とある電撃使いと御坂美琴 (137)

超電磁砲SSですが、オリキャラ視点ですので注意してください






とある高校の教室

女子生徒A「ねえねえ聞いてよ、私この間さあ…
とうとう、街でみかけちゃったんだよねあの噂の有名人を!」


女子生徒B「有名人…?いったい誰のことよ?」


女子生徒A「御坂美琴よ御坂美琴!!あの御坂美琴が街で友達といるとこ、偶然みちゃったのよね!」


女子生徒B「御坂美琴って…あ、あの常盤台のエースのこと!?学園都市3位の!?」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1396087406

女子生徒C「へえ、いいなあ~、私、いままでみたことないんだよね」


女子生徒A「なんかさあ、不良にからまれてた子を助けてたところだったんだけどさ、
電撃の能力で、一瞬で相手を倒してて、ほんと格好よかったわ!!」


女子生徒B「ああ、そういえばよく、街で暴れてる犯罪者とか不良を倒してる、って噂聞くけど、ホントなのねぇ」


女子生徒C「あー、知ってる。前話題になったレベルアッパー事件とか、ポルターガイスト事件とか…
あの辺の事件を解決したのも、御坂さん、って噂もあるわよねえ」


女子生徒A「そうそう、ジャッジメントやアンチスキルがお手上げの事件も一人で解決するなんて
カッコいいよね!!この間も、ジャッジメントが来る前に一人で不良を倒しちゃっててさ!」


女子生徒B「すごいねえ…私たちより年下なのに…やっぱ常盤台中学のエースとなると違うわねえ…」


女子生徒C「まあ私たちとは、住む次元が違うんだからしょうがないわよ…だってレベル5よレベル5!?
そもそも生まれもって来たものが、私達とは違うわけだから…」


女子生徒B「中学じゃあ、彼女を中心とした派閥もすごいらしいし…取り巻きの子も常に沢山いるらしいしねえ…」


女子生徒A「うんうん、本人も眉目秀麗でカッコいいし、いやあ人目見れただけで感激だったわ!
まさに、学園都市のヒーローって感じで…」




………


?「けっ…何が御坂美琴だよ…くっだらねえ…」







女子生徒A「そうそう!なんかもう、まさに正義の味方!って感じだったわよ!」

………


女子生徒B「…は?」


女子生徒A「……何よ、抱剛……なにが、くだらない、ってのよ?」


……

抱剛「いやあ、何がも糞も…その御坂美琴を、そんな風にして褒め称えてるお前らどもだよ、ホント。
…所詮は中学生の糞ガキをアイドルみてえに…高校生にもなってみっともねえと思わねえのかねえ…

あんな女…所詮は大したことねえ、ってのによ」


女子生徒C「んな…、そんなことアンタに関係ないじゃない!!何よ、私らの会話に入ってこないでよ!!」



女子生徒A「そうよ!それに、大したことないって、どういうことよ!!

彼女は学園都市に7人しかいないレベル5……能力者として、とんでもない才能をもって生まれた子なんだから!
御坂さんが、そんじょそこらの中学生とは違うことくらい、アンタだって…!!」



抱剛「あーあー、だからよお…その辺の手前らの、奴に対する間違った認識にイライラすんだよ俺はよお!!」



女子生徒A「はああ!?何いってるのよアンタは!?間違った認識って…いったい、何のこと言ってるってわけ!?」

抱剛「御坂美琴が能力者として、生まれつきとんでもない才能をもっていた…?ははっ、冗談だろ!?
奴はなあ…もともとレベル1だったって話じゃねえか!もともと、高位の能力者だったわけじゃねえ…

…努力して、レベル5になったクチだ!元々は、他の何十万、何百万といる凡人と一緒なんだ、間違えんなよ!」



女子生徒C「あ、あー、それは知ってるわよ。そういえば能力開発の先生がそんなこと言ってたような…」


女子生徒A「え!?そ、そうなの!?もともとは、私と同じ能力レベルだったわけ!?」


女子生徒B「…え、アンタ、一番騒いでたくせにそんなことも知らなかったわけ…?」



抱剛「それになあ!さっきの手前らの会話も間違いだらけなんだよ!!
常盤台中学で、御坂美琴の派閥があって、取り巻きの子が沢山いるだと!!
ふざけんな、あんな奴の派閥があるわけねえだろ!!そりゃ、おなじレベル5の食蜂って奴の間違いだろうが!」


女子生徒B「あ、あー、そうだったかも」


女子生徒C「え、けど、それじゃあ御坂さんの派閥、ってないの!?常盤台中学って派閥争いがどうとかよく聞くけど…」


抱剛「はん!派閥争いとかは、一番奴が嫌いなところさ!!
それに、普段一緒にいる奴らは、奴の取り巻きなんかじゃなく、友達って話だ!!わかったか!!」


女子生徒B「へ、へえ…そうなんだ」

抱剛「それになあ…レベルアッパー事件やポルターガイスト事件を御坂美琴一人で解決したとか言っていたが…
ばっかじゃねえのか!!

確かに事件解決に奴が関わってる、って話だが…奴一人で解決したわけじゃねえ!
奴の周りの仲間の助けがあってこそなんだよ!!そこんとこ間違えんな!!」


女子生徒ABC「…………」


抱剛「普通、レベル5級の実力がありゃあ、一匹狼になるか、取り巻きの部下を従えるくらいが普通だがなあ…

なんていうか…奴は…アレだからな!!レベル5の癖に低級の能力者だった期間も長かったせいか…
仲間のことを重んじてて……奴に協力する仲間も多いって話だ!!まったく、ふざけた野郎だよ、本当に…


それになあ…!!」



女子生徒A「ねえ…抱剛…」



抱剛「はああ!?あんだよ!?一体!?」



女子生徒A「あんた…やけに詳しいのね…御坂美琴さんのこと…」

抱剛「はああああああ!?な、何言ってやがんだてめえ!!そんなわけねーだろうが!!
こんなもん常識の範囲だろうがよおお!?」


女子生徒A「いやいやいや…確かに御坂さんは有名だけど…そんなこと、
普通に暮らしてるだけじゃ、流石に知らないって…」


女子生徒B「ははーん…そーいえばアンタも『電撃使い』って話だしい…
ひょっとしてアンタ、御坂さんの隠れファンなんじゃないの!?」


抱剛「んな…何言ってやがんだ!!そんなわけ…」


女子生徒C「ホントホント、ゴリラみたいなデカイ図体してるくせに…
影でコソコソ御坂さんのこと、アイドルみたいに称えてるのは、アンタなんじゃあ…」


抱剛「ふざけんなああ!!んなわけねえ、っていってんだろうが!!誰が、あんな中学生の糞ガキを称えるかよ!!
くだらねええ、つきあってらんねーな、もう帰らしてもらうぞ俺はっ!!」ガラッ


女子生徒A「あ、逃げた」


教室を後にする抱剛……

女子生徒A「なーによあれ…うっざー」


女子生徒C「ホントホント…キモイよねえ…あ、けどさあ…抱剛の奴が『電撃使い』って話、本当なの?
私、初めて聞いたんだけど」


女子生徒B「ああうん、それはホントらしいよ…あいつと中学が一緒だった子に聞いたんだけど…
当時は『電撃使い』の中でも、かなり高位の能力者で、レベル5候補としても期待されてたって…」


女子生徒A「えー、うそ、信じられない…あのゴリラが…!?それは流石にガセなんじゃあ…」


女子生徒B「けど、当時は、結構いたらしいよ、『電撃使い』でレベル5候補として期待されていた能力者の子が…」


女子生徒C「へえ…あのゴリラがねえ…初耳だなあ
あ、…けど、実際にレベル5になったのは御坂さんってことは……」


女子生徒B「あーー、やっぱ隠れファンなんかじゃなくて、恨んでたりするのかねえ…御坂さんのこと」


女子生徒A「年下のレベル1だった女の子に先を越されちゃあねえ…けど、その割にやけに
御坂さんのこと詳しかったみたいだけど……」



………………

………………


都市郊外を歩く抱剛……


抱剛「くそ……あのブスども…」


抱剛「(俺が、御坂美琴の隠れファン、だって…?ふざけてんのかアイツらは……)」


抱剛「(ファンなわけねーじゃねーか、ふざけんな…!アイツは…アイツのせいで俺は……!!)」


抱剛「(俺は…)」


抱剛「ん……?…なんだありゃあ…」



…………

佐天「だからあ、そんなとこでたむろってたら、みんなの通行の邪魔でしょうが!
迷惑なんだから、はやくどきなさいよ!」


不良1「はあん!?何いってやがんだこのクソガキは…ジャッジメントでもねえ癖に…」


不良2「そんなもん手前に関係ねーじゃねーか!とっとと消えろ、クソガキ!」


佐天「関係ないって…関係ないことないでしょうが!!アンタ達がたむろしてるせいで皆が迷惑して……

キャ、ちょ、ちょっと離してよ!!」


不良3「あーもう、わかったわかった、ようはお嬢ちゃん、俺らにかまってもらいてえわけだ…」


不良1「あーなんだそーいうことかあ…そんなら、早く言ってくれればよかったのに…」


佐天「そ、そんなわけないでしょうが、ちょ、いいから!は、離してよ!」


不良2「なーに、言ってんだよ、離せと言われて離す奴がいるわけねーだろうがよ、お嬢ちゃん、ははは!」


…………

抱剛「(なーにやってんだ…あの女は…)」


抱剛「(見たところ一端の能力者でもないみたいだし…なんの力もねえ奴が、あんな連中に
からんだらどうなるかくらい…わかんねえのかよ)」


抱剛「(ま、いーや……俺には関係ないし…かかわらねえようにしとこう…)」


抱剛「(………まてよ)」


抱剛「(あれ…昔……同じようなことがあったような…)」


抱剛「(………)」



……………

佐天「離してって、離してってば!!」


不良2「はん!ふざけんなクソガキが…!その制服…柵川中学か…ろくに能力もねえ中学生のガキが
俺達にお説教か…ったく、なめられたもんだぜ」


不良3「ジャッジメント気取りもいいけどよお…あんまりナメた真似してるとどういうことになるか…
たっぷり教えてやんよ!!」


佐天「え…ちょ…きゃあああ…だ、誰か…」


ビリビリビリビリビリイイ!!


不良達「ぐあああああああ!!」


電撃を浴びて倒れる不良達…


…………


佐天「…え?」


佐天「急に電撃が……?

……あ、ってことは、もしかして、御坂さんがっ!?」


後ろを振り返る佐天


佐天「……って、あ、あれ…??」


佐天「(み、御坂さんじゃ…ない…?今の電撃……助けてくれたのはこの人?…だ、だれ??)」


抱剛「(……………な、な…)」


抱剛「(……………な、なにやってんだ俺は…?)」

初春「あ、さ、佐天さーーん!?」


佐天「あ、初春!?」


初春「待ち合わせ場所にいないと思ったら、こんなとこにいたんですか!?
それにこの倒れてる人たち……もしかして佐天さん…私が来るまでの間、また何かやらかしたんですか!?」


佐天「や、やらかしたって…、ち、違うよ初春!私はただ…」


初春「それにええっと佐天さん……この人は…??」


抱剛「……………」


佐天「え、ええっと…実は」


抱剛「(ほんと…何やってんだ俺は…)」


…………

とあるカフェ


初春「んもう、佐天さんてば、いつもいつも軽率すぎますよ!!……助けがなかったら大変なことになってましたよ!
あ、ええっと…」


抱剛「……抱剛だ」


初春「そ、そう!抱剛さんの助けがなかったら大変なことになってましたよ!!まったく」


佐天「ごめんごめん初春……、いやあ、それにしても、
助けてくれてありがとうございました、ホント助かっちゃいました!これ、助けてくれたお礼にどうぞ!」

注文したケーキを差し出す佐天…


抱剛「…いや…俺は別に…あの…」


佐天「いやいや、そういわずにっ!!助けてくださったお礼ですからっ!!」


抱剛「(…………)」


抱剛「(なんで俺は中学生のガキにケーキをおごられてるんだ…)」

初春「それはそうと、佐天さん!いつも言ってますけど、今後はこんな軽率な行動はひかえてくださいよ!
何かありましたら、ジャッジメントに連絡してくだされば、対応しますから!」

佐天「いやあごめんごめん、初春!今後は気をつけるよ、いやホント!」


初春「あー、その感じは、まったく反省してないでしょお!まったく佐天さんは!もう知らないですからっ!」


佐天「あー、怒んないでよ初春ってばあ!!大丈夫大丈夫、ちゃんと反省してるからさあ!!」


抱剛「あの…ひとつ聞いてもいいか?」


佐天「え?私ですか?なんでしょう?」


抱剛「なんで…あんな真似したんだ?」


佐天「え、なんでって……ええっと、道でたむろしてる人たちを注意したことですか?」

抱剛「アンタは見たところ能力者でもないようだし…花飾りの子が言っているように…
一歩間違えれば危険な目にあってたと思う……それなのになんで…」


佐天「なんでって、それは……うーーん……」

佐天「あー、きっと、憧れの先輩の、「真似」をしたんだと思います」


抱剛「…真似?」


佐天「ええ、私には、憧れてる先輩がいるんですけど…、その人だったら、当たり前のようにそういう行動にでるだろうなって……だから、私もそれを見習ったっていうか…あやかった、っていうか…あはは」



抱剛「(憧れの先輩…)」


佐天「その先輩は、普段は子供っぽくて…友達みたいに接しやすい人なんですけど…
いざというときは、その…とってもカッコよくて……ヒーローみたいな…とにかく、私の憧れの存在なんです」


抱剛「…けど、その先輩ってのは、能力者なんだろう?それなりの力をもった…」


佐天「ええ、確かに、その、高位の能力者なんですけど…、けど、仮に私みたいな無能力者だったとしても
…困ってる人や悪い人を見過ごさないような心の強さを持った人なんで……

なんか、私も少しでもその先輩に近づけるようにって……あ、あはは…

私の場合、結局皆に迷惑かけちゃってるだけなんですけど…」


抱剛「……………」



……………


初春「………あ、そういえば、遅いですね、白井さんと…御坂さん」

どんがらがしゃあああああん!!!


初春「きゃああああ!」


佐天「ど、どうしたんですか!?抱剛さん!?きゅ、急にずっこけて!」


抱剛「え、あ、いい、いや!す、すまん、急に足をふみはずしてっ!」


初春「ふ、踏み外してって…す、座ってたのにですかっ!?えらい器用ですねっ!」


抱剛「あ、ああいや!ホントすまん、そ、それよりええっと、その」


佐天「あー、それはそうと……確かに今日は遅いね、白井さんと御坂さん…
って、あーー、初春……もしかして、私がさっき話した『憧れの先輩』って、誰のことか…気づいてる?」


初春「そんなの当たり前ですよ。そんな正義のヒーローみたいな人、御坂さん以外に
いませんからね!…あ、けど、普段は子供っぽいって、言うのは聞き捨てなりませんでしたかねえ…

御坂さんが来たら言いつけて…」


佐天「あ、ちょ、ちょっと初春!何言ってんだよ!んもう、そんなこと言うなら今ここで
ちゃんとパンツはいてるかどうか確かめてやるわよっ!」


初春「きゃああああ!ちょ、ちょっと佐天さんっ!カフェでスカートをひっぱらないでくださいっ!!」


抱剛「あ、あの!ちょ、ちょっとすまん!!ひとつ聞いていいか!?」


初春・佐天「はい?」

抱剛「そ、そそ、その、アンタ等が言う…御坂、っていうのは、ひょ、ひょっとして…」


初春「あ、えーと、それは…」


佐天「あ、ひょっとして気づいちゃいました?そう、私達の御坂さんは、あの御坂さん!
学園都市3位にして常盤台中学のエース、あの御坂美琴さんなんですよ!!」


初春「ちょ、ちょっと佐天さんっ!?」


佐天「別にいーじゃない初春、こんなの隠すような話じゃないし…
それにたまには『お友達自慢』するくらいいーでしょ?」


初春「ま、まあそれはそうかもしれませんけど…」


抱剛「(な、な、なんてこった…こいつら…御坂美琴の知り合い、なのか…!?
それで……この後…ここに御坂美琴が……来る……だと…??)」

抱剛「」がくがくがく……


佐天「って、あ、あれ?抱剛さん…?ど、どうかしたんですか…なんか…震えてません?」


初春「気持ち額に汗がにじんでるきてるような…」


抱剛「は、…い、い、いや…別に俺はそんな…!!」がくがく…


初春「い、一体どうしちゃったんですか…急に…?みるみる顔色も悪くなっていってるような…」


佐天「(御坂さんの話をした途端に…)……はっ!!ま、まさか抱剛さんっ!!」


抱剛「えっ、な、何!?」


佐天「もしかして、抱剛さん…御坂さんの隠れファンなんじゃあ!?」


抱剛「は、はああああああああ!??」

初春「え、え、なんでそうなっちゃうんですか、佐天さん??」


佐天「だってさ初春!抱剛さんも『電撃使い』の能力者でしょ!?だから、『電撃使い』の頂点の御坂さんの
ファンになっててもおかしくないでしょ!?」


抱剛「な、ちょ……違……」


初春「はっ、もしかして、急にふるえだしたのは、ここに御坂さんが来ることがわかって緊張しちゃって…」


佐天「グット!」


抱剛「グットじゃねえええええ!!何言って、お、俺は、違…、そんなんじゃあ…

も、もういい!俺は、帰らしてもら…」


佐天「まあまあまあまあ…いいじゃないですか、せめて御坂さんが来るまでいてくださいよ抱剛さん!
御坂さんが来たら、私が間を取り持ってあげますからっ、助けてもらったお礼です!!」


抱剛「い、いやいやいや…違う…それは、ホントにそんなんじゃあ…」

初春「(けど、佐天さん…、抱剛さん…なんか本当に嫌がってるように見えますけど…)」ひそひそっ


佐天「(バッカだなら初春…照れてるだけだって!ほら、見るからに感情表現が不器用そうな人でしょ!?
ここは私達が抱剛の気持ちを汲んであげないとっ)」ひそひそっ


初春「(なるほど、そういうことですねっ、わかりましたっ)」ひそひそっ


初春「そうですっ!もう少しここにいてくださいよ抱剛さんっ!!大丈夫ですっ、
もう少しで御坂さん来ますからっ!!まあ、御坂さんのほかに、白井さんって方が
きて、その人は若干邪魔かもしれないんですけどっ!!

大丈夫、私達がなんとかしますからっ!!」


佐天「ええ、大丈夫です抱剛!!抱剛さんの気持ちはわかってますからっ!!
ここにいてください、ねっ」


抱剛「ちょ、違っ、わかってねえええ……俺は…俺は…っ!!」がくがく…

(や……やばい…全力でこの場を立ち去りたいのに……
緊張で振るえがとまらくて……思うように席を立てない……!!

……くそ……いつもの『癖』が……!!)」



抱剛「(…お、俺が御坂美琴のファン…憧れてる…!??

どいつもこいつも…何言ってやがる……そんなわけねーじゃねーか!!

アイツは御坂美琴は………!!!


俺の人生を台無しにした張本人なんだからよおお!!!!)」


……………


……………



…………


…………今から数年前



とある『電撃使い』専用の研究所


研究者1「この間の『身体測定』の結果…また能力値が若干あがっていたようだな」


研究者2「最近ずいぶんと調子がいいみたいじゃないか、研究所内でも話題にあがってるぞ、抱剛」


抱剛「へへ…、まあ、当然っちゃ、当然だろうな……なんせ俺は、この学園都市で星の数ほどいる
『電撃使い』の頂点、になる男だからな」


研究者1「ああ、違いない…確かにお前ならなれるかも知れない……
『電撃使い』の中で初のレベル5、にな!!」


抱剛「ああ、見ておけよ…!どうやら、俺のほかにも、『電撃使い』でレベル5候補と呼ばれてる
レベル4の連中がいるみてえだが…俺がそんな連中を蹴散らして頂点に立ってみせるからよお!」


研究者2「ああ、期待してるぞ、抱剛!」


……………

……………


研究所の通路を歩く抱剛


抱剛「(ははっ、完全に上り調子じゃないかっ、俺はっ!!)」


抱剛「(このままいけば、俺が『電撃使い』初のレベル5になることは確実…!
このペースでいけど、数年後には必ず……)……ん?」


抱剛「…なんだ…?あのガキは…?あんな奴、この研究所に出入りしていたか…??」


通路の先にいる研究者と一人の女の子をみつける抱剛

…………

研究者「…しての力を解明し『植えつける』事ができれば筋ジスト…服することが……しれないんだ」


女の子「………」


……………


抱剛「(……なんだ…?何を話してやがる…?)」

…………



研究者「君のDNAマップを提供してもらえないだろうか?」


美琴「……うんっ」


……………



抱剛「(……DNAマップ…?DNAマップ…だと?)」


抱剛「(なんであんな見たこともねえ、小さなガキのDNAマップを、研究所が必要としてやがるんだ…?


一体……)」



……

…これは、後の『電撃使い』の『頂点』、レベル5『超電磁砲』御坂美琴と……

『電撃使い』の『秀才』、抱剛駿夜(ほうごうしゅんや)がほんの少しだけ交差した時のお話…

今日はここまでで。オリキャラは狂言回しに近いので名前とか覚えなくていいです。

美琴「悪の華……ですって?」の作者さん…?


再開



翌日


『電撃使い』の研究所


研究者1「DNAマップ?その女の子の?」


抱剛「ああ…、一体何のプロジェクトなのか…心当たりはねえのか?」


研究者1「さあ知らんね。そもそもこの研究所には、電撃使いに関連する研究施設が何棟もあるわけだし、
いちいちどこの部署がどんな研究をしてるか、なんて把握してないしなぁ」


抱剛「じゃ、じゃあ、そのガキに関して、何か知ってることは…」


研究者1「そんなことわかるわけないだろうが。だいたい、この施設内に出入りしている被験者なんて、
お前を含めて何人いるとおもってるんだ?」


研究者2「そうそう、お前がたまたま施設内で見かけた女の子の話なんて、いきなり聞かれても
答えられるわけないだろう?」


抱剛「そ、そうか……そうだな…」


研究者2「……抱剛。お前一体、何をひっかかってるんだ?」


抱剛「あ…いや…俺はただ…」

研究者1「どうせ、その見ず知らずの女の子が自分のライバルになるんじゃないか、
って気になっているんだろう?

そりゃあ、DNAマップの提供を頼まれるほどの子だというんだから無理もないが…
まったく、くだらん話さ。なあ、抱剛。一体何を恐れる必要があるんだ?」


抱剛「お、恐れる?何言ってやがる、違う、俺は…」



研究者1「まあ聞けよ。昨日も話したとおもうが…お前はいずれ、『電撃使い』初の
レベル5になるだろうほどの男なんだ…
…それほどの男が、どうして、施設内でたまたま見かけたような、小さな女を気に掛ける必要があるのか?」


研究者2「ああ、だいたい、『電撃使い』の研究は幅広いからな。
研究内容によって、必要なデータもさまざまだ。

たまたま研究の過程で、その子のDNAマップがほしかっただけなんだろう
お前が気にするような話じゃあないさ」

抱剛「そ、そうか…そうだよな…はは……ま、まあ別に気にしていた、という話でも
ないんだが……まあいい…今日は俺は帰らしてもらう。それじゃあな」

研究室を後にする抱剛…


……………
……………



研究者1「……はあ、それにしても、抱剛のあの『気の小ささ』は…どうにかならないものかね…」


研究者2「まったくだ…体格に似あわず、困ったやつだ……実力はあるんだから…
もう少しどっしり構えられないものかね」


研究者1「まあいいさ。それより、例の『企画』の件……抱剛を『参加』させる、ってことでいいんだよな?」


研究者「ああ、所長に既に許可を得ている…これで少しは自信をもってもらいたいものだがね」



…………

…………

学園都市郊外


抱剛「(……そうだ…何を気に掛ける必要があるんだ…?)」


抱剛「(俺は、将来、レベル5に…『電撃使い』の頂点に立つ人間…
それがなんだ!あんなどこの馬の骨ともしらないガキを気にかけて…)」


抱剛「(だいたい、DNAマップなんざ、俺だってこれから腐るほど提供することになるはずなんだ!
レベル5になりさえすれば…、頂点に立ちさえすれば…

そうさ、決して、あんな小さなクソガキに遅れをとっているわけじゃあ…)……ん?」


抱剛「アイツは……!」




…………

小学生1「それじゃ、バイバイ美琴ちゃん!」


小学生2「またね、また学校でね」


美琴「うん、またねーバイバイ!」


美琴「……さて、それじゃ寮に帰る前に、近くのゲーセンでゲコ太ガチャでもして……

って、え?」


抱剛「………おい、お前」














………


美琴「え、ええっと…?」


抱剛「この間、『電撃使い』研究所にいた子供だな…」


美琴「そうだけど……、お兄ちゃん、誰?」


抱剛「俺は………俺は、抱剛というモンだが…おまえこそ、名前はなんていうんだ?」


美琴「えっと、お兄ちゃん一体…」


抱剛「いいから!質問に答えろ」


美琴「えっと、御坂……御坂美琴だけど」

抱剛「………、(やっぱり聞いたことねえ名前だ)」


美琴「えっと、あの…」


抱剛「それで…?お前も、あの研究所に出入りしてる、ってことは…一応は電撃使い、ってことでいいんだよなあ?」


美琴「…そうだけど」


抱剛「レベルは?」


美琴「え?」


抱剛「いいから、お前のレベルは?いくつか、って聞いてるんだよ!?」

美琴「えっと……2、だけど」


抱剛「は?」


美琴「だ、だから、レベル2、だって言ってんの」


抱剛「(れ、レベル2……??)」

抱剛「……………、」ぷるぷる…


美琴「……??…お、お兄ちゃん?一体、どういう…」


抱剛「あははははは!!」


美琴「え……」


抱剛「ははは…、そ、そっかそっか…レベル2か…!
なんだそうかそうか……!ははははは!こりゃおもしれえ!

で、DNAマップの提供を頼まれるくらいだから、レベル3以上は堅いと思ってたが…ははは!」


抱剛「(なんだよ!やっぱ、俺の杞憂だったか……そりゃあ、そうだ、こんな見たこともねえ
クソガキが、俺のライバルになるなんてこと、あるわけねーもんな!!)」


抱剛「はあはあ…ああ、すまねえな、呼び止めて、もう行っていいぜお前。
お前に対する俺の用は、これでもう完全に済んじまったからな」


美琴「ちょっと…」


抱剛「あ?」

美琴「なんなのよ急に、人のレベルを聞いた途端、大笑いしてっ!!馬鹿にしてんの!?」


抱剛「はあ、なんなんだ急に?ああ、別に馬鹿にしてるわけじゃねーよ、ただお前が
単なる路傍の石ころにすぎないことがわかって、少子抜けしちまった、ってだけさ、はは」


美琴「何よそれ、わけわかんない!!だいたい、人のレベルがいくつなんて、お兄ちゃんには関係ないし…
それに……、それに……!!」


抱剛「(ああもう…めんどくせえガキだな…こっちはもう、用事はねえ、っていうのによお)

…それに?なんだよ一体?」


美琴「わ、私は……!!確かに、い、今はレベル2だけど…、これから一生懸命がんばって、
…いつかは『レベル5』になってやるんだからっ!!!馬鹿にしないでよね!!」


抱剛「は、はあああああ!??」

抱剛「ば、ばっかじゃねーのかああああ!!お前がレベル5!?
何考えてやがる!?馬鹿も休み休み言えってんだよ!!」


美琴「べ、別に馬鹿じゃないもん!!一生懸命がんばって…そしたら…」


抱剛「それが馬鹿だっていうんだよ!!はあ…あのなあ…分かってねえようだから教えてやんよ…!
この学園都市にいる能力者のうち……お前みたいなレベル1だとかそんな能力者は星の数ほどいるんだよ!!」


美琴「レベル1じゃないもん!レベル2だって…!!」


抱剛「まあ、聞けよ。それに対して、俺みたいなレベル4…
将来を約束された高位の能力者ってのは、ほんの一握りなんだよ!わかるか!?

レベル5ってのは、そのほんの一握りから、さらに選別された……この都市の能力者の中の
頂点のような存在なんだよ!!

…それをお前みたいな路傍の石ころが夢見るだって!?レベル4の俺ならいざ知らず……
笑い話にもなんねーっての!!」

美琴「なれるもんっっ!!!だいたいお兄ちゃんには関係ないでしょ!?」


抱剛「関係大有りなんだよっ!!『電撃使い』の頂点になるのは俺だっ!
お前みたいな路傍の石ころじゃねえ!!」


美琴「はあ、何よそれ!?わけわかんない!!」



抱剛「わけわかんないことねーだろ!!だからああ……ん?」


ざわ…ざわ…


抱剛「……え?」


美琴と抱剛を取り囲む大勢の人だかり……


抱剛「え……?」


ポンポンっ…


固法「ええっと、ジャッジメントなんだけど…ちょっと話聞かせてもらっていいかしら?」


抱剛「え……?」


………
………

………

………

固法「大男が小さな子供を連れ去ろうとしている、って通報だったけれど、どうやら誤解だったみたいね…

けど、年上の男の子が小さな女の子相手に大声で怒鳴り散らしてる、って構図は、見ていてあんまり気持ちのいいものではないとおもうから…今後は誤解を招くような行動は控えてくださいね」


抱剛「あ、ああ…すまない…」


…………


抱剛「(…くそ…まさかジャッジメントまで来る大事になるなんて……

ま、まあ確かに小さな子供相手に大人気なかったかもしれないが……)」



抱剛「(まあいい……これで疑問も解消された……所詮あんなクソガキ、俺の敵じゃねえ!
ただの路傍の石ころにすぎない、単なるレベル2の能力者だったんだからな!
まあ、そもそも分かってた話だけど)」


……

……では、「路傍の石ころにすぎないレベル2の能力者」のDNAマップを、何故研究者が欲しがっていたのか?

抱剛がもう少し思慮深い能力者であれば、そのことに気にかけていたかもしれなかったのだが…
この瞬間、抱剛の頭の中から、御坂美琴のことは、完全に忘れ去られることとなった。


………………



……………

……………




それから、数日後…


『電撃使い』研究所


抱剛「シンポジウム?」


研究者1「ああ、それもそんじょそこらのシンポジウムじゃない…
都市の中心部で来週末に何日間かかけて開催されるシンポジウムだ。
都市中どころか、世界中の研究者達や、能力者が集まる大イベントなんだが……

抱剛……『電撃使い』の代表の一人として、お前も参加させることに決定した」


抱剛「ほ、ほんとかよ!!」



研究者2「ああ、シンポジウムの開催には、この都市の上層部…統括理事会もかかわっている、って噂だ。
著名な研究者もたくさん訪れるようだし、そんな人たちのお眼鏡にかなえば、…さらなる高みに立つことも
できるだろうな……それと、これは極秘情報だが」


抱剛「……極秘情報??一体なんだよ?」



研究者2「どうも、『レベル5』の連中もシンポジウムに参加するって話だ…」



抱剛「なんだって…?レベル5…?レベル5の連中が来る、ってのかよ!?」


研究者2「ああ、一体、第何位が来るのかまでは、未確認だがね…
抱剛……将来、自分が肩を並べるかもしれない連中だ……参加して、確認おきたいとは思わないか?」



抱剛「レベル5……あ、ああ!!わ、分かった…!そのシンポジウム…ぜひ参加させてくれ!」



……………

…そして…数日後…

抱剛含む研究陣は、シンポジウム開催の前日入り。


抱剛「へへ、ここがシンポジウム開催の地か……さすがに都市の上層部が開催にからんでるだけ
あって、とんでもねえ規模だな…」


抱剛「(そして、この地に、噂では現況のレベル5勢が来るってわけか……いや…
もしかしたら、もう俺たちのように既に来ているのかも…)」


抱剛「(俺は、今までレベル5の連中に誰一人として、あったことがねえ…一体、どんな連中なのかは
知らねえが……ビビることはねえ……なんせ俺は将来、『電撃使い』として、お前らと肩を
並べる存在なんだからな!)」


抱剛「………ん?」ドンッ…


抱剛の肩にぶつかる一人の少女…


少女「………ってーな、気をつけろ」

面白ければオリだろうか構わんけど、一つだけ言わせくれ



名前なんて読むの?

そのまま立ち去ろうとする少女


抱剛「ちっ……、おい、まてよ手前」


少女「…あ?」


抱剛「手前のほうから、人の肩にぶつかっておいてなんだよ、その言いぐさはよお…
侘びの一つでも入れたらどーなんだよ、おい」


少女「はあ?侘びって…?私がアンタに謝れ、っつってんのか?…なめてんのか、このくそゴリラがよぉ」


抱剛「な、なんだとお!?」


…………

ざわざわ…


運営委員1「お、おいおい、なんだあの二人?」


運営委員2「シンポジウムに来た能力者同士が言い争いしてんぞ…?おい、ちょっと誰か注意して来いよ…
開催前日の準備中に能力でドンパチとか勘弁してくれよ!?」


運営委員3「……お、おい……っていうか……あの言い争っているうちの女のほう……ま、まさか…」


運営委員4「んな……あ、あの女は……!や、やばい…はやく、止めるんだ!早く!」


…………

抱剛「手前…もう許さねえ……どこの研究所の人間か知らねえが…ちょっと痛い目見ねえとわからねえ
みたいだな…」ビリ…ビリ…


少女「へええ…お前……やる気かよ、私相手に…おもしれえじゃねえか」


抱剛「(その反応…こいつもシンポジウムに呼ばれた能力者ってわけか…

けど、だからといってホントに、俺の電撃翌浴びせるわけにはいかねえが…
…俺の能力を一度、披露すれば、この生意気な女を黙らせることくらいはできるだろう)」


運営委員1「お、おい、あのデカい男、能力を発現しはじめたぞ!?」


運営委員2「ば、馬鹿よせ!!その子は…!!」


抱剛「どりゃあああああ!!」


少女「」ピッ

ドゴオオォォン!!

抱剛「へ……」


抱剛のすぐ横に壁に空いた…巨大な『穴』…


抱剛「な……なん……え…?」


………

少女「………おい…くそゴリラ…次は間違いなく、手前のその無駄にでけえ体に、ドギツイのをぶちこんで、
手前は現代アート風のオブジェみてえになること確定なわけだが……

そうなりたくなけりゃあさあ……、侘び、入れるのは手前のほうなんじゃねえのか?
それとも……次の一撃は、手前のチンケな能力で、私の能力を防いでみっか?ああ?」


抱剛「な…な…」ガクガク……

ドサッ…

そのまま、しりもちをつく抱剛……


少女「は…なんだ手前……それで終い、かよ……私につっかかってきたから、どれほどのモンかと思ったが…
こりゃ、とんだ『早漏』野郎だなあ、おい」

研究者A「麦野ぉ!!」


研究者B「フラッとどこかに行ったかと思ったら、こんなところで能力を使うなんて……
シンポジウムが終わるまではおとなしくしていろ、ってあれほど…」


麦野「はあ?しらねーよ、そこのクソゴリラ君が私に突っかかってきたのがいけねーんだろうがよ」


研究者A「と、とにかくっ!あんまり目立つ行動はよせ!『原子崩し』の能力も無駄にお披露目
するのはやめるんだ!どこに我々の研究を盗み見ている研究者がいるとも限らないだろう!」


麦野「はん!知らねーよ、手前ら、クソ研究者どもの都合なんてよおお…まあいいわ。
それより、ご飯つれてってよ、私お腹がすいちゃってさあ…」

研究者B「あ、ああ!そ、その代りシンポジウムの間は、くれぐれもおとなしく…」


麦野「ああ、はいはい。分かった分かったから…」カツカツ…


そのまま…研究者達とともに姿を消す麦野。


…………


抱剛「…はあ…はあ…む、麦野……?だと…?」


抱剛「(麦野って……ま、まさか……あの……麦野沈利!?
あれが……あの女が……学園都市第3位……レベル5の……麦野沈利、だってのかよ!??)」

運営委員1「お、おいおい!どーすんだよ、この壁に空いたでっかい穴は!」


運営委員2「しらねーよ!だいたい、電子工学研の連中、事前に連絡していた時間よりずっと早くに着やがって!
『麦野』がこんなにシンポジウム内に来るなんて、完全に想定外だぞ!!」


運営委員3「まあいい!とにかく、当初の予定通り、シンポジウムを成功させるためには、能力者同士の接触は厳禁だ!
特にレベル5同士の接触は絶対に避けねば!!戦争が起こって、シンポジウムどころではなくなる!!」


運営委員4「ああ、とにかく!!既に来ている素粒子研と心理研の連中に急いで連絡しろ!!

『垣根』、と『食蜂』を用意した自室から絶対に出すな、とな!!」



…………


抱剛「はあ……はあ…(……あれが……あれが………レベル5……?)」ガクガク…



……………

…………

今日はここまでで。また暇なときに書いていきます

>>48>>28

>>33 はい、実は…覚えてる人がいてうれしいです。

乙  幼い美琴が可愛い   
マヒャデドスの人なんじゃないかと思ったんだけど

>>55 なんというか、実はそれも正解です。4年くらい前のSSを覚えていてくれてびっくりですが…


再開


………………


抱剛「(冗談じゃねえ…『ノーカウント』、だ、あれは…!)」

ガランゴロンッ


自動販売機の前で飲み物を買う抱剛…


抱剛「(奴が『原子崩し』だと初めからわかっていれば…、あんな安直な接し方なんざしなかったさ…!
あれは、俺の注意が足りなかっただけのことだ…!)」



抱剛「(そうさ…、初めから気をはって対面すれば…レベル5だろうがなんだろうが、
相手の能力なんかにびびったりは絶対にしねえ…!タイミングが悪かっただけなんだよ!)」


抱剛「(とりあえず…落ち着け…落ち着くんだ……仕切りなおしだ!

そう……俺はいずれレベル5になるだろう男…『麦野』だろうが誰だろうが…レベル5連中の実力に
気後れを感じたりする必要はねえんだ!)」


?「さえない自販機ねえ…」


抱剛「……ん?」




気づけば、抱剛の隣にいる金髪の小さな少女


抱剛「(なんだ…このガキは…?こいつもシンポジウムによばれた能力者か…?)

……自販機がさえない、って、いったいどういうことだ?」


金髪少女「だってぇ、私が欲しいヤシの実サイダーを、1段目のあんな高い位置に配置するなんてぇ…
配慮が足りなすぎると思わないかしらぁ…?

それともぉ、この私に2段目や3段目の別の飲み物で妥協しろ、とでも言いたいのかしらぁ、
ねえ、あなたはどう思う?」


抱剛「(あ?何言ってんだ、このガキは…?…
…ああ、ようするにほしい飲み物のボタンの位置が高すぎて、とどかねえ、ってことかよ…)」

抱剛「……って、どう思う、って…知らねーよ、んなこたあ…てめーのタッパの低さを恨むんだな」


金髪少女「……ふー、仕方ないわねえ、ねえ…悪いんだけどぉ、ちょっと協力、してもらってかまわないかしらあ?」


抱剛「…はあ、ったく、しかたねえなあ…
ほしいのはヤシの実サイダーだったな?それじゃあ代わりに俺がボタンを押してやるよ」


金髪少女「…ああ、ごめんごめん、違うのよぉ…私ってばぁ、自分自身でボタンを押さないと気がすまない
タチなのよねえ…だからぁ、協力、っていうのはそういう意味じゃなくてぇ…」ごそごそ…


ショルダーバックから何かをとりだす金髪少女…


抱剛「はあ?わかんねえ…いったい、何言って…」


ピッ

抱剛「んなっ!!」ガクゥ!!

突如、自販機の目の前で四つんばいになる抱剛


金髪少女「そうそう、ちょうどこれくらいの大きさの『台』が欲しかったのよねえ…助かるわあ…」


抱剛「(な…なんだ…か、体が勝手に…!?……い、いったいどうなってやがんだ…!?)

……て、てめえ、い、いったい、何をして…!??」


金髪少女「だからぁ、協力して、ってお願いしたじゃない…?私が一段目の自販機のボタンを押せるように
『踏み台』になってくれるっていう、協力のこ・と」


抱剛「んな…、て、てめえクソガキ…な、何言ってやがる…!誰がそんなこと…!!…な…!」


抱剛「(か、体が…言うことを聞かねえ…な、なんで…!?)…あ、ちょ…てめえ…やめ…!」


金髪少女「よっと…」


四つんばいの抱剛の背中に土足であがる金髪少女


金髪少女「まあ!やっぱりちょうどいい大きさだわあ…一段目のボタン列まで簡単に届くもの…
あなた踏み台の才能、があるんじゃないかしら?」


抱剛「踏み台の才能って、ふ、ふざけんな!いいから、俺の背中から降り…く、くそ…な、なんで…!」


抱剛「(なんで…なんで…!?…体が言うことを聞かない…このガキが俺に何かしたのか!??
こいつ…いったい俺に何を…!?)」

ガランゴロンッ


金髪少女「ふう…やっぱりこの季節はヤシの実サイダーに限るわねえ…ん?」


心理研究員A「こんなところにいたのか、食蜂君!
まったく、だめじゃないか、自室で待機していてくれ、と言っただろう!?」


食蜂「なによぉ、自販機で飲み物を買いに出るのも駄目だっていうわけぇ?」


心理研究員A「シンポジウムの運営委員からのお達しなんだ、分かってくれ、な?」



…………

抱剛「んな…!

(食蜂…?いま、食蜂、って言ったのか…??

まさか…まさか…そんなまさか……

こんな、小さなガキが……!?学園都市第4位…レベル5、『心理掌握』食蜂操祈だってのかよ!?

そんなまさか……うそだろオイ!!)

心理研所長「まあまあいいじゃないか、飲み物を買いに、少し出歩くくらいのことは…
そのくらいなら運営委員も大目にみてくれるだろうさ」


食蜂「ほらぁ、いいって、言ってるわよぉ?」


心理研究員A「所長、何言ってるんですか、駄目ですよ!

(言いつけを守らないで、シンポジウムから締め出されてもしたら…)ひそひそ…」


心理研所長「(まあまあ、あまりきつく束縛して食蜂に『かんしゃく』を起こされるほうがやっかいだろう…)」


心理研究員A「(し、しかし…!)」


心理研所長「(それに…運営委員の連中が気にかけているのは、
シンポジウムに参加する能力者同士の接触によるトラブルなんだろうが…

私個人としては…他の研究団体が手塩にかけて育てた能力者を、食蜂が『手玉』に取る姿を見てみたい
ものだがねぇ……それが、他団体のレベル5級の能力者であれば、なおさら…くく…)」


心理研究員A「(何言ってるんですか…我々の研究の真髄はあくまでエクステリア計画…!
エクステリア完成まで食蜂に関する対外的トラブルは避けるべきです!)」


心理研所長「(ああ分かってる…分かってるさ…)」

心理研究員A「さ、それじゃ食蜂君…飲み物も買ったみたいだし…そろそろ…」


食蜂「はあ、仕方ないわねえ…」

そのまま自販機を離れようとする食蜂と研究員達…


抱剛「ま、まちやがれ…!!」


自販機に四つんばいの状態で固まった抱剛…


食蜂「ああ、ごめんなさぁい、忘れてたわぁ…」ピッ


抱剛「はあ…はあ…(ようやく、体が自由に動く…能力を解除、したのか…)」


心理研所長「ああ、君。どこの誰だか知らないが、食蜂君の『遊び』につきあってくれて、どうもありがとう。
まあ、子供のやることだと思って大目にみてくれたまえ」


食蜂「協力してくれてありがとう、それじゃあね★」


抱剛「ふ、ふ……ふざけるなあああああ!!!」

抱剛「はあ…はあ…、もうゆるさねえ…ここまでコケにされて、黙っていられるかよ!
レベル5だからって調子に乗りやがって…このまま無事に帰れると思うなよ、食蜂操祈ぃ!!」パリ…パリ…


心理研究員A「おい…君…」


抱剛「うるせえ!いまさら、謝ったってもう知らねえぞ!!
そもそも手前等、研究員のしつけがなってねえのがいけねえんじゃねえか!!このクソが……」ゾクッ


………

食蜂「あらぁ?何を怒っているのかしらぁ?ひょっとしてぇだけどぉ…

…まさかぁ……私と……能力で『戦う』、っていうわけじゃあ…ないわよねえ…」



抱剛「んな……」


抱剛「(……な、……なんだコイツ…?……俺よりも何歳も年下の……甘っちょろいクソガキのくせに…
なんなんだよ……この『威圧感』、は…!!)」



抱剛「」ガクガク…


抱剛「(なんてこった…振るえがとまらねえ……!同じだコイツ…外見は子供でも……
コイツから感じられる『威圧感』は、さっきの『麦野』と同等…!?)」

抱剛「(駄目だ……、仮に能力でやりあったとしても…勝てない……絶対に!!)」


食蜂「ねえ…どうなのかしらぁ?」


抱剛「あ………、……い、いや…」


食蜂「くす……、あらぁよかったわあ、そんな怖い顔でにらむんですもの、勘違いしちゃったわあ…」


心理研究員A「食蜂君……そろそろ」


食蜂「ええ…じゃあ今度こそ……それじゃあね★」


………


抱剛「はあ…!はあ…!」


抱剛「(うそ、だ…まさか…そんなわけがねえ…!!
レベル4の中でも上位クラスの……レベル5候補、といわれているんだぞ俺は…!!

絶対に何かの間違いだ…

この俺が……あんなクソガキ相手に…

…『格』の違いを…感じたなんて…絶対に…何かの間違いだ!)」



…………………………

少ないですが、今日はここまでで。また暇なときに書いていきます。

再開


……

抱剛「(なぜだ…なんでこんなことに…)」


抱剛「(俺は、『電撃使い』の中でもトップクラス……
幼いことから、周りから注目を集め、羨望のまなざしを向けられてきた、いわばエリート……
選ばれた人間なんだ…)」


抱剛「(そんな俺が……なんで……なんでこんなことに……
……なぜ、ここまで無様な醜態をさらすことになるんだ…)」


抱剛「(わかっている…確かに奴らはレベル5…、現状では俺より実力は上…
それは分かっている……だが、俺だってレベル4の能力者…!
数字の上では、1、しか違わない…俺だって高位能力者、なんだ…)」


抱剛「(それなのに…なぜ…なぜ、なんだ……なぜここまで……

俺と奴らで……何がここまで違う、っていうんだよ!!)

………ん?」



……………………

?「いやあ、おもしれえモン見ちまったぜ…ははは」


………

抱剛に近づいてくる長身の男…


抱剛「………ん?」


……

長身の男「能力者同士のトラブル防止のため、自室で待機……くく…

…そんなこと言われたら、余計に研究所や運営委員の『糞野郎ども』の困った顔が見たくなってなあ…
既に施設内に来ている、っていう『食蜂』、っていうのと、ちょっと遊んでやろうかと思ったのによぉ…はは」


………

抱剛「(なんだコイツは…?もしかして、俺に話しかけてきてんのか…???一体何いって…)」


抱剛「………!!」ゾクゥ!!

長身の男「いやあ参った参った……思わぬ愉快なモンが見れて、『食蜂』ってのと遊ぶ興が削がれちまった……はは…」



抱剛「な………?」


長身の男「…なあ、どうだった?年下のガキに足蹴にされた気分は…?
その後、怖気づいた姿も含めて、サイコーだったぜ?お前…見ていてスゲー愉快だった」



抱剛「…………!!」


………


……気の弱いところがあれど、かなりの『短気さ』と『喧嘩っ早さ』をもつ抱剛であったが

半ば挑発ともとれる発言を投げかけてくる…この『長身の男』に対していだいた感情は…

怒りではなく……圧倒的な恐怖、だった。


そして。


抱剛「(だめだ……絶対にだめだ…)」


抱剛「(俺の能力者としての勘が言っている……、コイツとは絶対にやり合ったらだめだ!

コイツにだけはさからっちゃいけない!!やりすごすしかねえ…!!)」

抱剛「……はあ………はあ…」


長身の男「……なんだ、怒んねえのか…つまんねえな……なあ、お前……名前は?」



抱剛「…………ほ、…抱剛、だ…」


長身の男「へえ、ホウゴウ、ねえ……聞いたこともねえ名前だ…
まあいい……ホウゴウよぉ…さっきの『食蜂』とのやり取りで発現しようとしてた能力を見る限り…
…『電撃使い』なんだよなあ、お前……


『食蜂』相手では見せずじまいだったその能力…、俺に見せてくれよ」


抱剛「……な、……に…?」


長身の男「『食蜂』、と遊ぶのはヤメにしたが、その代わりに、ホウゴウ…お前と遊ぶことにしたんだ。
お前、結構愉快そうな奴だしな…はは…

『電撃使い』で名前を知っている奴なんかいねえが…シンポジウムに来るくらいの能力者ってことは
少しは楽しませてくれるんだろう?なあ…?」

抱剛「な……な……なに言ってやがる…お、お前……い、い、一体…ひっ!!」ガシィ

突如、抱剛の肩に手を回してくる長身の男

長身の男「ほら、ここまで至近距離まで近づいてやったぜ…どうだ?これなら俺は、お前の能力を避けようがねえ…」


抱剛「な………なに…を……」


長身の男「ムカついてんだろう、俺に…?なら、少しは意地を見せて攻撃してこいよ、なあ…
なんなら、さっきの『食蜂』に対する怒りを俺にぶつけたっていいぜ……なあ、どうなんだよホウゴウ…!」


抱剛「はあ……はあ……!」


抱剛「(…直感、した!!)」


抱剛「(……コイツ……この『威圧感』……間違いねえ……コイツの……この感じ………レベル5、の一人だ!!)」

抱剛「(だが……コイツ…『麦野』とも『食蜂』とも雰囲気が違う…アイツ等以上に得体が知れない…!!
やりあってら……何をされるかわからない……!!)」


抱剛「(だめだ……絶対に……!さからっちゃ……いけない!!)」


長身の男「なあ…どうしたんだホウゴウよぉ……さっきから固まって…どうなんだよ、おい」


抱剛「…………か」


長身の男「あん?」


抱剛「勘弁………………、してくれ」

………

長身の男「……へえ」スッ…


抱剛の肩に回していた手を放す長身の男


長身の男「…意外に冷静だな…初対面の俺との力の差を感じとって白旗宣言とはな…
まあ、お前の立場にしてみたら、最善策ではある……なかなか、やるじゃあないか」


抱剛「は……な、なんだと……?」


長身の男「『食蜂』とのやりとりを見て、もっとからかいがいのある奴かと思ったが…
まあ、腐ってもシンポジウムに参加するだけのことはあるってことか…?……褒めてやるよ、お前、『大したやつだ』」


抱剛「んな…………!!」


…………

抱剛「(………ど……)」


抱剛「(どの口がそれを言うんだよ……!!この糞野郎が……!!)」ガクッ


力が抜けたように…その場にくずれる抱剛……

抱剛「…………、……アンタ……名前は……?」


長身の男「あん?……ああ、そうだな、言い忘れていたよ…はは…『垣根』……垣根帝督だ」


抱剛「(やはり……レベル5か……それも……学園都市第2位、だったとはな……
だが……納得だぜ……ちくしょうが…!!)」

………………

垣根「しかし、つまらねえな…」


抱剛「なに……?」



垣根「お前のことだよ……いきなり白旗をあげられたんじゃあ、退屈しのぎにもならねえのも事実だ…
なあ……お前が俺に能力を披露しねえ、ってんなら…代わりに俺の能力……試してみるか?なあ…


俺の……『未元物質』を……!」


ズズズ……


抱剛「な……ひ……」ゾクゾクゾクゥ!!

抱剛「や、やめろおおおお、か、勘弁して、…だ、だれか……た、助けてくれええ!!」


垣根「く……」


垣根「はははは!冗談だよ冗談!!一度、白旗をあげた相手で遊ぶ趣味はねえんでな…
まして、お前のような各下相手…くく……悪いな…そこまで取り乱すとは思わなくてよお…」


抱剛「はあ…はあ…な……な…」

垣根「それにしても……こんなシンポジウムを開催して……統括理事会は……あの『理事長サマ』は
一体何を考えてんのかねぇ…」


垣根「すぐにかき乱してやろうかと思ったが…その真意を読み取るまで、大人しくしていたほうが得策、か…
とすると…『第一候補』との初対面、も今回はやめとくべき…ということかな…

はっ…まあいいさ…いつでもチャンスはある…

それに……楽しみは後にとっておく、というのも悪くねえ…くくく」


抱剛「(なんだ……なに言ってやがる…)」ガタガタ…



垣根「ああ、少しの間だが、いい暇つぶしになったぜ…それじゃあな…ええっと……」


垣根「……………、…悪ぃな……お前の名前……忘れちまった。ははは」


そのまま抱剛の前から去る垣根……


…………


抱剛「はあ……はあ……」


抱剛「(た………、)


抱剛「(助かった…)」


…………………

ちょっと休憩します

再開


抱剛「(ダメだ…!これ以上は…!……このシンポジウム内を動き回るのは危険だ!)」


ダッシュで施設内を走る抱剛


抱剛「(急いで用意されているっていう、自室に行って、身を隠すんだ……!
シンポジウムの本番は明日から…!今日はもう…!これ以上は…ダメだ…!

これ以上……『化け物』連中にあったら……俺は…俺は……!

能力者として……二度と立ち直ることができなくなるかもしれない……!!)」



エレベーター前に着く抱剛…

抱剛「はあ…はあ…」


抱剛「(確か、俺のために用意された自室は3階…このエレベーターに乗ればすぐに……)」



抱剛「」ゾクゥ!!

……………

……


抱剛「(なんだ……この感覚……?なんなんだよ……この背後から、感じてくる…

…今までにない『威圧感』、は………!!)」



抱剛「(この感覚…………いる……今……俺の背後に……絶対に、会ってはいけない奴が……!)」






…………


廊下でエレベーターを待つ抱剛の背中ごしに、かすかに聞こえてくる会話の内容………


?「…ったく、くっだらねえなァ、オイ……」


研究者A「お、おい……」


?「はン…こンな糞みてえな連中が集まる施設内で何日間も滞在するなンて…ふざけてンのかァ…?ああ?」


「……」「……!」

………

抱剛「(……後ろを振り向いたら、だめだ…)」


抱剛「(……そう、このまま振り返らず、予定どおりエレベーターに乗るんだ………!)」


抱剛「(俺にはもう……直感で…分かっている……!この後ろにいる人間が……誰なのか、が……!

もし、後ろを振り向いたら……『この男』にあってしまったら……

俺はもう………能力者として……前に進むことをあきらめざる負えなくなる……立ち直れなくなる……!!

だから、やめるんだ………このまま、後ろを振り返らず……エレベータに……!)


…………

…………


抱剛「…………っ!」


それは…まかりなりにもレベル5を目指す能力者としての意地だったのか、はたまた単純な好奇心か……それとも。

何にしても、『後ろを振り向く』、ことを選択した抱剛が目の当りにした光景……それは。

…………

ざわ…ざわ…

研究者B「や、やめろ、落ち着け、おとなしく、ぎゃあああ!!」


白髪の少年「け、触ってンじゃねえよ糞が…だいたい、木原の糞はどこに……あん?」


女研究者「……あらあらあら…運営委員の連中が、血相変えてると思ったら…
…へえぇ…来てたんだあ………ああ、そうか……今は数多のゴミ野郎のとこにいるんだっけか?」


研究者A「あ、あんたは………!確か…て、テレスティーナ研究所所長…!」


白髪の少年「はあ?なンなンだ、この女は…?」


テレスティーナ「そう邪険にしないでよぉ、ふふ…

…はじめまして、学園都市第一位、『一方通行』……学園都市最強の『実験動物』ちゃんに会えて光栄だわぁ?」


………………




……学園都市を巣食う魑魅魍魎、ともいうべき研究者の群れと…
その群れの中心にいた学園都市一位、学園都市最強の能力者……『一方通行』の姿、であった。

テレスティーナ「……数々の研究室を壊滅させてきたテメエのことだ……数多なんてゴミの元での
モルモット生活も飽きてきただろう?どうかしら、なんなら、私のとこで飼ってやってもいいぜ?」


一方通行「は、何いってやがンだてめえ…」


テレスティーナ「くす…、モルモット無勢が何いきがって。ああ、そっか、エサでもほしいわけか。
それなら、さ、手を出して…ふふ」

筒状のマーブルチョコの箱を差し出そうとするテレスティーナ


テレスティーナ「がっ!」バギィ!!


差し出した手を弾き飛ばされるテレスティーナ


テレスティーナ「てめえ、何しやがる、ああ!?」


一方通行「その感じ……はン、テメエ…最高に似てやがるなァ……今、俺も最も嫌いな奴にな…!」


?「はは、いい気味じゃねえかテレスティーナ!!だいたい、人の『おもちゃ』に無暗に手を出すな、って
幻生のジジイから教わらなかったのか!?」カツカツ…


テレスティーナ「てめえは…数多ぁ…!」

数多「そもそも、てめえこそジジイのモルモットだった分際で、笑わせやがるぜ、このアバズレ女が」


テレスティーナ「は…ああ、やっぱ変わんねえなぁテメエも…!!ほんと、殺されねえと分かんねえみてえだなあ」


…………

一方通行「はっ、似てる、と思ったら、身内同士かよ………ほンと、くっだらねえ…」スタスタ…


数多「おい、一方通行!テメエ……勝手にどこに行くつもりだ」


一方通行「…はン、テメエら『ゴミ同士』の口喧嘩を聞かされるなンざまっぴらなンだよ、木原クンよォ。
……オイ、俺の部屋はどこだ?」


運営委員A「は、はひ!あ、あの……ろ…ろろ…6階の……605号室…です…」

一方通行「……」


そのままエレベーター前まで向かう一方通行…


運営委員A「(ふ、ふう……急に話しかけられて…びっくりした…)」


運営委員B「(お、おい…!そんなことより……あ……あれ…!)」


運営委員A「(……?なんだよ……一体…?って、ええ!?)」


…………


一方通行「…………オイ…………なんだァテメエは……」


抱剛「…………」


…………

一方通行の前に立ちふさがる抱剛……


運営委員A「(な、なんだあの男……『一方通行』の前に立ちふさがるなんて…!?)」


運営委員B「(一体、何者なんだ!?い、いや、誰だってかまわない…や、やばい……こ、殺されるぞ、あの男!!)」

一方通行「……邪魔だ……どけ」


抱剛「………」


運営委員A「(んな……あいつ、引かない気か……『一方通行』相手に……やばい……いよいよもって…!)」


運営委員B「(ああ……!もうだめだ、あの男………)って……お…おい」


運営委員A「え?」


…………


一方通行「……あ?」



抱剛「」ぐらっ……


どさぁっ!!


そのまま廊下に倒れる抱剛……

運営委員A「お、おい!急にどうしたんだ、この男!?」


運営委員B「…あ、泡吹いてやがる………も、もしかして、気絶……してる、のか……?」


運営委員A「(が、学園都市…一位を目の当りにした緊張と……重圧に耐えられなかった…ってこと…か??
そ、それにしたって……何をされたわけでもないのに……)」



抱剛「」しーーん



運営委員B「(な、なんて……なさけない)」

運営委員A「は!お、おい…そ、そんなことより…だ、だれかはやく!!担架を……!
医療班もすぐに連絡を!それから……」



一方通行「………」



倒れた抱剛に目をやる一方通行…



………


抱剛「(なんだ……?ど、どうしちまったんだ…俺は……確か…後ろを振り返って……白髪の男、が見えたんだ…
そうだ…間違いねえ……あいつだ……あいつが学園都市一位……けど…それから俺は…一体……?)」



抱剛「(なんだ……誰かが……俺を見ている……?…第一位……なの……か?
何かつぶやいたぞ……なんだ……一体…奴は…なんて、言ってんだ?)」



朦朧とした意識の中……抱剛が聞いた第一位が発したであろうセリフとは。



一方通行「はっ」



一方通行「とんだ三下野郎………だな」



……………


………

………

その翌日

シンポジウム開催当日……


研究者1「お、おい!抱剛はどこ行ったんだ!?今日はシンポジウム当日だっていうのに…」


研究者2「わからないんだ…自室にもいないようだし……携帯にかけても出ないんだ!」


研究所1「なんてこった!?あいつ、一体どこにいった、っていうんだ!?」

………

そんな抱剛の所在とは…

シンポジウムが開催されている施設内……にある広場のベンチ

…………


日の丸服の少年「ああ、なるほどな!お前の話は聞かせてもらった!」


抱剛「………」


日の丸服の少年「要するに昨日、その根性が座った連中の実力を見て自信を失った、と!
お前がこんな広場のはずれで、しなびてる理由はそういうことなんだな!」


抱剛「………」


日の丸服の少年「ああ、だが悪いな、話は聞かせてもらったが、気持ちは全然わからねえ!!
特に、自信を失う、とか、なんとかっていうくだりはさっぱりだ、はっはっは!!
なあ、あれって、失うもんなんだっけか!?その辺がよく分かんねえが!!」


日の丸服の少年「だが…お前の気持ちがわからねえ俺だが、おまえに最高のアドバイスを与えることはできるぜ…!

それはなあ……根性、だ!!」


抱剛「………」


日の丸服の少年「人生の大半は…いや…すべては…根性、で乗り切ることができるからな!!
だから、お前の悩みはさっぱり分からんが、根性で乗り切ることは確かだ!!」


抱剛「………」

日の丸服の少年「しっかし、白衣の色白の連中にそそのかされて、こんな場所まで来たが、
どーも、さっぱりつまらんな!!仕方ねえ、そろそろトンズラこくとするかな!!」


日の丸服の少年「お前もいろいろ大変だろうが、根性で乗り切れよ!!それじゃあな!!」


その場からダッシュで立ち去る日の丸服の少年


抱剛「…………」


抱剛「……な、なんなんだアイツは……急に話かけてきたとおもったら……わけわからん」


抱剛「………根性で、………どうにかなるわけねえだろ……」


………


老人「……いやあ……残念残念……せっかく、彼に接触できると思ったのに……
行ってしまったようだね…」



抱剛「(………、あ……なんだ?この爺さんは?)」


老人「しかし、最高の原石として名高い『彼』といい……、このシンポジウムには
宝が満載だねえ…いやあ、生きててよかったよかった」


抱剛「(シンポジウムに来てる研究者か…?どうでもいいが……ほっといてくれ…)」

老人「おや…それで『彼』と話していた君は……一体、どこのだれだったかなあ?能力者、だっけ?」


抱剛「………『電撃使い』だ……。研究所の代表の一人として……来た能力者、だ」


老人「………、ふむ。………なるほどねえ…」


抱剛「(なにが…なるほどなんだ…?)」


老人「アレイスター君のひそかな『お気に入り』、今回のシンポジウムで拝見できると思ったが……
それはかなわないみたいだねぇ……まだまだ『ステージ』に立たせるつもりはない、とそういうつもりなのかな…

まあ、いいさ……後の楽しみがあればあるほど……それが生きがいになるってもんだしね」


女研究者「木原先生!こんなところにいらしたんですか、そろそろ講演の時間がせまっていますので…はやく
施設内の講義室へ……!!」


木原幻生「ああ、木山君…わざわざ呼びに来てくれてありがとう…それより聞いてくれたまえ、さっきここに
『原石』の彼が……」


……………

……………


抱剛「………」


抱剛「(一体……なんなんだ……俺は……)」


このシンポジウムを開催するにいたった統括理事会の真意ははかりしれないが、

その裏側は、学園都市の闇に潜む悪魔のような研究者連中がはびこり、またそんな研究者が生み出した

『化物』のような能力者達の参加……一歩間違えば、『戦争』が起きかねないほど危険極まりない…

そんな『魔の巣窟』であったことは想像に難くない。



だが、その反面、シンポジウムは、学園都市が誇る能力者、またはそれに付随する技術を対外的に

披露する場としては申し分なく、

……世界中の技術者、科学者のみならず、数多くの一般人も動員し、大盛況のまま幕を閉じた。


シンポジウムが終了してから数日後……


とある『電撃使い』の研究所


研究者1「抱剛のやつ……一体、どうしたっていうんだ…?」


研究者2「ああ……シンポジウムの間、顔を見せなかったと思ったら、あれ以来、研究室にも姿を見せない……」


研究者1「シンポジウム前とはまるで態度が違う………あいつ……一体どうしたっていうんだ……??
シンポジウムで何かあった、っていうのか……?」



………………

学園都市郊外



郊外を肩を落としながら歩く抱剛…

抱剛「(俺は……間違っていた……)」


抱剛「(俺が『電撃使い』としてレベル5になる……?そして、『奴ら』、と肩を並べる、だと……?

はは……よくもまあ……何も知らないであんなことを夢見て……ばかばかしい)」


抱剛「(夢物語、だったんだ……レベル5になるなんて……奴らは、もはや同じ人類じゃねえ……
神や仏がいるんだとしたら……そんな連中に選別されて生まれてきたような……天上人なんだ…


………俺なんかが、なれるわけはないんだ…)」



抱剛「(…………、まて)」

抱剛「(だが……俺がレベル5にはなれない……それはもういい。
だが、他の奴はどうだ?俺以外の『電撃使い』で……レベル5になれる可能性の奴はいただろうか?

例えば、俺と同じように、レベル5候補と呼ばれている、レベル4の『電撃使い』の連中はどうだ?)」


抱剛「(…………いや、だめだ。そんな連中は俺と同程度だ…
…とても、成長してあの連中と肩を並べることができるとはおもえねえ……)」


抱剛「(じゃあ、…そんな俺たちレベル4よりも下の連中はどうだ?
幸い、『電撃使い』は、能力者人口は、他の能力者に比べてもかなり多い…
…その中から一人でも、とてつもない急成長を遂げた奴がレベル5に達することはありうるだろうか……?)」



抱剛「(…………)」



抱剛「ははっ……そんなことあるわけねえか」

抱剛「(能力者人口が多いからなんだ?現段階で俺の足元にも及んでいない連中に何ができる、っていうんだよ?)」


抱剛「(確かに、この学園都市には星の数ほどの『電撃使い』がいる……だが、そんな連中の大部分は…)


ん……?」


抱剛「あいつは……確か…」


……………

郊外にあるガチャガチャコーナーにたむろする少女達……


少女1「美琴ちゃーん……そろそろ公園行こうよ、もう置いてっちゃうよ?」


美琴「え、ちょっとまって、あと1回!あと1回だけだから!」


少女2「うええ…そんなこと言って…そのゲコ太ガチャするの何回目だよぉ」


美琴「もうちょっと、もうちょっとで、出る気がするんだよ!レア物の
『乗り物酔いで実際にゲコゲコしちゃったゲコ太ストラップ』が!」


少女1「さっきからそんなの狙ってたんだ!?


少女2「っていうか、それ可愛いのかなぁ美琴ちゃん!?」


美琴「と、とにかく、あと1回だけ、1回だけだから、ね!?お願い!」


少女2「えー、まったくしかたないなあ…」


…………


抱剛「(ああ……思い出した…あのガキ……DNAマップの提供を頼まれていた…)」


抱剛「はあ……」


抱剛「(そうだよ……まったく、何を期待してんだ俺は……星の数ほどいる『電撃使い』の大部分は、そう…


このガキのような『路傍の石ころ』、なんじゃねえか…)」

ガチャガチャ…

美琴「……ええっと……んな……、ま、また違う!!
これは『酒を浴びすぎてゲコゲコしちゃってるゲコ太』ストラップ…、ええ~、これで同じの6個目だよぉ」


少女1「はーい、美琴ちゃん、それじゃこれで終了~、そろそろ公園いこうよ!」


美琴「え、ええっと、ち、違うの、今のはなんていうか、ノーカウントっていうか…そう!
ガチャガチャのハンドルの周り具合が悪かったからもう一回…」


少女2「ああハイハイ、それじゃ行くよ美琴ちゃん」


美琴「え、あ、ちょ、ちょっと待ってよ、そんな…」


抱剛「おい」


美琴「え?」


少女1「……え?だれ、美琴ちゃん、この人……知り合い?」


抱剛「……………」


美琴「………お兄ちゃんは…確か……」


……………

……………

今日はここまでで。また暇なときに書いていきます。

久しぶりの更新


美琴「お兄ちゃんは……確か」


抱剛「…………」


美琴「(あれ…誰だっけ……ええっと……)」


少女1「み、美琴ちゃん、行こうよ早く…」


少女2「な、なんか怖いよこの人……ね、早く」


美琴「え…あ、ええっと……」


抱剛「レベル5に」


美琴「え?」


抱剛「レベル5になりたいんだったよな、お前」

美琴「…………、」


美琴「(………ああ、そうだ…この人……この間街であった…)」


美琴「……、…………そうだよ?」


抱剛「………はっ」


抱剛「……はははっ、こりゃあいいや…!サイコーだな、ほんと」


美琴「…何がおかしいの?」



抱剛「はは…なに、お前が何も知らないガキすぎて、笑っちまったんだよ…!
ほんと、何にもわかっちゃいねえ……!レベル5ってのがなんなのか…何にもなあ!」


美琴「………」


抱剛「だいたいお前、この間の話を聞く限り、レベル2、だっていう話じゃねえか!?
はは、レベル2だぜレベル2!?自分でわかってねえのかよ?その程度の能力者なんて
この都市には、ゴマンといるぜ!?

そんな路傍の石ころごときがレベル5になろうだなんて、なれるわけ……!」


美琴「なれるよ」

……………


抱剛「な……」


美琴「なるんだ、いつか私、絶対に」


抱剛「な、何を根拠にそんな……」


美琴「…私さ、自分の目の前に立ちはだかるハードルって、飛び越えなきゃ気が済まないタチなんだ…
今までもそうして頑張ってきて成長してきた…そして、それはこれからだってそう…」



少女1「そうそう、美琴ちゃんはいつも一生懸命だもんね」


少女2「ときどき心配になっちゃうくらいね」


抱剛「な………な……」


美琴「………レベルだって、確かに今はレベル2、だけど……、だけど……。
あきらめないで前に進んで頑張っていけば…ハードルを飛び越えていけば…私だって、いつかきっと」


抱剛「馬鹿にすんじゃねえええ!!」


抱剛「……何が……何が……前に進んでガンバっていけば、だ!何がハードルを飛び越えていけば、だ!!
何も知らないくせに…何にも知らない路傍の石ころの分際で…つまんねえこと口走ってんじゃねえええ!!」


美琴「な、何よ別につまんないことじゃないもん!!だいたい、何にも知らない、ってなんのことよ!!」


抱剛「何にも知らねえんだよお前はっ!!レベル5、ってのが何なのか、まったくわかっちゃいねえ!!
あいつ等がいったい……どれだけの天上人なのか!どれだけ化け物なのか!!どれだけ…選ばれた連中なのか……

お前は全然、わかっちゃいねえ!!だから、そんな馬鹿みてえな夢を、願望を、恥ずかしげもなく言えるんだよ!!」




抱剛「(ああ……俺ってやつは…)」





美琴「んな……、何を夢見ようと私の勝手でしょ!!お兄ちゃんには関係ない!!」


抱剛「大有りなんだよ!!てめえみたいな路傍の石ころごときが、そんなでかい口を叩いているのをみると
イライラするんだよ!!身のほどをしれ、って言ってんだよっ!!」




抱剛「(ほんとに最低だ………)」





抱剛「(あのシンポジウムで……夢を…自信を……失った腹いせに………

こんな小さな子供相手に……うさを晴らそうとしてるんだ……なんて小さい……なんて情けないんだ…俺は…)

ぎゃー、ぎゃー!

激しい口げんかをする抱剛と美琴


少女1「ね、ねえ…これ、どうしたら…」


少女2「そんなこと言われても……美琴ちゃんもだんだんスイッチ入ってきちゃったみたいだし…
こうなったら、止めるのは………え?……ね、ねえ、あれって…」



少女1「え……?」



…………


美琴「何よ、さっきから路傍の石ころって……!子供だからって、レベル2だからって馬鹿にしないでよ!!
私には御坂美琴、って名前があるんだからっ!!

私は、路傍の石ころなんかじゃあ…!!」


抱剛「路傍の石ころなんだよっっ!!お前も!!俺もなっ!!あの連中からすれば、所詮はっ!!」


少女1「美琴ちゃん!!!」


少女2「あ、あぶない、二人とも逃げてええーーーーっ!!」


抱剛・美琴「え?」


口論をする美琴と抱剛に向かって…


―――勢いよく突っ込んでくる一台の自動車。


抱剛『(な、なんだ?この車は……なんで、歩道にいる俺たちに向かって……!?)』


抱剛『(って、そんなこと考えてる場合じゃねえ!…なんとかしねえと……!

よけてる時間はねえ…!!そうだ!能力だ…!電撃の能力を使って…車を止めれば……!)」


抱剛『(能力で、車を……)、…………っ!!』

ガッシャアアアアアアアアアン!!


…………

…………



少女1・少女2「あ……あ……」


美琴「…………え?」


…………



抱剛「…………な……がは……」


……突如、一台の車に勢いよくはねられ…………一人、道路に横たわる抱剛…


……………がちゃり。


車から出てくる3人の男…


男1「ははあ…あぶねえ、あぶねえ……抱剛の野郎……、跳ね飛ばす直前に『能力』を発現しかけやがった…
電撃で車の動きを止めようとしたのかぁ……?」


男2「ああ…一瞬キモを冷やしたぜ…せっかく不意をついて跳ね飛ばしたつもりだったのによ…
…けっ、驚かせやがって、このでくの坊が!」


細見の男「ああ、もうこんな路上でモタモタしてんじゃねえよ、手前らは。いいからとっとと、抱剛を
車に詰め込めよ、アンチスキルが来ても知らねえぞ」


男1「あ、ああ…お、おい、そ、そっち持ってくれ」


男2「ああ……ち、無駄にでけえな、このでくの坊は…」

2人の男に車のトランクに詰め込まれる抱剛


男1「な、なあ、抱剛のやつ……車で移動中……能力を使ってきたりとかしないかな…」


細見の男「ああ?大丈夫だよ、あれだけ勢いよく跳ね飛ばしたんだからな…激痛で到底、演算なんて
できる状態じゃねえよ。ま、もっとも、そのまま死なれたら、計画がおじゃんだから、困るけどな、はは」


細見の男「しっかし……」


美琴「……………あ……あ…」


…………


細見の男「………抱剛クンも訳わかんない男だねえ………はねられる直前……能力を使うのをやめて……

あんなクソガキを突き飛ばして、一緒に跳ねられるのを助けるなんて、さあ…
…キャラじゃないよねえ……

マグレでシンポジウムにお呼ばれされてから、頭でもおかしくなっちゃったのかなぁ、ははは」


細見の男「ま、いーや、ありがとなクソガキども!抱剛クンがお前らに気を取られていたおかげで
案外、お手軽に拉致ることができたよ!はは、そんじゃあな」


そのまま勢いよく、発進する一台の車…。

…………

…………

少女1「美琴ちゃん!!」


少女2「だ、大丈夫、怪我はない!??」


美琴「う、うん…私は大丈夫」


少女1「そう……よかった………け、けど……な、……なんなの……あ、あの人たち……」


少女2「……あのお兄ちゃんが車に轢かれて……連れて行かれちゃった……!
どうしよう……、いったい、どうすれば……!」


美琴「……………」

美琴「二人は……アンチスキルとジャッジメントに、このことを……すぐに連絡して」


少女1「う、うん、そうだね!わかった!」


少女2「え……ちょ、ちょっと待って!…二人は…って…、どういうこと?

美琴ちゃんは……美琴ちゃんは、どうするの!??」



美琴「わたしは…、…わたしは……!!」



…………………

…………………

短くてすいません。また暇なときに書いていきます

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom