絢瀬亜里沙「犯人は・・・あなたです。」 (前編) (119)
絢瀬亜里沙「犯人は…あなたですよね…?」を書いたものです。おもいっきり続きもの。
絢瀬亜里沙「犯人は…あなたですよね…?」 - SSまとめ速報
(http://www.logsoku.com/r/news4vip/1393229680/)
何か長くなりそうなんで二つに分けます。
とりあえず↑のURLの文章の一部を修正
>59の
[にこと凛を後ろからこっそりついていき、凛とにこを刺殺その後もう一人の犯人Xが花陽を撲殺した・・・。]
と訂正しましたが正しくは
[にこと犯人Xが花陽と凛を後ろからこっそりついていき、犯人Xが凛を刺殺し、にこが花陽を撲殺してにこを犯人Xが撲殺した・・・。]
に修正しまする。
~~~~~~~~~~~~~~~
ラブライブ!で推理物をしたかっただけ。トリックは同じです。
一部ラブライブと設定が違う所があります。
読みにくかったり、誤字脱字矛盾があったらよろしく指摘よろしくお願いします。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1395840284
前回のラブライブ!!
なんやかんやあって無事にラブライブを優勝した私たち!!
長期休みを祝してお祝い旅行をを企画した!!
旅行先は真姫ちゃんの別荘である無人島!!なんでもこの島は色々いわくつきなんだとか!
それでも関係ないよ!私たちは楽しむんだ!
船では新しい出会いが!
穂乃果「雪穂!?どうしてここに!?」
絵里「亜里沙!?あなたもどうして!?」
雪穂「お姉ちゃんだけずるいんだよ!!私も行くもん!」
亜里沙「本当に帰ってきたんだ・・・。疑っていた訳では無いけど、この目で見るとやっぱりすごい・・・。」
ことり「穂乃果ちゃん、後で大事な話があるんだけど・・・。」
穂乃果「・・・えっ?何?ことりちゃん・・・?」
真姫「にこちゃんそれテニスボール?珍しい色しているわね?」
にこ「へっへーんにこ色にしたのよ!アイドルたるもの身の回りの物も揃えないとね。後でやるわよ!真姫ちゃん!」
こうしてお祝い旅行は11人で始まった!
○月×日 ~音野木坂スクールアイドル連続殺人事件から10年後~
沖縄 真姫家別荘
そこは無人な島にしては少しおかしかった。沖縄から船で数十キロの所にその島はあった。
無人なはずなのに森も無く、雑草もなく、かと言って整備された道も無く、建物もない。
都会らしくもなく、田舎らしくもない。その中間と言えば、こんな感じなのだろうか。
この島はそれなりに広いはずなのだが遮蔽物が全く無い。なので端から見たら反対側の端まで見える気がした。
ただ、そんな何も無い島に一つだけ、この日本ではめったに拝む事の出来ないものがあった。
巨大なクレーターである。爆発によりこのクレーターが出来てからこの島は日本中の関心を集めた。
当時はこのクレーターの原因を求めて様々な学者が無人島に訪れてたものだ。
あれから10年。今ではその感心もすっかり薄れ、ここは無人の島に戻ってしまった。
そんな無人の島に、クレーターの中心部に、一人の女性がいた。
真姫母「・・・。真姫、10年も過ぎちゃったけど・・・やっとここに来れたわ。ごめんね。遅くなっちゃって。」
真姫母である。10年前の美貌は見る影も無く、顔はしわ塗れで、髪がボサボサだった。
実年齢よりさらに10年老けて見えるその顔は、苦労した証しなのだろうか。
あの日、西木野家が所有する無人島が爆発してから。あの日、自分の娘を失った日から。
真姫母はあの日の事を鮮明に思い出せる。
真姫たちが合宿に入ってから3日目の朝だろうか。金策を考えていて、寝落ちしていた真姫母に突然警察から電話がかかってきた。
警察と聞いて真姫母に思い浮かんだのは例の訴訟事件についてだったが用件は違う事だった。
真姫母「えっ・・・?」
その言葉を聞いて、真姫母は思わず受話器を二度見してしまった。この警察の人は今なんて言ったのか。
だからもう一度聞いた。すると同じ答えが返ってきた。西木野家が沖縄に所有している無人島が爆発したと。
最初は何かの悪質なイタズラかと思った。誰がそんな事を信じられるだろうか。しかし、テレビをつけても、その日の新聞を見ても、
ニュースはその事でいっぱいだった。真姫母は当然その無人島には何回も行った事がある。その島は屋敷と森しかない。
しかし、ヘリから中継されているその映像は、、屋敷はおろか、森、いや、何もなかった。
ホール状のケーキの上の飾りを取ったらこんな感じなのかもしれない。それくらい、真っ白だった。
そして、行方不明者の中に自分の娘の名前があったのを見つけた時、ようやく真姫母は自分の娘が死んだ事を理解し、涙を流したのだった。
真姫母「ホント、正直今でも信じられないわ。真姫。あなたが死んだなんて。」
真姫母はクレーターの中心に花束を置いた。
真姫母「・・・ほんとに何もかも吹き飛んでしまったのね。」
真姫母がこの島に来たのはこれが初めてだ。爆発してからの10年は早かった。
他のメンバーの保護者からは何回も問い詰められ、記者からは毎日のように追いかけられた。
泣きたいのは娘を亡くした真姫母も同じなのに、まるで真姫母がメンバーを殺したかのような扱いを受けた。
それもこれもあのメッセージボトルが悪いのだ。
最初は不発弾による不幸な事故として処理される予定で、真姫母は一人娘を亡くした不幸な母だと世間から認識されるはずだった。
しかし、事件から数日して、本島で釣りをしていた者によって発見されたメッセージボトルによって事態は一変する。
その手紙の書き手は娘の真姫で、内容は、自分は碑文を解き、その結果命を狙われている事を訴えている悲痛な文書だった。
この手紙がマスコミの手に渡り、それが公開された。
マスコミは真姫母の身内に強引な取材に行い、碑文が西木野家の祖父が隠した財産の隠し場所を示している事を明らかにすると、
あの島では財宝を巡る連続殺人が行われていたのではないか?と世間を騒がせる事になる。
真相は爆発事故により全て有耶無耶になってしまった事もあって、ネットや週刊誌には様々な根拠の無い憶測を面白おかしく書かれる事になった。
これによりこの『事故』は音野木坂スクールアイドル殺人『事件』と世間で言われるようになる。
その後、メンバー全員の家庭の事情をすっぱぬかれ、○○の家は○○な理由で~と、○○はこういう理由で金を欲していたのだから○○が犯人、とまるで
推理ゲームの様に○○犯人説、と根拠のない考えがネット、週刊誌で書かれるようになった。それによりメンバーの親族は心を病むようになる。
真姫母の場合は例の病院の訴訟の件もある。西木野総合病院を救うにはお金が沢山必要だったがそのお金は用意できなかった。
結局裁判では敗訴し、手術を行った真姫母は業務上過失致死で職を失ってしまった。その後も今度はメンバーの遺族に危機管理の問題で訴えられてしまった。
親族もこの悲しみと怒りを誰にぶつけていいのか分からないのだ。
結局無罪で済むことができたが、その後のゴタゴタもあって、つい先日やっと真姫母は十年ぶりに落ち着く事ができた。
真姫母「まぁ有罪でも良かったんだけどね・・・。もう今更何も残っていないんだし・・・。」
職と娘を失って西木野家はぐちゃぐちゃになった。夫は酒びたりになり、お金を湯水のように使ってしまい、借金を残してどこぞの女の所に行ってしまった。
真姫母もこの10年の無茶がたたり、余命半年を宣告されてしまっていた。医者の不養生とはこの事だ。
真姫母「ねぇ・・・。真姫、あの日、何があったの?なんであなた達はいなくなってしまったの?」
警察によるならば、爆発の原因は戦前に残っていた不発弾による暴発だ。
しかし小さい島とはいえ、それを全壊させるような爆発・・・一体地下にどれほどの爆弾が眠っていたのか。そして何故この島にあったのか。
この島を買い、別荘を建てた真姫の祖父からそんな事は聞いた事がない。警察による捜査でも何も解らずに終わってしまった。
所謂、迷宮入りという訳だ、まさかそんな言葉を小説以外で聞くとは思わなかった。
真姫母「でも、そんな事はもういいのよね。どうだっていいわ。真姫、ゴメンね。私もう疲れたの。真姫の所に行っても・・・いいわよね。」
真姫母がこの島にきたのは墓参りにきただけでは無かった。
真姫母はポケットからケースを出して、そこからカプセルを手のひらに出した。
・・・そのカプセルがどの用途で使われるのか、それは医者だった真姫母が一番わかっていた。
この島に行けば何か解ると思ったけど、・・・行くのが遅かったみたい・・・。
でも警察が見つけられなかったものをどうして私が見つけられるのか・・・。
真姫母「・・・真姫、今から行くわね。・・・ングッ!」
真姫母はカプセルを飲んで水を飲むと、静かに目を閉じた。その顔は安らかだった。
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△月○日 ~音野木坂スクールアイドル連続殺人事件1日目~
船は順調に島に向けて進んでいく。太陽はこれでもかといわんばかりに照らしている。
このピーカンな天気が次の日には土砂崩れの様に崩れるとは誰が想像できるのだろうか?
完全にあの日だ。私は思った。ピンクの女に行ってこいと言われて目の前が眩しくなり、気づいたら船の上にいてお姉ちゃんに説教されていた。
これからあの島で私達はこのメンバーの誰かに殺されるのだ。私の目的はこれから起きる殺人を止める事、また止められなくても犯人を見つける事だ。
その為に私は再び『ここ』に戻ってきた。絶対に犯人を見つけてやる。証拠を突きつけて!
絵里「もう、本当に解ったの!?亜里沙!??」
亜里沙「わかった分かった!悪かったよお姉ちゃん。」
希「もうその辺でええやん絵里ち。亜里沙ちゃんも反省しているんやから。」
絵里「希ぃ・・・。うーん。まぁ真姫も良いって言ってるからこの辺にしましょうか。」
真姫「そうよエリー。いいじゃない二人くらい。それに今から沖縄から東京まで帰れって言うのはさすがに酷よぉ。」
にこ「真姫ちゃん先輩ぶってカワイイ!」
真姫「もう!にこちゃん!」
穂乃果「雪穂も反省しなさいよ!」
雪穂「はーいわかりましたよ~~~~。」
海未「ようこそμ'sの合宿へ。歓迎しますよ。お二人とも。」
ことり「全くの部外者って訳でもないしね!いいんじゃないかな!」
亜里沙「ありがとうございます!」
この和気藹々している中に私達を皆殺しにした犯人がいる。誰かは思い出せないが、それは確かだ。
私が一周目から引き継いでいる記憶は事件と関係の無い合宿の一日目と自分が殺された時の記憶だけ。
それ以降は魔女によってきれいさっぱり忘れさせられていた。
魔女はこの合宿を賭けの対象にしている。それは私がこの事件を解く事ができるのか、ということ。
それが出来なければ私はまた殺されてしまう。私に賭けた魔女により生き永らえる事は出来たが、
私に事件を解く力が無いと判断されればもう生き返る事は無いだろう。つまり命がけだ。
だがそれでいい、と私は思った。そもそも一回生き返らせてもらっただけでも十分な奇跡なのだ。
それに次もおいそれと殺される気はない。必ずこの手でこの事件を解いてやる。
そして、まだ事件は起こっていなくても出来る事はある。
亜里沙「そういえば、あの島には碑文っていう物があるってお姉ちゃんから聞いたんですけど本当なんですか?」
それは碑文を解く事。ピンクの魔女は碑文を解く事でこの事件の何かが解るような事を言っていた。
絵里「え?そんな事話したかしら・・・?」
真姫「そうね。確かにあるわよ。おじい様が残した遺言みたいな物なのかしら。
その暗号を解いた人には黄金が見つかると言われているわね。」
ことり「何それ?興味あるよ!」
海未「黄金・・・それは具体的にはなんでしょうか?まさか、本当に黄金なんでしょうか?」
真姫「さぁ・・・?でもこの時代に黄金って言われてもいまいちピンと来ないわね。
おじい様は戦前は貧乏だったけれど、戦後沖縄から帰ってきた時にはすでに大量のお金を持っていたとおばあ様から聞いたわ。
一体どこから持ってきたのかしら。」
希「なぁ?それって沖縄で黄金を見つけたって事じゃないん?」
真姫「沖縄で?でも沖縄は戦地だったのよ?空爆とかで何もかも壊れちゃったんじゃない?」
希「被害が無い所ならどうや?例えば土の中とか。」
花陽「土の中?埋められていたって言うこと?」
凛「埋蔵金を想像するにゃ~。」
穂乃果「ははは!そうだね!」
希「実はその通りなんやよ。聞いたことない?沖縄って地下鉄がない事。」
ことり「え!?そうなの!?」
真姫「聞いたことあるわね。確か地下に不発弾が眠っている可能性があるからおいそれと掘れないんだっけ?」
沖縄は太平洋戦争末期の激戦地である事で有名だ。1972年から不発弾の処理が開始されているが2008年までで百三十七万発分が発見され、処理されている。
これに加えまだ二千五百万トンもの不発弾が沖縄の地下に残っていると言われている。
穂乃果「へぇ~。でもそれと埋蔵金ってどう関係があるの?」
希「いやね?表向きは不発弾があるからって理由で地下鉄は作れないってなっているけど、
本当は琉球王朝の財宝が埋まっているからそれを政府が発見されないようにって言われているのよ。」
凛「えぇ!?」
真姫「ただの都市伝説でしょ・・・?」
花陽「それってどんな都市伝説なんですか?」
希「沖縄には地下鉄が一個も無いんや。理由はさっき話した通り、不発弾が埋まっているからって言うのが表向きの理由なんだけど、
本当は琉球王朝の財宝が那覇市に埋められているから発見されるのを防ぐのが理由らしいで。」
海未「私も聞いた事があります。王家の末裔の人たちが財宝の隠されている地図を発見したそうですが自分たちでは掘れないために、
県に依頼して利益のいくつかを県に譲るって密約を結んだという話ですよね?」
絵里「へぇ~。それっぽい話よね。」
亜里沙「沖縄って何もない所に地下駐車場がとても多いらしいんですが、それもこの都市伝説の信憑性を補強していますよね。」
穂乃果「つまり、企業や県が財宝を探して掘ったはいいけれど、何も見つからないから仕方なく地下駐車場にしたって事だね?」
海未「その通りです。ま、都市伝説なんですけどね。」
凛「つまり、希ちゃんはこの財宝の一部を真姫ちゃんのお爺ちゃんが発見したって言いたい訳にゃ?」
希「そや。沖縄のお宝って言えばそれが思い浮かぶなぁ。」
雪穂「それってどれくらいのお宝が眠っているんだろうね!」
亜里沙「琉球王国はアジア各国から様々な品物が入ってきたと言われているんだって。
繁栄ぶりを記した万国津梁の鐘という書物があるんだけど、そこには珍しい宝はそこらじゅうにある事が書かれているそうだよ。」
例えば、首里城では中国の陶磁器の他に世界で四つしか確認されていない水差しや杯が発見されている。
他にも絵画も発見され、それは十二億円で落札されたそうだ。そのお宝がまだ沖縄の那覇市にそこかしこに埋まっていると言われている。
凛「じゃあその中に黄金もあるってことなのかにゃ?」
絵里「戦後は普通貧乏になるものだけど、真姫ちゃんのお爺さんはお金持ちになって帰ってきたんでしょ?ならその可能性もあるわよね。」
真姫「確かにそうかも。屋敷に着いたら碑文もあるから生で見たらいいと思うわ。あっ、そう言っている間に見えてきたわよ。」
ことり「うわあーーーすっごいねえ~。」
船からは島と別荘が見えてきた。
亜里沙「・・・。やっと来ましたか・・・。」
にこ「すごい大きさね・・・。羨ましい。」
船からは真姫の別荘が見えていた。前に見た時と全く同じ。本当に、帰ってきたのだ。
穂乃果「楽しみだねぇ~亜里沙ちゃん!・・・亜里沙ちゃん?」
穂乃果が亜里沙を見ると、そこには笑みを浮かべていた。
笑みは笑みでも、まるで待ち構えていた獲物が目の前に現れた時の笑み。
亜里沙「はい・・・。とっっっても楽しみですよ。穂乃果さん。」
船はもうじき島に着く。今、たった一人の孤独な戦いが始まろうとしていた。
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△月○日 西木野家別荘 22:00 ~音野木坂スクールアイドル連続殺人事件1日目~
雪穂「にこさんごはん美味しかったです!」
穂乃果「前も思ったけどにこちゃん本当に料理うまいね!!
真姫「そうね!どこかで習ったの?」
にこ「別にこれくらい毎日作ってればできるわよ。あんた達もアイドルである前に女なんだからこれくらい・・・。」
ことり「えぇ!?にこちゃん毎日作ってるの!?すごい!!」
海未「それはすごいですね。私も料理は苦手で。」
雪穂「私もあれほど上手に作れたらなぁ~。あ、そういえば、お姉ちゃん!さっきことりさんと二人で何を話していたの?」
ことり「っえ、ええっとぉ・・・。」
穂乃果「その・・・ね、いや、なんでもないんだよなんでも!」
ことり「まだ秘密!明日発表するね!」
絵里「なんで顔赤いの二人とも。」
海未「・・・?」
にこ「ま、まぁまぁ。この話はいいじゃないの。ほら、でかい肖像画ね!」
メンバーの目の前に肖像画と例の碑文が彫ってある石碑が現れる。
碑文の内容も一周目と同じだ。
真姫「あれは船の上で話したおじい様の肖像画ね。んで、下に書いてあるのはおじい様の碑文ね。」
希「これはあの碑文かぁ~この石だけでも高そうやなぁ。」
花陽「すごいです・・・。」
凛「ひんやりしてるにゃ。」
亜里沙「・・・。」
亜里沙にとっては二度目となる碑文。前回もここで碑文について話し合ったが結局解く事は出来なかった。
亜里沙(今回は必ず解いてみせる・・・!)
凛「これってさ、解いたらもらえるって書いてあるけど部外者の私達でももらえるのかにゃ?」
にこ「っ!?」
希「・・・。」
凛のふとした発言に場は一瞬静まり返る。
絵里「ど、どうかしらねー?でも元は真姫の家の財産な訳だから無理じゃないかしら?」
真姫「ま、まあね。でもそうね。見つけた人には一割くらいはあげてもバチは当たらないんじゃないかしら?ハハハッ。」
希「いや、うちはこれはそのまんまやと思うで。見つけた人に全部あげるんやと思う。」
真姫「!?っ・・・何故そう思うの?希?」
希「簡単な話や。碑文にそう書いてあるからやで。」
確かに碑文には見つけたものに授けると書いてある。
希「そもそも真姫ちゃん家のおじい様は何で遺産を隠したんやろうな?しかも莫大な遺産やで?普通なら家族に何も無く与えるのが普通と違う?」
亜里沙「確かにそうですね・・・。遺産なんて本人の死後、一番デリケートな問題です。家族同士ですらいざこざが多いと聞きますし・・・。」
希「そうやろ?こんな見つけた者に・・・なんて文章を残したらそれこそ西木野家が遺産を相続するのにノイズにならへんか?」
碑文の一部に書いてある、『解いた者に授ける』は西木野家が遺産を受け取るのを危ぶむ意味しか持たないという事だ。
海未「そうですね・・・。遺産とは家族に遺す物です。それを隠したという事は考えられるのは・・・。」
花陽「・・・。」
ことり「・・・。」
真姫のおじい様と西木野家は仲が良くなかった。それは今この場にいる全員が想像できた。
真姫「ちょ、ちょっと待ってよ!別にそれだけで仲が悪いって考えるのは総計よ!もしかしたら面白半分で・・・。」
希「面白半分で隠すような額やないと思うで?何がどれほどあるのかは知らんけどな?」
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パキンっ!世界が割れるような音と共に、亜里沙を除くメンバーが止まった。
いや、静止したと言った方が良いかもしれない。
黒い女「何故隠した・・・か。どうやら新たな謎が出てきたけど大丈夫なのかしら?亜里沙。」
黒い女が碑石に座りながら紅茶を飲んでいた。
亜里沙「何の様よ?黒い神様。」
黒い女「正直待ちくたびれたのよ。この後続くのは前回もあった碑文に関する考察よ。
内容も全く同じだから早送りさせてもらうわ。」
亜里沙「勝手な事をしないでくれませんか?時間を勝手に飛ばされちゃ考える時間も無いですよ。」
黒い女「だから、その分あなたに知識を与えるわ。」
亜里沙「知識?何ですか?それは。」
黒い女「そう。さすがに前回のあなたの記憶だけじゃ前回と同じ結果になると思ったのよ。
だから、碑文を解くヒントを与えようと思ってね。」
亜里沙「それはありがとうございます。でもヒントをくれるっていうからにはもう解いたんですか?」
黒い女「ほぼ、ね。最後がちょいと怪しいけれど、それも現地に行けば解ると思うわ。」
亜里沙「・・・。」
黒い女「ま、そう落ち込む事も無いわよ。今思えばこれはここにいるメンバーの中では真姫しか解けないかもしれないわ。
真姫は偶然碑文のヒントになるきっかけを思い出したからこそ解く事が出来た。つまり亜里沙にもそのきっかけを見せてあげようと思ってね。」
亜里沙「・・・。」
現状、亜里沙はこの碑文はまだ何も解けていない。これから事件が起きると魔女から予告されている。
その事件を解くためにも今解ける謎は出来る限り早く解いておきたい。
亜里沙の反応を見てか、ベルンは機嫌をよくしたようで、
黒い女「さすがに碑文を解いた時の所は見せられないけどね。じゃ、始めましょうか。ん。」
黒い女は手を出す。
亜里沙「・・・?なんですかその手は。」
黒い女「この手に触りなさい。それで記憶は共有される。」
亜里沙「は、はぁ・・・。」
亜里沙は恐る恐る手を握る。すると・・・・、
亜里沙「あっ!?あああああああああああああ!!!!!」
亜里沙の頭に真姫を主観とした映像が流れてくる。
見たことも無い映像、知識、思い出。それらが徹夜で詰め込まれているような、そんな感覚。
亜里沙は初めて知識を無理やり詰め込まれる感覚を知った。
黒い女「気分はどうよ?」
亜里沙「はぁ・・・はあ・・・。頭がシェイクされているようよ・・・。」
黒い女「それはよかった。で、どう?頭の方は。」
亜里沙「確かに・・・私が見たことの無い記憶があるわ。すごい違和感よ。私の頭じゃないみたい。」
黒い女「まぁその辺は慣れるしか無いわね。じゃあいくわよ。」
そういうと、黒い女は指を鳴らす。すると目の前に空間ができた。そこに映っているいるのはメンバーと碑文。
どうやら碑文について話し合っている所らしい。
黒い女「まずは前回真姫が黄金へとたどり着いた事柄をまとめるわね。」
※ここからは前作を見比べながら見ると解りやすいかもしれません。
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>真姫「火払いの印・・・を志す・・・王・・・火・・・そういえば昔おじいちゃんに・・・。」
それは真姫がまだ子供の頃、祖父に祭りに連れて行ってもらった時の事・・・。
ある演目をやっていて、それでその時に私は指を指して聞いたんだ・・・『あの形はなんだって・・・』
あの頃は幸せだったなぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・あの形・・・形・・・え・・・?」
真姫は眠気がぶっ飛ぶほど覚醒する。火払いの印ってもしかして・・・。
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亜里沙の前に空間が裂け、そこに映像が映る。
亜里沙「これは確か碑文を解く寸前に真姫さんが思い出していた事ですよね?」
黒い女「そうね。真姫はここから答えに至った。つまりこの『形』から連想できるのが火払いの印につながるって事なのよ。」
亜里沙「そしてそれは・・・祭りに関係しているって事ですか・・・?」
黒い女「そうね。そしてその印は祭りの中のある演目の最中にあった。」
亜里沙「でも結局その祭りの『演目』が解らないと話にならないですね。」
黒い女「あら、そこで思考停止?祭りの演目は確かに地域によって色々あるけれど、それが形ならば話は別よ。そして、その形とは、火払いの印。つまり火を払う、防火の印って事じゃないかしら?」
亜里沙「防火・・・!まさか!!!」
黒い女「あら、もう分かったのかしら?なら、もう助言はいらないわよね?」
亜里沙「ちょっと待ってください!最初の文が解ったとしても・・・『川』の所も・・・。」
そういうと、黒い女はめんどくさそうに、指を鳴らした。すると、また空間に真姫が現れた。
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>真姫「にこちゃんが言っていた・・・船が旅をするって・・・下る・・・上がる・・・あっ・・・。」
あった!!!
真姫「国・・・あった!村も!これも!これも!!これなんだ!!!」
真姫の頭の中でピースが組みあがっていく。黄金の扉を開けるためのピースが。
真姫「鍵も解った!欠片も分かった!!これをこうして・・・できた・・・五文字!!」
>海未「いいえ、何かヒントになるかもしれません。川から連想できる物、それくらいの抽象的なイメージの方が発想が柔軟になっていいと思います。」
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黒い女「真姫はこれらをヒントにして川にたどり着いたわ。」
亜里沙「つまり、実際の川じゃないって事ですよね?」
黒い女「そうよ。そして、この『川』の意味が解れば真姫は欠片までをあっという間に解いている。
つまり、『火払いの印を志す王』と『川』の意味が解れば碑文にあった五文字まで簡単に解けるってわけよ。」
亜里沙「・・・。」
黒い女「・・・もう少しだけヒントを上げましょうか。にこはにいい事を真姫に言ったわ。にこがいなければ真姫は黄金にたどり着かなかったでしょうね。
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>にこ「ほら、碑文?だっけ?を見てみると使いが王から命令を受けて何かを届けているように見えない?
それで川を下っている。ってことは下る乗り物が必要じゃないの?」
絵里「下る乗り物・・・」
真姫「下る・・・下り・・・下り・・・?乗り物・・・上がり・・・っ上がったり下りたりするもの・・・川・・・。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
亜里沙「・・・。」
黒い女「あら、もう何かをつかんだ感じかしら?」
亜里沙「そうですね・・・何となくつかんだような気がします。」
黒い女「さ、ヒントはこれくらいでいいかしらね。」
亜里沙「えぇ・・・後は書庫か何かがあれば・・・多分。」
黒い女「そう。書庫はこの別荘にあるわ。頑張ってね。」
亜里沙「ありがとうございます。頑張ります。」
黒い女「助けるのはここまでよ。あなたが真実にたどり着ける事を、祈っているわ。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
バキンッ!!!
その瞬間、再び世界が割れる音を発し、空気が動き始める。
真姫「大分話し込んじゃったわね。今日はもう終わりにしましょ。」
海未「そうですね。明日もありますし、その時にでもこの話をしましょうか。」
雪穂「そうですね。もう休みましょう。」
ことり「じゃ、お休み~。」
「「「お休み~。」」」
ことり「海未ちゃん、ちょっと話があるんだけど~。」
海未「ことり・・・?わかりました、私の部屋で話しましょうか。」
凛「もし黄金が見つかったら~凛は~。」
花陽「凛ちゃん気が早いよ!」
希「えりち、行こっか!」
絵里「そうね。お休み。」
メンバーは自分の部屋に帰って行った。
穂乃果「うーん!うーん!」
・・・穂乃果と亜里沙以外は。
亜里沙「・・・穂乃果さん、戻らないんですか?」
穂乃果「うん!何だか寝付けなくてさ!」
亜里沙「穂乃果さん、これから碑文を解こうと思うんですが、一緒にどうですか?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
書庫
穂乃果「でもビックリしたよ~。亜里沙ちゃんの頭が良いことはさっき知ったけれど、まさか碑文の一部分が解った、だなんて~。」
亜里沙「解ったかもしれない、ですよ穂乃果さん。」
穂乃果「それでもすごいよ!じゃあ聞かせてくれないかな?」
亜里沙はうなずくとある本を取った。
穂乃果「その本は何?」
亜里沙「これは、」
亜里沙「沖縄の歴史書、です。」
とりあえずここまで
亜里沙「じゃあ説明していきますね。まずは最初の文。」
『火払いの印を志す王より命を承りし使い、川を三つ下ったその先に、二つの国有り。』
亜里沙「まず火払いの印から。これは言い直すと防火。つまり防火の印、ということなんです。」
穂乃果「防火の印?火の用心とか?」
亜里沙「その通りです。穂乃果さん、このマーク、見覚えありません?」
亜里沙はある形を書いた。
※参考画像http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Tomoe.jpg
穂乃果「うーん、あっ!あるある。祭りとかであるよ!太鼓とか、はっぴとかについているんだよね!」
亜里沙「その通りです。この様な模様を『巴』と言います。」
『巴』とは勾玉のような形をした日本の伝統的な模様の一つだ。
この模様の由来は様々あり、弓の鞆絵である説、勾玉を図案化した説などがある。
陰陽道や風水などにも使われている所を見たことがあるだろう。これは勾玉には霊的パワーが宿っているので
形が似ているそれにあやかろうという見方もある。この巴の模様に影響を受けた国も沢山あり、日本では家紋としても使われている。
この巴という模様は平安時代に防災、火災避けとしても使われていたと記録に残っている。
穂乃香「へぇ~!じゃあ火払いの印ってこれの事なんだ!」
亜里沙「・・・多分ですけどね。この『巴』という字に後は海未さんが言っていたように、『志す』を足すと・・・。」
穂乃果「巴志・・・?どういう意味?」
亜里沙は沖縄の歴史書を広げ始めた。
亜里沙「人物名ですよ穂乃果さん、ここを見てください。『尚巴志王』(しょうはしおう)とあります」
穂乃果「・・・!!すごいよ亜里沙ちゃん!ちゃんと『王』って字もついてるし!よく知っているね!でもこの人って何をした人なの?」
亜里沙「簡単に言うと、琉球王国の王だった人です。『火払いの印を志す王』は多分これの事ですよ。」
穂乃果「すごいね!さっきから同じ言葉しか言えていないけど!よく解ったね!」
亜里沙(本当は真姫さんと黒い魔女さんのおかげなんですけどね・・・。)
亜里沙はこうして簡単に解いている。
しかし、ここにたどり着くには真姫が諦めずに必死に解いたからなのだ。
諦めないという絶対の意志は奇跡を与える。その真姫を覗いたからこそ、同じ所に立てている。
穂乃果「じゃあこの川っていうのは?亜里沙ちゃんは解いたの?」
亜里沙「・・・多分ですけどね。」
穂乃果「教えてよ!もったいぶらずに!」
亜里沙「まず言うことは川ではないということです。」
穂乃果「さっき海未ちゃんが言っていたね!川からイメージできる事をって!」
亜里沙「そうです。それは、上がったり、下りたりできるものです。川じゃなくて、流れるものを考えてください。」
穂乃果「水以外が流れる何か・・・?流れる物・・・。物・・・?たとえば・・・電流とか・・・。」
亜里沙「そうです。発想はあっています。」
穂乃果「物流とか・・・?鉄道とかかな?上がったり下がったりできるし。」
亜里沙「大変惜しいです。さっき物流と言いましたが、物じゃないんです。」
穂乃果「物じゃない・・・?じゃあ人って事かな・・・?人が上がったり下がったり・・・。」
亜里沙「人であっています。ただしそれは実際に、という話ではありません。」
穂乃果「人であってるけど、物体として上下するものじゃないんだよね・・・?でも上がったり下ったり・・・。っ!!あっ!!」
亜里沙「解りましたか?」
穂乃果「わかった!!!位!!階級だね!?」
亜里沙「正解です。穂乃香さん。」
穂乃果「じゃあこの川を三つ下った・・・ていうのは、階級を三つ下げたって事なんだね!」
亜里沙「その通りです。私も事前に解いたのはここまでです。ここから本を見ながらと行きましょう。・・・おっとあった。これかな?」
亜里沙は沖縄の歴史書物を開いた。
穂乃果「これは・・・?」
亜里沙「これは琉球王府行政機構図。つまり役職ですよ。」
※参考HPhttp://ryukyux.files.wordpress.com/2012/11/e79089e79083e78e8be5ba9ce6a99fe6a78be59bb3.jpg?w=645
穂乃果「いっぱいあるね!えっとまずは尚巴志王の位である『王』から階級を三つさげると・・・表十五人っていう役職にたどりつくね!」
亜里沙「川を下った先には二つの国・・・。中央 成長の『物奉行所』と『申口方』かな?」
これで最初の『火払いの印を志す王より命を承りし使い、川を三つ下ったその先に、二つの国有り。』は全て解いた事になる。
次は『一の国に三の村、二の国に四の村有り。三の村に二十四の鍵、四の村に二十六の鍵有り。』
亜里沙「これも簡単です。一の国、恐らく物奉行所の数を言っているんでしょう。」
物奉行所は用意宝物奉行所、給地方物奉行所、書体方物奉行所の三種類。
穂乃果「二の国の四の村ありは申口方の種類だとすると・・・確かに数は同じだね!」
申口方は平等方、泊地頭、双紙庫理、鎖之川、と四種類。
穂乃果「順調だね!次は『三の村に二十四の鍵、四の村に二十六の鍵有り』か・・・。」
亜里沙「役所の数ですね。物奉行所の下に二十四個の役所があって、申口方には二十六個の役所があります。」
穂乃果「次は・・・。」
『使い、黄金に至る鍵を得る。
宮殿より古来から作られし鍵、
納殿の鍵、
庫理の鍵、
田の鍵。
これらを砕いて一つの鍵を作り、使い、黄金に至った。
鍵を一つにして二十の破片に砕き、三十七の欠片に分けよ。』
亜里沙「鍵とはこの合計五十個の中から選ぶのでしょう。そしてこれらはそのヒント。」
穂乃果「『宮殿より古来から作られし鍵』は『古』って字があるから『宮古蔵』かな?」
亜里沙「『納殿』はその名の通りですね。納殿という役職があります。庫理も・・・『下庫理』がありますね。」
穂乃果「『田の鍵』・・・。漢字で『田』が使われているのは『田地方』だけです。」
亜里沙「後はこれらの鍵を砕いて一つにする・・・。」
穂乃果「希ちゃんが言っていたね!」
『使い、黄金に至る鍵を得る。
宮殿より古来から作られし鍵、
納殿の鍵、
庫理の鍵、
田の鍵。
これらを砕いて一つの鍵を作り、使い、黄金に至った。
鍵を一つにして二十の破片に砕き、三十七の欠片に分けよ。』
亜里沙「鍵とはこの合計五十個の中から選ぶのでしょう。そしてこれらはそのヒント。」
穂乃果「『宮殿より古来から作られし鍵』は『古』って字があるから『宮古蔵』かな?」
亜里沙「『納殿』はその名の通りですね。納殿という役職があります。庫理も・・・『下庫理』がありますね。」
穂乃果「『田の鍵』・・・。漢字で『田』が使われているのは『田地方』だけです。」
亜里沙「後はこれらの鍵を砕いて一つにする・・・。」
穂乃果「希ちゃんが言っていたね!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
>凛「アナグラム?」
>希「文字遊びの事や。国とか村とか出ているけどこれは別に地形の事を差しているんじゃなくて、一種のなぞなぞって事や。」
>真姫「なるほどね。つまり最後の欠片がうんぬんってあるけど、欠片は文字の事で、上の暗号から出した言葉三十七文字の中から特定の文字を引き抜けって訳ね。」
>穂乃果「そう考えると面白いね!ということはこの暗号の答えは五文字になる訳だ!」
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亜里沙「言語が解りませんが、とりあえず日本語にしてくっつけてみますか。」
日本語にするとこうなる。
みやこぐらおさめどのしちゃぐいたかどころ
穂乃果「ビンゴだね!!!次は三十七文字!」
亜里沙「とりあえずローマ字にしてみますか。」
miyakoguraosamedonosichaguitakadokoro
亜里沙「あたりですね。」
穂乃果「さらにビンゴだね!!」
亜里沙「はい。黄金は近いです。」
亜里沙たちの顔にも笑みが見える。
『六の欠片、九の欠片、十六の欠片、十八の欠片、三十六の欠片を引き抜いて鍵に合わせた者だけが黄金に至る。』
穂乃果「ラスト!六つ目、九つ目、十六個目、十八個目。三十六個目の文字を引き抜く!
引き抜いた文字は
o r d n r
これで・・・五文字!
亜里沙「でも・・・。」
穂乃果「これが何だっていうのだろうね・・・?」
亜里沙は頭の中で字を回転させる。すると、ある事に気が付いた。
亜里沙「穂乃果さん、こうじゃないですか!?」
rord n
穂乃果「こんな単語あったっけ?どういう意味なの?」
亜里沙「正確にはこうです。」
l o r d n
穂乃果「!!・・・そうか・・・Lでもラ行は言えるよね。」
亜里沙「そうです。lord n !!西木野卿!!!これが黄金に至る鍵です!!」
穂乃果「そうだね!!!間違いない!!・・・んで・・・この先どうするの?」
亜里沙「それなんですよね・・・。」
穂乃果達は鍵を探し手に入れた。・・・しかし、肝心の扉は何処にあるのか解らない。碑文にもこれ以上は書いていない・・・。
亜里沙「後は名前しか書いてありませんね。うーんこの推理が間違っていたのでしょうか・・・。」
穂乃果「そんな~。ここまできたのに~。あってると思うんだけどなぁ~。」
穂乃果は碑文のメモを逆さにしたり、横にしたりする。どうにも解らなかった。
亜里沙「今日はここまでですかね・・・。穂乃果さん、無駄骨でスイマセン・・・。」
穂乃果「ううん、私は楽しかったよ!ありがとう!」
亜里沙「いえいえ、あ、穂乃果さん、最後の英語の綴り間違ってますよ?」
亜里沙が指を指したのはこの碑文の最後の人物名だ。メモにはRとあるが本当はLだ。
穂乃果「あ!いけないいけない!人の名前を間違えるのはいけないね!年下に言われるなんて反省反省!」
亜里沙「フフフ。紛らわしいですよね。ローマ字の綴りって。」
穂乃果「本当だよ!他は日本語で書いてあるのになんで名前だけローマ字なんだろ!読みにくいよね!」
亜里沙「フフフ。確かにそうですね。ここだけなん・・・で・・・ローマ字・・・。」
そんな事考えても無かった・・・。言われてみれば、確かにそうだ。あえて、この名前だけをローマ字にした理由・・・。
真姫の爺様は洋裁かぶれとかそんな事だろうと思って気にしなかったが・・・。
名前だけがローマ字な理由を考えたとき、
亜里沙「あっ・・・・あっ・・・・!」
全てのピースがつながった。
亜里沙の心臓がバクバクとなり始める。それは確信めいた考えだった。
穂乃果「亜里沙ちゃん・・・?どうかしたの・・・?」
穂乃果は何かまずい事を言ったのかと亜里沙を見る。亜里沙は目をカッと開けて、
亜里沙「穂乃果さん!あなたは天才です!!」
穂乃果「えぇ!?」
亜里沙「謎が解けました!!行きましょう!!!」
穂乃果「どこに!?」
亜里沙はドアを開けて振り向きざまに元気よく言った。
亜里沙「扉の所ですよ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ホール
亜里沙「はぁはぁ・・・。」
穂乃果「亜里沙ちゃん、はぁ・・・はぁ・・・、ここって碑文が書いてある所でしょ?こんな所にあるの?」
亜里沙「はい。おそらく・・・ここにくぼみとか・・・。」
穂乃果「あ、亜里沙ちゃん!?」
亜里沙は碑文が書いてある石碑に向かって爪か何かででっぱりが無いかを探しているようだ。
亜里沙「たぶん・・・あっ!!」
亜里沙は祖父の名前の書いてある『L』の字を押したり引っこ抜いたりしようとした。そして、Lと書いてあるマス?
と言えばいいのだろうか?それが取れた。その下には何かスイッチのようなボタンがあった。
穂乃果「なるほどね・・・その碑文の名前がローマ字なのはそういう事なんだね。」
亜里沙「スイッチになっていたんですね・・・。ビンゴです。」
その後、 O R D Nの文字を同じ様にいじっているとマスが取れて下からスイッチを現れた。
穂乃果「これは・・・もしかして。」
亜里沙「いきますよ?穂乃果さん・・・。」
亜里沙と穂乃果は顔を合わせてうなずく。
亜里沙はL O R D Nの順にスイッチを押す。
ガコン!!!
最後のNを押した時、何か起動したような音がした。その後、
ゴゴゴゴ!!!
近くにあるライオンの像の手が動く。手の指す方向を見ると、さらにライオンの像が。指が違う方向に向いていた。
亜里沙「指の指す方向に行け。という事でしょうか・・・?」
穂乃果「そうみたいだね・・・。」
亜里沙「行きましょう穂乃香さん。黄金の正体をこの目で見てやろうじゃないですか?」
穂乃果「うん!行こう。」
二人はライオン像の指す方向を歩き始めた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
碑文を解いた所を上位の空間から二人の魔女は見ていた。
一人は紅茶を飲みながら優雅に、もう一人はポップコーンを食べながらキュートに。
黒い女「ふぅ・・・なんとか碑文は解いたわね。」
ピンク女「ちょっとズルイんじゃない?あれじゃあ猿でも解けるわよ?」
黒い女「私は真姫が解いた材料を亜里沙に見せただけよ。そこからどう見るかは亜里沙次第だわ。」
ピンクの女「まぁ、答えは教えなかったしね。でも今回だけよ?こんな事は。」
黒い女「安心して。もうこんな事はしないわよ。これから起こるであろう事件に関しては私はノータッチよ。」
ピンクの女「当たり前よォ。じゃ、見ていきましょうか。碑文が解かれて何が起こるのか、楽しみね!」
黒い女「もう全て知っているのに何を言っているんだか・・・。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ライオンの指す方を歩いてもう2分くらい歩いた気がする。
亜里沙はそう思った。屋敷は3階だが何せライオンの像が至る所にあるのだ。何回も同じ所を歩かせられる。
そうして歩いた先、それは書庫だった。
穂乃果「ここは書庫室だよね・・・?どこに・・・あっ!」
亜里沙「・・・っさっきはこんな穴なかったですよね。やっとありましたね。とうとう黄金にご対面ですか。」
書個室の奥の暖炉の底が外れていた。奥を覗きこんでみると、階段が出来ていた。
穂乃果「行こう!黄金を見たい!」
とりあえずここまで
階段はらせん状になっていた。少し暗かったが目を凝らすと明かりをつけるスイッチがあったので亜里沙はそれを点ける。
そして何度か折り返すとそこには一つのドアがあった。そのドアには文字が書いてあった。
『六の欠片、九の欠片、十六の欠片、十八の欠片、三十六の欠片を引き抜いて鍵に合わせた者だけが黄金に至る。』
穂乃果「正解・・・だね。」
亜里沙「はい。じゃあ・・・ドアを開けますよ。」
穂乃果「うん・・・っお願い。」
亜里沙はドアを開けた。
ギイイイイイイイイイイイイ
亜里沙「こ、これは・・・。」
その部屋は見るだけで豪華そうな部屋だった。
絵画やツボ、ベッド、ソファ、など、まるで高級ホテルの一室と言った方が良いだろうか。
そして、奥の方に、ここまで来た賢者を迎える様に、
穂乃果「あった・・・!本当に・・・黄金だ!!!!」
亜里沙「これは・・・すごいですね・・・!!それしか言葉が出てきません!」
黄金が、インゴットというべきだろうか?が、それはそれは高く、深く積みあがっていた。部屋の明かりが少し弱くてよかった。
これで少し強かったら黄金に光が反射して眩しくてこの目でよく見れなかったかもしれない。
これはまさに百万ドルの景色だ・・・と亜里沙は思った。
これを見るなら1万円くらいは払ってもいい・・・真剣にそう思った。
それほどに・・・この光景は美しかった。
穂乃果「これ全部でいくらあるんだろうね・・・!亜里沙ちゃん!」
亜里沙「解りませんが・・・余裕で10億はあるんじゃないでしょうか・・・。何せこれだけあるんですから・・・!」
亜里沙「じゃあ、さっそくこれを報告しに行きましょうか?もう夜も遅いですがこれ程の事です。皆許してくれますよ。」
穂乃果「そうだね!じゃあさっそく・・・」
亜里沙「・・・っ!?ちょっと待ってください!穂乃果さん、こっちの机に何かありますよ!」
亜里沙が見つけたのは黄金が見える位置からは完全に死角になる場所にある机だった。机の上には様々な古い本が置いてある。
穂乃香「・・・?どうしたの?亜里沙ちゃん。うわ、豪華そうな時計だね!」
亜里沙「上じゃありません!下ですよ下!」
亜里沙が指したのは机に置いてある封筒だった。そこには『碑文を解いたものへ』と書いてある。
穂乃果「なんだろう・・・。真姫ちゃんのお爺さんが書いたのかな?」
亜里沙「かなり古いですね。年期が入っていそうです・・・。」
封筒には手紙が入っている大きさだったが何やら厚い。他にも何か入っているみたいだ。
亜里沙「開けてみますか?」
穂乃果「うーん本当なら真姫ちゃんに見せるべきだろうけど・・・。」
笑いながら悩むふりをして、
穂乃果「あけちゃおっか?私達が碑文を解いたんだし!」
亜里沙「そうですね!」
亜里沙は封筒を爪を使って器用に開けて中身を取り出した。
中には一枚の手紙の通帳が入っていた。
穂乃果「・・・?手紙と・・・これは・・・?」
亜里沙「通帳・・・ですね。手紙はっと・・・。」
亜里沙は通帳を机に置いて手紙を流し目で読む。真姫の祖父の字は達筆だったのか読みにくかった。
亜里沙「うわぁ・・・夜中にこの字はきついですね・・・。」
穂乃果「見るだけで目がしょぼしょぼしてきたよ・・・。」
亜里沙「書いてあるのは遺産の分配についてと・・・えっ・・・!!!!」
亜里沙は自分の眠気が一気に引いていくのを感じた。
黄金の謎を解いた時とはまた別の興奮とでもいえばいいのだろうか、心臓がドキドキしている。
亜里沙は自分の胸を握りしめ、手紙から目を離した。
震えている。その感情の招待がわかった。
・・・それは人の原初の感情。
亜里沙「そうか・・・怖いんだ。私。」
穂乃果「!?どうしたの!?亜里沙ちゃん!!」
穂乃果は亜里沙の顔を見る。その顔は真っ青だった。
亜里沙「なんて、恐ろしいものを・・・!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
黄金を見つけてから1時間後 黄金を見つけた部屋 24:10
その後、穂乃果と亜里沙はメンバー全員に碑文を解き、黄金を発見した事を公表した。
亜里沙「・・・以下の経緯からこの部屋で黄金を発見した訳です。」
絵里「スゴイ!すごすぎるわ!まさか本当にあったなんて・・・。」
希「はぇ~すっごいきれいやわぁ~。何年も前のがこうして傷一つつかずに残っているなんてスピリチュアルやなぁ・・・。」
雪穂「よく碑文を解いたね・・・スゴイよ亜里沙、お姉ちゃん・・・。」
真姫「・・・これで病院も救われるのね・・・、やったわ!ママ!」
にこ「・・・。」
海未「本当に・・・あったんですね・・・・。」
ことり「穂乃果ちゃんと亜里沙ちゃんがこれを解いたの?すっご~い!」
凛「これっていくらになるのにゃ?」
花陽「想像もつかないよ・・・。でも宝クジの1等賞をもらうよりはもらえるんじゃないかな・・・。本当に信じられない・・・。」
メンバーは驚愕の表情を隠せない様子だった。無理もないのかもしれない。目の前に自分の身長よりも高い金を積まれたら誰だってこうなる・・・。
人の世が金で決まるならば、この黄金はまさに魔法・・・!これを溶かす事で世を思うがままにできる・・・。
穂乃果「私は何もしていないよ。全て亜里沙ちゃんが解いたんだんだし。」
亜里沙「いえ、最後の穂乃果さんのひらめきが無ければ解りませんでした。」
希「二人とも、羨ましいわぁ・・・この黄金は全部二人のものや。もう働かなくてもいいんと違うか?」
にこ「・・・!」
真姫「ちょ、ちょっとまってよ・・・!何で二人だけのものなの!?」
希の言葉に真姫が反応する。真姫には家庭の事情でどうしても金がいるのだ。そしてその金はこの黄金を金に換えれば十分返せる額だ。
希「さっき話したやろ?西木野家のおじい様が何であの碑文を作ったのかを考えれば一目瞭然や。碑文を解いた人にあの黄金を授けるってことやろ?」
真姫「明確に授けるとは書いていないわ!それにここは西木野家の土地よ?そこにあったんだから西木野家に所有権はあるはずよ!」
希「穂乃果ちゃん、何かおじい様が残した手紙とかは無いの?碑文を遺したおじい様や。それを見つけた後の事もどこかに文書で残してあるんじゃない?」
亜里沙「それは・・・その・・・。」
穂乃果「・・・亜里沙ちゃん・・・。」
亜里沙は考える。確かにあった。真姫の祖父が残した手紙。そこにはこの遺産の所有権についても書いてあった。が・・・。
亜里沙「・・・。」
遺産の所有権についてを見せるのは全然かまわないのだが・・・。
亜里沙「・・・はい、確かにありました。ここに、」
そう言って亜里沙は手紙を出す。
真姫「貸して!」
真姫は亜里沙から奪い取るとようにして手紙を読む。
希「なんて書いてあるん?」
真姫「ええっとねぇ・・・。・・・昔の言葉だから何て読むのかは解らないけど・・・この碑文を解いた時にこの別荘にいた
人たち全員に黄金を分配するようにと・・・書いてあるわ。」
希「!?・・・ほぉ~ふとっぱらなおじい様や。全員って事はうちらにも入るよな?」
絵里「その手紙に書いてある通りに従うならば・・・そういう事になるわね・・・。」
にこ「私達にも・・・もらえるのね・・・。」
真姫「全員・・・全員か・・・。」
真姫からしても全員に分配とは思わなかったが、もらえないよりは何倍もマシだ。
分配しても真姫の取り分は病院を救うには十分な額だった。
真姫「わかったわ。正確な手順はまだちゃんと出来ないけど、その手紙に従ってこの場にいる全員で分配する事にしましょう。」
凛「ホントかにゃ!?凛たち一夜にして大金持ちにゃ~!」
花陽「本当にいいんですか!?うわぁ・・・一億円って・・・ご飯何杯食べられるんでしょうか・・・。」
にこ「本当にいいの・・・?真姫ちゃん、ありがとう!ありがとう!」
絵里「私と亜里沙で一人分の分け前でいいわ。それだけでも十分すぎるもの。ありがとう真姫。」
亜里沙「そうですね。それだけでも十分すぎます。ありがとうございました。」
穂乃果「私と雪穂もそれでいいよ!いやぁ~どうしよっか?雪穂?」
雪穂「UTX学園に入る資金にしようかな。」
穂乃果「こら!雪穂!」
ドッアハハハハハハ
海未「・・・。」
凛「海未ちゃんどうしたにゃ~?」
海未は部屋の隅っこに行き、壁を軽く叩いたり、考え事をしている。
海未「上が書庫室・・・この部屋・・・書個室のこの形・・・。もしかして・・・。」
凛「海未ちゃん・・・?」
海未「いえ、何でもないのですよ。何でも。」
亜里沙「それから、渡すのが遅くなってしまいました。別にネコババする気はなかったんですが、話の流れで返すのが忘れてしまいました。」
真姫「・・・?これは?恐らく通帳でしょう。中にはパスワードも書いてありました。中には12億円入ってましたよ。」
凛「じゅ、12億ぅ!?」
にこ「貸して!いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、・・・すごい・・・本当だ・・・。」
希「こないな沢山の0をうちは初めてみたわぁ・・・。」
真姫「穂乃果と亜里沙には感謝しかないわ。ありがとう。あなた達は恩人よ。」
亜里沙「偶然ですよ。奇跡のようなものです。」
亜里沙(真姫さん、あなたの記憶を見させてもらったおかげです。)
海未「亜里沙、よく碑文を解きましたね。さすがです。」
亜里沙「っ海未さん!ありがとうございます!」
ことり「あっ亜里沙ちゃん顔真っ赤~!」
亜里沙「っ!?からかわないでください!」
穂乃果「眠気もぶっとんできたよ!よーし飲むぞ!~!」
海未「お酒はありませんよ、穂乃果。」
凛「祭りにゃ祭りにゃ~!」
絵里「さすがに眠いわよ。続きは明日にしましょ。」
雪穂「眠れないんですけどー!これからの人生がバラ色なんてさぁ!」
穂乃果「雪穂ってこんな性格だったっけ?」
海未「大金を一度に持つと人の性格は変わるって言いますけど本当なのかもしれませんね・・・・。」
ことり「じゃあ私は自分の部屋に戻るね・・・。穂乃果ちゃん、話があるんだ。」
穂乃果「え?話?何?」
ことり「うん。海未ちゃんも、いいよね?」
海未「はい。かまいません。」
ことりと海未の顔は二人と付き合いの長い穂乃果が見たことのない程深刻な顔をしていた。
何か、覚悟を秘めているような・・・。
穂乃果「わ、分かったよ。でも私は後少しだけこの黄金を見ていくよ。」
ことり「わかった。私の部屋で待っているね。」
海未「ゆっくり来てもいいですよ。私にも心の準備がありますから。」
海未が心の準備をする程の話がある・・・。一体どんな話なのか。
絵里「亜里沙も行くわよ~。」
亜里沙「ごめん、お姉ちゃん私もしばらくこれを見ているよ。」
絵里「あらそう?じゃあ先に行っているわよ~。あ、明日は11時に1階のリビングに集合よ~。最後に来た人3人が朝食当番だからね~。」
「「「はーい」」」
メンバーはそう言って地上に上がっていった。
部屋には穂乃果と亜里沙が残される。
穂乃果「いやーでもいまだに信じられないね。この黄金。」
亜里沙「そうですね。この黄金まさか私達を騙すためのドッキリじゃないですよね?」
穂乃香「ハハハッ。それはそれでおもしろいかも!」
亜里沙「はははは・・・」
穂乃果「・・・。」
場が静まりかえる。
穂乃果「亜里沙ちゃん、結局あれ、見せなかったんだね。」
亜里沙「見せる必要もないでしょう。切っておいて正解でした。」
テーブルには真姫に見せた遺産の分配の仕方が記してある手紙が置いてある。
亜里沙は自分の懐から別の手紙をだした。
もともと手紙は一枚だったが、亜里沙は皆を呼ぶ前に爪で器用に手紙を二枚に切ったのだ。
亜里沙「これは、これから幸せになる私達には必要の無い事ですよ。」
亜里沙はその手紙をビリビリに破いてしまった。
穂乃果「うん。確かにそうだね。私達には、こんな物はいらない・・・。」
亜里沙「穂乃果さん、ことりさんから呼ばれているんでしょう?行ってあげたらどうですか?」
穂乃果「え・・・う、うん。な、何か恥ずかしいなぁ・・・。」
亜里沙「その顔を見ると、何の用で呼ばれたのか分かっているようですね!教えてくれませんか?」
穂乃果「えーっ!そ、そんなぁ!」
亜里沙はイタズラを思いついた笑顔で、
亜里沙「教えてくださいよう!碑文を一緒に解いた仲間じゃないですかぁ!」
そう言って、穂乃果の脇腹をつつく。
穂乃果は観念したようで
穂乃果「もーっしょうがないなぁ・・・!」
まだ誰にも言わないでね?と前置きをして
穂乃果「穂乃果ね、ことりちゃんと付き合う事にしたんだ。」
そう発言した。
亜里沙は一瞬何を言われたのか分からなかったが、
亜里沙「っえぇぇぇぇえ!!」
穂乃果「亜里沙ちゃん、しィ!」
亜里沙「っっと!スイマセン、いやでも、二人ってあれ・・・女性・・・。」
それを聞いて、穂乃果の顔が曇る。
穂乃果「やっぱり、亜里沙ちゃんもそういうの気にするタイプ?」
亜里沙「いえいえいえいえ!私は恋愛の価値観は人それぞれだと思っていますから!それにほら、最近はIPS細胞とかあるといいますし!」
穂乃果はこんなにわたわたとする亜里沙は初めて見た。それはこの島で始めて見る年相応の顔だった。
穂乃果「呼ばれたのは多分海未ちゃんにまだ言っていないからその事を言いに行くんじゃないかな?」
亜里沙「だったら今ここで皆に話しても・・・。」
穂乃果「海未ちゃんには、一番最初に言っておきたいんだ。メンバーの中でも一番最初に・・・。」
亜里沙「・・・そうですか。よく分かりませんが、頑張ってください。」
穂乃果「じゃあ、行ってくるね。亜里沙ちゃんも、頑張りなよ~。知っているよ~。海未ちゃんの事チラチラ見てたでしょ!」
亜里沙「え!?いや、そんな事・・・な、ないですよ!」
穂乃果「ハイハイ、じゃっあね~。」
穂乃果はそう言って、上がっていった。
ああいう所、やっぱ憧れるなぁ・・・。
亜里沙「私の気持ち、ばれていたのか・・・。」
プシュー。
亜里沙は自分の顔が熱くなっている事を感じた。
黒い女「あら、あなた達の世界って同性でも付き合えるの?」
亜里沙「うわああああああああ!あなた、こっちの世界にこれるんですか!?」
黒い女は相も変わらず不適な態度で、
黒い女「あなたのしか見えないけどね。それよりどうするの?一日目が終わった訳だけど。」
亜里沙「どう、とは?」
黒い女「明日には誰かが殺される。それはもう運命で決まっている事だわ。あなたは真犯人を見つけたいのでしょ?」
亜里沙「そうですね。だからこんな所で油を売っていないで、今から行動しろと?」
黒い女「そうよ。ま、いつどうやって、何人殺されるかはわからないけれど、それでも見張るくらいは出来るはずよ。」
殺人事件が発生してから警察なり探偵が行うのはアリバイ調査と決まっている。それは地盤を固めるのに必要な行為だからだ。
が、それを調べる警察はここには来ない。亜里沙は前回の1日目ので見た天気予報の記憶から2日目は雨と激しい風が来る事を覚えている。
多分今回も警察は来れないのだろう。ここはクローズドサークルの環境下で起きる殺人事件。そういう魔女の『シナリオ』なのだ。
そもそもここに警察が来るようならどうして私が探偵まがいの事をしなければいけないのか。
なので、亜里沙がアリバイを10人全員調べなければいけない。
黒い女(思えばこのアリバイをちゃんと調べなかったから前回は殺されたっていう事もあるのよね・・・。)
記憶を失った亜里沙には知る由も無い事だが、前回亜里沙はメンバーのアリバイを殆ど把握出来ていなかった。
最初の犯行はメンバー全員がフリーな深夜に行われ、次の犯行は全員がアリバイを証明できない空白の時間がある時に犯行が起こった。
なので、亜里沙は犯人はおろか、誰が絶対に犯人でないか?それすらも推理する事が出来なかったのだ。
結果、その者が死んで初めて○○はシロ!と容疑者を絞り込むのに後手に回ってしまい、最後は何者かに刺されてしまった。
真姫の発言と、証拠から希を殺した事だけは認めさせたが結局他は解らず仕舞い。
せめてあの時アリバイを意識した行動をしていればもう少しどうにかなったはずである。
前回の結末を知っている黒い女としては、遠回りに助言を与えに来たのだが・・・。
亜里沙「大丈夫ですよ。ちゃんと考えてあります。どうやら前回の私は犯人に完敗したみたいですね。
あなたの言葉を聞くに、容疑者を絞り込めなかった、って所でしょうか?」
黒い女(相変わらず理解が早いわね。)
黒い女「さぁ・・・。どうかしらね。」
亜里沙「心配しないでください。ちゃんと考えてありますよ。少なくとも、今から朝の11時までのメンバー全員のアリバイは把握できます。」
黒い女「・・・?そんな事できるのかしら?」
今現在メンバーは誰もがアリバイがない状態だ。しかも殺人は恐らく深夜から明け方にかけて行われるだろう。
メンバー10人のアリバイは把握しておきたい・・・。が、亜里沙の体は当たり前だが一つしかない・・・。
亜里沙「私のメリットは、予め殺人が起きる事が解っている、という事です。船で沢山考えましたよ。」
亜里沙はポッケからあるものを出した。
亜里沙「書庫室からこの部屋に入るまでにくすねておきました。これが、これから朝まで全員のアリバイを把握できる、方法です。」
黒い女「・・・?何よそれは?」
亜里沙はそれを手の上で投げ、それをキャッチする。
亜里沙「ガムテープ、です。」
ここまで
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
24:30 廊下にて
穂乃果は書庫室からことりの部屋に向かった。
穂乃果「海未ちゃんに言うの、ドキドキするなぁ・・・。」
船の上でことりから話があると言われて心のどこかでそんな気はしていた。
いや、そうだったらいいなぁ・・・という願望だった。
昔から穂乃果の女性らしいかわいさにずっと憧れてきた。
その憧れが恋愛感情に変わったのはつい最近だったと思う。
でも、穂乃果たちは同姓。それはイケナイ事なんだ、と自分の気持ちを封じ込めてきた。
ことりが穂乃果を慕ってくれていた事は気づいていたが、それはあくまで友達としてなのだと。
そして今日、(正確にはもう昨日だが)ことりから告白された時は何かのイタズラかと思った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1日目 時間未定
ことり「あのね・・・私は、穂乃果ちゃんの事が、好きです。」
穂乃果「っ・・・え?」
ことり「恋愛対象として・・・好きです。」
穂乃果「っえっえええ!?」
ことりの顔は真っ赤だった、そしてそれは自分の顔もだった。
聞いた瞬間、顔が真っ赤になり、心臓がこれ以上ないほどバクバクした。
ことり「穂乃果ちゃんは・・・どうなの・・・かな?私の事・・・どう思っているの・・・かな?」
俯きながら、顔を真っ赤にして目を潤ませて聞くことりに、穂乃果は倫理観とか同姓だからとか、そんな物は吹っ飛んでしまった。
ことり「ご、ごめんね!やっぱり気持ち悪いよね!私と穂乃果ちゃんは女の子どうしなのに・・・そんなっ・・・きゃっ!」
穂乃果はことりを力いっぱい抱きしめる。
穂乃果「ことりちゃん、聞いてくれないかな。」
ことり「うん。」
穂乃果「私ね。、好きな人がいるんだ。」
ことり「っ!うん・・・。そっか・・・。」
穂乃果「その子は女の子なんだ。女の子同士だからダメなんだって穂乃果はその気持ちを我慢していたんだ。」
ことり「うっうん・・・。」
穂乃果「でも、ね。その子が必死に告白してくれた姿を見ていて、そんなものどうでもいいやって思ったんだ。」
ことり「そ、それって・・・!」
穂乃果「うん。ことりちゃん、私もね。ことりちゃんの事が、恋愛対象として好き。大好き。私と付き合ってくれないかな?」
ことり「ほ、穂乃果ちゃん・・・。」
穂乃果「そしてゴメンね。先に言わせちゃって。」
ことり「穂乃果ちゃああああああああああああん!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
穂乃果「いや~あの時の事は今でもあんまり覚えていないなぁ・・・。くう~。」
そうして物思いにふけりながら、穂乃果はことりの部屋の前に着く。
穂乃果「緊張してきたな・・・。よしっ!」
穂乃果は覚悟を決めて部屋をノックした。
コンコン
穂乃果「・・・あれ?」
コンコン
穂乃果は聞こえなかったのかと思い、もう一度部屋をノックするが返事は返ってこなかった。
穂乃果「あれー・・・?あっ開いている。」
穂乃果は思わずドアノブを捻ると部屋は開いていた。
部屋は暗い。同じベッドにことりと海未は入っていた。
穂乃果「寝ちゃったのかな?うーん。まぁいいや。今日は穂乃果もここで寝よーっと。」
穂乃果はベッドの中央に入る。
ツインベッドに三人はせまい。
だが穂乃果はこの窮屈な感覚も懐かしく思えた。
穂乃果「小さい頃はこうしてよく三人で寝たよね・・・。ふわ~あ。」
穂乃果はあくびをして、
穂乃果「お休みなさ~い。」
静かに夢の中へと落ちて行った。
2日目 11:08 ことりの部屋
ピピピピピイピピピピピピピ!
穂乃果「もう・・・うるさいなぁ・・・。」
穂乃果は目覚まし時計の音で目を覚ました。
寝不足な穂乃果は目をつぶり、毛布を頭まで被りながら、誰かが止めてくれるのを待つ。
ピピピピピピピピピ
・・・しかし音は鳴りやまない。
しかたなしと、穂乃果は目覚まし時計を止めて時間を確認する。時間は待ち合わせの時間からすでに8分遅れていた。
穂乃果「あっ!ヤバイ!」
穂乃果は時計を置き、目をこする。カーテンを閉めていたので殆ど明かりは入ってこなくて薄暗かった。
だから目覚ましが鳴って8分も寝ていられたのかもしれない。
昨日の天気予報で言っていた通り、天気は雨で、雨が窓を叩く音が聞こえてきた。
でもこんなうるさく目覚まし時計が鳴っていたら誰か起きるはずなんだけどな・・・。
穂乃果「あー起きるのメンドイ。」
今更急いで準備した所でそんなに変わらないとかいやでも絵里ちゃん達に怒られるとかそんな思いが交差した。
穂乃果「ことりちゃんたちも起こしてくれればいいのに・・・。」
そう言ってくるりと自分の体を動かすと、
コツン。
穂乃果「あれ・・・。まだ二人とも寝てるんだ。」
ことりと海未は昨日と同じ格好で、頭まで毛布をかぶっていた。
穂乃果はため息をついた。珍しい事もあるもんだ。海未もことりもメンバーの中ではしっかりしている方なのだが寝坊するとは。
まぁ昨夜は色々あったしね。と自分を納得させた。
穂乃果「も~しょうがないな~。よーし。」
穂乃果は布団から起き上がると、しずかに閉まっているカーテンをつかむ。
そのまま勢いよく引いてビックリさせるつもりなのだ。
穂乃果「よーし、起きろぉぉぉ!!!!」
びしゃあああああああああ!
穂乃果は勢いよくカーテンを開ける。するとそこには・・・
「きゃああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」
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11:20
花陽「これは・・・ひどい。」
花陽は青ざめながら顔をそむけた。
絵里「花陽、もうよしましょう。二人ともこんな無体な姿をメンバーに見られたいはずがないわ。」
絵里が花陽を抱きしめる。
凛「どうして・・・。何があったんにゃ・・・。」
凛は茫然としていた。
無理もない。目の前にある光景はとても目を背けたくなる光景だった。
穂乃果「ことりちゃああああああああああああああん!!!!海未ちゃんまで!なんで!?どうしてええええええええ
穂乃果は泣きじゃくりながらことりと海未に縋り付く。その体はピクリとも反応しなかった。
何故なら・・・二人の首はきれいにナイフで掻っ捌かれているのだから・・・。
あまりに深く、広く裂けているせいか、第二の口とも形容できた・・・。
絵里「誰がこんな事を・・・。」
穂乃果「っっ・・・うわあああああああああ!!!っ!そうだ!救急車!医者を呼んでよ!ほら!早く!」
絵里「穂乃果・・・。もう・・・手遅れなのよ。」
穂乃果「・・・そんな・・・。」
穂乃果はその場で崩れ落ちる。絵里は花陽に合図を送る。
花陽は毛布でことりと海未の遺体を覆った。
毛布を血が吸い、赤黒く染める。毛布で隠しても・・・余りにも無残な惨劇の跡は残るのだった。
だから花陽はさらに毛布で覆った。
ことりと海未。この部屋には、二人の人間の首がばっさりと切り裂かれていた。
多分、それは昨夜からなのだ。
穂乃果はそうとは知らずに布団をかぶって寝てしまった。そういう事なんだろうか・・・?
三人とも、二人の喉の切り傷を奥まで見てしまった。下手をすれば骨まで至っているかもしれない。他に傷はない。
・・・だから首の傷さけ見なければ・・・。きれいな遺体だったのかもしれない。しかし・・・。この傷は無残すぎた。
どんな殺しもきれいも汚いもない。どれも無残だ。しかし・・・これはあまりに無残としか・・・。
亜里沙「皆さん、その・・・こんな時になんて言ったらいいのか分かりませんが・・・おはようございます。」
絵里「亜里沙・・・。事情は分かったわね?あなたは外で待っていなさい。もうすぐ真姫たちが来るから・・・。」
亜里沙は事情を把握したようだがそこまで取り乱している様子ではない。
むしろ、これが起こる事が解っていたような、そんな顔をしていた。
亜里沙は彼女らの傷口は見ていない。しかし、返り血を浴びたこの部屋を見て表情を顔に出さないのは異常だった。
亜里沙は絵里の言葉を無視して部屋に入る。改めて現場を確認した。
亜里沙「この感覚・・・初めてですが、懐かしい気持ちがしますね。」
亜里沙は『前回』殺人現場に何回も立ち会っている。記憶はないがこの血なま臭い感覚は体が覚えていた。
亜里沙の表情が本人も知らず知らずのうちに変わる。それはまるで、子供が自分の出番が来たと浮かべる笑みのようだった。
亜里沙「話は廊下でお聞きしました。亡くなったのは、二人ですか・・・。」
絵里「亜里沙!?入っちゃダメってわからないの!?」
花陽「亜里沙ちゃん!見ない方がいいよ!部屋で待っていて!」
亜里沙「申し訳ないですがそういう訳にはいきません。私は『これ』のために来たのですから。」
凛「な、何を言っているんだにゃ・・・。」
亜里沙「むしろ皆さんこそ、部屋を出て行ってください。分かっているんですか?ここは殺人現場ですよ?証拠が隠れているのかもしれないんですよ?」
穂乃果「ことりちゃん、海未ちゃん・・・。」
亜里沙「どいてくれませんか?現場を調査しないと。」
亜里沙は冷たい目でうずくまっている穂乃果にそう伝える。その目は邪魔だと言わんばかりだった。
絵里「亜里沙!いい加減にしなさい!必要なら私達がするし、警察の仕事よ!」
亜里沙「・・・これなんですよね。」
前回の亜里沙も現場検証をメンバーに邪魔されて海未の遺体や部屋の中を詳しく調べる事が出来なかった。
・・・もちろんそれは普通ならば当たり前の事なのだが・・・。この合宿中にこの事件を解かなければいけない。
しかしそれを説明しても分かってくれる訳もない。
亜里沙「しょうがないか・・・。」
亜里沙は深呼吸をして、
亜里沙「探偵権限を使わせてもらいます。黒い神様、お願いします。」
パキン!!!
空気が割れる音がしたかと思うと、亜里沙を止める声はピタリと止まる。
亜里沙の静かな迫力により・・・何故か誰も亜里沙の調査を拒めない不思議な空気が充満した・・・。
亜里沙「もう何でもありですね・・・。これって手助けにならないんですか?」
その声を聞いて黒い女が現れる。
黒い女「別に、警察が調べられる事をあなたが調べられるようにしただけよ。今のあなたは調査をしても誰にも妨害されない。ただそれだけよ?」
亜里沙「・・・記憶無いですけど、前回もこの力があればなんとかなったんじゃないですかね・・・?」
黒い女「前回はあなたが素のポテンシャルでどこまでいけるか知りたかったのよ。まぁ、引き分けに持ち込んだだけでも評価できるけど。」
亜里沙「過大評価ですよ。」
黒い女「あなたには探偵権限を授け、自らのレートを上げた。賭け金が高いという事は負けた時のリスクも高いという事。・・・意味は解るわよね?」
亜里沙「・・・負けた時はただじゃおかないって事ですよね。」
黒い女は何も慈善で亜里沙をサポートしている訳ではない。あくまで賭けに勝つためにやっているだけだ。
当然・・・負けたら一切の容赦もないだろう。それは死ぬよりもキツイ目に合うのは・・・間違いない。何しろ彼女は、人間の上位にいる魔女なのだから。
亜里沙は魔女との会話を打ち切って、
亜里沙「ご心配なく、死体を荒らす事が目的ではありません。喉の切り口なんて怖いもの見たくはありません。」
花陽「・・・じゃあ何を・・・?」
亜里沙「誰がこの殺人を行ったかという事です。これから皆さんに色々お尋ねしますので、ご協力をお願いします。」
亜里沙は絵里、凛、穂乃果、花陽から死体発見時の事を詳しく聞いている。
それはあくまで部外者の亜里沙には話す事ではない・・・。
しかし、亜里沙に話さなければいけない、という雰囲気に包まれていた。
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一方、その頃、真姫と雪穂はまだ起きてこないメンバーを起こしに行っていた。
元々11:00にリビングで待ち合わせだったが、真姫、雪穂、絵里、凛、花陽以外はしばらくたっても来ないので、手分けして起こそうという話になったのだ。
亜里沙の部屋に行ったが、ドアは開いていたのでもう起きたのだろう。今は違う部屋に向かっている最中だ。
雪穂「こんなに寝坊するなんて珍しいですね・・・。」
真姫「まさかことりや海未まで寝坊するとは思わなかったわ。まぁそっちは任せましょう。今度は希の部屋に行くわよ。」
雪穂「それにしても・・・各部屋に貼られていたこのガムテープはなんでしょう・・・?」
真姫「誰かのイタズラかしら・・・?でもこのガムテープに書いてあるの、ロシア語よね?絵里と亜里沙がこんな事するとは思えないけど・・・。」
朝、真姫が起きて準備をして部屋をでると、ドアの上部にガムテープが貼られているのを発見したのだ。
それは扉の枠と跨ぐように貼られていて、中央にはハサミか何かで切れ込みがあった。
どうやら少しでも扉を開けたらこのガムテープは破れる仕組みになっているらしい。
そして切れ目の上にはマジックペンで複雑なサインらしきものが書いてある。
これをマネしようと書くのは骨が折れそうだ。
絵里たちに話したら同じものが扉に貼ってあったと言う。どうやら屋敷の全ての扉に貼ってあるようだった。
雪穂「一体だれがこんな事を・・・。」
真姫「さぁ・・・。あ、希の部屋よ。」
案の定希の部屋にもガムテープは貼りつけてあった。
真姫はガムテープを引きはがすと、ドアノブを捻る。
雪穂「あ、開くみたいですね。」
真姫「そうね。希ー!開けるわよー。」
真姫はドアを開ける。部屋は薄暗いがベッドに毛布の膨らみがあるのが見えた。
雪穂「おはようございます!希さん!」
真姫「珍しいわね。希が遅刻するなんて!ほらー希!っ・・・ひっ!!!何よこれ!!!」
雪穂「えっ・・・いやああああああああああああああ!!!!」
毛布に赤いシミがついている。いや、それはシミというほど小さいものではない。
まるでハスの葉のような、それは模様だった、赤く、黒いハスの葉の模様が希の毛布を彩っている。
真姫は希の毛布を指でつまみながら剥ぐ。その赤い模様に触れたらダメだと・・・本能が警告しているようだった。
そして絶句する。希の首はスッパリと切られていた。
真姫「どうして・・・誰が・・・。」
希の首は見下ろしたら喉の奥まで見えるのではないか。それほど深く切られていた。
これを鋭利な刃物でなければここまでの切り口はできないだろう。
雪穂「これは・・・一体・・・し、死んでる!」
二人は一刻も早く希の部屋を出る。
それは、これ以上自分たちでこの部屋を荒らしてはいけないと思ったのと、
この呪われた血なま臭い部屋にこれ以上いたら自分もその仲間入りしてしまいそうで・・・。
二人はこの事を報告しようとしたが、絵里達がどこにいるのかはわからない。
なので先ににこの元に向かう事にした。
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黒い女「今回は静かにやってるのね。前回が派手すぎたからかしら?」
ピンクの女「そうねー前回は顔をグシャグシャにしたり、色々したからねー。今回はその逆をイってみたわ。」
黒い女「一応の確認だけど、警察に電話は出来るのかしら?」
ピンクの女「電話は出来るわよ?部屋についている内線も使えるし。でも雨と風で外側から干渉する事は出来ないわ。
これがクローズドサークルの完成ってやつね!」
警察の介入はこの合宿中はクローズドサークルの完成によって完全に否定された。これで、亜里沙は自由に調査が出来る。
黒い女「さぁ・・・もうお膳立ては十分にしてあげたわ。亜里沙、あなたがどこまでヤれるのか・・・見せてもらうわよ!」
ピンクの女「楽しくなってきたわぁ・・・。碑文なんて所詮は前座も前座。これからが本番よねぇ・・・!」
黒い女「クスクスクスクスクスクスクスクス!!」
ピンクの女「ぷっあっはっはっはっはっはっはっはっ!!!!!」
黒い女「やっぱり一番の退屈しのぎは」
ピンクの女「魔女とのゲームに限るわよねぇ・・・?」
「「くすくすくすくすくすあっはっはっはっはっ!!!!」」
<キャスト>
絢瀬亜里沙 綾瀬絵里
東条希 矢沢にこ
園田海未 南ことり
高坂穂乃果 小泉花陽
星空凛 西木野真姫
黒い女 ピンクの女
前編完。
後編に続く。
とりあえず終わり。 やべえキャストの所雪穂忘れてた・・・。修正しまする。
後編も四月中に書きたいです。
このSSまとめへのコメント
続きはよ