モバP「志希は変な娘」 (34)
ラブラブもの、のつもり
ちょいエロ注意
キャラがおかしいかも。ごめんなさい
立つかな
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モバP「ただいまもどりましたー……」フラフラ
ちひろ「お疲れ様でーす。あら、プロデューサーさん本当にお疲れですね。今お茶入れます」
モバP「はー……はー……ありがとうございます。できれば冷たいものでお願いできますか?」
ちひろ「はい、どうぞ」コト
モバP「んぐ、んぐ、っプハー、生き返る!」
ちひろ「その様子だと、また志希ちゃん追いかけてたんですか?」
モバP「ええ、困ったもんですよ。一仕事終わるごとに必ず逃げますからね」
ちひろ「毎回追いかける事になってますからね。お仕事に穴が開いてないのが驚きですよ」
モバP「なんて言えばいいのか、我慢はできないけど自制心はあるんですよね。だから逃げても、必ず次の仕事に間に合うタイミングで捕まってくれるんですよ」
モバP「だからほっといても大丈夫ではあるんですけど。追いかけないとすねますからね。いいんだか悪いんだか」
ちひろ「先に捕まえておくとかじゃダメなんですか?」
モバP「以前はそれで大丈夫だったんですけどね、待つのが苦手なだけの娘だったんですから。でも最近は、一仕事ごとに無理矢理逃げていって」
ちひろ「ふふふ……」
モバP「ちひろさん? どうかしました?」
ちひろ「いえ、やっぱり志希ちゃんも、年頃の女の子なんだなーって」
モバP「ええと……」
ちひろ「つまり、プロデューサーさんは、ちゃんと志希ちゃんを捕まえてあげなきゃいけないって事ですよ」
モバP「そりゃ捕まえますけど……」
志希「おやおやー? 志希ちゃんの名前を呼ぶ声が聞こえますよー。ナニナニ何なんー?」チョロチョロ
モバP「呼んだわけじゃないし、別に大した事も話してないよ。あああ、あんまりうろちょろするな」
志希「えー? だって暇だしー。キミもあたしほったらかしてどっか行っちゃうしぃー」プクー
モバP「書類取りに来たついでにお茶飲んでただけだよ。それよりほら、動き回って着崩れしてるぞ」
志希「ん? えっと……あ、これはイマドキの流行ってやつ! もしくは志希ちゃんスタイルだよ!」ムフー
モバP「お前のはだらしないだけだ。ほら、ちゃんと裾を仕舞え」グイグイ
志希「やん♪ プロデューサーのヘンタイ」ツンツン
モバP「頬をつつくな、あとこれくらい自分でやれ!」
ちひろ「あはは、大変ですね」
モバP「ええ、全く。志希に限った話じゃないですけどね」
志希「んもう、二人してあたしを手間のかかる子供みたいにゆー」
モバP「正にその通りだろ。あ、あともう少し待っててくれ。きりの良いとこまで仕事進めたい。10分くらいで終わるから」
志希「え? 前に志希は興味が3分しか持たないって言ったよね。それはつまり、また逃げろという前振り……」
モバP「やめてくれ本当に。ただでさえ今は、足ががくがくいってるんだ」
志希「でもじっとしてるのはシンドイです先生! ……あ、じゃあ上着貸して」
モバP「……。ヤだけどいいよ、はい」
志希「やた♪ んんー、スーハー、ほどよく香りが染みついてていい感じー。ハスハスー♪」
モバP「なんか自分の臭いを嗅がれるって、すごい妙な気分なんだが……。別に良い臭いがする訳でもあるまいに」カタカタ
志希「変な匂いなんかしないよー。それにこーゆーのは、香りからどんなものを感じ取れるかが重要なのよん。今志希ちゃんすっごいα波でてます。めっちゃ電波ゆんゆんです」
モバP「そんなものか? よく分からんなあ」カタカタ
ちひろ「プロデューサーさん、スルースキル高くなりましたね……」ホロリ
モバP「そうでもなきゃやってけない環境ですからね」
志希「ま、趣味と好みの問題だしね~。あ、もしかしてまったりしてるのが気に入らなかった? モゾモゾしてた方がよかった?」
モバP「それはヘンタイごっこじゃなくて本物の変態だよ! アイドルなんだからそういう事を言うのはやめなさい!」カタカタガタン!
志希「にゃーはっは! でもキミには、ちょっとくらい香りの良さを知って欲しいにゃー。あそうだ! ねえねえこっち見てよ-」
モバP「何だ、両手広げて」クルリ
志希「特別に、キミに志希ちゃんをハスハスする権利をあげましょー♪ 遠慮なく飛び込んできて、好きなだけクンクンしてね!」
モバP「それはもう変態ですらなくただの犯罪者だよ!」
志希「えー? 同意があるんだからいいじゃーん」
モバP「周りはそう見ないよ! 社会的に死ねるわ!」
志希「もー。しょうがないにゃー。じゃあ今度、誰も居ない所でね?」
モバP「やらねえよ既定路線みたいに語るな! ほらあっち見ろ! 早苗さんがすっごい目でこっち見てるだろうが!」
志希「本当だ。サナちゃん聞こえてるー? 誘ってるのあたしだから大丈夫だよん」フリフリ
モバP「余計誤解を招くわ!」スパーン
志希「あいたっ! もー、叩くことないじゃんー」サスサス
モバP「ああもう……なんでお前はこんなにかっ飛んでるんだ……」
志希「普通に生きてたってつまんないじゃん。それに、これがあたしだもん」
モバP「はあああぁぁぁぁーーー……。まあ、そこに志希の魅力があるのは認めるけど」
志希「でしょでしょでしょ? もっと誉めていいよん。志希さん誉めると伸びるタイプだからねー」
モバP「調子に乗る、の間違いだろ。ほら、約束の10分だ。次の仕事行くか」
志希「あいさー♪」
モバP「返事はいいんだよなあ……。あとそろそろ上着返せ」
志希「ええー、もうちょっとだけ、ネ?」
モバP「かわいく言ってもダメ。ほら、外行くんだから」
志希「実はこの上着には怨念が宿っていて、フランス第一共和政時代からナポレオン時代にかけての……」
モバP「長いようで短いな。いいから返しなさい」カツカツ
志希「ちぇーっ」テクテク
……
早苗「P君は相変わらず大変ねえ」
ちひろ「志希ちゃんじゃなくても、いつでも周りはお祭り騒ぎですからね」
早苗「あれだけ元気がいいと、若いっていいわーって思っちゃうわ。あたしにもあんな時代があったのよねぇ」シミジミ
ちひろ(早苗さんの時も、騒がしさじゃあんまり変わらないような?)
早苗「……。ちひろちゃん?」ポン
ちひろ「なっ、何も考えてマセンヨ!?」
早苗「声が……上ずってるわよ?」
ちひろ「それよりほらっ! 志希ちゃん止めなくてよかったんですか? 端から見てて、かなりアウトに見えたんですけど」
ちひろ「私空気になってたし」ボソリ
早苗「ちひろちゃんはいつも空気になるから置いとくとして」
ちひろ「酷い! そこはスルーしてくれてよかったのに!」
早苗「置いとくとして。志希ちゃんはあれで18歳だからね。それくらいになったら自己責任の範疇かなーって思わなくもないのよ」
ちひろ「そんなもんですかね?」
早苗「大ざっぱだけど、やろうと思えば自分のお世話はできる子だし。さすがに淫行を働いたらシメるけど」
ちひろ「あはは、その時は頼りにしてます」
早苗「さて、あたしもお仕事行きますか。ほら乃々ちゃん、そんなところに隠れてないで行くわよ」ガシッ
乃々「ううぅ……むぅーりぃー……ちひろさん助けてぇー……」ズルズル
ちひろ「二人ともいってらっしゃーい」
乃々「ふぐぅ……もりくぼはもう限界なんですけどぉー……」
早苗「大丈夫大丈夫、人間限界だって言い始めてから本番だから」
ちひり「…………」
ちひろ「事務所も静かになったし、お仕事の続きしますか」カタカタ
ちひろ「…………」カタ…
ちひろ「あれが淫行に入らないって言うのも、何というか……凄いわよね」
――――――
――――
――
志希『はろろ~ん。今日も志希さんのミラクル実験教室始のコーナー始まるよー。今日は石灰石使ってありえない事しちゃおうかにゃー』
モバP「はー……間に合ってよかった」
ディレクター「ようPちゃん、お疲れ。はいこれ、一服どうぞ」
モバP「あ、すみません気を遣っていただいて。それじゃいただきます」ゴクゴク
ディレクター「こっちも良くしてもらってるからね。お互い様だよ。志希ちゃんなんて、数字取れるありがたい娘を選んだくれたしさ。さすが人物鑑定に評定のあるPちゃんだ」
モバP「そんなに持ち上げないで下さいよ。しかし、志希ってそんなに人気あるんですか? あ、もちろんこの仕事に一番いいと思って選んだんですが」
志希『――こんとき発熱するから、ビーカーには気をつけなきゃダメだよー。ガチャガチャしてもアブナイからメッだからね!』
ディレクター「うん、単純に視聴者の年齢幅が広いんだ。あのちょっとゆるくてかわいいキャラだから、結構年が上の人も見てるし。実験の中身自体は堅実だから、子供も見る」
ディレクター「本人に知識があるからかなりつっこんだ事もやるしね。となると、学生が息抜きに見たりもする。ただの子供向け理科実験番組でこんなに数字取れるのは珍しい」
モバP「こちらとしては、もう少し大人しくなってくれると言うこと無いんですけどね」ハハハ
ディレクター「そこはほら、アイドルの相手はプロデューサーの一番大切なお仕事だからね。彼女の魅力を殺さないように頑張りなよ」
志希『これで今回の実験はおしまい! でも時間余っちゃったねー。ぬっふっふ、しかしご安心! 今日はなんと特別ゲストともう一本実験だにゃー』
モバP「え? なにそれ? ディレクターさん?」
ディレクター「知らない知らない。台本にもないよ」
志希『ゲストきゃもーん! とゆーか引っこ抜く!』ズボッ
ネコミミ乃々『ゲ、ゲストのもりくぼですにゃー……うぅ……もう挨拶したから帰っていいですか?』
モバP「」ブハッ
ディレクター「」ブハッ
志希『ダメだにゃーノノちゃんは助手だからにゃー♪』
ネコミミ乃々『うぅ……実験とかむぅーりー……』
モバP「乃々何やってんだ!? と言うかずっと台の裏側にいたの!?」
ディレクター「あー、隠れて何かしてると思ってたけど、これなのか」
モバP「気付いた時点で止めましょうよ! そうだ、収録一時ストップしないと!」
ディレクター「いや、これはこれで面白そうだから続行で」
モバP「臨機応変だなあテレビ屋!」
ディレクター「大丈夫、ちゃんと乃々ちゃんのギャラは出すよ。体当たりだから安めになっちゃうけど」
モバP「フットワークも軽いよ! でもありがとうございます!」
ディレクター「ところで、Pちゃんもいいツッコミしてるよね。今度上田鈴帆ちゃんあたりと組んでテレビ出ない?」
モバP「出ませんよ!」
収録後・車内
モバP「まったく……お前は本当にとんでもない事をしでかしてくれるよ……。今回は先方が寛容だったからよかったものの」
志希「ふっふ~。めんごめーんご♪」
モバP「本当に分かってるのか?」
志希「もうしないようにするよー、多分!」
モバP「多分って、お前なあ……」
志希「ねえねえ所でさ」
モバP「ん?」
志希「ノノちゃんは今日、仕事扱いでいいんだよね」
モバP「それはそうだけど……まがりなりにも出演した訳だからな」
志希「じゃ、そーゆー事でサナちゃんに説明ヨロシク! あんま怒られないようにね!」
モバP「それはもうしたけど……お前まさか、そのために乃々を出演させたな?」
志希「さあね~♪」
モバP「はあぁーー……まったく、怒れなくなっただろ」
志希「やった! お説教終わり!」
モバP「気は利くんだからもっとちゃんとしてくれれば、後輩を引っ張れるアイドルになれるんだけどな。……なあ、志希。ちょっといいか?」
志希「なになに~? 志希ちゃんゴキゲンだから何でも答えるよー」
モバP「……乃々はなんて言ってた? やっぱアイドルが嫌で、逃げ出したのかな? 俺が無理矢理やらせたのが悪かったのか……?」
志希「それは違うよ。絶対に違う」
モバP「…………」
志希「あのね、人間の精神には波があるの。同じ状況でいっつも同じ答えを出せるようにはできてないの」
志希「波を上手く調整して限界を超えないようにっていうのは誰でもやってる事なんだけど、たまに限界を超えちゃうことがあるんだ。プツってして、真っ白になって逃げちゃう」
志希「こんなの誰でもある事だよ。キミだって切れちゃった経験はなくとも、近いような覚えはあるでしょ? ちょっと息抜きに失敗した、運が悪かっただけ」
志希「だから、そんなに思い詰めないで。今度はキミがプツッてしちゃうよ?」
モバP「……そうか……そうだな。志希、ありがとう」
志希「ん~もー、くすぐったいにゃー! でももっと酸素送っていいのよ? ガンガン燃焼しちゃうから!」ペシペシ
モバP「何が延焼だよ点火源ないだろ」
志希「……ふふふ♪」
モバP「どうした、楽しそうに人の顔見て」
志希「火種はとっくに、ずーっと前からあたしの胸の中にあるよ。キミがカワイイって言ってくれて、アイドルに誘ってくれたあの日からずっとね」
モバP「ええいうるさいぞ恥ずかしい奴め!」
志希「ふっふふふ~。顔真っ赤真っ赤」
モバP「茶化すな!」
志希「茶化してないよー♪ ねぇねぇところでさ、今むちゃくちゃ雨降ってるでしょ?」
モバP「ああ。まあ、台風だからな。天気予報でもやってたし」ザアアアアアア…
志希「テレビ局で収録の後、またちょっと遠出したねー」
モバP「これから雨が続くらしいし、今日しか日程取れなかったからな」
志希「この先の道、通行止めだよん」
モバP「はあ!? ちょっと待ってろ、今スマホで……本当だ……。他の道は……ダメだ、ない」
志希「今日は帰れないねー困ったよー♪」
モバP「全く困ってるように見えないぞ……。どうする、車内で一泊か? いやでも台風の中車内で眠るのは危険だし」
志希「ちなみに志希ちゃん、近くのホテルを予約しておきました」
モバP「用意周到だなあ畜生! と言うかなんで予約済みなんだよ!」
志希「そりゃーもちろん、キミが天気は調べても交通情報には目を通してないなー、と気付いたから」
モバP「その時点で言えよぉ何とかできたかもしれないだろぉ!」
志希「そんなのもしろくなもーん。諦めてホテル行こー♪ ほらUターンUターン」
モバP「くそー……全部後手に回ってるじゃないか」
志希「今更悔やんでもしかたないよー。ほらごーごー!」
ホテル・チェックイン後・部屋
モバP「志希さん」
志希「はいはいなんでしょうプロデューサーさん」
モバP「中々いいホテルですね」
志希「だよねー。あたしもちょっとびっくり。へんぴな所にあるからボロいの覚悟してたけど、かなりちゃんとしてるし」
モバP「食事もルームサービスでしたし」
志希「大広間で一斉に食事しかできなかったら、コンビニ弁当か夕ご飯抜きだったからあぶなかったよー。予約しといて正解正解」
モバP「な・ん・で! ダブルベッドの一室しか取らなかったんだよ!」
志希「あたしの好み♪」
モバP「お前なー本当に~~~!」
志希「もうどうしようもないよねー。駆け込み需要で全室埋まってるもん♪」
モバP「アイドルと同室で一泊ってどうすんだこれ……下手すりゃスキャンダルだぞ」
志希「だいじょーぶダイジョーブ」
モバP「その自信はどっから出てくるんだ……」
志希「だって……嘘じゃないもん、スキャンダルな感じ♪」
モバP「は?」
志希「そいや!」ドン
モバP「うわ! 何するんだ!」ボスン
志希「何って、キミを押し倒してるの」
モバP「おい、いい加減にしろよ! 冗談じゃすまないぞ!」
志希「うん、冗談で済ませる気はないよ」ノソノソ
モバP「な、なあ……志希?」
志希「ふっふ~、キミのカワイイ顔、こうして見下ろすのは初めてかも」
モバP「本当に……やめろよ。悪戯がすぎるぞ……」
志希「本気だよ。少なくとも、キミの事だけは。いつも、ずっと」スリスリ
モバP「何を言ってるんだ」
志希「ずーっと前から分かってたでしょ? だって隠した事なんてないもん。真っ直ぐ行動してたもん。でもキミはずっと無視すゆー。それとも気付かないふりかな」ハスハス
モバP「お前はアイドルだろう」
志希「それ、図星だって言ってるようなもんよー? キミはあたしの事、どう思ってる?」
モバP「……、俺はプロデューサーだ。お前に対して責任がある」
志希「でも、ここにはない。今いるのはアイドルとプロデューサーじゃなくて、キミとあたし」
モバP「…………」
志希「これでも何も言ってくれないなら、あたしから言っちゃうよ?」
モバP「あ……う……」フイ
志希「目を逸らさないで」グイ
志希「初めてキミに合ったとき、本当にキョーミ深い実験材料くらいにした思ってなかった。でも、カワイイって言ってくれて、一緒にアイドル活動して、いつも頑張ってくれて」
志希「いつからだろ……いつの間にか、キョーミなくなったら辞めればいいって考えなくなってた。ずっとこうしていたいって思うようになってた」
志希「何しててもすぐつまらなくなってたのに、不思議だよね。キミがあたしをこんな風にしちゃったんだよ? ずっとずっと、一緒にいたいって思うようになってた」
志希「大好きだよ。気まぐれでも突発的でもない。ずっと抱えてたけど、変わらなかった。志希はあなたの事を愛してます」
志希「だから……ね? あたしと一緒に、すっごいヘンタイになって?」
ぷつん
――――――
――――
――
志希「えへへー♪」
モバP「あああぁぁぁ……」
志希「んっふっふー♪ にゃー! もう、にゃーん!」パタパタ
モバP「やった……ついに……手を出しちゃった……」
志希「……ねー、そんな反応されると、さすがのあたしでもちょーっとへこむにゃー……」シュン
モバP「しないわけないだろ……プロデューサーがアイドルとやっちゃったんだぞ」
志希「……。あの、ね? あたし、キミがあたしの事を少なからず好きでいてくれてるなーって思ったから、こんな事したの。
志希「だからもしそれが自惚れでしかなくて、本気で後悔してるなら、今日の事は忘れて。あたしも忘れるし、明日からは弁えるし、もうべたべたしないし……」
モバP「…………」
志希「…………」グス
モバP「この馬鹿!」ゴン!
志希「~~~っ! いったぁーい! なんでたたくのよぉー……」グスグス
モバP「いくら誘惑されたって、相手はアイドルなんだぞ? 誠実になれない奴に手なんて出すか」
志希「あ……」
モバP「その、お前をアイドル引退させる気はないからな。恋人らしい事はあんまりできないと思うけど、それでも……」
志希「いい、いい! 全然いい!」ガバッ
モバP「全部言ってないだろ。ま、あれだよ。これからよろしく」ギュッ
志希「うん……うん……う、ううう……ゔゔゔゔゔぅ゙ぅ゙ぅ゙ぅ゙……」
モバP「そんなに泣く事ないだろ。と言うかもうちょっと可愛く泣けよ」
志希「いたい……」
モバP「ん?」
志希「い、たい……いたい……おまた……すっごいいたいのぉー……」グスグス
モバP「なんで今更。やってる時、全然痛がってなかっただろ」
志希「じぶんでつくった……いたみどめ、さきにのんでた……」グスグス
モバP「それのストックないのか?」
志希「あるけど……のまない」グスグス
モバP「なんでだ? 痛いんだったら飲めばいいだろ」
志希「だって……キミとの……はじめてだからだもん……いたいの……」グスグス
モバP「どうしてさらりとそういう台詞を……ほら、背中さすっててやるから」
…………
志希「ん、ちょっと落ち着いた、かも」
モバP「意地なんて張らないで、とっとと痛み止め飲めば良かったのに」サスサス
志希「痛いのは嫌いだけど、これがなくなるのはもっとヤだよー」
モバP「今日志希とこうして初めて知ったんだが」
志希「志希ちゃんのいいとと発見?」
モバP「違います。お前って相当不器用だよな」
志希「誉められてるー? けなされてるー?」
モバP「どっちでもないよ。頭はいいはずなんだがな」
志希「そうなのかにゃー?」ウーン
モバP「飛び級までしといてそう言うのは、ただの嫌みだぞ」グリグリ
志希「あうあう~。でも、やりたいこととできることしてきただけだし。むしろ飽きっぽく投げ出しがちでダメな方だと思うなー」
モバP「自覚はあったのか……。はっきり態度に出す割には、変に滑るし。最近の仕事の後ですぐ逃げるあれは、捕まえて欲しいってサインだったんだろ?」
志希「あ、うん……やっぱり分かっちゃうよね-。こう、必要とされてる感じがほしいけど、なんか恥ずかしー」テレテレ
モバP(かわいいなあ……じゃなくて)
モバP「今回なんかやたら用意周到に準備したクセに、迫り方は押しの一手だ」
志希「んー、んんー? どっかおかしいー?」
モバP「惚れ薬、とは言わないまでも、もっと上手いやり方があったんじゃないのか? 少なくとも、俺に選択の余地とか余裕とか与えないやり方、考えられたと思うんだが」
志希「そっかーそっかーそーゆうのかー。うん、全然違うよ」
モバP「?」
志希「むかーしむかし。本当に昔。それこそ人間がやっと獣から人らしくなった頃からのお話。我慢から奇跡的に知性が生まれて、知性はこれまた奇跡的に理性を作り出した」
志希「ただの集団だった社会は元のものから乖離ていき、理性だけじゃ統治できなくなった。社会を治めるには、人に言うことを聞かせるには、理由と言い訳が必要になった」
志希「理由のために哲学が生まれて、その中には神様が潜んでいた。そんな形の無い神様をいくつか繋げると、顔の無い神様の群れは名前を得て、やがて神話になった」
志希「理由と言い訳の為に生まれた絶対者、人間の模範となるべき存在。だけどそんなご大層なものは、偉大じゃなきゃいけないのに、たくさんの間違いを犯していた」
志希「とりわけ、愛。ただの交尾じゃないもの。あの人が好き、でもあっちの人も好き。自分にはこの人しかいない。この人とはもう無理。もう本当にめっちゃくちゃ」
志希「つまりそういう事なんだと思うんだー」
モバP「……ええと?」
志希「あれ? 分かんない?」
モバP「さっぱり、全く」
志希「おっかしーにゃー? ちょっと待って、頑張って要約するから」
モバP「別にいいぞ、そんなに頑張らなくても」
志希「ヤダ! あたしの事は全部キミに知って欲しいもん! 分からないで済ませたくない!」
モバP「……そっか。じゃあもうちょっと頑張ってくれ」
志希「ん♪ えーとーつーまーりー? こうかなー?」
志希「人っていうのは有史以来、それこそ人間っぽい形ができた頃から、種族総出で愛の駆け引きのプロフェッショナルなんじゃないかな」
志希「すっごい偉い学者さんが何万人と頭を捻っても、らしい答えすら出てこない。もしかしたら声を上げた人はいたかもしれないけど、そんな攻略法誰も信じてない」
志希「当然だよね。一人一人がプロフェッショナルなんだもん。素人なんていないから、詐欺じゃ騙せない。空想の中の全知全能ですら、思い通りにいかせられないんだよ」
志希「惚れ薬やちょこっと上手いやり方程度でどうにかしたものなんか、多分愛にはならないよ。一方通行なんだからさ」
志希「だから、そんなの全然大切じゃなくて。やるなら真正面から全力しかありえない。ぜーんぶあたしを知って貰って、それで好きになってもらうしかない! って思ったんだ」
志希「冴えたやり方なんてどこにもない。手に取れない。目にも見えない。形だって分からない。その上、すごく曖昧なもの。でも、確かにそこにある」
志希「あたしの心の奥底から、あっついナニカが溢れて満たされる感じ。恋の感じ。……これが、キミの感じ」
志希「改めて言うと、こんな感じかなー? な、なんか恥ずかしいにゃー」テレテレ
モバP「…………」
志希「な、なんで無言なのよぅー。なんか言ってよー」ユサユサ
モバP「かなりびっくりしてた。その、俺も上手く言えないけどさ。志希はすっごくいい女だよ。俺が保証する」
志希「う……ううう……ううううああああ、あにゃああああぁぁぁーーーー!!」ベシベシベシベシ!
モバP「おわっ! やめろ、壊れるな! 痛い痛い叩くな!」
モバP「ほら急に暴れるからそうなる。痛いの我慢してたんだろ」
志希「うううぅ、うぬぬ、ぬへへへ……」ニヤニヤ
モバP「今度は不気味に笑い始めるし」
志希「ねえ、勢いばっかりでいい加減やってきた、大した事なんてなにもないあたしの人生だけどね。一つだけ、これっきゃない! って感じで分かったことがあるんだ」
志希「これが幸せなんだねー」
モバP「なんだよ、本当に隠しもせず……。そうだな、俺もそう思うよ」
志希「ねー♪ ……あのね、あたしのプロデューサー」
モバP「ん?」
志希「順序が逆になっちゃったけど。あたしとごっこじゃない恋愛、しよ♪」
おまけ
モバP「おはようございまーす」
ちひろ「はようございます。それとお疲れ様。昨日は災難でしたね」
モバP「ええ、まさか足止め喰らうとは思いませんでしたよ」
ちひろ「志希ちゃんはどうしました?」
モバP「家に送ってきましたよ。今日はオフですし」
ちひろ「へーえ。ふーん」
モバP「? それで、今日新しく入った用事とかあります」
ちひろ「いいえ、今のところは。……ゆうべはおたのしみでしたね」
モバP「!?!?!?!?」
了
これで終わりです
「志希ってゆー」にやられて突発的に書いてしまいました
出来はよくありませんが、個人的には最後の台詞を言わせられたので満足
志希ちゃんは小賢しく考えながらも全部放り投げて真っ直ぐ進む子だと思うんだ
出たばかりの子ですが、はやくSR見たい。もしこの作品を見て、少しでも志希にいただけたなら
ネコが一番似合うアイドルを応援するといいにゃ!
このSSまとめへのコメント
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