刹那「学園都市?」 (92)

「む」

目を覚ませばそこには彼にとってはあまり見慣れない光景があった。

(地球か?...それより、ティエリアは...)

『僕なら大丈夫だ。 どういうわけだか僕たちは地球にいるらしい』

ティエリアと呼ばれる男ーー実際には性という概念が無いのだがーーが、彼の疑問を解消していく。

『クアンタはどうなっている?』

『今は僕の肉体に擬態している。 これ以上人目に触れる心配はいらない筈だ』

ここまでティエリアとテレパシーで会話をした後、彼の前に困惑した表情を浮かべて立っている人がいることに気がつく。

「あ、あの...上条さんのベランダで何をやってるのでせうか?」

「どうするも何もーー」

気づいたらここにいた。 と答えようとしたところで、彼の言葉は隣にいた布団らしきものが発した次のような言葉によって遮られた。

「おなかへった」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1397309809

>>1です。このssを読むに当たっての注意点を書こうと思います。
>>1はssを書くのは初めてです。
・誤字脱字などがあるかもしれません。もし見つかった場合は報告お願いします。
・そうならないように気をつけますがキャラ崩壊が起こる可能性もあります。
最低でも上記の3つを踏まえた上で読むことをお勧めします。

セッさんはメタルなの?

>>3
メタルです

彼ーー刹那・F・セイエイーーは今、隣に座っている上条当麻の部屋の居間にいた。
小さなテーブルをはさんで目の前にいるシスターのような格好をした少女ーーインデックスーーは、先ほどから上条の作ったサラダを頬張っている。

「おい、さっきから表情が強張っているぞ」

隣にいた上条に小声で喋りかける。
まあ、朝一番にベランダに人が2人も干されていたらそうなるのも仕方が無いように思えるのだが。

「うう...やっぱりそれ食べちゃ駄目!」

「え!?なんで!?まだ私のお腹は満たされてないんだよ!」

「いいから返しなさい!」

そう言って、上条はインデックスから皿を取り上げ、中に入ったサラダを全て平らげた。
彼が表情を強張らせていたのは、上記の理由ではなく、目の前の少女に腐ったサラダを食べさせてしまったことに自分の良心を傷めていたためだったらしい。

「んで、インデックスはなんで俺んちのベランダに干されていたんだ?」

「ん? えっと、屋上から飛び移ろうとして失敗したんだよ」

「はあ?」

最近はそういうデンジャラスな遊びが流行っているのか、と上条は内心思っていた。 すると、

「そんな遊びが流行っているのか?」

上条の内心を代弁するかのように刹那が質問する。

「遊びじゃないんだよ!これでも追われている身なんだからね!」

追われている、という単語が頭に入り、刹那の表情が一変する。

(また、どこかで争いが起きようとしているのかもしれない)

「誰に追われている?」

「魔術師なんだよ!」

「なんだと?」
「はあ?」

インデックスから放たれたその言葉に、少しの間彼女と刹那の会話を聞いていた上条までもが驚きを口にする。

『そんな人間は見たことがないし、ヴェーダにも載っていなかった筈だ』

ティエリアまでもが思いを口にしていた。勿論、そのことは刹那しか知らないのだが。

「そ、それで? その魔術師とやらはなんでお前を追っているんだ?」

魔術師という単語を聞いてから、彼女の話を信じられなくなってきている上条がそう質問した。

「うーん...多分、私が持ってる10万3000冊の魔導書を狙ってるんだと思う」

これまた衝撃の新事実、彼女は10万3000冊の魔導書を持っていて、それを狙う魔術師に追われているのだ。

「その魔導書はどこにあるんだ?」

「私の頭の中にちゃんとあるんだよ!」

彼女がそう返したところで、刹那はティエリアに質問した。

『信じられるか?』

『これは僕の仮説だが、彼女は完全記憶能力を持っているのかもしれない』

完全記憶能力。覚えたことを決して忘れることがない現実離れした能力。

『そんなものが現実にあるのか?』

『そういう体質の人はほんの少しだがいるらしいし、これはあくまで仮説さ。』

『そうか...』

チラリ、と上条の方を見ると、彼は完全に信じることをやめてしまったようで、いかにもだるそうな、死んだ魚のような目をしていた。

「むむっ、とーまのその目は私の話を信じてなさそうに見えるんだよ!」

「うわーすげーインデックスまじすげー」

彼の棒読みに腹を立てたインデックスが反論する。

「むきーっ! 魔術はほんとにあるんだよ! 魔導書も全部記憶してるんだよ!」

「はいはい分かった分かった。ところで、刹那さん、だっけ?」

暴れ出しそうなシスターを左手でいなし、話題を転換する。

「む、どうした?」












「なんで肌が銀色なんですか?」

眠いので今日の投下はここまでです。
見てくださった方、ありがとうございます。
ではお休み

うわあ寝過ごした...そして読んでくださったみなさんありがとうございます。
投下します。

「はあ...不幸だ...」

上条当麻の脳は処理落ちを起こしかけていた。
ベランダに人が干されていただけならまだしも、片方は魔術師というこの街では信じがたい存在で、もう片方は宇宙人と融合して体が銀色になっちゃいましたという始末である。

「なんなら証明できるぞ?」

と刹那は言い、上条の肩を触ろうとするが、

「いや、遠慮しときます」

上条は嫌な予感しか頭に浮かばなかったのでそれを拒否した。
すると、何かを閃いたインデックスがいかにもなドヤ顔をしながら口を開く。

「とーま、私を叩いてみて!」

「はあ?そんなことできるかよ」

「この修道服は『歩く教会』と言って、縫い目などに魔術的な要素が」

ここまで来たところで上条が彼女の言葉を遮った。

「要するにどんな効果があるんだ?」

「うう...この服は攻撃という攻撃が効かないんだよ!」

なんでそんなことが出来るんだ? と聞けば、そういう魔術なんだ、で全て解決されてしまう。
魔術とはつくづく便利な言葉だ。

「ふむ、確かにELSが浸食出来ていないな。 魔術というのは本当にあるのかもしれん」

上条が考え事をしている間に、刹那はインデックスの肩に触れてELSに浸食をさせようと実験していた。 そしてインデックスはドヤ顔100%である。

「浸食ってアンタ何やってんだよ! それを俺にもやろうとしてたってことかよコンチクショー!」

ツッコミを華麗(?)に決めたところで、

(魔術があの服に施されているとして、この右手で触れたらどうなるんだ...?)

上条にはそんな好奇心が生まれていた。
彼の右手には、幻想殺し(イマジンブレイカー)という能力があり、あらゆる異能の力を打ち消すことが出来る。

「インデックス、その服に触らせてくれないか?」

「何をするつもりなのか知らないけど、おーけーなんだよ!」

「んじゃ失礼」

彼の右手が徐々に服に近づいていく。 そして触れたその瞬間、

バチン!

「うおっ!?...げげっ! イ、インデックスさん...?」

上条の顔から血の気がどんどん引いていく。彼の右手は「歩く教会」をバラバラに破いてしまっていたのだ。

『刹那!』

『ああ、やることは分かってる!!』

刹那は冷静に対応し、事態を収束させるためにELSを出現させた。円錐、角柱などの様々な形をした金属生命体が破れた服を回収し、素っ裸のインデックスの周りを回り始める。
そして、自分の状況を知った銀髪の少女は、過去最高であろう大きな悲鳴を上げた。

「きゃあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

その悲鳴は窓を通り抜け、空まで響いていった。

「もういいんだよ...グスッ...ありがとなんだよ、えるすとせつな...」

修道服が引き裂かれるという緊急事態は、ELSで布と布をつなぎ合わせるという応急処置を施したことによって早めに収束に向かった。 歩く教会の効果は消えてしまったが。
そして今はインデックスがELSがしていた役割を安全ピンで代用する作業を終わらせたところである。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい...」

さっきから呪詛のように謝罪の旨を唱えているツンツン頭の少年は土下座の体勢を崩さずにいた。

「聖職者に対してこんなことするなんて、もうとーまなんて信じられないんだよ!」

グサリ! という音が聞こえたのは気のせいだろうか。 このままでは気まずいことこの上ないため、刹那は話題転換をした。

「それよりインデックス、これからはどうするつもりだ?」

「うーん、やっぱり、とーまとせつなにはこれ以上迷惑かけられないからここを出るつもりなんだよ」

『馬鹿な! これから先は防御の魔術も無いのに、どうやって逃げるつもりだ!?』

ティエリアの心を、土下座から体制を戻した上条が代弁した。

「お前、ただでさえ追われてるんだろ? 歩く教会とやらがなきゃ、屋上を飛び移ることも出来ないと思うぞ?」

上条ーーティエリアもだがーーの言葉に、幼いシスターは悲しそうな笑みを浮かべながらこう答えた。

「なら、私と一緒に地獄の底までついてきてくれる?」

その冷たく重みのある言葉に、上条は押し黙ってしまう。
だが、刹那の言葉は、彼女の幻想を打ち砕いた。

「お前と一緒に行った先にどんな地獄が待っているのかは分からない。 だが、俺達は見知らぬ誰かの平和を守るために戦ってきた。今回もそうさせて欲しい。」

それを聞いて、上条も彼女の地獄に立ち向かう覚悟が出来たのか、

「俺も参加させてくれ、インデックス。 お前の重荷を俺も背負うよ」

と言った。
2人の言葉を受け、今まで心の奥底に閉じ込めておいた悲しみが一気に溢れ出す。 少女は2人に抱きついた。

「2人とも...ヒッグ...優し...過ぎるんだよ...ふぇぇぇぇぇぇん!」

ここ1年より前の記憶が無く、いきなり得体の知れない敵に追い回された日々。誰にも頼れず独りで逃げ回っていた彼女に、救いの手が舞い降りた。

『戦うんだな、彼女のために』

ティエリアのその一言に返事をする。

『ああ、また忙しくなりそうだ』

その時、この良い空気をぶち壊すかのように上条の携帯が鳴る。

「はいもしもし上条ですが...げげっ!? 先生!? はい...はい...ごめんなさい...今すぐ行きます...」

「どうした?」

「補修あることすっかり忘れてた...すまんが昼飯はこれで済ませてくれ!」

そう言って財布から2千円札を取り出し、刹那に渡すと、筆記用具と教科書をバッグに詰め込んで駆け足で家を出ていってしまった。

「もう! ほんとにとーまはとーまなんだから!」

インデックスは刹那に微笑む。
刹那もそれに応えるように言った。

「本当に、そうらしいな」

あれから数時間、もう既に空は赤く染まっている。刹那としてはこの世界の事もまだよくわからないため少しだけ散歩がしたかったのだが、インデックスの追っ手が現れる可能性があったため、昼食以外は上条の部屋で過ごしていた。

「うう...すっごく暇なんだよ! はやくごはんが食べたいな」

「いつ頃帰るかを聞いておけばよかったな...」

そんなことを喋っていたとき、刹那は不意に異変に気がついた。 イノベイターでなくとも微弱ながらに発している脳量子波が遠くからしか感じられないのだ。上条が住んでいる学生寮付近に感じられる脳量子波はごくわずかとなっていた

『ティエリア...』

『気をつけろ刹那、もしかしたら追っ手かもしれない!』

『了解した』

そのとき、誰かの脳量子波が玄関に近づいてきた。野生の勘が告げる。危険だ! と。

「インデックス!」

刹那は咄嗟にインデックスを抱き留めた。
その瞬間、ガゴン! という大きな音を立ててドアが破壊された。破壊した人物は外からゆっくりと入ってくる。
その髪は赤く染まっており、右目の下には刺繍が施されてあった。

タバコをくわえたその人物は名をーー

「失礼するよ。 その子をこちらに引き渡してもらえないかい?」

ーーステイル・マグヌスという。

(あの男はっ...! いや、違う...!)

刹那は一瞬、とある戦争屋の顔が浮かんだが、すぐに取り消す。 あんなに若くはなかった筈だ。

「貴様...何が狙いだ!?」

「それを僕が言うと思うかい?」

そう言うと、落ち着いた表情の魔術師は手から炎を発現させた。 それを見る前に刹那はインデックスを抱えてベランダの方へ駆け出す。

「炎よ、巨人に苦痛の贈り物を!」

魔術師の叫びと共に、上条の部屋に爆発的な速度で炎が広がった。

今回はここまでです。出来れば夜にも投下します。

投下します

「上条ちゃ?ん! お見舞いに来たのですよ?!」

「私も一緒なんだよ!」

入ってきたのは2人の少女ーー片方は先生ーーだった。

「んじゃ、僕は出ていくとするよ」

病室に入ってきた2人を見た医者は、そう言って病室を後にした。

「話は全部お医者さんから聞いてるのですよ? 上条ちゃんもですがそこのあなたも自分の体を大事にしてくださいねー?」

「あ、ああ、すまない」

急に話を振られて少し戸惑う刹那。 ところでこの幼女は誰なんだろうか?

「おっと、刹那は初めて会うんだったな。 この幼児体型の人は俺のクラスの先生なんだ」

「幼児体型は余計なのですよー!!」

「!?」

目の前でギャーギャー騒いでいる幼女らしき人物は沙慈やルイスの愚痴からよく聞いていた先生という存在であった。

「ここではその幼さでもそういう物に就けるのか?」

自分の頭には、先生というのは将来を担う子供に教養を教える大事な職だと記憶されていた。

「だーかーら!! せんせーは幼くなんかないのですよーっ!!」

プンスカと怒ってはいるものの、あまり怖さが感じられない。 それどころか、可愛いとすら思ってしまう。

「こもえはこれでも成人を終えてるんだよ!」

インデックスが弁明しようと発したその言葉に、刹那は驚愕を顔にした。

「なん...だと...!?」

『世の中にはどんな人でもいるんだな...』

さっきから静観してきたティエリアは、この事について強引に結論づけた。

『だが、これはあまりにもひどすぎだと思うぞ? そういう能力なのだろうか...』

ティエリアの強引な結論に異議を唱えるが、刹那本人も考えることを諦めかけていた。

「すまない、俺のミスだ」

『何かおかしくなってるぞ刹那』

「フフン! 謝れば良いのですよ!」

『...』

ティエリアは突っ込むのをやめ、静観に戻った。

「自己紹介がまだだったな、俺は刹那・F・セイエイだ。 よろしく頼む」

「月詠小萌です。 こちらこそよろしくなのですよー」

2人が和解するところを見て、インデックスはこう言った。

「うんうん! やっぱり仲良しが一番な...んだ...よ...」

だが、突然襲った目眩と頭痛で足がふらついてしまう。 小萌が抱き留めることで床に倒れるのは免れたが、彼女は気を失ってしまった。

「シスターちゃん!? シスターちゃん! しっかりしてください! 」

突然の事態に場が騒然となった。

「やはり...!」

刹那は歯ぎしりをする。 嫌な予感は現実になった。

「それは本当なのか!?」

驚いている上条の質問に刹那が答える。

「わからない。 だが、これだと全ての辻褄が合う」

現在、インデックスは上条のベッドに寝かせてある。 依然、様態は優れないままだ。
そして、彼らの病室にはステイルと神裂もいた。

「確かに、それだと納得がいきますね...」

「女狐め...!」

刹那は、過去にティエリアが言っていたことを思い出していた。

ーー魔導書というものがかなり危険で、それ自体が戦争の火種になりかねないような代物だとしたら、それを記憶したインデックスを彼らの上司が放っておく筈がないーー

上層部は彼女になんらかの『首輪』をつけ、1年ごとにメンテを必要とする体にしたのだ。

(歪んでいる...)

今まで幾度となく色々な歪みを見てきた。 そしてまた、新たなる歪みと直面しようとしている。

(その歪み...この俺が破壊する!!)

記憶消去するはずだった日まで今日含めてあと3日だ、とステイル達は言った。 恐らくそれがタイムリミットで、それまでに『首輪』を破壊しなければならない。

「その『首輪』が魔術なら、俺の右手で壊せる筈だ!」

上条は今すぐにでもインデックスのもとへ向かおうとしたが、

「ぐっ...!」

全身の痛みが彼を襲った。

「落ち着いてください」

神裂が制止する。

「だけどっ...!!」

その時、再び病室のドアを叩く音が響いた。

「開いているぞ」

刹那の返事を聞き、叩いた人物はドアをゆっくりと開けた。

「ちょっと話したいことがあるね? あと、病室には鍵はついてないよ」

入ってきた人物は、冥土返し(ヘブンキャンセラー)と呼ばれている、カエル顔の医者であった。

「で、話したいことってのはなんですか?」

上条がそう聞くと、医者はポケットからある紙を取り出した。

「あのシスターの子をついでにと言っちゃ何だが調べたんだけどね? 彼女の口腔内にーー」

それは写真で、それに写っていたのは...

「ーー数字の4みたいなのがくっついてたんだ、何か知ってるかい?」

その写真を見て、ステイルと神裂ははっ、とした表情を浮かべ、そそくさと病室を出て行った。

(こうしている間にも...インデックスは苦しんでいるんだ...! 早く行かないと!)

「ちょ、あまり動かない方が...」

病室を出ようとした上条を医者は止めるが、

「すみません、でも今は...!」

上条はそれを振り払い、痛みを抱えながらも病室を出て行った。

「まさか君まで行くつもりかい?」

そう言って刹那の方を向くと、彼は左腕の医療器具を外していた。

「本当にすまない。 お前には迷惑をかける」

病室を走って出て行く刹那の後ろ姿を見ながら、医者は頭を抱えて呟いた。

「はあ...まったく、ため息しか出てこないよ?」

今回はここまでです。

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