主人公「ま、まぁいいや。多分作中の専門用語だろう」

主人公「それよりも主人公の設定を頭に入れておかないとな」ﾍﾟﾗｯ

『主人公の設定：中肉中背、表では人畜無害な性格』

主人公「おお、クール系じゃなくて優男系か」

主人公(ホントはキリトさんみたいなクール系がよかったんだけど……まぁいいか)

『マントヒヒの親戚みたいな顔』

主人公「どんな顔だよ！」ﾊﾞｼｰﾝ

主人公「い、いや落ち着け俺……俺は役者だ……そう、いつか作中でイベントが起きてイケメンになるんだ……そうに決まってる」

主人公「なら演じてやるさ……マントヒヒの親戚みたいな顔ぐらい！」

主人公「よし……！次は特技か。えーと」ﾍﾟﾗｯ

『勉強は出来ず運動も苦手だが、銃の腕が立つ』

主人公「おお、いいね。学園バトルものかな？」

主人公「ヒロインのピンチにバキューン！主人公参上！って感じか……フフフ」ｸﾞｯ

主人公「えー、次は趣味か。なになに……」ﾍﾟﾗｯ

『趣味は左手と右手を戦わせる事(ドラゴンボールみたいな感じで)』

主人公「根暗な小学生かよ！」ﾊﾞｼｰﾝ

主人公「左手と右手を戦わせるって主人公の趣味にしてはあまりにも暗すぎ且つ生産性無さすぎんだろ……」

主人公「この趣味が高じてヒロインとイチャイチャするイベントが起きるんだ。きっとそうだ。そうだと信じよう」

主人公「……どうやったらそんな展開になるのか想像もつかないけど」

主人公「最後は家族関係か……ページめくるのが怖いな……」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

主人公「……えいっ」ﾍﾟﾗｯ

『かわいい妹が二人いる』

主人公「よっしゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ！」ｸﾞｯ

主人公「やった！やった！やった！やった！これだよこれ！待ってました！俺完全勝利！」ﾋﾟｮﾝﾋﾟｮﾝ

主人公「そうだよなラノベ主人公の妹と言えばお兄ちゃんにゾッコンで可愛いのが鉄則だもんな！」

『主人公は可愛い妹達の事を性の対象として意識してしまい、彼女たちの行動に思わずドキドキしてしまったりもする』

主人公「まーそりゃしょうがないよな、可愛けりゃな。だいたい義妹だったりするし」ｳﾝｳﾝ

主人公「よし、一応妹達の設定にも目を通しておくか。なんたって俺の妹になるんだからな。うふふふふ！」ﾍﾟﾗｯ

『名前は香奈と杏奈』

主人公「香奈ちゃんに杏奈ちゃんか……ふふ、どんな子なのか楽しみだな」ﾍﾟﾗｯ

『それぞれ０歳と１歳』

主人公「ちっくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお！」ﾊﾞｼｰﾝ

『二人とも可愛い』

主人公「そりゃ赤ちゃんなら可愛いに決まってんじゃねーか！」

主人公「つーか俺は赤ちゃんを性の対象として見てドキドキしてんのかよ！完璧ヤバイ奴じゃねーか！」

『お兄ちゃんの事が何なのか分かってない』

主人公「０歳と１歳の子じゃそうだろうよ……なんか悲しくなってきた」

『大小問わずよく漏らす。おしめを代えるのはお兄ちゃんの役目』

主人公「……え？これ学園モノじゃないの？」

『成長するにつれてマントヒヒの親戚みたいな顔になっていく』

主人公「マントヒヒの親戚みたいな妹って完璧にホラーじゃねぇか！そんなとこで血縁設定活かさなくていいよ！萎えるよ！」

『なんと義妹である！』

主人公「嬉しくねぇよ！ぜんっぜん嬉しくねぇよ！わざわざエクスクラメーションマークつけんな！」

主人公「マントヒヒの親戚みたいな顔の妹が「実は義妹なの……」って言ってきて喜ぶ奴が居るのか！？この世に！？おいコラァ！」ﾊﾞｼﾊﾞｼ

主人公「ああ……俺もしかしてとんでもない作品の主役になっちゃったんじゃないだろうか」

主人公「つーか主人公たちは一体何から生まれてきたんだよ！」

『父親は森の帝王と呼ばれたマントヒヒ』

主人公「くっそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお！」ﾊﾞｼｰﾝ

主人公「それだけはやってほしくなかったよ！俺マントヒヒと人間のハーフだったのかよ！」

『母親は森の帝王の嫁と呼ばれたマントヒヒ』

主人公「ハーフですらなかった！最早主人公も妹もただのマントヒヒじゃねーか！なんで学校に居るんだよ！」

『母親は同窓会のためエチオピアに帰国中、昔好きだったマントヒヒと出会って恋の炎を燃やしている』

主人公「浮気してんじゃねーか！森の帝王は何してんだよ！」

『父親は上野動物園で幸せに暮らしている』

主人公「どこが森の帝王なんだよ！完璧に飼いならされてんじゃねーよ！」

主人公「……うぅ、なんか自信なくなってきたな」

主人公「俺、こんな主人公をちゃんと演じれるんだろうか……？」

主人公「いや、ライトノベルはヒロインだ！ヒロインの可愛さで決まるんだ！」

アシスタント「主人公さーん、そろそろ撮影始めるっすよー」

主人公「え、俺まだ台本もらってないんすけど」

主人公「てか今日抜擢されたばっかりなのにもう撮影すんの？」

アシスタント「監督の意向でリアル感出すために全編アドリブでいくらしいっす」

主人公「なん……だと……？」

＼よーい、スタートッ！／

ーー主人公の家(上野動物園北端)

父「ウッキー、キキキ、キキッキー！」

主人公「……」

父「キー、キキャーｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗキキャーｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」

主人公「……」

香奈「」ﾌﾞﾘｯ

杏奈「」ｼｮﾜｰ

父「キキキッキーｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」

＼はいカーット！／

主人公「……」

監督「ちょっと主人公くーん、キミ主役なんだからもっと喋らないと」

アシスタント「そうっすよ。場が固まっちゃったっす」

主人公「どうやってあの状況で喋れって言うんですか！」

主人公「漏らす赤ちゃんと指差して笑ってくるウザいマントヒヒとしか存在しないあの空間で何を話せって言うんですか！」

監督「そこをなんとかしてこそ役者ってもんだろうキミ。……誰かほかの人に頼んでもいいんだよ？」

主人公「う……」

アシスタント「主人公さん、ファイトっすよ！」

主人公「ど、努力します……」

監督「ホントに頼むよーキミ」

主人公(そうだ、これはチャンスなんだ……今は辛くても……俺はここから主人公ロードを駆け上るんだ！)

主人公(役者魂、見せてやるぜっ！)

＼TAKE２、スタートッ！／

父「キッキキーｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」

主人公「キキキウッキッキーｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」

香奈「」ﾌﾞﾘｯ

杏奈「」ｼｮﾜｰ

父「キンキキッキーｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」

主人公「キキキキキキャーｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」

＼カーット！／

監督「主人公くん主人公くん」

主人公「な、なんスか」ｾﾞｪｾﾞｪ

監督「日本語でいいよ」

主人公「先に行ってくださいよ！」ﾊﾞｼｰﾝ

アシスタント「猿のポーズまで真似しなくても……あんなノリノリでウッキッキーって……」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

主人公「笑うな！泣くぞ！」

アシスタント「す、すんませんっす……ぷっ……」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

＼TAKE３、スタートッ！／

父「ウキ、キキッキキッキーｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」

香奈「」ﾌﾞﾘｯ

主人公「うん、そうなんだよ。今日から新学期だから頑張らねーとな」

香奈「」ﾌﾞﾘｯ

父「キッキッキッキキャーｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」

主人公「分かってるって。親父も心配性だな」

香奈「」ﾌﾞﾘｯ

香奈「」ﾌﾞﾘｯ

父「キキェキキャーｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」

香奈「」ﾌﾞﾘｯ

香奈「」ﾌﾞﾘｯ

香奈「」ﾌﾞﾘｯ

主人公「いや漏らしすぎだろ！」

＼カーット！／

監督「折角いい流れだったのに、どうしちゃったの主人公ｋ」

主人公「誰が！どう！！見ても！！！あれは！！！！NGでしょうが！！！！！」ﾊﾞﾝﾊﾞﾝﾊﾞﾝﾊﾞﾝﾊﾞﾝ

監督「そう？」

主人公「そうですよ！なんで台詞より香奈の排便回数の方が多いんですか！」

監督「香奈は幼さゆえに自らの力を制御しきれてないんだよ」

主人公「括約筋の力じゃねーか！何食ったらあんなに出るんですか！臭いちょっと付いちゃったんですよ俺！」ﾌﾟｰﾝ

アシスタント「ふ、ファブリーズ用意しておいたっすから……ぷっ……」ｼｭｯｼｭｯ

主人公「くそう、くそう……」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

監督「何も泣かなくてもいいじゃないか……分かったよ、このシーンは飛ばそう。学園のシーンからスタートだ」

アシスタント「主人公さん、元気出していって欲しいっす……」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

主人公「分かってるよ！俺頑張るよ！頑張るからちょっと泣かせてくれ！」

主人公(よし、でもこれでとりあえず学園に行ける！そうすればヒロインが……)

アシスタント「その前におしめ代える練習しておいてほしいっす。学園内は貸しスタジオなんで汚すとアレなんすよ」

主人公「……分かったよ」

アシスタント「まず、こうやってふき取って丸めて」

主人公「ふんふん」

アシスタント「んで舐めまわすように赤ちゃんの裸体を眺めるんす。いやらしくよだれを垂らしながら変態的なセリフを吐くとなおグッド」

主人公「いやいやいやいやおかしいだろ！」

アシスタント「そういう設定なんで」

主人公「やっぱこの設定おかしい……絶対おかしい……」

アシスタント「で、パっと取り換える」ﾊﾟｯ

主人公「……なるほどな」

香奈「」ﾌﾞﾘｯ

アシスタント「あ、杏奈ちゃんが漏らしたみたいなんで試してみて下さいっす」

主人公「……拭きとって丸めて」ﾌｷﾌｷ

主人公「うへへ、香奈ちゃんの裸さんだぁ……♪」ﾀﾞﾗｰﾝ

アシスタント「うわ……キモっ」

主人公「」ﾌﾟﾁｯ

主人公「お前が！やれって！言ったんだろうがよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ！！！！！！！！」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

アシスタント「す、すんませんっす！あ、あんまり迫真の演技だったものでつい！それよりほら、早く代わりのおしめを！」ｶﾞｸｶﾞｸｶﾞｸ

主人公「ったく……」ﾊﾟｯ

香奈「♪」

アシスタント「す、凄い凄い！主人公さんこれでおしめ代えマスターっす！流石呑み込みが早いっすね！いよっ、この千両役者っ！」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

主人公「おだててるつもりなんだろうが全然嬉しくないからな？それ」

監督「終わったー？それじゃ撮影入るよー」

主人公(ヒロイン……そういや今まで一度も顔合わせた事ないけど大丈夫なのか……？)

主人公「ずっとこの調子だとするとあんまり期待できないな……」

監督「主人公君、シーンの初めはキミ趣味に没頭してるって設定だから」

主人公「……分かりました」

アシスタント「左手と右手を戦わせるんすよー」

主人公「言われなくてもやってやるよ！やってやるともさ！」ｸﾞｽｯ

＼よーい、スタートッ！／

ーー学園内

主人公「びゅーんどどどどどどどど！げしげしげしっ、ばんっ！どかどかどかばしーん！」ｸﾈｸﾈ

主人公「べべべべべ、ぎゅいーんがががががきーーーーーんしゅばっ！ばばばばっ！どんがらがっしゃーん！」ｸﾈｸﾈ

主人公(学園だからって授業シーンがある訳じゃないんだな……いや別に良いけど)

アシスタント「手淫口せんぱーい♪」ｷｬﾙﾙﾙﾝｯ

主人公「」

アシスタント「手淫口先輩ったらこんな所に居たんすね？探したっすよまったく」

主人公「……監督、ちょっと止めてもらっていいですか」

＼カーット！／

監督「もー、今度は何？」

主人公「ヒロインって、アシスタントじゃないですかこいつ！」

アシスタント「いやー、それが出演予定だった女優さんが現場についたとたんお腹が腹痛だし父方のばあちゃんが危篤だってんで帰っちゃって」

主人公「明らかにでまかせじゃねーか！」

監督「まぁ急場しのぎでコイツ使っちゃおっかなって。いちおう女だし」

主人公「そういう時は撮影中止しましょうよ！ねぇ！」

監督「私のプライドが許さん」

主人公「こんな作品作ってる人はプライドなんて持っちゃいけないんですよ！？」

アシスタント「……あの」

主人公「何？ちょっと今立て込んでるから」

アシスタント「すみませんでしたっす。その……自分なんかがでしゃばっちゃって」ﾍﾟｺ

アシスタント「やっぱり、こんなチビでナイチチの女っ気のないブスじゃ主人公さんに釣り合うヒロインにはなれないっすよね」

主人公「いやそういう事じゃ……別にお前ブスじゃないし……」