モバP「プラセボ効果とノセボ効果?」 (29)
モバP「って何だ?」
志希「んー? 簡単に言うとねー、効くと思えば効くし、効かないと思えば効かないって事かな」
モバP「? いや、ぜんぜん簡単じゃないぞ?」
志希「そうだねー……うん、実はさっきキミのお茶に、志希ちゃんお手製の超強力下剤を混ぜといたのさー!」
モバP「な、何だってー!?」
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志希「にゃははー! どうかなーどうかなー?」
モバP「うっ……そう言われると、おなかの調子が……」
志希「うんうん、そうだろーそうだろー!」
志希「っとゆーのは嘘なのさー♪」
モバP「は? え? 一ノ瀬……?」
志希「混ぜ混ぜしたのは事実だけどー、あたしが入れたのはタダの小麦粉だから、それでお腹痛くなったりはしないよー♪」
モバP「な、何だよ。まったく脅かすなよ」
志希「それで、お腹痛いのはどうなったのかなー?」
モバP「あ、そういえばもう何ともないな」
志希「でしょー? つまりー、実際には何の薬効が無くても、きっと効くぞと思いこめば、そーゆー効果が出てきちゃうんだよねー」
志希「これがプラセボ効果ってゆー」
モバP「なるほど。つまり、媚薬だと言われれば、水を飲まされても体が敏感になってきちゃうというアレだな」
志希「女の子相手にその喩えはどうかと思うけど……ま、そーゆー事だね。それだけじゃなくって、お薬の効能自体が上がったりもするけどねー!」
モバP「ははは、初対面でいきなり『惚れ薬欲しい?』なんて聞いてくる相手にそんな気遣いはいらないだろ。プラセボ効果は分かったけど、それじゃもう一つのノボセ効果ってのは何なんだ?」
志希「キミもさらっと失礼だよねー! まーいーけどさー」
志希「それにノボセじゃなくてノセボ効果ね。これはプラセボ効果の逆」
モバP「逆?」
志希「そー。今度は効かないと思ってお薬飲むと、ホントに効かなくなっちゃうってゆー効果」
モバP「え、そんなこともあるのか? 本当に?」
志希「そーだよー。あ、これってプロデュース業も同じなんじゃない?」
モバP「ん、どういうことだ?」
志希「にゃははー♪ あたしたちは患者さんで、プロデューサーのキミはお薬ー!」
志希「患者さんがお薬の効き目を本気で信じられるなら、きっとスッゴい効き目でさー♪ それこそ、瀕死の重病人も元気に踊り出しちゃうくらいー♪」
モバP「……ああ、うん。その通りかもな。俺が一ノ瀬にアイドルという魔法をかけるにも、まずは俺のことを信じて貰わないとはじまらないからな」
志希「まーあたしはこんなんだからさー、魔法なんて信じないんだけどねー!」
モバP「おいおい、なんだよ。せっかくうまいこと言ったと思ったのに」
志希「にゃははー♪ キミはやることは面白いんだけど、言うことはイマイチなんだよねー」
モバP「そこまで言うことないだろー。いくら俺でも傷つくぞ?」
志希「だからさ……」
志希「言葉じゃなくて行動でさ……あたしにキミを信じさせてみてよ?」
モバP「お、おい、一ノ……んっ……」グイ
志希「ん…………っぷはっ! にゃははー♪ やっぱりキミは良い匂いがするねー♪」ハスハス
モバP「っ……おい、こんなこと冗談じゃ……」
志希「もいっかいー♪ ん~~♪」
モバP「…………ぷはっ、くっ、一ノ瀬……」
志希「もう、一ノ瀬じゃなくて、どうせだから名前で呼んで欲しいなー!」
志希「それにね、キミの匂いドンドン強くなってきてるよ?」サワサワ
モバP「一ノ瀬……もう止せ……」
志希「にゃはは♪ ホントはね、さっき混ぜてたんだ」
モバP「何を……だ?」
志希「分かってるでしょ? ほら、体も熱くなってきてる……」
モバP「っ……それも、プラセボ効果、なんだろ?」
志希「そうかもねー。だけどさ、それを信じるも信じないも、君次第だよ?」
志希「何かあっても……それはあたしの薬のせい、だから」
モバP「っ……」
モバP「ダメだッ!」ドン
志希「ッ……痛た。もう、乱暴に突き飛ばさないでよ!」
モバP「ハー、ハー……」
モバP「俺は、プロデューサーなんだよ!」
志希「……だから?」
モバP「だから、俺は……お前をそういう対象には、出来ない」
志希「だったら!」
モバP「お前は、アイドルになるんだ、志希!」
志希「ぁ……」
モバP「だから、ダメだ」
志希「っでも……」
モバP「でもじゃない!」
モバP「……頭の良いお前なら、分かってくれるな?」
志希「分からないよ……」
モバP「お前は間違いなく、素晴らしいアイドルになる、この俺が保証する」
志希「そんなこと……」
モバP「俺が信じられないか、志希?」
志希「……」
志希「はぁ……ズルいよね」
モバP「何がだ?」
志希「ぜんっぜん、何の根拠もないし、否定材料しか思いつかないのにさー」
志希「どうしてか、信じてみたくなっちゃうよ」
モバP「はは、伊達に何人もプロデュースしてないさ」
志希「前言撤回ー! やっぱり信じられないー!」
モバP「はいはい、まあ信頼はこれからじっくりと作っていくさ」
志希「あたしとしてはさー、今すぐ確証って奴がほしいんだけどねー」
モバP「さっきも言ったけど、志希のカワイさがあれば十分アイドルとしてやっていけるさ」
志希「ぅ……ま、まあそこにキミの力が加われば、そうなのかもしれないけど……」
モバP「勿論だ、俺も全力でプロデュースするさ」
モバP「さ、もう遅いからな、送っていくよ」
志希「んー駅までー?」
モバP「家までちゃんと送るよ」
志希「家の中まではー?」
モバP「そこまで面倒は見れませんー!」
志希「ケチー!」
モバP「はいはい、明日は初回のレッスンがあるからな、しっかり休むんだぞ?」
志希「分かってるよー、そこまで子供じゃないんだからさー!」
モバP「そういう反応してるうちは子供たっての」
志希「子供はキライー?」
モバP「んーそうかもしれないぞー?」
志希「むー……」
モバP「ほら、ここでいいんだろ?」
志希「あー、うん。そー此処此処ー」
モバP「あー志希……」
志希「ん?」
モバP「俺はお前を信じてるからな。よし、それじゃまた明日な」
志希「あっ……にゃっはっは♪ 明日かー、うん、うん!」
志希「にゃーっはっはっ♪ にゃーっはっはっはっはー♪」
ちひろ「それじゃあ志希ちゃん、そろそろ出発して貰いますけど、準備は良いですか?」
志希「にゃはは♪ ばっちこーい♪」
ちひろ「くすっ♪ ずいぶん気合い十分ですね」
志希「今日のために、昨日からちゃんと準備してきたからねー!」
モバP「おう、初めは辛いかもしれないが、お前ならきっとやれるさ」
志希「んー♪ そう言われたら頑張るしかないよねー♪」
志希「あっ♪ でもその前に、お薬飲んどかないとね♪」
ちひろ「お薬ですか? あれ、志希ちゃん病気なんかしてました?」
志希「病気ー? んー、そうと言えばそうなのかなー? まあ定期的に取らないといけないんだよねー!」
ちひろ「? そうなんですか?」
志希「うん、そういうことー♪」
モバP「へっ!?」グイ
志希「~~♪」
ちひろ「」
志希「ぷはっ! よし、じゃあいってきまー!」バタン
モバP「」
ちひろ「」
ちひろ「はっ……プ、プロデューサーさん!? あなた何して、いったい志希ちゃんに何したんですか!?」
モバP「ち、違いますよ! 誤解です、誤解!」
ちひろ「何が誤解なんですか! アイドルに手を出しておいて!」
モバP「だから、それが誤解なんですってば!」
志希「にゃっははははー♪」
志希「アイドルって楽しいかもー♪」
おわり
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