八雲「私とあの人だけの共に過ごしてきた時」 (122)
ジンマガ新人賞 大 賞
ハ リ マ ☆ ハ リ オ
談講社編集者「というわけで、受賞作掲載後に短編一本掲載するから、30ページよろしくね」
ガチャン
播磨「・・・・・・・・・・・・」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1395919636
播磨「うおおおおおおおおおいいいいいやったあああああああああ!!」
播磨「ついにこの時が・・・・この時がきたああああ!」
播磨「男・播磨拳児・・・感無量だぜ!」
播磨「っと・・・一人で喜びに浸ってる場合じゃなかったぜ」
播磨「この大賞は、俺だけのものじゃねえ」
(妹さん・・・アンタが手伝ってくれたおかげだぜ・・・)
(・・・妹さん・・・)
八雲「!?」
天満「ほえ?どったの八雲?」
八雲「う、ううん・・・なんでもないよ姉さん」
八雲(・・・今、播磨さんの心の声が視えたような・・・)
八雲(そんなまさか。だって播磨さんはここに居ないし)
八雲(それに播磨さんは・・・・・・姉さんの事が・・・)
プルルルル プルルルル
八雲「電話だ・・・・・・は、播磨さん!?」
八雲「ね、姉さんちょっと電話してくるね!」
天満「うぇ~~~~い」
ピッ
八雲「は、はいもしもし・・・」
播磨「おお妹さん!スマンなこんな夜遅くに」
八雲「い、いえ・・・全然かまいません。それより、どうかしましたか?」
播磨「聞いてくれよ!この前投稿した漫画、大賞受賞したんだぜ!!」
八雲「ええっ!?ほ、本当ですか!?」
播磨「ああ!こんなにうれしい事はねえよ!これも、妹さんがいつも支えてくれたおかげだぜ!」
八雲「い、いえ、私はそんな・・・」
播磨「今度何かお礼させてくれ!じゃ、またな!」
ピッ
八雲「大賞受賞・・・すごいなあ・・・」
八雲「・・・・・・」
八雲「播磨さんと・・・・・・私の作品が・・・」
(これも、妹さんがいつも支えてくれたおかげだぜ!)
カアアァァッ
天満「うぇ!?八雲すっごく顔赤いよ!!熱でもあるの~!?」
八雲「な、なんでもないっ!大丈夫っ!」
八雲(なんだか・・・すごく嬉しい・・・)
翌日、学校屋上
播磨「ほ、本当に載ってる・・・俺の名前・・・」
八雲「夢じゃないんですよ。よかったですね、播磨さん」
播磨「うおおおおおおおおおおお!!」
播磨「あまりにも出来すぎて夢じゃないかと思ってジンマガ5冊も買って確認して
通学路の本屋、コンビニ、すべてのジンマガを立ち読みして確認して
それでも信じられなくて疑っていたが・・・!」
播磨「妹さん・・・」
ガシッ
八雲「は、はいっ・・・!」
播磨「妹さんと確認したおかげで、やっと夢じゃねえって分かったぜ!!」
八雲(わ、私と一緒に確認したおかげで・・・?)
播磨「改めて言う!妹さん、ほんっとーーーにありがとう!!」
八雲「い、いえ・・・私は・・・本当にお手伝いしかしてませんから・・・」
播磨「何言ってんだよ妹さん!漫画を描くってのはな、孤独との戦いなんだよ!」
播磨「アイデアが浮かぶまでの試行錯誤、それを形にするための幾度とない戦い」
播磨「ペン入れの時に立ちはだかる真っ白い原稿用紙と言う名の壁・・・」
播磨「一枚打ち砕いたと思ったら、さらにもう1枚・・・まだ1枚・・・敵はまだまだ大勢いる!」
播磨「遅い来る睡魔、締め切りと言う敵ッ!!」
播磨「頼れるのは己の肉体と精神のみ・・・まさに修羅の道!!」
八雲「は、はぁ・・・」
播磨「でもよ・・・妹さん・・・誰か一人でもそれを手伝ってくれる人がいるなら・・・」
八雲「・・・」
播磨「アイデアが浮かぶ時間も二倍速!」
播磨「壁を打ち砕くのも2人ならあっという間!」
播磨「孤独な戦いに見方がいることが、どれだけ頼もしいことか・・・!」
播磨「だから妹さんの行いは、決してただの『お手伝い』なんかじゃねえ!」
播磨「魂の共闘なんだ!!」
八雲「魂の・・・共闘・・・」
八雲(なんだか・・・2人の共同作業って言われてるみたいで・・・)
八雲(うれしいな・・・)
播磨「・・・っーわけでよ妹さん」
八雲「っは、はいっ?」
播磨「次の読切作品も、手伝ってくんねーか?」
播磨「何度も図々しい頼みだとは分かってる・・・でもよ・・・」
八雲「・・・?」
播磨「妹さんに俺の漫画を手伝って欲しいんだ!!いや・・・妹さんじゃねーとダメなんだ!」
八雲「・・・・・・・・・!!」ドッキーーーーーンッ!!
播磨「なんたって妹さんのアドバイスは的確!ペン入れもベタも丁寧だし、トーン削るのも上手いしな!」
八雲「・・・そ、そうですか・・・わ、私でよかったら、いつでも・・・」
八雲(そうだよね・・・播磨さんが、私を意識してるわけ・・・ないよね・・・)
播磨「あとよ・・・なんか妹さんと一緒に作業すると、捗るんだよな・・・なんつーか、落ち着くっつーか・・・」
八雲「・・・・・・・・・・・・・・・・!!」ドキドキドキーーーーンッ!!
播磨「じゃ、よろしくな妹さん!ってオイ!妹さんスゲー顔赤いぞ!?わ、悪ぃ、無理させちまったか!?」
八雲「!! ちっ!!違うんです!!大丈夫です!!」
夜、自宅、八雲自室
八雲(・・・播磨さん、嬉しそうでよかった・・・)
八雲(その笑顔に、私も関われたんだ・・・)
(いや・・・妹さんじゃねーとダメなんだ!)
(なんつーか、落ち着くっつーか・・・)
カアァアアアア
八雲(また顔が赤くなってきてる・・・)
八雲(・・・)
八雲(播磨さんが喜んでると、すごく嬉しい)
八雲(播磨さんが褒めてくれると、すごく嬉しい)
八雲(他の誰も知らない、私たちだけの秘密と・・・喜び・・・)
八雲(・・・・・・・・・)
八雲(ずっと・・・ずっと2人で喜びを分かち合いたい)
八雲(私やっぱり・・・播磨さんのことが・・・)
沢近先輩も、きっと播磨さんのことが好きに違いない・・・
何度も話をして、私はそう感じた
私にとって、播磨さんがかけがえのない人のように、
沢近先輩もきっとそうなのだ
それに・・・・・・
播磨さんは、姉さんの事が好き
あの人が、本気で漫画を描いている理由がそれだ
だから、その理由がなくなってしまったら、
きっとあの人は漫画を描くのをやめてしまうだろう
そうしたら、私たちの時間もなくなってしまう・・・
だったらいっそ、
このままのほうが・・・・・・
翌朝、日曜日
天満「やーくもーーっ!おっはよーーー!もう朝だよー!10時だよーー!!」
八雲「ん・・・あれ、姉さん・・・ってもうこんな時間!?ごめん姉さん、私朝ごはん作ってない・・・!」
天満「ん~ふふ~~それには心配ご無用!!ジャジャーーンッ!」
八雲「ね、姉さん!これは・・・!」
天満「見て見て~!凄いでしょ~!!天満スペシャルモーニング、目玉焼きと味噌汁セットだよーんっ!」
八雲「姉さん、何時の間に味噌汁作れるようになったの!?」
天満「んっふふふ・・・それは秘密の秘伝の極秘のだしを使った究極の味噌汁なのじゃ・・・」
八雲(・・・インスタントの袋が捨ててある・・・)
天満「目玉焼きはちょーっと苦戦しちゃったけどねー。でも、八雲がいつも作ってくれるみたいな美味しい目玉焼きができたよ~!」
八雲(な、なんか凄い数の卵のからと漕げた目玉焼きが捨ててある・・・)
八雲「でも、姉さん・・・どうして?」
天満「えーっ?何が?」
八雲「だって珍しく早起きだし、こんな料理まで・・・」
天満「だって昨日の晩、八雲ってばすっごく嬉しそうだったんだもん!」
八雲「えっ・・・」
天満「おねーちゃんとしては、やっぱりそこはお祝いしてあげなくっちゃねっ!さー食べよ食べよ!お腹ぺっこぺこー!」
八雲(姉さん・・・)
八雲「ありがとう、姉さん・・・」
天満「いいのいいの!さぁ、ご飯は炊けたか・・・あ・・・」
八雲「どうしたの?姉さん」
天満「・・・ご飯炊くの忘れてたぁぁ・・・」
八雲「食パンが余っててよかったね、姉さん」
天満「ううう~~結果的には食べられたからよかったけど~~結局1人で作れなかったよ~~ごめん八雲~~」
八雲「いいのよ姉さん、2人で協力して作ったから、いつもより美味しく感じたよ」
八雲(協力・・・)
(魂の共闘なんだ!!)
ドッキーーーンッ!!
天満「あぁーっ!八雲ってばまた顔赤くなってるぅー!さ・て・は・・・播磨君のことでしょーっ!!」
八雲「えっ、ええっ!?」
天満「んふふ~。やっぱりおねーちゃんの目に狂いはなかったわね!
一昨日の夜の電話、そして昨日の嬉しそうな八雲・・・そしてその動揺!」
天満「さぁ!!播磨君と何があったのか!!・・・・おねーちゃんに話してごらんなさ~い♪」
八雲「ええっ!?べ、別に何も・・・何もないよ!!何にも!」
天満「隠したってむーーーだっ!お姉ちゃん、播磨君だったら、八雲のおムコさんにいいかなって思ってるんだから、包み隠さず教えなさーい!」
八雲「え、ええええっ!!?ええええっ!!??」
八雲(た、助けて播磨さん・・・!)
(・・・さん・・・・・)
八雲(えっ?)
(妹さん・・・・・・!)
八雲(は、播磨さん!?)
八雲「ね、姉さん!私今日用事あったの思い出したから行って来るね!遅れちゃう!!」
天満「ああっ!ちょ、ちょっと八雲!!」
天満「・・・行っちゃった・・・・・・」
天満「ま、八雲が播磨君と付き合ってても、そうじゃなくても」
天満「播磨君と関わることで、明るい八雲になってくれて、嬉しいかなっ」
天満「それにしても・・・」
天満「この台所の惨状どうしよう~~・・・・・・」
天満「あーーーーん助けてやくもーーーーー!」
八雲、自室
八雲(も、もの凄い勢いで逃げてきてしまった・・・)
八雲(あんな態度、『はい』って言ってるようなものじゃぁ・・・)
八雲(あぁ・・・また誤解されちゃうかも・・・)
ピロリロリン♪
八雲「あ、メール・・・」
メール受信1件
播磨さん
八雲「!!」
ピッ
昨日は風邪大丈夫だったか?
いつも無理させちまって本当にすまねえ。
この前電話で言ったお礼のことなんだが、
来週の日曜、遊園地にでも行かねえか?
播磨
八雲「・・・・・・!」
八雲「や・・・・・・」
八雲「やったぁ・・・・・・」
八雲、自室
八雲(も、もの凄い勢いで逃げてきてしまった・・・)
八雲(あんな態度、『はい』って言ってるようなものじゃぁ・・・)
八雲(あぁ・・・また誤解されちゃうかも・・・)
ピロリロリン♪
八雲「あ、メール・・・」
メール受信1件
播磨さん
八雲「!!」
ピッ
昨日は風邪大丈夫だったか?
いつも無理させちまって本当にすまねえ。
この前電話で言ったお礼のことなんだが、
来週の日曜、遊園地にでも行かねえか?
播磨
八雲「・・・・・・!」
八雲「や・・・・・・」
八雲「やったぁ・・・・・・」
翌週、日曜日
播磨「・・・妹さん遅えな・・・」
播磨「まさか、俺時間間違ったとか・・・」
八雲「播磨さーーーん!!」
播磨「おっ、妹さん!」
八雲「す、すみませんお待たせしてしまって・・・電車が遅れてしまって・・・」
播磨「いいっていいって。それより、もう遊園地行きのバスが来るぜ」
八雲「あっ、ハイ!」
ブロロロロ・・・・・・
播磨「しっかしよ~、こうやってのんびり日曜を過ごすのも、久々だな」
八雲「そうですね。播磨さん、休みの日はずっと漫画描いてましたから・・・」
播磨「妹さんだってそうじゃねえか。・・・元はと言えば俺のせいみたいなもんだが・・・」
播磨「今日は思いっきり羽を伸ばしてくれ、妹さん!」
八雲「・・・はい!」
八雲(播磨さんの心は、相変わらず視えない)
八雲(それはつまり、私に好意を抱いてないということ・・・)
八雲(悲しいけど・・・でも少しほっとしている・・・)
八雲(まだ、このままでいられるから)
八雲(漫画家と、アシスタントという関係のままで、いられるから・・・)
ブロロロロロ・・・・・
播磨「あーやっと着いたぜ。さ、まずはチケットから購入・・・ん?
八雲「こ、これって・・・」
スーパー遊園地
本日機械メンテナンスのため
絶 叫 系 マシーンのみ稼動しております
ご了承下さい
※いつもより倍のスピードで機械を作動させていただきます。
一味違うスリルをお楽しみ下さい。
播磨「・・・」
八雲「・・・」
播磨(や、やべえ・・・絶叫系しかねえ・・・だと!?)
播磨(俺は喧嘩は強い・・・それは俺が絶対負けないという自信・・・結果が見えているから余裕を持って戦えてこれた)
播磨(だが!!これは違う!!乗りなれないマシーンに、どんなスリルが待っているか全くわからねーという恐怖!)
播磨(そして、普段の倍のスピードだと!?こんなん、全く太刀打ちできやしねー!!)
播磨(しかも妹さんも一緒だ・・・もし俺が絶叫系で絶叫してみろ・・・妹さんが天満ちゃんに話したら俺のイメージががた崩れじゃねえーか!!)
播磨(こ、ここは妹さんには悪いが、別のプランを立てることにするか・・・)
播磨「あ、あのよ・・・妹さん・・・」
八雲「オール絶叫系ですって播磨さん、面白そうですね!」
播磨「おう!乗って乗って乗りまくってやるぜ!!」
播磨(ち、チクショー!俺も羽を伸ばしてくれっつった手前、あんな楽しそうな妹さんを見てやっぱやーめた、なんて言えねえ!)
播磨(し方がねえ、男播磨拳児・・・覚悟決めるぜ!)
八雲「播磨さん、あれ、面白そうですよ」
ジ ェ ッ ト コ ー ヒ ー カ ッ プ
自動で普段の倍のスピードで回るコーヒーカップ
ベルトを締めるのをお忘れなく!
播磨「おう!乗るか!」
グルングルングルグルマワール
グルグルグルグルグルギュイイイイイーーーン
八雲「速くてすごかったですね・・・」
播磨「おう」
八雲「あっ、あれも珍しいですよ播磨さん」
ジ ェ ッ ト メ リ ー ゴ ー ラ ン ド
普段の倍の倍のスピードで回るメリーゴーランド
ベルトを締めてしっかり手すりにつかまって!
播磨「おう、乗るか」
グルングルングルグルマワールグルグルマワール
グルグルグルグルグルギュイイイイイーーーン
ギュルルルルギュルウウウウーンギョワーーン
八雲「速くてすごかったですね・・・」
播磨「お、おう」
八雲「あれもスピード出そうですね」
マ ッ ハ ゴ ー ゴ ー カ ー ト
普段の倍の倍の倍の倍のスピードで走れるゴーカート
シートベルトを着用してアクセルをふかせ!
播磨「おう、のるか」
ブロロッロロンンブロロルルオオオブオオオオオオオオオン
パァーーーーーーーーーーーーンギュオオオオオオオオオン
ゴガガガアギャギャギャリリリギュドルルルルル
グルグルグルグルグルグマワールグルグルマワール
パッバオーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!
八雲「速くてすごかったですね・・・」
播磨「おう・・・・・・」
八雲「あれも乗ってみたいです」
タ ー ボ 観 覧 車
とにかくぐるぐるまわり続ける観覧車!
キミは何周耐えられるかな!?
播磨「オウ、ノルカ」
ギュギュイイイイインギュロロロロロロオオオオオオオグルリリリリン
グルグマワールグルグルマワール グルグマワールグルグルマワール
ゴガギャリゴギョゴワアアアアアアアアドルルルンゴワアアアアアア
グルグマワールグルグルマワール グルグマワールグルグルマワール
ドルルッルルルルルビュオーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!
グルグマワールグルグルマワール グルグマワールグルグルマワール
ドルラドルルルッルドルボワアアアアアアアアアギュルアアアアアアア
八雲「速くてすごかったですね・・・」
播磨「オウ・・・・・・・・・」
八雲「じゃあ、次は・・・」
播磨「な、なぁ妹さん、もう12時だ、メシにしねーか?妹さんも、腹減ってきたんじゃねえか?」
八雲「あっ・・・す、すみません!私だけ盛り上がっちゃって・・・!!」
播磨「いや、いいんだ、今日は妹さんに楽しんでもらおうと思って来たんだからな。気にすんな」
八雲「は、播磨さん・・・・・・」
播磨「さっ、あそこでメシ食うか」
八雲(な、なんだか私1人だけ盛り上がってたみたいで・・・恥ずかしい・・・)
12時、レストラン
八雲「今日は、本当にありがとうございます」
播磨「いや、全然かまわねーよ。いつも妹さんには、世話になっちまってるしな。むしろコレくらいしか出来なくて、スマンな」
八雲「い、いえ!そんなことないです・・・」
八雲「とっても・・・うれしいです・・・」
播磨「そっか、そりゃよかったぜ」
オマタセイタシマシター
カレーラースとオムライスデース
播磨「そういや妹さん・・・ひとつ聞きてぇことがあったんだが・・・」
八雲「はい?」
播磨「女の子がデートに誘われて、一番嬉しいシチュエーションって何なんだ?」
八雲「!?」ドッキーーーーーーーン!!!
八雲(えっ・・・ど、どうして播磨さんは今そんな事を・・・!?)
八雲(女の子がデートに誘われて、って、まさに今この状況のこと・・・)
八雲(まさか播磨さん・・・)
八雲(ち、違うまさかそんなハズは・・・)
八雲(そう、きっと私に気を使って、今楽しいかどうか気にしているだけ)
八雲(普通の一般的な答えを・・・返さなくちゃ)
八雲「そ、そうですね・・・きっと・・・」
播磨「うんうん」
八雲「た、楽しい時間を一緒に過ごして・・・」
播磨「ふんふん」
八雲「一緒に・・・美味しいランチを食べて・・・」
播磨「ほうほう」
八雲「好きな人と・・・」
八雲「!!」
八雲(わ、私ったら何を言ってるの・・・!)
八雲(楽しい時間を一緒に過ごして、美味しいランチを食べてって、まさに今この状況のことじゃない・・・!)
八雲(しかも、好きな人と、なんて・・・!)
播磨「あ~やっぱ、好きな人とじゃないと楽しめねーか・・・」
八雲「!! そ、そうです!好きな人と過ごす時間は・・・!」
八雲「どんな状況であっても、とても大切な時間なんです・・・!!」
播磨「そっか~・・・んじゃあよ、プレゼント、貰えたら一番嬉しいシチュエーションって何だ?」
八雲(・・・・・・えええええええ~!?)
八雲(一体ど、どういうつもりなのかしら播磨さん)
八雲(ど、どうしてさっきからそんなことばかり聞くのかしら)
八雲(そんなことばかり聞かれたら・・・・・・)
八雲「わ、私は・・・」
八雲(播磨さんも私の事好きなのかな・・・って・・・)
八雲「観覧車に乗って・・・」
八雲(私も播磨さんの事好きでいていいのかな・・・って)
八雲「一番てっぺんのところで、渡されて・・・」
八雲(・・・悪い魔女に・・・)
八雲「・・・・・・『好き』って言われたら・・・・・・」
八雲(なっちゃうじゃないですか・・・・・・)
八雲「とても・・・とても嬉しいです・・・・・・」
八雲「・・・・・・」
播磨「そっかーー!やっぱ女の子のことは一番女の子の事分かってんな~!」
播磨「ありがとよ妹さん!これで次の漫画のネームが決まりそうだぜ!」
八雲「・・・・・・えっ・・・・・・」
播磨「実は次は女の子を主人公にした漫画を描こうと思っててよ~。面白そうだろ?」
播磨「でも正直女の子の事なんてわかんねーしよ・・・やっぱ、妹さんに聞いて正解だったぜ!」
八雲「そ、そうだったんですね播磨さん!私でお役に立てたなら・・・よかったです」
播磨「おお!やっぱ持つべき物は妹さんだぜ!!」
八雲(・・・やっぱり、そうだよね・・・・・・)
播磨「そっかーー!やっぱ女の子のことは一番女の子の事分かってんな~!」
播磨「ありがとよ妹さん!これで次の漫画のネームが決まりそうだぜ!」
八雲「・・・・・・えっ・・・・・・」
播磨「実は次は女の子を主人公にした漫画を描こうと思っててよ~。面白そうだろ?」
播磨「でも正直女の子の事なんてわかんねーしよ・・・やっぱ、妹さんに聞いて正解だったぜ!」
八雲「そ、そうだったんですね播磨さん!私でお役に立てたなら・・・よかったです」
播磨「おお!やっぱ持つべき物は妹さんだぜ!!」
八雲(・・・・・・)
八雲(・・・やっぱり、そうだよね・・・・・・)
すみません二重カキコしてしまいました
夕方、帰りのバス
播磨「いやー今日はほんっとありがとな妹さん」
播磨「漫画の取材を兼ねて、妹さんのお礼もしようと思ったんだが・・・」
播磨「また妹さんに助けられちまったな」
八雲「いえ、あんな意見で参考になるなら・・・」
八雲(・・・あんな・・・はかない夢みたいな・・・)
播磨「ネームが出来上がったらよ、また妹さんに見てもらいてーんだ」
八雲「はい、是非」
播磨「おう、頼んだぜ!」
八雲(結局、私は・・・)
八雲(今の関係が壊れるのを怖がってる・・・・・・)
レストランでの播磨さんの質問が、漫画のためのものだと分かったとき
がっかりしたけど・・・少しほっとした
何もかもこのままでいられるって・・・
播磨さんの漫画が手伝えなくなる・・・・・
それが、今の私には一番つらい
だから、私の意見が役に立った、
また漫画を手伝えるかもしれない、
そう思ったら、すごく安心した・・・
でも・・・
八雲(私は・・・悪い魔女です・・・)
悪い魔女みたいに・・・
魔法で2人だけの時を作りたい・・・
何も省みず、播磨さんに・・・
この気持ちを・・・
・・・
播磨「あ、そうだ妹さん」
八雲「!? は、はい?」
播磨「コレ・・・よかったら聴いてくれ」
八雲「えっ・・・こ、コレ・・・さだまさしのニューアルバム・・・!」
播磨「本当はさっきレストランで渡そうと思ったんだがよ、忘れちまって・・・妹さん、さだまさし好きだろ?」
播磨「ホント、こんな礼しかしてやれなくてすまねえな」
八雲「い、いえ・・・!そんなこと・・・!
八雲「私・・・さだまさし好きです・・・」
八雲「大好きです・・・・・・」
八雲「・・・・・・」
八雲(大好き・・・です・・・・・・)
(・・・よかった~妹さん喜んでくれたみたいだぜ・・・目が潤んでるし、そんなに感激してもらえると、こっちもあげてよかったぜ・・・)
八雲「!?」バッ
播磨「!?」ビクッ
八雲「・・・・・・」
播磨「・・・い、妹さん?」
八雲「・・・・・・」
八雲(ダメ・・・何も視えない・・・・・・)
プシュー
播磨「あ、あっバスが着いたぜ。降りようぜ妹さん」
八雲「あっ、はい・・・」
ブロロロロロ・・・・・・
夜、自宅、八雲自室
八雲(・・・)
八雲(あの時・・・)
八雲(確かに、確かに播磨さんの心が視えた)
八雲(なのに・・・すぐ視えなくなってしまった・・・・・・)
八雲「・・・播磨さん・・・・・・」
八雲(播磨さんは、私の事・・・・・・)
八雲「好きなんですか・・・・・・?」
翌週、金曜日、屋上
播磨「・・・っつーわけで、これが出来たネームだ。妹さん、読んでくれ」
八雲「は、はい・・・」
ペラ・・・ ペラ・・・ ペラッ・・・
八雲(あれから、私の考える事は播磨さんの事ばかり)
八雲(寝坊も増えたし、料理の失敗も増えた)
八雲(姉さんが早起きするようになって、目玉焼きが一回で作れるようになったのはいいことだけど)
八雲(私にとっては困った事ばかり・・・)
八雲(この胸のモヤモヤした気持ちも・・・おさまらない・・・)
八雲「・・・ハァ・・・」
播磨「!! わ、悪い妹さん!つまんなかったらハッキリ言ってくれ!!」
八雲「あっ!ち、違うんです!すみません!」
八雲「ちゃ、ちゃんと・・・ちゃんと読んでますから・・・」
ペラ・・・ ペラ・・・ ペラッ・・・
八雲「ありがとうございます・・・」
播磨「おう・・・で、どうだ?どう思う?」
八雲「そうですね・・・入賞作品のようにテンポがよくて、女の子主人公というのも、新しくていいと思います」
播磨「そうか・・・よっしゃ!じゃ、これで描いてみるか!!」
八雲「次は、いつお手伝いに行けばいいですか?」
播磨「あ・・・そ、それが・・・そのことなんだがよ・・・」
八雲「?」
播磨「この作品は・・・俺、1人で描きあげたいんだ・・・」
八雲「え・・・・・・!!」
八雲「そ、そんな・・・!」
八雲「ど、どうして・・・」
播磨「なんっつーか、入賞してからの初作品だから、俺1人で成し遂げたいっつーか・・・」
播磨「この前遊園地に行って、お礼のつもりが、また妹さんに頼っちまって・・・」
播磨「いつまでも妹さんに頼ってちゃ、よくねーなとも思ってよ・・・」
播磨「そ、それに・・・」
播磨「妹さんも、こんな・・・不良と一緒にいる所をもし見られたら・・・」
播磨「これまでも、何度も噂になっちまったし・・・」
播磨「これ以上・・・迷惑は・・・」
八雲「そんなことない!!」
播磨「!?」
播磨「・・・い、妹さん?」
八雲「私は迷惑なんかしてません!」
八雲「私は、播磨さんの手伝いをしている時間が、とても好きなんです」
八雲「播磨さんと一緒に作品を作るのが、楽しいんです!」
八雲「入賞したときだって、とても・・・」
八雲「とても嬉しかった・・・!」
八雲「だから・・・」
八雲「だから、もっとお傍にいさせてください!!」
播磨「・・・・・・」
八雲「・・・・・・」
八雲「はっ!!」
八雲「す、すみません!!すみません大きな声をだしてしまって!!」
播磨「い、いやいいんだ!そ、それよりも・・・」
播磨「妹さんがそこまで言うなら、手伝ってもらわねーわけにはいかねーな」
播磨「すまねーが、また頼むわ!」
八雲「・・・は、はい!」
(ありがとな、妹さん・・・・・・)
八雲(! い、今また、播磨さんの声が・・・・・・!)
八雲(・・・・・・)
播磨「おっそろそろ教室戻んねーとな・・・妹さん?」
八雲「あっ、はっはい!」
それから一週間後、下書きが終わり、いよいよペン入れが始まった。
平日は播磨がワク線引き、ペン入れをし、
日曜日に八雲が来てベタ、トーン、仕上げをするというローテーションになった。
読みきり作品の締め切りまであと2ヵ月。
集中して描けるのは1週間に1回だけ。つまり、勝負は約8回というわけだ。
時間が有るように見えるが、実は一枚の原稿を描くというのは、もの凄い労力を必要とする。
たとえば・・・
播磨「あ~イテテテテ・・・クソッ、肩がこってしょーがねぇ・・・」
播磨(今まで描きまくってたときはこんなことなかったのによ・・・少し疲れがたまってきたか・・・?)
八雲「ふぅ・・・」
播磨「妹さん疲れただろ、少し休憩にしようぜ」
八雲「は、はい・・・」
八雲(播磨さんには言えないけど・・・なんだか今日は腰が痛い・・・今までこんな事なかったのに・・・)
このような疲労が蓄積されると、つい作業スピードが落ちてしまう・・・。
漫画家とは肉体労働なのである。
そしてついペン入れの時に起きてしまう事故・・・それは・・・
播磨「妹さん、そこにあるトーン取ってくれねえか?」
八雲「えっ?どれですか?」
播磨「あーっと、そこの三枚目の」
ガタッ
バシャッ
播磨「ん?」
八雲「あ・・・」
播磨「ああああああああああああああああ!!!」
播磨「あと一枚トーン貼れば終わる原稿に イ ン ク こぼしちまったあああああああ!!」
そしてまた、疲労がたまると集中力がなくなっていき・・・
八雲「は、播磨さん大変です!」
播磨「どうした妹さん!」
八雲「ここのページ、女の子は右でコップを持ってたのに・・・」
八雲「こっちのページでは左で持っていて・・・」
播磨「どわーーーーー!!んでもってこっちのページでは両手で持ってるーー!?」
八雲「す、すみません・・・!私が気づけばよかったんです・・・すみません・・・!」
播磨「いや・・・大丈夫だ・・・妹さん・・・全部描き直す!!」
播磨「うおりゃああああああ!!!!」
そう、描き間違いが連発するのだ。
利き手、指の本数、髪の長さなど、普段なら気づくミスに気づかなくなっていく・・・。
「描かなければ」という目標のため、つい注意力が散漫になってしまうのだ!
そして漫画をそれなりに描きなれているはずの彼らだったが、
初読みきりというプレッシャーからか、幾度となくミスを犯してしまうのであった。
八雲「は、播磨さん!ここの服の模様が違います!」
播磨「こっちは「白米」こっちは「玄米」かよっ!くそっ!」
播磨「妹さんあぶねえ!!」
八雲「はっ!?」
播磨「もう少しで白い服にインクが飛ぶところだったぜ・・・」
八雲「わ、私は大丈夫です・・・でも・・・」
播磨「ん? どわーーーー!! 俺の黒い服にホワイトがああああ!!」
※ホワイト=修正液
八雲「播磨さん危ない!上からインクがこぼれてくる!!」
播磨「畜生!!原稿は、原稿だけは守るーーーーッ!!」
播磨「うおおおおおおーーーーー!!」
そして彼らは幾つもの戦いを経て、
ようやく、あと1ページというところまでたどり着いた・・・。
播磨「締め切り1週間前か・・・」
八雲「けっこう余裕を持って完成できそうですね・・・」
播磨「安心するのはまだ早いぜ妹さん、そのセリフはこの残りの2ページを仕上げてからだ」
八雲「は、はいっ!」
カリ・・・カリカリ・・・
カリカリカリ・・・
播磨(よし・・・ここの線は太めに入れて・・・)
播磨(よしっ、1ページ完成、残すはあと1ページ!)
播磨「妹さん、じゃあこれ頼むわ」
八雲「はい、分かりました」
播磨(妹さんに渡したページのベタ塗りは・・・)
播磨(髪の毛、スカート、影、そしてカンフーの達人)
播磨(少し面倒な作業だが、すまねえ妹さん)
播磨(その後はトーンを貼らねえとな・・・あれと、あのトーンと・・・)
播磨(・・・って俺妹さんにベタ塗りの場所とか指示したっけ!?)
播磨「妹さんすまねえ!そのページだが・・・ってアレ?」
八雲「はい、もう出来上がってますよ」
播磨(ベタもトーンも貼られてる・・・)
播磨「お、おうサンキューな。じゃあ、あとこの1ページで終わりだ」
八雲「はい、ここはココと、ココを塗ればいいんですね?」
播磨「ああ、書いてる指示どうりに頼んだぜ。俺は出来上がった原稿をもう一回チェックするぜ」
八雲「はい、分かりました」
ペラッ・・・ペラッ・・・ペラッ・・・
八雲(さっき・・・はっきりと視えた・・・)
八雲(いつもより長く・・・いつもよりはっきりと・・・)
八雲(播磨さんの・・・心が・・・・・・)
八雲(播磨さん・・・・・・)
八雲(どうして、あなたの心が視えるのですか?)
八雲(今まで全く見えなかったのに・・・・・・)
八雲(播磨さん、あなたも・・・)
八雲(私の事が・・・・・・)
八雲(・・・・・・)
八雲(・・・・・・)
八雲(言おう・・・この漫画が出来上がったら・・・)
八雲(播磨さんに・・・)
八雲(私は、播磨さんの役に立って)
八雲(播磨さんの傍に居て)
八雲(播磨さんの笑顔を見るのが・・・)
八雲(好きなんです・・・・・・って)
八雲(もしかしたら、この思いは、ただの勘違いかもしれない)
八雲(それでも・・・・・・)
八雲(視えなくても分かる、私とあの人だけの共に過ごしてきた時が・・・)
八雲(きっと私たちを繋げている・・・・・・)
八雲(だから、だから・・・・・・!)
播磨「あ~~~~~!!なんかダメだ!!」
八雲「!?」
八雲「ど、どうしたんですか播磨さん・・・?」
播磨「な~んか、読み返してみたらよ・・・しっくりこねーっつか・・・」
播磨「なんつーかこう・・・新人賞の作品を意識しすぎて、保守的になっちまってるような気がしてよ~・・・」
八雲「そ、そんな・・・」
播磨「あ、ああっ!すまねえ妹さん、そうだよな・・・今から描き直すっつーのも、スゲー手間だしな」
播磨「・・・それに、この漫画は妹さんの面白いっていうお墨付きだからな。面白くねえわけがねえ!」
播磨「そうそう!大丈夫大丈夫!!」
播磨(クソッ・・・本当は描きなおしてえ・・・シナリオだって新しく思い浮かんだ。この熱い魂を描きてぇ!)
播磨(しかしそれは、この話をいいと言ってくれた、妹さんに対する侮辱・・・)
播磨(それにあと一週間。1人で描き切れるわけがねぇ。かといって今までの労力を考えたら、妹さんにはもう頼めねぇ・・・クソッあきらめるしか・・・)
八雲「播磨さん!描きましょう!」
播磨「え、ええっ!?」
八雲「自分の満足するものを描いて下さい!」
播磨「し、しかしよぉ妹さん・・・」
八雲「私が放課後、毎日手伝いに来ます!」
播磨「お、おいおい!?家のことはどーすんだよ!?」
八雲「大丈夫です。姉さんは、最近早起きできますし、お料理は作り置きしておきますから」
八雲「お願いします。自分の心に、嘘をつかないでください・・・」
八雲「私が・・・」
八雲「私がその心を受け止めます!!」
播磨「・・・」
播磨「・・・・・・ほんっとーにいいんだな?妹さん」
八雲「・・・・・・はい」
播磨「・・・・・・よっしゃ!!そうと決まったら残り一週間描きまくるぜ!!よーーーし行くぜ妹さん!!」
八雲「は、はい!」
こうして、再び修羅場が始まった。
数時間で仕上げた播磨のネームから、30ページの下書きを起こし、またペン入れをしていく。
それはとても過酷な作業であった。
だが・・・・・・
播磨「うおおおおおおおおおおおおお!!」
ガリガリガリッ カリカリカリッ
ペラッツ シュッ パパパパパッ
カリカリカリカリカリ カリカリッ!
播磨(よしっ!出来た!次はこのページだ!)
播磨(描くぜ~!描くぜ俺はやるぜ~~!!)
播磨(新人賞受賞者による読みきり堂々登場!ジンマガの紙面にハリマ☆ハリオの名を轟かせてやるぜ!)
八雲(・・・播磨さん、大変そうだけど、楽しそう・・・)
八雲(私も頑張らなくっちゃ)
八雲(そして、これを描き終わったら、今度こそ・・・)
八雲(今度こそ、私の思いを・・・)
書き直しから4日目、PM8時
播磨「は~~・・・さすがに疲れたな・・・妹さん、少し休憩しようぜ」
八雲「あ、はい・・・もうこんな時間なんですね・・・」
播磨「ああ、時間が立つのが本当に早いぜ・・・しかし妹さんのおかげで、かなり早く進んだな」
八雲「ほ、本当ですか?・・・ありがとうございます」
播磨「恩に着るぜ妹さん。あ、コーヒー入れてくるからちょっと待っててくれ」
八雲「はい、ありがとうございます」
ガチャッ
八雲「・・・」
八雲「・・・そういえば、今まで夢中で気づかなかったけど・・・」
八雲「ヒロインの絵柄が少し変わったのよね・・・」
ペラッ
八雲「!?」
八雲「こ、これって・・・!?」
八雲(今まで、姉さんみたいな髪型の女の子だったのに・・・)
八雲(ショ、ショートヘアーに変わっている!?)
ガチャ
播磨「おーす待たせたな妹さん、ミルクと砂糖は・・・」
播磨「って、どうしたんだ?原稿まじまじと見つめて・・・ま、まさかまた致命的なミスを!?」
八雲「い、いえ・・・!違うんです・・・あの・・・その・・・」
播磨「何だ?何でも言ってくれ妹さん!俺はもう妥協したくねーんだ!」
八雲「あ、あの・・・こ、このヒロインの子の髪型が・・・変わったのは・・・なんでかな・・・って・・・」
播磨「!! そ、それかなーんだそんなことか!!い、嫌別に深い意味はねーんだよ、アハハハ」
八雲「そ、そうなんですか?い、いえ、今までロングヘアーの子ばかり描いてたのに、いきなり変わるなんて、何かあったんですか?」
播磨「ううっ!!そ、それは!!」
八雲「は・・・播磨さんの意図を汲んで描くのに、重要なことだと思います・・・どうか教えてください・・・!」
播磨「ううっ・・・・・・・・・」
八雲「・・・・・・・・・・・・」
播磨「・・・・・・わかったよ・・・・・・」
播磨「・・・俺が漫画を描き始めたのは・・・」
播磨「・・・ある女の子がきっかけだった・・・」
八雲(・・・・・・姉さんの事ね・・・・・・)
播磨「今までの俺は・・・その子の事で・・・頭がいっぱいだった・・・」
播磨「寝てもさめても・・・・・・そう、漫画のヒロインにしちまうくらい・・・」
播磨「俺は・・・その子の為に漫画を描いていたようなものだった・・・・・・」
八雲「・・・・・・」
播磨「だが・・・大賞受賞作品を描き始めた頃から・・・・・・」
播磨「・・・何かが俺の中で変わっていった・・・」
八雲「・・・・・・」
播磨「その子の為じゃねえ、俺は、俺の達成感の為に・・・・・・描いているんじゃねえかって・・・・・・」
播磨「この前ボツにした原稿を描き始めて、それは確固たるものに変わった・・・」
播磨「・・・俺の中でこの子は・・・」
播磨「一つの夢を達成するための「大切な思い出」みたいなもんになったのさ」
八雲「・・・・・・」
播磨「そういう意味で、この子は、俺のヒロインを卒業したのさ」
播磨(天満ちゃん、そう君がいたから、俺は漫画を描き続けてきた・・・)
播磨(でも今は、俺の夢の為に描き続ける。だから天満ちゃん・・・君は烏丸と・・・幸せになって欲しい)
八雲(播磨さん・・・)
播磨「あっ、この話は絶対に他に内緒な。一応その子には、これからもカッコワリーとこは見せらんねーからよ」
八雲「あっ・・・はい勿論です」
八雲(・・・播磨さん・・・・・・)
八雲(次のヒロインは、私がなっても・・・・・・いいですか?)
それから3日間。
八雲は毎日播磨の部屋へ通い、夜遅くまで原稿を手伝った。
播磨は八雲のいない間も、死に物狂いで原稿を描いた。
時につかれて眠ってしまうこともあったが、その間、播磨の心を視た八雲が、原稿を仕上げることもあった。
壮絶な戦いを経て・・・・・・
そして今・・・・・・ようやく原稿は完成した。
播磨「うおおおおおおおおお!!ついに出来たぜえええええ!」
八雲「おめでとうございます、播磨さん」
播磨「しかしもう投函してたら締め切りには間に合わねー!」
播磨「こうなったら直接届けに行くしかねえ!」
播磨「バイクは絃子が持ってっちまってるし・・・」
播磨「走って届けるしかねーようだな!悪い妹さん、ちょっと行ってくるぜ!」
ガタッ
播磨「あ、あれっ!?」フラッ
八雲「は、播磨さん!」
播磨「畜生、こんな時に少しめまいがするぜ・・・クソッ!時は一刻を争うってのによ!」
八雲「さすがに疲れてるんですよ・・・危ないので、私も一緒について行きます」
播磨「・・・すまねえな妹さん、何から何まで」
八雲「いいんですよ・・・・・・播磨さん・・・・・・」
八雲「私は・・・ずっと・・・」
八雲「播磨さんのお傍にいますから・・・・・・」
八雲「・・・・・・」ジッ
播磨「・・・・・・!?」ドッキーーーーーンッ!!
播磨(な、なんだ今のは!?動悸か!?や、やっぱり俺疲れてるのか・・・!?)
播磨「さ、さあ急ぐぞ妹さん!もう一刻の猶予もねえ!」
八雲「は、はい!」
タッタッタッタッ・・・・・・
「あれっ?あそこ走ってるの播磨じゃねーか?」
「えぇ?なんでヒゲがこんな所?」
「あーーー!八雲もいるーー!おーーーい!やくもーーー!!」
播磨(ゲェッ!?あ、あれは・・・!)
天満「播磨君も一緒なんて~!2人でデートで・す・かー!?」
周防「こんな夜遅くに歩いてると、一緒に不良になっちまうぞぉ?」
沢近「アラ、いいんじゃない?ちょうど不良同士でお似合いじゃない」
播磨(ゲェーーーーッ!よりにもよってなんでこんな時にぃーーーーっ!)
八雲「ね、姉さん・・・」
播磨「あぁああ~つ、塚本・・・お、お前たち・・・こ、れは違うんだ!その、デートとかじゃなくって・・・」
沢近「2人で寄り添って仲良く街を歩くことの何がデートじゃないですって?」
播磨「ウルセェオマエは黙ってろ!!」
沢近「な、何ですってぇ!?」
周防「でも見たところ、2人とも服も髪もよれよれだし・・・デートって感じじゃなさそーだぜ?」
播磨「そ、そうなんだよ!!じゃ、俺たち急いでるから・・・」
周防「で~も~!!2人で歩いてるってのはほっとけねーな~!」
天満「そうそう!!さぁさぁ、どうしてそんなに急いでるのっ?さぁ、教えてごらんなさ~い♪」
沢近「・・・・・・」
播磨(あぁああ・・・やべぇ、やべぇーーーーコレは!!)
播磨(これはいつもの勘違いされるパターン!!マズいいっ!)
播磨(く、くそ・・・ここは・・・覚悟を決めて・・・本当の事を言うしか・・・・・・)
八雲「・・・播磨さん・・・・・・」コソッ
播磨「い、妹さん!?」
八雲「大丈夫です・・・私がついてますから・・・・・・」
播磨「・・・・・・」
播磨(・・・そうだ・・・・・・俺は今1人じゃねえ・・・)
播磨(妹さんという、強い見方がいる!!)
播磨「あ、あのよ・・・・・・」
播磨「実は・・・・・・俺たち・・・・・・・・・」
播磨「漫画を・・・・・・描いててよ・・・・・・・・・」
天満「ま」
周防「ん」
沢近「が」
播磨「おう!妹さんがアシスタントしてくれてよ!全くいつも世話になっちまってよ・・・。そうそう、この前のジンマガ新人大賞の漫画も・・・」
天満、周防、沢近「アーーーーーッハッハッハッハッハ!!」ドッ!!
播磨「!?」
八雲「!?」
天満「えええーーーーっ!?播磨君が漫画ぁ!?」
周防「いっつも八雲と一緒にいたのはそーゆーことかよ!!」
沢近「全く!ホントイメージと違いすぎて笑っちゃったわよ!!」
アハハハハハ・・・・・・
ハ・・・ハハ・・・
播磨「・・・・・・・・・・・・」
天満「あ、あの・・・」
周防「播磨?」
沢近「わ、私たちバカにしたんじゃなくて・・・その、意外すぎて・・・」
播磨「いや・・・気にしねえでくれ・・・」
天満「ご、ごめんね播磨君・・・そ、そっかぁ!八雲はアシスタントさんだったんだぁ!アハハハ・・・」
播磨「・・・・・・」
周防「スマン播磨・・・本当にゴメン・・・」
播磨「・・・・・・」
播磨「ま・・・オレがこんなことやってるっつーのも、ガラに合ってねーよな・・・ハハハ」
播磨「ハハハハハ・・・・・・・・・」
播磨「・・・・・・」
播磨「チクショウ・・・・・・」
播磨「どうせ不良のすることだってバカにしたんだろ!!」
播磨「畜生ぉ!!」
バサバサバサッ!!
八雲「は、播磨さん!原稿が!!」
播磨「ウルセェ!!そんなもんもういらねえよ!!」ダッ
ダッダッダッ・・・・・・
八雲「播磨さん!!」
ピュ~~~・・・・・・ バサバサバサバサッ
八雲「あ、あぁ・・・!風で原稿が・・・!」
八雲「・・・・・・」
八雲「・・・!!」キッ!!
天満、周防、沢近「!!」ビクゥッ!
八雲「・・・謝ってください・・・」
八雲「・・・」
八雲「播磨さんに謝って!!」
天満、周防、沢近「!!」ビクゥウゥッッ!
八雲「原稿・・・拾わなきゃ・・・!」
タッタッタッ・・・・・・
播磨自室
播磨(クソ・・・俺のしてきた事は・・・)
播磨(俺のしてきた事は・・・ただの茶番だったってコトかよ!!)
播磨(畜生・・・悔しい・・・悔しくて悔しくてしょうがねえぜ!!)
播磨(なんで・・・・・・)
播磨「なんでこんなに・・・・・・悔しいんだよ・・・・・・」
(・・・播磨さん・・・・・・)
播磨「!!」
(・・・わ、私でよかったら、いつでも・・・)
播磨「・・・・・・」
(もっとお傍にいさせてください!!)
播磨「そっか・・・・・・」
(私がその心を受け止めます!!)
播磨「この漫画は・・・・・・」
(いいんですよ・・・・・・播磨さん・・・・・・)
(私は・・・ずっと・・・)
(播磨さんのお傍にいますから・・・・・・)
播磨「俺と・・・妹さんの・・・・・・」
ガチャッ!!
播磨「!?」
八雲「ハァッ・・・ハァッ・・・」
播磨「い、妹さん!」
八雲「ハァ・・・ハァ・・・・・・」
八雲「は、はりまさん・・・・・・ハァ・・・ハァ・・・こ、これ・・・・・・」
播磨「原稿!?ま、まさか妹さん、拾い集めたのか!?」
八雲「すみません・・・・・・全部は・・・・・・集められなくて・・・・・・」
播磨「・・・・・・・・・・・・」
八雲「・・・・・・もう、あんな事・・・言わないでください・・・・・・」
八雲「自分のして来た事が無駄だったなんて・・・・・・」
八雲「自分の夢を否定するなんて・・・・・・」
八雲「そんな悲しいこと・・・・・・」
八雲「言わないでください!」
八雲「私も・・・・・・」
八雲「私も一緒に見た夢を否定しないでください!!」
播磨「!!」
八雲「私・・・新しい漫画のシナリオ・・・・・・考えました」
播磨「?」
八雲「主人公は男の子・・・・・・」
八雲「男の子は・・・すごく不器用で・・・・・・」
八雲「自分の気持ちを・・・素直に表現できない人・・・・・・」
八雲「でも・・・」
八雲「いつも傍に女の子がいます・・・・・・」
八雲「その子は、男の子役に立って」
八雲「男の子の傍に居て」
八雲「男の子の笑顔を見るのが・・・」
八雲「好きなんです・・・・・・」
八雲「もしかしたら、この思いは、ただの勘違いかもしれない」
八雲「それでも・・・・・・」
八雲「私とあの人だけの共に過ごしてきた時が・・・」
八雲「きっと私たちを繋げている・・・・・・」
八雲「だから、だから・・・・・・!」
八雲「好きです・・・・・・!播磨さん・・・・・・!!」
ごめんなさい限界です
明日夜残ってたら続き描きます
八雲(・・・・・・・・・播磨さん)
八雲(・・・・・・播磨さん)
八雲(・・・播磨さん・・・!!)
八雲(もう私は自分の心に嘘をつきません・・・・・・)
八雲(・・・・・・だから・・・・・・)
八雲(・・・・・・私の心を・・・・・・)
八雲(・・・どうか・・・・・・)
八雲(受け止めてください・・・・・・!!)
播磨「・・・・・・・・・い、妹さん・・・・・・」
八雲「・・・・・・」
八雲(・・・・・・あれ・・・・・・?)
八雲(・・・・・・)
八雲(・・・・・・播磨さんの心が・・・・・・)
八雲(・・・・・・視えない・・・・・・?)
八雲「あ・・・・・・わ、私・・・・・・」
八雲(う、嘘・・・・・・・・・)
八雲(私の・・・・・・)
八雲(私の勘違い・・・・・・だったの・・・・・・?)
八雲「う・・・ううっ・・・・・・」
播磨「!! い、妹さん!!」
八雲「わ、私・・・私・・・」ポロポロポロ
播磨「お、おい・・・泣かねぇでくれ妹さん!!」
八雲「私・・・私・・・・・・」ヒック ヒック
八雲「すみません・・・すみません・・・」ヒック ヒック
八雲(私・・・・・・1人で盛り上がって・・・・・・)
八雲(1人で勘違いして・・・・・・バカみたい・・・・・・)
八雲(・・・・・・・・・・・・)
八雲(・・・きっと、もうこの関係も、終わり・・・・・・)
八雲(こんな、こんなことなら・・・・・・)
八雲(こんなことなら、好きなんて言わなければよかった!!)
八雲(自分の心に嘘をついて・・・・・・)
八雲(臆病なままで・・・・・・)
八雲(何も、変わらないままのほうが・・・・・・)
播磨「そんなことねえ!!」
八雲「!?」
八雲(は、播磨さん・・・?)
八雲(今、私の心に・・・答えるように・・・・・・?)
播磨「妹さん、アンタは謝るようなことなんてしてねぇ!」
播磨「むしろ、謝んなきゃいけねえのは、俺の方だ!!」
播磨「昔、漫画を描く目的を見失ったときも、そうだった・・・」
播磨「テメーの事しか考えてねぇ、子供みてぇな理由で、夢を失いかけた・・・」
播磨「今だってそうだ・・・」
播磨「でも、今は・・・・・・」
播磨「俺だけの夢、じゃねえんだよな・・・・・・!」
八雲「・・・・・・!!」
天満「やーーーくもーーーー!!」
播磨「!!」
八雲「!!」
八雲「ね、姉さん!?皆さんも、どうして!?」
天満「ハァッ・・・・・・ハァッ・・・・・・ま、前に八雲から播磨君の家の場所聞いて、覚えてたから・・・・・・」
沢近「そのワリに、ここに来るまで随分迷ったけどね・・・」
天満「ギクギクッ」
周防「まぁいいじゃねえか・・・それより・・・ホラ播磨、これ・・・・・・」
播磨「こ、これは・・・・・・!!」
播磨「妹さんが集められなかった原稿!!」
播磨「お、お前らが・・・・・・!?」
天満「ちょっと汚れちゃった部分もあるけど・・・でもコレできっと全部だよね?」
周防「いやー風が強くて、なかなか探すのが大変だったよ」
沢近「ホント…すまなかったわね……播磨君………」
天満「私……さっき播磨君が漫画描いてるって言った時、凄くびっくりした……」
秋刀魚「まさか……って思って、信じられなくて……」
天満「でも……播磨君のあの落ち込んだ姿を見て……」
天満「播磨君は、真剣に一生懸命やってたんだなって、分かった」
天満「飛ばされちゃった漫画を集めて、少しだけど読んだ時……」
天満「その気持ちが…もっと伝わってきた……」
天満「ごめんね……播磨君……」
播磨「つ、塚本・・・!!」
播磨「いや……俺の方こそ大人気ねぇ態度とっちまって、悪かった」
播磨「周防も、お嬢も……悪かったな」
沢近「そんなことないわよ……」
周防「こっちが悪い事には、変わりはねーんだからさ」
天満の名前が秋刀魚になってる・・・
すみません
はりまく~ん! <´゚ノ ヽヽヽヽヽヽヽ `,><《 ビチビチッ ビターン
播磨「っと・・・仲直りの余韻に浸ってる場合じゃねぇ!一刻も早く、原稿を届けねえと・・・」
播磨「う・・・っ!!クソッ、やっぱ立ちくらみが・・・畜生・・・間に合わねーか・・・」
天満「だったら、私が届けるよ!」
播磨「えぇ!?お、おい、大丈夫か塚本!?」
天満「大丈夫!私が責任持って届けます!」
天満「えーっと、ジンマガって学集館だっけ?」
沢近「・・・私もついていくわ」
周防「・・・アタシも・・・」
播磨「すまねえな塚本、周防、沢近・・・恩に着るぜ」
播磨「談講社の受付で「ハリマ☆ハリオの代理の者です」って言えば受け取ってくれるからよーー!頼んだぜ!!」
天満「まっかせてー!!」
周防「おい沢近、早く行くぞ!」
沢近「あ、うん!すぐ行くから行ってて!」
沢近「・・・・・・」
沢近「・・・・・・八雲、ちょっと、いい?」
八雲「・・・・・・」
マンションの外
沢近「・・・・・・アンタがアイツといつも一緒にいたのは、こういう理由があったからなのね・・・・・・」
八雲「は、はい・・・・・・」
沢近「・・・・・・アンタ、アイツの事・・・・・・」
沢近「ただ単に、手伝いたくて、一緒にいるの?」
沢近「それとも・・・・・・」
沢近「好きだから・・・・・・」
沢近「一緒にいるの?」
八雲「・・・・・・」
八雲「わ、私は・・・・・・」
八雲「私は・・・・・・」
八雲「播磨さんの事が好きだから、お手伝いをして、ずっと一緒にいたいと・・・・・・」
八雲「そう・・・思っています・・・・・・」
沢近「・・・・・・・・・!」
沢近「・・・・・・・・・」
沢近「・・・・・・負けたわ・・・・・・」
沢近「アンタが学園祭の演劇の時に言ってた台詞・・・・・・本当だったのね」
沢近「私が知らない100年という時・・・ね・・・」
沢近「・・・八雲、アイツはバカだから、言うときはガツンと言わないとわかんないわよ」
沢近「・・・しっかり支えてやんなさいよね」
タッタッタ・・・・・・
八雲「・・・・・・沢近先輩・・・・・・」
八雲「・・・・・・」
八雲(わ、私・・・・・・・・・・・・)
八雲(あんな告白した後で、部屋に戻るなんて・・・・・・・・・・・・)
八雲(は、恥ずかしい・・・・・・・・・・・・)
八雲(どうしよう・・・・・・どんな顔して戻れば・・・・・・)
ガチャッ
播磨「・・・・・・妹さん」
八雲「!! は、播磨さん!」
播磨「ま、外は冷えるし、中に入れよ」
八雲「は、は、はい・・・・・・」
播磨「・・・・・・」
八雲「・・・・・・」
播磨「・・・・・・しっかし、意外とスッキリしちまうもんだな」
八雲「!? えっ、えっ?」
播磨「漫画のことだよ。こうやってバレちまって、案外よかったかもしれねーな」
八雲「あっ、あぁ・・・・・・」
播磨「・・・・・・・・・・・・不良が漫画、か・・・・・・やっぱギャップありすぎなのかもしれねえな」
八雲「そ、そんなこと!」
播磨「でも、俺が漫画を描いてるって知っても、何も言わず受け入れてくれた人がいたな・・・・・・」
播磨「・・・・・・・・・・・・」
播磨「・・・・・・妹さん・・・・・・・・・・・・」
八雲「は、はいっ」
播磨(・・・・・・・・・・・・そっ、・・・・・・言えば・・・・・・・・・・・・)
八雲(あ、あれ・・・・・・今の、播磨さんの・・・・・・心?)
播磨「・・・・・・」
八雲「・・・・・・」
播磨「・・・・・・しっかし、意外とスッキリしちまうもんだな」
八雲「!? えっ、えっ?」
播磨「漫画のことだよ。こうやってバレちまって、案外よかったかもしれねーな」
八雲「あっ、あぁ・・・・・・」
播磨「・・・・・・・・・・・・不良が漫画、か・・・・・・やっぱギャップありすぎなのかもしれねえな」
八雲「そ、そんなこと!」
播磨「でも、俺が漫画を描いてるって知っても、何も言わず受け入れてくれた人がいたな・・・・・・」
播磨「・・・・・・・・・・・・」
播磨「・・・・・・妹さん・・・・・・・・・・・・」
八雲「は、はいっ」
(・・・・・・・・・・・・そっ、・・・・・・言えば・・・・・・・・・・・・)
八雲(あ、あれ・・・・・・今の、播磨さんの・・・・・・心?)
播磨「アンタだけだ、俺の夢を笑わず、受け止めてくれたのは・・・・・・」
(チクショウ!・・・・・・んて、恥ずかしくて言えねー・・・・・・!!)
播磨「そして、その夢に一緒に付き合ってくれて、一緒に歩んで来てくれた・・・・・・」
(そうだ・・・・・・・シナリオを・・・・・・話すフリで・・・・・・・・・・・・)
播磨「い、妹さん、俺も新しい漫画のシナリオ、考えたんだ」
播磨「き、聞いてくれるか?」
(・・・・・・・さん、アンタも・・・・・・・・・・・・・・心を・・・・・・・受け止めて・・・・・・・)
八雲「は、はい・・・・・・・・・・・・・・」
播磨「さ、さっき妹さんが考えてくれたシナリオの続きでよ」
播磨「その主人公の男の子は・・・・・・」
播磨「なぜかその子と一緒にいると、スゲー心が落ち着いて・・・・・・」
播磨「お互い、交わす言葉は少ねえのかもしれねえが」
播磨「不思議とウマが合って・・・・・・」
播磨「不器用で素直じゃねえそいつは、その子の前だと、素直になれるんだ」
八雲「・・・・・・・・・・・・」
播磨「それで、それでよ・・・・・・・・・・・・」
(・・・・・・クソ・・・・・・・・・・・・なんで俺はこんな時に・・・・・・思い切って・・・・・・・・・・・・!!)
八雲(は、播磨さん・・・・・・)
播磨「だあああ~~~~~クソッ!」バッ!
八雲「えっ!?」
(チクショォ!もう俺は妹さんに隠すものなんてねぇ!こんなグラサンももう取ってやらぁ!)
播磨「い、妹さん!!」
八雲「は、はい!!」
播磨「(お、俺もアンタの事が、大好きだ!!!!)」
・・・・・・
八雲「ちょ、ちょっとコレ・・・・・・!」
播磨「ああ?いいだろ俺の新作短編読みきり。愛の感動大作だぜ!」
八雲「で、でも、コレじゃあ、ハッキリ私たちだって分かっちゃうじゃないですか・・・・・・!」カアァァァァァ
播磨「いいじゃねえか!どうせ俺たち結婚したんだし、俺たちの事は編集にもファンにも周知の事実になってるんだしよ」
八雲「そ、それはそうですけど・・・・・・」
播磨「!! わ、悪い!そ、そんなに嫌だったか・・・・・・? 八雲・・・・・・・・・・・・」
八雲「!! い、いえ!!そんなこと・・・・・・!」
八雲「そんなこと、ないですよ・・・・・・」
八雲「・・・・・・拳児さん・・・・・・」
HAPPY ONIGIRI END
久々にスクランアニメ見たら、八雲とくっつかないヒゲに怒りを覚えたのでむしゃくしゃしてやった
始めてのSSだったが後悔はしていない
おにぎりは崇高かつ永遠
おにぎりに幸あれ
このSSまとめへのコメント
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