咲「お姉ちゃん、またね」 (24)
咲照です
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インハイ団体戦の決勝戦。その合間。通路の脇に備えてあるベンチに咲は座っている。
咲「……はぁ」
咲(お姉ちゃん、やっぱり強かったなぁ)
咲(……優希ちゃん泣いてた。何だか昔の私みたいだったなぁ。お姉ちゃんに麻雀で負けて、それでおやつを取られて泣いて…それを見兼ねたお姉ちゃんが私を膝に乗せてからお菓子を食べさせてくれたっけ)
咲「……あの頃に戻りたいな」ぼそっ
「…咲?」
咲「へ?」
照「……」
咲「お、お姉ちゃん!」
照「……」
咲「こ、こんなところで何してるの? こっち側には清澄の控え室しかないよ?」
照「……別に何も」
照「咲は……」
咲「え?」
照「いや、なんでもない」
照「……私は行くよ。じゃあね」
咲「え、あ、ちょっと待って!」
照「なに?」
咲「えっと、その、あの、あのね、お姉ちゃん」
照「……?」
咲「少し……離さない?」
照「……別にいいけど」
咲「それじゃあ、座って」
照「分かった」
誤字。少し離さない→少し話さない
照「それで……何を話すの?」
咲「えっと……」
咲(い、勢いで呼び止めたはいいけど一体なにを話せばいいんだろ)
照「?」
咲「お姉ちゃんはその…元気にしてる?」
照「……特に体調を崩したり重い病気になったりしてないよ」
咲「そっか、それはよかったよ。あはは…」
照「……」
咲「……」
咲(ああ、いっぱい話したいことあったのにいざ目の前にすると……どうすればいいんだろ)
照「もう用はない? それなら私は…」
咲「待って、お姉ちゃん!」
照「なに?」
咲「お姉ちゃん……ごめんね」
照「ッ」
照「それは何に対しての謝罪?」
咲「ーーーを見殺しにしたこと。私のせいであの子は……ごめんなさい!」
照「……あなたはまだ分かってない」
咲「えっ」
照「もういい。私は戻る。さよなら」
咲「待って、待ってよ!」がしっ
照「……離して」
咲「お願い、何に対して怒ってるのか…教えてよ。私、治すから! お姉ちゃんの嫌いなところ全部治すから……だから…また一緒に…」
照「……離して」
咲「お姉ちゃん! お願いだから話を聞いてよ! ね、何でも言って」
照「…そういうところよ」
咲「え…?」
照「咲のそういう何でもかんでも自分に非があると思って……自分を責めるところ本当に嫌い」
咲「お姉、ちゃ」
照「あの時だってそう、咲は悪くなかった。誰もあなたのことを責めてはいなかった。あの子だってそう……それなのにッ」
『ーーーが死んで私が生きてるの!私のせいなのに、私が全部悪いのにぃ、私が代わりに[ピーーー]ばよかったーーー』
咲「なにを、言って。だってあれは全部私の責任だもん! 私がお姉ちゃん達の言うことを聞かないで勝手に火を使ったりしたから」
照「ッ……もういい。話しても時間の無駄」
咲「待って! 待ってよ!」グッ
咲「お姉ちゃんに何が分かるの!? あの場にいなかったのに!」
照「……」
照「私には分かる」
咲「なんで!」
照「……二人のお姉ちゃんだったから」
咲「ッ!?」
咲「そんなの、そんなのいくらお姉ちゃんでも分かりっこない!」
照「ただ、あの子は最後まであなたを守り抜いた。それだけは事実」
咲「……嘘」
照「それは消防隊員のひとから聞いた」
咲「……ッ」
照「……咲。私が何に怒ってたのか……分かる?」
咲「……分からない。分からないよ」じわっ
照「……私は咲に生きてたことを否定してほしくなかった。あの子が必死に生かした命を否定してほしくなかった」
咲「……それだけ?」
照「そう、たったそれだけの理由で無視をしていた」
咲「そっか……」
咲「……お姉ちゃん」
照「なに?」
咲「私もお姉ちゃんの嫌いなところをひとつ見つけたよ」
照「?」
咲「言いたいことを隠して溜め込むところ。言いたいことがあるなら吐き出してよ。姉妹でしょ」
照「……そう、だね」
咲「……」
照「……」
咲「ね、お姉ちゃん。時間までまだ少しあるから……ちょっと話そう」
照「……分かった」
咲「ねぇ、お姉ちゃん。あの白糸台の大将の子」
照「淡のこと?」
咲「ーーーに似てるよね。雰囲気がそっくり。最初に見たとき驚いたよ」
照「……そうだね。ちょっと似てる」
咲「ちょっとじゃないと思う」
照「……咲」
咲「え?」
照「淡は強いよ」
咲「……うん。望むところだよ。私は大星さんを倒して……ううん、違う! 大星さん以外も全員倒して優勝するから」
照「淡は負けない。例え咲が相手でも、ね」
咲「……」
照「……」
咲「そろそろ行くね」
照「私も戻る」
咲「お姉ちゃん」
照「なに?」
咲「またね」
照「うん」
清澄。控え室。
ガチャ
優希「おっ、咲ちゃん。おかえりだじぇ」
咲「ただいま」
京太郎「おー、咲。戻ってきたか。随分と遅かったけどまた迷子か?」
咲「ち、違うよ」
まこ「おー、もうすぐおまえさんの番じゃけぇ用意だけはしときんさい」
咲「はい!」
久「……咲」
咲「何ですか、部長」
久「さっきまでと違って随分とスッキリとした顔になってるけど、どうやら憑き物は完全に落ちたみたいね。お姉さんと仲直りでもしたのかしら?」
咲「うーん、そんなところですかね」
久「そう、それは良かったわね」
咲「はい!」
咲(……このまま優勝まで駆け抜ける)
咲「えへへ……」
咲(全員まとめて倒す!)ゴッ
とりあえずここまで
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