まゆ「にゃまむぎなみゃごめなまたまぎょ!」 (28)

まゆ「川島さん、ちょっとよろしいですか?」

瑞樹「あら、めずらしいわね。どうしたのまゆちゃん?」

まゆ「実は、川島さんにお願いがありまして……」

瑞樹「お願い?」

まゆ「まゆに、滑舌をよくするコツを教えてほしいんですぅ」

瑞樹「滑舌を?それは構わないけど、何か理由があるのかしら?」

まゆ「この間のことなんですけど……」



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数日前

P「ぬぁあぁぁ、なんか肩こったなぁ」

ちひろ「今日はずっとデスクワークですからねぇ。でもプロデューサーさんがこれだけ長い間デスクに向かってるのって珍しいですよね」

P「普段は空いた時間に小まめに作業をこなしてるんですが、ここの所忙しくって」

まゆ「プロデューサーさん、お仕事お疲れ様です。はい、コーヒーですよ」

P「ん?おぉ、悪いなまゆ」

まゆ「お安いご用ですよぉ。はい、ちひろさんも」

ちひろ「ありがとうまゆちゃん」

まゆ「プロデューサーさんは砂糖とミルクを2つずつ、ちひろさんはミルクを1つですよね?」

P「本当はもっと入れたいんだけどな。一応体が資本の仕事だし」

ちひろ「もういっそコーヒー牛乳を飲んだ方が早いんじゃあ……」

P「それとこれとは別ですよ。いやぁ、それにしても……」

まゆ「? まゆの顔に何か付いてますか?」

P「ん?なんかまゆの声って聞いてると妙に眠くなるんだよなぁ」

まゆ「……え?」

ちひろ「ぷ、プロデューサーさん。それは……」

P「そこまでおっとりした喋り方って訳じゃあないんだけど、喋ってるとたまに意識が持ってかれそうになるって言うかさ」

まゆ「プロデューサーさんは、まゆの喋り方はお嫌いですか?」

P「んー?んなこたぁ無いけど……」

まゆ「まゆ、用事を思い出したのでこれで失礼しますね」

P「おぉ、コーヒーありがとうな」

ちひろ「あわわわわ……」





まゆ「……と言うことがあったんですよ」

瑞樹「なるほど、それでもっとハキハキした喋り方を覚える為に私にコーチをしてもらいたいってことね」

まゆ「はい。お願いできますか?」

瑞樹「もちろんよ♪元女子アナの実力魅せてあげるわ!」

まゆ「よろしくお願いします」

瑞樹「じゃあ私は準備をするから先にレッスン室に行っててちょうだい」

まゆ「はぁい」

まゆ(これで滑舌が良くなったらプロデューサーさん、褒めてくれるかな……)

まゆ「うふふふふふふ♪」

レッスン室

瑞樹「それでは『瑞樹せんせいのおしゃべりが上手になる滑舌向上講座』の始まりよ!!」

まゆ「よろしくお願いしますね、川島さん」

瑞樹「瑞樹せんせいと呼んでちょうだい♪」

まゆ「瑞樹せんせい、先ずは何から始めるんですか?」

瑞樹「先ずは滑舌に関する座学ね。ねぇまゆちゃん、滑舌が悪くなる原因って何だと思う?」

まゆ「えぇっと。舌が上手に動かせないから、ですか?」

瑞樹「えぇ、その通りよ。でも原因はそれだけじゃないわ」

まゆ「他には何があるんですかぁ?」

瑞樹「細かく言えば歯並びや呼吸の仕方、緊張、言葉の意味に対しての理解、他にも様々よ。でもまゆちゃんの場合はおっとりした話し方を改善したいってことだから今回はわかりやすく3つのポイントに絞っていくわね」

瑞樹「舌の動き・顔の動き・腹筋。この3つが今日のレッスンの中心よ」

まゆ「舌はわかりますけど、顔と腹筋って言うのはどうしてですか?」

瑞樹「顔、というよりは表情筋ね。これは口をハッキリと開くことが滑らかな発音に繋がるのよ。滑舌っていうのは文字通り滑らかに舌を動かすことを指すからね」

まゆ「なるほどぉ」

瑞樹「次に腹筋。声を出す上で重要なのが声帯なんだけれど、声帯には緩みが生じるの。その緩みで滑舌が悪くなったりするのよね。で、声帯を上手に動かすには腹筋が必要なのよ」

まゆ「でもまゆ、腹筋系アイドルにはなりたくありません」

瑞樹「まゆちゃんがどんなものを想像しているかはわからないけど、何もお腹がもなかアイスみたいになるまで鍛える必要は無いわよ?」

まゆ「それを聞いて安心しました」

瑞樹「あと重要なのが腹式呼吸!これはトレさんたちのレッスンでも散々やらされてるから今さら言う必要は無いわよね?」

まゆ「大丈夫です!」

瑞樹「さて、じゃあトレーニングに移りましょうか。先ずは口を正しく開く練習よ!私の後に続けてね」

瑞樹「にっこりと笑って『い』」

まゆ「いー」

瑞樹「口を人差し指と中指二本分の幅に開いて『え』」

まゆ「えー」

瑞樹「さらに口を開けて『あ』」

まゆ「あー」

瑞樹「少し口を閉じて『お』」

まゆ「おー」

瑞樹「口をすぼめて『う』」

まゆ「うー」

瑞樹「今のを続けて発音するわよ。いーえーあーおーうー」

まゆ「いーえーあーおーうー」

瑞樹「ん、素晴らしい!もしかしてどこかで習ったことがあるのかしら?」

まゆ「いえ、ここでのレッスン以外には特に……」

瑞樹「それなのに最初からそれだけ出来るのはすごいわ!」

まゆ「あ、ありがとうございます」

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佐久間まゆ(16)

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川島瑞樹(28)

お花を摘んでました。
画像先輩ありがとうございます。

瑞樹「じゃあ次は呼吸の仕方にいくわね。先ずは足を肩幅に開いて背筋を伸ばす!」

まゆ「はい!(瑞樹せんせい、意外と胸が大きいですねぇ)」

瑞樹「おへその下に手を添えて腹筋の動きを意識しながら『すーっ』と言いながら10秒間で息を吐く!いくわよ?さん、はいっ!」

瑞樹「すぅーーーーーーーーーーーっ!」

まゆ「す、すぅぅぅぅぅ、ぅぅぅ。」

瑞樹「この時しっかりと腹式呼吸を意識するのがコツよ」

まゆ「み、瑞樹せんせいすごいですね。まゆ、5秒位しかもちませんでしたぁ」

瑞樹「まぁ最初から10秒はキツイかしらね。でも呼吸において大事なのは吸う力よりも吐く力なのよ」

瑞樹「次は息に瞬発力をつけるわね。今度は長く出すのではなく短く『すっ』で息を吐くわよ!手始めに10回!さん、はいっ!」

瑞樹「すっ、すっ、すっ……すっ!」

まゆ「すっ、すっ、すっ……すぅっ」

瑞樹「どうかしら?」

まゆ「お腹が痛いですぅ」

瑞樹「腹筋が使えてる証拠ね!では次はお待ちかね、早口言葉よ!!」

まゆ「わー」

瑞樹「早口言葉と言っても、ただ喋れば良いというものではないわ。最初はしっかりと口を開いて言葉の意味を理解、意識しながら話さないと意味が無いわ」

まゆ「ふむふむ」

瑞樹「とは言っても理解や意識って説明されてもよくわからないと思うわ。だから先ずはこれを声に出して読んでちょうだい」

おあややおかあさまにおあやまりなさい

まゆ「えーっと。おあ、ややお、かあさまに、おあや、まりなさい?」

瑞樹「言葉の意味がわかっていないとそうなるわよね。じゃあ次はこれを読んでちょうだい」

お綾や お母様に お謝りなさい

まゆ「お綾や、お母様にお謝りなさい。……全然違いますね」

瑞樹「そうね。自分が何を話したいか意識しながら喋るだけでも大分滑舌はかわってくるものよ」

瑞樹「それを踏まえて、まゆちゃん。なんでも良いから1つ早口言葉を口に出してみてちょうだい」

まゆ「じゃあ、にゃまむぎなみゃごめなまたまぎょ!……あうぅ」

瑞樹「わかりやすく噛んだわね。じゃあ、それを口の開き方をしっかり意識して単語ごとに区切ってゆっくり話してみて」

まゆ「生麦。生米。生卵」

瑞樹「言葉の意味は理解出来た?じゃあ次はもう少し早く話してみましょうか」

まゆ「生麦、生米、生卵」

瑞樹「いいわね、その調子よ。じゃあ一息で言ってみましょうか」

まゆ「生麦生米生卵」

瑞樹「それを3回連続で!」

まゆ「生麦生米生卵生麦生米生卵生麦生米生卵!い、言えましたぁ!」

瑞樹「素晴らしいわまゆちゃん!!」

ぎゅっ

まゆ「まゆ、早口言葉をしっかり喋れたのって生まれて初めてです!」

瑞樹「それはあなたが努力したからよ♪」

ガチャッ

P「まゆー、いるかー?……お邪魔しましたぁ」

まゆ「ぷ、プロデューサーさん!?こ、これには深い事情がぁぁあ!!」

瑞樹「そ、そうなの!これはいわゆるスポ根のコーチと生徒の関係なのよ」

P「教師と生徒の禁断の愛ですね、わかるわ」

まゆ「わからないで下さい!」

P「で、2人して何をしていたのん?」

瑞樹「実はね……」

瑞樹せんせい説明中

P「なるほど、そういうことだったのか。まゆは努力家だなぁ」

ナデナデ

まゆ「うふふふふぅ」

瑞樹「でもプロデューサー君、女の子に対して『眠くなるような声』だなんて言っちゃダメよ?」

P「褒め言葉のつもりだったんですけどねぇ」

瑞樹「褒めるなら他に言い方を考えなきゃ」

P「ふむ。じゃあまゆ、君を傷つけたお詫びにプレゼントをあげようじゃあないか」

まゆ「プロデューサーさん……!」

P「タララタッタラ~!お仕事の企画書~(cv.大山の○代風)」

瑞樹「それはプレゼントとは言わないわ。どれどれ、『佐久間まゆの子守唄CD』?」

P「世の中には声優さんが罵ったり取り調べをしたりと色々なCDがあるんですよ。そこでうちのアイドルにもそういった何かを喋るお仕事を持ってこようと思いまして」

まゆ「声のお仕事ですかぁ」

P「まゆの声はゆったりしてて聞いてると眠くなるので睡眠不足が深刻化している現代人にはピッタリかなって」

瑞樹「ちょっと見せてもらうわね。……童謡や昔話はわかるけど、この般若心経ってなんなのかしら?」

P「読経って眠くなりません?」

瑞樹「わかるわ」

まゆ「まゆ、プロデューサーさんの為ならどんなお仕事でも頑張りますからね」

P「嬉しい事を言ってくれるじゃないの」

瑞樹「ふふっ、まゆちゃん可愛いわね」

P「はっはっは、何を今さら」

P「川島さん、まゆのことをジッと見つめてください」

瑞樹「え?えぇ」

ジーッ

P「たれぱんだみたいで可愛いでしょう?」

まゆ「っ!?」

瑞樹「ぶふっ!?」

P「癒されますよね~。ん?どうしたまゆ?」

まゆ「……ぷ」

P「ぷ?」

まゆ「プロデューサーさんのバカァァァァ!!」

ペチン タタタタタ

瑞樹「も、もしかして今のも褒めたつもり?」

P「ダメでしたか?」

瑞樹「問題無ければバカ呼ばわりはしないわよ」

数日後、ハワイにて

まゆ「……と言うわけなので、木場さんみたいなキリッとした表情になるにはどうしたらいいか教えて頂けませんか?」

真奈美「君はその為だけにわざわざハワイまで来たのかい?」

おわり

佐久間まゆはタレ目可愛い
SSのイメージでまゆは「~~よぉ」とか「~~ねぇ」みたいに語尾が伸び気味な子だと思ってググったら実はそうでもなかった。
むしろこういうのは雫や歌鈴向けだと書いてる途中で気付いたけど気にしない。
トレーニングについては割り箸を咥えた状態で話したり舌のストレッチとかもあるけど文章にしづらそうなので省略しました。
以下おまけ

P「みく、今から俺が言う文章を複唱しろ」

みく「望む所にゃ!」

P「斜め七十七度の並びで泣く泣くいななくナナハン七台難なく並べて長眺め」

みく「にゃにゃめにゃにゃじゅうにゃにゃどのにゃらびでにゃくにゃくいにゃにゃくにゃにゃはんにゃにゃだいにゃんにゃくにゃらべてにゃがにゃがめ!」

P「あざと過ぎて失望しました。みくにゃんのファンやめます」

みく「え、ひどくない?」

http://i.imgur.com/KJIRBF3.jpg
http://i.imgur.com/RoMrZeI.jpg
前川みく(15)

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