和「久しぶりに桜が丘に帰省できたわ」 (29)
和「ようやく着いたわ。やはり海外から戻ってきた故郷は感慨深さもひとしおね」
和「さて、実家に帰る前に唯の家に寄ってお土産を置いてこようかしら」
和「通り道だし、少し顔出して行きましょう」
スタスタ
和「良い天気。桜も相変わらずね」
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ピンポーン
和「・・・。」
和「誰も居ないのかしら?」
和「昨日メールした時は、特に予定は無いと言っていたけど」
和「まあ、ついでで寄っただけだし。また後日来ればいいわね」
ギィ
和「・・・?」
和「ドアが開いたわ」
和「まったく、あの子たちは」
和「あらあら、ドアが開いてるのにインターホンに誰も出ないって事は」
和「唯が部屋で昼寝でもしてるのかしら?」
和「もしくは、カギをかけ忘れて買い物か何かね」
和「勝手にではあるけど、中に入って待たせてもらいましょう」
和「このまま放っておくのも無用心だし、ね」
ガチャ
和「唯、憂、お邪魔するわよ?」
和「・・・。」
和「ふぅ。とりあえず、リビングにでも行きましょうか」
和「・・・リビングにお土産だけ置いて、今日のところはお暇した方が無難かもしれないわね」
ガタゴトガタゴト
和「ん、二階から物音が」
和「二階に誰かいるのかしらね?」
ガタゴト
和「でも泥棒とかだったりしたら恐いから、すぐに帰りましょう」
ぴたっ
和「・・・やれやれ」
和「それじゃあ、二階に行ってみようかしら」
和「唯が部屋で寝てるだけかもしれないものね」
とん、とん、とん
和「平沢家、子供の頃から何度も来ているはずなのに」
和「ほんの数ヶ月の海外生活から戻って来ただけなのに」
和「なんだか・・・すごく懐かしく感じるわね」
コンコン
和「唯、いる?」
コンコン
和「入るわよ」
ガチャ
ギィ
和「誰も、居ないわね」
和「やっぱり物音は気のせいだったのかしら?」
和「さて、勝手に部屋に居座るのもなんだし、帰るとしましょ・・・」
バタン!
和「!!」
和「ドアが、閉まった・・・」
和「誰か居るのかしら?」
和「唯?憂?」
和「・・・。」
ガチャ
和「閉じ込められたわけではなさそうね」
和「それなら、帰るとしましょうか」
ガタッ、ガタゴト
和「・・・今度は憂の部屋から物音が」
和「やっぱり誰かが居るのかもしれないわね」
ガタゴト
和「・・・。」
和「でも、なんだか不気味だし帰ろうかしら?」
ピタッ
和「あら、音が止んだわ」
和「不思議ね。様子を見に行った方が良さそう」
和「物音は憂の部屋からだったわね」
コンコン
和「憂、いるの?」
和「・・・。」
和「返事は無い。やっぱり誰もいないのね」
和「・・・でも、一応確認しておきましょう」
和「憂、入るわよ?」
ガチャ
ギィ
唯「わっ!!」バッ
憂「わーーっ!!」バッ
和「・・・。」
唯「・・・びっくりした?」
憂「どう?びっくりした和ちゃん?」
和「いえ、だいたい予想してたからびっくりはしなかったわ」
唯「えーっ!?」
憂「え~?」
和「あなたたちはわかりやすいもの」
唯「どうしてバレたんだろうねー?」
憂「不思議だねーお姉ちゃん」
和「何か仕掛けてはくるだろうなとは予想してたけど、まさかただ物陰から飛び出してくるだけだったのは意外だったけどね」
唯「それはですな。昨日メールもらってから憂といっしょにいろんなサプライズを考えてたんだけど」
憂「なんだか考えてるうちに和ちゃんが来る時間になっちゃって」
和「完全にノープランだったわけね」
唯「もっと大胆なサプライズを用意したかったんだけどねぇ?」
憂「実質半日では難しかったねお姉ちゃん」
和「普通に出迎えてくれれば良いのに」
憂「ところで和ちゃんはいつから気が付いてたの?」
和「気が付いていた、って言うと?」
唯「和ちゃんさっき『何か仕掛けてくるとは思ってた』って言ってたでしょ?
どの段階で私たちが和ちゃんにサプライズを計画してるって気が付いたのかなー?って思ったから」
憂「玄関が開いてたあたり?それとも二階から物音がした時?」
和「ああ、それなら」
和「あなたたち二人が空港に迎えに来てなかった段階で『あ、これは何か企んでるわね』と」
憂「まさかの家に来る前だね!」
唯「推理小説で言うと、1ページ目でだいたい犯人とトリックの目星がついてるレベルだね!」
和「あなたたちはわかりやすいもの」
唯「それもうわかりやすいってレベルじゃないよ~」
憂「私たち、和ちゃんと以心伝心だねお姉ちゃん!」
唯「そっかぁ。そんなに早いタイミングでバレてたのかぁ」
和「ふふっ。考えてみればおかしな話ね」
憂「でも、確かに昨日メール貰った時には『空港まで迎えに行こうよ!』って言ってたんだよ?」
唯「うん。それで『いやいや、ここはあえてお家で待ち構えて何か和ちゃんが驚くような事をしよう!』って話になってね」
和「その流れが手に取るようにわかったから、空港に二人がいなかった時点で『これは』と思ったのよ」
唯「えへー。私たち和ちゃんにわかられちゃってるねぇ憂~」にまー
憂「いっぱいわかってもらってるねーお姉ちゃん♪」にこー
和「本当。今考えるとどうしてわかったのかしら?」くすっ
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