上だよ」

P「……」バチッ

高木「……」バチバチッ

P「その階段に足をかけるんじゃあねぇーーッ!」

高木「私が上ッ! キミが下だッ!!」



律子「……勤務時間中に何をしてるんですか、あの二人は」カチャカチャカチャ

小鳥「『スタンド強さ議論』ですね。数あるバトル漫画議論の中でも割とポピュラーな部類の論争です」

律子「いやマジレスされても」ッターン



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高木「だいたいにしてキミ、ピストルズなんてほぼ全ての面において『皇帝』の下位互換じゃあないか」

P「ほう? 具体的にどの辺りが下位互換なのかご教授いただけますかね?」

高木「ふむ。頑迷な若者に現実を突き付けてやるのも年寄りの役目というものかな」

P「」イラッ

高木「まずは『皇帝』の決定的な強みとして、銃そのものから銃弾に至るまで、全てが『スタンド』である点が挙げられるだろう」

P「まあ、基本といえば基本ですよね」

高木「スタンドだから出し入れは自由。さらには発射後の銃弾も操作可能。さらにさらに、ガンマンにとって最も重要なメリットが……」


P「リロード要らず、ですか」

高木「ご名答」

P「悔しいですけど、その点に関しては『皇帝』の優位性を認めざるを得ないですね」

P「実際問題、『セックス・ピストルズ』の本体であるグイード・ミスタも、作中で何度もリロードに煩わされてますから」

高木「ガンマンとしてホル・ホースと立ち会った場合、この差は致命的だよキミぃ」

高木「どうせあの世界のキャラは銃弾を一、二発もらった程度じゃ死なない奴ばかりだ」

P「ミスタとか累計で何発食らってんだって話ですからね……」

高木「だったらモノを言うのは手数、そうだろう?」


P「まあ、一理ありますね」

高木「だろう、だろう?」

P「しかし社長、それはあまりに一面的な物の見方じゃありませんか?」

高木「なに?」

P「確かに『皇帝』有するホル・ホースは、大抵の銃撃手に対して有利に戦闘を運べることでしょう」

P「ですがこの場合、相手もまたスタンド使いです。ピストルズには『皇帝』にはない強みが幾つもある」

高木「む……」

P「今から俺が、それを説明してご覧にいれますよ……頑迷なお年寄りにも理解が追いつくように、ね」

高木「」イラッ



律子「なんであの人、雇い主に対してあんな口が利けるんですかね」カチャカチャ

小鳥「スタンド議論に世俗での立場の上下など関係ありませんから」

律子「そしてなんで小鳥さんはそんなにも深く理解を示せるんですかね」カチャカチャ


P「まずは基本からおさらいしていきましょうか」

P「『セックス・ピストルズ』は弾丸を操作するスタンドです。これには本体のミスタが放った銃弾であるかどうかは関係しません」

P「作中では敵がミスタに対して放った弾を止めているし、銃槍に込められてさえいない弾丸を直接蹴り出して、銃並みの貫通力を実現させてもいます」

高木「銃弾以外を動かす力には乏しいが、とにかく銃弾でさえあればかなり精密かつ強力な操作が可能だということだね」

P「そこなんですが……ピストルズは『概念』的に弾丸である『物体』を操作しているんです。そこにその物体がどれほど重いとか、軽いとかは関係がない」

高木「ふむ、それがどうかしたのかね?」

P「この『概念』ッ!! 拡大解釈すれば『砲弾』のような巨大な物体をも操作可能だ、ということにはならないでしょうかッ!!?」ズアッ


P「……という説を某所で見かけたことがあるんですけど」

高木「キミぃ……他の議論ならいざ知らず、今は『強さ議論』の場なのだよ?」

高木「作中で語られていない『仮説』を自論の補強材料とするのは、いささか騎士道精神に反する行いではないかね?」

P「ですよねー。そもそも『拳銃使い』のミスタから生まれたスタンドですから、『銃弾』に限定されるってのが自然なものの考え方ですし」

P「まあ、俺もそういう説があるんだよ、ってことを紹介してみたかっただけですので」



律子(いったい誰に……?)

小鳥(律子さんにですよ、きっと)

律子(モノローグを読まないでください。スタンド使いですかあなたは)

小鳥(最近のムーブメントはダービー弟×花京院です)

律子(聞いてません)


P「ちょっと話が逸れましたが、続きといきましょう」

P「スタンドは一人につき一つというのが原則ですが、ピストルズはいわゆる『群体型』のスタンドです」

高木「単純に手数が増える上、ダメージを受けた際の本体へのフィードバックも分散されるという、地味に強力なタイプのスタンドだね」

高木「作中での初出はおそらく『バッド・カンパニー』だと思われる。意外にも三部では出てきていない」

P「あれ、『恋人』は……」

高木「あれはジョセフの脳み……おっと、これ以上は原作未読派の方々へのネタバレになるから自重しておこうかな、はっはっは」



律子「大したネタバレでもない上そんな人中々いないと思うんですが」カチャカチャ

小鳥「アニメから入るにはちょっとハードル高いかもしれませんね……逆に言えば、絶好の布教チャンスでもありますピヨ!」ガタッ

律子「その手に持った薄い本をまずは仕舞ってください。それは教典として不適切です」


P「……えーっと、またも話が逸れてしまいましたが」

高木「はっはっは、すまないすまない。作品を愛するものとして、ついつい長広舌を振るいたくなってしまってね」

P「気持ちはわかりますよ、社長。でも今はピストルズの性能に話を戻しましょう」

P「ピストルズの数は六匹……もとい六人ですから、同時に六発まで弾を操作できるということです」

高木「ミスタの使用する銃は六連装のリボルバーだから、理に適った数字といえるだろうね」

P(数字……ミスタとは切っても切り離せない要素だな)

P(あれ、そういえば『皇帝』のアルカナ番号って確か)ハッ

高木「と、ここまで話を聞いた限りでは、やはり」

P「え?」ギクリ

高木「『皇帝』の方が圧倒的に優れていると断じざるを得ないのだが……どう思うかね、キミ?」フフン

P「……ほっほぉう?」


高木「まずは、ピストルズの最大にして唯一の能力と呼べる『銃弾操作』だが」

高木「これに関しては、『皇帝』でも同じことができるのは、すでに説明したとおり」

P「……ピストルズの精密動作性は『A』ですよ」

高木「対する『皇帝』は『E』である、と。確かにその点については分が悪そうだ」

高木「しかし『皇帝』の弾丸は作中で、あの『銀の戦車』の剣さばきをも躱していることをお忘れかな?」

P「!」



律子「結局ネタバレしてますがな」

小鳥「どうしたんですか律子さん!? 言葉遣いが変ですよ!?」


P「……」

高木「それを証明するように、『皇帝』のスピードは『B』。さて、それではピストルズのスピードは?」

P「……『C』、ですね」

高木「……ふふふ」

P「……」

高木「そっくりそのまま、『皇帝』にはピストルズと同じ芸当ができる、という話にはならないだろうが」

高木「少なくとも真正面からの撃ち合いにおける銃弾操作で、『皇帝』が著しく劣るということにはならないと思うのだが、どうだろうね?」

P「……」

高木「そして、ここから俎上に乗せるのは、『皇帝』に一方的にアドバンテージがある要素ばかりだ」


高木「『皇帝』が銃そのもののスタンドであるのに対して、ピストルズは本物の銃がなければ力を発揮できない」

高木「実際ミスタは、作中で一度銃を破壊されているしね」

P「……」

高木「早撃ちをさせてもノーモーションで撃てる『皇帝』の方が早いだろうし……リロードの手間については、最早説明の必要もない」

高木「後は、そうだな。『皇帝』から発射されるスタンドの弾丸を、ピストルズが操作できるのかという問題だが」

高木「スピードは『皇帝』の方が上だ。そうやすやすと弾丸のコントロールを相手に渡すほど、ホル・ホースもヌケサクではあるまい」

P「ホル・ホースは結構なヌケサクだと思いますけどね」ボソ

高木「なにか言ったかね?」

P「いえなんでも。続きをお願いします」

高木「……個人的には、仮に追い付けたとしてもその後、スタンドパワーの強弱が関係してくるのではないか、と私は考えている」


高木「まあ、さらに仮に、コントロールを奪われたとしても問題はないがね」

高木「ピストルズが同時に捌けるのは六発まで、対する『皇帝』の弾数は無限だ」

高木「ミスタがコントロールを放棄した六発を撃ってくる間に、無制限かつリロード不要のコントロール弾の内の一発で、脳天なり拳銃なりを破壊してしまえばいい」

高木「総合して考えてみるに、ホル・ホースにかなり分がある勝負ではないかな?」

P「……ミスタが防御を完全に捨てれば」

高木「ミスタがその行動を取るとするなら、『皇帝』の能力が戦闘前の段階で露呈している、という前提に立つ必要があるね」

高木「あの能力を持っておきながら、初見の敵の銃弾を防御しない、という発想には中々至らないだろう」

高木「まあしかし……その場合でも、よくて相討ちだね。互いに弾をガードする手段はないのだから」

高木「少なくとも、ミスタの一方的な勝利、ということにはならないだろう」

P「……」

4か 相棒「ハングドマン」は12、足した16を4で割ったら4… 結構4に関すること多いな


律子「……」カチャカチャ

律子(ピストルズが『皇帝』の弾を全部蹴り返したら、瞬間的に12対0になってミスタ圧倒的有利だと思うんだけど)

律子(あ、でもホル・ホースは自分の弾を消すなり、もう一度コントロールし直せばいいわけで)

律子(でもその前にミスタの六発が命中するわよね……あれ、これミスタの勝ちなんじゃ)

律子(いや、前提条件がおかしいのかも。社長の言う通り、ピストルズが『皇帝』を防げるとは限らないわけで)

律子(ぐにゅん、って曲げちゃえばピストルズかわせるわよね。チャリオッツかわしてるんだし十分できるはず)ブツブツ

小鳥「律子さん」

律子「はい?」

小鳥「楽しそうですね」ニッコリ

律子「んっ……んん、んーん! さー仕事仕事!///」カチャカチャ


高木「ははは、どうしたね、キミぃ? もう言葉もないかな? 勝負がついたということでよろしいかな?」

P「…………なるほど。真正面からの撃ち合いなら、も・し・か・す・る・と! ……『皇帝』の方が強いのかもしれませんね」

高木「もう勝負ついてるから。それではこの話は終了ということで」

P「いけませんよ、社長。人の話は最後まで聞かないと」

高木「なにっ?」

P「またしても話が逸れてしまったようですが……ピストルズの性能に関する説明は、まだ終了していません」

高木「な、なにを……言って……? 『銃弾操作』こそがピストルズの唯一の能力じゃあ……」

P「違う、違うんですよ、社長。あなたは間違っている――なあ、お前もそう思うだろう?」



??「ええ」

高木「!?」


??「お待たせしてしまったようですね、プロデューサー」

P「待っていたぞ。お前がいなきゃ始まらないからな」

高木「バカなッ! 君は! この場にはいないはずの! 新曲のレコーディングに行っているはずの――!」

??「レコーディングは……一発録りでOKをもらいました」

P「ふふ、さすがは765の歌姫だな――」



高木P「「如月千早ッ!」」

千早「YES I AM」チッチッ



律子「なにやってんのあの子」


高木「くっ。まさか如月くん、キミもピストルズ派だというのかね?」

千早「愚問です」

高木「くっ。というかキミ、そもそもジョジョラーだったのか……」

P「知らなかったんですか、社長。千早は結構な筋金入りですよ」

千早「ラジオでも何度か語らせていただいたことがあります」

P「結構熱入ってたよなぁ、あれ」

高木「くっ。そういえば移動中の車内で聞いた覚えが」

千早「ジョジョなくして今の私はない、といっても過言ではありません」キリッ



律子(…………あれ? 歌は?)


高木「くっ。どうやらこれで二対一、ハサミ討ちの形になったようだが……無駄だよキミたち、無駄無駄ぁ」

高木「『セックス・ピストルズ』に『銃弾操作』以外の能力があるなどと、寡聞にして私は知らない」

高木「いまさらどんなこじつけをしたところで、ここからの逆転など」

千早「『能力』の問題ではないんですよ、社長」

高木「!?」

P「そう、そのとおり。問題は――スタンドの『タイプ』なんです」

高木「『タイプ』だとッ!? それならば『群体型』ということで結論が」

P「言わば」

高木「!」

P「言わば、グイード・ミスタと『セックス・ピストルズ』の関係は――」






P「俺と千早のそれに相当する、ということなんですよッ!!」ズキュウウウウウンン





高木「なにいいいいぃぃッ!?」ガーン

千早「……///」モジモジ

律子「いや、それは何かが違うような」

小鳥「千早ちゃんがセックスに相当するですって!!!??」ガタッ

千早「んあっ!?///」

律子「ちょっと黙っててもらえます?」


P「結論から言ってしまえば、『セックス・ピストルズ』はやや特殊な『自動操縦型』に分類されるのではないか、という可能性についてなんです」

高木「なにをバカなっ!? ピストルズはミスタの操作のもとで動いているではないか!」

千早「んっ、コホン。それは、厳密には違います」

千早「セッ……ピストルズはあくまで、ミスタからの命令(オーダー)を元にして、自分で考えて行動している(と思われる)んです」

高木「あ……」

千早「基本的にピストルズはミスタに対して従順ですから、結果としてミスタの思い通りに動いていますが」

千早「時と場合によってはミスタの思惑を越えて、しかしミスタのためになる行動を選択することも……できるんです」


P「千早みたいにな」ナデナデ

千早「わっ、私はまだまだ未熟ですから、プロデューサーにご迷惑をかけてばかりで……///」モジモジ

P「そんなことないさ」ナデナデ

千早「ん……」ポワポワ



高木「なんか急にイチャつきはじめたよ」

小鳥「時と場合を考えてほしいですよね。今はスタンド議論の場なのに」プンプン

律子「いや、あの、勤務時間中……」


P「さて。ピストルズが『群体型』かつ『特殊自動操縦型』であるという仮定から、いくつかの付加効果が見出せます」

P「一つ。『ピストルズは、ミスタの意識がほとんどない状態でも行動できる』」

千早「プロシュート戦やチョコラータ戦がそうでしたね」

P「他のスタンドにはないかなりユニークな利点ですが……今回に限っては、それほど重要なファクターではありません」

高木「……」

P「重要なのは、二つ目。『ピストルズとミスタは、視覚情報などを共有していない』」

千早「自動操縦のスタンドにはよく見られるパターンですね。シアーハートアタックしかり、ブラックサバスしかり」

P「ただ、ダメージのフィードバックだけは行われるから、その部分があまりにも『特殊』ではあるけどな」


千早「ちなみにこの事実は、ローリング・ストーンズ戦などを読むと確認しやすいです」

P「ブチャラティを探すために銃弾を発射するシーンだな」

千早「このシーンでミスタは、『ブチャラティを発見した』という報告を、発射しなかったピストルズを通して確認しています」

P「つまり、『ピストルズ同士』で視覚共有なり、テレパシーのような情報伝達なりは可能だが」

千早「『ミスタ』と『ピストルズ』の間にその能力は備わっていない、ということですね」

高木「……長々と説明してくれたところ、申し訳ないのだが」

千早「え?」

高木「私にはその、二つ目の付加効果は、デメリットだとしか思えないのだがね?」

高木「『エコーズ』のように、本体が到達できない場所の情報を取得できるのが、スタンドの一つの利点であるはずだろうに……」


P「逆ですよ、社長。逆に考えればいいんです」

高木「むっ……?」

P「『見えないからこそいいんだ』と考えればいいんです」

高木「なんと!?」



律子「あれ? なんか話違ってきてません?」

小鳥「わかります」グッ

律子「なにを!?」ガーン


千早「冗談はさておき。『見えていない』ということは、『見えなくても攻撃できる』ということです」

高木「……!」

P「ペッシを探すために撃った時なんかわかりやすいですね」

P「あの時ミスタは、とりあえず狙いを付けずに銃をぶっ放して、その後の狙撃をピストルズに一任してます」

千早「翻って、『皇帝』はどうでしょう? 『皇帝』から発射された銃弾とホル・ホースとの間で、情報共有は行われているのでしょうか?」

P「よしんばされていたとしても、『銀の戦車』の剣を回避するほどのスピードを持った、弾丸から受け取る情報です」

千早「そんな『超スピード』の情報を、一瞬で処理できるものでしょうか?」

高木「ぐ、むぅ」

P「要するに、俺たちの聞きたいことは一つです、社長」

千早「『ホル・ホースは、死角を狙撃できるのか?』 ……できなければ、この点に関しては明確に、ピストルズの方が優れているということになりますね」


高木「……」

高木「ボインゴと組んだ戦いでホル・ホースは、パイプ越しに承太郎を攻撃している」

千早「……!」

高木「あのパイプは曲がりくねっていた。跳弾のみで承太郎の位置にまで到達したとは考えにくい」

高木「描写の仕方から見るに、少なくともあの時、パイプの中の弾丸をホル・ホースは操作できていたのだ」

P「……」

高木「それと、キミたちは『弾丸からの視覚情報が速すぎて処理できない』可能性に言及したが」

高木「それは少々、的外れというものだよ。なぜならスタンドは、視覚ではなく感覚で動かすものだからね」

高木「まあ、パイプという確固たる『ルート』が確立されていたからこその、あの狙撃だったのかもしれないが」

高木「それでも、『ホル・ホースは死角を狙撃できる』という可能性は、ちゃぁんと残るわけだ」

皇帝は「接近での暗殺」こそ真価を発揮すると思う


高木「以上。キミたちの質問に対する私なりの答えを――簡単にだが、用意させてもらったよ」

P「……」

千早「……」

高木「さて、終わりかね? 終わりならば、いよいよもって『セックス・ピストルズ』が『皇帝』に勝っている点など」



P「――勝っている点など、一つしか残っていない」ニヤリ

千早「と、いうことになりますね」ニヤリ

高木「なん……だと……!!」



律子「あれ、いつの間に『BLEACH』の話に」

小鳥「違います律子さん、あれはSBR19巻のヴァレンタイン大統領が見せたリアクションです!」

律子「ふーん」


P「『セックス・ピストルズ』が『自動操縦』である可能性から生じる、最大にして究極のメリット」

千早「これは『皇帝』に対する決定的なアドバンテージに、今度こそ成り得ます」

P「いかに社長といえども、これには反論できないでしょうね」

高木「け、結論を早く述べたまえ! それはいったい……!?」

P「『射程距離』ですよ」

高木「!!!」



小鳥「余談ですけど、『射程距離』って重言だから日本語として間違ってるらしいですよ」

律子「それこないだTVでやってましたね」

小鳥「まあ、ジョジョファンはいまさら気にも留めないでしょうけどね」

律子「いや、そこは留めましょうよ」


千早「能力表を見てみるとピストルズの射程距離は、『弾丸の届く距離まで』となっています」

P「ミスタが使用する銃種に左右される、ということなんでしょうね」

千早「極論、ミスタがスナイパーライフルでも使えば500メートル先でも射程距離です」

P「ただ、ミスタはあくまで『拳銃使い』ですから、ここはそれに準じて考えておきましょうか」

千早「それでは……『皇帝』の射程距離は?」

高木「ぐぬぬぬぬぬっ!!」

P「能力表では『B』ということになっていますが、色々調べてみるとこんな注釈が付け加えられていることが多いんですよ……」



P「『銃にしては、あまり射程は長くない』とね……!」



高木「ぬおおおおおおおおおおっっっ!!!!」


千早「考えてもみれば当然のことなんです。『皇帝』は弾丸まで含めてスタンドなんですから」

千早「銃撃としてのパワーを維持したまま、そんな何十メートルも遠くまで飛ばせるわけがありません」

千早「いえむしろ、遠くまで飛ばせば飛ばすほど、スタンドのルールに従って、そのパワーは減衰していくことになる……!」

高木「それはピストルズとて同じことだろう! スタンドである以上、『遠くなれば弱くなる』の原則からは逃れられ…………はっ!!」

P「お気づきになったようですね、社長」

P「確かにピストルズには、制限された射程距離が存在します」

P「しかし! その射程距離の中で“さえあれば”! スタンドパワーは100%発揮できる! なぜならば!!」





P「『セックス・ピストルズ』は――『自動操縦』のスタンドだからですッ!!」




高木「なんだとほおおおおおおおおおおおおおっっっっっ!!!!!??」

律子「なにこのノリ」

小鳥「律子さん、スタンド議論は考えるんじゃなく感じるんですよ」

律子「やかましい」


P「と、まあ。長々とだべらせてもらいましたが」

P「実のところ、『ピストルズ自動操縦説』は否定意見の方が優勢なんですよね……」

千早「やはりダメージが本体に返ってくる、という点が大きいのでしょうね」

高木「いやいや、中々に説得力のある意見だったよ、キミたち」

高木「『自動操縦説』の是非は置いておくにしても、射程距離に関しては納得のいく話だった」

高木「グイード・ミスタは暗殺を得意とするキャラだからね。自らの射程距離ギリギリからホル・ホースを狙うというシチュエーションには無理がないし、そうなればミスタが勝つだろう」

P「逆でも同じことが言えますよ。人ごみに紛れて近づいてパンッ、ならいくらミスタでもどうしようもありません。ホル・ホースの暗殺者としての能力はDIOも認めるぐらいですしね」



小鳥「暗殺なんて、仕掛けた側がその時点で有利に決まってるんですけどねー」

律子「そーですね」カチャカチャ


P「総括すると、遮蔽物のない至近距離での決闘なんかならホル・ホース有利で」

千早「多少距離を離した、街中などでの遭遇戦ならミスタが有利、ということになるのではないでしょうか」

高木「黒……DIOも言っていたよ。スタンドに『強い』『弱い』の概念はないのだ、とね」

P「スタンドは適材適所、それが生きるということ……」

千早「みんな違ってみんないい、ということですね」

P「ああ!」

高木「そんなところだろう、はっはっは!」

千早「ふふふふふっ」



律子「なんかいい話でシメようとしてません?」

小鳥「でも、だいたいそれで合ってますからね」


千早「……あ、でも、強弱に関して一つだけ、はっきりしている優劣はありますよ?」

P「……ん?」

高木「……ああ、そういえばそうだったね」

P「それは……つまり……」




「「「銃は剣よりも強し」」」




律子「……」

小鳥「……」


高木「ンッン~~名言だねこれは」

千早「ええ。蓋し、名言でしょうね」

P「それじゃあ名言でオチがついたところで、今日は解散ということで」



小鳥「あ、終わったみたいですね」

律子「いや、だから解散じゃなくて仕事を」


ガチャッ バタン!!


律子「……え?」

小鳥「あら、お客様かしら……」








黒井「くだらああああああああああああああああああんんんんッッッ!!!!!!」







「「「「「!?」」」」」


翔太「流石はクロちゃん、ボクたちにできないKYを平然とやってのける!」

翔太「そこに痺れる! 憧れるゥ!!」

冬馬「『殴りこむ』と心の中で思ったならッ! その時スデに行動は終わっているんだッ!!」

冬馬「というわけで邪魔するぜ、765プロ」

黒井「北斗は欠席だ」

P「」

高木「」

千早「」

律子「」

小鳥(961って地味にジョジョ率高いのよね……)

D… 黒井来た!


黒井「さて、話は聞かせてもらったぞ、弱小765プロの弱小諸君」

律子「いや、聞かせてもらったってどこから」

黒井「射撃系最強? みんな違ってみんないい? 銃は剣よりも強し?」

黒井「くだらん、実にくだらんなぁ。いかにも仲良し子良しのゴミプロらしい、視野の狭い上になあなあの結論だ」

千早「むっ」

黒井「スタンドには! いいかスタンドには! いや、この世にあまねく存在するあらゆる事象にはだッ!!」

黒井「『優劣』は存在するッ! 勝ち負けは必ずつくことになっているのだ!!!」

P「えー……」

高木「DIOがそれを言っちゃうのかい、キミぃ……」

黒井「DIOではなぁぁぁぁぁぁいいっ!! 私は黒井だ! 二次元と三次元を混同するなっ!!」


冬馬「要するに、だ。『射撃系』なんて狭い上に曖昧な括りの中でトップを決めたところで、なんの意味もねえってことさ」

翔太「そーそー。僕らだって『男性アイドル』の中でナンバーワンを目指してるわけじゃないしね」

千早「……一理ありますね」

律子「確かにアイドル以外にも、この業界に私たちのライバルはたくさんいるわ」

黒井「業界の頂点に立つのは常にこのDI……961プロだ! スタンド議論もそれと同じことよ!」

P「今DIOって」

小鳥「このDIOって言おうとしましたね」

高木「やっぱりDIOじゃないか(憤慨)」

黒井「DIOじゃなあああああああぁぁいいいっ!!!」


P「そこまで言うんならじゃあ聞きますけど、黒井社長にとって『最強のスタンド』ってなんなんですか?」

黒井「『世界』に決まっているだろう」

千早「……」

高木「……」

小鳥「……」

律子「……」

冬馬「……」

翔太「……」

P「やっぱりDI」

黒井「ちがあああああああああう!! 一般論だ!!」

P「いや、一般論なら『世界』に勝ったスタプラの方が」

黒井「射程距離では『世界』の方が圧倒的に上だッ!!」


翔太「おにーさんの理屈で言うならさ、『星の白金』に真正面から勝ってる『メイド・イン・ヘヴン』の方が強いんじゃない?」

黒井「黙れ黙れ! 肉を切らせて骨を断つ戦法でいけば『世界』とて負けはせん!」

翔太「えー。でもそれって、スタンドの能力っていうより本体の性能に頼った闘い方じゃん」

P「そもそも『メイド・イン・ヘヴン』って微妙に『入門』してなかったか?」

小鳥「ダメですよプロデューサーさん! 時間操作系のスタンド議論は他のよりはるかに泥沼になりやすいんですから!」

黒井「泥沼になどならんッ!! 最強は『世界』で決まりなのだ!!」

冬馬「俺は建前上『ザ・グレイトフル・デッド』って言っておきたいんだけどな……どうもDIOとの相性が」

千早「その点ピストルズならワンチャンス暗殺での勝利があり得るわ」

高木「『皇帝』は……あまり大きなことを言うのはよしておこうかな。暗殺失敗してるし」



律子「……はあ」


冬馬「老化能力ってもしかしてMIHに勝てたりしねーか?」

P「勝てるな、もしかしなくても」

千早「ケチをつけるわけじゃないけど、あれってあまり暗殺向きのスタンドじゃないですよね」

冬馬「まあ、なあ」

高木「うむ。『皇帝』やピストルズのような射撃系の方がよほど向いているだろうね」

翔太「射撃系で思い出したけどさー、『マンハッタン・トランスファー』ってあったじゃん。射撃ってか狙撃だけど」

P「それを言ったら『爪』だって射撃系じゃないのか? 普通に強すぎだろ、あれ」

黒井「ええい! またそうやって貴様らは、つまらん括りの中で……!」

小鳥「まあまあ黒井社長、そうケンカ腰にならずに。強さ議論は楽しめない人が損をするんですから」



律子「……」カチャカチャ




ワイワイ ガヤガヤ ギャーギャー



律子「……はあああああ」カチャカチャ

涼「ところで律子姉ちゃん、射撃系なら『エアロスミス』もいい線行くと思うんだけど」ヌッ

律子「知るかッ!! っていうかあんたどこから湧いて出たのよ! あと『エアロスミス』をその枠に入れるのは無理があるでしょうがッッ!!!」ッターン

涼「でもメイン武装は機銃だし……」

律子「知らないっつってんでしょ!? これ以上私の仕事を増やさないでちょうだいッ!!」ッターン




長々と失礼しました
アニメでホルホルくんの声が変わる前にやっておきたかったんです
強さ議論は燃え上がるほどヒートしない程度にクールな頭で楽しみましょう
スピードワゴンとの約束だ!

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