エレン「ささやかな望み」※現代パロ next(47)


5日ほど研修合宿行ってましたら、いつの間にか落ちてましたので
また立てますね

続きですので、前スレの内容を知らない人は探して読んでいただくことをお勧めします




太陽は沈み、午後の6時を迎えた頃


冬は日が短いから、こんな時間となれば真っ暗なのが当たり前


夏ならば今の時間なら、まだまだ遊べると思えてしまう時間です


そんな私も一日遊んで・・・いや社会見学を行って、ふくらはぎも目も疲れた状態


布団に身を任せ、すぅぅ・・・っと微かに残ったエレ・・・・甘く鼻に透き通る洗剤の香りを嗅いでいた


目を閉じたら夢の世界へ潜り込んでしまうかもしれない


懐かしく懐かしく・・・仕方ない


いつも自然に香っていたものが無くなった今の私にはこれはヘヴンとも言えるか・・・桃源郷ともいえよう



クリスタ「はぁ・・・私は何をしているのかな・・・・」




でも、やめられないし、とめるつもりもない・・・


人の現実な行動なんて、そんなものさ


周りの目が無きゃ、1人で歌を口ずさんだり、だらしない格好だってするものさ


だから・・・・これは人間の本性であり、本望でもある


猫が1日のほとんどを寝て過ごすように、アライグマが物を洗いたがるように


本能のままに動くことは悪いことではない


それが1人であれば尚更、理性なんて構わない


深呼吸を繰り返し、そんな考えをしていたら



こんこんっ・・・と扉の叩かれる音が聞こえた




クリスタ「ふあっえ!?」



取り乱したように瞬時に立ち上がり、髪の毛を手櫛で少しだけ整えて、咳払いをし



クリスタ「はーい・・・?」



と、問いかけながら扉の方向へ足を進めた

誰が来たか、いや帰ってきたかは何となく分かっているが



カチャカチャ・・・・



クリスタ「おかえり・・・遅かったね」



私は扉を開けて、エレンを出迎えた



エレン「・・・・別に良いだろ。消灯前に帰ってこれば」



素っ気ない態度で答えるエレン


そんな態度はいつも通り


歯車のように、その2つのギアが噛み合って動くような関係性



クリスタ「私は悪いとは言ってないよ」


エレン「・・・・・ふん」



そんな私の言葉を無視して、ずかずかと部屋の奥の方へとエレンは歩みを進めた



クリスタ「どこ行ってたの?」



エレン「・・・・」



無言という名の返答


どこにも行ってないのか、私と話したくないのか


当然、正解は後者だろう



クリスタ「たのしかった・・・?」


エレン「・・・・」


ちらっとエレンが此方に目線を向けた

何やら溜め息をついたようだった



エレン「・・・・別にクリスタには関係ないだろ」



クリスタ「関係ないけど、聞いちゃ駄目なの?」


エレン「言うも言わないも俺に権利がある。でも、聞くことは別に駄目とは言わない」



いつも一本の筋の通った正論を語る


だから無駄に揚げ足も取れないし、否定や異論をする事さえ出来ない


それ以上の正論を見つけるか、思いもよらない屁理屈を述べるだけ


相当のずる賢い脳を持つものか、専門家によるものにしか答えられないものだと思う


だって間違ってないものを間違ったものとする理論を考えるなんて、そもそもがズレているから



クリスタ「私ね、今日は友達と縁結びの神社とか小さな民芸品のお店に行ったんだ」


エレン「・・・・・友達と、ね」



エレンは荷物を纏めながらという、人と話しをするような態度ではないが、きちっと耳だけは傾けてくれているようだ



クリスタ「エレンは知らない人だと思うけど、すっごく良い人達でね・・・よく放課後にケーキを持ってきてくれるんだから」


エレン「・・・・・・そうか」



私は自分の小さなバッグの中に手を突っ込んだ



クリスタ「それでね・・・縁結びの神社で、お守り買ったんだ」


エレン「・・・・・・」


クリスタ「聞いてるの?」


エレン「・・・・・・」



返事がない


さっきまで返事を貰えていた事の方が、寧ろレアといえるから


いつもはもっと私のことを拒んでくるから


やはり昨夜の私との会話が誘発または反映したのか


エレンの心情に変化があったのか


とにかく・・・・こんな小さな事でも私にとっては大きな一歩


嬉しいのを顔に出したら調子に乗ってると思われちゃうかもしれないし抑えなきゃ



クリスタ「・・・・・。・・・それで健康祈願のお守りを買ったんだ。ほら、うさぎの刺繍が入ってて可愛いでしょ」



私はバッグの中に突っ込んでいた手を引き抜き、とある包装された袋を同時に取り出した



そして、小さく小学生が使いそうなピンクで可愛らしいうさぎの刺繍の入ったお守りをエレンに見せた



エレン「縁結びの神社なのに、恋愛成就のお守りじゃないんだな」


クリスタ「エレンにも買ってきたんだ」


エレン「・・・・・」


クリスタ「えへへ・・・・エレンには、こっちのツバメの刺繍のなんだ」



同じ包装された袋の中から、これまた小学生の使いそうなお守りを取り出した


再び取り出したお守りは、藍色をしておりツバメの刺繍が施されていた



エレン「・・・・・」


クリスタ「・・・・あのね、子供の為に一生懸命飛び回って食事を与える親の姿って、エレンにそっくりだなって・・・守りたい者の為なら、自分より強い生き物でさえ身を呈して守る姿も」



エレン「・・・・・」


クリスタ「あと一部の地方では、ツバメの巣のある家は安全と言われててね・・・・だから、ほら・・・家内安全のお守りだよ」


エレン「いくらだ?」


クリスタ「お金なんて取らないよ・・・そんな高価でもないし、プレゼントかな」


エレン「・・・・・一応、ありがとな」


クリスタ「うん・・・・じゃあ、夕食食べに行こ?お腹空いちゃって空いちゃって・・・先生から聞いたけど、和食なんだって」


エレン「先に行ってていいから」


クリスタ「・・・・・そっか」



エレンから感謝されたのは、いつ振りかな



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「そこの少女よ」


クリスタ「はい?私ですか」


「ちょっと話いいか・・・?」


クリスタ「え、会議ですか」


「違う・・・ちょっと立ち話でもなって」


クリスタ「・・・・?はい、良いですけど」





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昔の私は鈍臭いで有名だった


駄目なことに陥れば直ぐに泣くし、直ぐ立ち尽くす


自分が生半可で悠長な意識の低さが気持ち悪い


生きていることさえ恥ずかしい


自分自身に絶望し、どうしようもならない自分に嫌悪し・・・・心を痛めつけながら、私は何故ここまで生きてこれたのだろう。


又は、どうしてここまで成長してこれたのだろう

いや成長は既に止まっているが


言い方を変えるならば、成長したのだろうか



答えは簡単。1人の人間のお陰



『あ、あの!』

『ん・・・・あぁ昨日の』

『・・昨日は・・・あ、ありがとうございます』

『別に感謝されるほどの事はした覚えないんだけどな』

『うぅん・・・・そんな事ないよ。ありがと・・』

『・・・まぁ俺も有り難く感謝の言葉を受け取っておくな。どう致しまして』

『うん!』

『また困ったら俺に頼ってくれ』

『もう水は懲り懲り・・・』

『残念ながらこれからはまだ水にはお世話になるからな』

『あはは・・・はぁ・・・・』




『塾のテスト返却あったよね?』

『あったけど・・・それがどうした』

『私、何位だったと思う?』

『これまで通り10~15位くらいだろ』

『えへへ・・・なんと4位でした』

『そうなのか!良かったな』

『いつもみたいに撫でて!撫でて!』




『ね!今年の花火大会も3人で見に行こうね』

『わぁ!いいですね!お兄ちゃんは当然行くよね』

『お前ら2人で行かせるわけにも行かないからな』

『だそうです!えへへ・・・たこ焼きとか綿菓子とかたこ焼き・・・・それにたこ焼きが楽しみだなぁ・・・ね、お兄ちゃん』

『そんなたこ焼き大好きだったか?』

『ボケだよ!?冷静に対処されたら私は恥ずかしくて死んじゃうよ』


『死んじゃう!?え、えと・・・・な、なんでやねん・・・?』

『お兄ちゃん可愛い・・・』

『うん、かわいい・・・』




『駄菓子屋行こ』

『下校中の買い食いは行儀もマナーも悪いぞ』

『新しい苺味のパピコが入ったって、おばちゃんが教えてくれたの』

『別に俺、苺そこまで好きじゃねえよ』

『いいのいいの・・・私の好物なんだから』

『まぁいいか・・・』

『じゃあ走ろっか』

『真夏日に走るとか何が目的だよ』

『だって少しでも早く食べたいし・・・風が気持ち良さそうだもの』

『どうせ途中でバテて「おんぶして~」とか頼み込むだろ』


『その時はお願いね。大丈夫!私軽いで定評あるから』

『そうですかい・・・』

『じゃあ全速力で行くから!』

『バテる気満々じゃないか』




『お兄ちゃん、懐中電灯持ってきた?』

『なんでわざわざ外出て夜に空を見上げなきゃならないんだ』

『いいじゃん。2人は一緒に見れるかもしれないけど、私だけ1人だもの』

『そうだよ、お兄ちゃん?』

『そんならウチに泊まるか、そっちの家に俺達が泊まるかすれば良いだろ』

『やなの』

『ロマンティックの欠片もないよ』

『はぁ・・・』

『ほら、走るよ!天文台まで競走ね』


『ゆっくり散歩気分で良いだろ』

『むぅ・・・つれないなぁ』

『お兄ちゃん!走ろっか!』

『やなこった』

『お兄ちゃんのばかぁ・・・ぐすっ』

『な、泣くな!?わかった!走るから、一緒に走ってやるから!なっ?』

『えへへ・・・じゃあ急ごうね』

『ナイスだよ!』



『えと・・・あれはね・・・・うんっとね・・』

『あれだよね!金星だよね!』

『金星は日没後にはあんまり見えんぞ。金星が見えるのは明け方か夕方だ』

『じゃあお兄ちゃんは何が何だか分かるの?』

『そっくりそのまま、てっぺんからつま先まで覚えているわけではないが・・・少々惑星の本を読んだことあるし、有名なのは知ってるつもりだ』

『じゃああれは・・・?』


『ん・・・あっ、あれなら私も知ってるよ!』

『なんですか?』

『星屑』

『あそこの一際目立つの見えるか?』

『うん、見えるよ』

『じゃあ、俺の指を指したところ見とけよ。真っ直ぐに並んだ3つの輝き、あれとあれとあれ・・・』

『それで・・・?』

『その2つ目のサイドに少し小さいけど目立つ星があるだろ?』

『十字架みたいの?』

『そうそう。あれが白鳥座だ』

『・・・あっ!あそこの平方四辺形みたいな星は、琴座だよね?』

『ことざ・・・?』

『んで・・・あっちの傘みたいな星座が、わし座だ。その3つの星座で最も明るい星を・・・・って、ここまで言えば流石にもう分かるだろ』

『ベガとアルタイルとデネブね』

『おぉ・・・お兄ちゃん達の説明分かり易いね!夏の大三角形だね』


『正解だ。さすが俺の妹だ・・・可愛い』

『むぅ・・・何を兄妹でいちゃいちゃしてるのさ。というか可愛いは関係ないでしょ』

『・・・私も博識なお兄ちゃんで嬉しいよ』

『んなっ!二人とも抱き合ってずるい!私も!』

『抱き合ってない、抱き着かれてるだけだ。暑苦しい・・・死ぬ・・・・』

『来年も一緒に眺めよっか』

『先払いで明日でいいだろう』

『残念。明日は肝試し大会です』

『そうですね!明日が楽しみです』

『きもだめし・・・?あれか。根性を試すとかいう非科学的な遊戯か』

『あれ?やったことないの?』

『俺はそんな事信じてすらないから・・・無縁な遊びだ』

『じゃあまた明日の・・・9時に私の家の前に来て?お母さんの許可もらって3人で行こっか』

『賛成です!』

『はいはい・・・いくら拒んだって、お前達は言葉を曲げないからな』




あの頃は楽しかった


家に帰ったら、まずは宿題より外に足を出していた


時には7時にランドセル背負って帰って怒られたりもした


毎日毎日・・・3人で遊んだ


私の記憶には助けてもらったり、助けたりもしたり・・・

生活を共にすることで自信や勇気、知識や好奇心


彼らがいることで学べた。


あの日、あの時、あの場所、あの人が私を助けてくれたから・・・・私の目の前は全てがモノクロから色彩に満ちた華やかな世界へと一変した


私が困ったら、あなたは直ぐに駆けつけてくれる

勇気をくれる、励ましてくれる、助けてくれる



無くてはならない・・・私の目であり、口であるとも称してもいい


私にはそんな親友が2人いた

そんな仲良しな2人の兄妹が


兄は表面上ただの不貞腐れ屋、だけど知った人は分かる

彼は誰よりも優しい、簡単に身も捧げれるような人間


妹は見た目通りのおっとりさと天然な可愛さの持ち主

自分の座っている椅子でさえ親切心を振りまく程の度が過ぎた最上級の優しさ


私はその親友の兄には特に執心していた


兄は私の一番の理解者で信頼できる友人関係で、親友で、ある意味半身で・・・相容れない者でした


私の提案には大抵、『面倒』『なんで俺が』『嫌だ』と時には難癖つけて拒む

でも、彼は言うんだ




『そんな悲しそうな顔するなよ』



その言葉を言った後は、必ずと言ってもいい程・・・・私の提案に賛同してくれる


明らかに私が間違ったことをする以外は、いつもそうだった


彼はその恐るべき聡明さにより私のすべてを見抜いていた


殻にかぶり、鏡をはり、自分を見せず、周りの景色に合わせ、自分を空気にして過ごしていた


そんな私が嫌いだと、昔彼に言われたことがある


完全に欺き、せしめている

私の空間は、彼にだけは通用しなかった


どんだけ演技したって、素の私を見ていた




そんな強気に演じなくていい。

辛いなら辛いと言え。

お前はお前だ。

お前が周りをから孤立したって、俺は傍にいてやるから。



そんな、私の唯一の味方はいつか味方じゃなくなるなんて・・・・思いもしなかった



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ーーー




人生には悲しみは付きものだ



俺は人間というものが見当つかないんだ


ある日を境に他人を自分を本当に嫌いになった時期が一度あった


愛しさとか、哀しさとか、恐れや不安・・・


誰もが当たり前にように有している感情に俺は恐縮した


人を殺めたら、こんな気持ちなんだろう


他人の人生を壊しかけた人間が、自分で自身の人生を壊した


間違いがあるのか、自業自得だろう


なのに、壊れたものを拾い集めて・・・縫い合わせ、時には足りない布で合わせて・・・・



また俺を作り直そうとしている者がいる


本当に人間というものが見当つかない



「そこの少年よ」



腕を組み、如何にも偉そうで上から目線な態度でものを言う低身長の眼鏡の女性



エレン「なんだよ」



不貞腐れた口ぶりで応答する


俺は心の葛藤に正に押しつぶされそうなんだ


「ちょっと立ち話でもしないか?」



エレン「就寝時間まで、あと数分しかないぞ」


「大丈夫だ」


エレン「・・・・で、なんだよ。改まって話なんて?リコさんなら俺の電話番号くらい知ってるだろ。時間ないなら電話でも構わないが」



そこに仁王立ちしていた女性は、言葉に女性として多少の難があるリコさんでした


雰囲気で違う


そんな曖昧で霞のようなモヤモヤした感じがした

言葉に棘があるわけではない

態度は特に代わり映えのしない



リコ「口で言った方が早い」


エレン「で、なんだ?」



俺は早めに終わらそうと急かすように応対した



リコ「入学当初の話をしようか」



何を掘り返したのか、それは俺が問題を起こした日


何度も話題として聞いた話


結果として、噂はもう聞かなくなった過去話



エレン「その話なら1から100まで話し合ったと思うが」


リコ「お前が保健室に来た後に、”2人”の人物が来たと話したこと覚えてるか?」



実に懐かしい・・・・アニと決別し、中を取り持った時の話だ



エレン「あぁ聞いたぞ。その時は絆創膏と消毒液をアニが持ってきたんだろ」



リコさんは小さく頷き、組んでいた手を解いた


そして、俺の前に人差し指を一本立ててある事を聞いてきた



リコ「あぁそれは話した。よく覚えてるな・・・・で、本題・・・もう1人は誰が来たと思う?」



その人差し指は、もう1人というのを表していた


その1人というのは、そんな大事なことなのだろうか


わざわざ手で表してまで、表現しなくてはならないものだったのだろうか



エレン「なんで今頃になって、そんなことを掘り返してくるんだよ」



リコ「私は”今頃になって”そのことに不信感や疑問を感じてきたんだ」



さて・・・何の事だか、何が言いたいのか

主語がなくて、何が言いたいのか伝わらない


だが、1つ筋が通っているのは確かだろう

だって、こんな真面目なリコさんの話す事を疑うなんて気違いじみている



エレン「は?なんで『今』なんだよ?」


リコ「その答えはのちに分かる。で、誰が来たと思う・・・?」


エレン「俺が怪我させた奴か」


リコ「不正解だ」


エレン「じゃあ初日に怪我したどこぞの誰かだろ」



ある程度、そんな会話を繰り返したら、リコさんは口をつむらせた


どうやら俺の言った答えは違ったらしい



10秒程無言が続き、リコさんは「じゃあ・・・」と口を開いた



リコ「・・・・・お前はあの生徒会長とは仲が悪そうじゃないか」


エレン「・・・・・。・・・なんで今そのことを話さなきゃならないんだよ」



言葉通り。リコさんには関係ない事


なぜ言わなくてはならないのか

他人事に首を突っ込む人間は理解出来ない



俺が言えたことではないが

自分がその立場になると、どうしても理解し難い


だって、俺が他人事に首を突っ込む時は人を助ける時だけだから



・・・・・・・。



人を助ける時・・・・?



リコ「さぁ、どうしてだろうな」



答える義務はない


だが、答えなきゃリコさんは折れない気がした

気がしたんじゃない。



折れないって俺はこの約1年でリコさんの知る事が出来たから、そんなことが断定出来るんだ


エレン「仲が悪いわけじゃない。あいつと俺は違う次元の人間なだけだ。距離を置いて何が悪い」


リコ「その意見を私が聞いたのを踏まえた上で私はある事を言う」



「私も一応教師の端くれだ」



エレン「それがどうした・・・?」


リコ「知ってるか?成績や身長体重、資格に入っていた部活に委員会まで・・・個人の情報は学校を卒業しても数年は、その学校の情報として残るんだ」


エレン「・・・・・そうなのか」


リコ「ならば、もう一度言う。私は一応教師の端くれだ」



何が言いたいのか分かった



エレン「・・・・・・」


リコ「意味が分かっただろ・・・?」



いや・・・薄々分かっていた



エレン「・・・・俺の学校に残ってる個人の情報は、教師であるリコさんなら知れるということか」


リコ「・・・・・・あとは分かるだろ?さっき問いかけた私の言葉の全てが」



リコさんのかけた言葉の全て


・入学当初、保健室に来た2人のうちの片方


・クリスタと仲が悪いとの事


・俺の個人情報を知っている、若しくは知る事が出来る



そして、”今頃になって”この全てが気になりだしたということ



リコ「なぁエレン・・・・お前は何を私・・・いや、私達に隠しているんだ!お前が中学1年の頃に何があったんだ!?」



リコさんは、俺の肩をその勉強でしか使ってこなかったようなひ弱な腕でギュッと掴んできた


あまりの事に後ろ足下げ、たじろぐ



リコ「なぁ、私にも言えないことか・・・?私には役者不足か・・・?」



リコさんは場違いな笑顔を見せた


必死な顔なのに笑顔で・・・・まるで問題児を諭すような



エレン「・・・・・ったんだよ」



リコ「・・・・え・・・今、なんて・・・・・・・」



エレン「どこまで知ってんだよ!!」



エレン「なぁ!答えろよ!!黙ってないで答えろよ!!」



非情なくらいに声を張り上げた



駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ



頭の中は壊れたレコードのように何度も何度も再生される


胃の中のものが逆流し口から吐き出されそうだ

腹の力を抜いたら、食堂をあっさり通り抜け我慢できないだろう



エレン「・・・・っ・・・・く・・・」



何が”駄目”なのか




俺は・・・・リコさんから・・・



絶対に・・・嫌われたくない・・・・っ!




エレン「・・・・なぁ、答えてくれ・・・・・・」



歯を必死に噛みこんだ


大粒の生暖かい水滴が頬を伝う



もはや粒ではない・・・


頬を伝った水滴達は、鼻の横を通り、ほうれい線を伝い、顎に到達し・・・・涙とは考えられない速度で、ぽたぽたと落ちていく


胸が痛くて痛くて堪らない


情けない顔をしているだろう


必死な気持ち悪い姿をしているだろう



リコ「私が知っているのは、お前がクリスタと親友で、中学1年で孤独に陥ったたいう事だけだ」


エレン「嘘だ・・・」



リコ「・・・・・」


エレン「嘘つくな・・・・」


リコ「嘘じゃない」



これ以降、話はなかった


気付いたら、肩を強く握り締められていた手は解かれていた


リコさんは目線はずっと下げなかった


ずっと俺を見ていた



そして消灯時間が近付き、そのままリコさんを置いて俺は部屋に戻って、眠りについた


俺は罪悪感に溢れていた



ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー



クリスタ「おはよう、エレン」



屈託の無い笑顔


朝から縁起が良いような


拝んだから富みがありそう



エレン「・・・・早いな」



昨日は二度も泣いた所為か瞼が重くて疲れている


目尻が痛い



クリスタ「エレンは昨日は遅かったね」


エレン「・・・・・まだ寝たい」



幼稚な子供のように駄々を捏ねる様に瞼を擦り告げる



クリスタ「珍しいね・・・でも今日は雪道の散歩だよ」


エレン「はぁ・・・・朝風呂行ってくるから、洗面所使えないからな」


クリスタ「ん、わかった・・・」


エレン「・・・・・」


クリスタ「エレン・・・これ、ありがと」



クリスタは腕を突き出して、手首を見せつけてきた



いや、明確に言えば・・・手首に付けている”あるもの”を見せつけてきた



エレン「・・・・・」


クリスタ「もう忘れられてるかと思ってたよ」


眉は中央により、口角は上がっている

頬は紅く染まっていた


哀しみなんて無縁な表情


幸福感しか見えない


なんせ今日が今日であるから


今日である事に意味がある




エレン「誕生日おめでとう」


クリスタ「うんっ・・・・ありがと」



ニコッと笑う笑顔は綺麗という言葉では収まらないほど、明るく眩しい


人生の真理として1つ言うのなら・・・


頬の色合いで、その人の感情の気持ちの入れ具合は変わってくる



クリスタ「大事にするから・・・このミサンガ」


エレン「願いが叶うといいな」





昨日ペトラ先生と一緒に選び買ったミサンガを、もう片方の手でクリスタはギュッ握り締めて、目を閉じて・・・


真っ白な歯を見せて、クリスタは




「うん・・・本当に」


と、言いました



どこか切なく、緩くも優しい声でした

今回はここまでです

読んでいただきありがとうございました

すみません!今か書き込んだら復活したので、そっちでかきますね!

申し訳ありませんでした!!
削除依頼の仕方、知ってる方教えてください
もしくはしていただけるなら嬉しいです

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